説明

酸素捕捉性組成物用のポリエステル系コバルトコンセントレート

コンセントレートの重量に基づき、1000〜40,000ppm(金属の重量)の範囲の量で存在する遷移金属と、コンセントレートの重量に基づき、少なくとも40重量%の量で存在するポリエステルポリマーとの組合せを有する固体コンセントレートが提供される。高改質ポリエステルポリマーを用いて製造されたコンセントレートは、遷移金属との配合が容易であり、溶融押出時にそれほど脆くないポリマーを形成する。これらのコンセントレートからはボトルプレフォーム及び酸素捕捉性ボトルが、固体ポリステル粒子、固体ポリアミド粒子及び固体コンセントレート粒子を溶融加工ゾーン中に合し、メルトを形成し、そして前記メルトから直接、物品を形成することによって製造できる。これらのプレフォームのb*カラー及びL*カラー並びにヘイズのレベルは、固体コンセントレートではなく液体キャリヤーを用いて製造されたプレフォームに比較して改善される。これらの粒子はまた、ブレンドから水分を少なくとも一部分除去するのに有効な条件下で乾燥ゾーン中で同時に乾燥させることによってb*カラー及びL*カラーが改善されるので有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルプレフォーム及びボトルの製造に関し、より詳細には、酸素捕捉性(oxygen−scavenging)組成物、プレフォーム、ボトル及び他の物品の提供に有用な、少なくともポリエチレンテレフタレートポリマー及びコバルトを含むコンセントレート(concentrate)に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、飲料、特にビール及び果汁、化粧品、医薬品などのための包装は、酸素暴露による損傷を受けやすく、包装材料の内容物の鮮度を保つため並びに風味、質感及び色の変化を避けるために、酸素及び二酸化炭素に対する高いバリア性を必要とする。少量の高バリアポリアミド、例えばポリ(m−キシリレンアジパミド)(典型的には、MXD6として商業的に知られる)とポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、PETとを含むブレンドは、PETの受動バリア性(passive barrier properties)を向上させる。
【0003】
包装材料の内容物中への酸素の侵入を更に減少させるために、少量のコバルト塩のような遷移金属塩をPETとポリアミドとのブレンドに添加して、ポリアミドポリマーの酸化を触媒し且つ積極的に促進し、それによって包装材料の酸素バリア特性を更に向上させることができる。包装材料の壁を通って移動する酸素を化学的に除去するこのような積極的な酸素捕捉剤(oxygen scavenger)の使用は、包装に使用されるプラスチックの酸素透過率を低下させるのに非常に有効な方法であることができる。現在入手可能な捕捉剤はある程度は有用であるが、種々の欠点も有し、例えば、完全活性が得られる前の誘導期間が非常に長く且つ/又は寿命(能力)が短すぎる。場合によっては、これらの欠陥は、包装材料構造中の酸素捕捉剤のレベルを増加させることよってある程度は対処できる。しかし、これは典型的には、最終包装材料のコストを増加させ、包装材料の外観に望ましくない影響を及ぼす、例えばヘイズ又は色を増す。更に、酸素捕捉剤濃度の増加は、包装材料の製造及び再生利用を複雑にする可能性がある。従って、速い捕捉速度を迅速に実現する、改善された酸素捕捉材料が必要とされている。
【0004】
積極的な酸素捕捉活性を与えるために、遷移金属塩は、従来、PETポリマーに及びPETポリマーとポリアミドポリマーとブレンドに添加されてきた。これらの金属塩をPET組成物中に組み込むための典型的な方法は、液体キャリヤー中に含まれる金属をバルクPETペレット供給材料と共に押出機中に供給することを含む。或いは、コバルトのような金属は、押出機への供給時にPETペレットが既にコバルトを含んでいるように、PET製造のための溶融相プロセスに添加されることが多い。この方法においては、金属塩は、物品中の目的濃度に対応する低濃度で、又はマスターバッチを形成するためにはより高濃度で、添加することができる。しかし、ポリマー製造のための溶融プロセスへの金属塩の添加は、PET重合反応器中において使用される高温条件及び長い滞留時間においては、変色又は過剰レベルの他の不所望な副生成物、例えばジエチレングリコール及びアセトアルデヒドの生成をもたらす可能性がある。この条件は、金属を早期に添加されるか又は遷移金属を含むポリマーメルトの滞留時間が非常に長い場合には、悪化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、酸素捕捉活性の欠陥はある程度は、PETへの遷移金属の添加形態によることを見出した。本発明者らは、ポリエステルキャリヤーを含む固体コンセントレートの形態でコバルトをバルクポリエステルポリマーに添加する場合には、多数の利点が得られることも見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コンセントレートの重量に基づき、1000〜40,000ppm(金属で)の範囲の量の遷移金属と、コンセントレートの重量に基づき、少なくとも40重量%の量の、少なくとも0.55dL/gのIt.V.を有するポリエステルポリマーとを溶融配合することによって得られる固体コンセントレートが提供される。溶融配合によって、溶融条件下におけるIVブレークダウンを補償するより高いIVを有するポリエステルポリマーを使用し、メルト中の金属の滞留時間を短くし、且つポリマーを製造するための仕上げ機又は最終反応器中において典型的に見られるより緩和な条件下でブレンドを生成する、より大きな柔軟性が得られた。本発明のコンセントレートから製造された物品は、また、遷移金属が溶融相において添加されたポリエステルポリマーから製造された物品に比較して、より効果的に酸素を捕捉できる。また、ポリエステルポリマーを含む固体ポリエステル粒子、ポリアミドポリマーを含む固体ポリアミド粒子及び、コンセントレートの重量に基づき、1000〜40,000ppmの範囲の量の遷移金属化合物とコンセントレートの重量に基づき、少なくとも40重量%の量の、少なくとも0.55dL/gのIt.V.を有するポリエステルポリマーとを溶融配合することによって得られる固体コンセントレートを溶融加工ゾーン中に合し、メルトを形成し、そして前記メルトから物品を直接形成することを含んでなるプレフォームの製造方法が提供される。
【0007】
また、乾燥ゾーンにおいて、ポリエステルポリマーを含む固体ポリエステル粒子、ポリアミドポリマーを含む固体ポリアミド粒子並びにポリエステルポリマー及び1000〜40,000ppmの範囲の量で存在する遷移金属を含む固体コンセントレート粒子を含むブレンドを、前記ブレンドから水分を少なくとも一部分除去するのに有効な条件下で同時に乾燥させることを含む粒子の乾燥方法が提供される。
【0008】
更に、コンセントレートの重量に基づき、少なくとも1000ppmの量の遷移金属及び、コンセントレートの重量に基づき、少なくとも40重量%の量のポリエステルポリマーを含むポリエステルポリマーコンセントレートを含み、前記ポリエステルポリマーの少なくとも一部が、ポリエステルポリマー中に存在するヒドロキシル化合物残基の全モルに基づき、20〜60モル%の範囲の量のヒドロキシル改質剤残基及び/又は、ポリエステルポリマー中に存在するポリカルボン酸残基の全モルに基づき、20〜60モル%の量のポリカルボン酸改質剤を含む高改質ポリエステルポリマーを含む固体コンセントレートが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1はコバルトが他の手段によって添加された樹脂組成物と比較した、本発明の組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【0010】
図2は本発明に含まれる種々の組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【0011】
図3は本発明に含まれる更なる組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【0012】
図4も本発明に含まれる更なる組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【0013】
図5は本発明に含まれる更なる組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率の長期性能のグラフ図である。
【0014】
図6はコバルトが溶融重合工程の間にポリエステルに添加された組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【0015】
図7は、コバルトが液体コンセントレートを介して添加された樹脂組成物と比較した、本発明の組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【0016】
図8は、コバルトが液体コンセントレートを介して添加された樹脂組成物と比較した、本発明の更なる組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【0017】
図9は、コバルトが液体コンセントレートを介して添加された樹脂組成物と比較した、本発明の組成物から製造された更なるボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【0018】
図10は、射出成形工程前に成分が一緒に乾燥されなかった同様な組成物と比較した、ブレンドの成分が「共乾燥(codried)」された本発明の組成物を含む密閉アンプル中の経時的な酸素分圧のグラフ図である。
【0019】
本発明は以下の発明の詳細な説明を参照することによってより理解しやすくなるであろう。
【0020】
本明細書及び添付した「特許請求の範囲」中で使用する単数形の用語(a,an,the)は、前後関係からそうでないことが明白に示されない限り、複数の指示対象を含む。例えば1つの「ポリマー」、「プレフォーム」、「物品」、「容器」、「コンセントレート」又は「ボトル」の加工又は製造への言及は、複数のポリマー、プレフォーム、物品、容器又はボトルの加工又は製造を含むものとする。1種の「成分」又は1種の「ポリマー」を含む組成物への言及は、名前を挙げたものに加えて、他の成分又は他のポリマーをそれぞれ含むものとする。
【0021】
「〜を含んでなる」又は「〜を含む」又は「〜によって得られる」は、少なくとも名前を挙げた化合物、要素、粒子又は方法工程などはその組成物又は物品又は方法中に存在しなければならないが、他の化合物、材料、粒子、方法工程などが、名前を挙げたものと同じ機能を持っていたとしても、「特許請求の範囲」において明示的に除外されるのでなければ、このような他の化合物、触媒、材料、粒子、方法工程などの存在を除外しないことを意味する。
【0022】
また、1つ又はそれ以上の方法工程についての言及は、列挙された組合せ工程の前若しくは後における追加の方法工程の存在又は明示的に特定されたこれらの工程の間の介在方法工程の存在を排除しないことを理解されたい。更に、「プロセス工程」という記載は、別個の作業又は工程を特定するための簡便な手段であり、特に断らない限り、列挙したプロセス工程は、任意の順序で配列されることができる。範囲の表示は、その範囲内の全ての整数及び分数を含む。1つのプロセスにおける、又は1つの反応混合物の、又はメルトの若しくはメルトに適用される、又はポリマーの若しくはポリマーに適用される最小温度若しくは最高温度又は温度範囲の表示は、全ての場合において、その反応条件が特定の温度又はその範囲内の又は下端表示量より大きい若しくは上端表示量未満の任意の温度に連続的又は断続的に設定されること;並びに反応混合物、メルト又はポリマーが、整定値としての特定温度に供されるが、個々の反応混合物、メルト又はポリマーが個々の温度に実際に到達するか又は保持されることを必要としないことを意味する。
【0023】
本明細書全体に記載された極限粘度数値は、後述の例1の直前に記載された計算に従って、25℃において60/40(重量/重量)フェノール/テトラクロロエタン中で測定されたインヘレント粘度から計算したものをdL/g単位で記載してある。
【0024】
*値は明度(brightness)の基準である。この値を、ASTM D 1746に従って、ディスク、プラック、プレフォーム又はボトル側壁に関して測定する(透過モード)。測色の理論及び実践については、Fred W. Billmeyer,Jr.によって”Principles of Color Technology”,25〜66頁(1981)(John Wiley & Sons,New York)により詳細に解説されている。明度は、CIE 1976 反対色スケール(opponent−color scale)においてL*として測定され、100%は、全ての波長において100%の透過を示す無色サンプルに相当する。透過モードにおける無色サンプルの100のL*は完全透明であり、無色サンプルの0のL*は不透明であろう。
【0025】
コバルトのような適当な遷移金属で触媒する場合、ポリエステルとポリアミドとのブレンドは酸素を捕捉でき、酸素透過率が非常に低い物品を製造できる。少なくともポリエステルポリマー及び遷移金属を含むコンセントレートを介してこのようなブレンドにコバルトを添加すると、液体キャリヤー添加又は他の実施態様においてはポリエステルポリマーの製造のための溶融相への金属の添加のおけるような、コバルトを組み込む他の方法に比べて、少なくとも1つの利点、そうでないなら、いくつかの利点の組合せが提供される。
【0026】
全ての実施態様が必ずしも、本明細書中に記載して全ての利点を実現するわけではない。しかし、以下のような利点の少なくとも1つを、本明細書中に記載した実施態様の1つ又はそれ以上において得ることができる:
【0027】
液体キャリヤーは、射出成形機において又は別個のプレブレンド工程において、ポリエステルペレット及び/又はポリアミドペレットを加温するために(乾燥工程から)導入する場合に、揮発可能である(揮発は、固体ポリエステル系金属コンセントレートの使用によって著しく減少させるか又は排除することができる);
【0028】
固体コンセントの添加では、液体キャリヤー中コバルトの添加よりも掃除が容易である;
【0029】
