部分グリッドおよびZピンの欠陥による過剰挿入を予測するための方法
【課題】部分グリッド挿入の影響により生じる過剰な挿入や、完全グリッド挿入における不完全な挿入を検出する方法を提供する。
【解決手段】システム29は1つ以上のZピン(20)を複合材料積層材24上に配置し、Zピンを複合材料積層材の中へ第1の挿入深度まで押し進められる挿入プロセスを開始するのに充分なレベルの挿入力をZピンに加える。Zピンの第1の挿入深度までの挿入中、Zピンに対し加えられる挿入力を監視するとともに、Zピンの第1の挿入深度までの挿入中、Zピンに対し加えられる挿入エネルギーを算出する。挿入エネルギーのレベルを経験的に導かれる値と比較する。
【解決手段】システム29は1つ以上のZピン(20)を複合材料積層材24上に配置し、Zピンを複合材料積層材の中へ第1の挿入深度まで押し進められる挿入プロセスを開始するのに充分なレベルの挿入力をZピンに加える。Zピンの第1の挿入深度までの挿入中、Zピンに対し加えられる挿入力を監視するとともに、Zピンの第1の挿入深度までの挿入中、Zピンに対し加えられる挿入エネルギーを算出する。挿入エネルギーのレベルを経験的に導かれる値と比較する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は強化複合材料に関する。より詳細には、本発明は未硬化複合材料積層物を互いにZピン挿着/接合するための2速度挿入プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
航空宇宙産業においては、航空宇宙用途の基本構造物として複合材料を使用することが次第に普及しつつある。従来の複合材料は樹脂マトリクス材料と、X−Y軸方向に連続する2次元の若干の繊維材料とからなるが、材料の厚みを得るために複数層に積層される。ガラス繊維、炭素繊維またはアラミド繊維などの繊維材料を熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂などのマトリクス材料と組み合わせた複合材料構成は、従来の2次元構造物の一例である。
【0003】
機体構造用複合材料など多くの構造用複合材料には、通常、様々な補強材が含まれる。補強材によって、一定の飛行荷重条件下において必要な剛性が与えられる。典型的な補強材の1つは、その形状から、ハット(帽子)型補強材と呼ばれる。ハット型補強材は、通常、その表面を介して航空宇宙構造用複合材料コンポーネントに対し取着されている。
【0004】
従来、複合材料のハット型補強材は従来型の機械的固定具を用いてコンポーネントの表面に対し取着されていた。時々用いられる別の取着プロセスでは、ハット型補強材は構造用複合材料自体による硬化と同時に、構造用複合材料の表面に対し硬化されていた。しかしながら、この両方のプロセスや、ハット型補強材が表面に対し機械的に締結されるプロセスまたは接着剤により接合されるプロセスでは、通常、表面に対するハット型補強材において故障が発生していた。
【0005】
先述の取着プロセスを用いる故障の発生を解決するために、現在、航空宇宙産業においては、1つ以上の補強材を複合材料表面へ取着するためにZピン挿着が頻繁に用いられる。これに関して、Zピンの開発、担体中にてZピンを支持するための方法、および未硬化複合材料中へZピンを挿入するための方法により、ハット型補強材と表面とを硬化するより前に互いに接合することが可能となった。Zピンを用いて複合材料部品を一体に接合することにより、軽量化、付加の分散の均一化、コスト低下、および両部品の同時硬化など、従来の機械的固定具を超える幾つかの利点が提示される。ハット型補強材と共に用いられる現行のZピン挿着プロセスの1つでは、基礎となる構造用複合材料、即ち、積層材の表面に対し固定されるハット型補強材の表面に、Zピン担体プリフォームが配置される。このプリフォームは、通常、複数のZピンがその中へ埋め込まれている低密度フォームおよび高密度フォームの連続層からなる。このZピンは、流体圧プレス装置または超音波装置(例えば、超音波励起ホーン)などの装置を用いて、担体プリフォームからハット型補強材を通じて基礎積層材の中へと、押し進められる。超音波装置は高周波エネルギーを用いて担体プリフォーム内でZピンを振動させ、補強材を通じて基礎積層材の中へと押し進める。
【0006】
Zピン挿着プロセスにおいて効率化を図る目的では、ロボットを用いてZピンを自動的に挿入することは非常に望ましい。しかしながら、Zピン挿着プロセスに伴う多くの変数に適応するには特殊な手法が必要であるため、Zピン挿着プロセスを自動化する試みは困難であることが判明した。より詳細には、自動化挿入における主要な変数は、挿入速度、挿入力、材料の経時変化、材料厚、積層材のホット・デバルク量、ホーンの励起の振幅、(超音波ホーンを用いる場合)、Zピンの耐荷重性能、および挿入時間である。Zピンの挿入が速すぎると、ピンに過度な力が加えられることにより、ピンを破壊するか、または
、接合されている部品にピンを完全には貫通させないことになる。Zピンの挿入が遅すぎると、余分な時間がかかることにより、妥当な投資収益が得られないか、または、プリフォームを過熱する。超音波ホーンが用いられる場合、ホーン振動の振幅を増大させることにより挿入をより速めることが可能であるが、プリフォームに過剰なエネルギーを与え、Zピンの過剰挿入と、プリフォームの溶融とを生じる恐れは増大する。さらに、条件の1つのセットが、新しい、全厚の小さい材料に対して良好であっても、経時後の最大厚の材料(例えば、30日経時後の材料)に対しては最適でない場合がある。実際、先述の変数のうちの多くは非線形的に相互作用するため、所与の変数の組み合わせにより挿入の成功を予測することは非常に困難である。さらなる制限として、プロセスにおいて良好な投資収益を生じるために挿入時間は充分に速いことが必要である。したがって、製造環境における自動化Zピン挿入では、設計仕様において生じ得る全ての変動に適応する、挿入パラメータの単一のセット(汎用パラメータ)の必要が存在する。
【0007】
自動化Zピン挿入プロセスにおいて用いられる挿入パラメータの単一のセットの必要は、本出願人の同時継続出願である「汎用挿入パラメータを用いる自動化Zピン挿入方法(AUTOMATED Z−PIN INSERTION TECHNIQUE USING UNIVERSAL INSERTION PARAMETERS)」と題する2005年6月22日出願の特許文献1において対処されている。しかしながら、現行の既知の手動挿入プロセスを用いると、Zピンが完全に適正な深度まで挿入されたことを確認するためには、通常、さらに手動の追跡検査工程が必要である。より詳細には、現行で実施されている手動の検査プロセスにおいては、挿入プロセスが完了すると、Zピンが複合材料積層材の中へ充分に押し込まれ全深度に到達したか否かを判定するために、簡単な計器を用いてZピン担体プリフォームの高さが測定される。この場合の「全深度」は、Zピンが複合材料積層材を完全に貫通し、接合用具表面に達したことを意味している。硬化に続き、Zピンが実際に複合材料積層材のプライを接合用具表面まで貫通したことを確認するため、さらなる目視検査が行われる。Zピンが全深度まで挿入されたことを確認するために、特許文献1に記載の自動化Zピン挿入プロセス/システムに関して、同様の手動検査プロセスが実施され得ると想定される。
【0008】
超音波ホーンおよびZピン担体プリフォームを用いて自動化Zピン挿入プロセスを実施する場合、通常、完全グリッドZピン挿入と部分グリッドZピン挿入との両方が発生する。完全グリッド挿入は、超音波ホーンのアンビル全体のフットプリントが担体プリフォームの露出した上面内に置かれる場合、または、上面上に位置を占める場合に発生する。部分グリッド挿入は、アンビルの一部が担体プリフォームの側部、即ち、周辺の端部のうちの1つを超えて広がっている場合に発生する。自動化Zピン挿着プロセスの実施によりZピンを複合材料構造物の中へ挿入する場合、対応するロボットシステムがロードセル力フィードバックのみを用いて完全グリッド挿入と部分グリッド挿入との間の差異を検出することは不可能である。ロードセル力フィードバックについては、特許文献1に詳細に記載されている。また、自動化Zピン挿着システムは、担体プリフォーム中に不良なZピンが存在する場合を検出することも不可能である。不良なZピンはロボットシステムの発生させる正常な挿入力を伝達することが不可能であるため、基礎となる複合材料構造物の中へ完全に挿入される代わりに崩壊することが多い。
【特許文献1】米国特許出願第11/158,400号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
正常な完全グリッド挿入中、本出願人の先述の関連出願に記載の自動化Zピン挿着システムは実に良好に機能する。しかしながら、各Zピン担体プリフォームの始部および終部においては、通常、部分グリッド挿入が発生する。この部分グリッドの挿入の影響により過剰な挿入が生じる。過剰挿入は、次の条件のうちの1つ以上を生じる。(1)担体プリ
フォームの上面上でZピンが破壊されるため、下に位置する基板の表面を黒化させ、外観上の問題を生じる。(2)挿入の完了までの時間が増大し(最大値の6秒まで増大することも多い)時間を無駄に費やす。(3)担体プリフォームが正常な温度を超えて過熱され、担体プリフォームに含まれる低密度フォーム(ポリスチレン)を溶融させる。(4)Zピンの最大挿入深度に達することが多く、やはり価値ある時間を浪費する。時には、完全グリッド挿入においても、Zピンが挿入力を伝達することが不可能であるなどZピン自体の品質に問題が存在するために、Zピンを崩壊させ、完全には挿入させない場合がある。このことは、接合部において構造的強度を保持するのに充分な統合性をもってピン挿着されていない部品を生じる恐れがあるため、過剰挿入よりも深刻な問題である。本発明では、以下でさらに詳細に説明するようにして、上述の望ましくない条件を検出する方法を提供することにより、これらの特定の問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により、未硬化複合材料積層物を互いにZピン挿着/接合するための2速度挿入プロセスを実施するためのシステムが提供される。本発明の挿入プロセスでは、Zピン担体プリフォーム内のZピンに超音波エネルギーを供給するために超音波ホーンが用いられる。この挿入プロセスでは、挿入中に生じる抵抗力に基づき挿入速度をより低い挿入速度へと変更する、触覚フィードバックシステムが提供される。システムは一般的な条件に適合するので、オペレータの介入は不要である。この2速度プロセスを用いることにより、1速度挿入手法を用いては不可能な種々の条件の複合材料積層材中へZピンを挿入することが可能である。
【0011】
