説明

配線基板およびプローブカード用基板

【課題】耐薬品性に関して改善しつつ、絶縁層に対する導体パターンの密着強度に関して向上させること。
【解決手段】配線基板は、絶縁層1と、絶縁層1の表面部分に埋設された耐薬品性層2と、耐薬品性層2の上に形成された導体パターン3とを含んでいる。導体パターン3は、導体層32を含んでいる。プローブカード用基板は、絶縁層1と、絶縁層1の表面部分に埋設された耐薬品性層2と、耐薬品性層2の上に形成されている導体パターン3とを含んでいる。導体パターン3は、導体層32を含んでいるとともに、接触子4に電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプローブカードに用いられる配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばプローブカードに用いられる配線基板は、絶縁層の表面に形成された導体パターンを有している。例示的な導体パターンは、例えば、実質的に銅(Cu)または銀(Ag)からなる導体層を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−17121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばプローブカードに用いられる配線基板は、例えば半導体ウエハに接触する接触子を形成するための薬品処理が施されることがある。この薬品処理の際に、配線基板の表面に形成された導体パターンが劣化する可能性がある。一方で、配線基板は、絶縁層に対する導体パターンの密着強度に関して改善される必要がある。このように、配線基板は、耐薬品性に関して改善しつつ、絶縁層に対する導体パターンの密着強度に関して向上させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様によれば、配線基板は、絶縁層と、絶縁層の表面部分に埋設された耐薬品性層と、耐薬品性層の上に形成された導体パターンとを含んでいる。導体パターンは、導体層を含んでいる。
【0006】
本発明の他の態様によれば、プローブカード用基板は、絶縁層と、絶縁層の表面部分に埋設された耐薬品性層と、耐薬品性層の上に形成されている導体パターンとを含んでいる。導体パターンは、導体層を含んでいるとともに、接触子に電気的に接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、配線基板は、絶縁層の表面部分に埋設された耐薬品性層を含んでいることにより、耐薬品性に関して改善されつつ、絶縁層に対する導体パターンの密着強度に関して向上されている。
【0008】
本発明の他の態様によれば、プローブカード用基板は、絶縁層の表面部分に埋設された耐薬品性層を含んでいることにより、耐薬品性に関して改善されつつ、絶縁層に対する導体パターンの密着強度に関して向上されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一つの実施形態における配線基板を示している。
【図2】図1に示された耐薬品性層2の形成領域を示している。
【図3】図1に示された耐薬品性層2の例示的な形成方法を示している。
【図4】耐薬品性層2の例示的な形成方法を模式的に示している。
【図5】図1に示された配線基板の例示的な製造方法を示している。
【図6】本発明の他の実施形態における配線基板を示している。
【図7】本発明の他の実施形態における配線基板を示している。
【図8】本発明の他の実施形態における配線基板を示している。
【図9】本発明の他の実施形態における配線基板を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示されているように、本発明の一つの実施形態における配線基板は、絶縁層1と、絶縁層1の表面部分に埋設された耐薬品性層2と、耐薬品性層2の上に形成された複数の導体パターン3とを含んでいる。配線基板の例示的な用途は、プローブカード用基板である。配線基板は、複数の導体パターン3に電気的に接続された複数の接触子4を含んでいる。
【0012】
例示的な絶縁層1は、実質的にセラミックスからなる。他の例示的な絶縁層1は、実質的に樹脂からなる。
【0013】
耐薬品性層2は、絶縁層1の表面部分に埋設されている。層2の“耐薬品性”とは、例えば接触子4を形成する際に用いられる薬品に関して、導体層32に比べて化学的な反応が起こりにくいことをいう。例示的な薬品は、強アルカリ性水溶液である。強アルカリ性水溶液の例は、水酸化ナトリウム水溶液である。他の例示的な薬品は、強酸溶液である。強酸溶液の例は、硝酸溶液または塩酸である。他の例示的な薬品は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム溶液、アンモニア過水またはテトラ‐メチル‐アンモニウム‐ヒドロキシド(TMAH)水溶液である。例示的な耐薬品性層22は、実質的にニッケル(Ni)からなる。プローブカード用基板は、耐薬品性層21を含んでいることにより、薬品による導体層32の劣化に関して低減されている。
