説明

遷移金属化合物及びこれを含むエチレン単独重合体または共重合体製造用の遷移金属触媒組成物

【課題】触媒合成が非常に経済的であるだけでなく、オレフィン重合において触媒の活性に優れた遷移金属化合物及び前記遷移金属化合物と助触媒を含むエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンの共重合体製造用の遷移金属触媒組成物を提供することであり、さらに前記遷移金属化合物及び触媒組成物を利用し、多様な物性を有するエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンの共重合体を、商業的な観点で経済的に製造できる重合方法を提供する。
【解決手段】4族遷移金属を中心金属として、周囲にシクロペンタジエン誘導体及びオルト(ortho−)位置にヘテロ環状アリール誘導体が置換されたアリールオキシドリガンドを少なくとも一つ以上含み、リガンド間相互架橋されなかったことを特徴とする遷移金属化合物、前記遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物及びホウ素化合物を助触媒として含む触媒組成物及びこれを用いた重合方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体製造用の遷移金属触媒系に関し、より具体的には、4族遷移金属の周囲にシクロペンタジエン誘導体及びオルト(ortho−)位置にヘテロ環状アリール誘導体が置換されたアリールオキシドリガンドを少なくとも一つ以上含み、リガンド間相互架橋されなかったことを特徴とする4族遷移金属化合物、前記遷移金属化合物とホウ素化合物助触媒及びアルミニウム化合物を含むエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンの共重合体製造用の遷移金属触媒組成物、及び前記触媒組成物を利用したエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンの共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エチレンの単独重合体またはα−オレフィンとの共重合体の製造には、一般にチタニウムまたはバナジウム化合物の主触媒成分とアルキルアルミニウム化合物の助触媒成分とから構成される、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒系(Ziegler Natta catalyst)が使用されてきた。ところが、チーグラー・ナッタ触媒系は、エチレン重合に対して高活性を示すが、不均一な触媒活性点のため、一般に生成重合体の分子量分布が広く、特に、エチレンとα−オレフィンの共重合体においては、組成分布が均一ではないという短所があった。
【0003】
最近、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなど、周期律表の4族遷移金属のメタロセン化合物と、助触媒であるメチルアルミノキサン(methylaluminoxane)とから構成される、いわゆるメタロセン触媒系が開発された。メタロセン触媒系は、単一種の触媒活性点を有する均一系触媒であるため、既存のチーグラー・ナッタ触媒系に比べ、分子量分布が狭くて組成分布が均一なポリエチレンを製造することができるという特徴を有している。例えば、ヨーロッパ公開特許第320,762号、第372,632号、または日本特開昭63−092621号、日本特開平02−84405号、または日本特開平03−2347号では、Cp2TiCl2、Cp2ZrCl2、Cp2ZrMeCl、Cp2ZrMe2、エチレン(IndH4)2ZrCl2などのメタロセン化合物を助触媒メチルアルミノキサンで活性化させることにより、エチレンを高活性で重合させ、分子量分布(Mw/Mn)1.5〜2.0範囲のポリエチレンが製造できることを発表した。しかしながら、前記触媒系では、高分子量の重合体を得難く、特に140℃以上の高温で行われる溶液重合法に適用する場合、重合活性が急激に減少し、β−水素離脱反応が著しくて、重量平均分子量(Mw)が100,000以上の高分子量重合体を製造するには、適合していないことが知られている。
【0004】
一方、溶液重合の条件で、エチレン単独重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体において、高い触媒活性と高分子量の重合体を製造できる触媒として、遷移金属を環状に連結させた、いわゆる幾何拘束型非メタロセン系触媒(単一活性点触媒)が発表された。ヨーロッパ公開特許第0416815号とヨーロッパ公開特許第0420436号では、一つのシクロペンタジエンリガンドにアミド基を環状に連結させた例を提示して、ヨーロッパ公開特許第0842939号では、電子供与体化合物としてフェノール系リガンドをシクロペンタジエンリガンドと環状に連結させた触媒の例が公知された。しかしながら、前記の幾何拘束型触媒の合成段階中、リガンドと遷移金属化合物間の環形成反応過程の収率が非常に低いため、商業的に利用するには困難がある。
【0005】
一方、幾何拘束型ではない非メタロセン系触媒でありながら高温溶液条件に使用可能な触媒が、米国特許第6,329,478号と大韓民国公開特許公報第2001−0074722号に公知された。前記特許では、少なくとも一つ以上のホスフィンイミン化合物をリガンドとして使用した単一活性点触媒が、140℃以上の高温溶液重合条件でエチレンとα−オレフィンの共重合時、高いエチレン転換率を示すことを記載している。しかしながら、前記ホスフィンイミンリガンドの合成のためには、制限的なホスフィン化合物を使用しなければならず、またこのような化合物は、環境と人体に有害で、汎用オレフィン重合体の製造用に使用するには困難がある。米国特許第5,079,205号には、ビス−フェノキシドリガンドを有した触媒の例があるが、商業的に使用するには触媒活性があまりにも低い。
【0006】
前記例示の他の非メタロセン系触媒として、フェノール系リガンドの合成及びこれを重合に使用した例が「Organometallics 1998、17、2152(ノムラら)」に報告されたが、この場合は、単純アルキル置換体であるイソプロピル基に局限されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、前記従来の技術の問題点を克服するために、鋭意研究した結果、シクロペンタジエン誘導体及び(ortho−)位置にヘテロ環状アリール誘導体が置換されたアリールオキシドリガンドを含んだ非架橋型遷移金属触媒が、エチレンの重合において優れた触媒活性を示すことを見出した。このような事実に着目し、60℃以上で行われるオレフィン重合工程において、高分子量のオレフィン単独重合体または共重合体を高い活性で製造できる触媒を開発し、本発明は、これに基づいて完成された。
【0008】
