部品搬送装置および方法ならびに作業ハンド
【課題】部品の搬送および空の部品箱の回収を行うシステム全体を簡素化して設備コストを抑える。
【解決手段】作業ハンド25を備えたロボット5は、上下ガイド部9および走行ガイド11によって部品棚1の各間口に対して移動可能であり、部品棚1に収容した部品箱3内の部品を作業ハンド25の先端に設けたバキュームカップで吸着把持してキット箱7に投入する。この際キット箱7は、ロボット5と一体となって移動するキット箱支持部15に移載された状態である。空になった部品箱3は、作業ハンド25を空の部品箱3の下部に侵入させた後、上昇させることで、上部に設けてある第1,第2各部品箱受け板上に載せ、外部の空箱回収部61に搬出する。
【解決手段】作業ハンド25を備えたロボット5は、上下ガイド部9および走行ガイド11によって部品棚1の各間口に対して移動可能であり、部品棚1に収容した部品箱3内の部品を作業ハンド25の先端に設けたバキュームカップで吸着把持してキット箱7に投入する。この際キット箱7は、ロボット5と一体となって移動するキット箱支持部15に移載された状態である。空になった部品箱3は、作業ハンド25を空の部品箱3の下部に侵入させた後、上昇させることで、上部に設けてある第1,第2各部品箱受け板上に載せ、外部の空箱回収部61に搬出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品箱に収納してある部品を把持して外部に搬送するとともに、空になった部品箱を回収する部品搬送装置および方法ならびに作業ハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
部品箱に収納してある部品の組立ラインへの供給をロボットにより行うとともに、空になった部品箱を回収する組立部品供給装置が下記特許文献1に記載されている。この場合、ロボットの移動方向に沿ってその両側に、部品箱を供給するとともに空になった部品箱を回収する複数の部品箱供給ユニットを配置している。
【特許文献1】特開平10−15865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記した従来の組立部品供給装置では、部品箱内の部品をロボットによって組立ラインへ供給する一方、空になった部品箱については、ロボットを用いずに、専用の部品箱供給ユニットを利用しているため、組立部品供給装置としてシステム全体が複雑化して大掛かりなものとなり、設備コストの上昇を招いている。
【0004】
そこで、本発明は、部品の搬送および空の部品箱の回収を行うシステム全体を簡素化して設備コストを抑えることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、部品箱収容部に部品箱を配置し、この部品箱に収納された部品を部品把持部にて把持して外部に搬出する作業ハンドを備え、この作業ハンドに、前記部品箱を前記部品箱収容部から外部の部品箱搬出部に搬出する部品箱回収部を設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、部品箱に収納された部品を部品把持部にて把持して外部に搬出する作業ハンドに、部品箱を部品箱収容部から外部の部品箱搬出部に搬出する部品箱回収部を設けたので、空になった部品箱を外部に搬出する際に、空箱回収用の専用のユニットを設ける必要がなく、システム全体を簡素化して設備コストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態を示す部品搬送装置の正面図、図2は図1の平面図、図3は図1の左側面図である。この部品搬送装置は、部品箱収容部としての部品棚1に部品箱3を多数収容可能である。なお、上記図1〜図3では、部品箱3は3個のみ図示し、またその部品箱3内には、小物部品である例えば自動車のドアハンドルからなる部品Wを多数収納可能である。
【0009】
部品箱3内の部品Wは、部品棚1の近傍に配置してあるロボット5により把持してキット箱7に投入する。ロボット5は、図1に示すように鉛直方向に延びる上下ガイド部9に沿って上下(鉛直)方向に移動可能であるとともに、上下ガイド部9とともに部品棚1に沿って水平方向に延びる走行ガイド部11に沿って図1,2中で左右方向に移動可能である。
【0010】
また、前記したキット箱7は、キット箱投入部13から、前記したロボット5とともに一体的に移動するキット箱支持部15に移載された状態で、ロボット5が把持した部品Wが投入される。このキット箱7には、他の作業工程で他の小物部品が投入される。このようなキット箱7は、自動車を生産する上で必要とする所定の各種小物部品が投入された状態で、図示しない生産ラインへ供給され、これら各小物部品が自動車本体に取り付けられる。
【0011】
部品棚1は、図1の正面図で示すように、上下方向に6段、左右方向に6列、全部で36の部品箱収容スペース17を備え、全体をパイプ材で構成している。この各部品箱収容スペース17は、図2に示すように、前記したロボット5の走行ガイド部11から離れる方向に延びており、この長い領域に、部品箱3を3〜4個収容可能である。したがって、この部品棚1への部品箱3の収納個数は、1つの部品箱収容スペース17に4個収納するとして、上下方向6段×左右幅方向6段×4個=144個となる。
【0012】
また、部品箱収容スペース17は、図3に示すように、ロボット5を配置した側が低くロボット5と反対側が高くなるように3〜4度傾斜しており、このロボット5と反対側の図3中で右側に開口している部品箱投入口18から部品箱3を投入することで、部品箱3は上記の傾斜に沿ってロボット5側の端部の各間口19に向けて重力によってスライド移動し、該端部位置にてストッパ部材20により停止した状態となる。
【0013】
この際、各部品箱収容スペース17内の下端部において、図1中で左右両側にて互いに対向する方向に突出する部品箱3の受け部となるスライド受け部21を設けている。このスライド受け部21上に、前述した部品箱投入口18から投入した部品箱3の左右両側部が載せられることになる。また、スライド受け部21にはその全長にわたり、部品箱3の移動をスムーズにするためのローラ22を回転可能に設けている。なお、図2では、このローラ22をロボット5側の一部にのみ図示している。
【0014】
