説明

酵素IKK−2阻害剤としてのチオフェンカルボキサミド

本発明は、式(I):
【化1】


[式中、Ar、R、R、R、R、R、m、およびnは、本明細書に定義した通りである]のチオフェン カルボキサミド、その製造方法、およびその製造に用いられた中間体、それらを含む医薬組成物、および治療におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、チオフェンカルボキサミド誘導体、その製造に用いられる方法および中間体、それらを含む医薬組成物、および治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
NF−κB(核内因子 κB)ファミリーは、転写因子のRelファミリーのホモダイマーおよびヘテロダイマーで構成される。これらの転写因子の鍵となる役割は、サイトカイン、ケモカイン、インターフェロン、MHCタンパク質、成長因子、および細胞接着分子を含むプロ−炎症性遺伝子の広範囲の発現を誘発し、調整することである(Verma et. al., Genes Dev. 9:2723-35, 1995; Siebenlist et. al., Ann. Rev. Cell. Biol. 10:405-455, 1994; Bauerle and Henkel, Ann. Rev. Immunol., 12:141-179, 1994; Barnes and Karin, New Engl. J. Med., 336:1066-1071, 1997 のレビューを参照のこと)。
【0003】
見出されている最も一般的なRelファミリー ダイマー複合体は、p50 NFkB と p65 RelA (Baeuerle and Baltimore, Cell 53:211-217, 1988; Baeuerle and Baltimore, Genes Dev. 3:1689-1698, 1989)を含む。休止状態で、NF−κB ダイマーは、細胞質中で、阻害タンパク質のIκB ファミリーの幾つかによって保持されている (Beg et. al., Genes Dev., 7:2064-2070, 1993; Gilmore and Morin, Trends Genet. 9:427-433, 1993; Haskil et. al., Cell 65:1281-1289, 1991)。しかしながら、サイトカインまたは他の外部刺激による細胞活性化において、IκB タンパク質は、2つの重要なセリン残基がリン酸化され(Traenckner et. al., EMBO J., 14:2876, 1995)、次にユビキチン化およびプロテオソーム介在分解を標的とする(Chen, Z.J. et. al., Genes and Dev. 9:1586-1597, 1995; Scherer, D.C. et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:11259-11263, 1996; Alkalay, I. et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:10599-10603, 1995)。放出されたNF−κBは、次に、核に移動し、遺伝子の転写を活性化する (Beg et.al., Genes Dev., 6:1899-1913, 1992)。
【0004】
広い範囲の外部刺激は、NF−κBを活性化し得ることが示されている (Baeuerle, P.A., and Baichwal, V.R., Adv. Immunol., 65:111-136, 1997)。大部分のNF−κBアクチベーターは、IκBのリン酸化を引き起こすが、この鍵となるイベントを引き起こす多数の経路は、明らかである。受容体介在NF−κB活性化は、受容体と、アダプター/シグナル伝達物質分子(例えば TRADD、RIP、TRAF、MyD88)、および関連のキナーゼ(IRAK、NIK)の間の特定の相互作用に依存する(Song et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:9792-9796, 1997; Natoli et. al., JBC 272:26079-26082, 1997)。環境のストレス、例えばUV光およびγ放射線は、別のほとんど明らかとなっていないメカニズムを介して、NF−κBを刺激する。
【0005】
近年の公表では、NF−κB 活性化を一部解明している。この作用は、特定のIκB/NF−κB相互作用を制御する、鍵となる3つの酵素:NF−κB誘発キナーゼ(NIK) (Boldin et. al., Cell 85:803-815, 1996)、IκBキナーゼ−1(IKK−1) (Didonato et. al., Nature 388:548, 1997; Regnier at. al., Cell 90:373 1997)、およびIκBキナーゼ−2(IKK−2) (Woronicz et. al., Science 278:866, 1997; Zandi et. al., Cell 91:243, 1997) が同定されている。
【0006】
NIKは、腫瘍壊死因子およびインターロイキン−1によって引き起こされる、NF−κBシグナル伝達カスケードの一般的なメディエーターを表し、IκBリン酸化の強力な誘発剤である。しかし、NIKは、IκBを直接リン酸化することはできない。
【0007】
IKK−1およびIKK−2は、NIKのすぐ下流にあると考えられており、3つのIκBサブタイプを全て直接リン酸化し得る。IKK−1およびIKK−2は、アミノ酸レベルで52%同一であり、同様の基質選択性を有するが、酵素活性が異なる。IKK−2は、IKK−1より数倍強力である。突然変異誘発試験と組み合わせた発現データは、IKK−1およびIKK−2が、C−末端ジッパーモチーフを介して、ホモダイマーおよびヘテロダイマーを形成し得、ヘテロダイマーの形態が望ましいことを示唆している(Mercurio et. al., Mol. Cell Biol., 19:1526, 1999; Zandi et. al., Science; 281:1360, 1998; Lee et. al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:9319, 1998)。
【0008】
NIK、IKK−1、およびIKK−2は、全てセリン/スレオニンキナーゼである。近年のデータは、チロシンキナーゼがまた、NF−κBの活性化を制御するのに役割を果たすことを示している。幾つかのグループは、TNF−α誘発NF−κB活性化が、タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)によって制御され得ることが示されている(Amer et. al., JBC 273:29417-29423, 1998; Hu et. al., JBC 273:33561-33565, 1998; Kaekawa et. al., Biochem. J. 337:179-184, 1999; Singh et. al., JBC 271 31049-31054, 1996)。これらの酵素の作用メカニズムは、IκBのリン酸化状態を制御する際に見られる。例えば,PTP1Bおよび同定されていないチロシンキナーゼは、IκB−α上のリジン残基(K42) [これは、次のIKKによるリン酸化における標的としての、隣接のセリン残基の近づきやすさに重大な影響を有する]のリン酸化を直接制御することが分かっている。
【0009】
幾つかのグループは、IKK−1およびIKK−2は、IKAP(Cohen et. al., Nature 395:292-296, 1998; Rothwarf et. al., Nature 395:297-300, 1998)、MEKK−1、推定MAPキナーゼホスファターゼ(Lee et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:9319-9324, 1998)、およびNIK、およびIκBを含む さらなるタンパク質と組み合わせた、‘シグナロソーム’構造の一部を形成することが示されている。データは、IKK−1およびIKK−2が、共にNIKに関連するが、それらは別に活性化され、従って、NF−κBを活性化するシグナルのスペクトルにおける重要な調整点となることを示唆している。重大なことに、MEKK−1(推定シグナロソームの構成要素の1つであり、UV光、LPS誘発性シグナル伝達分子および小GTPアーゼのターゲット)は、IKK−2を活性化するがIKK−1を活性化しないことが見出されている。同様に、IKK−1のNIKリン酸化は、IKK−1活性の劇的な増大を起こすが、IKK−2に対しては小さな影響しか与えない (Mercurio, F., and Manning, A.M., Current Opinion in Cell Biology, 11:226-232, 1999 のレビューを参照のこと)。
【0010】
NF−κB活性化の阻害は、炎症性疾患の処置において、広い有用性があるであろう。 NF−κBシグナル伝達物質が癌および転移の進行に重要な役割を果たすという累積した証拠がある。c−REl、NF−κB2、またはIκBαの異常発現は、幾つかの腫瘍のタイプおよび腫瘍細胞株で記載されており、IKK−2を介した構成型NF−κBシグナル伝達が、広範囲の腫瘍細胞株において起こることを示すデータがある。この活性は、成長因子シグナル伝達物質の様々な上流の欠損、例えば自己分泌ループの成立、または発癌遺伝子生成物、例えば Ras、AKT、Her2 (IKK複合体の活性化に関連している)の存在と関連している。構成型NF−κB活性は、細胞死の経路と、細胞の成長を促進するサイクリン D1の転写上方制御の抑制を引き起こす、抗−アポトーシス遺伝子(例えば A1/Bfi-1、IEX-1、XIAP)の活性化によって、発癌に寄与すると考えられている。別のデータは、この経路はまた、細胞接着および細胞表面のプロテアーゼの制御に関連している可能性を示している。これは、転移が起こる際に、NF−κB活性の可能性あるさらなる役割を示唆している。発癌におけるNF−κB活性の関与を確かめる証拠は、IκBα(スーパー−リプレッサー IκBα)の修飾された形態の発現において、in vitro および in vivo 腫瘍細胞成長の阻害を含む。
【0011】
多くの腫瘍タイプにおいて観測される構成型NF−κBシグナル伝達物質に加えて、NF−κBはまた、化学療法の特定のタイプへの応答で活性化されると報告されている。化学療法処置と平行した IκBαのスーパー−リプレッサーの形態の発現によるNF−κB活性の阻害は、異種移植片モデルにおける化学療法の抗腫瘍効果を強めることが示されている。NF−κB活性は、従って、誘導性化学療法抵抗性にも関係している。
【0012】
特許明細書 WO 01/58890 は、IKK−2阻害剤として有用な特定のチオフェン カルボキサミド誘導体を開示している。我々は、有益な薬物動態学的性質を有する望ましい薬理学的活性プロファイルを有する、チオフェン カルボキサミド誘導体のさらなるグループを開示している。
【発明の開示】
【0013】
本発明の開示
本発明によって、式(I):
【化1】

