説明

運転疲労度判定装置

【課題】車両を運転する運転者の疲労度を判定する精度を高める。
【解決手段】運転疲労度判定装置1は、例えば道路幅が広い道路から狭い道路へ進入した等の運転者の疲労度が蓄積されると想定される場合と、例えば道路幅が狭い道路から広い道路へ進入した等の運転者の疲労度が回復されると想定される場合との双方を考慮し、運転者の疲労度が蓄積されると判定すると、その単位時間あたりの疲労度を現在の累積疲労度に積算する一方、運転者の疲労度が回復されると判定すると、その単位時間あたりの疲労度を現在の累積疲労度から減算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両を運転する運転者の疲労度を判定する運転疲労度判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車等の車両を運転する運転者の疲労度を判定する運転疲労度判定装置が供されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−146185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている運転疲労度判定装置は、車両の挙動(例えば車速等)に基づいて単位時間あたりの疲労度を算出し、その算出した単位時間あたりの疲労度を積算して累積疲労度を算出し、その算出した累積疲労度が閾値を越えると、運転者の疲労度が休憩すべき程度に達したと判定し、休憩を促すガイダンスを運転者に報知するように構成されている。このように従来の運転疲労度判定装置は、疲労度が常に蓄積されるという観点に基づいて疲労度を積算し、運転者の疲労度を判定するようになっている。
【0005】
ところで、運転者においては、例えば道路幅が広い道路を運転する場合と狭い道路を運転する場合とでは必要とする注意力が異なることから、道路幅が広い道路から狭い道路へ進入した場合には疲労度が蓄積されるが、これとは反対に、道路幅が狭い道路から広い道路へ進入した場合には疲労度が回復される傾向にあると考えられる。同様に、例えば歩行者が多い道路を運転する場合と少ない道路を運転する場合とでは必要とする注意力が異なることから、歩行者が少ない道路から多い道路へ進入した場合には疲労度が蓄積されるが、これとは反対に、歩行者が多い道路から少ない道路へ進入した場合には疲労度が回復される傾向にあると考えられる。このように運転者の疲労度は蓄積されるだけでなく回復されることもあり得ると考えられる。又、運転者の疲労度が蓄積又は回復される要因としては、上記した道路幅の広狭や歩行者の多少だけでなく、道路の勾配、道路の曲率、周囲の明暗、天気等の様々が挙げられると考えられる。
【0006】
しかしながら、従来の運転疲労度判定装置は、運転者の疲労度が蓄積される場合を考慮しているものの、運転者の疲労度が回復される場合を考慮しておらず、その結果、運転者の疲労度を正確に判定することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転者の疲労度を判定する精度を高めることができる運転疲労度判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載した発明によれば、疲労度判定情報取得手段は、運転者の疲労度を判定するための疲労度判定情報を出力可能な疲労度判定情報出力手段から疲労度判定情報を取得する。蓄積回復判定手段は、疲労度判定情報出力手段から現在の時点で出力されて疲労度判定情報取得手段により取得された現在の疲労度判定情報と、疲労度判定情報出力手段から過去の時点で出力されて疲労度判定情報取得手段により取得された過去の疲労度判定情報とを比較し、運転者の疲労度が蓄積されるか回復されるかを判定する。
【0009】
累積疲労度算出手段は、運転者の疲労度が蓄積されると蓄積回復判定手段が判定すると、判定対象とした疲労度判定情報に対応する疲労度に基づいて新たな累積疲労度を増加するように算出する一方、運転者の疲労度が回復されると蓄積回復判定手段が判定すると、判定対象とした疲労度判定情報に対応する疲労度に基づいて新たな累積疲労度を減少するように新たな累積疲労度を算出する。疲労度判定手段は、累積疲労度算出手段により算出された累積疲労度に基づいて運転者の疲労度を判定する。
【0010】
これにより、運転者の疲労度が蓄積される場合だけを考慮する従来とは異なり、運転者の疲労度が蓄積される場合と回復される場合との双方を考慮し、運転者の疲労度が蓄積されると判定すると、その疲労度に基づいて新たな累積疲労度を増加するように算出する一方、運転者の疲労度が回復されると判定すると、その疲労度に基づいて新たな累積疲労度を減少するように算出することで、運転者の疲労度を判定する精度を高めることができる。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、累積疲労度算出手段は、運転者の疲労度が蓄積されると蓄積回復判定手段が判定すると、判定対象とした疲労度判定情報に対応する疲労度を現在の累積疲労度に積算して新たな累積疲労度を算出する一方、運転者の疲労度が回復されると蓄積回復判定手段が判定すると、判定対象とした疲労度判定情報に対応する疲労度を現在の累積疲労度から減算して新たな累積疲労度を算出する。これにより、判定対象とした疲労度判定情報に対応する疲労度を現在の累積疲労度に積算したり現在の累積疲労度から減算したりすることで新たな累積疲労度を算出することができ、新たな累積疲労度を単純な演算により算出することができる。
【0012】
