説明

運転評価装置、方法及びシステム

【課題】 運転操作が経済的であるか否かの評価を正確に行う。
【解決手段】 車両が走行する道路が複数の区間に分割され、各区間の位置を示す区間位置情報が区間識別情報と対応付けられる。走行データ取得装置は、車両の位置を示す車両位置情報を取得し、区間位置情報と車両位置情報から車両が位置する区間を特定する。その後、当該区間を走行中の車両の燃費情報を算出し、当該区間に対応する区間識別情報と車両を識別する車両識別情報とを燃費情報に付加して走行データを生成する。運転評価装置では、複数の車両の走行データに含まれる走行情報に基づき、燃費の程度を偏差値で示した偏差値情報を算出した後、車両が走行した各区間において、車両識別情報に対応する偏差値情報を抽出して評価データを生成する。走行データ取得装置は、評価データを受信して、車両が走行した各区間に対応する偏差値情報を並べて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転操作を評価して、その結果を出力する装置、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境への意識の高まりに伴い、自動車の経済性(低燃費性)に対するニーズが高くなっている。自動車の燃費を示す指標として、例えば、10・15モード燃費と呼ばれる指標が広く用いられている。しかし、この指標は、予めモデル化・パターン化された運転状況下で測定されたいわば理想値であり、実際には、運転者の運転操作や道路状況によって燃費の値は大きく変動する。このため、実際に運転した結果を反映した指標を運転者に提供することが望ましい。
【0003】
このような観点から、例えば特許文献1に記載の発明では、過去の走行データ(燃費、所要時間、平均速度等の情報)を記憶しておき、現在走行中の経路が過去に走行した経路と一致した場合に、当該過去の走行における走行データと、現在走行中の走行データとを比較した結果を表示することで、運転手に対して省燃費運転への心掛けを促すことが記載されている。
【0004】
また、非特許文献1に記載のドライブ情報サービスには、各運転者(車両)からの燃費情報を収集して燃費の平均値や最良値を算出し、燃費が良い順番にランキング表示することで、楽しみながらエコ運転のスキルアップを促す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−3147号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“Internavi Premium Club ECO情報”、[Online]、掲載年月日不明、[平成22年2月4日検索]、インターネット<URL: http://www.premium-club.jp/ecology/eco3_1.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の走行データ出力装置では、同じ運転者の走行データのみが集計されるため、他車の運転と比較して、自己の運転操作が経済的であるか否かを評価することはできなかった。また、非特許文献1に記載の情報サービスにおいても、特定車種の、予め登録された運転者のみの燃費データが集計されることから、運転操作の経済性を正確に示すという点において不十分であった。
【0008】
また、自動車の燃費は、走行経路や走行時間帯の違いによっても大きく変動するのが通常であるところ、特許文献1の走行データ出力装置及び非特許文献1の情報サービスのいずれにおいても、この点については何ら考慮されておらず、運転操作の経済性を正確に示すという観点からは不十分であった。
【0009】
本発明は、上記背景に鑑み、運転操作の経済性をより正確に評価することのできる運転評価装置、方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の運転評価システムは、車両の走行に関する走行データを生成する走行データ生成装置と、前記走行データに基づき運転評価を行う運転評価装置とから構成され、前記走行データ生成装置は、前記車両が走行する道路を複数の区間に分割し、各区間の位置を示す区間位置情報を区間識別情報と対応付けて記憶する道路情報記憶部と、前記車両の位置を示す車両位置情報を取得し、前記区間位置情報と前記車両位置情報から前記車両が位置する区間を特定する区間検出部と、前記車両が前記区間を走行中における、前記車両の燃費情報を含み前記車両の走行経済性の程度を示す走行情報を算出するとともに、前記区間に対応する区間識別情報と前記車両を識別する車両識別情報とを前記走行情報に付加して前記走行データを生成する走行データ生成部と、前記走行データを前記運転評価装置へ送信する通信部を備え、前記運転評価装置は、前記走行データを、前記区間識別情報により分類して記憶する走行データ蓄積部と、前記区間毎に、複数の車両の前記走行データに含まれる前記走行情報に基づき、前記車両の走行経済性の程度を相対値で示した走行経済性情報を算出する走行データ解析部と、前記走行経済性情報を前記車両識別情報と対応付けて記憶する解析データ記憶部と、前記車両が走行した各区間において、前記車両識別情報に対応する前記走行経済性情報を前記解析データ記憶部から抽出して前記評価データを生成する評価データ生成部と、前記走行データを受信するとともに、前記評価データを前記走行データ生成装置へ送信する通信部とを備えることを特徴とする。
【0011】
この構成により、車両が走行する区間に対応する走行経済性情報のみを抽出して運転評価を行うから、走行経路の違いによって影響を受けることがなく、したがって運転操作の評価をより正確に行うことができる。
【0012】
本発明の運転評価システムにおいて、走行データ生成装置は、前記車両が走行した各区間に対応する前記走行経済性情報を並べて表示する表示部を備えることを特徴とする。
【0013】
この構成により、車両の運転者は、自分が走行した経路のうち、走行経済性の観点から運転操作が良かった部分と、そうでない部分とが明確に識別できるようになり、運転操作の状況をより正確に分析することができる。
【0014】
