説明

配車システム

【課題】GPS機能が搭載された利用者の携帯端末を利用した配車システムにおいては、配車要求の頻度が高い建物の中や地下街では、位置情報が取得できなかったり、取得できても精度が悪かったりする場合がある等、利用者にとっては実用性に乏しい技術であった。
【解決手段】端末を備えた車両と、車両に配車情報を提供する配車サーバと、からなる配車システムを提供する。配車サーバは、端末から送信される車両位置情報を略リアルタイムで更新取得する車両位置情報取得部と、待合場所情報リストを保持するリスト保持部と、保持されている待合場所情報リストの中から選択される特定の待合場所情報を含む配車要求情報を受け付ける配車要求情報受付部と、受け付けた配車要求情報と、取得した車両位置情報と、に基づいて配車用車両を抽出する配車用車両抽出部と、配車情報送信部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備えられた端末に対して配車情報を提供する配車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両(例えばタクシー)の配車方法としては、利用者が営業所に電話を掛けて所定の場所にてタクシーとの待ち合わせを行うことで、タクシーの送迎等が行われていた。
【0003】
近年においてはGPS(Global Positioning System)機能を有する端末が普及しており、これを用いてタクシーの送迎等を行う発明が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1及び2は、いずれも利用者の携帯端末にGPS機能が搭載されており、利用者の携帯端末からの位置情報を利用して近隣に位置するタクシーの配車を行う技術に関するものである。
【特許文献1】特開2003−256989号公報
【特許文献2】特開2004−46309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、利用者の携帯端末のGPS機能を用いた利用者の位置情報の取得を必須の要件としているため、実用性に乏しい発明となってしまっていた。例えば、タクシーの配車要求の頻度が高い建物の中や地下街では、位置情報が取得できなかったり、取得できても精度が悪かったりする場合がある。また、携帯電話に附属されるGPS機能を利用する場合には、位置情報の取得に数分以上の時間を要してしまったり、位置情報の測位時に料金が発生してしまっている。さらには、そもそも建物の中や地下街は道路ではないため、その位置情報を取得したとしてもその利用者の位置に配車を行うことができないなど、実用性に乏しい技術であった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、利用者に対する便宜を向上させ、かつ、好適な車両を配車することが可能な配車システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明においては、かかる課題を解決するために、端末を備えた車両と、前記車両に配車情報を提供する配車サーバと、からなる配車システムを提供する。配車サーバは、前記端末から送信される車両位置情報を略リアルタイムで更新取得する車両位置情報取得部と、車両を利用者が待つにふさわしい場所として定められた待合場所情報のリストである待合場所情報リストを保持するリスト保持部と、保持されている待合場所情報リストの中から選択される特定の待合場所情報を含む配車要求情報を受け付ける配車要求情報受付部と、受け付けた配車要求情報と、取得した車両位置情報と、に基づいて配車用車両を抽出する配車用車両抽出部と、抽出した配車用車両の端末に対して待合場所情報を含む配車情報を送信する配車情報送信部と、を有する。利用者にとっては、車両の待ち合わせ希望場所を自ら指定するため、その希望する待ち合わせ場所を知らないということは現実的にあり得ない。よって、利用者の位置情報を取得する必要性は全くないのである。そして、配車対象となる車両のみの位置情報を利用することで、利用者に対して位置情報の取得作業という繁雑かつコストを要する作業を行わせずに済むため、利便性を向上させることができる。また、利用者と車両との共通の待合場所情報を利用することで、好適な配車用車両を抽出することが可能となる。
【0007】
また、配車情報送信部は、配車情報として待合場所で配車要求をした利用者を識別するための第一識別情報を含む配車情報を送信する識別配車情報送信手段を有し、利用者が配車要求をした利用者であることを証明するために用いられる識別情報であって、第一識別情報によって真正性が証明可能な第二識別情報を所定の携帯端末装置に対して送信するための証明送信部をさらに有してもよい。かかる構成により、配車要求をした利用者と、当該配車要求に基づいて配車対象となった車両との間で本人確認の認証処理を行うことが可能となり、誤配車や不法乗車といったことを防止することができる。
【0008】
また、前記管理サーバは、車両料金の信用情報と関連付けて携帯端末装置を特定した携帯端末リストを保持する携帯端末リスト保持部を有し、証明送信部は、第二識別情報とともに送信先の携帯端末装置と関連付けられている信用情報を前記携帯端末リスト保持部から取得して送信する信用情報付送信手段を有してもよい。かかる構成により、いわば配車用車両を利用する利用者の保証制度を実用化することが可能となり、例えば定額利用放題といった新たなビジネスモデルを容易に確立することも可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者においてはGPS機能を用いて自身の位置情報を送信する煩雑性を払拭できるため、利用頻度が高い実用性に富んだ配車システムを提供することができる。また、待合場所情報を利用することで、配車用車両及び利用者の両者が待ち合わせに適当な場所にて待ち合わせをすることができる。さらには、識別情報を利用することで待合場所において配車用車両と利用者との間で本人確認を行うことができるため、誤って別人を乗せてしまうといったことを防止することができる。また、配車用車両を利用する利用者の保証制度を実用化することも可能となり、定額利用放題といった配車システムの新たなビジネスモデルを提供することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、各発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0011】
なお、以下の実施形態と請求項の関係は次の通りである。
実施形態1は、主に請求項1、4などについて説明する。
実施形態2は、主に請求項2、5などについて説明する。
実施形態3は、主に請求項3、6などについて説明する。
【0012】
<<実施形態1>>
<実施形態1の概要>
図1は、実施形態1の概要を説明するための図である。図1(a)においては、まず、配車サーバにて、各車両からの位置情報を略リアルタイムで取得している。かかる状態において、利用者から配車サーバに対して配車要求が送られる。この配車要求時には、利用者の端末にて位置情報をGPS衛星などから取得して送信するといった煩雑な処理が行われることはなく、単に待合場所に関する情報などが送られるに過ぎない。その後、配車サーバにて好適な車両を抽出し、抽出した車両に対して待合場所に関する情報を含んだ配車情報を送信する(b)。すると、利用者と車両とが当該待合場所にて出会うことができる、というシステムである(c)。以下、変形例等を交えながら説明を行う。
【0013】
<実施形態1の構成>
図2は、本実施形態における配車システムの機能ブロック図の一例を示すものである。図2に示すように、本実施形態における「配車システム」200は、端末211を備えた「車両」210と、前記車両に配車情報を提供する「配車サーバ」220と、からなる。配車サーバ220は、「車両位置情報取得部」221と、「リスト保持部」222と、「配車要求情報受付部」223と、「配車用車両抽出部」224と、「配車情報送信部」225と、を有する。なお、図2においては、配車対象となる配車用車両210のみを記載しているが、本実施形態の配車システムにおいては、複数の車両を有しているものである。
【0014】
本件発明の構成要素である各部は、ハードウエア、ソフトウエア、ハードウエアとソフトウエアの両者、のいずれかによって構成される。例えば、これらを実現する一例として、コンピュータを利用する場合には、CPU、メモリ、バス、インターフェイス、周辺装置などから構成されるハードウエアと、これらのハードウエア上にて実行可能なソフトウエアを挙げることができる。具体的には、メモリ上に展開されたプログラムを順次実行することで、メモリ上のデータや、インターフェイスを介して入力されるデータの加工、蓄積、出力などにより各部の機能が実現される(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0015】
(車両)
まず、車両210について説明する。「車両」210とは、主に移動するための手段に用いられるものあり、具体的にはタクシー、バス、バイク、自転車、トラックなどが相当する。そして当該車両には端末211が備えられている。「端末」211とは、主に位置情報を配車サーバに対して送信しているものである。一例としては、GPS機能を有する端末装置カーナビなどが相当する。なお、本実施形態においては利用者の携帯電話における位置情報を利用するものではなく、車両の端末から送信される車両位置情報のみを位置情報として利用することになる。そして、車両の端末からは、車両の位置に関する情報である車両位置情報が略リアルタイムで送信される。略リアルタイムとは、例えば5秒に1回の頻度で車両位置情報を送信することが挙げられる。車両位置情報を「略リアルタイムで」送信する方法としては、例えば日本国の地図を細分化し、この細分化した地図情報と関連付けた位置情報を送信することで、情報量の少ない位置情報を端末から送信することができる。また、当該位置情報を端末内にて符号化圧縮処理を行うことで、さらにより少ない情報量にて車両位置情報を送信することができる。
