説明

運動センサを使用した無線ベースの測位調整

運動センサを使用して、移動局の無線導出された位置を調整するための装置および方法が提示される。一方法は、無線信号測定値に基づいて、移動局の位置を推定するステップと、相対運動センサを使用して、移動局の移動を測定するステップとを含む。この方法は、測定された移動に基づいて、移動局の変位を検出するステップと、その変位がしきい値未満であることを決定するステップと、次いで、相対運動センサからの情報を使用して、移動局の推定された位置を調整するステップとをさらに含む。装置は、無線トランシーバと、相対運動センサと、無線トランシーバと相対運動センサとに結合されたプロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを含む。このメモリは、プロセッサに、運動センサを使用して、無線導出された位置を調整させるための方法を実行させるための実行可能な命令およびデータを格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第119条に基づく優先権主張
本特許出願は、本譲受人に譲渡され、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれている、2008年11月21日に出願された、「Accelerometer-based Calibration of Processing Delay for Positioning」という表題の仮出願第61/116,969号の優先権を主張する。
【0002】
同時係属特許出願の参照
本特許出願は、以下の同時係属米国特許出願に関する。
本出願と同時に出願され、本譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明示的に組み込まれている、弁理士整理番号090215を有する、Aggarwal他による「BEACON SECTORING FOR POSITION DETERMINATION」。
本出願と同時に出願され、本譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明示的に組み込まれている、弁理士整理番号090334を有する、Aggarwal他による「WIRELESS POSITION DETERMINATION USING ADJUSTED ROUND TRIP TIME MEASUREMENTS」。
本出願と同時に出願され、本譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明示的に組み込まれている、弁理士整理番号090505を有する、Aggarwal他による「NETWORK CENTRIC DETERMINATION OF NODE PROCESSING DELAY」。
【0003】
本開示の態様は、一般に、無線通信システムに関し、より詳細には、相対運動センサを使用した移動体デバイスに関する改善された位置決定の方法および装置に関する。
【背景技術】
【0004】
移動体通信ネットワークは、移動体デバイスの運動感知および/または位置特定感知に関連してますます洗練された機能を提供しているところである。例えば、個人的な生産性、共同通信、ソーシャルネットワーキング、および/またはデータ獲得に関するアプリケーションなど、新しいソフトウェアアプリケーションは、新しい特徴とサービスとを消費者に提供するために、運動センサおよび/または位置センサを利用することが可能である。さらに、様々な管轄のいくつかの規制要件は、移動体デバイスが米国における911呼出しなどの緊急サービスに対して呼出しを行うとき、移動体デバイスの位置を報告することをネットワークオペレータに求める場合がある。
【0005】
かかる運動および/または位置決定機能は、従来、デジタルセルラ測位技法(digital cellular positioning techniques)および/または衛星測位システム(SPS)の両方を使用して提供されてきた。加えて、小型化された運動センサ(例えば、簡単なスイッチ、加速度計、角度センサなど)がますます普及するのに伴って、相対的な位置情報、速度情報、加速度情報、および/または配向情報を提供するために、かかるオンボードデバイスが使用できる。
【0006】
従来のデジタルセルラネットワークでは、位置特定能力は、様々な時間測定技法および/または位相測定技法によって提供されうる。例えば、CDMAネットワークにおいて、使用される1つの位置決定手法は、高度順方向リンク三辺測量(Advanced Forward Trilateration)(AFLT)である。AFLTを使用すると、移動体デバイスは、複数の基地局から送信されたパイロット信号の位相測定値からその位置を計算することができる。
【0007】
AFLTに対する改善は、移動局が、衛星測位システム(SPS)受信機を用いることが可能なハイブリッド位置特定技法を利用することによって実現されてきた。SPS受信機は、基地局によって送信された信号から導出された情報から独立している位置情報を提供することが可能である。さらに、位置の精度は、従来技術を使用して、SPSシステムとAFLTシステムの両方から導出された測定値を組み合わせることによって改善されうる。
【0008】
しかし、SPSおよび/またはセルラ基地局によって提供される信号に基づく従来の位置特定技法は、移動体デバイスが建物内および/または都会環境内で動作しているとき、困難に遭遇する場合がある。そのような状況において、信号反射および信号屈折、マルチパス、ならびに/または信号減衰は、位置の精度をかなり低減させる可能性があり、「修正までの時間」を容認不可能なほど長期間に遅らせる可能性がある。これらの欠点は、移動体デバイスに、位置情報を導くために、例えば、Wi-Fi(例えば、801.11x標準)など、その他の既存の無線ネットワークからの信号を活用させることによって克服できる。その他の既存の無線ネットワークにおいて使用される従来の位置決定技法は、これらのネットワーク内で利用される信号から導出されたラウンドトリップ時間(RTT)測定値を利用することが可能である。
【0009】
位置を正確に決定するためのRTT測定技法の利用は、通常、無線信号がネットワークを備える様々なデバイスを通して伝播するにつれて、それらの無線信号が受ける時間遅延の知識を必要とする。かかる遅延は、例えば、マルチパスおよび/または信号干渉により、空間的に変化する場合がある。さらに、かかる処理遅延は、ネットワークデバイスのタイプおよび/またはそのネットワークデバイスの現在のネットワーキング負荷に基づいて、経時的に変化する場合がある。実際には、従来のRTT測位技法を用いるとき、処理遅延時間の推定は、無線アクセスポイント内のハードウェア変更、ならびに/または時間のかかる指紋採取(fingerprinting)の事前配備および/もしくは動作環境の較正を必要とする場合がある。
【0010】
したがって、位置決定に関してRTT技法を使用するとき、処理遅延の推定を支援するために、オンボード相対運動センサを活用することが望ましい場合がある。かかる技法は、費用効率の高い形で移動体デバイスの位置特定精度および位置特定パフォーマンスを改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】仮出願第61/116,969号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の例示的な実施形態は、相対運動センサを使用して、移動局の無線ベースの位置を調整するためのシステムおよび方法に関する。一実施形態は、無線信号測定値に基づいて、移動局の位置を推定するステップと、相対運動センサを使用して、その移動局の移動を測定するステップとを含みうる。本実施形態は、測定された移動に基づいて、移動局の変位を検出するステップと、その変位がしきい値未満であることを決定するステップと、次いで、相対運動センサからの情報を使用して、その移動局の推定された位置を調整するステップとをさらに含みうる。
【0013】
もう1つの実施形態では、相対運動センサを使用して、移動局の無線ベースの位置を調整するための装置が提示される。本実施形態は、無線トランシーバと、相対運動センサと、無線トランシーバと相対運動センサとに結合されたプロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを含みうる。このメモリは、プロセッサに、無線トランシーバによって受信された無線信号測定値に基づいて、移動局の位置を推定させて、相対運動センサによって提供された情報に基づいて、その移動局が移動していることを決定させ、相対運動センサによって提供された情報に基づいて、その移動局の変位を計算させて、その変位がしきい値未満であることを決定させ、相対運動センサからの情報を使用して、その移動局の推定された位置を調整させるための実行可能な命令とデータとを格納する。
【0014】
さらにもう1つの実施形態では、移動局の無線ベースの位置を調整するための方法が提示される。本実施形態は、無線信号測定値に基づいて、移動局の位置を推定するステップと、相対運動センサを使用して、その移動局の変位を検出するステップと、検出された変位を使用して、無線アクセスポイントの推定された処理遅延を調整するステップと、その調整された処理遅延を使用して、その移動局の推定された位置を精緻化するステップとを含む。
【0015】
本明細書で提示される様々な実施形態は、効率的な形で、移動局の位置特定精度および位置特定パフォーマンスを改善する利点を有する可能性があり、実際に実装(例えば、較正ルックアップテーブルの実装)が困難でありうる高価な従来技法を回避することが可能である。
【0016】
添付の図面は、本発明の実施形態の説明を助けるために提示され、それらの実施形態の限定ではなく、それらの実施形態を例示するためだけに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】無線技法を使用して位置を決定することができる移動局に関する1つの例示的な動作環境の図である。
【図2】例示的な移動局の様々な構成要素を例示するブロック図である。
【図3】相対運動センサを使用して、移動局の位置を決定するための1つの例示的な技法を示す図である。
【図4】相対運動センサを使用して、移動局の位置を精緻化するための1つの例示的な技法を示す図である。
