説明

部品実装ラインの部品実装方法

【課題】生産中の基板種に関わる部品補給作業および次に生産する基板種に関わる部品準備作業を行うそれぞれの作業者の動線が重ならずに作業効率が良好であり、マルチジョブの生産形態で生産中断を極力回避できる部品実装ラインの部品実装方法を提供する。
【解決手段】部品実装機1が複数段直列に配置された部品実装ライン8の部品実装方法であって、生産順序に従って生産する基板の基板種を第1および第2部品供給装置側基板種に交互に振り分け、部品移載装置が第1および第2部品供給装置3、4のうちの一方3から部品(部品種PA、PB)を採取して一方側基板種の基板に装着しているときに、当該生産中の一方側基板種に続いて生産する他方側基板種の基板に装着される部品種PC〜PFの部品をそれぞれ収容する部品収容装置を第1および第2部品供給装置のうちの他方4にセットすることを各段の部品実装機1において行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装機が複数段直列に配置された部品実装ラインの部品実装方法に関し、より詳細には、各部品実装機が基板搬送方向の両側にそれぞれ部品供給装置を備える部品実装ラインの部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の電子部品が実装された基板を生産する設備として、はんだ印刷機、部品実装機、リフロー機、検査機などがあり、これらを基板搬送装置で連結して基板生産ラインを構築する場合が多い。このうち部品実装機は、基板を部品実装位置に搬入し位置決めし搬出する基板搬送装置と、部品を供給する部品供給装置と、部品を基板上の所定位置に装着する部品移載装置と、を主にして構成されている。部品実装機1台だけでは所望するすべての部品種の部品を実装できない場合もあり、モジュール化した部品実装機を複数段直列に配置して部品実装ラインを構成することが行われている。さらに、部品供給装置を部品実装機の基板搬送方向の両側にそれぞれ配置して、部品供給装置を片側に配置する構成よりも多数の部品種を供給することも行われている。
【0003】
この種の部品実装機あるいは部品実装ラインでは、生産する基板の種類(基板種)を変更する場合に、部品供給装置の部品種を変更する必要が生じる。これに対応するために、部品供給装置は、複数の部品を収容する部品収容装置としてフィーダまたはトレイを多数個着脱可能にセットできる構造となっている。したがって、部品種の変更に際しては部品収容装置を交換するが、この間は基板の生産が中断してしまい基板生産効率が低下する。特に、基板種あたりの生産数量が少ない場合、部品収容装置の交換に要する部品準備時間の比率が増大しがちになる。
【0004】
このような部品収容装置を交換する時間的ロスを無くした技術例が特許文献1に開示されている。特許文献1の実装機は、多数列のテープフィーダー(フィーダ)を有する複数組の部品供給ユニット(部品供給装置)を配設するとともに、切換スイッチおよび制御手段を設けて、指定された部品供給ユニットのみから部品を吸着(採取)するようにしている。この構成によると、一の基板品種(基板種)に一方の部品供給ユニットを指定し、別の基板品種に移るときに切換スイッチの操作により別の部品供給ユニットを指定して即座に部品を供給し得る、とされている。さらに請求項2および実施形態には、基板搬送経路の一側方(つまり同じ側)に2組の部品供給ユニットを配設することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−228251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の実装機では、一方の部品供給ユニットを使用して一の基板品種を生産するときに、部品切れが生じたフィーダを交換する部品補給作業が発生する。また、一の基板品種の生産中に、別の基板品種に必要なフィーダを別の部品供給ユニットにセットする部品準備作業が必要になる。ここで、部品補給作業および部品準備作業をそれぞれ別の作業者が担当すると、実装機の基板搬送経路の一側方でふたりの作業者が交錯して煩雑になり、作業効率が低下する。結果的に、部品補給作業のタイミングが遅れて一の基板品種の生産が中断したり、部品準備作業が間に合わずに別の基板品種の生産に即座に移行できなくなったりするおそれが生じる。
【0007】
実際のところ単独の実装機をふたりの作業者で担当する場合は少ないかもしれないが、複数の部品実装機を直列配置した部品実装ラインでは、生産中の基板種に関わる部品の補給を担当する作業者と次に生産する基板種に関わる部品の準備を担当する作業者とを分け、複数人数で担当する場合が多い。この場合、部品実装ラインの一側方で複数の作業者が移動する動線が重なって作業効率の低下が顕著になり、また生産中断が発生するおそれも大きくなる。
【0008】
また、部品実装ラインでは、単独の実装機と比較して供給できる部品種数が多いので、複数の基板種を纏めて生産することにより基板種移行時の時間的ロスを低減する、いわゆるマルチジョブを行う場合が多い。マルチジョブの生産形態では、フィーダなどの部品収容装置を準備する順序やマルチジョブ内の基板種の生産順序の設定方法の巧拙に依存して、生産中断が発生したり発生しなかったりし、また生産中断時間が変化したりする。しかしながら現状では、生産中断を極力回避できる好ましい順序設定方法の技術は確立されていない。
【0009】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、生産中の基板種に関わる部品補給作業および次に生産する基板種に関わる部品準備作業を行うそれぞれの作業者の動線が重ならずに作業効率が良好であり、マルチジョブの生産形態で生産中断を極力回避できる部品実装ラインの部品実装方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する請求項1に係る部品実装ラインの部品実装方法の発明は、基板を部品実装位置に搬入し位置決めし搬出する基板搬送装置と、前記基板搬送装置の搬送方向の一側に設けられ複数の部品を収容する部品収容装置を複数個着脱可能にセットする第1部品供給装置と、前記基板搬送装置の搬送方向の他側に設けられ複数の部品を収容する部品収容装置を複数個着脱可能にセットする第2部品供給装置と、前記第1または前記第2部品供給装置の前記部品収容装置から前記部品を採取して位置決めされた前記基板に装着する部品移載装置とを備える部品実装機が複数段直列に配置された部品実装ラインの部品実装方法であって、設定した生産順序に従って生産する基板の基板種を、装着される部品の部品種数が前記第1部品供給装置の部品収容装置の個数を超さない範囲で前記生産順序に従い第1部品供給装置側基板種として纏め、前記第1部品供給装置側基板種に続いて生産する基板の基板種を、装着される部品の部品種数が前記第2部品供給装置の部品収容装置の個数を超さない範囲で前記生産順序に従い第2部品供給装置側基板種として纏めることを順次繰り返すことにより、前記生産順序に従って生産する基板の基板種を前記第1部品供給装置側基板種および前記第2部品供給装置側基板種に交互に振り分け、前記第1部品供給装置側基板種に装着される部品種の部品をそれぞれ収容する部品収容装置を前記第1部品供給装置にセットし、前記第2部品供給装置側基板種に装着される部品種の部品をそれぞれ収容する部品収容装置を前記第2部品供給装置にセットし、前記部品移載装置が前記第1および前記第2部品供給装置のうちの一方から前記部品を採取して前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの一方側基板種の基板に装着しているときに、当該生産中の一方側基板種に続いて生産する前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの他方側基板種の基板に装着される部品種の部品をそれぞれ収容する部品収容装置を前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットすることを各段の前記部品実装機において行うようにした。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記部品移載装置が前記第1および前記第2部品供給装置のうちの一方から前記部品を採取して前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの一方側基板種の所定数量の基板に装着する実装時間が、当該生産中の一方側基板種に続いて生産する前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの他方側基板種の基板に装着される部品種の部品をそれぞれ収容する部品収容装置を前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットする準備時間より長くなるように、前記生産順序に従って生産する基板の複数の基板種を、前記第1および第2部品供給装置側基板種として順次纏める。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1において、前記部品移載装置が前記第1および前記第2部品供給装置のうちの一方から前記部品を採取して前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの一方側基板種の所定数量の基板に装着する実装時間よりも、当該生産中の一方側基板種に続いて生産する前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの他方側基板種の基板に装着される部品種の部品をそれぞれ収容する部品収容装置を前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットする準備時間が長くなる場合に、前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの他方側基板種で前記生産順序が早い基板種の基板に装着される部品種の部品を収容する部品収容装置から順番に前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項3において、前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの他方側基板種の基板に関して、前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットする部品収容装置の数量が少ない順番に前記生産順序を修正し、その後に、前記他方側基板種で前記生産順序が早い基板種の基板に装着される部品種の部品を収容する部品収容装置から順番に前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項3または4において、前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットする部品収容装置の順番を指示する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る部品実装ラインの部品実装方法の発明では、設定した生産順序に従って生産する基板の基板種を、装着される部品の部品種数に応じて纏めることを順次繰り返すことにより第1および第2部品供給装置側基板種に交互に振り分け、部品移載装置が搬送方向の両側の部品供給装置のうちの一方から部品を採取して一方側基板種の基板に装着しているときに、続いて生産する他方側基板種の生産に必要な部品収容装置を部品供給装置のうちの他方にセットすることを各段の前記部品実装機において行う。このため、一方側基板種の生産中に部品切れが生じた部品種の部品収容装置を交換する部品補給作業を搬送方向の一側で行い、次の他方側基板種の生産に必要な部品種の部品収容装置をセットする部品準備作業を搬送方向の他側で行うことができる。したがって、部品補給作業および部品準備作業を行うそれぞれの作業者の動線が重ならずに作業効率が良好となる。
【0016】
請求項2に係る発明では、部品移載装置が搬送方向の両側の部品供給装置の一方から部品を採取して一方側基板種の所定数量の基板に装着する実装時間が、次の他方側基板種の生産に必要な部品収容装置を部品供給装置の他方にセットする準備時間より長くなるように、複数の基板種を第1および第2部品供給装置側基板種として順次纏める。つまり、複数の基板種を纏めて生産するマルチジョブの生産形態で、或るジョブの実装時間が次に行うジョブの準備時間よりも長くなり、或るジョブが終了する以前に次のジョブの準備が完了するので、或るジョブから次のジョブへの移行時に生産中断が発生しない。
【0017】
