説明

遠隔検針システム、カプラ

【課題】複数台の変圧器にそれぞれ接続された子局からの測定情報を1台の親局で取得可能にすることにより、導入コストの抑制およびトラフィックの低減を可能にする。
【解決手段】柱上変圧器41の二次側に親局21と親局側カプラ20とが接続される。降圧変圧器32の二次側の配電線33に子局11と子局側カプラ10とが接続される。親局21と親局側カプラ20との間、および子局11と子局側カプラ10との間は、電力線搬送通信により通信する。また、子局側カプラ10と親局側カプラ20との間は、無線通信により通信する。親局21は、子局側カプラ10と親局側カプラ20との間の無線通信路を含む通信経路を通して子局11と通信し、子局11が電力メータ34から取得した検針情報を収集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要家に設けた各子局からの検針データを、少なくとも一部に電力線搬送通信による通信を行う通信経路を通して親局に集め、さらに、親局が別の通信経路を用いて検針情報を上位集約サーバに通知する遠隔検針システムと、電力線搬送通信を行う配電線の間で電力線搬送通信のパケットを伝送するカプラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気、ガス、水、熱のような供給媒体は、送電線、ガス導管、水道管、熱導管のような供給設備を通して供給事業者から需要家に供給されている。供給媒体の需要家では、供給媒体の使用量を計測器(メータ)により計測している。また、供給事業者では、計測器による計測結果を検針員により確認し、需要家に供給媒体の使用量に対する対価を請求している。
【0003】
検針員による検針作業は、人件費が必要であるとともに、計測値の読み間違いが生じるなどの問題があるから、この種の問題を解決するために、検針員によらずに計測値を管理する技術が種々提案されている。
【0004】
たとえば、特許文献1に記載の技術では、図6に示すように、集合住宅30では、各住戸(需要家)に配置したメータ(図は電力メータ34を想定している)に通信装置としての子局11を接続している。子局11は、電気室31に配置した親局21との間で、電力線搬送通信により通信を行う。すなわち、特許文献1では、集合住宅30に敷設された配電線33を親局21と子局11との間の通信路に用い、電力メータ34により計測した検針情報を子局11から親局21に配電線33を通して伝送している。また、親局21は、インターネットのような通信網51を通して上位集約サーバ50と通信可能であって、子局11から収集した検針情報を、上位集約サーバ50に通知することが可能になっている。
【0005】
一方、戸建て住宅では、柱上変圧器の二次側から電力が供給される需要家において、メータに子局を付設し、柱上変圧器の近傍に配置された親局と子局との間で、柱上変圧器の二次側の配電線を電力線搬送通信による通信路に兼用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−180021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、柱上変圧器の二次側の配電線からは、一般に20〜40件程度の需要家が受電している。また、集合住宅やテナントビルなどでは、柱上変圧器に代えて降圧変圧器32を電気室31に設ける場合があり、降圧変圧器32の二次側の配電線33から需要家が受電している。
【0008】
一方、電力線搬送通信を行う場合、親局21と子局11との間の通信路は、柱上変圧器や降圧変圧器32の二次側の配電線33が兼用しているから、通常は、降圧変圧器32や柱上変圧器ごとに親局21が必要になる。
【0009】
特許文献1のように、集合住宅30などの建物内に複数台の降圧変圧器32が設けられている場合、降圧変圧器32の二次側間に電力線搬送通信に用いる通信信号を通過させるカプラ35を設けることができる。このカプラ35を通して子局11と親局21との間で通信信号を授受することができる。建物内に配置されている降圧変圧器32は、二次側の配電線33の物理的な距離が比較的小さいから、異なる降圧変圧器32の二次側の配電線の間にカプラ35を設けることは比較的容易である。しかしながら、異なる柱上変圧器41は、数十m以上離れて配置されていることが多いから、二次側の配電線間にカプラ35を設けることは困難である。
【0010】
一方、各柱上変圧器の二次側から受電している需要家を単位として親局を設けることが考えられる。しかしながら、親局は、子局から取得した検針情報を集約して上位集約サーバに伝送するために、多くの機能を備えており、このような親局を柱上変圧器と同数設けることは、コスト増につながる。さらに、上位集約サーバの通信相手である親局の台数が多くなると、管理コストが上昇する。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、複数系統の配電線に接続された子局からの検針情報を1台の親局において取得可能にすることにより、親局の設置台数を低減させ、結果的にコスト増の抑制を可能にした遠隔検針システムを提供し、さらに、距離が離れている配電線間であっても電力線搬送信号を授受することが可能であるカプラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、複数系統の配電線のいずれかに接続され検針情報を取得する複数台の子局と、子局が取得した検針情報を収集するとともに上位集約サーバに通知する親局と、配電線の各系統にそれぞれ接続され当該配電線に接続された子局との間で当該配電線を通信路に用いた電力線搬送通信を行う第1のカプラと、親局に接続された配電線を介して親局と接続され親局との間でこの配電線を通信路に用いた電力線搬送通信を行う第2のカプラとを備え、第1のカプラと第2のカプラとは、配電線を通信路に用いた電力線搬送通信を行う電力線搬送通信インターフェースと、第1のカプラと第2のカプラとの間で無線通信を行う無線通信インターフェースと、電力線搬送通信のパケットと無線通信のパケットとを相互に変換する制御部とをそれぞれ備え、親局と子局との間の通信経路に無線通信インターフェースにより形成される無線通信路を含むことを特徴とする。
