配線基板及びその製造方法並びに配線基板を用いた電子部品の製造方法及びその装置

【課題】軽薄短小な配線基板及びその製造方法並びに配線基板を用いた電子部品の製造方法及びその装置を提供する。
【解決手段】絶縁性フィルム101に導体配線(ダイパッド105、配線パターン104)を積層した配線基板において、前記絶縁性フィルム101を厚さ40μm以下の樹脂フィルムから構成する。前記絶縁性フィルム101の外部配線の配線部には、前記絶縁性フィルム101を厚み方向に貫通する開口124を設け、前記絶縁性フィルム101の反対側には、剥離可能な接着剤を介して補強フィルム122を積層する。
【解決手段】絶縁性フィルム101に導体配線(ダイパッド105、配線パターン104)を積層した配線基板において、前記絶縁性フィルム101を厚さ40μm以下の樹脂フィルムから構成する。前記絶縁性フィルム101の外部配線の配線部には、前記絶縁性フィルム101を厚み方向に貫通する開口124を設け、前記絶縁性フィルム101の反対側には、剥離可能な接着剤を介して補強フィルム122を積層する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法、配線基板に電子部品を実装した電子装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は配線基板に電子部品を搭載した従来の電子装置の断面図、図10は図9の平面図である。
図示されるように、電子装置1は、配線基板2と電子部品3とで構成されていて、配線基板2の下面のはんだボール4を介してプリント基板等の回線基板(図示せず)に接続する構造となっている。
配線基板2の配線パターン5とダイパッド6とは、絶縁性フィルム7の上面に接着剤層8を介して積層されており、複数の配線パターン5の一端部5aと電子部品3の端子10とは、ボンディングワイヤ11を介して導通している。
ベースフィルムを構成する絶縁性フィルム7と接着剤層8には、厚み方向に貫通する開口によりビアホール12が形成されている。このビアホール12は、絶縁性フィルム7側開口12aが配線パターン5の他端部5bの下面により被蔽されていて、絶縁性フィルム7側と反対側からはんだボール4の接合部を内部へと案内し、配線パターン5の他端部5bの下面にはんだ付けする構造となっている。
また、前記配線パターン5、ダイパッド6、電子部品3、ボンディングワイヤ11は、封止樹脂によってモールド成形された外殻13に封止されている。
このように、従来の電子装置1は、封止樹脂からなる外殻13により保護されており、ボンディングワイヤ11、配線パターン5、はんだボール4を介して電子部品3の端子10を外部に引き出す構造となっていて、薄い絶縁性フィルム7を用いることによって、配線基板2の薄肉化と軽量化とを実現するようになっている。
【0003】
また、図11に示すように、前記配線基板2において、ビアホール12内に金属めっき層14を充填し、金属めっき層14に前記はんだボールを接続する際に、開口の半径をR、はんだボール等の球形の外部接続端子の半径をr、開口の深さをD、金属めっきの厚みをTとして、T≧D−[r−(r2−R2)1/2]の関係式を満足するように金属めっきの厚みTを定めると、はんだボール4に対する金属めっき層の厚みが定まり、結果として、ビアホール12の底が浅くなるので、はんだボール4等の球形の外部接続端子の接続、あるいははんだペースト印刷・リフローにおけるはんだ接合の信頼性が向上することが知られている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−041356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記配線基板を製造する場合、製造工程は、テープを製造するテープ製造工程と、テープ製造工程で製造したテープに電子部品を実装するパッケージ工程とに分かれており、テープ製造工程では、絶縁性フィルムからなる樹脂テープと、配線パターンやダイパッドを形成するための導体配線となる銅薄膜テープとを互いに対向させてそれぞれ一方のリールから他方のリールに巻き取りながら接着剤で貼り合せ、この後、銅薄膜にケミカルエッチングを施して配線パターンとダイパッドとを形成しているが、樹脂テープと銅薄膜テープとの貼り合わせの工程や銅薄膜のケミカルエッチングの工程では、樹脂テープと銅薄膜テープの巻き取りの際に、樹脂テープや銅薄膜テープに伸びが生じて弛みやずれが発生することがある。このような場合、これらのテープに皺や折り曲げ部が発生してしまい、製造不良となってしまうので、巻き取り張力に対応した厚みの樹脂テープや銅薄膜テープを選定せざるを得ない。従って、従来は、絶縁性フィルムの材料に厚み50〜100μmのポリイミドテープを、銅薄膜の材料に厚み12〜35μmの銅薄膜テープを選定し、ポリイミドテープに厚み10〜20μmのエポキシ系の接着剤を積層した後、接着剤により、相互を重ねて接合しているが、配線基板の厚みは、ポリイミドフィルム、接着剤、銅薄膜の厚みを合わせた72〜155μmと厚くなってしまう。
【0006】
また、ベースフィルムが72〜155μmと厚くなってしまうと、ビアホールも深くなってしまい、一般的な硫酸銅めっき浴により、適正電流密度2〜5A/dm2で金属めっき層を形成する場合では、めっきの所要時間が単純計算で50〜140分となってしまい、配線基板の生産性が低下してしまう。
【0007】
このように、配線基板をテープから製造する場合、電子部品の実装に支障がない薄さのテープであっても、搬送やハンドリングの際の機械的強度が不足してしまい、テープに伸びが生じたり挙動が不安定となってしまうことがあり、厚いテープを使用せざるを得ない実情にある。
【0008】
そこで、本発明は、配線基板の薄型化を実現するために上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、絶縁性フィルムに接着剤層を積層すると共にその反対側面に補強フィルムを剥離可能に積層した複合テープの外部配線の配線部に対して厚み方向に貫通する開口を形成する工程と、金属薄膜を前記複合テープに前記接着剤層を介して積層する工程と、前記開口内に金属めっきを充填する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合テープから前記補強フィルムを剥離する工程とを含むものである。ここで、絶縁性フィルムは配線基板の薄肉化を達成できる厚みとなっており、補強フィルムは、絶縁性フィルムの機械的強度を搬送やハンドリングに支障のないように補強できる機械的強度を有している。このため、搬送やハンドリングに対する絶縁性フィルムの機械的強度不足が解消され、配線基板の薄肉化が可能となる。複合テープの外部配線の配線部に開口を形成し、樹脂テープの接着剤層に金属薄膜を重ねて貼り付けると、開口がビアホールとなり、外部接続端子や回線基板の接続端子のはんだ付けが可能となる。
【0010】
請求項2記載の発明は、金属薄膜に樹脂のキャスティングにより絶縁性フィルムを積層すると共に、剥離可能な接着剤を介して前記絶縁性フィルムに補強フィルムを積層した複合テープの外部配線接続部に対して前記補強フィルム側からレーザを照射することにより前記補強フィルム及び前記絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する一連の開口を形成する工程と、前記開口に金属めっきを充填する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合テープから前記補強フィルムを剥離する工程とを含むものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、絶縁性フィルムに金属めっきにより導体配線となる金属薄膜を積層すると共に、剥離可能な接着剤を介して金属薄膜と反対側面に補強フィルムを積層した複合基材の外部配線接続部に対して補強フィルム側からレーザを照射することにより補強フィルム及び絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する一連の開口を形成する工程と、前記開口に金属めっきを充填する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合基材から前記補強フィルムを剥離する工程とを含むものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、絶縁性フィルムに接着剤層を積層すると共にその反対側面に補強フィルムを剥離可能に積層した複合テープの外部配線の配線部に対して厚み方向に貫通する開口を形成する工程と、金属を素材としたキャリア層に剥離可能層を介して金属薄膜を積層した複合金属テープの金属薄膜を前記複合テープの接着剤層に対向させてラミネートした後、前記複合金属テープから前記キャリア層を剥離する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合テープから前記補強フィルムを剥離する工程とを含むものである。
【0013】
請求項5記載の発明は、金属を素材としたキャリア層に剥離可能層を介して金属薄膜を積層した後、樹脂のキャスティングにより前記金属薄膜に絶縁性フィルムを積層すると共に、剥離可能な接着剤を介して前記絶縁性フィルムに補強フィルムを積層して複合テープを形成する工程と、前記複合テープの外部配線接続部に前記補強フィルム側からレーザを照射して前記補強フィルム及び前記絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する一連の開口を形成した後、前記キャリア層を剥離する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とする工程とを含むものである。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5いずれかに記載の発明において、前記絶縁性フィルムの厚みを40μm以下とし、前記補強フィルムの厚みを50μm以上としたものである。
このように前記絶縁性フィルムの厚みを40μm以下とし、前記補強フィルムの厚みを50μm以上とすると、配線基板が薄肉化され、軽量化される。この場合前記絶縁性フィルムの厚みを25μm以下とすると、配線基板がより薄肉化され、より軽量化される。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6いずれかに記載の発明において、前記補強フィルムが、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートより選択した1つの樹脂素材で形成され、微粘着性の接着剤を介して前記絶縁性フィルムに貼り合せ可能なフィルム材料である。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7いずれかに記載の絶縁性フィルムに電子部品を搭載する工程と、前記電子部品の端子と前記導体配線とを電気的に接続する工程と、前記電子部品及び導体配線を含む前記絶縁性フィルムの電子部品側を絶縁性の封止樹脂に封止する工程とを含むものである。
絶縁性フィルムが薄いので、電子部品を実装した電子装置の軽薄短小が実現される。また、実装部が絶縁性の樹脂からなる外殻に封止され保護されるので取り扱いが容易になる。
【0017】
請求項9記載の発明は、絶縁性フィルムに電子部品を実装するための導体配線が積層された配線基板において、前記絶縁性フィルムが厚さ40μm以下の樹脂フィルムから構成されると共に、前記絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する開口が、前記絶縁性フィルムの外部配線の配線部に設けられ、前記絶縁性フィルムの前記導体配線側と反対側面に厚さ50μm以上の補強フィルムが剥離可能な接着剤を介して貼り付けられたものである。なお、金属薄膜には、圧延による箔、めっきによる薄膜が含まれるものとする。
このように、絶縁性フィルムに補強フィルムを剥離可能に積層し、搬送やハンドリングの際の絶縁性フィルムの強度不足を補うように構成すると、絶縁性フィルムの厚みを従来よりも薄くすることが可能となる。絶縁性フィルムが薄くなると、開口の深さも浅くなるので、外部接続端子との直接接合や、金属めっき層を介して接合する際の接合信頼性が向上する。
この場合、絶縁性フィルムの厚みを25μm以下とすると、より薄く軽い配線基板となる。また、開口の深さも大幅に浅くなるので、導体配線裏面に対する外部接続端子の接合の信頼性が大幅に向上する。
【0018】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明において、前記導体配線が前記絶縁性フィルムに直接又は接着剤層を介して積層されたものである。
接着剤層を介して導体配線を接合すると、その分厚みが増すが、接合がしやすく作業性がよい。絶縁性フィルムに導体配線を直接接合すると、接着剤が不要となる分、配線基板の厚みが薄くなり、軽くなる。
【0019】
請求項11記載の発明は、請求項9又は請求項10記載の発明において、前記開口内に前記導体配線と導通可能に金属めっきが形成され、前記金属めっき層の開口深さ方向の厚みが前記開口の深さとほぼ同じにしたものである。
開口内に前記導体配線と導通可能な金属めっき層が形成され、前記金属めっき層の開口深さ方向の厚みが開口の深さとほぼ同じになると、金属めっき層の表面がベースフィルムの裏面とほぼ面一となるので、外部接続端子又は回路基板の端子を接合するときの接合の信頼性が格段に向上する。また、開口の深さが浅くなり、金属めっき層のめっき所要時間が短縮されるので、配線基板の生産性が向上する。
【0020】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明において、前記金属めっき層が、銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した1つ又は選択した2以上の金属の合金からなる単一層又は銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した異種金属の単一層同士を積層した複数層のめっき層又は異種合金の単一層同士を積層した複数層のめっき層からなるものである。
このようにすると、金属めっき層に対する外部接続端子の接合性が良好になる。
【0021】
請求項13記載の発明は、請求項9〜12いずれかに記載の発明において、前記配線基板が、銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した1つ又は選択した2以上の金属の合金からなる単一層又は銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した異種金属の単一層同士を積層した複数層のめっき層又は異種合金の単一層同士を積層した複数層のめっき層からなる機能めっき層で被覆されたものである。
このようにすると、配線基板の材質に対応した配線が可能となる。
【0022】
請求項14記載の発明は、請求項9〜13いずれかに記載の発明において、前記導体配線の被絶縁部にこれを覆って熱硬化性又は感光性のソルダーレジスト、カバーレイから選択した1つの絶縁性部材が設けられたものである。
被絶縁部が絶縁部材により絶縁されるので、ショートによる回路の損傷が防止される。
【0023】
請求項15記載の発明は、請求項9〜14いずれかに記載の絶縁性フィルムに電子部品が搭載され、前記電子部品の端子と前記導体配線とがボンディングワイヤを介して接続され、且つ、前記電子部品及び前記導体配線を含んで前記絶縁性フィルムの電子部品実装側が絶縁性の封止樹脂からなる外殻内に封止されたものである。
絶縁性フィルムが薄いので、電子部品を実装した電子装置の軽薄短小が実現される。また、実装部が絶縁性の樹脂からなる外殻に封止され保護されるので取り扱いが容易になる。
【発明の効果】
【0024】
以上、説明したことから明らかなように本発明によれば次の如き優れた効果を発揮する。
(1)製造工程で補強テープを貼り付けて絶縁性フィルムの機械的強度の不足を補うことができるので、40μm以下の薄い絶縁性フィルムを用いることが可能となり、配線基板の薄肉化及び軽量化を達成することができる。
