説明

部品内蔵配線基板の製造方法

【課題】内蔵部品との接続信頼性に優れた配線基板を低コストで製造することができる部品内蔵配線基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】セラミックコンデンサ101とコア基板11とを準備した後、ビルドアップ材をコア基板11のコア裏面13側に接合することで、絶縁層を形成しかつ収容穴部90の一方の開口を閉塞する。コア裏面13側の絶縁層上にセラミックコンデンサ101を搭載することで収容穴部90内にセラミックコンデンサ101を収納し、樹脂充填部93で収容穴部90の内壁面91とセラミックコンデンサ101との隙間92を埋める。コア主面12側及びコア裏面13側に形成された絶縁層を研磨し、セラミックコンデンサ101の外部電極111,112,121,122を露出させる。樹脂充填部93上に、全面めっきを施した後にパターニングを行って導体層50を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア基板の収容穴部に内蔵部品を収容した部品内蔵配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなるパッケージを作製し、そのパッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板においては、ICチップのスイッチングノイズの低減や電源電圧の安定化を図るために、コンデンサ(「キャパシタ」とも言う)を設けることが提案されている。例えば、樹脂コア基板内にコンデンサを埋め込んだ部品内蔵配線基板(例えば特許文献1参照)が従来提案されている。
【0003】
上記従来の部品内蔵配線基板の製造方法の一例を図16及び図17を用いて以下に説明する。まず、コア主面201及びコア裏面202の両方にて開口する収容穴部203を有する高分子材料製のコア基板204を準備する。併せて、コンデンサ主面205及びコンデンサ裏面206にそれぞれ複数の表面電極207,208を有するコンデンサ209を準備する。なお、このコンデンサ209におけるコンデンサ主面205側の表面電極207には突起状導体210が形成されている。次に、コア基板204において、コア裏面202側に粘着テープ211(マスキングテープ)を貼り付けるテーピング工程を行い、収容穴部203のコア裏面202側の開口をあらかじめシールする。そして、収容穴部203内にコンデンサ209を収容する収容工程を行い、コンデンサ裏面206を粘着テープ211の粘着面に貼り付けて仮固定する。
【0004】
次に、コア主面201及びコンデンサ主面205に樹脂絶縁層212を形成する(図16参照)。併せて、樹脂絶縁層212の一部により、収容穴部203の内壁面とコンデンサ209との隙間を埋めて、コンデンサ209を固定する。その後、粘着テープ211を剥離する。そして、樹脂絶縁層212を研磨して、コンデンサ209における表面電極207の突起状導体210の表面を露出させる。
【0005】
次に、コア主面201及びコンデンサ主面205に樹脂絶縁層213を形成するとともに、コア裏面202及びコンデンサ裏面206に樹脂絶縁層214を形成する。さらに、レーザ孔あけ加工を行い、樹脂絶縁層213,214をそれぞれ貫通するビア孔216を複数箇所に形成し、表面電極207の突起状導体210や表面電極208を露出させる。そして、樹脂絶縁層213,214及びビア孔216の内面に対する無電解銅めっきを行った後にエッチングレジストを形成し、次いで電解銅めっきを行う。さらに、エッチングレジストを除去してソフトエッチングを行う。これにより、樹脂絶縁層213,214上に導体層215がパターン形成されるとともに、各ビア孔216の内部にビア導体217が形成される(図17参照)。
【0006】
この後、樹脂絶縁層213,214に対して、樹脂絶縁層の形成及び導体層の形成を交互に行うことで、ビルドアップ層を形成する。その結果、所望の配線基板が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−306173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した従来の製造方法では、収容穴部203内にコンデンサ209を仮固定するために粘着テープ211が必要となっている。この粘着テープ211は、コンデンサ209の固定後に不要となり、コア基板204から剥離されて廃棄されているため、無駄なコストとなっていた。また、コア基板204に内蔵されるコンデンサ209の各電極207,208と導体層215との電気的な接続は、樹脂絶縁層213,214に形成されるビア導体217を介して行われるため、配線パターンの自由度がなくなり、樹脂絶縁層213,214の総数が増加するといった問題も生じていた。さらに、コンデンサ209、コア基板204、及び埋め込み樹脂(樹脂絶縁層212)の熱膨張係数(CTE)の違いによって、配線基板の反りや基板表面の波うちが発生するといった問題も生じていた。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内蔵部品との接続信頼性に優れた配線基板を低コストで製造することができる部品内蔵配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、複数の第1表面電極が配置された第1部品主面及び複数の第2表面電極が配置された第2部品主面を有する内蔵部品を準備するとともに、第1主面及び第2主面を有しかつ前記第1主面及び前記第2主面にて開口する収容穴部が貫設されたコア基板を準備する準備工程と、前記準備工程の後、樹脂材料を主体とするビルドアップ材を前記コア基板の前記第2主面側に接合することで、第2主面側絶縁層を形成しかつ前記収容穴部の一方の開口を閉塞する第2主面側絶縁層形成工程と、前記第2主面側絶縁層形成工程の後、前記第2主面側絶縁層上に前記内蔵部品を搭載することで前記収容穴部内に前記内蔵部品を収容する収容工程と、前記収容工程の後、充填樹脂材で前記収容穴部の内壁面と前記内蔵部品との隙間を埋める隙間埋め工程と、前記収容工程の後、前記ビルドアップ材を前記コア基板の前記第1主面側に接合することで、第1主面側絶縁層を形成しかつ前記収容穴部の他方の開口を閉塞する第1主面側絶縁層形成工程と、前記第1主面側絶縁層形成工程の後、前記第1主面側絶縁層を研磨して前記複数の第1表面電極を露出させ、かつ、前記第2主面側絶縁層を研磨して前記複数の第2表面電極を露出させる両面研磨工程と、前記両面研磨工程の後、前記第1主面側絶縁層及び前記第2主面側絶縁層の上に全面めっきを施した後にパターニングを行って配線層を形成するパターニング工程とを含むことを特徴とする部品内蔵配線基板の製造方法がある。