【0013】
子局は同じ配電線に接続されている他の子局を中継に用いる電力線搬送通信におけるマルチホップ通信が可能であって、第1のカプラは、子局が生成した電力線搬送通信のパケットの宛先が親局である場合に第2のカプラに対する無線通信のパケットを生成するのが望ましい。
【0014】
第1のカプラは、配電線から受信する通信信号の信号強度に対する閾値が設定されており、信号強度が閾値以上の場合にのみ第2のカプラに対する無線通信のパケットを生成してもよい。
【0015】
第1のカプラにおける制御部は、電力線搬送通信インターフェースから受け取った電力線搬送通信のパケットをカプセル化した無線通信のパケットを生成する機能と、無線通信インターフェースから受け取った無線通信のパケットから電力線搬送通信のパケットを抽出する機能とを有し、さらに、無線通信インターフェースから受け取った無線通信のパケットに含まれる宛先が親局であるときに電力線搬送通信のパケットを配電線に送出しないことが望ましい。
【0016】
第1のカプラは、同じ配電線に接続されている子局が親局と通信する際に子局の識別情報を記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、子局が親局との通信を1回以上行った後に子局をユニキャストで指定する無線通信のパケットを受け取ると、当該パケットに含まれる子局の識別情報を記憶部に記憶した識別情報と照合し、一致する識別情報が記憶部に記憶されているときにのみ、無線通信のパケットを電力線搬送通信のパケットに変換することが望ましい。
【0017】
少なくとも1系統の配電線に第1のカプラが複数台接続され、1系統の配電線に接続された複数台の第1のカプラのうちのいずれかにおいて当該配電線に接続された子局への無線信号を受け取ると、当該第1のカプラの制御部が無線通信のパケットを電力線搬送通信のパケットに変換することが望ましい。
【0018】
異なる2系統の配電線の間に電力の通過を阻止し電力線搬送信号を通過させる第3のカプラをさらに接続し、2系統の一方の配電線に接続されている子局は第3のカプラを介して他方の配電線に接続されている第1のカプラに電力線搬送通信の通信信号を伝送することが望ましい。
【0019】
第2のカプラにおける制御部は、第3のカプラを介して接続されている複数系統の配電線に接続された第1のカプラのいずれかとの間の通信経路が利用できないときに、通信経路を利用できる他の第1のカプラを選択する機能を備えることが望ましい。
【0020】
親局と子局のうちの特定の子局との間に複数の通信経路があり、かつ各通信経路に含まれる第1のカプラが異なっている場合に、第2のカプラにおける制御部は、通信経路を利用できる第1のカプラをあらかじめ求め、第1のカプラのいずれかとの間の通信経路が利用できないときに、あらかじめ求められている第1のカプラの中から他の第1のカプラを選択する機能を備えることが望ましい。
【0021】
第1のカプラと第2のカプラとの間の通信経路において、第1のカプラにおける制御部は、無線通信インターフェースが受信した無線通信のパケットが他の第1のカプラに宛てられている場合に、当該無線通信のパケットを当該他の第1のカプラに対して中継する機能を備えることが望ましい。
【0022】
本発明のカプラは、配電網における変圧器の二次側に接続された配電線をそれぞれ通信路に用いて伝送される電力線搬送信号を異なる配電線間で中継するカプラであって、各配電線にそれぞれ接続され電力線搬送信号を伝送する電力線搬送通信インターフェースと、無線信号を伝送する無線通信インターフェースと、電力線搬送通信インターフェースと無線通信インターフェースとの間で電力線搬送通信のパケットと無線通信のパケットとを相互に変換する制御部とを備え、制御部は、電力線搬送通信インターフェースが受け取った電力線搬送通信のパケットをカプセル化することにより無線通信のパケットを生成してこのパケットを無線通信インターフェースから無線信号を送出させる機能と、無線通信インターフェースが受け取った無線通信のパケットから電力線搬送通信のパケットを抽出しこのパケットを電力線搬送通信インターフェースから配電線に送出させる機能とを備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明の構成によれば、複数系統の配電線に接続した子局からの検針情報を1台の親局において取得することが可能になり、親局の設置台数を低減させ、結果的にコスト増の抑制が可能になるという利点がある。また、カプラは、親局よりも必要なハードウェア資源が少ないから、親局をカプラと同数配置する場合に比較すると、導入コストを削減することが可能になる。さらに、カプラは無線信号と電力線搬送信号とを相互に変換するから、距離が離れている配電線間であっても電力線搬送信号を授受することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1を示すブロック図である。