したがって、本発明の目的は、非架橋型構造であって触媒合成が非常に経済的であるだけでなく、オレフィン重合において触媒の活性に優れた遷移金属化合物及び前記遷移金属化合物と助触媒を含むエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンの共重合体製造用の遷移金属触媒組成物を提供することであり、他の目的は、前記遷移金属化合物及び触媒組成物を利用し、多様な物性を有するエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンの共重合体を、商業的な観点で経済的に製造できる重合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明の一側面は、下記化学式1に表されたように、4族遷移金属の周囲にシクロペンタジエン誘導体及びオルト(ortho−)位置にヘテロ環状アリール誘導体が置換されたアリールオキシドリガンドを少なくとも一つ以上含み、リガンド間相互架橋されなかったことを特徴とする遷移金属化合物に関する。
[化1]
[化学式1]

式中、Mは、周期律表上、4族の遷移金属であり、Cpは、中心金属Mとη5−結合できるシクロペンタジエニル環、またはシクロペンタジエニル環を含む融合環であって、前記シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル融合環は、(C1〜C20)アルキル基、(C6〜C30)アリール基、(C2〜C20)アルケニル基、または(C6〜C30)アリール(C1〜C20)アルキル基でさらに

R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、互いに独立して、水素原子、(C1〜C20)アルキル基、(C3〜C20)シクロアルキル基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換シリル基、(C6〜C30)アリール基、(C6〜C30)アリール(C1〜C10)アルキル基、(C1〜C20)アルコキシ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C20)アリール置換シロキシ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換アミノ基または(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換ホスフィン基、(C1〜C20)アルキル置換メルカプト基またはニトロ基であり、前記R1乃至R8のアルキル基、アリールまたはアルコキシ基は、ハロゲンでさらに置換されるか、隣接した置換体と共に融合環を形成することができて、Dは、N−R9、酸素または硫黄原子であり、R9は、線形または非線形の(C1〜C20)アルキル基、(C6〜C30)アリール基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換シリル基であり、nは、1または2の整数であって、Xは、互いに独立して、ハロゲン原子、(C1〜C20)アルキル基、(C3〜C20)シクロアルキル基、(C6〜C30)アリール(C1〜C20)アルキル基、(C1〜C20)アルコキシ基、(C3〜C20)アルキルシロキシ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換アミノ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換ホスフィン基、及び(C1〜C20)アルキル置換メルカプト基からなる群から選択される。
【0010】
前記目的を達成するための本発明の他の一側面は、前記遷移金属化合物、ホウ素化合物助触媒とアルミニウム化合物を含むエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンの共重合体触媒組成物に関する。
【0011】
前記目的を達成するための本発明のまた他の一側面は、前記遷移金属化合物または遷移金属触媒組成物を用いたエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造方法、及び製造されたエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体に関する。
【0012】
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
【0013】
前記化学式1の遷移金属化合物において、中心金属のMは、好ましくは、チタニウム、ジルコニウム、またはハフニウムである。
【0014】
なお、Cpは、中心金属とη5−結合できるシクロペンタジエンアニオンまたはシクロペンタジエニル環を含み、置換または非置換の融合環誘導体の具体的な例は、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、ブチルシクロペンタジエニル、sec−ブチルシクロペンタジエニル、tert−ブチルメチルシクロペンタジエニル、トリメチルシリルシクロペンタジエニル、インデニル、メチルインデニル、ジメチルインデニル、エチルインデニル、イソプロピルインデニル、フルオレニル、メチルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、エチルフルオレニル、イソプロピルフルオレニルなどが挙げられる。
【0015】

[化2]
[化学式2]

[化3]
[化学式3]

【0016】
前記化学式1〜3のヘテロ環状アリール基置換アリールオキシドリガンド上のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8に関しては、ハロゲン原子の例として、フッ素、塩素、臭素、及びヨード原子;線形または非線形(C1〜C20)アルキル基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、またはn−エイコシル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基であって;(C3〜C20)シクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、またはアダマンチル基であり、好ましくはシクロペンチル基またはシクロヘキシル基であって;(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換シリル基の例として、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジエチルメチルシリル基またはジフェニルメチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基またはトリフェニルシリル基が挙げられて、好ましくは、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基またはトリフェニルシリル基であって;(C6〜C30)アリール基または(C1〜C20)アルキル(C6〜C30)アリール基は、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ビフェニル(biphenyl)、フルオレニル、トリフェニル、ナフチル基またはアントラセニル基であり、好ましくは