説明

遠心ローターと共に使用されるスイングバケット

【課題】従来品の欠点を克服するスイングバケットを提供する。
【解決手段】遠心ローター10と共に使用されるバケット12が提供される。バケット12は側壁72と底壁74を有するバケット本体70を含む。一対の突出部80がバケット本体70の対向側面において側壁72から延在しかつそれは遠心ローター10と係合するよう構成される。バケット12はさらに遠心ローター10上での遠心分離中に突出部80に対するバケット本体70の移動を抑止する突出部80に対して結合された補強材102を含む。突出部80は遠心ローター10上の対応するピン92と係合する側壁72から外側に延在するブッシュを備えてもよい。突起80ノズル導入領域それぞれは孔90の一方を経て突出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、遠心ローターに関し、さらに詳しくは高速遠心ローターにおいて使用されるスイングバケットに関する。
【0002】
本願は、概して、同日付で出願された「遠心ローター(Centrifuge Rotor)」という名称の同時係属米国特許出願第 号(整理番号TFFBLT‐03)に関連し、その内容は、この引用によって、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
生物学的およびその他の物質の収集されたサンプルの成分を分離させるために遠心分離が利用される。サンプルは、通常、遠心分離機内での高速回転のために遠心ローター内に収容されるよう構成されたチューブあるいはその他の容器内に配置される。ある種の遠心ローターは、ローターが遠心分離中に回転するとき、バケットに支持された試験管あるいは容器の長手方向軸線が略垂直姿勢から略水平姿勢へと回動することを可能とするために、ローター本体に対して回動可能に連結されたスイングバケットを備える。遠心分離中に加わる動的力をバランスさせるために、スイングバケットは、通常、回転軸線を中心として概ね対称配置状態でスイングバケットを支持するよう構成される。
【0004】
スイングバケット遠心ローターのある形態は、バケットサポートによってスイングバケットを支持するが、これは遠心分離中のスイングバケットの旋回動作を可能とする。遠心分離は、スイングバケットの下側端部を、ローターのバケットサポートに対して外向きに回動させるが、これによってバケットサポートおよび/またはバケットサポートに結合されたバケットのコンポーネントに対して応力が加えられる。この応力はバケットサポートおよび/またはバケットコンポーネントを損傷させ、これによってローターおよび/またはバケットの耐用寿命が短くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、従来の遠心ローターおよびスイングバケットの上記およびその他の欠点を克服する改良型スイングバケットが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、これまで知られているスイングバケット型遠心ローターの上記およびその他の弱点および欠点を克服する。本発明についてある実施形態と関連付けて説明するが、本発明はこうした実施形態に限定されないことに留意されたい。それどころが本発明は、その主旨および範囲から逸脱しない限り、全ての代替例、変更例および等価例を包含する。
【0007】
ある実施形態では、遠心ローターと共に使用されるスイングバケットが提供される。当該バケットは、側壁および底壁を有するバケット本体を備える。一対の突出部が、バケット本体の対向する側面において側壁から延在すると共に、それは遠心ローターと係合するよう構成される。バケットはまた、遠心ローターを用いた遠心分離中に突出部に対するバケット本体の移動を抑止するための、突出部に対して結合された補強材を含む。ある態様では、突出部は、遠心ローター上の対応するピンと係合するために側壁から外側に延在するブッシュを含んでいてもよい。突出部は、これに代えて、あるいはこれに加えて、遠心ローター上の対応するジャーナルと係合するためのピンを含んでいてもよい。バケット本体は一対の直径に沿って対向する孔を備え、突出部のそれぞれは孔の一方を経て延在していてもよい。
【0008】
ある態様では、バケット本体および/または補強材は炭素繊維を具備していてもよい。補強材は、たとえば、炭素繊維の連続ストランドを具備していてもよい。これに代えて、あるいはこれに加えて、補強材は、突出部のそれぞれの周りで延在していてもよい。補強材は、側壁に沿ってかつ底壁を横切って延在する略U字形態で配置されてもよい。