ロボット5は、前述した上下ガイド部9に対して基台23を介して上下方向に移動し、この基台23に基端部を取り付けた例えば6軸の多関節型とし、先端には前記した部品Wを把持する作業ハンド25を備えている。
【0015】
作業ハンド25は、図4に示すように、本体部としての長尺のハンドフレーム27を備え、ハンドフレーム27の図4中で右側の基端部に設けたロボット取付部29をロボット5の先端に取り付ける。図5は図4の平面図、図6は図4の左側面図である。なお、図4は、図3に図示している作業ハンド25に対して左右を逆にしている。つまり、図4の作業ハンド25は、図1に図示している作業ハンド25の右側面図に相当する。
【0016】
ハンドフレーム27の図4中で左側の先端下部には、部品把持部としてのバキュームパッド31を、取付ブロック32を介して複数(ここでは4個)設けている。このバキュームパッド31により、ドアハンドルである部品Wの表面を吸着して把持する。取付ブロック32には、図示しない真空吸引装置に配管接続する接続具30を設けている。
【0017】
また、上記したバキュームパッド31の近傍には、部品Wを認識するための認識用カメラ33を設け、該カメラ33の周囲には環状の照明34を設けている。すなわち、照明34によって明瞭化した状態の部品箱3内の部品Wを、認識用カメラ33の視野領域Vによって認識することになる。
【0018】
ハンドフレーム27先端の上記したバキュームパッド31と反対側の上部には、第1部品箱受け板35を設けている。この第1部品箱受け板35の下面の図6中で右側に前記した認識用カメラ33を取り付けている。さらに、ハンドフレーム27の長手方向中央よりロボット取付部29側の上部には、第2部品箱受け板37を設けている。
【0019】
そして、第1部品箱受け板35の先端側上面に設けた受けパッド39上に部品箱受け面39aを形成し、第2部品箱受け板37の図5中で上下両端部すなわちハンドフレーム27の両側方の上面に設けた受けパッド41上に部品箱受け面41aを形成している。これら第1部品箱受け板35および受けパッド39と、第2部品箱受け板37および受けパッド41により部品箱回収部を構成している。
【0020】
上記した各部品箱受け面39a,41a上に空の部品箱3を載せることになるが、この際、部品箱3の後端面を受けるために、ハンドフレーム27のロボット取付部29側の上部には、取付ブラケット43を介して後部受け板45を設けている。
【0021】
走行ガイド部11の図1,2中で右側の端部の部品棚1側近傍には、前記したキット箱投入部13を設けてある。キット箱投入部13は、パイプ材で構成した支持台47上に、図1に示すように、部品棚1に近い側の高さが低くなるよう傾斜したキット箱受け部49を備え、このキット箱受け部49に図1,図2中で右側から投入されたキット箱7が重力によって部品棚1側に向けて移動し、キット箱受け部49の端部に設けてある図示しないストッパに係止されて停止した状態となる。
【0022】
なお、上記したキット箱受け部49にも、前記した部品箱収容スペース17のスライド受け部21と同様にローラ50を複数設けている。
【0023】
一方、ロボット5側に設けてある前記したキット箱支持部15は、図3に示すように、基台23の底部から部品棚1に向けて突出する支持ブラケット51に取り付けている。この支持ブラケット51は、ロボット5のキット箱投入部13側に位置する支持アーム53を有し、この支持アーム53上にキット箱支持部15を設けてある。
【0024】
キット箱支持部15は、2本のガイドレール状に形成してあり、前記したキット箱受け部49と同様に、図1に示すように、ロボット5側の高さが低くなるよう傾斜し、かつ、ロボット5が図1中で右側の端部に位置しているときに、先端側部分15aがキット箱受け部49の下部に入り込むよう設定している。また、このキット箱支持部15にもその全長にわたりローラ54を設けている。
【0025】
上記図1のようにロボット5がキット箱投入部13側の移動端に位置するときに、この移動端位置を図示しないセンサが検知することで、キット箱投入部13に設けてある前記した図示しないストッパによるキット箱7の支持を解除し、これによりキット箱投入部13上のキット箱7が重力によりスライド移動してキット箱支持部15に移載される。
【0026】
このときキット箱支持部15には、キット箱投入部13から移載されたキット箱7のキット箱投入部13と反対側(図1,図2中で左側)への移動を阻止するために、図示しないロボット側ストッパを設けている。
【0027】
走行ガイド部11のキット箱投入部13と反対側の図2中で左側の端部の部品棚1側近傍には、キット箱排出部55を設けている。キット箱排出部55は、キット箱投入部13と同様のパイプ材で構成した支持台57上に、図1に示すように、部品棚1に近い側の高さが高くなるよう傾斜している大略2本のガイドレール状に形成してあり、図1,図2中で右側のキット箱支持部15から移載投入されたキット箱7が重力によって部品棚1から離れる方向に向けてスライド移動し、図示しない他の工程に搬出される。このキット箱排出部55にもその全長にわたりローラ59を設けている。
【0028】
キット箱7のキット箱支持部15からキット箱排出部55への移載は、ロボット5が図7,図8のように最下端位置にて左側の移動端まで移動したときに、この移動端を図示しないセンサが検知して前記した図示しないロボット側ストッパによるキット箱7の係止を解除することで行う。
【0029】
上記したキット箱排出部55の途中でかつ部品棚1の側方位置には、部品箱搬出部としての空箱回収部61を設置している。空箱回収部61は、脚部63の上部に前記した部品棚1における部品箱収容スペース17と同方向に延びる空箱回収レーン65を備えている。
【0030】
空箱回収レーン65は、前記した部品箱収容スペース17と同様に、図2中で左右両側に互いに対向する方向に突出する部品箱3の受け部となるスライド受け部67を、図2中で上下方向に延長して設けている。このスライド受け部67は、部品箱収容スペース17とは逆に、図3に示すように、ロボット5を配置した側が高くロボット5と反対側が低くなるよう傾斜しており、スライド受け部67上に、部品棚1内の空になった部品箱3をロボット5により投入して載せられることになる。
【0031】
なお、このスライド受け部67にもその全長にわたりローラ68を設けているが、図2では、このローラ68をロボット5と反対側の一部にのみ図示している。
【0032】