[式中、
は、HまたはCHを表し;
は、H、ハロゲン、シアノ、C1−2アルキル、トリフルオロメチル、またはC1−2アルコキシを表し;
nは、整数1、2、または3を表し;
mは、整数0、1、2、または3を表し;
は、H、C2−4アルケニル、またはC1−4アルキルを表し、
該アルキル基は、所望により、CN、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル−SO−、または1個以上のフルオロ原子によってさらに置換されているか、または
は、さらに、芳香環:Ar、またはリンカー:−CR−(CR)−の何れかに結合することによって、4員環から7員環のアザ環式環を形成するC1−4アルキレンを表し;
とRは、独立して、HまたはC1−2アルキルを表すか、または
CRは、一緒になって、所望によりOまたはSから選択される1個のヘテロ原子を組み込んだ3員環から6員環の炭素環式環を表し、そして
それぞれのR、それぞれのR、およびそれぞれのCRは、独立して選択され;
Arは、フェニル環、または O、NおよびSから独立して選択される1から3個のヘテロ原子を含む、5員環もしくは6員環のヘテロ芳香環を表し、
該フェニルもしくはヘテロ芳香環は、所望により、ハロゲン、シアノ、C1−2アルキル、トリフルオロメチル、C1−2アルコキシ、NR、−CONR、−COOR、−NRCOR、−S(O)、−SONRおよび−NRSOから独立して選択される、1個以上の置換基によって置換されており;
とRは、独立して、H、C2−4アルケニルまたはC1−4アルキルを表し、
該アルキルもしくはアルケニルは、所望により、1個以上のハロゲン原子によってさらに置換されており;
pは、整数0、1または2を表す]の化合物;およびその薬学的に許容される塩を提供する。
【0014】
式(I)の特定の化合物は、立体異性体の形態で存在し得る。本発明は、式(I)の化合物の全ての幾何および光学異性体、およびラセミ体を含むその混合物を含むと解される。互変異性体およびその混合物はまた、本発明の態様を形成する。
【0015】
1つの態様において、式(I)におけるnは整数1を表す。
別の態様において、式(I)におけるRはHを表す。
別の態様において、式(I)におけるRはHを表す。
別の態様において、式(I)におけるmは整数1を表す。
【0016】
別の態様において、式(I)におけるそれぞれのRおよびそれぞれのRはHを表す。
さらに別の態様において、CR−(CR)−は、Rと結合して、RおよびRが結合している窒素原子と一体となって、5員環のアザ環式環を形成している。
【0017】
別の態様において、Rは、水素またはC1−4アルキルであるか、またはRは、所望により、芳香環:Ar、またはリンカー:CR−(CR)−の何れかとさらに結合することによって、4員環から7員環のアザ環式環を形成するC1−4アルキレンを表す。
【0018】
さらに別の態様において、Rは、水素またはメチルであるか、またはRは、所望により、芳香環:Ar、またはリンカー:CR−(CR)−の何れかとさらに結合することによって、5員環のアザ環式環を形成するC1−2アルキレンを表す。
【0019】
さらに別の態様において、Rは、水素またはメチルであるか、またはRは、芳香環:Arにさらに結合することによって、それが結合している窒素、−(CR)−およびArと共にピロリジン環を形成するメチレンを表し、−(CR)−がメチレンであるか、またはRがエチレンを表す場合、所望により、CR−(CR)−{ここで、nは1である}中の−CR−にさらに結合することによって、ピロリジン環を形成する。
【0020】
1つの態様において、RとRは、独立して、水素またはC1−4アルキルを表す。
別の態様において、RとRは、独立して、水素またはメチルまたはエチルを表す。
1つの態様において、Arは、非置換であるか、またはハロゲンによって置換されている。
【0021】
1つの態様において、Arは、所望により、1、2もしくは3個の置換基によって置換されている。
別の態様において、Arは、所望により、1もしくは2個の置換基によって置換されている。
【0022】
さらに別の態様において、Arは、所望により1個の置換基によって置換されている。
別の態様において、Arは、置換されていない。
別の態様において、式(I)におけるArは所望により置換されているフェニルを表す。
【0023】
別の態様において、式(I)におけるArは所望により置換されているピリジルを表す。
1つの態様において、式(I)におけるカルボキサミドは、チオフェン環の3位に結合している。
別の態様において、式(I)におけるカルボキサミドは、チオフェン環の2位に結合している。
【0024】
1つの態様において、本発明は、式(I):
[式中、nとmがそれぞれ整数1を表し;
とRがそれぞれHを表し;
それぞれのRとそれぞれのRがHを表し;
Arが所望により置換されているフェニルもしくはピリジルを表し;そして
、R、R、およびpが上記で定義した通りである]の化合物に関する。
【0025】
1つの態様において、本発明は、式(I):
[式中、nとmが、それぞれ整数1を表し;
とRが、それぞれHを表し;
それぞれのRとそれぞれのRがHを表し;
Arが所望により置換されているフェニルもしくはピリジルを表し;
が水素またはメチルであるか、またはRが、さらに、芳香環:Ar、またはリンカー:CR−(CR)−の何れかに結合することによって、5員環のアザ環式環を形成するC1−2アルキレンを表し;
とRが、独立して、水素またはC1−4アルキルを表し;そして
pが上記の通りである]の化合物に関する。
【0026】
1つの態様において、本発明は、式(I):
[式中、nとmが、それぞれ整数1を表し;
とRが、それぞれHを表し;
それぞれのRとそれぞれのRがHを表し;
Arが所望により置換されているフェニルもしくはピリジルを表し;
が水素またはメチルであるか、またはRが、さらに、芳香環:Ar、またはリンカー:−CR−(CR)−の何れかに結合することによって、5員環のアザ環式環を形成するC1−2アルキレンを表し、そしてそれがフェニルである場合、Arに1もしくは2個の所望の置換基があり、それらはハロゲノから独立して選択され;そして
Arがピリジルである場合、それは置換されていない]の化合物に関する。
【0027】
1つの態様において、本発明は、式(I):
[式中、nとmが、それぞれ整数1を表し;
とRが、それぞれHを表し;
それぞれのRとそれぞれのRがHを表し;
Arが所望により置換されているフェニルもしくはピリジルを表し;
が水素もしくはメチルであるか、またはRが、さらに、芳香環:Ar、またはリンカー:−CR−(CR)−の何れかによって結合している、5員環のアザ環式環を形成するC1−2アルキレンを表し;そして
、R、およびpが上記で定義した通りである]の化合物に関する。
【0028】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、それらが酵素IKK−2の阻害剤であるという利点を有する。
本発明は、さらに、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、もしくはラセミ体の製造方法を提供する。
【0029】
本発明によって、医薬として使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もまた提供する。
本発明の別の態様は、IKK−2活性の阻害が有益である疾病状態の処置もしくは予防のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
本発明のより特定的な態様は、炎症性疾患の処置もしくは予防のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0030】
本発明によって、IKK−2活性の阻害が有益である疾病状態を処置する、もしくはそのリスクを軽減する方法であって、該疾病状態に罹患しているもしくはそのリスクがあるヒトに、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法もまた提供する。
【0031】
より特定的には、炎症性疾患に罹患しているもしくはそのリスクがあるヒトにおいて、炎症性疾患を処置するもしくは軽減する方法であって、治療有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、該ヒトに投与することを含む方法もまた提供する。
【0032】
本発明の特定の化合物は、以下に例示したものを含む:
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−[{N−(2−クロロベンジル)−N−メチル}アミノ]エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−[{N−(4−クロロベンジル)−N−メチル}アミノ]エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(ベンジルアミノ)エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−[N−ベンジル−N−メチルアミノ]エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{[1−(4−フルオロベンジル)ピロリジン−3−イル]オキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{[1−ベンジルピロリジン−3−イル]オキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−[(4−フルオロベンジル)アミノ]エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(ピリジン−3−イルメチルアミノ)エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(ピリジン−2−イルメチルアミノ)エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(ピリジン−4−イルメチルアミノ)エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−[N−(ピリジン−3−イルメチル)−N−メチルアミノ]エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)エトキシ}フェニル]チオフェン−2−カルボキサミド;
およびその薬学的に許容される塩。
【0033】
別記しない限り、本明細書で記載の“C1−4アルキル”という用語は、1から4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルを表す。該基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、およびt−ブチルを含む。“C1−2アルキル”という用語は、同様に解釈されるべきである。
【0034】
別記しない限り、本明細書で記載の“C2−4アルケニル”という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を組み込んだ、2から4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキルを表す。該基の例は、エテニルおよびプロペニルを含む。
【0035】
別記しない限り、本明細書で記載の“C1−4アルキレン”という用語は、1から4個の炭素原子を有し、かつフリー原子価2を有する、直鎖もしくは分枝鎖のアルキルを表す。該基の例は、メチレンおよびエチレンを含む。
【0036】
別記しない限り、本明細書で記載の“C1−4アルコキシ”という用語は、1から4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシを表す。該基の例は、メトキシ、エトキシ、およびイソプロポキシを含む。“C1−2アルコキシ”という用語は、同様に解釈されるべきである。
別記しない限り、本明細書で記載の“ハロゲン”という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを表す。
【0037】
4員環から7員環のアザ環式環の例は、ピロリジンおよびピペリジンを含む。
O、N、およびSから独立して選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員環もしくは6員環のヘテロ芳香環の例は、ピリジル、ピリミジン、フラン、チオフェン、イソオキサゾール、トリアゾール、およびピラゾールを含む。
【0038】
所望によりOおよびSから選択される1個のヘテロ原子を組み込んだ3員環から6員環の炭素環式環の例は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、およびピペリジニルを含む。
【0039】
本発明によって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、またはラセミ体を製造する方法であって、
(a) 式(II):
【化2】

[式中、R、R、R、R、R、Ar、m、およびnは、式(I)で定義した通りである]の化合物と、イソシアネートとの反応;または
(b) 式(III):
【化3】

[式中、R、R、R、R、およびnは、式(I)で定義した通りであり;そして
LGは脱離基を表す]の化合物と、アミン:
NH(CR)−Ar
[式中、R、R、R、Ar、およびmは、式(I)で定義した通りである]の化合物;または
(c) 式(IV):
【化4】

