説明

避妊のための子宮内用送達システム

本発明は、避妊、月経問題の低減および無月経の誘導のための方法であって、プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤と、子宮内膜の異常出血および/または不正出血を防止または抑制しうる少なくとも1種の治療学的に活性な物質との組み合わせの制御放出を、子宮内用送達装置を使用して実施するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子宮内用送達システムを使用した、避妊、子宮内膜の異常出血および/または不正出血の防止または抑制、ならびに無月経の迅速な誘導を達成するための改善された方法に関し、該子宮内用送達システムは、長期にわたり避妊に必要な治療的レベルで制御放出するためのプロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに子宮内膜の異常出血および/または不正出血を抑制しうる十分な量の1種または複数種の治療学的に活性な物質を包含する。
【0002】
子宮内用送達システムは、ボディー構造体および少なくとも1つの貯蔵体を包含し、該貯蔵体は芯と所望により芯を覆うメンブランを包含し、芯とメンブランは同じまたは異なる重合体組成物から実質的になる。プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに子宮内膜の異常出血および/または不正出血を抑制しうる1種または複数種の治療学的に活性な物質は、少なくとも1つの貯蔵体に一緒に含まれているか、あるいは、プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤と、子宮内膜の異常出血および/または不正出血を抑制しうる1種または複数種の治療学的に活性な物質は、それぞれ個別の貯蔵体に含まれている。
【背景技術】
【0003】
本明細書において参照する出版物およびその他の資料は、本発明の背景技術、特にその実践に係わる付加的な詳細を提供するための事例を明らかにするためのものであり、本明細書の記載によってその内容は組み込まれているものとする。
【0004】
出血異常は、最も頻繁に発生する婦人科学的問題の1つである。出血異常の原因および特にその頻度は、発症した女性の年齢によって異なる。閉経前および閉経周辺期において最も多い原因は、ホルモン異常のみならず、筋腫、子宮腺筋症や子宮内膜ポリープなどの子宮内の有機的な変化である。凝固異常によって出血が増加するのは、特に他の認識可能な原因が見られない少女や若い女性である。
【0005】
不正子宮出血には、外科療法または薬物療法がある。外科療法としては、第1世代および第2世代の子宮内膜切離および子宮摘出が挙げられる。必要でない可能性のある外科療法を避けることができる薬物療法は、一般的に過剰出血を治療するための第一選択肢であり、生殖機能を温存したい患者にとっては唯一の選択肢である。
【0006】
種々の薬剤が存在するにもかかわらず、効果の立証された手法が全体的に不足し、実践的方法には大きなばらつきがあり、そして最も適切な治療法が依然として確立されていない。副作用やコンプライアンスに関わる問題も、薬物療法の成功の妨げとなっている。
【0007】
大部分が経口投与である治療に使用する薬剤は、抗線溶剤、非ステロイド性抗炎症薬、プロスタグランジン合成阻害剤、プロゲストーゲン、エストロゲンとプロゲストーゲンの組み合わせ(例えば、経口避妊薬)、ダナゾールやゴナドトロピン放出ホルモン類似体などの、月経出血を低下させる化合物である。
【0008】
プラスミノーゲン活性化因子は、線溶(血塊の溶解)を生じる一群の酵素である。重度の月経出血を患う女性の子宮内膜には、正常な月経出血量の女性と比べて、プラスミノーゲン活性化因子の濃度上昇が見られる。そのために、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、即ち、抗線溶剤、特にトラネキサム酸、が重度の月経出血の治療に使用されてきた(例えば、Tauber et al., Am J Obstet Gynecol. 1981 Jun 1; 140(3):322-8、Wellington et al., Drugs. 2003;63(13): 1417-33、Lethaby et al., Cochrane Database Syst. Rev. 2000;(4):CD000249、Bongers et al., Maturitas. 2004 Mar 15;47(3): 159-74を参照)。血栓形成性疾患(重度の静脈性血栓症)の発症危険度の上昇といった薬剤の考えられる副作用ゆえに、治療に必要な高濃度のトラネキサム酸の経口投薬には抵抗が見られる。しかし、抗線溶療法は、重度の月経出血に係わる客観的な数値のより大幅の低下をもたらすようであるものの、プラセボや他の薬物療法(NSAID、経口黄体ホルモン作動薬およびエタンシラート)と比較しても、副作用の増加とは関連付けられていない。
【0009】
ダナゾールは、抗エストロゲン活性、抗プロゲストーゲン活性および弱いアンドロゲン的特性を有する合成ステロイドである。ダナゾールは、子宮内膜内のエストロゲン受容体と黄体ホルモン受容体を抑制することによって、子宮内膜萎縮症(子宮内膜の厚みの減少)および月経出血量の減少を生じ、何人かの女性では無月経をもたらした。ダナゾールは、他の薬物療法と比べて重度の月経出血に対して効果的な治療法であると考えられているが、しかし、女性が容認できるものであるかどうかは不明である(例えば、Robins, Curr Womens Health Rep. 2001 Dec;1(3):196-201、Beaumont et al., Cochrane Database Syst Rev. 2002;(2):CD001017を参照)。ダナゾールの経口使用は、その副作用プロファイル、女性にとっての容認性、および継続的治療の必要性によって限定される可能性がある。ダナゾールによる治療は、月経期間の短縮とNSAIDよりも重度の副作用を生じるが、しかし、これらが治療の容認性に影響することはないように思われた。
【0010】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、月経過多の治療に有効であることが立証されている。NSAIDは、過剰な月経出血を患う女性において上昇しているプロスタグランジンレベルを低下させるものであり、更に月経困難症や頭痛にも好ましい影響を及ぼす可能性がある(例えば、Lethaby et al., Cochrane Database Syst Rev. 2002;(1):CD000400を参照)。更に、月経期間にのみ服用すればよく、比較的安価である。NSAID類全体については、トラネキサム酸やダナゾールよりも効果が低いことが示されている。
【0011】
複合経口避妊ピルは、その避妊効果に加え、実質的な出血量の減少をもたらす。妊娠調節用ピルは、排卵を妨げるエストロゲンおよび黄体ホルモンの合成物を含有し、そのために子宮内膜の形成または肥厚を減少させる。その結果、経口避妊薬の使用者の大部分は、軽いまたは最低限の月経出血しかない。いくつかの合成プロゲストーゲンは、体内で通常は生成されるエストロゲンの効果のバランスを保ち、子宮内膜肥厚を減少させることができる。黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)あるいはこれらの類似体も、月経出血量の減少をもたらすと考えられている(例えば、Higham, Br J Hosp Med. 1991 Jan;45(1):19-21を参照)。
【0012】
婦人科系の不正出血を局所投与、例えば、子宮内移植用装置(implants)および子宮内用装置、によって処置する方法も試みられてきた。
【0013】
ヨーロッパ特許EP24779およびEP24781は、アミジン誘導体またはアミジン混合物を子宮内用装置と組み合わせることで、抗タンパク溶解効果、抗線溶効果および抗受胎効果を、1日当たり50〜200μgの投与量で達成するための用途に関する。
【0014】
