説明

部品実装装置および部品実装方法

【課題】無駄の発生を防止できる部品実装装置および部品実装方法を提供する。
【解決手段】部品実装装置10は、電子部品1がピックアップされるピックアップ工程を行うピックアップヘッド12と、ピックアップヘッド12と協働して受渡工程および部品実装工程を行うボンディングヘッド13と、ボンディングヘッド13のスピンドル84を上下方向に駆動させるためのボイスコイルモータ80とを備え、部品実装工程を任意の回数で実行した後に行う検査作業は、ボイスコイルモータ80がスピンドル84を上下方向に駆動する際の駆動電流値を測定し、測定開始後に予め定められた区間において駆動電流値が所定の閾値TH1を超えた場合に、それを記憶するとともに非検出区間に設定し、非検出区間に設定した区間において検出した駆動電流値を部品実装工程における接合動作実行のための判断に適用しないように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ等の電子部品を基板に実装する部品実装装置および部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボンディングヘッドに有するボイスコイルモータを駆動して、電子部品を基板の実装位置に向かって移動させ、ボイスコイルモータの駆動トルクが、あたり検出トルクに達し、かつボイスコイルモータのスピンドルが、あたり検出位置まで移動している状態を検出することにより電子部品が基板の実装位置に達したと判断して、加重動作を実行して電子部品の電極と基板の電極とを接合する部品実装装置および部品実装方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−68389号公報(図1、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1に記載された部品実装装置および部品実装方法は、ボイスコイルモータのスピンドルにかかる摺動抵抗変化による電子部品と基板の上面との接触の誤判断および電子部品の誤加重を防止できる。
ところで、前述した特許文献1に記載された部品実装装置および部品実装方法と同様に、電子部品へのダメージを抑えるために、ボイスコイルモータのスピンドルを予め定められた位置から低速動作させる部品実装装置および部品実装方法が提案されている。
このような従来の部品実装装置および部品実装方法は、低速動作中の速度を計測し、その速度が規定値を下回った場合や推力が規定値を上回った場合を接触検出としている。このとき、摺動抵抗が大きくなった場合、接触検出において誤検出が発生し、実装の不良が発生する。
そのため、このような従来の部品実装装置および部品実装方法は、このような現象が発生してからメンテナンスを実行していた。
ただし、実装の高さ付近以外での摺動抵抗が変化していたとしても、実装時の加重や、接触時の衝撃加重が変化したと検出してしまい、ボイスコイルモータあるいは直動ガイドが不良と判定されてしまう。
従って、このような従来の部品実装装置および部品実装方法は、実用範囲での使用に問題のないユニットが不良と判定されてしまうために部品の交換やメンテナンスの手間を生じ、生産性を低下させてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、部品の交換やメンテナンスの手間を生じ、生産性の低下を防止できる部品実装装置および部品実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品実装装置は、板状の本体の片面に複数のバンプを有するとともに、前記各バンプが上向きとなるように電子部品が保持される部品供給部と、前記部品供給部に対して上方から進退可能に設けられ、前記電子部品における前記バンプが設けられた面に吸着することにより前記電子部品がピックアップされるピックアップ工程を行うピックアップヘッドと、前記ピックアップヘッドと協働して前記電子部品を挟持しながら前記電子部品における前記バンプが設けられていない面をスピンドルで吸着してから、前記電子部品に対する前記ピックアップヘッドの吸着が解除されることにより、前記電子部品を受