(2)絶縁性フィルムの厚みが薄くなるので、開口を通じて導体配線に対する球形の外部接続端子や回路基板の接続端子の接合の信頼性が大幅に向上する。
(3)絶縁性フィルムの厚さが薄くなるので、開口内に金属めっきを充填する場合に、めっき時間を大幅に短縮でき、配線基板の生産性が向上する。
(4)配線基板に半導体装置等の電子装置を搭載した電子装置の軽薄短小を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。
まず、図1及び図2を参照して本実施形態に係る配線基板及び電子装置の構成について説明する。
【0026】
図1は本発明に係る配線基板の構造を示す断面図である。
図示されるように、配線基板100は、絶縁性フィルム101に接着剤層102を積層したベースフィルム103と、絶縁性フィルム101に接着剤層102を介して積層された導体配線としての複数の配線パターン104及びダイパッド105と、絶縁性フィルム101及び接着剤層102を厚み方向に沿って貫通する開口からなるビアホール106と、ビアホール106内に充填された金属めっき層107とから構成される。
前記絶縁性フィルム101は、40μm以下の絶縁性のポリイミドテープで構成されており、導体配線としての各配線パターン104及びダイパッド105は、8μm以下の金属薄膜で構成されている。
各配線パターン104は、それぞれダイパッド105の外周縁部105aとの間に間隔を隔ててダイパッド105の周囲に配置されており、ダイパッド105から絶縁性フィルム101の外周縁部に向かって所定長さ延びている。
各ビアホール106は、絶縁性フィルム101の外部配線の配線部、すなわち、ダイパッド105の外周縁部105aから外側に所定距離隔てた絶縁性フィルム101の外周部側で且つ各配線パターン104の他端部104bの下に配置されており、配線パターン104の他端部104b下面によって配線パターン104の他端部104b側の開口106bが被蔽された、いわゆるブラインド型ビアホールとなっている。また、ビアホール106内には、接着剤層102側と反対側の絶縁性フィルム101の下面とほぼ面一の深さに金属めっき層107が充填されている。
各配線パターン104の一端部104a、ダイパッド105の露出面及び金属めっき層107の表面は、下地ニッケルめっき、金めっきを順次積層した機能めっき層109でそれぞれ覆われており、ベースフィルム103の他端部104b上面は、熱硬化性又は感光性のソルダーレジスト、カバーレイ等の絶縁部材108によって覆われている。また、前記金属めっき層107は、銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズ、又はそれらの合金からなる単一層、又は銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズ、又はそれらの合金から選択した異種金属の単一層同士又は2以上の異種金属の合金からなる単一層同士を積層しためっき層で構成されており、配線パターン104の他端部104b側の下面と電気的に接合されている。
【0027】
図2は前記配線基板100に電子部品111を実装した電子装置201の構造を示す断面図である。
電子装置201は、配線基板100と、前記ダイパッド105に実装する電子部品111と、電子部品111の各端子112を、配線パターン104に接続するためのボンディングワイヤ113とで構成されている。電子部品111は、ダイぺースト(図示せず)を介して前記ダイパッド105の表面を覆う機能めっき層109上に搭載されており、電子部品111の各端子112は、ボンディングワイヤ113を介して、接続すべき配線パターン104の一端部104aに接続されている。
これらの電子部品111、配線パターン104、ダイパッド105及びボンディングワイヤ113は、封止樹脂によるモールド成形による外殻115に封止され、保護される。そして、各はんだボール114は、モールド成形後に、金属めっき層107の表面を覆う機能めっき層109にはんだ付けされている。
前記金属めっき層107のビアホール深さ方向の厚みは、ポリイミドテープからなる絶縁性フィルム101の厚みに接着剤層102の厚みを加えた厚みとほぼ同じであり、金属めっき層107に積層されている機能めっき層109の表面が絶縁性フィルム101の裏面よりも下方に位置している。このため、はんだボール114と機能めっき層109との接続を外部から視認することが可能となり、相互の接合の信頼性が大幅に向上する。また、本実施形態では、絶縁性フィルム101の厚みが40μm以下であり、従来よりも薄くなっているため、めっき時間が大幅に短縮され、配線基板100及び電子装置201の生産性が大幅に向上する。
【0028】
以下、図3乃至図8を参照して前記配線基板の製造方法の実施形態を説明する。なお、以下の説明において、形状及び機能が同じ構成部については基本的に同一符号を付すものとする。
[第1実施形態]
図3は第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
図3(a)に示すように、厚さ12.5μmのポリイミドテープからなる絶縁性フィルム(例えば、宇部興産製 ユーピレックスSシリーズ)101に、厚さ12μmの接着剤層(例えば、巴川製紙所製 Xシリーズ)102を貼り合せたベースフィルム103の接着剤層102側と反対側面に、剥離可能な3μm厚の微粘着性接着剤層121を介して厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム)からなる補強フィルム122を貼り合わせた4層構成の複合テープ123を用意する。
ここで、複合テープ123の絶縁性フィルム101及び接着剤層102を合わせた厚みは25μmと薄くなっているが、厚み50μmの補強フィルム122の貼り合せによって従来のベースフィルムとほぼ同じ厚さとなっているので、リールからリールに巻き取る搬送の際の機械的強度が充分となり、伸び等の変形が発生することがない。
次に、前記複合テープ123を、一方のリール(図示せず)から他方のリール(図示せず)に巻き取りながら、金型(図示せず)によるプレス打ち抜きによって図3(b)に示すように、複合テープ123に対する外部配線の配線部、すなわち、図1に示した配線パターン104の形成部で且つ配線パターン104の他端部104bの形成部に対して複合テープ123を厚み方向に貫通する開口124を形成し、その結果として、ベースフィルム103、すなわち、絶縁性フィルム101と接着剤層102とにビアホール106を形成する。
【0029】
次に、前記複合テープ123と、導体配線となる金属薄膜、すなわち、前記配線パターン104とダイパッド105となる厚さ18μmの電解性銅薄膜(例えば、三井金属製FQ−VLP薄膜等)125とを互いに対向させた状態で複合テープ123と電解性銅薄膜125とを一方のリールから他方のリールに巻き取りながら、図3(c)に示すように上下又は左右一対のロール126,126間を通し、ラミネートにより両者を貼り合せて5層の基材127を製造する。
基材127は、表層側から下層に向かって、厚さ18μmの電解性銅薄膜125、厚さ12μmの接着剤層102、厚さ12.5μmの絶縁性フィルム101、厚さ3μmの微粘着性接着剤層121、厚さ50μmの補強フィルム122の5層構成となり、全体の総厚は95.5μmとなる。また、ビアホール106は、電解性銅薄膜125のラミネートによってベースフィルム103側の開口106aが電解性銅薄膜125で塞がれた、いわゆる、ブラインド型のビアホールとなる。
【0030】
基材127の製造を終了すると、図3(d)に示すように、電解性銅薄膜125に、マスキングテープ128を貼り付けて、電解めっき法でビアホール106内のみに導電性金属、例えば、銅めっきを充填し、金属めっき層107を形成する。
この場合、ビアホール106の直径を従来と同じにし、銅めっきの充填量、すなわち、ビアホール106の深さ方向の金属めっき層107の厚みを、絶縁性フィルム101と接着剤層102との厚みの合計とほぼ同じ24.5μmを狙い値とし、めっき液に、一般的な硫酸銅めっき液を使用して、めっきの電流密度5A/dm2とすると、所要時間22分で、ビアホール106と同じ深さ換言すると、ベースフィルム103の下面と面一の金属めっき層107がビアホール106内に形成された。これにより、めっきの所要時間は、従来の50分から22分に短縮された。
【0031】
次に、図3(e)に示すように、補強フィルム122にマスキングテープ129を貼り付け、電解性銅薄膜125を覆っていたマスキングテープ128を剥離して金属めっき層107の溶解をマスキングテープ129により防止しながら前記電解性銅薄膜125にフォトファブリケーションによるケミカルエッチングを施し、電解性銅薄膜125から不要な部分を取り除くことにより配線パターン104と前記ダイパッド105とを形成する。
【0032】
フォトファブリケーションによるケミカルエッチングを終了すると、次に、図3(f)に示すように、開口124を被蔽しているマスキングテープ129を補強フィルム122から剥離し、続いて、配線パターン104の被絶縁部に対して硬化性又は感光性のソルダーレジストを塗布し、熱硬化又は感光により絶縁部材108を形成すると共に、配線パターン104、ダイパッド105、及び金属めっき層107の露出面に、機能めっきとしての下地ニッケルめっき層、金めっき層を順次積層させてそれぞれ前記機能めっき層109を積層する。
最後に、図3(g)に示すように、絶縁性フィルム101から補強フィルム122を剥離して配線基板100の製造を終了し、この後、パッケージ工程へと供給する。
【0033】
パッケージ工程では、図2で説明したように、電子部品111をダイパッド105にダイペーストを介して搭載した後、金線からなるボンディングワイヤ113により電子部品111の各端子112と配線パターン104の一端部104aとをそれぞれ接続し、この後、封止樹脂によるモールドにより、電子部品111、配線パターン104、ダイパッド105、ボンディングワイヤ113を外殻115内に封止する。そして、最後に、各はんだボール114を各ビアホール106に充填した金属めっき層107の表層の機能めっき層109にはんだ付けして電子装置201のパッケージ工程を終了する。
【0034】
(第1実施形態の効果)
この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)従来の電子装置の配線基板の総厚は72〜155μmであったが、この実施形態にかかる配線基板の総厚は42.5μmであり、薄型化が達成された。
(2)さらに、テープ製造工程においては、ベースフィルムに補強フィルムが貼り付けられていて総厚が95.5μmとなっているので従来と同等の機械的強度があるので、巻き取りによる連続搬送が可能となる。
(3)ビアホールの金属めっき層の充填が終了するまでの所要時間は、従来、50〜140分であったが、この実施形態にではめっきの所要時間が22分となるので、従来と比較して配線基板の生産性が大幅に向上する。
(4)配線基板の薄型化が達成され、電子部品を搭載した電子装置の薄型化が達成される。
【0035】
[実施の形態2]
図4は第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【0036】
図4(a)に示すように、まず、導体配線となる金属薄膜としての厚さ12μmの電解性銅薄膜125の下面にポリイミド前駆体ワニスを塗布しながら熱硬化させるいわゆるキャスティング法により、厚さ40μmのポリイミドフィルムからなる絶縁性フィルム101を積層した2層構成のテープ材(例えば、新日鐵化学製エスパネックシリーズ)120を用い、その電解性銅薄膜125側と反対側の絶縁性フィルム101に、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムからなる補強フィルム122を、再剥離が可能な3μm厚の微粘着性接着剤層121を介して貼り合わせて複合化した複合基材130を用意する。
複合基材130は、表層側から下層側に、厚み12μmの電解性銅薄膜125、厚み40μmの絶縁性フィルム101、厚み3μmの微粘着性接着剤層121、厚み50μmの補強フィルム122からなる4層構成となり、総厚は105μmとなる。このような複合基材130において、絶縁性フィルム101の厚みは40μm、電解性銅薄膜125の厚みは12μmと薄くなるが、厚み50μmの補強フィルム122を貼り付けると従来のベースフィルムと同等の厚みとなるので、リールからリールに巻き取る搬送の際の機械的強度が充分になり、伸び等の変形が発生することがない。
【0037】
次に、一方のリール(図示せず)から他方のリール(図示せず)に複合基材130を巻き取りながら、図4(b)に示すように、前記複合基材130の外部配線接続部、すなわち、電解性銅薄膜125の各配線パターン104の形成部で各配線パターン104の他端部104bの形成部に向けて複合基材130の補強フィルム122側、すなわち、裏面側から高密度エネルギビームである炭酸ガスレーザビームを照射することにより、複合基材130に、補強フィルム122、微粘着性接着剤層121及び絶縁性フィルム101を厚み方向に貫通する一連の開口124を形成し、その結果として前記絶縁性フィルム101にビアホール106を形成する。ビアホール106は、電解性銅薄膜125側の開口106aが電解性銅薄膜125の配線パターン形成部の他端部下面によって塞がれたブラインド型のビアホールとなる。
このように絶縁性フィルム101及び電解性銅薄膜125が補強フィルム122により補強され、補強フィルム122により巻き取り時の巻取り張力に対して機械的強度を実質的に増加するので、巻き取りの際に、伸びや厚みの変化がない。このため、正確な位置にビアホール106が形成される。
続いて、図4(c)に示すように、電解性銅薄膜125の上面にマスキングテープ128を貼り付けた後、一方のリールから他方のリールに複合基材130を巻き取りながら電解めっき法でビアホール106内のみに前記開口124を通じて銅の充填めっきを施し、金属めっき層107を形成する。
【0038】
ここで、金属めっき層107のビアホール106の深さ方向の厚みは、絶縁性フィルム101の厚みと同じ40μmを狙い値とし、めっき液には一般的な硫酸銅めっき液を使用する。そして、めっきの電流密度を5A/dm2とすると、36分のめっきの所要時間で、ビアホール106深さ方向にビアホール106の深さとほぼ同じ厚さの金属めっき層107が形成された。
次に、図4(d)に示すように、エッチングによる前記金属めっき層107が溶解することを防ぐため補強フィルム122の下面にマスキングテープ129を貼り付け、電解性銅薄膜125からマスキングテープ128を剥離した状態で電解性銅薄膜125にフォトファブリケーションによるケミカルエッチングを施して配線パターン104とダイパッド105とを形成する。配線パターン104とダイパッド105の形成を終了すると、次に、図4(e)に示すように、補強フィルム122の下面からマスキングテープ129を剥離すると共に、配線パターン104の被絶縁部に対して絶縁部材108としてのソルダーレジストを塗布し、熱硬化させた後に、配線パターン104、ダイパッド105、銅めっき層107に対してそれぞれ下地ニッケルめっき層、金めっき層を順次積層し、機能めっき層109を形成する。
最後に、図4(f)に示すように、補強フィルム122及び微粘着性接着剤層121を剥離し、配線基板100の製造を終了する。この後、図2に示すように配線基板100のダイパッド105に電子部品111を実装した後、金線によるボンディングワイヤ113、封止樹脂によるモールドを行い、はんだボール114を接合すると、電子装置201のパッケージ工程が終了する。
【0039】
(第2実施形態の効果)
この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)従来の電子装置の配線基板の総厚は72〜155μmであったが、この実施形態にかかる配線基板の総厚は52μmとなり、薄型化を達成することができた。
(2)さらに、テープ製造工程においては、補強フィルムを貼り付けによって、複合基材の総厚を105μmとするので従来と同等の機械的強度が得られ、複合基材の巻取りによる連続搬送が可能となる。
