説明

遊技機

【課題】メータ演出における抽選処理の簡素化を通じて処理負荷の軽減を図ると共に、基板間で伝達される情報量を削減することで、メータ演出をスムーズに遂行する。
【解決手段】本発明の遊技機では、第1制御基板のコマンド決定手段334が、遊技者による操作に応じて、1または複数の単位区画をグループ化した単位領域386を決定し、コマンド送信手段336が、コマンド決定手段によって決定された単位領域に対応する識別子を含む演出コマンドを送信し、第2制御基板の演出実行手段364が、第2メータカウンタによって示される単位区画382にゲージ384を位置させて表示部に表示し、ゲージ停止手段366が、演出コマンドから単位領域に対応する識別子を抽出し、抽出した単位領域に属する単位区画にゲージを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者による操作に応じてメータ演出を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機としてのスロットマシンでは、遊技者によるメダル(遊技媒体)の投入およびスタートスイッチの操作に応じて、当選役の抽選を行うと共に、種々の図柄が記された複数の回転リールが回転する。そして、抽選結果と遊技者によるストップスイッチの操作に応じて回転リールが順次停止され、払い出しの対象となるラインである有効ライン上に、当選役に対応する図柄組み合わせが表示されると、所定枚数のメダルが払い出されるなど、当選役に応じた遊技上の利益が遊技者に付与されることとなる。
【0003】
また、スロットマシンでは、表示部を通じて遊技者に当選役を示唆する演出を行うことで、遊技者が当選役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示できるように促したり、遊技者に当選役に対する期待感を持たせたりすることが行われている。さらに、そのような演出を動的に行い、遊技者による操作に応じ、当選役が当選したか否かを示唆する表示部上の最終表示を変化させることで、恰も遊技者の操作によって当選役が決定されたかのように報知し、遊技者を演出に関与させることも行われている。例えば、特許文献1では、表示部に帯状のメータを出現させ、メータ上をゲージが往復移動し、遊技者の操作に応じてゲージの停止位置を変化させるメータ演出が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−142403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなスロットマシンの内部には、上記の各種遊技動作を制御するための複数の制御基板が設けられ、それぞれが遊技上の役割を分担している。例えば、マスタに相当する主制御基板は、遊技を進行するための総括的な処理を行い、その処理結果は、遊技に関するコマンドとして、スレーブに相当する周辺の制御基板に伝達される。そして、周辺の制御基板は上記コマンドに基づいて、周辺の制御基板ごとに分担された処理を遂行する。このような複数の制御基板の連携により遊技が進行することとなる。
【0006】
例えば、上述したメータ演出では、主制御基板が抽選により当選役を決定した後、副制御基板が、決定された当選役に基づき、メータにおけるゲージ(移動する指標)の停止位置を抽選により決定して液晶制御基板に送信し、液晶制御基板が、表示部にメータを表示させ、そのメータ上をゲージが往復移動する演出を実行させると共に、決定された停止位置にゲージを停止表示する。メータ演出では、メータ上をゲージが移動する視覚効果を高めるためゲージが移動する単位である単位区画が多数設けられている。しかし、多くの単位区画から1の単位区画を抽選する構成では、大容量のテーブルを要すると共に抽選処理が煩雑になり、また、副制御基板から液晶制御基板に送信されるコマンドの情報量も増えて、処理負荷の増大を招いていた。
【0007】
また、副制御基板は、このようなメータ演出を表示させるためのコマンドと同一契機に、液晶表示部に他の演出を表示するためのコマンドも送信しなくてはならないので、短時間に処理が集中し、処理負荷の増大に伴ってコマンドのスムーズな送受信やメータ上のゲージのスムーズな移動に影響を与えるおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、メータ演出における抽選処理の簡素化を通じて処理負荷の軽減を図ると共に、基板間で伝達される情報量を削減することで、メータ演出をスムーズに遂行することが可能な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、遊技の演出に関するコマンドを決定するコマンド決定手段と、決定されたコマンドを送信するコマンド送信手段と、を有する第1制御基板と、第1制御基板から受信したコマンドに基づいて、メータを模した複数の単位区画上をゲージが移動し、遊技者の操作に応じて、いずれかの単位区画にゲージが停止するメータ演出を実行する演出実行手段を有する第2制御基板と、を備えた遊技機であって、コマンド決定手段は、遊技者による操作に応じて、1または複数の単位区画をグループ化した複数の単位領域から1の単位領域を決定し、コマンド送信手段は、コマンド決定手段によって決定された単位領域に対応する識別子を含む演出コマンドを送信し、第2制御基板は、ゲージが現在位置する単位区画を示す第2メータカウンタを備え、演出実行手段は、第2メータカウンタによって示される単位区画にゲージを位置させて表示部に表示し、演出コマンドから単位領域に対応する識別子を抽出し、抽出した単位領域に属する単位区画にゲージを停止させるゲージ停止手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
ゲージ停止手段は、演出コマンドの受信に応じ第2メータカウンタを通じてゲージが位置する単位区画を特定し、特定された単位区画が属する単位領域と、演出コマンドから抽出した識別子に対応する単位領域とが異なる場合に、当該演出コマンドから抽出した識別子に対応する単位領域に属する単位区画の中で、ゲージが位置する単位区画に最も近い単位領域に属する単位区画にゲージを停止させるとしてもよい。
【0011】
第1制御基板は、第2メータカウンタと同期した、ゲージが現在位置する単位区画を示す第1メータカウンタを備え、コマンド決定手段は、遊技者の操作に応じ第1メータカウンタを通じてゲージが現在位置する単位区画を特定し、特定された単位区画を参照し、遊技者による操作に応じて単位領域を決定してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メータ演出における抽選処理の簡素化を通じて処理負荷の軽減を図ると共に、基板間で伝達される情報量を削減することで、メータ演出をスムーズに遂行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための外観図である。
【図2】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための前面扉を開いた状態での外観図である。
【図3】リールの図柄配列を示す図である。
【図4】スロットマシンの概略的な電気的構成を示したブロック図である。
【図5】有効ラインおよび各テーブルを説明するための説明図である。
【図6】メータ演出の動作を説明するための説明図である。
【図7】ボーナス役の当選を示唆するメータ演出の演出テーブルを示した説明図である。
【図8】主制御基板のメイン処理を示したフローチャートである。
【図9】副制御基板のサブ処理を示したフローチャートである。
【図10】副制御基板のコマンド受信処理を示したフローチャートである。
【図11】副制御基板のサブスライド処理を示したフローチャートである。
【図12】液晶制御基板の処理を示したフローチャートである。
【図13】液晶制御基板のコマンド受信処理を示したフローチャートである。
【図14】液晶制御基板の処理を模式的に示した説明図である。
【図15】液晶制御基板の液晶スライド処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技者が遊技可能なスロットマシン(遊技機)の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、スロットマシンの各基板における具体的な処理を説明する。
【0016】
(スロットマシン100の機械的構成)
図1や図2の外観図に示すように、スロットマシン100は、略矩形状の箱体である筐体102と、筐体102の前面開口部に対して回動可能な連結部材により開閉可能に取り付けられた前面上扉104と、前面上扉104の下方に位置し、前面上扉104同様、筐体102の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面下扉106と、前面下扉106の下部に位置し、メダル排出口108aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部108とを備えている。
【0017】
前面下扉106の上部には操作部設置台122が形成され、操作部設置台122には、メダル投入部124、ベットボタン126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130等が配設されている。
【0018】
操作部設置台122の右側に位置するメダル投入部124は、メダル投入口(投入口)124aを通じて遊技媒体としてのメダルの投入を受け付け、前面下扉106の背面に設けられたメダルセレクタ(図示せず)にメダルを送る。メダルセレクタには、メダルの投入が可能な投入期間外に投入されたメダルや規格外のメダルをメダル排出口108aに導くブロッカー(図示せず)と、投入期間内に投入された規格内のメダルの通過を検出する投入メダル検出部124bとが設けられている。ここで、メダル排出口108aに導かれたメダルは受け皿部108に排出される。遊技者により、1遊技を開始するために必要なメダルの投入枚数である規定数を超えてメダルが投入されると、その規定数を超えた分のメダルが、所定枚数(例えば50枚)を上限としてスロットマシン100の内部に電子的に貯留(以下、単に「クレジット」という。)される。ここで、1遊技は、メダルの投入を契機として1度の払い出しを受け得る一連の遊技をいう。また、ここでは、規定数は「3」に設定されている。