次に作用を説明する。部品Wを多数収納した部品箱3を、作業者が部品棚1の図3中で右側端部の各部品箱投入口18から部品箱収容スペース17に順次投入すると、部品箱3は、スライド受け部21上を重力によりスライド移動して走行ガイド部11側の端部にて、最初に投入した部品箱3がストッパ部材20によって停止する。
【0033】
続いて同一の部品箱収容スペース17に投入する部品箱3は、最初に投入した部品箱3に接触し、これを順次繰り返すことで同一の部品箱収容スペース17に3〜4個の部品箱3が収納される。他の部品箱収容スペース17も同様にして部品箱3を順次投入することで、部品棚1を満たすことができる。
【0034】
ここで、ロボット5を図1〜図3に示す位置としたとき、つまりロボット5を最下端でかつ図1,2の位置より左側の位置から右側に向けて移動させて図1〜図3に示す移動端位置としたときに、ロボット5の該移動端をセンサが検知してキット箱投入部13のストッパがキット箱7の支持を解除し、これによりキット箱7がキット箱投入部13からロボット5側のキット箱支持時15にスライド移動して移載される。
【0035】
ここで、上下に6段、左右に6列、全部で36ある部品箱収容スペース17には、互いに異なる、例えば色違いのドアハンドルを収納した部品箱3をそれぞれ配置してあるものとし、この状態で、ロボット5は、生産ラインにおける生産指示に従って必要とされる部品箱収容スペース17の間口19まで、上下ガイド部9および走行ガイド部11に沿って移動することで接近する。
【0036】
なお、全部で36ある部品箱収容スペース17のすべてを異なるドアハンドルとする必要はなく、例えば使用量の多いドアハンドルを複数の部品箱収容スペース17に収納しておいても構わない。
【0037】
図7は、図1の状態からロボット5がキット箱排出部55側の移動端でかつ最下端に移動した状態を示す正面図、図8は図7の平面図、図9は図3の状態からロボット5が最上端に移動した状態を示す側面図である。
【0038】
必要な部品箱収容スペース17の間口19に接近したロボット5は、作業ハンド25を、図10(a)のように、部品箱収容スペース17の間口19から挿入し、最前部に位置する部品箱3に対し、認識用カメラ33により照明34で明瞭化した状態の部品Wを認識しつつ下方に移動させることで、バキュームカップ31により部品箱3内の部品Wを吸着して把持する。
【0039】
部品Wを吸着把持したロボット5は、図10(b)のように、上方にある他の部品箱3の底部に接触しない範囲で作業ハンド25を上昇させた後、部品箱収容スペース17から引き抜く。
【0040】
なお、ここでの部品箱3は、上部が開放したものであって、図11(a),(b)の平面図で示すように、横方向に延びる横仕切り板69と、横方向中央にて図11中で上下方向延びる縦仕切り板71によって複数の部品収納部73を設けており、これら各部品収納部73にドアハンドルからなる部品Wを収納している。
【0041】
図11で示す部品箱3は、縦仕切り板71を境にして左右両側に1列ずつ全部で2列の部品収納部73を設けているが、部品収納部73は1列あるいは3列以上であっても構わない。また、この部品箱3内の最も奥に位置する部品収納部73の部品Wに対してもバキュームカップ31で把持できるように、ハンドフレーム27の長さを設定している。
【0042】
上記した図11(a)は、縦仕切り板71の右側の列における互いに隣接する2箇所の部品収納部73から部品Wを2個吸着する状態を示し、図11(b)は、縦仕切り板71の左側の列における互いに隣接する2箇所の部品収納部73から部品Wを2個吸着する状態を示している。なお、図11(a),(b)いずれの状態においても、一つの部品Wを吸着する際には2個のバキュームパッド31を使用している。
【0043】
また、上記図11(a),(b)いずれの部品把持状態においても、作業ハンド25の第1,第2各部品箱受け板35,37の左右方向の両端縁は、部品載置面を有する部品収納部73の左右方向両端より内側に位置している。これにより、部品把持作業時における作業ハンド25の特に第1,第2各部品箱受け板35,37の部品棚1への干渉を防止している。
【0044】
すなわち、部品箱回収部を構成している第1,第2各部品箱受け板35,37の左右方向幅は、部品箱3の部品が載置される部品載置面である部品収納部73の左右方向幅より狭くしている。
【0045】
また、前記した図10(b)のA矢視図である図12に示すように、部品箱3を受ける左右のスライド受け部21の互いに対向する端部相互間は、間口19においても空間となっているので、作業ハンド25を上方に位置する他の部品箱3の底面近くまで移動でき、狭い空間での部品把持作業が容易となる。
【0046】
ロボット5は、部品Wを把持した作業ハンド25を部品箱収容スペース17から引き抜いた後は、キット箱支持部15上のキット箱7に部品Wを投入しつつ、キット箱支持部15とともに上下ガイド部9および走行ガイド部11を適宜移動して図7,図8に示すキット箱排出部55側の移動端でかつ最下端位置となる。
【0047】
図7,図8の位置まで移動したロボット5は、この移動端をセンサが検知して前記した図示しないロボット側ストッパによるキット箱7の係止を解除し、これによりキット箱7はキット箱支持部15からキット箱排出部55にスライド移動して移載され、次の作業工程に搬出される。
【0048】
このようにしてロボット5による部品Wの把持搬送作業、すなわちピッキング作業を、キット箱投入部13からキット箱支持部15に順次移載されるキット箱7に対応して連続して行い、その作業過程で例えば一つの部品箱収容スペース17における最前部の部品箱3の部品Wがすべてなくなり空になった場合には、この空の部品箱3を作業ハンド25によって外部の部品箱搬出部である空箱回収部61に搬出する。
【0049】
その搬出作業は、まずロボット5が、上下ガイド部9および走行ガイド部11に沿って適宜移動して、空の部品箱3が発生した部品箱収容スペース17の間口19に接近した状態で、該間口19の1段下方の部品箱収容スペース17の間口19から、前述した部品把持作業時と同様にして作業ハンド25を部品箱収容スペース17に挿入する。この際作業ハンド25は、後部受け板45が空の部品箱3の後端部にほぼ接触するまで挿入し、その後上昇させることで、図13に示すように、空の部品箱3を部品箱受け面39a,41aに載せた状態とする。
【0050】
