説明

配線板の製造方法および配線板

【課題】 製造歩留まりの低下や出来上がった配線板の製品としての信頼性の低下を引き起こすことなく、バンプが形成される部分である外部接続用端子部をはじめとしてそれに連なる導体パターンのファイン化を達成可能とする配線板の製造方法および配線板を提供する。
【解決手段】 第1レジスト3の開口パターン3A内に、電気めっき法により第1レジスト3の厚さ未満の高さまで導体を充填して、導体パターン4を形成し、導体パターン4を形成した後、外部接続用端子部4−2における第1レジスト3の開口パターン3Aから露出していると共に第2レジスト5の開口部5Aから露出している部分に、その部分の外部接続用端子部4−2の表面を電極として用いて、電気めっき法により、第1レジスト3の厚さ以下の高さまで導体を充填することで、バンプ6を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCOF(Chip On Film)方式の半導体装置の実装パッケージ等に好適な配線板の製造方法および配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
COF方式の実装パッケージは、近年、液晶表示パネル用のドライバICの実装やその他各種半導体素子の実装などに好適な実装パッケージとして、盛んに開発が進められている。以下の説明では、COF方式の実装パッケージ、またはそのCOF実装方式を採用した形態の半導体装置を、単にCOFとも称するものとする。
COFでは一般に、例えば、図7(a)およびそのF−F′断面図である図7(b)に示したように、絶縁性基板101の表面に配線(導体パターン)104が設けられた配線板上に、半導体チップ107が実装されている。配線板の導体パターン104、より具体的には導体パターン104における外部接続用端子部は、例えば半導体チップ107設けられているスタッドバンプ等のバンプ106を介して、その半導体チップ107の電極(接続用パッド)701に接続される。また、配線板における導体パターン104は、例えばニッケル・クロム合金めっき等のシード層102を介して、絶縁性基板101の表面上に形成されている。
【0003】
COFは、例えば液晶表示パネルを駆動させる、いわゆるドライバICのような半導体装置の実装に適用されている。液晶表示パネル用のドライバICは、液晶表示装置の高精細化に伴い、多ピン化、高密度化等が盛んに進められている。特に、コンピュータ用の表示装置やテレビ受像器等に用いられる大型液晶表パネル用のドライバICでは、多ピン化・高密度化、そしてそれに加えて外形寸法の小型化も進んでおり、それに的確に対応するために、配線板における導体パターン104の、さらなるファイン化(狭ピッチ化や配線の微細化等)が要請されている。
【0004】
COFを製造する場合、配線板上に半導体チップ107を搭載(実装)する工程では、従来、図8(a)に一例を示したように、半導体チップ107の電極701上にバンプ106を設けておき、そのバンプ106と導体パターン104とを、はんだ接合材等を用いて接合する、あるいは熱圧着や超音波等を併用した熱圧着することによって、電気的な接続構造が確保される。
ところが、近年の半導体チップ107のさらなる小型化および高機能化に伴う電極701の高密度化や、半導体チップ107の薄型化が進むに連れて、半導体チップ107の電極701上にバンプ106を形成することが益々困難になりつつある。このため、近年では、半導体チップ107の電極701上ではなく、図8(b)に一例を示したように、配線板の導体パターン104上にバンプ106を設けた構造およびそれによる接続方法が提案されている。
配線板の導体パターン104上にバンプ106を設ける手法としては、例えば、絶縁性基板101の表面に導体パターン104を形成した後、導体パターン104の予め定められた位置に、ディスペンサを用いた吐出法や、いわゆる転写印刷法等により、銅ペースト、銀ペースト、はんだペースト等の導電性ペーストを塗布するという手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