【0019】
ベットボタン126は、クレジットされているメダルのうち規定数のメダルを投入(ベット)する、押圧式のボタンスイッチである。また、本実施形態において、ベットボタン126は、後述するメータ演出中において、メータ上を移動するゲージを停止させる操作にも用いられる。精算ボタン132は、クレジットされているメダルの返却(精算)要求操作を受け付ける、押圧式のボタンスイッチである。
【0020】
操作部設置台122の左側に位置するスタートスイッチ128は、傾倒操作を検出可能なレバーで形成され、遊技者による1遊技の開始操作を検出する。また、スタートスイッチ128は、押圧操作を検出可能なボタンスイッチによって形成することも可能である。
【0021】
前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓136が設けられ、筐体102内の図柄表示窓136に対応した位置には、リールユニット134が設けられている。リールユニット134には、図3に示すように、21に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列された3つの回転リール(左リール134a、中リール134b、右リール134c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられ、遊技者は、図柄表示窓136を通じて、左リール134a、中リール134b、右リール134cを視認することができる。リールユニット134は、スタートスイッチ128の操作を契機として、左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転を開始する。
【0022】
操作部設置台122の中央に位置するストップスイッチ130は、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれに対応して設けられた、遊技者の押圧操作を検出可能なボタンスイッチであり、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれを停止させようとする遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ130に係る3つのボタンスイッチを特にストップボタンスイッチ130a、130b、130cとよぶ。
【0023】
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な映像を表示する液晶表示部(表示部)138が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ142が設けられる。
【0024】
また、図2に示すように、前面上扉104の裏面における液晶表示部138の左右位置や前面下扉106の裏面における内面左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ140が設けられている。さらに、筐体102内におけるリールユニット134の下方には、メダル排出口108aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)264が設けられている。メダル払出装置264は、メダルを貯留するメダル貯留部264aと、メダル貯留部264aに貯留されたメダルをメダル排出口108aから排出するための払出制御部264bと、メダル排出口108aから排出されるメダルを検出するメダル検出部264cとを備えている。具体的に払出制御部264bは、当該払出制御部264bの本体外装に回転可能に支持され、メダル貯留部264aから落下したメダルが上方より1枚ずつ嵌入するメダル嵌入孔を円周方向に複数配してなるディスク(図示せず)と、かかるディスクを回転するディスクモータ(図示せず)とを備え、このディスクを回転させて、メダル嵌入孔に嵌入したメダルを、押出機構を通じて1枚ずつ外部に排出すると共に、排出により空いたメダル嵌入孔に次のメダルを順次嵌入させることで、メダルを1枚ずつ連続排出する。
【0025】
また、図1や図2では図示していないが、リールユニット134の背面側には、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれに施された図柄のうち、図柄表示窓136に対応する(有効ラインの対象となり得る)各回転リールの上段、中段、下段の図柄を背面から個々に独立して照射するリールバックライト144(図4参照)が設けられている。また、図柄表示窓136の裏面上部にも左リール134a、中リール134b、右リール134c全ての正面を直接照射するリール上方ライト146が設けられている。
【0026】
また、図1に示すように、操作部設置台122において、図柄表示窓136とストップスイッチ130との間に設けられた段部122aの略水平面には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が設けられている。また、図柄表示窓136と操作部設置台122との間には、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158が設けられている。これらメインクレジット表示部152およびサブクレジット表示部156にはクレジット枚数が表示され、メイン払出表示部154およびサブ払出表示部158にはメダルの払出枚数が表示される。なお、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158には、演出に伴う様々な数値を表示することもできる。
【0027】
(スロットマシン100の電気的構成)
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。図4に示すように、スロットマシン100は、主として、主制御基板200と、副制御基板(第1制御基板)202と、液晶制御基板(第2制御基板)204とによって制御されている。ここでは、遊技の進行に関わるプログラムのうち、遊技に供する当選役の抽選やその入賞といったような、特に重要な処理を主制御基板200で実行し、それ以外の例えば演出に関する処理を副制御基板202や液晶制御基板204で実行している。
【0028】
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む各種半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、抽選手段304、リール回転手段306、リール停止手段308、判定手段310、払出手段312を有する。かかる機能部の動作は後ほど詳述する。ただし、メインRAM200cには不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。
【0029】
主制御基板200では、投入メダル検出部124b、ベットボタン126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130および精算ボタン132から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。また、主制御基板200には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が接続されており、払出手段312が両表示部152、154に対してメダルのクレジット枚数や払出枚数の表示を制御する。
【0030】
また、主制御基板200には、リール駆動制御部258が接続されている。このリール駆動制御部258は、スタートスイッチ128の操作信号に基づき主制御基板200から送信される回転リールの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ262を駆動すると共に、ストップスイッチ130の操作信号に基づき主制御基板200から送信される、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路260の検出信号に基づいて、ステッピングモータ262の駆動を停止する。
【0031】
また、主制御基板200には、メダル払出装置264が接続されている。主制御基板200には払出メダル検出部264cの検出信号が入力されるようになっており、払出手段312は、その検出信号に応じてメダルの払出枚数をカウントしながら払出制御部264bからのメダルの排出を制御する。
【0032】
また、主制御基板200には、乱数発生器256が設けられる。乱数発生器256は、計数値を順次インクリメントし、所定の数値範囲内でループさせ、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を得る。乱数発生器256によって生成される乱数は、遊技者に付与する遊技上の利益、ここでは特に当選役を決定するために用いられる(当選役抽選乱数)。
【0033】
(主制御基板200で用いられるテーブル)
スロットマシン100においては、遊技の進行に際して複数の遊技状態が設けられており、これら遊技状態および設定値に対応する複数の当選役テーブル等がメインROM200bに格納されている。抽選手段304は、メインRAM200cに記憶された現在の遊技状態および設定値に応じて、対応する当選役テーブルをメインROM200bから抽出すると共に、抽出した当選役テーブルに基づき、スタートスイッチ128の操作信号に応じて取得された当選役抽選乱数が当選役テーブル内のいずれの当選役またはハズレに対応するか判定する。
【0034】