遷移金属及びポリエステルの固体コンセントレートは、遷移金属を含む対応する液体キャリヤーよりも安定である(例えば、液体キャリヤー中コバルトは沈降して、キャリヤーサンプル全体にわたって濃度むらを生じる可能性がある。本発明者らはまた、いくつかの液体コンセントレートにおいて流れ特性の有意な経時的変化に気付いたが、ポリエステル系コバルトコンセントレートは安定である。);
【0030】
コバルト含有固体コンセントレートを用いて製造された、ポリアミドを含むプレフォームから延伸ブロー成形されたプレフォーム及びボトルの色は、液体キャリヤー中に含まれるコバルトを用いて製造されたものよりも良好なb*及びL*カラーを有する;
【0031】
ポリエステル、ポリアミド及びコバルトのブレンドの製造方法における有意な柔軟性(詳細には、コンセントレートを用いたアプローチでは、コンセントレートペレット、ポリエステルペレット及びポリアミドペレットを含む全ての材料を混合し、次いで、従来のPET加工装置中で運搬し、標準的なPET乾燥条件で乾燥させることが可能になる。意外にも、この「共乾燥」により、ポリエステル成分及びポリアミド成分が混合前に別々に乾燥される液体コンセントレートを用いて製造された同様な組成物よりも良好な色を有する材料が得られる。);
【0032】
コバルトを含む液体キャリヤーに比較して、コバルトを含む固体コンセントレートを用いると、ボトルプレフォームのヘイズレベルが、コバルトが固体コバルトコンセントレートから得られる場合には、液体キャリヤーから得られた同じか又はそれより少ない量のコバルトを含む匹敵するプレフォームに比較して低下する;
【0033】
固体コンセントレートの使用によるコバルトの添加は、バルクポリエステルポリマーの溶融相重合の間に添加されたコバルトよりも酸化触媒として有効である;そして
【0034】
遷移金属と配合された高改質ポリエステルポリマーは、このようなコンセントレートはわずかしか改質されていないポリエステルポリマーを用いて製造された同じコンセントレートと比較してそれほど脆くなく且つ形成されるスティック(stick)がより少ないので、ペレット化がより容易である。
【0035】
第1の実施態様において、コンセントレートの重量に基づき、1000〜40,000ppm(金属で)の範囲の量の遷移金属化合物と、コンセントレートの重量に基づき、少なくとも40重量%の量の、少なくとも0.55dL/gのIt.V.を有するポリエステルポリマーとを溶融配合することによって得られる固体コンセントレートが提供される。
【0036】
全ての実施態様において、ペレットコンセントレートは、1気圧及び25℃において測定した場合に固体である。前記の第1の実施態様においては、コンセントレートは、溶融配合において添加される、金属原子含量に基づき、1000〜40,000ppmの範囲の量で存在する遷移金属を含む。一実施態様において、30ppmから又50ppmから500ppmまで又は300ppmまでの遷移金属を含むプレフォームを提供する金属の量が適当である。本明細書全体で使用する、金属の表示ppm範囲又は「金属で(by metal)」は、添加する金属化合物の金属成分の重量に基づくもので、金属化合物の重量に基づくものではない。コンセントレート内の金属の適当な量は、少なくとも1500ppm、又は少なくとも2000ppm、又は少なくとも2500ppmの範囲である。コンセントレートは、少なくとも1000ppm又は少なくとも2,000ppm又は少なくとも3,000ppmであって、40,000ppm以下又は20,000ppm以下又は15,000ppm以下又は10,000ppm以下又は8000pm以下又は7000ppm以下又は6000ppm以下又は5000ppm未満の濃度範囲内の量の金属を含むことができる。金属の量は、螢光X線(X−Ray)又は高周波誘導結合プラズマ質量分析(ICP)によって測定できる。
【0037】
コンセントレート中に存在する型の遷移金属は、ポリアミドポリマーのような被酸化性(oxidizable)ポリマーの酸化を活性化又は促進するのに有効である。これらの遷移金属がポリアミドポリマーの酸化を活性化又は促進する働きをするメカニズムは明白でない。便宜上、本明細書中ではこれらの遷移金属を酸化触媒と称するが、この名称は、これらの遷移金属が働くメカニズムが実際に触媒的であるか又は触媒回路に従うことを意味しない。遷移金属は、酸化反応において消費される場合もされない場合もあり、或いは消費される場合であっても、触媒活性状態に戻すことによって一時的に消費されるだけである場合もある。米国特許第5,955,527号(引用することによって本明細書中に全体を組み入れる)に記載されるように、ある程度の触媒が副反応において失われる場合もあるし、或いは触媒は「分岐鎖反応によって、『触媒』の量に比例せずに酸素の捕捉を引き起こす遊離基を生じる」開始剤と見なされる場合もある。
【0038】
遷移金属の適当な例としては、コバルト、銅、ロジウム、白金、レニウム、ルテニウム、パラジウム、タングステン、オスミウム、カドミウム、銀、タンタル、ハフニウム、バナジウム、チタン、クロム、ニッケル、亜鉛及びマンガンが挙げられる。好ましいのはコバルトである。
【0039】
単語「金属」の使用、又はコバルトのような任意の特定の金属の使用は、任意の酸化状態の金属を意味する。コバルトの例は、コンセントレートに+2若しくは+3の酸化状態で添加されるコバルト又はその少なくとも一部がコンセントレート中で+2若しくは+3の酸化状態で存在するコバルト、或いは元素状コバルトとしての0の酸化状態のコバルト金属を含む。最も好ましいのは、+2の酸化状態で添加されるコバルトである。
【0040】
0以外の酸化状態においては、金属は典型的には塩、酸化物又は他の対イオンとして添加されるか又は存在する。金属に対する適当な対イオンとしてはとりわけ、カルボン酸イオン、例えばネオデカン酸イオン、オクタン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、ナフタル酸イオン、リンゴ酸イオン、ステアリン酸イオン、アセチルアセトン酸イオン、リノール酸イオン、オレイン酸イオン、パルミチン酸イオン、2−エチルヘキサン酸イオン若しくはエチレングリコール酸イオン;酸化物イオン;ホウ酸イオン;炭酸イオン;塩化物イオン;二酸化物イオン;水酸化物イオン;硝酸イオン;リン酸イオン;硫酸イオン;又はケイ酸イオン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0041】
コバルトが塩の形態の+2の酸化状態で添加された、約2000〜8000ppmのコバルトを含むコンセントレートが好ましい。ネオデカン酸コバルト及び酢酸コバルトが好ましい塩の例である。ネオデカン酸コバルトが特に好ましい。
【0042】
第1の実施態様のコンセントレートは、当業界で知られた種々の溶融配合法によって製造できる。コンセントレートの成分を合し且つそれらを混合するためには、ポリエステルポリマーペレットを溶融するように設計された任意の適当な装置を使用できる。別法として、この機能は、装置の一つより多い部分(piece)において実施できる。これは連続法又は回分法で実施できる。使用できる装置の例としては以下のものが挙げられるが、これらの限定するものではない:二本ロール機、開口混合室を有する二軸ローター・ミキサー(two rotor mixer)、単一ローターを有する内部ミキサー、複数の逆転ローターを有する内部ミキサー、複数の共回転ローターを有する内部ミキサー、複数の混合室を有する内部ミキサー、一軸スクリュー押出機、遊星形多軸スクリュー押出機、共回転二軸スクリュー押出機、逆回転二軸スクリュー押出機、コニカル型押出機など。これらの混合装置は当業界でよく知られており、以下のような多くの参考文献に記載されている:W.Michaeli,”Plastics Processing:An Introduction”,Carl Hanser Verlag,Munich,1995;”Polymer Mixing: Technology and Engineering”,J.L.White,A.Y.Coran and A. Moet,Eds.,Carl Hanser Verlag,Munich,2001;及び”Plastics Compounding: Equipment and Processing”,D.B.Todd,Ed.,Carl Hanser Verlag,Munich,1998。
【0043】
別法として、成分はまた、混合要素(mixing element)が静止しており且つ混合が、溶融ポリマー及びコバルト塩を含む溶融流れが静止要素を通って流れる際の、前記溶融流れの多重再配向(multiple reorientation)によって行われるスタティックミキサーを用いて混合することもできるし、或いは溶融ポリマーを、撹拌容器中でコバルト塩と混合することもできる。
【0044】
コバルト塩は、コバルト塩の混合物であることができ、コンセントレートの製造プロセスに稀釈せずに供給することもできるし、又は適当なキャリヤー中に稀釈して供給することもできる。
【0045】
好ましい実施態様において、コバルトを含む固体ポリエステルコンセントレートの製造は、ポリエステルペレットのベース樹脂の1つ若しくは複数の別個の流れ及びネオデカン酸コバルトのようなコバルト含有添加剤の別個の流れを乾燥供給することによって、又はポリエステルとコバルト添加剤とを乾燥ブレンドすることによって行い、それは次に、Werner & Pfleiderer製のような二軸スクリュー配合機の溶融加工ゾーンに一緒に供給して、約450〜550°Fにおいて溶融混合し且つポリエステルマトリックス中にコバルトを分散させることができる。次いで、ポリエステル/コバルト溶融混合物を水中で急冷し、下流の用途において更に使用するために、円筒状ペレットに切断する。固化されたペレット又はコンセントレートは非晶質の形態で用いることもできるし、或いは300°F超の温度において長時間撹拌及び加熱することによって結晶化させることもできる。
【0046】
コンセントレートは、また、固体ポリエステルポリマーを、コンセントレートの重量に基づき、少なくとも40重量%又は少なくとも50重量%又は少なくとも60重量%又は少なくとも80重量%又は少なくとも90重量%又は少なくとも95重量%又は少なくとも98重量%又は少なくとも99重量%の量で含む。一実施態様において、コンセントレートは、ポリエステルポリマー以外のポリマーを本質的に含まない。
【0047】
固体コンセントレート中に含まれるポリエステルポリマーは、物品を製造するための溶融加工ゾーンに供給されるバルクポリエステルポリマーと同じでも異なってもよい。適当なポリエステルポリマーは、1気圧及び25℃において固体であるものである。好ましいポリエステルポリマーは、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基又はナフタレン酸残基の反復単位を含むもののような、芳香族反復単位を含むものである。60モル%以下の改質剤で改質されたポリエチレンテレフタレート、ポリ(ジメチルシクロヘキサンテレフタレート)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びそれらのコポリマーが好ましい。
【0048】
適当なのは、40モル%若しくはそれ以下、又は25モル%若しくはそれ以下、又は15モル%若しくはそれ以下、又は10モル%若しくはそれ以下、又は8モル%若しくはそれ以下の累積量の1種又はそれ以上のポリカルボン酸改質剤、及び/或いは60モル%若しくはそれ以下、又は50モル%若しくはそれ以下、又は15モル%若しくはそれ以下、又は10モル%若しくはそれ以下、又は8モル%若しくはそれ以下の1種又はそれ以上のヒドロキシル化合物改質剤で改質されたポリエチレンテレフタレートホモポリマー及びコポリマー(略して「PET」と総称する)、及び40モル%若しくはそれ以下、又は15モル%若しくはそれ以下、又は10モル%若しくはそれ以下、又は8モル%若しくはそれ以下の累積量の1種又はそれ以上のポリカルボン酸改質剤、或いは60モル%未満、又は50モル%未満、又は15モル%未満、又は10モル%若しくはそれ以下、又は8モル%若しくはそれ以下の1種又はそれ以上のヒドロキシル化合物改質剤で改質されたポリエチレンナフタレートホモポリマー及びコポリマー(ここでは、「PEN」と総称する)、並びにPETとPENとのブレンドである。改質剤ポリカルボン酸化合物は、50モル%超の量で存在する酸化合物以外の化合物である。改質剤ヒドロキシル化合物は、エチレングリコール以外の化合物である。
【0049】
好ましいポリエステルポリマーはポリアルキレンテレフタレートであり、最も好ましいのはPETである。
【0050】
第2の実施態様において、コンセントレートの重量に基づき、少なくとも1000ppmの量の遷移金属及びコンセントレートの重量に基づき少なくとも40重量%の量のポリエステルポリマーを含み、前記ポリエステルポリマーの少なくとも一部が、ポリエステルポリマー中に存在するヒドロキシル化合物残基の全モルに基づき、20〜60モル%の範囲の量のヒドロキシル改質剤残基及び/又は、ポリエステルポリマー中に存在するポリカルボン酸残基の全モルに基づき、20〜60モル%の範囲の量のポリカルボン酸改質剤を含む高改質ポリエステルポリマーを含むポリエステルポリマーコンセントレートが提供される。望ましくは、高改質ポリエステルポリマーの量は、コンセントレート中に存在するポリエステルポリマーの総量の少なくとも25重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%又は100重量%以下である。この第2の実施態様におけるコンセントレートの製造方法は特には限定しない。
【0051】
第2の実施態様における金属含量は特には限定しない。好ましくは、第2の実施態様における遷移金属濃度は少なくとも1000ppm又は少なくとも2,000ppm又は少なくとも3,000ppmであって、40,000ppm以下又は20,000ppm以下又は15,000ppm以下又は10,000ppm以下又は8000ppm以下又は7000ppm以下又は6000ppm以下又は5000未満であるのが望ましい。
【0052】
