説明

遊技機

【課題】躍動感に溢れる画像を表示できる表示手段を備える遊技機を提供すること。
【解決手段】パチスロ(1)は、液晶表示装置(5)を備える。この液晶表示装置(5)は、二次元の映像を表示する液晶パネル(55)と、この液晶パネル(55)のうち表示画面(5a)の反対側に配置されたバックライト(56)と、液晶パネル(55)のうち表示画面(5a)側に配置されたレンチキュラーシート(57)と、を備える。レンチキュラーシート(57)は、一次元のレンズであるシリンドリカルレンズ(571)がレンズ中心軸と略直交する方向に多数配列して設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチスロ等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の図柄がそれぞれの表面に配された複数のリールと、遊技メダルやコイン等(以下、「メダル等」という)が投入され、遊技者によりスタートレバーが操作されたことを検出し、複数のリールの回転の開始を要求するスタートスイッチと、複数のリールのそれぞれに対応して設けられたストップボタンが遊技者により押されたことを検出し、該当するリールの回転の停止を要求する信号を出力するストップスイッチと、複数のリールのそれぞれに対応して設けられ、それぞれの駆動力を各リールに伝達するステッピングモータと、スタートスイッチ及びストップスイッチにより出力された信号に基づいて、ステッピングモータの動作を制御し、各リールの回転及びその停止を行うリール制御部と、を備え、スタートレバーが操作されたことを検出すると、乱数値に基づいて抽籤を行い、この抽籤の結果(以下、「内部当籤役」という)とストップボタンが操作されたことを検出したタイミングとに基づいてリールの回転の停止を行う、パチスロと呼ばれる遊技機が知られている。
【0003】
このような遊技機では、表示画面に画像を表示する表示装置を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この遊技機によれば、表示装置により表示画面に画像を表示して演出を行うことができる。
【特許文献1】特開2005−296250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の遊技機の表示装置は、二次元画像を表示するものである。このため、表示される画像が躍動感に欠ける場合があった。
【0005】
本発明の目的は、躍動感に溢れる画像を表示できる表示手段を備える遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような遊技機を提供する。
【0007】
(1) 複数種類の図柄を表示する表示部(例えば、後述のリール3L,3C,3R等)を複数有する図柄表示手段(例えば、後述のリール3L,3C,3R、後述の表示窓21L,21C,21R等)と、前記複数の表示部における図柄の変動表示を制御する図柄制御手段(例えば、後述のモータ駆動回路39、後述のステッピングモータ49L,49C,49R、後述の主制御回路71等)と、画像を表示する画像表示手段(例えば、後述の液晶表示装置5等)と、を備え、前記画像表示手段は、少なくとも1方向に視差を生じさせて三次元画像を表示することを特徴とする遊技機。
【0008】
(1)記載の遊技機によれば、画像表示手段により、少なくとも1方向に視差を生じさせて三次元画像を表示することとした。このため、遊技者に対して、左右の眼に視差を持つ二次元情報を分離して視認させることができ、三次元画像を知覚させることができる。したがって、画像表示手段により、躍動感溢れる画像を表示させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の遊技機によれば、画像表示手段により、躍動感溢れる画像を表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[パチスロの機能フロー]
本発明の遊技機に係る実施の形態について、以下図面を参照しながら説明する。はじめに、図1を参照して、本実施の形態における遊技機(以下、パチスロ)1の機能フローについて説明する。
【0011】
遊技者によりメダルが投入され、スタートレバー6が操作されると、予め定められた数値の範囲(例えば、0〜65535)の乱数から1つの値(以下、乱数値)が抽出される。
【0012】
