説明

適応型非線形等化方法及び装置

【課題】偏波多重光通信システムの適応型非線形補償方法及び装置を提供する。
【解決手段】適応型非線形補償装置は、入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値、該入力信号の水平成分の非線形歪み値及び該入力信号の垂直成分の、水平成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の水平成分に対して補償を行う水平偏波量補償ユニット、入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値、該入力信号の垂直成分の非線形歪み値及び該入力信号の水平成分の、垂直成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の垂直成分に対して補償を行う垂直偏波量補償ユニットを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の実施形態は、適応型非線形等化方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自己位相変調(Self-Phase Modulation:SPM)または、チャネル内非線形性(intra-channel nonlinearity)によって引き起こされた位相雑音及び波形歪みは、長距離伝送光通信システムの代償を招く主な発生源の一つである。コヒーレント光通信システムにおいて、デジタルコヒーレント受信機の適応型非線形等化(Adaptive Nonlinear Equalization:ANLE)を利用して自己位相変調の非線形歪みを補償することができる(例えば、文献Y.Gao、ECOC2009、paper9.4.7;Z.Pan,OFC2011,paper JThA40)。
【0003】
これら従来の適応型非線形等化の方法は、すべて単偏波システムのボルテラモデルに基づくものである。つまり、単偏波信号そのものの非線形歪みのみを考慮している。また偏波多重光通信システムのチャネル内非線形歪みは、各単偏波信号そのものの非線形歪みを含み、また2つの単偏波信号の間の光ファイバ非線形性によって引き起こされたクロストークも含む。このため、従来の方法は偏波多重光通信システムのチャネル内非線形歪みを十分に補償することができない。例えば、文献Z.Pan,OFC2011,paper JThA40は、従来の適応型非線形等化を偏波多重光通信システムに用い、その結果、性能は望ましいものではなかったことを明らかにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の実施形態は、偏波多重光通信システムの適応型非線形等化方法及び装置を提供することによって、偏波多重光通信システムのチャネル内非線形歪みをより有効に補償する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の一つの側面によれば、非線性補償装置を提供し、前記装置は適応型非線形等化器に用いられ、入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値を計算し、該入力信号に基づき該入力信号の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の垂直方向の成分の、該入力信号の水平方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の水平方向の成分に対して補償を行う、水平偏波量補償ユニット、入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値を計算し、該入力信号に基づき該入力信号の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の水平方向の成分の、該入力信号の垂直方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の垂直方向の成分に対して補償を行う、垂直偏波量補償ユニットを含む。
【0006】
本実施形態のさらにもう一つの側面によれば、偏波多重光通信システム用受信機を提供し、前記受信機は、受信機フロントエンド、前記受信機フロンドエンドに接続された波長分散補償装置、前記波長分散補償装置に接続された適応型非線形等化器、前記適応型非線形等化器に接続された周波数オフセット補償器、前記周波数オフセット補償器に接続された搬送波位相復調器、前記搬送波位相復調器に接続されたデータ復旧装置を含み、前記適応型非線形等化器は非線形補償装置によって実現される。
【0007】
本実施形態のさらにもう一つの側面によれば、偏波多重光通信システムを提供し、前記システムは前記受信機を含む。
本実施形態の一つの側面によれば、適応型非線形補償方法を提供し、入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値、該入力信号の水平方向の成分の非線形歪み値、及び該入力信号の垂直方向の成分の、該入力信号の水平方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の水平方向の成分に対して補償を行う、水平偏波量補償ステップ、入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値、該入力信号の垂直方向の成分の非線形歪み値、及び該入力信号の水平方向の成分の、該入力信号の垂直方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の垂直方向の成分に対して補償を行う、垂直偏波量補償ステップを含む。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態の有益な効果は、適応型非線形等化器の遅延タップに対応する非線形項中に、2つの単偏波信号の間の相互クロストークを表す部分を追加することによって、偏波多重光通信システム適する非線形等化器を構成し、これにより、偏波多重光通信システムのチャネル内非線形歪みをより有効に補償することができることにある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の双偏波適応型非線形等化器の構造を示す図である。
【図2】本実施形態の非線形補償装置の構成を示す図である。
【図3】本実施形態の非線形補償装置の水平偏波量補償ユニットの構造を示す図である。
【図4】本実施形態の非線形補償装置の垂直偏波量補償ユニットの構造を示す図である。
【図5】従来の適応型非線形等化器のフィルタの構造を示す図である。
【図6】従来の適応型非線形等化器を用いた受信機の構成を示す図である。
【図7】性能比較を示す図である。
【図8a】本実施形態の受信機の構成を示す図(その1)である。
【図8b】本実施形態の受信機の構成を示す図(その2)である。
【図8c】本実施形態の受信機の構成を示す図(その3)である。
【図8d】本実施形態の受信機の構成を示す図(その4)である。
【図9】本実施形態の適応型非線形補償方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照し、本実施形態の前記及びその他の特徴を詳しく説明する。これらの実施形態は例示的なものにすぎず、本実施形態に対する制限ではない。本分野の当業者が本発明の原理及び実施方法を理解しやすくするため、本実施形態の等化器はボルテラモデルを含むフィルタを例として説明を行うが、本発明の実施形態は上記モデルに限らないことと理解されたい。
【0011】
図1は、本実施形態の双偏波適応型非線形等化器(DP-ANLE、Dual Polarization-ANLE)の構造を示す図である。図1を参照すると、その主体はボルテラフィルタである。該フィルタの係数(weight)は、例えばRLS(Recursive Least Squares:逐次最小2乗法)、及びLMS(Least Mean Squares:最小2乗平均法)等の適応型アルゴリズム(adaptive weight−update algorithm)によって更新される。期待応答(desired response)はトレーニング信号(training sequence)または判定(DEC)によって提供される。誤差信号(error)は現行出力と期待応答の差である。周波数オフセットの影響が存在する場合、周波数オフセット補償ユニット(FOC:frequency offset compensation)を追加してもよく、ここで、Δfはフィードバックされた周波数オフセット推定値である。位相雑音の影響が存在する場合、搬送波位相復調ユニット(CPR:carrier phase recovery)を追加してもよく、ここで、Δφはフィードバックされた位相雑音推定値である。このとき、誤差信号を計算する場合、期待応答に位相雑音をかける必要があり、図1に示すとおりである。