またその他にも、例えば、絶縁性基板101の表面に導体パターン104を形成した後、その導体パターン104上にめっきレジストを形成し、そのめっきレジストの開口パターンをネガパターンのようにして用いて、その開口パターン内に電気銅めっき等のめっき処理によりバンプ106を析出形成するという方法が提案されている。
【0005】
しかし、近年の半導体チップ107の電極701の高密度化に伴って、導体パターン104の中心間ピッチは30μm程度あるいはさらにそれ以下と極めて狭くなってきており、従って一般的な設計ルールに基づけば導体幅も15μm程度あるいはさらにそれ以下であるような配線板が要求されるようになってきている。そうすると、例えば特許文献1にて提案されたような吐出法や転写印刷法を用いたバンプ形成方法では、導電性ペーストを塗布する際の位置合わせが極めて困難なものとなる。また、形成するバンプ106が小さいので、印刷不良や位置ずれ等に因るバンプの形状不良が極めて発生しやすくなる。
他方、電気めっきによってバンプ106を形成する方法では、例えば図9(a)およびそのG−G′断面図である図9(b)に示したように、まず絶縁性基板101の導体パターン104を形成した面にめっきレジスト109を塗布または貼り合わせ、そのめっきレジスト109におけるバンプ106が形成される予定の領域に開口部109Aを形成する。めっきレジスト109には、一般に、めっき工程で形成される予定のバンプ1つに対して1個の開口部109Aが割り当てられている。そして、それら各開口部109A内に、電気めっき法等によって導体を充填することで、バンプ106が形成される。
【0006】
ところが、このような方法では、導体パターン104の狭ピッチ化が進んで導体パターン104およびそれに連なる外部接続用端子部の線幅(導体幅)CWがさらに小さくなると、それに伴って開口部109Aの開口面積もさらに小さくなり、電気めっきの際にめっき液が開口部109A内に出入りしづらくなる。特に、例えば大型液晶表示パネル用のドライバICの実装パッケージに用いられる配線板のような、超多ピン化が進んでいる配線板では、前述のように導体パターン104の導体幅CW、言い換えるとバンプ106を形成するための開口部109Aの外形寸法が縦横15μm程度あるいはそれ以下になりつつあるので、開口部109A内にめっき液が益々出入りしづらくなって、出来上がったバンプ106には、高さのばらつきや形状不良等が発生しやすくなる。
また、開口部109Aの形成位置の精度は、主に露光装置の精度で決まるが、その露光精度は一般に、導体パターン104の幅方向において左右に10μm程度の誤差(ずれ)がある。このため、開口部109Aを形成する際に、図10に一例を示したような配線幅方向(端子幅方向)の位置ずれが生じやすい。そして、斯様に開口部109Aの位置がずれた状態でバンプ106を形成すると、そのバンプ106の形状不良や位置ずれに起因して、配線板の製造歩留まりが低下する、あるいは半導体チップ107との確実な接続が困難になって実装不良の原因となる、といった不都合が生じる。
このような種々の要因から、導体パターン104のファイン化に的確に対応したバンプ106の形成は益々難しくなってきている。
【0007】
このような困難な状況を打開するために、本発明に係る出願人は、過去に、他の出願人と共に、図11(a)およびそのC−C′断面図である図11(b)ならびにD−D′断面図である図11(c)に示したようなバンプ106を形成する方法を提案した。すなわち、シード層とも呼ばれる下地金属102上に電気めっき法または無電解めっき法などにより金属を積み上げる、いわゆるセミアディティブ法を用いた方法を用いて、絶縁性基板101の表面に導体バターン104を形成し、その導体パターン104上にバンプ106を形成する、という配線板の製造方法に、さらに改良を加えて、絶縁性基板101の表面に導電性のシード層102を形成する工程と、そのシード層102上に、導体パターン104を形成するための開口部109Aを有する第1レジスト103を形成する工程と、その第1レジスト103の開口部109A内に電気めっきにより導体を充填して導体パターン104を形成する工程と、第1レジスト103および導体パターン104上に第2レジスト105を形成し、その第2レジスト105におけるバンプ106が形成される予定の領域を開口して開口部105Aを形成する工程と、導体パターン104の側面と第1レジスト103の開口部105Aの内壁面とが密着した状態で、第1レジスト103の開口部109A内に導体を充填して形成された導体パターン104を電極として用いた電気めっきにより、第2レジスト105の開口部105A内にバンプ106を形成する工程とを有