ここで、各当選役テーブルで抽出される当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役がある。このような当選役に対応する図柄組み合わせが、有効ライン上に揃った状態を表示(入賞)といい、当選役に当選し、その当選役に対応する図柄組み合わせが表示されるまでの状態を内部当選状態とする。当選役のうちのリプレイ役は、そのリプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、メダルの新たなるベットを行わずして再度1遊技を実行できる役であり、小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることにより所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることにより、遊技状態を、通常遊技状態からボーナス遊技状態に移行させることができる当選役である。ここで、通常遊技状態とは、当選役の判定にあたり、遊技の進行にともなってメダルが実質的に減少するように小役の当選確率が設定された当選役テーブル(後述する通常遊技状態用当選役テーブル)を用いる遊技状態をいう。これに対して、ボーナス遊技状態とは、当選役の判定にあたり、メダルが実質的に増加するように小役の当選確率が設定された当選役テーブル(後述するボーナス遊技状態用当選役テーブル)を用いる遊技状態をいう。以下に、当選役および遊技者に付与される遊技上の利益について説明する。
【0035】
図5は、有効ラインおよび各テーブルを説明するための説明図である。図5(a)は、本実施形態における有効ラインを示している。ここで、有効ラインは5本あり、具体的に、図柄表示窓136に臨む9つの図柄のうち、左リール134a、中リール134b、右リール134cのそれぞれ中段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインA、左リール134aの上段、中リール134bの中段、右リール134cの下段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインB1、左リール134aの下段、中リール134bの中段、右リール134cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインB2、左リール134aの上段、中リール134bの中段、右リール134cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインC1、左リール134aの下段、中リール134bの中段、右リール134cの下段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインC2をそれぞれ有効ラインとして設定している。
【0036】
また、図5(b)の図柄組み合わせテーブルに示すように、本実施形態においては、当選役として、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「ビッグボーナス(以下、「BB」という。)」、「レギュラーボーナス(以下、「RB」という。)」の合計5種類の当選役が設けられている。このうち、当選役「リプレイ」が上記リプレイ役に相当し、当選役「ベル」、当選役「スイカ」が上記小役に相当し、当選役「BB」、当選役「RB」が上記ボーナス役に相当する。
【0037】
なお、いずれかの当選役に内部当選すると、それぞれの当選役に対応する内部当選フラグが成立(ON)すると共に、この内部当選フラグの成立状況に応じて、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止制御がなされることとなる。このとき、当選役「ベル」、当選役「スイカ」に内部当選したものの、これら内部当選役に対応する図柄組み合わせを、その1遊技で有効ライン上に表示させることができなかった場合には、当該遊技において内部当選フラグがOFFされる(ただし、本実施形態では、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせは必ず有効ライン上に表示させることができる。)。つまり、小役の内部当選の権利は当該遊技のみに限られ、当該権利を次の1遊技(以下、単に「次遊技」という。)に持ち越すことはできない。
【0038】
これに対して、当選役「BB」や当選役「RB」に内部当選した場合には、BB内部当選フラグまたはRB内部当選フラグが成立(ON)すると共に、BB内部当選フラグやRB内部当選フラグの成立状況に応じて、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止制御がなされる。このとき、当選役「BB」や当選役「RB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることができなかった場合には、そのままBB内部当選フラグやRB内部当選フラグが次遊技に持ち越され、次回以降の遊技においても当選役「BB」や当選役「RB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることが可能となる。なお、リプレイ役である当選役「リプレイ」に対応する内部当選フラグが成立した場合には、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示され、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがOFFされる。
【0039】
図5(c)に示す通常遊技状態用当選役テーブルは、通常遊技状態において当選役抽選乱数を判定する場合に用いられる。ここでは、当選役抽選乱数の総数(65536)に相当する領域が複数の当選領域に区画されており、当選領域毎に、当選役と、複数の当選領域それぞれが当選する比率を相対数で示した当選範囲値(置数)が対応付けられている。例えば、当選領域1には当選役「リプレイ」と当選範囲値「8978」とが対応付けられている。当選役抽選乱数は0〜65535まで設けられていることから、当選役「リプレイ」が内部当選する確率は8978/65536となる。他の当選領域2〜6についても同様の対応付けが為されている。抽選手段304は、当該通常遊技状態用当選役テーブルにおける複数の当選領域から、順次、当選範囲値を取得し、その当選範囲値を当選役抽選乱数から減算して、その減算値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選役を抽選結果としている。
【0040】
図5(d)に示すボーナス遊技状態用当選役テーブルは、当選役「BB」や当選役「RB」に対応する図柄組み合わせに入賞して設定されるボーナス遊技状態において当選役抽選乱数を判定する場合に用いられるものである。このボーナス遊技状態用当選役テーブルによれば、重ねてボーナス役およびリプレイ役に内部当選することがなく、当選役「ベル」の内部当選確率が通常遊技状態用当選役テーブル(図5(c)参照)に比べて高く設定されている。ここでは、通常遊技状態用当選役テーブルとボーナス遊技状態用当選役テーブルとを挙げて当選役テーブルを説明したが、当選役テーブルはこれに限らず、内部当選中遊技状態において用いられる内部当選状態用当選役テーブル等、その遊技状態に応じて様々な当選役テーブルが用いられる。
【0041】
(副制御基板202)
副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、副制御基板202は、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化手段330、コマンド受信手段332、コマンド決定手段334、コマンド送信手段336、サブスライド手段338を有する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生器256が設けられており、乱数発生器256によって生成される乱数は、主に演出の態様を決定するために用いられる(演出抽選乱数)。
【0042】
上記初期化手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。コマンド決定手段334は、遊技の演出に関するコマンドを決定し、コマンド送信手段336が決定されたコマンドを送信する。
【0043】
ここで、演出とは、遊技の進行に伴い、液晶表示部138、スピーカ140、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158等を通じて提供される視覚的および聴覚的な表現手段であり、当該遊技にストーリー性を与えたり、当選役の抽選結果をよりダイナミックな画像で示唆したりすることができる。特に、上述したボーナス役に関しては、BB内部当選フラグやRB内部当選フラグを複数遊技に亘って持ち越すことが可能なので、ボーナス役の当選を示唆する演出を複数遊技に亘って行い、遊技者の期待感を高めることができる。また、たとえ、いずれの当選役も当選していなかったとしても、恰も当選しているかのような演出を通じて遊技者に高配当の期待感を持たせ、遊技者を飽きさせないようにすることが可能となる。ただし、液晶表示部138に表示される静止画や動画を含む画像は、データ容量やその表示に伴う処理負荷が膨大となるため、別途、液晶制御基板204を介在させて制御する。
【0044】
上述した当選役の抽選結果を示唆する演出としては以下のようなものがある。例えば、遊技者が左リール134a、中リール134b、右リール134cの停止操作を適当に行っただけでは、当選役に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ライン上に表示させることができるとは限らない当選役に当選した場合に、遊技者が停止操作を行う前にその当選役を示唆する演出を行うことで、当選役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させるように促す。また、有効ライン上に表示された図柄組み合わせのみではボーナス役に当選したか否かを遊技者が把握できない場合に、ボーナス役に当選しているか否かを示唆する演出を行って、ボーナス役に当選したことの期待感を持たせる。ここでは、ボーナス役に当選しているか否かを示唆する演出に相当するメータ演出を例に挙げて説明する。
【0045】
(メータ演出の処理)