【図2】同上に用いる子局側カプラを示すブロック図である。
【図3】同上に用いる親局側カプラを示すブロック図である。
【図4】実施形態2を示すブロック図である。
【図5】実施形態3を示すブロック図である。
【図6】従来構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態1)
本実施形態では、集合住宅のように1つの建物に複数の需要家が存在し、建物内に複数配置された降圧変圧器の二次側から需要家が受電する場合について説明する。ただし、戸建て住宅のように需要家が1つの建物を占有し、柱上変圧器の二次側から複数の需要家が受電する場合であっても同様の技術を採用することが可能である。1つの建物に複数の需要家が存在する場合としては、集合住宅だけではなく、事務所や店舗として使用されるテナントビルなど、複数の需要家がそれぞれ独立したスペース(事務所、店舗)を占有する場合もある。
【0026】
本実施形態では、供給事業者を電力会社とし、供給事業者が供給設備(配電網)を用いて供給する供給媒体を電気として説明する。ただし、本実施形態の技術を、ガス、水、熱などの供給媒体に関する検針情報に適用することを妨げない。
【0027】
各需要家は、図1に示すように、集合住宅30の電気室31に配置される降圧変圧器32の二次側に接続された配電線33から受電する。集合住宅30には複数系統の配電線33が敷設される。各需要家には、それぞれ供給媒体である電力を計測する計測器としての電力メータ34が設置される。電力メータ34により各需要家における使用電力量が検針情報として計測される。各電力メータ34にはそれぞれ子局11が付設され、各電力メータ34にそれぞれ付設された子局11は電力メータ34から検針情報を取得する。各子局11はいずれかの系統の配電線33に接続される。各子局11は、一定時間毎(たとえば、5分毎、30分毎など)の検針情報を一定期間分(たとえば、40日分)記憶する機能を備える。
【0028】
一方、集合住宅30の周辺に配置されている電柱40のいずれかには柱上変圧器41、地中に埋設した変圧器、金属箱に収納し地上に配置した変圧器(以下、柱上変圧器41で代表する)が設けられ、柱上変圧器41の二次側の配電線42には子局11と通信を行うことにより子局11から検針情報を取得する親局21が接続される。また、親局21は、インターネットや遠隔検針専用の専用回線のような通信網51を通して、電力会社あるいは電力量の集計サービスを行うサービス事業者が運営する上位集約サーバ50と通信を行う。通信網51には、たとえば光回線や移動体電話機のパケット網のような無線回線を用いることにより、高速かつ大容量の通信が可能になる。
【0029】
親局21は、子局11から電力メータ34ごとの検針情報を収集するとともに集約し、集約した検針情報を通信網51を通して上位集約サーバ50に伝送する。また、上位集約サーバ50は、必要に応じて、親局21を経由して子局11に対して検針情報を要求することも可能である。子局11には需要家への電力の供給と遮断とを可能にする開閉器(図示せず)が付設され、上位集約サーバ50では親局21を経由して開閉器の開閉を子局11に指示することも可能である。
【0030】
集合住宅30に付設された複数系統の配電線33にはそれぞれ第1のカプラである子局側カプラ10が接続され、親局21が接続された柱上変圧器41の二次側の配電線42には親局21と第2のカプラである親局側カプラ20とが接続される。子局11と子局側カプラ10との間の通信は配電線33を通信路に用いる電力線搬送通信を行い、親局21と親局側カプラ20との間の通信は配電線42を通信路に用いる。図示していないが、配電線42から需要家への給電を行うことも可能である。
【0031】
親局側カプラ20と子局側カプラ10との間には無線通信路が形成され、親局21と子局11との間の通信経路は、この無線通信路を含むことになる。すなわち、親局21と子局11との間で無線通信路を含む通信を行うことにより、親局21は子局11から検針情報を取得することが可能になる。
【0032】
子局側カプラ10は、電柱40に配置されている親局側カプラ20との間で無線通信路を形成しやすい場所に配置する必要がある。子局側カプラ10は、本実施形態では、1系統の配電線33に対して1台だけ設けられているから、配電線33ごとに当該配電線33から受電している需要家のいずれかにおいて、電力メータ34を設けているメータボックス内などに設けるのが望ましい。あるいは、集合住宅30における1箇所に複数台の子局側カプラ10を集中させて配置することも可能である。いずれにしても、親局側カプラ20との間で無線通信路を形成しやすい場所(つまり、電波が到達しやすい場所)に設ける。なお、子局側カプラ10を電気室31に集中配置すれば、子局側カプラ10を従来の有線式のカプラに代えて用いることになり、工事の手間が減るという効果が期待できる。
【0033】
各子局11には、通信の際に識別する固有の識別情報として子局IDが設定される。したがって、子局IDを需要家ごとの電力メータ34の識別に用いることができる。なお、電力メータ34の識別のために、電力メータ34ごとに識別情報を設定してもよい。
【0034】
上述したように、柱上変圧器41を設けた電柱40には、親局21と親局側カプラ20とが配置される。ここに、親局側カプラ20および親局21を電柱40に設置することは必須ではなく、また、親局21を柱上変圧器41に接続することも必須ではない。たとえば、変圧器や配電線が地中に埋められていてもよい。