請求項3に係る発明では、部品移載装置が搬送方向の両側の部品供給装置の一方から部品を採取して一方側基板種の所定数量の基板に装着する実装時間よりも、続いて生産する他方側基板種の生産に必要な部品収容装置を部品供給装置のうちの他方にセットする準備時間が長くなる場合に、他方側基板種で生産順序が早い基板種の生産に必要な部品収容装置から順番に部品供給装置の他方にセットする。したがって、部品供給装置の他方に一部の数量の部品収容装置をセットすることにより、他方側基板種で生産順序が早い基板種から生産を開始することができる。これにより、マルチジョブの生産形態で、部品供給装置に全部の部品収容装置をセットした後に生産を開始する従来方法と比較して、一方基板種から他方基板種に移行する際の生産中断時間を短縮でき、あるいは生産中断を回避できる。
【0018】
請求項4に係る発明では、請求項3において、他方側基板種の基板に関して、部品供給装置の他方にセットする部品収容装置の数量が少ない順番に生産順序を修正し、その後に、他方側基板種で生産順序が早い基板種の生産に必要な部品収容装置から順番に部品供給装置の他方にセットする。したがって、部品供給装置のうちの他方に必要最小限の数量の部品収容装置をセットすることにより、他方側基板種で生産順序が早い基板種の生産を開始できる。これにより、マルチジョブの生産形態で、従来方法や請求項3の方法と比較して、一方基板種から他方基板種に移行する際の生産中断時間を最小限に短縮でき、あるいは生産中断を回避できる。
【0019】
請求項5に係る発明では、請求項3または4において、部品供給装置の他方にセットする部品収容装置の順番を指示する。これにより、他方側基板種の生産に必要な部品準備作業を行う作業者の作業内容が明瞭化され、作業効率が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に用いる部品実装機の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明に用いる部品実装ラインの構成を模式的に示す平面図である。
【図3】第1実施形態において、生産する基板の基板種を第1および第2部品供給装置側基板種に纏めて交互に振り分ける方法を例示説明する図である。
【図4】第1実施形態において、図3に基づいて部品実装を行うときの進行状況を例示説明する平面図であり、(1)〜(4)は時間的経過を示している。
【図5】第2実施形態における基板種の生産順序修正処理フローの図である。
【図6】図5のフローに従って基板種の生産順序を修正した事例を説明する図であり、(1)〜(5)は修正フローの進行状況を示している。
【図7】第2実施形態で、修正後の生産順序に従って準備する部品種の順番を指示する指示フローの図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1実施形態の部品実装ラインの部品実装方法について、図1〜図4を参考にして説明する。まず、部品実装機1および部品実装ライン8の構成について説明する。図1は、本発明に用いる部品実装機1の概略構成を示す平面図である。部品実装機1は、基台71上に基板搬送装置2、第1部品供給装置3、第2部品供給装置4、および部品移載装置5などが配設されて構成されている。
【0022】
基板搬送装置2は、第1および第2ガイドレール21、22、一対のコンベアベルト、およびクランプ装置などにより構成されている。第1および第2ガイドレール21、22は、基台71の上部中央を横断して搬送方向(X方向)に延在し、かつ互いに平行するように基台71に組み付けられている。第1および第2ガイドレール21、22の離間距離を基板Kの幅に合わせて調整できるように、第2ガイドレール22は移動可能となっている。第1および第2ガイドレール21、22の直下に、互いに平行に配置された一対のコンベアベルトが並設されている。また、基台71の中央部のコンベアベルトの下方に、基板Kを押し上げてクランプするクランプ装置が設けられている。
【0023】
基板搬送装置2のコンベアベルトは、コンベア搬送面に基板Kを戴置した状態で搬送方向(X方向)に輪転して、基板Kを基台71の中央部に設定された部品実装位置に搬入および搬出する。また、クランプ装置は、基板Kを部品実装位置に位置決めする。図1には、位置決めされた基板Kが示されている。
【0024】
基板搬送装置2の搬送方向(X方向)の一側(図1の下側)には第1部品供給装置3が設けられ、他側(図1の上側)には第2部品供給装置4が設けられている。第1部品供給装置3は、着脱可能な多数のカセット式フィーダ31がセットされて構成されている。カセット式フィーダ31は、複数の部品を収容する本発明の部品収容装置に相当し、図の例では16個がセットされている。各カセット式フィーダ31は、本体32と、本体32の後部に設けられた供給リール33と、本体32の先端に設けられた部品取出部34とを備えている。供給リール33には多数の部品が所定ピッチで封入された細長いテープ(図示省略)が巻回保持され、このテープがスプロケット(図示省略)により所定ピッチで引き出され、部品が封入状態を解除されて部品取出部34に順次送り込まれるようになっている。
【0025】
同様に、第2部品供給装置4は、着脱可能な18個のカセット式フィーダ41がセットされて構成されている。各カセット式フィーダ41は、本体42と、供給リール43と、部品取出部44とを備えている。なお、第1および第2部品供給装置3、4にセットするカセット式フィーダ31、41の個数は上述の例に限定されない。また、第1および第2部品供給装置3、4は、全てのカセット式フィーダ31、41を一括して交換する機能を有していてもよい。さらに、第1および第2部品供給装置3、4は上述したフィーダ式装置に限定されず、トレイ上に部品を並べて供給するトレイ式装置や、両方式を併用したフィーダ・トレイ併用式装置であってもよい。
【0026】
基板搬送装置2の上方(図1において紙面垂直方向手前側)に、搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に延在する固定レール51が配設されている。さらに、搬送方向(X方向)に延在する移動台52が、水平二方向(XY方向)に移動可能に固定レール51に支持されている。移動台52には部品移載装置5が設けられている。部品移載装置5は、移動台52に着脱可能に設けられ支持ベース53と、支持ベース53に昇降可能に支持された部品実装ヘッド54と、部品実装ヘッド54から下方に突設されて負圧により部品を吸着採取する吸着ノズル55と、支持ベース53に支持された基板認識用カメラ56とで構成されている。
