酸素捕捉フィルムにおける機能性バリア
【解決手段】 製品が、酸素スカベンジャーと、プロピレンモノマー由来のポリマー、アクリル酸メチルモノマー由来のポリマー、アクリル酸ブチル由来のポリマー、メタクリル酸モノマー由来のポリマー、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、無定形ナイロン、イオノマー、及びポリテルペンを含有するポリマー混合物からなる群から選択されるポリマーを含有する。該製品は、例えば、フィルム、酸素捕獲ラッカー上のポリマー性機能性バリア被覆、又はガスケットの形態でありうる。食品などの酸素感受性品を含有するための包装は該製品から製造できる。
【効果】 上記ポリマーは、酸素捕捉過程の臭いの原因となる副生成物の移行を減少させるか、又は阻止する。酸素捕捉反応の副生成物の移行を減少させた製品の製造方法は、酸素スカベンジャーと上記ポリマーを含有する製品を提供し、該製品を化学線放射に曝すことを含む。
【効果】 上記ポリマーは、酸素捕捉過程の臭いの原因となる副生成物の移行を減少させるか、又は阻止する。酸素捕捉反応の副生成物の移行を減少させた製品の製造方法は、酸素スカベンジャーと上記ポリマーを含有する製品を提供し、該製品を化学線放射に曝すことを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、酸素捕捉反応の副生成物を捕捉するための物品及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素に感受性の品を酸素に曝すことを抑制することにより、その物品の質と貯蔵期間が維持され高められることはよく知られている。食品包装産業では、酸素に曝されることを抑制する幾つかの手段が既に開発されている。
【0003】
これらの手段には、包装の内部環境を改変するための改変空気包装(MAP);ガス流入;真空包装;酸素バリア包装材料を使用する真空包装;などがある。酸素バリアフィルム及び積層品は、外部環境から包装内部への酸素浸透を減少させるか、又は遅延させる。
【0004】
現在使用されているもう一つの方法は“活性包装”によるものである。包装の空洞又は内部に酸素スカベンジャーを含めることは、活性包装の一形態である。典型的には、このようなスカベンジャーは、化学反応によって酸素を捕捉する組成物を含有する包み(サチェット)の形態である。包みの一つの型は、酸化される鉄組成物を含有する。包みのもう一つの型は、粒子状吸着剤上の不飽和脂肪酸塩を含有する。包みの更に別の型は、WO88/06641に開示のように、金属/ポリアミド錯体を含有する。
【0005】
包みの一つの欠点は、各包装に包みを加えるというもう一つの包装操作が必要なことである。袋から起るもう一つの欠点は、捕捉が適当な速度で起るために、包装内におけるある空気条件(例えば、高湿度、低CO2レベル)が必要なことである。
【0006】
酸素へ曝すことを抑制するもう一つの手段には、包装構造それ自体に酸素スカベンジャーを導入することである。このことにより、包装内中で、より均一な捕捉効果が達成される。包装内で空気循環が抑制されている場合、このことは特に重要でありうる。更に、このような導入によって、酸素が包装の壁(本明細書では、“活性酸素バリア”という)を通過するときに、酸素を遮断し、捕捉し、それによって包装内中でできるだけ低い酸素レベルを維持する手段が提供できる。
【0007】
酸素捕捉壁を製造する一つの試みには、無機粉末及び/又は塩の導入がある。しかし、これらの粉末及び/又は塩の導入によって、壁の透明性と引裂き力などの物理的性質の低下が生じる。更に、これらの化合物によって、加工の困難性、特にフィルム構造内の薄フィルム又は薄層の製造における加工の困難性が生じうる。更にまた、これらの化合物を含む壁の捕捉速度は、ある種の市販の酸素捕捉適用、例えば包みを使用する適用などには不適切である。
【0008】
その他の努力は、包装壁内に金属触媒−ポリアミド酸素捕捉系を導入することに向けられてきた。しかし、この系は、商業的に利用可能な速度で酸素捕捉を示さない。
【0009】
本発明のフィルムにおける商業的使用に適した酸素スカベンジャーは米国特許第5,350,622号に開示され、酸素捕捉を開始させる方法は一般的に米国特許第5,211,875号に開示されている。両方の特許は引用によりそれらの全部が本明細書に含まれるものとする。米国特許第5,350,622号によれば、酸素スカベンジャーは、エチレン性不飽和炭化水素と遷移金属触媒から製造される。好適なエチレン性不飽和炭化水素は置換されていても置換されていなくともよい。本明細書の定義では、非置換エチレン性不飽和炭化水素は、少なくとも1個の脂肪族炭素−炭素二重結合を有し、100重量%の炭素と水素を含む化合物である。置換エチレン性不飽和炭化水素とは、少なくとも1個の脂肪族炭素−炭素二重結合を有し、約50〜99重量%の炭素と水素を含むエチレン性不飽和炭化水素と本明細書では定義する。好適な置換又は非置換のエチレン性不飽和炭化水素は、分子当り2個以上のエチレン性不飽和基を有するものである。より好ましくは、それは、3個以上のエチレン性不飽和基を有し、1,000以上の重量平均分子量である重合化合物である。
【0010】
非置換エチレン性不飽和炭化水素の好適な例には、ポリイソプレンなどのジエンポリマー(例えばトランス−ポリイソプレン)及びそれらのコポリマー、シス及びトランス1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン(50%以上の1,2ミクロ構造を有するポリブタジエンと定義する)、並びにスチレン−ブタジエンコポリマーなどのそれらのコポリマーがあるがそれらに限定されない。このような炭化水素にはまた、ポリペンテナマー、ポリオクテナマー並びに環状オレフィンメタセシスにより製造されたその他のポリマーなどのポリマー化合物、;スクアレンなどのジエンオリゴマー;及びジシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、4−ビニルシクロヘキセン、1,7−オクタジエン又は2個以上の炭素−炭素二重結合(共役又は非共役)を含む他のモノマー由来の不飽和ポリマー又はコポリマーがある。
【0011】
好適な置換エチレン性不飽和炭化水素には、エステル、カルボン酸、アルデヒド、エーテル、ケトン、アルコール、ペルオキシド及び/又はヒドロペルオキシドなどの酸素含有部分を有するものがあるがそれらに限定されない。このような炭化水素の特定の例には、炭素−炭素二重結合を含むモノマーと、オレイン酸、レシノレイン酸、脱水レシノレイン酸、リノレイン酸などの不飽和脂肪酸及びその誘導体、例えばエステル、との縮合ポリマーがあるがそれに限定されない。このような炭化水素には、(メタ)アリル(メタ)アクリレート由来のポリマー又はコポリマーもある。適切な酸素捕捉ポリマーはトランス−エステル化によって製造できる。このようなポリマーはWO 95/02616[引用によりその全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。使用する組成物は、上記の置換又は非置換エチレン性不飽和炭化水素の2種以上の混合物も含む。重量平均分子量は1,000以上が好適であるが、より低分子量のエチレン性不飽和炭化水素も、それがフィルム形成ポリマー又はポリマーの混合物と混合されるならば、使用できる。
【0012】
室温で固体の透明層を形成するのに適切なエチレン性不飽和炭化水素は、上記の包装用品において酸素の捕捉のために好ましいことも明白であろう。透明性が必要な大部分の適用において、可視光の少なくとも50%の透過が可能な層が好ましい。
【0013】
本発明の透明な酸素捕捉層を製造する場合、1,2−ポリブタジエンが室温での使用のために特に好ましい。例えば、1,2−ポリブタジエンは、ポリエチレンと同様の透明性、物理的性質及び加工特性を示すことができる。更に、このポリマーは、酸素取込能の大部分又は全部が無くなった後でさえ、及び希釈樹脂がほとんど又は全く存在しないときでさえ、透明性と物理的な完全な形を保つことが知見されている。更にまた、1,2−ポリブタジエンは比較的高い酸素取込能を示し、捕捉し始めると、比較的高い捕捉速度も示す。
【0014】
低温での酸素の捕捉が所望の場合、1,4−ポリブタジエン、スチレンとブタジエンのコポリマー、スチレンとイソプレンのコポリマーが特に好ましい。このような組成物は米国特許第5,310,497号[Speerら,1994年5月10日発行;引用によりその全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。多くの場合に、上記ポリマーをエチレンのポリマー又はコポリマーと混合することが望ましい。
【0015】
本発明に関し使用できるその他の酸素スカベンジャーは、米国特許第5,075,362号(Hofeldtら)、第5,106,886号(Hofeldtら)、第5,204,389号(Hofeldtら)、及び第5,227,411号(Hofeldtら)[これらの特許全ては引用によりその内容の全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。これらの酸素スカベンジャーには、アスコルビン酸塩もしくはイソアスコルビン酸塩又は互いの、もしくは亜硫酸塩、しばしば亜硫酸ナトリウムとの混合物であり得る。
【0016】
本発明に関し使用できる更にその他の酸素スカベンジャーは、PCT特許出願WO 91/17044(Zapata Industries)とWO 94/09084(Aquanautics Corporation)とWO88/06641[全て引用によりその内容の全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。これらの酸素スカベンジャーには、遷移金属触媒含有アスコルビン酸塩がある。ここで、触媒は、遷移金属の単純な金属そのもの、もしくはその塩、又は化合物、錯体もしくはキレート;あるいはポリカルボン酸、サリチル酸又はポリアミンの遷移金属錯体又はキレート(場合によってはアスコルビン酸塩などの還元剤を含む)であり、遷移金属錯体又はキレートは主に酸素捕捉組成物として作用する。
【0017】
本発明に関し使用できる更に他の酸素スカベンジャーは、PCT特許公開WO 94/12590(Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation)[引用により全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。これらの酸素スカベンジャーには、予め決められた条件下で還元される少なくとも1種の還元性有機化合物であって、その化合物の還元型は酸素分子によって酸化可能であり、その有機化合物の還元及び/又は次なる酸化は、遷移金属触媒の存在とは無関係に起ることを特徴とする該化合物がある。好ましくは、その還元性有機化合物は、UVスペクトルに吸収を有する、キノン、光還元性色素、又はカルボニル化合物である。
【0018】
亜硫酸塩、亜硫酸アルカリ金属塩、及びタンニンも酸素捕捉化合物と考えられる。
【0019】
上記のように、エチレン性不飽和炭化水素を遷移金属触媒と組合せる。理論に拘泥されるものではないが、本発明者らは、適切な金属触媒は少なくとも2種の酸化状態に容易に転換されうるものであることを観察した。Sheldon, R.A.,Kochi, J.K.,“Metal-Catalyzed Oxidations of Organic Compounds” Academic Press, New york 1981を参照されたい。
【0020】
好ましくは、触媒は遷移金属塩の形態である。ここで、その金属は、周期率表の第1、第2又は第3遷移系列から選択される。適切な金属には、マンガンII又はIII、鉄II又はIII、コバルトII又はIII、ニッケルII又はIII、銅I又はII、ロジウムII、III又はIV、及びルテニウムII又はIIIがあるが、それらに限定されない。導入されるときの金属の酸化状態は必ずしも活性型のそれである必要はない。好ましくは、金属は鉄、ニッケル又は銅であり、より好ましくはマンガンであり、最も好ましくはコバルトである。金属の適切な対イオンは、塩素イオン、酢酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、カプリル酸イオン、リノール酸イオン、タレート(tallate)イオン、2−エチルヘキサン酸イオン、ネオデカン酸イオン、オレイン酸イオン、又はナフテン酸イオンがあるが、それらに限定されない。特に好適な塩には、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、ステアリン酸コバルトとネオデカン酸コバルト(II)がある。金属塩はイオノマーでもありうる。その場合、ポリマー性対イオンを用いる。このようなイオノマーは当業界で周知である。
【0021】
エチレン性不飽和炭化水素と遷移金属触媒は更に1種以上のポリマー希釈剤、例えばプラスチック包装用品でのフィルム層を形成するために典型的に使用される熱可塑性ポリマーなどと組合せることができる。ある包装用品の製造において、周知の熱硬化性物質もポリマー希釈剤として使用できる。
【0022】
希釈剤として使用できるポリマーには、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、低密度もしくは超低密度ポリエチレン、ウルトラ低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、並びにエチレン−酢酸ビニル、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート、エチレン−(メタ)アクリル酸及びエチレン−(メタ)アクリル酸イオノマーなどのエチレンコポリマーがあるが、それらに限定されない。異なる希釈剤の混合物も使用できる。しかし、上記のように、ポリマー希釈剤の選択は主に、製造される製品と最終用途による。このような選択因子は当業界で周知である。
【0023】
製造される特定の製品のために望まれる性質を与えるために、更なる添加剤も組成物に含めることができる。このような添加剤には、充填剤、色素、染料、抗酸化剤、安定化剤、加工助剤、可塑剤、難燃剤、消泡剤などがあるが、それらに限定されない。
【0024】
好ましくは、上記成分の混合は、50〜300℃の範囲の温度で融解混合によって行う。しかし、溶媒の使用、続いて蒸発のような代替法も使用できる。混合は、最終製品の製造直前に行いうるし、あるいは最終の包装用品の製造における後の使用のための原料又はマスターバッチの製造に先立って行いうる。
【0025】
これらの技術は包装への適用において大きな可能性を提供するが、ときには酸素捕捉構造体は、包装された物質の味や臭い(即ち官能的性質)に影響を与えうる、又は食品規制問題を起こしうる反応副生成物を生成しうることが判明した。これらの副生成物には、有機酸、アルデヒド、及びケトン等がある。
【0026】
この問題は、ポリマー性機能性バリアの使用によって最小にできる。ポリマー性機能性バリアは、酸素捕捉反応からの副生成物に対する選択的バリアとして作用するポリマー物質であるが、それ自体酸素に対する顕著なバリアではない。機能性バリアは、以下のものの1種以上からなる群から選択される:プロピレンモノマー含有ポリマー、アクリル酸メチルモノマー含有ポリマー、メタクリル酸モノマー含有ポリマー、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、無定形ナイロン、イオノマー、及びポリテルペンを含有するポリマー混合物。このような機能性バリアであるポリテルペン混合物は、BalloniらのWO 94/06626[引用によりその全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。例として、ポリプロピレン、プロピレン/エチレンコポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマー、及びエチレン/アクリル酸メチルコポリマーを挙げることができるが、それらには限定されない。機能性バリアポリマーは更に、ある種の適用では必要な酸素透過性を改変するために、他のポリマーと混合できる。機能性バリアは、酸素捕捉層を含む多層フィルムの1層以上の層又は容器に導入できる。しかし、当業者ならば、本発明は、有機酸、アルデヒド、ケトンなどの副生成物を産生する任意の酸素捕捉系に適用できることを容易に理解しよう。
【0027】
酸素捕捉適用のためのポリマー性機能性バリアは、ChingらのWO 96/08371[その全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。この場合の物質は、好ましくは更に延伸されるポリエチレンテレフタレート(PET)及びナイロン6などの高ガラス転移温度(Tg)のガラス状ポリマーである。反対に、本出願の発明者らは驚くべきことに、ある種の低Tgポリマーとそれらの混合物が有用な機能性バリア物質であることを見出した。
【0028】
酸素捕捉のある種の適用において、包装のヘッドスペースから酸素を急速に捕捉することが望ましい。このことを行うために、機能性バリア層は酸素に対し比較的高い透過性を有するが、機能性バリアという性質を維持しなければならない(即ち、小有機分子の移行を防止すること)。これらの場合に、機能性バリアの酸素透過性は約3,000cc O2/m2/日/気圧(1mil厚さ及び25℃で試験)超であることが好ましいが、好ましくは5,000超であり、より好ましくは8,000超であり、最適には10,000cc O2/m2/日/気圧(ASTM D3985で、1mil厚さ及び25℃で試験)超である。包装の酸素スカベンジャーとヘッドスペースの間に挟まれた層の透過性が高いほど、酸素がヘッドスペースから速く捕捉できる。所定の適用に必要な正確な酸素透過性は、当業者による実験で容易に決定できる。機能性バリアポリマーと、かなり高い酸素透過性を有するポリマーを混合することによって、より高い酸素透過性は容易に達成できる。機能性バリアポリマーとの混合に有用なポリマーには、アクリル酸アルキルのポリマー及びコポリマー、特にエチレン/アクリル酸ブチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマーなどがあるが、それらに限定されない。
【0029】
定義
本明細書の“フィルム”は、物を包装するために使用できるフィルム、積層物、シート、ウエブ、被覆などを意味する。
【0030】
本明細書の“酸素スカベンジャー”(OS)などは、ある環境からの酸素を消費し、枯渇させ、又は酸素と反応する組成物、物品などを意味する。
【0031】
本明細書の“化学線放射”は、米国特許第5,211,875号(Speerら)[引用によりその全部が本明細書に含まれるものとする]に開示された、紫外線放射又は電子線放射などの任意の型の放射を意味する。
【0032】
本明細書の“機能性バリア”は、酸素ではなく酸素捕捉反応からの副生成物に対する選択的バリアとして作用するポリマー物質を意味する。
【0033】
本明細書の“LLDPE”は、直鎖低密度ポリエチレンを意味し、これはエチレン/α−オレフィンコポリマーである。
【0034】
本明細書の“EVOH”は、エチレン/ビニルアルコールコポリマーを意味する。
【0035】
本明細書の“EVA”は、エチレン/酢酸ビニルコポリマーを意味する。
【0036】
本明細書の“ポリマー”などは、ホモポリマーと、ビスポリマー、ターポリマーなどを含むコポリマーも意味する。
【0037】
本明細書の“エチレン/α―オレフィンコポリマー”などは、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖中密度ポリエチレン(LMDPE)及び超低密度ポリエチレンとウルトラ低密度ポリエチレン(VLDPEとULDPE)などの不均質物質;並びにExxonによって供給されるEXACTTM及び三井石油化学(株)によって供給されるTAFMERTM物質などのメタロセンによって触媒されるポリマーのような均質ポリマーを意味する。これらの物質は一般的に、エチレンと、ブテン−1(即ち1−ブテン)、ヘキセン−1、オクテン−1などのC4〜C10α−オレフィンから選択される1種以上のコモノマーとのコポリマーであって、コポリマー分子は、比較的数少ない側鎖分岐又は架橋構造しか有しない長鎖を有することを特徴とするコポリマーである。この分子構造は、それぞれ対応するものよりより多く分岐している通常の低又は中密度ポリエチレンと対照的であるはずである。ダウケミカルから市販されている、AFFINITYTM樹脂として知られる長鎖分岐均一エチレン/α−オレフィンコポリマーなどの他のエチレン/α−オレフィンコポリマーも、本発明に有用なエチレン/α−オレフィンコポリマーの別の型として含める。VersipolTM(DuPont)と言われる単一部位触媒ポリエチレンは本発明で有用であることも更に考えられる。
【0038】
本明細書で使用する“ポリアミド”という用語は、分子鎖にアミド結合を有するポリマー、好ましくはナイロンなどの合成ポリアミドを指す。更に、このような用語は、重合してポリアミドを生成するカプロラクタムのようなモノマー由来の繰返し単位を含有するポリマーと、本明細書で一般的に“コポリアミド”とも言う、ナイロンターポリマーを含む2種以上のアミドモノマーからなるコポリマーの両方を包含する。
【0039】
本発明の概要
本発明の一つの面では、物品は、酸素スカベンジャーと、プロピレンモノマー由来のポリマー、アクリル酸メチルモノマー由来のポリマー、アクリル酸ブチル由来のポリマー、メタクリル酸モノマー由来のポリマー、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、無定形ナイロン、イオノマー、及びポリテルペンを含有するポリマー混合物からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0040】
本発明の第2の面では、包装は、酸素感受性物品、並びに、酸素感受性品物が入れられ、酸素スカベンジャー含有層とプロピレンモノマー由来のポリマー、アクリル酸メチルモノマー由来のポリマー、アクリル酸ブチル由来のポリマー、メタクリル酸モノマー由来のポリマー、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、無定形ナイロン、イオノマー、及びポリテルペンを含有するポリマー混合物からなる群から選択されるポリマーを含有する層を含有する成分を含む容器を含む。
【0041】