【0011】
従って、手段1に記載の発明によると、収容工程において、後に配線基板の一部として残る第2主面側絶縁層のビルドアップ材を用いて収容穴部内に内蔵部品が仮固定されている。このようにすると、従来技術のようにマスキングテープを使用して内蔵部品を固定する必要がないため、製造コストを抑えることができる。また、両面研磨工程において、第1主面側絶縁層及び第2主面側絶縁層が研磨され、第1表面電極及び第2表面電極が露出される。そして、パターニング工程において、配線層を形成することで内蔵部品の各電極に配線層を直接接続することができる。この場合、従来技術のようにビア導体によって各電極に接続する場合と比較して、配線パターンの自由度が増し内蔵部品への電気的接続を良好に行うことが可能となる。さらに、従来技術のように片面のみ研磨する場合では、片面側の導体層の伸び等によってコア基板に反りが発生することがあるが、本発明では、両面側が同様に研磨されるので、第1主面側及び第2主面側における導体層の伸びによる基板の反りを防止することができる。
【0012】
隙間埋め工程では、第1主面側絶縁層を構成する樹脂材料の一部及び第2主面側絶縁層を構成する樹脂材料の一部を流動させることによって、収容穴部の内壁面と内蔵部品との隙間を埋めることが好ましい。このように、第1主面及び第2主面の両方の主面における絶縁層の樹脂材料を流動させる場合、片方の主面側のみの絶縁層の樹脂材料を流動させる場合と比較して、隙間を確実に埋めることができる。
【0013】
内蔵部品における複数の第1表面電極及び複数の第2表面電極は、導体層上に突起状導体を形成してなることが好ましい。このように、厚みを持った突起状導体を各表面電極に設けると、収容穴部内において内蔵部品が厚み方向に位置ずれした場合でも、研磨工程で突起状導体を削ることでその位置ずれを調整することができる。
【0014】
突起状導体を構成する金属材料は、例えば、銅、銀、鉄、コバルト、ニッケルなどが挙げられる。特に、突起状導体は、銅を主体として形成されていることが好ましい。このようにすれば、突起状導体を他の材料を主体として形成する場合よりも、突起状導体の低抵抗化が図られるとともに、突起状導体の導電性が向上する。しかも、突起状導体が比較的柔らかい銅を主体として形成されるため、突起状導体の研磨が容易になる。
【0015】
突起状導体の形成方法としては、めっきによって突起状導体を形成する方法などが挙げられる。なお、突起状導体が銅を主体として形成される場合、突起状導体は、銅めっきによって形成されていることが好ましい。このようにすれば、突起状導体を例えば導電性ペーストなどによって形成する場合に比べて、突起状導体の導電性が向上する。また、突起状導体の他の形成方法としては、金属ペーストを印刷して突起状導体を形成する方法や、金属箔を貼付する工程のみを行って突起状導体を形成する方法や、突起状導体よりも大きい金属箔を貼付した後、金属箔に対するエッチングを行って突起状導体を形成する方法などが挙げられる。
【0016】
収容工程では、複数の第2表面電極の少なくとも一部を第2主面側絶縁層に埋めるようにして第2主面側絶縁層上に内蔵部品を搭載してもよい。このようにすると、収容穴部内における内蔵部品の位置ずれを確実に防止することができる。
【0017】
突起状導体、パターニング工程を経て突起状導体上に形成される導体層及び導体層上に形成されるビア導体が、ともに銅からなることが好ましい。このようにすると、内蔵部品の各表面電極と配線基板側の導体層との電気的接続を確実に行うことができる。
【0018】
パターニング工程では、第1主面側絶縁層及び第2主面側絶縁層の上であって隙間に対応する箇所を覆うような導体層を形成することが好ましい。このようにすると、隙間を埋める樹脂材料は基板製造時に加わる熱によって膨張するが、樹脂材料よりも硬い導体層によって樹脂材料を押さえ込むことにより、配線基板の反りを確実に抑えることができる。
【0019】
内蔵部品としては、チップコンデンサやセラミックコンデンサを挙げることができる。また、好適なセラミックコンデンサとしては、誘電体層と、誘電体層を介して積層配置された複数の内部電極と、複数の内部電極に接続されるとともに両端部に複数の第1表面電極及び複数の第2表面電極が接続された複数のコンデンサ内ビア導体とを備え、複数のコンデンサ内ビア導体が全体としてアレイ状に配置されたビアアレイタイプのコンデンサを挙げることができる。このような構造であれば、コンデンサのインダクタンスの低減化が図られ、ノイズ吸収や電圧安定化が可能となる。
【0020】
セラミックコンデンサの誘電体層としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などといった高温焼成セラミックの焼結体が好適に使用されるほか、ホウケイ酸系ガラスやホウケイ酸鉛系ガラスにアルミナ等の無機セラミックフィラーを添加したガラスセラミックのような低温焼成セラミックの焼結体が好適に使用される。この場合、用途に応じて、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどの誘電体セラミックの焼結体を使用することも好ましい。誘電体セラミックの焼結体を使用した場合、静電容量の大きなコンデンサを実現しやすくなる。
【0021】
セラミックコンデンサの内部電極及びコンデンサ内ビア導体としては特に限定されないが、例えばメタライズ導体であることが好ましい。なお、メタライズ導体は、金属粉末を含む導体ペーストを従来周知の手法、例えばメタライズ印刷法で塗布した後に焼成することにより、形成される。同時焼成法によってメタライズ導体及びセラミック誘電体層を形成する場合、メタライズ導体中の金属粉末は、セラミック誘電体層の焼成温度よりも高融点である必要がある。例えば、セラミック誘電体層がいわゆる高温焼成セラミック(例えばアルミナ等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)等やそれらの合金が選択可能である。セラミック誘電体層がいわゆる低温焼成セラミック(例えばガラスセラミック等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、銅(Cu)または銀(Ag)等やそれらの合金が選択可能である。
