説明

運転支援装置

【課題】本発明は、運転支援装置に係り、車両のブレーキ作動が制限されることを事前に運転者に知らせることで、車両運転者に走行上咄嗟の判断や操作を強いるのを防ぐことにある。
【解決手段】ブレーキ作動が第1所定期間継続したときにブレーキ作動を制限するブレーキ作動制限手段を備える車両の運転支援装置において、ブレーキ作動制限手段によるブレーキ作動の制限が開始される前、ブレーキ作動が開始されてから該ブレーキ作動が第1所定期間よりも短い第2所定期間継続したときに、ブレーキ作動が制限される旨の車両運転者への報知を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に係り、特に、車両のブレーキ作動が所定期間継続したときにブレーキ作動を制限する場合、事前にその旨を運転者に知らせるうえで好適な運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレーキが所定状態になった場合に運転者に対して警告を行う運転支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置においては、ブレーキアクチュエータの温度が検出され、その温度が基準温度以上となったときに警告ブザーが出力される。従って、上記の装置によれば、ブレーキアクチュエータの温度上昇を運転者に知らせることが可能となる。
【特許文献1】特開2007−112158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ブレーキアクチュエータによるブレーキ作動が長時間にわたって継続すると、ブレーキアクチュエータの故障などが招来するおそれがあるので、かかる事態の発生を防止するために、ブレーキ作動が長時間にわたって継続した後、所定時間だけそのブレーキ作動を禁止することがある。しかし、かかる構成において、車両が自動走行制御される例えばレーダクルーズコントロール中に、ブレーキ作動が長時間継続したことでそのブレーキ作動が車両運転者への事前通知なく突然に禁止されると、その際には車両のブレーキが効かなくなるので、車両が運転者の予期せぬ動作を示す事態になりかねない。
【0004】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、車両のブレーキ作動が制限されることを事前に運転者に知らせることで、車両運転者に走行上咄嗟の判断や操作を強いるのを防ぐことが可能な運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、ブレーキ作動が第1所定期間継続したときにブレーキ作動を制限するブレーキ作動制限手段を備える車両の運転支援装置であって、前記ブレーキ作動制限手段によるブレーキ作動の制限が開始される前に、ブレーキ作動が制限される旨の車両運転者への報知を開始する事前報知手段を備える運転支援装置により達成される。
【0006】
この態様の発明において、ブレーキ作動が第1所定期間継続するとそのブレーキ作動が制限されるが、その制限開始前、ブレーキ作動が制限される旨の車両運転者への報知が開始される。かかる構成においては、ブレーキ作動が制限されることが事前に車両運転者に知らされるので、ブレーキ作動制限によって車両運転者に走行上咄嗟の判断や操作を強いることは回避される。
【0007】
尚、上記した運転支援装置において、前記事前報知手段は、前記ブレーキ作動制限手段によるブレーキ作動の制限が開始される前、ブレーキ作動が開始されてから該ブレーキ作動が第1所定期間よりも短い第2所定期間継続したときに、ブレーキ作動が制限される旨の車両運転者への報知を開始することとすればよい。
【0008】
この態様の発明において、ブレーキ作動が第1所定期間継続するとそのブレーキ作動が制限されるが、その制限開始前、ブレーキ作動がその開始から第1所定期間よりも短い第2所定期間継続すると、ブレーキ作動が制限される旨の車両運転者への報知が開始される。かかる構成においては、ブレーキ作動が制限されることが事前に車両運転者に知らされるので、ブレーキ作動制限によって車両運転者に走行上咄嗟の判断や操作を強いることは回避される。
【0009】
また、上記した運転支援装置において、前記事前報知手段は、ブレーキ作動が制限される旨の車両運転者への報知を、前記ブレーキ作動制限手段によるブレーキ作動の制限が開始されるまで継続することとすれば、ブレーキ作動制限の車両運転者への事前通知を少なくとも確保することができる。
【0010】
また、上記した運転支援装置において、前記事前報知手段は、ブレーキ作動が制限される旨の車両運転者への報知としてブザー吹鳴を行うこととすれば、ブレーキ作動制限の車両運転者への事前通知をブザー吹鳴により実現することができる。