【0014】
本実施形態の配線基板は、耐薬品性層2が絶縁層1に埋設されていることにより、導体パターン3の形成の精度に関して改善されている。
【0015】
図2に示されているように、耐薬品性層2の外側縁は、導体パターン3の形成領域の外側に位置している。耐薬品性層2の内側縁は、導体パターン3の形成領域の内側に位置している。図2において、耐薬品性層2の内側縁は、導体パターン3を透視した状態で、破線によって示されている。
【0016】
導体パターン3は、絶縁層1および耐薬品性層2の上に形成された介在層31と、介在層31の上に形成された導体層32とを含んでいる。導体パターン3は、導体層32の上に形成された第1被覆層33と、第1被覆層33の上に形成された第2被覆層34とをさらに含んでいる。
【0017】
介在層31は、耐薬品性層2が形成されている領域の内側において絶縁層1に接している。“介在”とは、絶縁層1と導体層32との間に設けられていることをいう。介在層31は、導体パターン3の絶縁層1に対する接合強度を向上させることを目的に設けられている。介在層31は、耐薬品性層2の上面の一部分に接しており、耐薬品性層2を部分的に覆っている。例示的な介在層31は、実質的にチタン(Ti)からなる。他の例示的な介在層31は、実質的にクロム(Cr)からなる。他の例示的な介在層31は、実質的にタングステン(W)からなる。
【0018】
導体層32の端部は、耐薬品性層2の上方に位置している。例示的な導体層32は、実質的に銅(Cu)からなる。他の例示的な導体層32は、実質的に銀(Ag)からなる。
【0019】
第1被覆層33は、導体層32の上面と側面とに接しており、導体層32を覆っている。第1被覆層33の端部は、耐薬品性層2の上面と介在層31の側面とに接している。例示的な第1被覆層33は、実質的にニッケル(Ni)からなる。本実施形態の配線基板は、第1被覆層33の端部が耐薬品性層2に接していることにより、導体パターン3の耐薬品性に関して改善されている。
【0020】
第2被覆層34は、第1被覆層33の上面と側面とに接しており、第1被覆層33を覆っている。第2被覆層34の端部は、耐薬品性層2の上面に接している。例示的な第2被覆層34は、実質的に金(Au)からなる。本実施形態の配線基板は、第2被覆層34の端部が耐薬品性層2に接していることにより、導体パターン3の耐薬品性に関して改善されている。
【0021】
本実施形態における配線基板は、絶縁層1の表面部分に埋設された耐薬品性層2を含んでいることにより、耐薬品性に関して改善されつつ、絶縁層1に対する導体パターン2の密着強度に関して向上されている。
【0022】
以下、配線基板の例示的な製造方法について説明する。配線基板の製造方法は、耐薬品性層2を形成する工程と、導体パターン3を形成する工程とを含んでいる。
【0023】
耐薬品性層2の例示的な形成方法は、図3に示されているように、工程302および工程304を含んでいる。工程302は、下地層21を形成することである。図4に示されているように、下地層21は、絶縁層1の表面部分の凹部11の底面に形成される。下地層21の例示的な形成方法は、無電解メッキである。下地層21の他の例示的な形成方法は、スパッタリングである。工程304は、上層22を形成することである。上層22は、凹部11において下地層21の上に形成される。上層22の例示的な形成方法は、電解メッキである。
【0024】
導体パターン3を形成する工程は、図5に示されているように、工程502から工程508までを含んでいる。
【0025】
工程502は、絶縁層1の上と耐薬品性層2の一部の領域の上に、介在層31を形成することである。介在層31の例示的な形成方法は、スパッタリングである。介在層31の他の例示的な形成方法は、電子ビーム蒸着(EB蒸着)である。
【0026】
工程504は、介在層31の上に導体層32を形成することである。導体層32の例示的な形成方法は、電解メッキまたはスパッタリングである。
【0027】
工程506は、導体層32の上に第1被覆層33を形成することである。第1被覆層33の例示的な形成方法は、電解メッキである。第1被覆層33の他の例示的な形成方法は、無電解メッキである。
【0028】
工程508は、第1被覆層33の上に第2被覆層34を形成することである。第2被覆層33の例示的な形成方法は、電解メッキである。第2被覆層34の他の例示的な形成方法は、無電解メッキである。
【0029】
