説明

遮光性分散液及びその製造方法並びに遮光性分散液を用いたブラックレジスト用感光性樹脂組成物

【課題】遮光膜を形成した際、パターニング不良による基板との密着性の低下やシール性劣化等を引き起こすことがなく、また、均一な遮光度が得られるブラックレジスト用感光性樹脂組成物を形成することができるような、遮光性分散液の製造方法を提供する。
【解決手段】(a)黒色着色剤、(b)溶剤、及び(c)アミン系分散剤を含む遮光性分散液の製造方法であって、(1)上記(a)〜(c)成分を混合した混合液に気体を放出して気泡を形成させ、混合液中に含まれる凝集起因物を気泡に吸着させる工程と、(2)気泡に吸着した凝集起因物を取り除く工程と、を含むことを特徴とする遮光性分散液の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光性分散液、遮光性分散液の製造方法、及びこの遮光性分散液を用いたブラックレジスト用感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等に使用されるカラーフィルターは、フォトレジストに顔料(着色剤)等を分散させた感光性樹脂組成物をスピンコート法、コーティング法、転写法等により基板に塗布し、フォトマスクを介して光やエネルギー線等により露光し、現像して画素を形成させることにより主に作製されている。
【0003】
このうち、ブラックマトリックスに関しては、ブラックレジスト用の感光性樹脂組成物を塗布して露光及び現像等を経て形成するが、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物に含まれる黒色着色剤の分散性がしばしば問題になる。すなわち、カーボンブラック等の黒色着色剤は、通常、分散剤や溶媒に分散させて遮光性分散液とした上で、アルカリ可溶性樹脂や重合性モノマー等と共に混合してブラックレジスト用感光性樹脂組成物を形成するが、この遮光性分散液を得る際の分散が不十分であると、未分散の黒色着色剤が粗大粒子として残存してしまう。一方、過分散と呼ばれるような過度に分散された状態になると、分散液の粘度の増加や分散安定性に問題が生じ、黒色着色剤の一部が凝集してしまう。これらいずれかに相当する遮光性分散液を含んだブラックレジスト用感光性樹脂組成物では、形成した遮光膜の遮光度が不均一になり、また、パターンエッジ部に粗大粒子や凝集物が存在してしまうと、パターニング不良による基板との密着性の低下を引き起こす。一方、カラーフィルターにはブラックマトリックスパターンと併せて、光もれ対策のために液晶基板周辺部に額縁状のパターンを形成するが、液晶セル化工程で、この周辺部に樹脂を用いて液晶材料を封止する際にシール性劣化等を引き起こす。これらのように後工程に影響を及ぼすという問題があった。
【0004】
このような問題に対応するため、従来より、フィルターを用いて遮光性分散液をフィルタリングすることが行われている。ところが、フィルタリングは粗大粒子の除去には有効ではあるが、黒色着色剤が凝集した凝集物の全てを完全に除去することは難しい。また、フィルターを通過するような、黒色着色剤の一部がわずかに集まり固まったものや不純物が分散液中に存在すると、時間の経過や環境の変化によって、それが核となって再度凝集物を形成してしまうこともある。
【0005】
このような状況において、インクジェットプリンタ用のインクの例ではあるが、顔料インクを50℃以上で100時間以上加熱処理することで、長期保存した場合であっても凝集物が発生し難いようなインクを得る方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、遮光性分散液をこのような長時間にわたって加熱すると、分散液自体の劣化を促進させてしまうおそれがある。
【特許文献1】特開平3−64376公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者等は、塗膜を形成した際にパターニング不良による基板との密着性の低下や液晶セル化工程でのシール性劣化等を引き起こすことがなく、また、均一な遮光度が得られるブラックレジスト用感光性樹脂組成物を形成すべく、遮光性分散液について鋭意検討した結果、後に凝集物の再発の起因となるような黒色着色剤の一部がわずかに集まり固まったものを予め取り除くようにして遮光性分散液を得ることで、上記のような問題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
従って、本発明の目的は、遮光膜を形成した際、パターニング不良による基板との密着性の低下やシール性劣化等を引き起こすことがなく、また、均一な遮光度が得られるブラックレジスト用感光性樹脂組成物を形成することができるような、遮光性分散液の製造方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の別の目的は、遮光膜を形成した際、パターニング不良による基板との密着性の低下やシール性劣化等を引き起こすことがなく、また、均一な遮光度が得られるブラックレジスト用感光性樹脂組成物を形成することができるような遮光性分散液を提供することにある。
【0009】
更に、本発明の別の目的は、遮光膜を形成した際、パターニング不良による基板との密着性の低下やシール性劣化等を引き起こすことがなく、また、均一な遮光度が得られるブラックレジスト用感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、(a)黒色着色剤、(b)溶剤、及び(c)アミン系分散剤を含む遮光性分散液の製造方法であって、(1)上記(a)〜(c)成分を混合した混合液に気体を放出して気泡を形成させ、混合液中に含まれる凝集起因物を気泡に吸着させる工程と、(2)気泡に吸着した凝集起因物を取り除く工程と、を含むことを特徴とする遮光性分散液の製造方法である。
【0011】
(a)黒色着色剤がカーボンブラックであることは、上記遮光性分散液の製造方法において好ましい態様である。
【0012】
また、本発明は、(a)黒色着色剤、(b)溶剤、及び(c)分散剤を含む遮光性分散液であって、(1)上記(a)〜(c)成分を混合した混合液に気体を放出して気泡を形成させ、混合液中に含まれる凝集起因物を気泡に吸着させ、(2)気泡に吸着した凝集起因物を取り除くことにより得られたことを特徴とする遮光性分散液である。
【0013】
更に、本発明は、上記遮光性分散液(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、少なくとも1個以上のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー(C)、及び光重合開始剤(D)を含有することを特徴とするブラックレジスト用感光性樹脂組成物である。
【0014】