本発明の運転評価システムにおいて、前記評価データ生成部は、前記解析データ記憶部に記憶された前記走行経済性情報から、前記車両が走行した区間における前記車両の偏差値の順位を示す順位情報を算出し、前記走行データ生成装置の前記表示部は、前記順位情報を前記走行経済性情報とともに表示することを特徴とする。
【0015】
この構成により、順位情報を参照することで、他者と比較したときの自己の運転スキルがどの位置にあるのかを明確に判別することができるので、運転者に対し、経済的な運転を促すことが可能となる。
【0016】
本発明の運転評価システムにおいて、前記走行データ生成装置は、前記運転評価装置に対して前記評価データを要求する要求データを生成するとともに、前記車両が走行した経路に対応する道路識別情報を前記要求データに付加する評価要求生成部を備えることを特徴とする。この構成によっても,上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0017】
本発明の運転評価システムにおいて、前記走行データ生成部は、前記車両が走行した時間帯を示す時間帯情報を前記走行データに付加し、前記走行データ解析部は、前記車両の走行経済性情報を、前記時間帯情報ごとに算出して前記解析データ記憶部に記憶し、前記評価データ生成部は、選択された前記時間帯に対応する前記走行経済性情報を前記解析データ記憶部から抽出して前記評価データを生成することを特徴とする。
【0018】
この構成により、運転の時間帯が共通する運転者との間で、運転経済性の評価が行われるから、例えば、渋滞が生じやすい時間帯に多く運転する運転者の間で運転操作の評価を行うことができ、より実際の運転状況に即した評価が可能となる。
【0019】
本発明の運転評価システムにおいて、前記走行経済性情報は、前記車両の走行経済性の程度を偏差値で示した偏差値情報であることを特徴とする。
【0020】
偏差値を用いて運転評価を表示することにより、自己の運転スキルがどの位置にあるのかを容易に認識することができ、運転者に対し、経済的な運転を促すことが可能となる。
【0021】
本発明の運転評価装置は、車両の燃費情報を含み、前記車両の走行経済性の程度を示す走行データを生成する走行データ生成装置と接続され、 前記車両が走行する道路が複数の区間に分割され、各区間の位置を示す区間位置情報を区間識別情報と対応付けられており、前記走行データを、前記区間識別情報により分類して記憶する走行データ蓄積部と、前記区間毎に、複数の車両の前記走行データに含まれる前記走行情報に基づき、前記車両の走行経済性の程度を相対値で示した走行経済性情報を算出する走行データ解析部と、前記走行経済性情報を前記車両識別情報と対応付けて記憶する解析データ記憶部と、前記車両が走行した各区間において、前記車両識別情報に対応する前記走行経済性情報を前記解析データ記憶部から抽出して前記評価データを生成する評価データ生成部と、前記走行データを受信するとともに、前記評価データを前記走行データ生成装置へ送信する通信部とを備えることを特徴とする。この構成によっても,上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0022】
本発明の運転評価装置は、車両が走行する道路を複数の区間に分割し、各区間の位置を示す区間位置情報を区間識別情報と対応付けて記憶する道路情報記憶部と、前記車両の位置を示す車両位置情報を取得し、前記区間位置情報と前記車両位置情報から前記車両が位置する区間を特定する区間検出部と、前記車両が前記区間を走行中における、前記車両の燃費情報を含み前記車両の走行経済性の程度を示す走行情報を算出するとともに、前記区間に対応する区間識別情報と前記車両を識別する車両識別情報とを前記走行情報に付加して前記走行データを生成する走行データ生成部と、前記区間毎に、複数の車両の前記走行データに含まれる前記走行情報に基づき、前記車両の走行経済性の程度を相対値で示した走行経済性情報を算出する走行データ解析部と、前記偏差値情報を前記車両識別情報と対応付けて記憶する解析データ記憶部と、前記車両が走行した各区間において、前記車両識別情報に対応する前記走行経済性情報を前記解析データ記憶部から抽出して前記評価データを生成する評価データ生成部と、前記車両が走行した各区間に対応する前記走行経済性情報を並べて表示する表示部とを備えることを特徴とする。この構成によっても,上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0023】
本発明の運転評価方法は、車両が走行する道路を複数の区間に分割し、各区間の位置を示す区間位置情報を区間識別情報と対応付けて記憶するステップと、前記車両の位置を示す車両位置情報を取得し、前記区間位置情報と前記車両位置情報から前記車両が位置する区間を特定するステップと、前記車両が前記区間を走行中における、前記車両の燃費情報を含み前記車両の走行経済性の程度を示す走行情報を算出するステップと、前記区間に対応する区間識別情報と前記車両を識別する車両識別情報とを前記走行情報に付加して前記走行データを生成するステップと、前記区間毎に、複数の車両の前記走行データに含まれる前記走行情報に基づき、前記車両の走行経済性の程度を相対値で示した走行経済性情報を算出するステップと、前記走行経済性情報を前記車両識別情報と対応付けて記憶するステップと、前記車両が走行した各区間において、前記車両識別情報に対応する前記走行経済性情報を前記解析データ記憶部から抽出して前記評価データを生成するステップと、前記車両が走行した各区間に対応する前記走行経済性情報を並べて表示するステップと、を備えることを特徴とする。この構成によっても,上記と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、車両が走行する区間に対応する偏差値情報のみを抽出して運転評価を行うから、走行経路等の違いによって影響を受けることがなく、運転操作の評価をより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る運転評価システムの構成を示す説明図である。
【図2】図1の運転評価システムの機能ブロック図である。
【図3】地図上の道路を区分けした状況を概念的に示す説明図である。
【図4】区間データの一例を示す説明図である。
【図5】走行データの一例を示す説明図である。