【0035】
以下、子局側カプラ10および親局側カプラ20について説明する。子局側カプラ10と親局側カプラ20とは、ともに電力線搬送通信のパケットと無線通信のパケットとの相互変換を行う点において、実質的に同じ構成を有している。また、子局側カプラ10と親局側カプラ20とは、配電網に設けた異なる変圧器(降圧変圧器32、柱上変圧器41)の二次側である配電線(配電線33、配電線42)にそれぞれ接続され、無線通信路を用いて電力線搬送信号の受け渡しを行う。言い換えると、子局側カプラ10と親局側カプラ20とは、異なる配電線の間で電力線搬送通信のパケットを受け渡すカプラとして機能する。
【0036】
子局側カプラ10は、図2に示すように、子局11との間の通信路として配電線33を用いるための電力線搬送通信インターフェース12と、無線通信を行うための無線通信インターフェース13とを備える。無線通信インターフェース13にはアンテナ14が接続される。また、電力線搬送通信インターフェース12は配電線33に接続される。子局側カプラ10には、マイコン等からなる制御部15が設けられており、制御部15はプログラムを実行することにより子局側カプラ10に各種の機能を付与する。記憶部16は、通信時において通信内容を一時的に保持する通信バッファなどに用いられる。
【0037】
一方、親局側カプラ20は、図3に示すように、親局21との間の通信路として配電線42を用いるための電力線搬送通信インターフェース22と、無線通信を行うための無線通信インターフェース23とを備える。無線通信インターフェース23にはアンテナ24が接続される。電力線搬送通信インターフェース22は配電線42に接続される。さらに、親局側カプラ20は、マイコン等からなる制御部25を備え、制御部25は親局側カプラ20に各種の機能を付与する。記憶部26は、通信時において通信内容を一時的に保持する通信バッファとしても機能する。
【0038】
無線通信インターフェース13,23で用いる無線通信は電波を伝送媒体に用いる。この種の無線通信の規格は種々知られており、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線などの各種規格から選択することができる。なお、無線信号として光のような他の電磁波を用いる構成、電界や磁界を伝送媒体に用いる構成、超音波を用いる構成など、他の無線通信技術を採用することも可能である。
【0039】
以下に、基本的な動作を説明する。上述したように、子局11は、電力メータ34から一定時間毎に検針情報を取得し、取得した一定期間分の検針情報を記憶する。さらに、子局11が電力メータ34から収集し記憶している検針情報を親局21が定期的に収集する。親局21は、たとえば、1日に1回ずつ規定の時刻(たとえば、0:00)において、子局11に対して検針情報の送信を要求し、子局11から検針情報を転送させる。このとき、前回の要求以降に子局11に記憶されている検針情報が親局21に転送されることになる。このように定期的に行う検針を、以下「定期検針」と呼ぶ。なお、定期検針は1日に複数回行うようにしてもよい。
【0040】
すなわち、親局21および中継親局30は、定期検針を実施する時刻になると、子局11に対して検針テータの取得を要求して定期検針を行う。親局21は、定期検針により子局11から取得した検針情報を子局IDとともに記憶する。
【0041】
このようにして、親局21は、子局11からの検針情報を取得することができる。親局21が子局11からの検針情報を取得した後には、親局21において検針情報を集約し、通信網51を通して集約した検針情報を上位集約サーバ50に送信する。
【0042】
ここに、定期検針で親局21が子局11から取得した検針情報を上位集約サーバ50に送信した場合に、通信状態などによっては、上位集約サーバ50が取得した検針情報に脱漏が生じる場合がある。このような場合に備えて、上位集約サーバ50は、子局11を指定し、親局21あるいは親局21を経由して特定の子局11から検針情報を個別に取得する機能も備えている。この機能を用いることにより、脱漏している検針情報を補完することが可能になる。
【0043】
ところで、子局側カプラ10および親局側カプラ20では、電力線搬送通信のパケットのフォーマットを変えることなく無線信号の電文として扱ってもよい。すなわち、制御部15,25では、電力線搬送信号に無線信号のヘッダおよびトレーラを付加したパケットを無線通信のパケットに用い、無線通信のパケットからヘッダおよびトレーラを取り除くことにより電力線搬送信号を取り出す。このように、無線通信のパケットとして電力線搬送通信のパケットをカプセル化した信号を用いるので、子局側カプラ10および親局側カプラ20における処理負荷の増加が抑制される。また、カプセル化のみを行う専用のハードウェアを設けることも可能である。
【0044】
上述のように、子局側カプラ10と親局側カプラ20とが電力線搬送通信の間に無線通信路を形成する機能を担うから、親局21と子局11とは、通信経路に無線通信路が含まれることを考慮せずに通信を行うことができる。すなわち、親局21と子局11との仕様を変更することなく、子局側カプラ10および親局側カプラ20を追加するだけで、図1に示す遠隔検針システムを構築することが可能になる。
【0045】
上述した動作により、配電線33の系統ごとに親局21を設けることなく、複数系統の配電線33に接続された子局11を1台の親局21でまとめて管理することができる。すなわち、親局21では比較的多くの台数の子局11を管理することになる。通信網51を通して上位集約サーバ50との通信を行うのは親局21のみであるから、各降圧変圧器32の二次側の配電線33にそれぞれ親局21を設ける場合と比較すると、上位集約サーバ50と通信する親局21の台数を低減することが可能になり、結果的に、管理コストを抑制することが可能になる。
