説明

酸化防止剤としてのアクリダン誘導体

式(I)を有する酸化防止剤として使用するための化合物が提供される。R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって連結して、C〜C30環を形成する。C〜C30環は、1個又は複数の置換基で置換されていても非置換であってもよい。C〜C30環は、1個又は複数のヘテロ原子を含有してもよい。C〜C30環は、飽和でも部分的不飽和でも完全不飽和でもよい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、酸化、熱、及び/又は光による劣化(degradation;崩壊)を受ける有機生成物を安定化するための添加剤に関する。より具体的には、本発明は、酸化防止剤として有用なあるクラスのアクリダン(acridan)誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化防止剤又は他の安定剤による有機物質の安定化は、当業者によく知られている。例えば、潤滑油の開発において、例えば、酸化防止、耐摩耗、及びデポジット抑制特性を潤滑油に付与する添加剤を提供しようとする多くの試みがなされてきた。ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)は、潤滑油用の耐疲労、耐摩耗、酸化防止、極圧及び摩擦調整添加剤として何年も使用されてきた。しかし、ZDDPは、その亜鉛及びリン含有量が原因で、いくつかの欠点を有する。例えば、亜鉛の存在は、毒性及び環境性の問題を潜在的に示す、排気ガス中の亜鉛含有微粒子の放出に寄与する。また、リン含有潤滑油組成物がエンジンの燃焼反応で導入される場合、リンが排気流に入り、そこで触媒コンバーター用の触媒毒として作用する。このように、リンは、汚染を低減させるために自動車で使用される触媒コンバーターの耐用寿命を制限するものと思われている。
【0003】
したがって、毒性及び環境性の理由から、潤滑油の酸化防止特性を維持すると同時に、エンジン使用中の粒子状物質及び汚染の形成を制限することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、酸化、熱、及び/又は光による劣化を受け、そのような劣化を予防又は阻害するために安定化を必要としている有機生成物を安定化するための改善された添加剤、例えば、油の酸化防止特性を改善することができる潤滑油用の添加剤を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様では、一般式I:
【化1】


を有する化合物を提供する。
【0006】
本態様では、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって連結して、第1のC〜C30環を形成する。第1のC〜C30環は、1個又は複数の置換基で置換されていても非置換であってもよい。第1のC〜C30環は、1個又は複数のヘテロ原子を含有してもよい。第1のC〜C30環は、飽和でも部分的不飽和でも完全不飽和でもよい。一実施形態では、R及びRが結合して、5、6、又は7員環を形成する。
【0007】
本態様では、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に置換基である。一実施形態では、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって連結して、第2のC〜C30環を形成する。第2のC〜C30環は、1個又は複数の置換基で置換されていても非置換であってもよい。第2のC〜C30環は、1個又は複数のヘテロ原子を含有してもよい。第2のC〜C30環は、飽和でも部分的不飽和でも完全不飽和でもよい。R及びRが結合して、5、6、又は7員環を形成する。
【0008】
本発明の第2の態様では、一般式II:
【化2】


を有する化合物を提供する。
【0009】
、R、R、R、R、R及びRは、上で定義している。
【0010】
本発明の第3の態様では、少なくとも1種の潤滑粘度の油;及び有効量の、一般式I又は一般式IIを有する少なくとも1種の化合物を改善する酸化防止剤を含む潤滑油組成物を提供する。潤滑粘度の油は、エンジン油、変速機油、油圧油、ギヤ油、船舶用シリンダー油、コンプレッサー油、冷凍機用潤滑剤又はそれらの混合物を含んでもよい。一実施形態では、潤滑油組成物は、酸化防止剤、耐摩耗剤、清浄剤、防錆剤、濁り除去剤(dehazing agent)、乳化破壊剤、金属不活性化剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶剤、パッケージ相溶化剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の潤滑油添加剤をさらに含む。潤滑油添加剤は、好ましくは、約0.1重量パーセント未満、例えば、約0.5重量パーセント未満、又は約0.01重量パーセント未満のリン含有量を有する。別の実施形態では、潤滑油組成物は、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化ヒンダードフェノール、アルキル化置換若しくは非置換フェニレンジアミン、アルキル化油溶性銅化合物、酸化安定性を付与することが知られているアルキル化硫黄含有化合物及びそれらの混合物からなる群から選択される潤滑油添加剤をさらに含む。酸化安定性を付与することが知られているアルキル化硫黄含有化合物は、好ましくは、フェノチアジン、硫化オレフィン、チオカルバメート、硫黄を含むヒンダードフェノール、ジアルキルジチオリン酸亜鉛及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0011】
一実施形態では、潤滑油組成物は、デポジット(deposits)に関する熱酸化エンジン油シミュレーション(TEOST)結果が、50mg未満、例えば、40mg未満、30mg未満、又は20mg未満である。
【0012】
本発明の第4の態様では、約0.1〜約75重量パーセント、例えば、約0.5〜約3重量パーセント、又は約1〜約2重量パーセントの、一般式I又は式IIを有する少なくとも1種の化合物を含む添加剤パッケージを提供する。一実施形態では、該化合物は、260を超える、好ましくは300を超える、より好ましくは350を超える数平均分子量を有する。
【0013】
本発明の第5の態様では、酸化、熱、及び/又は光による劣化を受け、そのような劣化を予防又は阻害するために安定化を必要としている有機物質;並びに安定化有効量(stabilization effective amount)の、一般式I又は式IIを有する少なくとも1種の化合物を含む安定剤含有組成物を提供する。
【0014】
本発明の第6の態様では、酸化、熱、及び/又は光による劣化を受け、そのような劣化を予防又は阻害するために安定化を必要としている有機物質を安定化するための方法を提供し、該方法は、安定化量の、一般式I又はIIを有する少なくとも1種の化合物を有機物質に添加することを含む。
【0015】
本発明の第7の態様では、少なくとも1個の窒素に結合した少なくとも2個のフェニル基及びフェニル基のうちの1個に縮合した第1の環を含む化合物を提供する。該化合物は、2個のフェニル基の間に、少なくとも1個の置換又は非置換炭素橋(carbon bridge)をさらに含んでもよい。第2の環は、他のフェニル基のうちの1個に縮合していてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、一般式I:
【化3】