内部抽籤手段(後述のメインCPU31)は、抽出された乱数値に基づいて抽籤を行い、内部当籤役を決定する。内部当籤役の決定により、後述の入賞判定ラインに沿って表示を行うことを許可する図柄の組合せが決定される。尚、図柄の組合せの種別としては、メダルの払い出し、再遊技の作動、ボーナスの作動等といった特典が遊技者に与えられる「入賞」に係るものと、それ以外のいわゆる「ハズレ」に係るものと、が設けられている。
【0013】
続いて、複数のリール3L,3C,3Rの回転が行われた後で、遊技者によりストップボタン7L,7C,7Rが押されると、リール停止制御手段(後述のモータ駆動回路39、後述のステッピングモータ49L,49C,49R)は、内部当籤役とストップボタンが押されたタイミングとに基づいて、該当するリールの回転を停止する制御を行う。
【0014】
ここで、パチスロ1では、基本的に、ストップボタンが押されたときから規定時間(190msec)内に、該当するリールの回転を停止する制御が行われる。本実施の形態では、上記規定時間内でのリール3L,3C,3Rの回転に伴って移動する図柄の数を「滑り駒数」と呼び、その最大数を図柄4個分に定める。
【0015】
リール停止制御手段は、入賞に係る図柄の組合せの表示を許可する内部当籤役が決定されているときでは、上記規定時間を利用して、その図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って極力表示されるようにリール3L,3C,3Rの回転を停止する。その一方で、内部当籤役によってその表示が許可されていない図柄の組合せについては、上記規定時間を利用して、入賞判定ラインに沿って表示されることがないようにリール3L,3C,3Rの回転を停止する。
【0016】
こうして、複数のリール3L,3C,3Rの回転が全て停止されると、入賞判定手段(後述のメインCPU31)は、入賞判定ラインに沿って表示された図柄の組合せが、入賞に係るものであるか否かの判定を行う。入賞に係るものであるとの判定が行われると、メダルの払い出し等の特典が遊技者に与えられる。以上のような一連の流れがパチスロ1における1回の遊技として行われる。
【0017】
また、パチスロ1では、前述した一連の流れの中で、液晶表示装置5により行う映像の表示、ランプ14により行う光の出力、スピーカ9L,9Rにより行う音の出力、又はこれらの組合せを利用して様々な演出が行われる。なお、液晶表示装置5は、後述のように、三次元の映像を表示可能に構成される。
【0018】
遊技者によりスタートレバー6が操作されると、前述の内部当籤役の決定に用いられた乱数値とは別に、演出用の乱数値(以下、演出用乱数値)が抽出される。演出用乱数値が抽出されると、演出内容決定手段(後述のサブCPU81)は、内部当籤役に対応づけられた複数種類の演出内容の中から今回実行するものを抽籤により決定する。
【0019】
演出内容が決定されると、演出実行手段(後述の液晶表示装置5、後述のスピーカ9L,9R、後述のランプ14)は、リール3L,3C,3Rの回転が開始されるとき、各リール3L,3C,3Rの回転がそれぞれ停止されるとき、入賞の有無の判定が行われたとき等の各契機に連動させて演出の実行を進める。このように、パチスロ1では、内部当籤役に対応づけられた演出内容を実行することによって、決定された内部当籤役(言い換えると、狙うべき図柄の組合せ)を知る又は予想する機会が遊技者に提供され、遊技者の興味の向上が図られる。
【0020】
[パチスロの構造]
パチスロ1の機能フローについての説明は以上である。次に、図2及び図3を参照して、本実施の形態におけるパチスロ1の構造について説明する。
【0021】
<パチスロの外部構造>
図2は、本実施の形態におけるパチスロ1の外部構造を示す。
【0022】
(リールと表示窓)
パチスロ1は、リール3L,3C,3Rや回路基板等を収容するキャビネット1aと、キャビネット1aに対して開閉可能に取り付けられるフロントドア2と、を備える。キャビネット1aの内部には、3つのリール3L,3C,3Rが横並びに設けられている。各リール3L,3C,3Rは、円筒状のフレームの周面に、複数の図柄(例えば21個)が回転方向に沿って連続的に配された帯状のシートを貼り付けて構成されている。
【0023】
