説明

遊技機

【課題】遊技機において正規のマイクロコンピュータとは異なるマイクロコンピュータのもとで遊技が行われることを防止することができる記録媒体処理装置を提供する。
【解決手段】パチンコ遊技機1において、主基板31と払出制御基板37との間に、認証用通信を行うための通信線が設けられている。また、払出制御基板37とカードユニット50との間に、認証用通信を行うための通信線が設けられている。カードユニット50に搭載されているカードユニット制御用マイクロコンピュータが、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータの認証処理を行う。また、払出制御基板37を中継してデータの送受信を行うことによって、主基板31に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータの認証処理を行う。認証結果は、上位機器100に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、価値記録媒体に記憶されている金銭的価値等の価値を、パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機で使用される遊技使用価値としての遊技媒体、クレジット、得点等に変換するための処理を行う記録媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一例として、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技媒体が入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出されるものがある。さらに、表示状態が変化可能な可変表示部が設けられ、可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値を遊技者に与えるように構成されたものがある。
【0003】
遊技価値とは、遊技機の遊技領域に設けられた可変入賞球装置の状態が打球が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態になることや、遊技者にとって有利な状態となるための権利を発生させたりすることや、景品遊技媒体払出の条件が成立しやすくなる状態になることや遊技者に得点を与えたりすることである。
【0004】
特別図柄を表示する可変表示部を備えた第1種パチンコ遊技機では、特別図柄を表示する可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様の組合せとなることを、通常、「大当り」という。大当りが発生すると、例えば、大入賞口が所定回数開放して打球が入賞しやすい大当り遊技状態(特定遊技状態)に移行する。そして、各開放期間において、所定個(例えば10個)の大入賞口への入賞があると大入賞口は閉成する。そして、大入賞口の開放回数は、所定回数(例えば16ラウンド)に固定されている。なお、各開放について開放時間(例えば29.5秒)が決められ、入賞数が所定個に達しなくても開放時間が経過すると大入賞口は閉成する。また、大入賞口が閉成した時点で所定の条件(例えば、大入賞口内に設けられているVゾーンへの入賞)が成立していない場合には、大当り遊技状態は終了する。
【0005】
一般に、遊技機における遊技進行はマイクロコンピュータを含む遊技制御手段によって制御される。そして、所定の条件(例えば可変表示開始の条件となる始動入賞)が成立すると乱数を発生させ、乱数値があらかじめ決められている所定値と一致すると「大当り」となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特定遊技状態等の遊技価値が付与されている場合には、遊技者が景品を得やすくなっている。そのために、不正に遊技価値を得ようとする行為が生ずることも考えられる。そのような行為として、例えば、マイクロコンピュータが実行する遊技制御プログラムを、「大当り」が発生しやすいように改変する行為がある。
【0007】
改変された不正プログラムによって遊技制御が実行されないように、マイクロコンピュータには、プログラムが正当なものであるか否かを判定するセキュリティチェック機能が組み込まれている。そして、マイクロコンピュータは、セキュリティチェック機能によってプログラムが正当なものでないと判断された場合には、遊技制御プログラムを実行しないように構成されている。
【0008】
しかし、プログラムを内蔵した正規のマイクロコンピュータを取り外して、大当りを生じさせやすい不正プログラムを内蔵したマイクロコンピュータを搭載してしまうといった不正行為が考えられる。そのような不正プログラムを内蔵したマイクロコンピュータでは、セキュリティチェック機能が存在しないか、または、存在しても不正プログラムを正当なプログラムと判定するように改変されている。従って、セキュリティチェック機能だけでは、不正プログラムによる遊技を防止することができないおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、遊技機において正規のマイクロコンピュータとは異なるマイクロコンピュータのもとで遊技が行われることを防止することができる記録媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による記録媒体処理装置は、記録媒体を受け入れて、記録媒体に記録されている価値を遊技機での遊技に使用できる遊技使用価値に変換するための処理を行う記録媒体処理装置であって、記録媒体処理装置の制御を行う記録媒体処理制御手段が、遊技機の制御用マイクロコンピュータと通信を行うための情報通信手段と、情報通信手段による通信を用いて制御用マイクロコンピュータが正規のものであるか否かを認証するための認証制御を実行する認証制御手段とを含み、認証制御手段が、制御用マイクロコンピュータに対して照合用情報を出力させるための照合用情報要求信号を出力するとともに、制御用マイクロコンピュータから返送された照合用情報を用いて制御用マイクロコンピュータが正規のものであるか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
認証制御手段が、受け入れた記録媒体が所定の認証指定記録媒体であった場合に認証制御を実行するように構成されていてもよい。
【0012】
認証制御手段が、電力供給が開始されたことにもとづいて認証制御を実行するように構成されていてもよい。
【0013】
認証制御手段が、上位機器の要求に応じて認証制御を実行するように構成されていてもよい。
【0014】
認証制御によって、遊技機に備えられた複数の制御用マイクロコンピュータが正規のものであるか否かを認証することが可能であるように構成されていてもよい。
【0015】
認証制御手段が、認証制御によって制御用マイクロコンピュータが正規のものでないと判定した場合に、その旨を示す情報を上位機器に対して送信するように構成されていてもよい。
【0016】
記録媒体処理装置は、認証制御手段が制御用マイクロコンピュータが正規のものでないと判定した場合に、記録媒体に記録されている価値を遊技機での遊技に使用できる遊技使用価値に変換するための制御を行わないように構成されていてもよい。
【0017】