【図5】相対運動センサを使用して、無線測定値から取得された移動局の位置を調整するための1つの例示的なプロセスを含む流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明および関連する図面において、これらの実施形態の態様が開示される。請求項の範囲から逸脱せずに、代替の実施形態が考案されうる。加えて、これらの実施形態のよく知られている要素は、詳細に説明されないか、または関連する詳細をあいまいにしないように省略される。
【0019】
本明細書において、「例示的」という用語は、「例、事例、または例示として機能する」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的」として説明されるいずれの実施形態も、その他の実施形態に勝って好まれる、または有利であると解釈されるとは限らない。同様に、「実施形態」という用語は、本発明のすべての実施形態が議論される特徴、利点、または動作モードの利点を含むことを必要としない。
【0020】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけであり、本発明の実施形態を限定することが意図されない。本明細書で使用される場合、その文脈が異なる解釈を明瞭に示す場合を除き、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数形も同様に含むことが意図される。本明細書で使用される場合、「備える」、「備えている」、「含む」、および/もしくは「含んでいる」という用語は、記述される特徴、整数、ステップ、動作、要素、ならびに/または構成要素の存在を指定し、1もしくは複数のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在ならびに追加を除外しない点をさらに理解されよう。
【0021】
さらに、多くの実施形態は、例えば、コンピューティングデバイスの要素によって実行されることになる動作の順序の点から説明される。本明細書で説明される様々な活動は、特定の回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))によって、1つもしくは複数のプロセッサによって実行されているプログラム命令によって、またはそれら両方の組合せによって実行できる点を認識されよう。加えて、本明細書で説明される活動のこれらの順序は、実行時に、関連するプロセッサに、本明細書で説明される機能性を実行させることになるコンピュータ命令の対応するセットを格納している、任意の形態のコンピュータ可読記憶媒体内で完全に実装されるものと見なされうる。したがって、本発明の様々な態様は、そのすべてが特許請求される主題の範囲内にあることが企図されている、いくつかの異なる形態で実装されうる。加えて、本明細書で説明される実施形態のそれぞれに関して、任意のかかる実施形態の対応する形態は、本明細書において、例えば、説明される活動を実行する「ように構成される論理」として説明される場合がある。
【0022】
図1は、無線測位能力を有する移動局108に関する1つの例示的な動作環境100の図である。実施形態は、無線アクセスポイントによって導入される処理遅延に対処するために調整されるラウンドトリップ時間測定値(RTT)に基づいてその位置を決定することができる移動局108に関する。これらの処理遅延は、様々なアクセスポイント間で異なる場合があり、経時的に変化する場合もある。相対運動センサからの情報を使用することによって、移動局は、無線アクセスポイントによって導入された処理遅延の影響を較正して取り除くことが可能である。
【0023】
動作環境100は、1つもしくは複数の異なるタイプの無線通信システムおよび/または無線測位システムを含みうる。図1に示される実施形態では、移動局108に関する独立位置情報源として、衛星測位システム(SPS)102が使用できる。移動局108は、詳細には、SPS衛星から地理的位置情報を導出するために信号を受信するように設計された、1つまたは複数の専用SPS受信機を含みうる。
【0024】
動作環境100は、無線音声通信および/または無線データ通信のために、かつ移動局108に関するもう1つの独立位置情報源として使用されることが可能な、複数の1つまたは複数のタイプの広域ネットワーク無線アクセスポイント(WAN-WAP)104も含みうる。WAN-WAP104は、知られている位置にセルラ基地局を含みうる広域無線ネットワーク(WWAN)、および/または、例えば、WiMAX(例えば、802.16)など、その他の広域無線システムの一部でありうる。WWANは、説明を簡単にするために図1に示されない、その他の知られているネットワーク構成要素を含みうる。通常、WWAN内のWAN-WAP104a〜104cのそれぞれは、固定位置から動作して、大都市領域および/または局所領域にわたるネットワーク有効範囲を提供することが可能である。
【0025】
動作環境100は、無線音声通信および/または無線データ通信に関して使用できるローカルエリアネットワーク無線アクセスポイント(LAN-WAP)106、ならびにもう1つの独立位置データ源をさらに含みうる。LAN-WAPは、建物内で動作して、WWANよりもより小さな地理的領域にわたって通信を実行することができる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の一部でありうる。かかるLAN-WAP106は、例えば、WiFiネットワーク(802.11x)、セルラピコネット(piconet)および/またはフェムトセル(femtocell)、Bluetoothネットワークなどの一部でありうる。
【0026】
移動局108は、SPS衛星102、WAN-WAP104、および/またはLAN-WAP106のうちの1つもしくはそれらの組合せから位置情報を導出することが可能である。前述のシステムのそれぞれは、異なる技法を使用して、移動局108に関する位置の独立推定を提供することが可能である。いくつかの実施形態では、移動局は、位置データの精度を改善するために、異なるタイプのアクセスポイントのそれぞれから導出された解を組み合わせることが可能である。SPS102を使用して位置を導出するとき、移動局は、特に、従来技法を使用して、SPS衛星102から送信された複数の信号から位置を抽出するSPSと共に使用するように設計された受信機を利用することが可能である。
【0027】
衛星測位システム(SPS)は、通常、エンティティが、送信機から受信された信号に少なくとも一部基づいて、地球上または地球より高い位置にある当該エンティティの位置を決定することを可能にするために配置された送信機のシステムを含む。かかる送信機は、通常、設定された数のチップの繰返し擬似ランダム雑音(PN)コードを用いてマーキングされた信号を送信し、地上ベースの制御局、ユーザ装置および/または宇宙船の上に配置されうる。特定の例では、かかる送信機は、地球軌道衛星ビークル(SV)上に配置されうる。例えば、全地球測位システム(GPS)、ガリレオ、グロナス、またはコンパスなど、全地球航法衛星システム(GNSS)のコンスタレーション内のSVは、(例えば、GPSの場合のように、それぞれの衛星に関して異なるPNコードを使用して、またはグロナスの場合のように、異なる周波数上で同じコードを使用して)コンスタレーション内のその他のSVによって送信されたPNコードと区別可能なPNコードでマーキングされた信号を送信することが可能である。いくつかの態様によれば、本明細書で提示される技法は、SPSに関する全地球システム(例えば、GNSS)に限定されない。例えば、本明細書で提供される技法は、例えば、日本の上空の準天頂衛星システム(QZSS)、インドの上空のインド地域航法衛星システム(IRNSS)、中国の上空の北斗など、様々な地域システム、ならびに/あるいは1つもしくは複数の全地球航法衛星システムおよび/または地域航法衛星システムに関連しうるか、あるいはそうでない場合、当該航法衛星システムと共に使用することが可能にされうる様々な補強システム(例えば、衛星ベースの補強システム(SBAS))において使用するために適用されることが可能であるか、またはそうでない場合、それらの地域システムにおいて使用することが可能にされうる。限定ではなく、例として、SBASは、例えば、広域補強システム(WAAS)、欧州静止航法オーバーレイサービス(EGNOS)、運用多目的衛星用衛星航法補強システム(MSAS)、GPS支援地球補強航法(GPS Aided Geo Augmented Navigation )システム、またはGPSおよび地球補強航法(GPS and Geo Augmented Navigation)システム(GAGAN)など、完全性情報、差異補正などを提供する、(1つもしくは複数の)補強システムを含みうる。したがって、本明細書で使用される場合、SPSは、1つもしくは複数の全地球航法衛星システムおよび/または地域航法衛星システムならびに/あるいは1つもしくは複数の全地球補強システムおよび/または地域補強システムの任意の組合せを含むことが可能であり、SPS信号は、SPS、SPSのような信号、および/またはかかる1つもしくは複数のSPSに関連するその他の信号を含みうる。
【0028】
さらに、開示される方法および装置は、擬似衛星、または衛星と擬似衛星の組合せを利用する測位決定システムと共に使用されうる。擬似衛星は、PNコード、またはGPS時間と同期されうるL帯域(または、その他の周波数)搬送波信号上で変調された(GPSセルラ信号またはCDMAセルラ信号に類似した)その他の測距コードをブロードキャストする地上ベースの送信機である。それぞれのかかる送信機には、遠隔受信機による識別を可能にするために、独自のPNコードが割り当てられることが可能である。擬似衛星は、トンネル、鉱山、建物、アーバンキャニオン(urban canyons)、またはその他の閉鎖領域の中など、軌道衛星からのGPS信号が利用可能でない可能性がある状況において有用である。擬似衛星のもう1つの実装形態は、無線ビーコンとして知られている。本明細書で使用される場合、「衛星」という用語は、擬似衛星、擬似衛星の等価物、および場合によってはその他の物を含むことが意図される。本明細書で使用される場合、「SPS信号」という用語は、擬似衛星または擬似衛星の等価物からのSPSのような信号を含むことが意図される。
【0029】
WWANから位置を導出するとき、それぞれのWAN-WAP104a〜104cは、デジタルセルラネットワーク内の基地局の形をとることが可能であり、移動局108は、セルラトランシーバと、位置を導出するために、基地局信号を活用することができるプロセッサとを含みうる。かかるセルラネットワークは、GSM、CDMA、2G、3G、4G、LTEなどによる標準を含みうるが、これらに限定されない。デジタルセルラネットワークは、追加の基地局、または図1に示されるその他のリソースを含みうる点を理解されたい。WAN-WAP104は、実際に移動可能でありうるか、またはそうでない場合、位置変更されることが可能でありうるが、例示のために、WAN-WAP104は、基本的に、固定位置に配置されていることが仮定される。
