説明

遮蔽トップシートを有する使い捨て吸収性物品

本発明は、排便排泄物(BM)を受容するための開口部を備え、その下に存在する排泄物を遮蔽するような特定のトップシートを有する、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁物品などの使い捨て吸収性物品に関する。トップシートは空気透過性であり、細孔のみによる均一な孔径分布を有し、低表面エネルギーを有し、故に少なくとも7、典型的には少なくとも9、又は更に好ましくは10の撥アルコール性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁物品、女性用保護物品などの使い捨て吸収性物品であって、粘性のある身体排泄物、例えば排便排泄物(以下、糞便(BM)と称する)を受容するための開口部を有し、その下に存在する排泄物を遮蔽するような特定のトップシートを有する使い捨て吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
この10年間、糞便を受容又は貯蔵するための間隙空間へとつながる開口部を有するおむつのトップシートに関する多くの研究がなされてきた。その焦点は主に、例えばトップシートの開口部周辺に伸縮性手段を使用することにより、着用者の身体に接する、及び着用者の肛門に近接した開口部の配置を改善することであった。
【0003】
疎水性トップシート及び親水性トップシートを含むトップシートとして、例えば米国特許第4,662,877号及び同第4,990,147号などに記載されているような多くの種類の材料が提案されてきた。
【0004】
ここで、本発明者らは、糞便が一旦開口部を通して受容されたら、物品を交換する人には見えないこと、即ち、トップシートが糞便を遮蔽することが非常に望ましいことを見出した。トップシートは、更に、着用者に快適性を提供するために、高い空気透過性を有し、可撓性であり、あまり厚くないようなものであるべきである。当該技術分野において提案された様々な親水性トップシート材料及び疎水性トップシート材料は、かかる遮蔽を提供しない。糞便を遮蔽するであろうおむつの部分に使用される他の材料、例えばバックシートとして一般に使用される材料は、快適なトップシートとして使用するには厚すぎるか、又は十分に空気透過性ではない。
【0005】
故に、本発明は、1以上の開口部を有し、この開口部を通して受容され、その下に存在する糞便を遮蔽するようなトップシートを有するおむつを開発しようとするものである。
【0006】
本発明者らは、均一で小さい孔径分布、及び少なくとも非常に低い表面エネルギーを有する内側表面(即ち、バックシートに面する)を有するトップシートを吸収性物品において使用することにより、これを効果的に達成できることを見出した。驚くべきことに、また意外なことに、これら特性の組み合わせは優れた糞便遮蔽を提供するが、これら特性のいずれか1つのみの使用では、求める遮蔽の効果が得られない。
【0007】
本発明のおむつの好ましいトップシートは、トップシートの少なくとも内側表面の外観が、糞便との接触前と後とではほぼ同じままであり、例えば、白く透明でないトップシートは、糞便がその下にあり糞便と接触してある状態でもそのようなままであることを保証する。それにより、糞便は、おむつを交換する人に対して効果的に隠される。
【0008】
驚くべきことに、本発明者らは、非常に低い表面エネルギー及び均一な多孔性を有する本発明のおむつのこのトップシートの使用が、糞便、特に非常に流れ易い糞便がトップシート下の間隙空間から漏れて、トップシートを通ってその上に戻り、着用者の皮膚まで到達することを低減するのに役立つことに気付いた。従って、これもまたおむつからの漏れを低減するための非常に効果的な方法であることが分かった。また、本発明のおむつのトップシートは、流れ易い糞便のための効果的な再湿潤バリアとなり、故に糞便及びその中の刺激物から皮膚を保護する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
おむつのトップシートをより疎水性又は親水性にして、例えば尿の吸収又は撥水性を制御すべく、そのトップシートに化学物質を塗布することは当該技術分野において既知であるが、おむつにおける糞便の遮蔽を助け、漏れを低減するべく、1以上の大きな開口部を有するトップシートの表面エネルギーを著しく低下させることが有益であることは当該技術分野において認識されていないことに留意すべきである。また、非常に低い表面エネルギーと均一な孔径分布との組み合わせが、おむつ内に受容された糞便を遮蔽するのに必要とされることも認識されていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第一実施形態において、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁物品又は生理用ナプキンのような使い捨て吸収性物品を提供し、この使い捨て吸収性物品は、使用中着用者の衣類に面するバックシートと、前記バックシートに面する内側表面及び使用中着用者の身体に面する外側表面を有するトップシートとを有し、前記トップシートは、前記トップシート及びバックシートの間に位置し、排泄物を受容するための間隙空間への通路を提供する1以上の開口部を有し、前記トップシートは、本明細書で定義するような均一な孔径分布を有する少なくとも1枚の繊維性材料のシートを含み、前記トップシートは少なくとも3ダルシー/mm、より好ましくは少なくとも5ダルシー/mm、及び最も好ましくは少なくとも10ダルシー/mm、又は更により好ましくは少なくとも20ダルシー/mm、又は更により好ましくは少なくとも30ダルシー/mmの空気透過性を有し、前記トップシート(例えば、少なくともその内側表面)は少なくとも7、好ましくは少なくとも8、より好ましくは少なくとも9、及び最も好ましくは10でさえある平均撥アルコール性を有する。撥アルコール性が少なくとも10である最も好ましい材料は、一般的に25mN/m未満の表面エネルギー及び130°よりも大きい水との接触角を有する。
【0011】
本発明の別の実施形態においては、バックシートと、前述のような開口部を有するトップシートとを有する使い捨て吸収性物品が提供され、前記トップシートは、少なくとも3ダルシー/mm、より好ましくは少なくとも5ダルシー/mm、及び最も好ましくは少なくとも10ダルシー/mm、又は更により好ましくは少なくとも20ダルシー/mm、又は更により好ましくは少なくとも30ダルシー/mmの空気透過性を有し、前記トップシート(例えば、少なくともその内側表面)は、4.5g未満、好ましくは3.5g未満、更により好ましくは2.5g未満、及び最も好ましくは1.5g未満の再湿潤値を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書で使用する次の用語は、次の意味を有する。