け渡される受渡工程と、前記受渡工程の後に基板保持部に保持された基板の上に前記電子部品を実装する部品実装工程とを行うボンディングヘッドと、前記ボンディングヘッドに有する駆動手段を駆動して、前記電子部品を前記基板の実装位置に向かって移動させ、前記駆動手段の駆動電流値が、所定の値に達し、かつ前記ボンディングヘッドのスピンドルが、所定の高さまで移動している状態を検出することにより前記電子部品が前記基板の実装位置に達したと判断して、接合動作を実行する制御手段と、を備え、前記部品実装工程を任意の回数で実行した後に検査作業を行い、前記検査作業は、前記ボイスコイルモータが前記スピンドルを上下方向に駆動する際の駆動電流値を測定し、測定開始後に予め定められた区間において前記駆動電流値が所定の閾値を超えた場合に、それを記憶するとともに非検出区間に設定し、前記非検出区間に設定した区間において検出した前記駆動電流値を前記部品実装工程における前記接合動作実行のための判断に適用しないように設定する。
【0007】
本発明に係る部品実装方法は、板状の本体の片面に複数のバンプを有するとともに、前記各バンプが上向きとなるように電子部品が保持される部品供給部と、前記部品供給部に対して上方から進退可能に設けられ、前記電子部品における前記バンプが設けられた面に吸着することにより前記電子部品がピックアップされるピックアップ工程を行うピックアップヘッドと、前記ピックアップヘッドと協働して前記電子部品を挟持しながら前記電子部品における前記バンプが設けられていない面をスピンドルで吸着してから、前記電子部品に対する前記ピックアップヘッドの吸着が解除されることにより、前記電子部品を受け渡される受渡工程と、前記受渡工程の後に基板保持部に保持された基板の上に前記電子部品を実装する部品実装工程とを行うボンディングヘッドと、前記ボンディングヘッドに有する駆動手段を駆動して、前記電子部品を前記基板の実装位置に向かって移動させ、前記駆動手段の駆動電流値が、所定の値に達し、かつ前記ボンディングヘッドのスピンドルが、所定の高さまで移動している状態を検出することにより前記電子部品が前記基板の実装位置に達したと判断して、接合動作を実行する制御手段と、を備え、前記部品実装工程を任意の回数で実行した後に検査作業を行い、前記検査作業は、前記ボイスコイルモータが前記スピンドルを上下方向に駆動する際の駆動電流値を測定し、測定開始後に予め定められた区間において前記駆動電流値が所定の閾値を超えた場合に、それを記憶するとともに非検出区間に設定し、前記非検出区間に設定した区間において検出した前記駆動電流値を前記部品実装工程における前記接合動作実行のための判断に適用しないように設定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る部品実装装置および部品実装方法によれば、部品の交換やメンテナンスの手間を生じ、生産性の低下を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る一実施形態の部品実装装置の全体の外観斜視図
【図2】本発明に係る一実施形態の部品実装装置の要部の外観斜視図
【図3】本発明に係る一実施形態の部品実装装置の正面図
【図4】本発明に係る一実施形態の部品実装装置の制御系のブロック構成図
【図5】本発明に係る一実施形態の部品実装方法の第1工程の外観斜視図
【図6】本発明に係る一実施形態の部品実装方法の第1工程の正面図
【図7】本発明に係る一実施形態の部品実装方法の第2工程の正面図
【図8】本発明に係る一実施形態の部品実装方法の第3工程の正面図
【図9】本発明に係る一実施形態の部品実装方法の第4工程の正面図
【図10】本発明に係る一実施形態の部品実装方法の第5工程の正面図
【図11】本発明に係る一実施形態の部品実装方法の第6工程の正面図
【図12】本発明に係る一実施形態の部品実装方法の第7工程の正面図
【図13】本発明に係る一実施形態の部品実装方法の第8工程の正面図
【図14】本発明に係る一実施形態の部品実装方法の第9工程の正面図
【図15】本発明に係る一実施形態の部品実装方法の第9工程後の電子部品の斜め下方から視た外観斜視図
