説明

部品エラー表示装置

【課題】重要度およびエラー量に応じたエラー指標を算出して、エラー指標の高いものから順にソートしてエラー情報を表示できるようにした部品エラー表示装置を提供する。
【解決手段】エラーデータを取得するエラーデータ取得手段102と、取得されたエラーデータを記憶するエラーデータ記憶手段104と、エラーデータを所定の分類毎に集計したエラー量を算出するエラー量算出手段106と、分類毎に重要度係数を設定する重要度係数設定手段108と、重要度係数とエラー量を演算して分類毎のエラー指標を算出するエラー指標算出手段110と、分類毎に集計されたエラーの情報である集計エラー情報をエラー指標の高いものから順にソートして一覧表示する集計エラー情報表示手段114とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装時のエラーを表示する部品エラー表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を回路基板に実装する部品実装機においては、電子部品を吸着ノズルにより吸着して回路基板上に搬送し、所定位置に実装するようになっているが、吸着ノズルで吸着した電子部品が搬送途中で落下したり、あるいは電子部品を回路基板上の定められた位置に精度よく実装できなかったりする等のエラーが発生する。このために、この種の部品実装機においては、エラーの発生を検知し、各電子部品毎にエラー率を算出して、エラー率の高い電子部品については、吸着ノズルで電子部品を搬送する際の速度を低下させる等の必要な処置を講ずるようにしている。
【0003】
しかしながら、通常の電子部品については、エラーが発生しても、後でリペアできるものはそれほど問題にはならないが、例えば、図4に示すように、シールド部品Jの下に実装される部品A〜Iや、シールド部品Jに隣接する位置に実装される部品K、Lについては、シールド部品Jが実装された後ではリペアが難しくなり、回路基板を不良品として廃却せざる得ないことになる。
【0004】
従来、発生したエラーに関するエラーデータをエラーウィンドウに表示するものとして、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載のものは、アプリケーションプログラム実行中のエラーの発生を監視し、発生したエラーに関するエラーデータを生成して、生成したエラーデータをエラーデータ記憶部に記憶し、記憶されているエラーデータのうち、優先度が所定のしきい値以上のエラーデータを選択して、優先度順に並び変えて表示するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−186704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、単に優先度の高い低いに従ってエラーデータを並び変えて表示するだけであり、その重要度の大小に応じて優先度を段階的に設定できるようにはなっておらず、また、優先度が低いものにおいては、エラーの発生率がいくら高い部品であっても、優先順位が下位にならざるを得ず、当該部品に対するケアが遅れるという問題がある。
【0007】
従って、ケアの優先度を決定する要素としては、単に重要度が高いとか、不良率が高いとかで決定するだけでは十分ではなく、各種部品が実装される回路基板の特性を加味してケアを行うことが、品質のよい安定した回路基板を生産するうえで必要となる。
【0008】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたもので、実装すべき部品に応じて重要度を段階的に重み付けできるようにし、重要度およびエラー量(エラー率)に応じたエラー指標を算出して、エラー指標の高いものから順にソートしてエラー情報を表示できるようにした部品エラー表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、基板に実装される各部品の基板実装作業に関するエラーデータを取得するエラーデータ取得手段と、該エラーデータ取得手段によって取得されたエラーデータを記憶するエラーデータ記憶手段と、前記エラーデータを所定の分類毎に集計したエラー量を算出するエラー量算出手段と、前記分類毎に重要度係数を設定する重要度係数設定手段と、該重要度係数設定手段によって設定された重要度係数と前記エラー量算出手段により算出されたエラー量を演算して前記分類毎のエラー指標を算出するエラー指標算出手段と、前記分類毎に集計されたエラーの情報である集計エラー情報を、前記エラー指標算出手段によって算出された前記エラー指標の高いものから順にソートして一覧表示する集計エラー情報表示手段とを備えたことである。
