説明

運転支援装置、方法およびプログラム

【課題】ユーザが車両周囲に存在する物体の状況を認知しやすい運転支援装置を提供する。
【解決手段】車両周囲を撮像する撮像部200と、音波・電波・レーザ等を照射し反射波を受信することにより、あるいは、撮像部200からの撮像画像を処理することにより、周囲の障害物の有無、あるいは、距離や方向を検知する物体検知センサ100と、ユーザに車両周辺の様子を示す表示部300と、車両周囲において、物体検知センサ100が物体を検知しなければならない予め決められた領域を保持する記憶部500と、車両周囲を撮像した画像に記憶部500に保持された領域を重畳して表示部300に表示させる表示制御部410を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周囲の障害物や歩行者などを検知し、接触・衝突などの危険があることをユーザに報知する運転支援装置、方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、運転支援装置は、車両前方、後方や側方等の車両周囲を撮影するカメラと、車両の周囲の障害物や歩行者などを検知する物体検知センサとを備え、物体検知センサにより検知された障害物が接触や衝突の可能性があると判断された場合には、カメラにより撮影された画像に、物体検知センサの検知結果を重畳表示し、ユーザに注意を促したり、危険があることを報知するものがある。また、ユーザに分かり易く報知するために、物体検知センサにより検知した物体をターゲットマークにより強調表示することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−94756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の運転支援装置は、撮像装置で撮像された画像領域より物体検知センサが検知可能な検知領域が小さい場合が多い。また、物体検知センサとして、レーダ、超音波、レーザ等を用いた場合、検知領域を視認することが困難である。そのため、当該画像領域内であるが、物体検知センサの検知領域外に障害物が存在する場合、障害物が表示装置に写っているが、ユーザには警告等の報知がされない状況が生じる。この時、ユーザは、物体検知センサが検知可能な検知領域外に障害物が存在するため警告されないのか、物体検知センサが動作しない状況あるいは適切に動作していないために警告されないのか分からないため、安心して運転することができない。
【0004】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、ドライバーが車両周囲に存在する物体の状況を認知しやすい運転支援装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の局面は、車両周囲において、物体検知センサが物体を検知しなければならない予め決められた領域を保持する記憶部と、ユーザに車両周囲の様子を示す表示部と、 車両周囲を撮像した画像に記憶部に保持された領域を重畳して表示部に表示させる表示制御部を備える。
【0006】
また、物体検知センサは、検知領域が視認できないものであることが好ましい。このような物体検知センサを用いた場合、ユーザは物体検知センサがどの範囲まで検知可能か検知された時の状態から感覚的に覚えておかなくてはならない。また、車両周囲の路面傾斜や天候や明るさの状態が変われば、検知される範囲も変わるため、全ての状態に対応することは困難である。
【0007】
また、記憶部に保持された予め決められた領域は、物体検知センサが所定の確率以上で検知しなければならない領域または、高さを有する3次元領域であってもよい。
【0008】
また、記憶部に保持された予め決められた領域は、物体検知センサが所定の確率以上で検知しなければならない複数の領域であり、それぞれの領域が区別可能に表示されることが好ましい。
【0009】
本発明の第2の局面は、記記憶部に保持された予め決められた領域が、ISO規格の車両周辺障害物警報:Maneuvering Aid for Low Speed Operation(MALSO)において定められた領域、ISO規格の拡張後方障害物警報システム:Extended Range Backing Aid Systems(ERBA)において定められた領域、ISO規格の車線変更意思決定支援システム:Lane Change Decision Aid System(LCDAS)において定められた領域、ISO規格の前方車両追突警報システム:Forward Vehicle Collision Warning System(FVCWS)において定められた領域または、これらの領域を基に決められた領域であることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の局面は、表示制御部は、車両前方、後方または側方を撮像した画像に記憶部に保持された予め決められた領域を重畳して表示させることを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の局面は、表示制御部は、物体検知センサが検知した障害物を強調して表示させる、または、記憶部に保持された領域を半透明で表示させることを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の局面は、表示制御部は、物体検知センサが障害物を検知しているとき、記憶部に保持された領域を表示させないことを特徴とする。