例えば、上記ブラックレジスト用感光性樹脂組成物を透明基板上に塗布し、乾燥させた後、紫外線露光装置による露光、アルカリ水溶液による現像、及び熱焼成の各工程を経ることで遮光膜を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通常、時間の経過や環境の変化により、それが核になって凝集物を形成してしまうような凝集起因物(黒色着色剤の一部がわずかに集まり固まったもの)が予め取り除かれた遮光性分散液を得ることができる。そのため、この遮光性分散液を含むブラックレジスト用感光性樹脂組成物によれば、遮光膜を形成しても、パターニング不良による基板との密着性の低下や、液晶セル化工程でのシール性劣化等を引き起こすおそれが可及的に排除され、また、均一な遮光度を有する遮光膜を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
(a)黒色着色剤
黒色着色剤について、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物においては、通常、有機顔料、無機顔料、染料等が使用され、形成する遮光膜に求める特性(例えば耐熱性、耐光性及び耐溶剤性等)に応じて適宜選択すればよいが、元来凝集物を形成しやすいものを選択した場合に本発明の効果がより顕著に現れる。一般的には、染料系に比べて顔料系の着色剤の方が凝集物を形成しやすい傾向にあるため、顔料について以下で説明すると、黒色着色剤として使用される黒色の有機顔料としては、ペリレンブラック、シアニンブラック等が挙げられる。また、赤、青、緑、紫、黄色、シアニン、マゼンタ等から選ばれる2種以上の顔料を混合して擬似黒色化した有機顔料を使用することもできる。一方、黒色の無機顔料としては、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック等を挙げることができ、これらのなかから2種以上を適宜選択して用いることもできる。
【0018】
このうち、カーボンブラックは、遮光性に富み環境負荷も少ないことから、カラーフィルター用途のブラックレジスト用感光性樹脂組成物に多く用いられる。黒色着色剤として使用するカーボンブラックの好ましい平均粒径については0.01〜1.0μmの範囲であるのがよい。
【0019】
(b)溶剤
溶剤の種類については特に制限されないが、一般には、ベンゼン、トルエン、キシレン等のベンゼン系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ酢酸エステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル類、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のプロピオン酸エステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アルミ等の酢酸エステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、2−メトキシエチルアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒、3−エトキシエチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート等のエーテル結合およびエステル結合を有する炭化水素化合物等の有機溶媒のほか、水等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合してもよい。
【0020】
溶剤の使用量については、遮光性分散液又はブラックレジスト用感光性樹脂組成物に求める特性や取扱い性等を考慮して適宜設定すればよいが、遮光性分散液の分散安定性等を考慮して、一般には、分散液中の黒色着色剤の濃度が5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%となるよう調製するのがよい。
【0021】
(C)アミン系分散剤
遮光膜を形成する上で、一般に、(a)黒色着色剤に対する分散効果が高いもが望ましい。分散剤を大きく分類すると、高分子系の分散剤と低分子系の分散剤とに分類できる。通常、高分子分散剤として知られているものは、低分子分散剤に比べて吸着点として働く官能基(例えばアミン性官能等)の数が多く存在する。吸着点として機能する官能基の数が多ければ、黒色着色剤の表面とより密に関わりあうため、分散安定効果が高い。そのため、本発明では、一般に高分子系分散剤に分類されるアミン系の分散剤を用いる。なお、高分子分散剤としては、一般に高分子と呼ばれる1万以上の分子量のもののほか、それより分子量が低いもの、すなわち、分子量数千のいわゆるオリゴマー領域のものも含まれる。また、これら高分子分散剤は一般的に顔料表面に吸着する部分と立体反発効果を持つ長鎖部から成る。樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系などの一般的な樹脂が用いられており、顔料に吸着する部分として極性基、主にアミノ基及び/又は酸基を有している。
【0022】
(C)アミン系分散剤については、好ましくは官能基として第1級アミン及び/又は第2級アミンを有するものであるのがよい。これらの官能基は(a)黒色着色剤を吸着する機能を有するため、分散安定効果を発揮する。例えば、ポリエチレンイミンが吸着機能を有する官能基部分であり、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンなどの分子量1,000〜20,000のオリゴマーまたはポリマーからなる長鎖部を有するアミン系分散剤や、ポリアリルアミンが吸着機能を有する官能基部分であり、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンなどの分子量1,000〜20,000のオリゴマーまたはポリマーからなる長鎖部を有するアミン系分散剤等が挙げられる。また、第3級アミンの構造を有するものであっても、第1級アミン及び/又は第2級アミンを副生していることが多いものがあるため、そのような場合には好ましいアミン系分散剤として含めることができる。例えば環状の第3級アミンを官能基として有し、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンなどの分子量1,000〜20,000のオリゴマーまたはポリマーを長鎖部とするもの、通常の第3級アミンを官能基として有し、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンなどの分子量1,000〜20,000のオリゴマーまたはポリマーを長鎖部とするもの、分子量1,000〜200,000のアクリル系ポリマーの側鎖にイミダゾールなどの環状アミン構造を持たせたものなどが挙げられる。以下にアミン系分散剤の具体例の一部を示すと、ビックケミー・ジャパン社のAnti-Terra-U/U100、Anti-Terra-204/205、Disperbyk-101、Disperbyk-102、Disperbyk-103、Disperbyk-106、Disperbyk-108、Disperbyk-109、Disperbyk-110、Disperbyk-111、Disperbyk-112、Disperbyk-116、Disperbyk-130、Disperbyk-140、Disperbyk-142、Disperbyk-145、Disperbyk-161、Disperbyk-162、Disperbyk-163、Disperbyk-164、Disperbyk-166、Disperbyk-160、Disperbyk-167、Disperbyk-168、Disperbyk-170Disperbyk-171、Disperbyk-174、Disperbyk-180、Disperbyk-182、Disperbyk-183Disperbyk-184、Disperbyk-185、Disperbyk-2000、Disperbyk-2001、Disperbyk-2020、Disperbyk-2050、Disperbyk-2070、Disperbyk-2096、Disperbyk-2150、BYK-P104、BYK-P105、BYK-9076、BYK-9077、BYK-220S等が挙げられるが、それに限るものではない。