【0009】
他の実施形態では、遠心ローターと共に使用されるスイングバケットが提供される。当該バケットは、側壁と底壁とを含むバケット本体と、バケット本体の対向する側面において側壁から延在すると共に遠心ローターの対応する一対のピンと係合するよう構成された一対のブッシュとを含む。補強材は、遠心ローターの回転中にブッシュに対するバケット本体の移動を抑止するための略U字形態を実現するために、ブッシュのそれぞれの周りで延在すると共に側壁に沿ってかつ底壁を横切って延在する。補強材は炭素繊維の連続ストランドを具備していてもよい。
【0010】
さらに他の実施形態では、遠心ローターと共に使用されるスイングバケットを製造するための方法が提供される。本方法は、側壁と、底壁と、遠心ローターと係合するためのバケット本体の対向する側面において側壁から延在する第1および第2の突出部と、を有するバケット本体を得ることを含む。補強材が、遠心ローター回転中、突出部の撓みを抑止するために、第1および第2の突出部に対してかつ本体部に対して結合される。本方法は、第1および第2の突出部のそれぞれの周りに炭素繊維を巻き付けることを含んでいてもよい。
【0011】
これに代えて、あるいはこれに加えて、本方法は、第1の突出部から、バケット本体の底壁を横切って、第2の突出部に向かって、炭素繊維を巻き付けることを含んでいてもよい。本方法は、第2の突出部から、バケット本体の底壁を横切って、第1の突出部に向かって、炭素繊維を巻き付けることを含んでいてもよい。本方法は、第1および第2の突出部に対する、その移動を抑止するために、バケット本体上に補強材を配置することを含んでいてもよい。本方法は、補強材をバケット本体と一体化するために樹脂コート炭素繊維を硬化させることを含んでいてもよい。
【0012】
本発明の上記ならびにその他の目的および利点は、図面ならびに以下の説明からより明らかとなるであろう。
【0013】
図面(これは本明細書に組み込まれかつその一部を構成している)は本発明の実施形態を示しており、本発明に関する上記一般的な説明および以下の詳細な説明と共に、本発明を説明するための役割を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による代表的なスイングバケット型遠心ローターアセンブリの斜視図である。
【図2】図1のアセンブリの代表的なスイングバケットの斜視図である。
【図3】図2のスイングバケットを製造するための代表的プロセスを示す斜視図である。
【図4】図2のスイングバケットを製造するためのプロセスにおける他のステップを示す斜視図である。
【図5】図2のスイングバケットを製造するためのプロセスにおける、さらに他のステップを示す斜視図である。
【図5A】図5と類似の斜視図であり、部分的に形成されたスイングバケットの代替実施形態を示している。
【図5B】図5および図5Aと類似の斜視図であり、部分的に形成されたスイングバケットのさらに他の代替実施形態を示している。
【図6】部分的に形成されたスイングバケットの他の実施形態の斜視図である。
【図7】部分的に形成されたスイングバケットのさらに他の実施形態の斜視図である。
【図8】図2のスイングバケットを形成するために補強材を付加するための代表的プロセスを示す斜視図である。
【図9】図2のスイングバケットを形成するために補強材を付加するための図8の代表的プロセスにおける他のステップを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を、さらに詳しくは図1、図1Aおよび図2を参照すると、本発明の一実施形態に基づく代表的なスイングバケット型遠心ローターアセンブリ10が示されている。ローターアセンブリ10は概して円柱形であり、複数のスイングバケット12を支持するが、これはそれぞれ、回転中心軸線14を中心とするその遠心回転のために、サンプルチューブあるいは類似の試験用容器13を保持するよう構成される。
【0016】
ローターアセンブリ10はバケット12を支持するローター本体16を含み、かつ、それは軸線14を含む中心ハブ18を含む。中心ハブ18は、ローターアセンブリ10の回転のために、遠心スピンドル(図示せず)によって係合可能である。さらに詳しく言うと、中心ハブ18は、以下でさらに詳しく説明するように、ローター本体16と結合可能であるかあるいはそれと一体であってもよいカップリング22を介してスピンドルと係合するよう構成される。ローター本体16は、たとえば、圧縮成形によって製造可能であり、かつ、炭素繊維あるいはその他の適当に選ばれた素材を含んでいてもよい。
【0017】
