説明

配線基板の製造方法及び配線基板

【課題】絶縁層と、絶縁層の凹部に形成される電極パッドとの界面近傍にデラミネーション等が生じにくい配線基板を提供する。
【解決手段】支持体50上に形成されたレジスト51の開口52に電極パッド23の形状を調整するため調整層53を形成する。調整層53は、支持体50に略平行な平坦面53aと、平坦面53aの外縁から支持体50側に向かって開口52の側壁まで伸びる傾斜面53bとを有する。調整層53上に電極パッド23のパッド本体24を形成し、絶縁層と配線層とを形成する。支持体50及び調整層53をエッチングすることでパッド本体24を露出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配線基板の製造方法及び配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配線基板では、表面の絶縁層に形成される開口に電極パッドが形成されている。例えば特許文献1に記載される配線基板では、絶縁層の表面に形成された断面視が矩形状の開口に、この開口の深さよりも厚みが薄い電極パッドが形成されている。この配線基板では、絶縁層の表面が電極パッドの表面よりも突出した位置にあるため、LSIなどの接続端子が電極パッドにはんだ付けにより接続される場合に、流出したはんだにより隣接する電極が短絡されることを抑制することができる。
【0003】
この配線基板は、以下のようにして製造される。まず、支持体上に、電極パッドを形成するための開口を有するソルダレジストを形成する。次に、この開口に、電極パッドの高さを調整するための調整層を形成する。調整層は、断面視が矩形状であり、ソルダレジストの開口の深さよりも薄い厚みに形成される。次に、調整層の表面に、断面視が矩形状の電極パッドを形成する。そして、支持体上に電極パッドを覆うようにして絶縁層を形成する。次に、絶縁層における電極パッドに対応する部分にビアホールを形成してビアを形成するとともに、ビアに対応してパターン配線を形成することで配線層を形成する。その後、パターン配線を覆うようにして絶縁層の表面にソルダレジストを形成し、ソルダレジストに開口を形成してパターン配線の一部を露出させる。また、支持体と調整層とをウェットエッチングにより除去することで、電極パッドの表面を露出させる。以上のようにして、絶縁層(ソルダレジスト)の表面が電極パッドの表面よりも突出した形状の配線基板が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−13092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電極パッドでは、図7(a)に示すように、支持体60と調整層61とをウェットエッチングで除去する場合に、図7(b)に示すように、電極パッド62の外縁部(絶縁層63との界面近傍)がエッチングされる場合がある。このような場合、電極パッド62の外縁部と絶縁層63との間に形成される溝を起点として、電極パッド62や絶縁層63にデラミネーションやクラックが生じやすくなる。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極パッドと絶縁層との界面にデラミネーション等が生じにくい配線基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、支持体上に配線基板の電極パッドの形成位置と対応する位置に開口を有するレジストを形成する工程と、前記レジストの開口に調整層を形成する工程と、前記調整層上に、電極パッドを形成する工程と、前記支持体上に、絶縁層と配線層を積層し、配線部材を形成する工程と、前記支持体及び前記調整層を除去する工程とを有する。前記調整層を形成する工程では、前記支持体に略平行な平坦面と、前記平坦面の外縁から前記支持体側の前記開口の側壁に向かって伸びる傾斜面とを有する調整層を形成し、前記電極パッドを形成する工程では、前記調整層に対応して、中央部が外縁部よりも窪んでいるとともに、前記中央部に平坦面を有する電極パッドを形成する。
【0008】
