説明

酸化防止剤としての二環芳香族アミン誘導体

一般式(I)(式中、R及びRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、相互に結合してC〜C30環を形成し、Rはアリル、ベンジル又はメタリル基である)を有する二環芳香族アミン化合物。R、R、及びRは、独立に、水素、C〜C30アルキル基、C〜C30アルケニル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C25アリール基、C〜C25アリールアルキル基、又はC〜C30アルコキシ基である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に、酸化、熱、及び/又は光誘起によって劣化しやすい有機製品を安定させるための添加剤に関する。より詳細には、本発明は、酸化防止剤として有用な1クラスの二環芳香族アミン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化防止剤又はその他の安定剤を用いて有機材料を安定させることは、当業者によく知られている。例えば、潤滑油を開発する際に、例えばそれに酸化防止、耐摩耗及びデポジット制御の特性を付与する添加剤を提供するための多くの試みがなされてきた。長年、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)が、潤滑油に対する耐疲労、耐摩耗、酸化防止、極圧及び摩擦調整添加剤として用いられてきた。しかし、ZDDPは、それが亜鉛及びリンを含有することから、幾つかの欠点を免れない。例えば、亜鉛の存在は、排気中に亜鉛含有粒子を放出する一因となり、このことが潜在的に毒物学的及び環境的な問題になる。また、リン含有潤滑油組成物がエンジンの燃焼反応に取り込まれる際に、リンが排気流に入り、そこで触媒コンバーターに対する触媒毒として作用する。このように、リンには、汚染を低減するために車両に使用される触媒コンバーターの耐用年数を制限する疑いがある。
【0003】
したがって、潤滑油の酸化防止特性を維持しつつ、毒物学的及び環境的な理由で、エンジン使用中の粒子状物質の形成及び汚染を制限することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、酸化、熱、及び/又は光によって劣化しやすく、このような劣化を防止又は抑制するための安定化が必要な有機製品を安定させるために、改良された添加剤、例えば油の酸化防止特性を改善することができる潤滑油用の添加剤を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様において、一般式I:
【化1】


を有する化合物を提供する。
【0006】
この態様では、R及びRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、相互に結合して第1のC〜C30環を形成する。第1のC〜C30環は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、又は置換されていなくてもよい。第1のC〜C30環は、1つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよい。第1のC〜C30環は、飽和、部分的に不飽和、又は完全に不飽和であってもよい。任意選択の様々な実施形態において、R及びRは、結合して5、6、又は7員環を形成する。
【0007】
この態様では、Rはアリル、ベンジル、又はメタリル基である。Rは、結合する窒素と一緒になって、化合物を電子求引基にすることができる。
【0008】
この態様では、R、R、及びRは、それぞれ独立に、置換基である。一実施形態では、R及びRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、相互に結合して第2のC〜C30環を形成する。第2のC〜C30環は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、又は置換されていなくてもよい。第2のC〜C30環は、1つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよい。第2のC〜C30環は、飽和、部分的に不飽和、又は完全に不飽和であってもよい。任意選択の様々な実施形態において、R及びRは、結合して5、6、又は7員環を形成する。
【0009】
本発明の第2の態様では、本発明の化合物は、一般式II:
【化2】


を有する化合物を含む。
【0010】
この態様では、R、R、R、R、R、及びRは、上で定義されている。Rは、C〜C30アルキル基、C〜C30アルケニル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C25アリール基、C〜C25アリールアルキル基、又はC〜C30アルコキシ基である。これらの各基は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、又は置換されていなくてもよい。C〜C30アルキル基、C〜C30はアルケニル基、又はC〜C30アルコキシ基は、分岐状又は直鎖状であってもよい。
【0011】
本発明の第3の態様では、潤滑粘度の少なくとも1種の油と、酸化防止特性改善有効量の少なくとも1種の一般式I又は一般式IIを有する化合物とを含む潤滑油組成物を提供する。この潤滑粘度の油は、エンジンオイル、変速機油、油圧油、ギアオイル、舶用シリンダー油、圧縮機油、冷却潤滑剤、及びそれらの混合物を含むことができる。一実施形態では、この潤滑油組成物は、酸化防止剤、耐摩耗剤、清浄剤、錆防止剤、濁り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、共溶媒、パッケージ相溶化剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧添加剤及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の潤滑油添加剤をさらに含む。好ましくは、潤滑油添加剤のリン含有量は約0.1重量パーセント未満、例えば、0.5重量パーセント未満、又は0.01重量パーセント未満である。別の実施形態では、潤滑油組成物は、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化ヒンダードフェノール類、置換又は非置換アルキル化フェニレンジアミン、アルキル化油溶性銅化合物、酸化安定性を付与することが知られているアルキル化硫黄含有化合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される潤滑油添加剤をさらに含む。酸化安定性を付与することが知られているアルキル化硫黄含有化合物は、フェノチアジン、硫化オレフィン、チオカルバメート、硫黄含有ヒンダードフェノール類、ジアルキルジチオリン酸亜鉛及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0012】
一実施形態では、潤滑油組成物は、50mg未満、例えば、40mg未満、30mg未満、又は20mg未満のデポジットに関する熱酸化エンジンオイル刺激試験(TEOST)結果を有する。
【0013】
本発明の第4の態様では、一般式I又は式IIを有する少なくとも1種の化合物の約0.1〜約75重量パーセント、例えば、約0.5〜約3重量パーセント、又は約1〜約2重量パーセントを含む、添加剤パッケージを提供する。
【0014】
本発明の第5の態様では、酸化、熱、及び/又は光誘起によって劣化しやすく、このような劣化を防止又は抑制するための安定化が必要な有機材料と、安定化有効量の少なくとも1種の一般式I又は式IIの化合物とを含む安定剤含有組成物を提供する。
【0015】
本発明の第6の態様では、酸化、熱、及び/又は光によって劣化しやすく、このような劣化を防止又は抑制するための安定化が必要な有機材料を安定させるための方法であって、安定化量の一般式I又はIIを有する少なくとも1種の化合物を、該有機材料に添加するステップを含む方法を提供する。
【0016】
本発明の第7の態様では、1つの窒素に結合した少なくとも2つのフェニル基(該窒素は、当該化合物が電子求引基になることができるように、炭素含有置換基にさらに結合している)を有する二環芳香族アミンと、該フェニル基の一方に縮合している第1の環とを含む化合物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一実施形態では、本発明は、一般式I:
【化3】