【0022】
コア基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。
【0023】
絶縁層は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。絶縁層の形成材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を具体化した一実施の形態の部品内蔵配線基板を示す概略断面図。
【図2】セラミックコンデンサを示す概略断面図。
【図3】セラミックコンデンサを示す上面図。
【図4】セラミックコンデンサの外部電極を示す拡大断面図。
【図5】部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【図6】部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【図7】部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【図8】部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【図9】部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【図10】部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【図11】部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【図12】部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【図13】部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【図14】部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【図15】部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【図16】従来技術における部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【図17】従来技術における部品内蔵配線基板の製造方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を部品内蔵配線基板に具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0026】
図1に示されるように、本実施の形態の部品内蔵配線基板10は、ICチップ搭載用の配線基板である。部品内蔵配線基板10は、略矩形板状のコア基板11と、コア基板11のコア主面12(第1主面)上に形成される第1ビルドアップ層31と、コア基板11のコア裏面13(第2主面)上に形成される第2ビルドアップ層32とからなる。
【0027】
コア基板11のコア主面12上に形成された第1ビルドアップ層31は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂層間絶縁層33,35と、銅からなる導体層42とを交互に積層した構造を有している。第2層の樹脂層間絶縁層35の表面上における複数箇所には、端子パッド44がアレイ状に形成されている。さらに、樹脂層間絶縁層35の表面は、ソルダーレジスト37によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト37の所定箇所には、端子パッド44を露出させる開口部46が形成されている。端子パッド44の表面上には、複数のはんだバンプ45が配設されている。各はんだバンプ45は、矩形平板状をなすICチップ21の面接続端子22に電気的に接続されている。
【0028】
なお、各端子パッド44及び各はんだバンプ45が形成される領域は、ICチップ21を搭載可能なICチップ搭載領域23である。また、樹脂層間絶縁層33,35内における複数箇所にはビア導体43が形成されている。ビア導体43は、導体層42や端子パッド44に電気的に接続している。
【0029】
コア基板11のコア裏面13上に形成された第2ビルドアップ層32は、上述した第1ビルドアップ層31とほぼ同じ構造を有している。即ち、第2ビルドアップ層32は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂層間絶縁層34,36と、導体層42とを交互に積層した構造を有している。第1層の樹脂層間絶縁層34内における複数箇所にはビア導体43が形成されており、各ビア導体43の下端となる箇所は、樹脂層間絶縁層34の表面上に形成された導体層42に接続されている。第2層の樹脂層間絶縁層36内における複数箇所にもビア導体43が形成されており、樹脂層間絶縁層36の下面上において各ビア導体43の下端となる箇所には、ビア導体43を介して導体層42に電気的に接続されるBGA用パッド48が格子状に形成されている。また、樹脂層間絶縁層36の下面は、ソルダーレジスト38によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト38の所定箇所には、BGA用パッド48を露出させる開口部40が形成されている。BGA用パッド48の表面上には、図示しないマザーボードに対して電気的に接続可能な複数のはんだバンプ49が配設されている。そして、各はんだバンプ49により、図1に示される配線基板10は図示しないマザーボード上に実装される。
【0030】