を有するあるクラスのアクリダン誘導体を対象としている。
【0017】
及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって連結して、第1のC〜C30環を形成する。第1のC〜C30環は、式Iで示しているフェニル基のうちの1個に縮合している。縮合しているとは、第1のC〜C30環が、式Iで示しているフェニル基の少なくとも2個以上の炭素原子を共有していることを意味する。「縮合している」とは、該環が、式Iで示しているフェニル基の少なくとも2個以上の炭素原子を共有していることを意味している。第1のC〜C30環は、1個又は複数の置換基で置換されていても非置換であってもよい。C〜C30環は、1個又は複数のヘテロ原子を含有してもよい。第1のC〜C30環は、飽和でも部分的不飽和でも完全不飽和でもよい。第1のC〜C30環は、シクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基である。好ましくは、該環は、C〜C18シクロアルキル基、より好ましくはC〜Cシクロアルキル基を含む。
【0018】
、R、R、R及びRは、独立に、水素、C〜C30アルキル基、C〜C30アルケニル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C25アリール基、C〜C25アリールアルキル基、又はC〜C30アルコキシ基である。これらの基のそれぞれは、1個又は複数の置換基で置換されていても非置換であってもよい。C〜C30アルキル基、C〜C30アルケニル基、又はC〜C30アルコキシ基は、分枝鎖でも直鎖でもよい。好ましくは、アルキル基は、C〜C20、より好ましくはC〜C14を含む。好ましくは、アルケニル基は、C〜C20、より好ましくはC〜C14を含む。好ましくは、シクロアルキル基は、C〜C10、より好ましくはC〜Cを含む。好ましくは、アリール基は、C〜C15、より好ましくはC〜C10を含む。好ましくは、アリールアルキル基は、C〜C15、より好ましくはC〜Cを含む。好ましくは、アルコキシ基は、C〜C20、より好ましくはC〜C14を含む。
【0019】
一実施形態では、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって連結して、第2のC〜C30環を形成する。第2のC〜C30環は、式Iで示しているフェニル基のうちの1個に縮合している。第2のC〜C30環は、1個又は複数の置換基で置換されていても非置換であってもよい。第2のC〜C30環は、1個又は複数のヘテロ原子を含有してもよい。第2のC〜C30環は、飽和でも部分的不飽和でも完全不飽和でもよい。第2のC〜C30環は、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、又はアリール基である。好ましくは、該環は、C〜C18シクロアルキル基、より好ましくはC〜Cシクロアルキル基を含む。
【0020】
本明細書でR、R、R、R及びRに関して使用するアルキル基の代表例としては、例えば、1〜30個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素鎖基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル等、それらの混合物及び異性体などが挙げられる。
【0021】
本明細書でR、R、R、R及びRに関して使用するアルケニル基の代表例としては、例えば、2〜30個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素鎖基、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等、それらの混合物及び異性体などが挙げられる。アルケニル基は、1個又は複数の二重結合を有してもよく、ジアルケニル基、トリアルケニル基、テトラアルケニル基等を含んでもよい。
【0022】
本明細書でR、R、R、R及びRに関して使用するシクロアルキル基の代表例としては、例えば、2〜12個の炭素原子を含有する環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等、それらの混合物及び異性体などが挙げられる。該環は、非置換であっても1個若しくは複数の置換基で置換されていてもよく、及び/又は1個若しくは複数のヘテロ原子を含有してもよい。
【0023】
本明細書で、R及びRに関して3〜30個の炭素原子を含有する連結環、又はR及びRに関して3〜30個の炭素原子を含有する連結環に関して使用するシクロアルキル基の代表例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等、それらの混合物及び異性体などが挙げられる。該環は、非置換であっても1個若しくは複数の置換基で置換されていてもよく、及び/又は1個若しくは複数のヘテロ原子を含有してもよい。
【0024】
本明細書で、R及びRに関して3〜30個の炭素原子を含有する連結環、又はR及びRに関して3〜30個の炭素原子を含有する連結環に関して使用するシクロアルケニル基の代表例としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等、それらの混合物及び異性体などが挙げられる。該環は、非置換であっても1個若しくは複数の置換基で置換されていてもよく、及び/又は1個若しくは複数のヘテロ原子を含有してもよい。シクロアルケニル基は、1個又は複数の二重結合を有してもよく、シクロジアルケニル基、シクロトリアルケニル基、シクロテトラアルケニル基等を含んでもよい。
【0025】
本明細書でR、R、R、R及びRに関して使用するアリール基の代表例としては、例えば、5〜25個の炭素原子を含有する芳香族環、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、ビフェニル等、それらの混合物及び異性体などが挙げられる。該環は、非置換であっても1個若しくは複数の置換基で置換されていてもよく、及び/又は1個若しくは複数のヘテロ原子を含有してもよい。
【0026】
本明細書で、R及びRに関して3〜30個の炭素原子を含有する連結環、又はR及びRに関して3〜30個の炭素原子を含有する連結環に関して使用するアリール基の代表例としては、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、ビフェニル等、それらの混合物及び異性体などが挙げられる。該環は、非置換であっても1個若しくは複数の置換基で置換されていてもよく、及び/又は1個若しくは複数のヘテロ原子を含有してもよい。
【0027】
本明細書でR、R、R、R及びRに関して使用するアリールアルキル基の代表例としては、例えば、6〜25個の炭素原子を含有するアルキル基を有する芳香族環、例えば、メチルフェニル、n,n−ジメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル等、それらの混合物及び異性体などが挙げられる。該環は、非置換であっても1個若しくは複数の置換基で置換されていてもよく、及び/又は1個若しくは複数のヘテロ原子を含有してもよい。
【0028】
本明細書でR、R、R、R及びRに関して使用するアルコキシ基の代表例としては、例えば、オキシ基を有し、1〜30個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素鎖基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ等、それらの混合物及び異性体などが挙げられる。
【0029】
、R、R、R、R、R及びRのいずれかが置換されているか、又は置換基である場合、置換基の代表例として、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、ニトロ、オキソ(=O)、チオ(=S)、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アルケニル、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換アリールアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルケニル、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル環、置換若しくは非置換ヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換複素環、−ROH、−RHO、−COOR、−C(O)R、−C(S)R、−C(O)NR、−C(O)ONR、−NRCONR、−N(R)SOR、−N(R)SO、−(=N−N(R)R)、−NRC(O)OR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(S)NR、−SONR、−SONR、−OR、−ORC(O)NR、−ORC(O)OR、−OC(O)R、−OC(O)NR、−RNRC(O)R、−ROR、−RC(O)OR、−RC(O)NR、−RC(O)R、−ROC(O)R、−SR、−SOR、−SO、−ONO、(式中、それぞれのR、R及びRは、1〜30個の炭素の飽和又は不飽和鎖を含む)を挙げ得る。
【0030】
、R、R、R、R、R及びRのいずれかが1個又は複数のヘテロ原子を含有する場合、それらのヘテロ原子は、N、O、Sなどでもよい。
【0031】
一実施形態では、本発明の化合物としては、一般式II:
【化4】


を有するものが挙げられる。
【0032】
、R、R、R、R、R及びRは、上で定義している。
【0033】
別の実施形態では、本発明の化合物としては、一般式III:
【化5】


を有するものが挙げられる。
【0034】
本実施形態では、式Iを参照すると、R及びRは、連結してフェニル基のうちの1個に縮合している飽和6員環を形成する。この文脈では、飽和とは、R及びR基が飽和していることを意味しているが、6員環と縮合フェニル基との間で共有している結合の飽和は意味していない。本実施形態では、Rは水素であり、R、R、R及びRは、上で定義している。
【0035】
別の実施形態では、本発明の化合物としては、一般式IV:
【化6】


を有するものが挙げられる。
【0036】
本実施形態では、式Iを参照すると、R及びRが連結して飽和5員環を形成し、フェニル基のうちの1個に縮合している。本実施形態では、R及びRが連結して飽和6員環を形成し、他方のフェニル基に縮合している。本実施形態では、Rは水素であり、R及びRは、上で定義している。
【0037】
別の実施形態では、本発明の化合物としては、一般式V:
【化7】


を有するものが挙げられる。
【0038】
本実施形態では、式Iを参照すると、R及びRが連結して飽和5員環を形成し、フェニル基のうちの1個に縮合している。Y及びZは、ヘテロ原子並びにそれぞれN、O、及びSを表す。本実施形態では、R及びRが連結して部分的不飽和6員環を形成し、他方のフェニル基に縮合している。本実施形態では、Rは水素であり、R及びRは、上で定義している。
【0039】
別の実施形態では、本発明の化合物としては、一般式VI:
【化8】


を有するものが挙げられる。
【0040】
本実施形態では、式(I)を参照すると、R及びRが連結して飽和5員環を形成し、フェニル基のうちの1個に縮合している。R及びRが連結して飽和7員環を形成し、他方のフェニル基に縮合している。本実施形態では、Rは水素であり、R及びRは、上で定義している。
【0041】
別の実施形態では、本発明の化合物としては、一般式VII:
【化9】