請求項3に記載した発明によれば、疲労度判定情報取得手段は、疲労度判定情報出力手段から取得する疲労度判定情報として、車両の周囲を特定可能な車両周囲情報を取得する。これにより、車両の周囲を特定可能な車両周囲情報に基づいて、運転者の疲労度が蓄積されるか回復されるかを判定することができる。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、疲労度判定情報取得手段は、車両周囲情報として、車両周囲を撮影可能な車両周囲撮影手段により撮影された車両周囲の映像、車両周囲の音を収集可能な車両周囲集音手段により収集された車両周囲の音、及びナビゲーション装置が有するナビゲーション情報のうち少なくとも何れかを取得する。これにより、車両周囲の映像として例えば道路幅の広狭や歩行者の多少等、車両周囲の音として例えば騒音の大小等、ナビゲーション情報として例えば車両の現在位置や車両が走行している道路に関する道路情報等(種別、形状等)に基づいて、運転者の疲労度が蓄積されるか回復されるかを判定することができる。
【0014】
請求項5に記載した発明によれば、疲労度判定情報取得手段は、疲労度判定情報出力手段から取得する疲労度判定情報として、車両の挙動を特定可能な車両挙動情報を取得する。これにより、車両の挙動を特定可能な車両挙動情報に基づいて、運転者の疲労度が蓄積されるか回復されるかを判定することができる。
【0015】
請求項6に記載した発明によれば、疲労度判定情報取得手段は、車両挙動情報として、加速度を検出可能な加速度検出手段により検出された加速度、及び車速を検出可能な車速検出手段により検出された車速のうち少なくとも何れかを取得する。これにより、加速度の大小、車速の大小等に基づいて、運転者の疲労度が蓄積されるか回復されるかを判定することができる。
【0016】
請求項7に記載した発明によれば、疲労度判定情報取得手段は、疲労度判定情報出力手段から取得する疲労度判定情報として、運転者の生体を特定可能な運転者生体情報を取得する。これにより、運転者の生体を特定可能な運転者生体情報に基づいて、運転者の疲労度が蓄積されるか回復されるかを判定することができる。
【0017】
請求項8に記載した発明によれば、疲労度判定情報取得手段は、運転者生体情報として、運転者の操作を検出可能な操作検出手段により検出された運転者の操作、運転者の顔を撮影可能な顔撮影手段により撮影された運転者の顔の映像、運転者の心拍数を検出可能な心拍数検出手段により検出された運転者の心拍数、及び運転者の脈拍数を検出可能な脈拍数検出手段により検出された運転者の脈拍数のうち少なくとも何れかを取得する。これにより、運転者の操作、運転者の顔の映像、運転者の心拍数、運転者の脈拍数等に基づいて、運転者の疲労度が蓄積されるか回復されるかを判定することができる。
【0018】
請求項9に記載した発明によれば、車両情報出力手段から出力された車両情報を順次記憶する揮発性記憶手段と、所定条件が成立した場合に揮発性記憶手段に記憶されている車両情報を記憶する不揮発性記憶手段と、を備えた車両情報記憶装置に接続可能に構成され、疲労度判定情報取得手段は、疲労度判定情報出力手段から取得する疲労度判定情報として、車両情報出力手段から出力されて揮発性記憶手段に記憶されている車両情報を取得する。これにより、疲労度判定情報を取得するための専用の装置を用意する必要がなく、車両情報記憶装置に順次記憶される車両情報を疲労度判定情報として有効に活用することができる。
【0019】
請求項10に記載した発明によれば、累積疲労度推移判定手段は、累積疲労度算出手段により算出された累積疲労度の時間経過に伴う推移を判定し、報知制御手段は、累積疲労度推移判定手段により判定された累積疲労度の時間経過に伴う推移を報知手段から運転者に報知する。これにより、累積疲労度の時間経過に伴う推移を運転者に知らせることができる。
【0020】
請求項11に記載した発明によれば、報知制御手段は、累積疲労度算出手段により算出された累積疲労度が増加して閾値以上になると、累積疲労度が増加して閾値以上になった旨を報知手段から運転者に報知する。これにより、累積疲労度が増加して閾値以上になった旨を運転者に知らせることができ、運転を休憩すべきか継続すべきかを判断するための目安を運転者に提供することができる。
【0021】
請求項12に記載した発明によれば、報知制御手段は、積疲労度算出手段により算出された累積疲労度が減少して閾値以下になると、累積疲労度が減少して閾値以下になった旨を報知手段から運転者に報知する。これにより、累積疲労度が減少して閾値以下になった旨を運転者に知らせることができ、運転を休憩すべきか継続すべきかを判断するための目安を運転者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】疲労度判定情報を示す図
【図3】フローチャート
【図4】(a)は疲労蓄積通知画面、(b)は疲労回復通知画面を示す図
【図5】累積疲労度の推移を示す図
【図6】図5相当図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は運転疲労度判定装置及び周辺の全体構成を機能ブロック図により示している。運転疲労度判定装置1は、車両情報記憶装置2と共に車両に搭載されている。車両情報記憶装置2は、車両事故発生前後の車両情報を証拠として残す記憶装置として機能する装置であり、車両事故により衝撃を受けたとしても損傷し難いように強固な筐体で保護され、例えば後部座席の下に固定状態で設置されている。
【0024】
車両情報記憶装置2は、制御部3と、揮発性メモリ4(本発明でいう揮発性記憶手段に相当)と、不揮発性メモリ5(本発明でいう不揮発性記憶手段に相当)と、出力インタフェース(IF)部6とを備えて構成されている。制御部3は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM及びI/Oバス等を有し、制御プログラムを実行することで、揮発性メモリ4、不揮発性メモリ5、出力インタフェース部6の動作を制御する。揮発性メモリ4は、車両に搭載されている各種機器7(本発明でいう疲労度判定情報出力手段、車両情報出力手段に相当)と車載LAN8を介して接続されている。
【0025】
