説明

酢酸ビニル−スルホナート共重合体の、水への溶解度が低い化合物のための可溶化剤としての使用

本発明は、a)酢酸ビニル80〜99.5重量%と、b)スルホナート基含有モノオレフィン系不飽和単量体とをラジカル開始共重合させることによって得られる共重合体の、水への溶解度が低い物質のための可溶化剤としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酢酸ビニル−スルホナート共重合体の、微水溶性生物活性物質の可溶化剤としての使用に関する。本発明は、さらに、ヒト、動物及び植物に用いるための対応する調製物、及び特定の共重合体にも関する。
【背景技術】
【0002】
疎水性の、すなわち微水溶性の物質の可溶化は、生物活性物質の均質な調製物の製造において、実際上、非常に重要となっている。
【0003】
可溶化とは、特定の溶媒(特に水)に微溶又は不溶である物質を、界面活性化合物(すなわち可溶化剤)によって、可溶にすることを意味する。そのような可溶化剤は、難水溶性又は水不溶性の物質を、そのような物質の化学構造がそれによって変えられることなく、透明な、悪くても乳白色の水溶液に変換させることができる(非特許文献1を参照されたい)。
【0004】
生成する可溶化産物は、難水溶性又は水不溶性の物質が、水溶液中に形成されるその界面活性化合物分子集合体(例えば、いわゆる、ミセル)中で、コロイド溶液の形態にあることを特徴としている。得られる溶液は安定な単一相の系であり、これは光学的には透明又は乳白色に見え、またエネルギーを加えることなく生成され得る。
【0005】
可溶化剤は、例えば、化粧品製剤や液体調製物の外観を、その製剤を透明にすることによって、良くし得る。医薬調製物の場合では、さらに、可溶化剤の使用による、薬物のバイオアベイラビリティー又はその効果における向上もあり得る。
【0006】
製薬用薬物及び化粧品活性物質のために用いられる可溶化剤は、主に、エトキシル化(水素化)ひまし油、エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル又はエトキシル化ヒドロキシステアリン酸のような界面活性剤である。しかしながら、上述した可溶化剤、及び今日まで用いられた可溶化剤は、用いると、多くの技術的な欠点がある。
【0007】
例えば、クロトリマゾール(clotrimazol)のような、一部の微溶性薬物のための公知の可溶化剤の可溶化効果は、低い効果でしかない。
【0008】
加えて、今日までに開示された可溶化剤は、通常、液体又は半固体の化合物であり、このため、望ましくはない加工特性を呈する。
【0009】
酢酸ビニル−スルホナート共重合体自体は公知である。対応する共重合体及び織物仕上げ剤としてのその使用が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0010】
特許文献2には、酢酸ビニルとアリルスルホナートとの共重合体、及びエポキシ樹脂のための乳化剤としてのその使用が、開示されている。
【0011】
特許文献3には、酢酸ビニルとアリルスルホナートとの共重合体、及びアクリル樹脂系コーティング組成物のための乳化剤としてのその使用が、開示されている。
【0012】
特許文献4には、少量のアリルスルホナートの存在下でのポリビニルエステルの調製が開示されており、このアリルスルホナートは相間移動作用物質として公知のものである。
【0013】
特許文献5には、酢酸ビニルと少量の不飽和スルホナートとの共重合体の、コーティング剤としての使用が、開示されている。
【特許文献1】米国特許第2834759号明細書
【特許文献2】特開昭51−003383号公報
【特許文献3】特開昭51−160334号公報
【特許文献4】特開平09−202812号公報
【特許文献5】英国特許出願公開第1350282号明細書
【非特許文献1】Rompp Chemie Lexikon, 9th edition, Vol. 5, p. 4203. Thieme Verlag, Stuttgart, 1992
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、水性媒体中で、適切な微水溶性の活性成分のための可溶化剤として働くことができる、製薬、化粧品、及び食品産業、ならびに農業用途のための新規な可溶化剤を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、この目的は、酢酸ビニル−スルホナート共重合体を、微水溶性物質のための可溶化剤として用いることによって達成された。
【0016】
酢酸ビニル−スルホナート共重合体は、本発明によれば、酢酸ビニルと、スルホナート基を含むモノエチレン系不飽和単量体と、適切であればさらなるコモノマーとの共重合体として定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
適しているスルホナート基含有単量体は、本発明によれば、モノエチレン性不飽和スルホン酸化合物である。適しているスルホン酸化合物は、例えば、スルホプロピルアクリラート又はスルホプロピルメタクリラートのようなアクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルスルホナートである。同様に、例えばアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)のようなアクリル酸もしくはメタクリル酸の線状又は分枝C〜C10−アルキルスルホンアミドも適している。また、2〜10個のC原子を有するω−アルケン−1−スルホン酸も適している。
