説明

避難誘導サーバ

【課題】
津波が発生する場合、高所へ迅速に避難する必要がある。しかしながら、避難する際に、現在地点からどの方向・どの場所に避難すれば良いか的確に判断するのは難しい場合がある。
【解決手段】
携帯端末の緯度・経度、津波の予想被害エリア・予想高さ、等高線情報などから、津波の予想高さよりも低い位置にある携帯端末について、避難先エリアとルートを検索し、検索結果を携帯端末に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難誘導サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば、特開2010-169490号公報(特許文献1)がある。この公報には、「案内情報提供サーバが、携帯端末装置の現在位置として取得され案内情報提供サーバへ送信された位置情報に対応する地図データを携帯端末装置へ送信し、携帯端末装置が、受信した地図データ上に、詳細地図データを有する所定領域を他の領域と区別して表示し、現在位置を示す現在位置表示記号を表示した地図表示画面を、表示部に表示し、表示された地図表示画面において、他の領域と区別して表示された所定領域内に現在位置表示記号が含まれる場合、格納先から詳細地図データを取得し、地図表示画面に表示されていた地図データを、取得した当該詳細地図データに切り替えて、表示部に表示する。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-169490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地震、地滑り、海底火山の噴火などにより津波が発生する場合、高所へ迅速に避難する必要がある。しかしながら、避難する際に、現在地点からどの方向・どの場所に避難すれば良いか的確に判断するのは難しい場合がある。
【0005】
前記特許文献1に例としてあげられるナビゲーションシステムでは、出発地から目的地までの経路がユーザの携帯端末装置に地図にて表示され、文字・音声などで案内されるが、災害時の避難用途としてのナビゲーション処理はなされていない。特に、津波発生時には、ユーザの位置、津波の予想状況、ユーザの位置周辺の緯度などに応じた、効率のよい誘導が課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による避難誘導サーバは一例として、津波情報配信装置から津波情報通知を受け、かつ携帯端末と通信するサーバであって、基地局情報と、等高線情報と、携帯端末情報と、地図情報とを備えるデータ部と、前記津波情報配信装置と前記携帯端末との少なくとも一方からデータを受信する受信部と、前記津波情報配信装置と前記携帯端末との少なくとも一方からデータを受信する受信部と、処理部とを有し、前記処理部は、前記受信部が前記津波情報通知を受信するときに、前記基地局情報に基づいて、前記津波情報通知に含まれる予想被害エリアをカバーする基地局の検索をし、前記基地局の検索の結果と前記携帯端末情報とに基づいて、前記基地局の管轄範囲内の前記携帯端末の検索をし、前記基地局の管轄範囲内と判断した前記携帯端末に前記送信部を介して通知を処理し、前記携帯端末から前記受信部を介して避難ルート配信の希望通知を受信するときに、前記携帯端末の位置情報と、前記津波情報通知に含まれる情報と、前記等高線情報とに基づいて、避難ルート配信の要否を判断し、前記避難ルート配信を要と判断するときに、前記地図情報を読み出して前記避難ルートを設定し、前記携帯端末へ、前記送信部を介して前記避難ルートを配信するよう処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
津波が発生する際に、携帯端末のナビゲーションに従い、津波より標高の高い適切な位置へ携帯端末のユーザを誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明によるシステムの例の構成図である。
【図2】本発明のフローチャートの例である。
【図3】本発明のテーブルの例である。
【図4】本発明の表示部の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態のシステムの例の構成図である。図1に示す本実施形態のシステムは、下記の機能を持つ装置により構成される。津波情報を配信する津波情報配信装置102、津波情報配信装置102からネットワークを介して津波情報通知を受信し、津波対象エリアに存在する携帯端末101を検索し、対象の携帯端末101に対して避難ルートを提供するサーバ装置100、被災端末通知を受信し、避難ルート配信をユーザが許諾することで位置情報をサーバ装置100へ送信し、サーバ装置100から避難ルートを取得し、表示する携帯端末101を有する。
【0010】
サーバ装置100は、データ受信部110、データ送信部120、データ部130、及び各情報に関して検索や判定などを処理する処理部1000からなる。データ受信部110は、携帯端末101からの位置情報を受信する位置情報受信部111、津波情報配信装置102から津波情報通知を受信する津波情報通知受信部112、携帯端末101から避難ルート配信希望を受信する配信希望受信部113を有する。データ送信部120は、携帯端末101に対して被災端末通知を行う被災端末通知部121、携帯端末101に対して避難ルートを送信する避難ルート送信部122を有する。データ部130は、基地局情報131、携帯端末情報132、等高線情報133、地図情報134を格納する。