【0011】
また、上記した運転支援装置において、前記ブレーキ作動制限手段は、ブレーキ作動の制限を、自動ブレーキ制御の実行に伴うブレーキ作動が第1所定期間継続したときに実施することとすれば、自動ブレーキ制御の実行中にブレーキ作動が制限されることを事前に車両運転者に知らせることができる。
【0012】
尚、上記した運転支援装置において、前記ブレーキ作動制限手段によりブレーキ作動が制限されている際、車両運転者の視認可能なディスプレイにブレーキ作動が制限されている旨の表示を行う表示手段を備えることとしてもよい。
【0013】
この態様の発明において、ブレーキ作動が制限されていると、その際にはその旨が車両運転者の視認可能なディスプレイに表示される。この場合、運転者は、ブレーキ作動がブレーキ作動制限手段により実際に制限されていることを視覚を通じて知ることができる。従って、本発明によれば、ブレーキ作動制限がなされている車両の走行状況に運転操作で介入すべきか否かの判断を運転者に促すことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両のブレーキ作動が制限されることを事前に運転者に知らせることで、車両運転者に走行上咄嗟の判断や操作を強いるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施例である車両に搭載される運転支援装置10のシステム構成図を示す。本実施例の運転支援装置10は、自車両を設定車速範囲内で先行車両に追従走行させるレーダクルーズコントロールシステムなどの車両運転(特に加減速)を自動で行うシステムに用いられる装置である。
【0017】
図1に示す如く、運転支援装置10は、コンピュータを主体に構成された電子制御ユニット(以下、支援制御ECUと称す)12を備えている。支援制御ECU12には、共に車両運転者の操作可能な、レーダクルーズコントロール制御をオン・オフするためのクルーズコントロールスイッチが接続されている。支援制御ECU12は、クルーズコントロールスイッチの状態に基づいてレーダクルーズコントロールの制御実行条件が成立するか否かを判別する。
【0018】
支援制御ECU12には、また、車体前端のバンパやフロントグリル等に配設されたミリ波レーダセンサ14、及び、車輪に配設された車輪速センサ16が接続されている。ミリ波レーダセンサ14は、ミリ波の電波を利用して、自車両前方の所定範囲内に存在する障害物(特に、先行車両)の位置に応じた信号を支援制御ECU12へ出力する。また、車輪速センサ16は、各車輪の速度に応じた信号を支援制御ECU12へ出力する。支援制御ECU12は、ミリ波レーダセンサ14の出力信号に基づいて、自車両が走行するうえで注意すべき先行車両の有無を検出すると共に、かかる先行車両が存在するときには自車両とその先行車両との車間距離や相対速度などを検出すると共に、車輪速センサ16の出力信号に基づいて、各車輪の車輪速を検出し、車体速度を検出する。
【0019】
支援制御ECU12には、また、車両のスロットル弁の開閉制御を行うスロットルECU18、及び、車両のブレーキ制御を行うブレーキECU20が接続されている。支援制御ECU12は、検出した先行車両の有無や先行車両との相対関係,車体速度などに基づいて車両に付与すべき目標の駆動力又は制動力を演算して、スロットルECU18又はブレーキECU20へ制御指令を行う。スロットルECU18は、運転者の操作するアクセルペダルの開度や車体速度などに基づいて又は支援制御ECU12から供給される制御指令に基づいて、車両に目標駆動力を付与するのに必要なスロットル弁の実現すべき開度を演算し、そのスロットル開度が実現されるようにスロットルアクチュエータへ駆動指令を行う。また、ブレーキECU20は、運転者の操作するブレーキペダルの開度や車体速度などに基づいて又はブレーキ制御ECU12から供給される制御指令に基づいて、車両に目標制動力を付与するのに必要なブレーキアクチュエータ(油圧機構や電動モータ)の駆動量を演算し、その駆動量が実現されるようにブレーキアクチュエータへ駆動指令を行う。
【0020】
支援制御ECU12には、更に、ブザー警告器22及びメータディスプレイ24が接続されている。ブザー警告器22は、車室内に設けられており、後述の如く支援制御ECU12からの作動指令に従ってブザー吹鳴を行うことで車両運転者に対する聴覚を通じた注意喚起を行う。また、メータディスプレイ24は、例えば車室内のインストルメントパネルに設けられたメータユニットを構成しており、後述の如く支援制御ECU12からの作動指令に従って警報表示を行うことで車両運転者に対する視覚を通じた注意喚起を行う。