【0030】
移動局108は、例えば、高度順方向リンク三辺測量(AFLT)など、知られている到着時間技法を使用して、位置決定を実行することが可能である。その他の実施形態では、それぞれのWAN-WAP104a〜104cは、WiMAX無線ネットワーキング基地局の形をとってよい。この場合、移動局108は、WAN-WAP104によって提供された信号からの到着時間(TOA)技法を使用して、その位置を決定することが可能である。移動局108は、独立モードで、または下でより詳細に説明されるように、TOA技法を使用して、測位サーバ110およびネットワーク112の支援を使用して、位置を決定することが可能である。本開示の実施形態は、移動局108に、異なるタイプであるWAN-WAP104を使用して、位置情報を決定させるステップを含む点に留意されたい。例えば、いくつかのWAN-WAP104は、セルラ基地局であってよく、その他のWAN-WAPは、WiMAX基地局であってよい。かかる動作環境では、移動局108は、それぞれ異なるタイプのWAN-WAPからの信号を活用して、精度を改善するために、導出された位置解決策をさらに組み合わせることが可能でありうる。
【0031】
WLANを使用して位置を導出するとき、移動局108は、測位サーバ110およびネットワーク112の支援によって、到着時間技法を利用することが可能である。測位サーバ110は、ネットワーク112を介して移動局に通信することが可能である。ネットワーク112は、LAN-WAP106を組み込む有線ネットワークと無線ネットワークの組合せを含みうる。一実施形態では、それぞれのLAN-WAP106a〜106eは、例えば、固定位置に設定されるとは限らず、位置を変更することが可能なWiFi無線アクセスポイントであってよい。それぞれのLAN-WAP106a〜106eの位置は、測位サーバ110で共通座標系内に格納されうる。一実施形態では、移動局108の位置は、移動局108に、それぞれのLAN-WAP106a〜106eから信号を受信させることによって決定できる。それぞれの信号は、(例えば、MACアドレスなど)受信信号内に含まれうる何らかの形の識別情報に基づいて、その発生LAN-WAPと関連付けられることが可能である。移動局108は、次いで、信号強度に基づいて、受信信号を分類して、分類された受信信号のそれぞれに関連する時間遅延を導出することが可能である。移動局108は、次いで、LAN-WAPのそれぞれの時間遅延およびそれぞれの識別情報を含みうるメッセージを形成して、ネットワーク112を経由して、そのメッセージを測位サーバ110に送信することが可能である。受信されたメッセージに基づいて、次いで、測位サーバは、関連するLAN-WAP106の格納された位置を使用して、移動局108の位置を決定することができる。測位サーバ110は、局所座標系内に移動局の位置に対するポインタを含む位置構成指示(Location Configuration Indication)(LCI)メッセージを生成して、移動局108に提供することが可能である。このLCIメッセージは、移動局108の位置に関するその他の当該ポイントも含みうる。移動局108の位置を計算するとき、測位サーバは、無線ネットワーク内の要素によって導入されうる様々な遅延を考慮に入れることができる。
【0032】
本明細書で説明される位置決定技法は、広域無線ネットワーク(WWAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)など、様々な無線通信ネットワークに関して使用されうる。「ネットワーク」および「システム」という用語は、交換可能に使用できる。WWANは、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、直行周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワーク、シングルキャリア周波数多元接続(SC-FDMA)ネットワーク、WiMAX(IEEE802.16)などでありうる。CDMAネットワークは、cdma2000、広帯域CDMA(W-CDMA)など、1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT)を実装することが可能である。Cdma2000は、IS-95標準、IS-2000標準、およびIS-856標準を含む。TDMAネットワークは、移動体通信用グローバルシステム(GSM)、デジタル先進移動電話システム(D-AMPS)、またはいくつかのその他のRATを実装することが可能である。GSMおよびW-CDMAは、「第3世代パートナーシッププロジェクト」(3GPP)と呼ばれる協会の文書で説明される。Cdma2000は、「第3世代パートナーシッププロジェクト2」(3GPP2)と呼ばれる協会の文書で説明される。3GPP文書および3GPP2文書は、公に利用可能である。WLANは、IEEE802.11xネットワークであってよく、WPANはBluetoothネットワーク、IEE802.15x、またはいくつかのその他のタイプのネットワークであってよい。これらの技法は、WWAN、WLAN、および/またはWPANの任意の組合せに関して使用されることも可能である。
【0033】
図2は、1つの例示的な移動局200の様々な構成要素を例示するブロック図である。説明を簡単にするために、図2の箱図表内に例示される様々な特徴および機能は、共通のバスを使用して一緒に接続され、これは、これらの様々な特徴および機能が動作可能に一緒に結合されることを表すことが意味される。当業者は、実際の携帯用無線デバイスを動作可能に結合して、構成するために、必要に応じて、その他の接続、機構、特徴、機能などが提供され、適合されることが可能である点を認識されよう。さらに、図2の例において示される特徴または機能のうちの1つもしくは複数は、さらに細分化されることが可能であり、あるいは図2に例示される特徴または機能のうちの2つ以上が組み合わされることも可能である点も認識されよう。
【0034】
移動局200は、1本または複数のアンテナ202に接続されることが可能な、1つまたは複数の広域ネットワークトランシーバ204を含みうる。広域ネットワークトランシーバ204は、WAN-WAP104と通信し、かつ/またはWAN-WAP104への/WAN-WAP104からの信号を検出し、かつ/あるいはネットワーク内のその他の無線デバイスと直接的に通信するのに適切なデバイス、ハードウェア、および/もしくはソフトウェアを備える。一態様では、広域ネットワークトランシーバ204は、無線基地局のCDMAネットワークと通信するのに適したCDMA通信システムを備えうるが、その他の態様では、無線通信システムは、例えば、TDMAまたはGSMなど、別のタイプのセルラ電話ネットワークを備えることが可能である。加えて、例えば、WiMAX(802.16)など、任意のその他のタイプの広域無線ネットワーキング技術が使用できる。移動局200は、1本または複数のアンテナ202に接続されることが可能な1つまたは複数のローカルエリアネットワークトランシーバ206も含みうる。ローカルエリアネットワークトランシーバ204は、LAN-WAP106と通信し、かつ/またはLAN-WAP106への/LAN-WAP106からの信号を検出し、かつ/あるいはネットワーク内のその他の無線デバイスと直接的に通信するのに適切なデバイス、ハードウェア、および/もしくはソフトウェアを備える。一態様では、ローカルエリアネットワークトランシーバ204は、1つまたは複数のアクセスポイントと通信するのに適したWiFi(802.11x)通信システムを備えうるが、その他の態様では、ローカルエリアネットワークトランシーバ206は、別のタイプのローカルエリアネットワーク、パーソナルエリアネットワーク、(例えば、Bluetooth)を備える。加えて、例えば、超広帯域、ZigBee、無線USBなど、任意のその他のタイプの無線ネットワーキング技術が使用できる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「無線アクセスポイント」(WAP)という略語は、LAN-WAP106および/またはWAN-WAP104を指すために使用される場合がある。詳細には、下で提示される説明において、「WAP」という用語が使用されるとき、実施形態は、複数のLAN-WAP106、複数のWAN-WAP104、またはそれら2つの任意の組合せからの信号を活用できる移動局200を含みうる点を理解されたい。移動局200によって利用されているWAPの特定のタイプは、動作の環境に依存しうる。さらに、移動局200は、正確な位置解決策に達するために、様々なタイプのWAPの間で動的に選択することが可能である。その他の実施形態では、様々なネットワーク要素は、同位様式で動作することが可能であり、それによって、例えば、移動局は、WAPと置き換えられることが可能であり、逆も同様である。その他の同位実施形態は、1つまたは複数のWAPに代わって動作している別の移動局(図示せず)を含みうる。
【0036】
SPS受信機208は、移動局200内に含まれることも可能である。SPS受信機208は、衛星信号を受信するための、1本または複数のアンテナ202に接続されることが可能である。SPS受信機208は、SPS信号を受信して処理するための任意の適切なハードウェアおよび/またはソフトウェアを備えうる。SPS受信機208は、必要に応じて、その他のシステムから情報および動作を要求し、任意の適切なSPSアルゴリズムによって取得された測定値を使用して、移動局200の位置を決定するために必要な計算を実行する。
【0037】
相対運動センサ212は、広域ネットワークトランシーバ204、ローカルエリアネットワークトランシーバ206、およびSPS受信機208によって受信された信号から導出された運動データから独立している相対的な移動情報および/または配向情報を提供するために、プロセッサ210に結合されることが可能である。
【0038】
限定ではなく、例として、相対運動センサ212は、加速度計(例えば、MEMSデバイス)、ジャイロスコープ、地磁気センサ(例えば、コンパス)、高度計(例えば、気圧高度計)、および/または任意のその他のタイプの移動検出センサを利用することが可能である。さらに、相対運動センサ212は、複数の異なるタイプのデバイスを含み、運動情報を提供するために、その出力を組み合わせることが可能である。例えば、相対運動センサ212は、2D座標系および/または3D座標系における位置を計算する能力を提供するために、多軸加速度計センサおよび配向センサの組合せを使用することが可能である。