【0011】
携帯端末101は、データ受信部140、データ送信部150、表示部160、操作部170を有する。データ受信部140は、サーバ装置100からの被災端末通知を受信する被災端末通知受信部141、サーバ装置100から避難ルートを受信する避難ルート受信部142を有する。データ送信部は、サーバ装置100に避難ルート配信希望を送信する配信希望送信部151、サーバ装置100からの位置情報取得要求に対して位置情報を送信する位置情報送信部152を有する。
【0012】
図2は、本実施形態におけるサーバ装置100、携帯端末101、津波情報配信装置102の動作フローを示す流れ図である。
【0013】
ステップ201は開始の処理である。ステップ202は、地震などの影響にて津波発生が予測される場合に、津波情報配信装置102が、津波の予想被害エリア、各予想被害エリアの津波到達予想時刻及び津波の高さなどの津波情報をサーバ装置100に配信する処理である。
【0014】
ステップ203は、サーバ装置100が津波情報配信装置102から配信された津波情報を受信する処理である。ステップ204は、津波の予想被害エリアをカバーしている基地局を、津波情報に含まれる予想被害エリア情報および基地局情報131(特に基地局の位置情報)より検索する処理である。ステップ205にて、ステップ204の検索処理の結果、予想被害エリアをカバーしている基地局が存在していると判断される場合には、ステップ206へ移り処理を続行する。また、予想被害エリアをカバーしている基地局が存在しないと判断される場合は、ステップ227に移り処理を終了する。
【0015】
ステップ206は、予想被害エリアをカバーしている基地局を利用中(当該基地局の管轄範囲内)の携帯端末を携帯端末情報132(特に携帯端末の位置情報)より検索する処理である。ステップ207にて、予想被害エリアをカバーしている基地局を利用している携帯端末が存在すると判断される場合は、ステップ208へ移り処理を続行し、存在しない場合は、ステップ227に移り処理を終了する。
【0016】
ステップ208は、ステップ207にてサーバ装置100が予想被害エリアをカバーしている基地局を利用している(当該基地局の管轄範囲内)と判断される携帯端末101に対して、被災端末である旨の通知を送信する処理である。なお、被災端末である旨の通知とは、被災する可能性が極めて高いことを警告する連絡通知である。
【0017】
ステップ209は、携帯端末101がサーバ装置100より送信された被災端末通知送信を受信する処理である。ステップ210にて、サーバ装置100からの被災端末通知受理に基づいて携帯端末に避難ルート配信を希望するかの選択画面が表示される。避難ルート配信の希望を選択した場合、ステップ211へ移り処理を続行し、拒否を選択する場合、ステップ226へ移り処理を終了する。
【0018】
ステップ211は、携帯端末101からサーバ装置100へ避難ルートの配信希望を送信する処理である。ステップ212は、サーバ装置100が携帯端末101からの避難ルート配信希望を受信する処理である。
【0019】
ステップ213は、サーバ装置100にて、避難ルートの配信を希望した端末を避難ルート配信対象テーブル300へ登録する処理である。ステップ214にて、避難ルート配信対象テーブルに登録端末が存在するかを判断し、存在すると判断する場合、ステップ215に移り処理を続行し、存在しないと判断する場合は、ステップ227に移り処理を終了する。
【0020】
ステップ215は、サーバ装置100にて、避難ルート配信対象の携帯端末101に対して位置情報の問合せをする処理である。ステップ216は、携帯端末101がサーバ装置100からの位置情報取得要求を受け付ける処理である。ステップ217は、携帯端末101が基地局からやGPS機能により位置情報を取得する処理である。なお、この位置情報は、携帯端末101の緯度、経度の情報を含む。ステップ218は、携帯端末101がサーバ装置100に携帯端末101の緯度、経度を含む位置情報を送信する処理である。ステップ219は、サーバ装置100が携帯端末101から送信された位置情報を取得する処理である。
【0021】
ステップ220は、サーバ装置100にて、取得した携帯端末101の位置情報および津波情報配信装置102から受信する津波情報(特に予想被害エリアの位置情報、津波の予想高さ情報)、サーバ装置100のデータ部130に予め保持する等高線情報133に基づいて、対象端末が避難対象エリア内に存在し、かつ津波の予想高さよりも低い位置にいるか判定する。すなわち、携帯端末101の位置情報と予想被害エリアの位置情報とから、対象端末が予想被害エリアに位置するか否かを判断し、位置する場合には、携帯端末101が「避難対象エリア内」に存在すると判断する。次に、携帯端末101の位置情報の標高情報と、津波の予想高さ情報と、等高線情報133とに基づいて、携帯端末101の標高情報が津波の予想高さよりも、高いか低いかを比較、判断して、避難ルート通知の要否を判断する。対象端末が避難対象エリア内に存在し、かつ津波の予想高さよりも低い位置にいると判断する場合、避難ルート通知要と判断してステップ221に移り、該当しない場合、ステップ225に移る。
【0022】