【0018】
好ましい単量体は、ビニルスルホナート、アリルスルホナート、メタリルスルホナート(2−メチル−2−プロペンスルホナート)、スルホプロピルアクリラート及びスルホプロピルメタクリラートからなる群から選択される。
【0019】
スルホナート単量体は、通常、その塩の形態で用いられる。特に適している塩は、アルカリ金属の塩、例えばリチウム、カリウム又はナトリウムの塩であり、好ましいのはナトリウムの塩、及びカリウムの塩である。スルホナート単量体は、通常、重合には水溶液の形態で供給され、スルホナート単量体の濃度は、20〜70重量%、好ましくは20〜40重量%であり得る。
【0020】
別の実施形態では、スルホン酸含有単量体が、固体としても用いられ得、溶媒に溶解又は懸濁され得る。単量体は、重合の間に、ゆっくり溶解する。
【0021】
スルホナート基を有する共重合体は、a)酢酸ビニル80〜99.5重量%と、b)上記したようなスルホナート単量体0.5〜20重量%とを共重合させることによって得ることができる。a)85〜98重量%と、b)2〜15重量%とを用いるのが好ましく、特に好ましくはa)85〜95重量%と、b)5〜15重量%とを用いる。
【0022】
酢酸ビニル−スルホナート共重合体の一般的な調製方法は、それ自体、公知である。この調製は、水混和性有機溶媒を用いて、フリーラジカルによって開始される重合として行われる。適している溶媒の例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールのようなアルコール、さらにはエチレングリコール及びグリセロールのようなグリコールである。また、例えば、酢酸エチル又は酢酸ブチルのような酢酸エステルも溶媒として適している。好ましい溶媒は、n−プロパノールである。
【0023】
重合は、好ましくは、60〜100℃の温度で行われる。重合は、大気圧下、又は1.5MPaまでの過大気圧下で行われ得るが、大気圧が好ましい。
【0024】
重合は、フリーラジカル開始剤を用いることによって開始される。用いる重合開始剤又は重合開始剤混合物の量は、用いる単量体を基準にして、0.01〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%である。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、重合は、最初は、油可溶フリーラジカル開始剤(本発明によれば、有機溶媒に可溶であり、水に不溶であるフリーラジカル開始剤を意味する)を用い、そして後重合を始める時には水溶性フリーラジカル開始剤を用いるやり方で、行われる。後重合の段階は、フィードプロセスでは、単量体フィードが完全に加えられた後に始まる。バッチプロセスでは、後重合の段階は、全反応時間の三分の二が過ぎた後に始まると、一般に見なされている。
【0026】
適しているフリーラジカル開始剤は、過硫酸ナトリウムのような有機ペルオキシドおよび無機過酸化物、又は2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−アミニジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)のようなアゾ系重合開始剤である。
【0027】
ペルオキシド系重合開始剤の例は、ジベンゾイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、スクシニルペルオキシド、t−ブチルペルピバラート、t−ブチル2−エチルヘキサノアート、t−ブチルペルネオデカノアート、t−ブチルペルマレアート、ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、t−ブチルペルアセタート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ジクミルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化水素、さらにはこのような重合開始剤同士の混合物である。このような重合開始剤は、アスコルビン酸のようなレドックス成分との組み合わせでも用いられ得る。
【0028】
重合の際は、溶媒可溶(つまり難水溶)フリーラジカル開始剤を用いるのが特に好ましい。好ましい溶媒可溶フリーラジカル開始剤の例は、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジベンゾイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、スクシニルペルオキシド、t−ブチルペルピバラート、t−ブチル2−エチルヘキサノアート、t−ブチルペルネオデカノアート、t−ブチルペルマレアート、ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、t−ブチルペルアセタート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ジクミルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドである。
【0029】