を有する1クラスの二環芳香族アミン誘導体を対象とする。
【0018】
本実施形態では、R及びRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、相互に結合して第1のC〜C30環を形成する。第1のC〜C30環は、式Iに示すフェニル基の一方と縮合する。「縮合する(fused)」とは、この環が、式Iに示すフェニル基の少なくとも2つ以上の炭素原子を共有することを意味する。第1のC〜C30環は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、又は置換されていなくてもよい。第1のC〜C30環は、1つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよい。第1のC〜C30環は、飽和、部分的に不飽和、又は完全に不飽和であってもよい。第1のC〜C30環は、シクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基であってよい。任意選択の様々な実施形態では、環は、C〜C18シクロアルキル基、及びより好ましくは、C〜Cシクロアルキル基を含む。
【0019】
本実施形態では、Rは、アリル、ベンジル、メタリル基など、又はその置換基であってよい。Rは、それが結合する窒素と一緒になって、化合物が電子求引基(EWG)になることができるようにしてもよい。本明細書で使用するEWGとは、反応の中心から離れて電子を求引する、基の能力を指す。任意選択の幾つかの実施形態では、Rは、ハロゲン化物を含めた弱活性化EWG、カルボン酸、カルボニル、他の炭素含有置換基などを含めた軽活性化EWG、又はニトリル、スルホン酸塩、他の炭素含有置換基などの強活性化EWGなどのEWGであってもよい。
【0020】
本実施形態では、R、R、及びRは、独立に、水素、C〜C30アルキル基、C〜C30アルケニル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C25アリール基、C〜C25アリールアルキル基、又はC〜C30アルコキシ基である。それらの基のそれぞれは、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、又は置換されていなくてもよい。C〜C30アルキル基、C〜C30アルケニル基、又はC〜C30アルコキシ基は、分岐状又は直鎖状であってもよい。
【0021】
好ましくは、アルキル基はC〜C20を含み、より好ましくはC〜C14を含む。好ましくは、アルケニル基はC〜C20を含み、より好ましくはC〜C14を含む。好ましくは、シクロアルキル基はC〜C10を含み、より好ましくはC〜Cを含む。好ましくは、アリール基はC〜C15を含み、より好ましくはC〜C10を含む。好ましくは、アリールアルキル基はC〜C15を含み、より好ましくはC〜Cを含む。好ましくは、アルコキシ基はC〜C20を含み、より好ましくはC〜C14を含む。
【0022】
一実施形態では、R及びRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、相互に結合して第2のC〜C30環を形成する。第2のC〜C30環は、式Iに示すフェニル基の一方と縮合する。第2のC〜C30環は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、又は置換されていなくてもよい。第2のC〜C30環は、1つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよい。第2のC〜C30環は、飽和、部分的に不飽和、又は完全に不飽和であってもよい。第2のC〜C30環は、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、又はアリール基である。好ましくは、この環はC〜C18シクロアルキル基を含み、より好ましくはC〜Cシクロアルキル基を含む。
【0023】
例えば、R、R、R及びRに関して、本明細書で使用するアルキル基の代表的な例には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、などの1〜30個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖基、それらの混合物及び異性体など、が含まれる。
【0024】
例えば、R、R、R及びRに関して、本明細書で使用するアルケニル基の代表的な例には、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどの2〜30個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖基、それらの混合物及び異性体など、が含まれる。アルケニル基は、1つ又は複数の二重結合を有してもよく、ジアルケニル基、トリアルケニル基、テトラアルケニル基などを含んでもよい。
【0025】
例えば、R、R、R及びRに関して、本明細書で使用するシクロアルキル基の代表的な例には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの2〜12個の炭素原子を含む環、それらの混合物及び異性体など、が含まれる。この環は、置換されていなくても、1つ若しくは複数の置換基で置換されていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のヘテロ原子を含んでもよい。
【0026】
及びRに関する3〜30個の炭素原子を含む結合環、又はR及びRに関する3〜30個の炭素原子を含む任意選択の結合環に関して、本明細書で使用するシクロアルキル基の代表的な例には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど、それらの混合物など、が含まれる。この環は、置換されていなくても、1つ若しくは複数の置換基で置換されていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のヘテロ原子を含んでもよい。
【0027】
及びRに関する3〜30個の炭素原子を含む結合環、又はR及びRに関する3〜30個の炭素原子を含む任意選択の結合環に関して、本明細書で使用するシクロアルケニル基の代表的な例には、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなど、及びそれらの混合物などが含まれる。この環は、置換されていなくても、1つ若しくは複数の置換基で置換されていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のヘテロ原子を含んでもよい。シクロアルケニル基は、1つ又は複数の二重結合を有してもよく、シクロジアルケニル基、シクロトリアルケニル基、シクロテトラアルケニル基などを含んでもよい。
【0028】
例えば、R、R、及びRに関して、本明細書で使用するアリール基の代表的な例には、例えばフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、ビフェニルなどの5〜25個の炭素原子を含む芳香族環、及びそれらの混合物など、が含まれる。この環は、置換されていなくても、1つ若しくは複数の置換基で置換されていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のヘテロ原子を含んでもよい。
【0029】
及びRに関する3〜30個の炭素原子を含む結合環、又はR及びRに関する3〜30個の炭素原子を含む任意選択の結合環に関して、本明細書で使用するアリール基の代表的な例には、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、ビフェニルなど、及びそれらの混合物などが含まれる。この環は、置換されていなくても、1つ若しくは複数の置換基で置換されていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のヘテロ原子を含んでもよい
【0030】
例えば、R、R、及びRに関して、本明細書で使用するアリールアルキル基の代表的な例には、例えば、メチルフェニル、n,n−ジメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニルなどの6〜25個の炭素原子を含むアルキル基を有する芳香族環、及びそれらの混合物など、が含まれる。この環は、置換されていなくても、1つ若しくは複数の置換基で置換されていてもよく、及び/又は1つ若しくは複数のヘテロ原子を含んでもよい。
【0031】
、R、R及びRに関して、本明細書で使用するアルコキシ基の代表的な例には、例えば、オキシ基を有し、1〜30個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシなど並びにそれらの混合物及び異性体などが含まれる。
【0032】
、R、R、R、R、R及びRのいずれかが置換されている、又は置換基である場合、置換基の代表的な例には、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、ニトロ、オキソ(=O)、チオ(=S)、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換シクロアルケニル、置換又は非置換アミノ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換ヘテロアリールアルキル、置換又は非置換複素環、−ROH、−RHO、−COOR、−C(O)R、−C(S)R、−C(O)NR、−C(O)ONR、−NRCONR、−N(R)SOR、−N(R)SO2R、−(=N−N(R)R)、−NRC(O)OR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(S)NRRz、−SONR、−SO2NR、−OR、−ORC(O)NR、−ORC(O)OR、−OC(O)R、−OC(O)NR、−RNRC(O)R、−ROR、−RC(O)OR、−RC(O)NR、−RC(O)R、−ROC(O)R、−SR、−SOR、−SO、−ONO、(式中、R、R及びRは、それぞれ1〜30個の炭素の飽和又は不飽和鎖を含む)が含まれる。
【0033】
、R、R、R、R及びRのいずれかが1種又は複数のヘテロ原子を含む場合、それらのへテロ原子はN、O、S、などであってよい。
【0034】
一実施形態では、本発明の化合物には、一般式II:
【化4】


を有する化合物が含まれる。
【0035】
本実施形態では、R、R、R、R、R、及びRは、上で定義されている。Rは、C〜C30アルキル基、C〜C30アルケニル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C25アリール基、C〜C25アリールアルキル基、又はC〜C30アルコキシ基であってもよい。これらの基はそれぞれ、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、又は置換されていなくてもよい。C〜C30アルキル基、C〜C30アルケニル基、又はC〜C30アルコキシ基は、分岐状又は直鎖状であってもよい。
【0036】
別の実施形態では、本発明の化合物には、一般式III:
【化5】


を有する化合物が含まれる。
【0037】
本実施形態では、式Iを参照すると、R及びRは、結合してフェニル基の一方と縮合する飽和の6員環を形成する。これに関連して、飽和とは、R及びR基は飽和しているが、6員環と縮合フェニル基の間で共有する結合及び縮合されるフェニル基は飽和していないことを意味する。本実施形態では、Rはアリル基、Rは水素、並びにR及びRは上で定義されている。
【0038】
別の実施形態では、本発明の化合物には、一般式IV:
【化6】


を有する化合物が含まれる。
【0039】
本実施形態では、式Iを参照すると、R及びRが結合して、フェニル基の一方と縮合する飽和の5員環を形成する。本実施形態では、R及びRが結合して、もう一方のフェニル基と縮合する飽和の6員環を形成し、Rは水素であり、Rは上で定義されている。
【0040】
別の実施形態では、本発明の化合物には、一般式V:
【化7】


を有する化合物が含まれる。
【0041】
本実施形態では、式Iを参照すると、R及びRは、結合してフェニル基の一方と縮合する飽和の5員環を形成する。Y及びZは、例えばN、O、Sなどのヘテロ原子を表す。本実施形態では、R及びRは、結合してもう一方のフェニル基と縮合する飽和の6員環を形成し、Rは水素であり、Rは上で定義されている。
【0042】
別の実施形態では、本発明の化合物には、一般式VIを有する化合物が含まれる。
【化8】