認証制御手段が、照合用情報要求信号として所定の符号を情報通信手段を用いて送信し、制御用マイクロコンピュータによって符号に対して所定の演算が施された結果としての照合用情報を情報通信手段を用いて受信し、受信した照合用情報が正規の演算による情報であるか否かを判定するように構成されていてもよい。
【0018】
認証制御手段が認証制御の対象とする制御用マイクロコンピュータには、少なくとも、遊技機における遊技媒体払出制御を実行する払出制御用マイクロコンピュータが含まれていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、記録媒体処理装置を、記録媒体処理制御手段が、遊技機の制御用マイクロコンピュータと通信を行うための情報通信手段と、情報通信手段による通信を用いて制御用マイクロコンピュータが正規のものであるか否かを認証するための認証制御を実行する認証制御手段とを含み、認証制御手段が、制御用マイクロコンピュータに対して照合用情報を出力させるための照合用情報要求信号を出力するとともに、制御用マイクロコンピュータから返送された照合用情報を用いて制御用マイクロコンピュータが正規のものであるか否かを判定するように構成したので、正規のマイクロコンピュータとは異なる不正マイクロコンピュータに差し替えられてしまったことを遊技機外で容易に検査できる効果がある。
【0020】
認証制御手段が、受け入れた記録媒体が所定の認証指定記録媒体であった場合に認証制御を実行するように構成されている場合には、任意の時期に簡単に、不正マイクロコンピュータに差し替えられてしまったか否かの検査を行うことができる。
【0021】
認証制御手段が、電力供給が開始されたことにもとづいて認証制御を実行するように構成されている場合には、定期的に不正マイクロコンピュータに差し替えられてしまったか否かの自動的に検査するようにすることを容易に実現することができる。
【0022】
認証制御手段が、上位機器の要求に応じて認証制御を実行するように構成されている場合には、複数の遊技機についても、任意の時期に簡単に、不正マイクロコンピュータに差し替えられてしまったか否かの検査を行うことができる。
【0023】
認証制御によって、遊技機に備えられた複数の制御用マイクロコンピュータが正規のものであるか否かを認証することが可能であるように構成されている場合には、遊技機において重要な制御用マイクロコンピュータが複数あっても、それらが不正マイクロコンピュータに差し替えられてしまったか否かの検査を行うことができる。
【0024】
認証制御手段が、認証制御によって制御用マイクロコンピュータが正規のものでないと判定した場合に、その旨を示す情報を上位機器に対して送信するように構成されている場合には、不正マイクロコンピュータに差し替えられてしまったか否かを集中管理することが可能となる。
【0025】
認証制御手段が制御用マイクロコンピュータが正規のものでないと判定した場合には、記録媒体に記録されている価値を遊技機での遊技に使用できる遊技使用価値に変換するための制御を行わないように構成されている場合には、不正行為によって遊技が続行されてしまうことを防止することができる。
【0026】
認証制御手段が、照合用情報要求信号として所定の符号を情報通信手段を用いて送信し、制御用マイクロコンピュータによって符号に対して所定の演算が施された結果としての照合用情報を情報通信手段を用いて受信し、受信した照合用情報が正規の演算による情報であるか否かを判定するように構成されている場合には、簡単な構成によって、高精度の認証を実現することができる。
【0027】
認証制御手段が認証制御の対象とする制御用マイクロコンピュータには、少なくとも、遊技機における遊技媒体払出制御を実行する払出制御用マイクロコンピュータが含まれている場合には、遊技者の価値を付与する制御を行う重要な部分について認証制御を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】パチンコ遊技機を正面からみた正面図である。
【図2】パチンコ遊技機の裏面に設けられている各基板を示す説明図である。
【図3】遊技制御基板(主基板)の回路構成を示すブロック図である。
【図4】払出制御基板の回路構成を示すブロック図である。
【図5】認証用通信に関する通信線の接続状況を示すブロック図である。
【図6】認証のためのデータの一構成例を示す説明図である。
【図7】カードユニット制御用マイクロコンピュータの動作例を示すフローチャートである。
【図8】カードユニット制御用マイクロコンピュータが実行する認証処理を示すフローチャートである。
【図9】カードユニット制御用マイクロコンピュータが実行する認証処理を示すフローチャートである。
【図10】払出制御用マイクロコンピュータが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【図11】払出制御用マイクロコンピュータが実行する認証処理を示すフローチャートである。
【図12】払出制御用マイクロコンピュータが実行する演算結果送受信処理を示すフローチャートである。
【図13】遊技制御用マイクロコンピュータが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【図14】遊技制御用マイクロコンピュータが実行するタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図15】遊技制御用マイクロコンピュータが実行する認証処理を示すフローチャートである。
【図16】カードユニット制御用マイクロコンピュータ、払出制御用マイクロコンピュータおよび遊技制御用マイクロコンピュータが実行する認証処理を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図である。なお、以下の実施の形態では、パチンコ遊技機を例に説明を行うが、本発明による遊技機はパチンコ遊技機に限られず、例えばスロットマシン等であってもよい。
【0030】
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤を除く。)とを含む構造体である。
【0031】
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
【0032】
遊技領域7の中央付近には、それぞれが識別情報としての図柄を可変表示する複数の可変表示部を含む可変表示装置(特別図柄表示装置)9が設けられている。可変表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。可変表示装置9の下方には、始動入賞口14が設けられている。始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチによって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイドによって開状態とされる。
【0033】