本発明の挿入プロセスは、Zピン挿入プロセス中に存在する条件に基づき、上述の変数、即ち、パラメータのうちの1つ以上を効果的に変化させる。本発明のプロセスは、Zピンを積層材の中へ押し進めるために加えられる力を監視し、この情報を用いて挿入速度を変化させるのに効果的であるように、初期条件、即ち、材料の経時および厚さに関するパラメータを無視する。本発明の一実施形態では、最初にZピンは約6.35mm(0.25インチ)毎秒の率で挿入され、挿入力が約178N(40ポンド)に達すると、挿入速度は即座に約1.27mm(0.050インチ)毎秒まで減少される。挿入力が約222N(50ポンド)に達すると、Zピンは積層材を貫通し、硬い用具表面(またはバリアシート)に接触していると仮定される。
【0012】
本発明の挿入プロセスの一部として、超音波ホーンがプリフォームに接触する瞬間が検出されると、誤ったトリガを防止するために、挿入のうちの最初の10%の読取値は無視される。これに加えて、挿入プロセス中に約222N(50ポンド)のトリガが認識されない場合のバックアップとして、製造システム安全条件も監視される。挿入プロセスを中断するために本発明のプロセスに用いられ得る他の安全機能には、挿入時間の長さと、超音波ホーンの移動の最大距離とが含まれる。最大設定時間に達した場合、挿入は中断される。同様に、最大設定深度に達した場合も挿入は中断される。さらなる安全機能の1つには、挿入ホーンの温度の遠隔監視が含まれる。ホーン温度が所与の閾値を超えた場合、現在の挿入に続く挿入プロセスは停止され、さらなる挿入に進む前にホーンが冷却される。
【0013】
さらに本発明により、上述の自動化挿入プロセスと共に用いられ必要な全深度検査を自動的に実行し得る方法が提供され、ロボットオペレータは許容不能な挿入の発生を警告する。上述のように、本発明の自動化挿入プロセスでは汎用挿入パラメータのセットが用いられることにより、一定の挿入力閾値に基づき2速度挿入プロセスが実施される。本発明の自動化検査方法では挿入速度が必須の最低レベルまで低下しているか否か、さらには、挿入プロセス中に必須の最終挿入力に達したか否かが自動的に検査される。これらの特定のパラメータは、挿入プロセス中に生成されるデータを解析することにより、自動的に検査される。より詳細には、この自動化検査方法は、約178N(40ポンド)の挿入力閾
値に達することにより挿入速度が約6.35mm(0.25インチ)毎秒から減少され、かつ、約222N(50ポンド)の挿入力限界閾値にも達するときには常に、許容可能な挿入がなされるという原理による。許容不能なZピン挿入では、第1の条件が満たされても、両方の条件が満たされることはない。
【0014】
さらになお本発明により、上述の自動化挿入プロセスと共に用いられ自動化挿入プロセスの初期挿入段階中にZピンに対し加えられる挿入エネルギーを自動的に監視し、その挿入エネルギーを経験的に導かれる「良好な」挿入の値と比較した後、プロセスを中断するより前に所定の追加挿入深度まで挿入プロセスの継続を許可し得る手法が提供される。挿入エネルギーは、累積的に挿入力を加算し、それに挿入時間を乗ずることにより算出され、累積エネルギーが得られる。特定の所定の挿入深度にて、このエネルギー積算は停止され、初期挿入深度における値が記憶され、経験的に導かれる値と比較される。値が経験的な値未満である場合、挿入エネルギーが低すぎるので、部分グリッド挿入が発生していること、または、欠陥を有するZピンが挿入されていることを示している。別の経験的に導かれる第2の挿入深度に達するまで挿入の継続が許可され、第2の挿入深度に達すると挿入は中断される。第2の深度は、部分グリッドの挿入を継続しZピンが完全に挿入されることを保証するために必要である。第2の深度は、全深度挿入を保証する積層材の厚さの関数である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1,2はそれぞれ、以下でさらに詳細に説明する本発明のZピン挿着プロセスにおいて用いられる、代表的なZピン担体プリフォーム10の断面図、上面斜視図である。担体プリフォーム10は低密度フォームからなる上層12と、高密度フォームからなる下層14とを備える。下層14は上層12と連続している。これに関して、下層14の上面は上層12の下面に隣接している。上層12の上面を覆っているのはポリオレフィンからなる層16である。層16はペーパーから作られる層18により覆われている。したがって、層16は層18と上層12との間に位置する。
【0016】
層12,14,16,18に加えて、担体プリフォーム10は複数のZピン20を備える。複数のZピン20は上層12および下層14内に埋め込まれている。より詳細には、Zピン20は上層12の上面(層16により覆われている)と、下層14の露出している下面との間に、ほぼ直立して伸びている。また好適には、Zピン20は互いに関してほぼ平行に離間して伸びており、上層12および下層14内に、多様な所定のパターンのうちの1つにより埋め込まれてよい。したがって、上層12および下層14内のZピン20の数、間隔および全体の配置は用途により異なるため、図1に示すZピン20の特定のパターン、即ち、配置は、単なる例である。Zピン20に一般的に用いられる材料の1つはボロンであり、別の材料は硬化ビスマレイミド(BMI)樹脂を含むグラファイトである。図2に示すように、担体プリフォーム10はほぼ方形の構成であり、長さLは約30.5cm(12インチ)、幅Wは約2.79cm(1.1インチ)、高さHは約1.27cm(0.5インチ)である。しかしながら、担体プリフォーム10は特定の用途に応じて多様な異なった構成により提供され得るため、図2に示す担体プリフォーム10の構成も単なる例であることを、当業者は認めるであろう。代表的な担体プリフォーム10の1つは、アズテックス社(Aztex,Inc.)により提供されるZ−Fiber(商標)である。
【0017】
上述のように、本発明のZピン挿着システムおよびプロセスは、未硬化複合材料積層材を互いに接合するために適切に用いられる。ここで図3〜7を参照する。本発明の挿入システムおよびプロセスの典型的な用途は、基礎となる複合材料積層材24へ複合材料のハット型補強材22を取着することである。図3に示すように、ハット型補強材22は長尺状の拡がった中央部分26と、中央部分26に一体に接続され、かつ、中央部分26のそ
れぞれの側に沿って伸びている一対のフランジ部分28とを備える。各フランジ部分28の底面は複合材料積層材24の上面に沿って伸び、複合材料積層材24の上面に接触している。底面に加えて、各フランジ部分28は、複合材料積層材24の上面に対してわずかに傾いて伸びている上面を有する。したがって、各フランジ部分28の厚さはテーパを有する。図3,4に示すように、複合材料積層材24の上面に対する各フランジ部分28の上面の角度は、ほぼ12度である。以下では、特に複合材料積層材24へのハット型補強材22の取着に関し、本発明のZピン挿着システムおよびプロセスを説明するが、そうしたシステムおよびプロセスは任意の複合材料積層材構造物を互いに固定するために適切に用いられ、複合材料積層材24へのハット型補強材22の固定に用いることに限定されないことを当業者は認めるであろう。
【0018】
ここで図8を参照する。図8には、本発明のZピン挿着プロセスを実施するために用いられる挿入用のシステム29に含まれる種々の構成要素の概略図を示す。好適な一実施形態では、システム29は超音波ホーン30を備える。超音波ホーン30を図9,10に詳細に示す。超音波ホーン30はコンバータ32を備え、コンバータ32はブースタ34に動作可能に接続されている。ブースタ34は挿入ホーン36に動作可能に接続されており、挿入ホーン36の先端は、ほぼ平らなアンビル38を形成している。
【0019】
超音波ホーン30に加えて、システム29はロードセル40を備える。ロードセル40は超音波ホーン30のコンバータ32に隣接して配置されており、プログラマブル論理コントローラ(PLC)42と電気的に通信している。また、PLC42は超音波出力源44とも電気的に通信しており、超音波出力源44は超音波ホーン30のコンバータ32と電気的に通信している。さらにPLC42は、ロボットコントローラ48と通信するヒューマン/マシン・インタフェース(HMI)46を装備している。ロボットコントローラ48は多軸ロボット50と電気的に通信する。多軸ロボット50は、本発明の挿入/Zピン挿着プロセスを用いて互いに固定される複合材料積層材に対する超音波ホーン30の移動を制御および調整することが可能であるように、超音波ホーン30に動作可能に接続されている。
【0020】
再び図3〜7を参照する。図8に示すシステム29を用いてハット型補強材22を複合材料積層材24へ取着する際、最初に担体プリフォーム10をハット型補強材22のフランジ部分28の上面の上に配置すると想定される。その後、PLC42が多軸ロボット50と通信して、多軸ロボット50に超音波ホーン30のアンビル38を所定の位置、即ち、担体プリフォーム10のうちの1つに対する位置へと効果的に誘導させる。より詳細には、ロボットコントローラ48は多軸ロボット50に、超音波ホーン30のアンビル38を第1の位置P1(図4に示す)へと誘導させる。第1の位置P1は、担体プリフォーム10のうちの1つの約5.08mm(0.200インチ)上方である。この初期配置に続いて、PLC42は多軸ロボット50に、アンビル38を第2の位置P2まで移動させる。第2の位置P2は、隣接する担体プリフォーム10の約2.54mm(0.100インチ)上方である。第2の位置P2へのアンビル38の移動により、担体プリフォーム10内からハット型補強材22の対応するフランジ部分28を通じて基礎の複合材料積層材24の中へのZピン20の挿入プロセスの開始がトリガされる。
【0021】
Zピン挿着プロセスが開始すると、超音波ホーン30は多軸ロボット50により上下方向のZ軸(図4に示す)に沿って下向きに移動され、図5に示すようにアンビル38が担体プリフォーム10の一部と直に接触する。このZ軸に沿って下向きの移動は、アンビル38がアンビル38の直下に位置する担体プリフォーム10のZピン20に下向きの圧力を働かせるように継続される。認められるであろうように、超音波ホーン30による機械的運動(即ち、超音波ホーン30のZ軸に沿って下向きの移動)と、超音波エネルギーとの組み合わせにより、Zピン20は担体プリフォーム10からハット型補強材を通じてハ
ット型補強材の中へと効果的に押し進められる。また同時に、図6に示すように、低密度フォームからなる上層12は破壊される。上層12に連続しており高密度フォームからなる下層14は、通常、アンビル38の下向きの移動により破壊されない。Zピン挿入プロセス中、アンビル38により担体プリフォーム10に対し加えられる、ハット型補強材22の対応するフランジ部分28を通じて基礎の複合材料積層材24の中へとZピン20を押し進める力は、ロードセル40により監視される。上述のように、ロードセル40はPLC42と電気的に通信している。ロードセル40によりPLC42へ伝送されるデータはZピン20の挿入速度を変化させるために用いられる。認められるであろうように、挿入速度は、Z軸に沿って下向きの超音波ホーン30の移動、したがって、アンビル38の移動の率に相当する。
【0022】