本実施の形態のコア基板11は、縦25mm×横25mm×厚さ0.9mmの平面視略矩形板状である。コア基板11は、例えば補強材としてのガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させてなる樹脂絶縁材(ガラスエポキシ材)にて構成されている。コア基板11には、複数のスルーホール導体16がコア主面12及びコア裏面13を貫通するように形成されている。かかるスルーホール導体16は、コア基板11のコア主面12側とコア裏面13側とを接続導通している。なお、スルーホール導体16の内部は、例えばエポキシ樹脂などの閉塞体17で埋められている。また、コア基板11のコア主面12及びコア裏面13には、銅からなる導体層41がパターン形成されており、各導体層41は、スルーホール導体16に電気的に接続されている。さらに、コア基板11は、コア主面12の中央部及びコア裏面13の中央部にて開口する平面視で矩形状の収容穴部90を1つ有している。即ち、収容穴部90は貫通穴である。なお、収容穴部90は、四隅に面取り寸法0.1mm以上2.0mm以下の面取り部を有している。
【0031】
そして、収容穴部90内には、図2,図3に示すセラミックコンデンサ101(内蔵部品)が、埋め込まれた状態で収容されている。本実施の形態のセラミックコンデンサ101は、1つのコンデンサ主面102(第1部品主面)、1つのコンデンサ裏面103(第2部品主面)、及び、4つのコンデンサ側面106を有する板状物であり、例えば縦12.0mm×横12.0mm×厚さ0.9mmのサイズを有している。なお、セラミックコンデンサ101は、コンデンサ主面102をコア主面12と同じ側に向け、かつ、コンデンサ裏面103をコア裏面13と同じ側に向けた状態で収容されている。セラミックコンデンサ101は、コア基板11において前記ICチップ搭載領域23の真下の領域に配置されている。なお、ICチップ搭載領域23の面積(ICチップ21において面接続端子22が形成される面の面積)は、セラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102の面積よりも小さくなるように設定されている。セラミックコンデンサ101の厚さ方向から見た場合、ICチップ搭載領域23は、セラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102内に位置している。
【0032】
図1に示されるように、収容穴部90の内壁面91とセラミックコンデンサ101のコンデンサ側面106との隙間92は、高分子材料(本実施の形態ではエポキシ等の熱硬化性樹脂)からなる樹脂充填部93によって埋められている。この樹脂充填部93は、セラミックコンデンサ101をコア基板11に固定する機能を有している。また、樹脂充填部93は、セラミックコンデンサ101との熱膨張差を緩和するために、シリカ等のセラミック粉が添加されていてもよい。また、放熱性を向上させるために、Cu等の金属粉が添加されてもよい。なお、セラミックコンデンサ101は、平面視略正方形状をなしており、四隅に面取り寸法0.55mm以上(本実施の形態では面取り寸法0.6mm)の面取り部を有している。これにより、セラミックコンデンサ101を配線基板10に内蔵するときや、温度変化に伴う樹脂充填部93の変形時において、セラミックコンデンサ101の角部への応力集中を緩和できるため、樹脂充填部93のクラックの発生を防止できる。
【0033】
図1〜図3に示されるように、本実施の形態のセラミックコンデンサ101は、いわゆるビアアレイタイプのセラミックコンデンサである。セラミックコンデンサ101を構成するセラミック焼結体104は、セラミック誘電体層105を介して電源用内部電極層141(内部電極)とグランド用内部電極層142(内部電極)とを交互に積層配置した構造を有している。また、セラミック誘電体層105は、高誘電率セラミックの一種であるチタン酸バリウムの焼結体からなり、電源用内部電極層141及びグランド用内部電極層142間の誘電体として機能する。電源用内部電極層141及びグランド用内部電極層142は、いずれもニッケルを主成分として形成された層であって、セラミック焼結体104の内部において一層おきに配置されている。
【0034】
図1,図2に示されるように、セラミック焼結体104には、多数のビアホール130が形成されている。これらのビアホール130は、セラミック焼結体104をその厚さ方向に貫通するとともに、セラミック焼結体104の全面にわたってアレイ状に配置されている。各ビアホール130内には、セラミック焼結体104のコンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103間を連通する複数のコンデンサ内ビア導体131,132が、ニッケルを主材料として形成されている。なお本実施の形態において、ビアホール130の直径は約100μmに設定されているため、コンデンサ内ビア導体131,132の直径も約100μmに設定されている。各電源用コンデンサ内ビア導体131は、各電源用内部電極層141を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している。各グランド用コンデンサ内ビア導体132は、各グランド用内部電極層142を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している。各電源用コンデンサ内ビア導体131及び各グランド用コンデンサ内ビア導体132は、全体としてアレイ状に配置されている。
【0035】
そして図2,図3に示されるように、セラミック焼結体104のコンデンサ主面102上には、第1表面電極として複数の主面側電源用外部電極111と複数の主面側グランド用外部電極112とが設けられている。各外部電極111,112は、コンデンサ主面102に垂直な方向(部品厚さ方向)から見たときの形状が略円形状であり、300μmの直径を有している(図3参照)。主面側電源用外部電極111は、複数の電源用コンデンサ内ビア導体131におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されており、主面側グランド用外部電極112は、複数のグランド用コンデンサ内ビア導体132におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されている。
【0036】