【0010】
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、シールド部品に関連するリペアが困難な部品、およびLED部品と該LED部品に関連する抵抗部品の少なくとも一方について、大きな重要度係数を設定するようにしたことである。
【0011】
請求項3に係る発明の特徴は、請求項1または請求項2において、前記エラー量算出手段は、前記各部品のエラー率を算出するものであることである。
【0012】
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1または請求項2において、前記エラー量算出手段は、前記各部品のエラー個数を算出するものであることである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、基板に実装される各部品の基板実装作業に関するエラーデータを取得するエラーデータ取得手段と、エラーデータ取得手段によって取得されたエラーデータを記憶するエラーデータ記憶手段と、エラーデータを所定の分類毎に集計したエラー量を算出するエラー量算出手段と、分類毎に重要度係数を設定する重要度係数設定手段と、重要度係数設定手段によって設定された重要度係数とエラー量算出手段により算出されたエラー量を演算して分類毎のエラー指標を算出するエラー指標算出手段と、分類毎に集計されたエラーの情報である集計エラー情報を、エラー指標算出手段によって算出されたエラー指標の高いものから順にソートして一覧表示する集計エラー情報表示手段とを備えている。
【0014】
この構成により、エラーデータを所定の分類毎に集計したエラー量と、分類毎に設定した重要度係数とに基づいて算出されるエラー指標の高い順に表示できるので、重要度係数の設定の如何によっては、重要度係数が高いものばかりでなく、エラー量の高いものも上位に表示することができるようになる。これによって、各部品に必要な処理を遅滞なく行うことが可能となり、品質のよい回路基板を安定して製造することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、シールド部品に関連するリペアが困難な部品、およびLED部品とLED部品に関連する抵抗部品の少なくとも一方について、大きな重要度係数を設定するようにしたので、シールド部品の下に実装される部品およびシールド部品に隣接した位置に実装される部品や、組合せ部品としてのLED部品および抵抗部品についてのケアを優先的に行うことができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、エラー量算出手段は、各部品のエラー率を算出するものであるので、エラー情報を、各部品に設定された重要度係数とエラー率とに基づいて算出されるエラー指標の高い順に表示することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、エラー量算出手段は、各部品のエラー数を算出するものであるので、エラー情報を、各部品に設定された重要度係数とエラー数とに基づいて算出されるエラー指標の高い順に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態を示す部品実装機の平面図である。
【図2】部品実装機を制御する制御装置を示す図である。
【図3】部品のエラー情報の一例を示す図である。
【図4】回路基板に電子部品が実装された一例を示す図である。
【図5】回路基板に電子部品が実装された変形例を示す図である。
【図6】重要度係数の入力状態を示す図である。
【図7】エラー情報の一覧を表示するフローチャートを示す図である。
【図8】エラーデータのエラー内容を表わす図である。
【図9】エラー指標に基づいてソートされたエラー情報の一覧を示す図である。
【図10】本発明の別の実施例を示すフローチャートである。
【図11】部品群に応じた重要度係数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、部品実装機10の全体平面図を示すもので、部品実装機10は、トレイ型部品供給装置11と、フィーダ型部品供給装置12と、部品装着装置13と、基板保持装置14と、基板搬送装置15を備えている。
【0020】
基板搬送装置15は、基台21上に設けられ、回路基板20を搬送するベルトコンベヤ22を備え、回路基板20をベルトコンベア22に沿って搬送して基板保持装置14上に搬入するとともに、基板保持装置14より搬出するものである。図1においては、基板搬送方向をX軸方向とし、基板搬送方向に直交する方向をY軸方向としている。基板保持装置14は、図示を省略するが、回路基板20を下方から支持する基板支持装置と、回路基板20をクランプするクランプ装置とを含んでいる。