【0039】
プロセッサ210は、広域ネットワークトランシーバ204と、ローカルエリアネットワークトランシーバ206と、SPS受信機208と、相対運動センサ212とに接続されることが可能である。プロセッサ210は、処理機能、ならびにその他の計算および制御機能性を提供する、1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、および/またはデジタル信号プロセッサを含みうる。プロセッサ210は、移動局内にプログラムされた機能性を実行するためのデータおよびソフトウェア命令を格納するためのメモリ214を含みうる。メモリ214は、(例えば、同じICパッケージ内の)オンボードプロセッサ210であってよく、かつ/またはメモリは、プロセッサに対する外部メモリであり、データバスを介して機能的に結合されることも可能である。本開示の態様に関連するソフトウェア機能性の詳細は、下でより詳細に説明される。
【0040】
いくつかのソフトウェアモジュールおよびデータ表がメモリ214内にあり、通信および測位決定機能性の両方を管理するために、プロセッサ210によって利用されることが可能である。図2に例示されるように、メモリ214は、無線ベースの測位モジュール216と、アプリケーションモジュール218と、相対測位モジュール228とを含むことが可能であり、かつ/またはそうでない場合、これらを受信することが可能である。図2に示されるようなメモリコンテンツの組織は、単なる例であり、したがって、モジュールおよび/もしくはデータ構造の機能性は、組み合わされること、分離されること、かつ/または移動局200の実装形態に応じて、様々な形で構成されることが可能である点を理解されたい。
【0041】
アプリケーションモジュール218は、無線ベースの測位モジュール216から位置情報を要求する、移動体デバイス200のプロセッサ210上で実行しているプロセスでありうる。アプリケーションは、通常、ソフトウェアアーキテクチャの上位層内で実行し、屋内ナビゲーション(Indoor Navigation)、バディロケータ(Buddy Locator)、買い物およびクーポン、資産追跡、および位置認識サービス発見(location Aware Service Discovery)を含みうる。無線ベースの測位モジュール216は、複数のWAPと交換された信号から測定された時間情報から導出された情報を使用して、移動体デバイス200の位置を導出することが可能である。時間ベースの技法を使用して位置を正確に決定するために、それぞれのWAPの処理時間によって導入された時間遅延の合理的な推定は、信号から取得された時間測定値を較正/調整するために使用されうる。本明細書で使用される場合、これらの時間遅延は「処理遅延」と呼ばれる。
【0042】
WAPの処理遅延をさらに精緻化するための較正は、相対運動センサ212によって取得された情報を使用して実行されることが可能である。一実施形態では、相対運動センサ212は、メモリ214内で位置/運動データモジュール226内に格納されうる位置データおよび/または配向データをプロセッサ210に直接的に提供することが可能である。その他の実施形態では、相対運動センサ212は、較正を実行するための情報を導出するために、プロセッサ210によってさらに処理されるべきデータを提供することが可能である。例えば、相対運動センサ212は、無線ベースの測位モジュール216内の処理遅延を調整するための位置データを導出するために、相対測位モジュール228を使用して処理されうる(単軸または多軸)加速度データおよび/または配向データを提供することが可能である。
【0043】
較正の後で、その前述の要求に応答して、位置は、次いで、アプリケーションモジュール218に送出されうる。加えて、無線ベースの測位モジュール216は、動作パラメータを交換するために、パラメータデータベース224を利用することが可能である。かかるパラメータは、それぞれのWAPに関して決定された処理遅延、共通座標系内のWAP位置、そのネットワークに関連する様々なパラメータ、初期の処理遅延推定などを含みうる。
【0044】
その他の実施形態では、追加の情報は、オプションで、例えば、SPS測定値からなど、相対運動センサ212とは別の情報源から決定されることが可能な補助位置データおよび/または補助運動データを含みうる。補助位置データは、間欠性である可能性、および/または雑音がある可能性もあるが、移動局200が動作している環境に応じて、WAPの処理遅延を推定するための別の独立情報源として有用でありうる。
【0045】
例えば、いくつかの実施形態では、(位置/運動データモジュール226から直接的に、または相対測位モジュール228によって導出された)、相対運動センサ212によって供給される相対位置データは、SPS受信機208から導出されたデータによって補完されうる。その他の実施形態では、相対位置データは、非RTT技法(例えば、CDMAネットワーク内のAFLT)を使用して、追加のネットワークを介して決定されたデータと組み合わされることが可能である。いくつかの実施形態では、補助位置/運動データのすべてまたは一部は、プロセッサ210によるさらなる処理を伴わずに、相対運動センサ212および/またはSPS受信機214によって提供されることも可能である。いくつかの実施形態では、補助位置/運動データは、相対運動センサ212および/またはSPS受信機208によってプロセッサ210に直接的に提供されうる。
【0046】
図2に示されるモジュールは、この例において、メモリ214内に含まれているとして示されるが、いくつかの実装形態では、かかる手順は、その他の機構もしくは追加の機構を使用して提供されることが可能であり、またはそうでない場合、それらの機構を使用して動作可能に構成されることが可能である点を理解されよう。例えば、無線ベースの測位モジュール216および/またはアプリケーションモジュール218のすべてもしくは一部は、ファームウェア内に提供されうる。加えて、この例において、無線ベースの測位モジュール216およびアプリケーションモジュール218は、個別の特徴として例示されているが、例えば、かかる手順は、1つの手順として一緒に組み合わされてよく、もしくは場合によっては、その他の手順と一緒に組み合わされてよく、またはそうではない場合、複数の副手順にさらに分割されてもよい点を認識されよう。
【0047】
プロセッサ210は、少なくとも本明細書で提供される技法を実行するのに適した任意の形態の論理を含みうる。例えば、プロセッサ210は、移動体デバイスのその他の部分において使用するために運動データを活用する、1つまたは複数のルーチンを選択的に開始するために、メモリ214内の命令に基づいて、動作可能に構成可能でありうる。
【0048】
移動局200は、マイクロフォン/スピーカ252、キーパッド254、および移動局200とのユーザの対話を可能にするディスプレイ256など、任意の適切なインターフェースシステムを提供するユーザインターフェース250を含みうる。マイクロフォン/スピーカ252は、広域ネットワークトランシーバ204および/またはローカルエリアネットワークトランシーバ206を使用して、音声通信サービスを提供する。キーパッド254は、ユーザ入力向けの任意の適切なボタンを備える。ディスプレイ256は、例えば、バックライト付きLCDディスプレイなど、任意の適切なディスプレイを備え、追加のユーザ入力モード向けのタッチスクリーンディスプレイをさらに含みうる。
【0049】
本明細書で使用される場合、移動局108は、1つもしくは複数の無線通信デバイスまたは無線通信ネットワークから送信された無線信号を獲得し、かつ当該無線通信デバイスまたは当該無線通信ネットワークに無線信号を送信するように構成可能な、任意の携帯用デバイスもしくは携帯用機械、または可動デバイスもしくは可動機械であってよい。図1および2に示されるように、移動局108は、かかる携帯用無線デバイスを表す。したがって、限定ではなく、例として、移動局108は、無線デバイス、セルラ電話デバイス、コンピューティングデバイス、パーソナル通信システム(PCS)デバイス、またはその他の類似の可動の無線通信を装備したデバイス、器具、もしくは機械を含みうる。「移動局」という用語は、デバイスにおいて、もしくはパーソナルナビゲーションデバイス(PND)において、衛星信号受信、支援データ(assistance data)受信、および/または位置関連処理が発生するかどうかにかかわらず、短距離無線接続、赤外線接続、有線接続、あるいは、その他の接続など、PNDと通信するデバイスを含むことも意図される。また、「移動局」は、デバイスにおいて、サーバにおいて、またはネットワークに関連する別のデバイスにおいて、衛星信号受信、支援データ受信、および/もしくは位置関連処理が発生するかどうかにかかわらず、インターネット、WiFi、またはその他のネットワークを経由してなど、サーバと通信することが可能な無線デバイス、コンピュータ、ラップトップなどを含むすべてのデバイスを含むことが意図される。上記の任意の動作可能な組合せも「移動局」と見なされる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「無線デバイス」という用語は、ネットワークを介して情報を転送することが可能であり、位置決定および/またはナビゲーション機能性も有する任意のタイプの無線通信デバイスを指す場合がある。この無線デバイスは、任意のセルラ移動端末、パーソナル通信システム(PCS)デバイス、パーソナルナビゲーションデバイス、ラップトップ、携帯情報端末、またはネットワーク信号および/もしくはSPS信号を受信して、処理することが可能な任意のその他の適切な移動デバイスであってよい。
【0051】
§無線ベースの位置決定
本明細書で使用される場合、「無線ベースの位置決定」は、無線信号に基づいて行われる位置決定を意味する。無線ベースの位置決定は、個別の信号源またはそれらの組合せを使用して、様々な形で達成されうる。いくつかの実施形態では、無線位置決定は、SPS測定値を使用して実行できる。例えば、移動局108が屋内環境に入ったばかりである場合、または屋内環境がSPS信号をひどく減衰しない場合、衛星測位が使用できる。その他の実施形態では、音声通信/データ通信に関して用いられる信号を使用する技法が位置決定に関して利用されうる。かかる技法は、例えば、WLANおよび/またはWWAN(例えば、WiFi、WiMAX、セルラネットワークなど)を利用した位置決定を含みうる。いくつかの実施形態は、参照により本明細書に明示的に組み込まれている、弁理士整理番号090334を有する、Aggarwal他による「WIRELESS POSITION DETERMINATION USING ADJUSTED ROUND TRIP TIME MEASUREMENTS」という表題の同時係属出願において説明される技法を利用すること、および/または組み込むことが可能である。