【0021】
次に、本実施例の運転支援装置10の動作について説明する。図2は、本実施例の運転支援装置10において支援制御ECU12が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。また、図3は、本実施例の運転支援装置10の動作タイムチャートを示す。
【0022】
本実施例の運転支援装置10において、支援制御ECU12は、クルーズコントロールスイッチの状態に基づいてレーダクルーズコントロールの制御実行条件が成立すると判別された場合は、レーダクルーズコントロールの制御を開始する。そして、そのレーダクルーズコントロール中、ミリ波レーダセンサ14を用いて検知される先行車両との相対関係などに基づいて車両にブレーキ作動が必要な状況になったか否かを判別する(ステップ100)。
【0023】
その結果、上記ステップ100において先行車両が検知されず或いは先行車両は検知されたがブレーキ作動の必要がないと判別された場合は、ブレーキ作動が継続する時間をカウントするカウンタ(ブレーキ作動カウンタ)BrkCntを“0”にリセットし(ステップ102)、ブレーキECU20へのブレーキ作動の要求をオフとし(ステップ104)、また、ブレーキ作動が禁止される前におけるブザー警告器22の作動指示を示すフラグ(ブレーキ禁止直前警告フラグ)をオフとする(ステップ106)。
【0024】
一方、上記ステップ100において先行車両が検知されてブレーキ作動の必要があると判別された場合は、ブレーキ作動カウンタBrkCntをインクリメントし(ステップ108)、また、ブレーキECU20へのブレーキ作動の要求をオンにする(ステップ110)。この場合には、ブレーキECU20がブレーキアクチュエータを駆動させるので、レーダクルーズコントロールにより車両のブレーキ作動が開始され、以後、車両が目標制動力に従って制動されることとなる。
【0025】
支援制御ECU12は、ブレーキ作動を開始すると、以後、上記ステップ108でインクリメントしたブレーキ作動カウンタBrkCntがブザー吹鳴用所定値T1に達するか否かを判別する(ステップ112)。尚、このブザー吹鳴用所定値T1は、ブレーキ作動が開始された後そのブレーキ作動が禁止される前に、ブレーキ作動が禁止される旨のブザー警告器22によるブザー吹鳴を開始するのにブレーキ作動が継続すべき時間に相当する値であって、予めメモリに格納されており、例えば20秒に設定されている。
【0026】
その結果、ブレーキ作動カウンタBrkCntがブザー吹鳴用所定値T1に達していないと判別した場合は、直接に下記のステップ116の処理を実行する。一方、ブレーキ作動カウンタBrkCntがブザー吹鳴用所定値T1に達したと判別した場合は、ブレーキ禁止直前警告フラグをオンにセットしたうえで(ステップ114)、その後に下記のステップ116の処理を実行する。
【0027】
ステップ116では、ブレーキ作動カウンタBrkCntがブレーキ作動禁止用所定値T2に達するか否かを判別する。尚、このブレーキ作動禁止用所定値T2は、ブレーキ作動が開始されてからそのブレーキ作動を強制的に禁止するのにそのブレーキ作動が継続すべき時間に相当する値であって、予めメモリに格納されており、上記のブザー吹鳴用所定値T1よりも長い時間(例えば30秒)に設定されている。すなわち、上記したブザー吹鳴用所定値T1は、このブレーキ作動禁止用所定値T2よりも短い時間に設定されている。
【0028】
その結果、ブレーキ作動カウンタBrkCntがブレーキ作動禁止用所定値T2に達していないと判別した場合は、直接に下記のステップ122の処理を実行する。一方、ブレーキ作動カウンタBrkCntがブレーキ作動禁止用所定値T2に達したと判別した場合は、ブレーキECU20へのブレーキ作動の禁止指示を示すフラグ(ブレーキ作動禁止フラグ)をオンにし(ステップ118)、かつ、上記したブレーキ禁止直前警告フラグをオフとしたうえで(ステップ120)、その後に下記のステップ122の処理を実行する。
【0029】
支援制御ECU12は、ステップ122においてブレーキ禁止直前警告フラグがオン状態にあるか否かを判別する。その結果、ブレーキ作動が必要な状況にない場合やブレーキ作動カウンタBrkCntが未だブザー吹鳴用所定値T1に達していない場合或いはブレーキ作動禁止用所定値T2に達した後は、ブレーキ禁止直前警告フラグがオフにリセットされているので、この場合は、否定判定がなされる。否定判定を行うと、次に、ブザー警告器22への作動要求をオフにする(ステップ124)。この場合には、ブザー警告器22がブレーキ作動がまもなく禁止される旨を示すブザー吹鳴を行わないので、車両運転者に対する聴覚を通じたブレーキ作動の将来的な禁止を示す注意喚起は行われない。