各種機器7は、車両周囲撮影用カメラ9(本発明でいう車両周囲撮影手段に相当)、集音用マイクロホン10(本発明でいう車両周囲集音手段に相当)、ナビゲーション装置11、エンジン制御装置12、ブレーキ制御装置13、トランスミッション制御装置14、加速度センサ15(本発明でいう加速度検出手段に相当)、速度センサ16(本発明でいう速度検出手段に相当)、アクセルセンサ17(本発明でいう操作検出手段に相当)、ブレーキセンサ18(本発明でいう操作検出手段に相当)、ステアリングセンサ19(本発明でいう操作検出手段に相当)、顔撮影用カメラ20(本発明でいう顔撮影手段に相当)、心電センサ21(本発明でいう心拍数検出手段に相当)、脈波センサ22(本発明でいう脈拍数検出手段に相当)等を含む。
【0026】
車両周囲撮影用カメラ9は、車両周囲を撮影した映像を特定可能な信号を出力する。集音用マイクロホン10は、車両周囲の音を特定可能な信号を出力する。ナビゲーション装置11は、ナビゲーション情報を特定可能な信号を出力する。ナビゲーション情報とは、車両の現在位置、車両が走行している道路に関する道路情報(種別、形状等)、単位時間あたりの移動距離、単位距離あたりの交差点数等である。
【0027】
エンジン制御装置12は、エンジン回転数を特定可能な信号を出力する。ブレーキ制御装置13は、ブレーキ油圧を特定可能な信号を出力する。トランスミッション制御装置14は、シフトポジションを特定可能な信号を出力する。加速度センサ15は、加速度を特定可能な信号を出力する。速度センサ16は速度(車速)を特定可能な信号を出力する。
【0028】
アクセルセンサ17は、運転者がアクセルペダルを操作したことに基づいたアクセル操作回数やアクセル開度を特定可能な信号を出力する。ブレーキセンサ18は、運転者がブレーキペダルを操作したことに基づいたブレーキ操作回数やブレーキ踏み量を特定可能な信号を出力する。ステアリングセンサ19は、運転者がステアリングを操作したことに基づいたステアリング操作回数やステアリング角度を特定可能な信号を出力する。顔撮影用カメラ20は、運転者の顔を撮影した映像を特定可能な信号を出力する。心電センサ21は、運転者の心拍数を特定可能な信号を出力する。脈波センサ22は、運転者の脈拍数を特定可能な信号を出力する。
【0029】
これら各種機器7から出力される信号により特定される情報は車両情報(疲労度判定情報)として総称される。車両周囲撮影用カメラ9、集音用マイクロホン10、ナビゲーション装置11から出力される信号により特定される情報は、車両の周囲を特定可能な車両周囲情報である。エンジン制御装置12、ブレーキ制御装置13、トランスミッション制御装置14、加速度センサ15、速度センサ16から出力される信号により特定される情報は、車両の挙動を特定可能な車両挙動情報である。アクセルセンサ17、ブレーキセンサ18、ステアリングセンサ19、顔撮影用カメラ20、心電センサ21、脈波センサ22から出力される信号により特定される情報は、運転者の生体を特定可能な生体情報である。尚、上記した以外の装置やセンサやスイッチを含んでいても良い。
【0030】
揮発性メモリ4は、各種機器7から出力された信号を車載LAN8を介して入力すると、その入力した信号により特定される車両情報を順次記憶する。即ち、揮発性メモリ4は、記憶容量を超えて各種機器7から信号を入力した場合には、その時点で記憶している最古の車両情報を消去しながら当該信号により特定される最新の車両情報を記憶する(上書きする)ことで、各種機器7から入力した信号により特定される車両情報を順次記憶する。尚、車両情報記憶装置2の装置電源がオフすると、揮発性メモリ4に記憶されている記憶内容(車両情報)は消去される。
【0031】
不揮発性メモリ5は、揮発性メモリ4に記憶されている車両情報の一部を記憶可能に構成されている。制御部3は、所定条件(例えば加速度が閾値以上になった等の条件)が成立すると、転送指令を揮発性メモリ4に出力すると共に書込指令を不揮発性メモリ5に出力し、揮発性メモリ4に記憶されている車両情報の一部を不揮発性メモリ5に記憶させる(コピーする)。不揮発性メモリ5に記憶される車両情報は例えば車両事故を解析する際に有用となる車両情報である。尚、車両情報記憶装置2の装置電源がオフしても、不揮発性メモリ5に記憶されている記憶内容は消去されずに保持される。
【0032】
出力インタフェース部6は、特定の作業者(例えば車両事故解析の担当者)が操作可能な専用ツール23との間で通信機能を有し、特定の作業者による読出操作を受付ける。この場合、専用ツール23は、特定の作業者からの操作入力を受付けたり情報を表示したりする機能を有し、特定の作業者が不揮発性メモリ5に記憶されている車両情報を読出すべく読出操作を行うと、読出コマンドを出力インタフェース部6に送信する。出力インタフェース部6は、専用ツール23から送信された読出コマンドを受信すると、その受信した読出コマンドを制御部3に出力し、制御部3から読出指令を入力して不揮発性メモリ5に記憶されている車両情報を読出し、その読出した車両情報を専用ツール23に送信する。
【0033】
専用ツール23は、出力インタフェース部6から送信された車両情報を受信すると、その受信した車両情報を表示し、不揮発性メモリ5に記憶されている車両情報を特定の作業者に提供する。尚、出力インタフェース部6と専用ツール23との間で行う通信は、有線通信であっても良いし近距離無線通信であっても良く、有線通信の例としてはUSB通信が挙げられ、近距離無線通信の例としてはBluetooth(登録商標)通信等が挙げられる。
【0034】
このように構成された車両情報記憶装置2は、イグニッションスイッチからイグニッション信号を入力することでイグニッションスイッチのオンオフと連動するように接続されており、イグニッションスイッチがオンである場合に装置電源がオンし(起動し)、イグニッションスイッチがオフである場合に装置電源がオフする(停止する)ように構成されている。
【0035】