適切であれば、フリーラジカル重合には、乳化剤が、適切であればさらなる保護コロイドが、適切であれば緩衝剤系が存在していてもよく、さらに適切であれば、塩基又は酸を用いたpH調整を続いて行ってもよい。
【0030】
適している分子量調節剤は、アルキルメルカプタンのようなスルフヒドリル化合物であり、例えばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸およびそのエステル、メルカプトエタノールのようなメルカプトアルカノールである。さらなる適している調節剤は、例えば、独国特許出願公開第19712247号明細書の4ページに記載されている。分子量調節剤の必要量は、重合する単量体の量を基準にして、0〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1.5重量%である。好ましくはメルカプトエタノールを用いる。
【0031】
本発明に従って用いられ得る共重合体は、適している二官能架橋剤成分(架橋剤)の存在下でも、及び/又は適している調節剤の存在下でも調製され得る。
【0032】
適している架橋剤は、架橋機能を有している単量体であり、例えば分子中に少なくとも2つのエチレン性不飽和、非共役の二重結合を有している化合物である。
【0033】
そのようなものの例は、少なくとも二価のアルコールのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アリルエーテル又はビニルエーテルである。さらに、基底(underlying)アルコール中のOH基は、完全又は部分的にエーテル化又はエステル化されていてもよいが、架橋剤は、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含むものである。
【0034】
基底アルコールの例は、1,2−メタン−ジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ブタ−2−エン−1,4−ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2,5−ジメチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル]プロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、3−チオペンタン−1,5−ジオール、さらには分子量がそれぞれのケースで200〜10000であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラヒドラフランのような二価アルコールである。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの単独重合体のほかにも、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドのブロック共重合体、又は組み込まれたエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基を含む共重合体を用いることもできる。3個以上のOH基を有する基底アルコールの例は、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエトキシシアヌル酸、ソルビタン、糖(例えばスクロース、グルコース、マンノース)である。多価アルコールは、当然、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応させた後の対応するエトキシラート又はプロポキシラートとしても用いられ得る。多価アルコールは、また、最初にエピクロロヒドリンと反応させることにより対応するグリシジルエーテルにも変換され得る。
【0035】
さらに適している架橋剤は、一価不飽和アルコールとエチレン性不飽和C〜Cカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸又はフマル酸とのビニルエステル又はエステルである。そのようなアルコールの例には、アリルアルコール、1−ブテン−3−オール、5−ヘキセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、9−デセン−1−オール、ジシクロペンテニルアルコール、10−ウンデセン−1−オール、シンナミルアルコール、シトロネロール、クロチルアルコール又はシス−g−オクタデセン−1−オールがある。一価不飽和アルコールは、しかしながら、多塩基カルボン酸、例えばマロン酸、酒石酸、トリメリット酸、フタル酸、テレフタル酸、クエン酸又はコハク酸によってもエステル化され得る。
【0036】
さらなる適している架橋剤は、上述した多価アルコールと、不飽和カルボン酸、例えばオレイン酸、クロトン酸、シンナム酸又は10−ウンデセン酸とのエステルである。
【0037】
さらには、適している架橋剤には、少なくとも2つの二重結合を有する直鎖もしくは分枝、線状もしくは環状、脂肪族もしくは芳香族の炭化水素(脂肪族炭化水素の場合は、共役していてはならない)、例えばジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、トリビニルシクロヘキサン、又は分子量が200〜20000のポリブタジエンがある。
【0038】