【0023】
(c)アミン系分散剤の配合量については、(a)黒色着色剤100重量部に対して1重量部以上、好ましくは5重量部以上であるのがよい。(a)黒色着色剤による隠蔽力を充分に発現させる観点からすれば、(a)黒色着色剤100重量部に対して(c)アミン系分散剤は100重量部以下、好ましくは60重量部以下、より好ましくは50重量部以下、更に好ましくは30重量部以下とするのがよい。アミン系分散剤については1種類を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
遮光性分散液には上記で説明した(a)黒色着色剤、(b)溶剤、及び(c)アミン系分散剤以外に、必要に応じて、公知の分散助剤等の化合物を添加してもよい。分散助剤とは、例えば黒色着色剤としてカーボンブラックを使用した場合に特に有効であり、カーボンブラックと分散剤との仲介をする働きを有する。具体的な作用について十分に解明されている分けではないが、カーボンブラック表面と分散剤とのそれぞれに対し電気的、化学的に吸着し、分散安定性を向上させる機能を持つと考えられる。このような分散助剤として機能するものを例示すると、ポリカルボン酸型高分子活性剤、ポリスルホン酸型高分子活性剤等のアニオン性活性剤、ポリオキシエチレン、ポリオキシレンブロロックポリマー等のノニオン系の活性剤等があり、また、好ましくはアントラキノン系、フタロシアニン系、金属フタロシアニン系、キナクリドン系、アゾキレート系、アゾ系、イソインドリノン系、ピランスロン系、インダンスロン系、アンスラピリミジン系、ジブロモアンザンスロン系、フラバンスロン系、ペリレン系、ペリノン系、キノフタロン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系等の有機顔料を母体として、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボンアミド基、スルホンアミド基等の置換基を導入した顔料誘導体が挙げられる。これらの中でもフタロシアニン系及び金属フタロシアニンスルホンアミド化合物は特に有効である。
【0025】
(遮光性分散液の製造)
先ず、上記(a)〜(c)成分、必要に応じて加えられる分散助剤を混合して混合液にする。この際、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ等のメディアを加え、ペイントコンディショナー、ビーズミル、サンドミル、ボールミル、ディゾルバー、サンドグラインダー等により分散を行う。また、2本ロール、3本ロール、ニーダ―、ホモジナイザー系、ジェットミル、超音波等を用いて分散してもよく、上記の分散手段を複数組み合わせて行ってもよい。熱によりゲル化するおそれがある(c)アミン系分散剤を使用する場合には、必要に応じてハイドロキノン等の重合禁止剤を添加したり、冷却して分散するようにすればよい。
【0026】
分散の程度について、例えば(a)黒色着色剤としてカーボンブラックを使用する場合、分散粒径が1〜300nm、好ましくは50〜300nm、さらに好ましくは80〜200nmとなるように調整するのが望ましい。ここでの分散粒径は、公知のレーザードップラー式の粒度測定器で求めた際の平均の粒子径である。また混合液の粘度が3.0〜200.0mPa・s、好ましくは3.0〜100.0mPa・s、より好ましくは3.0〜30.0mPa・sとなるように調整するのがよい。ここでの粘度は、公知のコーンプレート型粘度計より求めた、液温25℃での粘度である。これらの指標をもとに、分散の程度を評価することができるが、仮に分散が不十分で分散粒径が大きくなると、粗大粒子と呼ばれる未分散カーボンブラックが残存するようになり、(2)の工程で不良が生じるおそれがあるほか、遮光膜を形成した際のその表面粗度、パターン形状等に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、過分散と呼ばれる過度に分散された状態になると、粘度の増加や分散安定性に問題が生じ、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物に用いた場合での塗布性や、現像特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0027】
上記のように、分散粒径や粘度を指標にして、(a)〜(c)成分を含む混合液の分散の程度を調整することができるが、粗大粒子や凝集物の形成を完全に排除することはできない。また、分散後の混合液に、(a)黒色着色剤の一部がわずかに集まり固まったものや不純物等が含まれると、それが核となり、時間の経過や保存環境の変化等によって凝集物を形成することがある(これら凝集物の形成を誘発するような核となるものを「凝集起因物」という)。従来行われているようなろ過器等を用いたフィルタリングにより、粗大粒子や凝集物の一部を取り除くことは可能であっても、凝集物の一部や上記のような凝集起因物がろ過器等を通過して含まれてしまうことがある。そのため、本発明では、工程(1)及び工程(2)により、混合液中の粗大粒子、凝集物、及び凝集起因物(これらをまとめて「異物」という場合がある)を取り除き、本発明に係る遮光性分散液を得るようにする。
【0028】
先ず、(1)工程では、上記(a)〜(c)成分を含む混合液(必要に応じて加えられるその他の成分も含む)に気体を放出して気泡を形成させ、(a)黒色着色剤の一部がわずかに集まり固まったものや不純物等の凝集起因物を気泡に吸着させる。ここで用いる気体については、どのようなものでもよいが、コスト性等を考慮すれば空気であるのがよい。混合液中に気体を放出させる手段については、混合液中に気泡を形成することができるものであれば特に制限はなく、例えばポンプ、ガスボンベ等に繋いだチューブや配管等の先端を混合液中に入れて、気体を放出するようにしてもよく、この場合に、チューブ等の先端に、複数の気体吹き出し孔を備えた治具等を取り付けるようにしてもよい。また、空気を巻き込むような攪拌方法を行い気体を混合液中に放出するようにしてもよく、更には、気泡発生装置等を混合液中に浸漬させて、気体からなる気泡を直接放出するようにしてもよい。処理する混合液の量や混合液を入れる容器等に応じて、混合液中に気体を放出する手段を適宜選択したり、組み合わせたりしてもよい。
【0029】