【図6】走行データ蓄積部の構成の一例を示す説明図である。
【図7】解析データ記憶部の構成の一例を示す説明図である。
【図8】走行データ取得装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】運転評価装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】メニュー画面を示す説明図である。
【図11】評価結果表示モードでの選択画面の一例を示す説明図である。
【図12】運転評価の一例を示す説明図である。
【図13】運転評価の別の一例を示す説明図である。
【図14】第2実施形態に係る運転評価システムの構成を示す説明図である。
【図15】第3実施形態に係る運転評価システムの構成を示す説明図である。
【図16】運転アシスト機能の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施例に係る運転評価システムを図1に示す。運転評価システムは、例えば、走行データ取得装置12と、運転評価装置14と、道路交通情報システムセンタ(VICS(登録商標))16から構成され、これらは無線及び有線の通信回線18を介して互いに接続される。走行データ取得装置12は、自動車等の車両10に搭載され、車両10の走行に関連する走行データを取得する。運転評価装置14は、走行データ取得装置12からの走行データを蓄積するとともに、走行データを解析して運転の経済性を示す指標を含む運転評価データを生成する。道路交通情報システム16は、渋滞情報等の道路情報を走行データ取得装置12及び運転評価装置14へ送信する。
【0027】
図2は、走行データ取得装置12及び運転評価装置14の構成を示したものである。走行データ取得装置12は、走行情報検出部22、GPS装置24、走行データ記憶部26、道路情報記憶部28、表示部30、操作部32及び通信部34から構成され、これら各部の動作は制御部20によって統括的に制御される。
【0028】
道路情報記憶部28には、地図画像を示す地図データや、地図上の道路の位置を示す道路データ等の各種データが格納されている。地図データは、走行データ取得装置12をナビゲーション装置として利用する際に読み出され、地図画像が表示部30に表示される。また、道路データは、地図を構成する道路を複数の区間に分けたときの、各区間の位置、道路種別、道路状況を示す区間データを含む。
【0029】
図3は、地図上の道路が複数の区間に区分けされる状況を概念的に示したものである。同図において、黒丸で示された点は、各区間の両端の点を示すノードN1〜N5であり、これらノードの緯度及び経度情報は、ノードを識別するノード番号と対応付けて道路情報記憶部28に記憶されている。区間データは、区間を識別するための区間識別情報と、当該区間の両端のノード番号とが関連づけられている。
【0030】
図3に示す例では、区間ID「00001」に対応する区間の両端のノード番号がN1,N2と定められ、区間ID「00002」に対応する区間の両端のノード番号がN2,N3と定められる。なお、道路を区分けするノードの位置は、道路の交差点であることが好ましいが、他の道路と区別できる限り、道路上の任意の点を選択することができる。
【0031】
図4は、道路情報記憶部28に記憶された区間データの一例を示したものである。区間データは、区間を構成する道路の両端のノード番号、道路種別、道路状況、距離を示す情報が含み、区間IDと対応付けられている。区間データに含まれるノード番号情報と、当該ノードの経度・緯度情報から、各区間の両端の位置情報を得ることができる。道路種別情報は、道路のタイプを示す情報であり、例えば、「国道」「県道」「高速道」「一車線」といった情報が含まれる。「県道・一車線」のように、複数のタイプ情報を組み合わせても良い。道路状況情報は、道路の現在の状況を示す情報であり、例えば、「通常」「工事中」「渋滞」といった情報が含まれる。距離情報は、ノード間の実測距離を、例えばキロメートル単位で示したものである。
【0032】
また、区間データを構成する各情報が変更されるとき(例えば、ある区間で渋滞となったとき)、交通情報通信システム16は、走行データ取得装置12及び運転評価装置14へ交通情報を送信し、走行データ取得装置12及び運転評価装置14の各々において、対応する区間データの情報を更新する。また、例えば運転評価装置14において新規に道路またはノードが追加された場合は、走行データ取得装置12は、通信回線18を介して対応する区間データを受信し、道路情報記憶部28の内容を更新する。
【0033】
図2において、走行情報検出部22は、少なくとも車速センサ36と燃料センサ38を含み、それぞれ、車両10の走行速度、エンジンへ吐出される燃料量の情報を検出し、速度情報及び燃料吐出量情報として制御部20へ送る。なお、走行情報検出部22は、車速センサ及び燃料センサ以外にも、車両10の変速ギア位置を検出するギア位置センサ、アクセルペダルの開度を検出するスロットルセンサ、車両10の急発進・急停止を検出する加速度センサ等の各種センサを設けても良い。また、車両10に備えられる速度センサや燃料センサ等からの情報を走行データ取得装置12に入力するようにしても良く、この場合には、各種センサを省略することができる。
【0034】
GPS装置24は、車両10の位置情報(経度・緯度情報)を一定時間毎に検出し、得られた位置情報を制御部20へ送る。表示部30は、例えばLCDパネルであり、後述する評価データに基づき、運転操作の評価結果を表示する。また、表示部30は、走行データ取得装置12がナビゲーション装置として動作する際は地図情報を表示する。操作部32は、例えばLCDパネルに組み込まれたタッチパネルセンサまたは外付けの操作パネルであり、走行データ取得装置12をナビゲーション装置として使用する際や、各種の評価情報を表示させるときに、運転者によって操作される。
【0035】
制御部20は、走行データ取得装置12を構成する各部の動作を制御するとともに、タイマー40、区間検出部42、走行データ生成部44及び評価要求生成部45を備える。タイマー40は、日付及び時刻の情報を検出し、日付情報及び時刻情報として走行データ生成部44へ送る。
【0036】