また、図2に示されるように、セラミック焼結体104のコンデンサ裏面103上には、第2表面電極として複数の裏面側電源用外部電極121と複数の裏面側グランド用外部電極122とが設けられている。各外部電極121,122は、コンデンサ裏面103に垂直な方向から見たときの形状が略円形状であり、300μmの直径を有している。裏面側電源用外部電極121は、複数の電源用コンデンサ内ビア導体131におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されており、裏面側グランド用外部電極122は、複数のグランド用コンデンサ内ビア導体132におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されている。よって、電源用外部電極111,121は電源用コンデンサ内ビア導体131及び電源用内部電極層141に導通しており、グランド用外部電極112,122はグランド用コンデンサ内ビア導体132及びグランド用内部電極層142に導通している。
【0037】
図4に示されるように、外部電極111,112,121,122は、ニッケルを主体として構成されたメタライズ金属層151及びその金属層151を覆うように設けられた銅めっき層152(導体層)と、銅めっき層152上に突設された突起状導体153とにより構成されている。各突起状導体153は、銅めっきによって形成された円柱状導体(銅ポスト)である。各突起状導体153の直径は、外部電極111,112,121,122の直径(約300μm)よりも小さく、かつ、コンデンサ内ビア導体131,132の直径(約100μm)よりも大きく設定されており、本実施の形態では約200μmに設定されている。また、突起状導体153の高さは、50μm以上200μm以下に設定されている。
【0038】
図1に示されるように、部品内蔵配線基板10において、セラミックコンデンサ101における外部電極111,112の突起状導体153は、樹脂充填部93の表面に形成された導体層50(配線層)を介してコア基板11上の導体層41に直接接続されている。また、セラミックコンデンサ101とコア基板11との隙間を埋める樹脂充填部93を覆うように導体層50が形成されている。
【0039】
コンデンサ主面102側にある外部電極111,112の突起状導体153は、導体層41,42,50、ビア導体43、端子パッド44、はんだバンプ45及びICチップ21の面接続端子22を介して、ICチップ21に電気的に接続される。一方、コンデンサ裏面103側にある外部電極121,122の突起状導体153は、導体層41,42,50、ビア導体43、BGA用パッド48及びはんだバンプ49を介して、図示しないマザーボードが有する電極に対して電気的に接続される。
【0040】
例えば、マザーボード側から外部電極121,122を介して通電を行い、電源用内部電極層141−グランド用内部電極層142間に電圧を加えると、電源用内部電極層141に例えばプラスの電荷が蓄積し、グランド用内部電極層142に例えばマイナスの電荷が蓄積する。また、セラミックコンデンサ101では、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132がそれぞれ交互に隣接して配置され、かつ、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように設定されている。これにより、インダクタンス成分の低減化が図られている。
【0041】
次に、本実施の形態のセラミックコンデンサ101の製造方法について述べる。
【0042】
先ず、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体材料のグリーンシートを形成し、このグリーンシートに内部電極層用ニッケルペーストをスクリーン印刷して乾燥させる。これにより、後に電源用内部電極層141となる電源用内部電極部と、グランド用内部電極層142となるグランド用内部電極部とが形成される。次に、電源用内部電極部が形成されたグリーンシートとグランド用内部電極部が形成されたグリーンシートとを交互に積層し、シート積層方向に押圧力を付与することにより、各グリーンシートを一体化してグリーンシート積層体を形成する。
【0043】
さらに、レーザ加工機を用いてグリーンシート積層体にビアホール130を多数個貫通形成し、図示しないペースト圧入充填装置を用いて、ビア導体用ニッケルペーストを各ビアホール130内に充填する。次に、グリーンシート積層体の上面上に電極用ニッケルペーストを印刷し、グリーンシート積層体の上面側にて各導体部の上端面を覆うように外部電極111,112のメタライズ金属層151を形成する。また、グリーンシート積層体の下面上に電極用ニッケルペーストを印刷し、グリーンシート積層体の下面側にて各導体部の下端面を覆うように外部電極121,122のメタライズ金属層151を形成する。
【0044】
この後、グリーンシート積層体の乾燥を行い、各メタライズ金属層151をある程度固化させる。次に、グリーンシート積層体を脱脂し、さらに所定温度で所定時間焼成を行う。その結果、チタン酸バリウム及びペースト中のニッケルが同時焼結し、セラミック焼結体104となる。次に、得られたセラミック焼結体104のコンデンサ主面102上及びコンデンサ裏面103上において、外部電極111,112,121,122となる各メタライズ金属層151に対して銅めっきを行い、各メタライズ金属層151の上に銅めっき層152(厚さ15μm)を形成する。
【0045】
さらに、セラミック焼結体104のコンデンサ主面102上及びコンデンサ裏面103上に、所定箇所に開口部(内径200μm)を有するフォトレジスト材をラミネートする。これらの開口部は、露光及び現像によって形成されており、外部電極111,112,121,122の表面の一部を露出させている。そして、フォトレジスト材を介して外部電極111,112,121,122上に対する電解銅めっきを行った後、フォトレジスト材を除去する。その結果、外部電極111,112,121,122上に、突起状導体153が形成され、セラミックコンデンサ101が完成する。
【0046】
次に、本実施の形態の部品内蔵配線基板10の製造方法について述べる。
【0047】
まず、基材の両面に銅箔(厚さ50μm程度)が貼付された銅張積層板を準備する。そして、ドリル機を用いて孔あけ加工を行い、銅張積層板の表裏面を貫通する貫通孔(図示略)を所定位置にあらかじめ形成しておく。そして、銅張積層板の貫通孔の内面に対する無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、貫通孔内にスルーホール導体16を形成する。その後、スルーホール導体16の空洞部を絶縁樹脂材料(エポキシ樹脂)で穴埋めし、閉塞体17を形成する。