本発明の第3の面では、酸素を捕捉する反応の副生成物の移行が減少した物品の製造方法は、酸素スカベンジャー含有層とプロピレンモノマー由来のポリマー、アクリル酸メチルモノマー由来のポリマー、アクリル酸ブチル由来のポリマー、メタクリル酸モノマー由来のポリマー、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、無定形ナイロン、イオノマー、及びポリテルペンを含有するポリマー混合物からなる群から選択されるポリマーを含有する層を含有する物品を提供し、該物品を化学線放射に曝すことを含む。
【0042】
図面の簡単な説明
図1〜5は、本発明のフィルムの種々の実施態様の模式的断面図であるが、その図面に基づき、本発明を更に理解できよう。
図6〜11は、本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【0043】
好適実施態様の説明
本発明を用いて、種々の物品、化合物、物質の組成物、被覆などを製造できる。3種の好適な型は、密封用コンパウンド(混合物)もしくはガスケット;酸素捕捉ラッカー上のポリマー性機能性バリア被覆;及び柔軟性フィルム;であり、全ては食品と非食品物の包装に有用である。
【0044】
硬い容器の市場のためのガスケットの製造における密封用混合物の使用は公知である。典型的には、大きな、大直径のガスケットは、液体プラスチゾルを用いて製造される。このプラスチゾルは、可塑剤中のポリマー粒子の、非常に粘度が高い液体懸濁液である。金属もしくはプラスチックのキャップ、蓋などの製造において、この液体プラスチゾルを、ジャーなどの容器の環に適用し、適用されたプラスチゾルを有する容器はオーブンで“融解され”、プラスチゾルを固化させてガスケットにする。結果として、容器の環の廻りに形成されたガスケットを得る。
【0045】
典型的には、より小さいガスケットは、ビール瓶の冠における使用のために製造される。溶解したポリマーを、冠の全内面に冷成形によって適用する。PVCと他のポリマーの両方をこの適用で使用する。
【0046】
典型的には、プラスチックキャップのディスクは、ガスケット材料のリボンを用い、ディスクを製造し、そのディスクをプラスティックキャップに挿入して製造される。
【0047】
これらの適用の全てにおいて、有利なことには、酸素スカベンジャーとポリマー性機能性バリアの使用により、容器の内部環境から酸素が除去され、一方酸素捕捉反応の所望しない副生成物が抑制される。
【0048】
即ち、ガスケットは、酸素スカベンジャー及びポリマー性機能性バリアを含む。ガスケットは、硬い、もしくは半ば硬い容器に、金属もしくはプラスティックの蓋もしくはキャップを接着させ、容器を蓋もしくはキャップで密閉させる。
【0049】
缶又は硬い、もしくは半ば硬い容器のためのラッカーは、酸素捕捉物質、例えば本明細書記載の型のものを含むことができ、ポリマー性機能性バリアで被覆することができる。
【0050】
本発明のフィルムは、共押出し、積層化、押出し被覆、溶液被覆、又はコロナ結合、場合によっては照射及び/又は延伸などの通常の手段によって製造できる。本発明のフィルムは、所望ならば、機械方向又は横断方向のどちらか又は両方で延伸比1:2〜1:9で、延伸又は横延伸によって熱収縮性にすることができる。収縮適用の場合、本発明のフィルムは、どちらか一方の方向又は両方の方向で、90℃で、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、最適には少なくとも30%の自由収縮を有するように製造できる。ポリマー性機能性バリアは、多層フィルムの2層以上で使用できる。異なるポリマー性機能性バリアを同一フィルムで使用できる。ポリマー性機能性バリアが、酸素スカベンジャーより、食品又は酸素感受性物品でありうる包装の内容物に近く配置されるように、ポリマー性機能性バリアがフィルム中で、及び包装材料として使用されるのが好ましいが、酸素スカベンジャーが、ポリマー性機能性バリアより、包装の内容物に近く配置されるように、ポリマー性機能性バリアが酸素スカベンジャーの“外に”配置される適用もありうる。ポリマー性機能性バリアは、酸素スカベンジャーの両側にも配置されうる。
【0051】
あるいは、本明細書の他のところで記載した配置に加えて、又はその代わりに、機能性バリアは、酸素捕捉物質と同一層(単数又は複数)に配置できる。例を挙げると、例及び図の14、34、44、54のいずれも、機能性バリアを層重量の任意の適切なパーセント含むことができる。任意の適切なポリマー物質を、機能性バリア含有フィルムで使用でき、本明細書記載のものに限定されない。
【0052】
本明細書開示のポリマー性機能性バリアは、フィルムもしくは被覆と共に、もしくはそれらの中で使用でき、あるいは層もしくは別の物体上の被覆のような、又は瓶のキャップもしくは瓶のライナーのような、接着もしくは非接着挿入物、シーラント、ガスケット、繊維状マットもしくは他の挿入物のような、又は硬い、半ば硬い、もしくは柔らかい容器の非必須成分のような、捕捉用途もしくは他の用途のための種々の他の支持体に吸収されることができ、又は支持体上に吸着されることができる。
【0053】
図1では、層12と14を有する多層フィルム10を示す。
【0054】
図2は、層12、14、16を有する多層フィルムを示す。好ましくは、層12、14、16はポリマーである。
【0055】
層12は、プロピレンモノマー由来のポリマー、アクリル酸メチルモノマー由来のポリマー、アクリル酸ブチル由来のポリマー、メタクリル酸モノマー由来のポリマー、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、無定形ナイロン、イオノマー、及びポリテルペンを含有するポリマー混合物からなる群から選択されるポリマーを含有する。これらの物質は、フィルム内で起る酸素捕捉反応の副生成物の移行又は抽出に対する機能性バリアとして作用できる。
【0056】
層14は、酸素スカベンジャー、好ましくはポリマー性酸素スカベンジャー、より好ましくは上記材料の一つである。
【0057】
層16は、エチレン ビニルアルコール コポリマー(EVOH)、サラン(塩化ビニリデンコポリマー)、ポリエステル、ポリアミド、金属、シリカ被覆などの酸素バリア物質を含む。
【0058】
図3は、3層フィルムが第2のフィルムに接着した積層フィルムを示す。層32、34、36は機能的、組成的に、それぞれ図2の12、14、16に対応し、層38は、ポリオレフィンなどのポリマー物質、より好ましくは、エチレン/α−オレフィン及びエチレン/不飽和エステルコポリマー、より好ましくはエチレン/酢酸ビニルコポリマーなどのエチレン性ポリマーを含みうるような任意のポリマー物質中間層である。層31は、ポリウレタン接着剤のような通常の接着剤を表す。表6の比較2は、図3の積層フィルムの例である。
【0059】
図4は、4層フィルムが第2のフィルムに接着した積層フィルムを示す。層42、44、46、48は機能的、組成的に、それぞれ図3の32、34、36、38に対応する。層49は、ポリオレフィンなどの任意のポリマー物質、より好ましくは、エチレン/α−オレフィン及びエチレン 酢酸ビニルコポリマーなどのエチレン/不飽和エステルコポリマーなどのエチレン性ポリマーを含みうる最内層熱シール可能層である。層46はフィルム構造に酸素バリアを与え、通常の接着剤41により層48に接着する。この接着剤は図3の層31に対応し、太線として簡単に表されている。表6の実施例2と3は、図4の積層フィルムの例である。
【0060】
図5は、9層フィルムを示す。表2の実施例1と比較1は、図5のフィルムの例である。
【0061】
層57は、包装適用で使用するときに、フィルムの最外層として有用な耐酷使性層である。
【0062】
層54と56は機能的に、図2と3のそれぞれ14と16に、図4のそれぞれ層44と46に対応する。
【0063】
層52、53、58、59は接着剤を含む。好ましくは接着剤はポリマー、より好ましくは酸もしくは酸無水物でグラフトされたポリオレフィンである。更にこれらの層は層12について記載した型のポリマー性機能性バリアーを含みうる。
【0064】
層55は熱耐性物質を含む。これは、適切な任意のポリマー物質、好ましくはナイロン6などのアミドポリマー、又はポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルでありうる。層55は層12について記載した型のポリマー性機能性バリアーを含みうる。
【0065】
層51は熱シール性物質を含む。これは、適切な任意のポリマー物質、好ましくはエチレン性ポリマーなどのオレフィン性ポリマー、より好ましくはエチレン α−オレフィン コポリマーでありうる。
【0066】
図6〜11は各々、水平“X”軸は時間(分)を表し、垂直“Y”軸は実施例のアセトアルデヒドの移行(ガスクロマトグラフのピーク区画の曲線下の面積を表す単位)を表すグラフを示す。
【0067】
図6では、ダイアモンド型記号でプロットされた曲線は、実施例1のフィルムを通る、時間に対するアセトアルデヒドの移行を表す。正方形型記号によってプロットされた曲線は、実施例2のフィルムを通る、時間に対するアセトアルデヒドの移行を表す。三角形型記号によってプロットされた曲線は、実施例3のフィルムを通る、時間に対するアセトアルデヒドの移行を表す。
【0068】
上記と同様に、図7では、ダイアモンド型記号は実施例4を表し、正方形型記号は実施例5を表し、三角形型記号は実施例6を表す。
【0069】
図8では、中空正方形型記号は実施例7を表し、点線上の非中空(黒)正方形型記号は比較例1を表し、中空三角形型記号は実施例8を表し、点線上の非中空(黒)三角形型記号は比較例2を表す。
【0070】
図9では、正方形型記号は実施例9を表し、三角形型記号は実施例10を表し、点線は比較例3を表す。
【0071】
図10では、正方形型記号は実施例11を表し、三角形型記号は実施例12を表し、点線は比較例4を表す。
【0072】
図11では、ダイアモンド型記号は実施例13を表し、正方形型記号は実施例14を表し、三角形型記号は実施例15を表し、アステリスク型記号は実施例16を表し、点線は比較例5を表す。
【0073】
本発明は、以下の実施例に言及することによって更に理解できよう。表1によって、実施例で使用する物質を同定する。
【0074】
【表1】
【0075】
フィルム構造の幾つかの場合、ある物質同士を混合したが、これらの混合物は以下のように同定される:
OSB1=60%OS1+38.93%EV1+1.06%CAT1+0.01%Irganox 1076(抗酸化剤)
OSB2=60%OS1+39.2%EV1+0.5%EV3+0.3%CAT2
OSB3=76.5%OS2+13.5%OS3+9.2%EV1+0.5%PI1+0.3%CAT2
OSB4=40%OS1+54.83%EV1+1.06%CAT1+0.10%PI2+0.01%Irganox 1076(抗酸化剤)
PEB1=85%PE1+15%PT1
PEB2=90%PE2+10%AB1
EVB1=85%EV1+15%PT1
IONB1=90%ION3+10%AB1
PPB1=60%PP2+40%EB2
PPB2=40%PP2+60%EB2
【0076】