さらなる適している架橋剤は、少なくとも二官能のアミンのアクリルアミド、メタクリルアミド及びN−アリルアミンである。そのようなアミンの例は、1,2−ジアミノメタン、1,2−ジアミノメタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,12−ドデカンジアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミン又はイソホロンジアミンである。同様に、アリルアミンと、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、または先に述べた少なくとも二塩基のカルボン酸のような不飽和カルボン酸とから得られるアミドも適している。
【0039】
さらなる適している架橋剤には、トリアリルアミン及びトリアリルモノアルキルアンモニウム塩(例えばトリアリルメチルアンモニウムクロリド又は−アンモニウムメチルスルファート)もある。
【0040】
また、尿素誘導体、少なくとも二官能のアミド、シアヌラート、又はウレタンのN−ビニル化合物、例えば、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、又は酒石酸アミドのN−ビニル化合物、例えばN,N’−ジビニルエチレン尿素又はN,N’−ジビニルプロピレン尿素も適している。
【0041】
さらなる適している架橋剤は、ジビニルジオキサン、テトラアリルシラン又はテトラビニルシランである。
【0042】
当然、上記した化合物同士の混合物を用いることもできる。好ましく用いる架橋剤は、単量体混合物に可溶のものである。
【0043】
単量体もしくは単量体混合物、又は単量体のエマルジョンは、重合開始剤(これは、普通、溶液で存在する)と共にその重合温度で撹拌型反応器に導入され(バッチプロセス)、又は、適切であれば、重合反応器に連続的に又は複数の連続するステップ式で計量投入される(フィードプロセス)。フィードプロセスでは、反応器には、実際の重合が始まる前に、既に、乳化剤、保護コロイド、単量体、調節剤などの出発物質の、重合させようとする量の部分量(まれに全量)、又はフィード(一般には、単量体又はエマルジョンのフィード、及び重合開始剤のフィード)の部分量が、さらにはそのほかにも(反応器の撹拌を可能にするための)有機溶媒又は水が、仕込まれているのが普通である。
【0044】
このようにして得られる共重合体は、水溶性又は水分散性である。この共重合体は、4〜30、好ましくは5〜25、特に好ましくは5〜15の、1重量%水溶液として測定されるフィケンチャー(Fikentscher)K値を有し得る。
【0045】
用途:
本発明に従って用いることになるこのような共重合体は、原理的には、水への溶解度が低くしかない又はゼロの物質を、水性調製物中に用いることが意図されるか、又はその物質の効果を水性媒体中で出させることが意図されるようなあらゆる分野で用いられ得る。この共重合体は、したがって、微水溶性の物質、特に生物活性物質のための可溶化剤として用いられる。
【0046】
本発明によれば、用語「微水溶性」には、実質的に不溶性の物質も包含され、物質を20℃の水に溶解させるのに物質1gあたり少なくとも30〜100gの水が必要とされることを意味する。実質的に不溶性の物質のケースでは、物質1gあたり少なくとも10000gの水が必要とされる。
【0047】
本発明の文脈では、微水溶性生物活性物質は、ヒト及び動物のための活性医薬成分、化粧品又は農薬活性物質、あるいは栄養補助物質又は栄養活性物質を意味する。
【0048】
可溶化に適しているさらなる微溶性物質には、無機又は有機顔料のような着色剤もある。
【0049】
本発明は、特に、医薬及び化粧品調製物のための可溶化剤、さらには食品調製物のための可溶化剤として用いるための両親媒性化合物を提供するものである。この化合物は、製薬及び化粧品の分野における微溶性活性成分、微溶性栄養補助物質(例えばビタミン及びカロテノイド)のほかにも、作物保護剤中に使用するための微溶性活性物質ならびに微溶性獣医学活性成分も、可溶化する特性を有している。
【0050】
化粧品のための可溶化剤:
本発明によれば、この共重合体は、化粧品製剤中の可溶化剤として用いられ得る。この共重合体は、例えば、化粧品油のための可溶化剤として適している。この共重合体は、落花生油、ホホバ油、ココナツ油、アーモンド油、オリーブ油、ヤシ油、ひまし油、大豆油又はコムギ胚芽油のような油脂に対して、又はドワーフ・パイン油、ラベンダー油、ローズマリー油、スプルース・ニードル油、パイン・ニードル油、ユーカリ油、ペパーミント油、セージ油、ベルガモット油、テルペンチン油、メリッサ油、杜松油、レモン油、アニス油、カルダモン油、カンフル油などの精油に対して、あるいはこれらの油同士の混合物に対して優れた可溶化能力を有している。
【0051】