【0027】
部品移載装置5の部品実装ヘッド54および吸着ノズル55は、サーボモータにより水平二方向および昇降方向に駆動され、第1または第2部品供給装置3、4のカセット式フィーダ31、41から部品を吸着採取して位置決めされた基板Kに装着する。基板認識用カメラ56は、位置決めされた基板Kのフィデューシャルマークを読み取って基板実装位置の誤差を認識し、吸着ノズル55が部品を装着するときの位置制御に反映する。
【0028】
部品実装機1には、他に第1および第2部品認識用カメラ72、73および部品搬出装置74が設けられている。第1および第2部品認識用カメラ72、73はそれぞれ、基板搬送装置2と第1および第2部品供給装置3、4との間の基台71上に配置されている。第1および第2部品認識用カメラ72、73は、吸着ノズル55に吸着採取された部品の状態を検出するものであり、部品の吸着位置や回転角のずれ、リードの曲がりなどを検出する。部品搬出装置74は、第1部品供給装置3に隣接して配置されている。部品搬出装置74は、搬出コンベヤ75を備え、吸着ノズル55が吸着採取しながらも基板Kに装着しない部品を回収して搬出する。
【0029】
また、部品実装機1は、図略の制御コンピュータを備えている。制御コンピュータは、生産する基板の基板種と装着される部品種との対応関係を始めとする諸情報、および各カメラ56、72、73や図略のセンサの検出情報などに基づいて、部品実装動作を制御する。
【0030】
次に、部品実装ライン8の構成について説明する。図2は、本発明に用いる部品実装ライン8の構成を模式的に示す平面図である。部品実装ライン8は、上述した部品実装機1が6段直列に配置されて構成されている。したがって、部品実装機1のそれぞれの第1部品供給装置3は、基板搬送装置2の搬送方向の一側81に並んで配置され、それぞれの第2部品供給装置4は、基板搬送装置2の搬送方向の他側82に並んで配置される。また、合計6個の第1部品供給装置3にセットできるカセット式フィーダ31の個数N1は96個(N1=16×6)となる。個数N1は、合計6個の第1部品供給装置3から供給できる部品種数の最大値(第1最大部品種数N1)を意味し、第1最大部品種数N1は96種となる。同様に、合計6個の第2部品供給装置4にセットできるカセット式フィーダ41の個数N2は108個(N2=18×6)となり、第2最大部品種数N2は108種となる。
【0031】
次に、第1実施形態の部品実装ラインの部品実装方法のうち、実際の部品実装を行う前の手続きについて説明する。手続きは制御コンピュータによって自動的に実施され、結果はモニタ装置に表示される。手続きではまず、設定した生産順序に従って生産する基板の基板種を、第1および第2部品供給装置側基板種に纏めて交互に振り分ける。図3は、第1実施形態において、生産する基板の基板種を第1および第2部品供給装置側基板種に纏めて交互に振り分ける方法を例示説明する図である。例示される基板種A〜I(以下は省略)の基板の生産において、基板の納入期限や部品の在庫状況、実装される部品の部品種の共通性、作業者の担当時間などを考慮して生産計画が検討され、図3に例示される生産順序が設定される。
【0032】
生産順序1番の基板種Aの基板に装着される部品の部品種、すなわち基板種Aに必要な部品種はPA1、PA2、……であり、部品種数nAであり、これを纏めて部品種群PAと表記する。なお、基板種Aの1枚の基板に装着される各部品種PA1、PA2、……の部品は1個だけとは限らず複数個の場合もあり、部品種群PAは、基板1枚当たりの各部品種PA1、PA2、……の所要数の情報も含んでいる。生産順序2番〜9番までの基板種B〜Iの欄も同様の情報を示しており、これらの情報は制御コンピュータ内に記憶されている。
【0033】
ここで、生産順序1番の基板種Aの部品種数nAを、第1最大部品種数N1と比較する。仮に、部品種数nAが第1最大部品種数N1よりも大きいとき、本発明は適用できず、またマルチジョブの生産形態も採用できず、6段の部品実装機1の第1および第2部品供給装置3、4の両方から部品種PAの部品を供給して基板種Aの基板を生産する。
【0034】
部品種数nAが第1最大部品種数N1よりも小さいとき、基板種AおよびBを纏めて生産するマルチジョブを想定し、部品種数nAおよび部品種数nBを併せた部品種数NBを求める。このとき、部品種群PAの各部品種PA1、PA2、……と部品種群PBの各部品種PB1、PB2、……とで一部が重複する場合に、重複分の部品種数αを差し引く。また、特定の部品種の所要数が多く、複数のカセット式フィーダ31、41に同一部品種を割り当てて使用する場合は、余分に使用するカセット式フィーダ31、41の数量に相当する部品種数βを追加する。この演算は、次式で示される。
NB=nA+nB−α+β
【0035】
次に、部品種数NBを第1最大部品種数N1と比較する。仮に、部品種数NBが第1最大部品種数N1よりも大きいとき、第1部品供給装置3のみを用いたマルチジョブは行えず、基板種A単独で第1部品供給装置側基板種とする。部品種数NBが第1最大部品種数N1よりも小さいとき、基板種A〜Cを纏めて生産するマルチジョブを想定し、部品種数nA〜nCを併せた部品種数NCを求める。このとき、部品種の重複(−α)および複数フィーダへの同一部品種の割り当て(+β)を考慮して、次式により演算する。
NC=nA+nB+nC−α+β
【0036】
次に、部品種数NCを第1最大部品種数N1と比較する。部品種数NCが第1最大部品種数N1よりも大きいとき、第1部品供給装置3のみを用いたマルチジョブで基板種AおよびBを纏めて生産でき、基板種Cまでは纏めることができない。したがって、基板種AおよびBを纏めて第1部品供給装置側基板種とする。図3には、基板種AおよびBを纏めた第1部品供給装置側基板種を生産するジョブJ11が例示されている。ジョブJ11の第1添数字は第1部品供給装置側であることを示し、第2添数字は第1部品供給装置側における生産順序を示している。
【0037】
仮に、部品種数NCが第1最大部品種数N1よりも小さいとき、基板種A〜Dを纏めて生産するマルチジョブを想定して同様の演算および比較を行う。さらにこれを繰り返し、部品種数が第1最大部品種数N1を超さない範囲で基板種を纏め、第1部品供給装置側基板種とすることができる。この手続きは、設定した生産順序に従って生産する基板の基板種を、装着される部品の部品種数が第1部品供給装置の部品収容装置の個数を超さない範囲で生産順序に従い第1部品供給装置側基板種として纏めることに対応している。