本明細書に開示する実施形態は四つのバケット12をふくむが、それ以外の数のバケットも採用可能である。中心ハブ18は、それぞれがバケット12の一つを受けるよう構成された複数のベイ30を形成するためにローター本体16と協働する。これに関して、中心ハブ18は、本実施形態では、ベイ30のそれぞれの湾曲前面壁36を形成するために、中心ハブ18の中心から半径方向外側に延在する四つのアーム34を含み、そしてローター本体16の他の部分はベイ30のそれぞれの対向する側壁40,42および背面壁46を形成する。
【0018】
引き続き図1、図1Aおよび図2を参照すると、ローターアセンブリ10は、軸線14を中心として対称的にかつベイ30に隣接して配置された複数の荷重伝達部材50を含む。この代表的実施形態では、荷重伝達部材50は略Y字形を有し、かつ、バケット12を支持するよう構成される。さらに詳しく言うと、荷重伝達部材50は、中央脚部52と、そこから延在する一対のアーム54とを含み、以下でさらに詳しく説明するように、アーム54のぞれぞれはバケット12を支持するためのバケットサポート92(図4)を有する。バケットサポート92は、遠心分離の間、たとえば、これに限定されるわけではないが、図1に示す略垂直姿勢から略水平姿勢へとバケット12が回動できるように、バケット12の旋回動作を可能とする。遠心分離中、バケット12の重量およびそのそれぞれの内容物の重量に関連する半径方向外向きの力は、バケット12から、バケットサポート92を経て、荷重伝達部材50に伝達される。荷重伝達部材50は、今度は、荷重をローター本体16へと伝達する。
【0019】
図2を参照すると、ローターアセンブリ10(図1)の代表的スイングバケット12が示されている。バケット12は、内部保持チャンバー71を画定するバケット本体70を備える。バケット12は、当該実施形態では、協同でバケット本体70のための略円筒形状を画定する単一の筒状側壁72および底壁74を含む。これに関して、バケット本体70は、これに代えて、たとえば一つ以上の側壁を有する、その他の形状を有していてもよい。たとえば、これに限定されるわけではないが、バケット本体70は、楕円形、正方形あるいは矩形断面形状を有していてもよい。バケット12は、バケット本体70の対向する側面において側壁72から外側に延在する(本実施形態では)略U字形ブッシュ80の形態の一対の突出部を備える。ブッシュ80は、バケット12の開放端部88に概ね隣接して側壁72に形成された対応する孔84を経て延在する。
【0020】
ブッシュ80は、ローターアセンブリ10のバケットサポート92の対応する対と係合するよう構成された、それぞれのバケット開口90を形成する。この実施形態では、たとえば、バケットサポート92は、バケット開口90内に収容された(図2では二点差線で示す)ピンを含んでいてもよい。組み立ての間、そして遠心分離に先立って、バケット12は、このバケット12のそれぞれがバケットサポート92のピンとバケット開口90との係合を可能とするような向きとされた状態で、ローターアセンブリ10(図1)のそれぞれのベイ30内に収容される。この特定の実施形態では、バケット12は、バケットサポート12のピンが略U字形ブッシュ80の開口部分内に収容されるよう(図1に示すような)略垂直姿勢で配置される。遠心分離中、ブッシュ80の閉鎖部分は、バケットサポート92と係合し、バケット12が略水平姿勢へと回動するときバケット12をそのピン上で保持する。
【0021】
バケット12はさらに、ブッシュ80に対する、そしてバケットサポート92のピンに対するバケット本体70の移動を抑止するためにブッシュ80に対して結合された補強材102を含む。図示する実施形態では、補強材102は、ブッシュ80間で、バケット本体70の直径に沿って対向する側面において側壁72に沿って、かつ、底壁74を横切って延在しており、これによって高速遠心回転中のバケット本体70の相対移動が阻止されるようになっている。補強材102はバケット本体70の周囲に略U字形態で設けられる。この代表的実施形態では、さらに、補強材102は、ブッシュ80のそれぞれの周りでやはり略U字形態を実現するために、ブッシュ80の周りに、さらに詳しくはブッシュ80の閉鎖部分の上に巻かれる。補強材102は、その他の方法および/またはコンポーネントを用いてブッシュ80に対して結合されてもよく、かつ、この実施形態のブッシュ80の周りのその図示する巻回は限定ではなく、例証を意図したものである。
【0022】