ステップ225は、対象端末を避難ルート配信対象テーブルから削除する処理を実行し、その後、ステップ214へ移る。ステップ221は、対象端末の位置情報、予想被害エリアの位置情報とに基づいて避難先の推奨方角を判定し、かつ対象端末の位置情報の標高情報と、津波の予想高さ情報と、等高線情報133に基づいて避難先の推奨高さを判定し、避難対象エリア外の「避難先エリア」として、津波よりも高くかつ適切な場所を検索する処理である。避難先エリアとしては、上記の処理の結果、携帯端末101から最も近い場所を優先的に選定するように処理してもよい。
【0023】
ステップ222は、検索した避難先エリアへの避難ルートをサーバ装置100が携帯端末101へ送信する処理である。ここで、避難ルートは、サーバ装置100がデータ部に予め保持する地図情報134について、ステップ221の結果として選択された避難先エリアと携帯端末の位置情報とを含む範囲の情報を読み出し、かつ、読み出した範囲内において、携帯端末の位置からステップ221の結果として検索された避難先エリアへの道筋として設定する。ステップ223は、携帯端末101がサーバ装置100から避難ルートを含む地図情報を受信する処理である。ステップ224は、携帯端末101が受信した避難ルートを含む地図情報を表示する処理である。
【0024】
図3は、本実施形態における、基地局情報131、携帯端末情報132、等高線情報133およびステップ213にて避難対象端末を登録する避難ルート配信対象テーブル300の格納情報の例である。基地局情報131は、基地局番号と対応する位置情報として緯度・経度が格納されている。携帯端末情報132は、端末番号と対応してIPアドレス、端末固有ID、基地局番号が格納され、基地局番号を介して利用中の基地局を特定することが可能である。等高線情報133は、位置情報と対応して標高を格納する。避難ルート配信対象テーブル300では、端末番号に対応して位置情報を格納する。
【0025】
図4は本実施形態における携帯端末に表示する画面の例である。(a)は、本実施形態における、ステップ210の処理の際に携帯端末に表示される、被災端末通知受理に基づく避難ルート配信を希望するかの選択画面である。操作部170の「承諾」と示される入力部を押し下げるときは、配信希望がサーバ装置100に配信される。「拒否」と示される入力部を押し下げるときは、処理が終了する。(b)はステップ224の処理にて携帯端末に表示される避難ルートの画面の例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
津波情報配信装置から津波情報通知を受け、かつ携帯端末と通信するサーバであって、
基地局情報と、等高線情報と、携帯端末情報と、地図情報とを備えるデータ部と、
前記津波情報配信装置と前記携帯端末との少なくとも一方からデータを受信する受信部と、
前記津波情報配信装置と前記携帯端末との少なくとも一方からデータを受信する受信部と、
処理部とを有し、
前記処理部は、
前記受信部が前記津波情報通知を受信するときに、前記基地局情報に基づいて、前記津波情報通知に含まれる予想被害エリアをカバーする基地局の検索をし、
前記基地局の検索の結果と前記携帯端末情報とに基づいて、前記基地局の管轄範囲内の前記携帯端末の検索をし、前記基地局の管轄範囲内と判断した前記携帯端末に前記送信部を介して通知を処理し、
前記携帯端末から前記受信部を介して避難ルート配信の希望通知を受信するときに、前記携帯端末の位置情報と、前記津波情報通知に含まれる情報と、前記等高線情報とに基づいて、避難ルート配信の要否を判断し、
前記避難ルート配信を要と判断するときに、前記地図情報を読み出して前記避難ルートを設定し、
前記携帯端末へ、前記送信部を介して前記避難ルートを配信するよう処理することを特徴とする避難誘導サーバ。
【請求項2】
前記処理部は、前記携帯端末の位置情報と前記津波情報通知に含まれる予想被害エリアとに基づいて、前記携帯端末が予想被害エリアに位置するか否かを判断し、前記携帯端末が予想被害エリアに位置する場合に、前記携帯端末の位置情報の標高情報と前記津波情報通知に含まれる津波の予想高さ情報と前記等高線情報とに基づいて、前記携帯端末の標高情報と津波の予想高さとを比較し、前記携帯端末が津波の予想高さより低い位置にあるときに、前記避難ルート配信を要と判断することを特徴とする請求項1に記載の避難誘導サーバ。
【請求項3】
前記処理部は、前記携帯端末の位置情報と前記津波情報通知に含まれる予想被害エリアとに基づいて避難先の推奨方角を判定し、前記携帯端末の位置情報の標高情報と前記津波情報通知に含まれる津波の予想高さ情報と前記等高線情報とに基づいて避難先の推奨高さを判定し、避難先エリアを検索することを特徴とする請求項1に記載の避難誘導サーバ。
【請求項4】
前記処理部は、前記地図情報から、前記避難先エリアと前記携帯端末の位置情報とを含む範囲の情報を表示情報として読み出し、かつ、前記表示情報の範囲内で前記携帯端末の位置から前記避難先エリアへを前記避難ルートして設定することを特徴とする請求項3に記載の避難誘導サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−88827(P2013−88827A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225452(P2011−225452)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】