区間検出部42は、GPS装置24からの車両位置情報と、道路情報記憶部28に記憶された地図データに基づき、周知のマップマッチング技術等の方法により、車両10が走行中の道路を特定する。そして、区間検出部42は、走行中の道路の位置情報と、道路情報記憶部28内の区間データとを比較して、当該車両が走行中の道路の区間IDを特定する。あるいは、車両10の現在位置と近接する複数のノードを特定し、特定された複数のノード情報と、区間データに含まれるノード情報とを照合することで、当該車両が走行中の道路の区間IDを特定しても良い。
【0037】
走行データ生成部44は、ある区間IDに対応する道路を走行中に、走行情報検出部22から入力される各種情報を集計するとともに、当該区間の道路を通過したときに、集計された各種データをまとめて走行データを生成し、これを走行データ記憶部26へ出力する。例えば、区間検出部42において、車両10が区間ID「00001」の区間に入ったことが検出されると、走行データ生成部44は、燃料センサ38からの燃料吐出量情報から燃料吐出量を測定するとともに、車速センサ36からの車速情報に基づき、車両が停止した回数をカウントする。また、図示しない加速度センサからの情報に基づき、急発進または急停止した回数をカウントしても良く、車両10が走行中に停止した回数、エンジン回転数の平均値、変速ギア位置といった情報を取得しても良い。
【0038】
そして、車両10が区間ID「00001」に対応する区間を通過したことが検出されると、走行データ生成部44は、測定された燃料吐出量と区間データに含まれる距離情報(あるいは、車速情報に基づき算出される実走行距離情報)から、当該区間における燃費を算出する。また、走行データ生成部44は、タイマー40からの時刻情報に基づき、車両が当該区間を通過するに要した時間を計測し、当該区間での車両の平均速度を算出する。走行データ生成部44は、このようにして算出された各種の値を区間IDと対応付けてまとめるとともに、タイマー40からの日付情報及び時刻情報から、平日か休日かを示す休日情報と、走行時間帯を示す時間帯情報を生成し、これらを付加して走行データを生成する。
【0039】
時間帯情報は、走行データを走行時間帯に応じて分類するためのものであり、例えば、「早朝」「朝」「昼間」「夕方」「夜間」「深夜」といった6種類を設けることができる。走行データ生成部44は、タイマー40からの時刻情報から、上記のいずれかの時間帯を特定し、時間帯情報を得る。また、走行データ生成部44は、曜日情報に基づいて、走行データが生成されたのが休日であるか、平日であるか(すなわち、休日の走行か、平日の走行か)を特定して、休日情報として出力する。
【0040】
なお、時刻情報及び曜日情報を得るタイミングには特に限定はなく、例えば、車両10がある区間に入ったことが検出されたタイミングや、ある区間を通過したことが検出されたタイミングを適用することができる。
【0041】
走行データ記憶部26には、走行データ生成部44で生成された走行データが記憶されている。図5は、走行データ記憶部26に格納された走行データの一例を示したものである。走行データは、例えば、車両が走行した区間のID、当該区間での平均時速、燃費、停止回数、走行時刻、曜日といった情報を含み、走行時期が古い順番に並べられている。また、1回の走行において複数の区間を通過することが通常であるから、当該1回の走行で通過した全ての区間に対応する走行データが、互いに関連づけられる。走行データの関連づけは、例えば、タイマー40からの時刻情報を参照して、隣接する2区間の走行時間の間隔を検出することで行うことができる。
【0042】
通信部34は、走行データ生成部44において得られた走行データを、逐次あるいは一定時間毎に運転評価装置14へ送信するとともに、後述する評価データを運転評価装置14から受信する。走行データ生成部44は、得られた走行データを運転評価装置14へ送信する前に、車両(運転者)を識別する車両IDと、車種を識別する車種IDの情報を、当該走行データに付加する。これにより、運転評価装置14において、どの車両ないし運転者からの情報であるかを検知することができる。
【0043】
評価要求生成部45は、運転評価結果を示す評価データの出力を運転評価装置14にリクエストするための要求データを生成するものであり、要求データの詳細については後述する。
【0044】
図2において、運転評価装置14は、通信部50、走行データ蓄積部52、道路情報記憶部54、解析データ記憶部56及び制御部58を備える。通信部50は、走行データ取得装置12からの走行データを受信して制御部58へ送るとともに、走行データ取得装置12からの評価要求に応答して生成される評価データを走行データ取得装置12へ送信する。また、通信部50は、交通情報通信システム16からの道路状況に関するデータを受信して、制御部58へ送る。
【0045】
走行データ蓄積部52は、走行データ取得装置12から受信した走行データを、区間ID毎に分けて記憶するものである。図6は、走行データ蓄積部に記憶された走行データの例を示すものであり、車両ID、車種ID、平均時速情報、燃費情報、停止回数情報、時間帯情報、休日情報といった情報が、区間ID毎に格納されている。また、道路情報記憶部54は、走行データ取得装置12に設けられたものと同様の構成であるから、詳細な説明は省略する。
【0046】
制御部58は、走行データ分類部60、走行データ解析部62及び評価データ生成部64を備える。走行データ分類部60は、走行データ取得装置12からの走行データを一時的に蓄積するとともに、当該走行データに含まれる区間IDを抽出する。そして、走行データ分類部60は、一定時間毎に、走行データ蓄積部52内の対応する記憶領域へ走行データを格納する。
【0047】
走行データ解析部62は、区間ID毎に、走行データ蓄積部52に格納された走行データを読み出して解析を行い、その解析結果を解析データ記憶部56に記憶する。走行データの解析は、例えば以下の手順で行われる。走行データ解析部62は、まず、ある区間IDに対応する全ての走行データを走行データ蓄積部52から読み出して、走行データに含まれる燃費情報についての平均値、標準偏差、最大値を算出する。次いで、これら平均値及び標準偏差の値を用いて、各車両IDに対応する燃費情報の偏差値を算出し、その算出結果を解析データ記憶部56に記憶する。
