説明

遊技機

【課題】液晶表示装置に表示する複数のムービーの管理を容易にする。
【解決手段】スロットマシンにおける第1停止〜第3停止の操作それぞれを契機として表示される複数のムービーがあるときに、これらムービーを一つのムービーファイルにまとめるとともに、各ムービーの先頭にGOPを設け、これに基づきアクセス可能・表示可能に構成する。複数のムービーをひとつにまとめているのでムービーの数が減り、管理が容易になる。さらに、ムービー表示中には次のムービーの表示開始を待機するので、契機のタイミングによらず、ムービーの一部が表示されないということが生じない。例えば、ストップボタンの押下で画像が飛ぶことがなくなり、契機でのムービーの繋がりがきれいになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンやパチンコ機のような遊技機に関し、特に液晶表示装置などの表示装置を備える遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、遊技媒体(メダル)に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
遊技機では、遊技の興趣向上を図るべく様々な演出がなされる。例えば、装飾部材、モニタ(画面表示装置、液晶表示装置)、スピーカ、LEDランプを取り付け、見た目による演出、映像による演出、音による演出、光による演出等が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−290513号公報 3Dポリゴンのキャラクターを、停止操作が行われたことを契機に、異なる角度から見せるように画像を切り替える。
【特許文献2】特開2006−325619号公報 停止操作契機で次の演出表示に切り替える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶表示装置には、1遊技内で行われる演出に関して様々なムービー(動画)が表示される。これらのムービーには、所定の契機をトリガーとして表示が開始されるものがある。この種の契機としてストップボタンの押下(いわゆる第1停止、第2停止、第3停止)がある。
【0006】
従来の遊技機では、複数のムービーが別々に管理されていた。言い換えれば、複数のムービーファイル(MPEGなど)が存在し、所定の契機に応じて対応するいずれかのムービーファイルが読み出され、これに基づきムービーが表示されていた。
【0007】
このやり方では、複数のムービーファイル(以下の説明では、「ムービーファイル」を「ムービーデータ」や「ムービー」と表示することがある)を管理しなければならず煩雑である。また、ムービー間での繋がりの悪さが見られた(この点についてはさらに後述する)。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、管理が容易でしかもムービー間で繋がりが悪くなるという問題を解消することのできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行するメイン基板と、前記メイン基板からコマンドを受けて演出に関する処理を実行するサブ基板と、前記演出に係る表示を行うための画面表示部と、前記サブ基板からのコマンドに基づき前記画面表示部を制御する画面表示部制御部とを備える遊技機において、
前記画面表示部制御部は、少なくとも、所定のムービーデータに基づき前記画面表示部に所定の動画を表示することにより予め定められた演出を行うものであり、
前記ムービーデータは、予め定められた複数の契機にそれぞれ対応付けられている複数の部分ムービーデータを含み、複数の前記部分ムービーデータは表示の順番に従って配列されているとともに、前記部分ムービーデータの先頭にはそれぞれアクセスポイントが設けられており、前記アクセスポイントに基づき複数の前記部分ムービーデータのいずれかが読み出され、
前記画面表示部制御部は、
前記複数の契機のいずれかが生じたとき、複数の前記部分ムービーデータから当該契機に対応付けられているものを選択し、これに対応する前記アクセスポイントを取得し、
現在表示されているムービーについてその表示位置を取得し、
前記現在表示されているムービーの表示位置が、取得した前記アクセスポイントに到達しているかどうか判定し、
前記現在表示されているムービーの表示位置が、取得した前記アクセスポイントに到達していないときは、当該表示位置が前記アクセスポイントに到達するまで待機し、
前記現在表示されているムービーの表示位置が、取得した前記アクセスポイントに到達しているときは、当該アクセスポイントに基づきこれに対応する前記部分ムービーデータの表示を開始する、ものである。
【0010】
複数の回胴と、前記複数の回胴の回転を開始させるためのスタートスイッチと、前記複数の回胴の回転をそれぞれ停止させるための複数のストップボタンと、メダル投入に代わる操作を行うためのベットスイッチ、精算を行うための精算スイッチ、又は、所定の演出を行わせるための演出用スイッチなどのスイッチであって前面に設けられて遊技者が操作し得るスイッチ類とを備える遊技機において、
前記複数の契機は、例えば、前記スタートスイッチの押下、前記複数のストップボタンの押下、及び、前記スイッチ類の操作の少なくともいずれかである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、所定の契機に対応して表示される複数のムービーがあるときに、これらムービーをムービーファイルにまとめるとともに、各ムービーの先頭にアクセスポイントを設け、これに基づき表示を行うようにしたので、ムービーの数が減り、管理が容易になる。さらに、ムービー表示中には次のムービーの表示開始を待機することで、契機のタイミングによらず、ムービーの一部が表示されないということが生じない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図2】前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図3】スロットマシンのブロック図である。
【図4】スロットマシンの遊技処理のフローチャートである。