運転疲労度判定装置1は、制御部24(本発明でいう蓄積回復判定手段、累積疲労度算出手段、疲労度判定手段、累積疲労度推移判定手段)と、疲労度判定情報取得部25(本発明でいう疲労度判定情報取得手段、報知制御手段に相当)と、疲労度判定情報記憶部26と、表示インタフェース(IF)部27と、車両制御インタフェース(IF)部28とを備えて構成されている。
【0036】
制御部24は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM及びI/Oバス等を有し、制御プログラムを実行することで、疲労度判定情報取得部25、疲労度判定情報記憶部26、表示IF部27、車両制御IF部28の動作を制御する。制御部24は、転送指令を車両情報記憶装置2の制御部3に出力すると共に取得指令を疲労度判定情報取得部25に出力し、揮発性メモリ4に記憶されている車両情報の一部を疲労度判定情報として疲労度判定情報取得部25に取得させ、その疲労度判定情報取得部25により取得された疲労度判定情報を疲労度判定情報記憶部26に記憶させる(コピーする)。
【0037】
図2は、疲労度判定情報記憶部26に記憶される疲労度判定情報の一例を示す。上記したように各種機器7から出力された信号により特定される車両情報が車両情報記憶装置2の揮発性メモリ4に時系列で順次記憶されることに追従し、車両情報記憶装置2の揮発性メモリ4に時系列で順次記憶された車両情報が疲労度判定情報として疲労度判定情報記憶部26に時系列で記憶される。図2に示す疲労度判定情報「Xm(m=自然数)」は、上記した車両の周囲を特定可能な車両周囲情報、車両の挙動を特定可能な車両挙動情報、運転者の生体を特定可能な生体情報の何れかである。
【0038】
車両の周囲を特定可能な車両周囲情報としては、例えば車両周囲撮影用カメラ9により撮影された車両周囲の映像、集音用マイクロホン10により収集された車両周囲の音、ナビゲーション装置11が有するナビゲーション情報等が時系列で記憶される。車両の挙動を特定可能な車両挙動情報としては、加速度センサ15により検出された加速度、速度センサ16により検出された速度等が時系列で記憶される。運転者の生体を特定可能な生体情報としては、アクセルセンサ17により検出されたアクセルの操作回数、ブレーキセンサ18により検出されたブレーキの操作回数、ステアリングセンサ19により検出されたステアリングの操作回数、顔撮影用カメラ20により撮影された運転者の顔の映像、心電センサ21により検出された運転者の心拍数、脈波センサ22により検出された運転者の脈拍数等が時系列で記憶される。
【0039】
図2に示す疲労度判定情報「Xm(n)(nは自然数)」は、時刻「t(n)」における疲労度判定情報「Xm」の単位時間(t(n−1)〜t(n)に相当する時間)あたりの運転者の疲労度を数値化した値であり、数値が相対的に大きい程に運転者の疲労度が相対的に大きいことを示し、数値が相対的に小さい程に運転者の疲労度が相対的に小さいことを示している。
【0040】
即ち、疲労度判定情報「Xm」が例えば車両周囲撮影用カメラ9により撮影された車両周囲の映像である場合に、その車両周囲の映像を解析した結果として、車両が走行している道路の導路幅が相対的に狭いと判定したり歩行者が相対的に多いと判定したりすれば、運転者が必要とする注意力は相対的に大きく、運転者の疲労度は相対的に大きく、一方、車両が走行している道路の導路幅が相対的に広いと判定したり歩行者が相対的に少ないと判定したりすれば、運転者が必要とする注意力は相対的に小さく、運転者の疲労度は相対的に小さい。
【0041】
同様に、車両周囲の音が相対的に大きい、車両が走行している道路の勾配が相対的に大きい、車両が走行している道路の曲率が大きい、単位時間あたりの移動距離が相対的に短い(渋滞に遭遇している)、車両が走行している道路の単位距離あたりの交差点数が相対的に多い(信号停止する可能性が相対的に高い)等を判定すれば、運転者の疲労度は相対的に大きく、一方、車両周囲の音が相対的に小さい、車両が走行している道路の勾配が相対的に小さい、車両が走行している道路の曲率が小さい、単位時間あたりの移動距離が相対的に長い(渋滞に遭遇していない)、車両が走行している道路の単位距離あたりの交差点数が相対的に少ない(信号停止する可能性が相対的に低い)等を判定すれば、運転者の疲労度は相対的に小さい。
【0042】
又、疲労度判定情報「Xm」が例えば加速度センサ15により検出された加速度である場合に、その加速度が相対的に大きいと判定すれば、運転者が必要とする注意力は相対的に大きく、運転者の疲労度は相対的に大きく、一方、その加速度が相対的に小さいと判定すれば、運転者が必要とする注意力は相対的に小さく、運転者の疲労度は相対的に小さい。同様に、速度が相対的に大きいと判定すれば、運転者が必要とする注意力は相対的に大きく、運転者の疲労度は相対的に大きく、一方、速度が相対的に小さいと判定すれば、運転者が必要とする注意力は相対的に小さく、運転者の疲労度は相対的に小さい。
【0043】
又、疲労度判定情報「Xm」が例えばブレーキセンサ18により検出されたブレーキの操作回数である場合に、そのブレーキの操作回数が相対的に多ければ、運転者が必要とする注意力は相対的に大きく、運転者の疲労度は相対的に大きく、一方、そのブレーキの操作回数が相対的に少なければ、運転者が必要とする注意力は相対的に小さく、運転者の疲労度は相対的に小さい。
【0044】
同様に、アクセルの操作回数が相対的に多い、ステアリングの操作回数が相対的に多い、運転者の顔に余裕が感じられない(例えば発汗量が多い等)、運転者の心拍数が標準値から著しく離れている、運転者の脈拍数が標準値から著しく離れている等を判定すれば、運転者の疲労度は相対的に大きく、一方、アクセルの操作回数が相対的に少ない、ステアリングの操作回数が相対的に少ない、運転者の顔に余裕が感じられる(例えば発汗量が少ない等)、運転者の心拍数が標準値に近い、運転者の脈拍数が標準値に近い等を判定すれば、運転者の疲労度は相対的に小さい。
【0045】