この製造方法によれば、仮に調整層を除去する工程において電極パッドの外縁部がエッチングされたとしても、電極パッドは、相対的に突出している外縁部の先端が丸くなる程度であり、電極パッドにおける絶縁層との界面近傍がエッチングされることを抑制することができる。これにより、電極パッドと絶縁層との界面においてデラミネーションやクラックが生じることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一観点によれば、電極パッドと絶縁層との界面においてデラミネーションやクラックが生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る配線基板の断面図。
【図2】実施形態に係る配線基板において、電極パッド周辺を拡大して示す断面図。
【図3】(a)〜(c)及び(e)は、実施形態に係る配線基板の製造過程における状態を示す断面図であり、(d)及び(f)は、(c)及び(e)の要部拡大図。
【図4】(a)〜(f)は、実施形態に係る配線基板の製造過程における状態を示す断面図。
【図5】(a)〜(c)は、他の実施形態の表面めっき層を示す配線基板の断面図。
【図6】(a)〜(c)は、他の実施形態において、調整層上に形成する表面めっき層を示す配線基板の製造過程における断面図。
【図7】従来の配線基板の製造過程を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
以下、一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1に示すように、実施形態に係る配線基板10では、第1〜第3の各絶縁層20,30,40が積層されている。各絶縁層20,30,40には、複数の配線層21,31,41が形成されている。各絶縁層20,30,40は、例えばエポキシ樹脂からなり、配線層21,31,41は、例えば銅などの金属からなる。
【0012】
第1の絶縁層20にはビアホール20aが形成されている。第1の配線層21は、ビアホール20aに形成されるビア21aと、ビア21aに接続される配線パターン21bとを有している。第2の配線層31及び第3の配線層41は、第1の配線層21と同様に、第2の絶縁層30及び第3の絶縁層40のビアホール30a,40aに形成されるビア31a,41aと、ビア31a,41aに接続される配線パターン31b,41bとを有している。
【0013】
第1の絶縁層20には、第1の配線層21に対応して凹部22が形成されている。凹部22の平面視は図示を省略するが、円形状であり、その直径は例えば50〜500μmである。なお、図1〜図4の各断面図は、この円形状の凹部22の円の中心を通る縦断面図である。
【0014】
図2に示すように、第1の絶縁層20の凹部22には、電極パッド23が形成されている。電極パッド23は、パッド本体24と、パッド本体24の表面に形成される表面めっき層25とを有している。パッド本体24は、銅からなり、表面めっき層25は、パッド本体24上に直接形成されるニッケル層25aと、その上に形成される金層25bとを有している。パッド本体24の厚みは、例えば5〜25μmであり、ニッケル層25aの厚みは、例えば0.05〜10μmであり、金層25bの厚みは、例えば0.005〜0.5μmである。また、表面めっき層25は、上記ニッケル層25aと金層25bの2層に限らず、図5(a)に示すパラジウム層25c、金層25bの2層構造や、図5(b)に示すニッケル層25a、パラジウム層25c及び金層25bからなる3層構造、図5(c)に示すスズ層25dのみからなる1層構造としてもよい。
【0015】
電極パッド23は、中央部に位置する平坦部26と、平坦部26の外縁から突出する突出部27とを有している。平坦部26は、第1の絶縁層20の凹部22の底面に対して略平行な平坦面26aを有している。突出部27は、平坦面26aの外縁から凹部22の壁面に向かって傾斜する傾斜面27aを有しており、その先端27bは略平坦な形状となる。凹部22の上端から平坦面26aまでの距離L1は、例えば10〜15μmであり、凹部22の側壁から平坦部26の外縁までの距離L2は、例えば10〜15μmであり、突出部27の高さL3は、例えば5μm未満である。
【0016】
電極パッド23は、平坦部26と突出部27とを備え、第1の絶縁層20と接触するため、平坦部のみからなる電極パッドと比べて、突出部27だけ第1の絶縁層20との接触面積が増え、電極パッド23と第1の絶縁層20との間の密着性が向上する。したがって、電極パッド23と第1の絶縁層20との界面近傍にクラック等が生じることを抑制することができる。
【0017】