国際特許出願WO 2006028431は、線維症を形成し、結果として無月経を生じるための子宮内移植用装置およびその用途に関する。特にここに記載されている装置は、簡単に配置することが可能であり、異常な子宮内出血を容易且つ一貫して減少または排除する子宮内移植用装置に関する。更にこの装置は、子宮内膜組織の厚みや起こりうる変化を視覚化するための子宮マーカーとしても使用される。この発明の方法は、治療的手法および付加的な避妊作用に関する。
【0015】
国際特許出願WO 98/14169は、異常な子宮出血を治療するための方法および化合物に関し、血管新生成長因子そのものに干渉するか、あるいは子宮の上皮細胞または間質細胞の血管新生成長因子に対する受容体を阻害またはブロックすることによって、血管新生成長因子に対する子宮間質細胞応答をブロックする化合物を使用する。応答をブロックする化合物を患者の体内に全身的に導入するか、または薬用子宮内用装置などを使用して子宮に局所的に導入する。しかし、この出願には、子宮内用装置を使用した化合物の導入に関する実施例の記載はない。
【0016】
最後に、レボノルゲストレル放出子宮内用システム(LNG−IUS、例えば、フィンランド国、トゥルク、バイエル シェーリング ファーマ オイ製の"MIRENA")は、重度の月経出血の処置に効果的であることが示されている(例えば、Luukkainen et al, Contraception. 1995 Nov; 52(5): 269-76、Andersson et al, Br J Obstet Gynaecol. 1990 Aug;97(8):690-4、Moller et al., Hum Reprod. 2005 May;20(5): 1410-7、Lethaby et al., Cochrane Database Syst Rev. 2005 Oct 19;(4):CD002126 and Cochrane Database Syst Rev. 2000;(2):CD002126を参照)。LNG−IUSは、避妊のための効果的な方法および完全な可逆性を提供する全身性ホルモン避妊薬であり、許容成績も優れている。システムが放出する抵投与量のレボノルゲストレルは、ホルモン関連全身性副作用の最少化を確実にするので、副作用は使用開始から数ヶ月で徐々に消える。更にこのシステムは、使用者に避妊とは別の健康上の利益をもたらす。子宮内膜腔内におけるレボノルゲストレルの局所的放出は、結果として子宮内膜が卵巣エストラジオールに対して非感受性になるにつれて、子宮内膜の生長を強く抑制することになる。子宮内膜の抑制が、月経出血の期間および量の減少の原因であり、月経困難症の緩和となる。月経出血量を減少させることによって、LNG−IUSは体内の鉄分量を増加するため、月経過多の効果的な治療にも有効である。月経過多症の女性の多くにおいてIUSの使用は、子宮摘出または子宮内膜切除などのより侵襲性の外科療法の代替療法となり得る。
【0017】
IUS使用開始からの数ヶ月は、不規則な膣からの出血パターンが最も一般的な臨床副作用である。不規則な出血には、月経周期における経血量の増加、月経時の出血期間の延長、月経中間期の出血またはスポッティングが含まれる。IUS使用者における出血障害の発病は多因性であり、異なる種類の出血障害についてそれぞれ異なる病因が提唱されている。局所的な線溶活性の増加が、月経出血量増加の最も認められた原因である。子宮内用システムの存在による子宮内膜の血管構造のゆがみは、次のように説明することができる。装置が表在性血管に直接作用することで、不正出血を起こしうる擦過傷や侵食が発生してゆがみとなる、および/または装置の圧力による変形がおそらく子宮内膜組織を通じて伝動し、その結果として、子宮内膜の機能性領域に、壊れやすい非機能性血管の形成を伴う内皮の損傷が発生してゆがみとなる。血管の損傷は、子宮腔への不規則なパターンの血液放出を生じる間質性出血に通じる。
【0018】
レボノルゲストレル放出子宮内用システム(LNG−IUS)の使用者の内、顕著な人数が避妊のための防御のみならず、月経問題の低減を期待している。LNG−IUSについては、特に挿入後、始めの6〜7周期の間に望まない出血が見られる。完全な無月経は、長期使用の後でも一部の使用者においてのみ達成され、不正で予測不能な偶発的出血に関する報告が使用者からしばしば聞かれる。不正出血は、使用者の一般的な初期の不満であり、長期の出血がシステムの使用を中止する理由である場合が少なくない。従って、その使用によって避妊のための改善された安全な方法を提供し、異常出血および/または不正出血を抑制し、無月経の迅速な誘導を達成することが可能な子宮内用送達システムに対する需要が未だに存在する。
【0019】
発明の目的および概要
本発明の目的は、子宮内用送達システムを使用した、避妊、異常出血および/または不正出血の防止または抑制、ならびに無月経の迅速な誘導を達成するための改善された方法を提供することであって、該子宮内用送達システムは、長期にわたり避妊に必要なレベルで制御放出するためのプロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに子宮内膜の異常出血および/または不正出血を抑制しうる十分な量の1種または複数種の治療学的に活性な物質を包含する。子宮内用送達システムは、ボディー構造体および少なくとも1つの貯蔵体を包含し、該貯蔵体は芯と所望により芯を覆うメンブランを包含し、芯とメンブランは、同じまたは異なる重合体組成物から実質的になる。プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに子宮内膜の異常出血および/または不正出血を抑制しうる1種または複数種の治療学的に活性な物質は、少なくとも1つの貯蔵体に一緒に含まれている、あるいは、プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤と、子宮内膜の異常出血および/または不正出血を抑制しうる1種または複数種の治療学的に活性な物質は、それぞれ個別の貯蔵体に含まれている。
【0020】
本発明の他の目的は、臨床的に適切な改善が施された避妊用子宮内用システム、および望まない子宮内出血および/または異常な子宮内出血を処置するための方法を更に提供することである。
【0021】
更なる目的は、信頼性が高く安定な無月経の早期開始において高い成功率を誇り、且つ副作用または関連合併症が最小限にとどめられるか排除された子宮内用システムを提供することである。
【0022】
全体として本発明は、システムの抗妊娠作用を増強するだけでなく、異常または過剰な出血(例えば、スポッティングや月経過多)をより長期間にわたり減少または排除し、更に月経の問題(例えば、月経困難症や月経前症候群)を低減させるための方法を提供する、子宮内用送達システムに関する。望まない月経出血の防止は、月経出血に伴う症状(例えば、月経困難症や月経前症候群)の防止をも常に意味する。本発明で提案されている化合物の内の複数種は、フォンビルブランド病の女性の出血問題を低減することも可能である。
【0023】
子宮内用送達システムの使用によって、抗タンパク溶解性の作用ならびに子宮内膜および/または子宮筋肉壁内のプロスタグランジン活性の低下による排除の危険性を下げることができる。
【0024】
子宮内膜の異常出血および/または不正出血を防止または抑制しうる治療学的に活性な物質は、全身処置と比べて遥かに少量の投与量で使用しても、効果が失われることはない。プロゲストーゲンと上記付加的な化合物との相乗効果は予測可能であるため、更に投与量を減らすことも可能である。従って、望ましくない全身作用の危険性は非常に低い。萎縮性子宮内膜は、更に避妊の信頼性を高めることができる。
【0025】
従って本発明は、後述する独立請求項に記載した方法、送達システムおよびその用途に係わるものである。
【0026】
子宮内用システムの一例となる典型的なT字型枠体および本発明で使用する貯蔵体の種々の構成を描写した添付の図面によって、本発明を更に説明する。
【0027】
詳細な説明