【図16】本発明に係る一実施形態の部品実装装置に適用されるボイスコイルモータのストローク前の垂直断面図
【図17】本発明に係る一実施形態の部品実装装置に適用されるボイスコイルモータのストローク時の垂直断面図
【図18】本発明に係る一実施形態の部品実装装置に適用される検査装置が実行する検査作業の動作を説明するフローチャート
【図19】本発明に係る一実施形態の部品実装装置の検査作業のタイムチャート
【図20】本発明に係る一実施形態の部品実装装置の検査作業における正常時のタイムチャート
【図21】本発明に係る一実施形態の部品実装装置の検査作業における異常時のタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る一実施形態の部品実装装置および部品実装方法について図面を参照して説明する。
本発明に係る一実施形態の部品実装装置10は、板状の本体2の片面に複数のバンプ3を有するとともに、各バンプ3が上向きとなるように半導体チップ(電子部品)1が保持される部品供給部11と、部品供給部11に対して上方から進退可能に設けられ、半導体チップ1におけるバンプ3が設けられた表面4に吸着することにより半導体チップ1がピックアップされるピックアップ工程を行う半導体チップ本体当接面付のピックアップヘッド12と、ピックアップヘッド12と協働して半導体チップ1を挟持しながら半導体チップ1におけるバンプ3が設けられていない裏面5に吸着してから、半導体チップ1に対するピックアップヘッド12の吸着が解除されることにより、半導体チップ1を受け渡される受渡工程を行うボンディングヘッド13とを備える。
【0011】
図1に示すように、部品実装装置10は、基台14上に、部品供給部11に相当する部品供給ステージ15と、ユニット集合ステージ16と、基板保持ステージ17とがY方向に配列されている。
部品供給ステージ15に備えられたウェハ保持テーブル18には、実装対象となる部品である複数の半導体チップ1が配列された半導体ウェハ6が保持されている。
ユニット集合ステージ16は、直動機構19によってX方向に往復動する移動テーブル20に、ツールストッカ21,部品回収部22,較正基準マーク23,中継ステージ24、アンダーカメラ25等などの機能ユニットを集合的に配設した構成となっている。
基板保持ステージ17は、基板7を保持する基板保持テーブル26をXYテーブル機構27(図3参照)によって水平駆動する構成となっており、基板7上に半導体チップ1が実装される。
【0012】
部品供給ステージ15と、ユニット集合ステージ16と、基板保持ステージ17の上方には、基台14のX方向の端部に位置して、Y軸フレーム28が支持ポスト29によって両端部を支持されてY方向に架設されている。
Y軸フレーム28の前面には、第1ヘッド30をリニアモータ駆動によりY方向に案内して駆動するヘッド移動機構31が組み込まれている。第1ヘッド30には半導体チップ1を保持して基板7に搭載する機能を有する搭載ユニット32が装着されている。搭載ユニット32は搭載ヘッドであるボンディングヘッド13を有する。
【0013】
部品供給ステージ15と中継ステージ24と基板保持ステージ17との上方には、位置認識のために第1カメラ33と、第2カメラ34とが配設されている。
第1カメラ33は部品供給ステージ15において取り出し対象の半導体チップ1を撮像する。
第2カメラ34は基板7上の部品実装位置を撮像する。
また、ユニット集合ステージ16に配設されたアンダーカメラ25は、部品供給ステージ15から取り出された半導体チップ1を下方から撮像する。
【0014】
図2および図3に示すように、部品供給ステージ15はXYテーブル機構35を備えており、XYテーブル機構35の上面に装着された水平な移動プレート36には、複数の支持部材37が立設されている。支持部材37は、上面に半導体ウェハ6が装着されて保持されるウェハ保持テーブル18を支持している。
半導体ウェハ6は、ウェハシート8に複数の半導体チップ1を所定の配列で貼着した構成となっている。ウェハシート8には、能動面を上向きにしたフェイスアップ姿勢で個片に分割された状態の複数の半導体チップ1が貼着保持されている。
【0015】