以下、本発明の他の実施形態における配線基板について説明する。図6に示されているように、本実施形態において図1に示された配線基板と異なる点は、耐薬品性層2の形成領域である。その他の構成は、図1に示された配線基板の構成と同様である。
【0030】
耐薬品性層2の外側縁は、導体パターン3の形成領域の内側に位置している。従って、本実施形態の配線基板は、配線の微細化に関して改善されている。
【0031】
以下、本発明の他の実施形態における配線基板について説明する。図7に示されているように、本実施形態において図1に示された配線基板と異なる点は、第1被覆層33の端部および第2被覆層34の端部の構造である。その他の構成は、図1に示された配線基板の構成と同様である。
【0032】
第1被覆層33の端部は、導体パターン3の幅方向300に延在している。従って、本実施形態の配線基板は、耐薬品性層2と第1被覆層33との接合強度に関して改善されている。配線基板は、耐薬品性に関して改善されている。本実施形態の配線基板は、絶縁層1と導体層32との熱膨張率差による導体パターン3の剥離に関して低減されている。
【0033】
第2被覆層34の端部は、導体パターン3の幅方向300に延在している。従って、本実施形態の配線基板は、耐薬品性に関して改善されている。
【0034】
以下、本発明の他の実施形態における配線基板について説明する。図8に示されているように、本実施形態において図1に示された配線基板と異なる点は、耐薬品性層2の形成領域である。
【0035】
耐薬品性層2は、導体パターン3の形成領域において全面的に設けられている。従って、本実施形態の配線基板は、耐薬品性に関して改善されている。耐薬品性層2は、絶縁層1に埋設されている。従って、本実施形態の配線基板は、導体パターン3の絶縁層1に対する接合強度に関して改善されている。
【0036】
以下、本発明の他の実施形態における配線基板について説明する。図9に示されているように、本実施形態において図8に示された配線基板と異なる点は、耐薬品性層2の形状と、介在層5である。
【0037】
耐薬品性層2は、絶縁層1の内部方向100に向かって広がった形状を有している。従って、本実施形態の配線基板は、耐薬品性層2の絶縁層1に対する接合強度に関して改善されている。
【0038】
配線基板は、耐薬品性層2と絶縁層1の間に設けられた介在層5をさらに含んでいる。介在層5は、耐薬品性層2の絶縁層1に対する接合強度を向上させることを目的に設けられている。介在層31は、耐薬品性層2の上面の一部分に接しており、耐薬品性層2を部分的に覆っている。例示的な介在層31は、実質的にチタン(Ti)からなる。他の例示的な介在層31は、実質的にクロム(Cr)からなる。他の例示的な介在層31は、実質的にタングステン(W)からなる。本実施形態の配線基板は、介在層5を含んでいることにより、耐薬品性層2の絶縁層1に対する接合強度に関して改善されている。
【符号の説明】
【0039】
1 絶縁層
2 耐薬品性層
3 導体パターン
31 介在層
32 導体層
33 第1被覆層
34 第2被覆層
4 接触子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層の表面部分に埋設された耐薬品性層と、
導体層を含んでおり、前記耐薬品性層の上に形成された導体パターンと、
を備えた配線基板。
【請求項2】
前記導体パターンが、前記絶縁層と前記導体層との間に設けられた介在層をさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記絶縁層に埋設されているとともに、前記耐薬品性層と前記絶縁層との間に設けられた介在層をさらに備えた請求項1記載の配線基板。
【請求項4】
前記導体パターンが、前記導体層を覆っている被覆層を含んでいることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項5】
前記被覆層の端部が、前記耐薬品性層に接しているとともに、前記導体パターンの幅方向に延在していることを特徴とする請求項4記載の配線基板。
【請求項6】
絶縁層と、
前記絶縁層の表面部分に埋設された耐薬品性層と、
導体層を含んでおり、前記耐薬品性層の上に形成されているとともに、接触子に電気的に接続される導体パターンと、
を備えたプローブカード用基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−232339(P2010−232339A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77090(P2009−77090)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】