【0048】
偏差値Xの算出は、例えば、ある車両IDに対応する燃費の値をA、燃費の平均値をB、標準偏差をσとしたときに、下式によって算出することができる。
X=10・(A−B)/σ+50
【0049】
また、走行データ解析部62は、時間帯情報が共通する走行データのみを抽出して、上記と同様の方法により、燃費情報の平均値、標準偏差、最大値を算出し、各運転者の燃費の偏差値を算出する。これにより、各車両(運転者)における、時間帯ごとの燃費の偏差値情報を得ることができる。算出された偏差値情報は、解析データ記憶部56に記憶される。
【0050】
さらに、走行データ解析部62は、車両IDが共通する全ての走行データを、走行データ蓄積部52から読み出し、区間ID及び対応する距離情報から、当該運転者の走行距離の合計値を算出する。また、走行データ解析部は、車両IDが共通する全ての走行データから休日情報を読み出して、「平日」と「休日」の数を各々カウントし、いずれが多いか(すなわち、平日に運転する回数が多いか、休日が多いか)を判定する。算出された走行距離情報、及び、休日情報は、解析データ記憶部56に記憶される。
【0051】
図7は、解析データ記憶部56に記憶されたデータの一例を示したものである。解析データ記憶部56には、車両IDごとに、車種ID、走行距離情報、平日と休日のいずれの運転が多いかを示す情報と、燃費偏差値情報が含まれるが、図7の例では、図面を簡略化する目的から、車両ID「00001」に対応する情報のみが図示されている。
【0052】
燃費の偏差値情報は、区間IDごとに設けられており、「早朝」「朝」「昼間」「夕方」「夜間」「深夜」の走行時間帯で分類された値と、時間帯で分類しない「総合」値とが設けられている。なお、図7において、「−」で示された偏差値情報は、走行データ記憶部52に該当する走行データが存在しない、すなわち、当該時間帯に、区間IDに対応する道路での走行記録がないことを示す。
【0053】
評価データ生成部64は、後述するように、走行データ取得装置12からの評価要求に応じて、評価要求を発した車両IDに対応する偏差値情報と、当該運転者の運転操作の評価を順位で示した順位情報を含む評価データを生成し、これを評価要求のあった車両10の走行データ取得装置12へ送信する。
【0054】
以下、図8及び9のフローチャートを用いて、本実施形態に係る運転評価システムの動作について説明する。走行データ取得装置12が起動されると、表示部30に、図10で示されるメニュー画面が表示される。このメニュー画面には、「地図表示」「案内設定」「案内中止」「評価開始」「評価中止」「評価結果」といったボタンが表示される。これらボタンのうち、「地図表示」「案内設定」「案内中止」ボタンは、カーナビゲーション機能に関するものである。カーナビゲーション機能については、公知のカーナビゲーション機能を適用することができる。
【0055】
操作部32を介して「評価開始」ボタンが選択されると、運転評価装置14は、走行データの生成を開始する。区間検出部42は、GPS装置24からの車両位置情報と、道路情報記憶部28内の区間データとを照合して、走行中の車両10が位置する道路の区間IDを特定する(S10)。
【0056】
車両10の走行中は、走行データ生成部44が、走行中の車両10の燃料吐出量等の各種走行情報を取得するとともに、タイマー40からの日付及び時刻情報に基づき、走行時間帯及び休日情報を取得する(S11)。そして、車両10がある区間を通過したことが検出されると(S12)、走行データ生成部44は当該区間の燃費及び平均速度等を算出するとともに、走行時間帯情報、休日情報を付加して走行データを生成する(S13)。走行データ生成部44は、走行データを走行データ記憶部26へ送るとともに、この走行データに車両ID及び車両IDを付加した後、通信部34を介して運転評価装置14へ送信する(S13)。
【0057】
走行データ取得装置12は、操作部32を介して「評価終了」ボタンが選択されたか否かを判定し(S14)、選択された場合は、走行データの生成・収集を終了する。「評価終了」ボタンが選択されていない場合は、再びステップS10に戻り、区間IDの取得と走行データの生成・送信を繰り返す。
【0058】
運転評価装置14は、通信部50を介して車両10から走行データを受信し、これを走行データ分類部60へ送る(S20)。走行データ分類部60では、受信した走行データから区間IDを抽出するとともに、区間ID毎に記憶領域が分けられた走行データ蓄積部52の対応する記憶領域へと格納する(S21)。
【0059】
走行データ解析部62は、走行データ蓄積部52内の走行データから燃費情報を抽出し、これらの平均値、標準偏差の値を算出する(S22)。そして、算出された平均値、標準偏差の値から、各車両の時間帯毎の燃費の偏差値を算出し、解析データ記憶部56へ格納する(S23)。
【0060】
車両10の走行を終了し、メニュー画面において「評価結果表示」ボタンが選択されると、図11に示す評価結果選択画面が表示部30に表示される。この選択画面では、「総合」「車種別」「時間帯別」「走行距離別」「平日/休日」といった評価モードが表示されている。運転者は、操作部32を介して所望の評価モードを選択する。
【0061】
例えば、「総合」の評価モードが選択されると、走行データ取得装置12の評価要求生成部45は、走行データ間の関連づけを参照して、直前に走行した経路に相当する全ての区間IDを抽出し、これら走行順に並べた後、評価結果の出力を要求するデータに付加して要求データを生成し、これを運転評価装置14に送信する。
【0062】
上記要求データを受けた運転評価装置14の評価データ生成部64は、要求データに付加された区間IDを抽出する。次いで、抽出された区間IDにおいて、要求データを送信した運転者の偏差値情報(時間帯で区別しない「総合」に対応する偏差値情報)を抽出する。これら偏差値情報は、走行経路の走行順に並べられる。
【0063】