【0043】
本実施形態では、式(I)を参照すると、R及びRは、結合してフェニル基の一方と縮合する飽和の5員環を形成する。R及びRは、結合してもう一方のフェニル基と縮合する飽和の7員環を形成する。本実施形態では、Rは水素であり、Rは上で定義されている。
【0044】
別の実施形態では、本発明の化合物には、一般式VIIを有する化合物が含まれる。
【化9】

【0045】
本実施形態では、式Iを参照すると、R及びRは、結合してフェニル基の一方と縮合する飽和の5員環を形成する。R及びRは、結合してもう一方のフェニル基と縮合する飽和の5員環を形成する。本実施形態では、Rはアリル基であり、Rは水素である。
【0046】
別の実施形態では、本発明の化合物には、一般式VIIIを有する化合物が含まれる。
【化10】

【0047】
本実施形態では、式Iを参照すると、R及びRは結合し、nは1〜9、例えば2〜7、又は3〜5であり、フェニル基の一方と縮合する飽和の又は部分的に飽和の3、4、5、6、7、8、9、10又は11員環を形成する。R、R、R、及びRは上で定義し、但しR及びRは結合しない。
【0048】
一実施形態では、前述の二環芳香族アミン誘導体は、1種又は複数の触媒の存在下で、一般式IXのアミノ化合物、一般式Xのハライドアリール化合物、及び一般式XIのハライド電子求引基化合物を反応させることによって得ることができる。
【化11】

