説明

遊技機

【課題】遊技者の顔の位置によってスピーカからの音が聞こえにくくなるのを防止することができる遊技機を提供すること。
【解決手段】パチンコ遊技機1には、音声出力方向を変更可能な左スピーカ51及び右スピーカ56が設けられている。パチンコ遊技機1では、液晶表示器5やスピーカ51,56による演出の切り替えタイミングであるか否かが判定され、切り替えタイミングであると判定された場合に、音声出力方向が測距センサ61を用いて検知された遊技者の顔の位置を向くように、スピーカ51,56の向きが補正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音による演出を行うためのスピーカを備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、音による演出を行うためのスピーカを備えている。例えば特許文献1に記載のパチンコ遊技機は、遊技クギや各種役物が配置された遊技盤の上方の左右両側にスピーカが設けられている。パチンコ遊技機では、これらのスピーカから楽曲や音声、効果音等が出力されることによって、音による演出が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−200842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ホールに設置された遊技機の周辺には、それぞれスピーカを有する多数の遊技機が設置されている。このため、遊技者は、自身が遊技している遊技機からの音が聞きづらい状況に置かれている。また、遊技者の顔の位置(頭の位置)は、遊技者の体格や姿勢、座席に座る位置によって変化するため、スピーカの向きが最適と考えられる方向に設定されていたとしても、ある遊技者が遊技した場合には遊技している遊技機からの音がよく聞こえ、別の遊技者がその遊技機で遊技した場合には音が聞こえにくいという問題が生じるおそれがある。また、遊技者が変わらない場合でも、遊技者自身が姿勢を変化させることで、同様の問題が生じ得る。
【0005】
それ故に、本発明の目的は、遊技者の顔の位置によってスピーカからの音が聞こえにくくなるのを防止することができる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために以下の構成を採用した。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
本発明に係る遊技機は、音声出力方向を変更可能なスピーカ(51,56)を備える遊技機(1)であって、遊技機本体(2)に対する遊技者の顔の位置を検知する位置検知手段(61,151)と、演出手段(5,51,56)による演出の切り替えタイミングであるか否かを判定する第1判定手段(131)と、切り替えタイミングであると前記第1判定手段(131)によって判定された場合に、前記音声出力方向が前記位置検知手段(61,151)によって検知された位置を向くように、前記スピーカ(51,56)の向きを補正する向き補正手段(151,55)とを備える。
【0008】
前記演出手段は、演出画像を2D表示又は3D表示する画像表示器(5)であり、前記第1判定手段(131)は、前記切り替えタイミングとして、前記画像表示器(5)による前記演出画像の表示態様が切り替えられるタイミングであるか否かを判定してもよい。
【0009】
前記画像表示器(5)による前記演出画像の表示態様が2D表示から3D表示に切り替えられるのに伴って、前記位置検知手段(61,151)の検知結果に基づいて、遊技者の顔の位置が3D表示される前記演出画像を見るのに適した位置であるか否かを判定する第2判定手段(131)と、適した位置ではないと前記第2判定手段(131)によって判定された場合に、顔の移動を促す情報を報知する報知手段(141,5)とを備えていてもよい。
【0010】
前記演出手段は、遊技者による遊技中に演出画像を表示する一方で、遊技者によって遊技されていないときには客待ち画像を表示する画像表示器(5)であり、前記第1判定手段(131)は、前記切り替えタイミングとして、前記画像表示器(5)に表示される画像が前記客待ち画像から前記演出画像に切り替えられるタイミングであるか否かを判定してもよい。
【0011】
前記演出手段は、前記スピーカ(51,56)であって、前記第1判定手段(131)は、前記切り替えタイミングとして、前記スピーカ(51,56)から特定の音が出力されるタイミングであるか否かを判定してもよい。
【0012】
前記位置検知手段は、遊技盤の所定位置に設けられた測距センサ(61)を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、演出手段による演出が切り替えられるときに、音声出力方向が遊技者の顔の位置を向くようにスピーカの向きが調整される。したがって、遊技者の顔の位置によってスピーカからの音が聞こえにくくなるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】パチンコ遊技機1の概略正面図
【図2】スピーカ部50について説明するための説明図
【図3】周縁部に測距センサ61が設けられた液晶表示器5の模式図
【図4】遊技者の顔の位置検知について説明するための説明図
【図5】パチンコ遊技機1の制御装置の構成例を示すブロック図
【図6】遊技制御部100によって実行されるメイン処理の一例を示すフローチャート
【図7】図6のステップS2における始動口スイッチ処理の詳細フローチャート
【図8】図6のステップS4における特別図柄処理の詳細フローチャート
【図9】演出制御部130によって実行される演出制御処理の一例を示すフローチャート
【図10】ランプ制御部150によって実行される向き補正処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明する。
【0016】
[パチンコ遊技機1の概略構成]
まず、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1の概略正面図である。図1に示されるように、パチンコ遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材3とを備えている。枠部材3は、遊技盤2の表面側(図1の紙面手前側)に遊技盤2と所定の間隔を隔てて平行に配置された透明なガラス板(不図示)を支持する部材であり、遊技盤2に対して開閉可能に構成されている。
【0017】
枠部材3に支持されたガラス板と遊技盤2との間には、遊技球が移動する遊技領域20が形成されている。遊技者がハンドル31を握ってレバー32を時計方向へ回転させると、皿39に溜められた遊技球がハンドル31の回転角度に応じた打球力で不図示の発射装置から発射される。発射された遊技球は、遊技領域20の上部位置へ案内され、遊技領域20に配置された不図示の遊技クギや風車等に接触することでその移動方向を変化させながら遊技盤2に沿って落下する。なお、発射装置による遊技球の発射は、遊技者が停止ボタン33を操作することによって一時的に停止される。また、皿39と近接配置された取り出しボタン34を操作すると、皿39の下面の一部が開口されて、皿39に溜まった遊技球が皿39の下方に配置された不図示の箱へ落下する。
【0018】
遊技領域20には、入賞や抽選に関する役物として、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、普通入賞口24、及びゲート25が設けられている。パチンコ遊技機1では、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、又は普通入賞口24に遊技球が入賞すると、入賞した場所に応じた個数の賞球が皿39に払い出される。なお、入賞しなかった遊技球は、排出口26を介して遊技領域20の外に排出される。
【0019】
第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞すると、大当たり抽選(特別図柄抽選)が実行される。この特別図柄抽選に当選することで大入賞口23が開放され、遊技者が多量の賞球を得ることが可能な大当たり遊技を楽しむことができる。また、遊技球がゲート25を通過すると、電動チューリップ27の開閉抽選(普通図柄抽選)が実行される。この普通図柄抽選に当選すると、電動チューリップ27が作動して、第2始動口22が一時的に開放される。