部品供給ステージ15は、半導体ウェハ6から半導体チップ1をピックアップするためのピックアップ作業位置[P1]が設定されている。第1カメラ33の位置はピックアップ作業位置[P1]に対応しており、第1カメラ33によって半導体ウェハ6を撮像した撮像結果を認識処理することにより、ピックアップ対象の半導体チップ1の位置が検出される。
ウェハ保持テーブル18の内部においてピックアップ作業位置[P1]に対応する位置には、エジェクタ機構38が配設されている。
【0016】
エジェクタ機構38は、不図示のポンプを備えており、ウェハシート8の下面側から半導体チップ1をピンで突き上げることにより、半導体チップ1のウェハシート8からの剥離を促進する機能を有している。
半導体チップ1の取り出し時にエジェクタ機構38を昇降させてウェハシート8の下面に当接させることにより、ピックアップヘッド12による半導体チップ1のウェハシート8からの取り出しを容易に行うことができる。
【0017】
部品取り出し動作においては、XYテーブル機構35を駆動してウェハシート8をXY方向に水平移動させることにより、ウェハシート8に貼着された複数の半導体チップ1のうち、取り出し対象となる所望の半導体チップ1をピックアップ作業位置[P1]に位置させる。
【0018】
部品供給ステージ15の上方には、半導体チップ1を吸着して保持するピックアップノズル39を備えたピックアップヘッド12が配設されている。ピックアップヘッド12はピックアップアーム40に保持されており、ピックアップアーム40は、Y軸フレーム28の下面に縣吊して配置されたピックアップヘッド移動機構41から、部品供給ステージ15の上方に延出して設けられている。ピックアップヘッド移動機構41を駆動することにより、ピックアップアーム40はXYZ方向に移動するとともに、X方向の軸廻りに回転する。
【0019】
これにより、ピックアップヘッド12は部品供給ステージ15の上方とユニット集合ステージ16の上方との間でY方向に移動するとともにX方向に進退する。そのため、ピックアップヘッド12は、部品供給ステージ15から半導体チップ1をピックアップして、ユニット集合ステージ16に設けられた中継ステージ24に移送する動作を行う。また、要時に、ピックアップヘッド12をピックアップ作業位置[P1]の上方からX方向に退避させることが可能となっている。そして、ピックアップアーム40は、回転させることによりピックアップヘッド12を反転させて、ピックアップノズル39に保持されている半導体チップ1の姿勢を表裏反転させることができる。
【0020】
ユニット集合ステージ16および基板保持ステージ17は、ベースプレート42の上面に設けられており、ベースプレート42は基台14の上面に立設された複数の支持ポスト43により下方から支持されている。
【0021】
部品回収部22は、部品供給ステージ15から取り出された後に、不良部品や混入した異種部品など基板7への実装が不適と判断された部品を廃棄回収する機能を有している。較正基準マーク23は、直動機構19を継続して駆動する際に熱伸縮によって生じる機構的な位置誤差を、上方に配設された第2カメラ34によって撮像して較正するために設けられた基準マークである。
【0022】
中継ステージ24は、部品供給ステージ15と基板保持ステージ17との間に配置されてツールストッカ21と一体的に設けられた形態となっており、中継ステージ24には、部品供給ステージ15からピックアップヘッド12によって取り出された半導体チップ1が位置補正のために載置される。
【0023】
基板保持ステージ17は、XYテーブル機構27上に基板7を保持する基板保持テーブル26を設けた構成となっている。基板保持ステージ17には、半導体チップ1を基板保持テーブル26に保持された基板7に実装するための実装作業位置[P2]が設定されており、第2カメラ34は実装作業位置[P2]に対応して配置されている。そして、XYテーブル機構27を駆動することにより、基板保持テーブル26は基板7とともにXY方向に水平移動し、基板7に設定された任意の部品実装点を実装作業位置[P2]に位置させることができる。
【0024】