「吸収性物品」という用語は、液体を吸収及び/又は収容する、着用可能なデバイスを指し、より詳細には、着用者の体に接して又は近接して配置されて、体から排出される様々な排出物を吸収し、収容するデバイスを指す。
【0013】
「長手方向」は、物品の最長直線の寸法、典型的には長手方向軸線に平行に走る方向であり、長手方向の45°以内の方向を含む。本明細書で使用する時、物品又はその構成要素の「長さ」は、一般に、物品又はその一部分の、最長直線の寸法の大きさ/距離、又は典型的には長手方向軸線の大きさ/距離を指す。
【0014】
「横」又は「横断」方向は、例えば、物品の大部分と長手方向軸線との同一平面において、長手方向に直交し、横断方向は横断方向軸線に平行である。本明細書で使用する時、物品又はその構成要素の「幅」は、その物品又はその構成要素の長手方向に直交する、例えば、物品又はその構成要素の長さに直交する寸法の大きさ/距離を指し、典型的には物品又は構成要素の横断方向軸線に平行な寸法の距離/大きさを指す。
【0015】
「Z方向」は、長手方向及び横断方向の両方に直交し、例えば物品の最短直線の寸法に平行に走る。本明細書で使用する時、物品又はその構成要素の「厚さ」又は「キャリパー」は、Z方向の寸法の大きさ/距離を指す。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「間隙空間」は、少なくとも物品が弛緩した状態(sate)で存在する、糞便物質などの排泄物を受け入れて収容する寸法の空洞である。
【0017】
本明細書で使用する時、「伸縮性」及び「伸縮性トップシート」は、その品目又はトップシートが、少なくとも長手方向に弾性である弾性材から作られた部分を少なくとも含むことを意味し、トップシートが全体として弾性材から成る(長手方向に弾性的に伸張性がある)、及び/又はトップシートが長手方向に弾性的に伸張性がある伸縮性バンド若しくはストランドを含有するという状況を含む。
【0018】
本発明は、プルオンパンツ又はトレーニングパンツ、パンツ型おむつ、失禁用ブリーフ、失禁用下着、吸収性挿入物、おむつホルダー及びライナー、女性用衛生衣類、包帯などの吸収性物品に同様に適用可能であるが、本発明の吸収性物品の好ましい実施形態は、プルオン若しくはトレーニングパンツ又はおむつ、好ましくは以下に示され記載されるおむつである。故に、本発明は(乳児用、幼児用又は成人用)おむつを参照して詳細に説明されるが、この説明は、他の着用可能な使い捨て物品に対して同様に適用可能である。
【0019】
本発明の使い捨ての着用可能な吸収性物品、例えばオムツは、典型的には液体不透過性であるが、好ましくは通気性又は水蒸気透過性でさえあるバックシートを有する。バックシートとして好適であることが既知のいかなる材料も、本明細書で使用することができる。バックシートとして有用であることが当該技術分野において既知である材料は、最大約0.2ダルシー/mmの空気透過性を有する。バックシート又はそのいかなる部分も、1以上の方向に弾性的延伸性であってもよい。1つの実施形態において、バックシートは、構造的に弾性様のフィルム(「SELF」)ウェブを含んでもよい。構造的に弾性様のフィルムウェブは、追加の弾性材を使用することなく伸び方向に弾性様挙動を示す、延伸性材料である。SELFウェブは、隣接し、別個で、異なる少なくとも2区域を有するひずみ可能な網状組織を含む。本発明に好適なSELFウェブは、米国特許第5,518,801号において更に完全に説明されている。
【0020】
典型的には、トップシート及びバックシートの少なくとも一部分の間に位置するのが好ましい吸収性コアもまた存在する。
【0021】
好ましくは存在する吸収性コアは、一般には圧縮可能で、適合性があり、着用者の皮膚に刺激を与えず、尿及び他の特定の身体滲出物などの液体を吸収及び保持することができるいかなる吸収性材料をも含むことができ、例えば、粉砕木材パルプ、縮みセルロース詰め物;コフォームを含むメルトブロウンポリマー;化学的に剛化、変性、若しくは架橋したセルロース繊維;ティッシュラップ及びティッシュラミネートを含むティッシュ;吸収性発泡体;吸収性スポンジ;超吸収性ポリマー;吸収性ゲル化材料;又はその他既知の吸収性材料若しくはこれらの材料の組み合わせなどである。吸収性コアとして使用するための代表的な吸収性構造体は、米国特許第4,610,678号、米国特許第4,673,402号、米国特許第4,834,735号、米国特許第4,888,231号、米国特許第5,137,537号、米国特許第5,147号、米国特許第5,260,345号、米国特許第5,387,207号、及び米国特許第5,625,222号に説明されている。
【0022】
本発明の物品、例えばおむつは、サイドパネル、及び/又はより好ましくは液体及び他の身体滲出物の収容性が改善された1以上のレッグカフを有してもよい。レッグカフは、レッグバンド、サイドフラップ、バリアカフ、又は伸縮性カフとも呼ぶことができ、米国特許第3,860,003号、米国特許第4,808,178号及び第4,909号、米国特許第4,695,278号及び第4,795,454号に説明されている。
【0023】
おむつは、典型的には、第1又は前側腰部区域、第1腰部区域に対向する第2又は後側腰部区域、及び第1腰部区域と第2腰部区域との間に位置する股部区域を有する。股部区域は、典型的には、着用時に着用者の脚の間にあるおむつの部分である。おむつの腰部区域は、着用時に典型的には着用者の腰部を縮め又は取り囲み、着用者が立っている、直立の姿勢である時、通常は物品の最高の高さで最高の位置にある。腰部区域、又は好ましくはウエストバンドは、典型的には、おむつの力線を含む。
【0024】
典型的には、おむつの腰部区域は、ウエストバンドである、又はウエストバンドを形成する部分を有する。おむつの1つのタイプでは、ウエストバンドは、使用前は開いており、着用者の腰部の周囲での締着が必要である。それに対して、おむつは、典型的には腰部区域又はバンドに接合される締着装置を有するのが好ましい。締着装置は、好ましくは、第1腰部区域及び第2腰部区域を接触する又は重なり合う形態で維持し、おむつの周囲に横方向の張力又は力線を提供して、おむつを着用者の上で保持する。締着装置は、好ましくは、テープタブ及び/又はフックアンドループ締着タブを含むが、他のいかなる既知の締着手段も一般的に許容できる。いくつかの代表的な締着装置は、米国特許第3,848,594号、米国特許第4,662,875号、米国特許第4,846,815号、米国特許第4,894,060号、米国特許第4,946,527号、米国特許第5,151,092号、米国特許第5,221,274号、及び米国特許第4,963,140号に開示されている。
【0025】
代替実施形態では、物品は、トレーニングパンツなど、プルオン型おむつとして使用されるものである。その結果、典型的には、前側腰部部分又はウエストバンドと、後側腰部部分又はウエストバンドとが、第1接続領域及び第2接続領域によって使用前に(取り外し不可能に)接続されるように、衣類の対向する側面が継ぎ合わされるか又は溶接されて、パンツを形成してもよい。