本発明のZピン挿着/挿入プロセスの一実施形態では、超音波ホーン30が多軸ロボット50によりZ軸に沿って下向きに移動され、アンビル38は隣接する担体プリフォーム10の複数のZピン20のうちの一定のピンを、最初に対応するフランジ部分28を通じて基礎の複合材料積層材24の中へと約6.35mm(0.25インチ)毎秒の率で挿入するように作用する。通常、図4に示す第1の距離D1を通じて、Zピン20の挿入は約6.35mm(0.25インチ)毎秒の率で起こる。
【0023】
ロードセル40によりPLC42へ伝送されるデータによって、超音波ホーン30によりZピン20に対し加えられる挿入力の大きさが約178N(40ポンド)に達することが示されるとき、多軸ロボット50によるZ軸に沿って下向きの超音波ホーン30の移動の率、したがって挿入速度は、即座に約1.27mm(0.050インチ)毎秒まで減少される。通常、やはり図4に示す第2の距離D2を通じて、Zピン20の挿入は約1.27mm(0.050インチ)毎秒の率で起こる。このとき、ロードセル40はPLC42へ、アンビル38により担体プリフォーム10内のZピン20に対し加えられている下向きの力のレベルを表すデータの伝送を継続する。この力が約222N(50ポンド)に達すると、Zピン20は担体プリフォーム10の上層12および下層14からハット型補強材22の対応するフランジ部分28を通じ下向きに押し進められ、基礎の複合材料積層材24を貫通して硬い用具表面またはバリアシート57に接触したと仮定される。挿入力と挿入速度との間の関係を図11のグラフに示す。図7に示すように、全てのZピン20が担体プリフォーム10からフランジ部分28を通じ基礎の複合材料積層材24の中へ押し進められると、通常、破壊された担体プリフォーム10の残部(Zピン20の余分な部分を含む)は、チゼル31や同様の除去装置を用いて除去される。
【0024】
本発明のZピン挿着/挿入プロセスに関連して上で述べたように、挿入速度の変動性は、PLC42へプログラムされているサーボ回路ソフトウェア52により調整される。サーボ回路ソフトウェア52はサーボモータ54の機能を調整するように適合されており、超音波ホーン30の、したがってアンビル38のZ軸に沿って上下方向の運動を正確に制御/調整する。多軸ロボット50は所定の手法によりロボットエンドエフェクタの位置を決定すると、その位置を「静止」させ、挿入プロセスの制御をエンドエフェクタ(PLC42、超音波ホーン30およびサーボモータ54のドライバが配置されている)へ渡す。挿入の完了後、次の挿入の位置決定のため、エンドエフェクタは制御を多軸ロボット50へ返す。サーボモータ54によりサーボ回路ソフトウェア52へ伝送されるサーボ回路フィードバック56は、ロードセル40によりPLC42へ、したがってサーボ回路ソフトウェア52へ伝送されるデータと共に用いられ、上述の2速度挿入プロセスを実行するとともに、一定の安全機能を提供する。この安全機能を以下でさらに詳細に説明する。サーボ回路フィードバック56と、ロードセル40により伝送されるデータとによって、上述のようにして挿入プロセスを効果的に調整する、触覚フィードバック機構が提供される。
【0025】
本発明のZピン挿着/挿入プロセスではさらに、図8に示すZピン挿入用のシステム2
9は、挿入ホーン36の形成するアンビル38が担体プリフォーム10に接触する瞬間を検出することが可能な構成要素を備え得ると想定される。これに関して、PLC42へプログラムされているサーボ回路ソフトウェア52は、誤ったトリガを防止するために、Zピン20の挿入のうちの最初の約10%の読取値(即ち、ロードセル40またはサーボ回路フィードバック56から伝送されるデータ)を無視するように適合されてよい。また、挿入プロセスを中断する約222N(50ポンド重)のトリガがPLC42により認識されない場合のバックアップとして、一定の製造システム安全条件が監視され得ると想定される。挿入プロセスを中断するためにシステム29に組み込まれ(例えば、PLC42へプログラムされ)得る他の安全機能には、挿入時間の長さと、超音波ホーン30により、したがってアンビル38によりZ軸に沿って移動される最大距離とが含まれる。これに関して、最大設定時間に達した場合、挿入は中断される。同様に、Z軸に沿ったアンビル38の移動距離により最大設定深度に達したことが示される場合も、挿入は中断される。
【0026】
さらになお、さらなる安全機能の1つとして、挿入ホーン36の温度が監視され得ると想定される。これに関して、挿入ホーン36の温度が所与の閾値を超えた場合、現在の挿入に続くZピン20の挿入プロセスは停止され、さらなる挿入を進めるより前に挿入ホーン36が冷却され得る。図11に示す挿入グラフは、Zピン20がハット型補強材22のフランジ部分28および基礎の複合材料積層材24を完全に貫通したことの記録としても用いられ、それによって、検査者による手動検査の必要は除去される。全てのZピン挿入が良好であった(即ち、完全に貫通した)か否かを自動的に判定するためのソフトウェアプログラムを作成し、PLC42へプログラムすることも可能である。このソフトウェアプログラムでは、全てのZピン挿入が良好であったとのメッセージをオペレータへ送信するか、或いは、いずれの挿入がサーボ回路ソフトウェア52のソフトウェア基準を満たさなかったかを後に再調査するためのエラーメッセージを記録する。認められるように、ハット型補強材22を複合材料積層材24へZピン挿着するプロセスを完全に完了させるには、最終的にハット型補強材22のフランジ部分28を通じて基礎の複合材料積層材24の中へ全てのZピン20が進められるように、超音波ホーン30のアンビル38を全ての担体プリフォーム10の全てのZピン20に対し連続的に作用させる必要に応じて、多軸ロボット50を移動させるようにPLC42をプログラムすることが必要となる。
【0027】
本発明の上述の汎用パラメータは所定面積のアンビル38と、担体プリフォーム10内の、所定のピン密度およびピン直径を有するZピン20とに対して開発されていることを、当業者は認めるであろう。これに関して、先述のパラメータを用いて同時に挿入されるZピン20の数は、最小でほぼ150〜200の範囲であると想定される。アンビル38の所与の面積においてZピン20の数が減少すると、Zピン20毎の負荷は増大する。Zピン20が約150未満しか存在しない場合、約222N(50ポンド重)のトリガに達することがないためにシステムがZピン20の「過剰挿入」を行う場合があり、システムはタイムアウトとなるか、または、最大挿入深度に達する。したがって、上述の約178N(40ポンド)および約222N(50ポンド)の値はアンビル38の面積ならびに担体プリフォーム10中のZピン20の密度および直径に応じて異なり、Zピン20の密度および直径の変動に適応する必要に応じて変更されてよい。同様に、上述の挿入速度は、Zピン20の密度および直径の変動に適応する必要に応じて変更されてよい。
【0028】
さらに本発明により、上述の自動化挿入プロセスと共に用いられ必要な全深度検査を自動的に実行し得る手法が提供され、多軸ロボット50のオペレータは許容不能な挿入の発生を警告する。上述のように、本発明の自動化挿入プロセスでは汎用挿入パラメータのセットが用いられることにより、一定の挿入力閾値に基づき2速度挿入プロセスが実施される。本発明の自動化検査方法では、超音波ホーン30によりZピン20に対し加えられる挿入力が約178N(40ポンド)に達することにより、挿入速度が初期の約6.35mm(0.25インチ)毎秒の率から約1.27mm(0.050インチ)毎秒の必須の最
低レベルまで低下しているか否かを、さらには、挿入プロセス中に約222N(50ポンド)の必須の最終挿入力に達したか否かが自動的に検査される。これらの特定のパラメータは、挿入プロセス中に生成されるデータを解析することにより、自動的に検査される。上述のように、そうしたデータはロードセル40により生成され、PLC42へ伝送される。
【0029】
したがって、本発明の自動化検査手法は(1)挿入速度が初期の約6.35mm(0.25インチ)毎秒の率から約1.27mm(0.050インチ)毎秒の必須の最低レベルまで減少され、かつ、(2)約222N(50ポンド)の挿入力限界閾値にも達するときには常に、許容可能な挿入がなされるという原理による。許容不能なZピン挿入では、第1の条件(1)が満たされても、両方の条件(1,2)が満たされることはない。本発明の自動化検査手法を用いる許容可能および許容不能なZピン挿入に関する挿入力と挿入速度との間の関係を、図12〜16のグラフに示す。これに関して、図12,15には許容可能な挿入を表す関係を示し、図13,14,16には許容不能な挿入を表す関係を示す。PLC42は、許容不能な挿入が発生したことを多軸ロボット50のオペレータに警告する信号を提供するか、または、品質管理目的で挿入用のシステム29により生成される挿入データに警告メッセージを提供するようにプログラムされると想定される。本発明の自動化検査手法の実施により、Zピン20の全深度挿入の手動検査は製造プロセスから除去され、コストが実質的に節約されると想定される。
【0030】
ここで図17を参照する。上述のように、図8に示すシステム29を用いる自動化Zピン挿入プロセスの実施中、多軸ロボット50は超音波ホーン30のアンビル38を所定の位置、即ち、担体プリフォーム10のうちの1つに対する位置(即ち、図4に示す第1の位置P1)へと効果的に誘導する。この初期位置決定に続いて、多軸ロボット50はアンビル38を第2の位置P2へと移動するよう指示される。この移動によって、担体プリフォーム10内から対応するフランジ部分28を通じて基礎の複合材料積層材24の中へのZピン20の挿入プロセスの開始がトリガされる。Zピン挿着プロセスが開始すると、超音波ホーン30は図4に示す上下方向のZ軸に沿って下向きに多軸ロボット50により移動され、図5に示すようにアンビル38が担体プリフォーム10の一部と直に接触する。各担体プリフォーム10の始部および終部においては、通常、部分グリッド挿入が発生する。上述のように、部分グリッド挿入は、図17に「アンビルのフットプリント」と標示した破線で示すように、超音波ホーン30のアンビル38の一部が担体プリフォーム10の側部、即ち、周辺の端部のうちの1つを超えて広がっている場合に発生する。これは完全グリッド挿入と対照的である。完全グリッド挿入は、アンビル38全体のフットプリントが担体プリフォーム10の露出した上面内に置かれる、または、上面上に位置を占める場合に発生する。また図17には、アンビル38のフットプリントおよび担体プリフォーム10内のZピン20の配置に関連する部分グリッドおよび完全グリッドを視覚的に示す、注釈および対応する参照線を示す。
【0031】