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル(biphenyl)、2−イソプロピルフェニル、3,5−キシリル基、または2,4,6−トリメチルフェニル基であって;(C6〜C30)アリール(C1〜C10)アルキル基は、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基、ナフチルメチル基またはアントラセニルメチル基であり、好ましくは、ベンジル基、トリフェニルメチル基であって;(C1〜C20)アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、またはn−エイコソキシ基が挙げられて、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基またはtert−ブトキシ基であって;(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C20)アリール置換シロキシ基の例として、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリ−n−プロピルシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基、トリ−n−ブチルシロキシ基、トリ−sec−ブチルシロキシ基、トリ−tert−ブチルシロキシ基、トリ−イソブチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、トリ−n−ペンチルシロキシ基、トリ−n−ヘキシルシロキシ基、またはトリシクロヘキシルシロキシ基が挙げられて、好ましくは、トリメチルシロキシ基、またはtert−ブチルジメチルシロキシ基であって;(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換アミノ基は、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、ベンジルヘキシルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基またはビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、または同一アルキル置換ホスフィン基であり、好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基またはジフェニルアミノ基であって;(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換ホスフィン基の例として、ジメチルホスフィン基 、ジエチルホスフィン基 、ジ−n−プロピルホスフィン基 、ジイソプロピルホスフィン基 、ジ−n−ブチルホスフィン基 、ジ−sec−ブチルホスフィン基 、ジ−tert−ブチルホスフィン基 、ジイソブチルホスフィン基 、tert−ブチルイソプロピルホスフィン基 、ジ−n−ヘキシルホスフィン基 、ジ−n−オクチルホスフィン基 、ジ−n−デシルホスフィン基 、ジフェニルホスフィン基 、ジベンジルホスフィン基 、メチルエチルホスフィン基 、メチルフェニルホスフィン基 、ベンジルヘキシルホスフィン基 、ビストリメチルシリルホスフィン基またはビス−tert−ブチルジメチルシリルホスフィン基が挙げられて、好ましくは、ジメチルホスフィン基、ジエチルホスフィン基またはジフェニルホスフィン基であって;(C1〜C20)アルキル置換メルカプト基の例は、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、1−ブチルメルカプタン、イソペンチルメルカプタンであり、好ましくは、エチルメルカプタンまたはイソプロピルメルカプタンであって;前記R1〜R8のアルキル、アリールまたはアルコキシは、ハロゲンでさらに置換されるか、隣接した置換体と共に融合環を形成することができる。
【0017】
R9は、線形または非線形の(C1〜C20)アルキル基であって、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、またはn−エイコシル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基であって;(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換シリル基の例として、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基またはジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基またはトリフェニルシリル基が挙げられて、好ましくは、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基またはトリフェニルシリル基である。
【0018】
Xは、ハロゲン原子であって、例えば、フッ素、塩素、臭素、及びヨード原子;Cp誘導体ではない(C1〜C20)アルキル基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、またはn−エイコシル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基であって;(C3〜C20)シクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、またはアダマンチル基であり、好ましくは、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基であって;(C6〜C30)アリール(C1〜C20)アルキル基の例として、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、 (2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基またはアントラセニルメチル基が挙げられて、好ましくは、ベンジル基であって;(C1〜C20)アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、またはn−エイコソキシ基が挙げられて、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基またはtert−ブトキシ基であって;(C3〜C20)アルキルシロキシ基の例として、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリ−n−プロピルシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基、トリ−n−ブチルシロキシ基、トリ−sec−ブチルシロキシ基、トリ−tert−ブチルシロキシ基、トリ−イソブチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、トリ−n−ペンチルシロキシ基、トリ−n−ヘキシルシロキシ基、またはトリシクロヘキシルシロキシ基が挙げられて、好ましくは、トリメチルシロキシ基またはtert−ブチルジメチルシロキシ基であって;(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換アミノ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換ホスフィン基の例として、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、ベンジルヘキシルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基またはビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、または同一アルキル置換ホスフィン基であり、好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基またはジフェニルアミノ基であって;(C1〜C20)アルキル置換メルカプト基の例は、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、1−ブチルメルカプタン、イソペンチルメルカプタンである。
【0019】
一方、本発明による前記化学式1の遷移金属化合物は、オレフィン重合に使用される活性触媒成分となるために、好ましくは、本発明による遷移金属化合物中のXリガンドを抽出して、中心金属をカチオン化させながら、弱い結合力を有した反対イオン、即ちアニオンとして作用できるホウ素化合物またはアルミニウム化合物、またはこれらの混合物が助触媒として使用される。ここで、使用される有機アルミニウム化合物は、水分など、触媒毒として作用する微量の極性物質を除去するためのものであるが、Xリガンドがハロゲンである場合は、アルキル化剤として作用することもできる。
【0020】
本発明で助触媒として使用できるホウ素化合物は、米国特許第5,198,401号に示されたように、下記化学式4〜6で表される化合物から選択できる。
【0021】
[化4]
[化学式4]
B(R10)3
[化5]
[化学式5]
[R11]+[B(R10)4]−
[化6]
[化学式6]
[(R12)qZH]+[B(R10)4]−
【0022】
式中、Bは、ホウ素原子;R10は、フェニル基であり、前記フェニル基は、フッ素原子、フッ素原子により置換または非置換の(C1〜C20)アルキル基、またはフッ素原子により置換または非置換の(C1〜C20)アルコキシ基から選択された3〜5個の置換基でさらに置換できて;R11は、(C5〜C7)芳香族ラジカルまたは(C1〜C20)アルキル(C6〜C20)アリールラジカル、(C6〜C30)アリール(C1〜C20)アルキルラジカル、例えば、トリフェニルメチルラジカル;Zは、窒素またはリン原子であり;R12は、(C1〜C20)アルキルラジカル、または窒素原子と共に二つの(C1〜C10)アルキル基で置換されたアニリニウムラジカルであり;qは、2または3の整数である。
【0023】
前記ホウ素系助触媒の好ましい例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、またはテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートが挙げられる。また、これらの特定の配合例としては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、またはトリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが含まれて、最も好ましくは、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0024】
本発明で使用されるアルミニウム化合物として、化学式7または化学式8のアルミノキサン化合物、化学式9の有機アルミニウム化合物、または化学式10または化学式11の有機アルミニウムヒドロカルビルオキシド化合物が使用できる。
【0025】
[化7]
[化学式7]
(−Al(R13)−O−)m
[化8]
[化学式8]
(R13)2Al−(−O(R13)−)p−(R13)2
[化9]
[化学式9]
(R14)rAl(E)3−r
[化10]
[化学式10]
(R15)2AlOR16
[化11]
[化学式11]
R15Al(OR16)2
【0026】
式中、R13は、(C1〜C20)アルキル基であって、好ましくは、メチル基またはイソブチル基であり、mとpは、5〜20の整数であって、R14、R15は、(C1〜C20)アルキル基;Eは、水素原子またはハロゲン原子;rは、1〜3の整数;R16は、(C1〜C20)アルキル基または(C6〜C30)アリール基から選択できる。
【0027】
前記アルミニウム化合物として使用できる具体的な例は、アルミノキサン化合物として、メチルアルミノキサン、改良メチルアルミノキサン、テトライソブチルアルミノキサンがあり;有機アルミニウム化合物の例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、及びトリヘキシルアルミニウムを含むトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、及びジヘキシルアルミニウムクロライドを含むジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、及びヘキシルアルミニウムジクロライドを含むアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジプロピルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド及びジヘキシルアルミニウムヒドリドを含むジアルキルアルミニウムヒドリドが挙げられて、好ましくは、トリアルキルアルミニウム、より好ましくは、トリエチルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムである。
【0028】
この際、中心金属である遷移金属M:ホウ素原子:アルミニウム原子のモル比は、好ましくは、1:0.1〜100:10〜1000であり、より好ましくは、1:0.5〜5:25〜500である。
【0029】
本発明の他の側面として、本発明による遷移金属または遷移金属を含む触媒組成物を利用したオレフィン重合体の製造方法は、適切な有機溶媒の存在下で、前記遷移金属触媒、助触媒、及びエチレン、または必要に応じてビニル系共単量体を接触させて行う。この際、遷移金属触媒と助触媒成分は、別々に反応器内に投入するか、あるいは各成分を予め混合して反応器に投入することができ、投入順序、温度または濃度などの混合条件は、別途の制限がない。
【0030】
前記製造方法に使用できる好ましい有機溶媒は、(C3〜C20)炭化水素であり、その具体的な例としては、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0031】
具体的に、エチレン単独重合体である高密度ポリエチレン(HDPE)の製造時には、単量体としてエチレンを単独使用し、本発明に適したエチレンの圧力は、1〜1000気圧であり、さらに好ましくは、8〜150気圧である。また、重合反応温度は、60〜300℃の範囲、好ましくは、80〜250℃の範囲で行うことが効果的である。
