説明

部品実装装置

【課題】全体のコンパクト化を図りつつ、吸着ノズルや塗布ノズルのクリーニングを十分に行うことができるようにした部品実装装置を提供することを目的とする。
【解決手段】シート部材73及びシート部材73を水平方向に進行させるシート部材進行機構(巻き取りリール駆動機構72a)を有し、シート部材73に装着用ノズル17aが上方から押し付けられた状態でシート部材73をシート部材進行機構により進行させることによって装着用ノズル17aのクリーニングを行うノズルクリーナー70を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給部より供給された部品を吸着ノズルにより吸着して基板に装着する部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は、基板の搬送及び位置決めを行う基板搬送位置決め部、部品の供給を行う部品供給部及び吸着ノズルを備えた装着ヘッドを有して成り、装着ヘッドは部品供給部が供給する部品を吸着ノズルによって吸着した後、その部品を基板搬送位置決め部によって位置決めされた基板上に装着する動作を繰り返し実行する。
【0003】
このような構成の部品実装装置では、吸着ノズルの下端にごみ等が付着すると部品の吸着ミス等が起き易くなるため、吸着ノズルのクリーニングを行うノズルクリーナーが備えられている(例えば、特許文献1)。このノズルクリーナーは水平方向に往復移動自在に設けられた研磨部材を有し、研磨部材に吸着ノズルを押し付けた状態で吸着ノズルを水平方向に移動させるとともに研磨部材を(すなわちノズルクリーナー自体を)吸着ノズルの移動方向と直交する方向に往復移動させ、吸着ノズルと研磨部材を互いに相対移動させることによって吸着ノズルのクリーニングを行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−13466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のように、吸着ノズルや塗布ノズル(以下、合わせてノズルと称する)のクリーニング時にノズルや研磨部材を水平方向に移動させるにはその移動分のスペースを必要とするため、部品実装装置がノズルクリーナーを備えることで全体のコンパクト化が妨げられる場合があるという問題点があった。また、部品実装装置全体のコンパクト化を図るため、研磨部材とノズルとを接触状態で相対移動させる機構を廃し、ノズルを研磨部材に上方から押し付けるだけでノズルのクリーニングを行うようにすることも考えられるが、この場合にはノズルに付着したごみ等を十分にクリーニングしきれないという難点があった。
【0006】
そこで本発明は、全体のコンパクト化を図りつつ、吸着ノズルや塗布ノズルのクリーニングを十分に行うことができるようにした部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の部品実装装置は、基板の搬送及び位置決めを行う基板搬送位置決め部と、部品の供給を行う部品供給部と、部品供給部が供給する部品を吸着ノズルにより吸着して基板搬送位置決め部により位置決めされた基板に装着する装着ヘッドと、シート部材及びシート部材を水平方向に進行させるシート部材進行機構を有し、シート部材に吸着ノズルが上方から押し付けられた状態でシート部材をシート部材進行機構により進行させることによって吸着ノズルのクリーニングを行うノズルクリーナーとを備えた。
【0008】
請求項2に記載の部品実装装置は、請求項1に記載の部品実装装置であって、基板に部品を装着するときに基板に部品を接着させる接着剤を塗布ノズルより基板上に塗布する塗布ヘッドを備え、ノズルクリーナーは、シート部材に塗布ノズルが上方から押し付けられた状態でシート部材をシート部材進行機構により進行させることによって塗布ノズルのクリーニングを行う。
【0009】
請求項3に記載の部品実装装置は、基板の搬送及び位置決めを行う基板搬送位置決め部と、部品の供給を行う部品供給部と、部品供給部が供給する部品を吸着ノズルにより吸着して基板搬送位置決め部により位置決めされた基板に装着する装着ヘッドと、基板に部品を装着するときに基板に部品を接着させる接着剤を塗布ノズルより基板上に塗布する塗布ヘッドと、シート部材及びシート部材を水平方向に進行させるシート部材進行機構を有し、シート部材に塗布ノズルが上方から押し付けられた状態でシート部材をシート部材進行機構により進行させることによって塗布ノズルのクリーニングを行うノズルクリーナーとを備えた。
【0010】