フロントドア2の中央には、液晶表示装置5が設けられている。液晶表示装置5は、図柄表示領域21L,21C,21Rを含む表示画面5aを備え、正面から見て3つのリール3L,3C,3Rに重畳する手前側に位置するように設けられている。図柄表示領域21L,21C,21Rは、3つのリール3L,3C,3Rのそれぞれに対応して設けられており、その背後に設けられたリール3L,3C,3Rを透過することが可能な構成を備えている。
【0024】
つまり、図柄表示領域21L,21C,21Rは、表示窓としての機能を果たすものであり、その背後に設けられたリール3L,3C,3Rの回転及びその停止の動作が遊技者側から視認可能となる。また、本実施の形態では、図柄表示領域21L,21C,21Rを含めた表示画面5aの全体を使って、映像の表示が行われ、演出が実行される。
【0025】
図柄表示領域(以下、表示窓)21L,21C,21Rは、その背後に設けられたリール3L,3C,3Rの回転が停止されたとき、リール3L,3C,3Rの表面に配された複数種類の図柄のうち、その枠内における上段、中段、及び下段の各領域にそれぞれ1個の図柄(合計で3個)を表示する。また、各表示窓21L,21C,21Rが有する上段、中段、及び下段からなる3つの領域のうち予め定められた何れかをそれぞれ組合せてなる擬似的なラインを、入賞か否かの判定を行う対象となるライン(入賞判定ライン)として定義する。
【0026】
本実施の形態では、各表示窓21L,21C,21Rの上段を組合せてなるトップライン8bと、各表示窓21L,21C,21Rの中段を組合せてなるセンターライン8cと、各表示窓21L,21C,21Rの下段を組合せてなるボトムライン8dと、左表示窓21Lの上段、中表示窓21Cの中段、及び右表示窓21Rの下段を組合せてなるクロスダウンライン8eと、左表示窓21Lの下段、中表示窓21Cの中段、及び右表示窓21Rの上段を組合せてなるクロスアップライン8aと、の5つを入賞判定ラインとして設けている。
【0027】
(操作装置)
フロントドア2には、遊技者による操作の対象となる各種装置が設けられている。メダル投入口10は、遊技者によって外部から投下されるメダルを受け入れるために設けられる。メダル投入口10に受け入れられたメダルは、所定枚数(例えば3枚)を上限として1回の遊技に投入されることとなり、所定枚数を超えた分はパチスロ1内部に預けることが可能となる(いわゆるクレジット機能)。
【0028】
ベットボタン11は、パチスロ1内部に預けられているメダルから1回の遊技に投入する枚数を決定するために設けられる。精算ボタン12は、パチスロ1内部に預けられているメダルを外部に引き出すために設けられる。
【0029】
スタートレバー6は、全てのリール3L,3C,3Rの回転を開始するために設けられる。ストップボタン7L,7C,7Rは、3つのリール3L,3C,3Rのそれぞれに対応づけられ、対応するリール3L,3C,3Rの回転を停止するために設けられる。
【0030】
(その他装置)
7セグ表示器13は、7セグメントLEDからなり、今回の遊技に投入されたメダルの枚数(以下、投入枚数)、特典として遊技者に対して払い出すメダルの枚数(以下、払出枚数)、パチスロ1内部に預けられているメダルの枚数(以下、クレジット枚数)等の情報を遊技者に対してデジタル表示する。
【0031】
ランプ(LED等)14は、演出内容に応じた点消灯のパターンにて光を出力する。スピーカ9L,9Rは、演出内容に応じた効果音や楽曲等の音を出力する。メダル払出口15は、後述のメダル払出装置40(後述の図3参照)の駆動により排出されるメダルを外部に導く。メダル払出口15から排出されたメダルは、メダル受皿16に貯められる。
【0032】
<パチスロの内部構造>
図3は、本実施の形態におけるパチスロ1の内部構造を示す。フロントドア2が開放され、フロントドア2の裏面側の構造及びキャビネット1a内部の構造が現れた状態が示されている。
【0033】
キャビネット1a内部の上方には、主制御回路71(後述の図6参照)が形成された基板(以下、主基板71A)が設けられている。主制御回路71は、内部当籤役の決定、リール3L,3C,3Rの回転及び停止、入賞の有無の判定といった、パチスロ1における遊技の主な流れを制御する回路である。主制御回路71の具体的な構成は後述する。
【0034】
キャビネット1a内部の中央には、3つのリール3L,3C,3Rが設けられている。リール3L,3C,3Rのそれぞれには、所定の減速比をもったギアを介してステッピングモータ49L,49C,49R(後述の図6参照)が接続されている。