【0049】
本反応では、R、R、R、R、R、及びRは上で定義されている。Xはハライドである。有用なハライドには、臭素、塩素、ヨウ素、及びフッ素が含まれるが、これらだけには限らない。
【0050】
本発明の二環芳香族アミン誘導体は、適した触媒の存在下で、式IXのアミノ化合物、及び式Xのハライドアリールを反応させることによって得ることができる。有用な触媒には、パラジウム含有触媒、銅含有触媒など、及びそれらの混合物が含まれるが、これらだけには限らない。適したパラジウム含有触媒には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、(ジベンジリデンアセテート)パラジウム、(トリス(ジベンジリデンアセテート)ジパラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、(2−(ジフェニルホスフィノ)エチル)パラジウム、パラジウム(0)ビス−(トリ−t−ブチルホスフィン)、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム、ビス(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム、ビス(2−(ジフェニルホスフィノ)エチル)ジクロロパラジウム、PdCl(CHCN)などが含まれるが、これらだけには限らない。適した銅含有触媒には、Cu(PPhBr、CuPPh(フェナントリン)Br、CuPPh(1,10−ジメチルフェナントリン)Brなどが含まれるが、これらだけには限らない。触媒は、反応を促進するのに十分な量で存在することが好ましい。例えば、一実施形態では、銅含有触媒は、反応物の総重量(溶媒を含まない)に対して、通常約15〜約25wt%の範囲の量で使用され、反応中に存在する。別の実施形態では、パラジウム含有触媒を、反応物の総重量(溶媒を含まない)に対して、通常約0.5〜約5%、例えば約1〜約3wt%の範囲の量で使用され、反応中に存在する。
【0051】
触媒は、反応器中の固定床の形態で、又は例えば流動床の形態で使用してもよく、適切な形状を有することができる。適した形状には、例えば顆粒、ペレット、モノリス、球体又は押出物が含まれる。
【0052】
化合物IX、Xの反応は、アルゴン又は窒素などの不活性ガス雰囲気下で実施することが有利である。この反応のための温度は、通常約80℃〜約150℃、より好ましくは約95℃〜約105℃の範囲となろう。一般に、式IXのアミノ化合物と式Xのハライドアリールのモル比は、約0.9:1〜約1:0.9、好ましくは約0.95:1〜約1:0.95の範囲とすることができる。
【0053】
化合物IX及びXの反応は、ジエチルエチレングリコール、トルエン、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、トリクロロエタン、及びキシレンを含めた1種又は複数の溶媒中で運ぶことができる。
【0054】
化合物IXとXの間の反応の生成物は、溶媒の存在下で、並びに周囲温度及び周囲圧力の条件下で、化合物XIとさらに反応させることが好ましい。適した溶媒には、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びヘキサメチルホスホロトリアミド(HMPA)などの極性非プロトン性溶媒が含まれる。
【0055】
本発明のこの方法では、反応は1種又は複数の塩基の存在下で実行することができる。適した塩基には、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどが含まれる。
【0056】
本発明の二環芳香族アミン誘導体又はその異性体若しくは異性体の混合物は、酸化、熱、及び/又は光によって劣化しやすく、そのような劣化を防止又は抑制するために安定化が必要な有機材料を含む、安定化剤含有組成物中に、安定化剤として用いることができる。このような有機材料の実例は以下の通りである。
【0057】
1.モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブト−1−エン、ポリ−4−メチルペント−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィンの、例えばシクロペンテン又はノルボルネンのポリマー、ポリエチレン(場合によっては架橋されていてもよい)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度及び高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度及び超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
【0058】
ポリオレフィン、即ち、前の段落で例示したモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは、異なる方法、特に以下の方法によって調製することができる:(a)(通常は高圧下で及び高温での)ラジカル重合、又は(b)周期表のIVb、Vb、VIb若しくはVIII族の1種又は複数の金属を通常含む触媒を用いる触媒重合。これらの金属は、通常、π配位性又はσ配位性であってもよい1種又は複数の配位子、典型的には酸化物、ハロゲン化物、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル、及び/又はアリールを有する。これらの金属錯体は、遊離型であるか、基質上で、典型的には活性化塩化マグネシウム、塩化(III)チタン、アルミナ又は酸化ケイ素上で固定されていてもよい。これらの触媒は、重合媒体中に可溶又は不溶であってもよい。触媒は、単独で重合に使用することができ、又はさらに活性化剤、典型的には金属アルキル、金属水酸化物、金属アルキルハロゲン化物、金属アルキル酸化物、金属アルキルオキサンを用いてもよく、前記金属は、周期表のIa、IIa、及び/又はIIIa族の元素である。活性化剤は、便宜上、さらにエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基で修飾されてもよい。これらの触媒系は、通常、フィリップス触媒、スタンダードオイルインディアナ(Standard Oil Indiana)触媒、チーグラー(ナッタ)触媒、TNZ(DuPont)触媒、メタロセン触媒又はシングルサイト触媒(SSC)と呼ばれる。
【0059】
2.(1)で述べたポリマーの混合物、例えば、ポリプロピレンとポリイソブチレン、ポリプロピレンとポリエチレン(例えばPP/HDPE、PP/LDPE)の混合物及び異なる種類のポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)。
【0060】
3.モノオレフィン及びジオレフィンの互いとの、又はその他のビニルモノマーとのコポリマー,例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれらと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブト−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブト−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、エチレン/ノルボルネン様COC)、エチレン/1−オレフィンコポリマー(但し1−オレフィンはその場で生成される);プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、又はエチレン/アクリル酸コポリマー、及びそれらの塩(アイオノマー)並びにエチレンとプロピレン及びヘキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデン−ノルボルネンなどのジエンとのターポリマー;及びこうしたコポリマーと互いとの、及び上記(1)で述べたポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EM)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA、並びにポリアルキレン/一酸化炭素の交互又はランダムのコポリマー、及びその他のポリマーと、例えばポリアミドとそれらとの混合物。
【0061】
4.炭化水素樹脂(例えばC〜C)(その水素化改質物(例えば粘着付与剤)及びポリアルキレンとデンプンの混合物を含める)。
【0062】
1)〜4)のホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック又はアタクチックを含めた任意の立体構造を有することができ、但し、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも含まれる。
【0063】
5.ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0064】
6.スチレン、α−メチルスチレン、特にp−ビニルトルエンである、ビニルトルエンの全ての異性体、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセンの全ての異性体、並びにそれらの混合物を含めたビニル芳香族モノマーから誘導される芳香族ホモポリマー及びコポリマー。ホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック又はアタクチックを含めた任意の立体構造を有することができ、但し、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも含まれる。
【0065】
6a.上述のビニル芳香族モノマー及びエチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、マレイン酸無水物、マレイミド、酢酸ビニル及び塩化ビニル又はアクリル誘導体及びその混合物から選択されるコモノマーを含むコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(インターポリマー)、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/マレイン酸無水物、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;スチレンコポリマーと他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーとの高耐衝撃性の混合物;及びスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンなどのスチレンのブロックコポリマー。
【0066】
6b.アタクチックポリスチレンを水素化することによって調製され、ポリビニルシクロヘキサン(PVCH)と呼ばれることが多いポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)を含めた、(6)で述べたポリマーの水素化から誘導される水素化芳香族ポリマー。
【0067】
6c.(6a)で述べたポリマーの水素化から誘導される水素化芳香族ポリマー。
【0068】
ホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック又はアタクチックを含めた任意の立体構造を有することができ、但し、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも含まれる。
【0069】
7.スチレン又はα−メチルスチレンなどのビニル芳香族モノマーのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエン上のスチレン,ポリブタジエン−スチレン又はポリブタジエン−アクリロニトリルのコポリマー上のスチレン;ポリブタジエン上のスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエン上のスチレン及びマレイン酸無水物;ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物又はマレイミド;ポリブタジエン上のスチレン及びマレイミド;ポリブタジエン上のスチレン及びアルキルアクリレート又はメタクリレート;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル;ポリアクリル酸アルキル又はポリメタクリル酸アルキル上のスチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル、並びに、(6)で列挙したコポリマーとそれらの混合物、例えばABS、MBS、ASA又はAESポリマーとして知られるコポリマー混合物。
【0070】
8.ハロゲン含有ポリマー、例えば、ポリクロロプレン、塩化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩化及び臭化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩化又はスルホ塩化ポリエチレン、エチレン及び塩化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンのホモポリマー及びコポリマー、特に、ハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、並びにそれらのコポリマー、例えば塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマーなど。
【0071】
9.α,β−不飽和酸及びその誘導体から得られるポリマー、例えばポリアクリレート及びポリメタクリレート;ブチルアクリレートで耐衝撃性が改良されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル。
【0072】
10.(9)で述べたモノマーの互いとの、又はその他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレート若しくはアクリロニトリル/ハロゲン化ビニルコポリマー、又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0073】
11.不飽和アルコール及びアミン又はそれらのアシル誘導体若しくはアセタールから誘導されるポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリフタル酸アリル又はポリアリルメラミン;並びに、上の(1)で述べたオレフィンとそれらのコポリマー。
【0074】
12.ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどの環状エーテルのホモポリマー又はコポリマー、又はビスグリシジルエーテルとそれらのコポリマー。
【0075】
13.ポリオキシメチレン及びコモノマーとしてエチレンオキシドを含むこれらのポリオキシメチレンなどのポリアセタール;熱可塑性ポリウレタン、アクリレート又はMBSで改質されたポリアセタール。
【0076】
14.ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、並びにポリフェニレンオキシドとスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
【0077】
15.一方はヒドロキシル末端ポリエーテル、ポリエステル又はポリブタジエン、及び他方は脂肪族又は芳香族のポリイソシアネートから誘導されるポリウレタン、並びにそれらの前駆体。
【0078】
16.ジアミン及びジカルボン酸から、並びに/又はアミノカルボン酸若しくはその対応するラクタムから誘導されるポリアミド及びコポリアミド、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミンとアジピン酸から出発する芳香族ポリアミド;改質剤としてのエラストマーを使用して又は使用せずに、ヘキサメチレンジアミン並びにイソフタル酸及び/又はテレフタル酸から調製されるポリアミド(例えば、ポリ−2,4,4,−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド);また、前述のポリアミドと、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー、又は化学的に結合した若しくはグラフト化したエラストマーとの、;又はポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー;並びに、EPDM又はABSで改質されたポリアミド又はコポリアミド;加工中(RIMポリアミド系)に縮合されたポリアミド。
【0079】
17.ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール。
【0080】
18.ジカルボン酸及びジオールから、及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトンから誘導されるポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)及びポリヒドロキシベンゾエート)、並びに、ヒドロキシル末端ポリエーテルから誘導されるブロックコポリエーテルエステル;及びさらにポリカーボネート又はMBSで改質されたポリエステル。
【0081】
19.ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。
【0082】
20.ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
【0083】
21.一方はアルデヒド及び他方はフェノール、尿素及びメラミンから誘導される架橋ポリマー、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン/ホルムアルデヒド樹脂など。
【0084】
22.乾性及び不乾性アルキッド樹脂。
【0085】
23.飽和及び不飽和のジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステル、及び架橋剤としてのビニル化合物から誘導される不飽和ポリエステル樹脂及び低燃焼性のそのハロゲン含有改質体。
【0086】
24.置換アクリレートから誘導される架橋性アクリル樹脂、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレート。
【0087】
25.メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート、又はエポキシ樹脂で架橋されたアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂。
【0088】