【0030】
一方、ブレーキ作動カウンタBrkCntがブザー吹鳴用所定値T1に達してからブレーキ作動禁止用所定値T2に達するまでは、ブレーキ禁止直前警告フラグがオンにセットされているので、この場合は、肯定判定がなされる。肯定判定を行うと、次に、ブザー警告器22への作動要求をオンにする(ステップ126)。この場合には、ブザー警告器22がブレーキ作動が将来的に禁止される旨を示すブザー吹鳴を行うので、車両運転者に対する聴覚を通じたブレーキ作動の将来的な禁止を示す注意喚起が行われることとなる。
【0031】
支援制御ECU12は、上記ステップ124又は126を行うと、次に、上記したブレーキ作動禁止フラグがオン状態にあるか否かを判別する(ステップ128)。その結果、ブレーキ作動カウンタBrkCntが未だブレーキ作動禁止用所定値T2に達していない場合は、ブレーキ作動禁止フラグがオフにリセットされているので、この場合は、否定判定がなされる。否定判定を行うと、次に、メータディスプレイ24への表示要求をオフにする(ステップ130)。この場合には、メータディスプレイ24がブレーキ作動が現に禁止されている旨を示す警報表示を行わないので、車両運転者に対する視覚を通じたブレーキ作動の禁止を示す警報は行われない。
【0032】
一方、ブレーキ作動カウンタBrkCntがブレーキ作動禁止用所定値T2に達した後は、ブレーキ作動禁止フラグがオンにセットされているので、この場合は、肯定判定がなされる。肯定判定を行うと、次に、ブレーキ作動の禁止が継続する時間をカウントするカウンタ(ブレーキ作動禁止カウンタ)InhibitCntが作動禁止継続用所定値Tに達するか否かを判別する(ステップ132)。尚、この作動禁止継続用所定値T3は、ブレーキ作動の禁止が開始されてからブレーキアクチュエータを保護するためその禁止を解除するのにそのブレーキ作動の禁止が継続すべき時間に相当する値であって、予めメモリに格納されており、例えば3秒に設定されている。
【0033】
その結果、ブレーキ作動禁止カウンタInhibitCntが作動禁止継続用所定値T3に達していないと判別した場合は、ブレーキ作動禁止カウンタInhibitCntをインクリメントし(ステップ134)、メータディスプレイ24への表示要求をオンにし(ステップ136)、また、ブレーキECU20へのブレーキ作動の要求をオフにする(ステップ138)。この場合には、メータディスプレイ24がブレーキ作動が現に禁止されている旨を示す警報表示を行うので、車両運転者に対する視覚を通じたブレーキ作動の禁止を示す警報が行われることになると共に、ブレーキECU20がブレーキアクチュエータの駆動を停止させるので、車両のブレーキ作動が禁止され、車両の制動が中断されることになる。
【0034】
そしてその後、ブレーキ作動禁止カウンタInhibitCntが作動禁止継続用所定値T3に達したと判別した場合は、ブレーキ作動禁止カウンタInhibitCntを“0”にリセットし(ステップ140)、ブレーキ作動禁止フラグをオフにし(ステップ142)、また、メータディスプレイ24への表示要求をオフにする(ステップ144)。この場合には、メータディスプレイ24がブレーキ作動が現に禁止されている旨を示す警報表示を行わないので、車両運転者に対する視覚を通じたブレーキ作動の禁止を示す警報が行われなくなる。また、ブレーキ作動禁止フラグがオフ状態になると、ブレーキECU20へのブレーキ作動の要求が許容されるので、ブレーキECU20がブレーキアクチュエータを駆動させることが可能となり、レーダクルーズコントロールによる車両のブレーキ作動が再開されることとなる。
【0035】
上記の処理によれば、先行車両の検知によって自車両のブレーキ作動の必要がある場合、そのブレーキ作動を行うと共に、そのブレーキ作動の継続時間を計数するブレーキ作動カウンタBrkCntをインクリメントすることができる。そして、そのブレーキ作動カウンタBrkCntがブレーキ作動禁止用所定値T2に達する前、ブザー吹鳴用所定値T1に達したときに、ブレーキ禁止直前警告フラグをオンにセットして、支援制御ECU12からブザー警告器22への作動要求をオンすることができる。従って、自車両のブレーキ作動がその開始後にブザー吹鳴用所定値T1継続したとき、ブレーキ作動が将来的に禁止される旨を示すブザー警告器22によるブザー吹鳴を開始することができ、車両運転者へ向けてブレーキ作動の将来的な禁止を聴覚を通じて注意喚起することができる。
【0036】