【図5】サブ基板と周辺基板の通信系統の説明図である。
【図6】VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)の機能ブロック図である。
【図7】VDPにおける描画データ保存、描画実行及び表示の各処理の説明図(タイミングチャート)である。
【図8】発明の実施の形態に係るムービーデータの構造の説明図である。
【図9】発明の実施の形態に係るムービー再生処理のフローチャートである。
【図10】発明の実施の形態に係るムービー再生の説明図である。
【図11】図11(a)は比較例に係るムービーデータの構造の説明図、図11(b)は比較例に係るムービー再生の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
【0014】
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1及び図2に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1及び図2に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
【0015】
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップボタン140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
【0016】
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴からなるリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1回胴〜第3回胴)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
【0017】
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
【0018】
また、メダルセレクタ1の下側には、図1及び図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0019】
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
【0020】
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
【0021】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0022】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0023】
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。周辺基板とは、サブ基板20により制御されるものであり、主に映像、光、音響により演出を行うものである。なお、以下の説明では、便宜上、液晶制御基板200とその他の周辺基板を区別して説明を行う。
【0024】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
【0025】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0026】
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0027】
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
【0028】
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
【0029】
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0030】
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1050から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
【0031】
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
【0032】
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0033】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
【0034】
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0035】
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
【0036】
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
【0037】
また、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
【0038】
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
【0039】
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
【0040】
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップボタン140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0041】
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
【0042】
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
【0043】
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