要するに、疲労度判定情報「Xm(n)」の数値が単位時間である「t(n−1)〜t(n)」の期間でどのように変化したかを判定することで、その単位時間で運転者の疲労度が蓄積されたか回復されたかを判定する。尚、疲労度判定情報は、精神的疲労の要素が高い疲労度判定情報と身体的疲労の要素が高い疲労度判定情報とに大別することができ、例えば車両周囲の映像や車両周囲の音等は運転者の精神的疲労の要素が高い疲労度判定情報であり、例えばアクセルの操作回数や運転者の心拍数等は運転者の身体的疲労の要素が高い疲労度判定情報である。
【0046】
又、制御部24は、表示指令を表示IF部27に出力することで、各種表示画面を表示装置29(本発明でいう報知手段に相当)に表示させ、車両制御指令を車両制御IF部28に出力することで、各種装置30にて車両制御を行わせる。
【0047】
このように構成された運転疲労度判定装置1は、上記した車両情報記憶装置2と同様に、イグニッションスイッチからイグニッション信号を入力することでイグニッションスイッチのオンオフと連動するように接続されており、イグニッションスイッチがオンである場合に装置電源がオンし(起動し)、イグニッションスイッチがオフである場合に装置電源がオフする(停止する)ように構成されている。
【0048】
次に、上記した構成の作用について、図3乃至図6を参照して説明する。図3は、運転疲労度判定装置1において、制御部24が行う処理をフローチャートとして示している。
運転疲労度判定装置1において、制御部24は、運転疲労度判定装置1の装置電源がオン(イグニッションスイッチがオン)した直後では後述する累積疲労度判定フラグに「0」を入力し、その後、運転疲労度判定装置1の装置電源がオフするまでメイン処理を行い、メイン処理におけるサブ処理として累積疲労度判定処理を行う。尚、ここでは、m=「3」として説明する。
【0049】
制御部24は、メイン処理から累積疲労度判定処理への移行タイミング(例えば所定期間が経過する毎、車両の移動距離が所定距離に到達する毎等)になると、累積疲労度判定処理を開始する。制御部24は、累積疲労度判定処理を開始すると、転送指令を車両情報記憶装置2の制御部3に出力すると共に取得指令を疲労度判定情報取得部25に出力し、揮発性メモリ4に記憶されている車両情報の一部を疲労度判定情報として疲労度判定情報取得部25に取得させ、疲労度判定情報取得部25により取得した疲労度判定情報に基づいて、X1(n)、X2(n)、X3(n)(本発明でいう現在の疲労度判定情報に相当)を算出する(ステップS1)。
【0050】
次いで、制御部24は、X1(n)から疲労度判定情報記憶部26に記憶されているX1(n−1)(本発明でいう過去の疲労度判定情報に相当)を減算し、X1(n)に対応する累積疲労度「Y1(n)」を算出する。即ち、制御部24は、X1(n)からX1(n−1)を減算した値が定数「K1」未満であるか否かを判定し(ステップS2)、X1(n)からX1(n−1)を減算した値が定数「K1」未満であると判定すると(ステップS2にて「YES」)、その時点での累積疲労度「Y1(n−1)」に今回の疲労度「X1(n)」を積算して累積疲労度「Y1(n)」を算出する(ステップS3)。
【0051】
一方、制御部24は、X1(n)からX1(n−1)を減算した値が定数「K1」以上であると判定すると(ステップS2にて「NO」)、その時点での累積疲労度「Y1(n−1)」から今回の疲労度「X1(n)」と定数「α1」との積を減算して累積疲労度「Y1(n)」を算出する。この場合、定数「K1」は、X1(n)について運転者の疲労度が蓄積されたか回復されたかを仕切る目安となる数値化した値であり、定数「α1」は、X1(n)について運転者の疲労度が回復されたと判定した場合に回復の程度を数値化した値である。
【0052】
制御部24は、同様にして、X2(n)から疲労度判定情報記憶部26に記憶されているX2(n−1)(本発明でいう過去の疲労度判定情報に相当)を減算し、X2(n)に対応する累積疲労度「Y2(n)」を算出する(ステップS5〜S7)。この場合、定数「K2」は、X2(n)について運転者の疲労度が蓄積されたか回復されたかを仕切る目安となる数値化した値であり、定数「α2」は、X2(n)について運転者の疲労度が回復されたと判定した場合に回復の程度を数値化した値である。
【0053】
又、制御部24は、同様にして、X3(n)から疲労度判定情報記憶部26に記憶されているX3(n−1)(本発明でいう過去の疲労度判定情報に相当)を減算し、X3(n)に対応する累積疲労度「Y3(n)」を算出する(ステップS8〜S10)。この場合、定数「K3」は、X3(n)について運転者の疲労度が蓄積されたか回復されたかを仕切る目安となる数値化した値であり、定数「α3」は、X3(n)について運転者の疲労度が回復されたと判定した場合に回復の程度を数値化した値である。
【0054】
次いで、制御部24は、X1(n)に対応する累積疲労度「Y1(n)」、X2(n)に対応する累積疲労度「Y2(n)」、X3(n)に対応する累積疲労度「Y3(n)」とを合算し、総計の累積疲労度「Y(n)」を算出する(ステップS11)。そして、制御部24は、算出した総計の累積疲労度「Y(n)」と閾値「a1」とを比較し、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0055】
ここで、制御部24は、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上であると判定すると(ステップS12にて「YES」)、累積疲労度判定フラグに「1」を入力し(ステップS13)、図4(a)に示すように、疲労度が蓄積された旨を示す疲労蓄積通知画面31を表示装置29に表示させ、疲労度が蓄積された旨を運転者に知らせ(ステップS14)、累積疲労度判定処理を終了してメイン処理にリターンする。
【0056】