また、図2では、電極パッド23にはんだボール28が接続された状態を示しており、電極パッド23は、はんだボール28を介して図示しない半導体素子のパッドに接続される。
【0018】
上記したように、電極パッド23の外縁部には突出部27が形成されている。したがって、はんだボール28は、相対的に窪んでいる中央部(平坦部26)に収まりやすくなる。また、はんだボール28は、電極パッド23の平坦部26と突出部27とで支持されるため、平坦部のみからなる電極パッドと比べて、はんだボール28と電極パッド23との接触面積が大きくなるとともに、はんだボール28と電極パッド23及び凹部22の側壁の間の空隙が低減される。したがって、本実施形態の電極パッド23は、はんだボール28に応力が作用した場合に、より大きい面積(接触点)ではんだボール28を支持することができ、はんだボール28を安定的に支持することができる。
【0019】
また、本実施形態の電極パッド23の表面は、一様な曲面や平坦面ではなく、平坦面26aと傾斜面27aとを有し、その境界が角部となっている。ここで、電極パッドの表面が一様な曲面や平坦面のみで構成されている場合には、電極パッドの表面に沿ってはんだボールに応力が作用したり、この表面に沿ってクラックが発生したりすると、これらの伝播が電極パッドの表面形状に沿って進行する。しかしながら、本実施形態の電極パッド23の表面は一様な面ではないため、例えば、はんだボール28に傾斜面27aに沿った応力が加わった場合でも、その応力の伝播が平坦面26aと傾斜面27aとの境界近傍で停止される。また、電極パッド23において、その傾斜面27aに沿ってクラックが発生した場合でも、そのクラックの伝播が平坦面26aと傾斜面27aとの境界近傍で停止される。
【0020】
図1に示すように、第3の絶縁層40には、ソルダレジスト42が積層されている。ソルダレジスト42は、第3の配線層41のそれぞれに対応する開口43を有しており、これにより、第3の配線層41の配線パターン41bの一部が露出している。第3の配線層41には、図示しないプリント基板の電極が接続される。これにより、半導体素子とプリント基板とが、配線基板10を介して電気的に接続される。
【0021】
次に、配線基板10の製造方法を、図3及び図4に基づいて説明する。
配線基板10を製造するには、まず、図3(a)に示すように、支持体50を用意する。支持体50としては、金属板や金属箔を用いることができ、本実施形態では、例えば銅箔を用いる。次に、図3(b)に示すように、支持体50にレジスト51を形成する。また、このレジスト51としては、例えばドライフィルムを利用することができる。レジスト51には、電極パッド23の形成部位に対応して開口52が形成される。
【0022】
次に、図3(c)に示すように、レジスト51に形成された開口52に、電極パッド23の形状を調整するための調整層53を形成する。調整層53は、支持体50におけるレジスト51の開口52から露出した部位に、電解めっきにより銅めっきを施すことにより形成される。すなわち、調整層53は銅からなる。電解めっきでは、めっき液として、例えば硫酸銅、硫酸及び塩素の無機成分に、添加剤として、例えばレベラー、ポリマー及びブライトナーといった有機成分を添加したものを用いる。調整層53の厚みは、図2に示した凹部22の上端(第1の絶縁層20)から平坦面26a(電極パッド23)までの距離L1に相当し、例えば、10〜15μmであり、開口52の深さよりも薄い厚みに形成される。
【0023】
また、上記めっき液の配合を適宜調整することで、開口52の中央部に平坦なめっき層が得られる。したがって、本実施形態では、図3に示すように、調整層53が、開口52の底面に対してほぼ平行な平坦面53aと、平坦面53aの外縁から支持体50側に向かって開口52の側壁まで伸びる傾斜面53bとを有する形状に形成される。なお、図3(d)に示す例では、調整層53が六角形状であるが、電解めっきが短時間で行われる場合には、この傾斜面53bが支持体50近傍に存在するため、略台形状となることもある。このようにして、調整層53の傾斜面53bと開口52の側壁面との間に、断面視が略「V」字状の溝部54が形成される。
【0024】
次に、図3(e)に示すように、調整層53の表面に電極パッド23のパッド本体24を形成する。本実施形態では、図3(f)に示すように、調整層53の表面に、ニッケル層55を厚みが0.05〜10μmとなるように形成した後に、銅めっきを施してパッド本体24を厚みが5〜25μmとなるように形成する。図3(f)に示すように、ニッケル層55は、調整層53の表面に沿った形状に形成され、パッド本体24は、平坦面24aと傾斜面24bとを有する形状に形成される。