遠心分離中、外向きに移動しようとするバケット本体70の動的傾向は補強材102によって抑止あるいは排除されるが、これは、ブッシュ80に対するバケット本体70の半径方向外向き移動を制限する。これによる、こうした制限は、バケット開口90を経て延在するバケットサポート92のピンの撓みだけでなく、ブッシュ80の撓みを制限する。補強材102は、バケット12によって加えられる動的荷重に抗するのに十分な引っ張り強度を有する適当に選択された素材から形成される。特定の実施形態では、たとえば、補強材102は長尺な炭素繊維糸あるいはストランドを含むが、これに代えて、他の素材を使用することもできる。
【0023】
図3ないし図6を参照すると、スイングバケット12を製造するための代表的プロセスが示されている。特に図3および図4を参照すると、第1の型部140は、バケット本体70(図2)の内部保持チャンバーの形状に対応すると共にベース144から延在する突出部142を含む。適当に選ばれた素材からなる一つ以上の層160が、たとえば、これによって図4に示すように突出部142を覆うために、突出部142の上に配置され、そしてランダムに選ばれた向きで突出部142に対して密着するよう被着させられる。層160の数、寸法および/または向きは図4に示すものとは異なっていてもよい。たとえば、ある実施形態は、図示するような複数ではなく、単一の層160を含んでいてもよい。同様に、ある実施形態は非ランダム状態で配置された層を含んでいてもよい。
【0024】
第2の型部178は、層160に対して圧力および/または熱を加えるために第1の型部140と係合させられる。さらに詳しく言うと、第2の型部178は、第1および第2の型部140,178が互いに係合させられたとき、圧力が層160に対して加えられ、これによってバケット本体70の最終形状が実現されるよう、第1の型部140の突出部142の形状とぴったり合致するような形状とされた雌形キャビティ部180を含む。
【0025】
特に図5、図5A、図5Bおよび図6(同じ数字は同じ構成要素を意味する)を参照すると、上述したプロセスに加えてあるいはその中で、孔84が側壁72に形成され、これによって図5に示す代表的なバケット本体70が得られる。ブッシュ80が続いて孔84に挿入されて、その開放部が概ね底壁74に面するよう、もし必要ならば、再配置される(矢印186)。図5は、概して、上述したように、圧縮モールディングプロセスによって形成されたバケット本体70を示しているが、これに代えてあるいはこれに加えて、バケット本体70は異なるプロセスによって形成されてもよい。たとえば、これに限定されるわけではないが、バケット本体70は、代表的バケット本体70a(図5A)によって示されるように射出成形プロセスによって、代表的バケット本体70b(図5B)によって示されるようにフィラメント巻き付けプロセスによって、あるいはレジントランスファーモールディング(「RTM」)プロセスによって形成できる。
【0026】
特に図5Aを参照すると、代表的成形バケット本体は、たとえば、ガラスフィラー、裁断炭素繊維、あるいはその他の適当なフィラー素材などのフィラー素材を含んでいてもよい。あるいは、成形バケット本体70aは、フィラー素材を使用せずに形成されてもよい。特に図5Bを参照すると、代表的なバケット本体70bは、たとえば、マンドレル(図示せず)の周囲に1本以上のフィラメント(f)を巻き付けることによって形成できる。バケット本体70bの閉塞端部はプラグp(一点差線で示す)を備えていてもよい。これに代えて、フィラメント巻き付けバケット本体70の一部は、これによって内部保持チャンバー71を形成するために成形されてもよい。RTMプロセスによるバケット本体70の形成は、バケット本体70の一部を、たとえば、ガラスフィラーあるいは裁断繊維などのフィラー素材で満たすことを含んでいても、あるいは含んでいなくてもよい。
【0027】
再度図5を参照すると、同図は、バケット本体70の形成後のブッシュ80とバケット本体70との結合を示しているが、これは限定ではなく説明を目的としている。さらに詳しく言うと、たとえば、ブッシュ80は、図3および図4に関して先に説明した成形プロセスの間、バケット本体70に対して結合されてもよい。バケット本体70とブッシュ80との結合によって、図6の部分的に形成されたバケット12aが得られる。
【0028】
図7を参照すると、部分的に形成されたバケット12bの代替実施形態が示されている。理解を助けるために、図7の同じ参照数字は先行する図における同じ構成要素を意味する。部分的に形成されたバケット12bは、(たとえば、図1の荷重伝達部材50上の)遠心ローターの対応するジャーナル内に収容されるよう構成された、ピン190の形態の一対の突起を含む。当業者には明らかであるように、部分的に形成されたバケット12bのこの実施形態は、他の図の実施形態に関して本明細書中で説明した一つ以上のその他の特徴と組み合わせることができる。