そしてその後、ブレーキ作動カウンタBrkCntがブレーキ作動禁止用所定値T2に達したときに、ブレーキ禁止直前警告フラグをオフにリセットして、支援制御ECU12からブザー警告器22への作動要求をオフすると共に、ブレーキ作動禁止フラグをオンにセットして、支援制御ECU12からブレーキECU20へのブレーキ作動要求をオンすることができる。従って、自車両のブレーキ作動がその開始後にブレーキ作動禁止用所定値T2継続したとき、上記のブザー警告器22によるブザー吹鳴を以後中止すると共に、そのブレーキ作動を禁止して強制的にブレーキ抜けを発生させることができる。
【0037】
すなわち、本実施例の運転支援装置10において、レーダクルーズコントロール中における車両の自動的なブレーキ作動は、その継続時間がブレーキ作動禁止用所定値T2に達するまで継続されて、その継続時間がそのブレーキ作動禁止用所定値T2に達したときに禁止されるが、そのブレーキ作動の禁止が開始される前、ブレーキ作動の継続時間がブザー吹鳴用所定値T1に達したときに、そのブレーキ作動がブレーキ作動禁止用所定値T2の時間継続によって禁止される旨がブザー警告器22を通じて車両運転者に向けて事前報知される。
【0038】
このため、本実施例の運転支援装置10によれば、レーダクルーズコントロール中、自動ブレーキ作動が長時間にわたって継続した場合に強制的に禁止されることを事前に車両運転者に知らせることが可能となるので、従って、自動ブレーキの突然の作動禁止によって車両運転者に車両走行上咄嗟の判断や車両操作を強いるのを防ぐことが可能となっており、自動ブレーキ作動が禁止されることとなっても運転者にとって余裕を持った状況判断や車両走行を実現させることが可能となっている。
【0039】
尚、本実施例において、レーダクルーズコントロール中における自動ブレーキ作動禁止の旨のブザー警告器22による事前報知は、その自動ブレーキ作動が開始されてからそのブレーキ作動の禁止がなされるまで継続される。従って、自動ブレーキ作動が強制的に禁止される旨の車両運転者への事前通知を少なくとも確保することが可能である。
【0040】
また、本実施例において、レーダクルーズコントロール中に自動ブレーキ作動がブレーキ作動禁止用所定値T2継続すると、その自動ブレーキ作動が強制的に禁止されて、その作動禁止が作動禁止継続用所定値T3だけ継続される。そして、自動ブレーキの作動禁止が作動禁止継続用所定値T3だけ継続されると、その後は、自動ブレーキ作動が許容される。
【0041】
ブレーキ作動が長時間にわたって継続すると、ブレーキアクチュエータが故障し易くなるが、ブレーキ作動がブレーキ作動禁止用所定値T2の継続によって禁止されてその作動禁止が所定時間T3継続すれば、そのブレーキアクチュエータの故障は生じ難くなる。この点、上記した構成によれば、ブレーキ作動の長時間継続に起因したブレーキアクチュエータの故障を防止することができ、ブレーキアクチュエータを保護することが可能であると共に、自動ブレーキの作動禁止の所定時間T3の継続後は通常どおりブレーキアクチュエータを用いた自動ブレーキ作動を許容して先行車両への追従走行を実現させることが可能である。
【0042】
従って、本実施例の運転支援装置10によれば、レーダクルーズコントロール中における長時間にわたる自動ブレーキ作動をブレーキアクチュエータの保護のため禁止しつつ、その自動ブレーキの作動禁止を事前にブザー警告器22を用いて車両運転者に知らせることが可能となっている。
【0043】
更に、本実施例において、レーダクルーズコントロール中に自動ブレーキ作動が強制的に禁止されている場合には、支援制御ECU12からメータディスプレイ24への表示要求をオンすることができる。従って、レーダクルーズコントロール中において自動ブレーキ作動が禁止されているとき、ブレーキ作動が現に禁止されている旨を示すメータディスプレイ24による警報表示を行うことができ、車両運転者へ向けてブレーキ作動が現に禁止されている旨の視覚を通じた警報を行うことができる。
【0044】
このため、本実施例の運転支援装置10によれば、自動ブレーキ作動の強制的な禁止が実際になされていることを車両運転者に知らせることが可能であるので、従って、その自動ブレーキの作動禁止中に、ブレーキ作動が禁止されている車両の走行状況に対して運転操作(特にブレーキ操作)で介入すべきか否かの判断を車両運転者に促すことが可能となっている。
【0045】
尚、レーダクルーズコントロール中に自動ブレーキの作動が禁止されているときであっても、車両運転者によるブレーキ操作を許容するのが車両の安全走行を確保するうえで適切である。
【0046】