(3)充填めっきの所要時間は、従来、50〜140分であったが、この実施形態にかかる配線基板の所要時間は36分で終了するので、従来と比較して生産性が大幅に向上する。
(4)配線基板の薄型化が達成されているので、電子部品を搭載した電子装置の薄型化を達成することができる。
【0040】
[第3実施形態]
図5は第3実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
図5(a)に示すように、まず、厚さ38μmのポリイミドテープからなる絶縁性フィルム(例えば、東レ製 カプトンEM)101に無電解めっき又は電解めっき法で導体配線となる金属薄膜として厚さ8μmの銅めっき層131を積層したテープ(例えば、住友金属鉱山製エスパーフレックスシリーズ)を用い、その絶縁性フィルム101側に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムからなる補強フィルム122を、再剥離が可能な3μm厚の微粘着性接着剤層121を介して貼り合わせた4層構成の複合基材132を用いる。このような複合基材132は、表層側から下層側に、厚み8μmの銅めっき層131、厚み38μmの絶縁性フィルム101、厚み3μmの微粘着性接着剤層121、厚み50μmの補強フィルム122からなる4層構成となり、その総厚は99μmとなる。
この複合基材132は、絶縁性フィルム101の厚みが40μm、銅めっき層131の厚みが8μmと薄くなるが、厚み50μmの補強フィルム122の貼り合せによって従来のベースフィルムと同等の厚みとなるので、リールからリールに巻き取る搬送の際の機械的強度が充分になり、伸び等の変形が発生することがない。
次に、複合基材132を一方のリール(図示せず)から他方のリール(図示せず)に巻き取りながら図5(b)に示すように複合基材132の外部配線接続部、すなわち、配線パターン104の形成部で且つ各配線パターン104の他端部104bの形成部に向けて補強フィルム122側から高密度エネルギビームである炭酸ガスレーザのビームを照射し、補強フィルム122、微粘着性接着剤層121及び絶縁性フィルム101を厚み方向に貫通する一連の開口124を形成し、その結果として、ビアホール106を形成する。ビアホール106は、銅めっき層131側の開口106aが銅めっき層131の配線パターン形成部の他端部下面によって塞がれたブラインド型のビアホールとなる。
次に、図5(c)に示すように、銅めっき層131の上面にマスキングテープ128を貼り付けてビアホール106を被蔽し、この後、電解めっき法で開口124を通じてビアホール106内のみに銅の充填めっきを施し、ビアホール106内に金属めっき層107を形成する。金属めっき層107のビアホール深さ方向の厚みは、ポリイミドテープからなる絶縁性フィルム101の膜厚と同じ38μmを狙い値とし、めっき液に一般的な硫酸銅めっき液を使用する。この場合、めっきの電流密度5A/dm2とすると、所要時間34分で絶縁性のベースフィルム103の膜厚と同じ38μmの厚みの銅めっき層131が絶縁性のベースフィルム103の裏面とほぼ面一に形成された。
次に、図5(d)に示すように、マスキングテープ128を銅めっき層131から剥離し、補強フィルム122側の面にマスキングテープ129を貼り付けた状態として前記金属めっき層110がエッチングにより溶解することを防ぎながら前記銅めっき層131にフォトファブリケーションによるケミカルエッチングを施し、配線パターン104とダイパッド105とを形成する。
エッチングの終了後は、図5(e)に示すように、マスキングテープ129を剥離した後に、配線パターン104の被絶縁部に熱硬化性又は感光性のソルダーレジストを塗布し、熱硬化又は感光により被絶縁部をソルダーレジストからなる絶縁部材108で覆い、次に、配線パターン104、ダイパッド105、銅めっき層107に対してそれぞれ下地ニッケルめっき層、金めっき層を順次積層し、機能めっき層109を形成する。
最後に、図5(f)に示すように、PETフィルムから成る補強フィルム122及び微粘着性接着剤層121を剥離し、配線基板の製造を終了する。
この後、第1実施形態と同様、図2に示すように、配線基板100の配線パターン104側において、電子部品111を搭載した後、金線によるボンディングワイヤ113を接続し、封止樹脂によるモールドを行ってはんだボール114を接合すると電子装置の製造が終了する。
【0041】
(第3実施形態の効果)
この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)従来の電子装置の配線基板の総厚は72〜155μmであったが、この第3実施形態にかかる配線基板の総厚は46μmであるので、薄型化を達成することができた。
(2)さらに、テープ製造工程では、補強フィルムの貼り付けによって複合基材の総厚が99μmとなるので従来と同等の機械的強度があり、複合基材の連続搬送が可能となる。また、補強フィルムを貼り付けた状態では十分な機械的強度があるので、搬送以外のハンドリングも容易である。
(3)充填めっきの所要時間は、従来、50〜140分であったが、この第3実施形態にかかる配線基板の所要時間は34分で終了するので、生産性が大幅に向上する。
(4)配線基板の薄型化が達成され、電子部品を搭載した電子装置の薄型化を達成することができる。
【0042】
[第4実施形態]
図6は第4実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
まず、図6(a)に示すように、厚さ12.5μmのポリイミドテープからなる絶縁性フィルム(例えば、宇部興産製 ユーピレックスSシリーズ)101に厚さ8μmの接着剤層102(例えば、巴川製紙所製 Xシリーズ)を貼り合せたベースフィルム103の接着剤層102側と反対側面に、剥離可能な3μm厚の微粘着性接着剤層121を介して厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム)からなる補強フィルム122を貼り合わせた4層構成の複合テープ133を用意する。
次に、図6(b)に示すように、この複合テープ133の外部配線の配線部、すなわち、図1に示した配線パターン104の形成部で且つ各配線パターン104の他端部104bの形成部にプレス加工による打ち抜きを施して補強フィルム122、微粘着性接着剤層121、絶縁性フィルム101及び接着剤層102を厚み方向に貫通する開口124を形成し、その結果として、ベースフィルム103にビアホール106を形成する。
続いて、図6(c)に示すように、厚み18μmの圧延銅薄膜からなるキャリア層134の下面に、めっき法による成膜により、厚み0.01μmの剥離可能な剥離可能層135、例えば、Ni等の合金層などを積層し、この剥離可能層135の下面に銅薄膜からなる厚さ3μmの金属薄膜136を成膜により積層した複合金属テープ138を用意する。
次に、複合テープ133の接着剤層102と複合金属テープ138の金属薄膜136とを互いに対向させた状態で一対のリールの一方から他方に複合金属テープ138を巻き取りながら上下又は左右一対のロール126,126間を通してロール126,126によるラミネートにより両者を貼り合せて7層の複合基材137とする。この後、図6(d)に示すように、剥離可能層135ごとキャリア層134を金属薄膜136から剥離して基材139とする。基材139は、表層側から下層に、厚み3μmの導体配線としての金属薄膜136、厚み8μmの接着剤層102、厚み12.5μmの絶縁性フィルム101、厚み3μmの微粘着性接着剤層121、厚み100μmの補強フィルム122の5層構成となり、総厚は、126.5μmとなる。また、前記ビアホール106の絶縁性フィルム101側の開口106aは、極薄の金属薄膜136で被蔽された、いわゆるブラインド型のビアホールとなる。
このように、本実施の形態では、予め、導体配線となる金属薄膜136を圧延銅薄膜からなるキャリア層134で補強し、また、絶縁性フィルム101を補強フィルム122で補強することで、リールからリールに巻き取る際の張力に起因する絶縁性フィルム101の伸び、金属薄膜136の伸びを防止する。
また、厚み50μmの補強フィルム122の貼り合せによって従来のベースフィルムと同等の厚みとなっているので、リールからリールに巻き取る搬送の際の機械的強度が充分になり、伸び等の変形が発生することがない。
【0043】
次に、図6(e)に示すように、前記金属薄膜136の上面にマスキングテープ128を貼り付け、この状態で電解めっきにより、ビアホール106内のみに金属めっきとしての銅充填めっきを施し、ビアホール106の内部に、金属めっき層107を形成する。銅めっきの充填量は、前記接着剤層102の厚みと前記絶縁性フィルム101の厚みとを合計した20.5μmを狙い値とする。めっき液に一般的な硫酸銅めっきを使用し、電流密度を5A/dm2としてめっきを施すと、ビアホール深さ方向の厚みが20.5μmの金属めっき層107が所要時間19分で形成された。
金属めっき層107の形成後は、図6(f)に示すように、金属薄膜136からマスキングテープ128を剥離し、補強フィルム122にマスキングテープ129を貼り付けてビアホール106を被蔽した状態で前記金属薄膜136にフォトケミカルファブリケーションによるケミカルエッチングを施して前記ダイパッド105、配線パターン104を形成する。
【0044】
次に、図6(g)に示すように補強フィルム122からマスキングテープ129を剥離し、配線パターン104の被絶縁部に対して熱硬化性又は感光性のソルダーレジストを塗布し、熱硬化又は感光により配線パターン104の被絶縁部をソルダーレジストからなる絶縁部材108で覆い、この後、配線パターン104、ダイパッド105、金属めっき層107に対してそれぞれ下地ニッケルめっき層、金めっき層を順次積層し、機能めっき層109を形成する。
最後に、図6(h)に示すように、補強フィルム122を剥離し、配線基板100の製造を終了する。
この後、図2に示すように、パッケージ製造工程に進み、配線基板100の配線パターン104に電子部品111を搭載した後、ボンディングワイヤ113の接続、封止樹脂によるモールドを行い、はんだボール114を接合して電子装置201の製造を終了する。
なお、18μm以上の厚い圧延銅薄膜からなる金属薄膜をキャリア層134とし、これに後工程で剥離できる程度に接着力が弱い接着性を有する剥離可能層135を成膜により積層した後、電解めっき法で銅の金属薄膜136を積層したいわゆるキャリア付コア基板「たとえば、OLIN社のCopper Bond Extra Thin Foil (XTF):商品名」等を前記複合テープ133として使用することも可能である。
【0045】
(第4実施形態の効果)
(1)従来の電子装置の配線基板の総厚は72〜155μmに対して、この実施形態にかかる配線基板の総厚は、23.5μmであり、薄型化を達成できた。
(2)テープ製造工程において、絶縁性フィルムに補強フィルムが貼り付けられていて、総厚が126.5μmのため、従来と同等の機械的強度があり、連続搬送が可能である。
(3)キャリア層を有する複合金属テープを使用するため機械的強度があり、連続搬送が可能である。
(4)めっきの所要時間は、従来、50〜140分であったが、この実施形態にかかる配線基板の所要時間は19分で終了し、従来と比較して生産性がはるかに向上した。
(5)配線基板の薄型化、電子装置の軽薄短小が実現される。
【0046】
[第5実施形態]
図7は第5実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【0047】
まず、OLIN社等の複合金属テープ138を用意する。この複合金属テープ138は、18μm以上の厚い圧延銅薄膜からなる金属薄膜をキャリア層134とし、これに後工程で剥離できる程度に接着力が弱い厚み0.01μmの剥離可能層135を成膜により積層した後、電解めっき法で厚み3μmのめっき銅の薄い金属薄膜136を積層したものである。複合金属テープ138の金属薄膜136にポリイミド前駆体ワニスを塗布しながら熱硬化させる、いわゆる、キャスティング法により、厚さ12μmの絶縁性フィルム101を積層した後、絶縁性フィルム101に厚み100μmのPET製フィルムからなる補強フィルム122を、再度剥離が可能な微粘着性接着剤層からなる3μm厚の微粘着性接着剤層121を介して貼り合わせる。
この後、図7(b)に示すように、剥離可能層135において、キャリア層134を剥離して基材140を製造すると、基材140は、表層側より見て、厚さ3μmの金属薄膜136、厚さ12μmの絶縁性フィルム101、厚さ3μmの微粘着性接着剤層121、厚さ100μmの補強フィルム122からなる4層構成となり、総厚は、118μmとなる。
次に、キャリア層134を剥離した状態で、図7(c)に示すように、基材140の外部配線接続部、すなわち、前記配線パターン104の形成部で且つ各配線パターン104の他端部104bの形成部に向けて補強フィルム122側から基材140に炭酸ガスレーザを照射し、補強フィルム122、微粘着性接着剤層121、及び絶縁性フィルム101をする貫通する厚み方向の一連の開口124を形成し、その結果として絶縁性フィルム101に前記ビアホール106を形成する。ビアホール106の絶縁性フィルム101側の106は金属薄膜136により被蔽された、ブラインド型のビアホールとなる。
続いて、図7(d)に示すように、金属薄膜136にマスキングテープ128を貼り付け覆い、この状態で、電解めっき法で、各ビアホール106に、銅めっきを充填し、金属めっき層107を形成する。金属めっき層107のビアホール深さ方向の厚みは、前記絶縁性フィルム101と同じ12μmを狙い値とする。
めっき液には一般的に硫酸銅めっき液を用い、電流密度を5A/dm2とすると、所要時間11分でビアホール106内とほぼ同じ深さの厚み12.5μmの金属めっき層107を形成することができた。
金属めっき層107の形成した後は、図7(f)に示すように、金属薄膜136からマスキングテープ128を剥離すると共に、補強フィルム122にマスキングテープ129を貼り付けてビアホール106を被蔽し、この状態で、導体配線となる金属薄膜136にケミカルエッチングを施し、前記ダイパッド105と前記配線パターン104とを形成する。このように、エッチングの際には、前記ビアホール106がマスキングテープ129で被蔽されているので、前記金属めっき層107のエッチングによる溶解が防止される。
次に、図7(f)に示すように補強フィルム122からマスキングテープ129を剥離すると共に、配線パターン104の被絶縁部に対して熱硬化性又は感光性のソルダーレジストを塗布した後、熱硬化又は感光により硬化させることにより、配線パターン104の被絶縁部をソルダーレジストからなる絶縁部材108で被覆する。
この後に、配線パターン104、ダイパッド105、金属めっき層107に対してそれぞれ下地ニッケルめっき層、金めっき層を順次積層し、機能めっき層109を形成する。
最後に、図7(g)に示すように、PETフィルムからなる補強フィルム122及び微粘着性接着剤層121を剥離し、配線基板100の製造を終了する。
この後、パッケージ製造工程に進み、図2で説明したように、配線基板100の配線パターン104側において、電子部品111を搭載した後、ボンディングワイヤ113、封止樹脂によるモールドを行い、はんだボール114を接合して電子装置201の製造を終了する。
【0048】
(第5実施形態の効果)
(1)従来の電子装置の配線基板の総厚は72〜155μmに対して、この実施形態にかかる配線基板の総厚は、15μmであり、薄型化を達成できた。
(2)テープ製造時においては、補強フィルムが貼り付けられていて、総厚が118μmのため、従来と同等の機械的強度があるので、巻き取りに対応した連続搬送が可能となる。
(3)キャリア層を有する複合金属テープを用いるので、これにキャスティング法でベースフィルムを形成する際の機械的強度が十分になる。また、キャリア層を剥離により、ベースフィルム上にわずか3μmという極めて薄い金属薄膜を積層した複合金属テープが得られるので配線基板の軽薄短小が実現される。
(4)ビアホールに対する金属めっきの所要時間は、従来、50〜140分であったが、この実施形態にかかる配線基板の所要時間は11分で終了し、従来と比較して生産性がはるかに向上する。