【0026】
腰部区域は弾性腰部機構を具備してもよい。かかる弾性腰部機構は、米国特許第4,515,595号及び米国特許第5,151,092号に記載されるものを含む多数の異なる形態で構成されてもよい。
【0027】
バックシートは、トップシート、吸収性コア、又はおむつの他のどの要素にも、当該技術分野において既知の取り付け手段により取り付ける又は接合することができる。トップシート及びバックシートの縁部は互いに直接取り付けられることが非常に好ましいが、トップシート及びコアの長手方向縁部は互いに取り付けられないか、又は任意に部分的にのみ取り付けられることが非常に好ましいことがある。取り付け手段としては、米国特許第4,573,986号に記載されるような、接着剤の均一な連続層、接着剤の模様付きの層、又は接着剤の別個の線、らせん若しくは点の配列を挙げることができる。満足のいくものであることが判明した接着剤は、ミネソタ州セントポールのH.B.フラー社(H.B.Fuller Company)によって製造され、HL−1620及びHL−1358−XZPとして市販されている。あるいは、取り付け手段は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、又は当該技術分野で既知の他のいかなる好適な取り付け手段、若しくはこれら取り付け手段の組み合わせをも含むことができる。
【0028】
好ましいのは、物品、例えばおむつが、好ましくは伸縮性レッグカフ(存在する場合)上に、及び/又は、特に、本明細書に記載されるように、開口部の縁部が伸縮性である時にはトップシートの開口部周辺に、着用者の皮膚への局所的な薬剤を含むことである。好ましい薬剤は、粉末及びローション、好ましくは、当該技術分野で一般に知られているようなタルク及び/又はワックスが含まれる。着用者の皮膚上へのゴムの圧痕を低減するために、かかる薬剤、特にタルク又はワックスをトップシートの開口部周辺のゴムに塗布することが非常に有用であることが分かった。
【0029】
物品はまた、使用中におむつ若しくはトップシート、又は開口部を更に適所に保持するように作用する局所用接着剤又は身体接着性組成物を含んでもよい。好ましい一実施形態では、局所用接着剤は、開口部の縁部に沿って伸縮性区域上に存在する。好適な身体接着剤は、当該技術分野で既知である。
【0030】
(トップシート)
本発明の物品のトップシートは空気透過性である。これは、使用者に対して快適な着用を保証し、皮膚問題の危険性を低減するのに重要である。トップシートの空気透過性は、典型的には、少なくとも3ダルシー/mm、より好ましくは少なくとも5ダルシー/mm、及び最も好ましくは少なくとも10、又は更には少なくとも20、又は更には少なくとも30ダルシー/である。これは、例えば、以下に述べる方法により決定することができる。
【0031】
本発明者らは、尿と混ざった糞便が非常に低い表面張力、例えば約25〜30mN/mを有し得ることを見出した。故に、トップシートは非常に低い表面エネルギーを有し、これは非常に高い撥アルコール性の値に反映される。
【0032】
トップシートの平均撥アルコール性は、少なくとも7.0、好ましくは少なくとも8.0、より好ましくは少なくとも9.0であり、最も好ましくは、トップシートの撥アルコール性は10である。
【0033】
トップシート又はその一部分、例えばトップシートの内側表面の表面エネルギーは、28mN/m未満、又は好ましくは24mN/m未満、及びより好ましくは20mN/m未満である。
【0034】
トップシートは、トップシートの表面エネルギーを低下させ、それにより、求める遮蔽を提供するのを助ける化学物質(本明細書においては、遮蔽促進剤と称される)で少なくとも部分的に処理されるのが好ましい。
【0035】
低い表面エネルギー、即ち、高い撥アルコール性を有するトップシートを得るために、上述の遮蔽促進剤を塗布するいかなる方法をも使用することができる。
【0036】
遮蔽促進剤を塗布する方法は、好ましくは、薬剤の非常に薄いコーティングをトップシート又はその一部分上に付着させるようなものであるべきであり、空気透過性及び多孔性が実質的に変わらないようなものであるべきである。
【0037】
好ましいのは、遮蔽促進剤を繊維ウェブに局所的に塗布すること、又はトップシートのウェブを形成する前に、トップシートを作製するのに使用される化合物(複数可)、例えば繊維に、溶融状態の遮蔽促進剤を添加することである。故に、例えばトップシートが繊維ブレンドから作製される不織布材である場合、この繊維ブレンドは溶融状態の遮蔽促進剤を含み得、これは結果として生じる不織布に高い撥アルコール性及び低い表面エネルギーを提供する。1以上の溶融された遮蔽促進剤の使用は、上述のように1以上の遮蔽促進剤での局所処理と組み合わせてもよい。
【0038】
有用な薬剤としては、米国特許第5,876,753号(ティモンズ(Timmons)ら、1999年3月2日発行)、米国特許第5,888,591号(グリーソン(Gleason)ら、1999年3月30日発行)、米国特許第6,045,877号(グリーソン(Gleason)ら、2000年4月4日発行)に記載されるようなフルオロカーボン類が挙げられる。他の薬剤としてはシリコーンが挙げられる。空気透過性を低下させることなく、トップシートに薬剤を塗布するための有用な方法は、米国特許第5,322,729号及びPCT国際公開特許WO96/03501に見ることができる。
【0039】
好ましい薬剤は、フルオロカーボン類、シロキサン類、ポリシロキサン類(好ましくは、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、並びにフッ化ビニル及びフッ化ビニリデン、フルオロアクリレート及びフルオロメタクリレートを含む、フッ素化モノマー類及びフッ素化ポリマー類を含む)から成る群から選択されてもよい。非常に好ましいのは、トップシートがポリ(テトラ)フルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー及び/又はフッ素化エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーの遮蔽促進剤を備えることである。
【0040】
遮蔽促進剤は、繊維性不織布ウェブに対して最も効果的に塗布され、この繊維性不織布ウェブは、好ましくはポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリウレタン類、及びポリアミド類から成る群から選択される熱可塑性ポリマー繊維を含み、最も好ましくは、熱可塑性ポリマー繊維はポリオレフィンであり、最も好ましくはポリプロピレン又はポリエチレンである。
【0041】
高い撥アルコール性に加え、トップシートは細孔による均一な孔径分布も有する。即ち、トップシートは、最大孔径(気泡点直径)が100μm未満、好ましくは75μm未満、より好ましくは50μm未満、及び最も好ましくは25μm未満である孔を有する。これは、以下に述べる方法により決定することができる。