する配線板の製造方法を提案した(特許文献2)。
この方法によれば、それまで困難であったバンプ106の形状不良や位置ずれの発生を回避することが可能となる。
【0008】
【特許文献1】特開平5−13505号公報
【特許文献2】特開2006−202959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような特許文献2にて提案された方法では、図11に示したように、導体パターン104(の外部接続用端子部)の上に電気めっき法によって形成されたバンプ106は、そのバンプ幅方向(換言すれば外部接続用端子部の端子幅方向)に張り出すように成長して、第1レジスト103の上面に一部オーバーハングしたような形状となり、第1レジスト103の剥離を困難なものとしてしまい、その結果、製造歩留まりの低下や出来上がった配線板の製品としての信頼性の低下を引き起こすという問題があった。
また、斯様にバンプ106がそのバンプ幅方向に張り出した形状であると、導体パターン104のさらなる狭ピッチ化と相まって、隣り合うバンプ106同士が短絡する虞が極めて高くなり、延いては、そのようなバンプ106同士の短絡を回避しなければならないことに起因して、導体パターン104の(特にそのうちの外部接続用端子部の)狭ピッチ化が妨げられてしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みて成されたもので、その目的は、製造歩留まりの低下や出来上がった配線板の製品としての信頼性の低下を引き起こすことなく、バンプが形成される部分である外部接続用端子部をはじめとしてそれに連なる導体パターンのファイン化を達成可能とする配線板の製造方法および配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の配線板の製造方法は、絶縁性基板の表面に少なくとも配線とそれに連なる外部接続用端子部とを有する導体パターンを形成する工程と、前記外部接続用端子部の表面上にバンプを形成する工程とを有する配線板の製造方法であって、前記絶縁性基板の表面に、導電性材料からなるシード層を形成する工程と、前記シード層の表面における前記導体パターンが形成されるように予め定められた部分を露出させる開口パターンを有する第1レジストを形成する工程と、前記第1レジストの開口パターン内に、電気めっき法または無電解めっき法により、前記第1レジストの厚さ未満の厚さに導体を充填して前記導体パターンを形成する工程と、前記導体パターンを形成した後、前記外部接続用端子部の前記バンプが形成されるように予め定められた部分を露出させる開口部を有すると共にその他の前記バンプが形成されない領域は覆うように第2レジストを形成する工程と、前記外部接続用端子部における、前記第1レジストの開口パターンから露出していると共に第2レジストの開口部から露出している部分に、電気めっき法または無電解めっき法により前記第1レジストの厚さ以下の高さまで導体を充填することで前記バンプを形成する工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明の配線板は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板の表面に少なくとも配線とそれに連なるように配列形成された外部接続用端子部とを有する導体パターンと、前記導体パターンの表面上の所定位置に形成されたバンプとを有する配線板であって、前記バンプが、前記導体パターンと同じ導体材料を電気めっきまたは無電解めっきによって形成してなるものであり、かつ前記外部接続用端子部における端子幅方向の両端面がそれぞれ、前記バンプにおけるバンプ幅方向の両端面と段差なく連続するように、前記バンプが前記外部接続用端子部の表面上に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1レジストの開口パターン内に、電気めっき法により第1レジストの厚さ未満の厚さに導体を充填して