【0052】
移動局108の位置を決定するための例示的な技法を示すために、簡素化された環境が図3に示される。移動局108は、RF信号(例えば、2.4GHz)と、RF信号の変調および情報パケットの交換に関して標準化されたプロトコル(例えば、IEEE802.11)とを使用して、複数のWAP311と無線で通信することが可能である。交換された信号から異なるタイプの情報を抽出して、ネットワークのレイアウト(すなわち、下で説明されるようなネットワークジオメトリ)を利用することによって、移動局108は、所定の基準座標系内のその位置を決定することが可能である。図3に示されるように、移動局は、二次元座標系を使用して、その位置(xt,yt)を特定することが可能であるが、本明細書で開示される実施形態は、そのように限定されず、追加の次元が所望される場合、三次元座標系を使用した位置決定にも適用可能でありうる。加えて、3つのWAP311a〜311cが図3に示されるが、二次元で位置を決定するとき、実施形態は、理論上、2つのWAPだけを使用することができる。他方で、追加のWAPを利用して、異なる雑音影響によって導入された様々な誤差を平均して、それにより、決定された位置の精度を改善することが可能な過剰決定系に適用可能な技法を使用して、位置を解決することが望ましい場合がある。
【0053】
無線信号測定値を使用して位置(xt,yt)を決定するために、移動局108は、まず、ネットワークジオメトリを決定する必要がありうる。このネットワークジオメトリは、基準座標系内のWAP311のそれぞれの位置((xi,yi)、式中、i=1、2、3)を含みうる。移動局は、次いで、WAP311のそれぞれに対する距離(di、式中、i=1、2、3)を決定することができる。下でより詳細に説明されるように、移動局108とWAP311との間で交換されたRF信号の異なる特性を活用することによって、これらの距離(di)を推定するためのいくつかの異なる手法が存在する。かかる特性は、下で議論されるように、信号のラウンドトリップ伝搬時間、および/または信号強度(RSSI)を含みうる。
【0054】
その他の実施形態では、距離(di)は、WAPに関連しない、その他の情報源を使用して、一部、決定されるか、または精緻化されることが可能である。例えば、diの概算を提供するために、SPSなど、その他の測位システムが使用できる。(SPSは、予期される動作環境(屋内、都市など)において、常に正確なdiの推定を提供するためには不十分な信号を有する可能性が高い点に留意されたい。しかし、SPS信号は、位置決定プロセスを支援するために、その他の情報と組み合わされることが可能である。)相対位置および/または相対方向の概算を提供するための基礎として使用できる、その他の相対測位デバイス(例えば、オンボード加速度計)が移動局108内に常駐しうる。
【0055】
それぞれの距離が決定されると、移動局は、次いで、例えば、三辺測量など、知られている様々な幾何技法を使用することによって、その位置(xt,yt)を解決することができる。図3から、移動局108の位置は、点線を使って描かれた円の交差部分に存在することが理想的であることが理解されよう。それぞれの円は、半径dkと中心(xk,yk)とによって画定されており、式中、k=1、2、3である。実際には、ネットワーキングシステム内の雑音およびその他の誤差により、これらの円の交差部分は、単一点に存在しないことになる。
【0056】
時間t=t+1において、移動局は、ベクトル
【0057】
【数1】

【0058】
によって元の位置(xt,yt)からオフセットされうる新しい位置(xt+1,yt+1)に移動することが可能である。相対運動センサ212は、相対オフセット
【0059】
【数2】

【0060】
を解決するための情報を提供して、移動局108の位置を更新することが可能である。この位置更新は、無線ベースの位置決定の精度を改善するために、WAP311のそれぞれに関連する時間遅延を調整するために使用されることも可能である。その他の実施形態では、
【0061】
【数3】

【0062】
の大きさは、移動体が静的であるかどうかを決定するためのしきい値であってよい。いくつかの実施形態では、移動体が静的である場合、WAP処理遅延の推定を改善するために、追加の無線ベースの測定を実行して、それらを一緒に平均化することが可能である。その他の実施形態では、移動局108内の適切な構成要素は、移動していないとき、移動局108が電力を保存するために、スリープ状態に入ることが可能である。
【0063】
図3をさらに参照すると、移動局108とそれぞれのWAP311との間の距離を決定するステップは、RF信号の時間情報を活用するステップを必要とする場合がある。かかる技法は、位置を正確に決定するために、ネットワーク内の様々な要素によって導入される時間遅延を決定するステップを必要とする場合がある。
【0064】
例えば、1つの位置決定技法は、移動局108とWAP311との間で交換された信号のラウンドトリップ時間(RTT)を決定するステップを含みうる。RTT技法は、データパケットの送信から肯定応答の受信までの時間を測定することができる。WAP内の処理遅延が知られている場合、このRTTは、距離(dk)に正確に変換されうる。
【0065】
所与のWAP311kに関するRTTを測定するために、移動局108は、指向プローブ要求をWAP311kに送信し、次いで、そのプローブ要求パケットが送信された時間(tTXPacket)を記録することが可能である。移動局108からWAP311kまでの伝搬時間tpの後に、WAPはパケットを受信することになる。WAP311kは、次いで、指向プローブ要求を処理することが可能であり、ある処理遅延Δの後に、ACKを移動局108に送信し戻すことが可能である。第2の伝搬時間tpの後に、移動局108は、ACKパケットが受信された時間(tRXACK)を記録することが可能である。移動局は、次いで、時間差tRXACK-tTXPacketとしてRTTを決定することができる。
【0066】
移動局108がWAP311k処理遅延Δを知っている場合、移動局108は、次いで、WAP311kに対する伝搬時間を、移動局108とWAP311kとの間の距離(dk)に対応することになる(RTT-Δ)/2と推定することが可能である。しかし、移動局108は、通常、WAP311k処理遅延の知識を有さないため、移動局108は、WAP311kに対する距離を推定することができる前に、処理遅延Δの正確な推定を取得すべきである。
【0067】
§相対運動センサ情報を使用して、無線ベースの測位を改善する
図4は、移動局の位置を精緻化し、かつ/またはそれぞれのWAPに関する処理遅延を調整するために、相対運動センサ212から取得された情報を利用するための一実施形態を例示する図である。当初、上で説明されたように、移動局108は、(RTTベースの、RSSIベースの、かつ/またはSPSベースの)無線ベースの位置測定を使用して、その位置(x0,y0)を決定した可能性がある。WAP411は、移動局108からの距離di,0である位置(xWAP-i,yWAP-i)にある可能性がある。説明を簡単にするために、1つのWAP411だけが図4に示されるが、通常、その他のWAPが無線範囲内に存在する点を理解されたい。WAP411の位置(xWAP-i,yWAP-i)は、移動局108によって知られている可能性があり、標準の基準座標系(例えば、GPSで使用されるWGS-84)で表現されうる。
【0068】
移動局108は、位置(x0,y0)から位置(x1,y1)に移動することが可能である。この移動は、次いで、変位Dと角度θが決定されうるように、情報を提供することが可能な相対運動センサ212によって検出されうる。例えば、単一の変位値Dは、一軸加速度計の適切な積分によって決定されうる。この角度は、水平面で角度を測定する、一配向センサを使用して決定されうる。角度θは、WAP411と移動局108との間の元の視野方向に関して((di,0)に沿って)測定されることが可能である。
【0069】
変位が移動局の実際の運動を示すために十分大きいことが決定された場合、WAP411と移動局108との間の新しい距離(di,1)が計算されうる。変位が比較的小さい場合、移動局は、電力を節約する目的で、位置を決定するために、三辺測量よりもより簡単な方法を使用することが可能である。例えば、余弦の法則などの簡単な三角式が使用できる。WAP411と移動局の新しい位置(x1,y1)との間の新しい距離(di,1)は、古い変位(di,0)と、角度θと、変位Dとを使用して計算できる。新しい距離di,1が見出されると、WAP411に関連する処理遅延(Δi)が方程式3において以下のように決定されうる。
Δi,1=RTTi,1-2di,1
式中、
RTTi,1は、新しい位置(x1,y1)においてWAP411に関連する新しいラウンドトリップ時間である。
【0070】
移動局108が動き回るにつれて、それぞれのWAPが雑音を低減するために、処理遅延の複数の推定が組み合わされることが可能である。例えば、指数関数的低域フィルタ(exponential low pass filter)を使用して、複数の測定値が組み合わされてよい。
【0071】
もう1つの実施形態では、相対運動センサ212は、代わりに、移動局108の相対変位を記述するために、変位成分(Dx,Dy)を提供することが可能である。これらの変位成分は、移動局108に関連する本体固定基準(body-fixed reference)の形であってよい。知られている基準に関して、本体固定フレームの配向が知られている場合、この本体固定成分は、標準基準フレームに変換されうる。一実施形態では、相対運動センサ212は、知られている基準に関する平面角度情報を提供することが可能な配向センサ(例えば、北に関する角度を提供する地磁気センサ)をさらに含みうる。移動局108の古い位置(x0,y0)と共に、角度成分と相対変位成分とを組み合わせることによって、移動局108の新しい位置を記述するベクトルが標準基準フレーム内で決定されうる。次いで、WAP411と移動局108との間の新しい距離(di,1)を計算するために、このベクトルが容易に使用できる。