【0012】
図1に示す適応型非線形等化器に基づいて、本実施形態の偏波多重光通信システムの適応型非線形等化方法及び装置を示し、以下に具体的な実施形態によって、本実施形態の装置及び方法について詳細な説明を行う。
【0013】
[実施形態1]
本実施形態は、非線形補償装置を提供する。図2は、本実施形態の非線形補償装置の構成を示す図である。図2において、該装置は、
・入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値を計算し、該入力信号に基づき該入力信号の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の垂直方向の成分の、該入力信号の水平方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の水平方向の成分に対して補償を行う、水平偏波量補償ユニット21、
・入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値を計算し、該入力信号に基づき該入力信号の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の水平方向の成分の、該入力信号の垂直方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の水平方向の成分に対して補償を行う、垂直偏波量補償ユニット22、
を含む。
【0014】
次に、図3に基づいて、本実施形態の水平偏波量補償ユニット21について詳細な説明を行う。
一実施形態における水平偏波量補償ユニット21の該入力信号の線形歪み値計算において、該入力信号の線形歪み値は該入力信号の水平方向の成分(以下入力信号の水平成分という)の線形歪み値及び該入力信号の垂直方向の成分(以下入力信号の垂直成分という)の線形歪み値を含む。ここで、該入力信号の水平成分の線形歪み値は該入力信号の水平成分の各サンプリング点におけるサンプリング時刻(n−p)(nは出力信号の時刻であり、pは時間間隔であり、p∈(−∞〜+∞))の値と各サンプリング点におけるサンプリング時刻(n−p)に対応する水平成分の線形項の係数との積である。同様に、該入力信号の垂直成分の線形歪み値は該入力信号の垂直成分の各サンプリング点におけるサンプリング時刻(n−p)(nは出力信号の時刻であり、pは時間間隔であり、p∈(−∞〜+∞))の値と各サンプリング点におけるサンプリング時刻(n−p)に対応する垂直成分の線形項の係数との積である。
【0015】
一実施形態における水平偏波量補償ユニット21の該入力信号の水平成分の非線形歪み値計算において、各サンプリング点について複数のサンプリング時刻を選択して、該入力信号の該サンプリング点における複数のサンプリング時刻の水平成分の非線形歪み値を計算することができる。好ましくは、3つのサンプリング時刻を選択することができ、以下に3つのサンプリング時刻を選択したものを例として、本実施形態について説明を行うが、本実施形態はこれを制限とするものではない。ここで、該入力信号の水平成分の非線形歪み値は該入力信号の水平成分のサンプリング時刻(n−l)における値と、サンプリング時刻(n−m)における値と、サンプリング時刻(n−k)における値との共役であり、また該サンプリング点における非線形項の係数との積である。ここで、nはやはり出力信号の時刻であり、l、m、kは3つの時間間隔である。l∈(−∞〜+∞),m∈(−∞〜+∞),k∈(−∞〜+∞)好ましくはl+m−k=0である。
【0016】
一実施形態における水平偏波量補償ユニット21の該入力信号の垂直成分の水平成分に対するクロストーク値計算において、該入力信号の水平成分の非線形歪み値計算と類似し、各サンプリング点について複数のサンプリング時刻を選択して、該入力信号の該サンプリング点における複数のサンプリング時刻の垂直成分の水平成分に対するクロストーク値を計算することができる。ここで、選択したサンプリング時刻は前記非線形歪み値計算時に選択したサンプリング時刻と同一である。ここで、該入力信号の垂直成分の水平成分に対するクロストーク値は該入力信号の水平成分のサンプリング時刻(n−l)における値と、該入力信号の垂直成分のサンプリング時刻(n−m)における値と、該入力信号の垂直成分のサンプリング時刻(n−k)における値との共役であり、また該サンプリング点における非線形項の係数との積である。ここで、各パラメータの意味及び値の範囲は上記と同一である。
【0017】
一実施形態において、水平偏波量補償ユニット21が前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の水平方向の成分に対して補償を行う場合、以下の公式によって実現することができる。
【数1】

【0018】
三段階以後の非線形補償部分の出力信号に対する影響は非常に小さいため、本実施形態では3段階以後の部分を考慮しない。すなわち、上記公式中の「…」部分は無視することができる。
【0019】
式中、x_hは入力された双偏波信号中の水平成分であり、y_hは出力された双偏波信号中の水平成分である。好ましくは、l+m−k=0であれば、上式は以下のように簡略化することができる。
【数2】

【0020】
好ましくは、計算された線形及び非線形歪みの項数を切り捨てて2N+1個の連続サンプリング点にすれば、上式は以下のように簡略化することができる。
【数3】

【0021】
図3は、本実施形態の非線形補償装置の水平偏波量補償ユニット21の構造を示す図である。図3において、該水平偏波量補償ユニット21が該入力信号の水平成分の線形歪み値を計算する場合、各サンプリング点の1つのサンプリング時刻の線形歪み値を計算することになる。該水平偏波量補償ユニット21が該入力信号の水平成分の非線形歪み値及び該入力信号の垂直成分の水平成分に対するクロストーク値を計算する場合、各サンプリング点の若干数のサンプリング時刻(図3の実施形態においては3つのサンプリング時刻である)の非線形歪み値及びクロストーク値を計算することになる。
【0022】
さらに、図3において、該水平偏波量補償ユニット21は、複数の第一遅延タイマ31、複数の第二遅延タイマ32、複数の第一乗算器33、複数の第二乗算器34、複数の第一加算器35及び第一総和加算器36を含む。
ここで、該複数の第一遅延タイマ31は、それぞれ、サンプリング間隔に応じて前記入力信号の水平方向の成分に対して遅延を行う。
【0023】
ここで、qTは該適応型非線形等化器のサンプリング間隔である。
該複数の第二遅延タイマ32はそれぞれサンプリング間隔に応じて前記入力信号の垂直方向の成分に対して遅延を行う。
【0024】
ここで、qTは該適応型非線形等化器のサンプリング間隔である。
各第一乗算器33は該入力信号の相応のサンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の水平方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の水平方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の水平方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の該サンプリング点の水平方向の成分の非線形歪み値を得るために用いられる。
【0025】
各第二乗算器34は、該入力信号の相応のサンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の水平方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の垂直方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の垂直方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の該サンプリング点の垂直方向の成分の、水平方向の成分に対するクロストーク値を得るために用いられる。
【0026】
各第一加算器35は、該入力信号の上記サンプリング点の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の上記サンプリング点の垂直方向の成分の、水平方向の成分に対するクロストーク値を加算するために用いられる。
【0027】
第一総和加算器36は、該入力信号の水平成分と当該水平成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、該入力信号の垂直成分と当該垂直成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、及び各第一加算器35の計算結果と当該計算結果の相応のサンプリング点において対応する非線形項の係数との積を加算し、該入力信号の水平方向の成分の出力を得るために用いられる。