図14は図13の平面図、図15は図13の左側面図、図16は図13の作業ハンド25の先端側から見た斜視図である。
【0051】
このとき、前述した図10(b)のA矢視図である図12に示すように、部品箱3を受ける左右のスライド受け部21の互いに対向する端部相互間は、間口19においても空間となっており、その間隔Hは、作業ハンド25における第1,第2各部品箱受け板35,37の横幅(図5中で上下方向の幅)より広く、第1,第2各部品箱受け板35,37が間隔Hの内側に収まる位置にあるので、作業ハンド25の部品箱収容スペース17に対する挿入および引き抜き時での部品棚1への干渉を防止することができる。
【0052】
空の部品箱3を部品箱受け面39a,41aに載せた状態の作業ハンド25を、ロボット5により部品箱収容スペース17から引き抜いた後、ロボット5を、上下ガイド部9および走行ガイド部11に沿って適宜移動させて、図7,図8に示すようなキット箱排出部55側の移動端で、かつ図9に示すような最上端位置とした状態とする。
【0053】
この状態でロボット5は、作業ハンド25を、空箱回収部61における空箱回収レーン65の走行ガイド部11側に位置する最前部の上方に移動させ、その後下降させて作業ハンド25をスライド受け部67より下方に移動させることで、空の部品箱3がスライド受け部67上に載せられた状態となる。スライド受け部67上の部品箱3は、スライド受け部67の傾斜によって、前述した部品箱投入口18と同じ側に開口している部品箱排出口75に向けて重力によりスライド移動し、該部品箱排出口75から作業者によって適宜搬出される。
【0054】
このように、本実施形態によれば、部品箱3に収納された部品Wをバキュームカップ31にて把持して外部に搬出する作業ハンド25に、空の部品箱3を部品棚1から外部の空箱回収部61に搬出するための第1,第2各部品箱受け板35,37を設けたので、空になった部品箱3を外部に搬出して回収する際に、空箱搬出用の専用のユニットを設ける必要がなく、部品搬送装置としてシステム全体を簡素化して設備コストを抑えることができる。
【0055】
上記した空の部品箱3は、第1,第2各部品箱受け板35,37の部品箱受け面39a,41a上に単に載せるだけであるので、部品箱回収部として簡単な構成とすることができ、また、載せる際には作業ハンド25を上昇させてすくい上げる動作を行うだけでよく、載せた部品箱3を空箱回収部61のスライド受け部67に投入する際には作業ハンド25を下降させるだけでよいので、作業も容易である。
【0056】
なお、上記した実施形態では、小物部品Wとしてドアハンドルを例にとって説明したが、これに限らず、例えばパワーウインドウスイッチやエンブレムなどに対しても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態を示す部品搬送装置の正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の左側面図である。
【図4】図1の部品搬送装置で使用する作業ハンドの正面図である。
【図5】図4の平面図である。
【図6】図4の左側面図である。
【図7】図1の状態からロボットが反対側の移動端まで移動した状態を示す正面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】図3の状態からロボットが最上端に移動した状態を示す側面図である。
【図10】(a)は、作業ハンドのバキュームカップにより部品箱内の部品を吸着して把持する動作を示す動作説明図、(b)は吸着後に作業ハンドを上昇させた後、部品箱収容スペースから引き抜く動作を示す動作説明図である。
【図11】図10の吸着動作を示す平面図であり、(a)は部品箱の右側の列にある部品を吸着し、(b)は同左側の列にある部品を吸着している状態を示す。
【図12】図10(b)のA矢視図である。
【図13】作業ハンドの部品箱受け面に空の部品箱を載せた状態を示す動作説明図である。
【図14】図13の平面図である。
【図15】図13の左側面図である。
【図16】作業ハンドの部品箱受け面に空の部品箱を載せた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
W ドアハンドル(部品)
1 部品棚(部品箱収容部)
3 部品箱
21 スライド受け部(受け部)
25 作業ハンド
27 ハンドフレーム(本体部)
31 バキュームカップ(部品把持部)
35 第1部品箱受け板(部品箱回収部)
37 第2部品箱受け板(部品箱回収部)
39,41 受けパッド(部品箱回収部)
39a,41a 受けパッドの部品箱受け面
61 空箱回収部(部品箱搬出部)
73 部品収納部(部品載置面)
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品箱に収納してある部品を把持して外部に搬送するとともに、空になった部品箱を回収する部品搬送装置および方法ならびに作業ハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
部品箱に収納してある部品の組立ラインへの供給をロボットにより行うとともに、空になった部品箱を回収する組立部品供給装置が下記特許文献1に記載されている。この場合、ロボットの移動方向に沿ってその両側に、部品箱を供給するとともに空になった部品箱を回収する複数の部品箱供給ユニットを配置している。
【特許文献1】特開平10−15865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記した従来の組立部品供給装置では、部品箱内の部品をロボットによって組立ラインへ供給する一方、空になった部品箱については、ロボットを用いずに、専用の部品箱供給ユニットを利用しているため、組立部品供給装置としてシステム全体が複雑化して大掛かりなものとなり、設備コストの上昇を招いている。
【0004】