【0035】
3つのリール3L,3C,3Rの左側には、副制御回路72(後述の図6参照)が形成された基板(以下、副基板72A)が設けられている。副制御回路72は、映像の表示等による演出の実行を制御する回路である。副制御回路72の具体的な構成は後述する。
【0036】
キャビネット1a内部の下方には、多量のメダルを収容可能で、それらを1枚ずつ排出可能な構造を有するメダル払出装置(以下、ホッパー)40が設けられている。ホッパー40の左側には、パチスロ1が有する各装置に対して必要な電力を供給するための電源装置43が設けられている。
【0037】
フロントドア2裏側の中央、表示窓21L,21C,21Rの下方には、セレクタ42が設けられている。セレクタ42は、材質や形状等が適正であるメダルか否かを選別する装置であり、メダル投入口10に受け入れられた適正なメダルをホッパー40へ案内する。尚、セレクタ42内においてメダルが通過する経路上には、後述のメダルセンサ42S(後述の図6参照)が設けられており、適正なメダルが通過したことを検出する。
【0038】
[液晶表示装置]
パチスロ1の構造についての説明は以上である。次に、図4及び図5を参照して、液晶表示装置5の構造について説明する。
【0039】
<液晶表示装置の構造>
図4は、本実施の形態における液晶表示装置5の構造を示す。
【0040】
液晶表示装置5は、二次元の映像を表示する液晶パネル55と、この液晶パネル55のうち表示画面5aの反対側に配置されたバックライト56と、液晶パネル55のうち表示画面5a側に配置されたレンチキュラーシート57と、を備える。
【0041】
液晶パネル55には、複数の画素551がマトリクス状に配列されている。画素551は、サブ画素551R,551G,551Bを備える。この液晶パネル55には、バックライト56から出射された光が入射し、サブ画素551Rに入射した光は、赤色の光となって出射される。また、サブ画素551Gに入射した光は、緑色の光となって出射され、サブ画素551Bに入射した光は、青色の光となって出射される。
【0042】
レンチキュラーシート57は、一次元のレンズであるシリンドリカルレンズ571を、レンズ中心軸と略直交する方向に多数配列させたシートである。各シリンドリカルレンズ571のレンズ中心軸と略直交する方向の幅は、このレンズ中心軸と略直交する方向に18個の画素551が配列された幅に等しい。また、シリンドリカルレンズ571のレンズ中心軸の方向に2個、このレンズ中心軸と略直交する方向に18個の2×18個の画素551と、これら画素551に対応する1つのシリンドリカルレンズ571とで、1つの三次元画素55aが構成されている。
【0043】
なお、本実施の形態では、バックライト56及びレンチキュラーシート57は、表示画面5aのうち図柄表示領域21L,21C,21Rに対向する領域には、設けられていないものとする。これによれば、リール3L,3C,3Rの表面に配された図柄は、遊技者には二次元の画像として認識されることとなるので、三次元の画像として認識されてしまうことにより、タイミングを計りつつ行う停止操作、すなわち目押しを行う際の妨げとなるのを防止できる。
【0044】
<液晶表示装置の機能>
図5を参照して、本実施の形態における液晶表示装置5により三次元の映像を表示する方法について説明する。
【0045】
バックライト56からは、液晶パネル55に向かって多様な方向に光を出射する。これら光は、液晶パネル55に配列されたサブ画素551R,551G,551Bを透過すると、シリンドリカルレンズ571に入射する。シリンドリカルレンズ571に入射した光は、このシリンドリカルレンズ571から出射する際に、シリンドリカルレンズ571表面の形状に応じて進行方向に変化が生じる。以上により、複数方向(本実施の形態では、16方向)に視差が生じることとなり、その結果、遊技者には三次元の映像が視認されることとなる。
【0046】
[パチスロが備える回路の構成]
液晶表示装置5の構造についての説明は以上である。次に、図6及び図7を参照して、本実施の形態におけるパチスロ1が備える回路の構成について説明する。本実施の形態におけるパチスロ1は、主制御回路71、副制御回路72、及びこれらと電気的に接続する周辺装置(アクチュエータ)を備える。
【0047】
<主制御回路>
図6は、本実施の形態におけるパチスロ1の主制御回路71の構成を示す。
【0048】
(マイクロコンピュータ)