酸素捕捉構造は、包装された物質の味と臭いに影響を与えうるか、又は食品規制問題を起こしうる反応副生成物を産生しうることが知見された。これらの副生成物は、アルデヒド、酸、ケトンなどを含む。機能性バリアの可能性を確かめるために、アルデヒド移行試験を開発した。この試験では、アセトアルデヒドは比較的に移動しやすいので、それをモデルアルデヒド化合物として選択した。フィルムサンプルを、1個のクランプと2個のO−リングを有するセルの2つの各半分側の間に挟んだ。アセトアルデヒドをセルの半分側に導入した。ガスクロマトグラフを用い、フィルムサンプルを通ってセルの他の半分側に移行したアセトアルデヒドの濃度を測定した。機能性バリアは、フィルムサンプルを通ってのアセトアルデヒド移行を有意に減少させることができる。表2で、3種の単層フィルムを開示する。
【0077】
【表2】
【0078】
各単層の目標(及びほぼ実際の)寸法は2milであった。フィルムを通ってのアセトアルデヒド移行を図6に示す。ポリプロピレンは機能性バリアと考えられる。
【0079】
表3で、3種の単層フィルムを開示する。
【0080】
【表3】
【0081】
各単層の目標(及びほぼ実際の)寸法は2milであった。フィルムを通ってのアセトアルデヒド移行を図7に示す。ポリプロピレン及びプロピレン−エチレンコポリマーは機能性バリアと考えられる。
【0082】
表4で、2種の単層フィルムと2種の比較の単層フィルムを開示する。
【0083】
【表4】
【0084】
各単層の目標(及びほぼ実際の)寸法は2milであった。フィルムを通ってのアセトアルデヒド移行を図8に示す。少量のポリテルペンと他のポリマーとの混合によって、ある種のポリマーの機能性バリアの性質を増加できる。
【0085】
表5で、本発明の2種の共押出し4層フィルムと比較の4層フィルムを開示する。
【0086】
【表5】
【0087】
本発明と比較の構造の各層の目標(及びほぼ実際)の(ミルにおける)寸法は以下のとおりであった:
【0088】
【表6】
【0089】
アセトアルデヒド移行試験中、酸素捕捉反応は活性化されなかった。フィルムを通ってのアセトアルデヒド移行を図9に示す。エチレン−アクリル酸メチルコポリマー及びエチレン−アクリル酸メチル−メタクリル酸ターポリマーは機能性バリアであると考えられる。
【0090】
表6で、本発明の2種の共押出し4層フィルムと比較の4層フィルムを開示する。
【0091】
【表7】
【0092】
本発明と比較の構造の各層の目標(及びほぼ実際)の(ミルにおける)寸法は以下のとおりであった:
【0093】
【表8】
【0094】
アセトアルデヒド移行試験中、酸素捕捉反応は活性化されなかった。フィルムを通ってのアセトアルデヒド移行を図10に示す。エチレン−アクリル酸メチルコポリマーに基づくイオノマーは機能性バリアであると考えられる。
【0095】
表7で、本発明の4種の共押出し3層フィルムと比較の3層フィルムを開示する。
【0096】
【表9】
【0097】
本発明と比較の構造の各層の目標(及びほぼ実際)の(ミルにおける)寸法は以下のとおりであった:
【0098】
【表10】
【0099】
アセトアルデヒド移行試験中、酸素捕捉反応は活性化されなかった。フィルムを通ってのアセトアルデヒド移行を図11に示す。エチレン−メタクリル酸コポリマーは機能性バリアであると考えられる。
【0100】
表8で、本発明の3種の9層フィルムと比較例を開示する。これらは各々、層の共押出しで製造される。
【0101】
【表11】
【0102】
9層フィルム構造の各層の目標(及びほぼ実際)の(ミルにおける)寸法を下に示す。好ましくは、層9は、典型的包装適用における食品又は物品接触層である。
【0103】
【表12】
【0104】
機能性バリアが抽出性物質の濃度を減少させることができるかどうかを評価するために、実施例17、18、19と比較6のフィルムに食品法の移行試験を行った。米国特許第5,211,875号開示の方法により、フィルムに紫外線を照射した。フィルムを280cm2の袋にし、その袋に食品擬似物を入れた。次に、充填された袋を100℃に30分間保ち、50℃で10日間保存した。食品擬似物を袋から取出し、分析した。表9は抽出可能物質の可能性のあるもののリストを示す。表10は、フィルムを8%エタノール溶液で抽出したとき、同一の抽出性物質の濃度を示す。表11は、フィルムを水で抽出したとき、同一の抽出性物質の濃度を示す。表10と11の両方で、各抽出性物質の濃度はng/mLの単位である。ポリエチレンテレフタレートグリコール及び無定形ナイロンのような機能性バリアは、規制問題の原因となりうるある種の抽出性物質の濃度を減少させることができる。
【0105】
【表13】
【0106】
【表14】
【0107】
【表15】
【0108】
表12で、本発明の4層積層構造と1種の比較の4層積層構造を開示する。通常の接着剤を用い、共押出しをした3層フィルムを第2のフィルム(=層4)に積層することによって、4層構造を各々製造した。
【0109】
【表16】
【0110】
本発明と比較の積層構造の各層の(ミルにおける)の目標(及びほぼ実際の)寸法は以下のとおりであった。
【0111】
【表17】
【0112】
スライスしたボローニャソーセージを、実施例20及び比較7のフィルムから製造した包装中で保存した。機能性バリアが、酸素捕捉反応の副生成物が原因のオフフレーバーを減少させることができるかどうかを評価するために、官能パネルはボローニャソーセージスライスを試食した。
【0113】
米国特許第5,211,875号に開示の方法で、フィルムに紫外線を照射した。フィルムを、Mulrivac(登録商標)R7000包装器で包装用品にした。Cryovac(登録商標)T6070Bフィルムを、包装の底ウエブとして用いた。各包装はボローニャソーセージの1個のスライスを含んでいた。各包装に、99%N2と1%O2からなる混合気体を流入させた。暗所、40°Fで7日間、包装を保存した。
【0114】
官能パネルは、ボローニャソーセージスライスの味覚を評価した。尺度は1〜6であり、1は非常なオフフレーバーを示し、6はオフフレーバーの無いことを示していた。平均得点を表13に要約する。イオノマーのような機能性バリアは、酸素捕捉反応の副生成物が原因のオフフレーバーを減少させることができる。
【0115】
【表18】
【0116】
表14に、本発明の5層積層構造と1種の比較の5層積層構造を開示する。通常の接着剤を用い、共押出し4層フィルムを第2のフィルム(=層5)に積層することによって、5層構造を各々製造した。
【0117】
【表19】
【0118】
本発明と比較の積層構造の各層の(ミルにおける)の目標(及びほぼ実際の)寸法は以下のとおりであった。
【0119】
【表20】
【0120】
スライスした七面鳥を、実施例21及び比較8のフィルムから製造した包装中で保存した。機能性バリアが、酸素捕捉反応の副生成物が原因のオフフレーバーを減少させることができるかどうかを評価するために、官能パネルは七面鳥スライスを試食した。
【0121】
米国特許第5,211,875号に開示の方法で、フィルムに紫外線を照射した。フィルムを、Mulrivac(登録商標)R7000包装器で包装用品にした。Cryovac(登録商標)T6070Bフィルムを、包装の底ウエブとして用いた。各包装は七面鳥の1個のスライスを含んでいた。各包装に、99%N2と1%O2からなる混合気体を流入させた。暗所、40°Fで7日間、包装を保存した。
【0122】
官能パネルは、七面鳥スライスの味覚を評価した。尺度は1〜6であり、1は非常なオフフレーバーを示し、6はオフフレーバーの無いことを示していた。平均得点を表15に要約する。エチレン−アクリル酸メチルコポリマーのような機能性バリアは、酸素捕捉反応の副生成物が原因のオフフレーバーを減少させることができる。
【0123】
【表21】
【0124】
表16に、本発明の2種の5層積層構造と1種の比較の5層積層構造を開示する。通常の接着剤を用い、共押出し4層フィルムを第2のフィルム(=層5)に積層することによって、5層構造を各々製造した。
【0125】
【表22】
【0126】
本発明と比較の積層構造の各層の(ミルにおける)の目標(及びほぼ実際の)寸法は以下のとおりであった。
【0127】
【表23】
【0128】
スライスした七面鳥を、実施例22、23及び比較9のフィルムから製造した包装中で保存した。機能性バリアが、酸素捕捉反応の副生成物が原因のオフフレーバーを減少させることができるかどうかを評価するために、官能パネルは七面鳥スライスを試食した。
【0129】
米国特許第5,211,875号に開示の方法で、フィルムに紫外線を照射した。フィルムを、Mulrivac(登録商標)R7000包装器で包装用品にした。Cryovac(登録商標)T6070Bフィルムを、包装の底ウエブとして用いた。各包装は七面鳥の1個のスライスを含んでいた。各包装に、99%N2と1%O2からなる混合気体を流入させた。暗所、40°Fで7日間、包装を保存した。
【0130】
官能パネルは、七面鳥スライスの味覚を評価した。尺度は1〜6であり、1は非常なオフフレーバーを示し、6はオフフレーバーの無いことを示していた。表17は、包装された七面鳥スライスでオフフレーバーを知覚しなかった(即ち、得点6)パネリストの割合を要約する。幾つかの場合に、ポリプロピレン混合物のような機能性バリアは、酸素捕捉反応の副生成物が原因のオフフレーバーを減少させることができる。
【0131】
【表24】
【0132】
以下の請求の範囲を逸脱すること無しに、種々の改変及び修飾を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明のフィルムの1つの実施態様の模式的断面図である。
【図2】本発明のフィルムの1つの実施態様の模式的断面図である。
【図3】本発明のフィルムの1つの実施態様の模式的断面図である。
【図4】本発明のフィルムの1つの実施態様の模式的断面図である。
【図5】本発明のフィルムの1つの実施態様の模式的断面図である。
【図6】本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【図7】本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【図8】本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【図9】本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【図10】本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【図11】本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、酸素捕捉反応の副生成物を捕捉するための物品及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素に感受性の品を酸素に曝すことを抑制することにより、その物品の質と貯蔵期間が維持され高められることはよく知られている。食品包装産業では、酸素に曝されることを抑制する幾つかの手段が既に開発されている。
【0003】
これらの手段には、包装の内部環境を改変するための改変空気包装(MAP);ガス流入;真空包装;酸素バリア包装材料を使用する真空包装;などがある。酸素バリアフィルム及び積層品は、外部環境から包装内部への酸素浸透を減少させるか、又は遅延させる。
【0004】