やはり上述にて説明したように、システム29は全ての自動化挿入および材料条件に対する挿入パラメータの汎用的なセットを用いるため、製造環境を非常に単純化する。汎用挿入パラメータを用いることにより、システム29は条件に依らず、同じ挿入力/挿入速度を適用してZピン20を挿入する。上述のフィードバックシステムは力フィードバックを用いて挿入プロセスの情報を提供し、先述のようにして挿入速度を2つの値の間で切り替える。システム29の位置フィードバック機能により、挿入開始から挿入中断までの挿入深度の測定値は提供されるが、担体プリフォーム10はハット型補強材22のフランジ部分28上に手動で配置されることから、そうした深度は相当に変動し得るため、Zピン20がそうした構造物中にどの程度押し進められているかを判定することは困難である。これに関して、Zピン20が未硬化構造物を通じて接合用具またはバリアシート57に接触するまで押し進められ、したがって、全深度挿入が完了することが望ましい。しかしな
がら、上述のように、Zピン20を複合材料構造物中へ挿入する場合、ロードセル40により提供される力フィードバックのみによってシステム29が完全グリッド挿入と部分グリッド挿入との間の差異を検出することは不可能である。また、システム29は担体プリフォーム10中に不良なZピン20が存在する場合を検出することも不可能である。不良なZピン20はシステム29の発生させる正常な挿入力を伝達することが不可能であり、対応する複合材料構造物の中へ完全に挿入されずに崩壊する。正常な完全グリッド挿入中、システム29は実に良好に機能するが、各担体プリフォーム10の始部および終部においては、通常、部分グリッド挿入が発生する。そうした部分グリッドの挿入に関連する潜在的な欠点を上で述べた。
【0032】
先述に鑑み、さらに本発明により、自動化挿入プロセスの実施中の部分グリッド挿入の発生または不良/欠陥Zピン20を検出する方法が提供される。これに関して、本発明の検出方法は、それらの望ましくない条件を検出するのみならず、それらを防止するため、実際に発生の前に予測する。より詳細には、本発明の検出方法には、Zピン20に関連して先で述べた初期挿入段階中に挿入エネルギーを監視する工程と、その挿入エネルギーを経験的に導かれる「良好な」挿入の値と比較する工程と、その後、挿入プロセスを中断する前に所定の追加深度まで挿入プロセスを継続することを許可する工程とが含まれる。挿入エネルギーは、本質的には、図18に示す曲線の下の面積を積算することにより算出される。この算出は、累積的に挿入力を加算し、それに挿入時間を乗ずることにより行われ、累積エネルギーが得られる。特定の所定深度(図18に示す深度1)にて、エネルギー積算は停止され、深度1における値が記憶されて、経験的に導かれる値と比較される。この値が経験的な値未満である場合、挿入エネルギーが低すぎるため、部分グリッドが生じているか、または、欠陥を有するZピン20が挿入されていることを示している。別の経験的に導かれる所定深度(図18に示す深度2)に達するまで挿入の継続が許可され、深度2に達すると挿入は中断される。第2の深度(即ち、深度2)は、部分グリッドの挿入を継続しZピン20を完全に挿入することを保証するために必要である。深度2は、全深度挿入を保証する積層材の厚さの関数である。
【0033】
上述の手法により、部分グリッドまたは不良/欠陥Zピン20の挿入を予測し、過剰挿入と呼ぶ条件を防止することが可能である。過剰挿入では、担体プリフォーム10の上面上で非常に多くのZピン20の上部が破壊される。上述のように、過剰挿入により、超音波ホーン30は過熱され、担体プリフォーム10のポリスチレンフォームコンポーネントを溶融させて、挿入サイクル時間を遅らせる。また先述のように、美観的には、過剰挿入によってZピン20が崩壊し暗くされた上部表面が生じ、保護のない電子回路を短絡させ得る領域のグラファイト粉の量を増大させる。さらなる懸念は超音波ホーン30の温度上昇である。超音波ホーン30の温度上昇は、検査されずに済まされる場合、さらなる問題を生じ得る。検出手法に関連して示した第1の深度(深度1)は、図4に関連して示した第1の距離D1に相当してよく、第2の深度(深度2)は図4に関連して示した第2の距離D2に相当してもよいと想定される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】複数のZピンがその中へ埋め込まれている代表的なZピン担体プリフォームの断面図。
【図2】図1に示すZピン担体プリフォームの上面斜視図。
【図3】本発明の挿入システムおよびプロセスを用いてハット型補強材を基礎積層材に固定するためにハット型補強材上に担体プリフォームを配置する手法を示す断面図。
【図4】挿入システムの超音波ホーンの一部と、挿入プロセス中のプリフォームのうちの1つに対するその配向とをさらに示す、図3の一部の領域の拡大図。
【図5】基礎積層材の中へ実際にZピンを挿入する直前の挿入システムの超音波ホーンの一部と、プリフォームのうちの1つに対するその配向とを示す側立面図。
【図6】基礎積層材の中へ実際にZピンを挿入した直後の挿入システムの超音波ホーンの一部と、プリフォームのうちの1つに対するその配向とを示す側立面図。
【図7】基礎積層材の中へのZピンの挿入に続く、余分なZピンの除去プロセスの完了を示す側立面図。
【図8】本発明の挿入プロセスを実施するために用いられる挿入システムに含まれる種々の構成要素を示す概略図。
【図9】本発明の挿入プロセスを実施するために用いられる挿入システムの超音波ホーンの側面図。
【図10】本発明の挿入プロセスを実施するために用いられる挿入システムの超音波ホーンの端面図。
【図11】本発明の挿入プロセスを用いて達成される挿入力と挿入速度との間の関係を示すグラフ。
【図12】本発明の挿入プロセスを用いて達成される許容可能なZピン挿入に関連する挿入力と挿入速度との間の関係を示すグラフ。
【図13】本発明の挿入プロセスを用いて達成される許容不能なZピン挿入に関連する挿入力と挿入速度との間の関係を示すグラフ。
【図14】本発明の挿入プロセスを用いて達成される許容不能なZピン挿入に関連する挿入力と挿入速度との間の関係を示すグラフ。
【図15】本発明の挿入プロセスを用いて達成される許容可能なZピン挿入に関連する挿入力と挿入速度との間の関係を示すグラフ。
【図16】本発明の挿入プロセスを用いて達成される許容不能なZピン挿入に関連する挿入力と挿入速度との間の関係を示すグラフ。
【図17】本発明の挿入システムおよびプロセスにおける超音波ホーンを用いる完全グリッド挿入と部分グリッド挿入との間の区別を示す概略図。
【図18】本発明の予測手法による典型的な部分グリッド挿入力曲線に関する挿入力と挿入深度との間の関係を示すグラフ。
【技術分野】
【0001】
本発明は強化複合材料に関する。より詳細には、本発明は未硬化複合材料積層物を互いにZピン挿着/接合するための2速度挿入プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
航空宇宙産業においては、航空宇宙用途の基本構造物として複合材料を使用することが次第に普及しつつある。従来の複合材料は樹脂マトリクス材料と、X−Y軸方向に連続する2次元の若干の繊維材料とからなるが、材料の厚みを得るために複数層に積層される。ガラス繊維、炭素繊維またはアラミド繊維などの繊維材料を熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂などのマトリクス材料と組み合わせた複合材料構成は、従来の2次元構造物の一例である。
【0003】
機体構造用複合材料など多くの構造用複合材料には、通常、様々な補強材が含まれる。補強材によって、一定の飛行荷重条件下において必要な剛性が与えられる。典型的な補強材の1つは、その形状から、ハット(帽子)型補強材と呼ばれる。ハット型補強材は、通常、その表面を介して航空宇宙構造用複合材料コンポーネントに対し取着されている。
【0004】
従来、複合材料のハット型補強材は従来型の機械的固定具を用いてコンポーネントの表面に対し取着されていた。時々用いられる別の取着プロセスでは、ハット型補強材は構造用複合材料自体による硬化と同時に、構造用複合材料の表面に対し硬化されていた。しかしながら、この両方のプロセスや、ハット型補強材が表面に対し機械的に締結されるプロセスまたは接着剤により接合されるプロセスでは、通常、表面に対するハット型補強材において故障が発生していた。
【0005】
先述の取着プロセスを用いる故障の発生を解決するために、現在、航空宇宙産業においては、1つ以上の補強材を複合材料表面へ取着するためにZピン挿着が頻繁に用いられる。これに関して、Zピンの開発、担体中にてZピンを支持するための方法、および未硬化複合材料中へZピンを挿入するための方法により、ハット型補強材と表面とを硬化するより前に互いに接合することが可能となった。Zピンを用いて複合材料部品を一体に接合することにより、軽量化、付加の分散の均一化、コスト低下、および両部品の同時硬化など、従来の機械的固定具を超える幾つかの利点が提示される。ハット型補強材と共に用いられる現行のZピン挿着プロセスの1つでは、基礎となる構造用複合材料、即ち、積層材の表面に対し固定されるハット型補強材の表面に、Zピン担体プリフォームが配置される。このプリフォームは、通常、複数のZピンがその中へ埋め込まれている低密度フォームおよび高密度フォームの連続層からなる。このZピンは、流体圧プレス装置または超音波装置(例えば、超音波励起ホーン)などの装置を用いて、担体プリフォームからハット型補強材を通じて基礎積層材の中へと、押し進められる。超音波装置は高周波エネルギーを用いて担体プリフォーム内でZピンを振動させ、補強材を通じて基礎積層材の中へと押し進める。
【0006】
Zピン挿着プロセスにおいて効率化を図る目的では、ロボットを用いてZピンを自動的に挿入することは非常に望ましい。しかしながら、Zピン挿着プロセスに伴う多くの変数に適応するには特殊な手法が必要であるため、Zピン挿着プロセスを自動化する試みは困難であることが判明した。より詳細には、自動化挿入における主要な変数は、挿入速度、挿入力、材料の経時変化、材料厚、積層材のホット・デバルク量、ホーンの励起の振幅、(超音波ホーンを用いる場合)、Zピンの耐荷重性能、および挿入時間である。Zピンの挿入が速すぎると、ピンに過度な力が加えられることにより、ピンを破壊するか、または
、接合されている部品にピンを完全には貫通させないことになる。Zピンの挿入が遅すぎると、余分な時間がかかることにより、妥当な投資収益が得られないか、または、プリフォームを過熱する。超音波ホーンが用いられる場合、ホーン振動の振幅を増大させることにより挿入をより速めることが可能であるが、プリフォームに過剰なエネルギーを与え、Zピンの過剰挿入と、プリフォームの溶融とを生じる恐れは増大する。さらに、条件の1つのセットが、新しい、全厚の小さい材料に対して良好であっても、経時後の最大厚の材料(例えば、30日経時後の材料)に対しては最適でない場合がある。実際、先述の変数のうちの多くは非線形的に相互作用するため、所与の変数の組み合わせにより挿入の成功を予測することは非常に困難である。さらなる制限として、プロセスにおいて良好な投資収益を生じるために挿入時間は充分に速いことが必要である。したがって、製造環境における自動化Zピン挿入では、設計仕様において生じ得る全ての変動に適応する、挿入パラメータの単一のセット(汎用パラメータ)の必要が存在する。