次に、第1ヘッド30について説明する。Y軸フレーム28に設けられたヘッド移動機構31の前面には、第1ヘッド30をY方向にガイドするための2条のガイドレール44が設けられており、これらガイドレール44の間に、第1ヘッド30をY方向に駆動するためのリニアモータを構成する固定子45が配設されている。ガイドレール44には、図示しないスライダがY方向にスライド自在に嵌合しており、このスライダが垂直な移動プレート46の背面に固着されている。
【0025】
移動プレート46の背面には、固定子45に対向してリニアモータを構成する可動子(図示省略)が配設されている。これらのリニアモータを駆動することにより、第1ヘッド30がガイドレール44によりガイドされてY方向に移動する。移動プレート46の前面には、昇降機構47が配設されており、昇降機構47の前面には昇降プレート48が垂直方向にスライド自在に配設されている。昇降機構47を駆動することにより、昇降プレート48がそれぞれ昇降する。昇降プレート48には、搭載ユニット32が着脱自在に装着されている。
【0026】
搭載ユニット32は、実装対象の部品である半導体チップ1を保持する機能を有しており、第1ヘッド30をY方向に水平移動させて昇降プレート48が昇降することにより、部品供給ステージ15から供給された半導体チップ1を、基板保持ステージ17に保持された基板7に搭載する。
このとき、搭載ユニット32が装着された第1ヘッド30による実装形態としては、ピックアップヘッド12によって部品供給ステージ15から取り出されて中継ステージ24上に載置された半導体チップ1を搭載ユニット32によって保持して基板7に搭載するプリセンタ実装形態と、部品供給ステージ15の半導体チップ1を搭載ユニット32により直接保持して基板7に搭載するダイレクト実装形態と、ピックアップヘッド12により部品供給ステージ15から取り出されて表裏反転状態でピックアップヘッド12に保持された半導体チップ1を搭載ユニット32により保持して基板7に搭載するフェイスダウン実装形態とを選択的に実行できる。
【0027】
図4に示すように、部品実装装置10に有する制御装置60による部品実装方法の制御は、部品供給ステージ15における部品供給ステージ移動機構の制御A1と、基板保持ステージ17における基板保持ステージ移動機構の制御A2と、移動テーブル20における移動テーブル移動機構の制御A3と、ピックアップヘッド12におけるピックアップヘッド移動機構の制御A4と、ピックアップヘッド12におけるピックアップヘッド吸着機構の制御A5と、搭載ユニット19における搭載ヘッド移動機構の制御A6と、搭載ユニット19における搭載ヘッド吸着機構の制御A7と、エジェクタ機構38におけるエジェクタの制御A8と、第1カメラ33における部品供給ステージカメラの制御A9と、第2カメラ34における基板保持ステージカメラの制御A10と、アンダーカメラ25におけるアンダーカメラの制御A11とである。
【0028】
次に、部品実装装置10が適用する部品実装方法について説明する。
部品実装装置10に適用された部品実装方法は、以下の部品実装工程を行う。
まず、本体2の片面に複数のバンプ3が上向きとなるように半導体チップ1を部品供給部11に保持する部品供給工程と、半導体チップ1に対して上方から進退されて半導体チップ1におけるバンプ3が設けられた表面4に吸着することにより半導体チップ1をピックアップヘッド12によりピックアップするピックアップ工程と、ピックアップヘッド12と協働して半導体チップ1を挟持しながら半導体チップ1におけるバンプ3が設けられていない裏面5に吸着してから、半導体チップ1に対するピックアップヘッド12の吸着が解除されるボンディングヘッド13により、半導体チップ1を受け渡される受渡工程を含む。
【0029】
図5および図6に示すように、部品実装方法の第1工程では、ピックアップヘッド12の下方に複数のバンプ3が上向きとなるように半導体チップ1が保持される。
【0030】
図7に示すように、部品実装方法の第2工程では、ウェハシート8の下方からエジェクタ機構38が上昇されて、エジェクタ機構38がウェハシート8に密着され、ポンプの駆動に伴い、ウェハシート8が下方に向けて吸引される。
【0031】