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイドによって開状態とされる開閉板20が設けられている。開閉板20は大入賞口を開閉する手段である。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域)に入った入賞球はV入賞スイッチで検出され、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチで検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイドも設けられている。また、可変表示装置9の下部には、始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち始動記憶数を表示する4個の表示部を有する始動記憶表示器18が設けられている。この例では、4個を上限として、有効始動入賞がある毎に、始動記憶表示器18は点灯している表示部を1つずつ増やす。そして、可変表示装置9の可変表示が開始される毎に、点灯している表示部を1つ減らす。
【0034】
ゲート32に遊技球が入賞すると、7セグメントLEDによる普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32に入った入賞球数を表示する4個の表示部を有する普通図柄始動記憶表示器41が設けられている。この例では、4個を上限として、ゲート32への入賞がある毎に、普通図柄始動記憶表示器41は点灯している表示部を1つずつ増やす。そして、可変入賞球装置15の開放制御がなされる毎に、点灯している表示部を1つ減らす。
【0035】
遊技盤6には、複数の入賞口24,29,30,33が設けられ、遊技球の入賞口24,29,30,33への入賞は、それぞれ入賞口スイッチによって検出される。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。
【0036】
そして、この例では、左枠ランプ28bの近傍に、賞球残数があるときに点灯する賞球ランプ51が設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプ52が設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技機1に隣接して設置され、価値記録媒体としてのプリペイドカード(ICカード)が挿入されることによって球貸しを可能にするカードユニット50も示されている。
【0037】
カードユニット50には、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ151、カード内に記録された残額情報に端数(100円未満の数)が存在する場合にその端数を打球供給皿3の近傍に設けられる度数表示LEDに表示させるための端数表示スイッチ152、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器153、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ154、記録媒体としてのICカードが挿入されるカード挿入口155、カード挿入口155の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を解放するためのカードユニット錠156、および追加の紙幣を受け入れるための紙幣挿入口157が設けられている。
【0038】
打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、可変表示装置9において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、始動記憶数を1増やす。
【0039】
可変表示装置9における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄の組み合わせであると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球がV入賞領域に入賞しV入賞スイッチで検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
【0040】
停止時の可変表示装置9における特別図柄の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、高確率状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。
【0041】
打球がゲート32に入賞すると、普通図柄表示器10において普通図柄としての表示数字が連続的に変化する状態になる。また、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、高確率状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。
【0042】
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を裏面から見た背面図である。
【0043】
図2に示すように、遊技機裏面側では、可変表示装置9を制御する図柄制御基板80を含む可変表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31が設置されている。また、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37が設置されている。さらに、遊技盤6に設けられている各種装飾LED、特別図柄始動記憶表示器18および普通図柄始動記憶表示器41、装飾ランプ25、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52を点灯制御するランプ制御手段が搭載されたランプ制御基板35、スピーカ27からの音発生を制御する音制御手段が搭載された音制御基板70も設けられている。また、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5Vを作成する電源回路が搭載された電源基板910や発射制御基板91が設けられている。
【0044】
遊技機裏面において、上方には、各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板160が設置されている。ターミナル基板160には、少なくとも、球切れ検出スイッチの出力を導入して外部出力するための球切れ用端子、賞球個数信号を外部出力するための賞球用端子および球貸し個数信号を外部出力するための球貸し用端子が設けられている。また、中央付近には、主基板31からの各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えた情報端子盤34が設置されている。
【0045】
さらに、各基板(主基板31や払出制御基板37等)に含まれる記憶内容保持手段(例えば、電力供給停止時にもその内容を保持可能なバックアップRAM)に記憶されたバックアップデータをクリアするための操作手段としてのクリアスイッチ921が搭載されたスイッチ基板190が設けられている。スイッチ基板190には、クリアスイッチ921と、主基板31等の他の基板と接続されるコネクタ922が設けられている。
【0046】
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て賞球ケース40Aで覆われた球払出装置に至る。球払出装置の上部には、球切れスイッチが設けられている。球切れスイッチが球切れを検出すると、球払出装置の払出動作が停止する。球切れスイッチは遊技球通路内の遊技球の有無を検出するスイッチであるが、貯留タンク38内の補給球の不足を検出する球切れ検出スイッチ167も誘導レール39における上流部分(貯留タンク38に近接する部分)に設けられている。球切れ検出スイッチ167が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構から遊技機に対して遊技球の補給が行われる。