一方、制御部24は、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上でないと判定すると(ステップS12にて「NO」)、その時点で累積疲労度判定フラグに「1」を入力しているか否か、即ち、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上になった後であるか否かを判定する(ステップS15)。制御部24は、その時点で累積疲労度判定フラグに「1」を入力していない、即ち、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上になった後でないと判定すると(ステップS15にて「NO」)、累積疲労度判定処理を終了してメイン処理にリターンする。
【0057】
一方、制御部24は、その時点で累積疲労度判定フラグに「1」を入力している、即ち、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上になった後であると判定すると(ステップS15にて「YES」)、総計の累積疲労度「Y(n)」と閾値「a1」よりも小さい値である閾値「a2」とを比較し、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a2」以下であるか否かを判定する(ステップS16)。
【0058】
ここで、制御部24は、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a2」以下であると判定すると(ステップS16にて「YES」)、累積疲労度判定フラグに「0」を入力し(ステップS17)、図4(b)に示すように、疲労度が回復された旨を示す疲労回復通知画面32を表示装置29に表示させ、疲労度が回復された旨を運転者に知らせ(ステップS18)、累積疲労度判定処理を終了してメイン処理にリターンする。
【0059】
即ち、制御部24は、総計の累積疲労度「Y(n)」が図5に示すように推移する場合であれば、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上になった時刻「t7」のタイミングで疲労蓄積通知画面31を表示装置29に表示させ、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a2」以下になった時刻「t13」のタイミングで疲労回復通知画面32を表示装置29に表示させる。尚、制御部24は、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上である期間中で疲労蓄積通知画面31を継続して表示させても良いし、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上であっても疲労蓄積通知画面31を所定期間だけ表示させた後に消去させても良い。同様に、制御部24は、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a2」以下である期間中で疲労回復通知画面32を継続して表示させても良いし、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a2」以下であっても疲労回復通知画面32を所定期間だけ表示させた後に消去させても良い。
【0060】
又、制御部24は、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上であると判定した直後に疲労蓄積通知画面31を表示装置29に表示させたり、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a2」以下であると判定した直後に疲労回復通知画面32を表示装置29に表示させたりすることに代えて、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上であると判定した時点から所定期間が経過した後に疲労蓄積通知画面31を表示装置29に表示させたり、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a2」以下であると判定した時点から所定期間が経過した後に疲労回復通知画面32を表示装置29に表示させたりしても良い。
【0061】
即ち、制御部24は、総計の累積疲労度「Y(n)」が図6に示すように推移する場合であれば、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上になった時刻「t3」のタイミングではなく、時刻「t3」のタイミングから所定期間が経過した時刻「t5」のタイミングで疲労蓄積通知画面31を表示装置29に表示させ、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a2」以下になった時刻「t8」のタイミングではなく、時刻「t8」のタイミングから所定期間が経過した時刻「t10」のタイミングで疲労回復通知画面32を表示装置29に表示させても良い。
【0062】
ところで、以上は、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上であると判定したことに応じて疲労蓄積通知画面31を表示装置29に表示させたり、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a2」以下であると判定したことに応じて疲労回復通知画面32を表示装置29に表示させたりする場合を説明したが、疲労度が蓄積された旨を示すガイダンスを音声出力させたり、疲労度が回復された旨を示すガイダンスを音声出力させたりしても良い。又、総計の累積疲労度「Y(n)」が閾値「a1」以上であると判定した場合に、車両制御IF部28により各種装置30にて車両制御を行わせ、例えばアクセル制御やブレーキ制御を車間距離に応じて自動制御したり(運転支援機能を作動させたり)、ライトの点灯・消灯を自動制御したり、サンバイザの位置を自動制御したりする等、運転者の疲労度に応じて運転者の負担を軽減するように各種装置30を制御しても良い。又、以上は、m=「3」の場合を説明したが、m=「3」以外の場合も同様である。