【0042】
トップシートの孔は、好ましくは、平均孔径が20μm未満、好ましくは17μm未満、より好ましくは13μm未満、及び最も好ましくは10μm未満であるようなものである。
【0043】
高い撥アルコール性並びに均一に分布された細孔を有する本発明の物品のトップシートはまた、流れ易い糞便で皮膚が汚れることを低減するのを助ける。これは、本明細書で述べるようなBM再湿潤方法で特徴付けられる。
【0044】
本発明の1つの実施形態において、トップシートのBM再湿潤は、4.5g未満、好ましくは3.5g未満、より好ましくは2.5g未満、及び最も好ましくは1.5g未満である。
【0045】
トップシートの内側表面がこの低表面エネルギーを経験するのであれば、トップシートは、1つのシート又はウェブのみがこの低表面エネルギーを有する2以上のシート又はウェブを含んでもよい。ウェブ又はシートはカードウェブであってもよいが、トップシートは、スパンボンド及び/又はメルトブロウン不織布ウェブ(複数可)を含むのが好ましい。
【0046】
トップシートは2以上のシート又はウェブを有する積層体であるのが好ましく、このウェブの1以上は、低表面エネルギーを有するべく、1以上の上述の薬剤で処理されるのが好ましいことがある。
【0047】
本明細書のトップシートは少なくとも2つの層を含むのが好ましく、その1つはメルトブロウン(M)層であり、もう1つの層はスパンボンド(S)又はカード(C)層のいずれかである。
【0048】
好ましい手法は、SM SMS、SMMS、SSMS、SSMSS、SSMMS、CM又はCMC不織布積層体であり、好ましくは、1つのウェブは遮蔽促進剤で処理されている。
【0049】
好ましいのは、内側のウェブ(物品のバックシートに面する)及び/又は中間のウェブが、トップシート(の内側表面)が本明細書で定義されるような低表面エネルギーを有するようなものである積層体である。例えば、トップシートがSMS積層体を含み、少なくともメルトブロウンウェブが、トップシートの内側表面(及び、好ましくは外側表面も)の低表面エネルギーを提供するように処理されることが非常に好ましい。
【0050】
好ましくは、カード及び不織布ウェブは、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/若しくはポリブチレンポリマー繊維、又はポリエチレン、ポリプロピレン及び/若しくはポリブチレンのコポリマーの繊維(の混合物)であり、最も好ましいのはポリプロピレンポリマー繊維である。
【0051】
トップシートは、好ましくは非常に薄く、柔軟で対応性があり、好ましくは、非常に低い坪量、好ましくは35g/m未満、又は更には25g/m未満、又は更には15g/m未満の坪量を有する。トップシートは、好ましくは、0.2mm未満、又は更には0.15mm未満、又は更には0.1mm未満のキャリパー又は厚さを有する。
【0052】
本明細書のトップシートに使用する好ましい材料は、例えば、例えばペガス(Pegas)からペガフォブ(Pegaphob)02 445 032という名称で入手可能な、最大孔径(孔径)が32μm、空気透過性が34ダルシー/mm、撥アルコール性が10、再湿潤が2.8の、ディポリット(Dipolit)で処理された34gsmのSMSポリプロピレン不織布積層体;例えばペガス(Pegas)からペガフォブ(Pegaphob)02 445 024という名称で入手可能な、最大孔径が57μm、空気透過性が52ダルシー/mm、撥アルコール性が10、再湿潤が2.9の、ディポリット(Dipolit)で処理された24gsmのSSMMSSポリプロピレン不織布積層体;例えばペガス(Pegas)からペガフォブ(Pegaphob)02 445 032という名称で入手可能な、最大孔径が48μm、空気透過性が42ダルシー/mm、撥アルコール性が10、再湿潤が3.0の、ディポリット(Dipolit)で処理された34gsmのSSMMSポリプロピレン不織布積層体;最大孔径が22μm、空気透過性が48ダルシー/mm、撥アルコール性が9、再湿潤が1.7の、サンドラー(Sandler)からVP21/00/75というコードで入手可能な20gsmのウェブ;最大孔径が36μm、空気透過性が95ダルシー/mm、撥アルコール性が10、再湿潤が2.1の、サンドラー(Sandler)からVP21/00/76というコードで入手可能な10gsmのウェブ;最大孔径が23μm、空気透過性が35ダルシー/mm、撥アルコール性が10、再湿潤が1.1の、サンドラー(Sandler)からVP21/00/76というコードで入手可能な20gsmのウェブであり、後者が最も好ましい。
【0053】
本発明の別の実施形態は、傾斜した円錐形状の孔を有するフィルムから形成されたトップシートを有する使い捨て吸収性物品であり、それらの孔は、トップシートのz軸とある角度をなして(即ち、トップシートの平面に垂直ではなく)トップシート内に位置し、圧力下でトップシートの平面に、より平行である(横断方向軸又は長手方向軸に、より平行である)位置に移動し得る。この種の多孔性トップシート材料はまた、使用中に圧力がそれに印加されると、遮蔽及び低減した漏れを提供する。これは、典型的には、使用中、存在する糞便又は使用者の動きがトップシートに対する圧力を増加させる時に生じる。傾斜した円錐状フィルムは、好ましくはまた、上述の撥アルコール値、空気透過性、再湿潤値及び/又は孔径分布を有する。上述の材料に関して、それら傾斜した円錐状トップシートは、好ましくは、平均孔径が20μm未満、好ましくは17μm未満、より好ましくは14μm未満、及び最も好ましくは10μm未満である孔を有する。
【0054】
好適な材料は、共に1999年2月3日に出願されたPCT出願(PCT applications)US99/02395又はUS99/02393に記載されるような、三次元的に形成された傾斜した円錐状フィルムである。かかるフィルムを、例えば、不織布ウェブなどの支持体シートと組み合わせて積層体を形成してもよい。支持体シート、例えば不織布ウェブは、全面積にわたって、傾斜した円錐状フィルムに取り付けられ得るが、それらの層は、層の周辺区域においてのみ互いに取り付けられるのが好ましい。好ましい三次元的に形成された傾斜した円錐状フィルムは、トレデガー(Tredegar)からV174LD40という表記で入手可能である。
【0055】
本発明の物品のトップシートは、間隙空間につながる開口部、好ましくは細長いスプリット開口部を有する。開口部の寸法は、例えばトップシート及び/又は物品の大きさに応じて変化してもよい。開口部は、トップシートの全長にわたって延びてもよい。好ましいのは、特に、サイズ4のおむつに関して、例えば、弛緩状態の開口部の長さが、好ましくは、5〜30cm、又は更に10〜25cm、又は更に12〜20cmであることである。例えば、弛緩状態のそのような物品の開口部の幅は、好ましくは2〜10cm、より好ましくは3〜8cmである。