【0021】
部品装着装置11は、部品実装機10の基台21の上方位置にX軸方向に移動可能に支持されたX軸スライド23と、X軸スライド23上にY軸方向に移動可能に支持されたY軸スライド24と、Y軸スライド24上に設けられた装着ヘッド25とを備えている。装着ヘッド25には、図示してないが、電子部品を吸着保持する吸着ノズルが設けられている。X軸スライド23およびY軸スライド24は、エンコーダ付サーボモータを駆動源とするX軸方向移動装置およびY軸方向移動装置によってそれぞれ移動され、装着ヘッド25をXY平面内の任意の位置へ移動できるようにしている。
【0022】
Y軸スライド24上には、CCDカメラからなる基板撮像装置26が設けられており、基板撮像装置26は、部品装着装置11の所定位置に位置決めされた回路基板20上に設けられた図略の基板位置基準マークおよび基板IDマークを撮像し、基板位置基準情報および基板ID情報を取得するようになっている。そして、基板撮像装置26によって取得された基板位置基準情報に基づいて、装着ヘッド25を回路基板20に対してXY方向に位置補正するとともに、基板ID情報に基づいて、電子部品の実装作業を制御するようになっている。
【0023】
また、基台21上には、CCDカメラからなる部品撮像装置27(図2参照)が設けられている。部品撮像装置27は、装着ヘッド25の吸着ノズルに吸着した電子部品を、部品供給装置11、12から回路基板20上に移動する途中で撮像して、吸着ノズルに吸着された電子部品の吸着状態や、吸着ノズルの中心に対する電子部品の芯ずれ等を検出し、芯ずれ等に基づいて装着ヘッド25のXY方向等の移動量を補正し、電子部品が回路基板S上の定められた座標位置に正確に装着できるようにしている。
【0024】
トレイ型部品供給装置11とフィーダ型部品供給装置12は、Y軸方向に互いに隔たって、基板搬送装置15の両側に設けられている。トレイ型部品供給装置11は、電子部品を複数のトレイ31に収容して供給するものであり、供給装置本体としての台車32を備え、台車32は部品実装機10に対して連結可能かつ切り離し可能となっている。
【0025】
一方、フィーダ型部品供給装置12は、電子部品を複数のフィーダ33に収容して供給するものであり、フィーダ支持テーブルとしての台車34を備え、台車34は部品実装機10に対して連結可能かつ切り離し可能となっている。フィーダ支持テーブル(台車)34には、複数のフィーダ33がX軸方向に並設した位置に着脱可能に装着されるようになっている。各フィーダ33には、リールが着脱可能に取付けられ、リールに多数の電子部品を間隔を有して一列に収容したテープが巻回されている。
【0026】
図2は、部品実装機10を制御する制御装置40を示し、制御装置40は、CPU41と、ROM42およびRAM43からなる記憶装置と、それらを接続するバス44を備えている。バス44には、入出力インタフェース45が接続され、入出力インタフェース45に、入力装置46と出力装置47が接続されている。入力装置46は、キーボード、マウス等からなり、オペレータの操作によって必要な情報を入力する。入力された情報は制御装置40の記憶装置(ROM42,RAM43)に記憶される。例えば、マウスの操作によって、各電子部品の重要度に応じた重要度係数が入力され、所定の記憶エリアに記憶される。また、出力装置47は、LCD等からなる表示手段48と、オペレータに異常が発生したことを報知する報知装置等を備え、表示手段48に後述するエラー情報の一覧が表示されるようになっている。
【0027】
また、入出力インタフェース45には、駆動回路49、50を介してフィーダ33および装着ヘッド25の各モータが接続されているとともに、部品撮像装置27で撮像された画像を画像処理する画像処理装置51等が接続されている。
【0028】
制御装置40のROM42には、部品実装機10の実装作業を制御する実装制御プログラム等が格納されているとともに、電子部品の型番,寸法等、部品に関する部品データと、これら電子部品を回路基板20のどの位置に実装するかの実装座標データが保存されている。また、制御装置40のRAM43には、図3に示すように、部品名(PD1〜PD6)毎の使用数X1、エラー数X2、エラー率X3、重要度係数X4およびエラー指標X5からなる部品エラー情報が記憶されている。
【0029】
なお、本実施の形態におけるエラー率X3とは、各部品種について、エラー数X2を使用数X1で除したもの(X2/X1)であり、また、エラー指標X5とは、エラー率X3と重要度係数X4とを乗じたもの(X3*X4)である。