請求項4に記載の部品実装装置は、請求項1乃至3の何れかに記載の部品実装装置であって、ノズルクリーナーにおけるシート部材の進行方向は基板搬送位置決め部による基板の搬送方向と平行であり、ノズルクリーナーは基板搬送位置決め部に隣接して設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ノズルクリーナーが、シート部材及びシート部材を水平方向に進行させるシート部材進行機構を有し、シート部材に吸着ノズル(又は塗布ノズル)が上方から押し付けられた状態でシート部材をシート部材進行機構により進行させることによって吸着ノズル(塗布ノズル)のクリーニングを行うようになっており、吸着ノズル(塗布ノズル)のクリーニング時にノズルクリーナー自体を移動させる必要がなく、また吸着ノズル(塗布ノズル)も移動させる必要がないので、全体のコンパクト化を図りつつ、吸着ノズル(塗布ノズル)のクリーニングを十分に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態における部品実装装置の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態における部品実装装置の要部正面図
【図3】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置の部分斜視図
【図4】本発明の一実施の形態における部品実装装置の制御系統を示すブロック図
【図5】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるノズルクリーナーの斜視図
【図6】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるノズルクリーナーの動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2において、部品実装装置1は、基板2に部品(チップ)3を装着する動作を繰り返し実行するものであり、基台11上に、基板2の搬送及び位置決めを行う基板搬送位置決め部としての基板搬送路12、部品3の供給を行う部品供給部としての部品供給ステージ13、部品3が一時的に載置される中継ステージ14、基板搬送路12によって位置決めされた基板2に接着剤を塗布する塗布ヘッド15、部品供給ステージ13から部品3をピックアップ(吸着)して中継ステージ14に載置するピックアップヘッド16、中継ステージ14に載置された部品3を吸着して基板搬送路12によって位置決めされ、塗布ヘッド15によって接着剤が塗布された基板2上の目標装着位置に部品3を装着する装着ヘッド17を備えている。
【0014】
図2において、基台11上にはテーブル支柱20によって載置テーブル21が立設されており、載置テーブル21上にはXYテーブルから成る基板保持ステージ移動機構22を介して基板保持ステージ23が取り付けられており、基板保持ステージ23は基板保持ステージ移動機構22の作動によって水平面内方向に移動自在になっている。
【0015】
基板搬送路12は基板保持ステージ23上に基台11の左右方向(X軸方向)に延びて設けられており、基板保持ステージ移動機構22が作動すると、基板搬送路12が基板保持ステージ23と一体となって水平面内方向に移動する。
【0016】
基台11の上方にはヘッド移動ガイド24が基台11の前後方向(Y軸方向とする。また、図1及び図2それぞれの紙面右側を前方とする)に延びて設けられており、塗布ヘッド15と装着ヘッド17はヘッド移動ガイド24上をY軸方向に動自在に設けられている。なお、図1及び図2に示すように、装着ヘッド17は塗布ヘッド15よりも前方に位置した状態でヘッド移動ガイド24上に設けられている。
【0017】
図2において、基台11の前方領域には部品供給ステージ移動機構25が設けられており、部品供給ステージ13は部品供給ステージ移動機構25によって水平面内方向に移動される。図1及び図2において、部品供給ステージ13はシート状部材26の周辺を保持しており、シート状部材26の上面には半導体ウェハ27が貼り付けられている。部品3は半導体ウェハ27が裁断されて成り、半導体ウェハ27の下方には各部品3を下方から上方に突き上げるエジェクタ28が設けられている。
【0018】
図1及び図2において、載置テーブル21の前方領域21a(すなわち基板搬送路12と部品供給ステージ13の間の領域)には基台11の左右方向(X軸方向)に延びたガイドフレーム30が設けられている。図3(a),(b)にも示すように、ガイドフレーム30の上面にはガイドフレーム30に沿って基台11の左右方向に延びたレール31が設けられており、レール31にはスライダ32が係合してX軸方向に移動(スライド)自在になっている。スライダ32の上面には移動テーブル33が設けられており、中継ステージ14は移動テーブル33の上面に取り付けられている。