【0063】
以上に説明したように本実施形態によれば、運転疲労度判定装置1において、例えば道路幅が広い道路から狭い道路へ進入したり歩行者が少ない道路から多い道路へ進入したりする等の運転者が必要とする注意力が相対的に大きくなり、運転者の疲労度が蓄積されると想定される場合と、例えば道路幅が狭い道路から広い道路へ進入したり歩行者が多い道路から少ない道路へ進入したりする等の運転者が必要とする注意力が相対的に小さくなり、運転者の疲労度が回復されると想定される場合との双方を考慮し、運転者の疲労度が蓄積されると判定すると、その単位時間あたりの疲労度を現在の累積疲労度に積算して新たな累積疲労度を算出する一方、運転者の疲労度が回復されると判定すると、その単位時間あたりの疲労度を現在の累積疲労度から減算して新たな累積疲労度を算出するように構成したので、運転者の疲労度を判定する精度を高めることができる。
【0064】
又、疲労度判定情報を取得するための専用の装置を用意することなく、本来は車両事故発生前後の車両情報を証拠として残す記憶装置として機能する車両情報記憶装置2を利用し、車両情報記憶装置2の揮発性メモリ4に記憶されている車両情報を疲労度判定情報として利用するように構成したので、車両情報記憶装置2の揮発性メモリ4に記憶されている車両情報を疲労度判定情報として有効に活用することができる。
【0065】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
単位時間あたりの疲労度を現在の累積疲労度に積算したり現在の累積疲労度から減算したりして新たな累積疲労度を算出するようにしたが、単位時間あたりの疲労度に応じた係数を予め設定しておき、運転者の疲労度が蓄積されると判定した場合に、現在の累積疲労度に単位時間あたりの疲労度に応じた「1」を超える係数(例えば「1.2」等)を乗じて新たな累積疲労度を算出する一方、運転者の疲労度が回復されると判定した場合に、現在の累積疲労度に単位時間あたりの疲労度に応じた「1」未満の係数(例えば「0.8」等)を乗じて新たな累積疲労度を算出するようにしても良い。同様に、運転者の疲労度が蓄積されると判定した場合に、現在の累積疲労度を単位時間あたりの疲労度に応じた「1」未満の係数で除して新たな累積疲労度を算出する一方、運転者の疲労度が回復されると判定した場合に、現在の累積疲労度を単位時間あたりの疲労度に応じた「1」を超える係数で除して新たな累積疲労度を算出するようにしても良い。このように乗算や除算により新たな累積疲労度を算出する場合でも、単位時間あたりの疲労度を現在の累積疲労度に積算したり現在の累積疲労度から減算したりして新たな累積疲労度を算出する場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
所定期間における複数の疲労度判定情報の数値を平均して平均値を算出し、その平均値に基づいて累積疲労度を算出するようにしても良い。このように構成すれば、心拍数や脈拍数の変動が激しい場合であっても、平均化することで累積疲労度をより正確に算出することができ、運転者の疲労度を判定する精度をより高めることができる。
【0067】
装置電源がオフした(運転者が降車した)時点での累積疲労度を記憶しておき、次に装置電源がオンした(運転者が乗車した)場合に、装置電源がオフしている期間(装置電源がオフした時点から次に装置電源がオンした時点までの期間)に応じて運転者の疲労度が回復されたと想定し、装置電源がオフした時点での累積疲労度から当該回復された分の疲労度を減算するようにしても良い。
【0068】
車両情報記憶装置2において、揮発性メモリ4に記憶されている車両情報を不揮発性メモリ5に記憶させる所定条件としては、加速度が閾値以上になったと判定した場合に限らず、エアバッグが展開したと判定した場合等、車両事故が発生する可能性が高い現象を特定し得る条件であれば良く、単独であっても良いし複数を組み合わせても良い。
【0069】
不揮発性メモリ5に記憶されている車両情報を読出す手段として専用ツール23を用いることに限らず、不揮発性メモリ5を車両情報記憶装置2に対して着脱可能に構成し、車両事故が発生した後に(所定の車両情報が不揮発性メモリ5に記憶された後に)、不揮発性メモリ5を車両情報記憶装置2から取外し、車両情報記憶装置2から取外した不揮発性メモリ5を例えば読出装置等に接続することで、不揮発性メモリ5に記憶されている所定の車両情報を読出すようにしても良い。
【符号の説明】
【0070】
図面中、1は運転疲労度判定装置、2は車両情報記憶装置、4は揮発性メモリ(揮発性記憶手段)、5は不揮発性メモリ(不揮発性記憶手段)、7は各種機器(疲労度判定情報出力手段、車両情報出力手段)、9は車両周囲撮影用カメラ(車両周囲撮影手段)、10は集音用マイクロホン(車両周囲集音手段)、15は加速度センサ(加速度検出手段)、16は速度センサ(速度検出手段)、17はアクセルセンサ(操作検出手段)、18はブレーキセンサ(操作検出手段)、19はステアリングセンサ(操作検出手段)、20は顔撮影用カメラ(顔撮影手段)、21は心電センサ(心拍数検出手段)、22は脈波センサ(脈拍数検出手段)、24は制御部(蓄積回復判定手段、累積疲労度算出手段、疲労度判定手段、累積疲労度推移判定手段、報知制御手段)、25は疲労度判定情報取得部(疲労度判定情報取得手段)、29は表示装置(報知手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の疲労度を判定するための疲労度判定情報を出力可能な疲労度判定情報出力手段から疲労度判定情報を取得する疲労度判定情報取得手段と、
前記疲労度判定情報出力手段から現在の時点で出力されて前記疲労度判定情報取得手段により取得された現在の疲労度判定情報と、前記疲労度判定情報出力手段から過去の時点で出力されて前記疲労度判定情報取得手段により取得された過去の疲労度判定情報とを比較し、運転者の疲労度が蓄積されるか回復されるかを判定する蓄積回復判定手段と、