【0016】
(配車サーバ)
「配車サーバ」220は、前記車両210に配車情報を提供するものである。配車サーバは、具体的にはコンピュータ装置やサーバ装置などが該当する。「配車情報」とは、利用者からの配車要求があった旨に関する情報や後述する待合場所情報を含む情報のことである。配車サーバは、各車両の車種等を管理したり、各車両の運転手の年齢・性別などの特性情報を関連付けて管理していてもよい。以下、配車サーバの各構成について説明する。
【0017】
「車両位置情報取得部」221は。前記端末から送信される車両位置情報を略リアルタイムで更新取得する。「車両位置情報」とは、例えば車両に備えられた端末がGPS機能を用いて取得した車両の位置に関する情報のことである。この車両位置情報は略リアルタイムで車両の端末から送信されるため、車両位置情報をその都度更新して取得することができる。このように、配車サーバにおいては、各車両についての位置を略リアルタイムで把握することが可能となるため、利用者からの配車要求に応じて好適な車両を抽出することができる。
【0018】
「リスト保持部」222は、車両を利用者が待つにふさわしい場所として定められた待合場所情報のリストである待合場所情報リストを保持する。「車両を利用者が待つにふさわしい場所」とは、例えばタクシー乗り場や、ロータリー、駐車場、サービスエリアや、駐停車可能な路上など、車両が一時停止可能な場所であればよい。図3は、リスト保持部に保持されている待合場所情報の一例を示す図である。図3(a)に示すように、待合場所情報は、例えば目印となるビル、建物、店舗などの固有名称などがリストとして保持されている。なお、待合場所情報には、図3(b)で示すように、好適な車両を抽出するために、当該待合場所の位置情報(例えば、緯度・経度情報)が関連付けて保持されていてもよい。これにより、後述する車両の抽出処理を迅速に行うことができる。さらには、図3(c)で示すように、当該待合場所の最新の混雑状況などを関連付けて保持していてもよい。これにより、例えば当該待合場所が混在している場合には、代替場所を配車サーバにてピックアップすることができ、かかる代替場所を利用者に対して逆に通知するといったことも可能となる。なお、利用者からの要求に応じて、待合場所情報リストを更新してもよい。
【0019】
「配車要求情報受付部」223は、保持されている待合場所情報リストの中から選択される特定の待合場所情報を含む配車要求情報を受け付ける。かかる配車要求情報は、利用者の端末からメール等を受信することで受け付けてもよいし、利用者が配車サーバのウェブにアクセスして情報を入力することで受け付けてもよいし、あるいは、利用者からの電話連絡を受けたオペレータが配車サーバに情報を入力することで受け付けてもよい。また、配車要求情報は、待合場所情報を「含む」ものであり、他の情報が含まれてもよい。図4は、配車要求情報の一例を示す図である。図4に示すように、配車要求情報には、待合場所情報の他に、例えば配車希望の車種や、運転手の年齢・性別などの利用者からの各種の要求情報が含まれる。例えば、タクシーの配車を要求する利用者が、白いタクシーであり、かつ、運転手がタバコを吸わないという条件のタクシーを要求する場合には、配車サーバにおいては、車両位置情報に基づいて最も直近に位置する喫煙タクシーではなく、若干遠い位置の禁煙タクシーを抽出するということも可能となる。利用者によっては、多少時間を要してもよいので、希望する車両を要望する場合があり、本発明を用いることで、かかる要求にも応じることができる。特に、運転手と顔なじみになっている場合などにおいては、その運転手の運転するタクシーの配車を要求する場合なども想定される。
【0020】
また、この他、配車要求情報には行き先(目的地)に関する情報である目的地情報が含まれてもよい。この目的地情報の利用例としては、配車条件に合致した車両が別の利用者によって使用されている場合において、当該車両の待合場所への到着予定時刻の算出を行う例が挙げられる。すなわち、目的地情報が配車要求情報に含まれる場合において、利用者の配車条件に合致した車両が別の利用者によって現在使用中である場合に、現在使用中の目的地までの所要時間等を換算して、後から配車要求を行った利用者に対する到着予定時刻を通知するといった処理を配車サーバにて行うことも可能となる。到着予定時刻を算出するに当っては、例えば待合場所情報と、別の利用者の目的地情報とに基づいて、当該地点間の距離を算出することで、到着予定時刻を算出することができる。