【0019】
図3(a),(b)において、ガイドフレーム30はガイドフレーム30に沿って基台11の左右方向に延びた送り螺子34の両端を支持しており、送り螺子34には移動テーブル33の下面に設けられたナット部35(図2)が螺合している。このため、ガイドフレーム30に取り付けられたテーブル移動モータ36によって送り螺子34をX軸回りに回転駆動すると、移動テーブル33が(すなわち中継ステージ14が)レール31に沿ってX軸方向に移動する。なお、図3(a),(b)に示すように、移動テーブル33上には中継ステージ14のほか、撮像面37aを上方に向けた部品認識カメラ37とツール保持部材38が設けられている。
【0020】
図1において、ヘッド移動ガイド24の下部にはピックアップヘッド移動機構41によってY軸方向及びZ軸方向への移動が自在なピックアップヘッド保持アーム42が設けられており、ピックアップヘッド16はこのピックアップヘッド保持アーム42の先端部に設けられている。ピックアップヘッド16には吸着ノズルから成るピックアップ用ノズル16aが取り付けられている(図2も参照)。
【0021】
図1及び図2において、ヘッド移動ガイド24上には前方移動プレート51と後方移動プレート53がヘッド移動ガイド24上を(すなわちY軸方向に)移動自在に設けられている。装着ヘッド17は前方移動プレート51に対して昇降移動自在な装着ヘッド昇降プレート52に取り付けられており、塗布ヘッド15は後方移動プレート53に対して昇降移動な塗布ヘッド昇降プレート54に取り付けられている。
【0022】
図1及び図2において、装着ヘッド17には吸着ノズルから成る装着用ノズル17aが下方に延びた状態で着脱自在に取り付けられており、前述のツール保持部材38には交換用の装着用ノズル17aが保持されている(図3(a),(b))。
【0023】
図1及び図2において、塗布ヘッド15には下方に延びた塗布ノズル15aが設けられている。塗布ヘッド15内には基板2に部品3を装着するときに基板2に部品3を接着させる接着剤(図示せず)が貯留されており、接着剤は塗布ノズル15aの下端から吐出される。
【0024】
図2において、部品供給ステージ移動機構25によって部品供給ステージ13が移動されるときに、部品供給ステージ13によって保持された半導体ウェハ27が移動する面内には、ピックアップヘッド16がピックアップ用ノズル16aにより部品供給ステージ13に供給された部品3をピックアップ(吸着)するポイントであるピックアップポイントP1が定められており、中継ステージ14のX軸方向への移動軌道上には、装着ヘッド17が装着用ノズル17aにより、ピックアップヘッド16によって中継ステージ14上に載置された部品3を吸着するポイントである中継ポイントP2が定められている。また、基板保持ステージ移動機構22によって基板保持ステージ23が移動されるときに、基板保持ステージ23によって保持された基板2が移動する面内には、塗布ヘッド15が塗布ノズル15aによって基板2上に接着剤を塗布し、また装着ヘッド17が装着用ノズル17aによって部品3を基板2上に装着するポイントである装着ポイントP3が定められている。これらピックアップポイントP1、中継ポイントP2及び装着ポイントP3はそれぞれ、基台11を基準とする座標系上の定点として定められている。
【0025】
図1及び図2において、ヘッド移動ガイド24の上方には、基台11の前方から順に、部品供給ステージカメラ61、中継ステージカメラ62及び基板保持ステージカメラ63がそれぞれ撮像面を下方に向けた姿勢で設けられている。図2に示すように、部品供給ステージカメラ61の光軸L1は部品供給ステージ13上に設定されたピックアップポイントP1を通っており、中継ステージカメラ62の光軸L2は中継ステージ14上に設定された中継ポイントP2を通っている。また、基板保持ステージカメラ63の光軸L3は基板保持ステージ23上に設定された装着ポイントP3を通っている。
【0026】
図1及び図2において、基板搬送路12の側面には吸着ノズルである装着用ノズル17aに付着したごみ等を除去するほか、塗布ヘッド15が備える塗布ノズル15aの下端に付着した接着剤の滓を除去するためのノズルクリーナー70が設けられている。
【0027】
図5及び図6(a),(b)において、ノズルクリーナー70は、基板保持ステージ23の側面にX軸方向に並んで取り付けられた繰り出しリール71と巻き取りリール72を備え、巻き取りリール72は巻き取りリール駆動機構72aによって回転駆動されるようになっている。繰り出しリール71と巻き取りリール72にはシート部材73が掛け渡されており、繰り出しリール71はシート部材73を繰り出し、巻き取りリール72はシート部材73を巻き取るようになっている。繰り出しリール71と巻き取りリール72の間のシート部材73の水平姿勢部分73aの下方には上面が平らなバックアップ部材74が付勢部材75によって上方に付勢された状態で設けられている。