【0046】
さらに、子局側カプラ10および親局側カプラ20は、通信の中継を行うだけであるから、親局21に比べると必要なハードウェア資源が少ない。したがって、すべての降圧変圧器33の二次側に親局21を設ける構成に比較すると、遠隔検針システムの設備コストを低減することが可能になる。
【0047】
ところで、子局側カプラ10と子局11との間では配電線33を通信路に用いて電力線搬送通信を行っており、他機器などへの影響を考慮して電力線搬送通信に用いる通信信号の信号強度は電波法により規定されている。したがって、子局側カプラ10と子局11との位置関係によっては、子局側カプラ10と子局11との間で通信信号を直接伝送することができない場合がある。
【0048】
そのため、子局11と子局側カプラ10との間では、マルチホップ通信が可能になっている。この場合、子局11と子局側カプラ10との間を伝送される電力線搬送信号が、他の子局10を介して伝送される場合がある。すなわち、マルチホップ通信を行うと、親局21が子局11から検針情報を収集する際に、子局側カプラ10には、検針情報を送信した子局11からの微弱な通信信号と、検針情報を中継を行った子局11からの通信信号とが入力される可能性がある。このように複数の通信信号が子局側カプラ10に入力される可能性がある場合には、子局側カプラ10では親局側カプラ20に伝送する内容を選択する必要がある。
【0049】
そこで、子局側カプラ10の制御部15には、電力線搬送通信における通信信号の宛先を確認する機能を持たせてある。すなわち、制御部15は、通信通信のパケットの宛先が親局21である場合にのみ無線信号を生成して親局側カプラ20に送出する機能を有している。この機能により、マルチホップ通信の中継先となる子局11に宛てた通信信号では無線信号が生成されず、無駄な無線通信の発生を防止することができる。このことから、無線通信のトラフィックを低減させることになり、親局側カプラ20を設ける密度を高めても混信が生じる可能性が低減される。たとえば、集合住宅30が密集している場合であっても、複数台の親局側カプラ20を設置して遠隔検針を行うことが可能になる。
【0050】
制御部15には、電力線搬送通信インターフェース12に入力された通信信号の強度を判断し、通信信号の強度が規定した閾値以上である場合にのみ無線信号を生成する機能を設けることが望ましい。
【0051】
この機能は、通信信号の宛先の確認を行う機能を備えていない場合にも採用することができる。また、この機能は、上述のようにマルチホップ通信における中継のための通信信号によって無線信号が生成されるのを防止するだけではなく、以下の場合にも無駄な無線信号の生成を抑制することになる。
【0052】
すなわち、集合住宅30には複数系統の配電線33が敷設されており、配電線33の間で電力線搬送信号にクロストークが生じる可能性がある。クロストークは、複数の配電線33の間の電磁結合や静電結合に起因して生じることがあり、また、降圧変圧器32を経由する経路で生じることもある。クロストークにより子局側カプラ10に入力される通信信号は、通常の通信信号に比較すると微弱であるから、通信信号の信号強度に閾値を設定すれば、クロストークによる通信信号と通常の通信信号とを区別することが可能になる。したがって、上述したように、閾値以上の場合にのみ無線信号を生成することにより、クロストークにより生じた通信信号による無駄な無線信号の生成を防止することができる。その結果、不要な無線信号の送出が抑制され、無線通信路のトラフィックの低減につながる。
【0053】
制御部15では、1系統の配電線33に接続された子局11のマルチホップ通信に伴う誤動作を防止するために電力線搬送通信のパケットの宛先を確認する機能のほか、無線信号についても宛先を確認する機能を有している。子局側カプラ10は、親局側カプラ20からの無線信号のほか、他の子局側カプラ10からの無線信号も受信する。したがって、制御部15には、無線通信のパケットの宛先が子局側カプラ10である場合にのみ電力線搬送通信のパケットに変換する機能を持たせる。この機能により、他の子局側カプラ10が親局側カプラ20に宛てて送信している無線通信のパケットを電力線搬送通信のパケットに変換する無駄を防止することができる。
【0054】
また、上述したように、無線通信のパケットには電力線搬送通信のパケットがカプセル化されているから、受信した無線通信のパケットのうち電力線搬送通信のパケットの宛先のみを確認し、宛先が親局21である場合には電力線搬送通信のパケットを抽出しないようにしてもよい。
【0055】
一方、親局側カプラ20から子局側カプラ10に向けて送信された無線信号は、複数台の子局側カプラ10において受信される。したがって、子局側カプラ10の制御部15では、受信した無線通信のパケットが、子局側カプラ10と同じ配電線33に接続されている子局11に対する電力線搬送通信のパケットを含むか否かを判断することが望ましい。ただし、子局側カプラ10には、子局11に問い合わせて識別情報(子局IDのほか他の電力メータ34の識別情報を用いることも可能)を取得する機能はない。
【0056】