【0047】
球払出装置から払い出された遊技球は、連絡口を通ってパチンコ遊技機1の前面に設けられている打球供給皿3に誘導される。連絡口の側方には、パチンコ遊技機1の前面に設けられている余剰球受皿4に連通する余剰球通路が形成されている。入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払い出されて打球供給皿3が満杯になり、ついには遊技球が連絡口に到達した後さらに遊技球が払い出されると、遊技球は、余剰球通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払い出されると、満タンスイッチ48がオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに発射装置の駆動も停止する。
【0048】
図3は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37、ランプ制御基板35、音制御基板70、発射制御基板91および図柄制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ24a,29a,30a,33a、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187、賞球カウントスイッチ301Aおよびクリアスイッチ921からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、開閉板20を開閉するソレノイド21および大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aを基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59とが搭載されている。なお、図3には示されていないが、カウントスイッチ短絡信号もスイッチ回路58を介して基本回路53に伝達される。
【0049】
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示装置9における図柄の可変表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部機器に対して出力する情報出力回路64が搭載されている。
【0050】
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークデータ領域(作業領域)およびスタック領域(退避領域)として使用される記憶手段(変動データ記憶手段)としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている。すなわち、CPU56は、1チップマイクロコンピュータである。なお、1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54およびI/Oポート部57は外付けであっても内蔵されていてもよい。
【0051】
また、RAM(CPU内蔵RAMであってもよい。)55の一部または全部が、電源基板910から供給されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。
【0052】
さらに、この実施の形態では、主基板31と払出制御基板37との間に、認証用通信を行うための通信線が設けられている。主基板31において、払出制御基板37からの通信線はI/Oポート部57における入力ポートに接続され、払出制御基板37への通信線はI/Oポート部57における出力ポートに接続される。また、払出制御基板37において、主基板31からの通信線および主基板31への通信線はI/Oポートに接続される。
【0053】
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
【0054】
図4は、払出制御基板37および球払出装置97の構成要素などの払出に関連する構成要素を示すブロック図である。図4に示すように、満タンスイッチ48からの検出信号は、中継基板71を介して主基板31のI/Oポート部57に入力される。また、球切れスイッチ187からの検出信号も、中継基板72および中継基板71を介して主基板31のI/Oポート部57に入力される。
【0055】
主基板31のCPU56は、球切れスイッチ187からの検出信号が球切れ状態を示しているか、または、満タンスイッチ48からの検出信号が満タン状態を示していると、払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンドを送出する。払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンドを受信すると、払出制御基板37の払出制御用CPU371は球払出処理を停止する。
【0056】
さらに、賞球カウントスイッチ301Aからの検出信号は、中継基板72および中継基板71を介して主基板31のI/Oポート部57に入力されるとともに、中継基板72を介して払出制御基板37の入力ポート372bに入力される。賞球カウントスイッチ301Aは、球払出装置97の払出機構部分に設けられ、実際に払い出された賞球払出球を検出する。
【0057】
入賞があると、払出制御基板37には、主基板31の出力ポート(ポート0,1)570,571から賞球個数を示す払出制御コマンドが入力される。出力ポート(出力ポート1)571は8ビットのデータを出力し、出力ポート570は1ビットのINT信号を出力する。賞球個数を示す払出制御コマンドは、入力バッファ回路373Aを介してI/Oポート372aに入力される。INT信号は、入力バッファ回路373Bを介して払出制御用CPU371の割込端子に入力されている。払出制御用CPU371は、I/Oポート372aを介して払出制御コマンドを入力し、払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動して賞球払出を行う。なお、この実施の形態では、払出制御用CPU371は、1チップマイクロコンピュータであり、少なくともRAMが内蔵されている。
【0058】
また、主基板31において、出力ポート570,571の外側にバッファ回路620,68Aが設けられている。バッファ回路620,68Aの出力側にノイズフィルタを設けてもよい。
【0059】
払出制御用CPU371は、出力ポート372cを介して、貸し球数を示す球貸し個数信号をターミナル基板160に出力する。さらに、出力ポート372dを介して、エラー表示用LED374にエラー信号を出力する。
【0060】
さらに、払出制御基板37の入力ポート372bには、中継基板72を介して、球貸しカウントスイッチ301B、および払出モータ289の回転位置を検出するための払出モータ位置センサからの検出信号が入力される。球貸しカウントスイッチ301Bは、球払出装置97の払出機構部分に設けられ、実際に払い出された貸し球を検出する。払出制御基板37からの払出モータ289への駆動信号はあ、出力ポート372cおよび中継基板72を介して球払出装置97の払出機構部分における払出モータ289に伝えられ、振分ソレノイド310への駆動信号は、出力ポート372eおよび中継基板72を介して球払出装置97の払出機構部分における振分ソレノイド310に伝えられる。また、クリアスイッチ921の出力も、入力ポート372bに入力される。