【0032】
また、エチレンとα−オレフィンとの共重合体を製造する場合は、エチレンと共に、共単量体としてC3〜C18のα−オレフィンを使用することができて、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、及び1−オクタデセンからなる群から選択できる。より好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、または1−デセンとエチレンとを共重合させることができる。この場合、好ましいエチレンの圧力及び重合反応温度は、前記高密度ポリエチレンの製造の場合と同様であり、本発明の方法により製造されたエチレン共重合体は、通常エチレン50重量%以上を含有し、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは60〜99重量%のエチレンを含む。
【0033】
前記のように、共単量体としてC4〜C10のα−オレフィンを使用して製造された線形低密度ポリエチレン(LLDPE)は、0.910〜0.940g/ccの密度領域を有して、0.910g/cc以下の超低密度ポリエチレン(VLDPEまたはULDPE)またはオレフィンエラストマーまで拡張が可能である。また、本発明によるエチレン単独重合体または共重合体の製造時、分子量を調節するために、水素を分子量調節剤として使用でき、通常80,000〜500,000範囲の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0034】
本発明による遷移金属または遷移金属を含む触媒組成物は、重合反応器内で均一な形態に存在するため、該当重合体の溶融点以上の温度で行う溶液重合工程に適用することが好ましい。しかしながら、米国特許第4,752,597号に開示されたように、多孔性金属オキシド支持体に、前記遷移金属触媒及び助触媒を支持させ、非均一触媒系としてスラリー重合や気相重合工程に利用することもできる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によるアリールフェノキシリガンドを含む遷移金属及び前記遷移金属を含む触媒組成物は、取り扱いが容易で且つ環境親和的な原料物質を使用して、高い収率で合成することができるだけではなく、熱的安定性に優れ、高温の溶液重合条件においても高い触媒活性を示しながら、高分子量の重合体を生成することができるため、既に知られた非メタロセン系単一活性点触媒に比べ実用性が高く、したがって、多様な物性を有するエチレン単独重合体またはα−オレフィンとの共重合体の製造に有用に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、実施例を通じて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0037】
特に言及しない限り、全てのリガンド及び触媒合成実験は、窒素雰囲気下で標準シュレンク(schlenk)またはグローブボックス技術を使用して行い、反応に使用される有機溶媒は、ナトリウム金属とベンゾフェノン下で還流し、水分を除去して、使用直前に蒸留して使用した。合成されたリガンド及び触媒の1H−NMR分析は、常温でVarian Oxford 300 MHzを使用して行った。
【0038】
重合溶媒であるノルマルヘプタンは、分子篩5Aと活性アルミナが充填された管を通過させて、高純度の窒素でバブリングし、水分、酸素及びその他の触媒毒物質を十分除去してから使用した。重合された重合体は、下記の方法により分析した。
【0039】
1.溶融流れ指数(MI)
ASTM D 2839に基づいて測定した。
2.密度
ASTM D 1505に基づき、密度勾配管を使用して測定した。
3.溶融点(Tm)分析
Dupont DSC2910を利用して窒素雰囲気下で10℃/minの速度で2nd加熱条件で測定した。
4.分子量及び分子量分布
PL Mixed−BX2+preCo1付きPL210 GPCを用いて、135℃で1.0mL/minの速度で1,2,3−トリクロロベンゼン溶媒下で測定して、PLポリスチレン標準物質を使用して分子量を補正した。
5.共重合体中のα−オレフィン含量(重量%)
Bruker DRX500核磁気共鳴分光器を用いて、125MHzで1,2,4−トリクロロベンゼン/C6D6(7/3重量分率)混合溶媒を使用し、120℃で13C−NMRモードで測定した(参考文献: Randal, J. C. JMS-Rev. Macromol. Chem. Phys. 1980, C29, 201)
【0040】
(製造例1)
(ジクロロ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2−チオフェン−2’−イル)フェノキシ)チタニウム(IV)の合成
2−(2’−メトキシフェニル)チオフェンの合成
2−ブロモチオフェン(7.2g, 43.9mmol)、2−メトキシフェニルボロン酸(6.7g, 43.9mmol)、パラジウムアセテート(0.14g, 0.62mmol)、トリフェニルホスフィン(0.6mg, 2.3mmol)及びリン酸カリウム(9.40g, 44.3mmol)を投入したフラスコに、10mLの水と40mLのジメトキシエタン混合溶液を入れて、6時間還流させる。常温に冷却させた後、塩化アンモニウム水溶液50mLとジエチルエーテル100mLを注入した後、有機層を分離して、残留物をジエチルエーテルで抽出し、集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて、揮発物質を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを利用してヘキサンで精製し、無色液体の2−(2’−メトキシフェニル)チオフェン7.9g(収率95%)を収得した。
1H-NMR (C6D6) δ= 3.26(s, 3H), 6.49-6.53(d, 1H), 6.77-7.03(m, 4H), 7.47-7.49(d, 1H), 7.60-7.64(d, 1H) ppm
【0041】
2−(チオフェン−2’−イル)フェノールの合成
2−(2’−メトキシフェニル)チオフェン(7g, 36.8mmol)を100mLのメチレンクロライドに溶かした後、−78℃で40mLのボロントリブロマイド(1M−メチレンクロライド溶液)を滴加した後、徐々に常温に温度を上げて3時間反応した。反応後、氷50gとジエチルエーテル100mL混合溶液を投入した後、有機層を分離して、水溶液層をジエチルエーテルで抽出し、集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて、揮発物質を除去した後、シリカゲルクロマトグラフィ管を利用してヘキサンとメチレンクロライド混合溶液で精製し、無色液体の2−(チオフェン−2’−イル)フェノール2.9g(収率40%)を収得した。