【0044】
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0045】
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
【0046】
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0047】
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
【0048】
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
【0049】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
【0050】
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
【0051】
次に、遊技機における遊技処理について図4を参照して説明を加える。図4のS1乃至S8の処理は、全てメイン基板10が行う。
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
【0052】
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、図4の処理が開始される。
【0053】
ステップS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップS2に進む。
【0054】
ステップS2において、メイン基板10の内部抽選手段1200により抽選処理が行われる。そして、次のステップS3に進む。
【0055】
ステップS3において、リール制御手段1300により第1リール〜第3リールの回転が開始する。そして、次のステップS4に進む。
【0056】
ステップS4において、ストップボタン140が操作されることにより、ストップボタン140がONとなる。そして、次のステップS5に進む。
【0057】
ステップS5において、リール制御手段1300により第1リール〜第3リールのうち押下されたストップボタン140に対応するリールについて回転停止処理が行われる。そして、次のステップS6に進む。
【0058】
ステップS6において、リール制御手段1300により三個のリールに対応するストップボタン140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個のリールに対応する3つのストップボタン140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップS7に進む。
【0059】
ステップS7において、入賞判定手段1400により抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
【0060】
ステップS8において、払出制御手段1500により入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0061】
メダルの投入からステップS8の実行完了までが、一遊技である。ステップS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
【0062】
図5は、サブ基板20とその周辺基板の接続の説明図である。図3に示すように、サブ基板20には、液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202が接続されている。これらは、サブ基板20の周辺基板と言うべきものである。
【0063】
これら複数の周辺基板は、図5のように接続されている(スピーカ基板201の表示は省略している)。すなわち、複数の周辺基板が共通のバスに接続され、当該バスを通じてサブ基板20と通信を行う。当該バスを流れる信号は、パラレル信号(例えば8ビットの線で信号を伝送するもの)あるいはシリアル信号(例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)のようにデータ線とクロック線の2本の線で信号を伝送するもの)である。なお、図5の例ではサブ基板20から出た信号がサブ基板20に戻っているが、これは一例であり、一般的なバス構造のように接続端の反対側の端が開放されていてもよい。
【0064】
サブ基板20から周辺基板へは、アドレスを指定してデータを送る。例えば、周辺基板としての液晶制御基板200へデータを送る場合は、液晶制御基板200に予め対応づけられているアドレスを指定してデータをバスに流す。液晶制御基板200は、アドレスにより自分宛のデータであることを認識すると、アドレスに引き続くデータをラッチに取り込む。取り込んだデータに従って所定の動作を行う。取り込んだデータが、液晶制御基板200で取得したあるいは取得可能なデータをサブ基板20へ送信するコマンドであれば、当該データをサブ基板20へ送信する(所定のデータ受信後は、予め定められたデータを常にサブ基板20へ送信するようにすることもできる)。
【0065】
図6は、VDPの構造の概略図である。VDPは、液晶制御基板に設けられたLSIであり、CPUとのインタフェースI/F、CPUからのコマンドに従い画像を描画する描画エンジンE1、描画した画像を記憶するビデオメモリVRAM、及び、ビデオメモリVRAMに記憶された画像を読み出して液晶表示装置LCDへ送る表示エンジンE2を備える。これらの各要素は、内部のバスBUSに接続され、相互にデータを読み書きできるようになっている。インタフェースI/Fは、CPUからコマンドなどのデータを受けるとともに、表示エンジンE2などからの割り込み信号をCPUへ出力することもできる。このVDPは、例えば、XGAサイズの解像度(1024×768ピクセルの解像度)で毎秒60フレームの描画及び表示が可能である。
【0066】
液晶表示装置LCDの制御は、図7に示すように、描画データ(液晶表示装置に対するコマンド、動画デコード情報などを含む)の保存、描画データに基づく描画実行、描画された画像の表示実行の3段階で行われる。すなわち、CPUがVDPへ描画データを送り、VDPの描画エンジンE1が描画を実行し、表示エンジンE2が液晶表示装置LDCでの画像表示を行う。この3段階の処理はそれぞれ並列(独立)に実行される。