【0061】
カードユニット50には、カードユニット制御用マイクロコンピュータが搭載されている。また、カードユニット50には、端数表示スイッチ152、連結台方向表示器153、カード投入表示ランプ154およびカード挿入口155が設けられている(図1参照)。残高表示基板74には、打球供給皿3の近傍に設けられている度数表示LED、球貸しスイッチおよび返却スイッチが接続される。
【0062】
残高表示基板74からカードユニット50には、遊技者の操作に応じて、球貸しスイッチ信号および返却スイッチ信号が払出制御基板37を介して与えられる。また、カードユニット50から残高表示基板74には、プリペイドカードの残高を示すカード残高表示信号および球貸し可表示信号が払出制御基板37を介して与えられる。カードユニット50と払出制御基板37の間では、接続信号(VL信号)、ユニット操作信号(BRDY信号)、球貸し要求信号(BRQ信号)、球貸し完了信号(EXS信号)およびパチンコ機動作信号(PRDY信号)が入力ポート372bおよび出力ポート372eを介してやりとりされる。
【0063】
パチンコ遊技機1の電源が投入されると、払出制御基板37の払出制御用CPU371は、カードユニット50にPRDY信号を出力する。また、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、VL信号を出力する。払出制御用CPU371は、VL信号の入力状態により接続状態/未接続状態を判定する。カードユニット50においてカードが受け付けられ、球貸しスイッチが操作され球貸しスイッチ信号が入力されると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、払出制御基板37にBRDY信号を出力する。この時点から所定の遅延時間が経過すると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、払出制御基板37にBRQ信号を出力する。
【0064】
そして、払出制御基板37の払出制御用CPU371は、カードユニット50に対するEXS信号を立ち上げ、カードユニット50からのBRQ信号の立ち下がりを検出すると、払出モータ289を駆動し、所定個の貸し球を遊技者に払い出す。このとき、振分ソレノイド310は駆動状態とされている。すなわち、球振分部材311を球貸し側に向ける。そして、払出が完了したら、払出制御用CPU371は、カードユニット50に対するEXS信号を立ち下げる。その後、カードユニット50からのBRDY信号がオン状態でなければ、賞球払出制御を実行する。
【0065】
さらに、この実施の形態では、払出制御基板37とカードユニット50との間に、認証用通信を行うための通信線が設けられている。払出制御基板37において、カードユニット50からの通信線およびカードユニット50への通信線はI/Oポート372fに接続される。また、カードユニット50で用いられる電源電圧AC24Vは払出制御基板37から供給される。
【0066】
図5は、認証用通信に関する通信線の接続状況を示すブロック図である。上述したように、パチンコ遊技機1において、主基板31と払出制御基板37との間に、認証用通信を行うための通信線が設けられている。また、払出制御基板37とカードユニット50との間に、認証用通信を行うための通信線が設けられている。なお、図5に示された球貸し用通信の通信線は、図4に示されたVL信号、BRDY信号、BRQ信号、EXS信号およびPRDY信号を伝達する配線に相当する。
【0067】
この実施の形態では、カードユニット50に搭載されているカードユニット制御用マイクロコンピュータが、払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPU371の認証処理(正当な払出制御用CPU(払出制御用マイクロコンピュータ)であるか否かを判別する処理)を行う。また、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、払出制御基板37を中継してデータの送受信を行うことによって、主基板31に搭載されているCPU56の認証処理(正当なCPU(遊技制御用マイクロコンピュータ)であるか否かを判別する処理)を行う。そして、認証結果は、上位機器100に送信される。なお、カードユニット50と上位機機100との間の通信線は、有線であってもよいし無線であってもよい。
【0068】
上位機器100は、例えば、遊技店に設置されている管理コンピュータやカード使用数情報中継装置である。さらに、カード使用数情報中継装置は、カード管理会社に設置されているカード管理装置に、公衆回線等を介して遊技店に設置されている各パチンコ遊技機1に対する認証結果を送信するようにしてもよい。
【0069】
なお、カードユニット50が認証を行った払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPU371が、主基板31に搭載されているCPU56の認証処理を行って、その認証結果をカードユニット50に送信するようにしてもよい。また、図5に破線で示すように、主基板31とカードユニット50との間に認証用の通信線を設け、カードユニット制御用マイクロコンピュータが、主基板31に搭載されているCPU56に対する認証処理を直接行うようにしてもよい。
【0070】
認証処理開始の契機は、例えば、カードユニット50に電力を供給する電源が立ち上がってから所定時間(遊技機への電力供給開始後、遊技制御用マイクロコンピュータおよび払出制御用マイクロコンピュータが動作可能になる時間)が経過したとき、カードユニット50が認証用のICカードの挿入を検出したとき、カードユニット50が管理コンピュータ等の外部機器100から認証要求信号を受けたときである。また、それらの契機のうちの1つまたは2つのみを用いてもよいし、さらに多くに契機を用意してもよい。
【0071】
カードユニット50に電力を供給する電源が立ち上がってから所定時間が経過したときを認証処理開始の契機とした場合には、電力供給が開始される度に認証処理が実行されることになり、定時的に、例えば、毎日、自動的に認証処理が実行される。認証用のICカードの挿入を認証処理開始の契機とした場合には、任意の時期に容易に認証処理を実行することができる。外部機器100から認証要求信号を認証処理開始の契機とした場合には、任意に時期に、複数台の遊技機について認証処理を実行することができる。複数台の遊技機のそれぞれに対して、一度に認証要求信号を送信すればよいからである。
【0072】
図6は、カードユニット50からパチンコ遊技機1の払出制御基板37に送信される認証のためのデータ(照合用情報要求信号)、払出制御基板37から主基板31に送信される認証のためのデータ、主基板31から払出制御基板37に返送される演算結果データ(照合用情報)、および払出制御基板37からカードユニット50に返送される演算結果データの一構成例を示す説明図である。
【0073】