を有するものが挙げられる。
【0042】
本実施形態では、式Iを参照すると、R及びRが連結して飽和5員環を形成し、フェニル基のうちの1個に縮合している。R及びRが連結して飽和5員環を形成し、他方のフェニル基に縮合している。本実施形態では、R及びRは、それぞれ水素であり、Rは、直鎖オクチル基である。
【0043】
別の実施形態では、本発明の化合物としては、一般式VIII:
【化10】


を有するものが挙げられる。
【0044】
本実施形態では、式Iを参照すると、フェニル基のうちの1個に縮合している飽和又は部分的飽和3、4、5、6、7、8、9、10又は11員環を形成するために、R及びRが連結しており、nが1〜9、例えば、2〜7、又は3〜5である。R、R、R、R及びRは、上で定義しているが、ただし、R及びRは連結していない。
【0045】
一実施形態では、前述のアクリダン誘導体は、1種若しくは複数の触媒の存在下で一般式IXのアミノ化合物、一般式Xのハロゲン化アリール化合物、及びアルデヒド、ケトン、カルボン酸、カルボン酸エステルなどのカルボニル化合物、又は一般式XIのアミドを反応させることにより得ることができる。
【化11】

【0046】
、R、R、R、R、R及びRは、上で定義している。Xは、ハロゲン化物である。有用なハロゲン化物としては、臭素、塩素、ヨウ素、及びフッ素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本発明のアクリダン誘導体は、好適な触媒の存在下で、式IXのアミノ化合物及び式Xのハロゲン化アリールを反応させることにより得ることができる。有用な触媒としては、パラジウム含有触媒、銅含有触媒など、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適なパラジウム含有触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、(ジベンジリデンアセテート)パラジウム、(トリス(ジベンジリデンアセテート)ジパラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、(2−(ジフェニルホスフィノ)エチル)パラジウム、パラジウム(0)ビス−(トリ−t−ブチルホスフィン)、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム、ビス(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム、ビス(2−(ジフェニルホスフィノ)エチル)ジクロロパラジウム、PdCl(CHCN)などが挙げられるが、これらに限定されない。好適な銅含有触媒としては、Cu(PPhBr、CuPPh(フェナントリン)Br、CuPPh(1,10−ジメチルフェナントリン)Brなどが挙げられるが、これらに限定されない。該触媒は、好ましくは、反応を促進するのに十分な量で存在する。例えば、一実施形態では、銅含有触媒が使用され、反応物の総重量(溶媒なし)に基づいて、通常約15〜約25重量%の範囲の量で反応中に存在する。別の実施形態では、パラジウム含有触媒が使用され、反応物の総重量(溶媒なし)に基づいて、通常約0.5〜約5重量%、例えば、約1〜約3重量%の範囲の量で反応中に存在する。
【0048】
該触媒は、反応器中の固定床の形態で、又は、例えば、流動床の形態で使用することができ、適切な形状を有することができる。好適な形状としては、例えば、粒体、ペレット、モノリス、球体又は押出物が挙げられる。
【0049】
化合物IX及びXの反応は、アルゴン又は窒素などの不活性ガス雰囲気下で有利に実施される。この反応のための温度は、通常、約80℃〜約150℃、より好ましくは約95℃〜約105℃の範囲であると考えられる。一般に、式IXのアミノ化合物の式Xのハロゲン化アリールに対するモル比は、約0.9:1〜約1:0.9、好ましくは約0.95:1〜約1:0.95の範囲であることができる。
【0050】
化合物IX及びXの反応は、トルエン、及びキシレンを含めた、1種又は複数の溶媒中で実施してもよい。
【0051】
化合物IXとXの間の反応の生成物は、酸触媒の存在下で、及び大気圧条件下で、化合物XIとさらに反応させる。好適な酸触媒としては、硫酸、Dow Chemicals製のDOWEX2030(H)、酸クレイ、メタンスルホン酸等が挙げられる。
【0052】
本発明のこのプロセスでは、反応溶媒を使用することは必要ではないかもしれない。該反応は、約100℃〜約500℃、好ましくは約120℃〜約200℃の範囲の温度で実施することができる。
【0053】
本発明のアクリダン誘導体又はそれらの異性体若しくは異性体混合物は、酸化、熱、及び/又は光による劣化を受け、そのような劣化を予防又は阻害するために安定化を必要としている有機物質を含有する安定剤含有組成物において安定剤として使用してもよい。そのような有機物質の具体例は、以下の通りである。
【0054】
1.モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブト−1−エン、ポリ−4−メチルペント−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィンのポリマー、例えば、シクロペンテン又はノルボルネン、ポリエチレン(場合により架橋することができる)のポリマー、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度及び高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度及び超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
【0055】
ポリオレフィン、すなわち、前段落で例示したモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは、様々な方法、特に以下の方法:(a)ラジカル重合(通常高圧下及び高温で);又は(b)通常周期表の群IVb、Vb、VIb又はVIIIの1種又は複数の金属を含有する触媒を使用する触媒重合により調製することができる。これらの金属は、通常、π配位でもσ配位でもよい1つ若しくは複数の配位子、一般にオキシド、ハライド、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールを有する。これらの金属錯体は、遊離形態であってもよく、又は、基質、一般に活性化塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナ又はケイ素酸化物に固定されていてもよい。これらの触媒は、重合媒体に可溶でも不溶でもよい。該触媒は、重合においてそれだけで使用することができるか、又はさらなる活性剤、一般に金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシド若しくは金属アルキルオキサンを使用してもよく、前記金属は、周期表の群Ia、IIa及び/又はIIIaの元素である。活性剤は、さらなるエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基により適宜変性してもよい。これらの触媒系は、通常、Phillips、Standard Oil Indiana、Ziegler(Natta)、TNZ(DuPont)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)と呼ばれる。
【0056】
2.(1)で述べたポリマーの混合物、例えば、ポリプロピレンとポリイソブチレン、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えばPP/HDPE、PP/LDPE)及び様々なタイプのポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)。
【0057】
3.モノオレフィン及びジオレフィンの相互の、又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれらと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブト−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブト−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えばエチレン/ノルボルネン様COC)、エチレン/1−オレフィンコポリマー(1−オレフィンはin−situで生成する);プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(イオノマー)、並びにエチレンとプロピレンとヘキサジエン、ジシクロペンタジエン若しくはエチリデン−ノルボルネンなどのジエンのターポリマー;並びにそのようなコポリマーの相互の、及び上記(1)で述べたポリマーとの混合物、例えば、ポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EM)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA及び交互(alternating)又はランダムポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー及びそれらと他のポリマー(例えばポリアミド)との混合物。
【0058】
4.それらの水素化変性体(例えば、粘着性付与剤)及びポリアルキレンとデンプンとの混合物を含めた炭化水素樹脂(例えばC〜C)。
【0059】
1.)〜4.)のホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック又はアタクチックを含めた任意の立体構造を有してもよく、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも挙げられる。
【0060】
5.ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0061】
6.スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、特にp−ビニルトルエン、さらには、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセンの全ての異性体、及びそれらの混合物を含めた、ビニル芳香族モノマーから誘導された芳香ホモポリマー及びコポリマー。ホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック又はアタクチックを含めた任意の立体構造を有してもよく、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも挙げられる。
【0062】
6a.エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、マレイン酸無水物、マレイミド、酢酸ビニル及び塩化ビニルから選択される前述のビニル芳香族モノマー及びコモノマー又はそれらのアクリル酸誘導体及び混合物、例えばスチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(共重合体)、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/マレイン酸無水物、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;耐衝撃性のスチレンコポリマーと別のポリマー、例えば、ポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーとの混合物;並びにスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンなどのスチレンのブロックコポリマーを含めたコポリマー。
【0063】
6b.ポリビニルシクロヘキサン(PVCH)と呼ばれることも多い、アタクチックポリスチレンの水素化により調製されたポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)を含めた、(6)で述べたポリマーの水素化から誘導された水素化芳香族ポリマー。
【0064】
6c.(6a)で述べたポリマーの水素化から誘導された水素化芳香族ポリマー。
【0065】
ホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック又はアタクチックを含めた任意の立体構造を有してもよく、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも挙げられる。
【0066】