【0007】
自動化Zピン挿入プロセスにおいて用いられる挿入パラメータの単一のセットの必要は、本出願人の同時継続出願である「汎用挿入パラメータを用いる自動化Zピン挿入方法(AUTOMATED Z−PIN INSERTION TECHNIQUE USING UNIVERSAL INSERTION PARAMETERS)」と題する2005年6月22日出願の特許文献1において対処されている。しかしながら、現行の既知の手動挿入プロセスを用いると、Zピンが完全に適正な深度まで挿入されたことを確認するためには、通常、さらに手動の追跡検査工程が必要である。より詳細には、現行で実施されている手動の検査プロセスにおいては、挿入プロセスが完了すると、Zピンが複合材料積層材の中へ充分に押し込まれ全深度に到達したか否かを判定するために、簡単な計器を用いてZピン担体プリフォームの高さが測定される。この場合の「全深度」は、Zピンが複合材料積層材を完全に貫通し、接合用具表面に達したことを意味している。硬化に続き、Zピンが実際に複合材料積層材のプライを接合用具表面まで貫通したことを確認するため、さらなる目視検査が行われる。Zピンが全深度まで挿入されたことを確認するために、特許文献1に記載の自動化Zピン挿入プロセス/システムに関して、同様の手動検査プロセスが実施され得ると想定される。
【0008】
超音波ホーンおよびZピン担体プリフォームを用いて自動化Zピン挿入プロセスを実施する場合、通常、完全グリッドZピン挿入と部分グリッドZピン挿入との両方が発生する。完全グリッド挿入は、超音波ホーンのアンビル全体のフットプリントが担体プリフォームの露出した上面内に置かれる場合、または、上面上に位置を占める場合に発生する。部分グリッド挿入は、アンビルの一部が担体プリフォームの側部、即ち、周辺の端部のうちの1つを超えて広がっている場合に発生する。自動化Zピン挿着プロセスの実施によりZピンを複合材料構造物の中へ挿入する場合、対応するロボットシステムがロードセル力フィードバックのみを用いて完全グリッド挿入と部分グリッド挿入との間の差異を検出することは不可能である。ロードセル力フィードバックについては、特許文献1に詳細に記載されている。また、自動化Zピン挿着システムは、担体プリフォーム中に不良なZピンが存在する場合を検出することも不可能である。不良なZピンはロボットシステムの発生させる正常な挿入力を伝達することが不可能であるため、基礎となる複合材料構造物の中へ完全に挿入される代わりに崩壊することが多い。
【特許文献1】米国特許出願第11/158,400号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
正常な完全グリッド挿入中、本出願人の先述の関連出願に記載の自動化Zピン挿着システムは実に良好に機能する。しかしながら、各Zピン担体プリフォームの始部および終部においては、通常、部分グリッド挿入が発生する。この部分グリッドの挿入の影響により過剰な挿入が生じる。過剰挿入は、次の条件のうちの1つ以上を生じる。(1)担体プリ
フォームの上面上でZピンが破壊されるため、下に位置する基板の表面を黒化させ、外観上の問題を生じる。(2)挿入の完了までの時間が増大し(最大値の6秒まで増大することも多い)時間を無駄に費やす。(3)担体プリフォームが正常な温度を超えて過熱され、担体プリフォームに含まれる低密度フォーム(ポリスチレン)を溶融させる。(4)Zピンの最大挿入深度に達することが多く、やはり価値ある時間を浪費する。時には、完全グリッド挿入においても、Zピンが挿入力を伝達することが不可能であるなどZピン自体の品質に問題が存在するために、Zピンを崩壊させ、完全には挿入させない場合がある。このことは、接合部において構造的強度を保持するのに充分な統合性をもってピン挿着されていない部品を生じる恐れがあるため、過剰挿入よりも深刻な問題である。本発明では、以下でさらに詳細に説明するようにして、上述の望ましくない条件を検出する方法を提供することにより、これらの特定の問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により、未硬化複合材料積層物を互いにZピン挿着/接合するための2速度挿入プロセスを実施するためのシステムが提供される。本発明の挿入プロセスでは、Zピン担体プリフォーム内のZピンに超音波エネルギーを供給するために超音波ホーンが用いられる。この挿入プロセスでは、挿入中に生じる抵抗力に基づき挿入速度をより低い挿入速度へと変更する、触覚フィードバックシステムが提供される。システムは一般的な条件に適合するので、オペレータの介入は不要である。この2速度プロセスを用いることにより、1速度挿入手法を用いては不可能な種々の条件の複合材料積層材中へZピンを挿入することが可能である。
【0011】
本発明の挿入プロセスは、Zピン挿入プロセス中に存在する条件に基づき、上述の変数、即ち、パラメータのうちの1つ以上を効果的に変化させる。本発明のプロセスは、Zピンを積層材の中へ押し進めるために加えられる力を監視し、この情報を用いて挿入速度を変化させるのに効果的であるように、初期条件、即ち、材料の経時および厚さに関するパラメータを無視する。本発明の一実施形態では、最初にZピンは約6.35mm(0.25インチ)毎秒の率で挿入され、挿入力が約178N(40ポンド)に達すると、挿入速度は即座に約1.27mm(0.050インチ)毎秒まで減少される。挿入力が約222N(50ポンド)に達すると、Zピンは積層材を貫通し、硬い用具表面(またはバリアシート)に接触していると仮定される。
【0012】
本発明の挿入プロセスの一部として、超音波ホーンがプリフォームに接触する瞬間が検出されると、誤ったトリガを防止するために、挿入のうちの最初の10%の読取値は無視される。これに加えて、挿入プロセス中に約222N(50ポンド)のトリガが認識されない場合のバックアップとして、製造システム安全条件も監視される。挿入プロセスを中断するために本発明のプロセスに用いられ得る他の安全機能には、挿入時間の長さと、超音波ホーンの移動の最大距離とが含まれる。最大設定時間に達した場合、挿入は中断される。同様に、最大設定深度に達した場合も挿入は中断される。さらなる安全機能の1つには、挿入ホーンの温度の遠隔監視が含まれる。ホーン温度が所与の閾値を超えた場合、現在の挿入に続く挿入プロセスは停止され、さらなる挿入に進む前にホーンが冷却される。
【0013】
さらに本発明により、上述の自動化挿入プロセスと共に用いられ必要な全深度検査を自動的に実行し得る方法が提供され、ロボットオペレータは許容不能な挿入の発生を警告する。上述のように、本発明の自動化挿入プロセスでは汎用挿入パラメータのセットが用いられることにより、一定の挿入力閾値に基づき2速度挿入プロセスが実施される。本発明の自動化検査方法では挿入速度が必須の最低レベルまで低下しているか否か、さらには、挿入プロセス中に必須の最終挿入力に達したか否かが自動的に検査される。これらの特定のパラメータは、挿入プロセス中に生成されるデータを解析することにより、自動的に検査される。より詳細には、この自動化検査方法は、約178N(40ポンド)の挿入力閾
値に達することにより挿入速度が約6.35mm(0.25インチ)毎秒から減少され、かつ、約222N(50ポンド)の挿入力限界閾値にも達するときには常に、許容可能な挿入がなされるという原理による。許容不能なZピン挿入では、第1の条件が満たされても、両方の条件が満たされることはない。
【0014】
さらになお本発明により、上述の自動化挿入プロセスと共に用いられ自動化挿入プロセスの初期挿入段階中にZピンに対し加えられる挿入エネルギーを自動的に監視し、その挿入エネルギーを経験的に導かれる「良好な」挿入の値と比較した後、プロセスを中断するより前に所定の追加挿入深度まで挿入プロセスの継続を許可し得る手法が提供される。挿入エネルギーは、累積的に挿入力を加算し、それに挿入時間を乗ずることにより算出され、累積エネルギーが得られる。特定の所定の挿入深度にて、このエネルギー積算は停止され、初期挿入深度における値が記憶され、経験的に導かれる値と比較される。値が経験的な値未満である場合、挿入エネルギーが低すぎるので、部分グリッド挿入が発生していること、または、欠陥を有するZピンが挿入されていることを示している。別の経験的に導かれる第2の挿入深度に達するまで挿入の継続が許可され、第2の挿入深度に達すると挿入は中断される。第2の深度は、部分グリッドの挿入を継続しZピンが完全に挿入されることを保証するために必要である。第2の深度は、全深度挿入を保証する積層材の厚さの関数である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1,2はそれぞれ、以下でさらに詳細に説明する本発明のZピン挿着プロセスにおいて用いられる、代表的なZピン担体プリフォーム10の断面図、上面斜視図である。担体プリフォーム10は低密度フォームからなる上層12と、高密度フォームからなる下層14とを備える。下層14は上層12と連続している。これに関して、下層14の上面は上層12の下面に隣接している。上層12の上面を覆っているのはポリオレフィンからなる層16である。層16はペーパーから作られる層18により覆われている。したがって、層16は層18と上層12との間に位置する。
【0016】
層12,14,16,18に加えて、担体プリフォーム10は複数のZピン20を備える。複数のZピン20は上層12および下層14内に埋め込まれている。より詳細には、Zピン20は上層12の上面(層16により覆われている)と、下層14の露出している下面との間に、ほぼ直立して伸びている。また好適には、Zピン20は互いに関してほぼ平行に離間して伸びており、上層12および下層14内に、多様な所定のパターンのうちの1つにより埋め込まれてよい。したがって、上層12および下層14内のZピン20の数、間隔および全体の配置は用途により異なるため、図1に示すZピン20の特定のパターン、即ち、配置は、単なる例である。Zピン20に一般的に用いられる材料の1つはボロンであり、別の材料は硬化ビスマレイミド(BMI)樹脂を含むグラファイトである。図2に示すように、担体プリフォーム10はほぼ方形の構成であり、長さLは約30.5cm(12インチ)、幅Wは約2.79cm(1.1インチ)、高さHは約1.27cm(0.5インチ)である。しかしながら、担体プリフォーム10は特定の用途に応じて多様な異なった構成により提供され得るため、図2に示す担体プリフォーム10の構成も単なる例であることを、当業者は認めるであろう。代表的な担体プリフォーム10の1つは、アズテックス社(Aztex,Inc.)により提供されるZ−Fiber(商標)である。
【0017】
上述のように、本発明のZピン挿着システムおよびプロセスは、未硬化複合材料積層材を互いに接合するために適切に用いられる。ここで図3〜7を参照する。本発明の挿入システムおよびプロセスの典型的な用途は、基礎となる複合材料積層材24へ複合材料のハット型補強材22を取着することである。図3に示すように、ハット型補強材22は長尺状の拡がった中央部分26と、中央部分26に一体に接続され、かつ、中央部分26のそ