【0067】
液晶制御基板200は、図示しないがメモリを備えていて、予めムービーデータ(MPEGなど)を記憶している。記憶されているムービーデータは上記描画データに相当する。VDPは、当該ムービーデータに基づき描画を行い、液晶表示装置LCDにムービーを表示する。ムービーデータ及びこのファイル形式並びにその処理は公知であるので、その説明は省略する。
【0068】
図8は、発明の実施の形態に係るムービー(以下の説明において、特に断らない限りは「ムービー」は「ムービーファイル」や「ムービーデータ」を意味する)の説明図である。
【0069】
M1〜M3は、それぞれ異なる内容のムービーである。ムービーM1〜M3は、予め定められた複数の契機にそれぞれ対応付けられている(当該契機については後述する)。これら3つのムービーM1〜M3がひとつの演出に係る表示の順番に従ってひとつのファイルにまとめられている。このひとつのファイルは「ムービーファイル」や「ムービーデータ」であり、ムービーM1〜M3はそれぞれその一部であるから「部分ムービーファイル」や「部分ムービーデータ」と呼ぶことができる。
【0070】
また、各ムービーの先頭にはGOP(インデックス、アクセスポイント、指標)が設けられている。GOPとはGroup Of Picturesの略であり、一般的には、MPEG技術において、Iピクチャを少なくとも1枚含むピクチャの集合のことであるが、本明細書では、ピクチャの集合であるムービーの先頭位置を示す情報を意味する。すなわち、液晶制御基板200のCPUはGOPに基づきこれに対応するムービーを読み出して液晶表示装置LCDに動画を表示することができる。図8において、ムービーM1〜M3のGOPをそれぞれ符号α〜γで示している。GOP及びこれに基づくムービーの読み出し処理並びに表示処理そのものは公知であるので、その説明は省略する。
【0071】
図9は、発明の実施の形態に係る処理フローチャートである。同図の処理は、所定の契機がなされたときに行われ、当該契機に予め対応付けられているムービーを表示するものである。
【0072】
所定の契機とは、典型的には、ストップボタンの押下である。すなわち、図4のS4でYESとなったときに図9の処理が実行される。ストップボタンは左・中・右と3つあり任意の順番で操作されるが、最初の押下は第1停止、次の押下は第2停止、最後の押下は第3停止と呼ばれる。ここで例えば、図8のムービーM1〜M3はそれぞれ第1停止〜第3停止に対応し、図9の処理は第1停止〜第3停止について繰り返し実行されるものとする。つまり、第1停止でムービーM1が表示され、第2停止でムービーM2が表示され、第3停止でムービーM3が表示される。
なお、前記所定の契機として、ストップボタンの押下の他にも、スタートスイッチ134の押下、ベットスイッチBETの押下、精算スイッチの押下、図示しない演出用ボタンの押下を採用することができる。遊技者が操作し得るスイッチ類であれば採用可能であり、このときの処理はストップボタンの押下の場合と同様である。以下の説明では、もっぱらストップボタンの押下を例として取り上げる。
【0073】
液晶制御基板200は、第1停止〜第3停止のいずれかに予め対応付けられたGOP(ムービーの開始位置をしめすもの)を指定して、ムービー(部分ムービーデータ)M1〜M3を読み出すことによりムービーM1〜M3のいずれかを読み出す。
【0074】
液晶制御基板200は、第1停止〜第3停止のいずれかが生じたとき、ムービーM1〜M3から当該契機に対応付けられているものを選択するとともに、これに対応するGOPを取得する。図8の例では、第1停止、ムービーM1のときは符号αのGOPを取得し、第2停止、ムービーM2のときは符号βのGOPを取得し、第3停止、ムービーM3のときは符号γのGOPを取得する。そして、液晶制御基板200は図9の処理を実行する。
【0075】
S100:液晶制御基板200は、現在表示している演出についてGOPに到達したかどうか判定する。
【0076】
図8の例では、第2停止を契機としてムービーM2を表示すべく図9の処理を始めた場合は、符号βのGOPに到達しているとき(既に到達して待機している場合も含む)、S100でYESとなる。到達していないとき(言い換えればムービーM1を表示中であるとき)、S100でNOとなる。第3停止の場合は符号γのGOPと比較するが、他の点は第2停止の場合と同様である。ここで、GOPへの到達の有無を、いわばムービー再生のトリガーとして扱うようにしている。
【0077】
第1停止の場合、これに対応するムービーM1は最初のムービーである。停止操作の前にムービーが表示されていない場合において、ムービーM1を直ちに再生して表示することができる。これは、現在表示している演出(表示すべき演出)がGOPに到達していることに相当するから、S100で常にYESとなる(ムービーが表示されていないものとする)。
なお、停止操作の前にムービーが表示されている場合においては、第1停止においてもムービーM1を直ちに再生して表示することができない、この場合はS100でYESとはならないから、第2停止、第3停止と同様に待機処理を行う。
【0078】
なお、現在表示している演出についてGOPに到達したかどうかを判定する処理自体は公知であるので、その説明は省略する。
【0079】
S101:S100でNOであるとき、液晶制御基板200は、現在表示しているムービーの処理を継続しつつ、それがGOPに到達するまでS102の処理の実行を待機する。
待機することで、やがてS100でYESとなる。
【0080】
S102:液晶制御基板200は、到達したGOPから次のムービーを開始する。
ムービーの再生処理は公知であるので、その説明は省略する。
【0081】
図9の処理によるムービー再生の一例を、図10を参照して説明する。
図中、t1は第1停止操作の時刻、t2は第2停止操作の時刻、t3は第2停止操作後にムービーM2のGOP(符号β)に到達した時刻、t4はムービーM2が終了した時刻、t5は第3停止操作の時刻を示す。
【0082】