また、評価データ生成部64は、解析データ記憶部56を参照して、要求データに付加された全ての区間IDについて、偏差値情報を有する車両が存在するか否か(すなわち、要求のあった走行経路を走行したことがある運転者が存在するか否か)を検出し、その数をカウントする。また、評価データ生成部64は、検出された各車両IDについて、当該区間IDの偏差値情報の平均値を算出する。そして、評価データ生成部64は、算出された複数の偏差値の平均値情報を用いて、要求データを送信した車両の順位を算出し、順位情報として上記偏差値情報に付加することで、評価データを生成する。
【0064】
車両10の走行データ取得装置12では、偏差値情報を順番に(走行した区間IDの順番に)抽出するとともに、平均値に相当する偏差値(本実施形態では50)からの差を算出し、得られた値をヒストグラムとして表示する。
【0065】
図12は、「総合」の評価モードでの表示例を示したものである。同表示例において、横軸は、走行経路を順番に並べたものであり、縦軸は並べられた走行経路に対応する偏差値ヒストグラム70が表示される。なお、偏差値ヒストグラム70の情報は、平均値からの差で示されており、上向きのヒストグラムは平均値よりも高いこと(すなわち、経済運転性が高いこと)、下向きのヒストグラムはその逆を示している。ヒストグラムの中心(平均値に相当する部分)には、対応する区間IDの道路種別情報72(高速、国道など)が色分け表示され、ヒストグラムの下側には、区間IDに対応する道路状況情報74(渋滞、工事中など)が表示される。これら道路種別情報及び道路状況情報は、道路情報記憶部28を参照することで得られる。また、ヒストグラムの上側には、自車の燃費の順位を示す順位情報76が表示される。
【0066】
これにより、車両の運転者は、自分が走行した経路のうち、走行経済性の観点から運転操作が良かった部分と、そうでない部分とが明確に識別できるようになり、運転操作の状況をより正確に分析することができる。また、順位を表示することで、他者と比較したときの自己の運転スキルがどの位置にあるのかを明確に判別することができるので、運転者に対し、経済的な運転を促すことが可能となる。
【0067】
また、「車種別」の評価モードが選択されると、走行データ取得装置12の評価要求生成部45は、上記要求データに車両IDを付加して、これを運転評価装置14へ送る。運転評価装置14では、要求データに付加された車両IDと同一の車両IDを有する偏差値情報のみを、解析データ記憶部56から抽出し、上記と同様にして、偏差値情報及び順位情報を算出して評価データを生成する。生成された評価データは、要求データを発した車両10に送信される。評価データを受信した車両の走行データ取得装置12では、上記と同様にして、走行経路に対応する偏差値情報や順位情報等を表示する。
【0068】
これにより、同一の車種に関する運転評価が示されるから、車両の重量やエンジン性能等の違いに影響されることはなく、運転手の運転操作をより正確に反映した結果を得ることができる。
【0069】
「時間帯別」の評価モードが選択されると、走行データ取得装置12の評価要求生成部45は、直前に走行した時間帯を示す情報を、上記要求データに付加して運転評価装置14へ送る。運転評価装置14では、要求データに付加された時間帯情報と同一の時間帯情報に対応する偏差値情報のみを抽出し、上記と同様にして、偏差値情報及び順位情報を算出して評価データを生成し、これを要求データが送信された車両10に送信する。評価データを受信した車両の走行データ取得装置12では、上記と同様にして、走行経路に対応する偏差値情報や順位情報等を表示する。
【0070】
これにより、運転の時間帯が共通する運転者との間で、運転経済性の評価が行われるから、例えば、渋滞が生じやすい時間帯に多く運転する運転者の間で運転操作の評価を行うことができ、より実際の運転状況に即した評価が可能となる。
【0071】
また、「走行距離別」、「平日/休日」の評価モードがそれぞれ選択されると、運転評価装置14は、解析データ記憶部56を参照して、走行距離情報、休日情報が共通する運転者の偏差値情報のみを抽出する。そして、上記と同様にして、偏差値情報及び順位情報を算出して評価データを生成し、これを要求データが送信された車両10に送信する。評価データを受信した車両の走行データ取得装置12では、上記と同様にして、走行経路に対応する偏差値情報や順位情報等を表示する。
【0072】
これにより、走行距離や運転機会が共通する運転者との間で運転操作の評価を行うことができ、より実際の運転状況に即した正確な評価が可能となる。
【0073】
なお、上記実施形態では、「評価開始」ボタンが選択されたときに走行データの生成及び評価を開始し、「評価中止」ボタンが選択されたときに走行データの生成及び評価を終了する構成としているが、ユーザ操作を介することなく走行データの生成を開始・終了するようにしても良い。例えば、上述した評価機能のオン・オフを切り替えるモードを設け、評価機能がオンとなっている場合にのみ、所定のタイミングで走行データの生成を開始・終了する。例えば、走行データ取得装置12が起動した直後、あるいは、シフトレバーがパーキングの位置から解除されたことを検出したときに、走行データの生成を開始する。そして、走行データ取得装置12の電源が切断されるとき、ナビゲーションモードで設定された目的地に到達するとき、あるいは、シフトレバーがパーキングに入ったときに走行データの取得を自動的に終了する。
【0074】
なお、上記の表示例以外にも、例えば、図13に示すように、単一区間における複数の車両(運転者)の偏差値の分布を表示してもよい。すなわち、抽出された全ての偏差値情報に対して、偏差値を一定の範囲で区切るとともに、各範囲に属する車両IDの数をカウントする。カウントされた車両数情報と、送信要求のあった車両の偏差値情報及び順位情報とをまとめて評価データとして生成し、これを送信要求のあった車両10の走行データ取得装置12に送信する。
【0075】
走行データ取得装置12の制御部20では、前記評価データを受け、カウントされた情報に基づき、図13に示す偏差値ヒストグラムを、表示部30に表示させる。また、制御部20は、車両の偏差値情報から、要求データを送信した運転者(車両)の属する範囲75をハイライト表示させるとともに、運転手の順位を表示部30に表示する。この態様によっても、走行経路が共通する運転者との間で運転操作を評価した結果が表示されるから、より実際の運転状況に即した評価が可能となる。