ところで、上記の実施例においては、支援制御ECU12が、図2に示すルーチン中ステップ118,138の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「ブレーキ作動制限手段」が、ステップ126の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「事前報知手段」が、ステップ136の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「表示手段」が、それぞれ実現されている。
【0047】
また、上記の実施例においては、ブレーキ作動が将来的に禁止される旨の車両運転者への報知としてブザー吹鳴を行うこととしているが、その旨を示す音声出力を行うこととしてもよい。
【0048】
また、上記の実施例においては、ブレーキ作動が長時間(具体的には、ブレーキ作動禁止用所定値T2)継続した場合に、その後そのブレーキ作動を所定時間(具体的には、作動禁止継続用所定値T3)一切禁止することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その後そのブレーキ作動を所定時間、制動力が通常時よりも所定量だけ低下されるように制限することとすればよい。また、かかる構成においては、ブレーキ作動を制限する時間を、ブレーキ作動を禁止する時間T3と異ならせること具体的にはその時間T3よりも長くすることとしてもよい。
【0049】
また、上記の実施例においては、レーダクルーズコントロール中における自動ブレーキ作動が長時間継続した場合に、その後その自動ブレーキ作動を所定時間禁止して、そしてその後、自動ブレーキ作動の再開を可能にすることとしているが、本発明はレーダクルーズコントロール中における自動ブレーキ作動に限定されるものではなく、レーダクルーズコントロール以外の自動ブレーキ作動や車両運転者の操作によるブレーキ作動に適用することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例である車両に搭載される運転支援装置のシステム構成図である。
【図2】本実施例の運転支援装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図3】本実施例の運転支援装置の動作タイムチャートである。
【符号の説明】
【0051】
10 運転支援装置
12 支援制御ECU
20 ブレーキECU
22 ブザー警告器
24 メータディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ作動が第1所定期間継続したときにブレーキ作動を制限するブレーキ作動制限手段を備える車両の運転支援装置であって、
前記ブレーキ作動制限手段によるブレーキ作動の制限が開始される前に、ブレーキ作動が制限される旨の車両運転者への報知を開始する事前報知手段を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記事前報知手段は、前記ブレーキ作動制限手段によるブレーキ作動の制限が開始される前、ブレーキ作動が開始されてから該ブレーキ作動が第1所定期間よりも短い第2所定期間継続したときに、ブレーキ作動が制限される旨の車両運転者への報知を開始することを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記事前報知手段は、ブレーキ作動が制限される旨の車両運転者への報知を、前記ブレーキ作動制限手段によるブレーキ作動の制限が開始されるまで継続することを特徴とする請求項1又は2記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記事前報知手段は、ブレーキ作動が制限される旨の車両運転者への報知としてブザー吹鳴を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記ブレーキ作動制限手段は、ブレーキ作動の制限を、自動ブレーキ制御の実行に伴うブレーキ作動が第1所定期間継続したときに実施することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記ブレーキ作動制限手段によりブレーキ作動が制限されている際、車両運転者の視認可能なディスプレイにブレーキ作動が制限されている旨の表示を行う表示手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−208709(P2009−208709A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55957(P2008−55957)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】