7.スチレン又はα−メチルスチレンなどのビニル芳香族モノマーのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエンにスチレンがグラフトしたコポリマー、ポリブタジエン−スチレン又はポリブタジエン−アクリロニトリルにスチレンがグラフトしたコポリマー;ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル)がグラフトしたコポリマー;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレートがグラフトしたコポリマー;ポリブタジエンにスチレン及びマレイン酸無水物がグラフトしたコポリマー;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物又はマレイミドがグラフトしたコポリマー;ポリブタジエンにスチレン及びマレイミドがグラフトしたコポリマー;ポリブタジエンにスチレン及びアルキルアクリレート又はメタクリレートがグラフトしたコポリマー;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーにスチレン及びアクリロニトリルがグラフトしたコポリマー;ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレートにスチレン及びアクリロニトリルがグラフトしたコポリマー、アクリレート/ブタジエンコポリマーにスチレン及びアクリロニトリルがグラフトしたコポリマー、並びにそれらと(6)で列挙したコポリマーとの混合物、例えば、ABS、MBS、ASA又はAESポリマーとして知られているコポリマー混合物。
【0067】
8.ポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩素化及び臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化又はスルホ塩素化ポリエチレン、エチレン及び塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ及びコポリマーなどのハロゲン含有ポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、並びに塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマーなどのそれらのコポリマー。
【0068】
9.ポリアクリレート及びポリメタクリレート;ブチルアクリレートにより耐衝撃性が改良されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリルなどの、α,β−不飽和酸及びそれらの誘導体から誘導されたポリマー。
【0069】
10.(9)で述べたモノマーの相互の、若しくは他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレート又はアクリロニトリル/ビニルハロゲン化コポリマー又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0070】
11.不飽和アルコール及びアミン又はアシル誘導体若しくはアセタールから誘導されたポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート又はポリアリルメラミン;並びにそれらと上記(1)で述べたオレフィンのコポリマー。
【0071】
12.ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどの環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、又はそれらのビスグリシジルエーテルとのコポリマー。
【0072】
13.ポリオキシメチレン、及びエチレンオキシドをコモノマーとして含有するポリオキシメチレンなどのポリアセタール;熱可塑性ポリウレタン、アクリレート又はMBSで変性したポリアセタール。
【0073】
14.ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、並びにポリフェニレンオキシドとスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
【0074】
15.一方でヒドロキシル末端ポリエーテル、ポリエステル又はポリブタジエンから、他方で脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートから誘導されたポリウレタン、及びそれらの前駆体。
【0075】
16.ジアミン及びジカルボン酸から、並びに/或いはアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリアミド、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミン及びアジピン酸から出発する芳香族ポリアミド;変性剤としてのエラストマーを用いて、又は用いることなく、ヘキサメチレンジアミン並びにイソフタル又は/及びテレフタル酸から調製されたポリアミド、例えば、ポリ−2,4,4,−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド;さらには前述のポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー又は化学結合若しくはグラフトしたエラストマーとのブロックコポリマー;或いはポリエーテルとのブロックコポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー;並びにEPDM又はABSで変性したコポリアミド又はポリアミド;並びに処理の間に縮合したポリアミド(RIMポリアミド系)。
【0076】
17.ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール。
【0077】
18.ジカルボン酸及びジオールから、及び/又はヒドロキシカルボン酸若しくは対応するラクトンから誘導されたポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)及びポリヒドロキシベンゾエート、並びにヒドロキシル末端ポリエーテルから誘導されたブロックコポリエーテルエステル;さらにはポリカーボネート又はMBSで変性したポリエステル。
【0078】
19.ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。
【0079】
20.ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
【0080】
21.フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン/ホルムアルデヒド樹脂などの、一方でアルデヒド、他方でフェノール、尿素及びメラミンから誘導された架橋ポリマー。
【0081】
22.乾性及び非乾性アルキド(alkyd)樹脂。
【0082】
23.多価アルコール及びビニル化合物を架橋剤として使用して、飽和及び不飽和ジカルボン酸のコポリエステルから誘導された不飽和ポリエステル樹脂、さらには低燃焼性のそれらのハロゲン含有変性体。
【0083】
24.置換アクリレート、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレートから誘導された架橋性アクリル樹脂。
【0084】
25.メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート又はエポキシ樹脂と架橋されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂。
【0085】
26.脂肪族、脂環式、複素環式又は芳香族グリシジル化合物から誘導された架橋エポキシ樹脂、例えば、促進剤を用いて、又は用いることなく、無水物又はアミンなどの通常の硬化剤で架橋された、ビスフェノールA及びビスフェノールFのジグリシジルエーテル生成物。
【0086】
27.セルロース、ゴム、ゼラチンなどの天然ポリマー及びそれらの化学変性した同族誘導体、例えば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース及び酪酸セルロース、又はメチルセルロースなどのセルロースエーテル。
【0087】
28.前述のポリマーのブレンド(ポリブレンド)、例えば、PP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0088】
29.純モノマー化合物又はそのような化合物の混合物である天然及び合成有機物質、例えば、鉱物油、動物及び植物性の脂肪、油及びワックス、又は合成エステル(例えばフタレート、アジペート、ホスフェート又はトリメリテート)に基づいた油、脂肪及びワックス、さらには合成エステルと任意の重量比の鉱物油との混合物、一般に紡糸組成物として使用されるもの、並びにそのような物質の水性乳剤(エマルジョン)。
【0089】
30.天然又は合成ゴムの水性乳剤、例えばカルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーの天然ラテックス(単数又は複数)。
【0090】
好ましい有機物質は、上記の天然、半合成及び合成ポリマーである。本明細書で使用するそのような有機物質の代表例としては、多価アルコール、ウレタン、多価アルコールとウレタンの反応生成物、プラスチック、グリース、屋根板、モーター油、ケーブル、ガスケット、シール、複合タイヤなどのゴム含有組成物、衣料品及びカーペット産業におけるゴム製品、シール、ガスケット、ケーブル及びゴムベルトが挙げられる。
【0091】
本発明のアクリダン誘導体は、相当の安定作用を付与するのに十分な量で有機物質に添加することができる。一般に、この量は、有機物質の総重量により、約0.1重量%〜約5重量%、好ましくは約0.5重量%〜約3重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約2.0重量%と変化してもよい。アクリダン誘導体は、従来の方法により、例えば、造形品の製造の間の任意の所望の段階で、有機物質に組み込むことができる。それらは、例えば、他の物質、懸濁液又は乳剤又は溶液と共に、液体、ペースト、粉末の形態でポリマーに混入することができ、それは、粉末、溶融液、溶液、懸濁液又は乳剤の形態であることができる。
【0092】
本発明の別の実施形態は、少なくとも(a)潤滑粘度の油及び(b)有効量の少なくとも1種の本発明のアクリダン誘導体又はそれらの異性体若しくは異性体混合物を含有する潤滑油組成物である。一般に、潤滑油組成物で使用するための潤滑粘度の油は、多量、例えば、該組成物の総重量に基づいて50重量%を超える、好ましくは約70重量%を超える、より好ましくは約80〜約99.5重量%、最も好ましくは約85〜約98重量%の量で存在してもよい。本発明のアクリダン誘導体は、潤滑油組成物の総重量に基づいて約0.1重量%〜約75重量%、好ましくは0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.5重量%〜約3重量%、より好ましくは約1重量%〜約2重量%の範囲の有効量で潤滑油組成物に添加することができる。
【0093】
本明細書で使用する潤滑粘度の油は、ありとあらゆるそのような用途のための潤滑油組成物、例えば、エンジン油、船舶用シリンダー油、油圧油などの機能液、ギヤ油、変速機油、例えば、自動変速機油等、タービン潤滑剤、コンプレッサー潤滑剤、金属加工潤滑剤、及び他の潤滑油及びグリース組成物の配合で使用される、既知の、又は後に発見される、任意の潤滑粘度の油であってよい。さらに、本明細書で使用する潤滑粘度の油は、場合により、粘度指数向上剤、例えば、ポリマーアルキルメタクリレート;オレフィンコポリマー、例えば、エチレン−プロピレンコポリマー又はスチレン−ブタジエンコポリマーなど、及びそれらの混合物を含有することができる。
【0094】
当業者が容易に理解すると見込まれるように、潤滑粘度の油の粘度は用途次第である。したがって、本明細書で使用する潤滑粘度の油の粘度は、通常、100℃で約2〜約2000センチストーク(cSt)の範囲であると考えられる。一般に、エンジン油として使用される油は、個々に、100℃で約2cSt〜約30cSt、好ましくは約3cSt〜約16cSt、最も好ましくは約4cSt〜約12cStの動粘度範囲を有すると考えられ、所望の最終用途、及び所望のグレードのエンジン油、例えば、0W、0W−20、0W−30、0W−40、0W−50、0W−60、5W、5W−20、5W−30、5W−40、5W−50、5W−60、10W、10W−20、10W−30、10W−40、10W−50、15W、15W−20、15W−30又は15W−40のSAE粘度グレードを有する潤滑油組成物を生じるための完成油中の添加剤に応じて、選択又はブレンドされるであろう。ギヤ油として使用される油は、100℃で約2cSt〜約2000cStの範囲の粘度を有していてよい。
【0095】
蒸留、溶媒精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化、及び再精製が挙げられるが、これらに限定されない多種多様なプロセスを使用して、基油(base stocks)を製造してもよい。再精製油は、製造、汚染、又は以前の使用を通して導入される物質を実質的に含まないものとする。本発明の潤滑油組成物の基油は、任意の天然又は合成潤滑基油でもよい。好適な炭化水素合成油としては、エチレンの重合から、又はポリアルファオレフィン若しくはPAO油などのポリマーを提供するための1−オレフィンの重合から調製された油、又はFisher−Tropschプロセスなどの一酸化炭素及び水素ガスを使用する炭化水素合成手順から調製された油が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、潤滑粘度の好適な油は、もしあれば、少量の、重質留分;例えば、もしあれば、少量の、100℃で約20cSt以上の粘度の潤滑油留分を含むものである。
【0096】