【0038】
次に、ジョブJ11に続いて生産する生産順序3番の基板種Cの部品種数nCを、第2最大部品種数N2と比較し、前述と同様の手続きを進める。これにより、部品種数が第2最大部品種数N2を超さない範囲で基板種を纏め、第2部品供給装置側基板種とすることができる。図3には、基板種C〜Fまでの4基板種を纏めた第2部品供給装置側基板種を生産するジョブJ21が例示されている。この手続きは、第1部品供給装置側基板種に続いて生産する基板の基板種を、装着される部品の部品種数が第2部品供給装置の部品収容装置の個数を超さない範囲で生産順序に従い第2部品供給装置側基板種として纏めることに対応している。なお、第1または第2部品供給装置側基板種として纏めたものがジョブであり、複数の基板種を纏めたジョブがマルチジョブである。
【0039】
以下、第1部品供給装置側と第2部品供給装置側の手続きを順次繰り返して交互に行うことで、生産順序に従って生産する基板の基板種を、第1部品供給装置側基板種および第2部品供給装置側基板種に纏めて交互に振り分けることができる。図3には、ジョブJ11およびジョブJ21に続いて、基板種GおよびHが第1部品供給装置側基板種の2番目のジョブJ12に纏められ、基板種Iが単独で第2部品供給装置側基板種の2番目のジョブJ22とされた例が示されている。
【0040】
次に、各ジョブJ11、J21、J12、J22の実装時間T11、T21、T12、T22、および準備時間t11、t21、t12、t22を推定する。実装時間T11、T21、T12、T22は、部品移載装置5が第1および第2部品供給装置3、4のうちの一方から部品を採取して第1および第2部品供給装置側基板種のうちの一方側基板種の所定数量の基板に装着するのに要する時間である。実装時間T11、T21、T12、T22は、実質的に6段のうち最も装着する部品点数が多い部品実装機1によって決まる。したがって、例えばジョブJ11の実装時間T11は、基板種Aの生産数量と部品種PAの情報および基板種Bの生産数量と部品種PBの情報に基づいて推定することができる。
【0041】
また、準備時間t11、t21、t12、t22は、一方側基板種に続いて生産する第1および第2部品供給装置側基板種のうちの他方側基板種の基板に装着される部品種の部品をそれぞれ収容するカセット式フィーダ31、41を第1および第2部品供給装置3、4のうちの他方にセットするのに要する時間である。準備時間t11、t21、t12、t22は、実質的に部品実装機1の第1および第2部品供給装置3、4のうちの他方の6台全部にカセット式フィーダ31、41をセットする時間となる。したがって、例えばジョブJ21の準備時間t21は、部品種群PC〜PFの情報に基づいて推定することができる。
【0042】
次に、各ジョブJ11、J21、J12、J22の実装時間T11、T21、T12と、その次のジョブJ21、J12、J22の準備時間t21、t12、t22との長短関係を比較する。具体的に図3の例で、実装時間T11と準備時間t21とを比較し、実装時間T21と準備時間t12とを比較し、実装時間T12と準備時間t22とを比較する。比較の結果、実装時間が準備時間よりも長ければ、実際の部品実装に進むことができる。
【0043】
比較の結果、実装時間よりも準備時間が長ければ、当該の準備時間におけるカセット式フィーダ31、41のセットの順番をモニタ装置から指示する。つまり、第1および第2部品供給装置側基板種のうちの他方側基板種で生産順序が早い基板種の基板に装着される部品種の部品を収容するカセット式フィーダ31、41から順番にセットするように指示する。例えば、図3の例で実装時間T11よりも準備時間t21が長い場合、生産順序3番で早い基板種Cの基板に装着される部品種群PCの部品を収容するカセット式フィーダ41を先ずセットするように指示する。次いで生産順序4番の基板種Dに対応するカセット式フィーダ41をセットし、続いて生産順序5番の基板種Eに対応するカセット式フィーダ41をセットし、その後に生産順序6番の基板種Fに対応するカセット式フィーダ41をセットするように指示する。
【0044】
以上の手続きを終えると、実際の部品実装に進む。図4は、第1実施形態において、図3に基づいて部品実装を行うときの進行状況を例示説明する平面図であり、(1)〜(4)は時間的経過を示している。部品実装ライン8では、補給作業者Msが実施中のジョブで部品切れが生じた部品種のカセット式フィーダ31、41を交換する部品補給作業を担当し、準備作業者Mpが次のジョブに必要な部品種のカセット式フィーダ31、41をセットする部品準備作業を担当する。
【0045】
図3のジョブJ11の部品準備作業として、まず、準備作業者Mpが部品実装ライン8の一側81で、第1部品供給装置3に部品種群PAおよびPBのカセット式フィーダ31をセットする。図4の(1)では、2番目の部品実装機1の第1部品供給装置3に矢印を付して例示したが、実際には6段の部品実装機1の各第1部品供給装置3にカセット式フィーダ31をセットする。したがって、準備作業者Mpが移動する動線Dpは、部品実装ライン8の一側81の全体に及ぶことになる。部品種群PAおよびPBの準備が終了すると、ジョブJ11の第1部品供給装置3を用いた基板種AおよびBの基板への部品実装が開始される。
【0046】
次に、準備作業者Mpは、図4の(2)に示されるように部品実装ライン8の他側82に移動し、ジョブJ21の部品準備作業として第2部品供給装置4に部品種群PC〜PFのカセット式フィーダ41をセットする。ここで、実装時間T11よりも準備時間t21が長い場合、準備作業者Mpは指示された順番に従ってカセット式フィーダ41をセットする。実装時間T11が準備時間t21よりも長い場合、カセット式フィーダ41のセットの順番は限定されない。準備作業者Mpが移動する動線Dpは、部品実装ライン8の搬送方向の他側82の全体に及ぶ。
【0047】
一方、ジョブJ11の基板種AおよびBの基板への部品実装の進捗に伴い、第1部品供給装置3のカセット式フィーダ31で部品切れが発生する。これに対応するため、補給作業者Msが部品実装ライン8の一側81で、部品切れとなった当該のカセット式フィーダ31を交換して部品を補給する。部品切れは6段の部品実装機1の第1部品供給装置3のいずれでも発生し得るので、補給作業者Msが移動する動線Dsは、部品実装ライン8の搬送方向の一側81の全体に及ぶ。
【0048】