混合液中に発生させる気泡の量については、特に制限はないが、気泡の量が多いほど、気泡が凝集起因物に接触する確率が増すと共に、混合液が攪拌されるため、相乗的に吸着させることができる凝集起因物の量が多くなる。つまり、例えば混合液の液面が泡立つ程度に気泡を発生させるようにするのがよい。また、気泡のサイズについては、気泡の径が小さくなればなるほど表面積が多くなり、吸着能に優れると考えられることから直径が小さいものである方が好ましく、例えば直径サブμm以下の気泡の形成を目安にするのがよい。
【0030】
次に、(2)工程において、上記(1)工程で気泡に吸着した凝集起因物を取り除くようにする。気泡に吸着した凝集起因物を取り除く手段については、例えば気泡に吸着した凝集起因物を含む混合液を、フィルターを用いてろ過するようにしてもよく、ナイロンシートのようなものを混合液面に浮かばすようにしてもよい。前者の場合には、フィルターを通過したろ液を回収すれば本発明に係る遮光性分散液を得ることができる。後者の場合には、混合液に浮かばせたシートを取り除くことで本発明に係る遮光性分散液を得ることができる。このうち、フィルターを用いて気泡に吸着した凝集起因物を取り除く場合、フィルターの孔のサイズを好ましくは0.45〜1.0μmとすることで、遮光性分散液を含むブラックレジスト用感光性樹脂組成物から形成する遮光膜の遮光度をより均一にすることができると共に、遮光膜のパターニング不良、基板との密着性の低下、シール性劣化等の問題を可及的に排除することができる。また、フィルターを用いて気泡に吸着した凝集起因物を取り除く際に、混合液を加圧しながらろ過することで、遮光性分散液の回収をより速く効率的に行うこともできる。なお、(2)工程は、(1)工程終了後、混合液に発生した気泡が消えるのを確認してから行うようにするのが好ましい。
【0031】
(ブラックレジスト用感光性樹脂組成物)
上記で得た遮光性分散液(A)を、少なくとも、アルカリ可溶性樹脂(B)、少なくとも1個以上のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー(C)、及び光重合開始剤(D)と混合することで、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0032】
このうち、アルカリ可溶性樹脂(B)の成分としては、例えば不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸等の分子中に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸が挙げられ、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。これらの単量体は、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物であり、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、上記のようなカルボキシル基を有する単量体の単独重合体であってもよいが、該単量体と他の単量体との共重合体であることが好ましい。ここで、他の単量体としては、炭素−炭素不飽和結合を有し、カルボキシル基を有する単量体と共重合し得る単量体であればよく、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステル化合物、アミノエチルアクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、3−メチル−3−アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロキシエチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロキシエチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロキシエチルオキセタンのような不飽和カルボン酸オキセタンエステル化合物等が挙げられる。これらの単量体はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。そして、上述したカルボキシル基を有する単量体と、炭素−炭素不飽和結合を有してそのカルボキシル基を有する単量体と共重合し得る単量体とからなる共重合体の具体例を挙げると、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン共重合体、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン/メチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン共重合体等が例示できる。このような共重合体におけるカルボキシル基を有する単量体単位の含有量は質量分率で5%以上50%以下、好ましくは10%以上40%以下程度であるのがよい。
【0034】
また、アルカリ可溶性樹脂(B)として、例えば実質的に下記一般式(I)で表わされる化合物と多塩基酸またはその酸無水物とを反応させて得られる化合物等を用いることもできる。なお、実質的に下記一般式(I)で表わされる化合物とは、ビスフェノール類から誘導された2個以上エポキシを有する化合物に(メタ)アクリル酸(これは「アクリル酸及び/又はメタアクリル酸」の意味である。)を反応させて得られた化合物をいう。
【化1】

(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、またはハロゲン原子であり、Xは単結合、−CO−、−SO2−、−C(CF32−、−Si(CH3)2−、−CH2−、−C(CH32−、−O−、または
【化2】

で示される基である。R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示し、該置換基は水酸基、ハロゲン原子、水酸基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数7〜15のアラルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、または炭素数2〜10のアシルオキシ基である。R4は、水素原子またはメチル基を示す。mは0〜5の整数、nは1〜10の整数を示す。)
【0035】
特に本発明のように黒色着色剤を用いる場合は、現像特性および光硬化性の観点から、アルカリ可溶性樹脂(B)として、上記一般式(I)で表わされる化合物と多塩基酸またはその酸無水物とを反応させて得られる化合物を用いることが好ましく、さらにビスフェノールフルオレン骨格を有する化合物と多塩基酸またはその酸無水物とを反応させて得られる化合物を用いることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が2,000〜13,000の範囲にあるのが好ましい。
【0036】
ブラックレジスト用感光性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性樹脂(B)の使用量については、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物の固形分に対して質量分率で通常5%以上、好ましくは20%以上、通常90%以下、好ましくは70%以下程度の範囲であるのがよい。