潤滑粘度の油は、天然潤滑油、合成潤滑油又はそれらの混合物から誘導してもよい。好適な油としては、合成ワックス及びスラックワックスの異性化により得られた基油、並びに原油の芳香族及び極性成分の水素化分解(溶媒抽出ではなく)により製造された水素化分解基油が挙げられる。好適な油としては、API Publication 1509、14th Edition、Addendum I、Dec.1998で定義されている全てのAPIカテゴリーI、II、III、IV及びVのものが挙げられる。グループIV基油は、ポリアルファオレフィン(PAO)である。グループV基油としては、グループI、II、III、又はIVに含まれない他の全ての基油が挙げられる。本発明での使用にはグループII、III及びIV基油が好ましいが、これらの好ましい基油は、グループI、II、III、IV及びVの1つ又は複数の基油(base stocks or base oils)を組み合わせることにより調製してもよい。
【0097】
有用な天然油としては、例えば、液化石油、パラフィン、ナフテン又は混合パラフィン−ナフテンタイプの溶媒処理又は酸処理鉱物潤滑油、石炭又はシェールから誘導された油、動物油、植物油(例えば、菜種油、ヒマシ油及びラード油)などの鉱物潤滑油が挙げられる。
【0098】
有用な合成潤滑油としては、重合及び共重合オレフィン、例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)など、並びにそれらの混合物などの炭化水素油及びハロ置換炭化水素油;ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)−ベンゼンなどのアルキルベンゼン;ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニルなどのポリフェニル;アルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド並びにそれらの誘導体、類似体及び同族体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
他の有用な合成潤滑油としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブテン、ペンテンなどの、5個未満の炭素原子のオレフィンの重合により製造された油、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。そのようなポリマー油の調製方法は、当業者によく知られている。
【0100】
さらなる有用な合成炭化水素油としては、適切な粘度を有するアルファオレフィンの液体ポリマーが挙げられる。特に有用な合成炭化水素油は、例えば、1−デセン三量体などの、C〜C12アルファオレフィンの水素化液体オリゴマーである。
【0101】
有用な合成潤滑油の別のクラスは、アルキレンオキシドポリマー、すなわち、末端のヒドロキシル基が、例えば、エステル化又はエーテル化により変性された、ホモポリマー、共重合体、及びそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。これらの油は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキル及びフェニルエーテル(例えば、約1,000の平均分子量を有するメチルポリプロピレングリコールエーテル、約500〜約1000の分子量を有するポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、約1,000〜約1,500の分子量を有するポリプロピレングリコールのジエチルエーテル等)、或いは、例えば、酢酸エステル、混合C〜C脂肪酸エステルなどのそれらのモノ及びポリカルボン酸エステル、或いはテトラエチレングリコールのC13オキソ酸ジエステルの重合を用いて調製された油により例示される。
【0102】
有用な合成潤滑油のさらに別のクラスは、ジカルボン酸、例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸等と、様々なアルコール、例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール等とのエステルを含むが、これらに限定されない。これらのエステルの具体例としては、ジブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ−n−ヘキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジエイコシルセバケート、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸を2モルのテトラエチレングリコール及び2モルの2−エチルヘキサン酸と反応させることにより形成された複合エステルなどが挙げられる。
【0103】
合成油として有用なエステルとしては、アルコール、例えば、メタノール、エタノール等、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどの多価アルコール及び多価アルコールエーテルを使用して約5〜約12個の炭素原子を有するカルボン酸から製造されたものも挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
例えば、ポリアルキル、ポリアリール、ポリアルコキシ又はポリアリールオキシシロキサン油及びシリケート油などのケイ素系油は、別の有用なクラスの合成潤滑油を含む。これらの具体例としては、テトラエチルシリケート、テトラ−イソプロピルシリケート、テトラ−(2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(4−メチル−ヘキシル)シリケート、テトラ−(p−tert−ブチルフェニル)シリケート、ヘキシル−(4−メチル−2−ペントキシ)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン、ポリ(メチルフェニル)シロキサンなどが挙げられるが、これらに限定されない。さらに他の有用な合成潤滑油としては、リン含有酸の液体エステル、例えば、トリクレシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、デカンホスホン酸のジエチルエステル等、ポリマーテトラヒドロフランなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
潤滑粘度の油は、天然、合成のいずれかの未精製、精製及び再精製油、又は本明細書で上で開示したタイプのこれらの任意の2つ以上の混合物から誘導してもよい。未精製油は、さらなる精製又は処理をすることなく、天然又は合成原料(例えば、石炭、シェール、又はタールサンドビチューメン)から直接得られたものである。未精製油の例としては、それぞれがさらに処理されることなく次に使用される、レトルト操作から直接得られたシェール油、蒸留から直接得られた石油又はエステル化プロセスから直接得られたエステル油が挙げられるが、これらに限定されない。精製油は、1種又は複数の特性を改善するために1種又は複数の精製ステップでさらに処理されたこと以外は、未精製油と類似している。これらの精製技法は、当業者に知られており、例えば、溶媒抽出、二次蒸留、酸又は塩基抽出、濾過、パーコレ−ション、水素化処理、脱蝋等を含む。再精製油は、精製油を得るのに使用されたものと類似のプロセスで使用済油を処理することにより得られる。そのような再精製油は、再生又は再加工油としても知られており、使用済添加剤及び油分解生成物の除去を目的とした技法によりさらに加工されることが多い。
【0106】
ワックスの水素異性化から誘導された潤滑油基油も、単独で、或いは前述の天然及び/又は合成基油との組合せで使用してもよい。そのようなワックス異性化油は、水素異性化触媒による天然若しくは合成ワックス又はそれらの混合物の水素異性化により製造される。
【0107】
天然ワックスは、一般に、鉱物油の溶媒脱蝋により回収されたスラックワックスであり、合成ワックスは、一般に、Fischer−Tropschプロセスにより製造されたワックスである。
【0108】
本発明のアクリダン誘導体又はそれらの異性体若しくは異性体混合物は、潤滑剤配合で現在使用されている市販の酸化防止剤の完全又は部分的代替品として使用することができ、一般にモーター油及び燃料に含まれている他の添加剤と組み合わせることができる。油配合物で使用される他のタイプの酸化防止剤又は添加剤と組み合わせて使用する場合、相乗的及び/又は相加的な性能効果は、改善された耐酸化性、耐摩耗性、摩擦及び洗浄力及び高温エンジンデポジット特性に関しても得ることができる。そのような他の添加剤は、潤滑油組成物の配合で使用される既知の、又は後に発見される、任意の添加剤であることができる。一般に潤滑油に含まれている潤滑油添加剤は、例えば、分散剤、清浄剤、腐食/錆防止剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、消泡剤、摩擦調整剤、シール膨張剤、乳化剤、VI向上剤、流動点降下剤などである。有用な潤滑油組成物添加剤の記載に関して、例えば、その開示が参照により本明細書に完全に組み込まれる米国特許第5,498,809号明細書を参照のこと。
【0109】
分散剤の例としては、ポリイソブチレンスクシンイミド、ポリイソブチレンスクシネートエステル、Mannich Base無灰分散剤などが挙げられる。清浄剤の例としては、金属及び無灰アルキルフェネート、金属及び無灰硫化アルキルフェネート、金属及び無灰アルキルスルホネート、金属及び無灰アルキルサリチレート、金属及び無灰サリゲニン誘導体などが挙げられる。
【0110】
他の酸化防止剤の例としては、アルキル化ジフェニルアミン、N−アルキル化フェニレンジアミン、フェニル−ナフチルアミン、アルキル化フェニル−ナフチルアミン、ジメチルキノリン、トリメチルジヒドロキノリン及びそこから誘導されたオリゴマー組成物、ヒンダードフェノール、アルキル化ヒドロキノン、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、チオプロピオン酸、金属ジチオカルバメート、1,3,4−ジメルカプトチアジアゾール及び誘導体、油溶性銅化合物などが挙げられる。そのような添加剤の代表例は、Chemtura Corporationのような供給源から市販されているものであり、例えば、Naugalube(登録商標)438、Naugalube438L、Naugalube640、Naugalube635、Naugalube680、Naugalube AMS、Naugalube APAN、Naugard PANA、Naugalube TMQ、Naugalube531、Naugalube431、Naugard(登録商標)BHT、Naugalube403、Naugalube420などが挙げられる。
【0111】
本発明の添加剤と組み合わせて使用することができる耐摩耗添加剤の例としては、有機ボレート、有機ホスファイト、有機ホスフェート、有機硫黄含有化合物、硫化オレフィン、硫化脂肪酸誘導体(エステル)、塩素化パラフィン、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、ジアルキルジチオリン酸エステル、ジアリールジチオリン酸エステル、リン硫化炭化水素などが挙げられる。そのような添加剤の代表例は、Lubrizol677A、Lubrizol1095、Lubrizol1097、Lubrizol1360、Lubrizol1395、Lubrizol5139、Lubrizol5604などのThe Lubrizol Corporationから市販されているもの、及びIrgalube353などのCiba Corporationから市販されているものである。
【0112】
摩擦調整剤の例としては、脂肪酸エステル及びアミド、有機モリブデン化合物、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、二硫化モリブデン、トリ−モリブデンクラスタージアルキルジチオカルバメート、非硫黄モリブデン化合物などが挙げられる。そのような摩擦調整剤の代表例は、Molyvan A、Molyvan L、Molyvan807、Molyvan856B、Molyvan822、Molyvan855などのR.T.Vanderbilt Company Inc.から市販されているもの;SAKURA−LUBE100、SAKURA−LUBE165、SAKURA−LUBE300、SAKURA−LUBE310G、SAKURA−LUBE321、SAKURA−LUBE474、SAKURA−LUBE600、SAKURA−LUBE700などのAsahi Denka Kogyo K.K.から市販されているもの;及びKetjen−Ox 77M、Ketjen−Ox 77TSなどのAkzo Nobel Chemicals GmbHから市販されているものである。
【0113】
消泡剤の一例は、ポリシロキサンなどである。防錆剤の例は、ポリオキシアルキレン多価アルコール、ベンゾトリアゾール誘導体などである。VI向上剤の例としては、オレフィンコポリマー及び分散剤オレフィンコポリマーなどが挙げられる。流動点降下剤の一例は、ポリメタクリレートなどである。
【0114】
上述の通り、好適な耐摩耗化合物の例としては、ジチオリン酸ジヒドロカルビルが挙げられる。好ましくは、ヒドロカルビル基は、平均で少なくとも3個の炭素原子を含有する。特に有用なのは、少なくとも1つのジヒドロカルビルジチオリン酸の金属塩であり、ヒドロカルビル基は、平均で少なくとも3個の炭素原子を含有する。そこからジヒドロカルビルジチオホスフェートを誘導することができる酸は、一般式:
【化12】