[式中、R、R、R、R、m、n、およびArは、式(I)で定義した通りである]の化合物と、式(V):
【化5】

[式中、Rは、式(I)で定義した通りであり;そして
LGは脱離基を表す]の化合物との反応;または
(d) 式(VI):
【化6】

[式中、R、R、R、R、m、n、およびArは、式(I)で定義した通りであり;そして
LGは脱離基を表す]の化合物と、式(VII):
【化7】

[式中、Rは式(I)で定義した通りである]の化合物との反応;
そして必要ならば、
得られた式(I)の化合物または別のその塩を、その薬学的に許容される塩に変換すること;または
得られた式(I)の化合物をさらなる式(I)の化合物に変換すること;
そして望ましいならば、
得られた式(I)の化合物をその光学異性体に変換すること;
を含む方法もまた提供する。
【0040】
方法(a)において、適切なイソシアネート試薬は、トリメチルシリルイソシアネート、トリクロロアセチルイソシアネート、およびナトリウム イソシアネートを含む。トリメチルシリルイソシアネートとの反応は、溶媒(例えばジクロロメタン/ジメチルホルムアミド)中で、適切な高温で、例えば反応混合物の還流温度で行い得る。ナトリウム イソシアネートとの反応は、適切な溶媒系(例えば水性酢酸)中で、環境温度で行い得る。トリクロロアセチルイソシアネート反応は、適切な溶媒系(例えばアセトニトリル)中で、環境温度で行い、次にアンモニアで混合物を処理して、一般式(I)の化合物を得る。望ましい態様において、該イソシアネートはトリクロロアセチルイソシアネートである。
【0041】
方法(b)において、式(III)の化合物は、適切な反応条件下で、アミンと反応させる。これは、塩基の存在下でも非存在下でも行い得る。該塩基は、無機塩基または有機塩基の何れかであり得る。適切な脱離基は、ヨード、ブロモ、クロロ、スルホネート、およびトリフレートを含む。
【0042】
方法(c)および(d)において、式(IV)および(V)の化合物、または式(VI)および(VII)の化合物は、遷移金属(例えばパラジウムもしくはニッケル)の錯体によって提供される触媒下で一緒に反応させる。式(IV)および(VII)の化合物において、適切な条件下で、“金属”は、金属または半金属、例えば、マグネシウム、亜鉛、銅、錫、シリコン、ジルコニウム、アルミニウムまたはホウ素であり得る。適切な脱離基は、ヨード、ブロモ、クロロ、トリフレート、またはホスホネートを含む。
【0043】
本発明の方法において、出発試薬もしくは中間体化合物における特定の官能基、例えばヒドロキシル基またはアミノ基は、保護基によって保護される必要があることが、当業者に認められるであろう。従って、式(I)の化合物の製造は、適切な段階で、1個以上の保護基の付加および除去を含んでもよい。
【0044】
官能基の保護および脱保護は、“Protective Groups in Organic Chemistry”, edited by J. W. F. McOmie, Plenum Press (1973), および “Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd edition, T. W. Greene & P. G. M. Wuts, Wiley−Interscience (1999) に記載されている。
【0045】
本発明は、塩の形態の、特に酸付加塩の形態の式(I)の化合物を含む。適切な塩は、有機酸と形成される塩および無機酸と形成される塩の両方を含む。該酸付加塩は、通常薬学的に許容されるが、薬学的に許容されない酸の塩は、対象の化合物の製造および精製に有用であり得る。従って、望ましい塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸から形成される塩を含む。
【0046】
式(I)の化合物の塩は、遊離塩基、またはその塩、エナンチオマーもしくはラセミ体を、1当量以上の適切な酸と反応させることによって形成され得る。該反応は、塩が不溶な溶媒もしくは媒体中で、または塩が可溶な溶媒中で、例えば水、ジオキサン、エタノール、テトラヒドロフラン、またはジエチルエーテル中で、または溶媒の混合物中で行い、該溶媒は、真空で除去しても凍結乾燥によって除去してもよい。該反応はまた、複分解反応であってもよく、イオン交換樹脂上で行ってもよい。
【0047】
式(II)の化合物は、文献[例えば、J. Heterocyclic Chem., 36, 333 (1999)]に記載された標準的な化学によって製造され得るか、または式(VIII):
【化8】

[式中、R、R、R、R、R、Ar、m、およびnは、式(I)で定義した通りであり、そしてLGは脱離基を表す]の化合物と、アンモニアとの反応によって製造され得る。適切なLGは、ハロゲンを含み、特にクロロである。
【0048】
LGがハロである式(VIII)の化合物は、対応する式(IX):
【化9】