【0028】
ここで、C0,h、C1,h、C2,h…は、それぞれ入力信号の水平成分のサンプリング点0、1、2…において対応する線形項の係数であり、C0,v、C1,v、C2,v…は、それぞれ入力信号の垂直成分のサンプリング点0、1、2…において対応する線形項の係数であり、C0,1,1、C1,0,1、C2,0,2…は、それぞれ入力信号のサンプリング点0、1、2…において対応する非線形項の係数である。
【0029】
次に、図4に基づいて、本実施形態の垂直偏波量補償ユニット22に対して詳細な説明を行う。
一実施形態における垂直偏波量補償ユニット22の該入力信号の線形歪み値計算において、該入力信号の線形歪み値は、該入力信号の水平成分の線形歪み値及び該入力信号の垂直成分の線形歪み値をも含む。ここで、該入力信号の水平成分の線形歪み値及び該入力信号の垂直成分の線形歪み値の計算方法は水平偏波量補償ユニット21の計算方法と同一であり、ここでは説明を省略する。
【0030】
一実施形態における垂直偏波量補償ユニット22の該入力信号の垂直成分の非線形歪み値計算において、水平偏波量補償ユニット21の該入力信号の水平成分の非線形歪み値計算と類似し、各サンプリング点について複数のサンプリング時刻を選択して、該入力信号の該サンプリング点における複数のサンプリング時刻の垂直成分の非線形歪み値を計算することができる。好ましくは、3つのサンプリング時刻を選択することができ、以下に、3つのサンプリング時刻を選択したものを例として、本実施形態について説明を行うが、本実施形態はこれを制限とするものではない。ここで、該入力信号の垂直成分の非線形歪み値は該入力信号の垂直成分のサンプリング時刻(n−l)における値と、サンプリング時刻(n−m)における値と、サンプリング時刻(n−k)における値との共役であり、また、該サンプリング点における非線形項の係数との積である。ここで、nは、やはり出力信号の時刻であり、l、m、kは3つの時間間隔である。1∈(−∞〜+∞), m∈(−∞〜+∞), k∈(−∞〜+∞)好ましくは、l+m−k=0である。
【0031】
一実施形態における垂直偏波量補償ユニット22の該入力信号の水平成分の垂直成分に対するクロストーク値計算において、水平偏波量補償ユニット21の該入力信号の垂直成分の水平成分に対するクロストーク値計算と類似し、各サンプリング点について複数のサンプリング時刻を選択して、該入力信号の該サンプリング点における複数のサンプリング時刻の水平成分の垂直成分に対するクロストーク値を計算することができる。ここで、選択したサンプリング時刻は、前記非線形歪み値計算時に選択したサンプリング時刻と同一である。ここで、該入力信号の水平成分の垂直成分に対するクロストーク値は該入力信号の垂直成分のサンプリング時刻(n−l)における値と、該入力信号の水平成分のサンプリング時刻(n−m)における値と、該入力信号の水平成分のサンプリング時刻(n−k)における値との共役であり、また該サンプリング点における非線形項の係数との積である。ここで、各パラメータの意味及び値の範囲は前記と同一である。
【0032】
一実施形態において、垂直偏波量補償ユニット22は前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の垂直方向の成分に対して補償を行い、以下の公式によって実現することができる。
【数4】

【0033】
三段階以後の非線形補償部分の出力信号に対する影響は非常に小さいため、本実施形態では3段階以後の部分を考慮しない。すなわち、上記公式中の「…」部分は無視することができる。
【0034】
ここで、x_vは、入力された双偏波信号中の垂直成分であり、y_vは出力された双偏波信号中の垂直成分である。好ましくは、l+m−k=0であれば、上式は以下のように簡略化することができる。
【数5】

【0035】
計算された線形及び非線形歪みの項数を切り捨てて2N+1個の連続サンプリング点にすれば、上式は以下のように簡略化することができる。
【数6】

【0036】
図4は、本実施形態の非線形補償装置の垂直偏波量補償ユニット22の構造を示す図である。図4において、該垂直偏波量補償ユニット22が、該入力信号の垂直成分の線形歪み値を計算する場合、各サンプリング点の1つのサンプリング時刻の線形歪み値を計算することになる。該垂直偏波量補償ユニット22が、該入力信号の垂直成分の非線形歪み値及び該入力信号の水平成分の垂直成分に対するクロストーク値を計算する場合、各サンプリング点の若干数のサンプリング時刻(図4の実施形態においては、3つのサンプリング時刻である)の非線形歪み値及びクロストーク値を計算することになる。
【0037】
さらに、図4において、該垂直偏波量補償ユニット22は、複数の第三遅延タイマ41、複数の第四遅延タイマ42、複数の第三乗算器43、複数の第四乗算器44、複数の第二加算器45及び第二総和加算器46を含む。ここで、
該複数の第三遅延タイマ41は、それぞれサンプリング間隔に応じて前記入力信号の垂直方向の成分に対して遅延を行い、
該複数の第四遅延タイマ42は、それぞれサンプリング間隔に応じて前記入力信号の水平方向の成分に対して遅延を行い、
各第三乗算器43は、該入力信号の相応のサンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の垂直方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の垂直方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の垂直方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の該サンプリング点の垂直方向の成分の非線形歪み値を得るために用いられ、
各第四乗算器44は、該入力信号の相応のサンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の垂直方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の水平方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の水平方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の該サンプリング点の水平方向の成分の、垂直方向の成分に対するクロストーク値を得るために用いられ、
各第二加算器45は、該入力信号の上記サンプリング点の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の上記サンプリング点の水平方向の成分の、垂直方向の成分に対するクロストーク値を加算するために用いられ、
第二総和加算器46は、該入力信号の垂直成分と当該垂直成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、該入力信号の水平成分と当該水平成分との各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、及び各第一加算器45の計算結果と当該計算結果の相応のサンプリング点において対応する非線形項の係数との積を加算し、該入力信号の垂直方向の成分の出力を得るために用いられる。
【0038】
ここで、C0,v、C1,v、C2,v…は、それぞれ入力信号の垂直成分のサンプリング点0、1、2…において対応する線形項の係数であり、C0,h、C1,h、C2,h…は、それぞれ入力信号の水平成分のサンプリング点0、1、2…において対応する線形項の係数であり、C0,1,1、C1,0,1、C2,0,2…は、それぞれ入力信号のサンプリング点0、1、2…において対応する非線形項の係数である。
【0039】
本実施形態の非線形補償装置は、適応型非線形等化器に用いられ、偏波多重光通信システムのチャネル内非線形歪みを有効に補償することができる。ここで、該適応型非線形等化器の各線形項及び非線形項の係数、すなわち、上記線形項の係数及び非線形項の係数は、再帰的最小2乗法(Recursive Least Square:RLS)または最小2乗平均法(Least Mean Square:LMS)等の適応によって得られる。また、本実施形態の非線形補償装置はmPSK、mQAM、mAPSK等、各種変調方式及びサブキャリア多重またはOFDM技術に適用されるが、それに限られない。
【0040】