【0030】
図4は回路基板20に電子部品が実装された状態の一例を示す図である。図4において、回路基板20には、複数の電子部品A〜Oが実装されている。部品A〜Fは同じ種類の部品であり、部品G〜Iは同じ種類の部品である。これら部品A〜I上には、部品A〜Iを覆うようにシールド部品(ケース部品)Jが実装され、このシールド部品Jに隣接した位置に部品K、Lが実装され、また、その他の部品M、N、Oが互いに離散した位置に実装されている。
【0031】
このような回路基板20においては、部品M、N、Oについては、実装ミスがあっても、実装後いつでもリペア可能であるが、シールド部品Jの下の部品A〜Iやシールド部品Jに隣接する部品K、Lについては、シールド部品Jが実装された後では、リペアが困難になる。
【0032】
従って、品質のよい回路基板20を安定して製造するためには、上記したシールド部品Jの下の部品A〜F(以下、これを重要部品PD1(図3参照)という)、およびシールド部品Jの下の部品G〜I(以下、これを重要部品PD2(図3参照)という)や、シールド部品Jに隣接する部品K、L(以下、これを重要部品PD3(図3参照)という)を優先的にケアして、当該重要部品PD1、PD2、PD3の実装ミス等を少なくすることが重要となる。従って、シールド部品Jの下の重要部品PD1、PD2およびシールド部品Jに隣接する重要部品PD3については、図3に示す部品データの重要度係数の欄に、予め重要度に応じて定めた係数、例えば、「10」、「20」等の1より大きな整数を設定する。
【0033】
具体的には、部品名(PD1,PD2、PD3)に応じて、例えば、図6に示すように、作業者によって重要度係数「15」、「10」、「5」がそれぞれに入力され、それ以外の部品名PD4(部品J)、PD5(部品M、N)およびPD6(部品O)については、重要度係数として「1」が入力される。このように所定の分類(部品種)毎に、重要度係数が設定される。
【0034】
また、図5は、回路基板20に電子部品としてLED部品Qが実装された別の例を示す図である。すなわち、LED部品Q(Q1、Q2、Q3・・・)については、明るさをそれぞれ抵抗部品R(R1、R2、R3・・・)で調整するために、抵抗部品との組合せで用いられる場合が多く、一方の部品(例えば、LED部品)に実装ミス等が生じて取替える場合には、他方の部品(例えば、抵抗部品)も取替えなければならなくなる。
【0035】
従って、LED部品Qおよびこれに関連した抵抗部品Rも、品質のよい回路基板20を安定して製造するうえでのキーポイントとなり、共に重要部品と位置付けられ、優先的にケアできるように他の部品とは区別して重要度係数が高く設定(例えば「20」)に設定される。
【0036】
次に、部品実装時のエラーを検知し、エラー情報の一覧を表示するフローチャートを図7に基づいて説明する。部品実装機10の部品供給装置11、12に収容された電子部品は、装着ヘッド25に設けた吸着ノズルにより順次吸着されて基板保持装置14に位置決めクランプされた回路基板20上に搬送され、回路基板20の所定位置に実装される。回路基板20に実装された電子部品は、部品撮像装置27や図略の検査装置等によって吸着状態や実装状態を監視され、実装ミス等のエラーが発生した場合には、エラー信号が制御装置40に送信されるとともに、作業者に報知される。
【0037】
図7において、ある部品についてエラーが発生すると、ステップ100において、エラーが検知され、ステップ102においてエラーデータが取得される。取得されたエラーデータは、例えば、図8に示すように、主として、エラーを発生した電子部品名と、発生した日時とエラーの内容からなる。
【0038】
続くステップ104においては、エラーデータが制御装置40の記憶装置(RAM43)に記憶される。ステップ106においては、エラーデータを所定の分類(P1〜P5)毎に集計して、エラー数X2を使用数X1で除したエラー率X3を算出し、ステップ108においては、各分類毎に定められた重要度係数X4が設定される。次いで、ステップ110において、エラー率X3に重要度係数X4が乗算されてエラー指標X5が分類毎に算出される。ステップ112においては、図9に示すように、分類毎に集計されたエラーの情報である集計エラー情報を、エラー指標X5の高い順番にソートした一覧表が作成され、当該一覧表が制御装置40に接続された表示手段47に表示される。
【0039】