26.脂肪族、脂環式、複素環又は芳香族のグリシジル化合物から誘導される架橋エポキシ樹脂、例えば酸無水物又はアミンなどの従来の硬化剤で、促進剤を用いて又は用いずに架橋されたビスフェノールA及びビスフェノールFのジグリシジルエーテルの生成物。
【0089】
27.天然ポリマー、例えば、セルロース、ゴム、ゼラチン及び化学的に改質されたそれらの同族性誘導体、例えば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース及び酪酸セルロース、又はメチルセルロースなどのセルロースエーテル。
【0090】
28.前述のポリマーのブレンド(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDM若しくはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0091】
29.純粋なモノマー化合物又はこのような化合物の混合物である天然及び合成の有機材料、例えば、鉱油、動物性及び植物性脂肪、油及びワックス、又は合成エステル(例えばフタレート、アジペート、ホスフェート又はトリメリテート)をベースとする油、脂肪及びワックス、及び、また、任意の質量比の合成エステルと鉱油との混合物、典型的には、紡糸組成物として使用される混合物、並びにこのような材料の水性分散体。
【0092】
30.天然又は合成ゴムの水性分散体、例えば、天然ラテックス又はカルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーのラテックス。
【0093】
好ましい有機材料は、上述したような天然、半合成及び合成のポリマーである。本明細書で使用するこのような有機材料の代表的な例には、ポリオール、ウレタン、ポリオール及びウレタンの反応生成物、プラスチック、グリース、屋根用シート、モーターオイル、ケーブル、ガスケット、シールや、配合タイヤ、ゴムベルト、ケーブル、ガスケット、シール及び衣類及び絨毯工業のゴム製品などのゴム含有組成物が含まれる。
【0094】
本発明の二環芳香族アミン誘導体は、かなりの安定効果を付与するのに十分な量で有機材料に添加することができる。一般に、この量は、有機材料の総重量に対して、約0.1wt%〜約5wt%、好ましくは約0.5wt%〜約3wt%、より好ましくは約0.5wt%〜約2.0wt%に変えることができる。二環芳香族アミン誘導体は従来の方法で有機材料に組み込むことができ、例えば成形品の製造中の所望のいずれの段階でも、組み込むことができる。二環芳香族アミン誘導体は、液体、ペースト、粉末の形態で、その他の材料、縣濁液若しくは乳濁液又は溶液と混合して、粉末、溶融物、溶液、懸濁液又は乳濁液の形態であることができるポリマーにすることができる。
【0095】
本発明の別の実施形態は、少なくとも(a)潤滑粘度の油及び、(b)有効量の、少なくとも1種の本発明の二環芳香族アミン誘導体、又はその異性体若しくは異性体の混合物を含む潤滑油組成物である。一般に、潤滑油組成物に使用する潤滑粘度の油は、主成分として、例えば組成物の総重量に対して、50wt%超、好ましくは約70%wt超、より好ましくは約80〜約99.5wt%、最も好ましくは約85〜約98wt%の量で存在してもよい。本発明の二環芳香族アミン誘導体は、潤滑油組成物の総重量に対して、約0.1wt%〜約75wt%、好ましくは0.1wt%〜約10wt%、好ましくは約0.5wt%〜約3wt%重量パーセント、及びより好ましくは約1wt%〜約2wt%の範囲の有効量で、潤滑油組成物に添加することができる。
【0096】
本発明で使用する潤滑粘度の油は、例えば、エンジンオイル、舶用シリンダー油や、油圧油、ギアオイルなどの機能液、自動変速機油などの変速機油、タービン潤滑剤、圧縮機油、金属加工潤滑剤、及びその他の潤滑油及びグリース組成物など、このような用途のいずれか又は全てのために、潤滑油組成物の配合に使用される潤滑粘度の、現在知られている又は今後発見される油のいずれかであってよい。また、本明細書で使用する、潤滑粘度の油は、例えば、ポリマーのアルキルメタクリレート;例えばエチレン−プロピレンコポリマー又はスチレン−ブタジエンコポリマーなどのオレフィンのコポリマー;など、及びそれらの混合物、などの粘度指数向上剤を任意選択で含むことができる。
【0097】
当業者が既に理解するであろう通り、潤滑粘度の油の粘度は用途次第である。したがって、本明細書で使用する潤滑粘度の油の粘度は、通常、100℃で約2〜約2000センチストーク(cSt)の範囲になる。一般に、単独にエンジンオイルとして使用される油は、100℃で約2cSt〜約30cSt、好ましくは約3cSt〜約16cSt、最も好ましくは、約4cSt〜約12cStの動粘性率を有することになり、所望の最終用途及び完成油中の添加剤に応じて選択又は混合され、所望のグレードのエンジンオイル、例えば、0W、0W−20、0W−30、0W−40、0W−50、0W−60、5W、5W−20、5W−30、5W−40、5W−50、5W−60、10W、10W−20、10W−30、10W−40、10W−50、15W、15W−20、15W−30又は15W−40のSAE粘度グレードを有する潤滑油組成物を得ることになる。ギアオイルとして使用される油は、100℃で約2cSt〜約2000cStの範囲の粘度を有することができる。
【0098】
基礎原料は、これらだけには限らないが、蒸留、溶剤精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化、及び再精製を含めた様々な異なる方法を用いて製造することができる。再精製した原料は、製造、混入、又は以前の使用を通して取り込まれる物質を実質的に含まないものとする。本発明の潤滑油組成物の基油は、どの天然又は合成の潤滑基油であってもよい。適した炭化水素合成油には、これらだけには限らないが、エチレンの重合から、若しくはポリαオレフィン、即ちPAO油などのポリマーを供給するための1−オレフィンの重合から、又はフィッシャー−トロプシュ法でなど一酸化炭素及び水素ガスを用いる炭化水素合成法から調製される油が含まれる。例えば、適した潤滑粘度の油は、重質留分を含むにしてもごくわずか、例えば100℃で約20cSt以上の粘度の潤滑油留分を含むにしてもごくわずかしか含まないものである。
【0099】
潤滑粘度の油は、天然潤滑油、合成潤滑油又はそれらの混合物から得ることができる。適した油には、合成ワックス及び粗蝋の異性化によって得られる基礎原料、並びに原油の芳香族及び極性成分を(溶媒抽出よりむしろ)水素化分解することによって作製される水素化分解基礎原料が含まれる。適した油には、API Publication 1509、第14版、Addendum 1、(1998年12月)に定義される全てのAPI分類I、II、III、IV及びVのものが含まれる。グループIVの基油は、ポリαオレフィン(PAO)である。グループVの基油には、グループI、II、III、又はIVに含まれない、その他の全ての基油が含まれる。グループII、III及びIVの基油が本発明での使用に好ましいが、これらの好ましい基油は、1つ又は複数のグループI、II、III、IV及びVの基礎原料又は基油を組み合わせて調製することができる。
【0100】
有用な天然油には、例えば、液体の石油系油、溶媒処理又は酸処理した、パラフィン系、ナフテン系又はパラフィン系−ナフテン系混合型の鉱油潤滑油、石炭又は頁岩から得られる油などの鉱油潤滑油、動物油、植物油(例えばナタネ油、ヒマシ油及びラード油)などが含まれる。
【0101】
有用な合成潤滑油には、これらだけには限らないが、炭化水素油及びハロ置換炭化水素油、例えばポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)などの重合及び共重合(interpolymerized)オレフィン、及びそれらの混合物;ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)−ベンゼンなどのアルキルベンゼン;ビフェニル、テルフェニル、アルキル化ポリフェニルなどのポリフェニル;アルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化硫化ジフェニル、並びにそれらの誘導体、類似体及び同族体などが含まれる。
【0102】
その他の有用な合成潤滑油には、それらだけには限らないが、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテンなどの5個未満の炭素原子のオレフィン、及びそれらの混合物の重合によって作製されるオイルが含まれる。このようなポリマー油を調製する方法は、当業者にはよく知られている。
【0103】
さらなる有用な合成炭化水素油には、適切な粘度を有するαオレフィンの液体ポリマーが含まれる。特に有用な合成炭化水素油は、例えば1−デセン三量体などのC〜C12αオレフィンの水素化液体オリゴマーである。
【0104】
有用な合成潤滑油の別のクラスには、これらだけには限らないが、ホモポリマー、インターポリマー及びそれらの誘導体、即ち、末端ヒドロキシル基が、例えばエステル化又はエーテル化によって改質されているアルキレンオキシドポリマーが含まれる。これらの油は、エチレンオキシド若しくは、プロピレンオキシドの重合を介して調製される油、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキル及びフェニルエーテル(例えば、平均分子量が約1000のメチルポリプロピレングリコールエーテル、分子量が約500〜約1000のポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、分子量が約1000〜約1500のポリプロピレングリコールのジエチルエーテルなど)又はそれらのモノ及びポリカルボン酸エステル、例えば酢酸エステル、混合C〜C脂肪酸エステル、またテトラエチレングリコールのC13オキソ酸ジエステルによって例示される。
【0105】
有用な合成潤滑油のさらに別のクラスには、これらだけには限らないが、ジカルボン酸(例えばフタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸など)と様々なアルコール(例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)とのエステルが含まれる。これらのエステルの具体的な例には、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸と、2モルのテトラエチレングリコール及び2モルの2−エチルヘキサン酸とを反応させることによって形成される複合エステルなどが含まれる。
【0106】
合成油として有用なエステルには、これらだけには限らないが、約5〜約12個の炭素原子を有するカルボン酸と、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトールなどのポリオール及びポリオールエステルなどとから作製されるものも含まれる。
【0107】
例えばポリアルキル−、ポリアリール−、ポリアルコキシ−又はポリアリールオキシ−シロキサン油及びシリケート油などのケイ素系油は、合成潤滑油の別の有用なクラスを含む。これらの具体的な例には、これらだけには限らないが、テトラエチルシリケート、テトラ−イソプロピルシリケート、テトラ−(2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(4−メチル−ヘキシル)シリケート、テトラ−(p−tert−ブチルフェニル)シリケート、ヘキシル−(4−メチル−2−ペントキシ)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン、ポリ(メチルフェニル)シロキサンなどが含まれる。さらにその他の有用な合成潤滑油には、これらだけには限らないが、例えばリン酸トリクレシル、リン酸トリオクチル、デカンホスホン酸のジエチルエステルなどのリン含有酸の液体エステル、重合体テトラヒドロフランなどが含まれる。
【0108】
潤滑粘度の油は、未精製、精製及び再精製油、上で開示した種類のもののいずれかの天然、合成又は2つ以上の混合物から得ることができる。未精製油は、さらなる精製又は処理を行わず、天然又は合成源(例えば、石炭、頁石、又はタールサンドビチューメン)から直接得られるものである。未精製油の例には、これらだけには限らないが、乾留工程から直接得られるシェールオイル、蒸留から直接得られる石油系の油又はエステル化工程から直接得られるエステル油が含まれ、これらのそれぞれはさらなる処理を行わずに使用される。精製油は、1種又は複数の精製段階でさらに処理され、1種又は複数の特性が改良されている以外は、未精製油と同じようなものである。これらの精製技術は当業者に知られており、例えば、溶媒抽出、二次蒸留、酸及び塩基抽出、濾過、浸出、水素化精製、脱蝋などが含まれる。再精製油は、精製油を得るために使用されるものと同様の工程で使用済み油を処理して得られる。このような再精製油はまた、再生又は再加工油として知られ、使用済みの添加剤及び油分解製品の除去を対象とする技術によってさらに処理されることが多い。
【0109】
ワックス水素異性化から得られる潤滑油基礎原料も、単独で、若しくは前述の天然及び/又は合成基礎原料と組み合わせて使用することができる。このようなワックス異性化油は、水素異性化触媒上での天然又は合成ワックス、若しくはそれらの混合物の水素異性化によって作製される。
【0110】
天然ワックスは、通常鉱物油の溶媒脱蝋によって回収される軟蝋であり、合成ワックスは、通常フィッシャー−トロプシュ法によって作製されるワックスである。
【0111】
本発明の二環芳香族アミン誘導体又はその異性体若しくは異性体混合物は、現在潤滑配合物に使用される市販の酸化防止剤の完全な又は部分的な代替品として使用することができ、モーターオイル及び燃料中に典型的に見られるその他の添加剤と組み合わせることができる。油配合物に使用されるその他の種類の酸化防止剤又は添加剤と組み合わせて使用すると、酸化防止性、耐摩耗性、摩擦性及び清浄性並びに高温エンジンデポジット特性の改良に関して、性能上の相乗及び/又は相加効果も得ることができる。このようなその他の添加剤は、潤滑油組成物の配合に使用される、現在知られている又は今後発見される任意の添加剤でもよい。潤滑油中に典型的に見られる潤滑油添加剤は、例えば、分散剤、清浄剤、腐食/錆防止剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、消泡剤、摩擦調整剤、シール膨張剤、乳化剤、VI向上剤、流動点降下剤などである。有用な潤滑油組成物の添加剤の記述に関し、例えば、その開示内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,498,809号を参照されたい。
【0112】
分散剤の例には、ポリイソブチレンスクシンイミド、コハク酸ポリイソブチレンエステル、マンニッヒ塩基無灰分散剤などが含まれる。清浄剤の例には、金属性及び無灰のアルキルフェネート、金属性及び無灰の硫化アルキルフェネート、金属性及び無灰のアルキルスルホネート、金属性及び無灰のアルキルサリチレート、金属性及び無灰のサリゲニン誘導体などが含まれる。
【0113】
他の酸化防止剤の例には、アルキル化ジフェニルアミン、N−アルキル化フェニレンジアミン、フェニル−ナフチルアミン、アルキル化フェニル−ナフチルアミン、ジメチルキノリン、トリメチルジヒドロキノリン、及びそこから誘導されるオリゴマー組成物、ヒンダードフェノール類、アルキル化ヒドロキノリン、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、チオプロピオネート、金属ジチオカルバメート、1,3,4−ジメルカプトチアジアゾール及び誘導体、油溶性銅化合物などが含まれる。このような添加剤の代表的な例は、Chemtura Corporationなどの供給源から市販されているものであり、例えば、Naugalube(登録商標)438、Naugalube438L、Naugalube640、Naugalube635、Naugalube680、NaugalubeAMS、NaugalubeAPAN、NaugardPANA、NaugalubeTMQ、Naugalube531、Naugalube431、Naugard(登録商標)BHT、Naugalube403、Naugalube420などが含まれる。
【0114】
本発明の添加剤と組み合わせて使用することができる耐摩耗添加剤の例には、有機ホウ酸エステル、有機亜リン酸エステル、有機リン酸エステル、硫黄含有有機化合物、硫化オレフィン、硫化脂肪酸誘導体(エステル)、塩素化パラフィン、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、ジアルキルジチオリン酸エステル、ジアリールジチオリン酸エステル、ホスホ硫化炭化水素などが含まれる。このような添加剤の代表的な例は、The Lubrizol Corporationから市販されているもの、例えば、Lubrizol677A、Lubrizol1095、Lubrizol1097、Lubrizol1360、Lubrizol1395、Lubrizol5139、Lubrizol5604など、及びCiba Corporationから市販されているIrgalube353などが含まれる。
【0115】
摩擦調整剤の例には、脂肪酸エステル及びアミド、有機モリブデン化合物、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、二硫化モリブデン、ジアルキルジチオカルバミン酸トリモリブデンクラスター、非硫黄モリブデン化合物などが含まれる。このような摩擦調整剤の代表的な例は、R.T.Vanderbilt Company,Inc.から入手できるMolyvan A、Molyvan L、Molyvan807、Molyvan856B、Molyvan822、Molyvan855など;旭電化工業株式会社から入手できるSAKURA−LUBE100、SAKURA−LUBE165、SAKURA−LUBE300、SAKURA−LUBE310G、SAKURA−LUBE321、SAKURA−LUBE474、SAKURA−LUBE600、SAKURA−LUBE700など;及びAkzo Nobel Chemicals GmbHから入手できるKetjen−Ox77M、Ketjen−Ox77TSなどの市販品である。
【0116】
消泡剤の例は、ポリシロキサンなどである。錆防止剤の例は、ポリオキシアルキレンポリオール、ベンゾトリアゾール誘導体などである。VI向上剤の例には、オレフィンコポリマー及び分散性オレフィンコポリマーなどが含まれる。流動点降下剤の例は、ポリメタクリレートなどである。
【0117】
上述のように、適した耐摩耗化合物には、ジチオリン酸ジヒドロカルビルが含まれる。ヒドロカルビル基は、少なくとも平均3個の炭素原子を含むことが好ましい。特に、ヒドロカルビル基が少なくとも平均3個の炭素原子を含む、少なくとも1つのジチオリン酸ジヒドロカルビルの金属塩が有用である。ジチオリン酸ジヒドロカルビルを得ることができる(誘導することができる)酸は、一般式:
【化12】