【0037】
また、少なくとも1個以上のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー(C)としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類を挙げることができる。これらの化合物は、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上を併用して使用することもできる。
【0038】
先に説明したアルカリ可溶性樹脂(B)とこれら(C)成分との配合割合については、重量比(B)/(C)で20/80〜90/10であるのがよく、好ましくは40/60〜80/20であるのがよい。(B)成分の配合割合が20/80より少ないと、光硬化後の硬化物が脆くなり、また、未露光部において塗膜の酸価が低いためにアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターンエッジがぎざつきシャープにならないといった問題が生じるおそれがある。反対に90/10よりも多くなると、樹脂に占める光反応性官能基の割合が少なく架橋構造の形成が十分でなく、更に、樹脂成分における酸価度が高過ぎて、露光部におけるアルカリ現像液に対する溶解性が高くなることから、形成されたパターンが目標とする線幅より細くなってしまったり、パターンの欠落が生じや易くなるといった問題が生じるおそれがある。
【0039】
また、光重合開始剤(D)としては、少なくとも1種類の光重合開始剤を使用するが、エチレン性不飽和結合を有し付加重合可能な化合物の重合を開始させうる化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、アセトフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、イミダゾール系化合物、アシルオキシム系化合物等を挙げることができる。
【0040】
アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマー等が挙げられる。
【0041】
トリアジン系化合物としては、例えば、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-メチル−4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-フェニル-4、6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4,5-トリメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メチルチオスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(ピプロニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0042】
ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0043】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等が挙げられる。
【0044】
チオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0045】
イミダゾール系化合物としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール2量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2、4,5-トリアリールイミダゾール2量体等が挙げられる。
【0046】
アシルオキシム系化合物としては、例えば、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−エタン−1−オンオキシム−O−トリシクロデカンカルボシキレート、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−エタン−1−オンオキシム−O−アダマンタンカルボシキレート、1,2−オクタンジエン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 製品名イルガキュアOXE01)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム) (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 製品名イルガキュアOXE02)等が挙げられる。
【0047】
光重合開始剤(D)としては、上記のほか、更に活性ラジカル発生剤や酸発生剤も使用することができる。活性ラジカル発生剤として、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等を用いることができる。酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等を挙げることができる。また、活性ラジカル発生剤として上記した化合物の中には、活性ラジカルと同時に酸を発生する化合物もあり、例えば、トリアジン系化合物は、酸発生剤としても使用される。
【0048】
光重合開始剤(D)は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。また、それ自体では光重合開始剤や増感剤として作用しないが、上記で挙げた化合物と組み合わせて用いることにより、光重合開始剤や増感剤の能力を増大させ得るような化合物を添加することもできる。このような化合物としては、例えば、ベンゾフェノンと組み合わせて使用すると効果のあるアミン系化合物を挙げることができる。アミン系化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。前記の(D)成分のアセトフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、イミダゾール系化合物、アシルオキシム系化合物等の光重合開始剤の中でも、トリクロロメチル基が導入されているトリアジン系光重合開始剤、アシルオキシム系光重合開始剤が特に好ましく用いられる。
【0049】
(D)成分の光重合開始剤の使用量は、樹脂成分である(A)、(B)及び(C)の各成分の合計100重量部を基準として5〜50重量部が適している。(D)成分の配合割合が5重量部未満の場合には、光重合の速度が遅くなり感度が低下し、反対に、50重量部を超える場合には、感度が強すぎてパターン線幅がパターンマスクに対して太った状態になり、マスクに対して忠実な線幅が再現できない、又はパターンエッジがぎざつきシャープにならないといった問題が生じるおそれがある。
【0050】