【0021】
なお、配車要求情報に「含まれる」他の情報に関しては、その都度配車サーバが受け付けてもよいし、あるいは、事前に会員登録のような形で希望する各条件を予め入力しておき、待合場所情報と、利用者の識別情報のみを配車要求情報として配車サーバが受け付けてもよい。また、配車要求情報に含まれる情報には、重み付けがされており、重み付けが大きい情報を優先的に利用してもよい。
【0022】
「配車用車両抽出部」224は、受け付けた配車要求情報と、取得した車両位置情報と、に基づいて配車用車両を抽出する。先に説明したように、配車要求情報には待合場所情報が含まれており、車両位置情報を参照してこの待合場所情報が示す待合場所に近い車両を配車用車両として抽出することができる。また、先に説明したように、配車要求情報に含まれる他の要求等を参照してさらに好適な配車用車両を抽出することも可能である。
【0023】
「配車情報送信部」225は、抽出した配車用車両の端末に対して待合場所情報を含む配車情報を送信する。配車情報には、待合場所情報の他、待ち合わせのための利用者の特徴点や、配車に応じるかを確認するための確認要求などが含まれてもよい。なお、いわば予約配車のように、配車要求情報に配車要求時刻が含まれている場合には、その配車要求時刻に応じて配車情報を配車用車両に対して送信してもよい。例えば、1時間後にA地点の待合場所への配車要求があった場合には、配車サーバは、予定時刻の15分前にその配車情報を配車用車両に対して送信するとしてもよい。また、この場合には、配車サーバは道路の混雑状況等を示す道路混雑情報に基づいて当該配車情報を例えば予定時刻の30分前といったように、早めに送信するとしてもよい。
【0024】
なお、配車サーバは、配車用車両からの配車可能である旨を確認した場合には、利用者に対して確認メールを送信したり、オペレータから連絡したりするなどして、利用者に対して配車の用意ができた旨を通知することができる。
【0025】
一方で、例えば配車用車両がタクシーであるにおいては、配車サーバからの配車情報を受信した場合には、これに応じてタクシーの表示灯を「空車」から「迎車」又は「貸切車」に自動的に変更してもよい。これにより、待合場所に向かう途中で別の利用者を乗せずに済む。
【0026】
<実施形態1の処理の流れ>
図5は、実施形態1における処理の流れの一例を示す図である。本実施形態における処理は、以下に示すステップよりなる。なお、以下に示す処理の流れは、計算機に実行させるためのプログラム、またはそのプログラムが記録された読み取り可能な記録媒体として実施され得る(以下、本明細書における処理の流れの記載についても同様である)。
【0027】
まず、配車サーバにおいては、車両に備えられた端末から送信される車両位置情報を略リアルタイムで更新取得する(S501)。S501では、配車サーバにて管理している全ての車両についての車両位置情報を取得してもよい。また、S501は、以下で示す処理を行っている際においても並行して実行されてもよい。その後、保持されている待合場所情報リストの中から選択される特定の待合場所情報を含む配車要求情報を受け付ける(S502)。その後、S502にて受け付けた配車要求情報と、S501にて取得した車両位置情報と、に基づいて配車用車両を抽出する(S503)。その後、S503にて抽出した配車用車両の端末に対して待合場所情報を含む配車情報を送信する(S504)。
【0028】
なお、図示していないが、配車要求に適合した配車用車両を抽出することができない場合には、その旨を利用者に向けて直接又は間接的に出力してもよい。間接的に出力する例としては、管理サーバと接続しているディスプレイ画面にその旨を出力表示し、これを確認したオペレータから利用者に対して通知する、という場合が挙げられる。
【0029】
(利用者)
なお、本配車システムを利用する利用者から配車要求を行う場合には利用者の有する携帯電話などのGPS機能を用いて配車要求を行うことは必要ではないが、例えば利用者の携帯電話のGPS携帯を用いて、待合場所として好適な場所、即ち、配車が可能な場所を検索する機能が備えられていてもよい。
【0030】
<実施形態1の具体的構成態様>
図6は、実施形態1における配信サーバの具体的な構成要素の一例を示す図である。図6に示すように、配信サーバは例えばコンピュータ装置を用いて構成されるものであり、リスト保持部としてのハードディスク(HD)601や、配車用車両抽出部としてのCPU602、RAM603や、車両位置情報取得部、配車要求情報受付部、配車情報送信部としてのI/F604などから構成される。