【0025】
次に、図4(a)に示すように、レジスト51を除去する。そして、パッド本体24及び支持体50の表面粗化処理を行う。表面粗化処理は、表面粗さが0.5〜2μmとなるように行われる。この処理は、図4(b)に示す次工程で、支持体50及びパッド本体24に対して第1の絶縁層20を密着させやすくするために行われる。粗化処理としては、異方性エッチング(例えばウェットエッチング)などを用いることができる。
【0026】
図4(b)に示す工程では、支持体50の表面に、第1の絶縁層20をビルドアップ法により形成し、パッド本体24を被覆する。具体的には、支持体50に樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムをプレスしながら熱処理して硬化させることにより、第1の絶縁層20を形成する。そして、図4(c)に示すように、第1の絶縁層20においてパッド本体24に対応する部位に、例えばレーザを照射してビアホール20aを形成し、パッド本体24を露出させる。その後、図4(d)に示すように、各ビアホール20aに、第1の配線層21を例えばセミアディティブ法により形成する。
【0027】
そして、図4(e)に示すように、第2の絶縁層30及び第2の配線層31、第3の絶縁層40及び第3の配線層41を、同様に順に形成し、配線部材を形成する。第3の絶縁層40の表面を、ソルダレジスト42で被覆し、第3の配線層41に対応して開口43を形成する。なお、第1〜第3の各絶縁層20,30,40及び各配線層21,31,41からなる配線部材の形成方法としては、上記したセミアディティブ法の他にサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を採用することができる。
【0028】
次に、図4(f)に示すように、支持体50及び調整層53を例えばウェットエッチングにより除去する。次に、ニッケル層55をエッチングし、パッド本体24を露出させる。ここで、パッド本体が平坦面のみを備える場合には、第1の絶縁層20の凹部22の側壁面とパッド本体の表面とが接する角が略直角となる。これに対し、本実施形態ではパッド本体24の外縁が傾斜面24bであるため、第1の絶縁層20の凹部22の側壁面とパッド本体24の表面とのが接する角が鈍角となる。したがって、エッチング液がパッド本体24の表面における外縁近傍に滞留しにくくなり、仮にパッド本体24がエッチングされたとしても、傾斜面24bの先端が丸くなる程度である。このようにして、パッド本体24における第1の絶縁層20との境界部分がエッチングされることが抑制される。
【0029】
最後に、パッド本体24が露出した状態において、図2に示すように、パッド本体24に無電解めっきによる表面処理を施し、ニッケル層25a及び金層25bを順に形成する。なお、ニッケル層25a及び金層25bを有する表面めっき層25を形成するようしたが、表面処理はこの方法に限定されない。例えば、無電解めっきにより、パッド本体24の表面に、ニッケル、パラジウム及び金の3層からなる表面めっき層を形成してもよいし、パラジウム及び金の2層からなる表面めっき層を形成してもよいし、スズのみなる表面めっき層を形成してもよい(図5(a)〜(c)参照)。また、OSP(Organic Solderbility Preservative )処理を行って、パッド本体24の表面に有機成分からなる酸化防止被膜を形成するようにしてもよい。このようにして、電極パッド23が形成される。以上のようにして、配線基板10が製造される。
【0030】
以上の実施形態をまとめると、以下のようになる。
(1)配線基板10を製造するにあたって、調整層53は、支持体50に略平行な平坦面53aと、平坦面53aの外縁から支持体50側に向かってレジスト51の開口52の側壁まで伸びる傾斜面53bとを有している。これにより、調整層53上に形成されるパッド本体24は、調整層53の表面に対応して中央部に平坦面24aを有するとともに、外縁部が中央部よりも突出した傾斜面24bを有する形状に形成される。したがって、支持体50及び調整層53をエッチングする際に、パッド本体24の一部がエッチングされる場合であっても、突出した傾斜面24bの先端が丸くなる程度である。これにより、パッド本体24における第1の絶縁層20との境界部分がエッチングされることが抑制され、この部位がエッチングされることに起因して電極パッド23と第1の絶縁層20との界面にデラミネーション等が生じることを抑制することができる。