このようにエラー情報は、エラー指標X5の高い順番にソートされて表示されるので、所定の分類毎に設定された重要度係数X4が高い重要部品(PD1、PD2、PD3)については、エラー率X3が低くてもエラー情報一覧表の上位にランクされて表示され、作業者は、上位にランクされた重要部品について、優先的にエラーの再発を防止するに必要な処置を講ずる。ただし、重要度係数X4が低いその他の部品(PD4〜PD6)でも、エラー率X3が極端に高い場合には、重要部品よりも上位にランクされることもあり得、この場合には、重要度は高くないがエラー率X3の高い部品に対し、優先的にエラーの再発を防止するに必要な処置を講ずることになる。
【0040】
かかる表示手段48に表示されたエラー情報の一覧表(図9参照)に基づいて、作業者は、一覧表の上位に表示された部品について、優先的にそのエラー情報を基に必要な処置を実行する。例えば、最上位に表示された部品のエラーの内容を図8のエラーデータを参照してエラーの内容を把握し、エラーの内容が、吸着ノズルによって部品を的確に吸着できない吸着エラーに関するものである場合には、吸着速度を低めに設定し直したり、あるいは、吸着ノズルを別のものに交換する等して、吸着エラーを少なくするようにする。あるいはまた、部品を定められた精度内に実装できない実装位置不良に関するものである場合には、部品を実装する位置の許容値を小さめに設定し直したり、部品の形状をスペックよりも小さな値に設定し直して、実装精度を高めるようにする。
【0041】
そして、最上位に表示された部品について、必要な処置が完了した後は、次いで上位に表示されている部品について、そのエラー情報を基にした必要な処置を引き続き実行する。
【0042】
なお、上記したステップ102より、請求項におけるエラーデータ取得手段を構成し、以下同様に、ステップ104よりエラーデータ記憶手段を、ステップ106によりエラー量(エラー率)算出手段を、ステップ108により重要度係数設定手段を、ステップ110によりエラー指標算出手段を、ステップ114によりエラー情報表示手段をそれぞれ構成している。
【0043】
図10は、本発明の別の実施の形態を示すもので、上記したシールド部品Jの下の重要部品PD1(A〜F)およびPD2(G〜I)ならびにシールド部品Jに隣接する重要部品PD3(K、L)や、LED部品Qおよび抵抗部品R等の重要部品を、部品群として自動的に認識し、予め定められた重要度係数を設定できるようしたものである。
【0044】
かかる実施の形態においては、図10のフローチャートに示すように、まず、ステップ200において、LED部品を実装する回路基板20の生産か否かが判断され、判断結果がYESの場合には、ステップ202に移行し、ステップ202において、LED部品と抵抗部品の組合せデータであることが、制御装置40の記憶装置に記憶されている部品データより取得され、重要部品のうちのLED関連部品群であることが自動的に認識される。次いで、ステップ204において、部品データのLED部品および抵抗部品の重要度係数の欄に、図11に示すように、重要度係数X4として予め定められた係数、例えば「20」を設定する。
【0045】
ステップ200における判断結果がNO、すなわち、LED部品およびその関連部品以外の部品を実装する回路基板20の生産の場合には、ステップ206に移行し、当該ステップ206において、各部品のサイズS1を部品データから取得するとともに、ステップ208において、当該各部品の実装座標データS2を取得する。次いで、ステップ210において、ステップ206、ステップ208でそれぞれ取得した部品サイズS1および実装座標データS2に基づいて、多重実装の部品(シールド部品下の部品)であるか否かを算出するとともに、多重実装部品である場合にはさらに、多重実装部品に隣接する隣接部品であるか否かを算出する。そして、ステップ212において、シールド下部品群(多重実装部品群)と判別された場合には、重要度係数X4として、図11に示すように、例えば「10」を設定し、シールド隣接部品群(多重実装部品に隣接する部品群)と判別された場合には、重要度係数X4として、例えば「5」を設定し、それ以外の部品については、重要度係数X4として「1」を設定する。
【0046】
このように、各部品の部品データおよび実装座標データに基づいて、シールド下部品群およびシールド隣接部品群を自動的に算出して、予め定められた重要度係数(10、5)を設定することができ、同様に、部品データに基づいて、LED関連部品群を自動的に算出して、予め定められた重要度係数(20)を設定することができる。これによって、優先的にケアが必要な重要部品を部品群単位で自動的に指定することができ、重要度に応じた重要度係数を容易に設定することができるようになり、作業者の作業を軽減することが可能となる。
【0047】