こうすることにより、ユーザは物体検知センサが障害物を検知したことを即座に認識することができ、さらに記憶部に保持された領域の表示に邪魔されることなく、障害物の確認をすることができる。
【0013】
本発明の第6の局面は、車両周囲に存在する物体の状況を報知する運転支援方法に向けられている。本発明は、車両周囲において、物体検知センサが物体を検知しなければならない予め決められた領域を保持する記憶ステップと、ユーザに車両周辺の様子を示す表示ステップと、車両周囲を撮像した画像に前記記憶ステップで保持された領域を重畳して前記表示ステップで表示させる表示制御ステップを備える。
【0014】
本発明の第7の局面は、車両周囲に存在する物体の状況を報知する運転支援装置のコンピュータで実行されるナビゲーションプログラムに向けられている。本発明は、車両周囲において、物体検知センサが物体を検知しなければならない予め決められた領域を保持する記憶ステップと、ユーザに車両周辺の様子を示す表示ステップと、車両周囲を撮像した画像に前記記憶ステップで保持された領域を重畳して前記表示ステップで表示させる表示制御ステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の各局面によれば、ユーザが周囲に存在する障害物の状況をより的確に認識可能な運転支援装置、運転支援方法および運転支援プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の運転支援装置について、図面を用いて説明する。
【0017】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係る運転支援装置を図面を用いて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る運転支援装置1の構成を示す図である。運転支援装置1は、物体検知センサ100、撮像部200、表示部300、制御部400、記憶部500から構成される。
【0019】
図2は、車両周囲に存在する物体を検知する物体検知センサ100、車両周辺を撮像する撮像部200の車両への設置例を示す図で、物体検知センサ100が車両後部のバンパーの裏側に、撮像部200が車両ルーフの後端部に設置されている。図2では、物体検知センサ100を1個設置しているが、検知したい領域などによって所望の数だけ任意の場所に設置しても構わない。また、物体検知センサ100と撮像部200を別々の位置に設置しているが、同じ場所に設置することも可能である。
【0020】
物体検知センサ100は、音波、電波(レーダ)、レーザ等を照射し反射波を受信することにより、周囲の障害物の有無、距離または方向を検知する超音波センサ、レーダを用いたセンサ、レーザレーダが代表的なものである。あるいは、撮像部からの撮像画像を処理する画像処理センサであってもよい。
【0021】
撮像部200は、代表的には車両周囲の様子を撮像するCCDまたはCMOSカメラである。好ましくは、人間の視野角にできるだけ近い範囲を撮像可能なものがよい。また、車両ルーフの後端部に設置するだけでなく、車両前方、後側方など車両周辺を撮像することができる位置に設置してもよい。
【0022】
表示部300は、撮像部200により撮像された画像(動画も含む)および後述する規定検知領域を表示する。なお、当該画像に重畳して、物体検知センサ100が検知した障害物を赤枠あるいは輪郭線で囲む、あるいはマークを付けるなどで強調表示してもよい。そうすれば、規定検知領域と障害物との位置関係がさらに明確になり、ユーザはより的確な判断をすることができる。
【0023】
制御部400は、撮像部200により撮像された画像に後述する記憶部500に保持された規定検知領域や物体検知センサ100が検知した障害物にマーク等を重畳表示させる表示制御部410と、撮像部200の撮像範囲や画像調整などを制御したり、物体検知センサ100の動作指示を行う機器制御部420により構成される。
【0024】
記憶部500は、表示部300の表示画像上の各画素位置に対応した規定検知領域のデータを保持している。表示する際には、記憶部500よりデータを呼び出すことにより表示する。また、各画素と規定検知領域の対応付けは、撮像部200の車両への設置(座標系の決定)により決まる。よって、記憶部500へのデータの蓄積は、通常、撮像部200を設置するときに行う。なお、撮像部200の設置位置、角度、画角などを検出し、規定検知領域のデータを常時修正するようにしてもよい。座標系の変換の詳細な説明は後述する。