図6は、メータ演出の動作を説明するための説明図である。本実施形態では、当選役の抽選結果を示唆する演出として、特に、主制御基板200と副制御基板202と液晶制御基板204とを連携させ、例えば、メータ演出を実行する。ここで、メータ演出は、図6(a)および図6(b)に示すように、メータ380を模した複数の単位区画(ゲージ384が停止可能な区画)382上をゲージ384が1マスずつ移動することで、メータ380上を破線矢印のように往復移動し、遊技者の操作に応じて、いずれかの単位区画382にゲージ384を停止させ、ボーナス役の当選を示唆する演出である。主制御基板200は、遊技者によるスタートスイッチ128の操作を受け付けると、スタートスイッチ128の操作に基づく抽選結果を副制御基板202に送信し、副制御基板202は、抽選結果に基づいてメータ演出を実行するか否か決定し、メータ演出を実行することが決定されると、液晶制御基板204を通じてメータ演出を開始させる。また、メータ演出中に、副制御基板202が主制御基板200を通じて遊技者によるベットボタン126の操作を受け付けると、その操作に応じたメータ演出の結果を遊技者に報知する。
【0046】
また、メータ380には、1または複数の単位区画382をグループ化した単位領域386も設けられている。例えば、図6中、メータ380の中央に位置するクロスハッチングで示した3つの単位区画382を赤色の単位領域386とし、その赤色の単位領域386の両側に位置するハッチングで示したそれぞれ2つの単位区画382を黄色の単位領域386とし、その黄色の単位領域386の外側に位置する白抜きで示したそれぞれ2つの単位区画382を青色の単位領域386とする。具体的に、単位区画「0」、「1」には、青色の単位領域386が対応付けられ、単位区画「2」、「3」には、黄色の単位領域386が対応付けられ、単位区画「4」、「5」、「6」には、赤色の単位領域386が対応付けられ、単位区画「7」、「8」には、黄色の単位領域386が対応付けられ、単位区画「9」、「10」には、青色の単位領域386が対応付けられている。メータ演出においては、最終的に停止した単位区画382が属する単位領域386の色によってボーナス役に当選しているか否かを示唆している。例えば、ゲージ384が赤色の単位領域386に属する単位区画382に停止すると、ボーナス役に当選していることを示し、黄色の単位領域386に属する単位区画382に停止すると、リトライが決定し、青色の単位領域386に属する単位区画382に停止すると、ボーナス役に非当選である可能性が高いことを示す。ここで、リトライは、メータ演出の結果を当該遊技では報知せず次遊技に持ち越すことであり、リトライを示す黄色の単位領域386にゲージ384が停止すると、一旦メータ演出が中断し、次遊技で、メータ380上のゲージ384の往復移動が再度実行される。
【0047】
サブスライド手段338は、上記メータ演出においてメータ380上を往復移動しているゲージ384が現在位置する単位区画382を示すサブメータカウンタ(第1メータカウンタ)340の値を、所定のスライド周期(例えば、0.25sec)毎にカウントアップして、ゲージ384の現在位置を更新する。そして、コマンド決定手段334は、遊技者の操作と、操作が為されたときのサブメータカウンタ340の値と、メータ演出を実行するための演出テーブルとにより、副制御基板202に送信するコマンドを決定する。以下、メータ演出を実行するための演出テーブルについて詳述する。
【0048】
(副制御基板202で用いられるテーブル)
図7は、ボーナス役の当選を示唆するメータ演出の演出テーブルを示した説明図である。当該演出テーブルは、ボーナス役に当選しているか否か、および、当選している場合、そのボーナス役がBBであるかRBであるかに従って、複数準備されている。ここでは、図7(a)および図7(b)がBBに当選した場合の演出テーブルであり、図7(c)および図7(d)がRBに当選した場合の演出テーブルであり、図7(e)および図7(f)がボーナス役に非当選の場合の演出テーブルである。また、上述したリトライを抽選することが可能か否かによってもテーブルを異ならせている。ここでは、図7(a)、図7(c)および図7(e)がリトライ可能な演出テーブルであり、図7(b)、図7(d)および図7(f)がリトライ不可能な演出テーブルである。当該複数の演出テーブルは、サブROM202bに格納されている。コマンド決定手段334は、スタートスイッチ128の操作信号を受信すると、当選役とリトライ可否とに基づき、対応する演出テーブルをサブROM202bから抽出する。
【0049】
具体的に、コマンド決定手段334は、メータ演出中に、ベットボタン126の操作信号を受信すると、その受信したタイミングに応じて演出抽選乱数を取得すると共に、複数の単位区画382から、操作信号を受信した時点にゲージが位置する1の単位区画382を特定する。そして、コマンド決定手段334は、演出テーブルの特定された単位区画382に対応する図7中縦方向に示された列において、演出抽選乱数がいずれの単位領域386を示すか特定し、その単位領域386を抽選結果とする。例えば、BBに当選後、遊技者がベットボタン126を操作したときにゲージ384が単位区画「3」に位置していた場合、図7(a)に示すBBに当選した場合の演出テーブル(リトライ可能)が抽出され、遊技者の操作に応じて取得された演出抽選乱数と演出テーブルの単位区画「3」に示された数値に基づいて、30720/32768の確率で黄色の単位領域386が選択され、2048/32768の確率で赤色の単位領域386が選択される。上記の演出テーブルでは、ボーナス役が当選していない場合、単位領域386としてボーナス役が確定する赤色の単位領域386が選択されることはない。また、ボーナス役の当選後もBBとRBとで黄色の単位領域386が選択される確率を異ならせ、リトライが継続した回数でBBやRBのいずれかが当選している期待度を変化させることができる。ここでは、メータ演出の演出テーブルを説明したが、演出テーブルはこれに限らず、様々な演出テーブルがそれぞれの演出契機に用いられる。
【0050】
(液晶制御基板204)
液晶制御基板204は、副制御基板202と接続され、中央処理装置である液晶CPU204a、プログラムや画像データ等が格納された液晶ROM204b、ワークエリアとして機能する液晶RAM204c、画像制御を行う際のワークエリアとして機能するVRAM204d等を含む各種半導体集積回路を有し、副制御基板202と双方向通信することにより液晶表示部138を制御する。また、液晶制御基板204は、液晶CPU204aが、液晶ROM204bに格納されたプログラムに基づき、液晶RAM204cと協働することで機能する、初期化手段360、コマンド受信手段362、演出実行手段364、ゲージ停止手段366を有する。
【0051】
上記初期化手段360は、液晶制御基板204における初期化処理を実行する。コマンド受信手段362は、副制御基板202等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出実行手段364は、受信したコマンドに基づいて液晶表示部138に様々な演出を表示する。例えば、演出実行手段364は、メータ演出においてメータ380上を往復移動しているゲージ384が現在位置する単位区画382を示す液晶メータカウンタ(第2メータカウンタ)370の値を、所定のスライド周期(例えば、0.25sec)毎にカウントアップして、ゲージ384の現在位置を更新し、その位置にゲージ384を位置させてメータ380を表示する。ゲージ停止手段366は、遊技者の操作に従うコマンドに基づいてメータ演出におけるゲージ384を停止させる。
【0052】
副制御基板202と液晶制御基板204との間では、複数種類のコマンドが送受信されている。例えば、液晶表示部138に表示させる画像を特定するための画像コマンドや、液晶表示部138に特定の演出処理を行わせるための演出コマンドがそれにあたる。液晶制御基板204では、副制御基板202から例えば画像コマンドを受信すると、その画像コマンドに基づいて液晶ROM204bから液晶表示データを抽出し、液晶表示データに基づく画像を液晶表示部138に表示する。また、液晶制御基板204では、副制御基板202から演出コマンドを受信すると、その演出コマンドに基づいて液晶ROM204bから演出を実行するための部分画像データを抽出し、部分画像データに基づく画像(レイヤ)と上記液晶表示データに基づく画像(レイヤ)とを合成して、フレーム周期(例えば33msec)毎に液晶表示部138に表示する。
【0053】
本実施形態では、特に、副制御基板202から液晶制御基板204に送信されるメータ演出に関するコマンドに着目している。このようなメータ演出を実行する際、副制御基板202において、メータ演出のゲージ384が停止する単位区画382を複数の単位区画382から忠実に抽選し、その単位区画382を特定するための情報を副制御基板202から液晶制御基板204に送信すると、大容量のテーブルを要するのみならず、処理負荷が重くなってしまう。本実施形態では、メータ演出の視覚効果を損なわないように単位区画382の数を維持しつつ、抽選結果の情報量を低減し、ひいては抽選に費やす処理負荷の軽減を図る。以下、主制御基板200、副制御基板202および液晶制御基板204における具体的処理を説明する。
【0054】
(主制御基板200のメイン処理)
図8は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。
【0055】
(ステップS100)
まず、初期化手段300は、遊技開始に備え、必要に応じて、メインRAM200cのクリア(RAMクリア)、投入枚数に対する払出枚数の比率の期待値を示す設定値(例えば、1〜6の6段階)の設定処理等、初期化処理を実行する。この初期化処理は電源投入時、設定値変更時、RAMクリア時等にのみ行われるものであり、リールユニット134をはじめとする各種装置の接続状況や作動状況を確認する。また、初期化手段300は、電源が投入されている間、バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持し、不意の電源断が生じた場合、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
【0056】
(ステップS200)
次に、ベット手段302は、メダル投入部124から規定数のメダルの投入を受け付け、あるいは規定数以上のクレジットが貯留されている状況でベットボタン126の操作を受け付けて、メダルのベットを完了させ、スタートスイッチ128の操作待ち状態に移行する。また、ベット手段302は、その操作が為されたことを示す投入コマンドを副制御基板202に送信する。そして、スタートスイッチ128の操作が検知されると、次のステップS300に処理が移される。