上記した実施の形態によれば、エラーが発生した部品のエラーの状況に関するエラーデータを取得するエラーデータ取得手段102と、取得されたエラーデータを記憶するエラーデータ記憶手段104と、回路基板20に実装される各部品のエラー率をそれぞれ算出するエラー率算出手段106と、回路基板20に実装される部品の分類毎に重要度係数を設定する重要度係数設定手段108と、重要度係数とエラー率を演算(乗算)して各部品毎のエラー指標を算出するエラー指標算出手段110と、分類毎に集計されたエラー情報をエラー指標の高いものから順にソートして一覧表示する集計エラー情報表示手段114とを備えている。
【0048】
かかる構成により、エラーが発生した部品のエラー情報を、部品の分類毎に設定された重要度係数とエラー率とに基づいて算出されるエラー指標の高い順に表示できるので、重要度係数の設定の如何によっては、重要度係数が高いものばかりでなく、エラー率の高いものも上位に表示することができるようになる。これによって、各部品に必要な処理を遅滞なく行うことが可能となり、品質のよい回路基板20を安定して製造できるようになる。
【0049】
上記した実施の形態においては、エラー指標X5をエラー率X3と重要度係数X4に基づいて算出した例について述べたが、エラー指標X5は、エラー数X2の絶対値と重要度係数X4に基づいて算出するようにしてもよく、請求項におけるエラー量とは、これらエラー率X3とエラー数X2を包含する用語として用いている。
【0050】
なお、上記した実施の形態においては、重要部品として、シールド部品Jの下の部品A〜Iやシールド部品Jに隣接する部品K、L、あるいは抵抗部品Rとの組合せで用いられるLED部品Qの例で説明したが、重要度係数が高く設定される重要部品としては、これらに限定されるものでない。例えば、同じ部品であっても、その実装位置等によって重要度を変えることもできる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る部品エラー表示装置は、部品実装時のエラーを表示する機能を備えた部品実装機に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0053】
10…部品実装機、11、12…部品供給装置、13…部品装着装置、20…回路基板、27…部品撮像装置、40…制御装置、48…表示手段、102…エラーデータ取得手段、104…エラーデータ記憶手段、106…エラー量算出手段(エラー率算出手段)、108…重要度係数設定手段、110…エラー指標算出手段、ステップ114…エラーデータ表示手段、A〜F、G〜I…シールド下部品、K、L…シールド隣接部品、Q…LED部品、R…抵抗部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装される各部品の基板実装作業に関するエラーデータを取得するエラーデータ取得手段と、
該エラーデータ取得手段によって取得されたエラーデータを記憶するエラーデータ記憶手段と、
前記エラーデータを所定の分類毎に集計したエラー量を算出するエラー量算出手段と、
前記分類毎に重要度係数を設定する重要度係数設定手段と、
該重要度係数設定手段によって設定された重要度係数と、前記エラー量算出手段により算出されたエラー量を演算して、前記分類毎のエラー指標を算出するエラー指標算出手段と、
前記分類毎に集計されたエラーの情報である集計エラー情報を、前記エラー指標算出手段によって算出された前記エラー指標の高いものから順にソートして一覧表示する集計エラー情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする部品エラー表示装置。
【請求項2】
請求項1において、シールド部品に関連するリペアが困難な部品、およびLED部品と該LED部品に関連する抵抗部品の少なくとも一方について、大きな重要度係数を設定するようにした部品エラー表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記エラー量算出手段は、前記各部品のエラー率を算出するものである部品エラー表示装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、前記エラー量算出手段は、前記各部品のエラー個数を算出するものである部品エラー表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−164926(P2012−164926A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26055(P2011−26055)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】