本発明の重合体は、さらに、水に微溶又は不溶である、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(Uvinul[登録商標]M40、BASF提供)、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(Uvinul[登録商標]D50)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(Uvinul[登録商標]D49)、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(Uvinul[登録商標]400)、2’−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート(Uvinul[登録商標]N539)、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン(Uvinul[登録商標]T150)、3−(4−メトキシベンジリデン)カンフル(Eusolex[登録商標]6300、Merck提供)、2−エチルヘキシルN,N−ジメチル−4−アミノゼンゾアート(Eusolex[登録商標]6007)、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチラート、4−イソプロピルジベンゾイルメタン(Eusolex[登録商標]8020)、2−エチルヘキシルp−メトキシシンナマート及び2−イソアミルp−メトキシシンナマートのようなUV吸収剤、ならびにこれらの混合物のための可溶化剤としても用いられ得る。
【0052】
本発明は、したがって、冒頭で述べた組成を有する本発明の共重合体の少なくとも1種を可溶化剤として含む化粧品調製物にも関する。好ましい調製物は、可溶化剤のほかに、1種又は複数種の微溶性化粧品活性物質、例えば上記した油又はUV吸収剤を含むものである。
【0053】
そのような製剤は、水、又は水/アルコールを基剤とする可溶化産物である。本発明の可溶化剤は、微溶性化粧品活性物質に対して0.2:1〜20:1、好ましくは1:1〜15:1、特に好ましくは2:1〜12:1の比で用いられる。
【0054】
本発明の可溶化剤の化粧品調製物中における含有量は、1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%であるが、活性物質によっても左右される。
【0055】
加えて、このような製剤には、さらなる助剤を加えることもでき、例えば、アルキルポリグリコシド、脂肪アルコールサルファート、脂肪アルコールエーテルサルファート、アルカンスルホナート、脂肪アルコールエトキシラート、脂肪アルコールホスファート、アルキルベタイン、ソルビタンエステル、POE−ソルビタンエステル、糖脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセロールエステル、脂肪酸部分グリセリド、脂肪酸カルボキシラート、脂肪アルコールスルホスクシナート、脂肪酸サルコシナート、脂肪酸イセチオナート、脂肪酸タウリナート、クエン酸エステル、シリコーン共重合体、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミド、脂肪酸アルカノールアミド、四級アンモニウム化合物、アルキルフェノールエトキシラート、脂肪アミノエトキシラートのような非イオン性、陽イオン性又は陰イオン性界面活性剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどのような共溶媒を加えることができる。
【0056】
加えられ得るさらなる成分には、天然又は合成の化合物、例えばラノリン誘導体、コレステロール誘導体、イソプロピルミリスタート、イソプロピルパルミタート、電解質、着色剤、防腐剤、酸(例えば乳酸、クエン酸)がある。
【0057】
このような製剤は、例えば、バスオイル、アフターシェーブ、フェーストニック、ヘアートニック、オーデコロン、オードトワレのような浴用剤や日焼け止め組成物中に用いられる。さらなる使用の分野は、口腔ケアの分野であり、例えばマウスウォッシュ、練り歯磨き粉、義歯粘着クリームなどの中に用いられる。
【0058】
この共重合体は工業用途にも適しており、例えばトナー中の微溶性色素剤調製物、磁性顔料調製物などにも適している。
【0059】
可溶化方法の説明:
本発明の共重合体は、化粧品製剤のための可溶化産物を調製するのに、100%純粋な物質として、又は、好ましくは、水溶液として用いられ得る。
【0060】
通常、可溶化剤は、水に溶解され、そしてそれぞれのケースで用いることになる微溶性化粧品活性物質と激しく混合されるものである。
【0061】
しかしながら、可溶化剤を、それぞれのケースで用いることになる微溶性化粧品活性物質と共に激しく混合し、その後、連続攪拌しながら脱塩水を加えることもあり得る。
【0062】
医薬用途のための可溶化剤:
同様に、本発明の共重合体は、水に微溶又は不溶である1種又は複数種の薬物、さらにはビタミン及び/又はカロテノイドを含み得るいずれのタイプの医薬調製物中にも可溶化剤として用いるのにも適している。この関連では、経口投与用の水溶液又は可溶化産物は特に重要である。つまり、本発明の共重合体は、錠剤、カプセル、粉末剤、溶液剤のような経口投与形態物中に用いるのに適している。このようなものの中では、本共重合体は、微溶性薬物のバイオアベイラビリティーを大きくし得る。特に活性成分と可溶化剤との固溶体が用いられる。
【0063】
非経口投与には可溶化剤のほかにエマルジョン、例えば脂肪質エマルジョンも用いることがあり得る。本発明の共重合体は、そのような目的のための微溶性薬物を加工するのにも適している。
【0064】
上記したタイプの医薬製剤は、本発明の共重合体を活性医薬成分と共に慣用の方法により加工することによって、そして公知及び新規の活性成分を用いることで、得ることができる。
【0065】