(式中、R及びRは、同じ若しくは異なり、直鎖若しくは分枝鎖アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルカリール、又は上記のいずれかの基の、置換された実質的なヒドロカルビル基誘導体であり、該酸の中のR及びR基は、それぞれ、平均で少なくとも3個の炭素原子を有する)の酸により例示することができる。「実質的なヒドロカルビル」とは、その基の炭化水素特性に実質的に影響しない置換基を含有する基、例えば、エーテル、エステル、チオ、ニトロ、又はハロゲンなどの、例えば、基部分当たり1〜4個の置換基を含有する基を意味する。
【0115】
好適なR及びR基の具体例としては、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、n−ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、ジイソブチル、イソオクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ブチルフェニル、o,p−ジペンチルフェニル、オクチルフェニル、ポリイソブテン−(分子量350)−置換フェニル、テトラプロピレン−置換フェニル、β−オクチルブチルナフチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、クロロフェニル、o−ジクロロフェニル、ブロモフェニル、ナフテニル、2−メチルシクロヘキシル、ベンジル、クロロベンジル、クロロペンチル、ジクロロフェニル、ニトロフェニル、ジクロロデシル及びキセニル基が挙げられる。約3〜約30個の炭素原子を有するアルキル基及び約6〜約30個の炭素原子を有するアリール基が好ましい。特に好ましいR及びR基は、4〜約18個の炭素原子のアルキルである。
【0116】
ジチオリン酸は、リンペンタスルフィド及び脂肪族アルコール及び/又はフェノールの反応により、容易に入手可能である。該反応は、少なくとも、約20℃〜200℃の範囲の温度で、約4モルのアルコール又はフェノールを1モルのリンペンタスルフィドと混合することを伴う。硫化水素は、反応が生じるにつれて遊離することができる。アルコール、フェノール、又は両方の混合物、例えば、C〜C30アルコール、C〜C30芳香族アルコールの混合物等を使用することができる。リン酸塩を形成するのに有用な金属としては、I族金属、II族金属、アルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、コバルトが挙げられるが、これらに限定されず、ニッケル並びに亜鉛が好ましい金属である。酸と反応させることができる金属化合物の例としては、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、リチウムペンチレート、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメチレート、ナトリウムプロピレート、ナトリウムフェノキシド、酸化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カリウムメチレート、酸化銀、炭酸銀、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウムエチレート、マグネシウムプロピレート、マグネシウムフェノキシド、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、カルシウムメチレート、カルシウムプロピレート、カルシウムペンチレート、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、亜鉛プロピレート、酸化ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、酸化カドミウム、水酸化カドミウム、炭酸カドミウム、カドミウムエチレート、酸化バリウム、水酸化バリウム、バリウム水化物、炭酸バリウム、バリウムエチレート、バリウムペンチレート、酸化アルミニウム、アルミニウムプロピレート、酸化鉛、水酸化鉛、炭酸鉛、酸化スズ、スズブチレート、酸化コバルト、水酸化コバルト、炭酸コバルト、コバルトペンチレート、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケルなど、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0117】
場合により、特定の成分、特にカルボン酸又は金属カルボキシレートの組み込み、例えば、金属反応物と共に使用される少量の金属アセテート又は酢酸の組み込みは、反応を促進し、改善された生成物をもたらすであろう。例えば、必要量の酸化亜鉛と組み合わせた最大で約5%の酢酸亜鉛の使用は、ジチオリン酸亜鉛の形成を促進する。
【0118】
ジチオリン酸金属の調製は、当技術分野でよく知られている。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,293,181号、同第3,397,145号、同第3,396,109号、及び同第3,442,804号明細書を参照のこと。耐摩耗添加剤としてやはり有用なのは、その開示が参照により本明細書に完全に組み込まれる米国特許第3,637,499号明細書に記載されているような、ジチオリン酸化合物のアミン誘導体である。
【0119】
亜鉛塩は、最も一般的に、潤滑油組成物の総重量に基づいて約0.1〜約10、好ましくは約0.2〜約2重量%の範囲の量で、潤滑油中で耐摩耗添加剤として使用される。それらは、知られている技法に従って、例えば、最初に、通常、アルコール及び/又はフェノールとPの反応によりジチオリン酸を形成すること、次いで、ジチオリン酸を好適な亜鉛化合物で中和することにより調製してもよい。
【0120】
第一及び第二アルコールの混合物を含めたアルコールの混合物は、一般に、改善された耐摩耗特性を付与するために第二アルコールを、熱安定性を付与するために第一のアルコールを使用することができる。一般に、任意の塩基性又は中性亜鉛化合物を使用することができるが、その酸化物、水酸化物、及びカーボネートが、最も一般に使用される。市販の添加剤は、中和反応において過剰の塩基性亜鉛化合物を使用するため、過剰の亜鉛を含有することが多い。
【0121】
ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)は、ジチオリン酸のジヒドロカルビルエステルの油溶性塩であり、以下の一般式:
【化13】