【0029】
図8および図9を参照すると、バケット12を形成するために補強材102を付加するための代表的なプロセスが示されている。この実施形態では、炭素繊維の樹脂コート糸196などの連続した素材のストランドは、第1のブッシュ80aから、バケット本体70の第1の側面200aにおける側壁72の一部に沿って長手方向に、底壁74を横切り、そして第2のブッシュ80bに向かってバケット本体70の第2の対向する側面200bにおける側壁72の一部に沿って長手方向に順次案内される(矢印210)。糸196は、続いて、第2のブッシュ80bの周りに、そして第2の側面200bにおける側壁72の一部に沿って長手方向に、第2のブッシュ80bから離れるように案内される(矢印212)。
【0030】
糸196は、第2の側面200bから第1の側面200aに向かう方向に底壁74を横切り、そして第1のブッシュ80aに向かって第1の側面200aにおける側壁72の一部に沿って長手方向に案内される(矢印214)。最後に、糸196は、第1のブッシュ80aの周囲を案内され、そして、上述したように、第2のブッシュ80bに向かって再び案内される(矢印210)。ブッシュ80a,80bの周りに糸196を巻き付けるプロセスは、遠心分離中にバケット12によって加えられるであろう動的力に抗するのに十分な補強材102が付加されるまで繰り返される。
【0031】
本明細書において図示説明した代表的実施形態においては、糸196を覆う樹脂を硬化させるために糸196に対して圧力および/または加えられ、これによって補強材102はバケット本体70とおよび/またはブッシュ80と一体化される。上記補強材102として好適な、ある代表的な糸は、限定するわけではないが、日本国東京のToray Industries, Inc.から市販されている24K炭素繊維糸である。補強材102を形成するために、これに代えて、さまざまなその他の素材を採用できることは明らかである。たとえば、限定するわけではないが、補強材102は、アラミド繊維あるいはUHMW(Ultra High Molecular Weight)ポリオレフィンなどの高強度繊維から形成可能であり、これは熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂によってコートされても、されなくてもよい。さらに、代替補強材102は、上述した方式で、未コーティングすなわち「ドライ」繊維を付加し、そしてたとえばレジントランスファーモールディング(RTM)プロセスによって繊維状に樹脂を噴射することによって形成可能である。
【0032】
本発明の原理に基づくさまざまな態様について、さまざまな実施形態を用いて説明し、そして実施形態について詳細に説明してきたが、本発明の範囲をそうした具体例に限定あるいは制限することは決して意図していない。本明細書において図示説明したさまざまな特徴は、単独であるいは組み合わせて採用できる。さらなる利点ならびに変更は当業者には明白であろう。本発明は、それゆえ、その上位概念に関して、特定の細部、代表的装置および方法ならびに図示説明した実施例には限定されない。したがって、全体的な発明の概念の範囲から逸脱することなく、そうした細部に変更が加えられてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 ローターアセンブリ
12 スイングバケット
13 試験用容器
14 回転中心軸線
16 ローター本体
18 中心ハブ
22 カップリング
30 ベイ
34 アーム
36 湾曲前面壁
40,42 側壁
46 背面壁
50 荷重伝達部材
52 中央脚部
54 アーム
70 バケット本体
71 内部保持チャンバー
72 筒状側壁
74 底壁
80 略U字形ブッシュ
84 孔
88 開放端部
90 バケット開口
92 バケットサポート
102 補強材
140 第1の型部
142 突出部
144 ベース
160 層
178 第2の型部
180 雌形キャビティ部
196 樹脂コート糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心ローターと共に使用されるバケットであって、
側壁と底壁とを含むバケット本体と、
前記バケット本体の対向する側面において前記側壁から延在すると共に前記遠心ローターと係合するよう構成された一対の突出部と、