【0048】
次に、スルーホール導体16を形成した銅張積層板に対してルータを用いて孔あけ加工を行い、収容穴部90となる貫通穴を所定位置に形成し、コア基板11の中間製品を得る(図5参照)。なお、コア基板11の中間製品とは、コア基板11となるべき領域を平面方向に沿って縦横に複数配列した構造の多数個取り用コア基板である。
【0049】
以上のようにして、収容穴部90が貫通形成されたコア基板11を準備するとともに、内蔵部品としてのセラミックコンデンサ101を準備する(準備工程)。
【0050】
準備工程の後、図6に示されるように、樹脂材料としての熱硬化性エポキシ樹脂を主体とするシート状のビルドアップ材をコア基板11のコア裏面13側に接合することで絶縁層161(第2主面側絶縁層)を形成し、かつその絶縁層161によって収容穴部90の一方の開口部を閉塞する(第2主面側絶縁層形成工程)。なおここでは、ビルドアップ材をある程度加熱してその表面に粘着力を有する状態としている。
【0051】
その後、図7に示されるように、絶縁層161上にセラミックコンデンサ101を搭載することで収容穴部90内にセラミックコンデンサ101を収容する(収容工程)。本実施の形態では、外部電極121,122における突起状導体153の先端部を絶縁層161内に埋めるようにして絶縁層161上にセラミックコンデンサ101を搭載している。このように、突起状導体153の先端部を絶縁層161内に埋め込むことでセラミックコンデンサ101が確実に仮固定される。なおここでは、突起状導体153の先端部を絶縁層161に埋め込んでいたが、必ずしも突起状導体153を絶縁層161に埋め込む必要はない。例えば、突起状導体153の先端面を絶縁層161の表面に接触させその絶縁層161の粘着力によってセラミックコンデンサ101を仮固定してもよい。
【0052】
次に、樹脂材料としての熱硬化性エポキシ樹脂を主体とするシート状のビルドアップ材をコア基板11のコア主面12側に接合し収容穴部90の上方の開口を閉塞する絶縁層162を形成した後、真空圧着熱プレス機(図示しない)で真空下にて加圧加熱する。このとき、図8に示されるように、上下面の絶縁層161,162を流動させその一部(樹脂充填部93)で収容穴部90の内壁面91とセラミックコンデンサ101の側面106との隙間92を埋めてセラミックコンデンサ101をコア基板11に固定する(隙間埋め工程及び第1主面側絶縁層形成工程)。
【0053】
その後、例えばベルトサンダー装置を用いて、コア基板11のコア主面12側の絶縁層162を研磨して、セラミックコンデンサ101の外部電極111,112の突起状導体153を露出させる(図9参照)。また同様に、コア基板11のコア裏面13側の絶縁層161を研磨して、セラミックコンデンサ101の外部電極121,122の突起状導体153を露出させる(両面研磨工程)。なおこのとき、コア基板11のコア主面12上及びコア裏面13上において、絶縁層161,162を完全に除去するとともに、基板表面の銅箔163の一部を研磨することで、コア基板11の銅箔163を露出させる。
【0054】
両面研磨工程の後、収容穴部90にセラミックコンデンサ101を埋め込んだコア基板11のコア主面12及びコア裏面13の全面に無電解銅めっき及び電解銅めっきを施して全面めっき層165を形成する(図10参照)。その後、図11に示されるように、サブトラクティブ法でパターニングを行って導体層50(配線層)を形成する(パターニング工程)。具体的には、コア基板11(全面めっき層165)の表面上において、ドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、所定のパターンのエッチングレジストを形成する。この状態で、コア基板11のコア主面12及びコア裏面13の全面めっき層165に対してエッチングによるパターニングを行う。この結果、コア基板11のコア主面12やコア裏面13においてスルーホール導体16等に接続される導体層41を形成するとともに、樹脂充填部93の表面においてセラミックコンデンサ101の突起状導体153(外部電極111,112,121,122)に接続される導体層50(配線層)を形成する。
【0055】
そして、従来周知の手法に基づいてコア主面12の上に第1ビルドアップ層31を形成するとともに、コア裏面13の上に第2ビルドアップ層32を形成する。具体的には、コア基板11のコア主面12側及びコア裏面13側において、エポキシ等の熱硬化性樹脂からなるシート状の樹脂層間絶縁層33,34を貼り付け、樹脂層間絶縁層33,34をある程度硬化(プレキュア)させる(図12参照)。そして、例えばエキシマレーザやUVレーザやCOレーザなどを用いてレーザ加工を施すことによって樹脂層間絶縁層33,34の所定の位置にビア穴167を形成する(図13参照)。次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各ビア穴167内のスミアを除去するデスミア工程を行う。なお、デスミア工程としては、エッチング液を用いた処理以外に、例えばOプラズマによるプラズマアッシングの処理を行ってもよい。
【0056】
デスミア工程の後、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、各ビア穴167内にビア導体43を形成する。さらに、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)によってエッチングを行うことで、樹脂層間絶縁層33,34上に導体層42をパターン形成する(図14参照)。また、他の樹脂層間絶縁層35,36や各パッド44,48についても、上述した樹脂層間絶縁層33,34及び導体層42と同様の手法によって形成し、樹脂層間絶縁層33,34上に積層する。
【0057】
次に、樹脂層間絶縁層35,36上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト37,38を形成する。その後、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト37,38に開口部40,46をパターニングする(図15参照)。さらに、端子パッド44上にはんだバンプ45を形成し、かつ、BGA用パッド48上にはんだバンプ49を形成する。なお、この状態のものは、部品内蔵配線基板10となるべき製品領域を平面方向に沿って縦横に複数配列した多数個取り用配線基板であると把握することができる。さらに、多数個取り用配線基板を分割すると、個々の製品である部品内蔵配線基板10(図1参照)が多数個同時に得られる。