(式中、R及びRは、前述の意味を有する。)
により表すことができる。
【0122】
本発明の潤滑油組成物は、これらの添加剤を含有する場合、一般に、その中の添加剤が、通常それらに付随する機能を提供するのに有効であるような量で基油にブレンドされる。そのような添加剤の代表的有効量は、表1に例示している。
表1
【表1】

【0123】
他の添加剤が使用される場合、本発明のアクリダン由来添加剤の濃縮溶液又は分散液を(本明細書で記載する濃縮量で)1種又は複数の他の添加剤と共に含む添加剤濃縮物を調製することが、必要ではないが望ましいと考えられ(その濃縮物は、添加剤混合物を構成する場合、本明細書では、添加剤パッケージ(additive−package)と呼ぶ)、それにより、潤滑油組成物を形成するためにいくつかの添加剤を同時に基油に添加することができる。添加剤濃縮物の潤滑油への溶解は、例えば、溶媒により、及び穏やかな加熱を伴う混合により促進することができるが、これは不可欠ではない。添加剤パッケージを所定量のベース潤滑剤と組み合わせる場合、最終配合物において所望の濃度を提供するために、該濃縮物又は添加剤パッケージは、一般に添加剤を適切な量で含有するように配合されるであろう。したがって、本発明のアクリダン由来添加剤は、活性成分を適切な割合で、添加剤の重量換算で、一般に、約2.5〜約90重量パーセント、好ましくは約15〜約75重量パーセント、より好ましくは約25重量パーセント〜約60重量パーセントの総量で含有し、残りは基油である添加剤パッケージを形成するために、他の望ましい添加剤と共に少量の基油又は他の相溶性溶媒に添加することができる。最終配合物は、一般に、約1〜20重量パーセントの添加剤パッケージを使用することができ、残りは基油である。
【0124】
本明細書で表した全ての重量パーセントは(別段の定めのない限り)、添加剤の活性成分(AI)含有量、及び/又は各添加剤のAI重量と全体の油若しくは希釈液の重量の合計であると見込まれる、任意の添加剤パッケージ、若しくは配合物の総重量に基づいている。一般に、本発明の潤滑剤組成物は、約0.05〜約30重量パーセントの範囲の濃度で添加剤を含有する。該油組成物の総重量に基づいて約0.1〜約10重量パーセントの範囲の添加剤の濃度範囲が好ましい。より好ましい濃度範囲は、約0.2〜約5重量パーセントである。添加剤の油濃縮物は、担体又は潤滑油粘度の希釈油中に、約1〜約75重量パーセントの添加剤を含有することができる。
【0125】
特定の実施形態を参照しながら本発明を記載及び例示してきたが、当業者は、本発明が、必ずしも本明細書で例示しているわけではない変法に適していることを理解するであろう。次いで、このため、本発明の真の範囲を画定する目的のために、添付の特許請求の範囲のみを参照すべきである。
【実施例】
【0126】
以下の実施例は、本発明による化合物の多くの利点を例示する。
【0127】
(実施例1)
2−アミノインダン(39.8g、300mmol)、2−ブロモインダン(65g、329mol)及び50%NaOH(22mL)のトルエン(220mL)混合物を窒素で45分間パージした。ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(1.6g、3.2mmol)及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド(0.56g、1.6mmol)を窒素流下でフラスコに添加した。次いで、混合物を約100Cで4日間加熱し、次いで、撹拌することなく終夜冷却させた。混合物をセライトで濾過し、濾過ケークをトルエンですすいだ。その溶液を水(100mL)で抽出し、真空蒸留により濃縮した。真空を有する短路Kugelrohr装置で、得られた残渣を蒸留した。前留分を0.89Tで140Cまで回収した。160Cへのさらなる加熱の後(0.6〜3.6Tで)、生成物(73g、97%収率)を明るい帯黄色の油として蒸留し、それを放置して凝固させた。GC/FID分析は、99%(面積%により)の純度を示した。生成物をヘキサン中でさらに再結晶化させて、無色の固体を得た。この反応は、スキームIで以下に全体的に示す。
スキームI
【化14】