【0020】
遊技盤2又は枠部材3には、各種演出を行う液晶表示器5、盤ランプ8、枠ランプ36、可動役物7、及びスピーカ部50が設けられている。
【0021】
液晶表示器5は、画像を表示する画像表示器である。この液晶表示器5は、遊技者による遊技中には、例えば、特別図柄抽選の結果を報知するための装飾図柄、予告演出を行うキャラクタやアイテム、特別図柄抽選が保留されていることを示す保留表示画像等を含む演出画像を表示する。また、液晶表示器5は、パチンコ遊技機1が遊技者によって遊技されていない客待ち状態のときには、演出画像に代えて客待ち画像を表示する。
【0022】
演出手段として機能する液晶表示器5は、演出画像を遊技者が裸眼で立体視可能な画像(立体画像)として表示可能な表示装置である。本実施形態では、液晶表示器5は、左目用画像と右目用画像とを交互に表示して、これらの画像を遊技者の左目及び右目のそれぞれに分解して見せるパララックスバリア方式(視差バリア方式)の表示装置である。液晶表示器5は、視差バリアを用いて遊技者の左目に左目用画像を、遊技者の右目に右目用画像をそれぞれ視認させることによって、遊技者にとって立体感のある立体画像を視認させる。なお、液晶表示器5は、視差バリアを無効にすることができ、これにより、演出画像を平面的に表示することもできる。このように、液晶表示器5は、演出画像を2D表示又は3D表示する機能を備えている。なお、この液晶表示器5の枠には、遊技者の顔の位置を検知するための複数(本実施形態では3つ)の測距センサ61(61A〜61C)が設けられているが、これらの測距センサ61については後述する。
【0023】
盤ランプ8は、遊技者による遊技の進行に応じて発光することで光による演出を行う。枠ランプ36は、発光色、発光パターン、及び光の放射方向を変化させることで光による演出を行う。可動役物7は、例えば内蔵された発光素子を発光させながら回転することによって可動役物7自体の動きと光による演出を行う。
【0024】
左右両側のスピーカ部50には、演出手段として機能する2つのスピーカ(左スピーカ51及び右スピーカ56:図2参照)が内蔵されている。スピーカ部50は、左スピーカ51及び右スピーカ56から楽曲や音声、効果音等を出力して音による演出を行う。なお、左スピーカ51及び右スピーカ56の構成については後に詳述する。
【0025】
皿39と近接する位置に演出ボタン37及び演出キー38が設けられている。演出ボタン51は、遊技者が操作情報を入力するための押ボタンである。演出キー38は、十字キーとして機能する周辺キーと、決定ボタンとして機能する中央キーとを有して構成されている。
【0026】
ところで、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、このパチンコ遊技機1で遊技している遊技者にだけ音を聞かせるために、2つのスピーカ部50に超指向性スピーカ(後述する左スピーカ51及び右スピーカ56)が内蔵されているが、遊技者の顔の位置(頭の位置)が、遊技者の体格や姿勢、座席に座る位置等によって変化するため、遊技中に音が聞こえにくくなったり、ある遊技者が遊技した場合にはパチンコ遊技機1からの音がよく聞こえ、別の遊技者が遊技した場合にはパチンコ遊技機1からの音が聞こえにくいという問題が生じるおそれがある。そこで、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、遊技者の顔の位置を検知して、その検知結果に基づいて左スピーカ51及び右スピーカ56の音声出力方向を補正する機能を有している。以下、このような機能を実現するためのパチンコ遊技機1の構成について、詳細に説明する。
【0027】
[スピーカ部50の構成]
以下、図2を参照しつつ、スピーカ部50の構成について説明する。ここで、図2は、スピーカ部50について説明するための説明図である。図2に示されるように、遊技者から見て左側のスピーカ部50は、左スピーカ51、第1回転軸52、第2回転軸53、連結部材54、調整モータ55A、及び調整モータ55Bを有して構成されている。
【0028】
左スピーカ51は、本実施形態では超指向性スピーカである。この左スピーカ51は、第1回転軸52の一端側に固定されている。第1回転軸52は、水平方向を軸方向として連結部材54によって回転可能に支持されると共に、その他端側の外周面に形成されたギヤ歯が調整モータ55Aの回転軸に固定されたギヤと噛み合わされている。調整モータ55Aは、本実施形態ではステッピングモータである。
【0029】
調整モータ55Aが駆動すると、その駆動力が第1回転軸52に伝達されて、左スピーカ51が第1回転軸52の周方向に回転する。その結果、左スピーカ51の音声出力方向が上下に変化する。なお、調整モータ55Aの回転方向を切り換えることによって、左スピーカ51の音声出力方向が変化する向きを切り換えることができる。
【0030】
第1回転軸52を支持する連結部材54は、第2回転軸53の一端側に固定されている。第2回転軸54は、鉛直方向を軸方向として不図示の軸受けによって回転可能に支持されると共に、その他端側の外周面に形成されたギヤ歯が調整モータ55Bの回転軸に固定されたギヤと噛み合わされている。調整モータ55Bは、本実施形態ではステッピングモータである。
【0031】
調整モータ55Bが駆動すると、その駆動力が第2回転軸53に伝達されて、第1回転軸52と左スピーカ51が第2回転軸53の周方向に回転する。その結果、左スピーカ51の音声出力方向が左右に変化する。なお、調整モータ55Bの回転方向を切り換えることによって、左スピーカ51の音声出力方向が変化する向きを切り換えることができる。
【0032】
このような構成により、調整モータ55A及び調整モータ55Bの駆動を制御することによって、左スピーカ51の音声出力方向を上下左右に変化させることができる。
【0033】
遊技者から見て右側のスピーカ部50は、右スピーカ56、第1回転軸57、第2回転軸58、連結部材59、調整モータ55C、及び調整モータ55Dを有して構成されている。なお、これらの構成は、上述した左側のスピーカ部50と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0034】
[遊技者の顔の位置検知]
次に、図3及び図4を参照しつつ、パチンコ遊技機1で遊技を行う遊技者の顔の位置検知について説明する。ここで、図3は、周縁部に測距センサ61が設けられた液晶表示器5の模式図である。図4は、遊技者の顔の位置検知について説明するための説明図である。図3に示されるように、液晶表示器5の枠に3つの測距センサ61が設けられている。具体的には、遊技者から見て、液晶表示器5の表示画面の上側の枠に測距センサ61Aが設けられ、表示画面の左側の枠に測距センサ61Bが設けられ、表示画面の右側の枠に測距センサ61Cが設けられている。
【0035】
測距センサ61(61A〜61C)は、検知対象である遊技者の顔までの距離を検知するものであり、本実施形態では、検知対象の反射率の影響を受けにくい三角測量方式の測距センサが好適に使用される。図には示されていないが、測距センサ61は、投光素子、投光レンズ、受光レンズ、及び位置検出子を有して構成されている。投光素子が発光すると、投光素子からの光束が投光レンズによって集光され、検知対象である遊技者の顔の表面に照射される。そして、拡散反射した光の一部が受光レンズを通過して位置検出子上にスポットを形成し、そのスポットの位置を示す情報がランプ制御部150(図5参照)へ出力される。その際、検知対象からの距離によって異なる位置にスポットが形成されるので、ランプ制御部150のCPU151は、測距センサ61からのスポットの位置を示す信号(以下「センサ信号」という。)に基づいて、測距センサ61から検知対象までの距離を検知することができる。このように、本実施形態では、測距センサ61及びランプ制御部150のCPU151が、遊技盤2(遊技機本体)に対する遊技者の顔の位置を検知する位置検知手段として機能する。
【0036】
図4(A)には、遊技者の顔が液晶表示器5の真正面に位置しているときに、測距センサ61Aによって遊技者の顔(ここでは額)までの距離が検知される様子を示している。図4(A)に示される状態では、測距センサ61A〜61Cのうちの測距センサ61Aのみによって遊技者の顔が検知されるので、ランプ制御部150のCPU151は、遊技者の顔が、遊技盤2の左右方向に関してほぼ中央に位置している(左右方向のズレが少ない)と判断することができる。また、CPU151は、測距センサ61Aからのセンサ信号に基づいて、遊技者の顔までの距離を判断する。