そこで、各子局側カプラ10の制御部15において、親局側カプラ20に対する無線通信のパケットを生成したときに、電力線搬送通信のパケットに含まれていた子局11の識別情報を記憶部16に記憶する構成を採用してもよい。上述した定期通信を行った後は、子局側カプラ10と同じ配電線33に接続されているすべての子局11の識別情報が記憶部16に記憶されていると考えられる。
【0057】
したがって、以後の動作では、子局側カプラ10の制御部15は、親局21がユニキャストで子局11を指定している場合に、無線通信のパケットから子局11の識別情報を抽出して記憶部16に照合する。ここで、子局側カプラ10は、一致する識別情報が記憶部16に存在するときにのみ電力線搬送通信のパケットを抽出するように処理を行う。各子局側カプラ10の制御部15において上述の処理を行うことにより、同じ配電線33に接続された子局11をユニキャストで指定している無線通信のパケットからのみ電力線搬送通信のパケットを抽出することになる。このことにより、子局側カプラ10における処理の無駄が抑制される。すなわち、電力線搬送通信のトラフィックが低減され、電力線搬送通信の信頼性向上につながる。
【0058】
上述したように、本実施形態の構成によれば、複数台の降圧変圧器32の二次側にそれぞれ接続された子局11からの検針情報が、1台の親局21において取得可能になる。したがって、親局21の設置台数が低減され、結果的にコスト増の抑制が可能になる。
【0059】
ところで、図6に示す比較例のように、集合住宅30の電気室31などに親局21を設けている場合、建物内に設けた親局21を建物外の通信網51に接続するために、建物にケーブルを通すための通線部36が必要になる。既存の集合住宅30では、親局21の設置と通線部36の形成には、居住者への説明と居住者の協力とが必要であり、遠隔検針のための設備を導入するための障害になっている。本実施形態の構成によれば、親局21が建物の外部に設置され、しかも通線部36が不要であるから、電気室31の工事が不要になり、システム導入の手間が軽減される。すなわち、供給事業者(ここでは、電力会社)の保守点検の範囲内での設備の施工が可能になり、遠隔検針のための設備の導入が容易になる。
【0060】
(実施形態2)
実施形態1では、子局側カプラ10と親局側カプラ20との間で無線通信が安定に行われる場合について説明したが、無線通信の通信品質は、子局側カプラ10と親局側カプラ20との設置環境などによって変化する。とくに、子局側カプラ10は、需要家におけるメータボックス内などに配置され、子局側カプラ10の設置状況に応じて通信品質が変化する。
【0061】
そこで、本実施形態では、無線通信路を多重化することにより無線通信の成功率を高める構成を採用している。すなわち、図4に示すように、必要に応じて1系統の配電線33に複数台の子局側カプラ10を接続し、1系統の配電線33について無線通信路を多重化することにより通信の成功率を高める構成を採用している。複数台の子局側カプラ10を設ける配電線33は、通信品質に応じて適宜に選択すればよい。
【0062】
ただし、この構成では、1系統の配電線33に接続した複数台の子局側カプラ10が親局側カプラ20からの無線信号を同時に受信する可能性があり、この場合に、同じ内容の電力線搬送信号が1系統の配電線33に送出される可能性がある。一方、1系統の配電線33を用いて行う電力線搬送通信は、CSMA方式によって電力線搬送信号を送出するタイミングをランダムに設定してある。
【0063】
したがって、子局側カプラ10の制御部15では、無線通信のパケットを電力線搬送通信のパケットに変換して配電線33に出力しようとする際に、CSMAの機能により配電線33におけるキャリアを監視する。キャリアが検出されたときには、電力線搬送通信のパケットを記憶部15に一時的に保持して送信待ちを行う。子局側カプラ10の制御部15は、送信待ちの間に受信した電力線搬送通信のパケットを記憶部15に記憶されている送信待ちのパケットと照合する。
【0064】
照合の結果、無線通信のパケットから抽出した電力線搬送通信のパケットが記憶部15に記憶されているパケットと一致すると、制御部15は、別の子局側カプラ10から送信されたパケットと判断し、送信を抑制する。この処理によって、同じ内容のパケットが1系統の配電線33に複数回送出されることが防止される。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【0065】
(実施形態3)
実施形態2のように、無線通信路を多重化して無線通信の成功率を高めると、親局21と子局11との間の通信の成功率が高くなるが、環境によっては無線通信路の多重化によっても依然として通信の成功率を十分に高めることができない場合がある。
【0066】
このような場合に備えて、図5に示すように、配電線33の間に有線のカプラ35を配置してもよい。カプラ35は、ハイパスフィルタであって、交流電力の通過を阻止し電力線搬送信号を通過させる。カプラ35を設けるには電気室31の内部での工事を伴うが、親局21は集合住宅30の外部に配置されるから、通信網51に接続するためのケーブルを集合住宅30の壁に通す必要はない。すなわち、無線通信の通信品質が低い環境であっても集合住宅30の内部工事のみを行ってカプラ35を付加するだけで、親局21と子局11との間で通信をより安定化させることが可能になる。
【0067】
この構成では、カプラ35を介して接続されているいずれかの配電線33に設けた子局側カプラ10が親局側カプラ20との間で無線通信を行えばよいから、親局側カプラ20と子局側カプラ10との間の無線通信路を多重化したことに相当する。
【0068】