そこで、本発明は、部品の搬送および空の部品箱の回収を行うシステム全体を簡素化して設備コストを抑えることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、部品箱収容部に部品箱を配置し、この部品箱に収納された部品を部品把持部にて把持して外部に搬出する作業ハンドを備え、この作業ハンドに、前記部品箱を前記部品箱収容部から外部の部品箱搬出部に搬出する部品箱回収部を設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、部品箱に収納された部品を部品把持部にて把持して外部に搬出する作業ハンドに、部品箱を部品箱収容部から外部の部品箱搬出部に搬出する部品箱回収部を設けたので、空になった部品箱を外部に搬出する際に、空箱回収用の専用のユニットを設ける必要がなく、システム全体を簡素化して設備コストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態を示す部品搬送装置の正面図、図2は図1の平面図、図3は図1の左側面図である。この部品搬送装置は、部品箱収容部としての部品棚1に部品箱3を多数収容可能である。なお、上記図1〜図3では、部品箱3は3個のみ図示し、またその部品箱3内には、小物部品である例えば自動車のドアハンドルからなる部品Wを多数収納可能である。
【0009】
部品箱3内の部品Wは、部品棚1の近傍に配置してあるロボット5により把持してキット箱7に投入する。ロボット5は、図1に示すように鉛直方向に延びる上下ガイド部9に沿って上下(鉛直)方向に移動可能であるとともに、上下ガイド部9とともに部品棚1に沿って水平方向に延びる走行ガイド部11に沿って図1,2中で左右方向に移動可能である。
【0010】
また、前記したキット箱7は、キット箱投入部13から、前記したロボット5とともに一体的に移動するキット箱支持部15に移載された状態で、ロボット5が把持した部品Wが投入される。このキット箱7には、他の作業工程で他の小物部品が投入される。このようなキット箱7は、自動車を生産する上で必要とする所定の各種小物部品が投入された状態で、図示しない生産ラインへ供給され、これら各小物部品が自動車本体に取り付けられる。
【0011】
部品棚1は、図1の正面図で示すように、上下方向に6段、左右方向に6列、全部で36の部品箱収容スペース17を備え、全体をパイプ材で構成している。この各部品箱収容スペース17は、図2に示すように、前記したロボット5の走行ガイド部11から離れる方向に延びており、この長い領域に、部品箱3を3〜4個収容可能である。したがって、この部品棚1への部品箱3の収納個数は、1つの部品箱収容スペース17に4個収納するとして、上下方向6段×左右幅方向6段×4個=144個となる。
【0012】
また、部品箱収容スペース17は、図3に示すように、ロボット5を配置した側が低くロボット5と反対側が高くなるように3〜4度傾斜しており、このロボット5と反対側の図3中で右側に開口している部品箱投入口18から部品箱3を投入することで、部品箱3は上記の傾斜に沿ってロボット5側の端部の各間口19に向けて重力によってスライド移動し、該端部位置にてストッパ部材20により停止した状態となる。
【0013】
この際、各部品箱収容スペース17内の下端部において、図1中で左右両側にて互いに対向する方向に突出する部品箱3の受け部となるスライド受け部21を設けている。このスライド受け部21上に、前述した部品箱投入口18から投入した部品箱3の左右両側部が載せられることになる。また、スライド受け部21にはその全長にわたり、部品箱3の移動をスムーズにするためのローラ22を回転可能に設けている。なお、図2では、このローラ22をロボット5側の一部にのみ図示している。
【0014】
ロボット5は、前述した上下ガイド部9に対して基台23を介して上下方向に移動し、この基台23に基端部を取り付けた例えば6軸の多関節型とし、先端には前記した部品Wを把持する作業ハンド25を備えている。
【0015】
作業ハンド25は、図4に示すように、本体部としての長尺のハンドフレーム27を備え、ハンドフレーム27の図4中で右側の基端部に設けたロボット取付部29をロボット5の先端に取り付ける。図5は図4の平面図、図6は図4の左側面図である。なお、図4は、図3に図示している作業ハンド25に対して左右を逆にしている。つまり、図4の作業ハンド25は、図1に図示している作業ハンド25の右側面図に相当する。
【0016】
ハンドフレーム27の図4中で左側の先端下部には、部品把持部としてのバキュームパッド31を、取付ブロック32を介して複数(ここでは4個)設けている。このバキュームパッド31により、ドアハンドルである部品Wの表面を吸着して把持する。取付ブロック32には、図示しない真空吸引装置に配管接続する接続具30を設けている。
【0017】
また、上記したバキュームパッド31の近傍には、部品Wを認識するための認識用カメラ33を設け、該カメラ33の周囲には環状の照明34を設けている。すなわち、照明34によって明瞭化した状態の部品箱3内の部品Wを、認識用カメラ33の視野領域Vによって認識することになる。
【0018】
ハンドフレーム27先端の上記したバキュームパッド31と反対側の上部には、第1部品箱受け板35を設けている。この第1部品箱受け板35の下面の図6中で右側に前記した認識用カメラ33を取り付けている。さらに、ハンドフレーム27の長手方向中央よりロボット取付部29側の上部には、第2部品箱受け板37を設けている。
【0019】
そして、第1部品箱受け板35の先端側上面に設けた受けパッド39上に部品箱受け面39aを形成し、第2部品箱受け板37の図5中で上下両端部すなわちハンドフレーム27の両側方の上面に設けた受けパッド41上に部品箱受け面41aを形成している。これら第1部品箱受け板35および受けパッド39と、第2部品箱受け板37および受けパッド41により部品箱回収部を構成している。
【0020】
上記した各部品箱受け面39a,41a上に空の部品箱3を載せることになるが、この際、部品箱3の後端面を受けるために、ハンドフレーム27のロボット取付部29側の上部には、取付ブラケット43を介して後部受け板45を設けている。
【0021】
走行ガイド部11の図1,2中で右側の端部の部品棚1側近傍には、前記したキット箱投入部13を設けてある。キット箱投入部13は、パイプ材で構成した支持台47上に、図1に示すように、部品棚1に近い側の高さが低くなるよう傾斜したキット箱受け部49を備え、このキット箱受け部49に図1,図2中で右側から投入されたキット箱7が重力によって部品棚1側に向けて移動し、キット箱受け部49の端部に設けてある図示しないストッパに係止されて停止した状態となる。
【0022】
なお、上記したキット箱受け部49にも、前記した部品箱収容スペース17のスライド受け部21と同様にローラ50を複数設けている。