【0028】
このように本実施の形態では、繰り出しリール71、巻き取りリール72及び巻き取りリール駆動機構72aは、シート部材73を水平方向(ここではX軸方向)に進行させるシート部材進行機構として機能する。また、ノズルクリーナー70におけるシート部材73の進行方向(X軸方向)は基板搬送路12による基板2の搬送方向と平行であり、ノズルクリーナー70は基板搬送路12に隣接して設けられたものとなっている。
【0029】
ノズルクリーナー70の巻き取りリール72を回転駆動してシート部材73を巻き取ると(図6(b)中に示す矢印A1)、シート部材73の張力によって繰り出しリール71が回転され(図6(b)中に示す矢印A2)、繰り出しリール71からシート部材73が繰り出される。このようにしてノズルクリーナー70ではシート部材73を一定の方向(ここではX軸方向)に進行させることができ(図6(b)中に示す矢印B)、装着用ノズル17a(或いは塗布ノズル15a)をバックアップ部材74上のシート部材73の水平姿勢部分73aに上方から押し付けた後(図6(a)中に示す矢印C)、その状態で巻き取りリール72を回転駆動させてシート部材73を進行させると、シート部材73は装着用ノズル17a(或いは塗布ノズル15a)に対して相対移動し、装着用ノズル17aの下端に付着したごみ(或いは塗布ノズル15aの下端に付着した接着剤の滓)が除去される(図6(b))。
【0030】
基板2の搬送及び位置決め動作は、部品実装装置1が備える制御装置80(図4)が基板搬送路12の作動制御を行うことによってなされ(図4)、基板搬送路12の水平面内方向への移動動作は、制御装置80が基板保持ステージ移動機構22の作動制御を行って基板保持ステージ23を移動させることによってなされる(図4)。
【0031】
部品供給ステージ13による部品3の供給動作は、制御装置80が部品供給ステージ移動機構25の作動制御を行って部品供給ステージ13を水平面内方向に移動させることによってなされる(図4)。
【0032】
中継ステージ14のX軸方向への移動動作は、制御装置80がテーブル移動モータ36の作動制御を行って、移動テーブル33をレール31に沿って移動させることによってなされる(図3(a)→図3(b)又は図3(b)→図3(a))。
【0033】
ピックアップヘッド16のY軸方向への移動動作は、制御装置80がピックアップヘッド移動機構41の作動制御を行ってピックアップヘッド16をY軸方向及びZ軸方向に移動させることによってなされ(図4)、ピックアップヘッド16によるピックアップ用ノズル16aを介した部品3の吸着及びその解除動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成るピックアップヘッド吸着機構81(図4)の作動制御を行うことによってなされる。
【0034】
装着ヘッド17のY軸方向への移動動作は、制御装置80がヘッド移動ガイド24及び前方移動プレート51から構成されるリニアモータをアクチュエータとする装着ヘッド水平移動機構82(図4)の作動制御を行ってヘッド移動ガイド24に対して前方移動プレート51を水平方向(Y軸方向)に移動させることによってなされ、装着ヘッド17の昇降動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成る装着ヘッド昇降機構83(図1、図2及び図4)の作動制御を行って前方移動プレート51に対して装着ヘッド昇降プレート52を昇降させることによってなされる。また、装着ヘッド17による部品3の吸着及びその解除動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成る装着ヘッド吸着機構84(図4)の作動制御を行うことによってなされる。
【0035】
塗布ヘッド15のY軸方向への移動動作は、制御装置80がヘッド移動ガイド24及び後方移動プレート53から構成されるリニアモータをアクチュエータとする塗布ヘッド水平移動機構85(図4)の作動制御を行ってヘッド移動ガイド24に対して後方移動プレート53を水平方向(Y軸方向)に移動させることによってなされ、塗布ヘッド15の昇降動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成る塗布ヘッド昇降機構86(図1、図2及び図4)の作動制御を行って後方移動プレート53に対して塗布ヘッド昇降プレート54を昇降させることによってなされる。また、塗布ヘッド15による接着剤の塗布動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成る接着剤吐出機構87(図4)の作動制御を行うことによってなされる。