【0025】
本実施の形態では、表示部300の表示画像上の各画素位置に対応した規定検知領域のデータを保持するとした。別の形態として、後述するU−V座標系、ワールド座標系、視平面座標系のいずれかの座標系の座標値により規定検知領域を保持しておき、当該座標を用いて規定検知領域を描画してもよい。
【0026】
次に、記憶部500に保持される規定検知領域に関して詳しく説明する。
【0027】
近年、ITS関連の車載機器標準化の活動として、ISO/TC204/WG14では、Adaptive Cruise Control(ACC:車間距離制御システム)、Forward Vehicle Collision Warning System(FVCWS:前方障害物警報システム)、Maneuvering Aid for Low Speed Operation(MALSO:車両周辺障害物警報システム)、Lane Departure Warning System(LDWS:車線逸脱警報システム)、Side Obstacle Warning System(SOWS:側方障害物警報システム)など車外の障害物をレーザレーダ、ミリ波レーダ、超音波センサなどで検出し、警報や運転操作支援などを行う走行支援システムの国際標準活動が行われている。
【0028】
また、上記に加え、Enhanced Adaptive Cruise Control(EACC:拡張車間距離制御システム)、Forward Collision Avoidance Assistance System(FCAAS:前方衝突防止支援システム)、Extended Range Backing Aids(ERBA:拡張距離後方障害物警報システム)、Lane Change Decision Aid System(LCDAS:車線変更意思決定支援システム)の標準化活動が開始されている。EACCはACCの制御速度範囲をより低速域(含む停止)まで拡張するシステム、FCAASはFVCWSの警報に加え衝突が不可避の場合に自動ブレーキを作動させ衝突の被害を軽減するシステム、ERBAはMALSOの後方検出範囲を拡大し後退発進時におけるドライバー運転支援を高めるシステムである。これらのシステムにおける障害物の検出範囲、制御範囲は、使用する物体検知センサの種類や性能、制御技術、ユーザとのヒューマンインターフェースから決定されることになる。
【0029】
本実施の形態における規定検知領域は、これらITS関連の車載機器標準化が検討されている警報や運転操作支援などを行う走行支援システムにおける障害物の検出範囲(あるいは検出してはいけない範囲)、制御範囲である。
【0030】
次に、本実施の形態における規定検知領域の一具体例として、現在米国において実用化が検討されている前述のERBAを用いて説明する。図3は、ERBAとして想定される規定検知領域例を車両上方から見た図である。ERBAは、車両後方1mから5m程度の範囲の障害物を警報するシステムが検討されており、対象とする障害物は道路標識の支柱、人(成人、子供、幼児)、自転車、自動車、ブロック塀、縁石など様々なものが想定される。
【0031】
図3において、車両30から後方1mから5mの範囲で車両幅31に対して均等に広げた4.5mの幅をERBAとして想定される規定検知領域例とする。車両30から後方1mまでの領域34は、物体検知センサ100として使用される可能性の高いUWB(Ultra Wide Band)レーダの検知性能を考慮し、検知しなくてもよい領域として設定している。もちろん、使用する物体検知センサ100の性能によっては、領域34を規定検知領域として設定してもよい。領域32は、90%以上の確率で物体検知センサ100が検知しなければならない領域で、領域33は、60%以上の確率で物体検知センサ100が検知しなければならない領域として設定している。領域33と領域32を検知確率により設定し、さらに数値を異なるようにしたのは、物体検知センサ100のとしてUWBレーダを使用した場合、対象とする障害物全てを完璧に検知することは不可能であり、物体検知センサ100からの距離が離れるに従って検知確率が低下する特性に合わせるためである。
【0032】
これら具体的な領域の数値や検知確率は、前述したように運転支援装置システムにおける物体検知センサ100の種類や性能、制御技術、ユーザとのヒューマンインターフェース等が考慮され、標準化される予定である。なお、本実施例における規定検知領域としては、標準化された検知領域や検知確率をそのまま用いてもよいし、ユーザとのヒューマンインターフェースを考慮し、標準化されたものを別の値に変換して用いてもよい。
【0033】