本発明の目的は、子宮内用送達システムを使用した、避妊、子宮内膜の異常出血および/または不正出血の防止または抑制、ならびに無月経の迅速な誘導を達成するための改善された方法を提供することであり、該子宮内用送達システムは、長期にわたり避妊に必要なレベルで制御放出するためのプロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに子宮内膜の異常出血および/または不正出血を抑制しうる十分な量の1種または複数種の治療学的に活性な物質を包含する。
【0028】
本発明の1つの態様においては、子宮内用送達システムは、ボディー構造体および少なくとも1つの貯蔵体を包含し、該貯蔵体は芯と所望により芯を覆うメンブランを包含し、芯とメンブランは同じまたは異なる重合体組成物から実質的になり、少なくとも1つの貯蔵体がプロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤を包含し、少なくとも1つの貯蔵体が子宮内膜の異常出血および/または不正出血を抑制しうる1種または複数種の治療学的に活性な物質を包含する。子宮内用送達システムは単純な構造からなり、経済的に有利な製造工程によって作製することができる。
【0029】
本発明の他の態様においては、子宮内用送達システムは、ボディー構造体および1つの貯蔵体からなり、該貯蔵体は芯と所望により芯を覆うメンブランを包含し、芯とメンブランは同じまたは異なる重合体組成物から実質的になり、1つの貯蔵体が、プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに子宮内膜の異常出血および/または不正出血を抑制しうる1種または複数種の治療学的に活性な物質を共に包含する。
【0030】
本発明の更なる態様においては、子宮内用送達システムは、ボディー構造体および少なくとも2つの貯蔵体からなり、該貯蔵体は芯と所望により芯を覆うメンブランを包含し、芯とメンブランは同じまたは異なる重合体組成物から実質的になり、1つの貯蔵体がプロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤を包含し、他方の貯蔵体が子宮内膜の異常出血および/または不正出血を抑制しうる1種または複数種の治療学的に活性な物質を包含する。
【0031】
芯は、実質的に重合体組成物を包含する。即ち、芯は、治療的に活性な1種または複数種の物質が分散した重合体マトリクスである。重合体組成物は、所望の放出速度に基づいて選択する。放出速度は、メンブラン単独、またはメンブランと芯の組み合わせによって制御することができるが、放出速度は芯単独によって制御することもできる。従って、メンブランが存在しない場合や、治療学的に活性な物質の放出を主として制御しているメンブランが損傷した場合でも、治療学的に活性な物質の完全に無制御の放出によって患者に副作用が生じることはない。
【0032】
芯および/またはメンブランを形成する重合体組成物は、子宮内用システムが、プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する化合物、ならびに子宮内膜の異常出血および/または不正出血を抑制および/または防止し得る治療学的に活性な物質の両方を、予め決定した十分な量で放出するように選択すればよい。本発明の子宮内用システムの使用によって、従来の子宮内用システムでは不可能であった、1日の必要量に十分な量の水溶性物質(トラネキサム酸など)の送達でさえも可能になる。
【0033】
2つまたは3つ以上の貯蔵体を有する送達システムに係わる態様においては、これら貯蔵体は子宮内用システムのボディーに個別に配置してもよい。貯蔵体は、一方が他方を内包するように配置するか、または重ねて配置してもよく、互いに隣接するか、あるいは分離メンブランまたは不活性なプラセボコンパートメントによって互いに隔てられていてもよい。
【0034】
少なくとも2種の治療学的に活性な物質が同じ貯蔵体に含有されている態様においては、活性物質は芯材と均一に混合されていてもよい。芯は、複数のセグメントまたは部分を包含してもよく、例えば、同じまたは異なる重合体組成物からなる、2つ、3つ、4つまたは5つのセグメントまたは部分を包含する。これらセグメントの少なくとも1つがプロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、あるいは子宮内膜の異常出血および/または不正出血を抑制しうる1種または複数種の治療学的に活性な物質を包含する。
【0035】
セグメントの内の1つまたは2つ以上が、不活性な分離メンブランまたは治療学的に活性な物質を含まないプラセボセグメントでもよい。
【0036】
貯蔵体または芯セグメントを互いから分離するために分離メンブランまたは不活性なプラセボセグメントを使用する1つの利点は、複数の活性物質間の相互作用が起こらないか、または最小となるため、放出速度が制御しやすくなることである。分離メンブランまたはプラセボセグメントの材料および厚みは、材料が活性物質の浸透を妨げる能力に依存する。最も理想的な分離メンブランまたはプラセボセグメントは、放出パターンを乱し得る活性物質の混合を完全に妨げるものである。構造体のいかなる組み合わせも本発明の範囲において当然のことながら可能である。
【0037】
本発明で所望により用いられるメンブランは、貯蔵体全体を覆うか、システムの一部(例えば、芯のセグメントの1つ)のみを覆うものであり、その伸展の程度は数々の要因、例えば、材料の選択や活性物質の選択、によって変化する。メンブランに使用する重合体組成物は、治療学的に活性な物質の予め決定した一定の放出速度を達成しうるものである。メンブランの厚みは、使用する材料および活性物質のみならず、所望の放出プロファイルにも依存するが、一般的にメンブランの厚みは、芯部材の厚みよりも小さい。
【0038】
メンブランは複数の層からなるものでもよく、この場合、各層は一定の厚みを有し、各層の厚みは同一でも、異なっていてもよい。厚み、材料またはその両方が異なる複数のメンブラン層の組み合わせは、活性物質の放出速度の制御に更なる可能性を付与する。
【0039】
重合体組成物、即ち、芯、メンブラン、および場合によっては分離メンブランまたは不活性なプラセボセグメントを形成する重合体組成物は、互いに同一であっても異なっていてもよく、単一の重合体も、混合された2つまたは3つ以上の複数の重合体からなる重合体組成物も意味する。
【0040】
原則として、重合体は、生分解性か非生分解性かによらず、生体適合性である限り、どのようなものでも用いることができる。当業界で知られているように、重合体を主体とする送達システムからの治療学的に活性な物質の放出動力学は、治療学的に活性な物質の分子量、可溶性、拡散率や電荷のみならず、重合体の特徴、治療学的に活性な物質の装填率(%)、治療学的に活性な物質が装置ボディーを通過して装置表面に到達するまでに拡散しなければならない距離、およびマトリクスまたはメンブランの特徴に依存する。
【0041】
ポリシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)は、薬剤の浸透速度を制御するメンブランまたはマトリクスとしての使用に非常に適した材料である。ポリシロキサンは、生理学的に不活性であり、広範にわたる治療学的に活性な物質が、更に必要な強度特性も有するポリシロキサンメンブランを浸透することが可能である。治療学的に活性な物質の浸透速度は、重合体材料を適切な方法で改変すること、例えば、材料の親水性特性または疎水性特性を調節することで、所望のレベルに調節することができる。例えば、文献によると、ポリエチレンオキシド基またはトリフルオロプロピル基をPDMS重合体に付加することによって、治療学的に活性な物質の浸透速度を変化させることができる。
【0042】