【0056】
十分に伸張した状態では、開口部の長さは、好ましくは、20〜35cmであってもよく、幅は、好ましくは、3〜6cmであってもよい。
【0057】
トップシートは、好ましくは、開口部の2つの長手方向縁部に沿って位置し、前記開口部から第一(前側)及び第二(後側)の腰部区域に向かって延びる伸縮性区域を有し(従って、各縁部は少なくとも1つの伸縮性区域を有する)、好ましくは伸縮性区域の末端部分は、腰部区域に取り付け又は接合され得る。故に、伸縮性区域は、好ましくは、弛緩状態及び伸張状態の両方において開口部より長い。好ましいのは、伸縮性区域が、活性トップシートの全長、例えば、使用する際に排泄物を受けることが意図されるトップシートの部分、典型的には、トップシートから腰部区域又はバンド(の一部分)を形成するトップシートの部分を差し引いた部分の上に位置することである。
【0058】
伸縮性区域の長さは、一般に、トップシート及び/又は物品の大きさによって決まる。例えば、サイズ4のおむつに関して、弛緩位置における伸縮性区域の長さは、10〜30cm、又は更に15〜25であってもよい一方、伸張状態では、好ましくは20〜60、又は更に25〜45、又は更に30〜40cmであってもよい。
【0059】
伸縮性区域は、2以上のほぼ平行な伸縮性領域の形態であってもよく、伸縮性区域は、その区域の中間部分が互いにほぼ平行であるような形状であることが好ましい一方、末端部分(少なくとも弛緩した状態で)は、(トップシートの平面で)互いから離れて曲がり、伸縮性区域の末端部分間の距離は、伸縮性区域の中間部分間の距離よりも長い。その際、伸縮性区域の末端部分は、典型的にはそれぞれ、開口部の長手方向軸線とある角度をなし、好ましくは、各角度は20°〜30°であって、好ましくは、末端部分間の角度はそのほぼ2倍、例えば40°〜60°である。これを、本明細書ではX形状と呼ぶ。
【0060】
好ましいのは、弛緩した状態の時、伸縮性区域又はその一部分が、隣接するトップシートとある角度をなし、伸縮性区域が(更に)、トップシートの平面から出て曲がり、(トップシートの下の)間隙空間から離れて上向きに曲がることである。
【0061】
本発明のおむつを作製するのに再適用できる好ましい方法は、例えば、EP−A−1201212に記載されている。
【0062】
非常に好ましいのは、本発明の物品(例えば、おむつ又はトレーニングパンツ)が、糞便を不動化するのに役立ち、トップシートの下、即ち、トップシートとバックシートとの間又はトップシートと吸収性コア(通常は存在する)との間に位置する追加のシートを含むことである。
【0063】
この追加のシートは、少なくとも繊維ウェブ(シート)から作製されるのが好ましく、この繊維ウェブ(シート)は、繊維が接着している区域と、繊維が接着していない区域、いわゆる接着区域と未接着区域とを有する。繊維は1つの接着区域から未接着区域を通って別の接着区域へと延び、典型的には、それにより、繊維は1つの接着区域から次の接着区域までループを形成する。接着区域は、それらが未接着区域のための支持体構造を形成するようなものであるので、裏材支持層は必要ない。この追加のシートは、典型的には単独若しくは単一のシート又はウェブである。
【0064】
好ましくは、同じ接着区域から、次の同じ接着区域まで伸びる繊維は、互いにほぼ平行である。好ましくは、接着区域は1つの平面にあり、例えば平面的な支持体構造を形成し、繊維は、接着区域の支持体構造により形成された平面から上方及び下方に、好ましくはループの形状で延びる。
【0065】
接着区域は、未接着区域のための前記支持体構造が作られるのであれば、いかなる形状でもあり得る。例えば、接着区域は、点、方形、矩形、円形、三角形又は線の形状であり得る。接着区域の数も、それらが不連続点な線、方形、線又はストリップなどを共に形成するようなものであり得る。後者の場合、接着区域は、未接着区域のための支持体構造を提供するのに十分な接着が達成されることを保証するのに十分な程、共に密接でなければならない。
【0066】
未接着区域も、例えば円形若しくは丸形、方形、矩形、三角形、菱形、又は六角形及び/若しくは楕円形であってもよい。
【0067】
好ましくは、未接着区域内の(最大凸部の)表面積は、少なくとも2mm、好ましくは少なくとも5mm、又は更には少なくとも10mm、又は更には少なくとも20mm、又は更には少なくとも25mm、又は更には少なくとも30mm、及び典型的には最大200mm、又は更には最大でわずか100mmである。
【0068】
接着区域は一定の幅寸法を有し、この寸法は、本明細書で使用する時、接着区域の支持体構造が形成する平面内での、接着区域の2つの対向する側部間の最も小さい距離である(即ち、故に、接着区域の厚さ寸法ではない)。典型的には、この幅寸法は、3mm未満、又は更には2mm未満、又は更には1mm未満、又は更には0.8mm未満、又は更には0.5mm未満である。
【0069】
未接着区域と接着区域との総表面積間の総表面積の関係は、好ましくは20:1、又は更には15:1、又は更には10:1、又は更には8:1、しかし好ましくは2:1を超える、又は更には3:1を超える。
【0070】
好ましくは、接着区域は線の形状であり、好ましくは各接着区域(線)は、少なくとも1つの別の接着区域(線)と交差する。好ましくは、接着区域は、長手方向及び横断方向の両方に位置し、好ましくは、図4aに見られるように、各方向において互いに平行である。
【0071】
追加のシートはいかなる坪量を有してもよいが、好ましくは、これは約10〜45g/m、又は更には20〜40g/m、又は更には30〜35g/mである。
【0072】
非常に好ましい追加のシートは、キャリパーが約0.25〜0.29、好ましくは約0.27mm、圧縮抵抗が約40〜60%、好ましくは約55%、坪量が約28〜34g/m、好ましくは約32g/mであり、好ましくは約22mm〜30mm、好ましくは25mmの未接着区域と、最大幅が0.7mm〜1.1mm、好ましくは0.9mmの交差線の形状をなす接着区域とを有するウェブを含むか、それから成る。非常に好ましい追加のシートは、サンドラー(Sandler)からVP3001/11−32gsmという商品名で入手可能である。
【0073】
本明細書で使用する試験方法:
(空気透過性)
空気透過性は、空気の標準的な容積が、一定の圧力及び温度における試験片を通して引き出される時間を測定することによって決定される。この試験は、本明細書中で好ましいもの、特に不織布材といったような相対的に高い気体透過性を有する材料に特に適している。
【0074】
器具はテクステスト(Tex Test)FX3300を使用する。試験方法はASTMD737に従う。試験は、一般的に約22±2℃及び約35%±15%の相対的湿度の実験環境で行われる。試験片は少なくとも2時間調湿されなくてはならない。試験圧は125パスカル、試験面積は38cmである。この試験では、器具が試料を横切る一定の差圧を作り、その差圧が空気を試料に引き込む。試料への空気流の速度は、フィート/分/フィートで測定され、ダルシーの法則により透過(ダルシー/mm)に変換される。