【0058】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0059】
(1)本実施の形態では、収容工程において、後に配線基板10の一部(樹脂充填部93)として残る絶縁層161のビルドアップ材を用いて収容穴部90内にセラミックコンデンサ101が仮固定されている。このようにすると、従来技術のように粘着テープ211を使用してコンデンサ101を固定する必要がないため、製造コストを抑えることができる。また、両面研磨工程において、コア主面12側の絶縁層162及びコア裏面13側の絶縁層161が研磨され、外部電極111,112,121,122の突起状導体153が露出される。そして、パターニング工程において、導体層50をパターン形成することでセラミックコンデンサ101の各外部電極111,112,121,122に導体層50の配線パターンを直接接続することができる。この場合、従来技術のようにビア導体217により各電極207,208に接続する場合と比較して、配線パターンの自由度が増しセラミックコンデンサ101への電気的接続を良好に行うことができるとともに、ビルドアップ層31,32における絶縁層の層数を減らすことが可能となる。さらに、従来技術のように片面のみ研磨する場合では、片面側の導体層の伸び等によってコア基板204に反りが発生することがあるが、本発明では、両面側が同様に研磨されるので、コア主面12側及びコア裏面13側における導体層(銅箔163)の伸びによるコア基板11の反りを防止することができる。
【0060】
(2)本実施の形態の隙間埋め工程では、コア主面12側の絶縁層162を構成する樹脂材料の一部及びコア裏面13側の絶縁層161を構成する樹脂材料の一部を流動させることによって、収容穴部90の内壁面91とセラミックコンデンサ101との隙間92が埋められている。この場合、従来技術のようにコア主面201側のみの絶縁層212の樹脂材料を流動させる場合と比較して、隙間92を確実に埋めることができる。
【0061】
(3)本実施の形態の場合、セラミックコンデンサ101の複数の外部電極111,112,121,122は、導体層(メタライズ金属層151及び銅めっき層152)上に突起状導体153を形成してなる。このように、厚みを持った突起状導体153を各外部電極111,112,121,122に設けると、収容穴部90内においてセラミックコンデンサ101が厚み方向に位置ずれした場合でも、研磨工程で突起状導体153を削ることでその位置ずれを調整することができる。
【0062】
(4)本実施の形態の収容工程では、コンデンサ裏面103側の複数の外部電極121,122の先端部をコア裏面13側の絶縁層161に埋めるようにして絶縁層161上にセラミックコンデンサ101を搭載している。このようにすると、収容穴部90内におけるセラミックコンデンサ101の位置ずれを確実に防止することができる。
【0063】
(5)本実施の形態では、突起状導体153、突起状導体153上に形成される導体層50及び導体層50上に形成されるビア導体43が、ともに銅からなる。この場合、セラミックコンデンサ101の各外部電極111,112,121,122と各導体層41,42,50との電気的接続を確実に行うことができる。
【0064】
(6)本実施の形態の部品内蔵配線基板10では、樹脂充填部93上であって隙間92に対応する箇所を覆うような導体層50が形成されている。このようにすると、部品内蔵配線基板10において、隙間92を埋める樹脂充填部93は基板製造時に加わる熱によって膨張するが、樹脂充填部93よりも硬い導体層50によって樹脂充填部93を押さえ込むことにより、配線基板10の反りや基板表面の波うちを確実に抑えることができる。
【0065】
(7)本実施の形態の部品内蔵配線基板10では、内蔵部品としてビアアレイタイプのセラミックコンデンサ101が収容穴部90に収納されている。このセラミックコンデンサ101では、複数のビア導体131,132が全体としてアレイ状に配置されているので、セラミックコンデンサ101のインダクタンスの低減化が図られ、ノイズ吸収や電源変動平滑化のための高速電源供給が可能となる。
【0066】
(8)本実施の形態の部品内蔵配線基板10では、セラミックコンデンサ101がICチップ搭載領域23に搭載されたICチップ21の直下に配置されるため、セラミックコンデンサ101とICチップ21とをつなぐ配線が短くなり、配線のインダクタンス成分の増加が防止される。従って、セラミックコンデンサ101によるICチップ21のスイッチングノイズを確実に低減できるとともに、電源電圧の確実な安定化を図ることができる。また、ICチップ21とセラミックコンデンサ101との間で侵入するノイズを極めて小さく抑えることができるため、誤動作等の不具合を生じることもなく高い信頼性を得ることができる。
【0067】
(9)本実施の形態の部品内蔵配線基板10では、ICチップ搭載領域23がセラミックコンデンサ101の真上の領域内に位置しているため、ICチップ搭載領域23に搭載されるICチップ21は高剛性で熱膨張率が小さいセラミックコンデンサ101によって支持される。よって、上記ICチップ搭載領域23においては、第1ビルドアップ層31が変形しにくくなるため、ICチップ搭載領域23に搭載されるICチップ21をより安定的に支持できる。従って、大きな熱応力に起因するICチップ21のクラックや接続不良を防止することができる。ゆえに、ICチップ21として、熱膨張差による応力(歪)が大きくなり熱応力の影響が大きく、かつ発熱量が大きく使用時の熱衝撃が厳しい10mm角以上の大型のICチップや、脆いとされるLow−k(低誘電率)のICチップを用いることができる。
【0068】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0069】