【0057】
(ステップS300)
次に、抽選手段304は、スタートスイッチ128の操作に応じて、乱数発生器256によって更新された当選役抽選乱数から、スタートスイッチ128が操作された時点における1の当選役抽選乱数を取得する。そして、抽選手段304は、図5(c)、図5(d)に示した当選役テーブルを含む複数の当選役テーブルから、現在設定されている遊技状態に対応する1の当選役テーブルを決定すると共に、取得した当選役抽選乱数が、決定した当選役テーブルにおけるいずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選役またはハズレを抽選結果として決定する。また、抽選手段304は、スタートスイッチ128の操作に応じて抽選結果が決定された後、内部抽選の抽選結果(当選役またはハズレ)や遊技状態に関する情報等を含む当選役コマンドを副制御基板202に送信する。さらに、副制御基板202では、当該当選役コマンドに応じ、内部抽選の抽選結果を示唆する演出を行っている。かかる演出がメータ演出である場合、抽選手段304は、ステップS500に示すリール停止手段308がストップボタンスイッチ130a、130b、130cの操作を受け付ける前に、遊技者によるベットボタン126の操作を受け付けることが可能となり、遊技者によりベットボタン126が操作されると、その操作に応じてメータ操作コマンドを副制御基板202に送信する。ステップS200の処理に示したように、ベット手段302は、ベットボタン126の操作に応じてベットを完了する。しかし、ステップS300において抽選手段304がスタートスイッチ128の操作を受け付けた後は当該1遊技が完了するまでベットボタン126の操作が不要になる。そこで、本実施形態では、1遊技内で役割を終えたベットボタン126をメータ演出におけるゲージ384の停止操作に用いることで、既存の操作部の有効利用を図り、別途の操作部を設けることなくメータ演出を実現している。
【0058】
(ステップS400)
上記のようにして抽選処理が終了すると、次に、リール回転手段306は、ステッピングモータ262を駆動して左リール134a、中リール134b、右リール134cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると、当該遊技における左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転を開始し、左リール134a、中リール134b、右リール134cの全てが定速回転となったところで、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cの操作を有効化する。
【0059】
(ステップS500)
続いて、リール停止手段308は、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cが有効化されている状態で、遊技者によるストップボタンスイッチ130a、130b、130cの操作を受け付けると、その操作に対応する回転リール(左リール134a、中リール134b、右リール134cのいずれか)を所定の停止制御に従って停止させる。また、リール停止手段308は、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cの操作に応じ、その操作が為されたことを示す第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンドを操作の度に、順次、副制御基板202に送信する。
【0060】
(ステップS600)
次に、判定手段310は、図5(a)に示した有効ライン上に表示された図柄組み合わせを判定し、その図柄組み合わせに応じて遊技状態の変更やリプレイに際して要求される種々の処理を実行する。また、判定手段310は、有効ライン上に表示された図柄組み合わせや、有効ライン上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを副制御基板202に送信する。
【0061】
(ステップS700)
続いて、払出手段312は、ステップS600における判定結果に基づき、例えば、有効ライン上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行し、有効ライン上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。このように、払出手段312は、有効ライン上に表示された図柄組み合わせに対応して種々の処理を遂行し、当該1遊技を終了する。また、払出手段312は、メダルの払出処理が為された場合、払出処理が為されたことを示す払出コマンドを副制御基板202に送信する。
【0062】
ステップS200からステップS700に示した、メダルの投入から入賞による払い出しまでの一連の遊技が1遊技で定義され、以後は、かかる1遊技を繰り返すこととなる。
【0063】
(副制御基板202のサブ処理)
図9は、副制御基板202のサブ処理を示したフローチャートである。
【0064】
(ステップS1100)
まず、初期化手段330は、電源が投入されると、サブRAM202c等を初期化し、割込を許可する初期化処理を実行する。
【0065】
(ステップS1150)
次に、コマンド受信手段332は、主制御基板200からのコマンドが受信されたか否か判定する。その結果、コマンドが受信されていなければ、ステップS1250に処理を移し、コマンドが受信されていれば、ステップS1200に処理を移す。
【0066】
(ステップS1200)
上記ステップS1150においてコマンドが受信されていると判定されれば、コマンド受信手段332は、当該受信されたコマンドに基づいて種々の処理を実行する。
【0067】
(ステップS1250)
次に、サブスライド手段338は、サブスライドカウンタが所定のスライド周期に到達したか否か判定する。その結果、サブスライドカウンタが所定のスライド周期に到達していなければ、ステップS1150からの処理を繰り返し、スライド周期に到達していれば、ステップS1300に処理を移す。なお、サブスライドカウンタは、メータ演出において、前回、ゲージ384が単位区画382を移動してからの時間を計時するカウンタである。
【0068】
(ステップS1300)
上記ステップS1250においてサブスライドカウンタが所定のスライド周期に到達したと判定されれば、サブスライド手段338は、メータ演出におけるメータ380上のゲージ384を、隣接する単位区画382に移動させる処理を実行し、ステップS1150からの処理を繰り返す。
【0069】
(コマンド受信処理S1200の詳細な処理)
図10は、上記ステップS1200のコマンド受信処理を示したフローチャートである。
ここでは本実施形態の特徴に関係するコマンドに対する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0070】
(ステップS1201)
まず、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが当選役コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが当選役コマンドであれば、ステップS1202に処理を移し、当選役コマンドでなければ、ステップS1205に処理を移す。
【0071】
(ステップS1202)
上記ステップS1201において受信したコマンドが当選役コマンドであると判定されれば、コマンド決定手段334は、乱数発生器256によって更新された演出抽選乱数から1の演出抽選乱数を取得し、当選役と演出抽選乱数とに基づいてメータ演出を実行するか否か、および、メータ演出を実行する場合のリトライ回数(リトライの上限数)を決定する。ここで、メータ演出の実行が決定されると、コマンド決定手段334は、メータ演出フラグをONする。また、メータ演出は、内部当選フラグを複数遊技に亘って持ち越し可能なボーナス役の当選を示唆する演出としているので、複数遊技に跨がって演出が継続される継続演出の一部とすることができる。したがって、例えば、メータ演出は、5遊技に跨がって実行される継続演出の3遊技目に実行されるとしてもよい。この場合、3遊技目にメータ演出フラグをONすることとなる。また、メータ演出フラグがONしている間はリトライによっても単位領域386の抽選を行わなければならないので、たとえ、当該ステップS1202でメータ演出を実行する決定が為されなくとも、ステップS1203の処理は遂行される。
【0072】
(ステップS1203)
次に、コマンド決定手段334は、メータ演出フラグがONしているか否か判定する。その結果、メータ演出フラグがONしていれば、ステップS1204に処理を移し、メータ演出フラグがOFFしていれば、ステップS1205に処理を移す。
【0073】
(ステップS1204)
上記ステップS1203においてメータ演出フラグがONしていると判定されれば、コマンド決定手段334は、乱数発生器256によって更新された演出抽選乱数から1の演出抽選乱数を取得し、その演出抽選乱数に基づいてメータ演出を開始する単位区画382(開始単位区画)を決定し、当該開始単位区画に対応する数値を含む演出コマンドであるメータ演出開始コマンドを生成する。例えば、図6における単位区画「3」が開始単位区画として決定されると、メータ演出におけるゲージ384は、メータ380上の単位区画「3」から移動を開始することとなる。そして、コマンド送信手段336は、生成されたメータ演出開始コマンドを液晶制御基板204に送信する。ここでは、開始単位区画によって、液晶制御基板204とゲージ384を最初に表示する単位区画382を合わせているが、これに限らず、単位区画「0」等、両基板で開始単位区画を予め定めておいてもよい。こうすることで、メータ演出開始コマンドに開始単位区画に対応する数値を含めなくて済む。
【0074】