れぞれの側に沿って伸びている一対のフランジ部分28とを備える。各フランジ部分28の底面は複合材料積層材24の上面に沿って伸び、複合材料積層材24の上面に接触している。底面に加えて、各フランジ部分28は、複合材料積層材24の上面に対してわずかに傾いて伸びている上面を有する。したがって、各フランジ部分28の厚さはテーパを有する。図3,4に示すように、複合材料積層材24の上面に対する各フランジ部分28の上面の角度は、ほぼ12度である。以下では、特に複合材料積層材24へのハット型補強材22の取着に関し、本発明のZピン挿着システムおよびプロセスを説明するが、そうしたシステムおよびプロセスは任意の複合材料積層材構造物を互いに固定するために適切に用いられ、複合材料積層材24へのハット型補強材22の固定に用いることに限定されないことを当業者は認めるであろう。
【0018】
ここで図8を参照する。図8には、本発明のZピン挿着プロセスを実施するために用いられる挿入用のシステム29に含まれる種々の構成要素の概略図を示す。好適な一実施形態では、システム29は超音波ホーン30を備える。超音波ホーン30を図9,10に詳細に示す。超音波ホーン30はコンバータ32を備え、コンバータ32はブースタ34に動作可能に接続されている。ブースタ34は挿入ホーン36に動作可能に接続されており、挿入ホーン36の先端は、ほぼ平らなアンビル38を形成している。
【0019】
超音波ホーン30に加えて、システム29はロードセル40を備える。ロードセル40は超音波ホーン30のコンバータ32に隣接して配置されており、プログラマブル論理コントローラ(PLC)42と電気的に通信している。また、PLC42は超音波出力源44とも電気的に通信しており、超音波出力源44は超音波ホーン30のコンバータ32と電気的に通信している。さらにPLC42は、ロボットコントローラ48と通信するヒューマン/マシン・インタフェース(HMI)46を装備している。ロボットコントローラ48は多軸ロボット50と電気的に通信する。多軸ロボット50は、本発明の挿入/Zピン挿着プロセスを用いて互いに固定される複合材料積層材に対する超音波ホーン30の移動を制御および調整することが可能であるように、超音波ホーン30に動作可能に接続されている。
【0020】
再び図3〜7を参照する。図8に示すシステム29を用いてハット型補強材22を複合材料積層材24へ取着する際、最初に担体プリフォーム10をハット型補強材22のフランジ部分28の上面の上に配置すると想定される。その後、PLC42が多軸ロボット50と通信して、多軸ロボット50に超音波ホーン30のアンビル38を所定の位置、即ち、担体プリフォーム10のうちの1つに対する位置へと効果的に誘導させる。より詳細には、ロボットコントローラ48は多軸ロボット50に、超音波ホーン30のアンビル38を第1の位置P1(図4に示す)へと誘導させる。第1の位置P1は、担体プリフォーム10のうちの1つの約5.08mm(0.200インチ)上方である。この初期配置に続いて、PLC42は多軸ロボット50に、アンビル38を第2の位置P2まで移動させる。第2の位置P2は、隣接する担体プリフォーム10の約2.54mm(0.100インチ)上方である。第2の位置P2へのアンビル38の移動により、担体プリフォーム10内からハット型補強材22の対応するフランジ部分28を通じて基礎の複合材料積層材24の中へのZピン20の挿入プロセスの開始がトリガされる。
【0021】
Zピン挿着プロセスが開始すると、超音波ホーン30は多軸ロボット50により上下方向のZ軸(図4に示す)に沿って下向きに移動され、図5に示すようにアンビル38が担体プリフォーム10の一部と直に接触する。このZ軸に沿って下向きの移動は、アンビル38がアンビル38の直下に位置する担体プリフォーム10のZピン20に下向きの圧力を働かせるように継続される。認められるであろうように、超音波ホーン30による機械的運動(即ち、超音波ホーン30のZ軸に沿って下向きの移動)と、超音波エネルギーとの組み合わせにより、Zピン20は担体プリフォーム10からハット型補強材を通じてハ
ット型補強材の中へと効果的に押し進められる。また同時に、図6に示すように、低密度フォームからなる上層12は破壊される。上層12に連続しており高密度フォームからなる下層14は、通常、アンビル38の下向きの移動により破壊されない。Zピン挿入プロセス中、アンビル38により担体プリフォーム10に対し加えられる、ハット型補強材22の対応するフランジ部分28を通じて基礎の複合材料積層材24の中へとZピン20を押し進める力は、ロードセル40により監視される。上述のように、ロードセル40はPLC42と電気的に通信している。ロードセル40によりPLC42へ伝送されるデータはZピン20の挿入速度を変化させるために用いられる。認められるであろうように、挿入速度は、Z軸に沿って下向きの超音波ホーン30の移動、したがって、アンビル38の移動の率に相当する。
【0022】
本発明のZピン挿着/挿入プロセスの一実施形態では、超音波ホーン30が多軸ロボット50によりZ軸に沿って下向きに移動され、アンビル38は隣接する担体プリフォーム10の複数のZピン20のうちの一定のピンを、最初に対応するフランジ部分28を通じて基礎の複合材料積層材24の中へと約6.35mm(0.25インチ)毎秒の率で挿入するように作用する。通常、図4に示す第1の距離D1を通じて、Zピン20の挿入は約6.35mm(0.25インチ)毎秒の率で起こる。
【0023】
ロードセル40によりPLC42へ伝送されるデータによって、超音波ホーン30によりZピン20に対し加えられる挿入力の大きさが約178N(40ポンド)に達することが示されるとき、多軸ロボット50によるZ軸に沿って下向きの超音波ホーン30の移動の率、したがって挿入速度は、即座に約1.27mm(0.050インチ)毎秒まで減少される。通常、やはり図4に示す第2の距離D2を通じて、Zピン20の挿入は約1.27mm(0.050インチ)毎秒の率で起こる。このとき、ロードセル40はPLC42へ、アンビル38により担体プリフォーム10内のZピン20に対し加えられている下向きの力のレベルを表すデータの伝送を継続する。この力が約222N(50ポンド)に達すると、Zピン20は担体プリフォーム10の上層12および下層14からハット型補強材22の対応するフランジ部分28を通じ下向きに押し進められ、基礎の複合材料積層材24を貫通して硬い用具表面またはバリアシート57に接触したと仮定される。挿入力と挿入速度との間の関係を図11のグラフに示す。図7に示すように、全てのZピン20が担体プリフォーム10からフランジ部分28を通じ基礎の複合材料積層材24の中へ押し進められると、通常、破壊された担体プリフォーム10の残部(Zピン20の余分な部分を含む)は、チゼル31や同様の除去装置を用いて除去される。
【0024】
本発明のZピン挿着/挿入プロセスに関連して上で述べたように、挿入速度の変動性は、PLC42へプログラムされているサーボ回路ソフトウェア52により調整される。サーボ回路ソフトウェア52はサーボモータ54の機能を調整するように適合されており、超音波ホーン30の、したがってアンビル38のZ軸に沿って上下方向の運動を正確に制御/調整する。多軸ロボット50は所定の手法によりロボットエンドエフェクタの位置を決定すると、その位置を「静止」させ、挿入プロセスの制御をエンドエフェクタ(PLC42、超音波ホーン30およびサーボモータ54のドライバが配置されている)へ渡す。挿入の完了後、次の挿入の位置決定のため、エンドエフェクタは制御を多軸ロボット50へ返す。サーボモータ54によりサーボ回路ソフトウェア52へ伝送されるサーボ回路フィードバック56は、ロードセル40によりPLC42へ、したがってサーボ回路ソフトウェア52へ伝送されるデータと共に用いられ、上述の2速度挿入プロセスを実行するとともに、一定の安全機能を提供する。この安全機能を以下でさらに詳細に説明する。サーボ回路フィードバック56と、ロードセル40により伝送されるデータとによって、上述のようにして挿入プロセスを効果的に調整する、触覚フィードバック機構が提供される。
【0025】
本発明のZピン挿着/挿入プロセスではさらに、図8に示すZピン挿入用のシステム2
9は、挿入ホーン36の形成するアンビル38が担体プリフォーム10に接触する瞬間を検出することが可能な構成要素を備え得ると想定される。これに関して、PLC42へプログラムされているサーボ回路ソフトウェア52は、誤ったトリガを防止するために、Zピン20の挿入のうちの最初の約10%の読取値(即ち、ロードセル40またはサーボ回路フィードバック56から伝送されるデータ)を無視するように適合されてよい。また、挿入プロセスを中断する約222N(50ポンド重)のトリガがPLC42により認識されない場合のバックアップとして、一定の製造システム安全条件が監視され得ると想定される。挿入プロセスを中断するためにシステム29に組み込まれ(例えば、PLC42へプログラムされ)得る他の安全機能には、挿入時間の長さと、超音波ホーン30により、したがってアンビル38によりZ軸に沿って移動される最大距離とが含まれる。これに関して、最大設定時間に達した場合、挿入は中断される。同様に、Z軸に沿ったアンビル38の移動距離により最大設定深度に達したことが示される場合も、挿入は中断される。
【0026】
さらになお、さらなる安全機能の1つとして、挿入ホーン36の温度が監視され得ると想定される。これに関して、挿入ホーン36の温度が所与の閾値を超えた場合、現在の挿入に続くZピン20の挿入プロセスは停止され、さらなる挿入を進めるより前に挿入ホーン36が冷却され得る。図11に示す挿入グラフは、Zピン20がハット型補強材22のフランジ部分28および基礎の複合材料積層材24を完全に貫通したことの記録としても用いられ、それによって、検査者による手動検査の必要は除去される。全てのZピン挿入が良好であった(即ち、完全に貫通した)か否かを自動的に判定するためのソフトウェアプログラムを作成し、PLC42へプログラムすることも可能である。このソフトウェアプログラムでは、全てのZピン挿入が良好であったとのメッセージをオペレータへ送信するか、或いは、いずれの挿入がサーボ回路ソフトウェア52のソフトウェア基準を満たさなかったかを後に再調査するためのエラーメッセージを記録する。認められるように、ハット型補強材22を複合材料積層材24へZピン挿着するプロセスを完全に完了させるには、最終的にハット型補強材22のフランジ部分28を通じて基礎の複合材料積層材24の中へ全てのZピン20が進められるように、超音波ホーン30のアンビル38を全ての担体プリフォーム10の全てのZピン20に対し連続的に作用させる必要に応じて、多軸ロボット50を移動させるようにPLC42をプログラムすることが必要となる。
【0027】