適切な材料の更なる例としては、ジメチルシロキサンとメチルビニルシロキサンの共重合体、エチレン/酢酸ビニル(EVA)共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、アクリル酸重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタンおよび熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリエチレングリコール、ポリメチルペンテン、ポリブタジエン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリアンハイドライド、ポリオルトエステル、親水性ヒドロゲルなどの親水性重合体、架橋ポリビニルアルコール、ネオプレンゴム、ブチルゴム、硬化触媒の存在下で架橋剤を添加した後に室温で硬化してエラストマーになる、室温加硫型のヒドロキシル末端含有オルガノポリシロキサン、室温または加熱下でのヒドロシリル化によって硬化される1成分型または2成分型のジメチルポリシロキサン組成物、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。更に当業者にとっては、適切な材料が、上述したホモポリマーの共重合体からなるものでもよいことは明らかである。
【0043】
材料の構造上の一体性は、シリカや珪藻土などの粒子状材料の添加によって高めることができる。エラストマーには他の添加剤を混合することもでき、添加剤が生体適合性であって患者に無害であることを確認した上で混合することにより、エラストマーの親水性または疎水性を調整することができる。芯またはメンブランも、1つまたは複数の治療用物質の放出速度を調整するための更なる材料を含有していてもよい。そのような材料の例として、物質の初期バーストを許容されるレベルまたは所望のレベルに調整するための、シクロデキストリン誘導体などの複合体形成剤が挙げられる。界面活性剤、抗発泡剤、可溶化剤、吸収遅延剤、およびこれらの2種または3種以上の混合物などから選ばれる補助物質も、送達システムのボディーに所望の物性を付与するために添加することができる。
【0044】
1つの態様においては、芯およびメンブランは、少なくとも1種のエラストマーと、可能であれば未架橋の重合体を包含する、シロキサンを主体するエラストマー組成物から製造されている。
【0045】
「エラストマー組成物」という用語は、単一のエラストマーをも意味し、負荷によって変形し、負荷を取り除いた際にはエラストマーの元の形状にあるレベルまで復元することが可能な可逆性があることを示すものである。エラストマー組成物は、2種または3種以上のエラストマーを互いに混合した混合物でもよい。
【0046】
「シロキサン主体エラストマー」という用語は、ポリ(2置換シロキサン)からなるエラストマーであって、置換基が主として低級アルキル基(好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基)またはフェニル基であるものを表す。該アルキル基およびフェニル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。この種の重合体の広く用いられる好ましい一例は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0047】
エラストマー組成物は、下記の組成物からなる群より選ばれるものであってもよい。
− ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含むエラストマー組成物、
− シロキサン単位のケイ素原子に結合した3,3,3−トリフルオロプロピル基を含むシロキサン主体エラストマーを含むエラストマー組成物、
− ポリアルキレンオキシド基を含むエラストマー組成物であって、該ポリアルキレンオキシ基が、ケイ素−炭素結合によってポリシロキサン単位に結合したアルコキシ末端含有グラフトもしくはブロックの形態で存在しているか、または該グラフトと該ブロックが混合した形態で存在している組成物、および
− 上記のうちの少なくとも2種の混合物。
【0048】
本発明の1つの好ましい態様においては、シロキサン主体エラストマーのシロキサン単位のケイ素原子に結合した置換基の1〜約50%が3,3,3−トリフルオロプロピル基である。置換基における3,3,3−トリフルオロプロピル基の百分率は、5〜40%、10〜35%、1〜29%、15〜49.5%などであってもよい。「約50%」とは、3,3,3−トリフルオロプロピル基による置換の程度が実際には50%をやや下回ることを意味する。これは、該重合体はビニル基やビニル末端基などの架橋性基を一定量(置換基の約0.15%)含まなければならないからである。
【0049】
本発明の別の好ましい態様においては、シロキサン主体エラストマーはポリアルキレンオキシド基を含有し、該ポリアルキレンオキシド基はエラストマーにおいて、ポリシロキサン単位のアルコキシ末端含有グラフトまたはブロックの形態で存在しており、該グラフトおよびブロックはケイ素−炭素結合によってポリシロキサン単位に結合している。好ましくは、該ポリアルキレンオキシド基はポリエチレンオキシド(PEO)基である。
【0050】
適切な重合体を製造するための方法は、例えば、国際特許出願WO 00/00550、WO 00/29464およびWO 99/10412(いずれも出願人はLeiras Oy)に記載されている。
【0051】
治療学的に活性な物質
プロゲストーゲンは、避妊を達成するのに十分なプロゲストーゲン活性を有するいかなる治療学的に活性な物質でもよい。更なる態様においては、プロゲストーゲン様の化合物は、ステロイド性のプロゲストーゲン様化合物である。本発明に適したプロゲストーゲン様化合物の具体例としては、黄体ホルモンおよびその誘導体、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、エトノゲストレル、レボノルゲストレル、リネストレノール、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルゲスチメート、ドロスピレノン、ゲストデン、19−ノル−17−ヒドロキシプロゲステロンエステル、17α−エチニルテストステロンおよびその誘導体、17α−エチニル−19−ノルテストステロンおよびその誘導体、二酢酸エチノジオール、ジドロゲステロン、ノルエチノドレル、アリルエストレノール、メドロゲストン、ノルゲストリエノン、エチステロンおよびdl−ノルゲストレルが挙げられる。
【0052】
特定の態様においては、プロゲストーゲン様化合物はレボノルゲストレルである。レボノルゲストレル以外の、顕著な抗血管新生特性を有するプロゲストーゲンも、上記薬剤と共に使用することができる。
【0053】
本発明において、子宮内膜の出血を防止または抑制するために使用することが可能な治療学的に活性な物質としては、以下の物質からなる群より選ばれるものが挙げられるが、これらに限定されない。ジクロフェナクナトリウムなどのプロスタグランジン合成阻害剤、ナプロキセン、インドメタシン、イブプロフェン、メフェナム酸およびフルルビプロフェンなどのNSAID、ザフィルルカスト、モンテルカストおよびそれらの塩などのロイコトリエン阻害剤、オキシトシン拮抗剤、トラジロールなどの膵性トリプシン阻害剤、COX阻害剤、トラネキサム酸およびその前駆体、アミノカプロン酸、PAI−1、デスモプレシン、クエン酸クロミフェンおよびp−アミノメチル安息香酸などの抗線溶薬、エストロゲン、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、サイトカイン阻害剤、グルココルチコイド、顕著なグルココルチコイド活性を有するプロゲストーゲン、ダナゾール、ならびにゲストリノン。
【0054】
上記薬剤は、月経過多の全身治療に既にある程度は使用されているものである。更にアンジオスタチンやエンドスタチンなどの血管新生阻害剤の使用も考えられる。
【0055】
プロゲスチンの放出は、1年〜10年、または1年〜5年は継続することが好ましく、3年〜5年がより好ましい。付加的な薬剤の放出は、少なくとも1週間から、最大で5年間、または1週間〜1年間は継続されるべきであり、1週間〜6ヶ月が好ましい。
【0056】
送達システムに装填する治療学的に活性な物質、即ち、プロゲストーゲンおよび子宮内膜出血を防止または抑制しうる治療学的に活性な物質の量は、用いる治療学的に活性な物質および子宮内用システムが治療を提供すると期待される期間に依存する。選択したボディー構造体に応じて、投与薬剤のための貯蔵体の大きさ、形状および数は変化するし、変更可能であるため、装置に装填する治療学的に活性な物質の量に臨界的な上限はない。下限は治療学的に活性な物質の効能と放出予定期間に依存する。