さらに、本発明の用途には、医薬賦形剤及び/又は希釈剤も含まれ得る。特に言及される賦形剤は、共溶媒、安定化剤、防腐剤である。
【0066】
用いられる活性医薬成分は、水に不溶又は難溶のものである。DAB 9(German Pharmacopeia[ドイツ薬局方])によれば、活性医薬成分の溶解度は以下のように分類される:難溶(30〜100部の溶媒に可溶);微溶(100〜1000部の溶媒に可溶);実質的に不溶(10000超部の溶媒に可溶)。この関連で、活性成分は、いずれの表示範囲からのものであってよい。
【0067】
本発明で言及され得る例は、ベンゾジアゼピン系薬、血圧降下薬、ビタミン、細胞増殖抑制薬−特にタキソール(Taxol)、麻酔薬、神経安定薬、抗うつ薬、抗生物質、抗かび薬、抗菌薬、化学療法薬、泌尿器病薬、血小板凝固抑制薬、サルファー薬、鎮痙薬、ホルモン、免疫グロブリン、血清、甲状腺治療薬、精神活性薬物、抗パーキンソン薬及び他の抗過反応薬、眼科用薬、神経障害治療薬、カルシウム代謝調節薬、筋肉緩和薬、麻酔薬ナルコセミッテル(Narkosemittel)、脂質降下薬、肝治療薬、冠状動脈治療薬、心臓病薬、免疫治療薬、生理活性ペプチド及びその阻害薬、睡眠薬、鎮静薬、婦人科疾患治療薬、痛風治療薬、繊維素溶解薬、酵素製品及び輸送蛋白、酵素阻害薬、催吐薬、血流刺激薬、利尿薬、診断支援薬、副腎皮質ステロイド薬、コリン作用薬、胆治療薬、抗喘息薬、気管支拡張薬、β−受容体遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、アテローム性動脈硬化症治療薬、抗炎症薬物、抗凝固薬、抗高血圧薬、抗低血糖症薬、抗低血圧薬、抗繊維素溶解薬、抗癲癇薬、抗嘔吐薬、解毒薬、抗糖尿病薬、抗不整脈薬、抗貧血薬、抗アレルギー薬、駆虫薬、鎮痛薬、強壮薬、アルドステロン拮抗薬、やせ薬である。
【0068】
1つのあり得る製造の変法は、可溶化剤を、適切であれば緩く加熱しながら水相に溶解させ、そして続いて活性成分をこの可溶化剤水溶液に溶解させる方法である。同様に、可溶化剤と活性成分とを同時に水相に溶解させることもあり得る。
【0069】
また、本発明の共重合体を可溶化剤として用い、例えば、活性成分を可溶化剤に、適切であれば加熱しながら分散させ、そして攪拌しながら水と混合することもあり得る。
【0070】
さらにあり得るのは、可溶化剤を、活性成分と共に溶融状態で加工することである。この方法では、特に、固溶体を得ることがあり得る。また、この目的のためには、なかでも、溶融押し出し法が、適している。固溶体を製造するためには、適している有機溶媒中可溶化剤及び活性成分の溶液を調製し、続いてその溶媒を通常の方法により除去することもさらにあり得る。また、固溶体を製造するためには、射出成型法及び溶融粒化法も適している。
【0071】
本発明は、したがって、全体としては、少なくとも1種の本発明の共重合体を可溶化剤として含む医薬調製物にも関する。好ましい調製物は、可溶化剤のほかに、水に微溶又は不溶である(例えば、上記した表示の部分から選択される)活性医薬成分を含む調製物である。
【0072】
上記したものの中でも特に好ましい医薬調製物は、経口的に投与することができる製剤である。
【0073】
医薬調製物中における本発明の可溶化剤の含有量は、1〜75重量%、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは5〜50重量%であるが、活性成分によっても左右される。
【0074】
さらなる特に好ましい実施形態は、活性成分と可溶化剤とが固溶体として存在している医薬調製物に関する。この場合、可溶化剤対活性成分の比は、好ましくは、1:1〜4:1(重量)である。
【0075】
食品調製物のための可溶化剤:
化粧品及び製薬での使用のほかにも、本発明の共重合体は、例えば、脂溶性のビタミン又はカロテノイドのような、水に微溶又は不溶である栄養物質、補助剤又は添加物のための、食品分野における可溶化剤としても適している。言及され得る例は、カロテノイドで着色された飲料である。
【0076】
作物保護用調製物のための可溶化剤:
本発明の共重合体の農薬中における可溶化剤としての使用には、なかでも、殺害虫剤、除草剤、殺菌剤又は殺虫剤を含む製剤が含まれ得、特に、噴霧又は散水するための製剤として用いられる作物保護作用物質調製物が挙げられる。
【0077】
本発明のスルホナート共重合体は、特に優れた可溶化効果を特長としている。
【実施例】
【0078】
本発明の共重合体の調製及び使用を以下の実施例でより詳細に説明する。
【0079】
(実施例1)
VAc/スルホナート 90:10
初期仕込み:メタノール120g、酢酸ビニル360g
フィード1:ナトリウムビニルスルホナート156.9g(水中25重量%溶液)
フィード2:t−ブチルペルネオデカノアート1.2g、メタノール50g
【0080】
調製は、窒素雰囲気下にある2リットルの攪拌式容器中で行った。初期仕込み物を、攪拌機速度100rpmで65℃まで加熱した。この後、フィード1を2時間かけて加え、フィード2を3時間かけて加えた。この後、重合を2時間続けた。この後、有機溶媒を水蒸気蒸留により除去すると、固形分含量が25.4重量%の曇った水溶液が得られた。この重合体のK値は25.5であった(水中1重量%溶液)。
【0081】
(実施例2)
VAc/スルホナート 90:10