(5)本実施形態に係る電子装置は、配線基板の薄型化により、軽薄短小が実現される。
[第6実施形態]
図8は第6実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
この実施の形態では、図8(a)に示すように、最初に、厚さ4μmのアラミド樹脂からなる絶縁性フィルム101に、厚さ8μmの接着剤層(例えば、巴川製紙所 Xシリーズ)102を貼り合わせた絶縁性フィルム101を用い、絶縁性フィルム101に厚さ100μmの補強フィルム122を、再剥離が可能な3μm厚の微粘着性接着剤層121を介して貼り合わせた4層構成の複合テープ133を用意する。
次に、図8(b)に示すように、前記複合テープ133の外部配線接続部、すなわち、前記配線パターン104の形成部で且つ各配線パターン104の他端部104bの形成部に向けて補強フィルム122側から複合テープ133に対して金型(図示せず)による打ち抜きを施して複合テープ133を厚み方向に貫通する厚み方向の一連の開口124を形成し、この結果、絶縁性フィルム101には、ビアホール106を形成する。
次に、OLIL社のキャリア付コア基板等の複合金属テープ138を用意する。この複合金属テープ138は、図8(c)に示す如く、厚さ18μmの圧延銅薄膜によるキャリア層134の下面に、厚さ0.1μmの剥離可能層135を成膜し、さらに、この剥離可能層135上に、厚さ3μmの薄いめっき銅による金属薄膜136を成膜により積層したものである。この複合金属テープ(複合銅テープ)138の金属薄膜136と複合テープ133の接着剤層102とを互いに対峙させながら巻き取って一対のロール126,126間を通過させてロール126,126のラミネートにより両者を接合することにより、基材127を製造する。
この後、図8(d)に示すように、基材127の剥離可能層135からキャリア層134を剥離すると、表層側から下層側を見て、厚み3μmの金属薄膜(極薄銅薄膜)136、厚み8μmの接着剤層102、厚み4μmの絶縁性フィルム101、厚み3μmの微粘着性接着剤層121、厚み100μmの補強フィルム122からなる5層構成となり、総厚は118μmとなる。また、開口124によるビアホール106は、絶縁性フィルム101側の開口106aが導体配線となる金属薄膜136により被蔽されたブラインド型のビアホールとなる。
次に、図8(e)に示すように、金属薄膜136にマスキングテープ128を貼り付けて被覆した後、電解銅めっき法により、各ビアホール106のみに銅めっきを充填し、金属めっき層107を形成する。金属めっき層107は絶縁性フィルム101の厚み12μmを狙い値とする。めっき液には、一般的な硫酸銅めっき液を用い、電流密度を5A/dm2とすると、めっき時間11分で、ビアホール106の深とほぼ面一な厚み15μmの銅めっきによる金属めっき層107が形成された。
金属めっき層107の形成後は、図8(e)に示すように、金属薄膜136からマスキングテープを剥離した状態し、補強フィルム122の下面にマスキングテープ129を貼り付けてビアホール106を被蔽した状態で、前記金属薄膜136にフォトケミカルファブリケーションによるケミカルエッチングを施して金属めっき層107の溶解を防止しながら前記銅薄膜に配線パターン104、ダイパッド105を形成する。
次に、図8(f)に示すように補強フィルム122からマスキングテープ129を剥離すると共に、配線パターン104の被絶縁部に対して熱硬化性又は感光性のソルダーレジストを塗布した後、熱硬化又は感光により硬化させることにより、配線パターン104の被絶縁部をソルダーレジストからなる絶縁部材108で被覆する。
この後に、配線パターン104、ダイパッド105、金属めっき層107に対してそれぞれ下地ニッケルめっき層、金めっき層を順次積層し、機能めっき層109を形成する。
最後に、図8(g)に示すように、PETフィルムからなる補強フィルム122及び微粘着性接着剤層121を剥離し、配線基板100の製造を終了する。
この後、パッケージ製造工程に進み、図2で説明したように、配線基板100の配線パターン104側において、電子部品111を搭載し、この後、ボンディングワイヤ113、封止樹脂によるモールドを行い、はんだボール114を接合して電子装置201の製造を終了する。
【0049】
(第6実施形態の効果)
(1)従来の電子装置の配線基板の総厚は72〜155μmに対して、この実施形態にかかる配線基板の総厚は、15μmであり、薄型化を達成できた。
(2)テープ製造時においては、絶縁性フィルムに補強フィルムが貼り付けられていて、総厚が118μmのため、従来と同等の機械的強度があり、連続搬送が可能である。
(3)キャリア層を有する複合金属テープを用い、複合テープとの接合の際巻き取り張力に対する機械的強度が十分になる。また、キャリア層を剥離すると、ベースフィルム上にわずか3μmという極めて薄い金属薄膜を積層した基材が獲られるので配線基板の軽薄短小が実現される。
(4)ビアホールに対する金属めっきの所要時間は、従来、50〜140分であったが、この実施形態にかかる配線基板の所要時間は11分で終了し、従来と比較して生産性がはるかに向上した。
(5)本実施形態に係る電子装置は、配線基板の薄型化により、軽薄短小が実現される。
【0050】
なお、本発明に係る第1実施形態〜第6実施形態では、ワイヤボンディング及びはんだボール実装タイプのBGAパッケージを前提としたが、この実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱するあるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、
(1)電子装置用の配線基板の製造時のベースフィルムとして最も一般的なポリイミドフィルムを使用し、補強フィルムには安価なPET材料を用いた構造としたが、要求性能やコストを考慮の上、金属箔、樹脂フィルム等、別の素材を使用することも可能である。
(2)要求された絶縁信頼性や設計寸法を考慮の上、熱硬化性又は感光性のソルダーレジストを使用したが、要求特性に応じて省略することも可能であるし、感光性ソルダーレジストやカバーレイなどを使用することも可能である。
(3)前記した第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態における機能めっきには、ワイヤボンディング及びはんだボール実装タイプBGAパッケージを前提として、金/ニッケルの2層のめっき構成を示したが、これに限定されるものではなく、電子部品の組立法、特に、部品と基板との電気的接続方法および組み立てられた部品のプリント配線基板への実装方法によっては、適正な種類と厚さを自由に組み合わせるようにしてもよい。
(4)前記各実施の形態においては、はんだボールを接合したBGAパッケージを前提としたが、はんだボールを接合せず、ビアホールからの金属はんだ層の突き出し量を大きくしてこれを面実装のLGAパッケージやコンデンサ用部品などに応用することが可能である。
【0051】
(5)また、特許文献1に開示された下式を用いると右辺が0の場合に金属めっき層が不要となるので、
T≧D−[r−(r2−R2)1/2]
但し、T:金属めっき層の必要厚み
r:はんだボールの半径
D:ビアホールの深さ
R:はんだボールを搭載するランド(ビアホールの開口)の半径
絶縁性フィルムの厚みを12μm又はそれ以下とした場合は、金属めっき層を廃止し、はんだボールを、配線パターンの他端部下面に直接接続するようにしてもよいし、配線パターンの他端部の裏面を回路基板の表面から突き出した接点に直接、はんだ付けするようにしてもよい。一例としては、LGAパッケージやコンデンサ用部品などの表面実装部品のはんだ実装が挙げられる。
(6)絶縁性フィルムとして最も一般的なポリイミドフィルムを使用し、補強フィルムには、安価なPETフィルムを用いた構造としたが、搬送やハンドリングに対する性能やコストを考慮の上、別の樹脂素材を使用することも可能である。
(7)熱硬化性又は感光性のソルダーレジストで被覆する説明をしたが、要求される絶縁性に対する信頼性や設計寸法を考慮の上、廃止することも可能である。
(8)排水処理が容易で低コストの銅のケミカルエッチング溶解液としては、塩化第2鉄系のエッチング液が一般的であるが、塩化銅系のエッチング液や硫酸と過酸化水素水の混合溶液を用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る配線基板の構造を示す断面図である。
【図2】配線基板に電子部品を実装した電子装置の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【図9】従来の配線基板に電子部品を搭載した従来の電子装置の断面図である。
【図10】図9の電子装置の平面図である。
【図11】従来の配線基板を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
101 絶縁性フィルム
104 配線パターン(導体配線)
105 ダイパッド(導体配線)
124 開口
122 補強フィルム
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法、配線基板に電子部品を実装した電子装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は配線基板に電子部品を搭載した従来の電子装置の断面図、図10は図9の平面図である。
図示されるように、電子装置1は、配線基板2と電子部品3とで構成されていて、配線基板2の下面のはんだボール4を介してプリント基板等の回線基板(図示せず)に接続する構造となっている。
配線基板2の配線パターン5とダイパッド6とは、絶縁性フィルム7の上面に接着剤層8を介して積層されており、複数の配線パターン5の一端部5aと電子部品3の端子10とは、ボンディングワイヤ11を介して導通している。
ベースフィルムを構成する絶縁性フィルム7と接着剤層8には、厚み方向に貫通する開口によりビアホール12が形成されている。このビアホール12は、絶縁性フィルム7側開口12aが配線パターン5の他端部5bの下面により被蔽されていて、絶縁性フィルム7側と反対側からはんだボール4の接合部を内部へと案内し、配線パターン5の他端部5bの下面にはんだ付けする構造となっている。
また、前記配線パターン5、ダイパッド6、電子部品3、ボンディングワイヤ11は、封止樹脂によってモールド成形された外殻13に封止されている。
このように、従来の電子装置1は、封止樹脂からなる外殻13により保護されており、ボンディングワイヤ11、配線パターン5、はんだボール4を介して電子部品3の端子10を外部に引き出す構造となっていて、薄い絶縁性フィルム7を用いることによって、配線基板2の薄肉化と軽量化とを実現するようになっている。
【0003】
また、図11に示すように、前記配線基板2において、ビアホール12内に金属めっき層14を充填し、金属めっき層14に前記はんだボールを接続する際に、開口の半径をR、はんだボール等の球形の外部接続端子の半径をr、開口の深さをD、金属めっきの厚みをTとして、T≧D−[r−(r2−R2)1/2]の関係式を満足するように金属めっきの厚みTを定めると、はんだボール4に対する金属めっき層の厚みが定まり、結果として、ビアホール12の底が浅くなるので、はんだボール4等の球形の外部接続端子の接続、あるいははんだペースト印刷・リフローにおけるはんだ接合の信頼性が向上することが知られている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−041356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記配線基板を製造する場合、製造工程は、テープを製造するテープ製造工程と、テープ製造工程で製造したテープに電子部品を実装するパッケージ工程とに分かれており、テープ製造工程では、絶縁性フィルムからなる樹脂テープと、配線パターンやダイパッドを形成するための導体配線となる銅薄膜テープとを互いに対向させてそれぞれ一方のリールから他方のリールに巻き取りながら接着剤で貼り合せ、この後、銅薄膜にケミカルエッチングを施して配線パターンとダイパッドとを形成しているが、樹脂テープと銅薄膜テープとの貼り合わせの工程や銅薄膜のケミカルエッチングの工程では、樹脂テープと銅薄膜テープの巻き取りの際に、樹脂テープや銅薄膜テープに伸びが生じて弛みやずれが発生することがある。このような場合、これらのテープに皺や折り曲げ部が発生してしまい、製造不良となってしまうので、巻き取り張力に対応した厚みの樹脂テープや銅薄膜テープを選定せざるを得ない。従って、従来は、絶縁性フィルムの材料に厚み50〜100μmのポリイミドテープを、銅薄膜の材料に厚み12〜35μmの銅薄膜テープを選定し、ポリイミドテープに厚み10〜20μmのエポキシ系の接着剤を積層した後、接着剤により、相互を重ねて接合しているが、配線基板の厚みは、ポリイミドフィルム、接着剤、銅薄膜の厚みを合わせた72〜155μmと厚くなってしまう。
【0006】
また、ベースフィルムが72〜155μmと厚くなってしまうと、ビアホールも深くなってしまい、一般的な硫酸銅めっき浴により、適正電流密度2〜5A/dm2で金属めっき層を形成する場合では、めっきの所要時間が単純計算で50〜140分となってしまい、配線基板の生産性が低下してしまう。
【0007】
このように、配線基板をテープから製造する場合、電子部品の実装に支障がない薄さのテープであっても、搬送やハンドリングの際の機械的強度が不足してしまい、テープに伸びが生じたり挙動が不安定となってしまうことがあり、厚いテープを使用せざるを得ない実情にある。
【0008】
そこで、本発明は、配線基板の薄型化を実現するために上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、絶縁性フィルムに接着剤層を積層すると共にその反対側面に補強フィルムを剥離可能に積層した複合テープの外部配線の配線部に対して厚み方向に貫通する開口を形成する工程と、金属薄膜を前記複合テープに前記接着剤層を介して積層する工程と、前記開口内に金属めっきを充填する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合テープから前記補強フィルムを剥離する工程とを含むものである。ここで、絶縁性フィルムは配線基板の薄肉化を達成できる厚みとなっており、補強フィルムは、絶縁性フィルムの機械的強度を搬送やハンドリングに支障のないように補強できる機械的強度を有している。このため、搬送やハンドリングに対する絶縁性フィルムの機械的強度不足が解消され、配線基板の薄肉化が可能となる。複合テープの外部配線の配線部に開口を形成し、樹脂テープの接着剤層に金属薄膜を重ねて貼り付けると、開口がビアホールとなり、外部接続端子や回線基板の接続端子のはんだ付けが可能となる。
【0010】
請求項2記載の発明は、金属薄膜に樹脂のキャスティングにより絶縁性フィルムを積層すると共に、剥離可能な接着剤を介して前記絶縁性フィルムに補強フィルムを積層した複合テープの外部配線接続部に対して前記補強フィルム側からレーザを照射することにより前記補強フィルム及び前記絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する一連の開口を形成する工程と、前記開口に金属めっきを充填する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合テープから前記補強フィルムを剥離する工程とを含むものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、絶縁性フィルムに金属めっきにより導体配線となる金属薄膜を積層すると共に、剥離可能な接着剤を介して金属薄膜と反対側面に補強フィルムを積層した複合基材の外部配線接続部に対して補強フィルム側からレーザを照射することにより補強フィルム及び絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する一連の開口を形成する工程と、前記開口に金属めっきを充填する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合基材から前記補強フィルムを剥離する工程とを含むものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、絶縁性フィルムに接着剤層を積層すると共にその反対側面に補強フィルムを剥離可能に積層した複合テープの外部配線の配線部に対して厚み方向に貫通する開口を形成する工程と、金属を素材としたキャリア層に剥離可能層を介して金属薄膜を積層した複合金属テープの金属薄膜を前記複合テープの接着剤層に対向させてラミネートした後、前記複合金属テープから前記キャリア層を剥離する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合テープから前記補強フィルムを剥離する工程とを含むものである。