K/d(ダルシー/mm)=(Vμ)/(tΔp)
式中、kは試験片の単位面積あたりの透過性であり、V/tはcm/秒での体積流量であり、μは空気の粘度(1.8610−5Pa秒)であり、dはmmでの試験材料の厚さであり、Aはcmでの試験片の断面積であり、Δpはパスカル又はPaでの圧力差であり、1ダルシーは9.86910−9cmである。
【0075】
各試料につき3回反復すべきであり、平均した(meant)結果を、本明細書の空気透過性として報告する。
【0076】
(撥アルコール性(表面エネルギーについての示度))
撥アルコール性は、1996年に公開され、米国ノースカロライナ州(27513)のインダ(INDA)から入手可能であるようなINDA標準試験方法IST80.6(95)により決定することができる。
【0077】
この方法は、アルコール又はアルコール/水溶液の濡れ及び浸透に対する試料の抵抗性を測定するのに使用される。
【0078】
布地の撥アルコール性値は、布地に浸透しない最も高い番号が付された試験溶液に対応する。故に、本明細書で使用する時、撥アルコール性が7であるトップシートは、70%のアルコール(エタノール無水物)及び30%の脱イオン水から成る試験溶液は試料に浸透しないが、80%のアルコール及び20%の水から成る溶液は浸透するようなものである。
【0079】
本明細書で非常に好ましいのは、撥アルコール性が10であるトップシートであり、100%アルコール溶液も、いかなるアルコール/水溶液も試料に浸透しない。
【0080】
(最大孔径、平均孔径及び孔径分布)
本明細書で使用する時、最大孔径及び平均孔径は、ASTM法F316−80の使用により計算することができる。このASTM法において必要とされるコールターポロメーター(coulter porometer)として、PMIから入手可能なポロメーターを使用することができる。
【0081】
(再湿潤値及び方法)
本発明の吸収性物品の第一トップシート又は第二トップシートの再湿潤値は、特定の圧力下でトップシートから乾燥したピックアップ紙まで移動されるBM類似体4Aの量を測定することにより決定することができ、これは以下のように行われる。
【0082】
BM類似体4Aは、以下のものを含む。
フェクローン#2(Feclone #2) 3.86%
フェクローン#4(Feclone #4) 3.86%
ウルトラダウン(Ultra Dawn)** 0.62%
蒸留水 91.66%
米国ペンシルバニア州バレーフォージ(19481)(Valley Forge,PA 19481,USA)にあるシリクローンスタジオ(SiliClone Studio)−ドレッタL.Erb(Doretta L.Erb)から入手可能
**プロクターアンドギャンブル社(The Procter & Gamble Company)が米国で販売している洗剤
【0083】
BM類似体4Aは以下のように調製される。
類似体を作製するのに必要な量よりも多い蒸留水を容器内で90℃まで加熱する。適当な量の上述のフェクローン(Feclone)2及び4を秤量し、別の容器に移して十分にブレンドする。次いで、ウルトラドーン(Ultra Dawn)を混合する。次いで、水を他の成分と混合し、均質なブレンドにする。
【0084】
次いで、このBM類似体4Aを10g+/−0.2g、ペトリ皿に入れる。BM類似体及びペトリ皿の縁部が被覆されるように、1片の(再湿潤値を測定すべき)トップシートをペトリ皿の上に置く。トップシート材料が他の表面よりも毛羽立った1つの表面を有する場合、このより毛羽立った表面はBM類似体から離れた上方に位置する。
【0085】
5プライの乾燥したピックアップ紙(10cm*10cm;アールストローム(Ahlstrom)等級632又は同等値)を秤量し、次いでトップシート材料の上に載せる。
【0086】
次いで、8ポンド(3.6kg)重量の力を10cm10cmの表面積(即ち、0.5psi(3447Pa)、10cm10cmの表面積あたり3543g)に3分間かける。
【0087】
次いで、5プライのピックアップ紙を再び秤量し、ピックアップ紙の重量差を計算する。重量の増加分Xは、ピックアップ紙上に接着したBM類似体又はピックアップ紙中に吸収されたBM類似体の重量である。次いで、最初のBM類似体10グラムのパーセンテージXを計算することにより、再湿潤パーセンテージを決定する。例えば、ピックアップ紙の重量が0.2グラム増加する場合、Xは0.2グラムであり、トップシートのパーセンテージ再湿潤又は再湿潤値は(0.2/10)×100%=2%再湿潤である。
【0088】
(キャリパー(厚さ))
この試験は、本発明の物品に使用するウェブ又はシートのキャリパーを測定するものである。
【0089】
本明細書で述べるキャリパーは、例えば各々が15cm(1.5×1.5平方インチ)の3つのウェブ又はシートの試料を、例えばより大きなシートから押し抜いて採取することにより測定される。次いで、3つの別個の実験において、各試料の最大キャリパーを測定し、平均を得る。
【0090】
各実験において、試料を1つの位置に固定し、次いで、特定圧力0.09psi(620Pa)を試料にかけ、デジタルはさみ尺でキャリパーを測定する。試料のキャリパー測定は、常にその試料の同じ場所にて行う。
【0091】
(図の好ましい物品)
ここで、本発明の好ましいおむつが、図1及び図2を参照して説明される。
【0092】
図1は、伸張状態のおむつ20の平面図であり、おむつ20の下層構造をより明確に示すために構造の一部分が切り取られ、おむつ20の着用者に接触する部分が見る人に向いている。おむつ20の1つの末端部分は、おむつ20の第一腰部区域36として構成されている。その反対側の末端部分は、おむつ20の第二腰部区域38として構成されている。おむつ20の中間部分は、第1腰部区域36と第2腰部区域38との間に長手方向に延びる股部区域37として構成されている。腰部区域36と38は、着用時に着用者の腰部を取り囲むおむつ20の腰部部分をほぼ構成している。腰部区域36と38は、着用者の腰部の周囲で縮んで、改善された適合性及び収容性を提供し得る要素、又は典型的には腰部の周囲で縮むことができると共に、ランディング領域29に締着されるタブ27などの締着手段を使用することによって腰部の周囲に締着され得る要素を含む。股部区域37は、おむつ20を着用した時に、一般に、着用者の脚の間に位置するおむつ20の部分である。
【0093】
おむつ20は、トップシート24、液体不透過性バックシート26、及びトップシート24とバックシート26との間に入れられた吸収性コア28を含む。トップシートは空気透過性であり、細孔のみによる均一な孔径を有し、上述のような低表面エネルギーを有する。好ましいのは、上述のペガス(Pegas)又はサンドラー(Sandler)から入手可能であるような積層体であり、好ましくは、トップシート24は上述のように遮蔽促進剤で処理される。