[式中、R、R、R、R、R、Ar、mおよびnが、式(I)で定義した通りである]の化合物から、ハロゲン化剤、例えば塩化チオニルで処理することによって製造され得る。
【0049】
式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、および(IX)の化合物は、市販されているか、または本明細書中で例示されている標準的な化学を用いて製造され得る。
特定の新規中間体化合物は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0050】
式(I)の化合物は、医薬として、特にIKK−2酵素阻害剤として活性を有し、ヒトおよび非ヒト動物におけるIKK−2の阻害が有益である状態/疾患の処置(治療もしくは予防の)に使用され得る。該状態/疾患の例は、炎症性疾患もしくは炎症を伴う疾患を含む。特定の疾患は、リウマチ性関節炎、骨関節炎、脊椎炎、ライター症候群、乾癬性関節炎、狼瘡および骨吸収疾患を含む炎症性関節炎;多発性硬化症、クローン病を含む炎症性腸疾患;喘息、慢性閉塞性肺疾患、気腫、鼻炎、重症筋無力症、グレーブス病、同種移植片拒絶反応、乾癬、皮膚炎、アレルギー性疾患、免疫複合性疾患、悪液質、ARDS、毒素ショック、心不全、心筋梗塞、アテローム硬化症、再灌流傷害、AIDS、癌、およびインシュリン耐性によって特徴付けられる疾患、例えば糖尿病、高血糖、高インシュリン血症、異脂肪血症、肥満、多嚢胞性卵巣疾患、高血圧、心血管疾患、および症候群Xを含む。
【0051】
発癌性および化学耐性の両方についてNF−κBの報告されている役割は、IKK−2阻害剤(例えば小分子IKK−2阻害剤)の使用によるこの経路の阻害が、癌のための新規な単剤治療および/または化学抵抗性腫瘍の処置の、およびIKK−2阻害剤および標準的治療もしくは他の新規薬剤との併用治療の結果としてのアポトーシスの相乗的誘発における、重要なアジュバント治療を提供し得ることを示唆している。
【0052】
我々は、特に、喘息、リウマチ性関節炎、乾癬、クローン病を含む炎症性腸疾患、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患、骨吸収疾患、骨関節炎、糖尿病/糖血症制御および癌から選択される疾患に興味がある。
【0053】
従って、本発明は、治療に使用するための、上記で定義した通りの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
さらなる態様において、本発明は、治療に使用するための医薬の製造における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0054】
さらにさらなる態様において、本発明は、IKK−2酵素活性の調節が有益である疾患もしくは状態の処置のための医薬の製造における、上記で定義した通りの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0055】
本明細書の内容において、“治療”という用語はまた、特定の記載に反しない限り、“予防”を含む。“治療の”および“治療的に”という用語は、これに従って解釈されるべきである。
【0056】
予防は、対象の疾患もしくは状態の病歴があるか、またはそうでなくとも罹患のリスクが増大していると考えられるヒトの処置に特に関連すると考えられる。特定の疾患もしくは状態にかかるヒトは、一般的に、該疾患もしくは状態の家族の病歴があるヒトか、または該疾患もしくは状態に特にかかりやすいと遺伝子試験もしくはスクリーニングによって確認されているヒトを含む。
【0057】
本発明は、さらに、IKK−2介在疾患を処置する方法であって、患者に、治療有効量の 上記で定義した通りの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0058】
本発明はまた、炎症性疾患、特に喘息、リウマチ性関節炎もしくは多発性硬化症に罹患しているもしくはそのリスクがある患者において、炎症性疾患、特に喘息、リウマチ性関節炎もしくは多発性硬化症を処置する方法であって、該患者に、治療有効量の 上記で定義した通りの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0059】
上記の治療的使用のために、投与される用量は、用いられる化合物、投与方法、望ましい処置、および適応される疾患に伴って、当然に変化する。
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、そのままで使用してもよいが、一般的に、式(I)の化合物/塩(活性成分)を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤もしくは担体と組み合わせた、医薬組成物の形態で投与される。投与方法に依存して、医薬組成物は、好ましくは、0.05から99%w(重量%)、より好ましくは0.05から80%w、さらにより好ましくは0.10から70%w、いっそうより好ましくは0.10から50%wの活性成分を含み、全ての重量%は、全組成物に基づく。
【0060】
本発明はまた、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と組み合わせた、上記で定義した通りの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0061】
本発明は、さらに、本発明の医薬組成物の製造方法であって、上記で定義した通りの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤もしくは担体と混合することを含む方法を提供する。
【0062】
医薬組成物は、溶液、懸濁液、ヘプタフルオロアルカン・エアゾール、および乾燥粉末製剤の形態で、局所に(例えば肺および/または気道に、または皮膚に)投与されてもよく;または例えば錠剤、カプセル剤、シロップ、粉剤、または顆粒の形態で経口投与によって、または溶液もしくは懸濁液の形態で非経腸投与によって、または皮下投与によって、または坐剤の形態で直腸投与によって、または経皮で投与されてもよい。適切な医薬製剤の選択および製造のための慣用の手順は、例えば、“Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs”, M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988 で記載されている。
【0063】
本発明の1つの態様において、組成物は、噴射吸入(inhalation)または吸気吸入(insufflation)による投与に適合させてもよい。例えば、組成物は、噴射吸入に適切な形態、例えば微細化された粉末もしくは液体エアゾール(例えば主に水溶液もしくは水性懸濁液から形成されるエアゾール)として、または吸気吸入による投与に適切な形態、例えば微細化された粉末として、投与されてもよい。
【0064】
噴射吸入もしくは吸気吸入による送達は、必要な部位に、すなわち肺の内側の表皮に、薬物の全身的吸収後に容易に達成され得る濃度より高濃度の薬物を提供する。従って、より少量の投与を用いて、制御されるべき特定の細胞に薬物を送達する。それによって、何れかの薬物の全身的副作用を減少させ、処置の有益な効果をより速くに実現し得る。
【0065】
このような投与は、薬物をコンテナから噴射するために、圧縮されたガスを用いてもよく、例えばエアゾール製剤が、加圧下の噴射ガスによって運ばれる微細な液体もしくは固体の粒子を含んで用いられてもよい。エアゾールは、流体担体および噴射剤の混合物に溶解し、懸濁し、もしくは乳化した薬物を含む。慣用の噴射剤、例えば炭化水素もしくは他の適切なガス、またはその混合物を用いてもよい。慣用の定用量エアゾール呼吸作動性送達装置(MDI)を用いてもよい。あるいは、薬物は、分散された薬物を含む実質的に均一なサイズの液滴を、患者の呼吸管に浸透し得る小滴として生じさせる、慣用のネブライザーを用いて投与され得る。あるいは、滑沢剤、担体、もしくは噴射剤を伴うもしくは伴わない、薬物を含む粉末組成物を用いてもよい。例えば化合物の粉末混合物、および適切な粉末基剤(例えばラクトースもしくは澱粉)は、吸入の目的で投与され得る単位投与形で与えられてもよい。
【0066】
しかし、特定の患者は、肺中に大量の粘液を産生しており、そのような患者は吸入によって始めに処置され得る。その場合には、注射によって、または経口で本発明の医薬組成物を送達することが望ましい。
【0067】
本発明の組成物は、当業界で周知の慣用の薬学的な賦形剤を用いて、慣用の手順によって得られる。従って、経口の使用を意図した組成物は、例えば、1個以上の着色料、甘味料、風味剤、および/または保存料を含み得る。
【0068】
本発明は、下記の実施例で説明される。
下記の略号を用いる:
DCM ジクロロメタン;
DMF N,N−ジメチルホルムアミド;
THF テトラヒドロフラン.
【0069】
別記しない限り、有機溶液は無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。別記しない限り、カチオン交換カラムは、アンモニア/メタノール混合物を用いて溶出した。
【実施例】
【0070】
実施例1
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−[{N−(2−クロロベンジル)−N−メチル}アミノ]エトキシ}フェニル]−チオフェン−3−カルボキサミド
a) N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−(2−クロロベンジル)メチルアミン(1.75g)を、THF(15ml)中、アルゴン下で撹拌した。溶液を−78℃まで冷却し、n−ブチル リチウム(3.4ml, 1.6M ヘキサン溶液)を滴下した。反応混合物を−78℃で30分間撹拌し、トリ−イソプロピルボレート(1.88g)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をジメトキシエタン(25ml)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(12ml)を加え、次に2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−ブロモチオフェン−3−カルボキサミド(0.35g)を加えた。撹拌しながら、混合物に、還流下でアルゴンを5分間通気し、Pd(PPh)(0.1g)を加えた。混合物をアルゴン下でさらに2時間還流し、冷却し、ジメトキシエタンを減圧下で蒸発させた。残渣を水(10ml)とDCM(30ml)と共に、30分間撹拌し、濾過した。固体を、水で、DCMで、そしてメタノールで洗浄し、表題化合物をベージュ色の固体として得た(0.204g)。
MS (ES) 459 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 2.25 (s, 3H), 2.9 (t, 2H), 3.65 (s, 2H), 4.0 (t, 2H), 6.8 (s, 2H), 6.95 (t, 1H), 7.1 (d, 1H), 7.1-7.25 (m, 4H), 7.3 (m, 1H), 7.45 (m, 1H), 7.6 (m, 2H), 7.7 (s, 1H), 10.9 (s, 1H ).
【0071】
b) N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−(2−クロロベンジル)メチルアミン
N−2−クロロベンジルメチルアミン(3.0g)、1−ブロモ−2−(2−クロロエトキシ)ベンゼン(4.0g)、ヨウ化カリウム(0.165g)、および炭酸カリウム(7.0g)を、DMF(45ml)中で、115℃で18時間撹拌しながら加熱した。混合物を冷却し、固体を濾過して取り、DMF溶液を蒸発させ、酢酸エチルに再度溶解し、シリカゲルに吸着させて、蒸発させ、酢酸エチル−イソヘキサン混合物でクロマトグラフィーにかけ、生成物を油状物として得た(1.7g)。
MS (ES) 354 (M+H)+.
1H NMR (CDCl3) 2.4 (s, 3H), 3.0 (t, 2H), 3.75 (s, 2H), 4.2 (t, 2H), 6.7-6.9 (m, 2H), 7.15-7.3 (m, 3H), 7.3 (d, 1H), 7.5-7.6 (m, 2H).
【0072】
実施例2
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−[{N−(4−クロロベンジル)−N−メチル}アミノ]エトキシ}フェニル]−チオフェン−3−カルボキサミド
a) 表題化合物を、N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−(4−クロロベンジル)メチルアミンから、実施例1(a)と同様の方法で製造した。冷却後、溶媒を蒸発させ、残渣をDCMと水と共に撹拌した。DCM層を、メタノール−DCM混合物で、シリカのクロマトグラフィーにかけ、関連のフラクションを蒸発させてゴム状物質とし、それをエーテルでトリチュレートし、表題化合物を固体として得た。
MS (ES) 459 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 2.2 (s, 3H), 2.9 (t, 2H), 3.55 (s, 2H), 4.2 (t, 2H), 6.8 (bs, 2H), 6.9 (t, 1H), 7.05 (d, 1H), 7.2 (m, 2H), 7.3 (s, 4H), 7.5-7.7 (m, 2H), 7.75 (s, 1H).
【0073】
b)N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−(2−クロロベンジル)メチルアミン
これを、塩化 2−(2−ブロモフェノキシ)エチルとN−メチル−4−クロロベンジルアミンから、実施例1(b)と同様の方法で製造し、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し、DCMで溶出し、表題化合物を油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) 2.35 (s, 3H), 2.9 (t, 2H), 3.6 (s, 2H), 4.1 (t, 2H), 6.8-6.9 (m, 2H), 7.2-7.3 (m, 4H), 7.5 (d, 2H).
【0074】
実施例3
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(ベンジルアミノ)エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド
a) tert−ブチル N−[2−(2−{3−(アミノカルボニル)−2−[(アミノカルボニル)アミノ]チエン−5−イル}フェノキシ)エチル]−N−ベンジルカルバメート(0.16g)を、DCM(3ml)に溶解し、チオアニソール(0.5g)とトリフルオロ酢酸(1ml)を加えた。混合物を30分間撹拌し、次に水(5ml)を加え、混合物をDCMで抽出した。DCMをSCXカチオン交換カラムに加え、チオアニソールを除くために30% メタノール−DCMで溶出し、次にメタノール性アンモニア−DCM混合物で溶出した。溶媒を蒸発させ、残渣をメタノールで再結晶し、表題化合物を白色の固体として得た(0.04g)。
MS (ES) 411 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 2.9 (t, 2H), 3.8 (s, 2H), 4.1 (t, 2H), 6.9 (s, 2H), 7.0 (t, 1H), 7.05 (d, 1H), 7.15-7.35 (m, 8H), 7.6 (d, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.8 (s, 1H), 10.9 (s, 1H).
【0075】
b) tert−ブチル N−[2−(2−{3−(アミノカルボニル)−2−[(アミノカルボニル)アミノ]チエン−5−イル}フェノキシ)エチル]−N−ベンジルカルバメート
これを、DCM層をDCM−メタノール混合物で2回シリカのクロマトグラフィーにかける以外は、tert−ブチル N−ベンジル−N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]カルバメートから、実施例1(a)と同様の方法で製造し、表題化合物を樹脂状固体として得た。