【0037】
図4(B)には、遊技者の顔が液晶表示器5に対して左側に大きくずれているときに、測距センサ61Bによって遊技者の顔までの距離が検知される様子を示している。図4(B)に示される状態では、測距センサ61Bのみによって遊技者の顔が検知されるので、ランプ制御部150のCPU151は、遊技者の顔が、遊技盤2の左右方向に関して左側に大きくずれていると判断することができる。また、CPU151は、測距センサ61Bからのセンサ信号に基づいて、遊技者の顔までの距離を判断する。
【0038】
図4(C)には、遊技者の顔が液晶表示器5に対して右側に若干ずれているときに、測距センサ61A及び61Cによって遊技者の顔までの距離が検知される様子を示している。図4(C)に示される状態では、測距センサ61A及び61Cの2つの測距センサ61によって遊技者の顔の位置が検知されるので、ランプ制御部150のCPU151は、遊技者の顔が、遊技盤2の左右方向に関して右側に若干ずれていると判断することができる。また、CPU151は、測距センサ61Aからのセンサ信号に基づいて判断した距離と、測距センサ61Cからのセンサ信号に基づいて判断した距離との平均値を求め、その平均値が示す距離を、遊技者の顔までの距離として判断する。
【0039】
このように、本実施形態では、ランプ制御部150のCPU151は、3つの測距センサ61を用いて遊技者の顔の位置を検知して、その検知結果に基づいて、遊技者が好適に音を聞けるように左スピーカ51及び右スピーカ56の向き(調整モータ55の駆動)を制御する。
【0040】
なお、本実施形態では、平均的な体型の遊技者が首を曲げずに正視できる位置に液晶表示器5が設けられているので、測距センサ61が、液晶表示器5の枠に設けられているが、測距センサ61の設置位置は、遊技者の顔の位置を検知可能であれば、本実施形態で説明した位置に限定されるものではなく、例えば遊技盤2に設けられていてもよい。また、測距センサ61の数も3つに限定されるものではなく、1〜2個、或いは4つ以上であってもよい。また、測距センサ61を上下方向に並べて配置して、遊技盤2の上下方向に関する遊技者の顔の位置ズレを検知するようにしてもよい。また、本実施形態では、測距センサを用いて位置検知手段が構成されている場合について説明するが、単に遊技者の顔を検知してON/OFFの信号を出力する光センサを複数設置して位置検知手段を構成しても構わない。
【0041】
[パチンコ遊技機1の制御装置の構成]
遊技盤2の裏面側(図1の紙面奥側)には、賞球として払い出される遊技球を溜めておく球タンクの他に、パチンコ遊技機1の動作を制御する制御装置が設けられている。
【0042】
以下、図5を参照しつつ、パチンコ遊技機1の制御装置の構成について説明する。ここで、図5は、パチンコ遊技機1の制御装置の構成例を示すブロック図である。図5に示されるように、パチンコ遊技機1の制御装置は、遊技制御部100、演出制御部130、画像音響制御部140、ランプ制御部150等を備えている。
【0043】
[遊技制御部100の構成]
遊技制御部100は、CPU101、ROM102、及びRAM103を備えている。CPU101は、ROM102に記憶されたプログラムに基づいて、内部抽選や当選の判定等の払い出し賞球数に関連する各種の演算処理を行う。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
【0044】
この遊技制御部100には、第1始動口スイッチ(SW)111、第2始動口スイッチ(SW)112、電動チューリップ開閉部113、ゲートスイッチ(SW)114、大入賞口スイッチ(SW)115、大入賞口制御部116、普通入賞口スイッチ(SW)117、及び表示器4が接続されている。
【0045】
遊技球が第1始動口21に入賞すると、その入賞が第1始動口スイッチ111によって検出されて、遊技制御部100へ検出信号が出力される。また、遊技球が第2始動口22に入賞すると、その入賞が第2始動口スイッチ112によって検出されて、遊技制御部100へ検出信号が出力される。これに対して、CPU101は、検出信号が入力されたタイミングで取得した乱数を用いて特別図柄抽選を実行し、特別図柄抽選に当選すると、大入賞口23への遊技球の入賞を検出する大入賞口スイッチ115からの検出信号に基づいて、電動ソレノイドを有する大入賞口制御部116を制御して大入賞口23を開閉する。また、CPU101は、特別図柄抽選の結果を示すデータを演出制御部130へ出力する。なお、以下の説明では、第1始動口21への遊技球の入賞を条件として実行される特別図柄抽選を「第1特別図柄抽選」と呼び、第2始動口22への遊技球の入賞を条件として実行される特別図柄抽選を「第2特別図柄抽選」と呼ぶものとする。
【0046】
遊技球がゲート25を通過すると、その通過がゲートスイッチ114によって検出されて、遊技制御部100へ検出信号が出力される。これに対して、CPU101は、普通図柄抽選を実行する。そして、この普通図柄抽選に当選すると、電動ソレノイドを有する電動チューリップ開閉部113を制御して電動チューリップ27を動作させる。
【0047】
遊技球が普通入賞口24に入賞すると、その入賞が普通入賞口スイッチ117によって検出されて、遊技制御部100へ検出信号が出力される。CPU101は、第1始動口スイッチ111、第2始動口スイッチ112、大入賞口スイッチ115、又は普通入賞口スイッチ117からの検出信号が入力されると、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球の払い出しを不図示の払出制御部に指示し、払出制御部からの情報に基づいて、払い出す賞球の個数を管理する。
【0048】
また、CPU101は、特別図柄抽選の結果、普通図柄抽選の結果、これらの抽選の保留数、及びパチンコ遊技機1の遊技状態を表示器4(図1参照)に表示させる。
【0049】
[演出制御部130の構成]
演出制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、及びRTC(リアルタイムクロック)134を備えている。CPU131は、ROM132に記憶されたプログラムに基づいて、演出を制御する際の演算処理を行う。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。RTC134は、現時点の日時を計測する。
【0050】
演出制御部130のCPU131は、遊技制御部100から送られる特別図柄抽選の結果等を示すデータに基づいて、演出内容を設定する。その際、演出ボタン37又は演出キー38からの操作情報の入力を受け付けて、その操作情報に応じた演出内容を設定する場合もある。CPU131は、設定した演出内容の演出の実行を指示するコマンドを画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信する。
【0051】
[画像音響制御部140の構成]
画像音響制御部140は、CPU141、ROM142、及びRAM143を備えている。CPU141は、ROM142に記憶されたプログラムに基づいて、演出内容を表現する画像を制御する際の演算処理を行う。図には示されていないが、画像音響制御部140は、液晶表示器5に表示される演出画像を生成するVDP(Video Display Processor)、及びスピーカ51,56から出力される音響データを生成する音響DSP(Digital Signal Processor)を備えている。CPU141は、演出制御部130からのコマンド及びROM142に記憶されているプログラムに基づいて制御信号を生成してVDP及び音響DSPへ出力することにより、VDP及び音響DSPの動作を制御する。
【0052】
音響DSPには、楽曲や音声、効果音等に関する各種音響データを記憶する音響用ROMと、音響DSPによるデータ処理等の作業領域として使用されるSDRAMが接続されている。音響DSPは、CPU141からの制御信号に対応する音響データを音響用ROMからSDRAMに読み出してデータ処理し、データ処理後の音響データを左スピーカ51及び右スピーカ56へ出力する。
【0053】