【0031】
以下、具体的な動作例について説明する。配車サーバは、ネットワークI/Fを介して車両位置情報を略リアルタイムで取得している。CPUは、これを用いてRAMの所定の領域に保持されている車両の位置を示す車両位置情報テーブルを書き換える。この車両位置情報テーブルには、車両を特定するための識別情報と、その車両の位置情報とが関連付けて保持されている。そして、利用者からの配車要求情報を例えばネットワークI/Fを介して受け付けたり、あるいは、オペレータからキーボード入力I/Fを介して受け付けたりした場合には、CPUは、その配車要求情報をRAMに一時的に書き込む処理を行う。その後、配車要求情報に含まれる待合場所情報をキーとしてHDなどに保持されている待合場所情報リストを検索して、例えば駐停車可能な場所であるかの確認処理をする。そして、CPUの演算処理により車両位置情報と配車要求情報から好適な車両を抽出した場合には、当該車両の端末に対してネットワークI/Fを介して待合場所情報を含む配車情報を送信する処理を行う。なお、車両の抽出の例としては、待合場所からの直線距離が短い車両を優先的に抽出するアルゴリズムを用いて抽出処理を行ってもよいし、あるいは、渋滞情報により、到着予定時刻を算出し、到着予定時刻が早い車両を優先的に抽出するアルゴリズムを採用してもよい。配車情報の送信に際しては、保持されている車両を特定するための識別情報と、これに更に関連付けられた例えばIPアドレス、メールアドレスなどを利用して当該配車用車両に対して配車情報を送信することができる。
【0032】
<実施形態1の効果>
本実施形態の配車システムによれば、車両の位置情報を利用するのみで、利用者の位置情報を利用せずに好適な配車用車両を抽出することが可能となるため、利用者においてはGPS機能を用いて自身の位置情報を送信する煩雑性を払拭できるため、利用頻度が高い実用性に富んだ配車システムを提供することができる。また、待合場所情報を利用することで、配車用車両及び利用者の両者が待ち合わせに適当な場所にて待ち合わせをすることができる。さらには、利用者からの各種の要望に適合した車両を抽出することが可能となる。
【0033】
<<実施形態2>>
<実施形態2の概要>
実施形態2は、実施形態1で説明した配車システムにおいて、さらに配車要求を行った利用者と配車用車両との間で本人確認を行うことが可能な配車システムに関するものである。
【0034】
<実施形態2の構成>
図7は、本実施形態における配車システムの機能ブロック図の一例を示すものである。図7に示すように、本実施形態における「配車システム」700は、端末711を備えた「車両」710と、前記車両に配車情報を提供する「配車サーバ」720と、からなる。配車サーバ720は、「車両位置情報取得部」721と、「リスト保持部」722と、「配車要求情報受付部」723と、「配車用車両抽出部」724と、「配車情報送信部」725と、「証明送信部」727と、を有する。配車情報送信部725は、「識別配車情報送信手段」726を有する。識別配車情報送信手段726と、証明送信部727と、を除く各構成については、実施形態1で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0035】
「識別配車情報送信手段」726は、配車情報送信部が有しているものであり、配車情報として待合場所で配車要求をした利用者を識別するための第一識別情報を含む配車情報を送信する。すなわち、配車用車両の端末に対して、配車要求をした利用者を識別するための第一識別情報を配車情報として送信する。なお、第一識別情報は暗号化されたものであってもよい。また、第一識別情報を含む配車情報を受けた車両においては、例えば当該利用者の氏名をタクシー灯などに表示してもよい。具体的には、「山田様専用送迎車」といった表示を第一識別情報を含む配車情報を受信するとともに行ってもよい。
【0036】
「証明送信部」727は、利用者が配車要求をした利用者であることを証明するために用いられる識別情報であって、第一識別情報によって真正性が証明可能な第二識別情報を所定の携帯端末装置に対して送信するためのものである。「所定の携帯端末装置」とは、例えば利用者が携帯している携帯電話が挙げられる。なお、この所定の携帯端末装置は、利用者が配車サーバに対して配車要求をするために用いられたものであってもよいし、全く別個の携帯端末装置であってもよい。
【0037】
このように、車両の端末には、第一識別情報が送信され、利用者が利用する所定の携帯端末に対しては第二識別情報が送信されることで、配車要求を行った利用者と、配車対象となった配車用車両との間でいわば本人確認をすることが可能となる。なお、第一識別情報と第二識別情報との真正性を証明する際には、各種の認証方法を採用することができる。例えば、第一識別情報と、第二識別情報とが対の鍵情報となっており、両者が真正である場合に初めて認証処理を完了するということが一例として挙げられる。