【0072】
図4は、二次元基準フレーム内で記述されている位置情報を示すが、位置決定は、三次元空間で実行できる点を理解されたい。その場合、相対運動センサは、本体固定基準フレーム内で変位の3つの成分(Dx、Dy、Dz)を提供する三軸加速度計であってよく、配向センサは、2つの基準角度(例えば、北に関する角度、および天頂に関する角度)を提供する。加えて、三次元位置決定を支援するために、高度計が使用できる。例えば、z軸情報は、気圧センサを使用して量子化された形で高さを提供しうる気圧センサを使用して決定されることが可能であり、z次元内の誤差は、通常の事務所用ビルの場合、+/-152.4cm(5フィート)で作り出される可能性がある。
【0073】
§相対運動センサ情報に関するその他の使用
上で説明されたように、移動局が移動しているかどうかを決定するために、変位距離di,1に関してしきい値処理(thresholding)演算が実行できる。例えば、di,1がある値未満である場合、移動局は移動していないことが支障なく仮定できる。この場合、雑音を低減するために、追加の無線測定が行われて、組み合わされることが可能である。かかる組合せは、任意のタイプの知られている平均化、フィルタリング、および/または雑音を低減するため/信号を改善するためのその他の処理技法を含みうる。それぞれのWAP311に関して、位置をより良好に推定し、かつ/または処理遅延の推定を改善するためにかかる技法が使用できる。
【0074】
もう1つの実施形態では、移動局は、移動体デバイスが位置固定を取得することを試みるレートが削減されうる電力節約モードに置かれることが可能である。移動局が一定の期間にわたって移動していないことを検出した時点でこの電力節約モードに入り、それにより、電池電力を節約するために、位置更新の頻度を削減することが可能である。位置更新の頻度はゼロまで削減できる。
【0075】
図5は、相対運動センサ212を使用して、無線測定値から取得された移動局108の位置を調整するための1つの例示的なプロセス500を含む流れ図である。さらに、この実施形態は、上で説明されたような、電力節約および位置の平均化に関するさらなる方法を例示する。プロセス500は、相対運動センサ212、広域ネットワークトランシーバ204、ローカルエリアネットワークトランシーバ206、および/またはSPS受信機208と共に動作しているプロセッサ210によって移動局108において実行できる。
【0076】
プロセス500は、当初、無線測定値を使用して、移動局(MS)108の位置を決定すること(B505)によって開始できる。上述のように、無線測定値はRTTベースであってよい。その他の実施形態では、無線測定値は、SPS受信機208によって、またはSPS受信機208と共に提供されうる。次に、プロセッサ500は、相対運動センサ212によって提供された情報を使用して、移動局108の相対移動を測定することが可能である(B510)。移動局108が移動していたか(すなわち、実際に位置を変えたか)どうかを決定するために、しきい値処理演算が実行できる(B515)。MS108が動いた場合、相対変位がしきい値を超えるかどうかをテストするために、別の決定が実行できる(B535)。相対変位が大きい場合、移動局は、B505にループバックして、新しい無線測定値を使用して、新しいMS位置を決定することになる。これは、この大きな変位が1つまたは複数のWAP311の相対信号強度に変化を引き起こした可能性があるためである。あるいは、B535において、相対変位がしきい値未満であったことが決定された場合、相対運動センサによって提供された情報を使用して、MS108の位置が調整されうる。加えて、それぞれのWAP311に関する処理遅延は、(相対運動センサ212によって提供された情報に基づいて)それぞれのWAPに対する新しい距離を決定することによって、かつそれぞれの関連するWAPに対する新しい無線位置決定測定を実行することによって、調整されうる(B540)。プロセス500は、MS108の相対移動が運動センサ212によって監視されるB510にループバックすることができる。
【0077】
B515において、実質的な変位が検出されなかった(すなわち、移動局108が静的であった)ことが決定された場合、移動局が電力節約モードに設定されることが決定されていた場合(B520)、移動局は、低電力状態に入ることが可能である(B530)。移動局がB520で決定されたような電力節約モードにない場合、移動局は、追加の無線ベースの測位測定値を平均化することによって、その位置および/またはWAP処理遅延推定を精緻化することが可能である(B525)。移動局は静的であるため、それぞれの新しい独立位置は相関性が高いはずであり、これらの値を平均化することは、雑音をかなり低減し、処理遅延推定を改善することが可能である。B525が完了すると、プロセス500は、相対運動センサが移動局108の移動をさらに監視するために、B510にループバックすることができる。
【0078】
当業者は、情報および信号は、様々な異なる技術ならびに技法のうちのいずれかを使用して表されることが可能である点を理解されよう。例えば、上の説明の全体にわたって参照されうるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁性粒子、光場もしくは光粒子、またはそれらの任意の組合せによって表すことが可能である。
【0079】
さらに、当業者は、本明細書で開示された実施形態に関して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはそれら両方の組合せとして実装されることが可能である点を理解されよう。ハードウェアとソフトウェアのこの交換可能性を明瞭に例示するために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、一般に、それらの機能性の点から上で説明されてきた。かかる機能性がハードウェアとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、特定のアプリケーションおよびシステム全体に課せられた設計制約に依存する。当業者は、それぞれの特定のアプリケーションに関して、説明された機能性を様々な形で実装することが可能であるが、かかる実装決定は、本発明の範囲からの逸脱を引き起こすとして解釈されるべきではない。
【0080】
本明細書で説明された方法論は、アプリケーションに応じて、様々な手段によって実装されることが可能である。例えば、これらの方法論は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せの形で実装できる。ハードウェア実装の場合、処理ユニットは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するように設計されたその他の電子ユニット、またはそれらの組合せの中で実装できる。
【0081】
ファームウェア実装および/またはソフトウェア実装の場合、これらの方法論は、本明細書で説明された機能を実行するモジュール(例えば、手順、機能など)を用いて実装されることが可能である。本明細書で説明される方法論を実装する際、命令を有形的に実施する任意の機械可読媒体が使用できる。例えば、ソフトウェアコードは、メモリ内に格納されて、プロセッサユニットによって実行されることが可能である。メモリは、プロセッサユニット内で実装されることが可能であり、またはプロセッサユニットの外部で実装されることも可能である。本明細書で使用される場合、「メモリ」という用語は、任意のタイプの長期的メモリ、短期的メモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、またはその他のメモリを指し、任意の特定のタイプのメモリ、もしくは任意の特定の数のメモリ、またはメモリが格納される媒体のタイプに限定されるべきではない。
【0082】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアの形で実装される場合、これらの機能は、コンピュータ可読媒体上の1つもしくは複数の命令またはコードとして格納されうる。例は、データ構造を用いて符号化されたコンピュータ可読媒体、およびコンピュータプログラムを用いて符号化されたコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、物理的なコンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされることが可能な任意の利用可能な媒体であってよい。限定ではなく、例として、かかるコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、またはその他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくはその他の磁気記憶デバイス、または命令もしくはデータ構造の形をとる、望まれるプログラムコードを格納するために使用されることが可能であり、かつコンピュータによってアクセスされることが可能な任意のその他の媒体を備えうる。本明細書で使用される場合、ディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多目的ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスクを含み、この場合、ディスク(disks)は、通常、磁気的にデータを再生し、一方、ディスク(disc)は、レーザーを用いて、光学的にデータを再生する。上記の組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0083】
コンピュータ可読媒体上の記憶装置に加えて、命令および/またはデータは、通信装置内に含まれる伝送媒体上の信号として提供されうる。例えば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有するトランシーバを含みうる。これらの命令およびデータは、1つまたは複数のプロセッサに特許請求の範囲において概説される機能を実装させるように構成される。すなわち、これらの通信装置は、開示された機能を実行するための情報を示す信号を有する伝送媒体を含む。第1の時点で、通信装置内に含まれた伝送媒体は、開示された機能を実行するための情報の第1の部分を含んでよく、一方、第2の時点で、通信装置内に含まれたこの伝送媒体は、開示された機能を実行するための情報の第2の部分を含んでよい。
【0084】