【0036】
ピックアップポイントP1に位置した部品供給ステージ13上の部品3を上方に突き上げる動作は、制御装置80が図示しないアクチュエータ等から成るエジェクタ駆動機構88(図4)の作動制御を行ってエジェクタ28を上動させることによってなされる。
【0037】
部品供給ステージカメラ61によるピックアップポイントP1を含む領域の撮像動作、中継ステージカメラ62による中継ポイントP2を含む領域の撮像動作、基板保持ステージカメラ63による装着ポイントP3を含む領域の撮像動作及び部品認識カメラ37によるその直上領域の撮像動作の制御は制御装置80によってなされる(図4)。また、これら部品供給ステージカメラ61、中継ステージカメラ62、基板保持ステージカメラ63及び部品認識カメラ37の撮像動作によって得られた画像データは制御装置80に入力される(図4)。
【0038】
ノズルクリーナー70におけるシート部材73の進行動作は、制御装置80がノズルクリーナー70のシート部材進行機構としての巻き取りリール駆動機構72aの作動制御を行って巻き取りリール72を回転させることによってなされる(図4)。
【0039】
次に、この部品実装装置1において、部品供給ステージ13上の部品3を基板保持ステージ23に保持された基板2に装着する手順について説明する。
【0040】
図2において制御装置80は先ず、図示しないウェハ搬送機構の作動制御を行って、複数の部品3に裁断された半導体ウェハ27を部品供給ステージ13に保持させるとともに、基板搬送路12の作動制御を行って、部品3の装着対象となっている基板2を基板保持ステージ23に保持させる(準備工程)。
【0041】
準備工程が終了したら、制御装置80は中継ステージ14をX軸方向に移動させて、中継ステージ14上の所定位置(例えば中継ステージ14の中心位置)を中継ポイントP2に位置させる(中継ステージ位置合わせ工程)。
【0042】
中継ステージ位置合わせ工程が終了したら、制御装置80は部品供給ステージ13上の半導体ウェハ27を水平面内方向に移動させ、部品供給ステージカメラ61によって撮像される画像を参照しながら、基板2への装着対象となっている部品3をピックアップポイントP1に位置させる(部品位置合わせ工程)とともに、基板保持ステージ23上の基板2を水平面内方向に移動させ、基板保持ステージカメラ63によって撮像される画像を参照しながら、基板2上の目標装着位置を装着ポイントP3に位置させる(基板位置合わせ工程)。
【0043】
制御装置80は、部品位置合わせ工程及び基板位置合わせ工程が終了したら、ピックアップヘッド16をピックアップポイントP1に位置させて部品3をピックアップ用ノズル16aに吸着させる(ピックアップ工程。図2中に示す矢印D1)。このピックアップ工程では、部品3が容易にピックアップ用ノズル16aに吸着されるようにするために、制御装置80はエジェクタ28を作動させて、部品3がエジェクタ28により下方から上方に付き上げられるようにする。
【0044】
制御装置80は、ピックアップ工程が終了したら、部品3をピックアップしたピックアップヘッド16をピックアップポイントP1から中継ポイントP2に移動させて部品3を中継ステージ14に移載する(部品移載工程。図2中に示す矢印D2)。中継ステージ14に部品3を移載したピックアップヘッド16は、次のピックアップ工程を行うためにピックアップポイントP1へ移動される。
【0045】
制御装置80は、部品移載工程が終了したら、中継ステージカメラ62によって撮像される中継ステージ14の画像を参照しながら、中継ステージ14上に移載した部品3の中継ポイントP2からの位置ずれを算出する(位置ずれ算出工程)。ここで、部品3の中継ポイントP2からのX軸方向のずれ量が求められた場合には、制御装置80は移動テーブル33をX軸方向に移動させて、そのX軸方向のずれ量が補正されるようにする(X軸方向位置補正工程)。
【0046】
制御装置80は、X軸方向位置補正工程が終了したら、装着ヘッド17を中継ポイントP2の上方に位置させ、上記の部品移載工程で中継ポイントP2に載置された部品3を装着用ノズル17aに吸着させて部品3を吸着する(部品吸着工程。図2中に示す矢印D3)。この際、位置ずれ算出工程で求めた部品3の中継ポイントP2からのY軸方向のずれ量が補正されるように中継ポイントP2の上方での装着ヘッド17のY軸方向の位置を調整する。
【0047】
そして、この装着ヘッドピックアップ工程とほぼ同時期に、制御装置80は塗布ヘッド15を待機位置(ヘッド移動ガイド24の後端部領域。図2に示す塗布ヘッド15の位置参照)から装着ポイントP3の上方に位置させ、塗布ヘッド15により装着ポイントP3(すなわち基板2上の目標装着位置)に接着剤を塗布する(接着剤塗布工程。図2中に示す矢印D4)。