【0038】
そして、例えば実際に利用者と車両とが待ち合わせ場所に到着した場合には、利用者の携帯端末装置からRF(Radio Frequency)タグを用い、車両にはリーダライターを設けることで認証処理を行ってもよい。また、両者の真正性が証明された場合には、例えば車両のルーフトップの表示を点灯させてもよい。この場合には、配車用車両のルーフトップを点灯させる旨を利用者に連絡しておくと、利用者が該当車両を発見し易くなる。
【0039】
<実施形態2の処理の流れ>
図8は、実施形態2における処理の流れの一例を示す図である。なお、S803までの処理の流れについては、実施形態1で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。S804においては、S803にて抽出した配車用車両の端末に対して、待合場所情報と、利用者を識別するための第一識別情報と、を含む配車情報を送信する。そして、S805においては、第一識別情報によって真正性が証明可能な第二識別情報を所定の携帯端末装置に対して送信する。なお、第一識別情報や第二識別情報については、配車サーバ内にて生成してこれを送信してもよいし、他の認証サーバなどに対して第一識別情報や第二識別情報の生成依頼を行い、他のサーバなどから受信した第一識別情報や第二識別情報を送信するとしてもよい。
【0040】
<実施形態2の具体的構成態様>
実施形態2における配車サーバの具体的な構成態様については、実施形態1で説明したものと同様である。証明送信部に関しても実施形態1で説明した配車情報送信部と同様に、ネットワークI/Fなどが相当する。実施形態2の特徴的な動作としては、配車サーバのCPUは、例えばHDなどに格納されている暗号化プログラムなどをRAMに読み出して、第一識別情報や第二識別情報の生成を行う処理をする。また、第一識別情報や第二識別情報には、車両や携帯端末装置に対して所定の動作を行わせるための制御情報を含ませてもよい。車両と携帯端末装置との真正性の確認については、RFタグを用いる場合や、赤外線通信・Bluetooth(登録商標)を用いた各種の通信方法にて行うことができる。その他については実施形態1で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0041】
<実施形態2の効果>
本実施形態によれば、配車要求をした利用者と、当該配車要求に基づいて配車対象となった車両との間でいわば本人確認の認証処理を行うことが可能となる。このため、利用者が間違った車両に乗車したり、あるいは、全くの別人が当該車両に乗車してしまうなどの誤配車・不法乗車といったことを防止することができる。これは、待合場所が混雑している繁華街などである場合や、泥酔者が配車要求の利用者である場合などにおいて特に効果的である。
【0042】
<<実施形態3>>
<実施形態3の概要>
実施形態3は、実施形態2で説明した配車システムにおいて、さらに保証制度を利用可能にした配車システムに関するものである。
【0043】
図9は、本実施形態における配車システムの機能ブロック図の一例を示すものである。図9に示すように、本実施形態における「配車システム」900は、端末911を備えた「車両」910と、前記車両に配車情報を提供する「配車サーバ」920と、からなる。配車サーバ920は、「車両位置情報取得部」921と、「リスト保持部」922と、「配車要求情報受付部」923と、「配車用車両抽出部」924と、「配車情報送信部」925と、「証明送信部」927と、「携帯端末リスト保持部」928と、を有する。配車情報送信部925は、「識別配車情報送信手段」926を有する。証明送信部927は、「信用情報付送信手段」929を有する。携帯端末リスト保持部928と、信用情報付送信手段929と、を除く各構成については、実施形態2で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0044】
「携帯リスト保持部」928は、車両料金の信用情報と関連付けて携帯端末装置を特定した携帯端末リストを保持する。「車両料金」とは、例えばタクシーの料金やバスの貸切料金、トラックなどの配送料金などのことである。そして、車両料金の信用情報とは、車両料金を確かに支払った、又は支払いが確実に行われることを示す情報のことである。一例としては、月に20万円の固定料金をデポジットとして支払い、これを利用してタクシーの定額制利用を行うという新たなビジネスモデルを本実施形態により容易に確立することもできる。なお、このようなタクシーの定額制利用などは、利用者にとっては専用車を用意する必要がなくなりコストを抑えることが可能となるという利点がある。また、一方で例えばタクシー会社等にとっては複数の顧客からデポジット収入を得ることで、安定的な経営を行うことが可能となるという利点がある。さらには交通車両の絶対数を削減することが可能となるため、排気ガス等の排出量を抑制させることができるため、地球環境上にも非常に優れた効果を奏することができる。