本実施形態は、偏波多重システムのボルテラモデルに基づく適応型非線形等化方法及び装置を提供した。新たなモデル、すなわち本実施形態の非線形補償装置を用いることによって、適応型非線形等化器の遅延タップに対応する非線形項中に、2つの単偏波信号の間の相互クロストークを表す部分を追加して、適当な偏波多重光通信システムの非線形等化器を構築し、偏波多重光通信システムのチャネル内非線形歪みを有効に補償することができる。
【0041】
従来の適応型非線形等化器のボルテラフィルタが、単偏波システムのボルテラモデルを用いているのと比べると、本実施形態の適応型非線形等化器は偏波多重システムの性能を高めた。以下、対比して説明を行う。
【0042】
図5は従来の適応型非線形等化器(ANLE)中のボルテラフィルタの構造を示す図である。文献Y.Gao,ECOC2009,paper9.4.7にあるように、ここで入力信号xは単偏波信号である。Tは各記号の持続時間であり、qTはANLEのサンプリング間隔を表す。一般的には、等化器中の線形部分と非線形部分は、ともに同一のサンプリング間隔を用いる。例えばqを1/2とすると、2倍のオーバーサンプリングを用いることになる。
【0043】
図5において、該従来の適応型非線形等化器(ANLE)のボルテラフィルタは単偏波システムのボルテラモデルを用いている。
【数7】

【0044】
ここで、xは等化器の入力信号であり、yは等化器の出力信号であり、cは等化器のタップ係数であり、nは出力信号の時刻である。通常、位相整合条件を応用してボルテラフィルタを簡略化すれば、l+m−k=0となり、上記モデルは以下のように簡略化することができる。
【数8】

ここで、
【数9】

は線形補償部分であり、
【数10】

は非線形補償部分である。
【0045】
3段階以後の非線形補償部分の出力信号に対する影響は非常に小さいため、該適応型非線形等化器では。3段階以後の非線形補償部分を考慮しない。すなわち以上の公式中の
【数11】

のみを非線形補償部分とする。
【0046】
従来の適応型非線形等化器(ANLE)を直接偏波多重システムに用いる場合、偏波多重分離後に、2つの信号についてそれぞれ2つの同一構造の独立した等化器ANLEに入れる。すなわち、図6の構造である。文献Z.Pan,OFC2011,paper JThA40を参照されたい。これからわかるように、従来の適応型非線形等化器(ANLE)は2つの単偏波信号の間の光ファイバ非線形性によって引き起こされるクロストークを考慮していない。
【0047】
図7は、従来の適応型非線形等化器(ANLE)を用いたシステム性能と本実施形態の双偏波適応型非線形等化器(DP−ANLE)を用いたシステム性能の比較を示す図である。図7を参照されたい。図7では、ある典型的な偏波多重長距離コヒーレント光伝送実験において非線形補償器を使用しないで、従来の適応型非線形等化器(ANLE)を用いた場合、及び、本実施形態のDP−ANLEを用いた場合の性能を示した。図7中からわかるように、従来の適応型非線形等化器(ANLE)は、偏波多重システムの性能を有効に高めることはできないが、本実施形態のDP−ANLEはシステム性能を有効に高めることができる。
【0048】
[実施形態2]
本実施形態は、さらに、偏波多重光通信システム用受信機を提供する。図8aから図8dは本実施形態の非線形補償装置を用いた偏波多重適応型非線形等化器(DP−ANLE)のコヒーレント受信機中における位置を示す。DP−ANLEは、波長分散補償装置の後、周波数オフセット補償器及び搬送波位相復調器の前に置くことができ、図8aに示すとおりである。周波数オフセットまたは位相雑音の影響が存在する場合、後続の周波数オフセット補償装置及び搬送波位相復調器の出力結果をDP−ANLEにフィードバックすることができ、図8bに示すとおりである。必要があれば、DP−ANLEの前に、適応型線形等化及び偏波多重分離装置を追加することができ、図8c及び8dに示すとおりである。
【0049】
典型的なコヒーレント受信機構造は、出願番号200710196347.8及び200710188795.3の中国特許出願を参照されたい。図8aから8d中の受信機のその他の装置には、波長分散補償、適応型線形等化及び偏波多重分離、周波数オフセット補償、位相復調、データ復元等を含み、従来の各種公知の技術によって実現することができ、ここではこれ以上述べない。
【0050】
具体的には、図8aにおいて、該偏波多重光通信システム用受信機は、
受信機フロントエンド81、
前記受信機フロントエンドに接続された波長分散補償装置82、
前記波長分散補償装置に接続された適応型非線形等化器83、
前記適応型非線形等化器に接続された周波数オフセット補償器84、
前記周波数オフセット補償装置に接続された搬送波位相復調器85、
前記搬送波位相復調器に接続されたデータ復旧装置86
を含む。
【0051】
本実施形態において、受信機フロントエンド81、波長分散補償装置82、周波数オフセット補償器84、搬送波位相復調器85及びデータ復旧装置86は従来手段によって実現することができ、ここではこれ以上述べない。ここで、適応型非線形等化器83は実施形態1の非線形補償装置によって実現される。実施形態1においてすでに該非線形補償装置について詳細に説明したので、その内容は、ここではこれ以上述べない。
【0052】
一実施形態において、周波数オフセットまたは位相雑音の影響が存在する場合、後続の周波数オフセット補償装置84及び搬送波位相復調器85の出力結果をDP−ANLEにフィードバックしてもよく、図8bに示すとおりである。
【0053】
もう一つの実施形態において、図8a及び8bに基づいて、さらに適応型非線形等化器(DP−ANLE)83の前に適応型線形等化及び偏波多重分離装置87を追加してもよく、図8c及び8dに示すとおりである。
【0054】
実施形態1の実験データのように、本実施形態1の非線形補償装置を適応型非線形等化器として用いた場合、偏波多重光通信システムのチャネル内非線形歪みをより有効に補償し、システム性能を高めることができる。
【0055】
[実施形態3]
本実施形態はさらに、偏波多重光通信システムを提供し、ここで、該システムは実施形態2中の受信機を含み、実施形態2中の受信機は実施形態1の非線形補償装置を含む。
実施形態1においてすでに、該非線形補償装置について詳細な説明を行ったので、ここではこれ以上述べない。
【0056】
本実施形態の偏波多重光通信システムによって、偏波多重光通信システムのチャネル内非線形歪みを有効に補償し、システム性能を高めた。
【0057】
[実施形態4]
本実施形態はさらに適応型非線形補償方法を提供する。図9は、本実施形態の方法のフローチャートである。図9において、該方法は、
入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値、該入力信号の水平方向の成分の非線形歪み値、及び該入力信号の垂直方向の成分の、該入力信号の水平方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の水平方向の成分に対して補償を行う、水平偏波量補償ステップ91、
入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値、該入力信号の垂直方向の成分の非線形歪み値、及び該入力信号の水平方向の成分の、該入力信号の垂直方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の垂直方向の成分に対して補償を行う、垂直偏波量補償ステップ92
を含む。
【0058】
本実施形態において、ステップ91及びステップ92の前後順序は制限されず、例えばまずステップ92を実行し、その後ステップ91を実行し、またはステップ91及びステップ92を同時に実行してもよい。
【0059】
ここで、前記水平偏波量補償ステップは、具体的には、該入力信号に基づき、各サンプリング点の1つのサンプリング時刻における該入力信号の線形歪み値を計算し、また各サンプリング点の若干数のサンプリング時刻における、該入力信号の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の垂直方向の成分の、該入力信号の水平方向の成分に対するクロストーク値を計算する。
【0060】
ここで、前記水平偏波量補償ステップは、
サンプリング間隔に応じて、前記入力信号の水平方向の成分に対して遅延を行い、
サンプリング間隔に応じて、前記入力信号の垂直方向の成分に対して遅延を行い、
該入力信号の各サンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の水平方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の水平方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の水平方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の該サンプリング点の水平方向の成分の非線形歪み値を得、