この第2の実施態様のコンセントレート中に使用するポリエステルポリマーの少なくとも一部は、ポリエステルポリマーがポリエステルポリマー中に存在する対応するポリカルボン酸残基又はヒドロキシル化合物残基のモルに基づき、少なくとも20モル%又は少なくとも25モル%又は少なくとも30モル%であって60モル%以下の量で使用される改質剤の残基を含むように、ポリカルボン酸又はヒドロキシル改質剤、より好ましくはヒドロキシル改質剤を含み、それと共重合されることができる。望ましくは、改質剤、特にヒドロキシル改質剤は、ポリマー中に存在する対応する残基に基づき、25〜60モル%、又は25〜50モル%、又は30〜50モル%の範囲の量で共重合される。
【0053】
本発明者らは、遷移金属と配合された高改質ポリエステルポリマーは、わずかしか改質されていないポリエステルポリマーを用いて製造された同じブレンドと比較してそれほど脆くないので、ペレット化がより容易であることを見出した。押出及び切断の間に形成される「スティック(stick)」はより少ない。「スティック」は、ストランドがカッターの刃において破壊された結果として形成されるロッドである。スティックは、ペレット形ではなくロッド形と確認され、長さが1/8”を超えることが多い。このようなスティックは、射出成形機の供給口における供給時に望ましくない。
【0054】
高改質ポリマーは、遷移金属と配合される場合にはそれほど脆くないので、ポリエステルポリマー中へのより高い配合量の遷移金属も今や可能である。更に、高改質ポリエステルポリマーを用いることによって、押出機中のメルトの加工温度を低下させることができる。
【0055】
この第2の実施態様において、遷移金属は、ポリエステルポリマーを製造するための溶融相プロセスに加えることもできるし、或いはポリエステルポリマーと溶融配合することによって加えることもできる。しかし、溶融配合に関して前述したようなより多くの利点を得るためには、高改質ポリエステルポリマーを遷移金属と溶融配合することによって遷移金属を加えるのが好ましい。
【0056】
より詳細には、この実施態様おいて及び好ましくは本明細書中に記載する他の実施態様において、コンセントレート中に使用する好ましいポリエステルポリマーは、
(i)ポリエステルポリマー中のポリカルボン酸残基100モル%に基づき、少なくとも60モル%又は少なくとも85モル%又は少なくとも92モル%又は少なくとも94モル%の、テレフタル酸、テレフタル酸誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸誘導体又はそれらの混合物の残基を含むポリカルボン酸成分;並びに
(ii)ポリエステルポリマー中のヒドロキシル残基100モル%に基づき、少なくとも40モル%又は少なくとも50モル%であって且つ80モル%以下のエチレングリコールの残基を、少なくとも20モル%又は少なくとも25モル%又は少なくとも30モル%であって且つ60モル%以下のヒドロキシル改質剤の残基と共に含むヒドロキシル成分
を含む。
【0057】
所望ならば、大過剰のヒドロキシル化合物、例えば、使用するポリカルボン酸100モル%に対して、約200モル%以下のヒドロキシル化合物を使用可能なので、ポリエステルポリマーの製造時におけるポリカルボン酸化合物とヒドロキシル化合物との反応は、表示したモル%比に限定されない。しかし、この反応によって生成されるポリエステルポリマーは、表示量の芳香族ジカルボン酸残基及びヒドロキシル残基を含む。テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸の誘導体としては、C1〜C4ジアルキルテレフタレート及びC1〜C4ジアルキルナフタレート、例えば、ジメチルテレフタレート及びジメチルナフタレートが挙げられる。
【0058】
テレフタル酸、テレフタル酸誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸誘導体又はそれらの混合物である二酸成分の他に、本発明のポリカルボン酸成分は1種又はそれ以上の追加の改質剤ポリカルボン酸を含むことができる。このような追加の改質剤ポリカルボン酸としては、炭素数が好ましくは8〜14の芳香族ジカルボン酸、炭素数が好ましくは4〜12の脂肪族ジカルボン酸、又は炭素数が好ましくは8〜12の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。酸成分として有用な改質剤ジカルボン酸の例は、フタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などであり、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸及びシクロヘキサンジカルボン酸が最も好ましい。これらの酸の対応する酸無水物、エステル及び酸塩化物の使用も用語「ポリカルボン酸」に含めることを理解されたい。また、三官能価又はそれ以上の官能価のポリカルボン酸も前記ポリエステルを改質することができる。
【0059】
ヒドロキシル成分は、カルボン酸基と反応できる2個又はそれ以上のヒドロキシル基を含む化合物であるヒドロキシル化合物から生成される。好ましいヒドロキシル化合物は、2又は3個の、より好ましくは2個のヒドロキシル基を含み、C2〜C4アルカンジオール、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール及びブタンジオールであるのが好ましい。これらのうち、容器用途にはエチレングリコールが最も好ましい。
【0060】
これらのジオールに加えて、他の改質剤ヒドロキシル化合物成分としては、炭素数が好ましくは6〜20の脂環式ジオール及び/又は炭素数が好ましくは3〜20の脂肪族ジオールのようなジオールが挙げられる。このようなジオールの例としては、以下のものが挙げられる:ジエチレングリコール;プロパン−1,3−ジオール及びブタン−1,4−ジオール(エチレングリコール残基が、全ヒドロキシル化合物残基のモルに基づき、50モル%超の量でポリマー中に存在するならば、これらはいずれも改質剤ヒドロキシル化合物と見なされる);トリエチレングリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;ペンタン−1,5−ジオール;ヘキサン−1,6−ジオール;3−メチルペンタンジオール−(2,4);ネオペンチルグリコール;2−メチルペンタンジオール−(1,4);2,2,4−トリメチルペンタン−ジオール−(1,3);2,5−エチルヘキサンジオール−(1,3);2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3);ヘキサンジオール−(1,3);1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン;2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン;2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン;2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン;及び2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパン。典型的には、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルは、グリコールを遊離酸としてのジカルボン酸又はそのジメチルエステルと反応させてエステルモノマー及び/又はオリゴマーを生成し、次いでそれを重縮合させてポリエステルを生成することによって生成される。
【0061】
好ましい改質剤としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルシクロブタン、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール及びジエチレングリコールが挙げられる。
【0062】
配合ポリエステルポリマー組成物中のポリエステルポリマーの量は、全てのポリエステルポリマー及び全ての他のポリマーの総重量に基づき、50.0重量%超から又は80.0重量%から又は90.0重量%から又は95.0重量%から又は96.0重量%から又は97重量%から、約99.90重量%までの範囲である。配合ポリエステルポリマー組成物はまた、配合ポリエステルポリマー組成物と、ポリカーボネートのような他の熱可塑性ポリマーとのブレンドを含むことができる。ポリエステル組成物は、本発明の配合ポリエステルポリマー組成物の大部分を構成する、より好ましくは配合ポリエステルポリマー組成物(充填剤、無機化合物若しくは粒子、繊維、耐衝撃性改良剤、又は冷温貯蔵食品トレイに見られるような、不連続相を形成するか若しくは耐衝撃性改良剤として働く他のポリマーを除く)の重量に基づき、少なくとも80重量%又は90.0重量%の量で存在するのが望ましい。
【0063】
ポリエステルポリマーは、エステル化及び重縮合を行うのに充分な、当業界で知られた重合法によって製造できる。ポリエステルの溶融相製造方法は、エステル化ゾーンにおける、場合によってはエステル化触媒の存在下での、ジカルボン酸とジオールとの直接縮合と、それに続くプレポリマー及び仕上げゾーン中における重縮合触媒の存在下での重縮合;又はエステル交換ゾーン中における、通常はエステル交換触媒の存在下でのエステル交換と、それに続く重縮合触媒の存在下での予備重合及び仕上げを含み、いずれも場合によっては、既知の方法に従って固相化することができる。
【0064】
一実施態様において、高改質ポリエステルポリマーを用いて生成されるコンセントレートのIt.V.は、概ね少なくとも0.60又は少なくとも0.70又は少なくとも0.75から約1.15dL/gの範囲である。
【0065】
別の実施態様において、溶融配合プロセスにおいてコンセントレートを生成するのに用いる、コンセントレート製造前のポリエステルポリマーのIt.V.は、概ね少なくとも0.55又は少なくとも0.65又は少なくとも0.70又は少なくとも0.75から約1.15dL/gまでの範囲である。この実施態様において、コンセントレートは、要素を一緒に溶融配合することによって生成する。
【0066】
溶融相重合からの溶融ポリマーは、固化させることができ、且つ/又はメルトから任意の結晶化度を達成することができる。別法として、溶融ポリマーは最初に固化し、次いでガラスから結晶化させることができる。
【0067】
更に別の実施態様において、溶融相配合プロセスにおいてコンセントレートを生成するのに使用するポリエステルポリマー、又は製造方法に関係なく、高改質ポリエステルを用いて生成されるコンセントレート自体は好ましくは、少なくとも0.68dL/g、又は少なくとも0.70dL/g、又は少なくとも0.72dL/g、又は少なくとも0.76dL/g、更には少なくとも0.80dL/gを有し、このようなIt.V.は、ポリエステルポリマーの製造のための溶融相において得られる。即ち、金属をブレンドするポリエステルポリマーのこのIt.V.は、ポリマーを固相重合せずに得られる。溶融相重縮合反応おいて得られた高It.V.を有するポリエステルポリマーを提供することによって、ポリマーを固相化重合させて、そのIt.V.を増加させる、費用及び時間のかかる工程が回避される。
【0068】
コンセントレート中のポリエステルポリマーは性質の観点からすると、半結晶質又は本質的に非晶質であることができる。しかし、得られるポリマーが本質的に非晶質(結晶化度が5%又はそれ以下)である場合には、約70℃又はそれ以上のDSC Tgを有する組成物が好ましい。
【0069】
溶融加工ゾーンに供給するバルクポリエステルポリマーとして使用するポリエステルポリマー組成物もまた、前記の範囲内の組成を有する。コンセントレート中のポリエステルポリマーの組成は、Tg及び結晶化反応速度のような最終ポリエステルブレンドの性質を調整するために又は、必要に応じて、物品を製造するための溶融加工ゾーンに供給されるバルクポリエステルポリマーの組成に一致させるために、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジエチレングリコールのようなコモノマー及び他の改質剤の組み込みによって特化させることができる。
【0070】
物品の組成物は特には限定しない。組成物の例は、金属を含まない同一組成に比較して、プレフォーム及びトレイの再加熱速度を増加させ、ボトルの摩擦係数を低下させ、耐衝撃性を改良し、且つ酸素を捕捉するのに金属が有効である組成物である。例えば、固体コンセントレート中に含まれる全成分の重量に基づき、約1〜約10%又は1〜5重量%の範囲の量の被酸化性ポリマー又は酸素捕捉性ポリマー、固体コンセントレート中に含まれる全成分の重量に基づき、約30〜300ppm又は50〜200ppmのCoのような遷移金属、及び固体コンセントレート中に含まれる全成分の重量に基づき、約90〜99重量%の範囲の量で存在するポリエステルポリマーを含む物品が提供される。このような組成物において、物品中に存在する遷移金属の総量の少なくとも一部は、金属を含む固体コンセントレートを介して溶融加工ゾーンに添加される。酸素捕捉性組成物において、物品はまた、50〜300ppm、好ましくは50〜150ppmの量の亜鉛を含むのが望ましい。
【0071】
いずれの場合においても、コンセントレートは、物品組成物中に存在するよりも高濃度の金属を含む。(コンセントレート中の金属濃度)対(物品組成物中の金属濃度)のレットダウン比(let down ratio)は30:1〜200:1の範囲であることができる。
【0072】
物品の製造するための溶融加工ゾーンにおいてコンセントレートをバルクポリマー流に添加するためには、任意の常法の使用が適当である。例えば、ポリエステルのペレット、捕捉剤のペレット及びポリエステル系コバルトコンセントレートのペレットを、乾燥前又は乾燥後に、ブレンドし、射出成形基又は押出機に供給し、続いて溶融ブレンドして、プレフォームのような物品を形成することができる。別法として、これらのペレットを個別の流れとして又は流れの組合せとして(1つ又はそれ以上の流れは2つ又はそれ以上の型のペレットの組合せである)溶融加工ゾーンに供給することもできる。
【0073】
酸素の捕捉に有効な物品は、ポリエステルポリマーの他に被酸化性ポリマーを含む。被酸化性ポリマーとしては、アリル基(allylic group)水素原子上に見られるような活性メチレン基、ベンジル基水素及びα−オキシアルキレン水素を有するポリマーが挙げられる。このような水素原子は、以下の各構造部分又は反復単位において、ボールド体(bold)で示される炭素原子に結合しているものとして表すことができる:
【0074】
【化1】