(式中、R及びRは同じ又は異なり、直鎖又は分岐のアルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルカリール、又は上述の基のいずれかの、実質的にヒドロカルビル基の置換誘導体でもよく、各酸のR及びR基は、平均して、少なくとも3個の炭素原子を有する)の酸によって例示することができる。「実質的にヒドロカルビル」とは、基の炭化水素特性に実質的に影響を及ぼさない置換基を含む、例えば基部分1個当たり、例えば、エーテル、エステル、チオ、ニトロ又はハロゲンなどの置換基を1〜4個含む基を意味する。
【0118】
適したR及びR基の具体的な例には、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、n−ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、ジイソブチル、イソオクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ブチルフェニル、o,p−ジペンチルフェニル、オクチルフェニル、ポリイソブテン−(分子量350)−置換フェニル、テトラプロピレン−置換フェニル、β−オクチルブチルナフチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、クロロフェニル、o−ジクロロフェニル、ブロモフェニル、ナフテニル、2−メチルシクロヘキシル、ベンジル、クロロベンジル、クロロペンチル、ジクロロフェニル、ニトロフェニル、ジクロロデシル及びキセニル基が含まれる。約3〜約30個の炭素原子を有するアルキル基及び約6〜約30個の炭素原子を有するアリール基が好ましい。特に好ましいR及びR基は、4〜約18個の炭素原子のアルキルである。
【0119】
ホスホロジチオ酸は、五硫化リンと脂肪族アルコール及び/又はフェノールとの反応によって容易に得ることができる。この反応は、約20℃〜200℃の範囲の温度で、約4モルのアルコール又はフェノールと1モルの五硫化二リンとを少なくとも混合することを含むものである。硫化水素は、反応が起こる際に遊離することができる。アルコール、フェノール又は両方の混合物、例えばC〜C30アルコール、C〜C30芳香族アルコールの混合物などを使用することができる。リン酸塩の作製に有用な金属には、これらだけには限らないが、I族金属、II族金属、アルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、コバルト、及びニッケルが含まれるが、亜鉛が好ましい。この酸と反応することができる金属化合物の例には、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、リチウムペンチレート、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメチレート、ナトリウムプロピレート、ナトリウムフェノキシド、酸化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カリウムメチレート、酸化銀、炭酸銀、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウムエチレート、マグネシウムプロピレート、マグネシウムフェノキシド、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、カルシウムメチレート、カルシウムプロピレート、カルシウムペンチレート、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、亜鉛プロピレート、酸化ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、酸化カドミウム、水酸化カドミウム、炭酸カドミウム、カドミウムエチレート、酸化バリウム、水酸化バリウム、バリウム水和物、炭酸バリウム、バリウムエチレート、バリウムペンチレート、酸化アルミニウム、アルミニウムプロピレート、酸化鉛、水酸化鉛、炭酸鉛、酸化スズ、スズブチレート、酸化コバルト、水酸化コバルト、炭酸コバルト、コバルトペンチレート、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケルなど、及びそれらの混合物が含まれる。
【0120】
幾つかの例では、金属反応物と合わせて使用されるある種の成分、特にカルボン酸又は金属カルボン酸、例えば少量の金属酢酸塩又は酢酸を組み込むと、反応を促進し、製品の改良をもたらすことになる。例えば、所要量の酸化亜鉛と組み合わせて最大5%の酢酸亜鉛を使用すると、ジチオリン酸亜鉛の形成を促進する。
【0121】
金属ジチオリン酸の調製は当技術分野でよく知られている。その開示内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第3,293,181号;第3,397,145号;第3,396,109号;及び第3,442,804号を参照されたい。また、その開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第3,637,499号に記載されているようなジチオリン酸化合物のアミン誘導体も、耐摩耗添加剤として有用である。
【0122】
亜鉛塩は、潤滑油組成物の総重量に対して約0.1〜約10、好ましくは約0.2〜約2wt%の範囲の量で、潤滑油の耐摩耗添加剤として最もよく使用される。これらは、例えば、まず、通常はアルコール及び/又はフェノールとPの反応によってジチオリン酸を形成し、次いで、適した亜鉛化合物でジチオリン酸を中和することによる、既知の技術に従って調製することができる。
【0123】
一級及び二級アルコールの混合物を含めたアルコールの混合物を使用することができ、一般に、二級は耐摩耗特性を改善するため、及び一級は熱安定性を付与するためである。一般に、どんな塩基性及び中性亜鉛化合物も使用できようが、酸化物、水酸化物、及び炭酸塩が最も一般的に使用される。市販の添加剤は、中和反応で塩基性亜鉛化合物を過剰に使用するために、過剰の亜鉛を含むことが多い。
【0124】
ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)は、ジチオリン酸のジヒドロカルビルエステルの油溶性塩であり、以下の一般式:
【化13】