該入力信号の各サンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の水平方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の垂直方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の垂直方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の該サンプリング点の垂直方向の成分の、水平方向の成分に対するクロストーク値を得、
該入力信号の各サンプリング点の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の各サンプリング点の垂直方向の成分の、水平方向の成分に対するクロストーク値を加算し、
該入力信号の水平成分と当該水平成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、該入力信号の垂直成分と当該垂直成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、及び各サンプリング点の非線形歪み値とクロストーク値との和と当該和の相応のサンプリング点において対応する非線形項の係数との積を加算し、該入力信号の水平方向の成分の出力を得る、
を含む。
【0061】
ここで、前記垂直偏波量補償ステップは、具体的には、該入力信号に基づき、各サンプリング点の1つのサンプリング時刻、該入力信号の線形歪み値を計算し、また各サンプリング点の若干数のサンプリング時刻における、該入力信号の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の水平方向の成分の、該入力信号の垂直方向の成分に対するクロストーク値を計算する。
【0062】
ここで、前記垂直偏波量補償ステップは、
サンプリング間隔に応じて、前記入力信号の垂直方向の成分に対して遅延を行い、
サンプリング間隔に応じて、前記入力信号の水平方向の成分に対して遅延を行い、
該入力信号の各サンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の垂直方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の垂直方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の垂直方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の前記サンプリング点の垂直方向の成分の非線形歪み値を得、
該入力信号の各サンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の垂直方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の水平方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の水平方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の前記サンプリング点の水平方向の成分の、垂直方向の成分に対するクロストーク値を得、
該入力信号の各サンプリング点の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の各サンプリング点の水平方向の成分の、垂直方向の成分に対するクロストーク値を加算し、
該入力信号の垂直成分と当該垂直成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、該入力信号の水平成分と当該水平成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、及び各サンプリング点の非線形歪み値とクロストーク値との和と当該和の相応のサンプリング点において対応する非線形項の係数との積を加算し、該入力信号の垂直方向の成分の出力を得る、
を含む。
【0063】
本実施形態が問題を解決する方法は実施形態1と類似しているため、その具体的な実施は実施形態1の実施を参照することができ、重複箇所はこれ以上述べない。
本実施形態の適応型非線形補償方法によって、偏波多重光通信システムのチャネル内非線形歪みを有効に補償し、システム性能を高めることができる。
【0064】
本実施形態は、さらにコンピュータ読取可能プログラムを提供し、ここでコヒーレント受信する等化器中で該プログラムを実行する場合、該プログラムはコンピュータに前記等化器中で実施形態4に記載の方法を実行させる。
【0065】
本実施形態は、さらにコンピュータ読取可能プログラムを保存する記憶媒体を提供し、ここで該コンピュータ読取可能プログラムはコンピュータにコヒーレント受信機の等化器中で実施形態4に記載の方法を実行させる。
【0066】
本実施形態の各部分はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの組み合わせを用いて実現することができる。上記実施形態において、複数のステップまたは方法はメモリ中に保存され、適宜な命令実行システムによって実行されるソフトウェアまたはファームウェアによって実現することができる。例えば、ハードウェアを用いて実現する場合、他の実施形態におけるのと同様、本分野において公知の以下の技術のうちいずれか1つ、または、それらの組み合わせを用いて実現することができ、データ信号に対して論理機能を実現する論理ゲート回路に用いられる離散論理回路を有し、適当な論理ゲート回路を組み合わせた専用集積回路、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を有する。
【0067】
フローチャート中もしくはここでその他の形で記述されたいずれかの過程または方法記述もしくはフレームは、1つまたは複数の特定の論理機能または過程中のステップを実現するために用いられる実行可能命令のコードのモジュール、フラグメントまたはパーツを含むことを表し、本実施形態の範囲は他の実現を含むと理解でき、ここで、示されまたは検討された順序にしたがわなくてもよく、関連する機能に基づき、ほぼ同時の形で、または反対の順序で、機能を実行することを含み、これは本発明に記載の技術分野の当業者によって理解されるべきである。
【0068】
フローチャート中に示され、または、ここでその他の形で記述された論理及び/もしくはステップは、例えば、論理機能を実現するために用いられる実行可能命令の固定シーケンスチャートであると考えられ、いかなるコンピュータ読取可能媒体中においても具体的に実現され、それによって命令実行システム、装置または機器(コンピュータに基づくシステム、プロセッサを含むシステムまたはその他の命令実行システム、装置または機器から命令を受け取り、命令を実行することができるシステム等)によって使用され、またはこれらの命令実行システム、装置または機器と一緒に使用することができる。「コンピュータ読取可能媒体」とはプログラムを含有、保存、通信、伝播または伝送し、それによって命令実行システム、装置もしくは機器またはこれらの命令実行システム、装置もしくは機器と一緒に使用することができるいずれかの装置であってもよい。コンピュータ読取可能媒体は、例えば電子、磁気、光、電磁、赤外線もしくは半導体システム、装置、機器または伝播媒体であってもよくそれに限られない。コンピュータ読取可能媒体のさらに具体的な例(非網羅的リスト)として、1つまたは複数の配線を有する電気接続部(電子装置)、ポータブルコンピュータディスクケース(磁気装置)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(電子装置)、読み出し専用メモリ(ROM)(電子装置)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)(電子装置)、光ファイバ(光学装置)及びポータブル光ディスク読み出し専用メモリ(CDROM)(光学装置)を含む。また、コンピュータ読取可能媒体はその上に前記プログラムを印刷した紙またはその他の適当な媒体でさえあってもよく、例えば紙またはその他の媒体に対して光学スキャンを行い、続いて編集、復号または必要に応じ他の適当な形で処理を行うことによって電子方式で前記プログラムを入手することができるため、その後それをコンピュータメモリ中に保存する。
【0069】
上記文字による説明及び図面によって本発明の各種さまざまな特徴を示した。本分野の一般当業者なら適当なコンピュータコードを準備して上に記述し、且つ図面中に例示した各ステップ及び過程を実現することができることを理解すべきである。さらに、上に記述した各種端末、コンピュータ、サーバ、ネットワーク等はいかなるタイプのものであってもよく、公開内容に基づいて前記コンピュータコードを準備することによって前記装置を利用して本発明を実現することができることを理解すべきである。