現在使用されているもう一つの方法は“活性包装”によるものである。包装の空洞又は内部に酸素スカベンジャーを含めることは、活性包装の一形態である。典型的には、このようなスカベンジャーは、化学反応によって酸素を捕捉する組成物を含有する包み(サチェット)の形態である。包みの一つの型は、酸化される鉄組成物を含有する。包みのもう一つの型は、粒子状吸着剤上の不飽和脂肪酸塩を含有する。包みの更に別の型は、WO88/06641に開示のように、金属/ポリアミド錯体を含有する。
【0005】
包みの一つの欠点は、各包装に包みを加えるというもう一つの包装操作が必要なことである。袋から起るもう一つの欠点は、捕捉が適当な速度で起るために、包装内におけるある空気条件(例えば、高湿度、低CO2レベル)が必要なことである。
【0006】
酸素へ曝すことを抑制するもう一つの手段には、包装構造それ自体に酸素スカベンジャーを導入することである。このことにより、包装内中で、より均一な捕捉効果が達成される。包装内で空気循環が抑制されている場合、このことは特に重要でありうる。更に、このような導入によって、酸素が包装の壁(本明細書では、“活性酸素バリア”という)を通過するときに、酸素を遮断し、捕捉し、それによって包装内中でできるだけ低い酸素レベルを維持する手段が提供できる。
【0007】
酸素捕捉壁を製造する一つの試みには、無機粉末及び/又は塩の導入がある。しかし、これらの粉末及び/又は塩の導入によって、壁の透明性と引裂き力などの物理的性質の低下が生じる。更に、これらの化合物によって、加工の困難性、特にフィルム構造内の薄フィルム又は薄層の製造における加工の困難性が生じうる。更にまた、これらの化合物を含む壁の捕捉速度は、ある種の市販の酸素捕捉適用、例えば包みを使用する適用などには不適切である。
【0008】
その他の努力は、包装壁内に金属触媒−ポリアミド酸素捕捉系を導入することに向けられてきた。しかし、この系は、商業的に利用可能な速度で酸素捕捉を示さない。
【0009】
本発明のフィルムにおける商業的使用に適した酸素スカベンジャーは米国特許第5,350,622号に開示され、酸素捕捉を開始させる方法は一般的に米国特許第5,211,875号に開示されている。両方の特許は引用によりそれらの全部が本明細書に含まれるものとする。米国特許第5,350,622号によれば、酸素スカベンジャーは、エチレン性不飽和炭化水素と遷移金属触媒から製造される。好適なエチレン性不飽和炭化水素は置換されていても置換されていなくともよい。本明細書の定義では、非置換エチレン性不飽和炭化水素は、少なくとも1個の脂肪族炭素−炭素二重結合を有し、100重量%の炭素と水素を含む化合物である。置換エチレン性不飽和炭化水素とは、少なくとも1個の脂肪族炭素−炭素二重結合を有し、約50〜99重量%の炭素と水素を含むエチレン性不飽和炭化水素と本明細書では定義する。好適な置換又は非置換のエチレン性不飽和炭化水素は、分子当り2個以上のエチレン性不飽和基を有するものである。より好ましくは、それは、3個以上のエチレン性不飽和基を有し、1,000以上の重量平均分子量である重合化合物である。
【0010】
非置換エチレン性不飽和炭化水素の好適な例には、ポリイソプレンなどのジエンポリマー(例えばトランス−ポリイソプレン)及びそれらのコポリマー、シス及びトランス1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン(50%以上の1,2ミクロ構造を有するポリブタジエンと定義する)、並びにスチレン−ブタジエンコポリマーなどのそれらのコポリマーがあるがそれらに限定されない。このような炭化水素にはまた、ポリペンテナマー、ポリオクテナマー並びに環状オレフィンメタセシスにより製造されたその他のポリマーなどのポリマー化合物、;スクアレンなどのジエンオリゴマー;及びジシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、4−ビニルシクロヘキセン、1,7−オクタジエン又は2個以上の炭素−炭素二重結合(共役又は非共役)を含む他のモノマー由来の不飽和ポリマー又はコポリマーがある。
【0011】
好適な置換エチレン性不飽和炭化水素には、エステル、カルボン酸、アルデヒド、エーテル、ケトン、アルコール、ペルオキシド及び/又はヒドロペルオキシドなどの酸素含有部分を有するものがあるがそれらに限定されない。このような炭化水素の特定の例には、炭素−炭素二重結合を含むモノマーと、オレイン酸、レシノレイン酸、脱水レシノレイン酸、リノレイン酸などの不飽和脂肪酸及びその誘導体、例えばエステル、との縮合ポリマーがあるがそれに限定されない。このような炭化水素には、(メタ)アリル(メタ)アクリレート由来のポリマー又はコポリマーもある。適切な酸素捕捉ポリマーはトランス−エステル化によって製造できる。このようなポリマーはWO 95/02616[引用によりその全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。使用する組成物は、上記の置換又は非置換エチレン性不飽和炭化水素の2種以上の混合物も含む。重量平均分子量は1,000以上が好適であるが、より低分子量のエチレン性不飽和炭化水素も、それがフィルム形成ポリマー又はポリマーの混合物と混合されるならば、使用できる。
【0012】
室温で固体の透明層を形成するのに適切なエチレン性不飽和炭化水素は、上記の包装用品において酸素の捕捉のために好ましいことも明白であろう。透明性が必要な大部分の適用において、可視光の少なくとも50%の透過が可能な層が好ましい。
【0013】
本発明の透明な酸素捕捉層を製造する場合、1,2−ポリブタジエンが室温での使用のために特に好ましい。例えば、1,2−ポリブタジエンは、ポリエチレンと同様の透明性、物理的性質及び加工特性を示すことができる。更に、このポリマーは、酸素取込能の大部分又は全部が無くなった後でさえ、及び希釈樹脂がほとんど又は全く存在しないときでさえ、透明性と物理的な完全な形を保つことが知見されている。更にまた、1,2−ポリブタジエンは比較的高い酸素取込能を示し、捕捉し始めると、比較的高い捕捉速度も示す。
【0014】
低温での酸素の捕捉が所望の場合、1,4−ポリブタジエン、スチレンとブタジエンのコポリマー、スチレンとイソプレンのコポリマーが特に好ましい。このような組成物は米国特許第5,310,497号[Speerら,1994年5月10日発行;引用によりその全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。多くの場合に、上記ポリマーをエチレンのポリマー又はコポリマーと混合することが望ましい。
【0015】
本発明に関し使用できるその他の酸素スカベンジャーは、米国特許第5,075,362号(Hofeldtら)、第5,106,886号(Hofeldtら)、第5,204,389号(Hofeldtら)、及び第5,227,411号(Hofeldtら)[これらの特許全ては引用によりその内容の全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。これらの酸素スカベンジャーには、アスコルビン酸塩もしくはイソアスコルビン酸塩又は互いの、もしくは亜硫酸塩、しばしば亜硫酸ナトリウムとの混合物であり得る。
【0016】
本発明に関し使用できる更にその他の酸素スカベンジャーは、PCT特許出願WO 91/17044(Zapata Industries)とWO 94/09084(Aquanautics Corporation)とWO88/06641[全て引用によりその内容の全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。これらの酸素スカベンジャーには、遷移金属触媒含有アスコルビン酸塩がある。ここで、触媒は、遷移金属の単純な金属そのもの、もしくはその塩、又は化合物、錯体もしくはキレート;あるいはポリカルボン酸、サリチル酸又はポリアミンの遷移金属錯体又はキレート(場合によってはアスコルビン酸塩などの還元剤を含む)であり、遷移金属錯体又はキレートは主に酸素捕捉組成物として作用する。
【0017】
本発明に関し使用できる更に他の酸素スカベンジャーは、PCT特許公開WO 94/12590(Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation)[引用により全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。これらの酸素スカベンジャーには、予め決められた条件下で還元される少なくとも1種の還元性有機化合物であって、その化合物の還元型は酸素分子によって酸化可能であり、その有機化合物の還元及び/又は次なる酸化は、遷移金属触媒の存在とは無関係に起ることを特徴とする該化合物がある。好ましくは、その還元性有機化合物は、UVスペクトルに吸収を有する、キノン、光還元性色素、又はカルボニル化合物である。
【0018】
亜硫酸塩、亜硫酸アルカリ金属塩、及びタンニンも酸素捕捉化合物と考えられる。
【0019】
上記のように、エチレン性不飽和炭化水素を遷移金属触媒と組合せる。理論に拘泥されるものではないが、本発明者らは、適切な金属触媒は少なくとも2種の酸化状態に容易に転換されうるものであることを観察した。Sheldon, R.A.,Kochi, J.K.,“Metal-Catalyzed Oxidations of Organic Compounds” Academic Press, New york 1981を参照されたい。
【0020】
好ましくは、触媒は遷移金属塩の形態である。ここで、その金属は、周期率表の第1、第2又は第3遷移系列から選択される。適切な金属には、マンガンII又はIII、鉄II又はIII、コバルトII又はIII、ニッケルII又はIII、銅I又はII、ロジウムII、III又はIV、及びルテニウムII又はIIIがあるが、それらに限定されない。導入されるときの金属の酸化状態は必ずしも活性型のそれである必要はない。好ましくは、金属は鉄、ニッケル又は銅であり、より好ましくはマンガンであり、最も好ましくはコバルトである。金属の適切な対イオンは、塩素イオン、酢酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、カプリル酸イオン、リノール酸イオン、タレート(tallate)イオン、2−エチルヘキサン酸イオン、ネオデカン酸イオン、オレイン酸イオン、又はナフテン酸イオンがあるが、それらに限定されない。特に好適な塩には、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、ステアリン酸コバルトとネオデカン酸コバルト(II)がある。金属塩はイオノマーでもありうる。その場合、ポリマー性対イオンを用いる。このようなイオノマーは当業界で周知である。
【0021】
エチレン性不飽和炭化水素と遷移金属触媒は更に1種以上のポリマー希釈剤、例えばプラスチック包装用品でのフィルム層を形成するために典型的に使用される熱可塑性ポリマーなどと組合せることができる。ある包装用品の製造において、周知の熱硬化性物質もポリマー希釈剤として使用できる。
【0022】