MS (ES) 511 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 1.35 (s, 9H), 3.6 (t, 2H), 4.2 (t, 2H), 4.5 (s, 2H), 6.5 (bs 2H), 6.9-7.4 (m, 10H), 7.5 (d, 1H), 7.6 (s, 1H), 10.9 (s, 1H).
【0076】
c) tert−ブチル N−ベンジル−N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]カルバメート
DCM(4ml)中の、ジ−t−ブチル ジカーボネート(0.96g)の溶液を、5分に渡って、DCM(16ml)中のN−ベンジル−N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]アミン(1.3g)の溶液に、撹拌しながら加え、混合物を1.5時間撹拌し、次に6mlまで濃縮し、イソヘキサン(12ml)で希釈した。溶液を、イソヘキサン−DCM混合物で、シリカのクロマトグラフィーにかけ、表題化合物を無色の油状物として得た(0.9g)。
MS (ES) 350 (M+H-56)+.
1H NMR (DMSO-D6, 100℃) 1.4 (s, 9H), 3.5 (t, 2H), 4.15 (t, 2H), 4.55 (s, 2H), 6.9 (t, 1H), 7.1 (d, 1H), 7.2-7.35 (m, 6H), 7.55 (d, 1H).
【0077】
d) N−ベンジル−N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]アミン
これを、ベンジルアミンと1−ブロモ−2−(2−クロロエトキシ)ベンゼンから、実施例1(b)の方法によって製造した。DCM−メタノール性アンモニア混合物で、シリカのクロマトグラフィーにかけた後、得られた物質をDCM中で撹拌し、固体を濾過によって除去した。母液を蒸発させ、表題化合物を油状物として得た。
1H NMR (DMSO-D6) 2.9 (t, 2H), 3.2-3.3 (bs, 1H), 3.8 (s, 2H), 4.1 (t, 2H), 6.9 (t, 1H), 7.1 (d, 1H), 7.2-7.35 (m, 6H), 7.55 (d, 1H).
【0078】
実施例4
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−[N−ベンジル−N−メチルアミノ]エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド
a) 表題化合物を、N−ベンジル−N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]メチルアミンから、ジメトキシエタンを蒸発した後、水性残渣をDCM(100ml)で抽出した以外は、実施例1(a)と同様の方法で製造した。次に後者を5% 水性酢酸で抽出し、酢酸抽出物を10N 水酸化カリウム溶液でpH 8に調節し、得られた沈殿物を濾過によって集め、水で洗浄し、メタノール(5ml)中で処理し、表題化合物を固体として得た。
MS 425 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 2.2 (s, 3H), 2.9 (t, 2H), 3.55 (s, 2H), 4.25 (t, 2H), 6.8 (s, 2H), 7.0 (t, 1H), 7.1 (d, 1H), 7.2-7.3 (m, 7H), 7.6 (d, 2H), 7.8 (s, 1H), 11.0 (s, 1H ).
【0079】
b) N−ベンジル−N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]メチルアミン
これを、1−ブロモ−2−(2−クロロエトキシ)ベンゼンとN−メチルベンジルアミンから、混合物を65℃で16時間撹拌した以外は、実施例1(b)と同様の方法で製造した。
MS (ES) 320 (M+H)+.
1H NMR (CDCl3) 2.4 (s, 3H), 2.9 (t, 2H), 3.7 (s, 2H), 4.1 (t, 2H), 6.7-6.9 (m, 2H), 7.15-7.4 (m, 6H), 7.5 (d, 1H).
【0080】
実施例5
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド
a) 表題化合物を、2−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]イソインドリンから、得られた粗製の固体をDCMに溶解し、これを5% 水性酢酸で抽出し、酢酸抽出物を炭酸水素ナトリウム溶液でpH 9に調節し、得られた沈殿物を濾過によって集めた以外は、実施例1(a)と同様の方法で製造した。
MS (ES) 423.2 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 3.2 (t, 2H), 3.9 (s, 4H), 4.2 (t, 2H), 6.8 (bs, 2H), 7.0 (t, 1H), 7.1-7.3 (m, 7H), 7.5-7.7 (m, 2H), 7.75 (s, 1H).
【0081】
b) 2−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]イソインドリン
これを、混合物を100℃で16時間撹拌し、生成物を酢酸エチル−イソヘキサン混合物でのシリカのクロマトグラフィーによって精製した以外は、実施例1(b)と同様の方法で製造した。
MS (ES) 318 (M+H)+.
1H NMR (CDCl3) 3.2 (t, 2H), 4.1 (s, 4H), 4.2 (t, 2H), 6.8 (t, 1H), 6.9 (d, 1H), 7.2 (s, 4H), 7.3 (t, 1H),7.5 (d, 1H).
【0082】
実施例6
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{[1−(4−フルオロベンジル)ピロリジン−3−イル]オキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド
a) 表題化合物を、3−(2−ブロモフェノキシ)−1−(4−フルオロベンジル)ピロリジンから、濃縮した反応混合物をDCMと飽和炭酸ナトリウムの層間に分配し、溶媒層を洗浄し(塩水)、乾燥し、蒸発させて油状物を得て、それをカチオン交換クロマトグラフィーによって精製した以外は、実施例1(a)と同様の方法で製造した。
MS (ES) 455 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 2.0 (m, 1H), 2.3 (m, 1H), 2.55 (m, 2H), 2.75 (m, 2H), 3.0 (m, 1H), 3.7 (m, 2H), 5.0 (m, 1H), 6.8 (br, 2H), 6.95 (m, 2H), 7.1 (m, 2H), 7.2 (br, 1H), 7.3 (m, 2H), 7.6 (m, 2H), 7.8 (s, 1H), 10.95 (s, 1H).
【0083】
b) 3−(2−ブロモフェノキシ)−1−(4−フルオロベンジル)ピロリジン
水素化ナトリウム(0.144g, 油中60%分散)を、ジメチルアセトアミド(10ml)中の2−ブロモフェノール(0.52g)の溶液に、撹拌しながら滴下した。15分間撹拌した後、ジメチルアセトアミド(10ml)中の1−(4−フルオロベンジル)ピロリジン−3−イル メタンスルホン酸エステル(3.7mmol)の溶液を滴下した。
得られた混合物を75℃で18時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル/水に溶解した。溶媒相を2回洗浄し(塩水)、乾燥し、蒸発させて油状物を得て、それをカチオン交換クロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を得た(0.6g)。
MS (ES) 350 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 1.6 (m, 1H), 2.05 (m, 1H), 2.3 (m, 1H), 2.7 (m, 2H), 3.1 (m, 1H), 3.6 (s, 2H), 4.8 (m, 1H), 6.8 (m, 2H), 7.0 (m, 2H), 7.2 (m, 3H), 7.55 (dd, 1H).
【0084】
c) 1−(4−フルオロベンジル)ピロリジン−3−イル メタンスルホン酸エステル
トルエン(50ml)中の1−(4−フルオロベンジル)ピロリジン−3−オール(0.72g)とトリエチルアミン(0.62ml)の溶液を、0℃まで冷却し、塩化 メタンスルホニル(0.34ml)を撹拌しながら滴下した。混合物を放置して環境温度とし、さらに4時間撹拌した。反応混合物を濾過し、ろ液を蒸発させ、油状物を得た。それをすぐに用いた。
【0085】
d) 1−(4−フルオロベンジル)ピロリジン−3−オール
アセトン中の3−ピロリジノール(1.74g)と臭化 4−フルオロベンジル(4.9g)の溶液を、環境温度で24時間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、残渣を30%(w/v)水酸化カリウム溶液で処理し、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた溶媒相を塩水で洗浄し、乾燥した。溶媒を蒸発させ油状物を得た。それをカチオン交換クロマトグラフィーを用いて精製し、表題化合物を得た(0.72g)。
MS (ES) 196 (M+H)+.
1H NMR (CDCl3) 1.75 (m, 1H), 2.2 (m, 2H), 2.3 (m, 2H), 2.5 (m, 1H), 2.6 (m, 1H), 2.8 (m, 1H), 3.6 (s, 2H), 4.35 (m, 1H), 7.0 (m, 1H), 7.25 (m, 2H).
【0086】
実施例7
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{[1−ベンジルピロリジン−3−イル]オキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド
a) 表題化合物を、1−ベンジル−3−(2−ブロモフェノキシ)ピロリジンから、実施例6(a)と同様の方法で製造した。
MS (ES) 437 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 2.0 (m, 1H), 2.2 (m, 1H), 2.5 (m, 1H), 2.7 (m, 2H), 3.0 (m, 1H), 3.6 (m, 2H), 5.0 (m, 1H), 6.8 (br, 2H), 6.95 (m, 2H), 7.2 (m, 3H), 7.3 (m, 5H), 7.7 (s, 1H), 7.8 (m, 1H), 10.91 (s, 1H).
【0087】
b) 1−ベンジル−3−(2−ブロモフェノキシ)ピロリジン
表題化合物を、1−ベンジルピロリジン−3−イル メタンスルホン酸エステルと2−ブロモフェノールから、実施例6(b)と同様の方法で製造し、カチオン交換クロマトグラフィーを用いて精製した。
MS (ES) 334 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 2.0 (m, 1H), 2.3 (m, 1H), 2.7 (m, 3H), 3.15 (m, 1H), 3.7 (s, 2H), 4.8 (m, 1H), 6.8 (m, 2H), 7.25 (m, 6H), 7.5 (m, 1H).
【0088】
c) 1−ベンジル−ピロリジン−3−イル メタンスルホン酸エステル
表題化合物を、1−ベンジルピロリジン−3−オールから、実施例6(c)と同様の方法で製造した。
MS (ES) 256 (M+H)+.
【0089】
実施例8
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−[(4−フルオロベンジル)アミノ]エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド
a) 表題化合物を、tert−ブチル N−[2−(2−{3−(アミノカルボニル)−2−[(アミノカルボニル)アミノ]チエン−5−イル}フェノキシ)エチル]−N−[4−フルオロベンジル]カルバメートを、10% 水性トリフルオロ酢酸で、環境温度で2時間処理し、次にカチオン交換クロマトグラフィーを用いて精製することによって製造した。
MS (ES) 429 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 2.9 (m, 2H), 3.8 (s, 2H), 4.15 (m, 2H), 6.85 (br, 2H), 6.95 (m, 1H), 7.05 (m, 3H), 7.2 (m, 2H), 7.35 (m, 2H), 7.6 (m, 2H), 7.75 (s, 1H), 10.92 (s, 1H).
【0090】
b) tert−ブチル N−[2−(2−{3−(アミノカルボニル)−2−[(アミノカルボニル)アミノ]チエン−5−イル}フェノキシ)エチル]−N−[4−フルオロベンジル]カルバメート
表題化合物を、tert−ブチル N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[4−フルオロベンジル]カルバメートから、濃縮した反応混合物をDCMと飽和炭酸ナトリウムの層間に分配した以外は、実施例1(a)と同様の方法で製造した。溶媒層を洗浄し(塩水)、乾燥し、蒸発させ、油状物を得た。純粋な生成物を、シリカのクロマトグラフィーにかけ、DCM/メタノール混合物で溶出することによって得た。
MS (ES) 529 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 1.35 (s, 9H), 3.6 (m, 2H), 4.1 (m, 2H), 4.4 (m,2 H), 6.8 (m, 2H), 7.1 (m, 2H), 7.25 (m, 3H), 7.6 (m, 6H), 10.98 (s, 1H).
【0091】
c) tert−ブチル N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[4−フルオロベンジル]カルバメート
DCM(5ml)中のジ−tert−ブチル ジカーボネート(1.86g)の溶液を、5分に渡って、DCM(20ml)中のN−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[4−フルオロベンジル]アミン(2.5g)の溶液に、撹拌しながら加え、得られた混合物を室温で4時間撹拌した。反応物をDCMで希釈し、次に水で洗浄した。乾燥後、溶媒を蒸発させ、油状物を得た(2.9g)。
MS (ES) 424 (M+H)+.
【0092】
d) N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[4−フルオロベンジル]アミン
表題化合物を、1−ブロモ−2−(2−クロロエトキシ)ベンゼンおよび4−フルオロベンジルアミンから、実施例1(b)と同様の方法で製造した。
MS (ES) 324 (M+H)+.
【0093】
実施例9
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(ピリジン−3−イルメチルアミノ)エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド
a) 表題化合物を、tert−ブチル N−[2−(2−{3−(アミノカルボニル)−2−[(アミノカルボニル)アミノ]チエン−5−イル}フェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−3−イルメチル]カルバメートから、実施例8(a)と同様の方法で製造した。精製は、カチオン交換クロマトグラフィーを用いて行った。