【0013】
請求項5記載の発明は、金属を素材としたキャリア層に剥離可能層を介して金属薄膜を積層した後、樹脂のキャスティングにより前記金属薄膜に絶縁性フィルムを積層すると共に、剥離可能な接着剤を介して前記絶縁性フィルムに補強フィルムを積層して複合テープを形成する工程と、前記複合テープの外部配線接続部に前記補強フィルム側からレーザを照射して前記補強フィルム及び前記絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する一連の開口を形成した後、前記キャリア層を剥離する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とする工程とを含むものである。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5いずれかに記載の発明において、前記絶縁性フィルムの厚みを40μm以下とし、前記補強フィルムの厚みを50μm以上としたものである。
このように前記絶縁性フィルムの厚みを40μm以下とし、前記補強フィルムの厚みを50μm以上とすると、配線基板が薄肉化され、軽量化される。この場合前記絶縁性フィルムの厚みを25μm以下とすると、配線基板がより薄肉化され、より軽量化される。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6いずれかに記載の発明において、前記補強フィルムが、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートより選択した1つの樹脂素材で形成され、微粘着性の接着剤を介して前記絶縁性フィルムに貼り合せ可能なフィルム材料である。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7いずれかに記載の絶縁性フィルムに電子部品を搭載する工程と、前記電子部品の端子と前記導体配線とを電気的に接続する工程と、前記電子部品及び導体配線を含む前記絶縁性フィルムの電子部品側を絶縁性の封止樹脂に封止する工程とを含むものである。
絶縁性フィルムが薄いので、電子部品を実装した電子装置の軽薄短小が実現される。また、実装部が絶縁性の樹脂からなる外殻に封止され保護されるので取り扱いが容易になる。
【0017】
請求項9記載の発明は、絶縁性フィルムに電子部品を実装するための導体配線が積層された配線基板において、前記絶縁性フィルムが厚さ40μm以下の樹脂フィルムから構成されると共に、前記絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する開口が、前記絶縁性フィルムの外部配線の配線部に設けられ、前記絶縁性フィルムの前記導体配線側と反対側面に厚さ50μm以上の補強フィルムが剥離可能な接着剤を介して貼り付けられたものである。なお、金属薄膜には、圧延による箔、めっきによる薄膜が含まれるものとする。
このように、絶縁性フィルムに補強フィルムを剥離可能に積層し、搬送やハンドリングの際の絶縁性フィルムの強度不足を補うように構成すると、絶縁性フィルムの厚みを従来よりも薄くすることが可能となる。絶縁性フィルムが薄くなると、開口の深さも浅くなるので、外部接続端子との直接接合や、金属めっき層を介して接合する際の接合信頼性が向上する。
この場合、絶縁性フィルムの厚みを25μm以下とすると、より薄く軽い配線基板となる。また、開口の深さも大幅に浅くなるので、導体配線裏面に対する外部接続端子の接合の信頼性が大幅に向上する。
【0018】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明において、前記導体配線が前記絶縁性フィルムに直接又は接着剤層を介して積層されたものである。
接着剤層を介して導体配線を接合すると、その分厚みが増すが、接合がしやすく作業性がよい。絶縁性フィルムに導体配線を直接接合すると、接着剤が不要となる分、配線基板の厚みが薄くなり、軽くなる。
【0019】
請求項11記載の発明は、請求項9又は請求項10記載の発明において、前記開口内に前記導体配線と導通可能に金属めっきが形成され、前記金属めっき層の開口深さ方向の厚みが前記開口の深さとほぼ同じにしたものである。
開口内に前記導体配線と導通可能な金属めっき層が形成され、前記金属めっき層の開口深さ方向の厚みが開口の深さとほぼ同じになると、金属めっき層の表面がベースフィルムの裏面とほぼ面一となるので、外部接続端子又は回路基板の端子を接合するときの接合の信頼性が格段に向上する。また、開口の深さが浅くなり、金属めっき層のめっき所要時間が短縮されるので、配線基板の生産性が向上する。
【0020】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明において、前記金属めっき層が、銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した1つ又は選択した2以上の金属の合金からなる単一層又は銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した異種金属の単一層同士を積層した複数層のめっき層又は異種合金の単一層同士を積層した複数層のめっき層からなるものである。
このようにすると、金属めっき層に対する外部接続端子の接合性が良好になる。
【0021】
請求項13記載の発明は、請求項9〜12いずれかに記載の発明において、前記配線基板が、銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した1つ又は選択した2以上の金属の合金からなる単一層又は銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した異種金属の単一層同士を積層した複数層のめっき層又は異種合金の単一層同士を積層した複数層のめっき層からなる機能めっき層で被覆されたものである。
このようにすると、配線基板の材質に対応した配線が可能となる。
【0022】
請求項14記載の発明は、請求項9〜13いずれかに記載の発明において、前記導体配線の被絶縁部にこれを覆って熱硬化性又は感光性のソルダーレジスト、カバーレイから選択した1つの絶縁性部材が設けられたものである。
被絶縁部が絶縁部材により絶縁されるので、ショートによる回路の損傷が防止される。
【0023】
請求項15記載の発明は、請求項9〜14いずれかに記載の絶縁性フィルムに電子部品が搭載され、前記電子部品の端子と前記導体配線とがボンディングワイヤを介して接続され、且つ、前記電子部品及び前記導体配線を含んで前記絶縁性フィルムの電子部品実装側が絶縁性の封止樹脂からなる外殻内に封止されたものである。
絶縁性フィルムが薄いので、電子部品を実装した電子装置の軽薄短小が実現される。また、実装部が絶縁性の樹脂からなる外殻に封止され保護されるので取り扱いが容易になる。
【発明の効果】
【0024】
以上、説明したことから明らかなように本発明によれば次の如き優れた効果を発揮する。
(1)製造工程で補強テープを貼り付けて絶縁性フィルムの機械的強度の不足を補うことができるので、40μm以下の薄い絶縁性フィルムを用いることが可能となり、配線基板の薄肉化及び軽量化を達成することができる。
(2)絶縁性フィルムの厚みが薄くなるので、開口を通じて導体配線に対する球形の外部接続端子や回路基板の接続端子の接合の信頼性が大幅に向上する。
(3)絶縁性フィルムの厚さが薄くなるので、開口内に金属めっきを充填する場合に、めっき時間を大幅に短縮でき、配線基板の生産性が向上する。
(4)配線基板に半導体装置等の電子装置を搭載した電子装置の軽薄短小を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。
まず、図1及び図2を参照して本実施形態に係る配線基板及び電子装置の構成について説明する。
【0026】
図1は本発明に係る配線基板の構造を示す断面図である。
図示されるように、配線基板100は、絶縁性フィルム101に接着剤層102を積層したベースフィルム103と、絶縁性フィルム101に接着剤層102を介して積層された導体配線としての複数の配線パターン104及びダイパッド105と、絶縁性フィルム101及び接着剤層102を厚み方向に沿って貫通する開口からなるビアホール106と、ビアホール106内に充填された金属めっき層107とから構成される。
前記絶縁性フィルム101は、40μm以下の絶縁性のポリイミドテープで構成されており、導体配線としての各配線パターン104及びダイパッド105は、8μm以下の金属薄膜で構成されている。
各配線パターン104は、それぞれダイパッド105の外周縁部105aとの間に間隔を隔ててダイパッド105の周囲に配置されており、ダイパッド105から絶縁性フィルム101の外周縁部に向かって所定長さ延びている。
各ビアホール106は、絶縁性フィルム101の外部配線の配線部、すなわち、ダイパッド105の外周縁部105aから外側に所定距離隔てた絶縁性フィルム101の外周部側で且つ各配線パターン104の他端部104bの下に配置されており、配線パターン104の他端部104b下面によって配線パターン104の他端部104b側の開口106bが被蔽された、いわゆるブラインド型ビアホールとなっている。また、ビアホール106内には、接着剤層102側と反対側の絶縁性フィルム101の下面とほぼ面一の深さに金属めっき層107が充填されている。
各配線パターン104の一端部104a、ダイパッド105の露出面及び金属めっき層107の表面は、下地ニッケルめっき、金めっきを順次積層した機能めっき層109でそれぞれ覆われており、ベースフィルム103の他端部104b上面は、熱硬化性又は感光性のソルダーレジスト、カバーレイ等の絶縁部材108によって覆われている。また、前記金属めっき層107は、銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズ、又はそれらの合金からなる単一層、又は銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズ、又はそれらの合金から選択した異種金属の単一層同士又は2以上の異種金属の合金からなる単一層同士を積層しためっき層で構成されており、配線パターン104の他端部104b側の下面と電気的に接合されている。
【0027】
図2は前記配線基板100に電子部品111を実装した電子装置201の構造を示す断面図である。
電子装置201は、配線基板100と、前記ダイパッド105に実装する電子部品111と、電子部品111の各端子112を、配線パターン104に接続するためのボンディングワイヤ113とで構成されている。電子部品111は、ダイぺースト(図示せず)を介して前記ダイパッド105の表面を覆う機能めっき層109上に搭載されており、電子部品111の各端子112は、ボンディングワイヤ113を介して、接続すべき配線パターン104の一端部104aに接続されている。
これらの電子部品111、配線パターン104、ダイパッド105及びボンディングワイヤ113は、封止樹脂によるモールド成形による外殻115に封止され、保護される。そして、各はんだボール114は、モールド成形後に、金属めっき層107の表面を覆う機能めっき層109にはんだ付けされている。
前記金属めっき層107のビアホール深さ方向の厚みは、ポリイミドテープからなる絶縁性フィルム101の厚みに接着剤層102の厚みを加えた厚みとほぼ同じであり、金属めっき層107に積層されている機能めっき層109の表面が絶縁性フィルム101の裏面よりも下方に位置している。このため、はんだボール114と機能めっき層109との接続を外部から視認することが可能となり、相互の接合の信頼性が大幅に向上する。また、本実施形態では、絶縁性フィルム101の厚みが40μm以下であり、従来よりも薄くなっているため、めっき時間が大幅に短縮され、配線基板100及び電子装置201の生産性が大幅に向上する。
【0028】
以下、図3乃至図8を参照して前記配線基板の製造方法の実施形態を説明する。なお、以下の説明において、形状及び機能が同じ構成部については基本的に同一符号を付すものとする。
[第1実施形態]
図3は第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
図3(a)に示すように、厚さ12.5μmのポリイミドテープからなる絶縁性フィルム(例えば、宇部興産製 ユーピレックスSシリーズ)101に、厚さ12μmの接着剤層(例えば、巴川製紙所製 Xシリーズ)102を貼り合せたベースフィルム103の接着剤層102側と反対側面に、剥離可能な3μm厚の微粘着性接着剤層121を介して厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム)からなる補強フィルム122を貼り合わせた4層構成の複合テープ123を用意する。
ここで、複合テープ123の絶縁性フィルム101及び接着剤層102を合わせた厚みは25μmと薄くなっているが、厚み50μmの補強フィルム122の貼り合せによって従来のベースフィルムとほぼ同じ厚さとなっているので、リールからリールに巻き取る搬送の際の機械的強度が充分となり、伸び等の変形が発生することがない。
次に、前記複合テープ123を、一方のリール(図示せず)から他方のリール(図示せず)に巻き取りながら、金型(図示せず)によるプレス打ち抜きによって図3(b)に示すように、複合テープ123に対する外部配線の配線部、すなわち、図1に示した配線パターン104の形成部で且つ配線パターン104の他端部104bの形成部に対して複合テープ123を厚み方向に貫通する開口124を形成し、その結果として、ベースフィルム103、すなわち、絶縁性フィルム101と接着剤層102とにビアホール106を形成する。
【0029】
次に、前記複合テープ123と、導体配線となる金属薄膜、すなわち、前記配線パターン104とダイパッド105となる厚さ18μmの電解性銅薄膜(例えば、三井金属製FQ−VLP薄膜等)125とを互いに対向させた状態で複合テープ123と電解性銅薄膜125とを一方のリールから他方のリールに巻き取りながら、図3(c)に示すように上下又は左右一対のロール126,126間を通し、ラミネートにより両者を貼り合せて5層の基材127を製造する。
基材127は、表層側から下層に向かって、厚さ18μmの電解性銅薄膜125、厚さ12μmの接着剤層102、厚さ12.5μmの絶縁性フィルム101、厚さ3μmの微粘着性接着剤層121、厚さ50μmの補強フィルム122の5層構成となり、全体の総厚は95.5μmとなる。また、ビアホール106は、電解性銅薄膜125のラミネートによってベースフィルム103側の開口106aが電解性銅薄膜125で塞がれた、いわゆる、ブラインド型のビアホールとなる。
【0030】
基材127の製造を終了すると、図3(d)に示すように、電解性銅薄膜125に、マスキングテープ128を貼り付けて、電解めっき法でビアホール106内のみに導電性金属、例えば、銅めっきを充填し、金属めっき層107を形成する。
この場合、ビアホール106の直径を従来と同じにし、銅めっきの充填量、すなわち、ビアホール106の深さ方向の金属めっき層107の厚みを、絶縁性フィルム101と接着剤層102との厚みの合計とほぼ同じ24.5μmを狙い値とし、めっき液に、一般的な硫酸銅めっき液を使用して、めっきの電流密度5A/dm2とすると、所要時間22分で、ビアホール106と同じ深さ換言すると、ベースフィルム103の下面と面一の金属めっき層107がビアホール106内に形成された。これにより、めっきの所要時間は、従来の50分から22分に短縮された。