運転者の疲労度が蓄積されると前記蓄積回復判定手段が判定した場合に、判定対象とした疲労度判定情報に対応する疲労度に基づいて新たな累積疲労度を増加するように算出する一方、運転者の疲労度が回復されると前記蓄積回復判定手段が判定した場合に、判定対象とした疲労度判定情報に対応する疲労度に基づいて新たな累積疲労度を減少するように新たな累積疲労度を算出する累積疲労度算出手段と、
前記累積疲労度算出手段により算出された累積疲労度に基づいて運転者の疲労度を判定する疲労度判定手段と、を備えたことを特徴とする運転疲労度判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載した運転疲労度判定装置において、
前記累積疲労度算出手段は、運転者の疲労度が蓄積されると前記蓄積回復判定手段が判定した場合に、判定対象とした疲労度判定情報に対応する疲労度を現在の累積疲労度に積算して新たな累積疲労度を算出する一方、運転者の疲労度が回復されると前記蓄積回復判定手段が判定した場合に、判定対象とした疲労度判定情報に対応する疲労度を現在の累積疲労度から減算して新たな累積疲労度を算出することを特徴とする運転疲労度判定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した運転疲労度判定装置において、
前記疲労度判定情報取得手段は、前記疲労度判定情報出力手段から取得する疲労度判定情報として、車両の周囲を特定可能な車両周囲情報を取得することを特徴とする運転疲労度判定装置。
【請求項4】
請求項3に記載した運転疲労度判定装置において、
前記疲労度判定情報取得手段は、車両周囲情報として、車両周囲を撮影可能な車両周囲撮影手段により撮影された車両周囲の映像、車両周囲の音を収集可能な車両周囲集音手段により収集された車両周囲の音、ナビゲーション装置が有するナビゲーション情報のうち少なくとも何れかを取得することを特徴とする運転疲労度判定装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載した運転疲労度判定装置において、
前記疲労度判定情報取得手段は、前記疲労度判定情報出力手段から取得する疲労度判定情報として、車両の挙動を特定可能な車両挙動情報を取得することを特徴とする運転疲労度判定装置。
【請求項6】
請求項5に記載した運転疲労度判定装置において、
前記疲労度判定情報取得手段は、車両挙動情報として、加速度を検出可能な加速度検出手段により検出された加速度、及び車速を検出可能な車速検出手段により検出された車速のうち少なくとも何れかを取得することを特徴とする運転疲労度判定装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載した運転疲労度判定装置において、
前記疲労度判定情報取得手段は、前記疲労度判定情報出力手段から取得する疲労度判定情報として、運転者の生体を特定可能な運転者生体情報を取得することを特徴とする運転疲労度判定装置。
【請求項8】
請求項7に記載した運転疲労度判定装置において、
前記疲労度判定情報取得手段は、運転者生体情報として、運転者の操作を検出可能な操作検出手段により検出された運転者の操作、運転者の顔を撮影可能な顔撮影手段により撮影された運転者の顔の映像、運転者の心拍数を検出可能な心拍数検出手段により検出された運転者の心拍数、及び運転者の脈拍数を検出可能な脈拍数検出手段により検出された運転者の脈拍数のうち少なくとも何れかを取得することを特徴とする運転疲労度判定装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載した運転疲労度判定装置において、
車両情報出力手段から出力された車両情報を順次記憶する揮発性記憶手段と、所定条件が成立した場合に前記揮発性記憶手段に記憶されている車両情報を記憶する不揮発性記憶手段と、を備えた車両情報記憶装置に接続可能に構成され、
前記疲労度判定情報取得手段は、前記疲労度判定情報出力手段から取得する疲労度判定情報として、車両情報出力手段から出力されて前記揮発性記憶手段に記憶されている車両情報を取得することを特徴とする運転疲労度判定装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載した運転疲労度判定装置において、
前記累積疲労度算出手段により算出された累積疲労度の時間経過に伴う推移を判定する累積疲労度推移判定手段と、
前記累積疲労度推移判定手段により判定された累積疲労度の時間経過に伴う推移を報知手段から運転者に報知する報知制御手段と、備えたことを特徴とする運転疲労度判定装置。
【請求項11】
請求項10に記載した運転疲労度判定装置において、
前記報知制御手段は、前記累積疲労度算出手段により算出された累積疲労度が増加して閾値以上になった場合に、累積疲労度が増加して閾値以上になった旨を前記報知手段から運転者に報知することを特徴とする運転疲労度判定装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載した運転疲労度判定装置において、
前記報知制御手段は、前記累積疲労度算出手段により算出された累積疲労度が減少して閾値以下になった場合に、累積疲労度が減少して閾値以下になった旨を前記報知手段から運転者に報知することを特徴とする運転疲労度判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−113477(P2012−113477A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261179(P2010−261179)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】