MS (ES) 412 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 3.3 (m, 2H), 4.2 (m, 2H), 4.3 (m, 2H), 6.9 (br, 2H), 7.1-7.3 (m, 5H), 7.7 (m, 2H), 7.8 (s, 1H), 7.9 (m, 1H), 8.5 (m, 1H), 8.6 (s, 1H), 10.95 (s, 1H).
【0094】
b) tert−ブチル N−[2−(2−{3−(アミノカルボニル)−2−[(アミノカルボニル)アミノ]チエン−5−イル}フェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−3−イルメチル]カルバメート
表題化合物を、tert−ブチル N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−3−イルメチル]カルバメートから、実施例1(a)と同様の方法で製造した。精製は、カチオン交換クロマトグラフィーを用いて行った。
MS (ES) 512 (M+H)+.
【0095】
c) tert−ブチル N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−3−イルメチル]カルバメート
表題化合物を、N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−3−イルメチル]アミンから、実施例8(c)と同様の方法で製造した。精製は、カチオン交換クロマトグラフィーを用いて行った。
MS (ES) 407 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 1.5 (s, 9H), 3.6 (m, 2H), 4.2 (m, 2H), 4.8 (s, 2H), 6.8 (m, 2H), 7.2 (m, 2H), 7.55 (m, 1H), 7.6 (m, 1H), 8.5 (m, 1H), 8.6 (s, 1H).
【0096】
d) N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−3−イルメチル]アミン
表題化合物を、1−ブロモ−2−(2−クロロエトキシ)ベンゼンおよび(ピリジン−3−イルメチル)アミンから、実施例8(d)と同様の方法で製造した。
MS (ES) 307 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 3.1 (m, 2H), 4.05 (s, 2H), 4.2 (m, 2H), 6.8 (m, 2H), 7.2 (m, 3H), 7.55 (m, 1H), 7.6 (m, 1H), 8.55 (m, 1H).
【0097】
実施例10
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(ピリジン−2−イルメチルアミノ)エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド
a) 表題化合物を、tert−ブチル N−[2−(2−{3−(アミノカルボニル)−2−[(アミノカルボニル)アミノ]チエン−5−イル}フェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−2−イルメチル]カルバメートから、実施例8(a)と同様の方法で製造した。精製は、カチオン交換クロマトグラフィーを用いて行った。
MS (ES) 412 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 3.4 (m, 2H), 4.4 (m, 4H), 6.9 (br, 2H), 7.1-7.3 (m, 6H), 7.7 (m, 2H), 7.8 (s, 1H), 7.9 (m, 1H), 8.5 (m, 1H), 8.6 (m, 1H), 10.95 (s, 1H).
【0098】
b) tert−ブチル N−[2−(2−{3−(アミノカルボニル)−2−[(アミノカルボニル)アミノ]チエン−5−イル}フェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−2−イルメチル]カルバメート
表題化合物を、tert−ブチル N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−2−イルメチル]カルバメートから、実施例1(a)と同様の方法で製造した。精製は、カチオン交換クロマトグラフィーを用いて行った。
MS (ES) 512 (M+H)+.
【0099】
c) tert−ブチル N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−2−イルメチル]カルバメート
表題化合物を、N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−2−イルメチル]アミンから、実施例8(c)と同様の方法で製造した。精製は、カチオン交換クロマトグラフィーを用いて行った。
MS (ES) 407 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 1.5 (s, 9H), 3.8 (m, 2H), 4.2 (m, 2H), 4.8 (s, 2H), 6.8 (m, 3H), 7.2 (m, 2H), 7.5 (m, 1H), 7.6 (m, 1H), 8.5 (m, 1H).
【0100】
d) N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−2−イルメチル]アミン
表題化合物を、1−ブロモ−2−(2−クロロエトキシ)ベンゼンおよび(ピリジン−2−イルメチル)アミンから、実施例8(d)と同様の方法で製造した。
MS (ES) 307 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 3.1 (m, 2H), 4.05 (s, 2H), 4.2 (m, 2H), 6.8 (m, 2H), 7.2 (m, 3H), 7.55 (m, 1H), 7.6 (m, 1H), 8.55 (m, 1H).
【0101】
実施例11
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(ピリジン−4−イルメチルアミノ)エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド
a) 表題化合物を、tert−ブチル N−[2−(2−{3−(アミノカルボニル)−2−[(アミノカルボニル)アミノ]チエン−5−イル}フェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−4−イルメチル]カルバメートから、実施例8(a)と同様の方法で製造した。精製は、カチオン交換クロマトグラフィーを用いて行った。
MS (ES) 412 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 3.45 (m, 2H), 4.3 (m, 2H), 4.4 (m, 2H), 6.9 (br, 2H), 7.2 (m, 1H), 7.3 (m, 1H), 7.4 (m, 2H), 7.6 (m, 2H), 7.7 (m, 1H), 7.8 (s, 1H), 7.9 (m, 1H), 8.5 (m, 1H), 8.6 (m, 1H), 9.4 (m, 1H), 11.0 (s, 1H).
【0102】
b) tert−ブチル N−[2−(2−{3−(アミノカルボニル)−2−[(アミノカルボニル)アミノ]チエン−5−イル}フェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−4−イルメチル]カルバメート
表題化合物を、tert−ブチル N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−4−イルメチル]カルバメートから、実施例1(a)と同様の方法で製造した。精製は、カチオン交換クロマトグラフィーを用いて行った。
MS (ES) 512 (M+H)+.
【0103】
c) tert−ブチル N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−4−イルメチル]カルバメート
表題化合物を、N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−4−イルメチル]アミンから、実施例8(c)と同様の方法で製造した。精製は、カチオン交換クロマトグラフィーを用いて行った。
MS (ES) 407 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 1.5 (s, 9H), 3.6-3.8 (m, 2H), 4.2 (m, 2H), 4.8(s, 2H), 6.8 (m, 3H), 7.2 (m, 2H), 7.6 (m, 2H), 8.55 (m, 1H).
【0104】
d) N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−[ピリジン−4−イルメチル]アミン
表題化合物を、1−ブロモ−2−(2−クロロエトキシ)ベンゼンおよび(ピリジン−4−イルメチル)アミンから、実施例8(d)と同様の方法で製造した。
MS (ES) 307 (M+H)+.
【0105】
実施例12
2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−[N−(ピリジン−3−イルメチル)−N−メチルアミノ]エトキシ}フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド
a) 表題化合物を、N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−メチル−N−(ピリジン−3−イルメチル)アミンから、濃縮した反応混合物をDCMと飽和炭酸ナトリウムの層間に分配した以外は、実施例1(a)と同様の方法で製造した。溶媒層を洗浄し(塩水)、乾燥し、蒸発させ、油状物を得た。純粋な生成物を、カチオン交換クロマトグラフィーによって得た。
MS (ES) 426 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 2.2 (s, 3H), 2.95 (m, 2H), 3.7 (s, 2H), 4.25 (m, 2H), 6.8 (br, 2H), 7.0 (m, 1H), 7.05 (m, 1H), 7.2 (m, 1H), 7.25 (m, 1H), 7.6 (m, 2H), 7.7 (m, 2H), 7.8 (s, 1H), 8.4 (m, 2H), 10.95 (s, 1H).
【0106】
b) N−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]−N−メチル−N−(ピリジン−3−イルメチル)アミン
表題化合物を、1−ブロモ−2−(2−クロロエトキシ)ベンゼンおよび3−(メチルアミノメチル)ピリジンから、実施例1(b)と同様の方法で製造した。
MS (ES) 321 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 2.4 (s, 3H), 2.95 (m, 2H), 3.7 (s, 2H), 4.2 (m, 2H), 6.8 (m, 2H), 7.2 (m, 2H), 7.55 (m, 1H), 7.7 (m, 1H), 8.5 (m, 1H), 8.55 (m, 1H).
【0107】
実施例13
3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)エトキシ}フェニル]チオフェン−2−カルボキサミド
a) 2−ブロモチオフェン−4−カルボン酸
J. Am. Chem. Soc., 1954, 76, 2445 に記載された方法によって製造した。
MS (ES) 205 (M-H)-.
1H NMR (DMSO-D6) 7.45 (s, 1H), 8.22 (s, 1H), 12.94 (bs, 1H).
【0108】
b) 2−ブロモ−4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル)アミノチオフェン
2−ブロモチオフェン−4−カルボン酸(3g)を、乾燥した温t−ブタノール(24ml)に溶解した。トリエチルアミン(2.02ml)を、次にジフェニルホスホリル アジド(3.12ml)を加えた。溶液を還流するまでゆっくりと加熱し、加熱を還流下で終夜続けた。反応混合物を放置して冷却し、水(150ml)に注ぎ、酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥し、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン中5%酢酸エチルで溶出し白色の固体を得た(1.69g)。
MS (ES) 276 (M-H)-.
1H NMR (DMSO-D6) 1.44 (s, 9H), 7.03 (s, 1H), 7.51 (s, 1H), 9.65 (s, 1H).
【0109】
c) 5−ブロモ−3−[(tert−ブチルオキシカルボニル)アミノ]チオフェン−2−カルボン酸
2−ブロモ−4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル)アミノチオフェン(1.68g)を、乾燥THF(45ml)中で、アルゴン下で撹拌し、溶液を−78℃まで冷却した。リチウム ジイソプロピルアミド(7.55ml, 2M溶液)を滴下し、撹拌を3.5時間続けた。粉末状CO(過剰量)を加え、混合物をさらに10分間撹拌した後、放置して室温まで温めた。水(50ml)を加え、THFを真空で除去し、水相を酢酸エチル(3×40ml)で抽出した。合わせた抽出物を1M HCl溶液(50ml)で、水(50ml)で、そして塩水(50ml)で洗浄し、乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をDCMでトリチュレートし、生成物を濾過によって集めて、薄黄色の固体として得た(1.57g)。
MS (ES) 320 (M-H)-.
1H NMR (DMSO-D6) 9.38 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 1.42 (s, 9H).
【0110】
d) 5−ブロモ−3−(tert−ブチルオキシカルボニル)アミノチオフェン−2−カルボキサミド
5−ブロモ−3−[(tert−ブチルオキシカルボニル)アミノ]チオフェン−2−カルボン酸(0.80g)を、アセトニトリル(80ml)中で撹拌した。ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.41g)と、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(2.62g)を加え、撹拌を室温で10分間続けた。濃アンモニア水溶液(8ml)を加え、反応混合物を1時間還流した。アセトニトリルを蒸発によって除去した。水(100ml)を加え、混合物を超音波処理し、トリチュレートした。得られた灰白色の固体を、濾過によって集め、水で洗浄し、真空下で乾燥した(0.763g)。
MS (ES) 319 (M-H)-.
1H NMR (DMSO-D6) 1.45 (s, 9H), 7.63 (brs, 2H), 7.78 (s, 1H), 10.40 (s, 1H).
【0111】
e) 3−アミノ−5−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド
5−ブロモ−3−(tert−ブチルオキシカルボニル)アミノチオフェン−2−カルボキサミド(0.76g)を、DCM(30ml)中で撹拌した。トリフルオロ酢酸(5ml)を加え、溶液を室温で1時間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200ml)に注ぎ、DCM(3×100ml)で抽出した。合わせた抽出物を塩水(150ml)で洗浄し、乾燥し、濾過し、蒸発させ、黄色の固体を得た(0.511g)。
MS (ES) 221 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 6.50 (bs, 2H), 6.69 (s, 1H), 6.87 (bs, 2H).