【0031】
次に、図3(e)に示すように、補強フィルム122にマスキングテープ129を貼り付け、電解性銅薄膜125を覆っていたマスキングテープ128を剥離して金属めっき層107の溶解をマスキングテープ129により防止しながら前記電解性銅薄膜125にフォトファブリケーションによるケミカルエッチングを施し、電解性銅薄膜125から不要な部分を取り除くことにより配線パターン104と前記ダイパッド105とを形成する。
【0032】
フォトファブリケーションによるケミカルエッチングを終了すると、次に、図3(f)に示すように、開口124を被蔽しているマスキングテープ129を補強フィルム122から剥離し、続いて、配線パターン104の被絶縁部に対して硬化性又は感光性のソルダーレジストを塗布し、熱硬化又は感光により絶縁部材108を形成すると共に、配線パターン104、ダイパッド105、及び金属めっき層107の露出面に、機能めっきとしての下地ニッケルめっき層、金めっき層を順次積層させてそれぞれ前記機能めっき層109を積層する。
最後に、図3(g)に示すように、絶縁性フィルム101から補強フィルム122を剥離して配線基板100の製造を終了し、この後、パッケージ工程へと供給する。
【0033】
パッケージ工程では、図2で説明したように、電子部品111をダイパッド105にダイペーストを介して搭載した後、金線からなるボンディングワイヤ113により電子部品111の各端子112と配線パターン104の一端部104aとをそれぞれ接続し、この後、封止樹脂によるモールドにより、電子部品111、配線パターン104、ダイパッド105、ボンディングワイヤ113を外殻115内に封止する。そして、最後に、各はんだボール114を各ビアホール106に充填した金属めっき層107の表層の機能めっき層109にはんだ付けして電子装置201のパッケージ工程を終了する。
【0034】
(第1実施形態の効果)
この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)従来の電子装置の配線基板の総厚は72〜155μmであったが、この実施形態にかかる配線基板の総厚は42.5μmであり、薄型化が達成された。
(2)さらに、テープ製造工程においては、ベースフィルムに補強フィルムが貼り付けられていて総厚が95.5μmとなっているので従来と同等の機械的強度があるので、巻き取りによる連続搬送が可能となる。
(3)ビアホールの金属めっき層の充填が終了するまでの所要時間は、従来、50〜140分であったが、この実施形態にではめっきの所要時間が22分となるので、従来と比較して配線基板の生産性が大幅に向上する。
(4)配線基板の薄型化が達成され、電子部品を搭載した電子装置の薄型化が達成される。
【0035】
[実施の形態2]
図4は第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【0036】
図4(a)に示すように、まず、導体配線となる金属薄膜としての厚さ12μmの電解性銅薄膜125の下面にポリイミド前駆体ワニスを塗布しながら熱硬化させるいわゆるキャスティング法により、厚さ40μmのポリイミドフィルムからなる絶縁性フィルム101を積層した2層構成のテープ材(例えば、新日鐵化学製エスパネックシリーズ)120を用い、その電解性銅薄膜125側と反対側の絶縁性フィルム101に、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムからなる補強フィルム122を、再剥離が可能な3μm厚の微粘着性接着剤層121を介して貼り合わせて複合化した複合基材130を用意する。
複合基材130は、表層側から下層側に、厚み12μmの電解性銅薄膜125、厚み40μmの絶縁性フィルム101、厚み3μmの微粘着性接着剤層121、厚み50μmの補強フィルム122からなる4層構成となり、総厚は105μmとなる。このような複合基材130において、絶縁性フィルム101の厚みは40μm、電解性銅薄膜125の厚みは12μmと薄くなるが、厚み50μmの補強フィルム122を貼り付けると従来のベースフィルムと同等の厚みとなるので、リールからリールに巻き取る搬送の際の機械的強度が充分になり、伸び等の変形が発生することがない。
【0037】
次に、一方のリール(図示せず)から他方のリール(図示せず)に複合基材130を巻き取りながら、図4(b)に示すように、前記複合基材130の外部配線接続部、すなわち、電解性銅薄膜125の各配線パターン104の形成部で各配線パターン104の他端部104bの形成部に向けて複合基材130の補強フィルム122側、すなわち、裏面側から高密度エネルギビームである炭酸ガスレーザビームを照射することにより、複合基材130に、補強フィルム122、微粘着性接着剤層121及び絶縁性フィルム101を厚み方向に貫通する一連の開口124を形成し、その結果として前記絶縁性フィルム101にビアホール106を形成する。ビアホール106は、電解性銅薄膜125側の開口106aが電解性銅薄膜125の配線パターン形成部の他端部下面によって塞がれたブラインド型のビアホールとなる。
このように絶縁性フィルム101及び電解性銅薄膜125が補強フィルム122により補強され、補強フィルム122により巻き取り時の巻取り張力に対して機械的強度を実質的に増加するので、巻き取りの際に、伸びや厚みの変化がない。このため、正確な位置にビアホール106が形成される。
続いて、図4(c)に示すように、電解性銅薄膜125の上面にマスキングテープ128を貼り付けた後、一方のリールから他方のリールに複合基材130を巻き取りながら電解めっき法でビアホール106内のみに前記開口124を通じて銅の充填めっきを施し、金属めっき層107を形成する。
【0038】
ここで、金属めっき層107のビアホール106の深さ方向の厚みは、絶縁性フィルム101の厚みと同じ40μmを狙い値とし、めっき液には一般的な硫酸銅めっき液を使用する。そして、めっきの電流密度を5A/dm2とすると、36分のめっきの所要時間で、ビアホール106深さ方向にビアホール106の深さとほぼ同じ厚さの金属めっき層107が形成された。
次に、図4(d)に示すように、エッチングによる前記金属めっき層107が溶解することを防ぐため補強フィルム122の下面にマスキングテープ129を貼り付け、電解性銅薄膜125からマスキングテープ128を剥離した状態で電解性銅薄膜125にフォトファブリケーションによるケミカルエッチングを施して配線パターン104とダイパッド105とを形成する。配線パターン104とダイパッド105の形成を終了すると、次に、図4(e)に示すように、補強フィルム122の下面からマスキングテープ129を剥離すると共に、配線パターン104の被絶縁部に対して絶縁部材108としてのソルダーレジストを塗布し、熱硬化させた後に、配線パターン104、ダイパッド105、銅めっき層107に対してそれぞれ下地ニッケルめっき層、金めっき層を順次積層し、機能めっき層109を形成する。
最後に、図4(f)に示すように、補強フィルム122及び微粘着性接着剤層121を剥離し、配線基板100の製造を終了する。この後、図2に示すように配線基板100のダイパッド105に電子部品111を実装した後、金線によるボンディングワイヤ113、封止樹脂によるモールドを行い、はんだボール114を接合すると、電子装置201のパッケージ工程が終了する。
【0039】
(第2実施形態の効果)
この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)従来の電子装置の配線基板の総厚は72〜155μmであったが、この実施形態にかかる配線基板の総厚は52μmとなり、薄型化を達成することができた。
(2)さらに、テープ製造工程においては、補強フィルムを貼り付けによって、複合基材の総厚を105μmとするので従来と同等の機械的強度が得られ、複合基材の巻取りによる連続搬送が可能となる。
(3)充填めっきの所要時間は、従来、50〜140分であったが、この実施形態にかかる配線基板の所要時間は36分で終了するので、従来と比較して生産性が大幅に向上する。
(4)配線基板の薄型化が達成されているので、電子部品を搭載した電子装置の薄型化を達成することができる。
【0040】
[第3実施形態]
図5は第3実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
図5(a)に示すように、まず、厚さ38μmのポリイミドテープからなる絶縁性フィルム(例えば、東レ製 カプトンEM)101に無電解めっき又は電解めっき法で導体配線となる金属薄膜として厚さ8μmの銅めっき層131を積層したテープ(例えば、住友金属鉱山製エスパーフレックスシリーズ)を用い、その絶縁性フィルム101側に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムからなる補強フィルム122を、再剥離が可能な3μm厚の微粘着性接着剤層121を介して貼り合わせた4層構成の複合基材132を用いる。このような複合基材132は、表層側から下層側に、厚み8μmの銅めっき層131、厚み38μmの絶縁性フィルム101、厚み3μmの微粘着性接着剤層121、厚み50μmの補強フィルム122からなる4層構成となり、その総厚は99μmとなる。
この複合基材132は、絶縁性フィルム101の厚みが40μm、銅めっき層131の厚みが8μmと薄くなるが、厚み50μmの補強フィルム122の貼り合せによって従来のベースフィルムと同等の厚みとなるので、リールからリールに巻き取る搬送の際の機械的強度が充分になり、伸び等の変形が発生することがない。
次に、複合基材132を一方のリール(図示せず)から他方のリール(図示せず)に巻き取りながら図5(b)に示すように複合基材132の外部配線接続部、すなわち、配線パターン104の形成部で且つ各配線パターン104の他端部104bの形成部に向けて補強フィルム122側から高密度エネルギビームである炭酸ガスレーザのビームを照射し、補強フィルム122、微粘着性接着剤層121及び絶縁性フィルム101を厚み方向に貫通する一連の開口124を形成し、その結果として、ビアホール106を形成する。ビアホール106は、銅めっき層131側の開口106aが銅めっき層131の配線パターン形成部の他端部下面によって塞がれたブラインド型のビアホールとなる。
次に、図5(c)に示すように、銅めっき層131の上面にマスキングテープ128を貼り付けてビアホール106を被蔽し、この後、電解めっき法で開口124を通じてビアホール106内のみに銅の充填めっきを施し、ビアホール106内に金属めっき層107を形成する。金属めっき層107のビアホール深さ方向の厚みは、ポリイミドテープからなる絶縁性フィルム101の膜厚と同じ38μmを狙い値とし、めっき液に一般的な硫酸銅めっき液を使用する。この場合、めっきの電流密度5A/dm2とすると、所要時間34分で絶縁性のベースフィルム103の膜厚と同じ38μmの厚みの銅めっき層131が絶縁性のベースフィルム103の裏面とほぼ面一に形成された。
次に、図5(d)に示すように、マスキングテープ128を銅めっき層131から剥離し、補強フィルム122側の面にマスキングテープ129を貼り付けた状態として前記金属めっき層110がエッチングにより溶解することを防ぎながら前記銅めっき層131にフォトファブリケーションによるケミカルエッチングを施し、配線パターン104とダイパッド105とを形成する。
エッチングの終了後は、図5(e)に示すように、マスキングテープ129を剥離した後に、配線パターン104の被絶縁部に熱硬化性又は感光性のソルダーレジストを塗布し、熱硬化又は感光により被絶縁部をソルダーレジストからなる絶縁部材108で覆い、次に、配線パターン104、ダイパッド105、銅めっき層107に対してそれぞれ下地ニッケルめっき層、金めっき層を順次積層し、機能めっき層109を形成する。
最後に、図5(f)に示すように、PETフィルムから成る補強フィルム122及び微粘着性接着剤層121を剥離し、配線基板の製造を終了する。
この後、第1実施形態と同様、図2に示すように、配線基板100の配線パターン104側において、電子部品111を搭載した後、金線によるボンディングワイヤ113を接続し、封止樹脂によるモールドを行ってはんだボール114を接合すると電子装置の製造が終了する。
【0041】
(第3実施形態の効果)
この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)従来の電子装置の配線基板の総厚は72〜155μmであったが、この第3実施形態にかかる配線基板の総厚は46μmであるので、薄型化を達成することができた。
(2)さらに、テープ製造工程では、補強フィルムの貼り付けによって複合基材の総厚が99μmとなるので従来と同等の機械的強度があり、複合基材の連続搬送が可能となる。また、補強フィルムを貼り付けた状態では十分な機械的強度があるので、搬送以外のハンドリングも容易である。
(3)充填めっきの所要時間は、従来、50〜140分であったが、この第3実施形態にかかる配線基板の所要時間は34分で終了するので、生産性が大幅に向上する。
(4)配線基板の薄型化が達成され、電子部品を搭載した電子装置の薄型化を達成することができる。
【0042】
[第4実施形態]
図6は第4実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
まず、図6(a)に示すように、厚さ12.5μmのポリイミドテープからなる絶縁性フィルム(例えば、宇部興産製 ユーピレックスSシリーズ)101に厚さ8μmの接着剤層102(例えば、巴川製紙所製 Xシリーズ)を貼り合せたベースフィルム103の接着剤層102側と反対側面に、剥離可能な3μm厚の微粘着性接着剤層121を介して厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム)からなる補強フィルム122を貼り合わせた4層構成の複合テープ133を用意する。
次に、図6(b)に示すように、この複合テープ133の外部配線の配線部、すなわち、図1に示した配線パターン104の形成部で且つ各配線パターン104の他端部104bの形成部にプレス加工による打ち抜きを施して補強フィルム122、微粘着性接着剤層121、絶縁性フィルム101及び接着剤層102を厚み方向に貫通する開口124を形成し、その結果として、ベースフィルム103にビアホール106を形成する。
続いて、図6(c)に示すように、厚み18μmの圧延銅薄膜からなるキャリア層134の下面に、めっき法による成膜により、厚み0.01μmの剥離可能な剥離可能層135、例えば、Ni等の合金層などを積層し、この剥離可能層135の下面に銅薄膜からなる厚さ3μmの金属薄膜136を成膜により積層した複合金属テープ138を用意する。
次に、複合テープ133の接着剤層102と複合金属テープ138の金属薄膜136とを互いに対向させた状態で一対のリールの一方から他方に複合金属テープ138を巻き取りながら上下又は左右一対のロール126,126間を通してロール126,126によるラミネートにより両者を貼り合せて7層の複合基材137とする。この後、図6(d)に示すように、剥離可能層135ごとキャリア層134を金属薄膜136から剥離して基材139とする。基材139は、表層側から下層に、厚み3μmの導体配線としての金属薄膜136、厚み8μmの接着剤層102、厚み12.5μmの絶縁性フィルム101、厚み3μmの微粘着性接着剤層121、厚み100μmの補強フィルム122の5層構成となり、総厚は、126.5μmとなる。また、前記ビアホール106の絶縁性フィルム101側の開口106aは、極薄の金属薄膜136で被蔽された、いわゆるブラインド型のビアホールとなる。
このように、本実施の形態では、予め、導体配線となる金属薄膜136を圧延銅薄膜からなるキャリア層134で補強し、また、絶縁性フィルム101を補強フィルム122で補強することで、リールからリールに巻き取る際の張力に起因する絶縁性フィルム101の伸び、金属薄膜136の伸びを防止する。