(式中、R及びRは前述の意味を有する)によって表すことができる。
【0125】
本発明の潤滑油組成物は、これらの添加剤を含む場合、その中の添加剤が正常な付随機能を示すのに有効であるような量で、通常基油中に混合される。このような添加剤の代表的な有効量を表1に例示する。
表1
【表1】

【0126】
その他の添加剤を使用する場合、必須というわけではないが、1種又は複数のその他の添加剤(添加剤パッケージとして本明細書で言及している添加剤混合物を構成する場合の濃縮物)と一緒に、(本明細書に記載の濃縮された量で)本発明の二環芳香族アミン誘導体由来の添加剤の濃縮溶液又は分散液を含む添加濃縮物を調製することが望ましい。それによって、幾つかの添加剤を基油に同時に添加して、潤滑油組成物を形成することができる。添加剤濃縮物を潤滑油に溶解することは、例えば溶媒によって、及び穏やかな加熱を伴う混合によって容易にすることができるが、これは必須ではない。濃縮物又は添加剤パッケージは、通常、添加剤パッケージが、所定の量の基礎潤滑剤と組み合わされると、最終配合物に所望の濃度をもたらすのに適当な量で添加剤を含むように配合されることになる。したがって、本発明の二環芳香族アミン由来の添加剤は、その他の望ましい添加剤と一緒に少量の基油又は他の相溶性溶媒に添加して、典型的には、総量で約2.5〜約90重量パーセント、好ましくは約15〜約75重量パーセント、さらに好ましくは約25〜約60重量パーセントの添加剤の活性成分を基油である残部と適正な比率で含む添加剤パッケージを形成することができる。最終配合物は、典型的には、基油である残部と共に、添加剤パッケージを約1〜20重量パーセント使用することができる。
【0127】
本明細書で述べた全ての重量パーセント(別段の表示がない限り)は、添加剤の活性成分(AI)含有量に、及び/又は各添加剤のAI重量と油又は希釈剤の総重量との合計である、任意の添加剤パッケージ又は配合物の総重量に基づく。一般には、本発明の潤滑油組成物は、約0.05〜約30重量パーセントの範囲の濃度で添加剤を含む。添加剤に関する濃度範囲は、油組成物の総重量に対して約0.1〜約10重量パーセントの範囲であることが好ましい。より好ましい濃度範囲は、約0.2〜約5重量%である。添加剤の油濃縮物は、潤滑油粘度の担体中又は希釈油中に約1〜約75重量パーセントの添加剤を含むことができる。
【0128】
特定の実施形態を参照して本発明を説明及び例証してきたが、当業者であれば、本発明が、本明細書で必ずしも例示していない変更に向いていることが理解されよう。したがって、この理由から、本発明の真の範囲を決定するためには、添付の特許請求の範囲だけを参照されたい。
【実施例】
【0129】
以下の実施例で、本発明による化合物の多くの利点を説明する。
【0130】
(実施例1)
2−アミノインダン(39.8g、300mmol)、2−ブロモインダン(65g、329mol)及び50%のNaOH(22mL)のトルエン(220mL)中の混合物を、45分間窒素でパージした。ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(1.6g、3.2mmol)及び臭化セチルトリメチルアンモニウム(0.56g、1.6mmol)を、窒素流下でフラスコに加えた。次いで、混合物を約100℃で4日間加熱し、次いで撹拌せずに終夜冷却させた。混合物を、セライトを通して濾過し、濾過ケーキをトルエンですすいだ。溶液を水(100mL)で抽出し、真空蒸留で濃縮した。得られた残渣を短路クーゲルロール装置上で、真空蒸留した。前留分を最大140℃、0.89Tで回収した。さらに(0.6〜3.6Tで)160℃に加熱した後、生成物(73g、収率97%)を蒸留して淡い黄色がかった油とし、そのまま固体化させた。GC/FID分析は、純度99%(面積%)を示した。生成物を、ヘキサン中でさらに再結晶させて、無色の固体を得た。この反応を、全体的に、以下のスキームIに示す。
スキームI
【化14】

【0131】
得られたβ,β−ジインダンアミンは、C1819Nの実験式及び249.36の重量平均分子量を有した。収率は、73g、97%であった。
【0132】
β,β−ジインダンアミン(4.40g、17.65mmol、1.00当量)を、外気条件下で250mLの丸底フラスコに加え、続いて臭化アリル(2.56g、21.17mmol、1.20当量)、炭酸カリウム(3g)、及びDMSO(10mL)を加えた。この反応は発熱を伴い、4時間後、混合物を100mLの水に注ぎ入れ、100mLのヘキサンで2回抽出して、有機相を水(100mL、2回)で洗浄した。次いで、有機相を無水MgSO上で乾燥し、全ての溶媒を真空蒸留で除去して、生成物を、明淡黄色の液体として得た。この反応は、一般に以下のスキームIIに示される。
スキームII
【化15】