前記遠心ローター上での遠心分離中に前記突出部に対する前記バケット本体の移動を抑止するための、前記突出部に対して結合されかつ前記底壁を横切って延在する補強材と、
を具備してなることを特徴とするバケット。
【請求項2】
前記突出部は、前記遠心ローター上の対応するピンと係合するために前記側壁から外側に延在するブッシュを含むことを特徴とする請求項1に記載のバケット。
【請求項3】
前記突出部は、前記遠心ローター上の対応するジャーナルと係合するためのピンを含むことを特徴とする請求項1に記載のバケット。
【請求項4】
前記バケット本体は一対の直径に沿って対向する孔を備え、前記突出部のそれぞれは前記孔の一方を経て延在していることを特徴とする請求項1に記載のバケット。
【請求項5】
前記バケット本体は炭素繊維を具備してなることを特徴とする請求項1に記載のバケット。
【請求項6】
前記補強材は炭素繊維を具備してなることを特徴とする請求項1に記載のバケット。
【請求項7】
前記補強材は、炭素繊維の連続ストランドを具備してなることを特徴とする請求項6に記載のバケット。
【請求項8】
前記補強材は、前記突出部のそれぞれの周りで延在していることを特徴とする請求項1に記載のバケット。
【請求項9】
前記補強材は、前記側壁に沿ってかつ前記底壁を横切って延在する略U字形態で配置されることを特徴とする請求項1に記載のバケット。
【請求項10】
遠心ローターと共に使用されるバケットであって、
側壁と底壁とを含むバケット本体と、
前記バケット本体の対向する側面において前記側壁から延在すると共に前記遠心ローターの対応する一対のピンと係合するよう構成された一対のブッシュと、
前記ブッシュの周りで延在すると共に前記側壁に沿ってかつ前記底壁を横切って延在し、かつ、前記遠心ローターの回転中に前記ブッシュに対する前記バケット本体の移動を抑止するための略U字形態を有する補強材と、
を具備してなることを特徴とするバケット。
【請求項11】
前記補強材は、炭素繊維の連続ストランドを具備してなることを特徴とする請求項10に記載のバケット。
【請求項12】
遠心ローターと共に使用されるバケットを製造するための方法であって、
側壁と、底壁と、前記遠心ローターと係合するための、バケット本体の対向する側面において前記側壁から延在する第1および第2の突出部と、を有するバケット本体を得ることと、
前記遠心ローターの回転中、前記突出部の撓みを抑止するために、前記第1および第2の突出部に対してかつ前記本体部の前記底壁を横切って前記補強材を結合することと、
を具備することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記補強材を結合することは、前記第1および第2の突出部のそれぞれの周りに炭素繊維を巻き付けることを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の突出部から、前記バケット本体の前記底壁を横切って、前記第2の突出部に向かって、炭素繊維を巻き付けることをさらに具備することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の突出部から、前記バケット本体の前記底壁を横切って、前記第1の突出部に向かって、炭素繊維を巻き付けることをさらに具備することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1および第2の突出部に対する、その移動を抑止するために、前記バケット本体上に前記補強材を配置することをさらに具備することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記補強材は樹脂コート炭素繊維を含み、前記方法はさらに、
前記補強材を前記バケット本体と一体化するために前記樹脂コート炭素繊維を硬化させることを具備することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記バケット本体は炭素繊維素材を具備してなることを特徴とする請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−253467(P2010−253467A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72470(P2010−72470)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(510016645)ファイバーライト・セントリフュージ・エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】