次に、図3では、車両上部より見た平面的な領域として規定検知領域を設定した。図4では、規定検知領域が高さ成分を含んだ立体的な領域の場合を説明する。図4は、車両側面より見た図であり、図3で示した領域に高さ方向の規定を付加するものである。領域40は、領域32と33の高さとして、路面より10cmから60cmの領域で、90%以上の確率で物体検知センサ100が検知しなければならない領域である。領域41は、領域32と33の高さとして、路面より60cmから1mの領域で、60%以上の確率で物体検知センサ100が検知しなければならない領域である。なお、本実施の形態では、90%以上または60%以上の検知確率が必要な領域としたが、図3の場合と同様に、任意の確率を設定することが可能である。このように、高さ成分を含んだ立体的な領域を規定検知領域とすることにより、路面近くでは規定検知領域に含まれないが、路面から少し離れたところに存在する看板や低い天井などの障害物が物体検知センサの検知可能領域にあるかどうかをユーザが認知できるようになる。
【0034】
以上、図3と図4を用いて、ITS関連の車載機器標準化が検討されている警報や運転操作支援などを行う走行支援システムを代表してERBA:拡張距離後方障害物警報システムを例に規定検知領域を説明したが、MALSOやLCDASあるいはFVCWSなど標準化および今後標準化される検知領域、またはユーザとのヒューマンインターフェースを考慮し、標準化されたものを別の値に変換したものを規定検知領域としてもよい。
【0035】
次に、図5、図6、図7を用いて、本実施の形態のユーザへの提示について説明する。図5に示す表示装置50は、車両のダッシュボードなどユーザの見やすい場所に取り付けられ、ナビゲーション装置やオーディオ類、その他各種電装品の情報をユーザへ提示する。もちろん、物体検知センサ100専用の表示装置としてもよい。
【0036】
図5は、図3で説明したERBAを想定した規定検知領域例を、表示装置50でユーザに提示する様子を示している。表示制御部410は、表示装置50の表示部300に、撮像部200により撮影した車両後方の様子を示す画像と、高さ方向の情報を持たない規定検知領域52、53を表示している。画面下部には、車両30の後部バンパー部が位置関係を把握し易いように表示されている。規定検知領域52は、図3の規定検知領域32に対応し、規定検知領域53は、図3の規定検知領域33に対応する。なお、規定検知領域は、当該領域内に存在する障害物等も同時に確認できるように半透明で表示することが好ましい。または、物体検知センサ100が障害物を検知している間は規定検知領域の表示をしないようにしてもよい。
【0037】
また、障害物51(図5では人物)は、表示部300に表示されているが、規定検知領域52および53から外れている。仮にこの時、規定検知領域52および53が表示部300に表示されていないとすると、物体検知センサ100が検知可能な領域外に障害物51が存在するため警告されないのか、物体検知センサが動作しない状況あるいは適切に動作していないために警告されないのか、ユーザは分からず不安を感じ、安心して運転することができない。しかしながら、図5のように規定検知領域52および53が表示されていれば、少なくとも緊急を要する範囲(規定検知領域)には障害物51がないことをユーザは認識することができる。さらに、表示部300に障害物51が表示されているのに物体検知センサ100が障害物51の存在をユーザに警告しないため、物体検知センサ100が適切に動作していないと、ユーザが誤った判断をすることも防止できる。
【0038】
次に、図6を用いてユーザへの提示の別の例を説明する。図6は、高さ方向の情報を持つ規定検知領域61を表示部300に表示したものである。このように、規定検知領域に高さ方向の情報を持たせることにより、物体検知センサ100の検知可能領域がより明確となる。例えば、低い天井や看板など路面上では規定検知領域に含まれない障害物であっても規定検知領域内であるかどうかユーザが認識できるようになる。
【0039】
次に、図5に示すカメラで撮像された画像を含む平面(以下、視平面)に設定したU−V座標系の点と、図3に示す実際の3次元空間座標系(以下、ワールド座標系)との関係について説明する。図8は、座標系の関係を示したものであり、同図の例に従うと対応付けは以下の手順で行われる。
1.視平面がZ=f(カメラの焦点距離)で、該平面上にあるカメラ画像の中心をZ軸が通るような座標系を設定する。これを視平面座標系と呼ぶ(Oeを原点とする)
2.図8における点Peの視平面座標系での座標Pe(Xe、Ye、Ze)とし、その点が視平面に投影されたときの点(この点がカメラ撮像画像の一画素に対応する)の座標をPv(u,v)とすると、PeとPvの関係は、カメラの焦点距離fを用いて、式(1)、式(2)のように表すことができる。
【0040】
【数1】

【0041】
前記2つの式により、視平面上に投影された画像の各々の画素について、U−V座標系における座標を求めることができる。
3.視平面座標系とワールド座標系の位置関係および向き関係を求める。ここでワールド座標系を中心にして、視平面座標系が空間的に以下のような関係にあるとする。