【0075】
[式中、Rは水素又はアルキル基である]。
【0076】
被酸化性ポリマーの例としては、ポリアミドポリマー、及び1,4−ブタジエンのようなα−オレフィンとポリエステルポリマーとのコポリマーが挙げられる。最も好ましいのは、被酸化性ポリアミドポリマー、特にベンジル性水素を含む被酸化性ポリアミドポリマーである。それらの商業的入手可能性、コスト及び性能の観点から、好ましいポリアミドは、キシリレン部分若しくはm−キシリレン部分を含む反応体から得られるか、又はポリマー鎖中にこれらの残基のいずれか一方を含むポリマーである。より好ましい例としては、ポリ(m−キシリレンアジパミド)改質又は非改質ポリアミド及びポリ(m−キシリレンアジパミド−コ−イソフタルアミド)改質又は非改質ポリアミドが挙げられる。ポリアミドポリマーは45,000若しくはそれ以下、又は35,000若しくはそれ以下、又は25,000若しくはそれ以下、又は15,000若しくはそれ以下、又は12,000若しくはそれ以下、又は8,000若しくはそれ以下、又は5,500若しくはそれ以下であって、1,000超又は3,500超の数平均分子量Mnを有する。このような低分子量ポリアミドは、フィルムを形成する分子量であるとは考えられないが、それらの低分子量は、より高分子量のポリアミドポリマーを用いる場合に比較して、末端アミド基濃度を増加させる。
【0077】
本発明のコンセントレートはポリアミドポリマーを実質的に含まないのが好ましい。酸素捕捉性組成物において、本発明者らは、ポリアミドポリマー、ポリエステルポリマー及びコバルトのような金属を溶融ブレンドすることによって生成されたコンセントレートペレットの単一流と共に溶融加工ゾーンに供給されたバルクポリエステルポリマーから製造された物品は意外なことに、バルクポリエステルポリマーペレットをペレットの2つの他の異なる流れ(一方の流れはポリエステルポリマーと金属とを溶融ブレンドすることによって生成されたコンセントレートを含み、もう一方の流れはポリアミドポリマーペレットを含む)と共に溶融加工ゾーンに供給することによって製造された物品ほど、酸素を有効に捕捉しないことを見出した。従って、本発明のコンセントレート粒子は好ましくは添加ポリアミドポリマーを実質的に含まず(例えば0.5重量%以下しか含まない)、より好ましくは全く含まない。
【0078】
ポリエステルポリマー粒子、コンセントレート粒子及びポリアミドポリマー粒子は、別個の流れとして又は粒子/粒子ドライブレンドの合した流れとして溶融加工ゾーンに供給することができる。この好ましい実施態様において、ポリアミドポリマーは、コンセントレート中のポリエステルポリマーと溶融ブレンドしない。好ましくは、酸素捕捉性ポリマーは、コンセントレート粒子とは独立した別個の流れとして溶融加工ゾーンに供給する。
【0079】
従って、別の実施態様において、ポリエステルポリマーを含む固体ポリエステル粒子、ポリアミドポリマーを含む固体ポリアミド粒子、及び固体コンセントレート粒子の重量に基づき、少なくとも40重量%の量のポリエステルポリマーと固体コンセントレート粒子の重量に基づき1000〜40,000ppmの範囲の量の遷移金属化合物とを溶融配合することによって得られる固体コンセントレート粒子を溶融加工ゾーン中に合し、メルトを形成し、そして前記メルトから直接、物品を形成することを含むプレフォームの製造方法が提供される。
【0080】
ポリエステルポリマーと金属は、別個に又は一緒に、場合によっては乾燥空気又は乾燥窒素の雰囲気下で乾燥させる。1つの混和方法においては、ポリエステルポリマー粒子及び金属を、例えば一軸又は二軸スクリュー押出機中で溶融配合する。溶融配合の完了後、押出物をストランドの形態で取り出し、切断のような常法に従って回収する。高改質ポリエステルポリマーを用いることによって、切断前に水浴を通して引き出す際にストランドはそれほど脆くなく、その結果、ストランドの破砕及びスティックがより少なく、また、より多くの遷移金属配合量が可能になるという利点が得られる。
【0081】
遷移金属コンセントレートペレットは生成後、物品を製造するための溶融押出ゾーンに供給する。ポリエステルポリマー粒子の別の流れ、ポリアミドポリマー供給源を含む第3の流れ、及び場合によっては更に、着色剤、アセトアルデヒド捕捉剤、再加熱剤、紫外線吸収剤若しくは抑制剤、安定剤、熱安定剤などのような他の添加剤を含む第4の流れを、物品を製造するための溶融加工ゾーンに供給し、コンセントレートを、完成品中に所望の金属レベルを生じるような量で溶融加工ゾーンにレットダウンする。
【0082】
更に別の実施態様において、ポリエステルポリマーを含む固体ポリエステル粒子、ポリアミドポリマーを含む固体ポリアミド粒子並びにポリエステルポリマー及び1000〜約40,000ppmの範囲の量で存在する遷移金属を含む固体コンセントレートを含むブレンドを乾燥ゾーン中で、ブレンドから水分を少なくとも一部分除去するのに有効な条件下で同時に乾燥させる。この実施態様において、コンセントレートの生成方法は特には限定せず、使用するポリエステルポリマーの型及びIt.V.によって測定されるそれらの分子量もまた、限定しない。粒子のブレンドの水分レベルは0.015重量%未満、又は0.010重量%未満、又は0.005重量%未満に低下させることができる。乾燥ゾーンの含む装置において、放射熱若しくは対流熱、又は電磁線若しくはマイクロ波、又は任意の他の水分除去源が乾燥ゾーンから放出されるか、或いは機械的乾燥ゾーンの少なくとも一部に通され、粒子ブレンドと接触して、表面及び/又は内部の水分の少なくとも一部を除去する。意外なことに、この共乾燥法は、複数の乾燥機の必要性をなくし、ポリアミド及びポリエステルを別個に乾燥させ且つコバルトを液体コンセントレートを介して添加する場合よりも良好な色(より高いL*、より低いb*、より低いYI)を生じる。
【0083】
別の実施態様において、コンセントレートを用いて得られたプレフォームは、液体キャリヤー中にコバルトを同程度のコバルトレベルで用いることによって得られたものよりも低いヘイズを有する。コンセントレートを用いて150ppm又はそれ以下のコバルトを含むプレフォームから製造されたボトル側壁のヘイズレベルは、好ましくは4.0%若しくはそれ以下又は3.5%若しくはそれ以下である。
【0084】
本発明のコンセントレートによって得られる物品は、シート及び繊維のような押出物、又はボトルプレフォーム及び他の形物のような射出成形品であることができる。好ましい実施態様において、溶融加工ゾーンから製造される物品はプレフォーム、シート並びに食品、医薬品、医療用品及び飲料を包装するためのトレイである。
【0085】
物品は物品を形成するための溶融加工ゾーン中においてメルトから直接得られる。「直接」とは、物品を製造するための溶融加工ゾーン中に存在するメルトをペレット化してから後日再溶融して物品を形成するのではないことを意味する。
【実施例】
【0086】
以下の非限定的な例は、本発明の種々の実施態様を更に説明する。
【0087】
酸素透過率(OTR)試験の手順
酸素透過率試験を、延伸ブロー成形ボトルを用いて実施する。これらのボトルは、ブロー成形後に包装材料の酸素透過試験のために取り付ける。測定前に、ボトルは、フィニッシュ(finish)において、四方弁に接続される黄銅板に接着することによってシールする。この取り付け方法はボトルをシールすると同時に、試験ガスの侵入の制御を可能にする。取付物は以下のようにして組み立てる。最初に、黄銅板を、ドリルで1/8インチの孔を2つ開けることによって加工する。2本の1/8インチ軟銅管(A及びBと表す)を、前記黄銅板中の孔に通し、孔と軟銅管との間隙をエポキシ接着剤でふさぐ。これらの軟銅管のそれぞれの一端を、四方ボール弁(例えば、WhiteyモデルB−43YF2)上の適当な口(ポート)に取り付ける。完成アセンブリがOxtran酸素透過率試験機(Modern Control,Inc.,Minneapolis,MN)に接続されるように、ボール弁の他の口にも管(C及びDと表す)及び連結部を取付ける。
【0088】
次に、この取付物を、管A及びBがボトルの内部に伸びるように、試験する予定のボトルのフィニッシュに接着する。一方の管の開口端を包装材料の頂部近くに配置し、他方の管の開口端を底部近くに配置して、ボトル内における試験ガスの良好な循環を保証する。接着は、典型的には、初期のシールを行い且つアセブンリを一時的に結合させる速硬性エポキシを用い、次いでより頑丈なMetalsetエポキシの第2のコーティングを適用して、2段階で行う。所望ならば、黄銅板は、表面を清浄にし且つ接着性を向上させるために、取付前にサンダー仕上げすることができる。4つの管を正しく四方弁に接続すると、弁が「バイパス(Bypass)」位にある場合には、管AとBとが連通し且つ管CとDとが連通するが、管A及びBは管C及びDとは連通しない。従って、包装材料はシールされる。同様に、四方弁がその「インサート(Insert)」位にある場合には、管AとDとが連通し且つ管BとCとが連通するが、管A及びDは管B及びCとは、ボトルの内部を通る場合を除いて連通しない。従って、ボトルはパージ又は試験ガスを用いて清掃する(sweep)ことができる。
【0089】
ボトルをアセンブリに取り付けた後、酸素を含まないガスでボトルを清掃し、状態調節時間が始まる。数分のパージ後、四方弁をバイパス位に移動させ、ボトルをシールする。その時点で、ボトル内部に酸素を導入するこトナーく、ボトル及び取付物アセンブリ全体をパージガス供給から切り離すことができる。典型的には、各配合の2個又は3個のボトルを試験のために取り付ける。
【0090】
ボトルの酸素透過率を試験しようとする場合には、ボトルを環境室に置く。標準運転下では、これらの環境室は外的条件を23℃±1℃及び相対湿度50%±10%に制御する。これらの環境室は、Oxtran 1050又はOxtran 1050A計測器への管連結部を含み、取付物は管C及びDを介してOxtran試験装置に接続する。バブラーを用いて給湿されているキャリヤーガス(約1%の水素を含む窒素)を環境室内の管及び前記計測器に供給する。Oxtran1050及び1050Aは、いずれも、酸素透過率を測定するためにクーロメトリックセンサー(coulometric sensor)を使用し、計測器上に同時に10個のサンプルを取り付けるための場所を有する。典型的には、9個の試験ボトルと1個の対照包装材料を1セットにして試験を実施した。サンプルを環境室中に取り付けた後、四方弁をインサート位に向け、このプロセスによって引き起こされる混乱から系を回復させる。
【0091】
系を回復させた後、次に、インラインの計測器センサーを「インサートする」ことによって試験が開始される。試験の順序は、計測器用の、特別に書き込まれたLabView TMソフトウェアインターフェースによって制御される。基本的には、計測器は、前もって設定されたインターバルを用いて試験セルを通って自動的に進行する。このインターバルは、セル上に取り付けられたボトルからの試験ガスがクーロメトリックセンサーを経由して電流を発生する際にセルを交換する毎に計測器を安定化させる。その電流は抵抗器を通り、抵抗器は、包装材料の酸素透過率+そのセル及び包装材料アセンブリの漏れ率(leak rate)に比例した電圧を生じる。典型的には、この計測器は、各セルを通して3回又はそれ以上表示させ、最後の3回の測定値の平均を使用する。これらの読み取り値が得られたら、四方弁をバイパス位に移動させ、このプロセスを繰り返して、セル及びアセンブリの漏れ率の基準を得る。この値を、包装材料、セル及びアセンブリに関して得られた値から差し引き、包装材料に関する値を得る。この値を、試験室中の平均気圧に関して補正し、ボトルの酸素透過率(OTR)として報告する(酸素cc(STP)/日又は酸素μl(STP)/日で)。この時点で、試験を終了させ、ボトルを計測器から取り外す(四方弁はバイパス位のままで)。
【0092】
試験と試験の間において、ボトルは試験室(22℃±4℃)中で周囲(RH、照明、気圧)条件において、内部を空気から分離して貯蔵する。一定期間後、ボトルをOxtranに再接続し、新しいセットの透過率測定値を収集する。このようにして、数週間又は数ヶ月にわたってボトルの挙動を監視することができる。
【0093】
以下のコバルトコンセントレートを例中で用いた:
固体コンセントレート1:これは、ポリエステルポリマー樹脂3中ネオデカン酸コバルト(TEN−CEM(登録商標)22.5%)であるポリエステル系コンセントレートである。このコンセントレートは、30mm Werner & Pfleiderer二軸スクリュー押出機を用いてコバルト塩を樹脂3メルト中に混合することによって生成できる。このコンセントレート中のコバルトの概算レベルは3400〜3900ppmである。コンセントレート1は、例1、2、3、6、7及び8用のコンセントレートである。
【0094】
固体コンセントレート2:これは、30mm Werner & Pfleiderer二軸スクリュー押出機を用いてPETメルト中にコバルト塩を混合することによって生成された、ポリエステルポリマー樹脂4中酢酸コバルトであるポリエステル系コンセントレートである。このコンセントレート中のコバルトの概算レベルは3400〜3900ppmである。
【0095】
液体コンセントレート1:これは、概ね63,000〜68,000ppmのコバルトを含む、液体分散液中ネオデカン酸コバルトのコンセントレートである。
【0096】
液体コンセントレート2:これは、概ね35,000〜40,000ppmのコバルトを含む、液体分散液中ネオデカン酸コバルトのコンセントレートである。
【0097】
PA−A:これは、Mitsubishi Gas Chemical America,Inc.(New York,New York)からMXD−6グレード6007として市販されているポリ(m−キシリレンジアミンアジパミド)である。
【0098】
PA−B:これは、Mitsubishi Gas Chemical America,Inc.(New York,New York)からMXD−6グレード6121として市販されているポリ(m−キシリレンジアミンアジパミド)である。
【0099】
ポリエステルポリマー樹脂1:Ti、Mn及びSb金属残基、燐、鉄、更にUV染料並びに赤色及び青色トナーを含む、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基(シクロヘキサンジメタノール残基はグリコール残基の約1.8モル%である)を含む極限粘度数(It.V.)が約0.87の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0100】
ポリエステルポリマー樹脂2:赤色及び青色トナー並びにSb触媒及び燐を含む、テレフタル酸、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基(シクロヘキサンジメタノール残基はグリコール残基の約1.5モル%である)を含むIt.V.が約0.80の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0101】
ポリエステルポリマー樹脂3:赤色及び青色トナー並びにTi、Mn及びSb触媒残基を燐と共に含む、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基(シクロヘキサンジメタノール残基はグリコール残基の約3.5モル%である)を含むIt.V.が約0.80の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0102】
ポリエステルポリマー樹脂4:赤色及び青色トナーと共にSb、燐及びZn触媒残基を含む、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基(シクロヘキサンジメタノール残基はグリコール残基の約1.8モル%である)を含むIt.V.が約0.76の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0103】
ポリエステルポリマー樹脂5:UV染料並びに赤色及び青色トナーと共にZn及びSb触媒残基、燐、Feを含む、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基(シクロヘキサンジメタノール残基はグリコール残基の約1.8モル%である)を含むIt.V.が約0.78の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0104】
ポリエステルポリマー樹脂6:Zn及びSb触媒残基、燐、FeとUV染料並びに赤色及び青色トナーを含む、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基(シクロヘキサンジメタノール残基はグリコール残基の約1.8モル%である)を含むIt.V.が0.81の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0105】
ポリエステルポリマー樹脂7:Zn及びSb触媒残基、燐、Fe、更にUV染料並びに赤色及び青色トナーを含む、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基(シクロヘキサンジメタノール残基はグリコール残基の約1.8モル%である)を含むIt.V.が0.82の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0106】
ポリエステルポリマー樹脂8:テレフタル酸ジメチル及びエチレングリコールの残基、Sb触媒残基、燐、Zn触媒残基並びに55〜65ppmの量のコバルトを含むIt.V.が0.78の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0107】
ポリエステルポリマー樹脂9:テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びイソフタル酸ジメチルの残基(イソフタル酸ジメチル残基は酸残基の約2モル%である)、Sb、燐、Zn並びに60〜90ppmの量のコバルトを含むIt.V.が0.71の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0108】
ポリエステルポリマー樹脂10:テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びイソフタル酸ジメチルの残基(イソフタル酸ジメチル残基は酸残基の約2モル%である)、Sb、燐、Zn並びに60〜70ppmの量のコバルトを含むIt.V.が0.76の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0109】
ポリエステルポリマー樹脂11:テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びイソフタル酸ジメチルの残基(イソフタル酸ジメチル残基は酸残基の約1.9モル%である)、Sb、燐、Mn、Ti並びに100〜110ppmの量のコバルトを含むIt.V.が0.81の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0110】
ポリエステルポリマー樹脂12:テレフタル酸、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基(シクロヘキサンジメタノール残基はグリコール残基の約1.8モル%である)、Sb、燐並びに赤色及び青色トナーを含むIt.V.が約0.76の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0111】
ポリエステルポリマー樹脂13:赤色及び青色トナー並びにZn及びSb触媒残基を燐と共に含む、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基(シクロヘキサンジメタノール残基はグリコール残基の約4.5モル%である)を含むIt.V.が約0.80の固相化ポリエステルポリマー組成物。
【0112】
ポリエステルポリマー樹脂14:赤色及び青色トナー並びにTi及びMn触媒残基を燐と共に含む、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基(シクロヘキサンジメタノール残基はグリコール残基の約31モル%である)を含むIt.V.が約0.80のポリエステルポリマー組成物。この樹脂のIt.V.は溶融相重合において得られ、この樹脂は固相重合されていない。
【0113】
ポリエステルポリマー樹脂15:赤色及び青色トナー並びにTi及びMn触媒残基を燐と共に含む、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールの残基(シクロヘキサンジメタノールの残基はグリコール残基の約31モル%である)を含むIt.V.が約0.80のポリエステルポリマー組成物。この樹脂のIt.V.は溶融相重合において得られ、この樹脂は固相重合されていない。
【0114】
各PET樹脂のグリコール部分はまた、低レベル(5モル%未満)のDEG残基を含む。DEG残基は、溶融重合プロセスから必然的に生じる副生成物として存在し、これはまた、改質剤として意図的に添加することもできる。
【0115】
例1
この例は、ポリアミドポリマーが添加されていないコンセントレートを射出成形機中にレットダウンするのが好ましいことを示す。表Iに記載した以下の(名目上の)酸素捕捉性組成物から25gのプレフォーム及び20オンス(oz)のストレートウォール・ボトルを製造した。
【0116】
【表1】