本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物については、上記(A)〜(D)成分の他に、溶剤を使用することが好ましい。この場合の溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−若しくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられる。これらを用いて溶解、混合させることにより、均一な溶液状の組成物とすることができる。
【0051】
また、本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、充填材、溶剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を配合することができる。このうち、熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、フェノチアジン等を挙げることができる。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等を挙げることができる。充填材としては、グラスファイバー、シリカ、マイカ、アルミナ等を挙げることができる。消泡剤やレベリング剤としては、例えば、シリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物を挙げることができる。
【0052】
本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分又はこれらと溶剤を主成分として含有する。溶剤を除いた固形分(固形分には硬化後に固形分となるモノマーを含む)中に、(A)〜(D)成分が合計で70wt%以上、好ましくは80wt%、より好ましくは90wt%以上含むことが望ましい。溶剤の量は、目標とする粘度によって変化するが、20〜80wt%の範囲が望ましい。
【0053】
次に、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物を用いたブラックマトリックスの製造法について説明する。本発明によるブラックマトリックスは、上述した本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により形成される。その製造工程としては、先ず、感光性樹脂組成物を溶液にして基板表面に塗布し、次いで溶媒を乾燥させた(プリベーク)後、このようにして得られた被膜の上にフォトマスクをあて、紫外線を照射して露光部を硬化させ、更にアルカリ水溶液を用いて未露光部を溶出させる現像を行ってパターンを形成し、更に後乾燥としてポストベーク(熱焼成)を行う方法が挙げられる。
【0054】
本発明の感光性樹脂組成物の溶液を塗布する基板としては、ガラス、透明フィルム(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォン等)上にITO、金等の透明電極が蒸着あるいはパターニングされたもの等が用いられる。感光性樹脂組成物の溶液を基板に塗布する方法としては、公知の溶液浸漬法、スプレー法の他、ローラーコーター機、ランドコーター機やスピナー機を用いる方法等の何れの方法をも採用することができる。これらの方法によって、所望の厚さに塗布した後、溶剤を除去する(プリベーク)ことにより、被膜が形成される。プリベークはオーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。プリベークにおける加熱温度及び加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択され、例えば80〜120℃の温度で1〜10分間行われる。
【0055】
プリベーク後に行われる露光は、露光機によって行なわれ、フォトマスクを介して露光することによりパターンに対応した部分のレジストのみを感光させる。露光機及びその露光照射条件は適宜選択され、超高圧水銀灯、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、遠紫外線灯等の光源を用いて露光を行い、塗膜中のブラックレジスト用樹脂組成物を光硬化させる。
【0056】
露光後のアルカリ現像は、露光されない部分のレジストを除去する目的で行われ、この現像によって所望のパターンが形成される。このアルカリ現像に適した現像液としては、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液等を挙げることができるが、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩を0.05〜3重量%含有する弱アルカリ性水溶液を用いて20〜30℃の温度で現像するのがよく、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて微細な画像を精密に形成することができる。
【0057】
このようにして現像した後、180〜250℃の温度、及び20〜60分の条件で熱処理(ポストベーク)が行われる。このポストベークは、パターニングされたブラックマトリックスと基板との密着性を高めるため等の目的で行われる。これはプリベークと同様に、オーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。本発明のパターニングされたブラックマトリックスは、以上のフォトリソグラフィー法による各工程を経て形成される。
【0058】
本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、前述の通り、露光、アルカリ現像等の操作によって微細なパターンを形成するのに適しているが、従来のスクリーン印刷によりパターンを形成しても、同様な遮光性、密着性、電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性に優れた遮光膜を得ることができる。また、本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、コ−ティング材として好適に用いることができ、特に液晶の表示装置あるいは撮影素子に使われるカラーフィルター用インキ、及びこれにより形成される遮光膜はカラーフィルター、液晶プロジェクション用のブラックマトリックス等として有用である。
【0059】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。以下で使用する「部」はいずれも重量部を示す。
【0060】