【0042】
・視平面座標系原点Oeからワールド座標系原点Owへのベクトルを(tx、ty、tz)とする。つまり、2つの座標系の位置的なずれは、(tx、ty、tz)だけ平行移動することによって無くなる。
【0043】
・視平面座標系とワールド座標系の向きの関係は、車両を中心とした座標系(ワールド座標系に対応)と、車載カメラ(視平面座標系に対応)と同じ関係になるようにすると、視平面座標系は、
「ワールド座標系Y−Z平面に対してなす角度がα」
「ワールド座標系X−Z平面に対してなす角度がβ」
とすることができる。但し、ここではカメラのレンズの光軸周りの回転はないものと仮定している。この場合、ある点をワールド座標系でPw(Xw,Yw.Zw)で表し、また、視平面座標系Pe(Xe、Ye、Ze)で表すとすると、Pe(Xe、Ye、Ze)、Pw(Xw,Yw.Zw)、(tx、ty、tz)、α、βの間には、式(3)の関係が成り立つ。
【0044】
【数2】

【0045】
以上で、視平面上での画素Pv(u,v)と、ワールド座標系でのPw(Xw,Yw.Zw)を式(1)、式(2)、式(3)によって対応づけることができる。
【0046】
上記の対応づけにより、規定検知領域32に相当する規定検知領域52などを得る。記憶部500には、表示部300の表示画像上の各画素位置に対応した規定検知領域52、53、61のデータが蓄えられている。表示する際には、記憶部500よりデータを呼び出すことにより表示される。
【0047】
なお、以上の実施の形態においては、車両に設置された撮像部からの画像に重畳する場合を示したが、車外に設置された撮像部からの画像を無線等の手段を用いて取得し、その画像上に重畳表示してもかまわない。図7は、車外に設置された撮像部からの画像と高さ方向の情報を持つ規定検知領域71を表示部300に表示した形態を示すものである。この場合、画像上で表示される規定検知領域71の、画像上での形状は、車両の位置と車外の撮像部の時々刻々と変化する位置関係を明確に取得する必要がある。
【0048】
次に、図9のフローを用いて、表示部300に規定検知領域を表示する動作を説明する。
【0049】
まず、シフトレバーがR(リバース)の位置かどうか判定し、Rの位置にある場合ステップS92へ進む(ステップS91)。次に、車両後方のカメラに切り替え、表示部300に車両後方の画像を映す(ステップS92)。次に、記憶部500から規定検知領域のデータを読み込む(ステップS93)。更に、物体検知センサ100が障害物を検知しているかどうかを判断し、検知していないとき(ステップS94でNo)、車両後方の画像に、規定検知領域を重畳表示する(ステップS95)。
【0050】
なお、図9におけるフローは、車両の後方を表示する場合を説明したが、それに限定されない。また、動作を指定する手段は、シフトレバーに限定されずスイッチ等の指定手段を用いてもよい。
【0051】
本発明は、上述した実施の形態を実現するソフトウェアのプログラム(実施の形態では図に示すフロー図に対応したプログラム)が装置に供給され、その装置のコンピュータが、供給されたプログラムを読出して、実行することによっても達成させる場合を含む。したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現させるためのプログラムも含む。
【0052】
また、上記実施の形態で説明した構成は、単に具体例を示すものであり、本願発明の技術的範囲を制限するものではない。本願の効果を奏する範囲において、任意の構成を採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明にかかる運転支援装置は、物体検知センサが検知しなければならない規定検知領域、および周囲に存在する障害物の状況をユーザに提示することが可能となるので、移動体に搭載された運転支援装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態に係る運転支援装置の構成を示す構成図
【図2】本発明の実施の形態に係る物体検知センサ100、撮像部200の車両への設置例を示す図
【図3】規定検知領域例を車両上方から見た図
【図4】規定検知領域例を車両側方から見た図
【図5】規定検知領域例のユーザへの提示例を示す図
【図6】高さ方向を有する規定検知領域例のユーザへの提示例を示す図
【図7】規定検知領域例のユーザへの別の提示例を示す図
【図8】座標変換を説明するための図
【図9】規定検知領域の表示処理のフロー図
【符号の説明】
【0055】
100 物体検知センサ
200 撮像部
300 表示部
400 制御部
410 表示制御部
500 記憶部
30 車両
32、33、34、40、41、52、53、61、71 規定検知領域例
50 表示装置
51 障害物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周囲において、物体検知センサが物体を検知しなければならない予め決められた領域を保持する記憶部と、