【0117】
射出成形機に供給するバルクポリエステルポリマーペレットは、ポリエステルポリマー樹脂1である。サンプル3及び6の製造に使用するコンセントレートは、ポリエステルポリマー樹脂3中ネオデカン酸コバルト(TEN−CEM 22.5%)及びPA−Aであるポリエステル系コンセントレートである。このコンセントレートは、30mm Werner & Pfleiderer二軸スクリュー押出機を用いてコバルト塩及びPA−Aを樹脂3中に混合することによって生成できる。このコンセントレート中のコバルトの概算レベルは約2000ppmであり、コンセントレート中のPA−Aの概算レベルは40%である。このコンセントレートの成分は、製造前に乾燥させた。ネオデカン酸コバルトは40℃において真空下で一晩乾燥させ、ポリエステルポリマー樹脂3は325°Fにおいて6時間、除湿空気を用いて乾燥させ、PA−Aは150°Fにおいて6時間、除湿空気を用いて乾燥させた。
【0118】
プレフォームは、以下の方法によってバルクポリエステルポリマー樹脂1ペレット並びにコバルト及び/又はPA−Aの供給源を導入することによって製造する:
PA−A及びPA−A/Coコンセントレートを150°Fにおいて乾燥させ、バルクPET樹脂を別の系において325°Fで乾燥させた。固体コンセントレート1は乾燥させなかった。乾燥後であって射出成形前に、PA−A又はPA−A/Coコンセントレート、バルクPET及び固体コンセントレート1を、リボンミキサーを用いて物理的にブレンドした。このブレンドを、射出成形機の供給口の真上に位置する、温度整定値が325°Fの乾燥ホッパー中に供給した。押出機及びマニホールドの温度を275℃に設定した。透明なプレフォームを、Husky LX160PET−P60/50−E42及び28mmのフィニッシュ(finish)を有する8個取り25gプレフォーム金型を用いて成形した。
【0119】
20オンスのストレートウォール炭酸清涼飲料型容器を、Sidel SBO 2/3を用いてボトル1200個/時/金型の生産速度でブロー成形した。50°Fの水温設定を用いて、ブロー成形金型キャビティーを冷却した。ブロー成形加工条件を、OTR試験に供する各サンプルに関してボトル全体に材料が同等に分布した容器が得られるように調整した。材料の分布は、容器をいくつかの部分に分割し且つ各部分を秤量することよって確認した。材料の分布は更に、Magna−Mike Model 8000によってホール効果センサーを用いて容器壁の厚さを測定することによって確認した。オーブン出力が、各サンプルに関して同等の材料分布を得るための主要な調整であった。場合によっては、オーブンの断面形状及びプレブローのタイミングを調整した。
【0120】
ブロー成形の約2日後に、1セット当たり2個のボトルを取付け且つ酸素を含まないガスでパージし、これらのサンプルのOTRを定期的に試験した。これらの試験の結果を表IIに示す。図1は、表IIに示したデータのグラフ図である。グラフからわかるように、溶融ブレンドされたポリエステルポリマー及びコバルトの固体コンセントレートペレットの流れ並びにPA−Aポリアミドポリマーペレットの独立した別個の流れをレットダウンすることによって製造されたボトルのOTRは、PA−Aポリアミドポリマー、ポリエステルポリマー及び金属のコンセントレート溶融ブレンドペレットの流れを用いて製造されたボトルよりも低く、また、誘導時間が短かった。
【0121】
【表2】