初期仕込み:メタノール153.6g、酢酸ビニル360g、ナトリウムアリルスルホナート160g(水中25重量%溶液)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)1.37g
【0082】
調製は、窒素雰囲気下にある2リットルの攪拌式容器中で行った。初期仕込み物を、攪拌機速度100rpmで65℃まで加熱した。この後、重合を65℃で8時間行い、続いてその有機溶媒を水蒸気蒸留により除去し、その水溶液を、固形分含量32重量%に調整した。この重合体のK値は5.9であった(水中1重量%溶液)。
【0083】
(実施例3)
VAc/スルホナート80:20
初期仕込み:メタノール150g、酢酸ビニル160g、ナトリウムアリルスルホナート160g(水中25重量%溶液)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.69g
【0084】
調製は、実施例2と同じようにして行った。重合体は、水蒸気蒸留の後、凍結乾燥により単離した。K値は7.6であった(水中1重量%溶液)。
【0085】
(実施例4)
VAc/スルホナート 90:10
初期仕込み:メタノール300g、酢酸ビニル180g
フィード1:メタノール250g、カリウムスルホプロピルメタクリラート20g(水中25重量%溶液)
フィード2:t−ブチルペルネオデカノアート1.5g、メタノール50g
フィード3:t−ブチルペルネオデカノアート1.5g
【0086】
調製は、窒素雰囲気下にある2リットルの攪拌式容器中で行った。初期仕込み物を、攪拌機速度100rpmで内部温度64℃まで加熱した。この後、フィード1を4時間かけて加え、フィード2を5時間かけて加えた。続いて、フィード3を加えて、重合を64℃で2時間続けた。この後、有機溶媒を水蒸気蒸留により除去すると、固形分含量が27.8重量%の曇った白色の水溶液が得られた。
【0087】
(実施例5)
初期仕込み:1−プロパノール120g
フィード1:ナトリウムアリルスルホナート114.3g(水中35重量%)、硫酸3.40g
フィード2:2,2’−アゾビス(メチルイソブチラート)1.20g、1−プロパノール50g
フィード3:酢酸ビニル360g
フィード4:2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド4.00g、水50g
【0088】
調製は、窒素雰囲気下にある2リットルの攪拌式容器中で行った。初期仕込み物を、攪拌機速度100rpmで内部温度72℃まで加熱した。この後、フィード1及びフィード3を3時間かけて加え、フィード2を4時間かけて加えた。続いて、重合を72℃で1時間続けた。この後、フィード4を加え、重合を72℃でさらに2時間続けた。続いて、有機溶媒を水蒸気蒸留により除去すると、固形分含量が26重量%の曇った白色の水溶液が得られた。この重合体のK値は9.4であった(水中1重量%溶液)。
【0089】
(実施例6)
実施例6は、用いたナトリウムアリルスルホナート溶液を硫酸で中和しなかった以外は実施例5と同じようにして調製した。得られた水溶液は、22.1%の固形分含量を有し、重合体のK値は9.1であった(水中1重量%溶液)。
【0090】
可溶化産物の調製
共重合体2gをガラス製ビーカー中に秤量投入した。この後、薬物を、以下のようにして、(すなわち、秤量投入した物質量が媒体中に溶解した場合は、その量を、沈殿物が形成されるまで上げていった)、各混合物中に秤量投入して、過飽和溶液を得た。
【0091】
秤量投入した活性成分の量:17−β−エストラジオール 0.2g;ピロキシカム 0.2g;クロトリマゾール 0.2g;カルバマゼピン 0.3g;ケトコナゾール 0.25g;グリセオフルビン 0.25g;シンナリジン 0.25g。
【0092】
この後、pH7.0のリン酸緩衝液を、可溶化剤とリン酸緩衝液が1:10(重量)の比となるまで加えた。マグネチックスタラーを用いてこの混合物を20℃で72時間攪拌した。少なくとも1時間の静置期間を、その後に設けた。混合物を濾過し、次いで測光法により測定を行い、活性成分の含有量を決定した。
【表A】

【0093】
固溶体の調製:一般的手順
重合体−活性成分混合物を、活性成分及び重合体を、1:1(重量)の比で、適しているガラス容器中に秤量投入し(それぞれ2g)、次いでジメチルホルムアミド16mlを溶媒として加えることにより、生成させた。この混合物を、20℃で24時間マグネチックスタラーで攪拌した。この後、この溶液を、120μmナイフを用いてガラスプレートに塗布した。プレートを、室温にあるフード下で0.5時間乾燥させ、次いで50℃及び10ミリバールにある乾燥オーブン中でさらに0.5時間乾燥させて、溶媒を量的に除去した。続いて、このサンプルを、目視により検査した。7日後、膜が透明であり、活性成分が結晶化しなかった場合は、活性成分は、重合体中に安定に溶解したと判定した(表1における表示:50%溶解)。50重量%の活性成分含有量で固溶体が得られなかった場合は、実験を、33重量%の活性成分負荷で繰り返した(表における表示:33%溶解)。本発明の共重合体は、全体としては、より大きな固溶体形成能力を示した。
【0094】
表1:固溶体の安定性
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)酢酸ビニル80〜99.5重量%と、
b)スルホナート基を有するモノオレフィン系不飽和単量体0.5〜20重量%と