ユーザに車両周囲の様子を示す表示部と、
車両周囲を撮像した画像に前記記憶部に保持された領域を重畳して前記表示部に表示させる表示制御部を備えた運転支援装置。
【請求項2】
前記記憶部に保持された予め決められた領域は、前記物体検知センサが所定の確率以上で検知しなければならない領域であることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記物体検知センサは、検知領域が視認できないものであることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記記憶部に保持された予め決められた領域は、高さを有する3次元領域であることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記記憶部に保持された予め決められた領域は、前記物体検知センサが所定の確率以上で検知しなければならない複数の領域であり、それぞれの領域が区別可能に表示されることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記記憶部に保持された予め決められた領域は、ISO規格の車両周辺障害物警報:Maneuvering Aid for Low Speed Operation(MALSO)において定められた領域または、当該領域を基に決められた領域であることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記記憶部に保持された予め決められた領域は、ISO規格の拡張後方障害物警報システム:Extended Range Backing Aid Systems(ERBA)において定められた領域または、当該領域を基に決められた領域であることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記記憶部に保持された予め決められた領域は、ISO規格の車線変更意思決定支援システム:Lane Change Decision Aid System(LCDAS)において定められた領域または、当該領域を基に決められた領域であることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記記憶部に保持された予め決められた領域は、ISO規格の前方車両追突警報システム:Forward Vehicle Collision Warning System(FVCWS)において定められた領域または、当該領域を基に決められた領域であることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、車両前方、後方または側方を撮像した画像に前記記憶部に保持された予め決められた領域を重畳して表示させることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記物体検知センサが検知した障害物を強調して表示させることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記記憶部に保持された領域を半透明で表示させることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、前記物体検知センサが障害物を検知しているとき、前記記憶部に保持された領域を表示させないことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項14】
車両周囲に存在する物体の状況を報知する運転支援方法であって、
車両周囲において、物体検知センサが物体を検知しなければならない予め決められた領域を保持する記憶ステップと、
ユーザに車両周辺の様子を示す表示ステップと、
車両周囲を撮像した画像に前記記憶ステップで保持された領域を重畳して前記表示ステップで表示させる表示制御ステップを備えた運転支援方法。
【請求項15】
車両周囲に存在する物体の状況を報知する運転支援装置のコンピューターで実行される運転支援プログラムであって、
車両周囲において、物体検知センサが物体を検知しなければならない予め決められた領域を保持する記憶ステップと、
ユーザに車両周辺の様子を示す表示ステップと、
車両周囲を撮像した画像に前記記憶ステップで保持された領域を重畳して前記表示ステップで表示させる表示制御ステップを備えた運転支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−186132(P2008−186132A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17586(P2007−17586)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】