【0094】
トップシート24は、糞便滲出物を受けて、その滲出物の少なくとも一部分を着用者の皮膚から隔離するように構成されている、おむつ20の長手方向軸線xに沿ったスリット開口部30を含む。
【0095】
トップシート24は全体的に又は部分的に伸縮性であってもよい。図1では、トップシート24は、X字形を有する伸縮性バンド(ゴムバンド)31と32との供給によって部分的に伸縮性である。
【0096】
スリット開口部30は、糞便滲出物が開口部を通過してトップシート24及び吸収性コア28及び/又は他の下層間に形成された間隙空間に移動するように、トップシート24に位置し、この他の下層は、好ましくは上述のように糞便を捕捉し、好ましくは接着区域と未接着区域とに繊維を有する追加のシートであり、それにより接着区域は未接着区域のための平面的な支持体構造を形成し、これはスリット開口部30を通過した糞便を捕捉するのに役立つ。一旦糞便が間隙空間に入ると、本発明のおむつ20の特定のトップシート24は、糞便(の大部分)が使用者又は介護人がおむつ20を交換する時に見えないことを保証し、且つ、糞便の漏れ(例えばトップシートを通って戻る)が低減することを保証する。
【0097】
トップシート24のスリット開口部30は、使用中に着用者の肛門と位置が揃うように位置する。好ましくは、トップシート24のスリット開口部30は、おむつのターゲット領域に位置する。ターゲット領域とは、着用者から糞便物質の攻撃を直接受け取るように構成され、ほぼおむつの股部部分に位置するおむつの部分である。特に、非制限的な一実施形態では、トップシートを完全に延ばした又は伸張した状態で測定する時、ターゲット領域はおむつの長手方向軸線xに沿って約5〜約30cmの長さ延び、その長さの約4分の1はおむつ20の横方向軸線yから、第1又は前側腰部区域36に長手方向に延び、残りの長さは第2又は後側腰部区域38に長手方向に延びることができる。一般に、スリット開口部30の約0%〜約40%、好ましくは10%〜35%、又は更に20%〜30%が、おむつ20の横方向中心線の前方に位置してもよい。
【0098】
トップシート24のスリット開口部30は、ほぼ長手方向軸線xに沿ってターゲット領域に設けられ、対向して長手方向に延びる2つの側縁部40、前縁部41及び後縁部42により画定される。前縁部41は、一般的に、第一の前側区域36に向かうおむつ20の股部区域37に、又は第一の腰部区域36自体に位置する一方、後縁部42は、第二の腰部区域38の近くの股部区域37に、又は第二の腰部区域38自体に位置している。スリット開口部30は、おむつの長手方向軸線xに平行な長手方向の長さと、おむつ20の横方向軸線yに平行な横方向の幅とを含む。スリット開口部30の長さは、上述の範囲内である。
【0099】
おむつ20は好ましくは、フックアンドループ型の締着装置などの、少なくとも1つの係合構成要素(又は雄締着構成要素のファスナー)27と、少なくとも1つのランディング領域29(雌締着構成要素)とを典型的に含む締着装置も含む。おむつ20はまた、レッグカフ、前側及び後側耳パネル、ウエストキャップ機構、及びゴムなどを含む当技術分野で既知の他の機構を含んで、より良い適合性、収容性、及び美的特質を提供してもよい。このような追加的な機構は、当技術分野で既知であり、米国特許第3,860,003号及び同第5,151,092号に記載されている。
【0100】
伸縮性区域31及び32は、おむつ20の開口部30が肛門周辺を含む臀部の臀筋の溝に位置し、またその位置のままであることを確実にする。
【0101】
スリット開口部の縁部40は、着用者(の皮膚)に接して保持され、伸縮性区域31及び32によって供給される弾性力のみによって、又は任意選択的、追加的に上述のような身体接着性組成物の使用によって、偏向することなく糞便をスリット開口部30に侵入させ得る。いかなる場合においても、身体接着性組成物は、蒸気を通し(即ち、通気性であり)、皮膚に適合性があり、あるいは皮膚に優しいことが好ましい。伸縮性区域31及び32は、着用者の皮膚上の伸縮性区域31及び32の圧痕を低減すべく、ローション、又は好ましくはタルク若しくはワックスを含むことも好ましい場合がある。伸縮性区域31、32は、スリット開口部30の長手方向縁部40に沿って予め伸張した伸縮性バンドを接着することにより形成され得る。
【0102】
物品が、本発明の好ましいおむつ20の斜視図を示す図2に見られるような六角形の形状を有するスリット開口部を有することが好ましい場合がある。スリット開口部30は、矩形の部分90と、そのそれぞれの側の2つの三角形の部分91とを含む。次に、スリット開口部30の長さは、三角形91の頂点にある、開口部30の縁部の結合点から測定され(即ち、六角形のスリット開口部30の最長寸法/長手方向軸線の長さ)、本明細書で詳述されるような好ましい値を有する。その時、六角形のスリット開口部30の幅が、スリット開口部30の長手方向軸線に直交する、このスリット30の横断方向軸線の幅である。
【0103】
おむつ20は、典型的には、おむつ20の両方の長手方向縁部上に、バックシート26に取り付けられるレッグカフ80を有してもよい。好ましくは、レッグカフ80の長手方向縁部、トップシート24の長手方向縁部、及びバックシート26の長手方向縁部は、細い長手方向取り付け縁部の形状で共に付着される。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の好ましいおむつ及びその好ましいトップシート24の平面図。
【図2】本発明の好ましいおむつ及びその好ましいトップシート24の斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用中着用者の衣類に面するバックシートと、前記バックシートに面する内側表面及び使用中前記着用者の身体に面する外側表面を有するトップシートとを有し、前記トップシートが排泄物を受容するための間隙空間への通路を提供する1以上の開口部を有し、前記空間が前記トップシート及びバックシートの間に位置する使い捨て吸収性物品であって、
前記トップシートは均一な孔径分布、及び100μm未満、好ましくは50μm未満の最大孔径(気泡孔径直径)を有する少なくとも1枚の繊維性材料のシートを含み、
前記トップシートは少なくとも3ダルシー/mm、より好ましくは少なくとも10ダルシー/mm、又は更に少なくとも20ダルシー/mmの空気透過性を有し、
前記トップシートは少なくとも7.0、好ましくは9.0又は10の撥アルコール性を有する使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