【0133】
得られた二環芳香族アミン誘導体化合物は、C2123Nの実験式及び289.42の重量平均分子量を有した。収率は、4.5g、88%であった。
H NMR(CDCl)d=7.12(2H,d,J=6.8Hz),6.88(2H,s),6.84(2H,d,J=6.8Hz),5.96(1H,m),5.30(1H,d,J=17.4Hz),5.18(1H,d,J=8.7Hz),4.34(2H,s),2.88(8H,s),2.08(4H,m)ppm.13C NMR(CDCl)d=147.00(s),145.29(d),136.74(d),134.85(s),124.62(d),118.91(d),116.88(d),116.02(s),55.33(t),33.09(t),32.14(t),25.65(t)ppm.
【0134】
(実施例2)
モーターオイル配合物に、1重量パーセントの実施例1の二環芳香族アミン誘導体を混合して、SAE10W−30モーターオイル配合物を形成した。SAE10W−30モーターオイル配合物を表2に示す。
表2 SAE10W−30モーターオイル配合物(ベースブレンド)
【表2】

【0135】
(比較例A)
SAE10W−30モーターオイル配合物の調製
表2に示すSAE10W−30モーターオイル配合物を、どの種類の酸化防止剤も加えずに調製した。
【0136】
(比較例B)
SAE10W−30モーターオイル配合物の調製
表2に示すSAE10W−30モーターオイル配合物に、1重量パーセントのアルキル化ジフェニルアミン(Naugalube438Lとして市販されている)を混合した。Naugalube438Lは、一般式:
【化16】


に示すように、モノ−Cアルキル化DPA、ジ−Cアルキル化DPA、及びある種のトリ−Cアルキル化DPAを含めた、Cオレフィンアルキル化ジフェニルアミン(DPA)の複合混合物である。
【0137】
(実施例3)
中高温熱酸化エンジンオイル模擬試験
中高温熱酸化エンジンオイル模擬試験(TEOST MHT(登録商標)、ASTMD7097、この全体を参照により本明細書に組み込む)を行い、モーターエンジンオイルのデポジット形成傾向を測定した。エンジンオイル配合物の安定化において、本発明の添加剤の改善された熱デポジット制御が、MHT TEOSTによってはっきりと示されている。この試験は、熱酸化及び触媒条件化で8.5mlの試験油の反復流路に連続して応力を加えることによって、特別に作製した鋼棒上で形成されたデポジットの質量を測定する。使用した器具は、Tannas Co.製であり、0.15(x+16)mgの典型的な再現性(但し、xは2回以上の反復試験結果の平均を意味する)を有する。TEOST試験条件を表3に記載する。得られたデポジットの量が少ないほど、油の酸化安定性が良い。この試験の結果を表4に示す。
表3 TEOST MHT 試験条件
【表3】


表4 TEOST結果
【表4】

【0138】
実施例2及び3の潤滑油組成物に実施例1で生成した化合物を添加すると、ベースブレンド配合物のデポジット総質量が有意に減少することを、上記のデータから見てとることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式:
【化1】


(式中、R及びRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、相互に結合して第1のC〜C30環を形成し、Rはアリル、ベンジル又はメタリル基であり、R、R、及びRは、それぞれ独立に、置換基である)を有する二環芳香族アミン化合物。
【請求項2】
、R、及びRが、独立に、水素、C〜C30アルキル基、C〜C30アルケニル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C25アリール基、C〜C25アリールアルキル基、又はC〜C30アルコキシ基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記C〜C30アルキル基、C〜C30アルケニル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C25アリール基、C〜C25アリールアルキル基、又はC〜C30アルコキシ基が1個又は複数の置換基で置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが、それらが結合する炭素原子と一緒になって、相互に結合して第2のC〜C30環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
及びRが、相互に結合して飽和の5、6、又は7員環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
及びRが、相互に結合して部分的に不飽和、又は完全に不飽和の5、6、又は7員環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
以下の一般式をさらに含み、
【化2】


及びRが、結合して飽和の6員環を形成しており、Rが、アリル基であり、Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
以下の一般式をさらに含み、
【化3】


及びRが、結合して飽和の5員環を形成しており、R及びRが、結合して飽和の6員環を形成しており、Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
以下の一般式をさらに含み、
【化4】


及びRが、結合して飽和の5員環を形成しており、R及びRが、結合して飽和の6員環を形成しており、Rが水素であり、Z及びYはヘテロ原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
以下の一般式をさらに含み、
【化5】


及びRが、結合して飽和の5員環を形成しており、R及びRが、結合して飽和の7員環を形成しており、Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
以下の一般式をさらに含み、
【化6】


及びRが、結合して飽和の5員環を形成しており、R及びRが、結合して飽和の5員環を形成しており、Rがアリル基であり、Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
少なくとも1種の潤滑粘度の油、及び
酸化防止剤改善有効量の少なくとも1種の請求項1に記載の一般式を有する二環芳香族アミン化合物、
を含む潤滑油組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の潤滑粘度の油が、エンジンオイル、変速機油、油圧油、ギアオイル、舶用シリンダー油、圧縮機油、冷却潤滑剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の潤滑油組成物。
【請求項14】
酸化防止剤、耐摩耗剤、清浄剤、錆防止剤、濁り除去剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、共溶媒、パッケージ相溶化剤、腐食防止剤、無灰分散剤、染料、極圧添加剤及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の潤滑油添加剤をさらに含む、請求項12に記載の潤滑油組成物。
【請求項15】
少なくとも1種の潤滑油添加剤を含む前記潤滑油組成物のリン含有量が約0.1重量パーセント未満である、請求項14に記載の潤滑油組成物。
【請求項16】
アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化ヒンダードフェノール類、置換又は非置換アルキル化フェニレンジアミン、アルキル化油溶性銅化合物、酸化安定性を付与することが知られているアルキル化硫黄含有化合物及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の潤滑油添加剤をさらに含む、請求項12に記載の潤滑油組成物。
【請求項17】
前記酸化安定性を付与することが知られているアルキル化硫黄含有化合物が、フェノチアジン、硫化オレフィン、チオカルバメート、硫黄含有ヒンダードフェノール類、ジアルキルジチオリン酸亜鉛及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の潤滑油組成物。
【請求項18】
前記潤滑油組成物が、50mg未満であるデポジットに関する熱酸化エンジンオイル刺激試験(TEOST)結果を有する、請求項12に記載の潤滑油組成物。
【請求項19】
デポジットに関するTEOST結果が30mg未満である、請求項13に記載の潤滑油組成物。
【請求項20】
少なくとも1種の請求項1に記載の一般式を有する二環芳香族アミン化合物を約0.1〜約75重量パーセントを含む、添加剤パッケージ。
【請求項21】
(a)酸化、熱、及び/又は光誘起によって劣化しやすく、そのような劣化を防止又は抑制するために安定化が必要な有機材料、及び
(b)安定化有効量の少なくとも1種の請求項1に記載の一般式を有する二環芳香族アミン化合物、
を含む、安定化剤含有組成物。
【請求項22】
酸化、熱、及び/又は光誘起によって劣化しやすく、そのような劣化を防止又は抑制するために安定化が必要な有機材料を安定させる方法であって、安定化量の少なくとも1種の請求項1に記載の一般式を有する、二環芳香族アミン化合物を該有機材料に添加するステップを含む方法。
【請求項23】
1つの窒素に結合した少なくとも2つのフェニル基を有する二環芳香族アミンであって、前記窒素は、当該化合物が電子求引基となることができるように、炭素含有置換基にさらに結合している二環芳香族アミン、及び
該フェニル基の一方に縮合した第一の環、
を有する化合物。
【請求項24】
前記フェニル基のもう一方に縮合する第2の環をさらに含む、請求項23に記載の化合物。

【公表番号】特表2011−500729(P2011−500729A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530193(P2010−530193)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/081248
【国際公開番号】WO2009/067315
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【Fターム(参考)】