【0122】
例2
この例は、コンセントレートが、一定組成範囲にわたって酸素捕捉活性の触媒において有効であることを示す。
【0123】
表IIIに記載した以下の(名目上の)酸素捕捉性組成物から25gのプレフォーム及び20オンスのストレートウォール・ボトルを製造した。
【0124】
【表3】

【0125】
サンプル7〜14において、コバルト供給源は固体コンセントレート1であった。射出成形機中の溶融加工ゾーンに添加するコバルトの量は、物品中に表示量のコバルトを生じるように変化させる。バルクポリエステルポリマー粒子の流れは、表IIIの第2列に記載した通りである。PAは、ポリアミドペレットの別個の流れとして射出成形機に供給した。
【0126】
プレフォーム及びボトルは以下の方法によって製造する:
両型のPAを150°Fで乾燥させ、バルクPET樹脂を別の系で325°Fで乾燥させた。固体コンセントレート1は乾燥させなかった。乾燥後であって射出成形前に、選択したPA、バルクPET及び固体コンセントレート1を、リボンミキサーを用いて物理的にブレンドした。このブレンドを、射出成形機の供給口の真上に位置する、温度整定値が325°Fの乾燥ホッパー中に供給した。押出機及びマニホールドの温度を536°Fに設定した。透明なプレフォームを、Husky LX160PET−P60/50−E42及び28mmのフィニッシュを有する8個取り25gプレフォーム金型を用いて成形した。
【0127】
20オンスのストレートウォール炭酸清涼飲料型容器を、Sidel SBO 2/3を用いてボトル1200個/時/金型の生産速度でブロー成形した。50°Fの水温設定を用いて、ブロー成形金型キャビティーを冷却した。ブロー成形加工条件を、OTR試験に供する各サンプルに関してボトル全体に材料が同等に分布した容器が得られるように調整した。材料の分布は、容器をいくつかの部分に分割し且つ各部分を秤量することよって確認した。材料の分布は更に、Magna−Mike Model 8000によってホール効果センサーを用いて容器壁の厚さを測定することによって確認した。オーブン出力が、各サンプルに関して同等の材料分布を得るための主要な調整であった。場合によっては、オーブンの断面形状及びプレブローのタイミングを調整した。
【0128】
ブロー成形の翌日に、1セット当たり3個のボトルを取付け且つ酸素を含まないガスでパージし、これらのサンプルのOTRを定期的に試験した。これらの試験の結果を表IVに示す。図2〜4は、表IVに示したデータの一部分をグラフによって示す。これらの図中に示されるように、種々のコバルト濃度、種々のポリアミドポリマー及び種々のバルクポリエステルポリマーを用いて、コンセントレート1から製造されたボトルはいずれも酸素を捕捉するが、概ね50ppm超のコバルト及び/又は1重量%超のポリアミドポリマーを含むものがより有効であった。
【0129】
【表4】