【0112】
f) 3−[(アミノカルボニル)アミノ−5−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド
3−アミノ−5−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド(0.25g)を、無水THF(10ml)中で撹拌し、0℃まで冷却し、トリクロロアセチルイソシアネート(0.148ml)を滴下した。混合物を放置して環境温度まで温め、1.5時間撹拌し、メタノール中2Mのアンモニア(16ml)を加えた。1.5時間後、溶媒を蒸発させ、残渣をジエチルエーテルでトリチュレートし、真空で乾燥し、表題化合物を黄色の固体として得た(0.26g)。
MS (ES) 264 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 6.63 (bs, 2H), 7.41 (bs, 2H), 7.97 (s, 1H), 10.02 (s, 1H).
【0113】
g) 3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[2−{2−(1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)エトキシ}フェニル]チオフェン−2−カルボキサミド
表題化合物を、2−[2−(2−ブロモフェノキシ)エチル]イソインドリンと、3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−ブロモチオフェン−2−カルボキサミドから、実施例1(a)と同様の方法で製造した。純粋な生成物をシリカのクロマトグラフィーにかけ、DCM/メタノール混合物で溶出することによって得た。
MS (ES) 423 (M+H)+.
1H NMR (DMSO-D6) 3.2 (m, 2H), 3.95 (s, 4H), 4.3 (m, 2H), 6.5 (br, 2H), 7.0 (s, 1H), 7.2 (m, 5H), 7.3 (m, 2H), 7.6 (m, 2H), 8.4 (s, 1H), 10.0 (s, 1H).
【0114】
化合物の薬理学的評価および薬物動態学的評価
IKK−2・フィルター・キナーゼ・アッセイ
フィルター・キナーゼ・アッセイを用いて、IKK−2の阻害について化合物を試験した。試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に10mMで溶解した。次に本化合物をキナーゼ緩衝液(0.1mM EGTA, 0.1mM オルトバナジン酸ナトリウムおよび0.1% β−メルカプトエタノールを含む50mM Tris (pH 7.4))で40倍希釈した。3倍連続希釈液を、キナーゼ緩衝液中2.5% DMSOでこの溶液から作った。20μlの化合物希釈液を96ウェル・プレートのウェルに2回重複させて加えた。化合物の代わりに、キナーゼ緩衝液中の20μlの2.5% DMSOをコントロール・ウェル(0%阻害)に加えた。化合物の代わりに、20μlの0.5M EDTAをバックグラウンド・ウェル(100%阻害)に加えた。
【0115】
酢酸マグネシウム、ラベルされていないATP、および33P−ラベルしたATPの、10μl混合物をそれぞれのウェルに加え、その結果最終濃度を10mM 酢酸マグネシウム、1μM ATP、および0.1μCi 33P−ATPとした。IKK−2(0.15μg/ウェル)、1−53 GST−IκB(0.5μg/ウェル)、およびウシ血清アルブミン(BSA)(8.5μg/ウェル)となるように、20μlの混合物を、それぞれのウェルに加え、反応を開始した。最終反応体積は50μlであった。
【0116】
キナーゼ反応物を21℃で80分間インキュベートし、反応物を等体積(50μl)の20% トリクロロ酢酸(TCA)の添加によって蛋白質を沈殿させることによって停止した。10分間かけて沈殿を形成させ、次に GF/C unifilter 96 well plate に濾過した。それぞれのフィルターを約1mlの2% TCAで2回洗浄した。フィルター・プレートを30〜40℃で60分間乾燥し、20μlのシンチラントをそれぞれのウェルに加え、プレートを密閉し、Packard Topcount microplate scintillation counter で放射活性を計数した。
【0117】
上記アッセイで試験した際、実施例1から13の化合物は、10μM未満のIC50値を有し、このことは、それらが有用な治療活性を示すと予測されることを示している。
【0118】
IKK−1・フィルター・キナーゼ・アッセイ
化合物の選択性を、IKK−1の阻害についてフィルター・キナーゼ・アッセイを用いて試験することによって評価した。該アッセイ条件は、IKK−1(0.25μg/ウェル)および1−53 GST IκB(9μg/ウェル)の混合物をそれぞれのウェルに加え、反応を開始させたこと以外は、IKK−2・フィルター・キナーゼ・アッセイと同様とした。
【0119】
PBMCによるLPS−誘発TNFα生産の阻害
試験化合物の核因子κB(NFκB)活性化への効果を、微生物のリポ多糖類(LPS)によって刺激されるヒトの末梢血単核細胞(PBMC)による、腫瘍壊死因子α(TNFα)の生産の阻害を測定することによって評価した。
【0120】
ヘパリンで抗凝集させたヒトの血液(250ml)を、健康なボランティアから集めた。血液のアリコート(25ml)を、50mlのポリプロピレン遠心分離用チューブ中の20mlの Lymphoprep (Nycomed)の上に層にした。該チューブを2,500rpmで30分間遠心分離した(Sorval RT600B)。PBMCを含む濁った層を、先端が細いパスツールピペットで集め、8本の清浄なポリプロピレン遠心分離用チューブに移し(チューブ毎に約10ml)、リン酸緩衝食塩水(PBS)で50mlまで希釈した。これらのチューブを、2,000rpmで8分間遠心分離した。PBS(10ml)をそれぞれの細胞ペレットに加え、細胞を穏やかに再度懸濁した。細胞を4本の遠心分離用チューブにプールし、それぞれのチューブにPBSを加えて体積を50mlとし、チューブを1,400rpmで8分間遠心分離した。細胞ペレットを10mlのPBSに再度懸濁し、2本の遠心分離用チューブにプールし、体積をPBSで50mlとし、チューブを900rpmで10分間遠心分離した。
【0121】
最終的な細胞ペレットを、10mlの組織培養培地(1%熱不活性化ヒト血清、L−グルタミン、およびペニシリンおよびストレプトマイシンを含むRPMI)に、穏やかに再度懸濁し、1本のチューブに合わせ、体積をRPMI培地で30mlとした。細胞を計数し、細胞懸濁液を2.6×10細胞/mlまで希釈した。
【0122】
試験化合物を10mMとなるようにDMSOに溶解し、RPMI培地で250倍(40μM)希釈した。次に化合物をRPMI培地中0.4% DMSOで連続的に3倍希釈した。試験化合物希釈液のアリコート(50μl)を、96ウェルプレートのウェルに移した。コントロール・ウェルは化合物の代わりにRPMI中0.4% DMSOを含む。
【0123】
細胞懸濁液のアリコート(100μl)をそれぞれのウェルに加え、プレートを37℃で30分間インキュベートした。50μlの40μg/mlのLPS(Sigma, L-4130)をウェルに加え、細胞によるTNFαの生産を刺激し、プレートを37℃で終夜インキュベートした。LPSの代わりにRPMI培地(50μl)をネガティブ・コントロール・ウェルに加えた。最終的なインキュベーション体積は200μlであった。
【0124】
プレートを1,200rpmで4分間遠心分離し、上清をTNFα濃度測定のために除去した。残りの細胞ペレットの生存性(viability)をWST−1試薬(Boehringer Mannheim, 1044807)を用いて測定した。10μlのWST−1試薬を含む100μlのRPMI培地を、それぞれのウェルに加え、プレートを0.5から3時間インキュベートした。次に450nmでの吸光度を 96-well plate spectrophotometer を用いて測定した。
【0125】
上清中のTNFα(新規採取、または−20℃で凍結保存した)を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて測定した。ヒツジの抗ヒトTNFαモノクローナル抗体(コーティング緩衝液(0.2g/lのアジ化ナトリウムを含む0.5Mの炭酸/重炭酸緩衝液(pH 9.6))で希釈した1μg/ml抗体 100μl)で、96ウェル・プレートのウェルをコーティングし、4℃で終夜インキュベートすることによって、ELISAプレートを製造した。ブランク・ウェルをコートしなかった。ウェルを0.05% Tweenを含むPBS(PBS/Tween)中の0.1% BSAで1回洗浄し、次にコーティング緩衝液中1% BSA(200μl)と共に、室温で1時間インキュベートした。次にウェルをPBS/Tween中の0.1% BSAで3回洗浄した。
【0126】
PBMCインキュベーションからのサンプルの上清を、PBS/Tween中の1% BSAで3倍希釈した。これらの希釈液の100μlのアリコートをELISAプレートに加えた。他のウェルは、100μlのTNFα標準液(10、3.3、1.1、0.37、0.12、0.04、0.014、および0ng/ml)を含む。ELISAプレートを室温で2時間インキュベートした後、ウェルをPBS/Tween中の0.1% BSAで3回洗浄した。ウサギの抗ヒトTNFα抗体(100μlの2.5μg/ml溶液)を、それぞれのウェルに加え、プレートを室温で1.5時間インキュベートした。次にウェルをPBS/Tween中の0.1% BSAで3回洗浄した。ヤギの抗ウサギIgG−西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ・コンジュゲート(ICN, 674371;100μlの10,000倍希釈液)をそれぞれのウェルに加え、プレートを室温で1.5時間インキュベートした。ウェルをPBS/Tween中の0.1% BSAで3回洗浄した。
【0127】
ペルオキシダーゼ基質を、1mgのTMB錠剤(Sigma, T-5525)を100μlのDMSO(100μl)に溶解し、これと36μlのUHPO(BDH, 30559;1gの錠剤を25mlの蒸留水に溶解した)を、10mlの0.1M クエン酸/酢酸緩衝液(pH 6)を加えることによって製造した。100μlの基質をそれぞれのウェルに加え、プレートを暗所で室温で約30分間インキュベートした。25μlの2M 硫酸をそれぞれのウェルに添加することによって反応を停止した。450nmでの吸光度を 96 well plater spectrophotometer で測定した。
【0128】
化合物の浸透性およびCACO−2細胞単層を用いた流量ポテンシャルの評価
CACO−2細胞は、ヒトの大腸癌細胞から誘導される細胞株である。CACO−2細胞は、タイト・ジャンクションおよび輸送蛋白質(例えばpgpトランスポーター)を含む多くのヒトの腸の性質を保持しており、主に経口投与後に吸収される化合物のポテンシャルを評価するために用いられる。このアッセイのプロトコルにおいて、頂点から基底外側方向(A−B方向)および反対方向(B−A方向)への輸送を測定し、試験化合物の浸透性および流量ポテンシャルの両方を評価する。
【0129】
細胞を24ウェル・プレート(Beckton-Dickinson, UK)のそれぞれのウェルでの1μmのフィルターへ、100,000細胞/ウェルの密度で接種し、細胞の完全単層がそれぞれのウェル全体に形成される(14日)まで、成長させる。
【0130】
使用前に、単層の完全性を、それぞれのウェルで、Trans-Epithelial Resistance (TEER)の測定を用いて評価する。TEERが許容され得るならば、それぞれの試験化合物を、24ウェル・プレートの個々のウェルの上部(頂点;A)または底部(基底外側;B)の何れかで、2回重複して、pH 7.4緩衝液に加えて10μMの濃度とし、A−BおよびB−A方向の両方で単層を通るそれぞれの化合物の浸透性の測定を行う。実験の質的管理目的のために、試験化合物と併行して、4個の参照化合物をインキュベートする(低、中、高浸透性に加えて既知滲出性基質を使用)。
【0131】
混合後、ドナー・チャンバーのアリコートをすぐに分析するために採取する(T)。次にプレートを37℃で120分間インキュベートする。その後、さらに、アリコートをドナー・チャンバー(実験の持続時間に渡って回復を評価するために用いられる)から採取し、一方、同様のアリコートをこの時点でレシピエント・チャンバーから採取する(T120サンプル)。
【0132】
全サンプルの操作は、Tecan Genesis RS200 robot で行う。
全サンプルをLC−エレクトロスプレー MS(+および−の両方のモード)を用いて分析し、ピーク・エリアを用いてそれぞれの試験試薬を定量化する。
得られたデータから、それぞれの化合物の単層の輸送速度(Papp)を、A−BまたはB−A方向で計算する。Papp(A-B)データから、ヒトの吸収のポテンシャル(potential human absorption)を、LOW (Papp<=0.5×10cm2/秒)、PARTIAL(Papp>0.5<=2.9×10cm2/秒)、または HIGH (Papp>2.9×10cm2/秒)と区分し、一方、Papp(B-A)/Papp(A-B) 比から、試験化合物の滲出性のポテンシャル(potential for efflux)を評価し、比5は HIGH に区分され、そして<5は LOW に区分される。
【0133】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は、HまたはCHを表し;
は、H、ハロゲン、シアノ、C1−2アルキル、トリフルオロメチル、またはC1−2アルコキシを表し;
nは、整数1、2、または3を表し;
mは、整数0、1、2、または3を表し;
は、H、C2−4アルケニル、またはC1−4アルキルを表し、
該アルキル基は、所望により、CN、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル−SO−、または1個以上のフルオロ原子によってさらに置換されているか、または
は、さらに、芳香環:Ar、またはリンカー:−CR−(CR)−の何れかに結合することによって、4員環から7員環のアザ環式環を形成するC1−4アルキレンを表し;
とRは、独立して、HまたはC1−2アルキルを表すか、または
CRは、一緒になって、所望によりOまたはSから選択される1個のヘテロ原子を組み込んだ3員環から6員環の炭素環式環を表し、そして
それぞれのR、それぞれのR、およびそれぞれのCRは、独立して選択され;
Arは、フェニル環、または O、NおよびSから独立して選択される1から3個のヘテロ原子を含む、5員環もしくは6員環のヘテロ芳香環を表し、
該フェニルもしくはヘテロ芳香環は、所望により、ハロゲン、シアノ、C1−2アルキル、トリフルオロメチル、C1−2アルコキシ、NR、−CONR、−COOR、−NRCOR、−S(O)、−SONRおよび−NRSOから独立して選択される、1個以上の置換基によって置換されており;
とRは、独立して、H、C2−4アルケニルまたはC1−4アルキルを表し、
該アルキルもしくはアルケニルは、所望により、1個以上のハロゲン原子によってさらに置換されており;
pは、整数0、1または2を表す]の化合物;およびその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
nが整数1を表す、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
がHを表す、請求項1もしくは2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Arが、所望により置換されているフェニル、または所望により置換されているピリジルを表す、請求項1から3の何れか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
それぞれのRおよびそれぞれのRがHを表す、請求項1から4の何れか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
mが整数1を表す、請求項1から5の何れか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
(a) 式(II):
【化2】