【0076】
図14は、第2実施形態に係る運転評価システムの構成を図示したものである。この実施形態において、運転評価装置80,81はそれぞれ異なる車両に設置されており、各運転評価装置80,81において、走行データと評価データの両方が生成される。なお、図14において、運転評価装置80、81を構成する各部は、上記第1実施形態で説明したものと同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0077】
この第2実施形態においては、運転評価装置80,81を搭載した車両同士がすれ違う等、近接した位置にあるときに、周知の車車間通信によって、運転評価装置80,81の各々に走行データ蓄積部52に記憶された走行データを、互いに送受信する。走行データの通信時には、自車の運転者の走行データのみならず、別の車両から受信した走行データを送信しても良い。
【0078】
この構成によれば、全ての運転者の走行データを収集して運転評価を行う上記第1実施形態に比べ、自車が頻繁に走行する区間IDの道路に対応する走行データが集中的に収集されるから、より実際の運転状況に即した評価が可能となる。
【0079】
図15は、第3実施形態に係る運転評価システムの構成を示したものである。この実施形態では、車両10に備えられた走行データ取得装置12は、道路上に設けられた路側通信装置91との間で、周知の車路間通信によって、走行データ及び評価データの送受信を行う。また、路側通信装置91には、上記第1実施形態で説明したのと同様の運転評価装置92が設けられ、路側通信装置91を介して受信した走行データに基づき偏差値データ及び評価データを生成する。
【0080】
この構成においては、運転評価装置92は一定区域毎に設けられており、当該区域内に設置の複数の路側通信装置91と通信を行う。このため、車両10が良く走行する区間IDの道路に関する走行データが収集される割合が高くなるため、より実際の運転状況に即した評価が可能となる。また、上記第2実施形態と比して、走行データ取得装置12に走行データ解析部や評価データ生成部等の機能を省略できるから、システムを提供するコストを低減することができる。
【0081】
上記実施形態では、いずれも燃費情報のみをパラメータとして運転評価を行っているが、燃費情報以外にも、例えば、車両の停止回数、急発進・急停止回数等の他のパラメータを用いて運転評価を行っても良い。あるいは、これら全てのパラメータを重み付け演算した値を走行データとして出力することにより、経済的走行性の評価をより正確に行うことが可能となる。
【0082】
上記実施形態では、車両10に設けられた区間検出部において、走行中の区間の特定がなされているが、車両の位置情報を運転評価装置へ送信し、運転評価装置において区間IDを特定するようにしても良い。これにより、走行データ取得装置において、区間検出部を省略することができる。また、道路を構成する各区間を、終点と始点の座標で特定するのではなく、地図を一定範囲の正方形(メッシュ)で区切るとともに、区間検出部において、車両が属する区域を特定することで、区間IDを特定するようにしても良い。
【0083】
上記実施形態では、運転終了後に運転評価を行っているが、上述した運転評価は、車両の運転中においても行うことができる。また、運転評価装置において、各区間におけるアクセル開度等の情報を連続的に取得しておき、偏差値が最も高い車両IDに対応するアクセル開度の情報(最適開度情報)を運転評価装置から車両へと送信することで、走行区間毎の運転教示を行うことができる。図16は、スピードメータ100の付近に運転教示情報が表示された例を示したものであり、例えば、現在のアクセル開度が最適開度情報よりも小さい場合は、メータの上部101を点滅させ、高い場合はメータの下部102を点滅させることで、運転者に対して適切な運転操作を教示することができる。また、図16において「A/C」とあるのは、エアコン温度設定に関する教示情報を示したものであり、エアコンの設定温度が最適値よりも低い場合は上部103が点滅し、高い場合は下部104が点滅する。
【0084】
上記実施形態では、偏差値及び順位情報を用いた運転評価を行っているが、これ以外にも、例えば、経済走行性を向上させるのに有益なメッセージを表示しても良い。また、各区間の燃費情報を用いて、燃費が最も良い経路を抽出し、ナビゲーション表示するようにしても良い。
【0085】
上記実施形態では、評価情報として燃費の偏差値を用いているが、複数の運転者との関係で、自車の走行経済性を相対的に評価できる指標であれば、偏差値以外の指標を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上説明したように、本発明によれば、走行経路毎に応じた運転評価が可能となり、例えばカーナビゲーション装置に取り付けられた運転評価装置として有用である。
【符号の説明】
【0087】
12 走行データ取得装置
14,80,81,92 運転評価装置
22 走行情報検出部
24 GPS装置
26 走行データ記憶部
28,54 道路情報記憶部
30 表示部
56 解析データ記憶部
60 走行データ分類部
62 走行データ解析部
64 評価データ生成部
91 路側通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行に関する走行データを生成する走行データ生成装置と、前記走行データに基づき運転評価を行う運転評価装置を有する運転評価システムであって、
前記走行データ生成装置は、
前記車両が走行する道路を複数の区間に分割し、各区間の位置を示す区間位置情報を区間識別情報と対応付けて記憶する道路情報記憶部と、
前記車両の位置を示す車両位置情報を取得し、前記区間位置情報と前記車両位置情報から前記車両が位置する区間を特定する区間検出部と、
前記車両が前記区間を走行中における、前記車両の燃費情報を含み前記車両の走行経済性の程度を示す走行情報を算出するとともに、前記区間に対応する区間識別情報と前記車両を識別する車両識別情報とを前記走行情報に付加して前記走行データを生成する走行データ生成部と、
前記走行データを前記運転評価装置へ送信する通信部を備え、
前記運転評価装置は、