【0031】
(2)配線基板10では、第1の絶縁層20の表面に形成された凹部22に電極パッド23が形成され、電極パッド23は、平坦面26aを有する平坦部26と、傾斜面27aを有する突出部27とを含んでいる。これにより、電極パッド23は、平坦部26と突出部27とを備え、第1の絶縁層20と接触するため、平坦部のみからなる電極パッドに比べて、突出部27だけ第1の絶縁層20との接触面積が増え、電極パッド23と第1の絶縁層20との間の密着性が向上し、これらの境界部分にクラックが生じることを抑制することができる。
【0032】
(3)電極パッド23は、平坦部26と突出部27とを含み、電極パッド23には、はんだボール28が接続される。これにより、はんだボール28が電極パッド23の中央部に収まりやすくなるとともに、平坦部のみからなる電極パッドに比べて、はんだボール28と電極パッド23との接触面積が大きくなる。これにより、はんだボール28の搭載性が向上するとともに、電極パッド23によってはんだボール28をより安定的に支持することができる。
【0033】
(4)電極パッド23の表面は、平坦面26aと傾斜面27aとを有しており、平坦面26aと傾斜面27aとの境界が角部となっている。したがって、仮に電極パッド23において、この傾斜面27aに沿ったクラック等が発生したとしても、このクラックの伝播が角部近傍で停止されやすい。また、傾斜面27aに沿ってはんだボール28に応力が作用したとしても、その応力も角部近傍で停止されやすい。
【0034】
(その他の実施形態)
・上記実施形態では、図3(e)に示す工程で、調整層53の表面にニッケル層55を形成した後にパッド本体24を形成するようにしている。また、図4(f)で示す支持体の除去工程では、支持体50、調整層53及びニッケル層55を除去し、その後にパッド本体24上に表面めっき層25を形成するようにしている。これに対して他の実施形態では、図3(e)の電極パッド23の形成工程において、調整層53上(ニッケル層55に相当する位置)に、表面めっき層25を形成した後に、パッド本体24を形成する。そして、図4(f)の支持体除去工程では、支持体50と調整層53のみを除去する。この場合、表面めっき層25がすでに形成されているため、一実施形態のように図4(f)の工程後、パッド本体24に表面めっき層25を形成する必要がなく、製造工程を減らすことができる。例えば、調整層上に形成される表面めっき層25としては、図6(a)に示すように、金層25b(0.005〜0.5μm)、パラジウム層25c(0.005〜0.5μm)及びニッケル層25a(0.05〜10μm)からなる3層の表面めっき層を形成してもよい。また、図6(b)に示すように、例えば金層25b(0.005〜0.5μm)及びニッケル層25a(0.5〜10μm)からなる2層の表面めっき層や、金層25b(0.005〜0.5μm)及びパラジウム層25c(0.005〜0.5μm)からなる2層の表面めっき層を形成してもよい。
【0035】
・上記実施形態では、電極パッド23が平坦部26と突出部27とを備えており、図2に示すように、突出部27の傾斜面27aは平坦な面となっている。しかしながら、突出部の形状は特に限定されず、例えば突出部の表面は、平坦な面でなく曲面であってもよい。なお、この場合であっても、突出部の表面と平坦部の平坦面との境界には、角部が形成されることが好ましい。これにより、上記実施形態の(4)の作用効果を得ることができる。
【0036】
・上記実施形態の配線基板10では、電極パッド23が、はんだボール28を介して半導体素子の電極パッドに接続されている。しかしながら、電極パッド23が、半導体素子と金属ワイヤにより接続されていてもよい。
【0037】
・上記実施形態の配線基板10では、電極パッド23がはんだボール28を介して半導体素子に接続され、第3の絶縁層40側にプリント基板が接続されている。しかしながら、電極パッド23にプリント基板が接続され、第3の配線層41(ソルダレジスト42の開口43から露出している部分)に半導体素子が接続される構成であってもよい。
【0038】