図8に示すように、部品実装方法の第3工程では、ピックアップヘッド12が下降されてピックアップノズル39が半導体チップ1の複数のバンプ3上に配置される。
【0032】
図9に示すように、部品実装方法の第4工程では、エジェクタ機構38が駆動されることにより、ウェハシート8の下面側から半導体チップ1がピンで突き上げられて半導体チップ1がウェハシート8から剥離される。そして、ピックアップヘッド12の上昇に伴い、半導体チップ1はピックアップヘッド12に吸着されたままピックアップヘッド12とともに上昇される。
【0033】
図10に示すように、部品実装方法の第5工程では、ピックアップヘッド12が上昇を続けるために、半導体チップ1はウェハシート8から離れていく。
【0034】
図11に示すように、部品実装方法の第6工程では、ピックアップヘッド12が180度回動されることにより半導体チップ1の裏面5を上方に配置し、半導体チップ1の裏面の上方に搭載ユニット32のボンディングヘッド13が配置される。
【0035】
図12に示すように、部品実装方法の第7工程では、ボンディングヘッド13がピックアップヘッド12に向けて進行されることにより、ボンディングヘッド13がピックアップヘッド12と協働して半導体チップ1を挟持する。
【0036】
図13に示すように、部品実装方法の第8工程では、ボンディングヘッド13が吸引を始め、ピックアップヘッド12の半導体チップ1への吸着が解除される。
【0037】
図14に示すように、部品実装方法の第9工程では、半導体チップ1は、ピックアップヘッド12からボンディングヘッド13に受け渡され、ボンディングヘッド13が、複数のバンプ3が下向きとなるように半導体チップ1を保持して基板7上に搬送され、半導体チップ1が基板7に実装される。
【0038】
図16に示すように、ボンディングヘッド13は、駆動手段であるボイスコイルモータ80を内蔵している。ボイスコイルモータ80は検査装置81により検査される。
ボイスコイルモータ80は、ケース82と、ケース82の上下にそれぞれ取り付けられたボールスプライン83と、ボールスプライン83に直動自在に支持されるスピンドル84と、スピンドル84に取り付けられたマグネット85と、スピンドル84の基端部に取り付けられたスケール86と、スケール86の位置を検出するスケールヘッド87と、マグネット85の周りにマグネット85に非接触に配置されたボイスコイル88とを備える。
【0039】
図17に示すように、ボイスコイルモータ80は、ボイスコイル88に所定の電流が通電されることにより発生した磁力に伴うフレミングの左手の法則によってスピンドル84に図16中の下方に向く運動力が与えられる。そのため、スピンドル84は、復帰位置(図16参照)B1からストローク位置B2まで直動される。ストローク位置B2はタッチ検出位置に適用される。
制御装置60は、駆動手段であるボイスコイルモータ80により半導体チップ1を基板7の実装位置に向かって移動させ、ボイスコイルモータ80の駆動電流値が、所定の値に達し、かつボンディングヘッド13のスピンドル84が、所定の高さまで移動している状態を検出することにより半導体チップ1が基板7の実装位置に達したと判断して、接合動作を実行する。
【0040】
次に、検査装置81が実行する検査作業について説明する。
図18に示すように、検査装置81は、検査作業を部品実装工程が任意の回数で実行された後に行い、開始後に予め定められた区間において所定の閾値を超えた場合に、それを記憶するとともに非検出区間に設定する。
検査装置81の検査作業は、生産の開始時や既定の実装数に達した時等に定期的に不図示の高さ基準ブロック等に対してスピンドル84を等速で下降させる。そして、スピンドル84の位置の変動と、スピンドル84の速度と、スピンドル84の推力とをモニタリングして検出する。
検査装置81は、スピンドル84の推力の検査において、摺動抵抗が大きくなっている部位を検出するとともに、摺動抵抗の変動に加えて、摺動抵抗が異常である部位や初期状態との動摩擦の変化を検出する。
【0041】