希釈剤として使用できるポリマーには、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、低密度もしくは超低密度ポリエチレン、ウルトラ低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、並びにエチレン−酢酸ビニル、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート、エチレン−(メタ)アクリル酸及びエチレン−(メタ)アクリル酸イオノマーなどのエチレンコポリマーがあるが、それらに限定されない。異なる希釈剤の混合物も使用できる。しかし、上記のように、ポリマー希釈剤の選択は主に、製造される製品と最終用途による。このような選択因子は当業界で周知である。
【0023】
製造される特定の製品のために望まれる性質を与えるために、更なる添加剤も組成物に含めることができる。このような添加剤には、充填剤、色素、染料、抗酸化剤、安定化剤、加工助剤、可塑剤、難燃剤、消泡剤などがあるが、それらに限定されない。
【0024】
好ましくは、上記成分の混合は、50〜300℃の範囲の温度で融解混合によって行う。しかし、溶媒の使用、続いて蒸発のような代替法も使用できる。混合は、最終製品の製造直前に行いうるし、あるいは最終の包装用品の製造における後の使用のための原料又はマスターバッチの製造に先立って行いうる。
【0025】
これらの技術は包装への適用において大きな可能性を提供するが、ときには酸素捕捉構造体は、包装された物質の味や臭い(即ち官能的性質)に影響を与えうる、又は食品規制問題を起こしうる反応副生成物を生成しうることが判明した。これらの副生成物には、有機酸、アルデヒド、及びケトン等がある。
【0026】
この問題は、ポリマー性機能性バリアの使用によって最小にできる。ポリマー性機能性バリアは、酸素捕捉反応からの副生成物に対する選択的バリアとして作用するポリマー物質であるが、それ自体酸素に対する顕著なバリアではない。機能性バリアは、以下のものの1種以上からなる群から選択される:プロピレンモノマー含有ポリマー、アクリル酸メチルモノマー含有ポリマー、メタクリル酸モノマー含有ポリマー、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、無定形ナイロン、イオノマー、及びポリテルペンを含有するポリマー混合物。このような機能性バリアであるポリテルペン混合物は、BalloniらのWO 94/06626[引用によりその全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。例として、ポリプロピレン、プロピレン/エチレンコポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマー、及びエチレン/アクリル酸メチルコポリマーを挙げることができるが、それらには限定されない。機能性バリアポリマーは更に、ある種の適用では必要な酸素透過性を改変するために、他のポリマーと混合できる。機能性バリアは、酸素捕捉層を含む多層フィルムの1層以上の層又は容器に導入できる。しかし、当業者ならば、本発明は、有機酸、アルデヒド、ケトンなどの副生成物を産生する任意の酸素捕捉系に適用できることを容易に理解しよう。
【0027】
酸素捕捉適用のためのポリマー性機能性バリアは、ChingらのWO 96/08371[その全部が本明細書に含まれるものとする]に開示されている。この場合の物質は、好ましくは更に延伸されるポリエチレンテレフタレート(PET)及びナイロン6などの高ガラス転移温度(Tg)のガラス状ポリマーである。反対に、本出願の発明者らは驚くべきことに、ある種の低Tgポリマーとそれらの混合物が有用な機能性バリア物質であることを見出した。
【0028】
酸素捕捉のある種の適用において、包装のヘッドスペースから酸素を急速に捕捉することが望ましい。このことを行うために、機能性バリア層は酸素に対し比較的高い透過性を有するが、機能性バリアという性質を維持しなければならない(即ち、小有機分子の移行を防止すること)。これらの場合に、機能性バリアの酸素透過性は約3,000cc O2/m2/日/気圧(1mil厚さ及び25℃で試験)超であることが好ましいが、好ましくは5,000超であり、より好ましくは8,000超であり、最適には10,000cc O2/m2/日/気圧(ASTM D3985で、1mil厚さ及び25℃で試験)超である。包装の酸素スカベンジャーとヘッドスペースの間に挟まれた層の透過性が高いほど、酸素がヘッドスペースから速く捕捉できる。所定の適用に必要な正確な酸素透過性は、当業者による実験で容易に決定できる。機能性バリアポリマーと、かなり高い酸素透過性を有するポリマーを混合することによって、より高い酸素透過性は容易に達成できる。機能性バリアポリマーとの混合に有用なポリマーには、アクリル酸アルキルのポリマー及びコポリマー、特にエチレン/アクリル酸ブチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマーなどがあるが、それらに限定されない。
【0029】
定義
本明細書の“フィルム”は、物を包装するために使用できるフィルム、積層物、シート、ウエブ、被覆などを意味する。
【0030】
本明細書の“酸素スカベンジャー”(OS)などは、ある環境からの酸素を消費し、枯渇させ、又は酸素と反応する組成物、物品などを意味する。
【0031】
本明細書の“化学線放射”は、米国特許第5,211,875号(Speerら)[引用によりその全部が本明細書に含まれるものとする]に開示された、紫外線放射又は電子線放射などの任意の型の放射を意味する。
【0032】
本明細書の“機能性バリア”は、酸素ではなく酸素捕捉反応からの副生成物に対する選択的バリアとして作用するポリマー物質を意味する。
【0033】
本明細書の“LLDPE”は、直鎖低密度ポリエチレンを意味し、これはエチレン/α−オレフィンコポリマーである。
【0034】
本明細書の“EVOH”は、エチレン/ビニルアルコールコポリマーを意味する。
【0035】
本明細書の“EVA”は、エチレン/酢酸ビニルコポリマーを意味する。
【0036】
本明細書の“ポリマー”などは、ホモポリマーと、ビスポリマー、ターポリマーなどを含むコポリマーも意味する。
【0037】
本明細書の“エチレン/α―オレフィンコポリマー”などは、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖中密度ポリエチレン(LMDPE)及び超低密度ポリエチレンとウルトラ低密度ポリエチレン(VLDPEとULDPE)などの不均質物質;並びにExxonによって供給されるEXACTTM及び三井石油化学(株)によって供給されるTAFMERTM物質などのメタロセンによって触媒されるポリマーのような均質ポリマーを意味する。これらの物質は一般的に、エチレンと、ブテン−1(即ち1−ブテン)、ヘキセン−1、オクテン−1などのC4〜C10α−オレフィンから選択される1種以上のコモノマーとのコポリマーであって、コポリマー分子は、比較的数少ない側鎖分岐又は架橋構造しか有しない長鎖を有することを特徴とするコポリマーである。この分子構造は、それぞれ対応するものよりより多く分岐している通常の低又は中密度ポリエチレンと対照的であるはずである。ダウケミカルから市販されている、AFFINITYTM樹脂として知られる長鎖分岐均一エチレン/α−オレフィンコポリマーなどの他のエチレン/α−オレフィンコポリマーも、本発明に有用なエチレン/α−オレフィンコポリマーの別の型として含める。VersipolTM(DuPont)と言われる単一部位触媒ポリエチレンは本発明で有用であることも更に考えられる。
【0038】
本明細書で使用する“ポリアミド”という用語は、分子鎖にアミド結合を有するポリマー、好ましくはナイロンなどの合成ポリアミドを指す。更に、このような用語は、重合してポリアミドを生成するカプロラクタムのようなモノマー由来の繰返し単位を含有するポリマーと、本明細書で一般的に“コポリアミド”とも言う、ナイロンターポリマーを含む2種以上のアミドモノマーからなるコポリマーの両方を包含する。
【0039】
本発明の概要
本発明の一つの面では、物品は、酸素スカベンジャーと、プロピレンモノマー由来のポリマー、アクリル酸メチルモノマー由来のポリマー、アクリル酸ブチル由来のポリマー、メタクリル酸モノマー由来のポリマー、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、無定形ナイロン、イオノマー、及びポリテルペンを含有するポリマー混合物からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0040】
本発明の第2の面では、包装は、酸素感受性物品、並びに、酸素感受性品物が入れられ、酸素スカベンジャー含有層とプロピレンモノマー由来のポリマー、アクリル酸メチルモノマー由来のポリマー、アクリル酸ブチル由来のポリマー、メタクリル酸モノマー由来のポリマー、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、無定形ナイロン、イオノマー、及びポリテルペンを含有するポリマー混合物からなる群から選択されるポリマーを含有する層を含有する成分を含む容器を含む。
【0041】
本発明の第3の面では、酸素を捕捉する反応の副生成物の移行が減少した物品の製造方法は、酸素スカベンジャー含有層とプロピレンモノマー由来のポリマー、アクリル酸メチルモノマー由来のポリマー、アクリル酸ブチル由来のポリマー、メタクリル酸モノマー由来のポリマー、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、無定形ナイロン、イオノマー、及びポリテルペンを含有するポリマー混合物からなる群から選択されるポリマーを含有する層を含有する物品を提供し、該物品を化学線放射に曝すことを含む。
【0042】
図面の簡単な説明
図1〜5は、本発明のフィルムの種々の実施態様の模式的断面図であるが、その図面に基づき、本発明を更に理解できよう。
図6〜11は、本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【0043】
好適実施態様の説明
本発明を用いて、種々の物品、化合物、物質の組成物、被覆などを製造できる。3種の好適な型は、密封用コンパウンド(混合物)もしくはガスケット;酸素捕捉ラッカー上のポリマー性機能性バリア被覆;及び柔軟性フィルム;であり、全ては食品と非食品物の包装に有用である。
【0044】
硬い容器の市場のためのガスケットの製造における密封用混合物の使用は公知である。典型的には、大きな、大直径のガスケットは、液体プラスチゾルを用いて製造される。このプラスチゾルは、可塑剤中のポリマー粒子の、非常に粘度が高い液体懸濁液である。金属もしくはプラスチックのキャップ、蓋などの製造において、この液体プラスチゾルを、ジャーなどの容器の環に適用し、適用されたプラスチゾルを有する容器はオーブンで“融解され”、プラスチゾルを固化させてガスケットにする。結果として、容器の環の廻りに形成されたガスケットを得る。
【0045】
典型的には、より小さいガスケットは、ビール瓶の冠における使用のために製造される。溶解したポリマーを、冠の全内面に冷成形によって適用する。PVCと他のポリマーの両方をこの適用で使用する。
【0046】
典型的には、プラスチックキャップのディスクは、ガスケット材料のリボンを用い、ディスクを製造し、そのディスクをプラスティックキャップに挿入して製造される。
【0047】
これらの適用の全てにおいて、有利なことには、酸素スカベンジャーとポリマー性機能性バリアの使用により、容器の内部環境から酸素が除去され、一方酸素捕捉反応の所望しない副生成物が抑制される。