また、厚み50μmの補強フィルム122の貼り合せによって従来のベースフィルムと同等の厚みとなっているので、リールからリールに巻き取る搬送の際の機械的強度が充分になり、伸び等の変形が発生することがない。
【0043】
次に、図6(e)に示すように、前記金属薄膜136の上面にマスキングテープ128を貼り付け、この状態で電解めっきにより、ビアホール106内のみに金属めっきとしての銅充填めっきを施し、ビアホール106の内部に、金属めっき層107を形成する。銅めっきの充填量は、前記接着剤層102の厚みと前記絶縁性フィルム101の厚みとを合計した20.5μmを狙い値とする。めっき液に一般的な硫酸銅めっきを使用し、電流密度を5A/dm2としてめっきを施すと、ビアホール深さ方向の厚みが20.5μmの金属めっき層107が所要時間19分で形成された。
金属めっき層107の形成後は、図6(f)に示すように、金属薄膜136からマスキングテープ128を剥離し、補強フィルム122にマスキングテープ129を貼り付けてビアホール106を被蔽した状態で前記金属薄膜136にフォトケミカルファブリケーションによるケミカルエッチングを施して前記ダイパッド105、配線パターン104を形成する。
【0044】
次に、図6(g)に示すように補強フィルム122からマスキングテープ129を剥離し、配線パターン104の被絶縁部に対して熱硬化性又は感光性のソルダーレジストを塗布し、熱硬化又は感光により配線パターン104の被絶縁部をソルダーレジストからなる絶縁部材108で覆い、この後、配線パターン104、ダイパッド105、金属めっき層107に対してそれぞれ下地ニッケルめっき層、金めっき層を順次積層し、機能めっき層109を形成する。
最後に、図6(h)に示すように、補強フィルム122を剥離し、配線基板100の製造を終了する。
この後、図2に示すように、パッケージ製造工程に進み、配線基板100の配線パターン104に電子部品111を搭載した後、ボンディングワイヤ113の接続、封止樹脂によるモールドを行い、はんだボール114を接合して電子装置201の製造を終了する。
なお、18μm以上の厚い圧延銅薄膜からなる金属薄膜をキャリア層134とし、これに後工程で剥離できる程度に接着力が弱い接着性を有する剥離可能層135を成膜により積層した後、電解めっき法で銅の金属薄膜136を積層したいわゆるキャリア付コア基板「たとえば、OLIN社のCopper Bond Extra Thin Foil (XTF):商品名」等を前記複合テープ133として使用することも可能である。
【0045】
(第4実施形態の効果)
(1)従来の電子装置の配線基板の総厚は72〜155μmに対して、この実施形態にかかる配線基板の総厚は、23.5μmであり、薄型化を達成できた。
(2)テープ製造工程において、絶縁性フィルムに補強フィルムが貼り付けられていて、総厚が126.5μmのため、従来と同等の機械的強度があり、連続搬送が可能である。
(3)キャリア層を有する複合金属テープを使用するため機械的強度があり、連続搬送が可能である。
(4)めっきの所要時間は、従来、50〜140分であったが、この実施形態にかかる配線基板の所要時間は19分で終了し、従来と比較して生産性がはるかに向上した。
(5)配線基板の薄型化、電子装置の軽薄短小が実現される。
【0046】
[第5実施形態]
図7は第5実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【0047】
まず、OLIN社等の複合金属テープ138を用意する。この複合金属テープ138は、18μm以上の厚い圧延銅薄膜からなる金属薄膜をキャリア層134とし、これに後工程で剥離できる程度に接着力が弱い厚み0.01μmの剥離可能層135を成膜により積層した後、電解めっき法で厚み3μmのめっき銅の薄い金属薄膜136を積層したものである。複合金属テープ138の金属薄膜136にポリイミド前駆体ワニスを塗布しながら熱硬化させる、いわゆる、キャスティング法により、厚さ12μmの絶縁性フィルム101を積層した後、絶縁性フィルム101に厚み100μmのPET製フィルムからなる補強フィルム122を、再度剥離が可能な微粘着性接着剤層からなる3μm厚の微粘着性接着剤層121を介して貼り合わせる。
この後、図7(b)に示すように、剥離可能層135において、キャリア層134を剥離して基材140を製造すると、基材140は、表層側より見て、厚さ3μmの金属薄膜136、厚さ12μmの絶縁性フィルム101、厚さ3μmの微粘着性接着剤層121、厚さ100μmの補強フィルム122からなる4層構成となり、総厚は、118μmとなる。
次に、キャリア層134を剥離した状態で、図7(c)に示すように、基材140の外部配線接続部、すなわち、前記配線パターン104の形成部で且つ各配線パターン104の他端部104bの形成部に向けて補強フィルム122側から基材140に炭酸ガスレーザを照射し、補強フィルム122、微粘着性接着剤層121、及び絶縁性フィルム101をする貫通する厚み方向の一連の開口124を形成し、その結果として絶縁性フィルム101に前記ビアホール106を形成する。ビアホール106の絶縁性フィルム101側の106は金属薄膜136により被蔽された、ブラインド型のビアホールとなる。
続いて、図7(d)に示すように、金属薄膜136にマスキングテープ128を貼り付け覆い、この状態で、電解めっき法で、各ビアホール106に、銅めっきを充填し、金属めっき層107を形成する。金属めっき層107のビアホール深さ方向の厚みは、前記絶縁性フィルム101と同じ12μmを狙い値とする。
めっき液には一般的に硫酸銅めっき液を用い、電流密度を5A/dm2とすると、所要時間11分でビアホール106内とほぼ同じ深さの厚み12.5μmの金属めっき層107を形成することができた。
金属めっき層107の形成した後は、図7(f)に示すように、金属薄膜136からマスキングテープ128を剥離すると共に、補強フィルム122にマスキングテープ129を貼り付けてビアホール106を被蔽し、この状態で、導体配線となる金属薄膜136にケミカルエッチングを施し、前記ダイパッド105と前記配線パターン104とを形成する。このように、エッチングの際には、前記ビアホール106がマスキングテープ129で被蔽されているので、前記金属めっき層107のエッチングによる溶解が防止される。
次に、図7(f)に示すように補強フィルム122からマスキングテープ129を剥離すると共に、配線パターン104の被絶縁部に対して熱硬化性又は感光性のソルダーレジストを塗布した後、熱硬化又は感光により硬化させることにより、配線パターン104の被絶縁部をソルダーレジストからなる絶縁部材108で被覆する。
この後に、配線パターン104、ダイパッド105、金属めっき層107に対してそれぞれ下地ニッケルめっき層、金めっき層を順次積層し、機能めっき層109を形成する。
最後に、図7(g)に示すように、PETフィルムからなる補強フィルム122及び微粘着性接着剤層121を剥離し、配線基板100の製造を終了する。
この後、パッケージ製造工程に進み、図2で説明したように、配線基板100の配線パターン104側において、電子部品111を搭載した後、ボンディングワイヤ113、封止樹脂によるモールドを行い、はんだボール114を接合して電子装置201の製造を終了する。
【0048】
(第5実施形態の効果)
(1)従来の電子装置の配線基板の総厚は72〜155μmに対して、この実施形態にかかる配線基板の総厚は、15μmであり、薄型化を達成できた。
(2)テープ製造時においては、補強フィルムが貼り付けられていて、総厚が118μmのため、従来と同等の機械的強度があるので、巻き取りに対応した連続搬送が可能となる。
(3)キャリア層を有する複合金属テープを用いるので、これにキャスティング法でベースフィルムを形成する際の機械的強度が十分になる。また、キャリア層を剥離により、ベースフィルム上にわずか3μmという極めて薄い金属薄膜を積層した複合金属テープが得られるので配線基板の軽薄短小が実現される。
(4)ビアホールに対する金属めっきの所要時間は、従来、50〜140分であったが、この実施形態にかかる配線基板の所要時間は11分で終了し、従来と比較して生産性がはるかに向上する。
(5)本実施形態に係る電子装置は、配線基板の薄型化により、軽薄短小が実現される。
[第6実施形態]
図8は第6実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
この実施の形態では、図8(a)に示すように、最初に、厚さ4μmのアラミド樹脂からなる絶縁性フィルム101に、厚さ8μmの接着剤層(例えば、巴川製紙所 Xシリーズ)102を貼り合わせた絶縁性フィルム101を用い、絶縁性フィルム101に厚さ100μmの補強フィルム122を、再剥離が可能な3μm厚の微粘着性接着剤層121を介して貼り合わせた4層構成の複合テープ133を用意する。
次に、図8(b)に示すように、前記複合テープ133の外部配線接続部、すなわち、前記配線パターン104の形成部で且つ各配線パターン104の他端部104bの形成部に向けて補強フィルム122側から複合テープ133に対して金型(図示せず)による打ち抜きを施して複合テープ133を厚み方向に貫通する厚み方向の一連の開口124を形成し、この結果、絶縁性フィルム101には、ビアホール106を形成する。
次に、OLIL社のキャリア付コア基板等の複合金属テープ138を用意する。この複合金属テープ138は、図8(c)に示す如く、厚さ18μmの圧延銅薄膜によるキャリア層134の下面に、厚さ0.1μmの剥離可能層135を成膜し、さらに、この剥離可能層135上に、厚さ3μmの薄いめっき銅による金属薄膜136を成膜により積層したものである。この複合金属テープ(複合銅テープ)138の金属薄膜136と複合テープ133の接着剤層102とを互いに対峙させながら巻き取って一対のロール126,126間を通過させてロール126,126のラミネートにより両者を接合することにより、基材127を製造する。
この後、図8(d)に示すように、基材127の剥離可能層135からキャリア層134を剥離すると、表層側から下層側を見て、厚み3μmの金属薄膜(極薄銅薄膜)136、厚み8μmの接着剤層102、厚み4μmの絶縁性フィルム101、厚み3μmの微粘着性接着剤層121、厚み100μmの補強フィルム122からなる5層構成となり、総厚は118μmとなる。また、開口124によるビアホール106は、絶縁性フィルム101側の開口106aが導体配線となる金属薄膜136により被蔽されたブラインド型のビアホールとなる。
次に、図8(e)に示すように、金属薄膜136にマスキングテープ128を貼り付けて被覆した後、電解銅めっき法により、各ビアホール106のみに銅めっきを充填し、金属めっき層107を形成する。金属めっき層107は絶縁性フィルム101の厚み12μmを狙い値とする。めっき液には、一般的な硫酸銅めっき液を用い、電流密度を5A/dm2とすると、めっき時間11分で、ビアホール106の深とほぼ面一な厚み15μmの銅めっきによる金属めっき層107が形成された。
金属めっき層107の形成後は、図8(e)に示すように、金属薄膜136からマスキングテープを剥離した状態し、補強フィルム122の下面にマスキングテープ129を貼り付けてビアホール106を被蔽した状態で、前記金属薄膜136にフォトケミカルファブリケーションによるケミカルエッチングを施して金属めっき層107の溶解を防止しながら前記銅薄膜に配線パターン104、ダイパッド105を形成する。
次に、図8(f)に示すように補強フィルム122からマスキングテープ129を剥離すると共に、配線パターン104の被絶縁部に対して熱硬化性又は感光性のソルダーレジストを塗布した後、熱硬化又は感光により硬化させることにより、配線パターン104の被絶縁部をソルダーレジストからなる絶縁部材108で被覆する。
この後に、配線パターン104、ダイパッド105、金属めっき層107に対してそれぞれ下地ニッケルめっき層、金めっき層を順次積層し、機能めっき層109を形成する。
最後に、図8(g)に示すように、PETフィルムからなる補強フィルム122及び微粘着性接着剤層121を剥離し、配線基板100の製造を終了する。
この後、パッケージ製造工程に進み、図2で説明したように、配線基板100の配線パターン104側において、電子部品111を搭載し、この後、ボンディングワイヤ113、封止樹脂によるモールドを行い、はんだボール114を接合して電子装置201の製造を終了する。
【0049】
(第6実施形態の効果)
(1)従来の電子装置の配線基板の総厚は72〜155μmに対して、この実施形態にかかる配線基板の総厚は、15μmであり、薄型化を達成できた。
(2)テープ製造時においては、絶縁性フィルムに補強フィルムが貼り付けられていて、総厚が118μmのため、従来と同等の機械的強度があり、連続搬送が可能である。
(3)キャリア層を有する複合金属テープを用い、複合テープとの接合の際巻き取り張力に対する機械的強度が十分になる。また、キャリア層を剥離すると、ベースフィルム上にわずか3μmという極めて薄い金属薄膜を積層した基材が獲られるので配線基板の軽薄短小が実現される。
(4)ビアホールに対する金属めっきの所要時間は、従来、50〜140分であったが、この実施形態にかかる配線基板の所要時間は11分で終了し、従来と比較して生産性がはるかに向上した。
(5)本実施形態に係る電子装置は、配線基板の薄型化により、軽薄短小が実現される。
【0050】
なお、本発明に係る第1実施形態〜第6実施形態では、ワイヤボンディング及びはんだボール実装タイプのBGAパッケージを前提としたが、この実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱するあるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、
(1)電子装置用の配線基板の製造時のベースフィルムとして最も一般的なポリイミドフィルムを使用し、補強フィルムには安価なPET材料を用いた構造としたが、要求性能やコストを考慮の上、金属箔、樹脂フィルム等、別の素材を使用することも可能である。
(2)要求された絶縁信頼性や設計寸法を考慮の上、熱硬化性又は感光性のソルダーレジストを使用したが、要求特性に応じて省略することも可能であるし、感光性ソルダーレジストやカバーレイなどを使用することも可能である。
(3)前記した第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態における機能めっきには、ワイヤボンディング及びはんだボール実装タイプBGAパッケージを前提として、金/ニッケルの2層のめっき構成を示したが、これに限定されるものではなく、電子部品の組立法、特に、部品と基板との電気的接続方法および組み立てられた部品のプリント配線基板への実装方法によっては、適正な種類と厚さを自由に組み合わせるようにしてもよい。
(4)前記各実施の形態においては、はんだボールを接合したBGAパッケージを前提としたが、はんだボールを接合せず、ビアホールからの金属はんだ層の突き出し量を大きくしてこれを面実装のLGAパッケージやコンデンサ用部品などに応用することが可能である。
【0051】
(5)また、特許文献1に開示された下式を用いると右辺が0の場合に金属めっき層が不要となるので、
T≧D−[r−(r2−R2)1/2]
但し、T:金属めっき層の必要厚み
r:はんだボールの半径
D:ビアホールの深さ
R:はんだボールを搭載するランド(ビアホールの開口)の半径
絶縁性フィルムの厚みを12μm又はそれ以下とした場合は、金属めっき層を廃止し、はんだボールを、配線パターンの他端部下面に直接接続するようにしてもよいし、配線パターンの他端部の裏面を回路基板の表面から突き出した接点に直接、はんだ付けするようにしてもよい。一例としては、LGAパッケージやコンデンサ用部品などの表面実装部品のはんだ実装が挙げられる。
(6)絶縁性フィルムとして最も一般的なポリイミドフィルムを使用し、補強フィルムには、安価なPETフィルムを用いた構造としたが、搬送やハンドリングに対する性能やコストを考慮の上、別の樹脂素材を使用することも可能である。
(7)熱硬化性又は感光性のソルダーレジストで被覆する説明をしたが、要求される絶縁性に対する信頼性や設計寸法を考慮の上、廃止することも可能である。