また、コマンド決定手段334は、決定された開始単位区画に対応する数値をサブメータカウンタ340に設定すると共に、サブ反転フラグをONする。ここで、サブ反転フラグは、メータ演出におけるゲージ384がメータ380上を進行する方向(ここでは、サブ反転フラグONのとき右方向、サブ反転フラグOFFのとき左方向)を示すフラグである。副制御基板202で計数される上記サブメータカウンタ340は、液晶制御基板204における液晶メータカウンタ370と同期させ、後述する単位領域386の抽選(ステップS1208、S1209、S1214)において、ゲージ384の現在位置を参照するために設けられている。
【0075】
(ステップS1205)
次に、コマンド受信手段332は、受信したコマンドがメータ操作コマンドであり、かつ、メータ演出フラグがONしているか否か判定する。その結果、受信したコマンドがメータ操作コマンドであり、かつ、メータ演出フラグがONしていれば、ステップS1206に処理を移し、受信コマンドがメータ操作コマンドでない、または、メータ演出フラグがOFFであれば、ステップS1212に処理を移す。
【0076】
(ステップS1206)
上記ステップS1205において受信したコマンドがメータ操作コマンドであり、かつ、メータ演出フラグがONしていると判定されれば、コマンド決定手段334は、メータ操作コマンドの受信に応じて、乱数発生器256によって更新された演出抽選乱数から、メータ操作コマンドが受信された時点における1の演出抽選乱数を取得すると共に、サブメータカウンタ340のメータ操作コマンドを受信した時点の値(ゲージ384の現在位置)を取得する。
【0077】
(ステップS1207)
続いて、コマンド決定手段334は、リトライ回数が0であるか否か判定する。その結果、リトライ回数が0であれば、ステップS1208に処理を移し、リトライ回数が0でなければステップS1209に処理を移す。
【0078】
(ステップS1208)
上記ステップS1207においてリトライ回数が0であると判定されれば、コマンド決定手段334は、図7に示したリトライ不可能の複数の演出テーブルから、ボーナス役に当選しているか否か、また、当選している場合、そのボーナス役がBBであるかRBであるかに従って1の演出テーブルを抽出し、ステップS1206で取得した演出抽選乱数およびサブメータカウンタ340の値に基づいて、1の単位領域386を決定し、決定された単位領域386に対応する識別子を含む演出コマンドであるメータ演出抽選結果コマンドを生成する。そして、コマンド送信手段336は、生成されたメータ演出抽選結果コマンドを液晶制御基板204に送信し、ステップS1210に処理を移す。
【0079】
(ステップS1209)
上記ステップS1207においてリトライ回数が0ではないと判定されれば、コマンド決定手段334は、図7に示したリトライ可能の複数の演出テーブルから、ボーナス役に当選しているか否か、また、当選している場合、そのボーナス役がBBであるかRBであるかに従って1の演出テーブルを抽出し、ステップS1206で取得した演出抽選乱数およびサブメータカウンタ340の値に基づいて、1の単位領域386を決定し、決定された単位領域386に対応する識別子を含む演出コマンドであるメータ演出抽選結果コマンドを生成する。そして、コマンド送信手段336は、生成されたメータ演出抽選結果コマンドを液晶制御基板204に送信する。また、コマンド決定手段334は、リトライ回数から1を減算(デクリメント)し、ステップS1210に処理を移す。
【0080】
(ステップS1210)
続いて、コマンド決定手段334は、決定された単位領域386が赤色または青色であるか判定する。その結果、単位領域386が赤色または青色であれば、当該遊技においてメータ演出の結果が決定されたこととなり、メータ演出を終了すべく、ステップS1211に処理を移し、単位領域386が黄色であれば、リトライによって次遊技もメータ演出を行わなければならないので、メータ演出フラグはOFFにせず(ONのまま)、ステップS1212に処理を移す。
【0081】
(ステップS1211)
上記ステップS1210において単位領域386が赤色または青色であると判定されれば、コマンド決定手段334は、メータ演出フラグをOFFして、次遊技でのメータ演出を禁止する。ここでは、サブメータカウンタ340によって、メータ演出におけるメータ380上のゲージ384の位置は管理しているものの、演出テーブルによる抽選では、単位区画382ではなく、単位区画382より絶対数の少ない単位領域386を決定している。したがって、テーブルに要する記憶容量を削減すると共に、抽選に費やす処理負荷を軽減することができる。また、副制御基板202と液晶制御基板204との間において、単位区画382による多大な情報量を送信することなく、単位領域386による少ない情報量のみを送信することで、送信負荷も抑制され、メータ演出をスムーズに遂行することが可能となる。
【0082】
(ステップS1212)
次に、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cのうち、最初のストップボタンスイッチが操作されたことを示す第1停止コマンドであり、かつ、メータ演出フラグがONしているか否か判定する。その結果、受信したコマンドが第1停止コマンドであり、かつ、メータ演出フラグがONしていれば、ステップS1213に処理を移し、受信コマンドが第1停止コマンドでない、または、メータ演出フラグがOFFであれば、ステップS1217に処理を移す。遊技者は、スタートスイッチ128を操作した後は、メータ演出が開始されても、メータ演出に関する操作(ベットボタン126の操作)を行わずに、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cを操作することができる。ここでは、このように、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cが操作された場合においても、ベットボタン126が操作されたときと同様にメータ演出を実行する。
【0083】
(ステップS1213)
上記ステップS1212において受信したコマンドが第1停止コマンドであり、かつ、メータ演出フラグがONしていると判定されれば、コマンド決定手段334は、第1停止コマンドの受信に応じて、乱数発生器256によって更新された演出抽選乱数から、第1停止コマンドが受信された時点における1の演出抽選乱数を取得すると共に、サブメータカウンタ340における第1停止コマンドが受信された時点の値(ゲージ384の現在位置)を取得する。
【0084】
(ステップS1214)
次に、コマンド決定手段334は、図7に示したリトライ不可能の複数の演出テーブルから、ボーナス役に当選しているか否か、また、当選している場合、そのボーナス役がBBであるかRBであるかに従って1の演出テーブルを抽出し、ステップS1213で取得した演出抽選乱数およびサブメータカウンタ340の値に基づいて、1の単位領域386を決定し、決定された単位領域386に対応する識別子を含む演出コマンドであるメータ演出抽選結果コマンドを生成する。そして、コマンド送信手段336は、生成されたメータ演出抽選結果コマンドを液晶制御基板204に送信する。また、コマンド決定手段334は、メータ演出フラグをOFFして、次遊技でのメータ演出を禁止する。
【0085】
(ステップS1215)
続いて、コマンド決定手段334は、決定された単位領域386が赤色または青色であるか判定する。その結果、単位領域386が赤色または青色であれば、ステップS1216に処理を移し、単位領域386が黄色であれば、ステップS1217に処理を移す。
【0086】
(ステップS1216)
上記ステップS1215において単位領域386が赤色または青色であると判定されれば、コマンド決定手段334は、メータ演出フラグをOFFして、当該遊技でのメータ演出を終了し、次遊技でのメータ演出を禁止する。ここでは、本来、ベットボタン126によってメータ演出の結果が報知されるところ、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cのいずれかが操作されたことで、メータ演出を強制的に終了している。ここで、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cのいずれかによりメータ演出を強制的に終了する場合においても、ベットボタン126と同様に抽選することとしたが、抽選を行わないとしてもよく、また、強制的に予め定められた単位領域386を決定するとしてもよい。
【0087】
(ステップS1217)
次に、コマンド受信手段332は、受信したコマンド(例えば、投入コマンド、当選役コマンド、第1〜第3停止コマンド、入賞コマンド、払出コマンド等)に対する他の種々の処理、例えば、液晶表示部138に表示させる画像を特定するための画像コマンドを生成して液晶制御基板204に送信する等の処理を遂行して、当該コマンド受信処理を終了する。かかる処理に関しては、本実施形態の特徴と無関係なので、ここでは説明を省略する。
【0088】
(サブスライド処理S1300の詳細な処理)
図11は、上記ステップS1300のサブスライド処理を示したフローチャートである。
【0089】
(ステップS1301)
まず、サブスライド手段338は、サブメータカウンタ340の値に1を加算(インクリメント)する。かかるサブメータカウンタ340によって、メータ380上のゲージ384が表示されている単位区画382を副制御基板202側でも管理する。
【0090】
(ステップS1302)
次に、サブスライド手段338は、サブメータカウンタ340の値がサブメータカウンタ340の上限値、ここでは、10を超えたか否か判定する。その結果、サブメータカウンタ340の値が上限値を超えていれば、ステップS1303に処理を移し、上限値以下であれば、当該サブスライド処理S1300を終了する。
【0091】
(ステップS1303)
上記ステップS1302においてサブメータカウンタ340の値が上限値を超えている、換言すれば、メータ380の端部に達したと判定されれば、サブスライド手段338は、サブメータカウンタ340の値を0にリセットし、サブ反転フラグを反転(ONであればOFF、OFFであればON)する。
【0092】
(液晶制御基板204の処理)
図12は、液晶制御基板204の処理を示したフローチャートである。ここでは、副制御基板202からのコマンドに応じて液晶表示部138に種々の画像を表示する。