図19に示すように、検査装置81は、検査開始時点T1からスピンドル84が吸着した半導体チップ1が基板7に接触する時点T2までの予め定められた区間Cにおいて、駆動電流値(推力)が所定の閾値TH1を超えた場合、それを記憶するとともに所定の閾値TH1を超えた高さ範囲を非検出区間に設定して、当該高さ範囲における駆動電流値は次回の部品実装からのタッチ検出への適用をキャンセルし、接合動作実行のための判断に適用しないように設定する。ただし、ボイスコイルモータの動作自体が不可能となるような重大な故障を検出するために、閾値TH1以上の値で設定される所定の閾値(動作限界値)を越える場合は過負荷と判定しエラー報知する。
検査装置81は、時点T2以後の時点T4までの間の駆動電流値が閾値TH1を超えているか否かを検出し、駆動電流値が閾値TH1を超えた時点T3を物理的に既定の押圧力で実装されたと判断して検査を終了する。
【0042】
すなわち、図18に戻り、検査装置81は、タッチ検出開始位置までスピンドル84が下降されるとともにスピンドル84がタッチ検出開始位置まで下降された後に電流制御に切り換えが行われてタッチ検出サーチが開始される(ST100→ST110→ST120→ST130)。
タッチ検出サーチにおいて、検出電流がタッチ検出電流よりも大きくなっていると、タッチ設定の高さが検出され、タッチ設定の高さが正常値ではなく、検出電流が動作可能な値として設定された限界値を超えていない場合、それを記憶するとともに非検出区間に設定して、次回の部品実装からのタッチ検出への適用をキャンセルする(ST140→ST150→ST160→ST180)。
【0043】
図20に示すように、検査装置81は、検査開始時点T1からスピンドル84が吸着した半導体チップ1が基板7に接触する時点T2までの予め定められた区間Cにおいて、駆動電流値(推力)が所定の閾値TH1を超えていない場合、すなわち、機械的な問題がなければ一定の駆動電流値が検出されるために、その一定の駆動電流値が検出される。
検査装置81は、時点T2以後の時点T4までの間の駆動電流値が閾値TH1を超えているか否かを検出し、駆動電流値が閾値TH1を超えた時点T3を物理的に既定の押圧力で実装されたと判断して検査を終了する。
【0044】
すなわち、図18に戻り、検査装置81は、タッチ検出サーチにおいて、検出電流がタッチ検出電流よりも大きくなっていて、タッチ設定の高さが検出され、タッチ設定の高さが正常値であると、検査が終了される(ST140→ST150)。
【0045】
図21に示すように、検査装置81は、検出された駆動電流値がタッチ検出高さ付近で増加している場合、スピンドル84が吸着した半導体チップ1が基板7にタッチしたことによるものなのか、あるいはスピンドル84の磨耗等による摺動抵抗によるものであるか否かの判別が不可能であるためにボンディングヘッド13の降下を停止する。
【0046】
すなわち、図18に戻り、検査装置81は、タッチ検出サーチにおいて、検出電流がタッチ検出電流よりも大きくなっていて、タッチ設定の高さが正常値ではなく、検出電流が動作可能な値として設定された限界値を超えていると、エラー報知を行う(ST140→ST150→ST160→ST170)。
エラー報知とは、ブザー等の音やランプ等の点滅で作業者に促される。
【0047】
以上、説明したように一実施形態の部品実装装置10によれば、部品実装工程を任意の回数で実行した後に行われる検査装置81の検査作業において、開始後に予め定められた区間において所定の閾値を超えた場合に、それを記憶するとともに非検出区間に設定するために、部品の交換やメンテナンスの手間を生じ、生産性の低下を防止できる。
【0048】
また、一実施形態の部品実装方法によれば、部品実装工程を任意の回数で実行した後に行われる検査作業において、開始後に予め定められた区間において所定の閾値を超えた場合に、それを記憶するとともに非検出区間に設定するために、部品の交換やメンテナンスの手間を生じ、生産性の低下を防止できる。
【0049】
なお、本発明の部品実装装置および部品実装方法における部品供給ステージ,ユニット集合ステージ,基板保持ステージ等は、前述した一実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、半導体チップ等の電子部品を基板に実装する部品実装装置および部品実装方法に好適である。