1H-NMR (C6D6) δ= 6.54-6.58(d, 1H), 6.59-6.95(m, 4H), 7.12-7.15(d, 1H), 7.36-7.41(d, 1H) ppm
【0042】
(ジクロロ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2−チオフェン−2’−イル)フェノキシ)チタニウム(IV)の合成
2−(チオフェン−2’−イル)フェノール(2.07g, 11.76mmol, Aldrich)を、乾燥されたフラスコに入れて、ジエチルエーテルに溶かした後、よく攪拌しながら温度を0℃に下げる。N−ブチルリチウム(8.08mL,1.6M in hexane, Aldrich)を混合物に徐々に滴加する。滴加が終わると、1時間温度を維持した後、常温に上げて12時間攪拌する。溶媒層を除去した後、沈殿をヘキサンを用いて洗浄し、得られた沈殿の揮発物質を除去してトルエンに溶かす。この混合物の温度を0℃に下げた後、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムクロライド(1.70 g, 5.88 mmol)をトルエンに溶かして徐々に滴下する。滴下が終わると、1時間維持した後、常温に上げて、再び24時間攪拌する。反応が終わると、固形分をフィルターして除去し、得られた溶液から揮発物質を除去した後、再びトルエンに溶かして再結晶を実施し、オレンジ色結晶1.64g(収率65%)を得た。
1H-NMR (C6D6) δ= 1.73 (s, 15H), 6.75-6.79(d, 1H), 6.85-6.94(m, 3H), 7.14-7.18(d, 1H), 7.41-7.45(d, 1H)), 7.57-7.59(d, 1H) ppmMass (APCI mode, m/z): 429
【0043】
(製造例2)
(ジクロロ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2−(ピリジン−2’−イル)フェノキシ)チタニウム(IV)の合成
2−(2’−メトキシフェニル)ピリジンの合成
2−ブロモピリジン(4.28ml, 43.9mmol)、2−メトキシフェニルボロン酸(6.7g, 43.9mmol)、パラジウムアセテート(0.14g, 0.62mmol)、トリフェニルホスフィン(0.6mg, 2.3mmol)及びリン酸カリウム(9.40g, 44.3mmol)を投入したフラスコに、10mLの水と40mLのジメトキシエタン混合溶液を入れて、6時間還流させる。常温に冷却させた後、塩化アンモニウム水溶液50mLとジエチルエーテル100mLを注入した後、有機層を分離して、残留物をジエチルエーテルで抽出し、集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて、揮発物質を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを利用してノルマルヘキサンで精製し、無色液体の2−(2’−メトキシフェニル)ピリジン7.7g(収率95%)を収得した。
1H-NMR (C6D6) δ= 3.22(s, 3H), 6.55-8.67 (m, 8H) ppm
【0044】
2−(ピリジン−2’−イル)フェノールの合成
35%塩酸40mLにピリジン40mLを入れて、200℃で30分間攪拌後、220℃で水を蒸留させて除去した後、2−(2’−メトキシフェニル)ピリジン(6.8g, 36.8mmol)を投入し、200℃で12時間反応した。温度を常温に下げて蒸留水を添加した後、水酸化ナトリウム水溶液で滴定をした。メチレンクロライドで有機層を抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、揮発物質を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを利用して、ヘキサンとエチルアセテート混合溶液で精製し、黄色固体の2−(ピリジン−2’−イル)フェノール3.5g(収率52%)を収得した。
1H-NMR (C6D6) δ= 6.30-7.72(m, 7H), 8.43-8.67(m, 2H) ppm
【0045】
(ジクロロ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2−(ピリジン−2’−イル)フェノキシ)チタニウム(IV)の合成
2−(ピリジン−2’−イル)フェノール(2.64g, 15.42mmol, Aldrich)を、乾燥されたフラスコに入れて、トルエンに溶かした後、よく攪拌しながら温度を0℃に下げる。N−ブチルリチウム(5.86mL,2.5M in hexane, Aldrich)を混合物に徐々に滴下する。滴下が終わると、1時間温度を維持した後、常温に上げて12時間攪拌する。溶媒層を除去した後、精製したノルマルヘキサンで沈殿物を洗浄し、得られた沈殿物の揮発物質を除去してトルエンに溶かす。この混合物の温度を0℃に下げた後、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムクロライド(2.23g, 12.59mmol)をトルエンに溶かして徐々に滴下する。滴下が終わると、1時間維持した後、常温に上げて、再び24時間攪拌する。反応が終わると、固形分をフィルターして除去し、得られた溶液から揮発物質を除去した後、再びトルエンに溶かして再結晶を実施し、オレンジ色結晶2.1g(収率49%)を得た。
1H-NMR (C6D6) δ= 1.66 (s, 15H), 6.61??7.35 (m, 5H), 7.80 (m, 1H), 8.08(m, 1H), 8.62 (m, 1H) ppm
Mass (APCI mode, m/z): 424
【0046】
(実施例1)
回分式重合装置を使用して、次のようにエチレンの重合を行った。十分に乾燥後窒素で置換させた200mL容量のステンレススチール反応器にシクロヘキサン102mLを入れた後、改良メチルアルミノキサン−7(Akzo Nobel社, modified MAO-7, 7wt% Al Isopar溶液)67.05mMトルエン溶液2.98mLを反応器に投入した。その後、反応器の温度を140℃まで加熱した後、製造例1で合成した(ジクロロ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2−チオフェン−2’−イル)フェノキシ)チタニウム(IV)(1.16mMトルエン溶液)0.858mLと0.74mLのトリフェニルメチリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート(99%、Boulder Scientific)4.07mMトルエン溶液を順に投入した後、エチレンで反応器内の圧力を30kg/cm2まで満たした後、連続的に供給して重合されるようにした。反応開始3分後に最大温度165℃まで到達して、10分後、10mLの10vol%塩酸水溶液を含有したエタノールを投入して重合を終了した後、1500mLのエタノールで4時間攪拌した後、反応生成物をろ過、分離した。回収された反応生成物を60℃の真空オーブンで8時間乾燥した結果、2.92gの重合体が得られた。重合体のメルトインデクスは、測定不可能であって、ゲルクロマトグラフィーによる分析時、重量平均分子量(Mw)が406,700g/mol、分子量分布(Mw/Mn)が1.82であった。