ジョブJ11の基板種AおよびBの基板への部品実装が終了すると、ジョブJ21の第2部品供給装置4を用いた基板種C〜Fの基板への部品実装に移行する。図4の(3)に示されるように、準備作業者Mpは、再び部品実装ライン8の一側81に移動し、ジョブJ12の部品準備作業として第1部品供給装置3に部品種群PGおよびPHのカセット式フィーダ31をセットする。一方、ジョブJ21の基板種C〜Fの基板への部品実装の進捗に伴い、第2部品供給装置4のカセット式フィーダ41で部品切れが発生する。これに対応するため、補給作業者Msが部品実装ライン8の他側82に移動して、部品切れとなった当該のカセット式フィーダ41を交換して部品を補給する。
【0049】
さらに、ジョブJ21の基板種C〜Fの基板への部品実装が終了すると、ジョブJ12の第1部品供給装置3を用いた基板種GおよびHの基板への部品実装に移行する。図4の(4)に示されるように、準備作業者Mpは、再び部品実装ライン8の他側82に移動し、ジョブJ22の部品準備作業として第2部品供給装置4に部品種群PIのカセット式フィーダ41をセットする。一方、ジョブJ12の基板種GおよびHの基板への部品実装の進捗に伴い、第1部品供給装置3のカセット式フィーダ31で部品切れが発生する。これに対応するため、補給作業者Msが部品実装ライン8の一側81に再度移動して、部品切れとなった当該のカセット式フィーダ31を交換して部品を補給する。
【0050】
第1実施形態では、上述したようにジョブごとに使用する部品供給装置3、4が切り替えられる。また、ジョブごとに補給作業者Msと準備作業者Mpの位置が部品実装ライン8の搬送方向の一側81と他側82で入れ替わる。したがって、部品補給作業を行う補給作業者Msの動線Dsと、部品準備作業を行う準備作業者Mpの動線Dpとが重ならず、作業効率が良好となる。
【0051】
また、或るジョブの実装時間が次に行うジョブの準備時間よりも長い場合、或るジョブが終了する以前に次のジョブの準備が完了するので、或るジョブから次のジョブへの移行時に生産中断が発生しない。
【0052】
さらに、或るジョブの実装時間よりも次に行うジョブの準備時間が長い場合、部品供給装置3、4の他方に一部の数量のカセット式フィーダ31、41をセットすることにより、他方側基板種で生産順序が早い基板種から生産を開始することができる。例えば、図3の例でジョブJ11の実装時間T11よりもジョブJ21の準備時間t21が長い場合、準備作業者Mpは、指示にしたがって部品種群PCの部品を収容するカセット式フィーダ41を最初にセットする。したがって、この時点で部品種群PD〜PFがセットされていなくとも、基板種Cの生産を開始することができる。また、部品種群PDをセットした時点で基板種Dの生産を開始でき、部品種群PEをセットした時点で基板種Eの生産を開始できる。これに対し従来方法では、カセット式フィーダ41のセットの順番が指示されず、部品種群PC〜PFまでの全部のカセット式フィーダ41をセットした後に基板種Cの生産を開始していた。したがって、本第1実施形態によれば、マルチジョブの生産形態で、次ジョブに必要な一部の数量のカセット式フィーダ41をセットすることにより一部の基板種の生産を開始できるので、従来方法と比較して現ジョブから次ジョブに移行する際の生産中断時間を短縮でき、あるいは生産中断を回避できる。
【0053】
また、カセット式フィーダ41をセットする順番の制約があるときには、その順番をモニタ装置から指示するので、準備作業者Mpの作業内容が明瞭化され、作業効率が良好となる。
【0054】
次に、第2実施形態の部品実装ラインの部品実装方法について説明する。第2実施形態では、当初設定した生産順序を修正することにより、生産中断時間を最小限に短縮し、あるいは生産中断のおそれを最小限としている。例えば、図3の例でジョブJ11の実装時間T11よりもジョブJ21の準備時間t21が長い場合に、部品種群PCの部品種数が多いと、4つの部品種群PC〜PFを全てセットする以前に先行して基板種Cの生産を開始する効果が薄れる。したがって、ジョブJ21の基板種C〜Fの中で部品種数が少ない順番、換言すればセットするカセット式フィーダ41の数量が少ない順番に生産を行うと効果的である。以下、第2実施形態における生産順序の修正方法を主に説明する。
【0055】
第2実施形態に用いる部品実装機1および部品実装ライン8の構成は第1実施形態と同じであり、生産する基板の基板種を第1および第2部品供給装置側基板種に纏めて交互に振り分ける手続きも同様であり、纏めた基板種の中で生産順序を修正する点が異なる。図5は、第2実施形態における基板種の生産順序修正処理フローの図である。また図6は、図5のフローに従って基板種の生産順序を修正した事例を説明する図であり、(1)〜(5)は修正フローの進行状況を示している。
【0056】
まず、生産順序の修正方法を簡易に説明するために、図3でジョブJ11の実装時間T11よりもジョブJ21の準備時間t21が長い事例を設定し、基板種C〜Fに装着される部品種群PC〜PFを図6の(1)に一覧表形式で示されるように設定する。一覧表中の○印および×印は、基板種C〜Fにおける部品種p1〜p8の装着要否を示している。例えば、基板種Cに装着される部品種PC=(p3、p4、p8)であり、部品種数nC=3種である。この一覧表を基にして、制御コンピュータは、図5に示される基板種の生産順序修正処理フローを実行する。
【0057】
図5のステップS1でまず、現ジョブの実装時間が次ジョブの準備時間を越えているか否かを判定する。条件が満たされる場合、現ジョブが終了する以前に次ジョブの準備が完了するので生産順序を修正する必要はなく、処理フローを終了する。条件が満たさない場合、現ジョブが終了するまでに次ジョブの準備が完了しないので、生産順序を修正するためステップS2に進む。ステップS2で、次ジョブで生産する各基板種に装着される部品種数、換言すればセットするカセット式フィーダ31、41の数量を計算する。図6の事例では(1)の一覧表の最下段に示されるように、基板種Cの部品種数nC=3種、基板種Dの部品種数nD=2種、基板種Eの部品種数nE=7種、基板種Fの部品種数nF=4種となる。
【0058】