以下で詳細に説明するように、実施例1では凝集起因物を気泡に吸着させる(1)工程(ここでは「バブリング処理工程」ともいう)と、吸着した凝集起因物を除去する(2)工程(ここでは「フィルタリング工程」ともいう)による異物低減効果を示し、得られた遮光性分散液を用いたブラックレジスト用観光性樹脂組成物を硬化させて得た塗膜(遮光膜)に見られる突起物が著しく低減した事実を確認した。実施例2では、バブリング処理工程の条件を実施例1に比べてより穏和(処理時間を短くして気泡の発生総量を減らして実施)して行い、実施例1と同様に硬化した塗膜に見られる突起物が著しく低減した事を確認した。更に比較例1では、バブリング処理工程とフィルタリング工程をどちらも実施せずに塗膜に見られる突起物を確認したところ、上記実施例1及び2に比べて突起物が多く存在した。比較例2及び3では、気泡に吸着させるバブリング処理工程を実施せずに、異物を除去するフィルタリング工程のみを実施し、塗膜に見られる突起物を確認したところ、フィルタリング工程のみでは突起物の著しい低減は確認されなかった。上記実施例1及び2の結果を勘案すれば、バブリング処理工程を通じて、例えば混合液中の凝集起因物が気泡の周りにミセル体を形成するかのようにして、寄せ集まる過程の存在を裏付ける結果であり、バブリング処理工程で気泡を介して寄せ集めた凝集起因物をフィルタリング工程で効果的に除去することができることを示している。比較例4では、バブリング処理工程のみを実施して、フィルタリング工程を実施せずに塗膜に見られる突起物を確認した。その結果、突起物の数は、フィルタリング工程を実施した場合(実施例1〜2、及び比較例2〜3)と比べて著しく増加することが確認された。これはフィルタリング工程が異物の除去に効果的であることを示している。更に、比較例4では、経時3ヶ月後(時間経過)に、塗膜に見られる突起物が低下する事を確認している。これは気泡に吸着させる工程(バブリング処理工程)によって発生した凝集物が、より安定な状態へと変化する過程で時間(3ヶ月間)を掛けながら集まり、より大きく成長(凝集成長)した結果、液中(系内)に存在する凝集物の絶対数量が減少させたためであると考えている。つまり、気泡に吸着させる工程(バブリング処理工程)は潜在的に存在する凝集物の成長を促す過程(効果)と合致している。
【実施例1】
【0061】
[遮光性分散液の製造]
表1に示すように、(a)黒色着色剤としてカーボンブラックを20.2重量%、(b)溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を69.8重量%、及び(c)分散剤としてDisperbyk-142を10.0重量%の割合にした混合液800mlを2000mlのガラス容器に入れた。攪拌機によりよく攪拌した後に、ペイントシェーカーにより25〜45℃の範囲で6時間分散処理を行った。ビーズは0.5mmφのジルコニアビーズを用いた。分散終了後、フィルターによりビーズと分散液を分離した。分散体の粘度は8mPa・sであった。
【0062】
次に、市販の小型ポンプ(REI-SEA社製)にテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)チューブの一端を取り付け、残りの端には気泡を発生させるためのガラスフィルター(細かな孔が無数に空いているもの)を取り付けた。このガラスフィルターが取り付けられたPFAチューブを混合液中に浸漬させ、小型ポンプから送られてくる気体を混合液中に放出し、混合液中に気泡を発生させた。
【0063】
上記において、小型ポンプから送気した空気圧は0.10kg/cm2〜0.13kg/cm2とし、吐き出し量は3.5L/minとしたところ、混合液中には大量の気泡が発生して混合液の泡立が観察された。このような状態のまま、気泡を発生させながら混合液を攪拌子によるマグネットスタラーを用いて3時間程攪拌させて、バブリング処理工程を行った。
【0064】
次いで、小型ポンプを止めて、混合液中に残存する気泡(液面の気泡も含む)が消失したことを目視で確認した後(約30分)、フィルタリング工程を実施した。加圧タンクにバブリング処理工程を終了した混合液を入れ、φ0.45μmのポアサイズを有するナイロン製フィルター(日本ポール株式会社製)にPFAチューブをつなぎ、もう一方のチューブ先端を加圧タンクに差し込んでチューブ先端が混合液中に浸漬するように固定化した(タンクの底にチューブが接触するように固定した)。
【0065】
そして、加圧タンクに圧縮空気の弁を接続して、タンク内部に圧縮空気0.1MPaを加えて、タンク内に収容された混合液がPFAチューブを通じて送り出され、チューブ先端に取り付けられたナイロンフィルターを通過させるように十分とろ過を行った。加圧タンク内の混合液が全て無くなるまで圧力をかけ続け、一方、フィルターを通過したろ液を洗浄した別のガラス容器に入れて回収し、本発明の実施例1に係る遮光性分散液を得た。
【0066】
[ブラックレジスト用感光性樹脂組成物の製造]
次に、上記で得られた遮光性分散液((a)カーボンブラック:20.2重量%、(b)PGMEA:69.8重量%、及び(c)Disperbyk-142:10.0重量%)33.27部に、ビスフェノールフルオレン型エポキシジアクリレート構造を有するアルカリ現像型感光性樹脂の56.5重量%PGMEA溶液(新日鐵化学社製商品名:V-259ME、溶剤分は第一溶剤に含む)1.26部、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(以下、DPHA)0.85部、オキシムエステル系光重合開始剤イルガキュアOXE02:1.22部、同イルガキュアOXE01:0.93部、PGMEA(第一溶剤)32.17部、シクロヘキサノン(第二溶剤)21.5部、プロピレングリコールジアセテート(以下PGDA)(第三溶剤)8.6部、フッ素系界面活性剤のメガファック F−470(大日本インキ化学工業社製):0.10部、シラン系カップリング剤のサイラエース S510(チッソ社製):0.20部を配合した後、十分に攪拌してブラックレジスト用感光性樹脂組成物(ブラックレジストインキ)を調製した。この感光性樹脂組成物は、固形分溶解性に優れ、常温に1週間放置しても粘度はほとんど変化せず、保存安定性は良好であった。
【0067】
[評価]
上記で得たブラックレジスト用感光性樹脂組成物を、5インチ角、厚さ0.7mmのガラス基板上にスリットコーターを用いて塗布し、試験片を作成した。このとき、送液圧力、ガラス基板と塗工ヘッドとの間隔、及び塗工速度を調節して、製作されるカラーフィルターの膜厚が1.0μmとなるように塗布膜厚を制御した。この試験片を70℃のホットプレート上で2分間乾燥させ、ナトリウムランプを用いて塗布面を観察したところ、スジ、ムラ、ビビリ、ハジキ、ヘイズ、異物等の欠陥は認められず、良好な塗布状態であった。
【0068】
次に、上記試験片にフォトマスクを被せて80mJ/cm2の紫外線露光を行い、露光部を光硬化させた後、試験片をアルカリ現像液で処理して露光部を現像させた。最後に試験片を230℃の熱風オーブン中で20分間焼成し、評価用のブラックマトリックス(遮光膜)を得た。
【0069】
得られた評価用ブラックマトリックスについて、図1に示すように、その表面の380μm×380μmの範囲に存在する突起物のうち、直径が0.4〜1.0μm、高さが0.2〜0.7μmの形状のものの数を、光学顕微鏡を用いて確認した。表1に示すように、その数は6個(380μm×380μm当たり)であった。図2(a)はこの際の顕微鏡写真である。
【0070】
また、実施例1で得られたブラックレジスト用感光性樹脂組成物を5℃で1ヶ月保管、2ヶ月保管、3ヶ月間保管した本実施例1に係る感光性樹脂組成物について、それぞれ上記と同様に評価用ブラックマトリックスを作製し、上記と同じく突起物の数を確認した。突起物の数と感光性樹脂組成物の保管期間との関係をまとめたグラフを図3に示す。ちなみに、3ヶ月保管した感光性樹脂組成物を用いた場合の評価用ブラックマトリックスから観察された上記突起物の数は10個(380μm×380μm当たり)であった。