導体パターンを形成し、導体パターンを形成した後、第1レジストおよび導体パターンにおける外部接続用端子部のバンプが形成されるように予め定められた部分を露出させる開口部を有すると共にそれ以外のバンプが形成されない領域は覆うように第2レジストを形成し、外部接続用端子部における第1レジストの開口パターンから露出していると共に第2レジストの開口部から露出している部分に、その部分の外部接続用端子部の表面を電極として用いて電気めっき法により第1レジストの厚さ以下の高さまで導体を充填することでバンプを形成するようにしたので、第1レジストの開口パターン内に、その第1レジストを導体幅規制用のレジストとして用いて導体パターンを形成し、その導体パターンにおける外部接続用端子部の表面上に、第1のレジストをバンプ幅規制用のレジストとして用いると共に第2レジストをバンプ前後長規制用のレジストとして用いて、バンプをそのバンプ幅方向の両端面が外部接続用端子部の両端面に対して張り出しや位置ずれ等の段差を生じることなく連続した面となるように形成することができ、バンプ幅と外部接続用端子部の幅とを全く同じ幅にすることができる。その結果、従来発生していたようなバンプの幅方向に張り出したオーバーハングを主要因とする第1レジストのレジスト残り等に起因した製造歩留まりの低下や出来上がった配線板の製品としての信頼性の低下を引き起こすことなく、バンプが形成される部分である外部接続用端子部をはじめとしてそれに連なる導体パターンのファイン化を達成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る配線板の製造方法およびそれによって製造される配線板について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る配線板の製造方法における導体パターン形成までの主要な製造工程の流れを示す図、図2は、図1に引き続いて、本発明の実施の形態に係る配線板の製造方法における第2レジストの形成工程を示す図、図3は、図2に引き続いて、本発明の実施の形態に係る配線板の製造方法におけるバンプの形成工程を示す図、図4は、図3に引き続いて、レジスト除去後の状態を示す図、図5は、図4に引き続いて、不要な部分のシード層を除去した状態を示す図、図6は、本発明の実施の形態に係る配線板の製造方法によって製造される配線板に半導体チップを実装してなるCOF方式の実装パッケージにおける主要部の構造を示す図である。なお、図2において、図2(b)は、図2(a)のA−A′断面図であり、図2(c)、図2(d)は、図2(a)のB−B′断面図である。また、図3において、図3(b)は、図3(a)のA−A′断面図であり、図3(c)は、図3(a)のD−D′断面図である。また、図6において、図6(b)は、図6(a)のE−E′断面図である。
【0014】
この配線板の製造方法では、まず、図1(a)に示したように、絶縁性基板1の片面上にシード層2を形成する。このとき、絶縁性基板1としては、例えば、TABテープ用のフィルム基板として用いられるような長尺のポリイミドテープなどを好適に使用することができる。シード層2は、導体パターン4を電気めっき法によって形成するときの電極となる下地金属層である。このシード層2は、例えば、厚さが0.05μm以上〜0.5μm以下程度の無電解ニッケル・クロムめっき層とする。
続いて、図1(b)に示したように、シード層2の表面上に、少なくとも配線4−1と外部接続用端子部4−2とを含む導体パターン4を形成するための開口パターン3Aを有する第1レジスト3を形成する。より具体的には、第1レジスト3として例えば厚さ20μmの感光性ドライフィルムレジストを用いて、それをシード層2上に貼り合わせ、その後、露光、現像処理を行って、所定の位置に開口パターン3Aを形成することなどが可能である。ここで、近年では、配線4−1および外部接続用端子部4−2の狭幅化が進み、配線4−1の配線幅と外部接続用端子部4−2の端子幅とが同じ大きさになり、配線4
は外部接続用端子部4−2と連続したものであることとも相まって、外見上ではそれらの区別がつかない場合もあるが、そのような場合には、便宜上、導体バンプ6が形成される部分を、外部接続用端子部4−2と看做すものとする。