【0093】
(ステップS2100)
まず、初期化手段360は、電源が投入されると、液晶RAM204c等を初期化し、割込を許可する初期化処理を実行する。
【0094】
(ステップS2150)
次に、コマンド受信手段362は、副制御基板202からのコマンドが受信されたか否か判定する。その結果、コマンドが受信されていなければ、ステップS2250に処理を移し、コマンドが受信されていれば、ステップS2200に処理を移す。
【0095】
(ステップS2200)
上記ステップS2150においてコマンドが受信されていると判定されれば、コマンド受信手段362は、当該受信されたコマンドに基づいて種々の処理を実行する。
【0096】
(ステップS2250)
次に、演出実行手段364は、液晶スライドカウンタが所定のスライド周期に到達したか否か判定する。その結果、液晶スライドカウンタが所定のスライド周期に到達していなければ、ステップS2150からの処理を繰り返し、スライド周期に到達していれば、ステップS2300に処理を移す。なお、液晶スライドカウンタは、メータ演出において、前回、ゲージ384が単位区画382を移動してからの時間を計時するカウンタである。
【0097】
(ステップS2300)
上記ステップS2250において、液晶スライドカウンタが所定のスライド周期に到達したと判定されれば、演出実行手段364は、メータ演出におけるメータ380上のゲージ384を隣接する単位区画382に移動させて表示する処理を実行し、ステップS2150からの処理を繰り返す。
【0098】
(コマンド受信処理S2200の詳細な処理)
図13は、上記ステップS2200のコマンド受信処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係するコマンドに対する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0099】
(ステップS2201)
まず、コマンド受信手段362は、受信したコマンドが画像コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが画像コマンドであれば、ステップS2202に処理を移し、画像コマンドでなければ、ステップS2203に処理を移す。
【0100】
(ステップS2202)
上記ステップS2201において受信したコマンドが画像コマンドであると判定されれば、コマンド受信手段362は、その画像コマンドに基づいて液晶ROM204bから液晶表示データを抽出し、VRAM204dに一時的に保持させる。
【0101】
(ステップS2203)
次に、コマンド受信手段362は、受信したコマンドがメータ演出開始コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドがメータ演出開始コマンドであれば、ステップS2204に処理を移し、メータ演出開始コマンドでなければ、ステップS2205に処理を移す。
【0102】
(ステップS2204)
上記ステップS2203において受信したコマンドがメータ演出開始コマンドであると判定されれば、演出実行手段364は、メータ演出開始コマンドから開始単位区画に対応する数値を抽出し、その開始単位区画に対応する数値を液晶メータカウンタ370に設定すると共に、液晶反転フラグとゲージ移動フラグをONする。ここで、液晶反転フラグは、メータ演出におけるゲージ384がメータ380上を進行する方向(ここでは、液晶反転フラグONのとき右方向、液晶反転フラグOFFのとき左方向)を示すフラグであり、ゲージ移動フラグはゲージ384の移動と停止を制御するフラグである。こうして、メータ演出が開始され、メータ380上をゲージ384が移動し始める。かかる構成により、副制御基板202のサブメータカウンタ340の開始単位区画と当該液晶メータカウンタ370との開始単位区画およびカウントアップのタイミングを合わせ、両者の同期をとることが可能となる。また、演出実行手段364は、メータ演出の開始に伴い、液晶表示部138に「ベットボタンを押してください」等を表示して、ゲージ384の移動を停止させるべく、遊技者にベットボタン126の操作を促すこともできる。
【0103】
再び図6を用いてメータ演出の動作を説明すると、単位区画382は、0〜10の11マスで構成され、その11マスの単位区画382をゲージ384が移動する。液晶メータカウンタ370は0から10まで1マスずつ増加し、10を超えると0にリセットされ、液晶反転フラグが反転される。したがって、ゲージ384は、例えば、右方向に0から10まで移動した後(液晶反転フラグON)、引き続き左方向に10から0まで移動し(液晶反転フラグOFF)、左右の往復移動を繰り返すこととなる。図6を用いて説明したように、各単位領域386に含まれる単位区画382の数は異なるものの、単位領域386の配列と、単位領域386に含まれる単位区画382の比は左右対称となっている。これは、ゲージ384が左右に往復移動するメータ演出に対して左右の偏りを排除するためである。ここでは説明の便宜のため、メータ380上の単位区画382を11マスとしているが、その数は限定されず、任意の数値を用いることができ、さらに、単位領域386中の単位区画382の数や、単位領域386の配置等も任意に決定することができる。
【0104】
(ステップS2205)
次に、コマンド受信手段362は、受信したコマンドがメータ演出抽選結果コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドがメータ演出抽選結果コマンドであれば、ステップS2206に処理を移し、メータ演出抽選結果コマンドでなければ、ステップS2212に処理を移す。
【0105】
(ステップS2206)
上記ステップS2205において受信したコマンドがメータ演出抽選結果コマンドであると判定されれば、ゲージ停止手段366は、メータ演出抽選結果コマンドの受信に応じて、液晶メータカウンタ370および液晶反転フラグの、メータ演出抽選結果コマンドを受信した時点の値を取得して停止単位区画カウンタ372と停止反転フラグに代入すると共に、メータ演出抽選結果コマンドから単位領域386に対応する識別子を抽出する。ここで、停止単位区画カウンタ372は、ゲージ384が最終的に停止する単位区画382を計数するカウンタであり、停止反転フラグは、メータ演出においてゲージ384を停止するときに、ゲージ384がメータ380上を進行する方向(ここでは、停止反転フラグONのとき右方向、停止反転フラグOFFのとき左方向)を示す。
【0106】
(ステップS2207)
続いて、ゲージ停止手段366は、停止単位区画カウンタ372の値が属する単位領域386がメータ演出抽選結果コマンドから抽出された単位領域386と一致しているか否か判定する。その結果、単位領域386が一致していなければ、ステップS2208に処理を移し、単位領域386が一致していれば、ステップS2211に処理を移す。
【0107】
(ステップS2208)
上記ステップS2207において単位領域386が一致していないと判定されれば、ゲージ停止手段366は、停止単位区画カウンタ372の値に1を加算(インクリメント)する。
【0108】
(ステップS2209)
次に、ゲージ停止手段366は、停止単位区画カウンタ372の値が液晶メータカウンタ370の上限値、ここでは、10を超えたか否か判定する。その結果、停止単位区画カウンタ372の値が上限値を超えていれば、ステップS2210に処理を移し、上限値以下であれば、ステップS2207からを繰り返す。
【0109】
(ステップS2210)
上記ステップS2209において停止単位区画カウンタ372の値が上限値を超えている、換言すれば、メータ380の端部に達したと判定されれば、ゲージ停止手段366は、停止単位区画カウンタ372の値を0にリセットし、停止反転フラグを反転(ONであればOFF、OFFであればON)して、ステップS2207からを繰り返す。
【0110】
(ステップS2211)
上記ステップS2207において単位領域386が一致していると判定されれば、ゲージ停止手段366は、ゲージ移動フラグをOFFして、メータ演出を終了させる。このようにゲージ移動フラグをOFFすることで、後述する液晶スライド処理S2300における、停止単位区画カウンタ372と停止反転フラグとによって特定される単位区画382にゲージ384が停止することとなる。すなわち、ゲージ384は、メータ演出抽選結果コマンドで示された単位領域386中の単位区画382に停止する。具体的には、メータ演出抽選結果コマンドが受信されたときに既にゲージ384が対象とする単位領域386に含まれていれば、その位置で停止し、含まれていなければ、対象とする単位領域386の中でも現在地に最も近い単位区画382に移動して停止する。
【0111】
例えば、図14(a)に示すように、ゲージ384が右方向(液晶反転フラグON)に移動しつつ単位区画「7」に位置するときに、メータ演出抽選結果コマンドが受信され、メータ演出抽選結果コマンドが赤色の単位領域386(ボーナス確定)を示している場合、ゲージ384は、図14(b)のように、一旦、単位区画「10」に移動した後、図14(c)のように折り返して、図14中クロスハッチングで示した赤色の単位領域386である単位区画「6」で停止する。ボーナス役に当選すれば、このように赤色の単位領域386に停止する場合があるが、ボーナス役に当選していない場合、赤色の単位領域386が選択されないようになっている。したがって、遊技者がメータ380上の赤色の単位領域386でベットボタン126を操作したとしても、黄色の単位領域386や青色の単位領域386まで移動して停止することとなる。
【0112】
こうして、副制御基板202で抽選された単位領域386にゲージ384を停止させ、遊技者に、ボーナス役の当選を示唆するメータ演出を完了する。ここでは、副制御基板202と液晶制御基板204との間で、単位区画382による多大な情報量を送信することなく、単位領域386による少ない情報量のみを送信することで、送信負荷を抑制し、メータ演出の視覚効果を損なうことなく、メータ演出をスムーズに遂行することが可能となる。また、ゲージ384を、対象とする単位領域386の中でも、メータ演出抽選結果コマンドが受信された時点における単位区画382に最も近い単位区画382に移動する構成により、抽選により決定された単位領域386への移動を前提にしつつ、遊技者による操作時のゲージ384の位置と停止時のゲージ384の位置との差分を最小現にすることができ、遊技者に与える違和感を抑えることが可能となる。ただし、ゲージ384が停止する単位区画382は、かかる場合に限らず、単位領域386中の予め定められた単位区画382や、抽選により決定された単位区画382等、様々な停止態様が可能である。