【実施例2】
【0071】
バブリング処理工程において気泡を発生させながら混合液を攪拌させる時間を1時間にして、また、フィルタリング工程で用いるフィルターをφ0.50μmのポアサイズを有するポリプロピレン製フィルター(キュノ株式会社製)にした以外は実施例1と同様にして遮光性分散液を得た。
【0072】
次いで、この遮光性分散液を用いて、実施例1と同様にブラックレジスト用感光性樹脂組成物を形成し、評価用のブラックマトリックス(遮光膜)を作製した。そして、実施例1と同様にして突起物を観察した結果、表1に示すように、その数は12個(380μm×380μm当たり)であった。図2(b)はこの際の顕微鏡写真である。また、上記感光性樹脂組成物を5℃で3ヶ月間保管したものを上記と同様に評価用ブラックマトリックスを形成して観察したところ、突起物は23個(380μm×380μm当たり)であった。
【0073】
[比較例1]
実施例1と同じ(a)〜(c)成分を用意し、これらを混合して混合液にした後、実施例1と同じ混合液の粘度及び(a)成分の分散粒径となるまで分散し、バブリング処理工程及びフィルタリング工程を行わずに、比較例1に係る遮光性分散液を得た。
【0074】
次いで、この遮光性分散液を用いて、実施例1と同様にブラックレジスト用感光性樹脂組成物を形成し、評価用のブラックマトリックス(遮光膜)を作製した。そして、実施例1と同様にして突起物を観察した結果、表1に示すように、その数は37個(380μm×380μm当たり)であった。また、5℃で1ヶ月保管、2ヶ月保管、3ヶ月間保管した本比較例1に係る感光性樹脂組成物について、それぞれ上記と同様に評価用ブラックマトリックスを作製し、上記と同じく突起物の数を確認した。3ヶ月保管した感光性樹脂組成物を用いた場合の評価用ブラックマトリックスから観察された上記突起物の数は44個(380μm×380μm当たり)であった。
【0075】
[比較例2]
バブリング処理工程を行わない以外は、実施例1と同様に遮光性分散液を得た。そして、この比較例2に係る遮光性分散液を用いて、実施例1と同様にブラックレジスト用感光性樹脂組成物を形成し、評価用のブラックマトリックス(遮光膜)を作製して突起物を観察したところ、表1に示すように、その数は30個(380μm×380μm当たり)であった。また、上記感光性樹脂組成物を5℃で3ヶ月間保管したものを上記と同様に評価用ブラックマトリックスを形成して観察したところ、突起物は45個(380μm×380μm当たり)であった。
【0076】
[比較例3]
バブリング処理工程を行わない以外は、実施例2と同様に遮光性分散液を得た。そして、この比較例3に係る遮光性分散液を用いて、実施例2と同様にブラックレジスト用感光性樹脂組成物を形成し、評価用のブラックマトリックス(遮光膜)を作製して突起物を観察したところ、表1に示すように、その数は35個(380μm×380μm当たり)であった。また、上記感光性樹脂組成物を5℃で3ヶ月間保管したものを上記と同様に評価用ブラックマトリックスを形成して観察したところ、突起物は43個(380μm×380μm当たり)であった。
【0077】
[比較例4]
フィルタリング工程を行わない以外は、実施例1と同様に遮光性分散液を得た。そして、この比較例4に係る遮光性分散液を用いて、実施例1と同様にブラックレジスト用感光性樹脂組成物を形成し、評価用のブラックマトリックス(遮光膜)を作製して突起物を観察した。ところ表1に示すように、その数は68個(380μm×380μm当たり)であった。図2(c)はこの際の顕微鏡写真である。
【0078】
また、上記感光性樹脂組成物を5℃で3ヶ月間保管したものを上記と同様に評価用ブラックマトリックスを形成して観察したところ、突起物は42個(380μm×380μm当たり)であった。突起物の数と感光性樹脂組成物の保管期間との関係をまとめたグラフを図3に示す。これらの結果については、バブリング処理工程が、潜在的に存在している混合液中の凝集起因物を効率的に集め、ブラックマトリックス上の突起物としてより多く確認できるようになったと考えられる。
【0079】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明で得られた遮光性分散液は、カラーフィルター、光電子倍増管、太陽電池、有機ELディスプレイ、反射防止膜等の製造で利用することができ、カラーフィルターのなかのブラックマトリックスを形成するブラックレジスト用感光性樹脂組成物として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、評価用ブラックマトリックスの概要説明図である。
【図2】図2は、評価用ブラックマトリックスの表面の顕微鏡写真である。
【図3】図3は、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物の保管期間と評価用ブラックマトリックスで観察された突起物との関係を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)黒色着色剤、(b)溶剤、及び(c)アミン系分散剤を含む遮光性分散液の製造方法であって、
(1)上記(a)〜(c)成分を混合した混合液に気体を放出して気泡を形成させ、混合液中に含まれる凝集起因物を気泡に吸着させる工程と、
(2)気泡に吸着した凝集起因物を取り除く工程と、を含むことを特徴とする遮光性分散液の製造方法。
【請求項2】
(a)黒色着色剤がカーボンブラックである請求項1に記載の遮光性分散液の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製造方法によって得られたことを特徴とする遮光性分散液。
【請求項4】
請求項3に記載の遮光性分散液(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、少なくとも1個以上のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー(C)、及び光重合開始剤(D)を含有することを特徴とするブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4に記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物を透明基板上に塗布し、乾燥させた後、紫外線露光装置による露光、アルカリ水溶液による現像、及び熱焼成の各工程を経て得られたことを特徴とする遮光膜。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−139488(P2009−139488A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313761(P2007−313761)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】