したがって、本発明の実施形態は、相対運動センサを使用して、無線ベースの位置を調整するための方法を実装するコンピュータ可読媒体を含みうる。したがって、本発明は、例示された例に限定されず、本明細書で説明された機能性を実行するための任意の手段が本発明の実施形態の中に含まれる。
【0085】
前述の開示は本発明の例示的な実装形態を示すが、添付の特許請求の範囲によって画定された本発明の範囲から逸脱せずに、本明細書に様々な変更および修正が行われうる点を理解されたい。本明細書で説明された本発明の実施形態によるこれらの方法クレームの機能、ステップ、および/または活動は、任意の特定の順序で実行されなくてよい。さらに、本発明の要素は、単数形で説明または特許請求される場合があるが、単数形への限定が明示的に指定されない限り、複数形も企図される。
【符号の説明】
【0086】
100 動作環境
102 衛星測位システム(SPS)
104 広域ネットワーク無線アクセスポイント(WAN-WAP)
106 ローカルエリアネットワーク無線アクセスポイント(LAN-WAP)
108, 200 移動局
110 測位サーバ
112 ネットワーク
202 (1本または複数の)アンテナ
204 (1つまたは複数の)広域ネットワークトランシーバ
206 (1つまたは複数の)ローカルエリアネットワークトランシーバ
208 SPS受信機
210 プロセッサ
212 相対運動センサ
214 メモリ
216 無線ベースの測位モジュール
218 アプリケーションモジュール
224 パラメータデータベース
226 位置/運動データモジュール
228 相対測位モジュール
250 ユーザインターフェース
252 マイクロフォン/スピーカ
254 キーパッド
256 ディスプレイ
311, 411 WAP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対運動センサを使用して、移動局の無線ベースの位置推定を調整するための方法であって、
無線信号測定値に基づいて、移動局の位置を推定するステップと、
前記相対運動センサを使用して、前記移動局の移動を測定するステップと、
前記測定された移動に基づいて、前記移動局の変位を検出するステップと、
前記変位がしきい値未満であることを決定するステップと、
前記相対運動センサからの情報を使用して、前記移動局の前記推定された位置を調整するステップとを備える方法。
【請求項2】
前記変位がしきい値を超えることを決定するステップと、
追加の無線測定値を使用して、前記移動局の前記位置を更新するステップと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記移動データに基づいて、実質的に変位が存在しないことを検出するステップと、
前記移動局が電力節約モードにあることを決定するステップと、
低減された電力消費状態に入るステップと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記移動データに基づいて、実質的に変位が存在しないことを検出するステップと、
追加の無線信号測定値に基づいて、前記移動局の更新された位置を決定するステップと、
改善された位置推定を生み出すために、前記移動局の前記推定された位置と前記更新された位置とを組み合わせるステップと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
移動局の位置を前記推定するステップが、
それぞれの無線アクセスポイントに関連する伝搬遅延と処理遅延とに基づいて、複数の無線アクセスポイントのそれぞれに対する距離を決定するステップと、
それぞれの無線アクセスポイントに対する前記距離を使用して、前記移動局の前記位置を計算するステップとをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記移動局の前記推定された位置を前記調整するステップが、
前記相対運動センサからの前記情報を使用して、変位ベクトルを導出するステップと、
前記導出された変位ベクトルを使用して、それぞれの無線アクセスポイントに関連する前記処理遅延を精緻化するステップとをさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記移動局の前記推定された位置を前記調整するステップが、
前記相対運動センサからの前記情報を使用して、変位ベクトルを導出するステップと、
新しい位置を決定するために、前記移動局の前記推定された位置を前記変位ベクトルと組み合わせるステップとをさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
移動局の位置を前記推定するステップが、
衛星測位システム(SPS)信号測定値に基づいて、前記移動局の位置を決定するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記移動局の移動を前記測定するステップが、
前記移動局の加速度を測定するステップと、
距離を決定するために、前記加速度を積分するステップと、
前記移動局の前記移動に対応する配向角度を決定するステップと、
前記移動局の前記変位を記述するベクトルを決定するために、前記加速度と前記配向角度とを組み合わせるステップとをさらに備える
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記移動局の変位を前記検出するステップが、
前記移動局の状態を、静的であるとして、または移動しているとして分類するために、前記距離をしきい値処理するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記移動局の前記推定された位置と前記更新された位置とを前記組み合わせるステップが、
それぞれの無線アクセスポイントに関連する処理遅延を精緻化するために、前記無線信号測定値を使用して導出された位置の複数の測定値をフィルタリングするステップをさらに備える、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記移動局および前記無線アクセスポイントが、IEEE802.11標準に従って動作する、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
相対運動センサを使用して、移動局の無線ベースの位置推定を調整するための装置であって、
無線トランシーバと、
相対運動センサと、
前記無線トランシーバと前記相対運動センサとに結合されたプロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリであって、前記プロセッサに、
前記無線トランシーバによって受信された無線信号の測定値に基づいて、前記移動局の位置を推定させ、
前記相対運動センサによって提供された情報に基づいて、前記移動局が移動していることを決定させ、
前記相対運動センサによって提供された前記情報に基づいて、前記移動局の変位を計算させ、
前記変位がしきい値未満であることを決定させ、
前記相対運動センサからの前記情報を使用して、前記移動局の前記推定された位置を調整させるための実行可能な命令およびデータを格納するメモリとを備える装置。
【請求項14】
前記メモリが、さらに前記プロセッサに、
前記変位がしきい値を超えることを決定させ、
追加の無線測定値を使用して、前記移動局の前記位置を更新させる命令を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記メモリが、さらに前記プロセッサに、
前記移動データに基づいて、実質的に変位が存在しないことを検出させ、
前記移動局が電力節約モードにあることを決定させ、
低減された電力消費状態に入らせる命令を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記メモリが、さらに前記プロセッサに、
前記移動データに基づいて、実質的に変位が存在しないことを検出させ、
追加の無線信号測定値に基づいて、前記移動局の更新された位置を決定させ、
改善された位置推定を提供するために、前記移動局の前記推定された位置と前記更新された位置とを組み合わせる命令を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記メモリが、さらに前記プロセッサに、
それぞれの無線アクセスポイントに関連する伝搬遅延と処理遅延とに基づいて、複数の無線アクセスポイントのそれぞれに対する距離を決定させ、
それぞれの無線アクセスポイントに対する前記距離を使用して、前記移動局の前記位置を計算させる命令を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記無線トランシーバが、広域ネットワークトランシーバおよび/またはローカルエリアネットワークトランシーバを備える、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記広域ネットワークトランシーバが、WiMAX (IEEE 801.16)および/またはデジタルセルラネットワーキング標準に従って動作する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記ローカルエリアネットウェアークトランシーバが、WiFi (802.11x)標準、セルラピコネット標準、セルラフェムトセル標準、および/またはBluetoothネットワーキング標準に従って動作する、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記移動局の位置決定を実行するために無線信号を受信する衛星測位システム(SPS)受信機をさらに備える、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記相対運動センサが、加速度計および/または配向センサを備える、請求項13に記載の装置。
【請求項23】
機械によって実行されたとき、前記機械に、動作を実行させる命令を備えた機械可読媒体であって、前記命令が、
無線信号測定値に基づいて、移動局の位置を推定するための命令と、
相対運動センサを使用して、前記移動局の移動を測定するための命令と、
前記測定された移動に基づいて、前記移動局の変位を検出するための命令と、
前記変位がしきい値未満であることを決定するための命令と、
前記相対運動センサからの情報を使用して、前記移動局の前記推定された位置を調整するための命令とを備える機械可読媒体。
【請求項24】
前記変位がしきい値を超えることを決定するための命令と、