・上記実施の形態では、隙間埋め工程及び第1主面側絶縁層形成工程を同一工程で行っていたが、これに限定されるものではない。例えば、収容工程の後、収容穴部90の内壁面91とセラミックコンデンサ101の側面106との隙間92を充填樹脂材で埋める隙間埋め工程を先に行った後に、コア主面12側に絶縁層162を形成して収容穴部90の上方の開口を閉塞する第1主面側絶縁層形成工程を行うように変更してもよい。
【0070】
・上記実施の形態のセラミックコンデンサ101では、円形状の外部電極111,112,121,122を備えるものであったが、その電極形状は、略矩形状などの他の形状に変更してもよい。また、コンデンサ主面102上及びコンデンサ裏面103上において各外部電極111,112,121,122の周囲を囲むようにダミー電極を設けてもよい。
【0071】
・上記実施の形態では、外部電極111,112,121,122を構成する突起状導体153は円柱形状であったが、これに限定されるものではなく、三角柱形状、四角柱形状などの他の形状であってもよい。また、突起状導体153は、頂部の径と底部の径とが等しい柱形状であったが、頂部の径と底部の径とが異なる台形状導体としてもよい。
【0072】
・上記実施の形態では、部品内蔵配線基板10のパッケージ形態はBGA(ボールグリッドアレイ)であるが、BGAのみに限定されず、例えばPGA(ピングリッドアレイ)やLGA(ランドグリッドアレイ)等であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
10…部品内蔵配線基板
11…コア基板
12…第1主面としてのコア主面
13…第2主面としてのコア裏面
50…配線層を構成する導体層
90…収容穴部
91…収容穴部の内壁面
92…隙間
101…内蔵部品としてのセラミックコンデンサ
102…第1部品主面としてのコンデンサ主面
103…第2部品主面としてのコンデンサ裏面
105…誘電体層としてのセラミック誘電体層
111…第1表面電極としての主面側電源用外部電極
112…第1表面電極としての主面側グランド用外部電極
121…第2表面電極としての裏面側電源用外部電極
122…第2表面電極としての裏面側グランド用外部電極
131…コンデンサ内ビア導体としての電源用コンデンサ内ビア導体
132…コンデンサ内ビア導体としてのグランド用コンデンサ内ビア導体
141…内部電極としての電源用内部電極層
142…内部電極としてのグランド用内部電極層
151…導体層を構成するメタライズ金属層
152…導体層を構成する銅めっき層
153…突起状導体
161…第2主面側絶縁層としての絶縁層
162…第1主面側絶縁層としての絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1表面電極が配置された第1部品主面及び複数の第2表面電極が配置された第2部品主面を有する内蔵部品を準備するとともに、第1主面及び第2主面を有しかつ前記第1主面及び前記第2主面にて開口する収容穴部が貫設されたコア基板を準備する準備工程と、
前記準備工程の後、樹脂材料を主体とするビルドアップ材を前記コア基板の前記第2主面側に接合することで、第2主面側絶縁層を形成しかつ前記収容穴部の一方の開口を閉塞する第2主面側絶縁層形成工程と、
前記第2主面側絶縁層形成工程の後、前記第2主面側絶縁層上に前記内蔵部品を搭載することで前記収容穴部内に前記内蔵部品を収容する収容工程と、
前記収容工程の後、充填樹脂材で前記収容穴部の内壁面と前記内蔵部品との隙間を埋める隙間埋め工程と、
前記収容工程の後、前記ビルドアップ材を前記コア基板の前記第1主面側に接合することで、第1主面側絶縁層を形成しかつ前記収容穴部の他方の開口を閉塞する第1主面側絶縁層形成工程と、
前記第1主面側絶縁層形成工程の後、前記第1主面側絶縁層を研磨して前記複数の第1表面電極を露出させ、かつ、前記第2主面側絶縁層を研磨して前記複数の第2表面電極を露出させる両面研磨工程と、
前記両面研磨工程の後、前記第1主面側絶縁層及び前記第2主面側絶縁層の上に全面めっきを施した後にパターニングを行って配線層を形成するパターニング工程と
を含むことを特徴とする部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記隙間埋め工程では、前記第1主面側絶縁層を構成する樹脂材料の一部及び前記第2主面側絶縁層を構成する樹脂材料の一部を流動させることによって、前記隙間を埋めることを特徴とする請求項1に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記内蔵部品における前記複数の第1表面電極及び前記複数の第2表面電極は、導体層上に突起状導体を形成してなることを特徴とする請求項1または2に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記収容工程では、前記複数の第2表面電極の少なくとも一部を前記第2主面側絶縁層に埋めるようにして前記第2主面側絶縁層上に前記内蔵部品を搭載することを特徴とする請求項3に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記突起状導体、前記パターニング工程を経て前記突起状導体上に形成される導体層及び前記導体層上に形成されるビア導体が、ともに銅からなることを特徴とする請求項3または4に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記パターニング工程では、前記第1主面側絶縁層及び前記第2主面側絶縁層の上であって前記隙間に対応する箇所を覆うような導体層を形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記内蔵部品は、
誘電体層と、
前記誘電体層を介して積層配置された複数の内部電極と、
前記複数の内部電極に接続されるとともに両端部に前記複数の第1表面電極及び前記複数の第2表面電極が接続された複数のコンデンサ内ビア導体と
を備え、前記複数のコンデンサ内ビア導体が全体としてアレイ状に配置されたビアアレイタイプのコンデンサであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−151154(P2012−151154A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6498(P2011−6498)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】