VDPは、液晶表示器5に表示される演出画像の生成に必要な素材データを記憶する画像用ROM、演出画像の描画処理を実行する描画エンジン、及び描画エンジンによって描画された演出画像を液晶表示器5へ出力する出力回路を有している。描画エンジンは、CPU141からの制御信号に基づいて、画像用ROMに記憶されている素材データを用いて、フレームバッファに演出画像を描画する。出力回路は、フレームバッファに描画された演出画像(3D表示を行う場合には左目用画像及び右目用画像)を所定の表示タイミングで液晶表示器5へ出力する。
【0054】
[ランプ制御部150の構成]
ランプ制御部150は、CPU151、ROM152、及びRAM153を備えている。CPU151は、盤ランプ8や枠ランプ36、可動役物7、及び調整モータ55(55A〜55D)の動作を制御する際の演算処理を行う。ROM152には、CPU151によって実行されるプログラムや各種データ等が記憶されている。RAM153は、CPU151が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
【0055】
ROM152には、発光パターンデータ、及び動作パターンデータが記憶されている。ここで、発光パターンデータは、枠ランプ36、盤ランプ8、可動役物7に設けられた役物ランプのそれぞれの発光パターンを示すデータである。動作パターンデータは、可動役物7の動作パターンを示すデータである。
【0056】
ランプ制御部150のCPU151は、ROM152に記憶されている発光パターンデータの中から、演出制御部130から受信したコマンドに対応する発光パターンデータを読み出して、盤ランプ8、枠ランプ36、及び役物ランプの発光を制御する。また、CPU151は、ROM152に記憶されている動作パターンデータの中から、演出制御部130から受信したコマンドに対応する動作パターンデータを読み出して、可動役物7の動作を制御する。
【0057】
また、CPU151は、測距センサ61A〜61Cからのセンサ信号に基づいて、遊技者の顔の位置を検知し、その検知結果に応じて調整モータ55A〜55Dの駆動を制御する。具体的には、測距センサ61A〜61Cの過去の検知結果に基づいて生成された遊技者の顔の位置を示す顔位置情報がRAM153に記憶されており、CPU151は、この顔位置情報が示す顔の位置に応じた方向に音を出力する左スピーカ51及び右スピーカ56が、測距センサ61A〜61Cの検知結果に基づいて新たに判断した遊技者の顔の位置に応じた方向に音を出力するように、調整モータ55A〜55Dそれぞれのステップ数を決定して、各調整モータ55の駆動を制御する。
【0058】
[遊技制御部100によるメイン処理]
次に、遊技制御部100において実行されるメイン処理について説明する。図6は、遊技制御部100によって繰り返し実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートである。なお、図6以降のフローチャートに基づいて説明する遊技制御部100の処理は、ROM102に記憶されているプログラムに基づいてCPU101が発行する命令に従って行われる。
【0059】
乱数更新処理(ステップS1)では、遊技制御部100のCPU101は、大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数、及び普通図柄乱数の各種の乱数の更新を行う。ここで、大当たり乱数は、特別図柄抽選の当選(大当たり)又は落選(ハズレ)を決定するための乱数である。図柄乱数は、特別図柄抽選に当選した場合に、当たりの種類を決定するための乱数である。リーチ乱数は、特別図柄抽選に落選した場合に、リーチ有りの演出を行うか或いはリーチ無しの演出を行うかを決定するための乱数である。変動パターン乱数は、特別図柄が変動表示される際の変動パターンを決定するための乱数である。普通図柄乱数は、普通図柄抽選の当選又は落選を決定するための乱数である。これらの乱数は、このステップS1の処理が行われる毎に「1」ずつ加算される。そして、各抽選が行われた時点の値が後述するステップS2やステップS3の処理で取得され、ステップS4の処理やステップS5の処理で使用される。
【0060】
始動口スイッチ(SW)処理(ステップS2)では、CPU101は、第1始動口スイッチ111又は第2始動口スイッチ112から検出信号が出力された場合に、特別図柄抽選の保留数を更新する処理や乱数を取得する処理を実行する。この始動口スイッチ処理については、図7に基づいて詳述する。
【0061】
ゲートスイッチ(SW)処理(ステップS3)では、CPU101は、ゲートスイッチ114から検出信号が出力された場合に、ステップS5の普通図柄処理に使用される普通図柄乱数を取得する。
【0062】
特別図柄処理(ステップS4)では、CPU101は、特別図柄抽選を実行し、表示器4に特別図柄を変動表示してから特別図柄抽選の結果を示す特別図柄を停止表示するための処理を実行する。この特別図柄処理については、図8に基づいて詳述する。
【0063】
普通図柄処理(ステップS5)では、CPU101は、ステップS3の処理で取得された普通図柄乱数がその当選値と一致するか否かを判定し、表示器4の普通図柄表示器(不図示)に普通図柄を変動表示させた後に判定結果を示す普通図柄を停止表示させる。
【0064】
大入賞口処理(ステップS6)では、CPU101は、特別図柄抽選に当選した場合に、大入賞口制御部116を介して大入賞口23の開閉を制御する。
【0065】
電動チューリップ処理(ステップS7)では、CPU101は、ステップS5の普通図柄処理において普通図柄乱数がその当選値と一致すると判定した場合に、電動チューリップ開閉部113を介して電動チューリップ27を作動させる。
【0066】
賞球処理(ステップS8)では、CPU101は、遊技球の入賞個数の管理及び入賞に応じた賞球の払い出しを制御する。
【0067】
出力処理(ステップS9)では、CPU101は、ステップS2の始動口スイッチ処理やステップS4の特別図柄処理等でRAM103にセットされた各種コマンドや演出に必要な情報を演出制御部130へ送信する。
【0068】
[遊技制御部100による始動口スイッチ処理]
図7は、図6のステップS2における始動口スイッチ処理の詳細フローチャートである。遊技制御部100のCPU101は、図7に示されるように、第1始動口スイッチ111からの検出信号の有無に基づいて、第1始動口21に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ111がONになったか否かを判定し(ステップS21)、ONになったと判定した場合(ステップS21:YES)、RAM103に記憶されている第1特別図柄抽選の保留数U1が、ROM102に記憶されている第1特別図柄抽選の最大保留数Umax1未満であるか否かを判定する(ステップS22)。
【0069】
そして、CPU101は、保留数U1が最大保留数Umax1未満であると判定した場合(ステップS22:YES)、保留数U1を「1」加算した値に書き換え(ステップS23)、この処理で保留した第1特別図柄抽選に使用される乱数(大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数)を取得して、RAM103の所定領域に格納する(ステップS24)。
【0070】
ステップS21で「NO」と判定した場合、ステップS22で「NO」と判定した場合、又はステップS24の処理を行った場合、CPU101は、第2始動口スイッチ112からの検出信号の有無に基づいて、第2始動口22に遊技球が入賞して第2始動口スイッチ112がONになったか否かを判定し(ステップS25)、ONになったと判定した場合(ステップS25:YES)、RAM103に記憶されている第2特別図柄抽選の保留数U2が、ROM102に記憶されている第2特別図柄抽選の最大保留数Umax2未満であるか否かを判定する(ステップS26)。
【0071】
CPU101は、保留数U2が最大保留数Umax2未満であると判定した場合(ステップS26:YES)、保留数U2を「1」加算した値に書き換え(ステップS27)、ステップS27の処理によって保留した第2特別図柄抽選に使用される乱数(大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数)を取得して、RAM103の所定領域に格納する(ステップS28)。
【0072】