【0047】
(実施例2)
回分式重合装置を使用して、次のようにエチレンと1−オクテンとの共重合を行った。十分に乾燥後、窒素で置換させた200mL容量のステンレススチール反応器にシクロヘキサン93mLと1−オクテン8mLを入れた後、改良メチルアルミノキサン−7(Akzo Nobel社, modified MAO-7, 7wt% Al Isopar溶液)67.05mMトルエン溶液3.73mLを反応器に投入した。その後、反応器の温度を142.4℃まで加熱した後、製造例1で合成した(ジクロロ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2−チオフェン−2’−イル)フェノキシ)チタニウム(IV)(0.84mMトルエン溶液)1.19mLと0.65mLのトリフェニルメチリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート(99%、Boulder Scientific)4.65mMトルエン溶液を順に投入した後、エチレンで反応器内の圧力を30kg/cm2まで満たした後、連続的に供給して重合されるようにした。反応時間1分間最大温度169.6℃まで到達して、1分が経つと、10mLの10vol%塩酸水溶液を含有したエタノールを投入して重合を終了した後、1500mLのエタノールで1時間攪拌した後、反応生成物をろ過、分離した。回収された反応生成物を60℃の真空オーブンで8時間乾燥した結果、2.32gの重合体が得られた。重合体の溶融点は、111.0℃、メルトインデクスは、0.0366、密度は、0.9134g/ccであって、ゲルクロマトグラフィーによる分析時、重量平均分子量(Mw)が204,200g/mol、分子量分布(Mw/Mn)が3.07であって、1−オクテンの含量が9.4重量%であった。
【0048】
(実施例3)
回分式重合装置を使用して、次のようにエチレンの重合を行った。十分に乾燥後窒素で置換させた200mL容量のステンレススチール反応器にシクロヘキサン97mLを入れた後、改良メチルアルミノキサン−7(Akzo Nobel社, modified MAO-7, 7wt% Al Isopar溶液)67.05mMトルエン溶液2.98mLを反応器に投入した。その後、反応器の温度を140℃まで加熱した後、製造例2で合成した(ジクロロ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2−(ピリジン−2’−イル)フェノキシ)チタニウム(IV)(1.18mMトルエン溶液)0.848mLと0.55mLのトリフェニルメチリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート(99%、Boulder Scientific)5.42mMトルエン溶液を順に投入した後、エチレンで反応器内の圧力を30kg/cm2まで満たした後、連続的に供給して重合されるようにした。反応開始3分後に最大温度166.0℃まで到達して、10分後、10mLの10vol%塩酸水溶液を含有したエタノールを投入して重合を終了した後、1500mLのエタノールで4時間攪拌した後、反応生成物をろ過、分離した。回収された反応生成物を60℃の真空オーブンで8時間乾燥した結果、4.55gの重合体が得られた。重合体のメルトインデクスは、測定不可能であって、ゲルクロマトグラフィーによる分析時、重量平均分子量(Mw)が441,300g/mol、分子量分布(Mw/Mn)が2.42であった。
【0049】
(実施例4)
回分式重合装置を使用して、次のようにエチレンと1−オクテンとの共重合を行った。十分に乾燥後窒素で置換させた200mL容量のステンレススチール反応器にシクロヘキサン88mLと1−オクテン8mLを入れた後、改良メチルアルミノキサン−7(Akzo Nobel社, modified MAO-7, 7wt% Al Isopar溶液)67.05mMトルエン溶液3.73mLを反応器に投入した。その後、反応器の温度を142℃まで加熱した後、製造例2で合成した(ジクロロ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2−(ピリジン−2’−イル)フェノキシ)チタニウム(IV)(1.18mMトルエン溶液)0.848mLと0.553mLのトリフェニルメチリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート(99%、Boulder Scientific)5.42mMトルエン溶液を順に投入した後、エチレンで反応器内の圧力を30kg/cm2まで満たした後、連続的に供給して重合されるようにした。反応時間1分間最大温度172.0℃まで到達して、1分が経つと、10mLの10vol%塩酸水溶液を含有したエタノールを投入して重合を終了した後、1500mLのエタノールで1時間攪拌した後、反応生成物をろ過、分離した。回収された反応生成物を60℃の真空オーブンで8時間乾燥した結果、4.12gの重合体が得られた。重合体の溶融点は、105.2℃、メルトインデクスは、0.326、密度は、0.9082g/ccであって、ゲルクロマトグラフィーによる分析時、重量平均分子量(Mw)が122,700g/mol、分子量分布(Mw/Mn)が2.11であって、1−オクテンの含量が11.7重量%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の遷移金属化合物。
[化1]
[化学式1]

式中、Mは、周期律表上、4族の遷移金属であり、
Cpは、中心金属Mとη5−結合できるシクロペンタジエニル環、またはシクロペンタジエニル環を含む融合環であって、前記シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル融合環は、(C1〜C20)アルキル基、(C6〜C30)アリール基、(C2〜C20)アルケニル基、または(C6〜C30)アリール(C1〜C20)アルキル基でさらに置換できて、

R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、互いに独立して、水素原子、(C1〜C20)アルキル基、(C3〜C20)シクロアルキル基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換シリル基、(C6〜C30)アリール基、(C6〜C30)アリール(C1〜C10)アルキル基、(C1〜C20)アルコキシ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C20)アリール置換シロキシ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換アミノ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換ホスフィン基、(C1〜C20)アルキル置換メルカプト基、または、ニトロ基であり、前記R1乃至R8のアルキル基、アリールまたはアルコキシ基は、ハロゲンでさらに置換されるか、隣接した置換体と共に融合環を形成することができて、