【0045】
「信用情報付送信手段」929は、第二識別情報とともに、送信先の携帯端末装置と関連付けられている信用情報を前記携帯端末リスト保持部から取得して所定の携帯端末装置に対して送信する。すなわち、携帯端末装置に信用情報が関連付けられて送信される場合にのみ、実施形態2で説明したような携帯端末装置と車両の端末との本人確認のための認証処理が行われることを可能とすることができ、これにより、確かに信用がある利用者のみを待合場所にて特定することが可能となる。
【0046】
<実施形態3の処理の流れ>
図10は、実施形態3における処理の流れの一例を示す図である。なお、S1004までの処理の流れは実施形態2で説明したものと同様である。S1005においては、第一識別情報によって真正性が証明可能な第二識別情報と、送信先の携帯端末装置と関連付けられている信用情報とを携帯端末装置に送信する。S1005においては、例えば第二識別情報を送信する対象となる所定の携帯端末装置を抽出し、この携帯端末装置をキーとして携帯端末リストを検索し、当該携帯端末装置に関連付けられた信用情報を取り出して第二識別情報とともに当該携帯端末装置に対して送信するといった処理が行われる。
【0047】
<実施形態3の具体的構成態様>
実施形態3における配車サーバの具体的な構成態様については、実施形態2で説明したものと同様である。携帯端末リスト保持部に関しては、ハードディスクなどの記録媒体が相当する。そして、実施形態3の特徴的な動作としては、例えば配車要求情報を送信した利用者の携帯端末装置の識別情報をキーとして、記録媒体に保持されている携帯端末リストを検索する。そして、検索した結果、当該利用者の携帯端末装置と関連付けられている信用情報がある場合には、CPUは、RAMに一時的に保持している第二識別情報とともに利用者の携帯端末装置に対して信用情報を送信する処理を行う。その他については、実施形態2で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0048】
<実施形態3の効果>
本実施形態によれば、配車サーバは車両料金の信用情報と関連付けて携帯端末装置を特定した携帯端末リストを保持しており、この携帯端末リストから利用者の携帯端末装置に対して第二識別情報とともに信用情報をも送信することにより、例えば配車用車両の運転手にとっては、当該車両を利用する料金の支払等の心配をすることなく、利用者に対して車両を利用させることができる。一方で、利用者にとっては、所定の料金を例えばデポジットとして支払うことで、例えばタクシーの定額使い放題といったことも容易に行うことが出来る。このため、特定の車両ということではなく、例えば特定のタクシー会社の車両が利用し放題となったり、あるいは特定の運転手が運転する車両が利用し放題になるということも可能となる。
【0049】
<その他の実現態様>
なお、他の実現態様としては、既に説明した「車両」に代えて、移動時に用いられる物としてもよい。例えば、鞄、ケース、服、靴など人が移動する際に用いられる物に、端末が備えられていてもよい。この場合には、例えば人と人との待ち合わせにも本発明を応用することができる。さらに具体的には、お酒を飲んでしまった利用者が、直近に位置する代替運転手を待合場所に呼び寄せる場合にも本発明を用いることで容易に行うことができる。
【0050】
また、本発明を利用した他の実施形態としては、例えば運送会社などのトラックの帰り便を有効的に利用した運搬システムを構築することも可能である。つまり、荷物を日々運搬しているトラックを多く有する各運送会社などに本発明を導入することで、いわば空き便を利用した荷物の運搬を行うことが可能となる。例えば、東京から静岡まで荷物Xを運搬するトラックは、東京まで戻る時には、積荷が空になった状態で戻ってくる。この場合に、帰り便において、例えば沼津から横浜まで別の荷物Yを運搬することで、各コストを削減させ、環境資源を節約することが可能となる。具体的には、例えば多数のトラックが日々荷物を運搬しているものであり、いわばタクシーのように車両を循環させていると考えるとができる。かかる場合において、集荷を要望する利用者が本発明における配車要求を行うことで、配車サーバは複数のトラックから好適なトラックを抽出し、そのトラックを利用して利用者の荷物を集荷して運搬するといったことが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施形態1を説明するための概念図