【0048】
即ち、ガスケットは、酸素スカベンジャー及びポリマー性機能性バリアを含む。ガスケットは、硬い、もしくは半ば硬い容器に、金属もしくはプラスティックの蓋もしくはキャップを接着させ、容器を蓋もしくはキャップで密閉させる。
【0049】
缶又は硬い、もしくは半ば硬い容器のためのラッカーは、酸素捕捉物質、例えば本明細書記載の型のものを含むことができ、ポリマー性機能性バリアで被覆することができる。
【0050】
本発明のフィルムは、共押出し、積層化、押出し被覆、溶液被覆、又はコロナ結合、場合によっては照射及び/又は延伸などの通常の手段によって製造できる。本発明のフィルムは、所望ならば、機械方向又は横断方向のどちらか又は両方で延伸比1:2〜1:9で、延伸又は横延伸によって熱収縮性にすることができる。収縮適用の場合、本発明のフィルムは、どちらか一方の方向又は両方の方向で、90℃で、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、最適には少なくとも30%の自由収縮を有するように製造できる。ポリマー性機能性バリアは、多層フィルムの2層以上で使用できる。異なるポリマー性機能性バリアを同一フィルムで使用できる。ポリマー性機能性バリアが、酸素スカベンジャーより、食品又は酸素感受性物品でありうる包装の内容物に近く配置されるように、ポリマー性機能性バリアがフィルム中で、及び包装材料として使用されるのが好ましいが、酸素スカベンジャーが、ポリマー性機能性バリアより、包装の内容物に近く配置されるように、ポリマー性機能性バリアが酸素スカベンジャーの“外に”配置される適用もありうる。ポリマー性機能性バリアは、酸素スカベンジャーの両側にも配置されうる。
【0051】
あるいは、本明細書の他のところで記載した配置に加えて、又はその代わりに、機能性バリアは、酸素捕捉物質と同一層(単数又は複数)に配置できる。例を挙げると、例及び図の14、34、44、54のいずれも、機能性バリアを層重量の任意の適切なパーセント含むことができる。任意の適切なポリマー物質を、機能性バリア含有フィルムで使用でき、本明細書記載のものに限定されない。
【0052】
本明細書開示のポリマー性機能性バリアは、フィルムもしくは被覆と共に、もしくはそれらの中で使用でき、あるいは層もしくは別の物体上の被覆のような、又は瓶のキャップもしくは瓶のライナーのような、接着もしくは非接着挿入物、シーラント、ガスケット、繊維状マットもしくは他の挿入物のような、又は硬い、半ば硬い、もしくは柔らかい容器の非必須成分のような、捕捉用途もしくは他の用途のための種々の他の支持体に吸収されることができ、又は支持体上に吸着されることができる。
【0053】
図1では、層12と14を有する多層フィルム10を示す。
【0054】
図2は、層12、14、16を有する多層フィルムを示す。好ましくは、層12、14、16はポリマーである。
【0055】
層12は、プロピレンモノマー由来のポリマー、アクリル酸メチルモノマー由来のポリマー、アクリル酸ブチル由来のポリマー、メタクリル酸モノマー由来のポリマー、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、無定形ナイロン、イオノマー、及びポリテルペンを含有するポリマー混合物からなる群から選択されるポリマーを含有する。これらの物質は、フィルム内で起る酸素捕捉反応の副生成物の移行又は抽出に対する機能性バリアとして作用できる。
【0056】
層14は、酸素スカベンジャー、好ましくはポリマー性酸素スカベンジャー、より好ましくは上記材料の一つである。
【0057】
層16は、エチレン ビニルアルコール コポリマー(EVOH)、サラン(塩化ビニリデンコポリマー)、ポリエステル、ポリアミド、金属、シリカ被覆などの酸素バリア物質を含む。
【0058】
図3は、3層フィルムが第2のフィルムに接着した積層フィルムを示す。層32、34、36は機能的、組成的に、それぞれ図2の12、14、16に対応し、層38は、ポリオレフィンなどのポリマー物質、より好ましくは、エチレン/α−オレフィン及びエチレン/不飽和エステルコポリマー、より好ましくはエチレン/酢酸ビニルコポリマーなどのエチレン性ポリマーを含みうるような任意のポリマー物質中間層である。層31は、ポリウレタン接着剤のような通常の接着剤を表す。表6の比較2は、図3の積層フィルムの例である。
【0059】
図4は、4層フィルムが第2のフィルムに接着した積層フィルムを示す。層42、44、46、48は機能的、組成的に、それぞれ図3の32、34、36、38に対応する。層49は、ポリオレフィンなどの任意のポリマー物質、より好ましくは、エチレン/α−オレフィン及びエチレン 酢酸ビニルコポリマーなどのエチレン/不飽和エステルコポリマーなどのエチレン性ポリマーを含みうる最内層熱シール可能層である。層46はフィルム構造に酸素バリアを与え、通常の接着剤41により層48に接着する。この接着剤は図3の層31に対応し、太線として簡単に表されている。表6の実施例2と3は、図4の積層フィルムの例である。
【0060】
図5は、9層フィルムを示す。表2の実施例1と比較1は、図5のフィルムの例である。
【0061】
層57は、包装適用で使用するときに、フィルムの最外層として有用な耐酷使性層である。
【0062】
層54と56は機能的に、図2と3のそれぞれ14と16に、図4のそれぞれ層44と46に対応する。
【0063】
層52、53、58、59は接着剤を含む。好ましくは接着剤はポリマー、より好ましくは酸もしくは酸無水物でグラフトされたポリオレフィンである。更にこれらの層は層12について記載した型のポリマー性機能性バリアーを含みうる。
【0064】
層55は熱耐性物質を含む。これは、適切な任意のポリマー物質、好ましくはナイロン6などのアミドポリマー、又はポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルでありうる。層55は層12について記載した型のポリマー性機能性バリアーを含みうる。
【0065】
層51は熱シール性物質を含む。これは、適切な任意のポリマー物質、好ましくはエチレン性ポリマーなどのオレフィン性ポリマー、より好ましくはエチレン α−オレフィン コポリマーでありうる。
【0066】
図6〜11は各々、水平“X”軸は時間(分)を表し、垂直“Y”軸は実施例のアセトアルデヒドの移行(ガスクロマトグラフのピーク区画の曲線下の面積を表す単位)を表すグラフを示す。
【0067】
図6では、ダイアモンド型記号でプロットされた曲線は、実施例1のフィルムを通る、時間に対するアセトアルデヒドの移行を表す。正方形型記号によってプロットされた曲線は、実施例2のフィルムを通る、時間に対するアセトアルデヒドの移行を表す。三角形型記号によってプロットされた曲線は、実施例3のフィルムを通る、時間に対するアセトアルデヒドの移行を表す。
【0068】
上記と同様に、図7では、ダイアモンド型記号は実施例4を表し、正方形型記号は実施例5を表し、三角形型記号は実施例6を表す。
【0069】
図8では、中空正方形型記号は実施例7を表し、点線上の非中空(黒)正方形型記号は比較例1を表し、中空三角形型記号は実施例8を表し、点線上の非中空(黒)三角形型記号は比較例2を表す。
【0070】
図9では、正方形型記号は実施例9を表し、三角形型記号は実施例10を表し、点線は比較例3を表す。
【0071】
図10では、正方形型記号は実施例11を表し、三角形型記号は実施例12を表し、点線は比較例4を表す。
【0072】
図11では、ダイアモンド型記号は実施例13を表し、正方形型記号は実施例14を表し、三角形型記号は実施例15を表し、アステリスク型記号は実施例16を表し、点線は比較例5を表す。
【0073】
本発明は、以下の実施例に言及することによって更に理解できよう。表1によって、実施例で使用する物質を同定する。
【0074】
【表1】
【0075】
フィルム構造の幾つかの場合、ある物質同士を混合したが、これらの混合物は以下のように同定される:
OSB1=60%OS1+38.93%EV1+1.06%CAT1+0.01%Irganox 1076(抗酸化剤)
OSB2=60%OS1+39.2%EV1+0.5%EV3+0.3%CAT2
OSB3=76.5%OS2+13.5%OS3+9.2%EV1+0.5%PI1+0.3%CAT2
OSB4=40%OS1+54.83%EV1+1.06%CAT1+0.10%PI2+0.01%Irganox 1076(抗酸化剤)
PEB1=85%PE1+15%PT1
PEB2=90%PE2+10%AB1
EVB1=85%EV1+15%PT1
IONB1=90%ION3+10%AB1
PPB1=60%PP2+40%EB2
PPB2=40%PP2+60%EB2
【0076】
酸素捕捉構造は、包装された物質の味と臭いに影響を与えうるか、又は食品規制問題を起こしうる反応副生成物を産生しうることが知見された。これらの副生成物は、アルデヒド、酸、ケトンなどを含む。機能性バリアの可能性を確かめるために、アルデヒド移行試験を開発した。この試験では、アセトアルデヒドは比較的に移動しやすいので、それをモデルアルデヒド化合物として選択した。フィルムサンプルを、1個のクランプと2個のO−リングを有するセルの2つの各半分側の間に挟んだ。アセトアルデヒドをセルの半分側に導入した。ガスクロマトグラフを用い、フィルムサンプルを通ってセルの他の半分側に移行したアセトアルデヒドの濃度を測定した。機能性バリアは、フィルムサンプルを通ってのアセトアルデヒド移行を有意に減少させることができる。表2で、3種の単層フィルムを開示する。
【0077】
【表2】
【0078】
各単層の目標(及びほぼ実際の)寸法は2milであった。フィルムを通ってのアセトアルデヒド移行を図6に示す。ポリプロピレンは機能性バリアと考えられる。
【0079】
表3で、3種の単層フィルムを開示する。
【0080】
【表3】
【0081】
各単層の目標(及びほぼ実際の)寸法は2milであった。フィルムを通ってのアセトアルデヒド移行を図7に示す。ポリプロピレン及びプロピレン−エチレンコポリマーは機能性バリアと考えられる。
【0082】
表4で、2種の単層フィルムと2種の比較の単層フィルムを開示する。
【0083】
【表4】
【0084】
各単層の目標(及びほぼ実際の)寸法は2milであった。フィルムを通ってのアセトアルデヒド移行を図8に示す。少量のポリテルペンと他のポリマーとの混合によって、ある種のポリマーの機能性バリアの性質を増加できる。
【0085】
表5で、本発明の2種の共押出し4層フィルムと比較の4層フィルムを開示する。
【0086】
【表5】
【0087】
本発明と比較の構造の各層の目標(及びほぼ実際)の(ミルにおける)寸法は以下のとおりであった:
【0088】
【表6】
【0089】
アセトアルデヒド移行試験中、酸素捕捉反応は活性化されなかった。フィルムを通ってのアセトアルデヒド移行を図9に示す。エチレン−アクリル酸メチルコポリマー及びエチレン−アクリル酸メチル−メタクリル酸ターポリマーは機能性バリアであると考えられる。
【0090】
表6で、本発明の2種の共押出し4層フィルムと比較の4層フィルムを開示する。
【0091】
【表7】
【0092】
本発明と比較の構造の各層の目標(及びほぼ実際)の(ミルにおける)寸法は以下のとおりであった:
【0093】
【表8】