主制御回路71は、回路基板上に設置されたマイクロコンピュータ30を主たる構成要素としている。マイクロコンピュータ30は、CPU(以下、メインCPU)31、ROM(以下、メインROM)32、及びRAM(以下、メインRAM)33により構成される。
【0049】
メインROM32には、メインCPU31により実行される制御プログラム(後述の図8参照)、内部当籤役を決定する際に用いる内部抽籤テーブル等のデータテーブル、副制御回路72に対して各種制御指令(コマンド)を送信するためのデータ等が記憶されている。メインRAM33には、制御プログラムの実行により決定された内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられる。
【0050】
(乱数発生器等)
メインCPU31には、クロックパルス発生回路34、分周器35、乱数発生器36、及びサンプリング回路37が接続されている。クロックパルス発生回路34及び分周器35は、クロックパルスを発生する。メインCPU31は、発生されたクロックパルスに基づいて、制御プログラムを実行する。乱数発生器36は、予め定められた範囲の乱数(例えば、0〜65535)を発生する。サンプリング回路37は、発生された乱数の中から1つの値を抽出する。
【0051】
(スイッチ等)
マイクロコンピュータ30の入力ポートには、スイッチ等が接続されている。メインCPU31は、スイッチ等の入力を受けて、ステッピングモータ49L,49C,49R等の周辺装置の動作を制御する。ストップスイッチ7Sは、3つのストップボタン7L,7C,7Rのそれぞれが遊技者により押されたこと(停止操作)を検出する。また、スタートスイッチ6Sは、スタートレバー6が遊技者により操作されたこと(開始操作)を検出する。
【0052】
メダルセンサ42Sは、メダル投入口10に受け入れられたメダルが前述のセレクタ42内を通過したことを検出する。また、ベットスイッチ11Sは、ベットボタン11が遊技者により押されたことを検出する。また、精算スイッチ12Sは、精算ボタン12が遊技者により押されたことを検出する。
【0053】
(周辺装置及び回路)
マイクロコンピュータ30により動作が制御される周辺装置としては、ステッピングモータ49L,49C,49R、7セグ表示器13、及びホッパー40がある。また、マイクロコンピュータ30の出力ポートには、各周辺装置の動作を制御するための回路が接続されている。
【0054】
モータ駆動回路39は、各リール3L,3C,3Rに対応して設けられたステッピングモータ49L,49C,49Rの駆動を制御する。リール位置検出回路50は、発光部及び受光部を有する光センサにより、リール3L,3C,3Rが一回転したことを示すリールインデックスを各リール3L,3C,3Rに応じて検出する。
【0055】
ステッピングモータ49L,49C,49Rは、運動量がパルスの出力数に比例し、回転軸を指定された角度で停止させることが可能な構成を備えている。ステッピングモータ49L,49C,49Rの駆動力は、所定の減速比をもったギアを介してリール3L,3C,3Rに伝達される。ステッピングモータ49L,49C,49Rに対して1回のパルスが出力されるごとに、リール3L,3C,3Rは一定の角度で回転する。
【0056】
メインCPU31は、リールインデックスを検出してからステッピングモータ49L,49C,49Rに対してパルスを出力した回数をカウントすることによって、リール3L,3C,3Rの回転角度(主に、リール3L,3C,3Rが図柄何個分だけ回転したか)を管理し、リール3L,3C,3Rの表面に配された各図柄の位置を管理するようにしている。
【0057】
表示部駆動回路48は、7セグ表示器13の動作を制御する。また、ホッパー駆動回路41は、ホッパー40の動作を制御する。また、払出完了信号回路51は、ホッパー40に設けられたメダル検出部40Sが行うメダルの検出を管理し、ホッパー40から外部に排出されたメダルが払出枚数に達したか否かをチェックする。
【0058】
<副制御回路>
図7は、本実施の形態におけるパチスロ1の副制御回路72の構成を示す。
【0059】
副制御回路72は、主制御回路71と電気的に接続されており、主制御回路71から送信されるコマンドに基づいて演出内容の決定や実行等の処理を行う。副制御回路72は、基本的に、CPU(以下、サブCPU)81、ROM(以下、サブROM)82、RAM(以下、サブRAM)83、レンダリングプロセッサ84、描画用RAM85、ドライバ87、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)88、オーディオRAM89、A/D変換器90、及びアンプ91を含んで構成されている。