【0057】
本発明の送達システムは、避妊用および/またはホルモン療法用あるいは子宮内膜の出血の抑制または予防用の治療用活性化合物の、十分な量および速度の放出を提供する。十分な量および速度の放出とは、必要な放出期間にわたって、各時点で安全且つ十分効果的な量の化合物が放出されることであると理解されたい。特にプロゲストーゲン様の化合物の放出プロファイルは、あまり急激ではいけない。必要な平均放出量は用途に依存する。避妊のための更に別の態様においては、平均放出量は低すぎてもいけない。当業者は、送達システムのそれぞれの特定の用途に必要な治療学的に活性な物質の量を容易に決定することができる。
【0058】
月経出血を減少させる活性物質の治療用用量は、子宮内膜に対する局所的な活性に基づいて変化させることができる。子宮内用システムによって放出させる場合、全身的治療に必要な用量よりも顕著に低用量で十分である。このような低用量は、1日に経口投与した合計4〜6gのトラネキサム酸と薬学的に等価の範囲内でなければならない。
【0059】
プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する物質の量、および子宮内膜出血を防止または抑制しうる治療学的に活性な物質の量は、好ましくはほぼ0〜60重量%までであり、治療学的に活性な物質が芯マトリクスに混合される場合には、5〜50重量%が好ましい。治療学的に活性な物質の量の他の可能な範囲は、0.5〜60重量%、5〜55重量%、10〜50重量%、25〜60重量%、40〜50重量%および5〜40重量%である。
【0060】
子宮内用送達システムの製造
本願の送達システムの形状およびサイズは、当業者によって子宮腔の寸法内で選択することができる。本発明のシステムは、ヒト用のみならず、哺乳動物用にも設計可能であることも明らかである。
【0061】
子宮内用送達システムは、システムの枠体を形成するボディー、およびボディーに取り付けられた、治療学的に活性な物質を含有する貯蔵体(1個または複数個)を包含することが好ましい。一般的に使用される子宮内用システムはT字型の物体であって、該物体は、何らかの生体適合性材料から形成されたものであり、2つのアームを包含する横向き部材を一方の端に有する伸張部材からなるものであって、システムが子宮内に設置された際には、伸張部材と横向き部材が実質的にT字型の構造を形成する。薬用貯蔵体(1個または複数個)は、伸張部材、1つまたは複数の横向き部材、あるいは伸張部材と横向き部材の両方に取り付けることができる。子宮内用システムのボディーは、当然のことながら、子宮内膜腔の大きさや幾何学的特徴に合致する限り、他の種々の形状をとりうるものであり、例えば、円形、角状、楕円型、盾型または多角形などの、連続した曲線からなる形状でもよい。
【0062】
このようなシステムの製造法は当業界ではよく知られているが、次に説明する。
【0063】
ボディーおよび貯蔵体は、同時に製造するか、別々に製造してから組み立てることができる。ボディーは、射出成形または圧縮成形で製造することが好ましい。薬剤を含有する芯は、芯マトリクス材料(例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)または上述した重合体組成物の構成成分)に1種または複数種の治療学的に活性な物質を混合し、成形、流延、押出や当業界で知られている他の方法によって所望の形状に加工する。
【0064】
メンブラン層が存在する場合には、公知の方法、例えば、押出成形法または射出成形法、噴霧法または浸漬法によってメンブラン層を芯に設けることができる。別の方法としては、概成した管状メンブランを使用することができる。始めに管を適切な装置または加圧ガス(たとえば空気)などを用いて機械的に伸展させることによって芯を覆うこともできるし、適切な溶媒(例えばシクロヘキサン、ジグリム、イソプロパノールまたは溶媒混合物)の中で管を膨潤させることによって伸展させ、次に膨潤した管状メンブランで芯の周りを覆うこともできる。溶媒が蒸発すると、メンブランは芯に密着する。
【0065】
種々の方法によって貯蔵体を枠体に固定することができる。枠体は、例えば、中空管様の貯蔵体を組み立てるのに適切な場所に金属製または重合体製のシャフト、芯、桿またはピンなどの形状の伸張した拡張部を包含する。好ましい方法としては、始めに貯蔵体管の直径を、例えば、圧力や膨潤性の溶媒を使ってある程度まで引き伸ばし、次に貯蔵体を単に拡張部の上へ滑り込ませるか、拡張部を中空の貯蔵体に挿入する。始めに中空管様の芯をボディーに取り付け、その後メンブランを芯に取り付けることも可能である。貯蔵体を枠体に取り付けるための他の方法としては、例えば、公知の溶接技術、接着剤の使用、あるいは特別な金属製または重合体製の挿入物、クリップ、コネクター、アダプター、洗濯バサミ様の手段、クランプなどの使用が挙げられる。
【0066】
必要であれば、上記の方法で得た貯蔵体の一方または両方の端部を、公知技術、例えば接着剤やシリコン接着剤の使用によって封止することができる。
【0067】
更に送達システムは、浸漬、噴霧、射出成形などの公知技術により、薬剤を含有する芯材料でボディーを被覆することで製造することもできる。貯蔵体が別の貯蔵体に内包されている態様においては、送達システムは、例えば、始めにボディーをプロゲストーゲン含有重合体層で被覆し、所望によりメンブラン層を設け、そして子宮内膜出血を防止または抑制しうる治療学的に活性な物質を含有する重合体層でシステムを被覆する方法で製造することができる。必要であれば、更に外部メンブラン層を設けることもできる。
【0068】
複数の部分またはセグメントからなる芯を含有する貯蔵体は、例えば、フィンランド国特許 FI 97947に開示されている共押出方法によって製造することもできる。治療学的に活性な物質を芯マトリクス重合体組成物に混合し、得られた混合物を公知の押出方法を用いて所望の形状および大きさに加工する。その後、適切なサイズに概成したそれぞれの芯セグメント、そして活性材料を加えていない別のセグメントまたはセグメント間に空気を満たした空のスペース(押出中は分離メンブランを形成するための膜材料に満たされている)を押出装置に導入することによって、概成した芯にメンブラン層を設けることができる。
【0069】
システムのボディーは、更に装置の挿入過程、装置の使用時または装置の除去時に芯または貯蔵体を一定の場所に保持するための特定の固定手段を包含してもよい。更にシステムは、例えばX線検査や超音波検査における子宮内用システムの可視化および検出を改善するために、以下のいずれかを包含してもよい: IUSのボディーまたは貯蔵体に固定された不活性な金属製のクリップ、リングまたはスリーブ;IUSのボディー上の少なくとも一部に形成された不活性金属被覆;IUSのボディー、芯マトリクスまたはメンブランの原料の調合過程またはIUSのボディーに金属ループを固定させる際に添加した金属粉体、金属粒子またはX線造影薬。
【0070】
本発明の送達システムは、要求される任意の大きさに製造することができ、正確な大きさは、哺乳類の種類および用途に依存する。実際の送達システムの寸法は、子宮腔の大きさに近くなければならない。ヒトの雌性については、IUSボディーの長さは、通常20〜40mm、好ましくは25〜38mmであり、ボディーの幅は、子宮内膜腔基底部の幅と通常は対応する20〜32mmである。ボディー部材の断面直径は、1〜4mm、好ましくは1.5〜3mmである。
【0071】
薬剤送達システムの芯の長さは、必要な性能を発揮するように選択する。複数の芯の長さの比率は、送達する薬剤それぞれの所望される比率と用量を含む、特定の治療用途に依存する。芯セグメントのみならず、貯蔵体の長さも、例えば、1〜35mmである。貯蔵体または芯セグメントを分離するプラセボセグメントの長さは通常1〜5mmの範囲内であり、材料の性質と活性物質の浸透を防止する能力に依存する。
【0072】
分離メンブランの厚さは0.2〜5mmである。厚さ、即ち、芯または芯セグメントの外径は0.1〜5.0mm、好ましくは0.2〜3.5mmである。芯または芯セグメントを覆うメンブランの厚さは、0.1〜1.0mm、好ましくは0.2〜0.6mmである。