【0023】
一方、ロボット5側に設けてある前記したキット箱支持部15は、図3に示すように、基台23の底部から部品棚1に向けて突出する支持ブラケット51に取り付けている。この支持ブラケット51は、ロボット5のキット箱投入部13側に位置する支持アーム53を有し、この支持アーム53上にキット箱支持部15を設けてある。
【0024】
キット箱支持部15は、2本のガイドレール状に形成してあり、前記したキット箱受け部49と同様に、図1に示すように、ロボット5側の高さが低くなるよう傾斜し、かつ、ロボット5が図1中で右側の端部に位置しているときに、先端側部分15aがキット箱受け部49の下部に入り込むよう設定している。また、このキット箱支持部15にもその全長にわたりローラ54を設けている。
【0025】
上記図1のようにロボット5がキット箱投入部13側の移動端に位置するときに、この移動端位置を図示しないセンサが検知することで、キット箱投入部13に設けてある前記した図示しないストッパによるキット箱7の支持を解除し、これによりキット箱投入部13上のキット箱7が重力によりスライド移動してキット箱支持部15に移載される。
【0026】
このときキット箱支持部15には、キット箱投入部13から移載されたキット箱7のキット箱投入部13と反対側(図1,図2中で左側)への移動を阻止するために、図示しないロボット側ストッパを設けている。
【0027】
走行ガイド部11のキット箱投入部13と反対側の図2中で左側の端部の部品棚1側近傍には、キット箱排出部55を設けている。キット箱排出部55は、キット箱投入部13と同様のパイプ材で構成した支持台57上に、図1に示すように、部品棚1に近い側の高さが高くなるよう傾斜している大略2本のガイドレール状に形成してあり、図1,図2中で右側のキット箱支持部15から移載投入されたキット箱7が重力によって部品棚1から離れる方向に向けてスライド移動し、図示しない他の工程に搬出される。このキット箱排出部55にもその全長にわたりローラ59を設けている。
【0028】
キット箱7のキット箱支持部15からキット箱排出部55への移載は、ロボット5が図7,図8のように最下端位置にて左側の移動端まで移動したときに、この移動端を図示しないセンサが検知して前記した図示しないロボット側ストッパによるキット箱7の係止を解除することで行う。
【0029】
上記したキット箱排出部55の途中でかつ部品棚1の側方位置には、部品箱搬出部としての空箱回収部61を設置している。空箱回収部61は、脚部63の上部に前記した部品棚1における部品箱収容スペース17と同方向に延びる空箱回収レーン65を備えている。
【0030】
空箱回収レーン65は、前記した部品箱収容スペース17と同様に、図2中で左右両側に互いに対向する方向に突出する部品箱3の受け部となるスライド受け部67を、図2中で上下方向に延長して設けている。このスライド受け部67は、部品箱収容スペース17とは逆に、図3に示すように、ロボット5を配置した側が高くロボット5と反対側が低くなるよう傾斜しており、スライド受け部67上に、部品棚1内の空になった部品箱3をロボット5により投入して載せられることになる。
【0031】
なお、このスライド受け部67にもその全長にわたりローラ68を設けているが、図2では、このローラ68をロボット5と反対側の一部にのみ図示している。
【0032】
次に作用を説明する。部品Wを多数収納した部品箱3を、作業者が部品棚1の図3中で右側端部の各部品箱投入口18から部品箱収容スペース17に順次投入すると、部品箱3は、スライド受け部21上を重力によりスライド移動して走行ガイド部11側の端部にて、最初に投入した部品箱3がストッパ部材20によって停止する。
【0033】
続いて同一の部品箱収容スペース17に投入する部品箱3は、最初に投入した部品箱3に接触し、これを順次繰り返すことで同一の部品箱収容スペース17に3〜4個の部品箱3が収納される。他の部品箱収容スペース17も同様にして部品箱3を順次投入することで、部品棚1を満たすことができる。
【0034】
ここで、ロボット5を図1〜図3に示す位置としたとき、つまりロボット5を最下端でかつ図1,2の位置より左側の位置から右側に向けて移動させて図1〜図3に示す移動端位置としたときに、ロボット5の該移動端をセンサが検知してキット箱投入部13のストッパがキット箱7の支持を解除し、これによりキット箱7がキット箱投入部13からロボット5側のキット箱支持時15にスライド移動して移載される。
【0035】
ここで、上下に6段、左右に6列、全部で36ある部品箱収容スペース17には、互いに異なる、例えば色違いのドアハンドルを収納した部品箱3をそれぞれ配置してあるものとし、この状態で、ロボット5は、生産ラインにおける生産指示に従って必要とされる部品箱収容スペース17の間口19まで、上下ガイド部9および走行ガイド部11に沿って移動することで接近する。
【0036】
なお、全部で36ある部品箱収容スペース17のすべてを異なるドアハンドルとする必要はなく、例えば使用量の多いドアハンドルを複数の部品箱収容スペース17に収納しておいても構わない。
【0037】
図7は、図1の状態からロボット5がキット箱排出部55側の移動端でかつ最下端に移動した状態を示す正面図、図8は図7の平面図、図9は図3の状態からロボット5が最上端に移動した状態を示す側面図である。
【0038】
必要な部品箱収容スペース17の間口19に接近したロボット5は、作業ハンド25を、図10(a)のように、部品箱収容スペース17の間口19から挿入し、最前部に位置する部品箱3に対し、認識用カメラ33により照明34で明瞭化した状態の部品Wを認識しつつ下方に移動させることで、バキュームカップ31により部品箱3内の部品Wを吸着して把持する。
【0039】
部品Wを吸着把持したロボット5は、図10(b)のように、上方にある他の部品箱3の底部に接触しない範囲で作業ハンド25を上昇させた後、部品箱収容スペース17から引き抜く。
【0040】
なお、ここでの部品箱3は、上部が開放したものであって、図11(a),(b)の平面図で示すように、横方向に延びる横仕切り板69と、横方向中央にて図11中で上下方向延びる縦仕切り板71によって複数の部品収納部73を設けており、これら各部品収納部73にドアハンドルからなる部品Wを収納している。
【0041】