前記走行データを、前記区間識別情報により分類して記憶する走行データ蓄積部と、
前記区間毎に、複数の車両の前記走行データに含まれる前記走行情報に基づき、前記車両の走行経済性の程度を相対値で示した走行経済性情報を算出する走行データ解析部と、
前記走行経済性情報を前記車両識別情報と対応付けて記憶する解析データ記憶部と、
前記車両が走行した各区間において、前記車両識別情報に対応する前記走行経済性情報を前記解析データ記憶部から抽出して前記評価データを生成する評価データ生成部と、
前記走行データを受信するとともに、前記評価データを前記走行データ生成装置へ送信する通信部と、
を備えることを特徴とする運転評価システム。
【請求項2】
前記走行データ生成装置は、前記車両が走行した各区間に対応する前記走行経済性情報を並べて表示する表示部を備えることを特徴とする,請求項1記載の運転評価システム。
【請求項3】
前記評価データ生成部は、前記解析データ記憶部に記憶された前記走行経済性情報から、前記車両が走行した区間における前記車両の偏差値の順位を示す順位情報を算出し、
前記走行データ生成装置の前記表示部は、前記順位情報を前記走行経済性情報とともに表示することを特徴とする,請求項2記載の運転評価システム。
【請求項4】
前記走行データ生成装置は、前記運転評価装置に対して前記評価データを要求する要求データを生成するとともに、前記車両が走行した経路に対応する道路識別情報を前記要求データに付加する評価要求生成部を備えることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか記載の運転評価システム。
【請求項5】
前記走行データ生成部は、前記車両が走行した時間帯を示す時間帯情報を前記走行データに付加し、
前記走行データ解析部は、前記車両の走行経済性情報を、前記時間帯情報ごとに算出して前記解析データ記憶部に記憶し、
前記評価データ生成部は、選択された前記時間帯に対応する前記走行経済性情報を前記解析データ記憶部から抽出して前記評価データを生成することを特徴とする,請求項1ないし4のいずれか記載の運転評価システム。
【請求項6】
前記走行経済性情報は、前記車両の走行経済性の程度を偏差値で示した偏差値情報であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか記載の運転評価システム。
【請求項7】
前記車両の燃費情報を含み、前記車両の走行経済性の程度を示す走行データを生成する走行データ生成装置と接続され、前記走行データに基づき運転評価を行う運転評価装置であって、
前記車両が走行する道路が複数の区間に分割され、各区間の位置を示す区間位置情報を区間識別情報と対応付けられており、
前記走行データを、前記区間識別情報により分類して記憶する走行データ蓄積部と、
前記区間毎に、複数の車両の前記走行データに含まれる前記走行情報に基づき、前記車両の走行経済性の程度を相対値で示した走行経済性情報を算出する走行データ解析部と、
前記走行経済性情報を前記車両識別情報と対応付けて記憶する解析データ記憶部と、
前記車両が走行した各区間において、前記車両識別情報に対応する前記走行経済性情報を前記解析データ記憶部から抽出して前記評価データを生成する評価データ生成部と、
前記走行データを受信するとともに、前記評価データを前記走行データ生成装置へ送信する通信部とを備えることを特徴とする運転評価装置。
【請求項8】
車両の運転評価を行う運転評価装置において、
前記車両が走行する道路を複数の区間に分割し、各区間の位置を示す区間位置情報を区間識別情報と対応付けて記憶する道路情報記憶部と、
前記車両の位置を示す車両位置情報を取得し、前記区間位置情報と前記車両位置情報から前記車両が位置する区間を特定する区間検出部と、
前記車両が前記区間を走行中における、前記車両の燃費情報を含み前記車両の走行経済性の程度を示す走行情報を算出するとともに、前記区間に対応する区間識別情報と前記車両を識別する車両識別情報とを前記走行情報に付加して前記走行データを生成する走行データ生成部と、
前記区間毎に、複数の車両の前記走行データに含まれる前記走行情報に基づき、前記車両の走行経済性の程度を相対値で示した走行経済性情報を算出する走行データ解析部と、
前記偏差値情報を前記車両識別情報と対応付けて記憶する解析データ記憶部と、
前記車両が走行した各区間において、前記車両識別情報に対応する前記走行経済性情報を前記解析データ記憶部から抽出して前記評価データを生成する評価データ生成部と、
前記車両が走行した各区間に対応する前記走行経済性情報を並べて表示する表示部と、
を備えることを特徴とする運転評価装置。
【請求項9】
車両の運転評価を行う運転評価方法において、
前記車両が走行する道路を複数の区間に分割し、各区間の位置を示す区間位置情報を区間識別情報と対応付けて記憶するステップと、
前記車両の位置を示す車両位置情報を取得し、前記区間位置情報と前記車両位置情報から前記車両が位置する区間を特定するステップと、
前記車両が前記区間を走行中における、前記車両の燃費情報を含み前記車両の走行経済性の程度を示す走行情報を算出するステップと、
前記区間に対応する区間識別情報と前記車両を識別する車両識別情報とを前記走行情報に付加して前記走行データを生成するステップと、
前記区間毎に、複数の車両の前記走行データに含まれる前記走行情報に基づき、前記車両の走行経済性の程度を相対値で示した走行経済性情報を算出するステップと、
前記走行経済性情報を前記車両識別情報と対応付けて記憶するステップと、
前記車両が走行した各区間において、前記車両識別情報に対応する前記走行経済性情報を前記解析データ記憶部から抽出して前記評価データを生成するステップと、
前記車両が走行した各区間に対応する前記走行経済性情報を並べて表示するステップと、
を備えることを特徴とする運転評価方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−203921(P2011−203921A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69450(P2010−69450)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】