【0070】
すでに特定の好ましい実施方法または複数の実施方法について示し、本実施形態を記述したが、本分野の当業者なら明細書及び図面を読み、理解するときに、同等の修正例及び変形例を想起することができる。特に上記要素(部品、アセンブリ、装置、構成等)によって実行される各種機能については、別途指摘がある場合を除き、これらの要素を記述するために用いられる用語(「装置」の引用を含む)は、たとえ該要素が構造上本発明に例示された例示的実施方法また複数の実施方法中で該機能を実行する公開構造と異なっていたとしても、前記要素の具体的機能を実行する任意の要素(すなわち、機能等価性)に対応することを望むものである。また、以上ですでにいくつか例示された実施形態中のただ1つまたは複数について、本発明の具体的特徴を記述したが、必要に応じて、また任意の確定または具体的応用に対して役立つ面から考えて、このような特徴とその他の実施方法のうちの1つまたは複数のその他の特徴を結合することができる。
【0071】
以上の複数の実施形態を含む実施方法に関して、さらに以下の付記を公開する。
(付記1)
適応型非線形等化器に応用され、
入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値を計算し、該入力信号に基づき該入力信号の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の垂直方向の成分の、該入力信号の水平方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の水平方向の成分に対して補償を行う、水平偏波量補償ユニット、
入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値を計算し、該入力信号に基づき該入力信号の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の水平方向の成分の、該入力信号の垂直方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の水平方向の成分に対して補償を行う、垂直偏波量補償ユニット
を含む非線形補償装置。
(付記2)
前記水平偏波量補償ユニットは具体的には、該入力信号に基づき、各サンプリング点の若干数のサンプリング時刻における、該入力信号の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の垂直方向の成分の、該入力信号の水平方向の成分に対するクロストーク値を計算する、付記1に記載の装置。
(付記3)
前記水平偏波量補償ユニットは、複数の第一遅延タイマ、複数の第二遅延タイマ、複数の第一乗算器、複数の第二乗算器、複数の第一加算器及び第一総和加算器を含み、
前記複数の第一遅延タイマはそれぞれサンプリング間隔に応じて前記入力信号の水平方向の成分に対して遅延を行うために用いられ、
前記複数の第二遅延タイマはそれぞれサンプリング間隔に応じて前記入力信号の垂直方向の成分に対して遅延を行うために用いられ、
各前記第一乗算器は該入力信号の相応のサンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の水平方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の水平方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の水平方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の該サンプリング点の水平方向の成分の非線形歪み値を得るために用いられ、
各前記第二乗算器は該入力信号の相応のサンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の水平方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の垂直方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の垂直方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の該サンプリング点の垂直方向の成分の、水平方向の成分に対するクロストーク値を得るために用いられ、
前記複数の第一加算器はそれぞれ該入力信号の相応のサンプリング点の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の相応のサンプリング点の垂直方向の成分の、水平方向の成分に対するクロストーク値を加算するために用いられ、
前記第一総和加算器は該入力信号の水平成分と当該水平成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、該入力信号の垂直成分と当該垂直成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、及び各前記第一加算器の計算結果と当該結果の相応のサンプリング点において対応する非線形項の係数との積を加算し、該入力信号の水平方向の成分の出力を得るために用いられる、付記2に記載の装置。
(付記4)
前記垂直偏波量補償ユニットは具体的には、該入力信号に基づき、若干数のサンプリング時刻における、該入力信号の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の水平方向の成分の、該入力信号の垂直方向の成分に対するクロストーク値を計算する付記1に記載の装置。
(付記5)
前記垂直偏波量補償ユニットは、複数の第三遅延タイマ、複数の第四遅延タイマ、複数の第三乗算器、複数の第四乗算器、複数の第二加算器及び第二総和加算器を含み、
前記複数の第三遅延タイマはそれぞれサンプリング間隔に応じて前記入力信号の垂直方向の成分に対して遅延を行うために用いられ、
前記複数の第四遅延タイマはそれぞれサンプリング間隔に応じて前記入力信号の水平方向の成分に対して遅延を行うために用いられ、
各前記第三乗算器は該入力信号の相応のサンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の垂直方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の垂直方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の垂直方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の前記サンプリング点の垂直方向の成分の非線形歪み値を得るために用いられ、
各前記第四乗算器は該入力信号の相応のサンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の垂直方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の水平方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の水平方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の前記サンプリング点の水平方向の成分の、垂直方向の成分に対するクロストーク値を得るために用いられ、
各前記第二加算器はそれぞれ該入力信号の相応のサンプリング点の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の相応のサンプリング点の水平方向の成分の、垂直方向の成分に対するクロストーク値を加算するために用いられ、
前記第二総和加算器は該入力信号の垂直成分と当該垂直成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、該入力信号の水平成分と当該水平成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、及び各前記第二加算器の計算結果と当該計算結果の相応のサンプリング点において対応する非線形項の係数との積を加算し、該入力信号の垂直方向の成分の出力を得るために用いられる、付記4に記載の装置。
(付記6)
受信機フロントエンド、
前記受信機フロントエンドと接続された波長分散補償装置、
前記波長分散補償装置と接続された適応型非線形等化器、
前記適応型非線形等化器と接続された周波数オフセット補償器、
前記周波数オフセット補償器と接続された搬送波位相復調器、
前記搬送波位相復調器と接続されたデータ復旧装置、