図11で示す部品箱3は、縦仕切り板71を境にして左右両側に1列ずつ全部で2列の部品収納部73を設けているが、部品収納部73は1列あるいは3列以上であっても構わない。また、この部品箱3内の最も奥に位置する部品収納部73の部品Wに対してもバキュームカップ31で把持できるように、ハンドフレーム27の長さを設定している。
【0042】
上記した図11(a)は、縦仕切り板71の右側の列における互いに隣接する2箇所の部品収納部73から部品Wを2個吸着する状態を示し、図11(b)は、縦仕切り板71の左側の列における互いに隣接する2箇所の部品収納部73から部品Wを2個吸着する状態を示している。なお、図11(a),(b)いずれの状態においても、一つの部品Wを吸着する際には2個のバキュームパッド31を使用している。
【0043】
また、上記図11(a),(b)いずれの部品把持状態においても、作業ハンド25の第1,第2各部品箱受け板35,37の左右方向の両端縁は、部品載置面を有する部品収納部73の左右方向両端より内側に位置している。これにより、部品把持作業時における作業ハンド25の特に第1,第2各部品箱受け板35,37の部品棚1への干渉を防止している。
【0044】
すなわち、部品箱回収部を構成している第1,第2各部品箱受け板35,37の左右方向幅は、部品箱3の部品が載置される部品載置面である部品収納部73の左右方向幅より狭くしている。
【0045】
また、前記した図10(b)のA矢視図である図12に示すように、部品箱3を受ける左右のスライド受け部21の互いに対向する端部相互間は、間口19においても空間となっているので、作業ハンド25を上方に位置する他の部品箱3の底面近くまで移動でき、狭い空間での部品把持作業が容易となる。
【0046】
ロボット5は、部品Wを把持した作業ハンド25を部品箱収容スペース17から引き抜いた後は、キット箱支持部15上のキット箱7に部品Wを投入しつつ、キット箱支持部15とともに上下ガイド部9および走行ガイド部11を適宜移動して図7,図8に示すキット箱排出部55側の移動端でかつ最下端位置となる。
【0047】
図7,図8の位置まで移動したロボット5は、この移動端をセンサが検知して前記した図示しないロボット側ストッパによるキット箱7の係止を解除し、これによりキット箱7はキット箱支持部15からキット箱排出部55にスライド移動して移載され、次の作業工程に搬出される。
【0048】
このようにしてロボット5による部品Wの把持搬送作業、すなわちピッキング作業を、キット箱投入部13からキット箱支持部15に順次移載されるキット箱7に対応して連続して行い、その作業過程で例えば一つの部品箱収容スペース17における最前部の部品箱3の部品Wがすべてなくなり空になった場合には、この空の部品箱3を作業ハンド25によって外部の部品箱搬出部である空箱回収部61に搬出する。
【0049】
その搬出作業は、まずロボット5が、上下ガイド部9および走行ガイド部11に沿って適宜移動して、空の部品箱3が発生した部品箱収容スペース17の間口19に接近した状態で、該間口19の1段下方の部品箱収容スペース17の間口19から、前述した部品把持作業時と同様にして作業ハンド25を部品箱収容スペース17に挿入する。この際作業ハンド25は、後部受け板45が空の部品箱3の後端部にほぼ接触するまで挿入し、その後上昇させることで、図13に示すように、空の部品箱3を部品箱受け面39a,41aに載せた状態とする。
【0050】
図14は図13の平面図、図15は図13の左側面図、図16は図13の作業ハンド25の先端側から見た斜視図である。
【0051】
このとき、前述した図10(b)のA矢視図である図12に示すように、部品箱3を受ける左右のスライド受け部21の互いに対向する端部相互間は、間口19においても空間となっており、その間隔Hは、作業ハンド25における第1,第2各部品箱受け板35,37の横幅(図5中で上下方向の幅)より広く、第1,第2各部品箱受け板35,37が間隔Hの内側に収まる位置にあるので、作業ハンド25の部品箱収容スペース17に対する挿入および引き抜き時での部品棚1への干渉を防止することができる。
【0052】
空の部品箱3を部品箱受け面39a,41aに載せた状態の作業ハンド25を、ロボット5により部品箱収容スペース17から引き抜いた後、ロボット5を、上下ガイド部9および走行ガイド部11に沿って適宜移動させて、図7,図8に示すようなキット箱排出部55側の移動端で、かつ図9に示すような最上端位置とした状態とする。
【0053】
この状態でロボット5は、作業ハンド25を、空箱回収部61における空箱回収レーン65の走行ガイド部11側に位置する最前部の上方に移動させ、その後下降させて作業ハンド25をスライド受け部67より下方に移動させることで、空の部品箱3がスライド受け部67上に載せられた状態となる。スライド受け部67上の部品箱3は、スライド受け部67の傾斜によって、前述した部品箱投入口18と同じ側に開口している部品箱排出口75に向けて重力によりスライド移動し、該部品箱排出口75から作業者によって適宜搬出される。
【0054】
このように、本実施形態によれば、部品箱3に収納された部品Wをバキュームカップ31にて把持して外部に搬出する作業ハンド25に、空の部品箱3を部品棚1から外部の空箱回収部61に搬出するための第1,第2各部品箱受け板35,37を設けたので、空になった部品箱3を外部に搬出して回収する際に、空箱搬出用の専用のユニットを設ける必要がなく、部品搬送装置としてシステム全体を簡素化して設備コストを抑えることができる。
【0055】
上記した空の部品箱3は、第1,第2各部品箱受け板35,37の部品箱受け面39a,41a上に単に載せるだけであるので、部品箱回収部として簡単な構成とすることができ、また、載せる際には作業ハンド25を上昇させてすくい上げる動作を行うだけでよく、載せた部品箱3を空箱回収部61のスライド受け部67に投入する際には作業ハンド25を下降させるだけでよいので、作業も容易である。
【0056】
なお、上記した実施形態では、小物部品Wとしてドアハンドルを例にとって説明したが、これに限らず、例えばパワーウインドウスイッチやエンブレムなどに対しても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態を示す部品搬送装置の正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の左側面図である。