Dは、N−R9、酸素または硫黄原子であり、
R9は、線形または非線形の(C1〜C20)アルキル基、(C6〜C30)アリール基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換シリル基であり、
nは、1または2の整数であって、
Xは、互いに独立して、ハロゲン原子、(C1〜C20)アルキル基、(C3〜C20)シクロアルキル基、(C6〜C30)アリール(C1〜C20)アルキル基、(C1〜C20)アルコキシ基、(C3〜C20)アルキルシロキシ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換アミノ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換ホスフィン基、及び(C1〜C20)アルキル置換メルカプト基からなる群から選択される。
【請求項2】
前記Mは、チタニウム、ジルコニウム、またはハフニウムであることを特徴とする、請求項1に記載の遷移金属化合物。
【請求項3】
前記Cpは、シクロペンタジエニルまたはペンタメチルシクロペンタジエニルであることを特徴とする、請求項1に記載の遷移金属化合物。
【請求項4】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、互いに独立して、水素原子、メチル基及びイソプロピル基から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の遷移金属化合物。
【請求項5】
Xは、互いに独立して、塩素、メチル基、メトキシ基、イソプロポキシ基及びジメチルアミノ基から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の遷移金属化合物。
【請求項6】
nが1または2であることを特徴とする、請求項1に記載の遷移金属化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの項に記載の遷移金属化合物と、
アルキルアルミノキサンまたは有機アルミニウム助触媒、ホウ素化合物助触媒、または、これらの混合物と、
を含むエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造用遷移金属触媒組成物。
【請求項8】
前記アルミノキサン助触媒は、メチルアルミノキサンであることを特徴とする、請求項7に記載のエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造用遷移金属触媒組成物。
【請求項9】
前記遷移金属触媒は、遷移金属(M):アルミニウムのモル比を基準に、1:50〜1:5,000であることを特徴とする、請求項7に記載のエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造用遷移金属触媒組成物。
【請求項10】
前記ホウ素化合物助触媒は、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート及びトリフェニルメチリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートから選択されることを特徴とする、請求項7に記載のエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造用遷移金属触媒組成物。
【請求項11】
前記ホウ素化合物助触媒は、遷移金属(M):ホウ素原子:アルミニウム原子のモル比が1:0.5〜5:25〜500であることを特徴とする、請求項7に記載のエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造用遷移金属触媒組成物。
【請求項12】
前記アルミノキサンまたは有機アルキルアルミニウム助触媒は、メチルアルミノキサン、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、またはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項10に記載のエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造用遷移金属触媒組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の遷移金属を用いたエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造方法であって、
前記エチレンと重合される共単量体は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン及び1−エイコセンから選択された1種以上であり、前記エチレンとオレフィンの共重合体中のエチレンの含量は、60〜99重量%であることを特徴とする、エチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造方法 。
【請求項14】
請求項7に記載の遷移金属触媒組成物を用いたエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造方法であって、
前記エチレンと重合される共単量体は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、及び1−エイコセンから選択された1種以上であり、前記エチレンと前記α−オレフィンの共重合体中のエチレンの含量は、60〜99重量%であることを特徴とする、エチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造方法 。
【請求項15】
前記エチレン単量体の反応器内の圧力は、8〜150気圧であり、重合反応温度は、80〜250℃であることを特徴とする、請求項13または14に記載のエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造方法 。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれかの項に記載の遷移金属化合物を用いて製造されたエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体。
【請求項17】
請求項7〜12のいずれかの項に記載の遷移金属触媒組成物を用いて製造されたエチレン単独重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体。

【公開番号】特開2009−161536(P2009−161536A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1962(P2009−1962)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(308007044)エスケー エナジー カンパニー リミテッド (53)
【Fターム(参考)】