[遊技制御部100による特別図柄処理]
図8は、図6のステップS4における特別図柄処理の詳細フローチャートである。図8に示されるように、遊技制御部100のCPU101は、RAM103に記憶されている情報に基づいて、大当たり中であるか否かを判定する(ステップS41)。大当たり中であるとCPU101によって判定された場合(ステップS41:YES)、既に何らかの大当たりを表す特別図柄が停止表示されている状態であるため、特別図柄の変動表示を開始することなく特別図柄処理を終了して普通図柄処理へ処理が進められる。
【0073】
CPU101は、大当たり中ではないと判定した場合(ステップS41:NO)、表示器4による特別図柄の変動表示中であるか否かを判定する(ステップS42)。CPU101は、特別図柄の変動表示中ではないと判定した場合(ステップS42:NO)、RAM103に記憶されている保留数U2が「1」以上であるか否かを判定し(ステップS43)、保留数U2が「1」以上であると判定した場合(ステップS43:YES)、保留数U2を「1」減算した値に書き換える(ステップS44)。
【0074】
CPU101は、保留数U2が「1」以上ではないと判定した場合(ステップS43:NO)、RAM103に記憶されている保留数U1が「1」以上であるか否かを判定し(ステップS45)、保留数U1が「1」以上であると判定した場合(ステップS45:YES)、保留数U1を「1」減算した値に書き換える(ステップS46)。
【0075】
CPU101は、ステップS44又はステップS46の処理を行った後、大当たり判定処理を実行する(ステップS47)。具体的には、ステップS44の処理に続いてステップS47の処理を実行する場合、CPU101は、ステップS28の処理で取得された大当たり乱数が、ROM102に記憶されている大当たりの当選値と一致するか否かを判定する。一方、ステップS46の処理に続いてステップS47の処理を実行する場合、ステップS24の処理で取得された大当たり乱数が、ROM102に記憶されている大当たりの当選値と一致するか否かを判定する。これにより、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選の結果が大当たりであるか否かが判定される。
【0076】
特別図柄抽選の結果が大当たりである場合、この抽選で使用した大当たり乱数と一緒に取得された図柄乱数が、ROM102に記憶されている複数種の大当たりのそれぞれに割り当てられたいずれの図柄乱数と一致するかに応じて、大当たりの種類を判定する。そして、この大当たりの種類に応じた大当たり図柄を設定情報としてRAM103にセット(格納)する。一方、特別図柄抽選の結果がハズレである場合には、特別図柄抽選に落選したことを表すハズレ図柄を設定情報としてRAM103にセットする。
【0077】
CPU101は、ステップS47の処理によって大当たり図柄又はハズレ図柄をセットした後に、変動パターン選択処理を実行する(ステップS48)。具体的には、ステップS47の大当たり判定処理で大当たりと判定した場合、大当たり用の変動パターンテーブルをROM102から読み出してRAM103にセットする。一方、ハズレと判定した場合、ステップS47の処理で使用した大当たり乱数及び図柄乱数と一緒に取得されたリーチ乱数が、ROM102に記憶されているリーチ乱数と一致するか否かに基づいて、遊技者に対して大当たりを期待させるためのリーチ演出を行うか否かを決定する。そして、リーチ演出を行うと決定した場合にはリーチ用の変動パターンテーブルをROM102から読み出してRAM103にセットし、リーチ演出を行わないと決定した場合にはハズレ用の変動パターンテーブルをROM102から読み出してRAM103にセットする。ここで、変動パターンテーブルとは、予め用意されている複数の変動パターン(変動時間10秒、30秒、60秒、90秒など)と変動パターン乱数の乱数値とを対応付けたテーブルである。
【0078】
続いて、CPU101は、セットした変動パターンテーブルを参照して、ステップS47の処理で使用した大当たり乱数及び図柄乱数と一緒に取得された変動パターン乱数に対応する変動パターンを選択することによって、特別図柄の変動パターンを決定する。このようにして選択された変動パターンは、設定情報としてRAM103にセットされる。
【0079】
CPU101は、ステップS48の処理を行った後、ステップS47の処理でセットした図柄の設定情報、ステップS48の処理でセットした変動パターンの設定情報等を含む変動開始コマンドを生成してRAM103にセットする(ステップS49)。この変動開始コマンドは、液晶表示器5による装飾図柄の変動表示の開始を指示するコマンドであって、図6のステップS9における出力処理によって演出制御部130へ送信される。
【0080】
CPU101は、ステップS49の処理を行った後、変動開始コマンドに含まれている設定情報に基づいて、表示器4による特別図柄の変動表示を開始し(ステップS50)、変動時間の計測を開始する(ステップS51)。
【0081】
CPU101は、ステップS51の処理によって変動時間の計測を開始した場合、又は特別図柄の変動表示中であると判定した場合(ステップS42:YES)、ステップS51における変動時間の計測開始からステップS48の変動パターン選択処理で設定された変動パターンに対応する変動時間が経過したか否かを判定する(ステップS52)。変動時間が経過していないとCPU101によって判定された場合(ステップS52:NO)、特別図柄処理が終了して、図6のステップS5における普通図柄処理へ処理が進められる。
【0082】
一方、CPU101は、変動時間が経過したと判定した場合(ステップS52:YES)、装飾図柄の変動表示の終了を指示する変動停止コマンドをRAM103にセットし(ステップS53)、ステップS50の処理で開始した特別図柄の変動表示を終了し(ステップS54)、計測した変動時間をリセットする(ステップS55)。なお、変動停止コマンドは、図6のステップS9における出力処理によって演出制御部130へ送信される。
【0083】
CPU101は、変動時間をリセットした後、大当たりと判定した場合に大入賞口制御部116を介して大入賞口23の開閉制御を開始するといった停止中処理を実行する(ステップS56)。
【0084】
一方、CPU101は、保留数U1が「1」以上ではない(特別図柄抽選が保留されていない)と判定した場合(ステップS45:NO)、遊技中ではないことを示す客待ちコマンドをRAM133にセットする(ステップS58)。この客待ちコマンドは、図6のステップS9における出力処理によって演出制御部130へ送信される。
【0085】
[演出制御部130による演出制御処理]
以下、図9を参照しつつ、演出制御部130によって実行される演出制御処理について説明する。ここで、図9は、演出制御部130によって実行される演出制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、図9のフローチャートに基づいて説明する演出制御部130の処理は、ROM132に記憶されているプログラムに基づいてCPU131が発行する命令に従って行われる。
【0086】
ところで、パチンコ遊技機1では、図7に基づいて上述したように、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞すると、遊技制御部100によって特別図柄抽選に必要な各種乱数が取得される。また、特別図柄の変動表示中に遊技球が第1始動口21又は第2始動口22に入賞すると、この始動口入賞を条件として取得された各種乱数がRAM103に記憶されて、特別図柄抽選や特別図柄の変動表示が保留されることになる。このように、特別図柄抽選及び特別図柄の変動表示が保留される場合に、パチンコ遊技機1では、RAM103に記憶された各種乱数に基づく大当たり判定処理(ステップS47)及び変動パターン選択処理(ステップS48)を、特別図柄の変動表示開始時ではなく、RAM103に各種乱数が記憶された時点で行う事前判定処理が実行される。そして、この事前判定処理の結果を示す事前判定情報を含む保留コマンド(液晶表示器5への保留表示画像の追加表示を指示するコマンド)が、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞する毎に演出制御部130へ送信される。このため、演出制御部130は、特別図柄の変動表示に伴う遊技演出を、特別図柄の変動表示が開始されるタイミングではなく、遊技球が入賞したタイミングで事前に決定することができる。なお、このような事前判定処理については、例えば特開2010−104689号公報等に開示されているように公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0087】