【0060】
サブCPU81は、主制御回路71から送信されたコマンドに応じて、サブROM82に記憶されている制御プログラム(後述の図9〜図11参照)に従い、映像、音、光の出力の制御を行う。サブRAM83には、決定された演出内容や演出データを登録する格納領域や、主制御回路71から送信される内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられている。サブROM82は、基本的に、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域によって構成される。
【0061】
プログラム記憶領域には、サブCPU81が実行する制御プログラムが記憶されている。例えば、制御プログラムには、主制御回路71との通信を制御するための主基板通信タスク(後述の図9参照)や、演出用乱数値を抽出し、演出内容(演出データ)の決定及び登録を行うための演出登録タスク(後述の図10参照)、決定した演出内容に基づいて液晶表示装置5による映像の表示を制御する描画制御タスク、ランプ14による光の出力を制御するランプ制御タスク、スピーカ9L,9Rによる音の出力を制御する音声制御タスク等が含まれる。
【0062】
データ記憶領域は、各種データテーブルを記憶する記憶領域、各演出内容を構成する演出データを記憶する記憶領域、映像の作成に関するアニメーションデータを記憶する記憶領域、BGMや効果音に関するサウンドデータを記憶する記憶領域、光の点消灯のパターンに関するランプデータを記憶する記憶領域等が含まれている。
【0063】
また、副制御回路72には、その動作が制御される周辺装置として、液晶表示装置5、スピーカ9L,9R、及びランプ14が接続されている。
【0064】
サブCPU81、レンダリングプロセッサ84、描画用RAM85(フレームバッファ86を含む)、及びドライバ87は、演出内容により指定されたアニメーションデータに従って映像を作成し、作成した映像を液晶表示装置5により表示する。
【0065】
また、サブCPU81、DSP88、オーディオRAM89、A/D変換器90、及びアンプ91は、演出内容により指定されたサウンドデータに従ってBGM等の音をスピーカ9L,9Rにより出力する。また、サブCPU81は、演出内容により指定されたランプデータに従ってランプ14の点灯及び消灯を行う。
【0066】
[パチスロにおいて実行されるプログラムフロー]
パチスロ1が備える回路の構成についての説明は以上である。次に、図8を参照して、主制御回路71のメインCPU31により実行されるプログラムの内容について説明する。
【0067】
[主制御回路のメインCPUの制御によるメインフローチャート]
図8を参照して、メインCPU31の制御によるメインフローチャートについて説明する。パチスロ1に電源が投入されると、はじめに、メインCPU31は、初期化処理を行う(S1)。次に、メインCPU31は、メインRAM33における指定格納領域のクリアを行う(S2)。この処理では、例えば、決定された内部当籤役を格納する内部当籤役格納領域や、入賞判定ラインに沿って表示された図柄の組合せを識別するデータとしての表示役を格納する表示役格納領域等、1回の遊技ごとに消去が必要となる格納領域に格納されたデータがクリアされる。
【0068】
次に、メインCPU31は、メダル受付・スタートチェック処理を行う(S3)。この処理では、メダルセンサ42Sやスタートスイッチ6Sの入力のチェック等が行われる。
【0069】
次に、メインCPU31は、乱数値を抽出し、メインRAM33に設けられた乱数値格納領域に格納する(S4)。次に、メインCPU31は、内部抽籤処理を行う(S5)。この処理では、乱数値に基づいた抽籤により内部当籤役の決定が行われる。次に、メインCPU31は、スタートコマンドを副制御回路72に対して送信する(S6)。スタートコマンドは、内部当籤役等を特定するパラメータを含んで構成される。
【0070】
次に、メインCPU31は、全リール3L,3C,3Rの回転開始を要求する(S7)。尚、全リール3L,3C,3Rの回転開始が要求されると、一定の周期(1.1173msec)で実行される割込処理によってステッピングモータ49L,49C,49Rの駆動が制御され、各リール3L,3C,3Rの回転が開始される。