ここで、図5に示すように、すべての配電線33の間でカプラ35を介して電力線搬送信号を伝送可能にしている場合には、親局側カプラ20において各子局側カプラ10との通信品質を評価して、記憶部26に記憶させる構成を採用してもよい。通信品質の評価には、無線通信に用いる通信信号の強度、無線通信の失敗に伴う再送回数などを用いる。この場合、親局側カプラ20の制御部25では、特定の子局側カプラ10との無線通信路の通信品質が低いときには(通信品質を定量化する評価値を閾値と比較する)、通信品質のより高い子局側カプラ10を選択して無線通信を行うことが可能になる。
【0069】
たとえば、親局21が特定の子局11をユニキャストで指定して検針情報を取得する際に、当該子局11が接続されている配電線33に設けた子局側カプラ10と通信したのでは、当該子局11との通信経路を確保できない場合がある。これに対して、本実施形態の構成では、他の配電線33に設けた子局側カプラ10を選択して子局11との通信経路を確保することが可能になる。
【0070】
親局側カプラ20において、無線通信の失敗時に再送を繰り返す機能を設けている場合に、上述の構成を採用すれば、通信品質の低い無線通信路を用いずに無線通信を行うことにより、通信の失敗に伴う再送を繰り返すことなく少ない回数で通信を成功させることが可能になる。すなわち、検針情報を取得するための通信時間が短くなる。
【0071】
ここに、親局21が特定の子局11を指定して通信を行う場合に、親局側カプラ20が複数台の子局側カプラ10との間で通信が可能であれば、親局側カプラ20では、複数の子局側カプラ10との通信経路を確保しておいてもよい。すなわち、親局21と特定の子局11との間の通信経路について、親局側カプラ20では複数の子局側カプラ10との無線通信路を選択可能とし、通信品質に応じた優先順位をあらかじめ設定しておくことが望ましい。この構成であれば、複数の無線通信路から通信可能な無線通信路を選択することにより子局11との通信が成功する可能性が高くなる。
【0072】
さらに、親局側カプラ20と子局側カプラ10との間でマルチホップ通信を行うようにしてもよい。たとえば、親局21が特定の子局11との通信を行う際に、当該子局11が接続されている配電線33に設けた子局側カプラ10と親局側カプラ20との間で無線通信を直接行うことができなければ、他の子局側カプラ10を中継して無線信号を伝送してもよい。
【0073】
ここに、無線信号を受信した子局側カプラ10では、受信した無線通信のパケットが他の子局側カプラ10に宛てた無線信号である場合には、その無線信号を他の子局側カプラ10に対して中継する。一方、子局側カプラ10では、受信した無線通信のパケットが自己宛の無線信号である場合には、その無線通信のパケットから電力線搬送通信のパケットを抽出して配電線33に送出する。この構成によって、親局側カプラ20から遠方に配置されている子局側カプラ10であっても、無線信号を到達させることが可能になる。
【0074】
上述した実施形態では、建物が集合住宅30である場合を例示した。ただし、親局21が接続されている柱上変圧器41の二次側の配電線42から戸建て住宅に給電している場合には、戸建て住宅に設置した電力メータ34から検針情報を取得する子局11を、当該配電線42に接続してもよい。この構成の場合には、親局21と子局11とは同じ配電線42に接続されるから、この配電線42には、親局側カプラ20および子局側カプラ10は不要である。
【0075】
また、二次側に親局21を接続していない柱上変圧器41の二次側の配電線42から需要家に給電している場合、当該配電線42に子局側カプラ10を設けておけば、当該配電線42に接続された子局11と親局21との間に通信路を確保することができる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。また、実施形態2の構成に本実施形態の構成を適用することを妨げない。
【符号の説明】
【0076】
10 子局側カプラ(第1のカプラ)
11 子局
12 電力線搬送通信インターフェース
13 無線通信インターフェース
15 制御部
16 記憶部
20 親局側カプラ(第2のカプラ)
21 親局
22 電力線搬送通信インターフェース
23 無線通信インターフェース
25 制御部
26 記憶部
30 集合住宅
32 降圧変圧器
33 配電線
34 電力メータ
35 (第3の)カプラ
41 柱上変圧器
50 上位集約サーバ
51 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数系統の配電線のいずれかに接続され検針情報を取得する複数台の子局と、前記子局が取得した検針情報を収集するとともに上位集約サーバに通知する親局と、配電線の各系統にそれぞれ接続され当該配電線に接続された前記子局との間で当該配電線を通信路に用いた電力線搬送通信を行う第1のカプラと、前記親局に接続された配電線を介して前記親局と接続され前記親局との間でこの配電線を通信路に用いた電力線搬送通信を行う第2のカプラとを備え、前記第1のカプラと前記第2のカプラとは、配電線を通信路に用いた電力線搬送通信を行う電力線搬送通信インターフェースと、前記第1のカプラと前記第2のカプラとの間で無線通信を行う無線通信インターフェースと、電力線搬送通信のパケットと無線通信のパケットとを相互に変換する制御部とをそれぞれ備え、前記親局と前記子局との間の通信経路に前記無線通信インターフェースにより形成される無線通信路を含むことを特徴とする遠隔検針システム。
【請求項2】