図9に示されるように、演出制御部130のCPU131は、遊技制御部100から送信された保留コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS101)。CPU131は、保留コマンドを受信したと判定した場合(ステップS101:YES)、液晶表示器5への保留表示画像の追加表示を指示する保留表示コマンドを画像音響制御部140へ送信する(ステップS102)。
【0088】
続いて、CPU131は、受信した保留コマンドが示す保留が消化される際に、特別図柄の変動表示に伴って液晶表示器5において実写系のリーチ演出が表示されるか否かを判定する(ステップS103)。具体的には、保留コマンドに含まれている事前判定情報を解析して、その保留コマンドが消化される際に行われる演出の演出パターンのうち、液晶表示器5において行われる演出パターンを特定して、その演出パターンが実写系のリーチ演出を伴うものであるか否かを判定する。この実写系のリーチ演出は、リーチ演出用の演出画像を液晶表示器5に3D表示させることによって行われるものである。
【0089】
ところで、本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、実写系以外のリーチ演出が、液晶表示器5に演出画像を2D表示することによって行われるのに対して、実写系のリーチ演出が、液晶表示器5に演出画像を3D表示することによって行われる。このため、少なくとも実写系のリーチ演出が開始されるまでには、遊技者の顔の位置が、3D表示を見るのに適した位置に位置していることが好ましい。
【0090】
そこで、第2判定手段として機能するCPU131は、実写系のリーチ演出が表示されると判定した場合(ステップS103:YES)、パチンコ遊技機1で遊技している遊技者の顔の位置が適切であるか否かを判定する(ステップS104)。具体的には、ランプ制御部150が測距センサ61の検知結果に基づいて特定した遊技者の顔の位置を示す顔位置情報をランプ制御部150から取得してRAM133に格納する。そして、ROM132から3D表示に適した遊技者の顔の位置を示す最適位置情報をRAM133に読み出し、顔位置情報が示す顔の位置と、最適位置情報が示す顔の位置とが一致するか否かに基づいて、遊技者の顔の位置が適切であるか否かを判定する。
【0091】
このように、CPU131は、液晶表示器5による演出画像の表示態様が2D表示から3D表示に切り替えられるのに伴って、測距センサ61及びランプ制御部150の検知結果に基づいて、遊技者の顔の位置が3D表示される演出画像(ここでは実写系のリーチ演出の動画像)を見るのに適した位置であるか否かを判定する。
【0092】
そして、CPU131は、遊技者の顔の位置が適切ではないと判定した場合(ステップS104:NO)、遊技者の顔を3D表示を見るのに適した位置に移動させるように遊技者に促す報知処理を画像音響制御部140に対して指示する(ステップS105)。例えば、最適位置情報が示す顔の位置と、顔位置情報が示す顔の位置とを比較して、遊技者が顔を移動させるべき方向及び距離を特定する。そして、これらの方向及び距離を示す情報を含む表示指示コマンドを画像音響制御部140へ送信する。
【0093】
これに対して、報知手段として機能する画像音響制御部140のCPU141は、表示指示コマンドに含まれている情報に基づいて、遊技者が顔を移動させるべき方向を示す矢印や、「矢印の方向へ顔を10センチ移動させて下さい」といったメッセージを液晶表示器5に表示させる。
【0094】
このように、画像音響制御部140のCPU141は、遊技者の顔の位置が3D表示される演出画像を見るのに適した位置ではないと演出制御部130のCPU131によって判定された場合に、顔の移動を促す情報を報知する。これに対して、遊技者は、必要に応じて自身の顔を移動させる。
【0095】
図9の説明に戻り、CPU131は、ステップS105の処理を行った場合、ステップS101で「NO」と判定した場合、ステップS103で「NO」と判定した場合、又はステップS104で「YES」と判定した場合、例えば遊技制御部100から送信された変動開始コマンドを受信してからの経過時間に基づいて、装飾図柄の変動表示を伴う演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS107)。
【0096】
CPU131は、装飾図柄の変動表示を伴う演出の実行中ではないと判定した場合(ステップS107:NO)、装飾図柄の変動表示の開始を指示する変動開始コマンドを遊技制御部100から受信したか否かを判定する(ステップS108)。そして、変動開始コマンドを受信したと判定した場合(ステップS108:YES)、変動開始コマンドを解析して(ステップS109)、変動開始コマンドに含まれている変動パターンの設定情報(図柄、変動パターン等)に基づいて演出パターンを決定する(ステップS110)。このステップS110の処理が行われることにより、液晶表示器5に表示される装飾図柄の変動パターン、リーチ演出を行うか否か、リーチ演出を行う場合には実写系ではないリーチ演出を2D表示するのか或いは実写系のリーチ演出を3D表示するのか、可動役物7の動作パターンや発光パターン、盤ランプ8や枠ランプ36の発光パターン、スピーカ35から出力される音声の出力パターンといった遊技演出の内容が決定される。
【0097】
このステップS110の処理が行われた場合、後述するステップS119の処理によって、変動パターンの設定情報に基づく液晶表示器5での装飾図柄の変動表示の開始、及びステップS110の処理で決定した演出パターンに対応する演出の開始を指示する変動演出開始コマンドが画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信される。これにより、装飾図柄の変動表示を伴う演出が開始される。
【0098】
CPU131は、装飾図柄の変動表示を伴う演出の実行中であると判定した場合(ステップS107:YES)、装飾図柄の変動表示の停止を指示する変動停止コマンドを遊技制御部100から受信したか否かを判定する(ステップS112)。CPU131は、変動停止コマンドを受信したと判定した場合(ステップS112:YES)、画像音響制御部140を介して液晶表示器5に特別図柄抽選の結果を示す装飾図柄を停止表示させると共に、ステップS119の処理に応じて開始された演出を画像音響制御部140及びランプ制御部150に終了させる(ステップS113)。このステップS113の処理が行われた場合、又は変動停止コマンドを受信していないとCPU131によって判定された場合(ステップS112:NO)、一連の演出制御処理が終了して、処理がステップS101へ戻される。
【0099】
ところで、上述したステップS105の処理が行われた場合、液晶表示器5に表示された情報に基づいて、遊技者が顔を移動させている可能性がある。また、長時間遊技している間に遊技者の姿勢が変化し、その結果、遊技者の顔の位置が変化する場合もある。また、パチンコ遊技機1で遊技する遊技者が変わった場合、遊技者によって体格や姿勢が異なるため、遊技盤2に対する遊技者の顔の位置は一定ではない。このように、遊技者の顔の位置が変化する状況においては、遊技者にとって聞き取りやすい音を出力するための超指向性スピーカ(左スピーカ51及び右スピーカ56)からの音が、かえって聞き取りづらいものになるおそれがある。そこで、パチンコ遊技機1では、このような問題が生じるのを防止するために、以下の一連の処理が行われる。
【0100】
すなわち、第1判定手段として機能するCPU131は、ステップS110の処理で演出パターンを決定した場合、ステップS108の処理で受信したと判定した変動開始コマンドの前に受信したコマンドが、遊技制御部100からの客待ちコマンドであるか否かを判定する(ステップS115)。
【0101】