続いて、図1(c)に示したように、第1レジスト3の開口パターン3A内に、例えば銅のような導体を、例えば8μmのように第1レジスト3のほぼ半分弱程度の高さとなるように、電気めっき法により充填することで、導体パターン4を形成する。
【0015】
続いて、図2(c)に示したように、第1レジスト3および導体パターン4の上ほぼ全面を覆うように第2レジスト5を貼り合わせる。この第2レジスト5を貼り合わせる工程は、真空または減圧した作業雰囲気中で行うことが、より望ましい。これは、外部接続用端子部4−2の先端部分で第1レジスト3と外部接続用端子部4−2との厚さが異なっているために、その部分に段差が生じることに起因して、その部分に被着される第2レジスト5にはボイドや段切れのような、いわゆる段差カバレージ不良が発生する虞があるが、真空または減圧雰囲気で第2レジスト5を被着させる工程を行うことによって、そのような段差カバレージ不良の発生を回避することが可能となるからである。
その後、その第2レジスト5に露光および現像を施して、図2(a)、図2(b)、図2(d)に示したように、外部接続用端子部4−2のうちのバンプ6を形成するように予め定められた部分を露出させる開口部5Aを形成する。この開口部5Aは、図2(a)、図2(b)に示したように、1つの開口部5A内に複数本の外部接続用端子部4−2が露出するように形成する。
【0016】
引き続いて、図3(a)、図3(b)、図3(c)に示したように、外部接続用端子部4−2における、第2レジスト5の開口部5Aによって露出されていると共に第1レジスト3の開口パターン3Aによって露出されている部分に、導体パターン4の形成材料と同じ導体材料を、同様の電気めっき法により充填して、バンプ6を形成する。このとき、バンプ6は、第1レジスト3内に既に充填してなる導体パターン4の表面を電極として用いた電気めっき法によって形成するものとし、その高さが第1レジスト3の高さを越えないようにする。例えば、上述の具体的な数値態様の一例に則して述べると、導体パターン4(外部接続用端子部4−2)の厚さが8μm、第1レジスト3の高さが20μmであるから、バンプ6の厚さを例えば8μmにすれば、外部接続用端子部4−2の表面上に形成されるバンプ6の高さは16μmになって、第1レジスト3の高さ(20μm)以下となる。
このバンプ6を形成する工程では、第1レジスト3の開口パターン3A内に、その第1レジスト3を導体幅規制用のレジストとして用いて導体パターン4を形成し、その導体パターン4における外部接続用端子部4−2の表面上に、第1レジスト3の開口パターン3Aをバンプ幅規制用のレジストとして用いると共に第2レジスト5の開口部5Aをバンプ前後長規制用のレジストとして用いて、バンプ6を、そのバンプ幅方向の両端面が外部接続用端子部4−2の両端面に対して張り出しや位置ずれ等に因る段差を生じることなく連続した面となるように形成する。このようにすることにより、バンプ6のバンプ幅と外部接続用端子部4−2の端子幅(線幅)とを、段差等が生じることなく、全く同じ幅に形成することができる。
【0017】
電気銅めっき(電気めっき法により電極表面に積層される導体)は基本的に、電極から生じる電界に従って、電極の表面上で高さ方向にも水平方向にも全方位に亘って厚さが成長して行く。本実施の形態の場合では、電気めっき法により形成されるバンプ6は、もしも第1レジスト3によってバンプ幅方向への成長が規制されていなければ、外部接続用端子部4−2の表面上で、高さ方向に成長すると共に、バンプ幅方向にも成長して行くこととなる。しかし、本実施の形態に係る配線板の製造方法の場合には、第1レジスト3によってバンプ幅方向へのバンプ6の導体の成長が規制されているので、電気銅めっきによる導体は、図3(b)に示したように、第1レジスト3の開口パターン3A内に既に形成さ
れている外部接続用端子部4−2における第2レジスト5の開口部5Aで露出している部分の表面上に、その第1レジスト3によってバンプ幅方向の成長を規制されると共に第2レジスト5によって前後方向の長さを規制されつつ、所望の高さまで段差なく連続して析出されることとなる。これにより、外部接続用端子部4−2の配列間隙を例えば5μm程度のように極めて狭く設定した場合でも、その配列中で隣り合うバンプ6同士が接触することや短絡することを防ぐことができる。