を含み、
前記適応型非線形等化器は付記1〜5のいずれか1項に記載の非線形補償装置によって実現される、偏波多重光通信システム用受信機。
(付記7)
さらに、前記波長分散補償装置と前記適応型非線形等化器の間に位置する適応型線形等化及び偏波多重分離装置を含む付記6に記載の受信機。
(付記8)
前記周波数オフセット補償器は、さらに前記適応型非線形等化器に周波数オフセット補償結果をフィードバックするために用いられ、前記搬送波位相復調器はさらに前記適応型非線形等化器に位相復調結果をフィードバックするために用いられる、付記6または7に記載の受信機。
(付記9)
付記4〜6のいずれか1項に記載の受信機を含む、偏波多重光通信システム。
(付記10)
入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値、該入力信号の水平方向の成分の非線形歪み値、及び該入力信号の垂直方向の成分の、該入力信号の水平方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の水平方向の成分に対して補償を行う、水平偏波量補償ステップ、
入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値、該入力信号の垂直方向の成分の非線形歪み値、及び該入力信号の水平方向の成分の、該入力信号の垂直方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の垂直方向の成分に対して補償を行う、垂直偏波量補償ステップ
を含む適応型非線形補償方法。
(付記11)
前記水平偏波量補償ステップは、具体的には、該入力信号に基づき、各サンプリング点の1つのサンプリング時刻における、該入力信号の線形歪み値を計算し、また各サンプリング点の若干数のサンプリング時刻における、該入力信号の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の垂直方向の成分の、該入力信号の水平方向の成分に対するクロストーク値を計算する、付記10に記載の方法。
(付記12)
前記水平偏波量補償ステップは、
サンプリング間隔に応じて、前記入力信号の水平方向の成分に対して遅延を行い、
サンプリング間隔に応じて、前記入力信号の垂直方向の成分に対して遅延を行い、
該入力信号の各サンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の水平方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の水平方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の水平方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の該サンプリング点の水平方向の成分の非線形歪み値を得、
該入力信号の各サンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の水平方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の垂直方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の垂直方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の該サンプリング点の垂直方向の成分の、水平方向の成分に対するクロストーク値を得、
該入力信号の各サンプリング点の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の各サンプリング点の垂直方向の成分の、水平方向の成分に対するクロストーク値を加算し、
該入力信号の水平成分と当該水平成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、該入力信号の垂直成分と当該垂直成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、及び各サンプリング点の非線形歪み値とクロストーク値との和と当該和の相応のサンプリング点において対応する非線形項の係数との積を加算し、該入力信号の水平方向の成分の出力を得る、
付記11に記載の方法。
(付記13)
前記垂直偏波量補償ステップは具体的には、該入力信号に基づき、各サンプリング点の1つのサンプリング時刻、該入力信号の線形歪み値を計算し、また各サンプリング点の若干数のサンプリング時刻における、該入力信号の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の水平方向の成分の、該入力信号の垂直方向の成分に対するクロストーク値を計算する、
を含む、付記10に記載の方法。
(付記14)
前記垂直偏波量補償ステップは、
サンプリング間隔に応じて、前記入力信号の垂直方向の成分に対して遅延を行い、
サンプリング間隔に応じて、前記入力信号の水平方向の成分に対して遅延を行い、
該入力信号の各サンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の垂直方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の垂直方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の垂直方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の前記サンプリング点の垂直方向の成分の非線形歪み値を得、
該入力信号の各サンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の垂直方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の水平方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の水平向における成分の共役を乗算し、該入力信号の前記サンプリング点の水平方向の成分の、垂直方向の成分に対するクロストーク値を得、
該入力信号の各サンプリング点の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の各サンプリング点の水平方向の成分の、垂直方向の成分に対するクロストーク値を加算し、
該入力信号の垂直成分とそれが各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、該入力信号の水平成分とそれが各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、及び各サンプリング点の非線形歪み値とクロストーク値との和とそれが相応のサンプリング点において対応する非線形項の係数との積を加算し、該入力信号の垂直方向の成分の出力を得る、
を含む、付記13に記載の方法。
(付記15)
コヒーレント受信機の等化器中でプログラムを実行する場合、該プログラムはコンピュータに前記等化器中で付記10〜14に記載の方法を実行させるコンピュータ読取可能プログラム。
(付記16)
該コンピュータ読取可能プログラムはコンピュータにコヒーレント受信機の等化器中で付記10〜14に記載の方法を実行させる、コンピュータ読取可能プログラムを記憶した記憶媒体。
【符号の説明】
【0072】
21 水平偏波量補償ユニット
22 垂直偏波量補償ユニット
31 第一遅延タイマ
32 第二遅延タイマ
33 第一乗算器
34 第二乗算器
35 第一加算器
36 第一総和加算器
41 第三遅延タイマ
42 第四遅延タイマ
43 第三乗算器
44 第四乗算器
45 第二加算器
46 第二総和加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応型非線形等化器に用いられる非線形補償装置であって、
入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値を計算し、該入力信号に基づき該入力信号の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の垂直方向の成分の、該入力信号の水平方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の水平方向の成分に対して補償を行う、水平偏波量補償ユニットと、
入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値を計算し、該入力信号に基づき該入力信号の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の水平方向の成分の、該入力信号の垂直方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の垂直方向の成分に対して補償を行う、垂直偏波量補償ユニットと、