ここで、CPU131は、前回受信したコマンドが客待ちコマンドであると判定した場合(ステップS115:YES)、ステップS108の処理で受信したと判定した変動開始コマンドが、遊技者による遊技が開始されたことを示すコマンドであると判断して、ランプ制御部150に対して左スピーカ51及び右スピーカ56の向きの補正を指示する(ステップS116)。具体的には、左スピーカ51及び右スピーカ56の音声出力方向の延長線上に遊技者の左耳周辺及び右耳周辺が位置するように、左スピーカ51及び右スピーカ56の向きの補正を指示する向き補正指示コマンドをランプ制御部150へ送信する。これに対して、ランプ制御部150は、測距センサ61の検知結果に基づいて、調整モータ55A〜55Dの駆動を制御して左スピーカ51及び右スピーカ56の向きを補正する。なお、この向き補正処理については、図10に基づいて後述する。
【0102】
ところで、上述したように、パチンコ遊技機1が遊技者によって遊技されているときには液晶表示器5に演出画像が表示される一方で、パチンコ遊技機1が遊技されていないときには液晶表示器5に客待ち画像が表示される。このため、ステップS115の処理は、液晶表示器5に表示される画像が客待ち画像から演出画像に切り替えられる演出の切り替えタイミングであるか否かを判定しているものと言える。
【0103】
CPU131は、前回受信したコマンドが客待ちコマンドではないと判定した場合(ステップS115:NO)、液晶表示器5において何らかの演出が行われている状態で今回の変動開始コマンドを受信したと判断できるので、その変動開始コマンドに基づいてステップS110の処理で決定した演出パターンに、実写系のリーチ演出の表示(すなわち演出画像の3D表示)が含まれているか否かを判定する(ステップS117)。
【0104】
このように、第1判定手段として機能するCPU131は、ステップS117の処理によって、液晶表示器5による演出画像の表示態様が切り替えられるタイミングであるか否かを判定する。
【0105】
なお、ここでは演出画像の表示態様が2D表示から3D表示に切り替えられるタイミングであるか否かを判定することとしているが、表示態様が2D表示に戻った場合に遊技者が自由に自身の顔を移動させる可能性があるので、演出画像の表示態様が3D表示から2D表示に切り替えられるタイミングであるか否かを判定して、肯定判定された場合にステップS116の処理を行うようにしてもよい。
【0106】
CPU131は、実写系のリーチ演出の表示が含まれていると判定した場合(ステップS117:YES)、上述したステップS105の処理の結果として遊技者の顔の位置が変化している可能性があるので、ステップS115の処理で前回受信したコマンドが客待ちコマンドであると判定した場合と同様に、ランプ制御部150に対して左スピーカ51及び右スピーカ56の向きの補正を指示する(ステップS116)。
【0107】
一方、CPU131は、実写系のリーチ演出の表示が含まれていないと判定した場合(ステップS117:NO)、ステップS108の処理で受信したと判定した変動開始コマンドに基づいてステップS110の処理で決定した演出パターンが、特別図柄抽選の結果が大当たりであることを示唆するいわゆる告知音を出力する演出を含むものであるか否かを判定する(ステップS118)。
【0108】
このように、第1判定手段として機能するCPU131は、ステップS118の処理によって、左スピーカ51及び右スピーカ56から特定の音(ここでは告知音)が出力されるタイミングであるか否かを判定する。なお、特定の音はこれに限定されるものではなく、例えば楽曲等の他の音であってもよい。
【0109】
CPU131は、告知音を出力する演出を含むものであると判定した場合(ステップS118:YES)、ランプ制御部150に対して左スピーカ51及び右スピーカ56の向きの補正を指示する(ステップS116)。
【0110】
CPU131は、ステップS116の処理を行った場合、又はステップS118で「NO」と判定した場合、変動演出開始コマンドを画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信する(ステップS119)。
【0111】
このステップS119の処理が行われることによって、演出制御部130で決定された演出が画像音響制御部140及びランプ制御部150によって実現されることになる。つまり、装飾図柄を変動表示する液晶表示器5、音声等を出力するスピーカ35、光による演出を行う盤ランプ8と枠ランプ36、光と動きによる演出を行う可動役物7等によって、演出制御部130のCPU131によって決定された演出が実行される。また、これに伴い、液晶表示器5に表示されている最も古い(例えば左端に表示された)保留表示画像を消去すると共に、残りの保留表示画像を左側へシフトさせる処理が画像音響制御部140によって実行される。
【0112】
CPU131は、ステップS119の処理を行った場合、又はステップS108で「NO」と判定した場合、遊技制御部100から客待ちコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS121)。CPU131は、客待ちコマンドを受信したと判定した場合(ステップS121:YES)、RTC134を用いて、客待ちコマンドを受信してからの経過時間の計測を開始する(ステップS122)。
【0113】
CPU131は、客待ちコマンドを受信していないと判定した場合(ステップS121:NO)、客待ちコマンドを受信してからの経過時間の計測中であるか否かを判定する(ステップS123)。
【0114】
CPU131は、上記ステップS122の処理を既に実行しており、客待ちコマンドを受信してからの経過時間の計測中であると判定した場合(ステップS123:YES)、客待ちコマンドを受信してから設定時間が経過したか否かを判定する(ステップS124)。具体的には、パチンコ遊技機1が客待ち状態に移行したか否かを判定するための設定時間(例えば60秒)がROM132に記憶されており、CPU131は、ステップS122の処理で計測を開始した経過時間がこの設定時間以上になったか否かを判定する。このように、CPU131は、客待ちコマンドを受信してからの経過時間に基づいて、パチンコ遊技機1が客待ち状態に移行したか否かを判定する。
【0115】
パチンコ遊技機1が客待ち状態に移行した場合、パチンコ遊技機1が客待ち状態であることを遊技者に対して報知するための客待ち画像を液晶表示器5に表示させる必要がある。このため、CPU131は、客待ちコマンドを受信してから設定時間が経過したと判定した場合(ステップS124:YES)、画像音響制御部140に液晶表示器5への客待ち画像の表示を開始させるといった客待ち演出を開始する(ステップS125)。
【0116】
ステップS122の処理が行われた場合、ステップS125の処理が行われた場合、ステップS123で「NO」と判定された場合、又はステップS124で「NO」と判定された場合、一連の演出制御処理が終了して、ステップS101へ処理が戻される。
【0117】
[ランプ制御部150による向き補正処理]
以下、図10を参照しつつ、ステップS116の処理に対してランプ制御部150によって実行される向き補正処理について説明する。ここで、図10は、ランプ制御部150によって実行される向き補正処理の一例を示すフローチャートである。なお、図10のフローチャートに基づいて説明するランプ制御部150の処理は、ROM152に記憶されているプログラムに基づいてCPU151が発行する命令に従って行われる。
【0118】
ランプ制御部150のCPU151は、上述したステップS116の処理によって演出制御部130から送信された向き補正指示コマンドを受信したか否かに基づいて、左スピーカ51及び右スピーカ56の向きを補正する指示があったか否かを判定する(ステップS201)。向きを補正する指示がないとCPU151によって判定された場合(ステップS201:NO)、ステップS201に処理が戻される。
【0119】
CPU151は、向きを補正する指示があったと判定した場合(ステップS201:YES)、測距センサ61A〜61Cからのセンサ信号に基づいて、遊技者の顔の位置を特定し、特定した位置を示す顔位置情報をRAM153に格納する(ステップS202)。
【0120】