【0130】
【表5】

【0131】
例3
この例は、固体コンセントレートが、一定の範囲のバルクポリエステルポリマー組成物に酸化触媒を添加するのに有効な手段であることを示す。固体コンセントレート1を用いて以下の組成物から25gのプレフォーム及び20オンスのストレートウォール・ボトルを製造した。
【0132】
【表6】

【0133】
サンプル15〜18において、コバルト供給源は固体コンセントレート1であった。射出成形機中の溶融加工ゾーンに添加する固体コンセントレートの量は、表Vに記載した量のコバルトを生じるように変化させる。バルクポリエステルポリマー粒子の流れは、表Vの第2列に記載した通りである。PA−Aは、ポリアミドペレットの別個の流れとして射出成形機に供給した。
【0134】
プレフォーム及びボトルは以下の方法によって製造する:
PA−Aを150°Fで乾燥させ、バルクPET樹脂を別の系で325°Fで乾燥させた。固体コンセントレート1は乾燥させなかった。乾燥後であって射出成形前に、PA−A、バルクPET及び固体コンセントレート1を、リボンミキサーを用いて物理的にブレンドした。このブレンドを、射出成形機の供給口の真上に位置する、温度整定値が325°Fの乾燥ホッパー中に供給した。押出機及びマニホールドの温度を536°Fに設定した。透明なプレフォームを、Husky LX160PET−P60/50−E42及び28mmのフィニッシュを有する8個取り25gプレフォーム金型を用いて成形した。
【0135】
20オンスのストレートウォール炭酸清涼飲料型容器を、Sidel SBO 2/3を用いてボトル1200個/時/金型の生産速度でブロー成形した。50°Fの水温設定を用いて、ブロー成形金型キャビティーを冷却した。ブロー成形加工条件を、OTR試験に供する各サンプルに関してボトル全体に材料が同等に分布した容器が得られるように調整した。材料の分布は、容器をいくつかの部分に分割し且つ各部分を秤量することよって確認した。材料の分布は更に、Magna−Mike Model 8000によってホール効果センサーを用いて容器壁の厚さを測定することによって確認した。オーブン出力が、各サンプルに関して同等の材料分布を得るための主要な調整であった。場合によっては、オーブンの断面形状及びプレブローのタイミングを調整した。
【0136】
ブロー成形の翌日に、1セット当たり3個のボトルを取付け且つ酸素を含まないガスでパージした。これらのサンプルのOTRを定期的に試験した。これらの試験の結果を表VI及び対応する図5に示す。図5は、表VIに示したOTRの結果をグラフによって示す。
【0137】
【表7】

【0138】
【表8】

【0139】
これらの例は更に、PET系コバルトコンセントレートが、一定範囲のバルクポリエステル組成物において酸素捕捉活性を触媒するのに有効であることを示している。
【0140】
例4
この例は、コバルトは、溶融相重合を受けているポリエステルポリマーに対して添加される場合には酸化触媒として有効でないが、コンセントレートとして添加される場合には組成物は酸素を活発に捕捉することを示す。表VIIに記載したバルクPET樹脂を用いて、37gのプレフォーム及び16オンスのボトルを製造する。PA−Aを最初に熱処理する。これらのサンプルの組成を表VIIに記載する。
【0141】
【表9】

【0142】
サンプル19〜22において、プレフォーム中のコバルトはもっぱら、バルクPETの重合のための重縮合時の溶融相反応に酢酸コバルトを添加した結果として存在した。サンプル中に存在するコバルトは、コンセントレートを介して添加したものではない。PA−Aは、ポリアミドペレットの別個の流れとして射出成形機に供給した。
【0143】
プレフォーム及びボトルを製造し、ブロー成形の12日後に取り付けし且つ酸素を含まないガスでパージした。これらのサンプルのOTRを定期的に試験した。これらの試験の結果を表VIIIに記載し、図6にグラフによって示す。これらの比較例は、PET重合工程の間に添加される約60〜100ppmのコバルトは、PET/PA−Aブレンドにおける酸素捕捉反応の触媒に有効でない(前述の他の例において示されるように、この同じレベルのコバルトは、固体コンセントレートを介して添加される場合には有効である)ことを示している。
【0144】
【表10】

【0145】
例5
この例は、固体コンセントレートを介して添加されるコバルトが、酸素捕捉反応の触媒において、液体キャリヤーを介して添加されるコバルトと同程度に有効であることを示す。
【0146】
バルクPETとしての樹脂5、稀釈されずに添加されるPA−Aペレット及び2種の異なるコバルト供給源、LIQ1及び固体コンセントレート2を用いて、48gのプレフォーム及び1リットルのボトルを製造した。プレフォームの組成を表IXに記載する。
【0147】
【表11】

【0148】
PA−Aは、ポリアミドペレットの別個の流れとして射出成形機に供給した。プレフォーム及びボトルは、以下の方法によって製造する:
PA−Aを150°Fで乾燥させ、バルクPET樹脂を別の系で325°Fで乾燥させた。固体コバルトコンセントレートは150°Fで一晩乾燥させた。乾燥後であって射出成形前に、PA−A、バルクPET及びCoコンセントレートを、リボンミキサーを用いて物理的にブレンドした。このブレンドを、射出成形機の供給口の真上に位置する、温度整定値が325°Fの乾燥ホッパー中に供給した。押出機及びマニホールドの温度を536°Fに設定した。透明なプレフォームを、Husky LX160PET−P60/50−E42及び43mmのフィニッシュを有する4個取り48gプレフォーム金型を用いて成形した。
【0149】
1リットルのヒートセット容器を、Sidel SBO 2/3−HRを用いてボトル1000個/時/金型の生産速度でブロー成形した。257°Fの油温設定を用いて、ブロー成形金型キャビティーを加熱した。金型ベースを加熱する水を、176°Fの目標温度に設定した。ブロー成形加工条件を、OTR試験に供する各サンプルに関してボトル全体に材料が同等に分布した容器が得られるように調整した。材料の分布は、容器をいくつかの部分に分割し且つ各部分を秤量することよって確認した。材料の分布は更に、Magna−Mike Model 8000によってホール効果センサーを用いて容器壁の厚さを測定することによって確認した。オーブン出力が、各サンプルに関して同等の材料分布を得るための主要な調整であった。場合によっては、オーブンの断面形状及びプレブローのタイミングを調整した。
【0150】
ブロー成形の翌日に、各セットの3個のボトルを取付け且つ酸素を含まないガスでパージした。OTRを定期的に試験した。結果を表Xに記載し、図7にグラフによって示す。
【0151】
【表12】

【0152】
これらの結果は、固体コンセントレートを介して添加するコバルトは、液体キャリヤーを介して添加するコバルトと少なくとも同程度有効であることを示す。更に、液体キャリヤーはペレットのブレンド及びペレットの射出成形機への供給に使用する装置上に残渣を残すので、固体コンセントレートを用いて製造されたサンプルの場合の方が掃除がはるかに迅速である。この残渣は、更なる使用のために機械を汚染しないように物理的に除去しなければならなかった。この清浄には多大な時間が必要であった。これに対して、固体コンセントレートの残留ペレットは全て、ブラッシングによって又は圧縮空気の使用によって固体コンセントレートを装置から吹き飛ばすことによって素早く除去できた。更に、ブレンド及び供給用装置の外側の液体コンセントレートのこぼれ屑は同じ掃除の問題を提起したが、固体コンセントレートのこぼれ屑はこの場合もやはり、除去がはるかに容易であった。製造操作においてはこぼれ屑及び配合の変化が予想できるので、これは固体コンセントレートにはかなり有利である。
【0153】
例6
この例は、液体キャリヤーを介して添加されるコバルトの添加に比較した、ヘイズの低下における固体コンセントレートの有効性を示す。表XIに記載した組成物から、25gのプレフォーム及び20オンスのストレートウォール・ボトルを製造した。
【0154】
【表13】