【0128】
得られたβ,β−ジインダンアミンは、C1819Nという実験式及び249.36の重量平均分子量を有していた。収率は、73g、97%であった。
【0129】
β,β−ジインダンアミン(5.00グラム、20.05mmol、1.00等量)を周囲条件下で250mL丸底フラスコに添加し、その後、ノナナール(3.14グラム、22.06mmol、1.10等量)、及びDowex(登録商標)2030(H)(2.0グラム)を添加した。反応を150℃まで24時間加熱し、2グラムの炭酸カリウムを含有する100mLの水に混合物を注入し、100mLヘキサンで2回抽出し、有機相を水(100mL、2回)で洗浄した。次いで、有機相を無水MgSOで乾燥させ、真空蒸留を介して全ての溶媒を除去して、明るい帯黄色の液体として生成物を得た(6.1グラム、収率:81%)。この反応は、スキームIIで以下に全体的に示す。
スキームII
【化15】

【0130】
得られたアクリダン誘導体化合物は、C2735Nという実験式及び373.58の重量平均分子量を有していた。収率は、4.5g、88%であった。
【0131】
(実施例2)
モーター油配合物に1重量パーセントの実施例1のβ,β−ジインダンアミンをブレンドして、SAE10W−30モーター油配合物を形成した。SAE10W−30モーター油配合物を表2で説明する。
表2
SAE10W−30モーター油配合物(ベースブレンド)
【表2】

【0132】
(実施例3)
モーター油配合物に実施例1の1重量パーセントのアクリダン誘導体化合物をブレンドして、SAE10W−30モーター油配合物を形成した。SAE10W−30モーター油配合物を表2で説明する。
【0133】
(比較例A)
SAE10W−30モーター油配合物の調製
いかなるタイプの酸化防止剤も添加することなく、表2で説明したSAE10W−30モーター油配合物を調製した。
【0134】
(比較例B)
SAE10W−30モーター油配合物の調製
表2で説明したSAE10W−30モーター油配合物に、1重量パーセントのアルキル化ジフェニルアミン(Naugalube438Lとして市販されている)をブレンドした。NL438Lは、一般式XIV:
【化16】


を有するモノアルキル化、ジ−アルキル化、トリアルキル化Cオレフィンの混合物である。
【0135】
(比較例C)
SAE10W−30モーター油配合物の調製
表2で説明したSAE10W−30モーター油配合物に1重量パーセントの一般式XV:
【化17】


を有する化合物をブレンドした。
【0136】
(実施例4)
中高温熱酸化エンジン油シミュレーション試験
モーターエンジン油のデポジット形成傾向を求めるために中高温熱酸化エンジン油シミュレーション試験(TEOST MHT(登録商標)、ASTM D7097)を実施した。エンジン油配合物の安定化における本発明の添加剤の改善された熱デポジット抑制が、MHT TEOSTにより明確に証明された。この試験は、反復的に流れている8.5mlの試験油に熱−酸化及び触媒条件下で連続的にストレスをかけることにより、特別に構成されたスチールロッド上に形成されたデポジットの質量を求める。使用した機器は、Tannas Co.製であり、0.15(x+16)mg(式中、xは、2つ以上の反復試験の結果の平均である)の一般的反復精度を有していた。TEOST試験条件は、表3に列挙している。得られたデポジットの量が少ないほど、該油の酸化安定性が良好である。この試験の結果は、表4で説明している。
表3
TEOST MHT試験条件
【表3】


表4
TEOST結果
【表4】

【0137】
上記データから、実施例1から生成した化合物の実施例2及び3の潤滑油組成物への添加が、ベースブレンド配合物の総デポジット質量を有意に低減させることが分かり得る。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化1】


(式中、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって連結して、第1のC〜C30環を形成し、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に置換基である。)
を有する化合物。
【請求項2】
以下の一般式:
【化2】


を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、R、R、R及びRが、独立に、水素、C〜C30アルキル基、C〜C30アルケニル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C25アリール基、C〜C25アリールアルキル基、又はC〜C30アルコキシ基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
〜C30アルキル基、C〜C30アルケニル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C25アリール基、C〜C25アリールアルキル基、又はC〜C30アルコキシ基が1個又は複数の置換基で置換されている、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
及びRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって連結して、第2のC〜C30環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
及びRが連結して、飽和5、6又は7員環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
及びRが連結して、部分的不飽和又は完全不飽和5、6又は7員環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
以下の一般式:
【化3】


(式中、R及びRは連結して飽和6員環を形成し、Rは水素である。)
をさらに含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
以下の一般式:
【化4】


(式中、R及びRは連結して飽和5員環を形成し、R及びRは連結して飽和6員環を形成し、Rは水素である。)
をさらに含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
以下の一般式:
【化5】


(式中、R及びRは連結して飽和5員環を形成し、R及びRは連結して飽和6員環を形成し、Rは水素であり、Z及びYはヘテロ原子である。)
をさらに含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
以下の一般式:
【化6】


(式中、R及びRは連結して飽和5員環を形成し、R及びRは連結して飽和7員環を形成し、Rは水素である。)
をさらに含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
以下の一般式:
【化7】


(式中、R及びRは連結して飽和5員環を形成し、R及びRは連結して飽和5員環を形成し、R及びRは水素であり、Rは直鎖オクチル基である。)
をさらに含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
少なくとも1種の潤滑粘度の油;及び
有効量の、請求項1に記載の一般式を有する少なくとも1種の化合物を改善する酸化防止剤
を含む潤滑油組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の潤滑粘度の油が、エンジン油、変速機油、油圧油、ギヤ油、船舶用シリンダー油、コンプレッサー油、冷凍機用潤滑剤及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の潤滑油組成物。
【請求項15】
酸化防止剤、耐摩耗剤、清浄剤、防錆剤、濁り除去剤、乳化破壊剤、金属不活性化剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、補助溶剤、パッケージ相溶化剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧剤及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の潤滑油添加剤をさらに含む、請求項13に記載の潤滑油組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の潤滑油添加剤を有する潤滑油組成物が、約0.1重量パーセント未満のリン含有量を有する、請求項13に記載の潤滑油組成物。
【請求項17】
アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化ヒンダードフェノール、アルキル化置換又は非置換フェニレンジアミン、アルキル化油溶性銅化合物、酸化安定性を付与することが知られているアルキル化硫黄含有化合物及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の潤滑油添加剤をさらに含む、請求項13に記載の潤滑油組成物。
【請求項18】
酸化安定性を付与することが知られているアルキル化硫黄含有化合物が、フェノチアジン、硫化オレフィン、チオカルバメート、硫黄を含むヒンダードフェノール、ジアルキルジチオリン酸亜鉛及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の潤滑油組成物。
【請求項19】
デポジットに関する熱酸化エンジン油シミュレーション試験(TEOST)結果が50mg未満である、請求項13に記載の潤滑油組成物。
【請求項20】
約0.1〜約75重量パーセントの請求項1に記載の一般式を有する少なくとも1種の化合物を含む添加剤パッケージ。
【請求項21】
数平均分子量が350を超える、請求項20に記載の添加剤パッケージ。
【請求項22】
酸化、熱、及び/又は光による劣化を受け、その劣化を予防又は阻害するために安定化を必要としている有機物質;並びに
安定化有効量の、請求項1に記載の一般式を有する少なくとも1種の化合物
を含む安定化剤含有組成物。
【請求項23】
安定化量の、請求項1に記載の一般式を有する少なくとも1種の化合物を有機物質に添加することを含む、酸化、熱、及び/又は光による劣化を受け、その劣化を予防又は阻害するために安定化を必要としている有機物質を安定化するための方法。
【請求項24】
少なくとも1個の窒素に結合した少なくとも2個のフェニル基;
フェニル基のうちの1個に縮合した第1の環
を含む化合物。
【請求項25】
他のフェニル基のうちの1個に縮合した第2の環をさらに含む、請求項24に記載の化合物。

【公表番号】特表2011−503079(P2011−503079A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533148(P2010−533148)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/081254
【国際公開番号】WO2009/064604
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【Fターム(参考)】