本発明の上述の汎用パラメータは所定面積のアンビル38と、担体プリフォーム10内の、所定のピン密度およびピン直径を有するZピン20とに対して開発されていることを、当業者は認めるであろう。これに関して、先述のパラメータを用いて同時に挿入されるZピン20の数は、最小でほぼ150〜200の範囲であると想定される。アンビル38の所与の面積においてZピン20の数が減少すると、Zピン20毎の負荷は増大する。Zピン20が約150未満しか存在しない場合、約222N(50ポンド重)のトリガに達することがないためにシステムがZピン20の「過剰挿入」を行う場合があり、システムはタイムアウトとなるか、または、最大挿入深度に達する。したがって、上述の約178N(40ポンド)および約222N(50ポンド)の値はアンビル38の面積ならびに担体プリフォーム10中のZピン20の密度および直径に応じて異なり、Zピン20の密度および直径の変動に適応する必要に応じて変更されてよい。同様に、上述の挿入速度は、Zピン20の密度および直径の変動に適応する必要に応じて変更されてよい。
【0028】
さらに本発明により、上述の自動化挿入プロセスと共に用いられ必要な全深度検査を自動的に実行し得る手法が提供され、多軸ロボット50のオペレータは許容不能な挿入の発生を警告する。上述のように、本発明の自動化挿入プロセスでは汎用挿入パラメータのセットが用いられることにより、一定の挿入力閾値に基づき2速度挿入プロセスが実施される。本発明の自動化検査方法では、超音波ホーン30によりZピン20に対し加えられる挿入力が約178N(40ポンド)に達することにより、挿入速度が初期の約6.35mm(0.25インチ)毎秒の率から約1.27mm(0.050インチ)毎秒の必須の最
低レベルまで低下しているか否かを、さらには、挿入プロセス中に約222N(50ポンド)の必須の最終挿入力に達したか否かが自動的に検査される。これらの特定のパラメータは、挿入プロセス中に生成されるデータを解析することにより、自動的に検査される。上述のように、そうしたデータはロードセル40により生成され、PLC42へ伝送される。
【0029】
したがって、本発明の自動化検査手法は(1)挿入速度が初期の約6.35mm(0.25インチ)毎秒の率から約1.27mm(0.050インチ)毎秒の必須の最低レベルまで減少され、かつ、(2)約222N(50ポンド)の挿入力限界閾値にも達するときには常に、許容可能な挿入がなされるという原理による。許容不能なZピン挿入では、第1の条件(1)が満たされても、両方の条件(1,2)が満たされることはない。本発明の自動化検査手法を用いる許容可能および許容不能なZピン挿入に関する挿入力と挿入速度との間の関係を、図12〜16のグラフに示す。これに関して、図12,15には許容可能な挿入を表す関係を示し、図13,14,16には許容不能な挿入を表す関係を示す。PLC42は、許容不能な挿入が発生したことを多軸ロボット50のオペレータに警告する信号を提供するか、または、品質管理目的で挿入用のシステム29により生成される挿入データに警告メッセージを提供するようにプログラムされると想定される。本発明の自動化検査手法の実施により、Zピン20の全深度挿入の手動検査は製造プロセスから除去され、コストが実質的に節約されると想定される。
【0030】
ここで図17を参照する。上述のように、図8に示すシステム29を用いる自動化Zピン挿入プロセスの実施中、多軸ロボット50は超音波ホーン30のアンビル38を所定の位置、即ち、担体プリフォーム10のうちの1つに対する位置(即ち、図4に示す第1の位置P1)へと効果的に誘導する。この初期位置決定に続いて、多軸ロボット50はアンビル38を第2の位置P2へと移動するよう指示される。この移動によって、担体プリフォーム10内から対応するフランジ部分28を通じて基礎の複合材料積層材24の中へのZピン20の挿入プロセスの開始がトリガされる。Zピン挿着プロセスが開始すると、超音波ホーン30は図4に示す上下方向のZ軸に沿って下向きに多軸ロボット50により移動され、図5に示すようにアンビル38が担体プリフォーム10の一部と直に接触する。各担体プリフォーム10の始部および終部においては、通常、部分グリッド挿入が発生する。上述のように、部分グリッド挿入は、図17に「アンビルのフットプリント」と標示した破線で示すように、超音波ホーン30のアンビル38の一部が担体プリフォーム10の側部、即ち、周辺の端部のうちの1つを超えて広がっている場合に発生する。これは完全グリッド挿入と対照的である。完全グリッド挿入は、アンビル38全体のフットプリントが担体プリフォーム10の露出した上面内に置かれる、または、上面上に位置を占める場合に発生する。また図17には、アンビル38のフットプリントおよび担体プリフォーム10内のZピン20の配置に関連する部分グリッドおよび完全グリッドを視覚的に示す、注釈および対応する参照線を示す。
【0031】
やはり上述にて説明したように、システム29は全ての自動化挿入および材料条件に対する挿入パラメータの汎用的なセットを用いるため、製造環境を非常に単純化する。汎用挿入パラメータを用いることにより、システム29は条件に依らず、同じ挿入力/挿入速度を適用してZピン20を挿入する。上述のフィードバックシステムは力フィードバックを用いて挿入プロセスの情報を提供し、先述のようにして挿入速度を2つの値の間で切り替える。システム29の位置フィードバック機能により、挿入開始から挿入中断までの挿入深度の測定値は提供されるが、担体プリフォーム10はハット型補強材22のフランジ部分28上に手動で配置されることから、そうした深度は相当に変動し得るため、Zピン20がそうした構造物中にどの程度押し進められているかを判定することは困難である。これに関して、Zピン20が未硬化構造物を通じて接合用具またはバリアシート57に接触するまで押し進められ、したがって、全深度挿入が完了することが望ましい。しかしな
がら、上述のように、Zピン20を複合材料構造物中へ挿入する場合、ロードセル40により提供される力フィードバックのみによってシステム29が完全グリッド挿入と部分グリッド挿入との間の差異を検出することは不可能である。また、システム29は担体プリフォーム10中に不良なZピン20が存在する場合を検出することも不可能である。不良なZピン20はシステム29の発生させる正常な挿入力を伝達することが不可能であり、対応する複合材料構造物の中へ完全に挿入されずに崩壊する。正常な完全グリッド挿入中、システム29は実に良好に機能するが、各担体プリフォーム10の始部および終部においては、通常、部分グリッド挿入が発生する。そうした部分グリッドの挿入に関連する潜在的な欠点を上で述べた。
【0032】
先述に鑑み、さらに本発明により、自動化挿入プロセスの実施中の部分グリッド挿入の発生または不良/欠陥Zピン20を検出する方法が提供される。これに関して、本発明の検出方法は、それらの望ましくない条件を検出するのみならず、それらを防止するため、実際に発生の前に予測する。より詳細には、本発明の検出方法には、Zピン20に関連して先で述べた初期挿入段階中に挿入エネルギーを監視する工程と、その挿入エネルギーを経験的に導かれる「良好な」挿入の値と比較する工程と、その後、挿入プロセスを中断する前に所定の追加深度まで挿入プロセスを継続することを許可する工程とが含まれる。挿入エネルギーは、本質的には、図18に示す曲線の下の面積を積算することにより算出される。この算出は、累積的に挿入力を加算し、それに挿入時間を乗ずることにより行われ、累積エネルギーが得られる。特定の所定深度(図18に示す深度1)にて、エネルギー積算は停止され、深度1における値が記憶されて、経験的に導かれる値と比較される。この値が経験的な値未満である場合、挿入エネルギーが低すぎるため、部分グリッドが生じているか、または、欠陥を有するZピン20が挿入されていることを示している。別の経験的に導かれる所定深度(図18に示す深度2)に達するまで挿入の継続が許可され、深度2に達すると挿入は中断される。第2の深度(即ち、深度2)は、部分グリッドの挿入を継続しZピン20を完全に挿入することを保証するために必要である。深度2は、全深度挿入を保証する積層材の厚さの関数である。
【0033】
上述の手法により、部分グリッドまたは不良/欠陥Zピン20の挿入を予測し、過剰挿入と呼ぶ条件を防止することが可能である。過剰挿入では、担体プリフォーム10の上面上で非常に多くのZピン20の上部が破壊される。上述のように、過剰挿入により、超音波ホーン30は過熱され、担体プリフォーム10のポリスチレンフォームコンポーネントを溶融させて、挿入サイクル時間を遅らせる。また先述のように、美観的には、過剰挿入によってZピン20が崩壊し暗くされた上部表面が生じ、保護のない電子回路を短絡させ得る領域のグラファイト粉の量を増大させる。さらなる懸念は超音波ホーン30の温度上昇である。超音波ホーン30の温度上昇は、検査されずに済まされる場合、さらなる問題を生じ得る。検出手法に関連して示した第1の深度(深度1)は、図4に関連して示した第1の距離D1に相当してよく、第2の深度(深度2)は図4に関連して示した第2の距離D2に相当してもよいと想定される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】複数のZピンがその中へ埋め込まれている代表的なZピン担体プリフォームの断面図。
【図2】図1に示すZピン担体プリフォームの上面斜視図。
【図3】本発明の挿入システムおよびプロセスを用いてハット型補強材を基礎積層材に固定するためにハット型補強材上に担体プリフォームを配置する手法を示す断面図。
【図4】挿入システムの超音波ホーンの一部と、挿入プロセス中のプリフォームのうちの1つに対するその配向とをさらに示す、図3の一部の領域の拡大図。
【図5】基礎積層材の中へ実際にZピンを挿入する直前の挿入システムの超音波ホーンの一部と、プリフォームのうちの1つに対するその配向とを示す側立面図。
【図6】基礎積層材の中へ実際にZピンを挿入した直後の挿入システムの超音波ホーンの一部と、プリフォームのうちの1つに対するその配向とを示す側立面図。
【図7】基礎積層材の中へのZピンの挿入に続く、余分なZピンの除去プロセスの完了を示す側立面図。
【図8】本発明の挿入プロセスを実施するために用いられる挿入システムに含まれる種々の構成要素を示す概略図。
【図9】本発明の挿入プロセスを実施するために用いられる挿入システムの超音波ホーンの側面図。
【図10】本発明の挿入プロセスを実施するために用いられる挿入システムの超音波ホーンの端面図。
【図11】本発明の挿入プロセスを用いて達成される挿入力と挿入速度との間の関係を示すグラフ。
【図12】本発明の挿入プロセスを用いて達成される許容可能なZピン挿入に関連する挿入力と挿入速度との間の関係を示すグラフ。
【図13】本発明の挿入プロセスを用いて達成される許容不能なZピン挿入に関連する挿入力と挿入速度との間の関係を示すグラフ。
【図14】本発明の挿入プロセスを用いて達成される許容不能なZピン挿入に関連する挿入力と挿入速度との間の関係を示すグラフ。
【図15】本発明の挿入プロセスを用いて達成される許容可能なZピン挿入に関連する挿入力と挿入速度との間の関係を示すグラフ。