(8)排水処理が容易で低コストの銅のケミカルエッチング溶解液としては、塩化第2鉄系のエッチング液が一般的であるが、塩化銅系のエッチング液や硫酸と過酸化水素水の混合溶液を用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る配線基板の構造を示す断面図である。
【図2】配線基板に電子部品を実装した電子装置の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る配線基板の製造方法を示すテープ製造工程の工程図である。
【図9】従来の配線基板に電子部品を搭載した従来の電子装置の断面図である。
【図10】図9の電子装置の平面図である。
【図11】従来の配線基板を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
101 絶縁性フィルム
104 配線パターン(導体配線)
105 ダイパッド(導体配線)
124 開口
122 補強フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性フィルムに接着剤層を積層すると共にその反対側面に補強フィルムを剥離可能に積層した複合テープの外部配線の配線部に対して厚み方向に貫通する開口を形成する工程と、金属薄膜を前記複合テープに前記接着剤層を介して積層する工程と、前記開口内に金属めっきを充填する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合テープから前記補強フィルムを剥離する工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
金属薄膜に樹脂のキャスティングにより絶縁性フィルムを積層すると共に、剥離可能な接着剤を介して前記絶縁性フィルムに補強フィルムを積層した複合テープの外部配線接続部に対して前記補強フィルム側からレーザを照射することにより前記補強フィルム及び前記絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する一連の開口を形成する工程と、前記開口に金属めっきを充填する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合テープから前記補強フィルムを剥離する工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項3】
絶縁性フィルムに金属めっきにより導体配線となる金属薄膜を積層すると共に、剥離可能な接着剤を介して金属薄膜と反対側面に補強フィルムを積層した複合基材の外部配線接続部に対して補強フィルム側からレーザを照射することにより補強フィルム及び絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する一連の開口を形成する工程と、前記開口に金属めっきを充填する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合基材から前記補強フィルムを剥離する工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項4】
絶縁性フィルムに接着剤層を積層すると共にその反対側面に補強フィルムを剥離可能に積層した複合テープの外部配線の配線部に対して厚み方向に貫通する開口を形成する工程と、金属を素材としたキャリア層に剥離可能層を介して金属薄膜を積層した複合金属テープの金属薄膜を前記複合テープの接着剤層に対向させてラミネートした後、前記複合金属テープから前記キャリア層を剥離する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合テープから前記補強フィルムを剥離する工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項5】
金属を素材としたキャリア層に剥離可能層を介して金属薄膜を積層した後、樹脂のキャスティングにより前記金属薄膜に絶縁性フィルムを積層すると共に、剥離可能な接着剤を介して前記絶縁性フィルムに補強フィルムを積層して複合テープを形成する工程と、前記複合テープの外部配線接続部に前記補強フィルム側からレーザを照射して前記補強フィルム及び前記絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する一連の開口を形成した後、前記キャリア層を剥離する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とする工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載の配線基板の製造方法において、
前記絶縁性フィルムの厚さを40μm以下とし、前記補強フィルムの厚さを50μm以上とすることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかに記載の配線基板の製造方法において、
前記補強フィルムが、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートより選択した1つの樹脂素材で形成され、微粘着性の接着剤を介して前記絶縁性フィルムに貼り合せ可能なフィルム材料であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7いずれかに記載の絶縁性フィルムに電子部品を搭載する工程と、前記電子部品の端子と前記導体配線とを電気的に接続する工程と、前記電子部品及び導体配線を含む前記絶縁性フィルムの電子部品側を絶縁性の封止樹脂に封止する工程とを含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項9】
絶縁性フィルムに電子部品を実装するための導体配線が積層された配線基板において、前記絶縁性フィルムが厚さ40μm以下の樹脂フィルムから構成されると共に、前記絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する開口が、前記絶縁性フィルムの外部配線の配線部に設けられ、前記絶縁性フィルムの前記導体配線側と反対側面に厚さ50μm以上の補強フィルムが剥離可能な接着剤を介して貼り付けられたことを特徴とする配線基板。
【請求項10】
請求項9記載の配線基板において、
前記導体配線が前記絶縁性フィルムに直接又は接着剤層を介して積層されたことを特徴とする配線基板。
【請求項11】
請求項9又は請求項10記載の配線基板において、
前記開口内に前記導体配線と導通可能に金属めっきが形成され、前記金属めっき層の開口深さ方向の厚みが前記開口の深さとほぼ同じであることを特徴とする配線基板。
【請求項12】
請求項11記載の配線基板において、
前記金属めっき層が、銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した1つ又は選択した2以上の金属の合金からなる単一層又は銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した異種金属の単一層同士を積層した複数層のめっき層又は異種合金の単一層同士を積層した複数層のめっき層からなることを特徴とする配線基板。
【請求項13】
請求項9〜12いずれかに記載の配線基板において、
前記配線基板が、銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した1つ又は選択した2以上の金属の合金からなる単一層又は銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した異種金属の単一層同士を積層した複数層のめっき層又は異種合金の単一層同士を積層した複数層のめっき層からなる機能めっき層で被覆されたことを特徴とする配線基板。
【請求項14】
請求項9〜13いずれかに記載の配線基板において、
前記導体配線の被絶縁部にこれを覆って熱硬化性又は感光性のソルダーレジスト、カバーレイから選択した1つの絶縁性部材が設けられたことを特徴とする配線基板。
【請求項15】
請求項9〜14いずれかに記載の絶縁性フィルムに電子部品が搭載され、前記電子部品の端子と前記導体配線とがボンディングワイヤを介して接続され、且つ、前記電子部品及び前記導体配線を含んで前記絶縁性フィルムの電子部品実装側が絶縁性の封止樹脂からなる外殻内に封止されたことを特徴とする電子装置。
【請求項1】
絶縁性フィルムに接着剤層を積層すると共にその反対側面に補強フィルムを剥離可能に積層した複合テープの外部配線の配線部に対して厚み方向に貫通する開口を形成する工程と、金属薄膜を前記複合テープに前記接着剤層を介して積層する工程と、前記開口内に金属めっきを充填する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合テープから前記補強フィルムを剥離する工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
金属薄膜に樹脂のキャスティングにより絶縁性フィルムを積層すると共に、剥離可能な接着剤を介して前記絶縁性フィルムに補強フィルムを積層した複合テープの外部配線接続部に対して前記補強フィルム側からレーザを照射することにより前記補強フィルム及び前記絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する一連の開口を形成する工程と、前記開口に金属めっきを充填する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合テープから前記補強フィルムを剥離する工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項3】
絶縁性フィルムに金属めっきにより導体配線となる金属薄膜を積層すると共に、剥離可能な接着剤を介して金属薄膜と反対側面に補強フィルムを積層した複合基材の外部配線接続部に対して補強フィルム側からレーザを照射することにより補強フィルム及び絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する一連の開口を形成する工程と、前記開口に金属めっきを充填する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合基材から前記補強フィルムを剥離する工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項4】
絶縁性フィルムに接着剤層を積層すると共にその反対側面に補強フィルムを剥離可能に積層した複合テープの外部配線の配線部に対して厚み方向に貫通する開口を形成する工程と、金属を素材としたキャリア層に剥離可能層を介して金属薄膜を積層した複合金属テープの金属薄膜を前記複合テープの接着剤層に対向させてラミネートした後、前記複合金属テープから前記キャリア層を剥離する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とした後、前記複合テープから前記補強フィルムを剥離する工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項5】
金属を素材としたキャリア層に剥離可能層を介して金属薄膜を積層した後、樹脂のキャスティングにより前記金属薄膜に絶縁性フィルムを積層すると共に、剥離可能な接着剤を介して前記絶縁性フィルムに補強フィルムを積層して複合テープを形成する工程と、前記複合テープの外部配線接続部に前記補強フィルム側からレーザを照射して前記補強フィルム及び前記絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する一連の開口を形成した後、前記キャリア層を剥離する工程と、前記金属薄膜にケミカルエッチングを施して電子部品を実装するための導体配線とする工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載の配線基板の製造方法において、
前記絶縁性フィルムの厚さを40μm以下とし、前記補強フィルムの厚さを50μm以上とすることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかに記載の配線基板の製造方法において、
前記補強フィルムが、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートより選択した1つの樹脂素材で形成され、微粘着性の接着剤を介して前記絶縁性フィルムに貼り合せ可能なフィルム材料であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7いずれかに記載の絶縁性フィルムに電子部品を搭載する工程と、前記電子部品の端子と前記導体配線とを電気的に接続する工程と、前記電子部品及び導体配線を含む前記絶縁性フィルムの電子部品側を絶縁性の封止樹脂に封止する工程とを含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項9】
絶縁性フィルムに電子部品を実装するための導体配線が積層された配線基板において、前記絶縁性フィルムが厚さ40μm以下の樹脂フィルムから構成されると共に、前記絶縁性フィルムを厚み方向に貫通する開口が、前記絶縁性フィルムの外部配線の配線部に設けられ、前記絶縁性フィルムの前記導体配線側と反対側面に厚さ50μm以上の補強フィルムが剥離可能な接着剤を介して貼り付けられたことを特徴とする配線基板。
【請求項10】
請求項9記載の配線基板において、
前記導体配線が前記絶縁性フィルムに直接又は接着剤層を介して積層されたことを特徴とする配線基板。
【請求項11】
請求項9又は請求項10記載の配線基板において、
前記開口内に前記導体配線と導通可能に金属めっきが形成され、前記金属めっき層の開口深さ方向の厚みが前記開口の深さとほぼ同じであることを特徴とする配線基板。
【請求項12】
請求項11記載の配線基板において、
前記金属めっき層が、銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した1つ又は選択した2以上の金属の合金からなる単一層又は銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した異種金属の単一層同士を積層した複数層のめっき層又は異種合金の単一層同士を積層した複数層のめっき層からなることを特徴とする配線基板。
【請求項13】
請求項9〜12いずれかに記載の配線基板において、
前記配線基板が、銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した1つ又は選択した2以上の金属の合金からなる単一層又は銅、ニッケル、金、銀、ロジウム、スズの中から選択した異種金属の単一層同士を積層した複数層のめっき層又は異種合金の単一層同士を積層した複数層のめっき層からなる機能めっき層で被覆されたことを特徴とする配線基板。
【請求項14】
請求項9〜13いずれかに記載の配線基板において、
前記導体配線の被絶縁部にこれを覆って熱硬化性又は感光性のソルダーレジスト、カバーレイから選択した1つの絶縁性部材が設けられたことを特徴とする配線基板。
【請求項15】
請求項9〜14いずれかに記載の絶縁性フィルムに電子部品が搭載され、前記電子部品の端子と前記導体配線とがボンディングワイヤを介して接続され、且つ、前記電子部品及び前記導体配線を含んで前記絶縁性フィルムの電子部品実装側が絶縁性の封止樹脂からなる外殻内に封止されたことを特徴とする電子装置。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【公開番号】特開2007−150099(P2007−150099A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344417(P2005−344417)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
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