を含む非線形補償装置。
【請求項2】
前記水平偏波量補償ユニットは、該入力信号に基づき、各サンプリング点の若干数のサンプリング時刻における、該入力信号の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の垂直方向の成分の、該入力信号の水平方向の成分に対するクロストーク値を計算する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記水平偏波量補償ユニットは、複数の第一遅延タイマ、複数の第二遅延タイマ、複数の第一乗算器、複数の第二乗算器、複数の第一加算器及び第一総和加算器を含み、
前記複数の第一遅延タイマは、それぞれサンプリング間隔に応じて前記入力信号の水平方向の成分に対して遅延を行うために用いられ、
前記複数の第二遅延タイマは、それぞれサンプリング間隔に応じて前記入力信号の垂直方向の成分に対して遅延を行うために用いられ、
各前記第一乗算器は、該入力信号の相応のサンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の水平方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の水平方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の水平方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の該サンプリング点の水平方向の成分の非線形歪み値を得るために用いられ、
各前記第二乗算器は、該入力信号の相応のサンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の水平方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の垂直方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の垂直方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の該サンプリング点の垂直方向の成分の、水平方向の成分に対するクロストーク値を得るために用いられ、
前記複数の第一加算器は、それぞれ該入力信号の相応のサンプリング点の水平方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の相応のサンプリング点の垂直方向の成分の、水平方向の成分に対するクロストーク値を加算するために用いられ、
前記第一総和加算器は、該入力信号の水平成分と当該水平成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、該入力信号の垂直成分と当該垂直成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、及び各前記第一加算器の計算結果と当該計算結果の相応のサンプリング点において対応する非線形項の係数との積を加算し、該入力信号の水平方向の成分の出力を得るために用いられる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記垂直偏波量補償ユニットは、該入力信号に基づき、各サンプリング点の若干数のサンプリング時刻における、該入力信号の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の水平方向の成分の、該入力信号の垂直方向の成分に対するクロストーク値を計算する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記垂直偏波量補償ユニットは、複数の第三遅延タイマ、複数の第四遅延タイマ、複数の第三乗算器、複数の第四乗算器、複数の第二加算器及び第二総和加算器を含み、
前記複数の第三遅延タイマは、それぞれサンプリング間隔に応じて前記入力信号の垂直方向の成分に対して遅延を行うために用いられ、
前記複数の第四遅延タイマは、それぞれサンプリング間隔に応じて前記入力信号の水平方向の成分に対して遅延を行うために用いられ、
各前記第三乗算器は、該入力信号の相応のサンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の垂直方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の垂直方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の垂直方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の前記サンプリング点の垂直方向の成分の非線形歪み値を得るために用いられ、
各前記第四乗算器は、該入力信号の相応のサンプリング点におけるサンプリング時刻(n−l)の垂直方向の成分、サンプリング時刻(n−m)の水平方向の成分及びサンプリング時刻(n−l−m)の水平方向の成分の共役を乗算し、該入力信号の前記サンプリング点の水平方向の成分の、垂直方向の成分に対するクロストーク値を得るために用いられ、
各前記第二加算器は、それぞれ該入力信号の相応のサンプリング点の垂直方向の成分の非線形歪み値及び該入力信号の相応のサンプリング点の水平方向の成分の、垂直方向の成分に対するクロストーク値を加算するために用いられ、
前記第二総和加算器は、該入力信号の垂直成分と当該垂直成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、該入力信号の水平成分と当該水平成分の各サンプリング点において対応する線形項の係数との積、及び各前記第二加算器の計算結果と当該計算結果の相応のサンプリング点において対応する非線形項の係数との積を加算し、該入力信号の垂直方向の成分の出力を得るために用いられる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
受信機フロントエンド、
前記受信機フロントエンドに接続された波長分散補償装置、
前記波長分散補償装置に接続された適応型非線形等化器、
前記適応型非線形等化器に接続された周波数オフセット補償器、
前記周波数オフセット補償器に接続された搬送波位相復調器、
前記搬送波位相復調器に接続されたデータ復旧装置、
を含む偏波多重光通信システム用受信機であって、
前記適応型非線形等化器は請求項1〜5のいずれか1項に記載の非線形補償装置によって実現される、偏波多重光通信システム用受信機。
【請求項7】
さらに、前記波長分散補償装置と前記適応型非線形等化器の間に位置する適応型線形等化及び偏波多重分離装置を含む、請求項6に記載の受信機。
【請求項8】
前記周波数オフセット補償器は、さらに、前記適応型非線形等化器に周波数オフセット補償結果をフィードバックするために用いられ、前記搬送波位相復調器はさらに前記適応型非線形等化器に位相復元結果をフィードバックするために用いられる、請求項6または7に記載の受信機。
【請求項9】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の受信機を含む、偏波多重光通信システム。
【請求項10】
入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値、該入力信号の水平方向の成分の非線形歪み値、及び該入力信号の垂直方向の成分の、該入力信号の水平方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の水平方向の成分に対して補償を行う、水平偏波量補償ステップと、
入力信号に基づき該入力信号の線形歪み値、該入力信号の垂直方向の成分の非線形歪み値、及び該入力信号の水平方向の成分の、該入力信号の垂直方向の成分に対するクロストーク値を計算し、前記線形歪み値、非線形歪み値及び前記クロストーク値に基づき、前記入力信号の垂直方向の成分に対して補償を行う、垂直偏波量補償ステップと、
を含む、適応型非線形補償方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図9】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−98983(P2013−98983A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236016(P2012−236016)
【出願日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】