次にステップS3で、最も部品種数が少ない基板種を次の生産基板種とする。図6の事例では、基板種Dの部品種数nD=2種が最も少ないので、基板種Dを次の生産基板種とする。ジョブJ21の基板種C〜Fの生産順序はそれぞれ図3に示されるように当初は3番〜6番であり、基板種Dの生産順序は4番から3番に修正される。次のステップS4で、次の生産基板種とその部品種を除く。図6の事例では、基板種Dとその部品種PD=(p1、p4)を除くので、一覧表は(2)に示されるように縮小する。次のステップS5で、基板種が残り1種か否か判定され、条件が満たされると処理フローを終了し、満たされないとステップS3に戻る。図6の(2)の段階では、3基板種が残っているのでステップS3に戻る。
【0059】
2度目のステップS3では、図6の(2)に示されるように、部品種数nC=nF=2種が最も少ないのでいずれか一方を次の生産基板種とし、事例では部品種Cを次の生産基板種としている。したがって、基板種Cの生産順序は3番から4番に修正される。また、2度目のステップS4で、基板種Cとその部品種PD=(p3、p8)を除いて(3)に示される一覧表が得られる(部品p4は初回のステップS4で既に除かれている)。
【0060】
さらに、3度目のステップS3では、図6の(3)に示されるように、部品種数nF=1種が少ないので、部品種Fを次の生産基板種とし、生産順序が6番から5番に修正される。また、3度目のステップS4で、基板種Fとその部品種PF=(p7)を除いて(4)に示される一覧表が得られる。これで、ステップS5の基板種が残り1種である条件が満たされるので、処理フローを終了する。
【0061】
上述の処理フローを実施すると、図6の事例では(5)の最下段に示されるように基板種C〜Fの生産順序が修正される。また、修正後の生産順序に基づいて、(5)の最右列に示されるように部品種p1〜p8のセットの順番を定めることができる。つまり、修正後の生産順序が3番と最も早い基板種Dに装着される部品種p1およびp4のセットの順番が1となり、以下同様に、生産順序4番の基板種Cに装着される部品種p3およびp8のセットの順番が2となり、生産順序5番の基板種Fに装着される部品種p7のセットの順番が3となり、生産順序6番の基板種Eに装着される部品種p2、p5、およびp6のセットの順番が4となる。
【0062】
なお、図5の処理フローを用いずに、当初の一覧表(図6の(1)に相当)に示されるジョブ内の全基板種の部品種数が少ない順番に一挙に生産順序を修正することもできる。ただし、部品種の重複の条件などによっては、図5の逐次除去方式の処理フローで得られる結果と異なる場合もある。
【0063】
次に、実際の部品実装における部品種を準備する順番、すなわちカセット式フィーダ31、41をセットする順番を制御コンピュータがモニタ装置から指示する方法について説明する。図7は、第2実施形態で、修正後の生産順序に従って準備する部品種の順番を指示する指示フローの図である。ステップS11で現ジョブの生産(部品実装)が開始されると、直ちにステップS12で現ジョブの実装時間が次ジョブの準備時間を越えているか否かを判定する。条件が満たされる場合、現ジョブが終了する以前に次ジョブの準備を完了できるので部品種の順番は限定されない。したがって、ステップS13に進み、次ジョブで装着される全部品種を指示して、指示フローを終了する。
【0064】
条件が満たさない場合、現ジョブが終了するまでに次ジョブの準備が完了しないので、部品種の順番を指示するためステップS14に進む。ステップS14で、次ジョブのうち最初の基板種に必要な部品種をまず指示する。図6の(5)の事例では、セットの順番が1である部品種p1およびp4をまず指示する。ステップS15で、制御コンピュータは、当該部品種p1およびp4のカセット式フィーダ31、41のセットが終了したか否かを判定する。未セットの間ステップS14の指示が保持され、準備作業者Mpによりカセット式フィーダ31、41のセットが終了するとステップS16に進む。
【0065】
ステップS16で、次の基板種に必要な部品種を指示する。図6の(5)の事例では、セットの順番が2である部品種p3およびp8を指示する。ステップS17で、制御コンピュータは、当該部品種p3およびp8のカセット式フィーダ31、41のセットが終了したか否かを判定する。以下同様に、順番に部品種を指示し、当該部品種のカセット式フィーダ41のセットが終了すると、ステップS18で次ジョブの全基板種のカセット式フィーダ41のセットが終了したか否かを判定する。まだ基板種が残っていればステップS16に戻り、全基板種のセットが終了した時点で指示フローを終了する。
【0066】
第2実施形態における実際の部品実装の進行は、第1実施形態と同様で図4に類似するので説明は省略する。
【0067】
第2実施形態では、図5、図6を参考にして説明したように、他方側基板種C〜Fの基板に関して、部品供給装置のうちの他方4にセットするカセット式フィーダ41の数量が少ない順番に生産順序を修正する。そして、他方側基板種C〜Fで生産順序が早い基板種の生産に必要なカセット式フィーダ41から順番に部品供給装置のうちの他方4にセットする。したがって、部品供給装置のうちの他方4に最小限の数量のカセット式フィーダ41をセットした時点で、他方側基板種で生産順序が早い基板種Dの生産を開始できる。
【0068】
例えば図6の例で、2つの部品種p1およびp4のカセット式フィーダ41をセットした時点で、基板種Dの生産を開始できる。これに対し、生産順序を修正しない第1実施形態では、3つの部品種p3、p4、およびp8のカセット式フィーダ41をセットした時点で、基板種Cの生産を開始できる。また、従来技術では、8つの部品種p1〜p8のカセット式フィーダ41を全てセットした時点で、基板種Cの生産を開始する。したがって、本第2実施形態によれば、第1実施形態と比較しても現ジョブから次ジョブに移行する際の生産中断時間を最小限に短縮でき、あるいは生産中断を回避できる。
【0069】
またこのとき、図7を参考にして説明したように、カセット式フィーダ41をセットする順番をモニタ装置から指示するので、準備作業者Mpの作業内容が明瞭化され、作業効率が良好となる。
【0070】
なお、第1および第2実施形態では、ふたりの作業者Ms、Mpの役割をそれぞれ、実施中のジョブで部品切れが生じたときの部品補給作業と、次のジョブに必要な部品を準備する部品準備作業とに固定しているが、これに限定されない。つまり、ふたりの作業者がそれぞれ実装ライン8の搬送方向の一側81と他側82を固定して担当し、ジョブの切り替えに対応して、各作業者が部品補給と部品準備の役割を交互に果たすようにしてもよい。その他、本発明は様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1:部品実装機