また、バンプ6がそのバンプ幅方向に張り出して析出して第1レジスト3の表面上にオーバーハングした状態となることを回避することができるので、第1レジスト3を確実に除去することが可能となり、その結果、製造歩留まりの低下や出来上がった配線板の製品としての信頼性の低下を引き起こす虞がなくなる。
【0018】
また、第2レジスト5における開口部5Aは、その一つの開口部5A内に複数本の外部接続用端子部4−2を一括して露出させるように、その外部接続用端子部4−2の配列方向と平行な方向に広く形成されているので、めっき液が開口部5A内に出入りしやすくなっている。これにより、バンプ6の高さのばらつきや形状不良の発生を解消することができる。
【0019】
また、外部接続用端子部4−2とその上に形成されるバンプ6とは、第1レジスト3における開口パターン3A内に、その同じ第1レジスト3の開口パターン3Aの内壁面によって端子方向の両端面とバンプ幅方向の両端面とが規制されつつ電気めっき法により析出形成されるので、バンプ6は、その周囲の第1レジスト3の表面上にオーバーハングするような段差や位置ずれなどを生じることなく、両端面が段差なく連続した形態に形成される。しかも、外部接続用端子部4−2とバンプ6の形成位置との厳密なアライメントを別段に行うといった煩雑な工程等は全く不要となっている。
【0020】
このようにしてバンプ6を形成した後、図4(a)、図4(b)に示したように、第1レジスト3および第2レジスト5を、例えばレジスト剥離液を用いた剥離プロセス等によって除去する。このとき、第1レジスト3と第2レジスト5とが同じ材料からなるものであれば、一回のレジスト除去工程で、第1レジスト3および第2レジスト5の両方を一度に除去することができる。
【0021】
その後、図5(a)および図5(b)に示したように、シード層2のうちの不要な部分である、表面上に導体パターン4が形成されていない部分を除去する。シード層2は一般に、厚さが0.050μm以上〜0.5μm以下程度であるので、このシード層2の不要な部分の除去工程では、導体パターン4をエッチングレジストとして用いたエッチングによって除去することができる。
そして最後に、必要に応じて、導体パターン4およびバンプ6の表面に、すずめっき、金めっき等の機能めっきや、ソルダレジストと呼ばれるはんだ保護膜等を施して、本発明の実施の形態に係る配線板を得ることができる。
【0022】
上記のような本発明の実施の形態に係る配線板の製造方法によって得られる配線板は、例えば図6に示したように、液晶表示装置駆動用のドライバICとして用いられるCOFにおける重要構成部品の一つである、いわゆるインタポーザ用の配線板として好適に用いられる。
すなわち、図6(a)の平面図およびそのE−E′断面図である図6(b)に示したように、この配線板の絶縁性基板1における、配線4−1や外部接続用端子部4−2が設けられた片面上に、半導体チップ7が実装される。このとき、この配線板の導体パターン4と半導体チップ7の電極701とは、この配線板の導体パターン4上に形成されたバンプ6を介して電気的に接続される。またこのとき、バンプ6と電極701の接続部の周辺は、例えば、はんだ接合材8によって固定される。
【0023】
液晶表示パネル用のドライバICは、高精細化に伴う多ピン化および小型化が進んでおり、例えば配線4−1や外部接続用端子部4−2のピッチCP、間隙CSを、それぞれ30μm、15μm程度にまでファイン化することが要求されるようになってきている。斯様な要求に対して、本発明の実施の形態に係る配線板の製造方法およびそれによって得られる配線板によれば、バンプ6の高さのばらつきや形状不良、あるいは隣り合う外部接続用端子部4−2の端子幅方向への張り出し等を解消することができるので、配線4−1や外部接続用端子部4−2の線幅の微細化および狭ピッチ化が可能となる。その結果、上記のようなCOFに対応するために配線4−1や外部接続用端子部4−2のピッチCPおよび間隙CSをそれぞれ30μm、15μm程度にまで微細化するといった厳しい要求に対して適確に対応することが可能となる。
また、バンプ6は、外部接続用端子部4−2の表面上に、その外部接続用端子部4−2と同じ導体材料を、同様の電気めっき法で析出させることによって形成されるので、バンプ6の高さを、ばらつきを抑えて揃えることができる。その結果、バンプ6と半導体チップ7の電極701との間での接続不良の発生を抑止することができる。