【0073】
実施例
本発明を限定することのない以下の実施例によって、本発明を更に説明する。
【実施例1】
【0074】
芯の作製
45重量部のレボノルゲストレル、10重量部のトラネキサム酸、50重量部のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)および1.2重量部のジクロロベンゾイルパーオキシド−ポリジメチルシロキサンペースト(50%ジクロロベンゾイルパーオキシド)を2本ロールミルで混合した。得られた混合物を押出成形に付して、壁厚が0.8mm、外径が2.8mmの管状の成形体を得、架橋反応の生じる+150℃で15分間の加熱によって硬化させた。架橋した芯を24mmの長さに切断した。
【0075】
送達システムの作製
芯をシクロヘキサンで膨潤させ、IUSボディーの周りにかぶせた。次にシクロヘキサンを蒸発させた。
【実施例2】
【0076】
芯の作製
50重量部のレボノルゲストレル、50重量部のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)および1.2重量部のジクロロベンゾイルパーオキシド−ポリジメチルシロキサンペースト(50%ジクロロベンゾイルパーオキシド)を2本ロールミルで混合した。得られた混合物を押出成形に付して、壁厚が0.8mm、外径が2.8mmの管状の成形体を得、架橋反応の生じる+150℃で15分間の加熱によって硬化させた。架橋した芯を15mmの長さに切断した。
【0077】
2種類目の芯は、レボノルゲストレルの代わりに10重量部のダナゾールを使用する以外は、上記と同様に作製した。架橋した芯を長さ8mmに切断した。
【0078】
メンブランの作製
99重量部のシリカ装填ポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.03重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約0.6重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合した。フィンランド国特許 FI97947に記載の方法に基づいて、メンブラン材料で満たされるべき空間を芯と芯の間に残しながら、先に作製した2種の芯をダイの中の内部ノズルに同時に挿入し、メンブラン材料を管状に共押出した。メンブランの厚みは0.23mmだった。芯と芯の間に形成された分離メンブランの厚さは1.8mmだった。
【実施例3】
【0079】
芯の作製
54重量部の市販のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、45.5重量部のレボノルゲストレル、0.4重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤、0.02重量部のエチニルシクロヘキサノール阻害剤および(反応物質に対して)10ppmのPt触媒を含むビニルメチルシロキサンを混練(kneating)ミルで混合した。得られた混合物を押出成形に付して、壁厚が0.7mmの管状の成形体を得た。成形体は+115℃で30分間の加熱によって硬化させ、冷却した。
【0080】
2種類目の芯は、79.5重量部の市販のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)を使用し、レボノルゲストレルの代わりに20重量部のメフェナム酸を使用する以外は、上記と同様に作製した。
【0081】
メンブランの作製
9重量部のα,ω−ジビニルエーテル末端ポリ(エチレンオキシド)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)マルチブロック共重合体(PEO−b−PDMS)、89重量部のシリカ装填ポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.03重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合した。得られた混合物を押出成形に付して壁厚が0.2mmの管状の成形体を得、熱で硬化させた。
【0082】
送達システムの作製
メンブランをイソプロパノールで膨潤させ、2種の芯それぞれの回りにかぶせた。イソプロパノールを蒸発させた。レボノルゲストレル含有貯蔵体は長さ22mmに切断し、メフェナム酸含有貯蔵体は長さ4mmに切断した。次に、管状貯蔵体をシクロヘキサンで膨潤させ、内径が垂直ステム部の直径と実質的に同じであり、外径が貯蔵体の外径よりも若干小さい銀製リングによって貯蔵体同士が分離されるように、T字型ボディーの垂直ステム部に貯蔵体を配置した。シクロヘキサンは蒸発させた。
【実施例4】
【0083】
芯の作製
29重量部のPEO−b−PDMS、29重量部のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.02重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2.4重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合し、そこに39重量部のレボノルゲストレルを添加した。得られた混合物を押出成形に付して、壁厚が0.8mm、外径が2.8mmの管状の成形体を得、架橋反応の生じる+150℃で15分間の加熱によって硬化させた。架橋した芯を12mmの長さに切断した。
【0084】
2種類目の芯は、レボノルゲストレルの代わりに20重量部のメフェナム酸を使用する以外は、上記と同様に作製した。架橋した芯は10mmの長さに切断した。3種類目の芯であるプラセボセグメントは、活性物質を使用しないこと以外は、上記と同様に作製した。架橋した芯は3mmの長さに切断した。
【0085】
メンブランの作製
9重量部のPEO−b−PDMS、89重量部のシリカ装填ポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.03重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合した。上記で作製した3種の芯を、ダイの内部ノズルにレボノルゲストレル芯、プラセボ、メフェナム酸芯の順番で順次挿入し、メンブラン材料を上記で作製した3種の芯に被覆押出した。形成したメンブランの厚みは0.22mmだった。
【実施例5】
【0086】
芯の作製
24重量部のPEO−b−PDMS、24重量部のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.02重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2.4重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合し、そこに35重量部のレボノルゲストレルおよび14.5重量部のメフェナム酸を添加した。得られた混合物を押出成形に付して、壁厚が0.8mm、外径が2.8mmの管状の成形体を得、架橋反応の生じる+150℃で15分間の加熱によって硬化させた。架橋した芯を24mmの長さに切断した。
【0087】
メンブランの作製
100重量部のシリカ装填ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)(トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位の含有量が99mol%、即ち、トリフルオロプロピル基の置換率が49.5%)および1.2重量部のジクロロベンゾイルパーオキシド−ポリジメチルシロキサンペースト(50%ジクロロベンゾイルパーオキシド)を2本ロールミルで混合した。得られた混合物を押出成形に付して壁厚が0.22mmの管状の成形体を得、熱で硬化させた。
【0088】
送達システムの作製
メンブランをイソプロパノールで膨潤させ、芯の周りにかぶせた。溶剤を蒸発させた。次に、管状貯蔵体をシクロヘキサンで膨潤させT字型IUSボディーの上に配置した。シクロヘキサンを蒸発させた。貯蔵体の端部はシリコン接着剤で封止した。