2:基板搬送装置 21、22:第1および第2ガイドレール
3:第1部品供給装置 31:カセット式フィーダ(部品収容装置)
4:第2部品供給装置 41:カセット式フィーダ(部品収容装置)
5:部品移載装置
51:固定レール 52:移動台 53:支持ベース
54:部品実装ヘッド 55:吸着ノズル 56:基板認識用カメラ
71:基台 72、73:第1および第2部品認識用カメラ 74:部品搬出装置
8:部品実装ライン 81:搬送方向の一側 82:搬送方向の他側
K:基板 Ms:補給作業者 Ds:動線 Mp:準備作業者 Dp:動線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を部品実装位置に搬入し位置決めし搬出する基板搬送装置と、前記基板搬送装置の搬送方向の一側に設けられ複数の部品を収容する部品収容装置を複数個着脱可能にセットする第1部品供給装置と、前記基板搬送装置の搬送方向の他側に設けられ複数の部品を収容する部品収容装置を複数個着脱可能にセットする第2部品供給装置と、前記第1または前記第2部品供給装置の前記部品収容装置から前記部品を採取して位置決めされた前記基板に装着する部品移載装置とを備える部品実装機が複数段直列に配置された部品実装ラインの部品実装方法であって、
設定した生産順序に従って生産する基板の基板種を、装着される部品の部品種数が前記第1部品供給装置の部品収容装置の個数を超さない範囲で前記生産順序に従い第1部品供給装置側基板種として纏め、前記第1部品供給装置側基板種に続いて生産する基板の基板種を、装着される部品の部品種数が前記第2部品供給装置の部品収容装置の個数を超さない範囲で前記生産順序に従い第2部品供給装置側基板種として纏めることを順次繰り返すことにより、前記生産順序に従って生産する基板の基板種を前記第1部品供給装置側基板種および前記第2部品供給装置側基板種に交互に振り分け、
前記第1部品供給装置側基板種に装着される部品種の部品をそれぞれ収容する部品収容装置を前記第1部品供給装置にセットし、
前記第2部品供給装置側基板種に装着される部品種の部品をそれぞれ収容する部品収容装置を前記第2部品供給装置にセットし、
前記部品移載装置が前記第1および前記第2部品供給装置のうちの一方から前記部品を採取して前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの一方側基板種の基板に装着しているときに、当該生産中の一方側基板種に続いて生産する前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの他方側基板種の基板に装着される部品種の部品をそれぞれ収容する部品収容装置を前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットすることを各段の前記部品実装機において行うようにした部品実装ラインの部品実装方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記部品移載装置が前記第1および前記第2部品供給装置のうちの一方から前記部品を採取して前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの一方側基板種の所定数量の基板に装着する実装時間が、当該生産中の一方側基板種に続いて生産する前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの他方側基板種の基板に装着される部品種の部品をそれぞれ収容する部品収容装置を前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットする準備時間より長くなるように、前記生産順序に従って生産する基板の複数の基板種を、前記第1および第2部品供給装置側基板種として順次纏める部品実装ラインの部品実装方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記部品移載装置が前記第1および前記第2部品供給装置のうちの一方から前記部品を採取して前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの一方側基板種の所定数量の基板に装着する実装時間よりも、当該生産中の一方側基板種に続いて生産する前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの他方側基板種の基板に装着される部品種の部品をそれぞれ収容する部品収容装置を前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットする準備時間が長くなる場合に、前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの他方側基板種で前記生産順序が早い基板種の基板に装着される部品種の部品を収容する部品収容装置から順番に前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットする部品実装ラインの部品実装方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1および前記第2部品供給装置側基板種のうちの他方側基板種の基板に関して、前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットする部品収容装置の数量が少ない順番に前記生産順序を修正し、その後に、前記他方側基板種で前記生産順序が早い基板種の基板に装着される部品種の部品を収容する部品収容装置から順番に前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットする部品実装ラインの部品実装方法。
【請求項5】
請求項3または4において、前記第1および前記第2部品供給装置のうちの他方にセットする部品収容装置の順番を指示する部品実装ラインの部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−230995(P2012−230995A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97998(P2011−97998)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】