図6(A)に示す例では、認証のためのデータおよび演算結果データを構成する各データは、スタートビット(ローレベル)およびストップビット(ハイレベル)に挟まれた8ビットのデータとして送受信される。また、図6(B)に示すように、カードユニット50から払出制御基板37に送信される認証のためのデータは、1バイトのヘッダデータと所定長のデータ(認証用データ)で構成される。認証用データは、8ビット毎に、図6(A)に示す形態で送信される。また、払出制御基板37から主基板31に送信される認証用データ、主基板31から払出制御基板37に返送される演算結果データ、および払出制御基板37からカードユニット50に返送される演算結果データも、8ビット毎に、図6(A)に示す形態で送信される。なお、ストップビットの長さは、データ1ビット分以上の長さである。2バイト以上のデータが続けて送信される場合には、各データの間に、1ビット分以上の長さのハイレベルの期間(ストップビットの期間)が置かれる。
【0074】
図7は、カードユニット50に搭載されているカードユニット制御用マイクロコンピュータの動作例を示すフローチャートである。カードユニット50への電力供給が開始されると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、所定時間のディレイ時間をおいた後(ステップS200)、認証処理を行う(ステップS201)。所定時間は、パチンコ遊技機1における遊技制御用マイクロコンピュータおよび払出制御用マイクロコンピュータが、セキュリティチェック処理を含む初期設定処理を完了し動作可能状態になるまでの時間よりも長い時間である。
【0075】
認証処理が終了すると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、通常の制御状態に移行する。すなわち、カードユニット制御用マイクロコンピュータが実行するプログラムは、認証処理プログラムの実行が完了すると、通常のカードユニット制御プログラムが実行されるように構成されている。通常の制御状態において、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、ICカードが挿入されたか否かを、カードユニット50に内蔵されているICカードリーダ/ライタを介して認識する(ステップS202)。ICカードが挿入されたことを認識すると、それが認証指定カードであるか否か確認する(ステップS203)。認証指定カードには、例えば、一般の球貸し用のICカードとは異なるデータが書き込まれている。カードユニット制御用マイクロコンピュータは、そのデータを読み取ることによって、認証指定カードが挿入されたと認識することができる。
【0076】
認証指定カードが挿入されたと認識した場合には、認証処理を実行する(ステップS204)。挿入されたICカードが認証指定カードでない場合には、遊技者による球貸し操作がなされると(ステップS205)、球貸し処理を実行する(ステップS206)。球貸し処理は、パチンコ遊技機1の払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPU371と必要な通信を行いつつ、払出制御用CPU371に球払出を要求する処理である。払出制御用CPU371は、要求に応じて、球払出装置97を駆動し、球貸しのための遊技球の払出を行う。
【0077】
球貸し操作がなされていない場合、または、カードが挿入されていない場合に、上位機器100から認証要求信号を受信すると(ステップS207)、認証処理を実行する(ステップS208)。
【0078】
図8,図9は、ステップS204,S206,S208の認証処理の一例を示すフローチャートである。認証処理において、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、パチンコ遊技機1の払出制御基板37に対して、01(H)のヘッダを、図6(A)に例示したような形態で送信する(ステップS220)。例えば、出力ポートを介して、所定時間(1ビットの送信に相当する時間)毎に、スタートビットおよび1バイトのデータを構成する各ビットを順次出力し、次いで、ストップビットを出力する。
【0079】
続いて、認証用データとしてあらかじめ決められている所定長のデータを払出制御基板37に対して送信し(ステップS221)、監視タイマをセットする(ステップS222)。監視タイマのタイムアウト時間は、払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPU371がカードユニット50からデータを受信し演算を行って演算結果を送信するのに十分な時間である。そして、監視タイマのタイムアウトを監視しつつ(ステップS224)、払出制御基板37からの演算結果の受信完了を待つ(ステップS223)。この例では、払出制御基板37からも、図6(A)に例示された形態でデータが送られてくる。カードユニット制御用マイクロコンピュータは、例えば入力ポートを介して払出制御基板37からのデータを受信する。入力ポートの入力レベルがハイレベルからローレベルに変化するとスタートビットが開始されたと認識し、その後、所定時間毎に入力ポートからデータを読み込む。所定時間は、払出制御基板37からの1ビットの送信に相当する時間であり、データを読み込むタイミングは、各ビットが送信されている期間の中央が好ましい。
【0080】
演算結果のデータを全て受信したら、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、演算結果の検証処理を行う(ステップS225)。なお、この時点で受信されている演算結果は、払出制御用マイクロコンピュータによる演算結果である。
【0081】
払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPU371は、01(H)のヘッダを受信したら、それに続いて受信した認証用データに対して所定の演算を行い、演算結果をカードユニット50に対して送信する。払出制御用CPU371が実行する所定の演算として、例えば、受信した認証用データを秘密鍵を用いて暗号化する演算がある。具体的な暗号化のための演算として排他的論理和演算が用いられる。払出制御用CPU371が認証用データを秘密鍵を用いて暗号化する演算を行って演算結果を返送してきた場合には、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、演算結果を、秘密鍵(払出制御用CPU371が用いたものと同一の秘密鍵)を用いて復号化し、復号結果が、最初の払出制御基板37に送信した認証用データと一致した場合に、払出制御基板37から返送された演算結果は正当であったと判断することができる。
【0082】
演算結果が正当であった場合には払出制御用マイクロコンピュータが正当であることを記憶し(ステップS226,S227)、演算結果が正当でなかった場合には払出制御用マイクロコンピュータが正当でないことを記憶する(ステップS228)。また、ステップS224で監視タイマがタイムアウトした場合にも払出制御用マイクロコンピュータが正当でないことを記憶する(ステップS228)。従って、不正な払出制御用マイクロコンピュータが搭載され、そのマイクロコンピュータが認証のための演算機能を有していない場合には演算結果を返送してこないが、その場合にも、カードユニット50の側で、払出制御用マイクロコンピュータが正当でないことを検知することができる。
【0083】