【0094】
アセトアルデヒド移行試験中、酸素捕捉反応は活性化されなかった。フィルムを通ってのアセトアルデヒド移行を図10に示す。エチレン−アクリル酸メチルコポリマーに基づくイオノマーは機能性バリアであると考えられる。
【0095】
表7で、本発明の4種の共押出し3層フィルムと比較の3層フィルムを開示する。
【0096】
【表9】
【0097】
本発明と比較の構造の各層の目標(及びほぼ実際)の(ミルにおける)寸法は以下のとおりであった:
【0098】
【表10】
【0099】
アセトアルデヒド移行試験中、酸素捕捉反応は活性化されなかった。フィルムを通ってのアセトアルデヒド移行を図11に示す。エチレン−メタクリル酸コポリマーは機能性バリアであると考えられる。
【0100】
表8で、本発明の3種の9層フィルムと比較例を開示する。これらは各々、層の共押出しで製造される。
【0101】
【表11】
【0102】
9層フィルム構造の各層の目標(及びほぼ実際)の(ミルにおける)寸法を下に示す。好ましくは、層9は、典型的包装適用における食品又は物品接触層である。
【0103】
【表12】
【0104】
機能性バリアが抽出性物質の濃度を減少させることができるかどうかを評価するために、実施例17、18、19と比較6のフィルムに食品法の移行試験を行った。米国特許第5,211,875号開示の方法により、フィルムに紫外線を照射した。フィルムを280cm2の袋にし、その袋に食品擬似物を入れた。次に、充填された袋を100℃に30分間保ち、50℃で10日間保存した。食品擬似物を袋から取出し、分析した。表9は抽出可能物質の可能性のあるもののリストを示す。表10は、フィルムを8%エタノール溶液で抽出したとき、同一の抽出性物質の濃度を示す。表11は、フィルムを水で抽出したとき、同一の抽出性物質の濃度を示す。表10と11の両方で、各抽出性物質の濃度はng/mLの単位である。ポリエチレンテレフタレートグリコール及び無定形ナイロンのような機能性バリアは、規制問題の原因となりうるある種の抽出性物質の濃度を減少させることができる。
【0105】
【表13】
【0106】
【表14】
【0107】
【表15】
【0108】
表12で、本発明の4層積層構造と1種の比較の4層積層構造を開示する。通常の接着剤を用い、共押出しをした3層フィルムを第2のフィルム(=層4)に積層することによって、4層構造を各々製造した。
【0109】
【表16】
【0110】
本発明と比較の積層構造の各層の(ミルにおける)の目標(及びほぼ実際の)寸法は以下のとおりであった。
【0111】
【表17】
【0112】
スライスしたボローニャソーセージを、実施例20及び比較7のフィルムから製造した包装中で保存した。機能性バリアが、酸素捕捉反応の副生成物が原因のオフフレーバーを減少させることができるかどうかを評価するために、官能パネルはボローニャソーセージスライスを試食した。
【0113】
米国特許第5,211,875号に開示の方法で、フィルムに紫外線を照射した。フィルムを、Mulrivac(登録商標)R7000包装器で包装用品にした。Cryovac(登録商標)T6070Bフィルムを、包装の底ウエブとして用いた。各包装はボローニャソーセージの1個のスライスを含んでいた。各包装に、99%N2と1%O2からなる混合気体を流入させた。暗所、40°Fで7日間、包装を保存した。
【0114】
官能パネルは、ボローニャソーセージスライスの味覚を評価した。尺度は1〜6であり、1は非常なオフフレーバーを示し、6はオフフレーバーの無いことを示していた。平均得点を表13に要約する。イオノマーのような機能性バリアは、酸素捕捉反応の副生成物が原因のオフフレーバーを減少させることができる。
【0115】
【表18】
【0116】
表14に、本発明の5層積層構造と1種の比較の5層積層構造を開示する。通常の接着剤を用い、共押出し4層フィルムを第2のフィルム(=層5)に積層することによって、5層構造を各々製造した。
【0117】
【表19】
【0118】
本発明と比較の積層構造の各層の(ミルにおける)の目標(及びほぼ実際の)寸法は以下のとおりであった。
【0119】
【表20】
【0120】
スライスした七面鳥を、実施例21及び比較8のフィルムから製造した包装中で保存した。機能性バリアが、酸素捕捉反応の副生成物が原因のオフフレーバーを減少させることができるかどうかを評価するために、官能パネルは七面鳥スライスを試食した。
【0121】
米国特許第5,211,875号に開示の方法で、フィルムに紫外線を照射した。フィルムを、Mulrivac(登録商標)R7000包装器で包装用品にした。Cryovac(登録商標)T6070Bフィルムを、包装の底ウエブとして用いた。各包装は七面鳥の1個のスライスを含んでいた。各包装に、99%N2と1%O2からなる混合気体を流入させた。暗所、40°Fで7日間、包装を保存した。
【0122】
官能パネルは、七面鳥スライスの味覚を評価した。尺度は1〜6であり、1は非常なオフフレーバーを示し、6はオフフレーバーの無いことを示していた。平均得点を表15に要約する。エチレン−アクリル酸メチルコポリマーのような機能性バリアは、酸素捕捉反応の副生成物が原因のオフフレーバーを減少させることができる。
【0123】
【表21】
【0124】
表16に、本発明の2種の5層積層構造と1種の比較の5層積層構造を開示する。通常の接着剤を用い、共押出し4層フィルムを第2のフィルム(=層5)に積層することによって、5層構造を各々製造した。
【0125】
【表22】
【0126】
本発明と比較の積層構造の各層の(ミルにおける)の目標(及びほぼ実際の)寸法は以下のとおりであった。
【0127】
【表23】
【0128】
スライスした七面鳥を、実施例22、23及び比較9のフィルムから製造した包装中で保存した。機能性バリアが、酸素捕捉反応の副生成物が原因のオフフレーバーを減少させることができるかどうかを評価するために、官能パネルは七面鳥スライスを試食した。
【0129】
米国特許第5,211,875号に開示の方法で、フィルムに紫外線を照射した。フィルムを、Mulrivac(登録商標)R7000包装器で包装用品にした。Cryovac(登録商標)T6070Bフィルムを、包装の底ウエブとして用いた。各包装は七面鳥の1個のスライスを含んでいた。各包装に、99%N2と1%O2からなる混合気体を流入させた。暗所、40°Fで7日間、包装を保存した。
【0130】
官能パネルは、七面鳥スライスの味覚を評価した。尺度は1〜6であり、1は非常なオフフレーバーを示し、6はオフフレーバーの無いことを示していた。表17は、包装された七面鳥スライスでオフフレーバーを知覚しなかった(即ち、得点6)パネリストの割合を要約する。幾つかの場合に、ポリプロピレン混合物のような機能性バリアは、酸素捕捉反応の副生成物が原因のオフフレーバーを減少させることができる。
【0131】
【表24】
【0132】
以下の請求の範囲を逸脱すること無しに、種々の改変及び修飾を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明のフィルムの1つの実施態様の模式的断面図である。
【図2】本発明のフィルムの1つの実施態様の模式的断面図である。
【図3】本発明のフィルムの1つの実施態様の模式的断面図である。
【図4】本発明のフィルムの1つの実施態様の模式的断面図である。
【図5】本発明のフィルムの1つの実施態様の模式的断面図である。
【図6】本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【図7】本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【図8】本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【図9】本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【図10】本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【図11】本発明と比較例の種々のフィルムの場合の時間に対するアセトアルデヒド濃度をグラフで示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素捕捉剤と、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)及び無定形ナイロンからなる群から選択されるポリマーとを含むガスケット形態の物品。
【請求項2】
酸素捕捉剤が、
i)酸化性化合物と遷移金属触媒、
ii)エチレン性不飽和炭化水素と遷移金属触媒、
iii)アスコルビン酸塩、
iv)イソアスコルビン酸塩、
v)亜硫酸塩、
vi)遷移金属の単純な金属もしくは塩又は化合物、錯体もしくはキレートを含む遷移金属触媒とアスコルビン酸塩、
vii)ポリカルボン酸、サリチル酸又はポリアミンの遷移金属錯体又はキレート、
viii)UVスペクトルに吸収を有する還元型のキノン類、光還元性染料又はカルボニル化合物、及び
ix)タンニン
からなる群から選択される物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項1】
酸素捕捉剤と、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)及び無定形ナイロンからなる群から選択されるポリマーとを含むガスケット形態の物品。
【請求項2】
酸素捕捉剤が、
i)酸化性化合物と遷移金属触媒、
ii)エチレン性不飽和炭化水素と遷移金属触媒、
iii)アスコルビン酸塩、
iv)イソアスコルビン酸塩、
v)亜硫酸塩、
vi)遷移金属の単純な金属もしくは塩又は化合物、錯体もしくはキレートを含む遷移金属触媒とアスコルビン酸塩、
vii)ポリカルボン酸、サリチル酸又はポリアミンの遷移金属錯体又はキレート、
viii)UVスペクトルに吸収を有する還元型のキノン類、光還元性染料又はカルボニル化合物、及び
ix)タンニン
からなる群から選択される物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−28524(P2006−28524A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−245342(P2005−245342)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【分割の表示】特願2002−159066(P2002−159066)の分割
【原出願日】平成9年3月7日(1997.3.7)
【出願人】(500584804)クライオバツク・インコーポレイテツド (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245342(P2005−245342)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【分割の表示】特願2002−159066(P2002−159066)の分割
【原出願日】平成9年3月7日(1997.3.7)
【出願人】(500584804)クライオバツク・インコーポレイテツド (3)
【Fターム(参考)】
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