【図2】実施形態1を説明するための機能ブロック図
【図3】実施形態1の待合場所情報の一例を示す図
【図4】実施形態1の配車要求情報の一例を示す図
【図5】実施形態1の処理の流れを説明する図
【図6】実施形態1の具体的な構成態様の一例を示す図
【図7】実施形態2を説明するための機能ブロック図
【図8】実施形態2の処理の流れを説明する図
【図9】実施形態3を説明するための機能ブロック図
【図10】実施形態3の処理の流れを説明する図
【符号の説明】
【0052】
200 配車システム
210 配車用車両
211 端末
220 配車サーバ
221 車両位置情報取得部
222 リスト保持部
223 配車要求情報受付部
224 配車用車両抽出部
225 配車情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末を備えた車両と、前記車両に配車情報を提供する配車サーバと、からなる配車システムであって、
配車サーバは、
前記端末から送信される車両位置情報を略リアルタイムで更新取得する車両位置情報取得部と、
車両を利用者が待つにふさわしい場所として定められた待合場所情報のリストである待合場所情報リストを保持するリスト保持部と、
保持されている待合場所情報リストの中から選択される特定の待合場所情報を含む配車要求情報を受け付ける配車要求情報受付部と、
受け付けた配車要求情報と、取得した車両位置情報と、に基づいて配車用車両を抽出する配車用車両抽出部と、
抽出した配車用車両の端末に対して待合場所情報を含む配車情報を送信する配車情報送信部と、
を有する配車システム。
【請求項2】
配車情報送信部は、配車情報として待合場所で配車要求をした利用者を識別するための第一識別情報を含む配車情報を送信する識別配車情報送信手段を有し、
利用者が配車要求をした利用者であることを証明するために用いられる識別情報であって、第一識別情報によって真正性が証明可能な第二識別情報を所定の携帯端末装置に対して送信するための証明送信部をさらに有する請求項1に記載の配車システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、
車両料金の信用情報と関連付けて携帯端末装置を特定した携帯端末リストを保持する携帯端末リスト保持部を有し、
証明送信部は、第二識別情報とともに送信先の携帯端末装置と関連付けられている信用情報を前記携帯端末リスト保持部から取得して送信する信用情報付送信手段を有する請求項2に記載の配車システム。
【請求項4】
端末を備えた車両と、車両を利用者が待つにふさわしい場所として定められた待合場所情報のリストである待合場所情報リストを保持するリスト保持部を有し前記車両に配車情報を提供する配車サーバと、からなる配車方法であって、
前記端末から送信される車両位置情報を略リアルタイムで更新取得する車両位置情報取得ステップと、
保持されている待合場所情報リストの中から選択される特定の待合場所情報を含む配車要求情報を受け付ける配車要求情報受付ステップと、
受け付けた配車要求情報と、取得した車両位置情報と、に基づいて配車用車両を抽出する配車用車両抽出ステップと、
抽出した配車用車両の端末に対して待合場所情報を含む配車情報を送信する配車情報送信ステップと、
を有する配車方法。
【請求項5】
配車情報送信ステップは、配車情報として待合場所で配車要求をした利用者を識別するための第一識別情報を含む配車情報を送信する識別配車情報送信ステップを有し、
利用者が配車要求をした利用者であることを証明するために用いられる識別情報であって、第一識別情報によって真正性が証明可能な第二識別情報を所定の携帯端末装置に対して送信するための証明送信ステップをさらに有する請求項4に記載の配車方法。
【請求項6】
さらに、車両料金の信用情報と関連付けて携帯端末を特定した携帯端末リストを保持する携帯端末リスト保持部を有し、
証明送信ステップは、第二識別情報とともに送信先の携帯端末装置と関連付けられている信用情報を前記携帯端末リスト保持部から取得して送信する信用情報付送信ステップを有する請求項5に記載の配車方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−146500(P2008−146500A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335120(P2006−335120)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(505117180)
【出願人】(506412479)
【出願人】(506412561)
【Fターム(参考)】