【図4】図1の部品搬送装置で使用する作業ハンドの正面図である。
【図5】図4の平面図である。
【図6】図4の左側面図である。
【図7】図1の状態からロボットが反対側の移動端まで移動した状態を示す正面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】図3の状態からロボットが最上端に移動した状態を示す側面図である。
【図10】(a)は、作業ハンドのバキュームカップにより部品箱内の部品を吸着して把持する動作を示す動作説明図、(b)は吸着後に作業ハンドを上昇させた後、部品箱収容スペースから引き抜く動作を示す動作説明図である。
【図11】図10の吸着動作を示す平面図であり、(a)は部品箱の右側の列にある部品を吸着し、(b)は同左側の列にある部品を吸着している状態を示す。
【図12】図10(b)のA矢視図である。
【図13】作業ハンドの部品箱受け面に空の部品箱を載せた状態を示す動作説明図である。
【図14】図13の平面図である。
【図15】図13の左側面図である。
【図16】作業ハンドの部品箱受け面に空の部品箱を載せた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
W ドアハンドル(部品)
1 部品棚(部品箱収容部)
3 部品箱
21 スライド受け部(受け部)
25 作業ハンド
27 ハンドフレーム(本体部)
31 バキュームカップ(部品把持部)
35 第1部品箱受け板(部品箱回収部)
37 第2部品箱受け板(部品箱回収部)
39,41 受けパッド(部品箱回収部)
39a,41a 受けパッドの部品箱受け面
61 空箱回収部(部品箱搬出部)
73 部品収納部(部品載置面)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品箱収容部に部品箱を配置し、この部品箱に収納された部品を部品把持部にて把持して外部に搬出する作業ハンドを備え、この作業ハンドに、前記部品箱を前記部品箱収容部から外部の部品箱搬出部に搬出する部品箱回収部を設けたことを特徴とする部品搬送装置。
【請求項2】
前記部品箱回収部の左右方向幅は、前記部品箱の前記部品が載置される部品載置面の左右方向幅より狭いことを特徴とする請求項1に記載の部品搬送装置。
【請求項3】
前記部品箱収容部は、前記部品箱の左右両側部を載せて受ける受け部を備え、この左右両側の受け部の互いに対向する端部相互の間隔よりも、前記部品箱回収部の左右方向幅を小さくしたことを特徴とする請求項1または2に記載の部品搬送装置。
【請求項4】
前記部品箱回収部は、前記部品箱を載せて搬出する部品箱受け面を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の部品搬送装置。
【請求項5】
部品箱収容部に配置した部品箱内の部品を、作業ハンドの部品把持部で把持して外部に搬出し、前記部品がなくなった空の前記部品箱を、前記作業ハンドに設けた部品箱回収部により、前記部品箱収容部から外部の部品箱搬出部に搬出することを特徴とする部品搬送方法。
【請求項6】
前記部品箱収容部は、前記部品箱の左右両側部を載せて受ける受け部を備え、この左右両側の受け部の互いに対向する端部相互間の領域で、前記作業ハンドを下方から上方に向けて移動させることで、前記部品回収部が前記部品箱を載せて保持することを特徴とする請求項5に記載の部品搬送方法。
【請求項7】
部品箱収容部に配置した部品箱内の部品を、本体部に設けた部品把持部により把持して外部に搬出する作業ハンドであって、前記本体部に、前記部品箱を前記部品箱収容部から外部の部品箱搬出部に搬出する部品箱回収部を設けたことを特徴とする作業ハンド。
【請求項8】
前記部品箱回収部は、前記部品箱を載せて搬出する部品箱受け面を備えていることを特徴とする請求項7に記載の作業ハンド。
【請求項1】
部品箱収容部に部品箱を配置し、この部品箱に収納された部品を部品把持部にて把持して外部に搬出する作業ハンドを備え、この作業ハンドに、前記部品箱を前記部品箱収容部から外部の部品箱搬出部に搬出する部品箱回収部を設けたことを特徴とする部品搬送装置。
【請求項2】
前記部品箱回収部の左右方向幅は、前記部品箱の前記部品が載置される部品載置面の左右方向幅より狭いことを特徴とする請求項1に記載の部品搬送装置。
【請求項3】
前記部品箱収容部は、前記部品箱の左右両側部を載せて受ける受け部を備え、この左右両側の受け部の互いに対向する端部相互の間隔よりも、前記部品箱回収部の左右方向幅を小さくしたことを特徴とする請求項1または2に記載の部品搬送装置。
【請求項4】
前記部品箱回収部は、前記部品箱を載せて搬出する部品箱受け面を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の部品搬送装置。
【請求項5】
部品箱収容部に配置した部品箱内の部品を、作業ハンドの部品把持部で把持して外部に搬出し、前記部品がなくなった空の前記部品箱を、前記作業ハンドに設けた部品箱回収部により、前記部品箱収容部から外部の部品箱搬出部に搬出することを特徴とする部品搬送方法。
【請求項6】
前記部品箱収容部は、前記部品箱の左右両側部を載せて受ける受け部を備え、この左右両側の受け部の互いに対向する端部相互間の領域で、前記作業ハンドを下方から上方に向けて移動させることで、前記部品回収部が前記部品箱を載せて保持することを特徴とする請求項5に記載の部品搬送方法。
【請求項7】
部品箱収容部に配置した部品箱内の部品を、本体部に設けた部品把持部により把持して外部に搬出する作業ハンドであって、前記本体部に、前記部品箱を前記部品箱収容部から外部の部品箱搬出部に搬出する部品箱回収部を設けたことを特徴とする作業ハンド。
【請求項8】
前記部品箱回収部は、前記部品箱を載せて搬出する部品箱受け面を備えていることを特徴とする請求項7に記載の作業ハンド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−254900(P2008−254900A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100448(P2007−100448)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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