【0071】
次に、メインCPU31は、リール停止制御処理を行う(S8)。この処理では、ストップスイッチ7Sの入力のチェックが行われ、ストップボタンが押されたタイミングと内部当籤役とに基づいて該当リールの回転が停止される。また、この処理では、ストップボタンが押されたタイミングで、リール停止コマンドを副制御回路72に対して送信する。リール停止コマンドは、停止したリールの種別等を特定するパラメータを含んで構成される。
【0072】
次に、メインCPU31は、入賞判定ラインに沿って表示された図柄の組合せを検索し、その結果に基づいて払出枚数等を決定する(S9)。検索の結果、入賞判定ラインに沿って表示された図柄の組合せが図柄組合せテーブルにより規定されている図柄の組合せと一致する場合、対応する表示役及び払出枚数が決定される。図柄組合せテーブルは、特典の種類に応じて予め定められた図柄の組合せと、表示役と、払出枚数と、を規定している。次に、メインCPU31は、表示コマンドを副制御回路72に対して送信する(S10)。表示コマンドは、表示役や払出枚数等を特定するパラメータを含んで構成される。
【0073】
次に、メインCPU31は、メダル払出処理を行う(S11)。この処理では、決定された払出枚数に基づいて、ホッパー40の駆動やクレジット枚数の更新が行われる。この処理が終了すると、S2に移る。
【0074】
[副制御回路のサブCPUによって実行されるプログラムフロー]
主制御回路71のメインCPU31により実行されるプログラムの内容についての説明は以上である。次に、図9〜図11を参照して、副制御回路72のサブCPU81により実行されるプログラムの内容について説明する。
【0075】
[主基板通信タスク]
図9を参照して、サブCPU81により行われる主基板通信タスクについて説明する。はじめに、サブCPU81は、主制御回路71から送信されたコマンドの受信チェックを行う(S301)。次に、サブCPU81は、コマンドを受信した場合、そのコマンドの種別を抽出する(S302)。
【0076】
次に、サブCPU81は、前回とは異なるコマンドを受信したか否かを判別する(S303)。サブCPU81は、前回とは異なるコマンドを受信しなかったと判別したときには、S301に移る一方で、前回とは異なるコマンドを受信したと判別したときには、メッセージキューに格納し(S304)、S301に移る。
【0077】
[演出登録タスク]
次に、図10を参照して、サブCPU81により行われる演出登録タスクについて説明する。はじめに、サブCPU81は、メッセージキューからメッセージを取り出す(S311)。次に、サブCPU81は、メッセージは有るか否かを判別する(S312)。サブCPU81は、メッセージは有ると判別したときには、メッセージから遊技情報を複写する(S313)。例えば、パラメータによって特定される、内部当籤役、回転が停止したリールの種別、表示役、作動中フラグ等といった各種データがサブRAM83に設けられた格納領域に複写される。
【0078】
次に、サブCPU81は、後で図11を参照して説明する演出内容決定処理を行う(S314)。この処理では、受信したコマンドの種別に応じて、演出内容の決定や演出データの登録等が行われる。
【0079】
サブCPU81は、S314の後、又は、S312においてメッセージは無かったと判別したときには、アニメーションデータの登録を行う(S315)。次に、サブCPU81は、サウンドデータの登録を行う(S316)。次に、サブCPU81は、ランプデータの登録を行う(S317)。アニメーションデータの登録、サウンドデータの登録、及びランプデータの登録は、演出内容決定処理(後述の図11参照)において登録された演出データに基づいて行われる。この処理が終了すると、S311に移る。
【0080】
[演出内容決定処理]
次に、図11を参照して、サブCPU81により実行される演出内容決定処理のフローチャートについて説明する。はじめに、サブCPU81は、スタートコマンド受信時であるか否かを判別する(S321)。サブCPU81は、スタートコマンド受信時であると判別したときには、演出用乱数値を抽出し、内部当籤役等に基づいて演出番号を抽籤により決定し、登録する(S322)。演出番号は、今回において実行する演出内容を指定するデータである。