次いで、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、パチンコ遊技機1の払出制御基板37に対して、02(H)のヘッダを送信する(ステップS230)。また、所定長の認証用データを送信し(ステップS231)、監視タイマをセットする(ステップS232)。後述するように、払出制御基板37に対して02(H)のヘッダを送信した場合には、払出制御基板37を介して遊技制御用マイクロコンピュータの演算結果が送信される。よって、演算結果の受信が完了し(ステップS233)、演算結果の検証を行った結果(ステップS235)、演算結果が正当であった場合には遊技制御用マイクロコンピュータが正当であることを記憶し(ステップS236,S237)、演算結果が正当でなかった場合には遊技制御用マイクロコンピュータが正当でないことを記憶する(ステップS238)。なお、演算結果の検証の仕方は、ステップS225における検証の仕方と同じである。
【0084】
また、ステップS234で監視タイマがタイムアウトした場合にも遊技制御用マイクロコンピュータが正当でないことを記憶する(ステップS238)。不正な遊技制御用マイクロコンピュータが主基板31に搭載され、そのマイクロコンピュータが認証のための演算機能を有していない場合には演算結果を返送してこないが、その場合にも、カードユニット50の側で、遊技制御用マイクロコンピュータが正当でないことを検知することができる。
【0085】
そして、ステップS227またはS228、およびステップS237またはS238において記憶した内容を、上位機器に送信する(ステップS240)。さらに、払出制御用マイクロコンピュータまたは遊技制御用マイクロコンピュータが正当でなかった場合には、球貸し処理を禁止する。例えば、払出制御基板37に対するVL信号をオフにしたり、または、球貸し操作がなされてもBRDY信号を出力しない(オン状態にしない)ようにする。
【0086】
図10は、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータ(払出制御用CPU371)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、払出制御用CPU371は、割込禁止に設定し(ステップS701)、必要な初期設定を行う(ステップS702)。そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるように払出制御用CPU371に設けられているタイマレジスタの設定を行う(ステップS703)。また、割込許可状態にする(ステップS704)。
【0087】
2ms毎に発生するタイマ割込に応じて起動されるタイマ割込処理においてタイマ割込フラグがセットされる。メイン処理では、タイマ割込フラグがオンしたことが認識されると、タイマ割込フラグをリセットするとともに(ステップS705,S706)、球払出装置97を駆動するための払出制御処理を実行する。
【0088】
カードユニット50からの通信線においてスタートビットが現れたら(ステップS708)、認証処理を実行する(ステップS709)。また、主基板31からの通信においてスタートビットが現れたら(ステップS710)、演算結果送受信処理を実行する(ステップS711)。
【0089】
図11は、ステップS709の認証処理の一例を示すフローチャートである。認証処理において、払出制御用CPU371は、カードユニット50から1バイト目のデータを受信完了した場合には(ステップS731)、受信データを記憶する(ステップS732)。1バイト目のデータはヘッダである(図6参照)。ヘッダに続く所定長の認証用データを受信完了したら(ステップS733)、ステップS732において記憶されている受信データ(ヘッダ)を確認し、受信データが01(H)であれば(ステップS734)、受信されている認証用データにもとづく演算を実行し(ステップS735)、演算結果をカードユニット50に送信する(ステップS736)。
【0090】
ステップS735において払出制御用CPU371が実行する所定の演算として、例えば、受信した認証用データを秘密鍵を用いて暗号化する演算がある。具体的な暗号化のための演算として排他的論理和演算が用いられる。すなわち、受信した認証用データのビット列に対して秘密鍵を構成するデータのビット列との排他的論理和をとる。
【0091】
ステップS734において、受信データが01(H)でなければ、ヘッダに続く所定長のデータは遊技制御用マイクロコンピュータの認証のための認証用データであると判断し、カードユニット50から受信した所定長のデータを主基板31に送信する(ステップS737)。この例では、主基板31との間の通信も、図6(A)に示されたような形態で実行される。
【0092】
図12は、ステップS711の演算結果送受信処理の一例を示すフローチャートである。演算結果送受信処理において、払出制御用CPU371は、主基板31から送られてくる演算結果を受信完了したら(ステップS740)、受信した演算結果をカードユニット50に送信する(ステップS741)。
【0093】
図13は、主基板31に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータ(CPU56)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、CPU56は、割込禁止に設定し(ステップS1)、必要な初期設定を行う(ステップS2)。そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU56に設けられているタイマレジスタの設定を行う(ステップS3)。また、割込許可状態にする(ステップS4)。
【0094】
2ms毎に発生するタイマ割込に応じて起動されるタイマ割込処理では、CPU56は、図14に示すように、遊技進行を制御する遊技制御プログラムにもとづく遊技制御処理を実行する(ステップS11)。遊技制御処理の実行が完了したら、割込許可状態にする(ステップS12)。
【0095】
メイン処理では、表示制御用乱数更新処理(ステップS5)、および払出制御基板37からの受信があったか否かを検知する処理(ステップS6)が繰り返し実行されるループ処理が行われている。表示用乱数更新処理とは、可変表示装置9の表示状態を決定するための表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、ステップS6において払出制御基板37からの受信があったことを検知したら、具体的には、スタートビットを検出したら、認証処理を実行する(ステップS7)。
【0096】
図15は、遊技制御用マイクロコンピュータ(CPU56)が実行する認証処理(ステップS7)の一例を示すフローチャートである。認証処理において、CPU56は、払出制御基板37からの所定長のデータ(カードユニット50から送信され払出制御基板37を中継して送信された認証用データ)の受信が完了すると(ステップS21)、受信した所定長のデータにもとづく演算を実行し(ステップS22)、演算結果を払出制御基板37に送信する(ステップS23)。
【0097】
ステップS22においてCPU56が実行する所定の演算として、例えば、受信した認証用データを秘密鍵を用いて暗号化する演算がある。具体的な暗号化のための演算として排他的論理和演算が用いられる。すなわち、受信した認証用データのビット列に対して秘密鍵を構成するデータのビット列との排他的論理和をとる。
【0098】