時刻t1において第1停止となる。するとムービーM1の表示が直ちに開始される(図9のS100でYESとなり、S102が直ちに実行される)。
【0083】
時刻t2において第2停止となる。このt2のタイミングではまだムービーM1が表示されているので、それが完了されるまで(符号βのGOPに到達するまで)、ムービーM2の処理が待たされる(図9のS100でNO,S101が実行される)。そして、GOP到達後にムービーM2の表示が開始される(図9のS102)。
【0084】
時刻t5において第3停止となる。このt5のタイミングではムービーM3のGOP(符号γ)に到達している(ムービーM2の表示が既に終了している)。このため、ムービーM3の表示が直ちに開始される(図9のS100でYESとなり、S102が直ちに実行される)。なお、時刻t4〜t5における液晶表示装置LCDの表示画面は任意である。例えば、ムービーM2の最後の画像がずっと表示されている。
【0085】
図9の処理によれば、ムービー間での繋がりの悪さが生じるという問題が軽減されている。この作用効果は、図11の比較例と比較することで理解することができる。
【0086】
図11(a)は、各ムービーが独立したファイルとなっている例を示す。この例に対して、図9の処理(特にS100とS101)は行わない。
【0087】
図11(b)は、各ムービーが独立したファイルとなっている例におけるタイミングチャートである。この図は、前述の図10に相当するものである。
【0088】
図11(b)では、時刻t1において第1停止となる。するとムービーM1の表示が直ちに開始される(この点は図9の処理でも同じである)。
【0089】
時刻t2において第2停止となる。このt2のタイミングではまだムービーM1が表示されているが、ムービーM1は打ち切られて、ムービーM2の処理が直ちに開始される。この結果、ムービーM1の最後の部分(図10のt2からt3にかけての表示)は再生されないことになる。
【0090】
時刻t3において第3停止となる。するとムービーM3の表示が直ちに開始される。
【0091】
ところで、時刻t4’からt5’まではムービー間の隙間であるが、図11(b)の期間は、図10の時刻t4からt5までの期間よりも長くなっている。これは、上述のようにムービーM1の最後の部分が再生されないためである。当該隙間(ムービーが表示されない期間)はなるべく短い方が好ましいが、図11(b)では長くなっている。
【0092】
以上の考察から理解できるように、本発明の実施の形態に係る遊技機は次の効果を奏する。
(1)契機のタイミングによらず、ムービーの一部が表示されないということが生じない。例えば、ストップボタンの押下で画像が飛ぶことがなくなり、契機でのムービーの繋がりがきれいになる。
(2)契機のタイミングによってはムービー間に隙間が生じるが、この隙間を短くすることができる。
【0093】
さらに、(3)複数のムービーをひとつにまとめているのでムービーの数が減り、管理が容易である、という効果も奏する。
【0094】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0095】
10 メイン基板
20 サブ基板
200 液晶制御基板(画面表示部制御部)
LCD 液晶表示装置(画面表示部)
M1〜M1 部分ムービー(部分ムービーデータ)
VDC ビデオディスプレイプロセッサ(画面表示部制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行するメイン基板と、前記メイン基板からコマンドを受けて演出に関する処理を実行するサブ基板と、前記演出に係る表示を行うための画面表示部と、前記サブ基板からのコマンドに基づき前記画面表示部を制御する画面表示部制御部とを備える遊技機において、
前記画面表示部制御部は、少なくとも、所定のムービーデータに基づき前記画面表示部に所定の動画を表示することにより予め定められた演出を行うものであり、
前記ムービーデータは、予め定められた複数の契機にそれぞれ対応付けられている複数の部分ムービーデータを含み、複数の前記部分ムービーデータは表示の順番に従って配列されているとともに、前記部分ムービーデータの先頭にはそれぞれアクセスポイントが設けられており、前記アクセスポイントに基づき複数の前記部分ムービーデータのいずれかが読み出され、
前記画面表示部制御部は、
前記複数の契機のいずれかが生じたとき、複数の前記部分ムービーデータから当該契機に対応付けられているものを選択し、これに対応する前記アクセスポイントを取得し、
現在表示されているムービーについてその表示位置を取得し、
前記現在表示されているムービーの表示位置が、取得した前記アクセスポイントに到達しているかどうか判定し、
前記現在表示されているムービーの表示位置が、取得した前記アクセスポイントに到達していないときは、当該表示位置が前記アクセスポイントに到達するまで待機し、
前記現在表示されているムービーの表示位置が、取得した前記アクセスポイントに到達しているときは、当該アクセスポイントに基づきこれに対応する前記部分ムービーデータの表示を開始する、ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
複数の回胴と、前記複数の回胴の回転を開始させるためのスタートスイッチと、前記複数の回胴の回転をそれぞれ停止させるための複数のストップボタンと、メダル投入に代わる操作を行うためのベットスイッチと、精算を行うための精算スイッチと、所定の演出を行わせるための演出用スイッチとを備え、
前記複数の契機は、前記スタートスイッチ、前記ストップボタン、前記ベットスイッチ、前記精算スイッチ、又は、前記演出用スイッチの少なくともいずれかの操作であることを特徴とする請求項1記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−31586(P2013−31586A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169665(P2011−169665)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】