【0089】
送達システム(実施例2と実施例4)の作製
芯−メンブラン貯蔵体をシクロヘキサンで膨潤させ、ボディーのステム部を中空な貯蔵体に挿入した。シクロヘキサンを蒸発させた。
【0090】
薬物放出試験
子宮内移植用装置からの薬剤の放出速度を次の方法でin vitroで測定した。
子宮内用送達システムを垂直な位置でステンレス製のホルダーに取り付け、装置を取り付けたホルダーを、250mlの溶解媒体の入ったガラス瓶に入れた。ガラス瓶は、37℃、100rpmの振とう水浴保温機で振とうさせた。一定期間ごとに溶解媒体を回収して新鮮な溶解媒体と交換し、標準的なHPLC法によって放出薬剤量を測定した。溶解媒体の濃度と媒体交換(回収と交換)の時期は、試験期間中シンク条件が維持されるように選択した。
【0091】
本発明の特定の態様および用途について説明したが、当業者は、本願明細書の教示に基づき、請求項で定義した発明の範囲およびその精神から逸脱することなく、更なる態様や改良を作製することができる。従って、本願の図面および明細書の記載は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】ボディー(1)および治療学的に活性な物質を含有する貯蔵体(2)を包含する子宮内用システムの図面である。
【図2】ボディー(1)および2つの貯蔵体(2と3)を包含する子宮内用システムの図面であり、2つの貯蔵体は互いに重なるように配置され、分離メンブランまたは金属リング(4)で分離されている。
【図3】ボディー(1)、およびボディーの異なる部分に取り付けられた2つの貯蔵体(2と3)を包含する子宮内用システムの図面である。貯蔵体(2)は、固定手段(5aと5b)によって正しい位置に保持されている。
【図4】治療学的に活性な物質を含有し、且つメンブラン(7)によって覆われた芯(6)を包含する、子宮内用システムの貯蔵体(2)の図面である。
【図5】互いに取付けられた2つの芯セグメント(6aと6b)を包含する、子宮内用システムの貯蔵体(2)の図面であって、2つのセグメントはそれぞれ同一または異なる治療学的に活性な物質を含んでおり、メンブラン(7)で覆われている。
【図6】2つの芯セグメント(6aと6b)を包含する、子宮内用システムの貯蔵体(2)の図面であって、2つのセグメントはそれぞれ同一または異なる治療学的に活性な物質を含んでおり、メンブラン(7)で覆われている。2つのセグメントは、分離メンブラン(4)によって互いに分離されている。
【図7】2つの芯セグメント(6aと6b)を包含する、子宮内用システムの貯蔵体(2)の図面であって、2つのセグメントはそれぞれ同一または異なる治療学的に活性な物質を含んでおり、メンブラン(7)で覆われている。2つのセグメントは、不活性なプラセボセグメント(8)によって互いに分離されている。
【図8】2つの貯蔵体(2と3)の一方が他方に内包された構造体の断面図であって、構造体はメンブラン(7)によって覆われている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
避妊、月経問題の低減および無月経の誘導のための改善された方法であって、子宮内用送達システムの使用によって、プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤の制御放出を長期にわたり避妊に必要なレベルで実施し、該子宮内用送達システムは、ボディー構造体および少なくとも1つの貯蔵体を包含し、該貯蔵体は芯と所望により芯を覆うメンブランを包含し、芯とメンブランは同じまたは異なる重合体組成物から実質的になり、該子宮内用送達システムが、子宮内膜の異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる少なくとも1種の治療学的に活性な物質を更に包含することを特徴とする方法。
【請求項2】
プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに子宮内膜の異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる治療学的に活性な物質が、同じ貯蔵体に含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに子宮内膜の異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる治療学的に活性な物質が、個別の貯蔵体に含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤が、黄体ホルモンおよびその誘導体、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、エトノゲストレル、レボノルゲストレル、リネストレノール、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルゲスチメート、ドロスピレノン、ゲストデン、19−ノル−17−ヒドロキシプロゲステロンエステル、17α−エチニルテストステロンおよびその誘導体、17α−エチニル−19−ノルテストステロンおよびその誘導体、二酢酸エチノジオール、ジドロゲステロン、ノルエチノドレル、アリルエストレノール、メドロゲストン、ノルゲストリエノン、エチステロンならびにdl−ノルゲストレルからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤が、レボノルゲストレルであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
子宮内膜出血を防止または抑制しうる治療学的に活性な物質が、プロスタグランジン合成阻害剤、NSAID、ロイコトリエン阻害剤、オキシトシン拮抗剤、膵性トリプシン阻害剤、COX阻害剤、抗線溶薬、エストロゲン、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、サイトカイン阻害剤、グルココルチコイド、顕著なグルココルチコイド活性を有するプロゲストーゲン、ダナゾール、ゲストリノンおよび血管新生阻害剤からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
子宮内膜の異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる治療学的に活性な物質が、トラネキサム酸、メフェナム酸、ダナゾールまたは血管新生阻害剤であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
貯蔵体の芯が2つまたは3つ以上のセグメントを包含し、各セグメントは、同じまたは異なる重合体組成物からなり、プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、あるいは子宮内膜の異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる少なくとも1種の治療学的に活性な物質を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つのセグメントが、該セグメントと同じまたは異なる重合体組成物から実質的になる不活性なメンブランまたは不活性なセグメントによって分離されていることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
送達システム内の芯、メンブラン、および不活性な分離メンブランまたは分離セグメントを形成する重合体組成物が、下記の組成物からなる群より選ばれるものであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
− ポリジメチルシロキサンを含む重合体組成物、
− シロキサン単位のケイ素原子に結合した3,3,3−トリフルオロプロピル基を含むシロキサン主体重合体を含む重合体組成物、
− ポリアルキレンオキシド基を含む重合体組成物であって、該ポリアルキレンオキシド基が、ケイ素−炭素結合によってポリシロキサン単位に結合したアルコキシ末端含有グラフトもしくはブロックの形態で存在しているか、または該グラフトと該ブロックが混合した形態で存在している重合体組成物、および