・上記実施形態の製造方法では、パッド本体24の形成後、レジスト51を除去してから第1の絶縁層20を形成したが、レジスト51を除去することなく、第1の絶縁層20を形成するようにしてもよい。この場合、製造される配線基板は、レジスト51の表面に形成される開口52に電極パッド23が形成される構造となる。
【0039】
・上記実施形態では、絶縁層の材料としてエポキシ樹脂を用い、電極パッドのパッド本体及び配線層の材料として銅を用いたが、絶縁層には、例えばポリイミド系樹脂などその他の材料を用いてもよく、パッド本体や配線層に用いる材料も銅に限定されず、適宜変更可能である。また、絶縁層に形成される凹部の大きさ、電極パッドの大きさ、各層の厚み、配線パターンなどは例示であって、特に限定されない。また、絶縁層及び配線層の積層枚数も例示であり、特に限定されない。また、製造時に用いた支持体及び調整層についても、銅に限定されず、その材料は適宜変更可能である。また、調整層は、平坦面と傾斜面とを有するように形成されればよく、調整層を形成するために用いるレジスト及びめっき液は限定されず、形成方法も限定されない。すなわち、例えば、全表面が平坦な調整層を形成した後に、外縁部をエッチングして傾斜面を形成してもよいし、電解めっき以外の方法で調整層を形成するようにしてもよい。他の製造工程においても、例示した方法に限定されない。
【符号の説明】
【0040】
10 配線基板
20 第1の絶縁層
21 第1の配線層
22 凹部
23 電極パッド
24 パッド本体
25 表面めっき層
26 平坦部
27 突出部
28 はんだボール
50 支持体
51 レジスト
52 開口
53 調整層
53a 平坦面
53b 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に配線基板の電極パッドの形成位置と対応する位置に開口を有するレジストを形成する工程と、
前記レジストの開口に調整層を形成する工程と、
前記調整層上に、電極パッドを形成する工程と、
前記支持体上に、絶縁層と配線層を積層し、配線部材を形成する工程と、
前記支持体及び前記調整層を除去する工程と、を有する配線基板の製造方法であって、
前記調整層を形成する工程では、前記支持体に略平行な平坦面と、前記平坦面の外縁から前記支持体側の前記開口の側壁に向かって伸びる傾斜面とを有する調整層を形成し、
前記電極パッドを形成する工程では、前記調整層に対応して、中央部が外縁部よりも窪んでいるとともに、前記中央部に平坦面を有する電極パッドを形成する
ことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記支持体及び前記調整層を除去する工程後、前記電極パッドに表面めっき層を形成する工程を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記電極パッドを形成する工程では、前記調整層上に表面めっき層を形成し、前記表面めっき層を含む前記電極パッドを形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記電極パッドを形成する工程の後に、前記電極パッドに粗化処理を施す
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記調整層は、めっきにより形成される
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
配線層と絶縁層が積層され、前記配線層に接続され且つ前記絶縁層の表面から露出する電極パッドが形成された配線基板であって、
前記電極パッドは、中央部が外縁部よりも窪んでいるとともに、前記中央部は平坦面を有している
ことを特徴とする配線基板。
【請求項7】
前記電極パッドは、前記中央部に位置する平坦部と、前記平坦部の外縁から傾斜する傾斜面を含む突出部とを有し、前記突出部の先端は略平坦な形状である
ことを特徴とする請求項6に記載の配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−19080(P2012−19080A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155785(P2010−155785)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】