【0048】
制御装置80は、接着剤塗布工程が終了したら、塗布ヘッド15を装着ポイントP3から待機位置に退避させる(塗布ヘッド退避工程)。そして、塗布ヘッド退避工程の終了の直後に、制御装置80は装着ヘッド17を中継ポイントP2から装着ポイントP3の上方へ移動させ、部品吸着工程で装着用ノズル17aによって吸着した部品3を装着ポイントP3に装着させる(部品装着工程。図2中に示す矢印D5)。これにより部品供給ステージ13上のピックアップポイントP1に供給された部品3が中継ステージ14経由で基板2上の目標装着位置に装着された状態となる。
【0049】
このように装着ヘッド17は、部品供給部としての部品供給ステージ13が供給する部品3を(中継ステージ14経由で)装着用ノズル17aにより吸着して基板搬送位置決め部としての基板搬送路12により位置決めされた基板2に装着するものとなっている。
【0050】
このようにしてひとつの部品3が基板2上の目標装着位置に装着されたら、引き続き上述の準備工程より後の工程(中継ステージ位置合わせ工程→部品位置合わせ工程・基板位置合わせ工程→・・・→部品装着工程)を繰り返す。
【0051】
なお、上記の部品装着工程では、装着ヘッド17により中継ポイントP2からピックアップされた部品3が部品認識カメラ37の上方を通過する際、制御装置80は装着ヘッド17の移動を一時停止させて装着用ノズル17aに吸着されている部品3が部品認識カメラ37の直上領域(撮像視野内)に静止するようにし、部品認識カメラ37により部品3の撮像(認識)を行ってその部品3の位置情報を入手する。これにより制御装置80は装着用ノズル17aに対する部品3の吸着ずれを算出することができ、部品3を基板2上に装着する際にその吸着ずれが修正されるように装着ヘッド17の移動量を調節することによって、部品3が正確に基板2上の目標装着位置に装着されるようにすることができる。
【0052】
部品実装の途中等において、装着用ノズル17aを基板2に装着する部品3の形状等に応じて交換する必要が生じた場合には、制御装置80からテーブル移動モータ36を作動させて移動テーブル33をX軸方向に移動させ、交換用の装着用ノズル17aを交換に適した位置に位置させるようにする。
【0053】
制御装置80は、部品3を装着した実装基板の生産枚数などをカウントすることによって、装着用ノズル17a(或いは塗布ノズル15a)の使用累積時間が所定の閾値を超えたことを検知した場合には、ノズルクリーナー70によって装着用ノズル17a(或いは塗布ノズル15a)のクリーニングを行う。装着用ノズル17a(塗布ノズル15a)のクリーニングでは先ず、基板保持ステージ移動機構22の作動制御を行って、ノズルクリーナー70のシート部材73の水平姿勢部分73aを装着ポイントP3の直下に位置させる。
【0054】
制御装置80は、シート部材73の水平姿勢部分73aを装着ポイントP3の直下に位置させたら、シート部材73の水平姿勢部分73aに装着用ノズル17a(塗布ノズル15a)を上方から押し付け(図6(a)中に示す矢印C)、巻き取りリール駆動機構72aの作動制御を行って、シート部材73を水平方向(X軸方向)に進行させる(図6(b)中に示す矢印B)。これにより装着用ノズル17a(塗布ノズル15a)とシート部材73とが相対移動し、装着用ノズル17aに付着したごみ(或いは塗布ノズル15aに付着した接着剤の滓)が除去される(図6(b))。
【0055】
このように本実施の形態における部品実装装置1では、ノズルクリーナー70が、シート部材73及びシート部材73を水平方向に進行させるシート部材進行機構としての巻き取りリール駆動機構72aを有し、シート部材73に吸着ノズル(又は塗布ノズル15a)が上方から押し付けられた状態でシート部材73を巻き取りリール駆動機構72aにより進行させることによって装着用ノズル17a(又は塗布ノズル15a)のクリーニングを行うようになっており、装着用ノズル17a(塗布ノズル15a)のクリーニング時にノズルクリーナー自体を移動させる必要がなく、また装着用ノズル17a(塗布ノズル15a)も移動させる必要がないので、全体のコンパクト化を図りつつ、装着用ノズル17a(塗布ノズル15a)のクリーニングを十分に行うことができる。このノズルクリーナー70は、装着用ノズル17a又は塗布ノズル15aの専用であってもよいし、装着用ノズル17aと塗布ノズル15aで共用できるのであれば共用であってもよい。
【0056】