使用中着用者の衣類に面するバックシートと、前記バックシートに面する内側表面及び使用中前記着用者の身体に面する外側表面を有するトップシートとを有し、前記トップシートが、前記トップシート及びバックシートの間に位置し排泄物を受容するための間隙空間への通路を提供する1以上の開口部を有する使い捨て吸収性物品、好ましくは請求項1に記載の物品であって、
前記トップシートは少なくとも3ダルシー/mm、好ましくは少なくとも10ダルシー/mmの空気透過性を有し、前記トップシートは、4.5g未満、好ましくは3.5g未満のBM再湿潤値を有する使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
前記トップシートが40g/m未満の坪量を有し、メルトブロウン不織布ウェブを含む請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
前記トップシートの孔が、20μm未満、好ましくは17μm未満、より好ましくは13μm未満及び最も好ましくは10μmの平均孔径を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記トップシートが、1以上のスパンボンドウェブ及び1以上のメルトブロウンウェブを有する積層体か、又は1以上のメルトブロウンウェブ及び1以上のカードウェブを有する積層体を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記トップシートが、フルオロカーボン化合物及び/又はシロキサン化合物から選択される、好ましくはフルオロカーボン化合物から選択される遮蔽促進剤を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記トップシートが、長手方向に対向する側縁部と、前記側縁部のそれぞれに沿って設けられる1以上の伸縮性区域とを有する唯一の開口部を具備し、
前記伸縮性区域が、前記開口部の側縁部よりも長く、前記側縁部から長手方向に延び、各伸縮性区域は1以上の長手方向に延びる伸縮性バンドを有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記伸縮性区域又は使用中着用者の身体に面するその一部分が、好ましくはタルク及び/又はワックスを含む摩擦軽減剤、好ましくはローション又は粉末を含む請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記トップシート及びバックシートの間に位置し、幅、長さ及び厚さ(キャリパー)寸法を有する繊維の三次元ウェブである追加のシートを含み、前記ウェブが、前記繊維が互いに接着されている接着区域と、前記繊維が互いに接着されていない未接着区域とを有し、
前記繊維は少なくとも1つの接着区域から少なくとも1つの未接着区域を通って少なくとも1つの他の接着区域まで延び、
前記接着区域は未接着区域のための支持体構造を形成し、前記未接着区域の表面積は少なくとも2mmであり、
前記トップシートは0.1〜5mmの厚さ(キャリパー)を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
おむつ又はトレーニングパンツである請求項1〜9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
使用中着用者の衣類に面するバックシートと、好ましくは吸収性コアと、前記バックシートに面する内側表面及び使用中前記着用者の身体に面する外側表面を有するトップシートとを有し、
前記トップシートが、前記トップシート及びバックシートの間に位置し排泄物を受容するための間隙空間への通路を提供する1以上の開口部を有する使い捨て吸収性物品であって、
前記トップシートは、増圧下で閉じる傾斜した円錐形状の孔を有するフィルムを含み、
前記フィルムは好ましくは繊維性シート上に重ねられる使い捨て吸収性物品。
【請求項12】
バックシートに面する内側表面及び使用中着用者の身体に面する外側表面を有し、排泄物を受容するための間隙空間への通路を提供する1以上の開口部を有し、前記空間が前記トップシート及びバックシートの間に位置するトップシートの使い捨て吸収性物品における使用であって、
前記トップシートは均一な孔径分布、及び100μm未満、好ましくは50μm未満の最大孔径(孔径)を有する少なくとも1枚の繊維性材料のシートを含み、
前記トップシートは少なくとも3ダルシー/mm、より好ましくは少なくとも10ダルシー/mm、又は更に少なくとも20ダルシー/mmの空気透過性を有し、
前記トップシートは少なくとも7.0、好ましくは9.0又は10の撥アルコール性を有する、前記物品により受容される糞便を遮蔽するためのトップシートの使い捨て吸収性物品における使用。
【請求項13】
バックシートに面する内側表面及び使用中着用者の身体に面する外側表面を有し、排泄物を受容するための間隙空間への通路を提供する1以上の開口部を有し、前記空間が前記トップシート及びバックシートの間に位置するトップシートの使い捨て吸収性物品における使用であって、
前記トップシートは均一な孔径分布、及び100μm未満、好ましくは50μm未満の最大孔径(気泡点直径)を有する少なくとも1枚の繊維性材料のシートを含み、
前記トップシートは少なくとも3ダルシー/mm、より好ましくは少なくとも10ダルシー/mm、又は更に少なくとも20ダルシー/mmの空気透過性を有し、
前記トップシートは少なくとも7.0、好ましくは9.0又は10の撥アルコール性を有する、前記物品からの糞便の漏れを低減するためのトップシートの使い捨て吸収性物品における使用。
【請求項14】
バックシートに面する内側表面及び使用中着用者の身体に面する外側表面を有し、排泄物を受容するための間隙空間への通路を提供する1以上の開口部を有し、前記空間が前記トップシート及びバックシートの間に位置するトップシートの使い捨て吸収性物品における使用であって、
前記トップシートは均一な孔径分布、及び100μm未満、好ましくは50μm未満の最大孔径(気泡点直径)を有する少なくとも1枚の繊維性材料のシートを含み、
前記トップシートは少なくとも3ダルシー/mm、より好ましくは少なくとも10ダルシー/mm、又は更に少なくとも20ダルシー/mmの空気透過性を有し、
前記トップシートは少なくとも7.0、好ましくは9.0又は10の撥アルコール性を有する、前記物品の着用者の皮膚上への糞便の付着を低減するためのトップシートの使い捨て吸収性物品における使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−504497(P2006−504497A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551941(P2004−551941)
【出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/035667
【国際公開番号】WO2004/043317
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】