前記子局は同じ配電線に接続されている他の子局を中継に用いる電力線搬送通信におけるマルチホップ通信が可能であって、前記第1のカプラは、前記子局が生成した電力線搬送通信のパケットの宛先が前記親局である場合に前記第2のカプラに対する無線通信のパケットを生成することを特徴とする請求項1記載の遠隔検針システム。
【請求項3】
前記第1のカプラは、配電線から受信する通信信号の信号強度に対する閾値が設定されており、信号強度が閾値以上の場合にのみ前記第2のカプラに対する無線通信のパケットを生成することを特徴とする請求項1又は2記載の遠隔検針システム。
【請求項4】
前記第1のカプラにおける前記制御部は、前記電力線搬送通信インターフェースから受け取った電力線搬送通信のパケットをカプセル化した無線通信のパケットを生成する機能と、前記無線通信インターフェースから受け取った無線通信のパケットから電力線搬送通信のパケットを抽出する機能とを有し、さらに、前記無線通信インターフェースから受け取った無線通信のパケットに含まれる宛先が前記親局であるときに電力線搬送通信のパケットを配電線に送出しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遠隔検針システム。
【請求項5】
前記第1のカプラは、同じ配電線に接続されている前記子局が前記親局と通信する際に前記子局の識別情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記子局が前記親局との通信を1回以上行った後に前記子局をユニキャストで指定する無線通信のパケットを受け取ると、当該パケットに含まれる前記子局の識別情報を前記記憶部に記憶した識別情報と照合し、一致する識別情報が前記記憶部に記憶されているときにのみ、前記無線通信のパケットを前記電力線搬送通信のパケットに変換することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の遠隔検針システム。
【請求項6】
少なくとも1系統の配電線に前記第1のカプラが複数台接続され、1系統の配電線に接続された複数台の前記第1のカプラのうちのいずれかにおいて当該配電線に接続された前記子局への無線信号を受け取ると、当該第1のカプラの前記制御部が無線通信のパケットを電力線搬送通信のパケットに変換することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の遠隔検針システム。
【請求項7】
異なる2系統の配電線の間に電力の通過を阻止し電力線搬送信号を通過させる第3のカプラをさらに接続し、前記2系統の一方の配電線に接続されている前記子局は前記第3のカプラを介して他方の配電線に接続されている前記第1のカプラに電力線搬送通信の通信信号を伝送することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の遠隔検針システム。
【請求項8】
前記第2のカプラにおける前記制御部は、前記第3のカプラを介して接続されている複数系統の配電線に接続された前記第1のカプラのいずれかとの間の通信経路が利用できないときに、通信経路を利用できる他の第1のカプラを選択する機能を備えることを特徴とする請求項7記載の遠隔検針システム。
【請求項9】
前記親局と前記子局のうちの特定の子局との間に複数の通信経路があり、かつ各通信経路に含まれる前記第1のカプラが異なっている場合に、前記第2のカプラにおける前記制御部は、通信経路を利用できる前記第1のカプラをあらかじめ求め、前記第1のカプラのいずれかとの間の通信経路が利用できないときに、あらかじめ求められている前記第1のカプラの中から他の前記第1のカプラを選択する機能を備えることを特徴とする請求項8記載の遠隔検針システム。
【請求項10】
前記第1のカプラと前記第2のカプラとの間の通信経路において、前記第1のカプラにおける前記制御部は、前記無線通信インターフェースが受信した無線通信のパケットが他の第1のカプラに宛てられている場合に、当該無線信号のパケットを当該他の第1のカプラに対して中継する機能を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の遠隔検針システム。
【請求項11】
配電網における変圧器の二次側に接続された配電線をそれぞれ通信路に用いて伝送される電力線搬送信号を異なる配電線間で中継するカプラであって、各配電線にそれぞれ接続され電力線搬送信号を伝送する電力線搬送通信インターフェースと、無線信号を伝送する無線通信インターフェースと、前記電力線搬送通信インターフェースと前記無線通信インターフェースとの間で電力線搬送通信のパケットと無線通信のパケットとを相互に変換する制御部とを備え、前記制御部は、前記電力線搬送通信インターフェースが受け取った電力線搬送通信のパケットをカプセル化することにより無線通信のパケットを生成してこのパケットを前記無線通信インターフェースから無線信号を送出させる機能と、前記無線通信インターフェースが受け取った無線通信のパケットから電力線搬送通信のパケットを抽出しこのパケットを前記電力線搬送通信インターフェースから配電線に送出させる機能とを備えることを特徴とするカプラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−8894(P2012−8894A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145672(P2010−145672)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】