図16は、以上に説明したカードユニット50におけるカードユニット制御用マイクロコンピュータ、払出制御用CPU371およびCPU56が実行する認証処理を示すタイミング図である。図16に示すように、カードユニット50から払出制御基板37に対してヘッダ01(H)および所定長のデータ(認証用データ)が送信される。払出制御基板37においてそれらのデータが受信されると、払出制御用CPU371は、演算を実行し、演算結果をカードユニット50に送信する。カードユニット50において演算結果にもとづく検証(払出制御用マイクロコンピュータの検証)が行われるとともに、カードユニット50から払出制御基板37に対してヘッダ02(H)および所定長のデータ(認証用データ)が送信される。払出制御基板37においてそれらのデータが受信されると、払出制御用CPU371は、所定長のデータを主基板31に送信する。主基板31においてそれらのデータが受信されると、CPU56は、演算を実行し、演算結果を払出制御基板37に送信する。払出制御基板37において主基板31からの演算結果が受信されると、払出制御用CPU371は、その演算結果をカードユニット50に送信する。カードユニット50においてその演算結果にもとづく検証(遊技制御用マイクロコンピュータの検証)が行われる。そして、カードユニット50のカードユニット制御用マイクロコンピュータは、払出制御用マイクロコンピュータの検証結果および遊技制御用マイクロコンピュータの検証結果を上位機器100に送信する。また、同時に、ランプや警報音によって、視覚的または聴覚的に報知を行うようにしてもよい。
【0099】
以上に説明したように、この実施の形態では、価値記録媒体を受け入れて記録されている価値を遊技機での遊技に使用できる遊技球などの遊技使用価値に変換するための機構部や電気回路を有するカードユニット50に、カードユニット制御用マイクロコンピュータ等で実現され機構部や電気回路を制御するカードユニット制御手段とともに、カードユニット制御用マイクロコンピュータやI/Oポート等で実現される情報通信手段と、カードユニット制御用マイクロコンピュータで実現され遊技機における制御用マイクロコンピュータが正規のものであるか否かを認証する認証制御手段とが設けられている。そして、認証制御手段が、パチンコ遊技機1の払出制御基板37に対して認証用データを送信し、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータおよび遊技制御用マイクロコンピュータが、それぞれ、受信した認証データにもとづく演算を行って演算結果をカードユニットに返送する。
【0100】
そして、カードユニット50における認証制御手段は、返送された演算結果にもとづいて払出制御用マイクロコンピュータおよび遊技制御用マイクロコンピュータが正当なものであるか否かを判定する。従って、パチンコ遊技機1に余分なハードウェアを付加することなく、払出制御用マイクロコンピュータおよび遊技制御用マイクロコンピュータの認証を行うことが可能になる。さらに、各パチンコ遊技機に付設されているカードユニットと通信を行う上位機器100において、複数のパチンコ遊技機における払出制御用マイクロコンピュータおよび遊技制御用マイクロコンピュータの認証結果を一括して管理することができる。
【0101】
払出制御用マイクロコンピュータおよび遊技制御用マイクロコンピュータにおいて、ROMがCPUチップに内蔵されている場合には、認証用データにもとづく演算を実行するプログラムは、ユーザ領域(払出制御プログラムや遊技制御プログラムが格納される領域)とは異なる領域であって、マイクロコンピュータの演算処理部(CPUコア)から読み出すことはできるが、CPUチップの外部から読み出し不可能なシステム領域に格納される。従って、不正な払出制御用マイクロコンピュータや遊技制御用マイクロコンピュータに換装された場合に、そのような不正マイクロコンピュータに認証用データにもとづく演算を実行するプログラムを実装することは困難である。その結果、カードユニット50から認証用データが送信されても、カードユニット50に演算結果を返送することはできない。よって、カードユニット50の側で、容易に不正マイクロコンピュータに換装されていることが認識される。
【0102】
なお、上記の実施の形態では、払出制御用マイクロコンピュータおよび遊技制御用マイクロコンピュータによって実行される認証のための演算として秘密鍵を用いた演算を例示したが、認証用の演算はそれに限られない。また、認証用データとして、固定的なデータを用いるのではなく、時間とともに変化するようなデータや、乱数を用いて発生させたデータや、機種や製造番号に応じたデータを用いるようにしてもよい。また、照合用情報要求信号や照合用情報の形態についても、図6に示された例は一つの例示であって、他の形態を用いることもできる。
【0103】
さらに、上記の実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータの認証を行う場合に、カードユニット50からの認証用データが払出制御基板37を中継して主基板31に送信され、演算結果は払出制御基板37を中継してカードユニット50に返送されたが、主基板31からの演算結果にもとづく検証を払出制御用マイクロコンピュータで行って、検証の結果をカードユニット50に送信するようにしてもよい。
【0104】
また、上記の実施の形態では、ICカードを用いるカードユニット50が例示されたが、磁気カードを用いるカードユニット50でも、上記のような払出制御用マイクロコンピュータおよび遊技制御用マイクロコンピュータの認証を行うことができる。
【符号の説明】
【0105】
31 遊技制御基板(主基板)
37 払出制御基板
50 カードユニット
54 ROM
56 CPU
371 払出制御用CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を受け入れて、記録媒体に記録されている価値を遊技機での遊技に使用できる遊技使用価値に変換するための処理を行う記録媒体処理装置であって、
記録媒体処理装置の制御を行う記録媒体処理制御手段を備え、
前記記録媒体処理制御手段は、前記遊技機の制御用マイクロコンピュータと通信を行うための情報通信手段と、前記情報通信手段による通信を用いて前記制御用マイクロコンピュータが正規のものであるか否かを認証するための認証制御を実行する認証制御手段とを含み、
前記認証制御手段は、前記制御用マイクロコンピュータに対して照合用情報を出力させるための照合用情報要求信号を出力するとともに、前記制御用マイクロコンピュータから返送された照合用情報を用いて前記制御用マイクロコンピュータが正規のものであるか否かを判定する
ことを特徴とする記録媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−50773(P2011−50773A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276867(P2010−276867)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【分割の表示】特願2001−59179(P2001−59179)の分割
【原出願日】平成13年3月2日(2001.3.2)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)
【Fターム(参考)】