【0113】
(ステップS2212)
次に、コマンド受信手段362は、受信したコマンドに対する他の種々の処理を遂行して、当該コマンド受信処理S2200を終了する。かかる処理に関しては、本実施形態の特徴と無関係なので、ここでは説明を省略する。
【0114】
(液晶スライド処理S2300の詳細な処理)
図15は、上記ステップS2300の液晶スライド処理を示したフローチャートである。
【0115】
(ステップS2301)
まず、演出実行手段364は、ゲージ移動フラグがOFFであり、液晶メータカウンタ370の値が停止単位区画カウンタ372の値と一致し、かつ、液晶反転フラグが停止反転フラグと一致しているか否か判定する。その結果、全ての条件を満たしていなければ、ステップS2302に処理を移し、全ての条件を満たしていれば、ステップS2305に処理を移す。
【0116】
(ステップS2302)
上記ステップS2301においてゲージ移動フラグがONである、液晶メータカウンタ370の値が停止単位区画カウンタ372の値と一致していない、または、液晶反転フラグが停止反転フラグと一致していなければ、演出実行手段364は、液晶メータカウンタ370の値に1を加算(インクリメント)する。こうしてメータ380上のゲージ384が表示されている単位区画382を液晶制御基板204側で管理することが可能となる。また、副制御基板202におけるサブメータカウンタ340と当該液晶メータカウンタ370とは、上記メータ演出開始コマンドを通じて同期することとなる。ここで、ゲージ移動フラグがOFFになった場合、最終的な単位区画382に停止した後、液晶メータカウンタ370のインクリメントが停止する。
【0117】
(ステップS2303)
次に、演出実行手段364は、液晶メータカウンタ370の値が液晶メータカウンタ370の上限値、ここでは、10を超えたか否か判定する。その結果、液晶メータカウンタ370の値が上限値を超えていれば、ステップS2304に処理を移し、上限値以下であれば、ステップS2305に処理を移す。
【0118】
(ステップS2304)
上記ステップS2303において液晶メータカウンタ370の値が上限値を超えている、換言すれば、メータ380の端部に達したと判定されれば、演出実行手段364は、メータカウンタの値を0にリセットし、液晶反転フラグを反転(ONであればOFF、OFFであればON)する。
【0119】
(ステップS2305)
続いて、演出実行手段364は、メータ演出が実行されている間、液晶メータカウンタ370の値と液晶反転フラグとによって特定される単位区画382にゲージ384を重畳した画像データを液晶ROM204bから抽出し、VRAM204dに保持されている液晶表示データに合成して液晶表示部138に表示し、当該液晶スライド処理S2300を終了する。また、メータ演出が完了すると、即ち、液晶メータカウンタ370の値が停止単位区画カウンタ372の値と一致し、かつ、液晶反転フラグが停止反転フラグと一致すると、演出実行手段364は、ゲージ384が停止した単位領域386に基づいて、メータ演出の結果を示す指標を液晶表示部138に表示する。例えば、ゲージ384が赤色の単位領域386に停止した場合、勝利を示す背景に文字列「ボーナス確定」を重畳して表示し、ゲージ384が黄色の単位領域386に停止した場合、文字列「もう1回」を表示し、ゲージ384が青色の単位領域386に停止した場合、負けを示す背景に文字列「失敗」を重畳して表示する。
【0120】
以上、説明した遊技機1により、メータ演出における抽選処理の簡素化を通じて処理負荷の軽減を図ると共に、基板間で伝達される情報量を削減することで、メータ演出をスムーズに遂行することが可能となる。
【0121】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0122】
例えば、上述した実施形態においては、副制御基板202を第1制御基板とし、液晶制御基板204を第2制御基板とし、副制御基板202から液晶制御基板204に送信されるコマンドについてコマンドの簡素化を実現する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、主制御基板200を第1制御基板とし、副制御基板202を第2制御基板とし、主制御基板200から副制御基板202に送信されるコマンド等、一方に表示機能が備わる基板間に、同様の構成を適用することができる。また、本実施形態においては、遊技機として、スロットマシン100を挙げて説明したが、パチンコ機にも適用することができる。
【0123】
また、上述した実施形態においては、メータ演出として、メータ上に複数の単位領域386を対称的に配す例を挙げて説明したが、複数の単位領域386を所定の順に並べ、その組み合わせを複数回繰り返した配列にする等、様々な配列を採用することができる。また、上述した実施形態においては、メータ380上をゲージ384が左右に往復移動する例を挙げて説明したが、メータ380の一端部から一方向に移動し、他端部に達すると、最初の一端部から同じ方向に移動を繰り返す等、様々な移動態様を採用することができる。さらに、上述した実施形態においては、メータにおける1の単位区画382にゲージ384を位置させる構成を述べたが、例えば、ゲージをバーの頂部に置き換えて、メータをバーで表示してもよい。
【0124】
また、上述した実施形態においては、遊技者のベットボタン126を通じた操作入力に応じてゲージ384の移動を停止するとしたが、操作入力は、これに限らず、スタートスイッチ128やその他の操作部や、別途新たに設けられた演出を行うための専用の演出用ボタン等を用いてもよい。
【0125】
また、上述した実施形態においては、メータ演出によってボーナス役の当選示唆を行う例を挙げて説明したが、当選役や遊技状態といった様々な遊技利益の示唆を行ってもよく、例えば、リプレイ役の当選確率を通常時より高く設定してメダルの消費を抑えることで、当選役の抽選機会を増やす所謂リプレイタイム(RT)や、ストップスイッチの操作順や操作タイミングが入賞条件として設定された当選役に当選したときに、そのストップスイッチの操作順や操作タイミングを報知することで当該当選役を入賞し易くする所謂アシストタイム(AT)、RTとATとを同時に遊技者に付与したART等を示唆してもよい。
【0126】
また、上述した主制御基板200、副制御基板202および液晶制御基板204が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【符号の説明】
【0127】
100 …スロットマシン(遊技機)
138 …液晶表示部(表示部)
200 …主制御基板
202 …副制御基板(第1制御基板)
204 …液晶制御基板(第2制御基板)
332、362 …コマンド受信手段
334 …コマンド決定手段
336 …コマンド送信手段
338 …サブスライド手段
340 …サブメータカウンタ
364 …演出実行手段
366 …ゲージ停止手段
370 …液晶メータカウンタ
372 …停止単位区画カウンタ
380 …メータ
382 …単位区画
384 …ゲージ
386 …単位領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の演出に関するコマンドを決定するコマンド決定手段と、決定されたコマンドを送信するコマンド送信手段と、を有する第1制御基板と、
前記第1制御基板から受信したコマンドに基づいて、メータを模した複数の単位区画上をゲージが移動し、遊技者の操作に応じて、いずれかの単位区画にゲージが停止するメータ演出を実行する演出実行手段を有する第2制御基板と、
を備えた遊技機であって、
前記コマンド決定手段は、遊技者による操作に応じて、1または複数の前記単位区画をグループ化した複数の単位領域から1の単位領域を決定し、
前記コマンド送信手段は、前記コマンド決定手段によって決定された単位領域に対応する識別子を含む演出コマンドを送信し、
前記第2制御基板は、
前記ゲージが現在位置する単位区画を示す第2メータカウンタを備え、
前記演出実行手段は、前記第2メータカウンタによって示される単位区画にゲージを位置させて表示部に表示し、
前記演出コマンドから前記単位領域に対応する識別子を抽出し、抽出した単位領域に属する単位区画にゲージを停止させるゲージ停止手段を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ゲージ停止手段は、前記演出コマンドの受信に応じ前記第2メータカウンタを通じてゲージが位置する単位区画を特定し、特定された単位区画が属する単位領域と、前記演出コマンドから抽出した識別子に対応する単位領域とが異なる場合に、当該演出コマンドから抽出した識別子に対応する単位領域に属する単位区画の中で、前記ゲージが位置する単位区画に最も近い単位領域に属する単位区画にゲージを停止させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第1制御基板は、
前記第2メータカウンタと同期した、ゲージが現在位置する単位区画を示す第1メータカウンタを備え、
前記コマンド決定手段は、遊技者の操作に応じ前記第1メータカウンタを通じてゲージが現在位置する単位区画を特定し、特定された単位区画を参照し、遊技者による操作に応じて単位領域を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−94609(P2013−94609A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243047(P2011−243047)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】