[式中、R、R、R、R、R、Ar、mおよびnは、請求項1で定義した通りである]の化合物とイソシアネートとの反応;または
(b) 式(III):
【化3】

[式中、R、R、R、Rおよびnは、請求項1で定義した通りであり;そして
LGは、脱離基を表す]の化合物と、アミン:
NH(CR)−Ar
[式中、R、R、R、Arおよびmは、請求項1で定義した通りである]との反応;または
(c) 式(IV):
【化4】

[式中、R、R、R、R、m、n、およびArは、請求項1で定義した通りである]の化合物と、式(V):
【化5】

[式中、Rは請求項1で定義した通りであり;そして
LGは脱離基を表す]の化合物との反応;または
(d) 式(VI);
【化6】

[式中、R、R、R、R、m、n、およびArは、請求項1で定義した通りであり;そして
LGは脱離基を表す]の化合物と、式(VII):
【化7】

[式中、Rは、請求項1で定義した通りである]の化合物との反応;
そして必要ならば、
得られた式(I)の化合物または別のその塩を、その薬学的に許容される塩に変換すること;または
得られた式(I)の化合物をさらなる式(I)の化合物に変換すること;
そして望ましいならば、
得られた式(I)の化合物をその光学異性体に変換すること;
を含む方法。
【請求項8】
薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と組み合わせた、請求項1から6の何れか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項9】
薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と組み合わせた、請求項1から6の何れか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、噴射吸入(inhalation)もしくは吸気吸入(insufflation)による投与に適合させた医薬組成物。
【請求項10】
請求項1から6の何れか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と混合することを含む、請求項8に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項11】
治療に使用するための、請求項1から6の何れか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
IKK−2活性の阻害が有益である疾患もしくは状態の処置もしくは予防における使用のための医薬の製造における、請求項1から6の何れか1項に記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項13】
炎症性疾患の処置もしくは予防における使用のための医薬の製造における、請求項1から6の何れか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項14】
該疾患がリウマチ性関節炎である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
該疾患が慢性閉塞性肺疾患である、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
該疾患が癌である、請求項12に記載の使用。
【請求項17】
IKK−2活性の阻害が有益である疾患もしくは状態を処置するもしくはそのリスクを軽減する方法であって、該疾患もしくは状態に罹患しているもしくはそのリスクがあるヒトに、治療有効量の請求項1から6の何れか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2006−515355(P2006−515355A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500206(P2006−500206)
【出願日】平成16年1月13日(2004.1.13)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000106
【国際公開番号】WO2004/063185
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】