【0024】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る配線板の製造方法および配線板によれば、バンプ6と外部接続用端子部4−2との幅方向の両端面同士が第1レジスト3の表面上へと張り出すオーバーハングを生じるような段差や位置ずれ等を生じることなく連続した面となって、バンプ6のバンプ幅が外部接続用端子部4−2の端子幅と同一の幅となるようにしたので、従来のようなレジスト残り等に起因した製造歩留まりの低下や出来上がった配線板の製品としての信頼性の低下を引き起こすことなしに、バンプ6が形成される部分である外部接続用端子部4−2のファイン化およびそれに連なる配線4−1のファイン化を達成することができる。
また、第2レジスト5の開口部5Aを、外部接続用端子部4−2の配列方向に広く形成して、めっき液が開口部5A内に入りやすくなるようにしたので、バンプ6の高さのばらつきの低減や、形状不良の発生の抑止等を実現することができる。
また、隣り合うバンプ6同士の接触・短絡を防ぎ、かつそのバンプ6の高さのばらつきの低減や形状不良の抑止が可能となるので、配線板の製造歩留まりを向上させることができる。また、同様の理由から、この配線板に半導体チップ7を実装したときの、バンプ6と半導体チップ7の電極701の接続不良の発生を抑止することができる。
【0025】
なお、本発明に係る配線板の製造方法および配線板は、上記のようなCOFのインターポーザ用の配線板として用いられることのみには限定されない。その他にも、例えばバーンイン試験で用いられる配線板などにも適用可能である。あるいは、マザーボード、ドータボードと呼ばれるような、複数個の半導体装置やその他各種電子部品がハイブリッドに実装される実装パッケージ用の配線板などにも適用可能である。
【0026】
また、上記実施の形態では、導体バターン4を電気めっき法によって形成する場合について説明したが、無電解めっき法によって形成することも可能である。その場合には、シード層2は例えばPd(パラジウム)等の触媒を用いて形成しておけばよい。また、導体パターン4をその全厚さに亘って無電解めっきによって形成してもよいし、無電解めっき法によって数μmの厚さまで導体を堆積させた後、その堆積された導体の表面を電極とした電気めっきを所望の厚さが得られるまで続けることにより、それら無電解めっきによる導体と電解めっきによる導体とからなる導体パターン4を形成するようにしてもよい。
【0027】
また、上記実施の形態では、具体的な数値的態様の一例として、第1レジスト3の厚さを20μm、導体パターン4の厚さを8μm、バンプ6の高さを8μmとした場合を掲げたが、本発明に係る配線板の製造方法で適用可能な具体的数値態様としては、このような数値のみには限定されないことは勿論である。基本的には、導体パターン4(外部接続用
端子部4−2)の厚さとバンプ6の厚さとを合計した、絶縁性基板1の表面からバンプ6の上面までの高さが、第1レジスト3の高さ(厚さ)以下であればよい。但し、バンプ6と半導体チップ7の電極701との接続を、より確実なものとするためには、バンプ6の厚さを、導体パターン4の厚さ以上にすることが望ましい。そのようにするためには、例えば、導体パターン4の厚さを第1レジスト3の高さの半分未満に設定すると共にバンプ6の厚さを第1レジスト3の高さの半分以上に設定することなどが有効である。さらに具体的な数値的態様としては、バンプ6の厚さを、導体パターン4の厚さよりも4μm以上厚くすることが望ましい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る配線板の製造方法における導体パターン形成までの主要な製造工程の流れを示す図である。
【図2】図1に引き続いて、本発明の実施の形態に係る配線板の製造方法における第2レジストの形成工程を示す図である。
【図3】図2に引き続いて、本発明の実施の形態に係る配線板の製造方法におけるバンプの形成工程を示す図である。
【図4】図3に引き続いて、第1レジストおよび第2レジストを除去した状態を示す図である。