そして、向き補正手段として機能するCPU151は、左スピーカ51及び右スピーカ56の向きを補正する(ステップS23)。具体的には、測距センサ61A〜61Cの過去の検知結果に基づいて生成された遊技者の顔の位置を示す顔位置情報がRAM153に予め記憶されているので、CPU151は、この顔位置情報が示す顔の位置に応じた方向に音を出力する左スピーカ51及び右スピーカ56の音声出力方向が、ステップS202の処理で取得した顔位置情報が示す顔の位置に応じた方向となるように、2つの顔位置情報の比較結果に基づいて各調整モータ55のステップ数を決定して、調整モータ55A〜55Dそれぞれの駆動を制御する。
【0121】
このように、CPU151は、上述したステップS115の処理、ステップS117の処理、又はステップS118の処理によって演出の切り替えタイミングであると演出制御部130によって判定された場合に、音声出力方向が測距センサ61A〜61Cによって検知された位置を向くように、左スピーカ51及び右スピーカ56の向きを補正する。
【0122】
CPU151は、ステップS203の処理を行った後、RAM153に記憶されている顔位置情報をステップS202の処理で取得した顔位置情報に更新して(ステップS204)、一連の向き補正処理を終了する。
【0123】
[本実施形態の作用効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、液晶表示器5やスピーカ51,56による演出が切り替えられるときに、音声出力方向が遊技者の顔の位置を向くようにスピーカ51,56の向きが調整される。したがって、遊技者の顔の位置によってスピーカ51,56からの音が聞こえにくくなるのを防止することができる。
【0124】
また、本実施形態では、演出画像の表示が2D表示から3D表示に切り替えられるとき、つまり、遊技者が顔を移動させる可能性が高いときにスピーカ51,56の向きが調整される。このため、遊技者の顔の位置によってスピーカ51,56からの音が聞こえにくくなるのを効果的に防止することができる。
【0125】
また、本実施形態では、客待ち状態が解除されるとき(客待ち画像が演出画像に切り替えられるとき)にスピーカ51,56の向きが調整されるので、遊技者が変わった場合でも、スピーカ51,56の音声出力方向を遊技者の顔の位置に応じた適切な向きに調整することができる。
【0126】
また、本実施形態では、遊技者が容易に聞き取れる音であるべき告知音が出力されるタイミングでスピーカ51,56の向きが調整されるので、遊技者の顔の位置によってスピーカ51,56からの音が聞こえにくくなるのを効果的に防止することができる。
【0127】
[変形例]
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下の形態であってもよい。すなわち、上記実施形態では、遊技者の顔の位置を検知するために測距センサ61を使用する場合について説明したが、前方に遊技者がいるか否かに応じてON/OFFの信号を出力するより簡易的な光センサを併用したり、或いは測距センサ61に代えて光センサを用いてもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、遊技者による遊技が開始されるタイミング、液晶表示器5によって3D表示が開始されるタイミング、又はスピーカ51,56から告知音が出力されるタイミングでスピーカ51,56の向きを補正する場合について説明したが、スピーカ51,56の向きを補正するタイミングは、他のタイミングであってもよい。例えば、装飾図柄の変動表示が所定回数(例えば10回)行われる毎にスピーカ51,56の向きを補正するようにしてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、測距センサ61の検知結果に基づいてスピーカ51,56の向きを調整する場合について説明したが、演出キー38を介して遊技者に身長(或いは座高)を入力させて、その入力情報を更に考慮してスピーカ51,56の向きを調整するようにしてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、ランプ制御部150のCPU151が測距センサ61の検知結果に基づいて遊技者の顔の位置を検知する場合について説明したが、測距センサ61からのセンサ信号を演出制御部130へ出力して、演出制御部130のCPU131に遊技者の顔の位置を検知させるようにしてもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、パチンコ遊技機1が2つのスピーカ51,56を備える場合について説明したが、スピーカの数は2つの限定されるものではなく、1つ或いは3つ以上であってもよい。また、スピーカは、超指向性スピーカに限定されるものではなく、指向性がない無指向性スピーカや超指向性スピーカに比べて音の拡散角度が若干広い指向性スピーカであってもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、本発明がパチンコ遊技機に適用された場合を例に説明したが、本発明は、例えばスロットマシン等の他の遊技機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0133】
1 パチンコ遊技機(本発明の遊技機の一例)
2 遊技盤(本発明の遊技機本体に相当)
5 液晶表示器(本発明の演出手段の一例、本発明の画像表示器の一例)
51 左スピーカ(本発明の演出手段の一例、本発明のスピーカに相当)
55A,55B,55C,55D 調整モータ(本発明の向き補正手段の一部)
56 右スピーカ(本発明の演出手段の一例、本発明のスピーカに相当)
61A,61B,61C 測距センサ(本発明の位置検知手段の一部)
130 演出制御部
131 CPU(本発明の第1判定手段、第2判定手段の一例)
140 画像音響制御部
141 CPU(本発明の報知手段の一例)
150 ランプ制御部
151 CPU(本発明の位置検知手段の一部、向き補正手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声出力方向を変更可能なスピーカを備える遊技機であって、
遊技機本体に対する遊技者の顔の位置を検知する位置検知手段と、
演出手段による演出の切り替えタイミングであるか否かを判定する第1判定手段と、
切り替えタイミングであると前記第1判定手段によって判定された場合に、前記音声出力方向が前記位置検知手段によって検知された位置を向くように、前記スピーカの向きを補正する向き補正手段とを備える、遊技機。
【請求項2】
前記演出手段は、演出画像を2D表示又は3D表示する画像表示器であり、
前記第1判定手段は、前記切り替えタイミングとして、前記画像表示器による前記演出画像の表示態様が切り替えられるタイミングであるか否かを判定する、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記画像表示器による前記演出画像の表示態様が2D表示から3D表示に切り替えられるのに伴って、前記位置検知手段の検知結果に基づいて、遊技者の顔の位置が3D表示される前記演出画像を見るのに適した位置であるか否かを判定する第2判定手段と、
適した位置ではないと前記第2判定手段によって判定された場合に、顔の移動を促す情報を報知する報知手段とを備える、請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記演出手段は、遊技者による遊技中に演出画像を表示する一方で、遊技者によって遊技されていないときには客待ち画像を表示する画像表示器であり、
前記第1判定手段は、前記切り替えタイミングとして、前記画像表示器に表示される画像が前記客待ち画像から前記演出画像に切り替えられるタイミングであるか否かを判定する、請求項1から3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記演出手段は、前記スピーカであって、
前記第1判定手段は、前記切り替えタイミングとして、前記スピーカから特定の音が出力されるタイミングであるか否かを判定する、請求項1から4のいずれかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−130508(P2012−130508A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284800(P2010−284800)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】