ここで、図6(a),(b)に示すように、塗布ノズル15aの下端に下方に開口した円筒形状の窪み部15bが設けられるとともに、塗布ノズル15aの内部を上下方向に延びる接着剤通路15cの下端が窪み部15b内に開口しており、塗布ノズル15aの下端をシート部材73に接触させただけでは接着剤通路15cの下端をクリーニングすることができない場合には、バックアップ部材74の上面に、窪み部15bに下方から入り込む形状の円筒状の突起部74aを形成し、シート部材73の水平姿勢部分73aの一部がバックアップ部材74の突起部74aによって持ち上げられて接着剤通路15cの下端に接触するようにすればよく、これにより塗布ノズル15aの下端に付着した接着剤の滓を確実に除去することができる。
【0057】
このように、バックアップ部材74の突起部74aを塗布ノズル15aの下端の窪み部15b内に下方から入り込ませる構成の場合には、塗布ノズル15aをバックアップ部材74に対して相対移動させることはできない(もし相対移動させると、突起部74aと窪み部15bの内壁とが干渉する)ことから、シート部材73に塗布ノズル15aが上方から押し付けられた状態でシート部材73をシート部材進行機構(巻き取りリール駆動機構72a)により進行させることによって塗布ノズル15aのクリーニングを行う上記構成が大変有効となる。
【0058】
また、本実施の形態における部品実装装置1では、ノズルクリーナー70におけるシート部材73の進行方向は基板搬送路12による基板2の搬送方向(X軸方向)と平行であり、ノズルクリーナー70は基板搬送路12に隣接して設けられているので、ノズルクリーナー70の設置のために大きなスペースを必要とせず、この面からも部品実装装置1全体のコンパクト化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
全体のコンパクト化を図りつつ、吸着ノズルや塗布ノズルのクリーニングを十分に行うことができるようにした部品実装装置を提供する。
【符号の説明】
【0060】
1 部品実装装置
2 基板
3 部品
12 基板搬送路(基板搬送位置決め部)
13 部品供給ステージ(部品供給部)
15 塗布ヘッド
15a 塗布ノズル
17 装着ヘッド
17a 装着用ノズル(吸着ノズル)
70 ノズルクリーナー
72a 巻き取りリール駆動機構(シート部材進行機構)
73 シート部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の搬送及び位置決めを行う基板搬送位置決め部と、
部品の供給を行う部品供給部と、
部品供給部が供給する部品を吸着ノズルにより吸着して基板搬送位置決め部により位置決めされた基板に装着する装着ヘッドと、
シート部材及びシート部材を水平方向に進行させるシート部材進行機構を有し、シート部材に吸着ノズルが上方から押し付けられた状態でシート部材をシート部材進行機構により進行させることによって吸着ノズルのクリーニングを行うノズルクリーナーとを備えたことを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
基板に部品を装着するときに基板に部品を接着させる接着剤を塗布ノズルより基板上に塗布する塗布ヘッドを備え、ノズルクリーナーは、シート部材に塗布ノズルが上方から押し付けられた状態でシート部材をシート部材進行機構により進行させることによって塗布ノズルのクリーニングを行うことを特徴とする請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
基板の搬送及び位置決めを行う基板搬送位置決め部と、
部品の供給を行う部品供給部と、
部品供給部が供給する部品を吸着ノズルにより吸着して基板搬送位置決め部により位置決めされた基板に装着する装着ヘッドと、
基板に部品を装着するときに基板に部品を接着させる接着剤を塗布ノズルより基板上に塗布する塗布ヘッドと、
シート部材及びシート部材を水平方向に進行させるシート部材進行機構を有し、シート部材に塗布ノズルが上方から押し付けられた状態でシート部材をシート部材進行機構により進行させることによって塗布ノズルのクリーニングを行うノズルクリーナーとを備えたことを特徴とする部品実装装置。
【請求項4】
ノズルクリーナーにおけるシート部材の進行方向は基板搬送位置決め部による基板の搬送方向と平行であり、ノズルクリーナーは基板搬送位置決め部に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−227236(P2012−227236A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91671(P2011−91671)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】