追加の無線測定値を使用して、前記移動局の前記位置を更新するための命令と
をさらに備える、請求項23に記載の機械可読媒体。
【請求項25】
前記移動データに基づいて、実質的に変位が存在しないことを検出するための命令と、
前記移動局が電力節約モードにあることを決定するための命令と、
低減された電力消費状態に入るための命令と
をさらに備える、請求項23に記載の機械可読媒体。
【請求項26】
前記移動データに基づいて、実質的に変位が存在しないことを検出するための命令と、
追加の無線信号測定値に基づいて、前記移動局の更新された位置を決定するための命令と、
改善された位置推定を提供するために、前記移動局の前記推定された位置と前記更新された位置とを組み合わせるための命令と
をさらに備える、請求項23に記載の機械可読媒体。
【請求項27】
移動局の位置を推定するための前記命令が、
それぞれの無線アクセスポイントに関連する伝搬遅延と処理遅延とに基づいて、複数の無線アクセスポイントのそれぞれに対する距離を決定するための命令と、
それぞれの無線アクセスポイントに対する前記距離を使用して、前記移動局の前記位置を計算するための命令とをさらに備える、請求項23に記載の機械可読媒体。
【請求項28】
前記移動局の前記推定された位置を調整するための前記命令が、
前記相対運動センサからの前記情報を使用して、変位ベクトルを導出するための命令と、
前記導出された変位ベクトルを使用して、それぞれの無線アクセスポイントに関連する前記処理遅延を精緻化するための命令とをさらに備える、請求項27に記載の機械可読媒体。
【請求項29】
前記移動局の前記推定された位置を調整するための前記命令が、
前記相対運動センサからの前記情報を使用して、変位ベクトルを導出するための命令と、
新しい位置を決定するために、前記移動局の前記推定された位置を前記変位ベクトルと組み合わせるための命令とをさらに備える、請求項27に記載の機械可読媒体。
【請求項30】
移動局の位置を推定するための前記命令が、
衛星測位システム(SPS)信号測定値に基づいて、前記移動局の位置を決定するための命令をさらに備える、請求項23に記載の機械可読媒体。
【請求項31】
前記移動局の移動を測定するための前記命令が、
前記移動局の加速度を測定するための命令と、
距離を決定するために、前記加速度を積分するための命令と、
前記移動局の前記移動に対応する配向角度を決定するための命令と、
前記移動局の前記変位を記述するベクトルを決定するために、前記加速度と前記配向角度とを組み合わせるための命令とをさらに備える、請求項23に記載の機械可読媒体。
【請求項32】
前記移動局の変位を検出するための前記命令が、
前記移動局の状態を、静的であるとして、または移動しているとして分類するために、前記距離をしきい値処理するための命令をさらに備える、請求項31に記載の機械可読媒体。
【請求項33】
前記移動局の前記推定された位置と前記更新された位置とを組み合わせるための前記命令が、
それぞれの無線アクセスポイントに関連する処理遅延を精緻化するために、前記無線信号測定値を使用して導出された位置の複数の測定値をフィルタリングするための命令をさらに備える、請求項26に記載の機械可読媒体。
【請求項34】
相対運動センサを使用して、移動局の無線ベースの位置推定を調整するための装置であって、
無線信号測定値に基づいて、移動局の位置を推定するための手段と、
前記相対運動センサを使用して、前記移動局の移動を測定するための手段と、
前記測定された移動に基づいて、前記移動局の変位を検出するための手段と、
前記変位がしきい値未満であることを決定するための手段と、
前記相対運動センサからの情報を使用して、前記移動局の前記推定された位置を調整するための手段とを備える装置。
【請求項35】
前記変位がしきい値を超えることを決定するための手段と、
追加の無線測定値を使用して、前記移動局の前記位置を更新するための手段と
をさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記移動データに基づいて、実質的に変位が存在しないことを検出するための手段と、
前記移動局が電力節約モードにあることを決定するための手段と、
低減された電力消費状態に入るための手段と
をさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記移動データに基づいて、実質的に変位が存在しないことを検出するための手段と、
追加の無線信号測定値に基づいて、前記移動局の更新された位置を決定するための手段と、
その精度を改善するために、前記移動局の前記推定された位置と前記更新された位置とを組み合わせるための手段と
をさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項38】
移動局の位置を推定するための前記手段が、
それぞれの無線アクセスポイントに関連する伝搬遅延と処理遅延とに基づいて、複数の無線アクセスポイントのそれぞれに対する距離を決定するための手段と、
それぞれの無線アクセスポイントに対する前記距離を使用して、前記移動局の前記位置を計算するための手段とをさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項39】
前記移動局の前記推定された位置を調整するための前記手段が、
前記相対運動センサからの前記情報を使用して、変位ベクトルを導出するための手段と、
前記導出された変位ベクトルを使用して、それぞれの無線アクセスポイントに関連する前記処理遅延を精緻化するための手段とをさらに備える、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記移動局の前記推定された位置を調整するための前記手段が、
前記相対運動センサからの前記情報を使用して、変位ベクトルを導出するための手段と、
新しい位置を決定するために、前記移動局の前記推定された位置を前記変位ベクトルと組み合わせるための手段とをさらに備える、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
移動局の位置を推定するための前記手段が、
衛星測位システム(SPS)信号測定値に基づいて、前記移動局の位置を決定するための手段をさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項42】
前記移動局の移動を測定するための前記手段が、
前記移動局の加速度を測定するための手段と、
距離を決定するために、前記加速度を積分するための手段と、
前記移動局の前記移動に対応する配向角度を決定するための手段と
前記移動局の前記変位を記述するベクトルを決定するために、前記加速度と前記配向角度とを組み合わせるための手段とをさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項43】
前記移動局の変位を検出するための前記手段が、
前記移動局の状態を、静的であるとして、または移動しているとして分類するために、前記距離をしきい値処理するための手段をさらに備える、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記移動局の前記推定された位置と前記更新された位置とを組み合わせるための前記手段が、
それぞれの無線アクセスポイントに関連する処理遅延を精緻化するために、前記無線信号測定値を使用して導出された位置の複数の測定値をフィルタリングするための手段をさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項45】
相対運動センサを使用して、移動局の無線ベースの位置推定を調整するための方法であって、
無線信号測定値に基づいて、移動局の位置を推定するステップと、
前記相対運動センサを使用して、前記移動局の変位を検出するステップと、
前記検出された変位を使用して、無線アクセスポイントの推定された処理遅延を調整するステップと、
前記調整された処理遅延を使用して、前記移動局の前記推定された位置を精緻化するステップとを備える方法。
【請求項46】
相対運動センサを使用して、移動局の無線ベースの位置推定を調整するための装置であって、
無線トランシーバと、
相対運動センサと、
前記無線トランシーバと前記相対運動センサとに結合されたプロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリであって、前記プロセッサに、
無線信号測定値に基づいて、移動局の位置を推定させ、
前記相対運動センサを使用して、前記移動局の変位を検出させ、
前記検出された変位を使用して、無線アクセスポイントの推定された処理遅延を調整させ、
前記調整された処理遅延を使用して、前記移動局の前記推定された位置を精緻化させるための実行可能な命令およびデータを格納するメモリとを備える装置。
【請求項47】
相対運動センサを使用して、移動局の無線ベースの位置推定を調整するための装置であって、
無線信号測定値に基づいて、移動局の位置を推定するための手段と、
前記相対運動センサを使用して、前記移動局の変位を検出するための手段と、
前記検出された変位を使用して、無線アクセスポイントの推定された処理遅延を調整するための手段と、
前記調整された処理遅延を使用して、前記移動局の前記推定された位置を精緻化するための手段とを備える装置。
【請求項48】
機械によって実行されたとき、前記機械に動作を実行させる命令を備えた機械可読媒体であって、前記命令が、
無線信号測定値に基づいて、移動局の位置を推定するための命令と、
相対運動センサを使用して、前記移動局の変位を検出するための命令と、
前記検出された変位を使用して、無線アクセスポイントの推定された処理遅延を調整するための命令と、
前記調整された処理遅延を使用して、前記移動局の前記推定された位置を精緻化するための命令とを備える機械可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−509652(P2012−509652A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537652(P2011−537652)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/065322
【国際公開番号】WO2010/059935
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.GSM
3.ZIGBEE
【出願人】(507364838)クアルコム,インコーポレイテッド (446)
【Fターム(参考)】