をフリーラジカル開始共重合させることによって取得可能な共重合体の、微水溶性物質のための可溶化剤としての使用。
【請求項2】
単量体b)として、ω−アルケン−1−スルホン酸、又はアクリル酸もしくはメタクリル酸のスルホアルキルエステルが用いられる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
共重合体が、
a)酢酸ビニル85〜98重量%、
b)スルホナート基を有する少なくとも1種のモノオレフィン系不飽和単量体2〜15重量%、
から取得可能なものである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
単量体b)が、その塩の形態で用いられる、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
共重合体が、単量体b)として、アクリル酸もしくはメタクリル酸のスルホプロピルエステルを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
共重合体が、単量体b)として、ビニルスルホナートを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
共重合体が、単量体b)として、アリルスルホナートを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
共重合体が、単量体c)として、2−メチルプロペンスルホナートを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
共重合体が、4〜25のK値を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
微水溶性物質が、生物活性物質である、請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
疾患を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
化粧品調製物のための、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
農薬調製物のための、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
栄養補助物質又は栄養組成物のための、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
食品のための、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
着色剤の調製物のための、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
a)酢酸ビニル85〜98重量%、
b)スルホナート基を有する少なくとも1種のモノオレフィン系不飽和単量体2〜15重量%、
をフリーラジカル開始共重合させることによって取得可能な共重合体を可溶化剤として含んでいる、微水溶性物質の調製物。
【請求項18】
微水溶性物質が、共重合体中に、固溶体の形態で存在している、請求項17に記載の調製物。
【請求項19】
微水溶性物質として、生物活性物質を含んでいる、請求項17又は18に記載の調製物。
【請求項20】
微水溶性生物活性物質として、活性医薬成分を含んでいる、請求項17〜19のいずれかに記載の調製物。
【請求項21】
経口的に投与され得る投与剤形の形態にある、請求項20に記載の調製物。
【請求項22】
微水溶性生物活性物質として、化粧品活性成分を含んでいる、請求項17〜20のいずれかに記載の調製物。
【請求項23】
微水溶性生物活性物質として、農薬活性成分を含んでいる、請求項17〜19のいずれかに記載の調製物。
【請求項24】
微水溶性生物活性物質として、栄養補助物質又は栄養活性成分を含んでいる、請求項17〜19のいずれかに記載の調製物。
【請求項25】
微水溶性物質として、着色剤を含んでいる、請求項17又は18に記載の調製物。
【請求項26】
フリーラジカル開始共重合による、酢酸ビニルと、スルホナート基を有する単量体との共重合体の調製方法であって、重合が、最初は、微水溶性のフリーラジカル開始剤の存在下で行われ、その後、後重合が、水溶性フリーラジカル開始剤の存在下で行われる、前記方法。
【請求項27】
a)酢酸ビニル85〜98重量%
b)少なくとも1種の、アクリル酸もしくはメタクリル酸のスルホアルキルエステル2〜15重量%
をフリーラジカル開始共重合させることによって取得可能な共重合体。
【請求項28】
単量体b)として、アクリル酸もしくはメタクリル酸のスルホプロピルエステルを含んでいる、請求項27に記載の共重合体。
【請求項29】
単量体b)が、そのカリウム塩の形態で用いられる、請求項27又は28に記載の共重合体。

【公表番号】特表2009−540032(P2009−540032A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513652(P2009−513652)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055309
【国際公開番号】WO2007/141182
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】