【図16】本発明の挿入プロセスを用いて達成される許容不能なZピン挿入に関連する挿入力と挿入速度との間の関係を示すグラフ。
【図17】本発明の挿入システムおよびプロセスにおける超音波ホーンを用いる完全グリッド挿入と部分グリッド挿入との間の区別を示す概略図。
【図18】本発明の予測手法による典型的な部分グリッド挿入力曲線に関する挿入力と挿入深度との間の関係を示すグラフ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のZピンの複合材料積層材中への過剰挿入を予測し、かつ、Zピンが欠陥を有するか否かを判定する方法であって、
(a)1つ以上のZピンを複合材料積層材上に配置する工程と、
(b)Zピンを複合材料積層材の中へ第1の挿入深度まで押し進める挿入プロセスを開始するのに充分なレベルの挿入力をZピンに加える工程と、
(c)Zピンの第1の挿入深度までの挿入中、Zピンに対し加えられる挿入力を監視する工程と、
(d)Zピンの第1の挿入深度までの挿入中、Zピンに対し加えられる挿入エネルギーを算出する工程と、
(e)挿入エネルギーのレベルを経験的に導かれる値と比較する工程とからなる方法。
【請求項2】
(f)Zピンを複合材料積層材の中へ第2の挿入深度まで押し進めるのに充分なレベルの挿入力をZピンに加えて保持する工程、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
挿入エネルギーのレベルが経験的に導かれる値未満である場合のみ工程(f)を完了させる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第2の挿入深度は複合材料積層材の厚さの関数として経験的に導かれる請求項2に記載の方法。
【請求項5】
(g)Zピンが第2の挿入深度に達するとZピンに挿入力を加えることを中断する工程、を含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
Zピンが第1の挿入深度に達すると工程(d)における挿入エネルギーのレベルの算出を中断する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
Zピンが第1の挿入深度に達すると工程(b)においてZピンに挿入力を加えることを休止する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)においてZピンに挿入力を加えるために超音波ホーンを用いる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(d)はZピンが第1の挿入深度まで達するのに必要な時間の測定値を挿入力に乗ずることにより挿入エネルギーのレベルを算出する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(a)は複合材料積層材の上に位置する担体プリフォームの中へZピンを埋め込む工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
複数のZピンの複合材料積層材中への過剰挿入を予測し、かつ、Zピンが欠陥を有するか否かを判定する方法であって、
(a)複数のZピンを複合材料積層材上に配置する工程と、
(b)Zピンを複合材料積層材の中へ第1の挿入深度まで押し進める挿入プロセスを開始するのに充分なレベルの挿入力をZピンに加える工程と、
(c)Zピンの第1の挿入深度までの挿入中、Zピンに対し加えられる挿入力を監視する工程と、
(d)Zピンの第1の挿入深度までの挿入中、Zピンに対し加えられる挿入エネルギーを算出する工程と、
(e)挿入エネルギーのレベルを経験的に導かれる値と比較する工程とからなる方法。
【請求項12】
(f)Zピンを複合材料積層材の中へ第2の挿入深度まで押し進めるのに充分なレベルの挿入力をZピンに加えて保持する工程、を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
挿入エネルギーのレベルが経験的に導かれる値未満である場合のみ工程(f)を完了させる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第2の挿入深度は複合材料積層材の厚さの関数として経験的に導かれる請求項12に記載の方法。
【請求項15】
(g)Zピンが第2の挿入深度に達するとZピンに挿入力を加えることを中断する工程、を含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
Zピンが第1の挿入深度に達すると工程(d)における挿入エネルギーのレベルの算出を中断する請求項11に記載の方法。
【請求項17】
Zピンが第1の挿入深度に達すると工程(b)においてZピンに挿入力を加えることを休止する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(b)においてZピンに挿入力を加えるために超音波ホーンを用いる請求項11に記載の方法。
【請求項19】
工程(d)はZピンが第1の挿入深度まで達するのに必要な時間の測定値を挿入力に乗ずることにより挿入エネルギーのレベルを算出する工程を含む請求項11に記載の方法。
【請求項20】
工程(a)は複合材料積層材の上に位置する担体プリフォームの中へZピンを埋め込む工程を含む請求項11に記載の方法。
【請求項1】
1つ以上のZピンの複合材料積層材中への過剰挿入を予測し、かつ、Zピンが欠陥を有するか否かを判定する方法であって、
(a)1つ以上のZピンを複合材料積層材上に配置する工程と、
(b)Zピンを複合材料積層材の中へ第1の挿入深度まで押し進める挿入プロセスを開始するのに充分なレベルの挿入力をZピンに加える工程と、
(c)Zピンの第1の挿入深度までの挿入中、Zピンに対し加えられる挿入力を監視する工程と、
(d)Zピンの第1の挿入深度までの挿入中、Zピンに対し加えられる挿入エネルギーを算出する工程と、
(e)挿入エネルギーのレベルを経験的に導かれる値と比較する工程とからなる方法。
【請求項2】
(f)Zピンを複合材料積層材の中へ第2の挿入深度まで押し進めるのに充分なレベルの挿入力をZピンに加えて保持する工程、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
挿入エネルギーのレベルが経験的に導かれる値未満である場合のみ工程(f)を完了させる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第2の挿入深度は複合材料積層材の厚さの関数として経験的に導かれる請求項2に記載の方法。
【請求項5】
(g)Zピンが第2の挿入深度に達するとZピンに挿入力を加えることを中断する工程、を含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
Zピンが第1の挿入深度に達すると工程(d)における挿入エネルギーのレベルの算出を中断する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
Zピンが第1の挿入深度に達すると工程(b)においてZピンに挿入力を加えることを休止する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)においてZピンに挿入力を加えるために超音波ホーンを用いる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(d)はZピンが第1の挿入深度まで達するのに必要な時間の測定値を挿入力に乗ずることにより挿入エネルギーのレベルを算出する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(a)は複合材料積層材の上に位置する担体プリフォームの中へZピンを埋め込む工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
複数のZピンの複合材料積層材中への過剰挿入を予測し、かつ、Zピンが欠陥を有するか否かを判定する方法であって、
(a)複数のZピンを複合材料積層材上に配置する工程と、
(b)Zピンを複合材料積層材の中へ第1の挿入深度まで押し進める挿入プロセスを開始するのに充分なレベルの挿入力をZピンに加える工程と、
(c)Zピンの第1の挿入深度までの挿入中、Zピンに対し加えられる挿入力を監視する工程と、
(d)Zピンの第1の挿入深度までの挿入中、Zピンに対し加えられる挿入エネルギーを算出する工程と、
(e)挿入エネルギーのレベルを経験的に導かれる値と比較する工程とからなる方法。
【請求項12】
(f)Zピンを複合材料積層材の中へ第2の挿入深度まで押し進めるのに充分なレベルの挿入力をZピンに加えて保持する工程、を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
挿入エネルギーのレベルが経験的に導かれる値未満である場合のみ工程(f)を完了させる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第2の挿入深度は複合材料積層材の厚さの関数として経験的に導かれる請求項12に記載の方法。
【請求項15】
(g)Zピンが第2の挿入深度に達するとZピンに挿入力を加えることを中断する工程、を含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
Zピンが第1の挿入深度に達すると工程(d)における挿入エネルギーのレベルの算出を中断する請求項11に記載の方法。
【請求項17】
Zピンが第1の挿入深度に達すると工程(b)においてZピンに挿入力を加えることを休止する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(b)においてZピンに挿入力を加えるために超音波ホーンを用いる請求項11に記載の方法。
【請求項19】
工程(d)はZピンが第1の挿入深度まで達するのに必要な時間の測定値を挿入力に乗ずることにより挿入エネルギーのレベルを算出する工程を含む請求項11に記載の方法。
【請求項20】
工程(a)は複合材料積層材の上に位置する担体プリフォームの中へZピンを埋め込む工程を含む請求項11に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−8161(P2007−8161A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172419(P2006−172419)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(397017191)ノースロップ グラマン コーポレーション (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(397017191)ノースロップ グラマン コーポレーション (30)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]