【符号の説明】
【0051】
1 半導体チップ(電子部品)
2 本体
3 バンプ
10 部品実装装置
11 部品供給部
12 ピックアップヘッド
13 ボンディングヘッド
80 ボイスコイルモータ
84 スピンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の本体の片面に複数のバンプを有するとともに、前記各バンプが上向きとなるように電子部品が保持される部品供給部と、
前記部品供給部に対して上方から進退可能に設けられ、前記電子部品における前記バンプが設けられた面に吸着することにより前記電子部品がピックアップされるピックアップ工程を行うピックアップヘッドと、
前記ピックアップヘッドと協働して前記電子部品を挟持しながら前記電子部品における前記バンプが設けられていない面をスピンドルで吸着してから、前記電子部品に対する前記ピックアップヘッドの吸着が解除されることにより、前記電子部品を受け渡される受渡工程と、前記受渡工程の後に基板保持部に保持された基板の上に前記電子部品を実装する部品実装工程とを行うボンディングヘッドと、
前記ボンディングヘッドに有する駆動手段を駆動して、前記電子部品を前記基板の実装位置に向かって移動させ、前記駆動手段の駆動電流値が、所定の値に達し、かつ前記ボンディングヘッドのスピンドルが、所定の高さまで移動している状態を検出することにより前記電子部品が前記基板の実装位置に達したと判断して、接合動作を実行する制御手段と、を備え、
前記部品実装工程を任意の回数で実行した後に検査作業を行い、
前記検査作業は、前記ボイスコイルモータが前記スピンドルを上下方向に駆動する際の駆動電流値を測定し、測定開始後に予め定められた区間において前記駆動電流値が所定の閾値を超えた場合に、それを記憶するとともに非検出区間に設定し、前記非検出区間に設定した区間において検出した前記駆動電流値を前記部品実装工程における前記接合動作実行のための判断に適用しないように設定する部品実装装置。
【請求項2】
板状の本体の片面に複数のバンプを有するとともに、前記各バンプが上向きとなるように電子部品が保持される部品供給部と、
前記部品供給部に対して上方から進退可能に設けられ、前記電子部品における前記バンプが設けられた面に吸着することにより前記電子部品がピックアップされるピックアップ工程を行うピックアップヘッドと、
前記ピックアップヘッドと協働して前記電子部品を挟持しながら前記電子部品における前記バンプが設けられていない面をスピンドルで吸着してから、前記電子部品に対する前記ピックアップヘッドの吸着が解除されることにより、前記電子部品を受け渡される受渡工程と、前記受渡工程の後に基板保持部に保持された基板の上に前記電子部品を実装する部品実装工程とを行うボンディングヘッドと、
前記ボンディングヘッドに有する駆動手段を駆動して、前記電子部品を前記基板の実装位置に向かって移動させ、前記駆動手段の駆動電流値が、所定の値に達し、かつ前記ボンディングヘッドのスピンドルが、所定の高さまで移動している状態を検出することにより前記電子部品が前記基板の実装位置に達したと判断して、接合動作を実行する制御手段と、を備え、
前記部品実装工程を任意の回数で実行した後に検査作業を行い、
前記検査作業は、前記ボイスコイルモータが前記スピンドルを上下方向に駆動する際の駆動電流値を測定し、測定開始後に予め定められた区間において前記駆動電流値が所定の閾値を超えた場合に、それを記憶するとともに非検出区間に設定し、前記非検出区間に設定した区間において検出した前記駆動電流値を前記部品実装工程における前記接合動作実行のための判断に適用しないように設定する部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−104636(P2012−104636A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251604(P2010−251604)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】