【0081】
次に、サブCPU81は、登録されている演出番号に基づいて、スタート時の演出データを登録する(S323)。演出データは、アニメーションデータ、サウンドデータ、及びランプデータを指定するデータである。演出データが登録されると、対応するアニメーションデータ等が決定され、映像の表示等の演出が実行される。この処理が終了すると、演出内容決定処理を終了する。
【0082】
次に、サブCPU81は、スタートコマンド受信時ではないと判別したときには、リール停止コマンド受信時であるか否かを判別する(S324)。サブCPU81は、リール停止コマンド受信時であると判別したときには、登録されている演出番号と作動ストップボタンの種別とに基づいて、停止時の演出データを登録する(S325)。尚、作動ストップボタンとは、回転中のリールに対応するストップボタンのうち押されたもののことである。この処理が終了すると、演出内容決定処理を終了する。
【0083】
次に、サブCPU81は、リール停止コマンド受信時ではないと判別したときには、表示コマンド受信時であるか否かを判別する(S326)。サブCPU81は、表示コマンド受信時ではないと判別したときには、演出内容決定処理を終了する一方で、表示コマンド受信時であると判別したときには、登録されている演出番号に基づいて、表示時の演出データを登録する(S327)。この処理が終了すると、演出内容決定処理を終了する。
【0084】
以上、パチスロ1によれば、液晶表示装置5により、16方向に視差を生じさせて三次元の映像を表示する。このため、遊技者に対して、左右の眼に視差を持つ二次元情報を分離して視認させることができ、三次元の映像を知覚させることができる。したがって、液晶表示装置5により、躍動感溢れる画像を表示させることができる。
【0085】
以上、実施の形態について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
【0086】
上述の実施の形態では、視差を生じさせるための視差バリアとして、レンチキュラーシート57を設けたが、これに限らず、例えば複数の遮蔽物を所定間隔おきに配置したスリットを設けてもよい。
【0087】
また、上述の実施の形態では、三次元の映像を表示する方式として、いわゆるインテグラルイメージング方式を採用したが、これに限らず、例えば2眼式や他眼式を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】パチスロの機能フローを示す図である。
【図2】パチスロの外部構造を示す図である。
【図3】パチスロの内部構造を示す図である。
【図4】液晶表示装置の構造を示す図である。
【図5】液晶表示装置により三次元の映像を表示する方法を説明するための図である。
【図6】主制御回路の構成を示す図である。
【図7】副制御回路の構成を示す図である。
【図8】メインCPUの制御によるメインフローチャートである。
【図9】サブCPUにより行われる主基板通信タスクを示すフローチャートである。
【図10】サブCPUにより行われる演出登録タスクを示すフローチャートである。
【図11】サブCPUにより実行される演出内容決定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 パチスロ
3L,3C,3R リール
5 液晶表示装置
6 スタートレバー
7L,7C,7R ストップボタン
55 液晶パネル
56 バックライト
57 レンチキュラ-シート
71 主制御回路
72 副制御回路
551 画素
571 シリンドリカルレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の図柄を表示する表示部を複数有する図柄表示手段と、
前記複数の表示部における図柄の変動表示を制御する図柄制御手段と、
画像を表示する画像表示手段と、を備え、
前記画像表示手段は、少なくとも1方向に視差を生じさせて三次元画像を表示することを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−285034(P2009−285034A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139307(P2008−139307)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】