− 上記のうちの少なくとも2種の混合物。
【請求項11】
シロキサン主体重合体のシロキサン単位のケイ素原子に結合した置換基の1〜約50%が3,3,3−トリフルオロプロピル基であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ポリアルキレンオキシド基がポリエチレンオキシド基であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤の制御放出を長期にわたり避妊に必要なレベルで実施するための子宮内用送達システムであって、該子宮内用送達システムは、ボディー構造体および少なくとも1つの貯蔵体を包含し、該貯蔵体は芯と所望により芯を覆うメンブランを包含し、芯とメンブランは同じまたは異なる重合体組成物から実質的になり、該子宮内用送達システムが、子宮内膜の異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる少なくとも1種の治療学的に活性な物質を更に包含することを特徴とするシステム。
【請求項14】
プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに子宮内膜の異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる治療学的に活性な物質が、同じ貯蔵体に含まれていることを特徴とする、請求項13に記載の子宮内用送達システム。
【請求項15】
プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに子宮内膜の異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる治療学的に活性な物質が、個別の貯蔵体に含まれていることを特徴とする、請求項13に記載の子宮内用送達システム。
【請求項16】
プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤が、黄体ホルモンおよびその誘導体、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、エトノゲストレル、レボノルゲストレル、リネストレノール、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルゲスチメート、ドロスピレノン、ゲストデン、19−ノル−17−ヒドロキシプロゲステロンエステル、17α−エチニルテストステロンおよびその誘導体、17α−エチニル−19−ノルテストステロンおよびその誘導体、二酢酸エチノジオール、ジドロゲステロン、ノルエチノドレル、アリルエストレノール、メドロゲストン、ノルゲストリエノン、エチステロンならびにdl−ノルゲストレルからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項13〜15のいずれかに記載の子宮内用送達システム。
【請求項17】
プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤が、レボノルゲストレルであることを特徴とする、請求項16に記載の子宮内用送達システム。
【請求項18】
子宮内膜出血を防止または抑制しうる治療学的に活性な物質が、プロスタグランジン合成阻害剤、NSAID、ロイコトリエン阻害剤、オキシトシン拮抗剤、膵性トリプシン阻害剤、COX阻害剤、抗線溶薬、エストロゲン、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、サイトカイン阻害剤、グルココルチコイド、顕著なグルココルチコイド活性を有するプロゲストーゲン、ダナゾール、ゲストリノンおよび血管新生阻害剤からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項13〜17のいずれかに記載の子宮内用送達システム。
【請求項19】
子宮内膜の異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる治療学的に活性な物質が、トラネキサム酸、メフェナム酸、ダナゾールまたは血管新生阻害剤であることを特徴とする、請求項18に記載の子宮内用送達システム。
【請求項20】
貯蔵体の芯が2つまたは3つ以上のセグメントを包含し、各セグメントは、同じまたは異なる重合体組成物からなり、プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、あるいは子宮内膜の異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる少なくとも1種の治療学的に活性な物質を含有することを特徴とする、請求項13〜19のいずれかに記載の子宮内用送達システム。
【請求項21】
少なくとも2つのセグメントが、該セグメントと同じまたは異なる重合体組成物から実質的になる不活性なメンブランまたは不活性なセグメントによって分離されていることを特徴とする、請求項20に記載の子宮内用送達システム。
【請求項22】
送達システム内の芯、メンブラン、および不活性な分離メンブランまたは分離セグメントを形成する重合体組成物が、下記の組成物からなる群より選ばれるものであることを特徴とする、請求項13〜21のいずれかに記載の子宮内用送達システム。
− ポリジメチルシロキサンを含む重合体組成物、
− シロキサン単位のケイ素原子に結合した3,3,3−トリフルオロプロピル基を含むシロキサン主体重合体を含む重合体組成物、
− ポリアルキレンオキシド基を含む重合体組成物であって、該ポリアルキレンオキシド基が、ケイ素−炭素結合によってポリシロキサン単位に結合したアルコキシ末端含有グラフトもしくはブロックの形態で存在しているか、または該グラフトと該ブロックが混合した形態で存在している重合体組成物、および
− 上記のうちの少なくとも2種の混合物。
【請求項23】
シロキサン主体重合体のシロキサン単位のケイ素原子に結合した置換基の1〜約50%が3,3,3−トリフルオロプロピル基であることを特徴とする、請求項22に記載の子宮内用送達システム。
【請求項24】
ポリアルキレンオキシド基がポリエチレンオキシド基であることを特徴とする、請求項22に記載の子宮内用送達システム。
【請求項25】
プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる少なくとも1種の治療学的に活性な物質の、避妊、月経問題の低減および無月経の誘導のための子宮内用送達システムの製造への使用。
【請求項26】
プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる少なくとも1種の治療学的に活性な物質の、避妊、月経問題の低減および無月経の誘導のための使用であって、該プロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン活性を有する薬剤、ならびに異常出血および不正出血の少なくとも一方を防止または抑制しうる少なくとも1種の治療学的に活性な物質が、子宮内用送達システムから長期にわたり放出されることを特徴とする使用。
【請求項27】
子宮内用送達システムが、ボディー構造体および少なくとも1つの貯蔵体を包含し、該貯蔵体は芯と所望により芯を覆うメンブランを包含することを特徴とする、請求項25または26に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−526609(P2011−526609A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515511(P2011−515511)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050598
【国際公開番号】WO2010/000943
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(507331379)
【Fターム(参考)】