【図5】図4に引き続いて、シード層の不要な部分を除去した状態を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る配線板の製造方法によって製造される配線板に半導体チップを実装してなるCOF方式の実装パッケージにおける主要部の構造を示す図である。
【図7】従来の配線板に半導体チップを実装してなるCOF方式の実装パッケージにおける主要部の構造を示す図である。
【図8】従来の配線板に半導体チップを実装する工程を模式的に示す図である。
【図9】従来の配線板の製造工程で正しい位置にレジストの開口部が形成された状態を示す図である。
【図10】従来の配線板の製造工程でレジストの開口部の位置ずれが発生した状態の一例を示す図である。
【図11】特許文献2にて提案された配線板の製造方法によって製造される配線板における主要部の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1 絶縁性基板
2 シード層
3 第1レジスト
4 導体パターン
5 第2レジスト
6 バンプ
7 半導体チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板の表面に少なくとも配線とそれに連なる外部接続用端子部とを有する導体パターンを形成する工程と、前記外部接続用端子部の表面上にバンプを形成する工程とを有する配線板の製造方法であって、
前記絶縁性基板の表面に、導電性材料からなるシード層を形成する工程と、
前記シード層の表面における前記導体パターンが形成されるように予め定められた部分を露出させる開口パターンを有する第1レジストを形成する工程と、
前記第1レジストの開口パターン内に、電気めっき法または無電解めっき法により前記第1レジストの厚さ未満の厚さに導体を充填して前記導体パターンを形成する工程と、
前記導体パターンを形成した後、前記外部接続用端子部の前記バンプが形成されるように予め定められた部分を露出させる開口部を有すると共に前記バンプが形成されない領域は覆うように、第2レジストを形成する工程と、
前記外部接続用端子部における前記第1レジストの開口パターンから露出していると共に第2レジストの開口部から露出している部分に、電気めっき法または無電解めっき法により、前記第1レジストの厚さ以下の高さまで導体を充填することで前記バンプを形成する工程と
を含むことを特徴とする配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の配線板の製造方法において、
前記第2レジストの開口部を、当該一つの開口部内に複数の前記外部接続用端子部の表面が一括して露出するように設ける
ことを特徴とする配線板の製造方法。
【請求項3】
絶縁性基板と、前記絶縁性基板の表面に形成された、少なくとも配線とそれに連なるように配列形成された外部接続用端子部とを有する導体パターンと、前記導体パターンの表面上の所定位置に形成されたバンプとを有する配線板であって、
前記バンプが、前記導体パターンと同じ導体材料を電気めっきまたは無電解めっきにより形成してなるものであり、かつ前記バンプにおけるバンプ幅方向の両端面がそれぞれ、前記外部接続用端子部における端子幅方向の両端面と段差なく連続するように、前記バンプが前記外部接続用端子部の表面上に形成されている
ことを特徴とする配線板。
【請求項4】
請求項3記載の配線板において、
前記バンプが、前記外部接続用端子部の端子幅と同一のバンプ幅を有するものである
ことを特徴とする配線板。
【請求項5】
請求項3または4記載の配線板において、
前記バンプが、前記外部接続用端子部の厚さよりも厚く形成してなるものである
ことを特徴とする配線板。
【請求項6】
請求項5記載の配線板において、
前記バンプの厚さは、前記外部接続用端子部の厚さよりも4μm以上厚い
ことを特徴とする配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−62189(P2010−62189A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223438(P2008−223438)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】