【0155】
PA−Aを、稀釈せずにペレットの別個の流れとして添加した。プレフォームを以下の方法によって製造した:
PA−Aは入手したまま、閉じたままのバッグから更に乾燥させるこトナーく用い、バルクPET樹脂は別の系で325°Fにおいて乾燥させた。コバルトコンセントレートは乾燥させなかった。乾燥後であって射出成形前に、PA−A、バルクPET及びCoコンセントレートを、リボンミキサーを用いて物理的にブレンドした。このブレンドを、射出成形機の供給口の真上に位置する、温度整定値が325°Fの乾燥ホッパー中に供給した。押出機及びマニホールドの温度を536°Fに設定した。透明なプレフォームを、Husky LX160PET−P60/50−E42及び28mmのフィニッシュを有する8個取り25gプレフォーム金型を用いて成形した。
【0156】
ストレートウォールの20オンス炭酸清涼飲料型容器を、Sidel SBO 2/3を用いてボトル1200個/時/金型の生産速度でブロー成形した。50°Fの水温設定を用いて、ブロー成形金型キャビティーを冷却した。ブロー成形加工条件を、OTR試験に供する各サンプルに関してボトル全体に材料が同等に分布した容器が得られるように調整した。材料の分布は、容器をいくつかの部分に分割し且つ各部分を秤量することよって確認した。材料の分布は更に、Magna−Mike Model 8000によってホール効果センサーを用いて容器壁の厚さを測定することによって確認した。オーブン出力が、各サンプルに関して同等の材料分布を得るための主要な調整であった。場合によっては、オーブンの断面形状及びプレブローのタイミングを調整した。
【0157】
ブロー成形の3日後に、これらのボトルから側壁を切り取り、Mocon Oxtran 1000計測器に取り付けた。計測器上において、側壁の一方の面を、加湿した酸素を含まないキャリヤーガスでスウィープし、他方の面を、加湿した呼吸品質空気(breathing quality air)でスウィープし、見掛けの側壁透過度[(側壁を通る酸素流量)×(側壁の平均厚さ)÷(透過駆動力)]を経時的に監視した。サンプルは、試験期間中23℃±1℃に保持した。
【0158】
これらの結果(cc(STP)mil/100in2/日/atm)を表XIIに記載し、ブロー成形後4日から98日の結果を図8にグラフによって示す。図8からわかるように、全てのサンプルが酸素を捕捉し、ブロー成形の約5日超後から試験の終了までの時点において、全てのサンプルの見掛け酸素透過度は4未満である。これは同じ条件下で製造したPET側壁の概略値である。
【0159】
【表14】

【0160】
各サンプルの側壁のヘイズレベルもASTM D−1003に従ってGardnerヘイズメーターを用いて測定した。ヘイズの結果は、サンプル26については2.6%であり、サンプル27については2.8%であり、サンプル28については3.65%であり、サンプル29については6.04%であった。これらの値はそれぞれ、3個の側壁の平均値である。液体キャリヤーを介して添加されたコバルトを含むサンプルは、同程度のコバルト及びポリアミド配合量において最も高いヘイズを有するが、固体コンセントレートを介して添加されたコバルトを含むプレフォーム及びボトルは低下したヘイズレベルを有する。
【0161】
例7
この例は、揮発性及び粘度変化に対する液体キャリヤー及び固体コンセントレートの影響を示す。バルクPETとしての樹脂5、PA−A及び4種の異なるコバルト供給源:LIQ1、LIQ2、固体コンセントレート1及び固体コンセントレート2を用いて、48gのプレフォーム及び1リットルのボトルを製造した。プレフォーム組成物は、表XIIIに記載した量のコバルト及びポリアミドを含んでいた。
【0162】
【表15】

【0163】
LIQ1は、室温ではもはや易流動性ではなかった(受け取ってから〜9ヶ月)。更に、LIQ2を、樹脂5バルクPET及びPA−Aの温かいペレットに添加した場合には、かなりの量の揮発物を発生し、それらは不快臭を生じた。粘度の変化及び揮発物の発生はいずれも、プレフォーム製造操作において望ましくない。このような粘度変化も揮発物も、固体コンセントレートの場合には確認されなかった。
【0164】
プレフォームを以下の方法によって製造した:PA−Aは150°Fにおいて乾燥させ、バルクPET樹脂は別の系で325°Fにおいて乾燥させた。コバルトコンセントレートは乾燥させなかった。乾燥後であって射出成形前に、PA−A、バルクPET及びCoコンセントレートを、リボンミキサーを用いて物理的にブレンドした。このブレンドを、射出成形機の供給口の真上に位置する、温度整定値が325°Fの乾燥ホッパー中に供給した。押出機及びマニホールドの温度を536°Fに設定した。透明なプレフォームを、Husky LX160PET−P60/50−E42及び43mmのフィニッシュを有する4個取り48gプレフォーム金型を用いて成形した。
【0165】
1リットルのヒートセット容器を、Sidel SBO 2/3−HRを用いてボトル1000個/時/金型の生産速度でブロー成形した。257°Fの油温設定を用いて、ブロー成形金型キャビティーを加熱した。金型ベースを加熱する水を、176°Fの目標温度に設定した。ブロー成形加工条件を、OTR試験に供する各サンプルに関してボトル全体に材料が同等に分布した容器が得られるように調整した。材料の分布は、容器をいくつかの部分に分割し且つ各部分を秤量することよって確認した。材料の分布は更に、Magna−Mike Model 8000によってホール効果センサーを用いて容器壁の厚さを測定することによって確認した。オーブン出力が、各サンプルに関して同等の材料分布を得るための主要な調整であった。場合によっては、オーブンの断面形状及びプレブローのタイミングを調整した。
【0166】
ブロー成形の1日後に、プレフォームから延伸ブロー成形したボトルを取付け且つ酸素を含まないガスでパージし、OTRを定期的に測定した。結果を表XIVに記載し、図9にグラフによって示す。結果は、全てのサンプルが許容され得る速度で酸素を捕捉したことを示す。
【0167】
【表16】

【0168】
例8
この例は、コンセントレートを用いて製造したボトルでは、液体キャリヤーを用いて製造したボトルに比較して、b*、L*及び黄色度指数の色特性が優れていることを示す。この例はまた、共乾燥したコンセントレートから製造したボトルでは、ポリアミド及びポリエステル粒子を個別に乾燥した液体コンセントレートを用いて製造したボトルに比較して、b*及びYIの色特性が優れていることを示す。
【0169】
25.6gのプレフォームを、BOY 22S射出成形機上で1個取りプレフォーム金型を用いて製造した。全てのサンプルにおいて、樹脂5ペレット、PA−Aペレット及びコバルト供給源を、正確に測った量で、表XVに示した型のコバルト供給源を用いて射出成形機に供給した。サンプル34〜43は、ポリアミド及びPET樹脂の乾燥後であって且つBOY 22Sのホッパーへの添加前に混合した。サンプル44及び45は、乾燥前に混合した。
【0170】
【表17】

【0171】
プレフォーム及びボトルを以下の方法によって製造した:
共乾燥せずに製造したサンプルに関しては、PA−Aを60℃において乾燥させ、バルクPET樹脂を別の系で168℃において乾燥させ、コバルトコンセントレートは乾燥させなかった。乾燥後であって射出成形前に、PA−A、バルクPET及びCoコンセントレートを、手動によって物理的にパドルブレンドした。混合物を、射出成形機の供給口の真上に位置するホッパー中に供給した。押出機及びマニホールドの温度を270℃に設定した。透明なプレフォームを、BOY Model 22D及び28mmのフィニッシュを有する1個取り25.6gプレフォームを用いて成形した。
【0172】
射出成形前に共乾燥させたサンプルに関しては、PA−A、PET及び固体コバルトコンセントレートを、前述と同様にして混合し、次いで168℃において8時間乾燥させた。乾燥後、混合物を、BOY Model 22D射出成形機の供給口に真上に位置するホッパー中に供給し、前述のようにしてプレフォームを製造した。
【0173】
プレフォームの測色を行った。その結果を表XVIに報告する。
【0174】
【表18】

【0175】
これらの結果から、固体コンセントレートを用いて製造したプレフォームは、同等なコバルト配合量において液体キャリヤーを用いて製造したプレフォームよりもb*値が低く、YI値が低く且つL*値が高いことによって示されるように、より良好な色を示すことがわかる。サンプル34〜39をサンプル40〜43と比較されたい。
【0176】
サンプル44及び45をサンプル41及び42と比較すると、全ての成分を「共乾燥」させた(射出成形前に一緒に乾燥させた)プレフォームの色は、ペレットの流れを個別に乾燥させ且つコバルトを液体コンセントレートとして添加した、同様なコバルト及びポリアミド配合量のプレフォームよりも良好な外観及びカラー値を有していたことが示される。
【0177】
サンプル35、38、44及び45に相当するプレフォームは、3mmのスクリーンを通して粉砕し、1gのサンプルを、シリコーン接着剤によってガラスアンプルの側面に接着されたOxyDot(OxySense Inc.,1311 North Cetral Expressway Suite 44,Dallas,Texas 75243,USA)を含む20mlの、予め切れ目を付けたガラスアンプル(Wheaton #176782)中に装填した。各試験サンプルについて2つのこのようなアンプルを製造した。次いで、これらのアンプルをシールし、75℃に保持されたオーブン中に入れた。各アンプル中の酸素分圧(PO2)を、OxySense計測器(OxySense Inc.)を用いて定期的に監視して、組成物の酸素捕捉性能を評価した。結果を図10にグラフによって示す。
【0178】
図10に示されるように、共乾燥プロセスは意外なことに、このOxySense試験において共乾燥サンプルのより低いPO2によって示されるように、サンプルの酸素捕捉性能を向上させる。
【0179】
従って、バルクPET、ポリアミドペレット及びコンセントレートの共乾燥は、液体コンセントレートを用いて製造されたサンプルよりもb*カラー、L*カラー、YIに関して良好な色を維持しながら、プレフォームの酸素掃去特性を向上させた。
【0180】
例9
LIQ2を、試験室条件において約12週間貯蔵した。分散液のコンシステンシーの漸次的変化は明白であった。コンシステンシーの経時的変化は、コバルト塩の沈降又は他の原因のいずれによるものであっても、分散液を用いる製造操作を複雑にするであろう。このような変化は、ポリエステル系固体コンセントレート1及び2の貯蔵後には確認されなかった。
【0181】
例10
この例は、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)レベルが次第に増加するポリマー中への高レベルのコバルトの配合の拡大された可能性を示す。この例は、金属配合量を、商業的な拡張性のある製造プロセスにおいて増加できることを示す。
【0182】
種々のレベルのドデカン酸コバルトを、パイロット規模の57mm二軸スクリュー押出機中において添付の表に従って、CHDMレベルが次第に増加するポリエステルポリマー又はポリマー混合物中に溶融ブレンドした。ポリエステルポリマー樹脂及び樹脂混合物並びにネオデカン酸コバルト[パステルの形態;Cobalt Ten−Cem 22.5%としてOMGから供給(Cobalt Ten−Cemの22.5%はコバルトの重量%を表す)]の別個の供給材料を、二軸スクリュー中に供給し、約235℃の整定値において溶融ブレンドした。溶融ポリマーが直径約0.08”のストランドの形態で押出機から出た。これは水中で急冷し、長さ約0.125”のペレットに切断する。50〜200 lbの各組成物を押出し、各材料をストランドにし且つ切断する能力について定性的な評価を行った。CHDM改質量のより高いポリエステルポリマー樹脂は、より高いネオデカン酸コバルト配合量において加工が最良であった。報告した量は、化合物の重量に基づく。コバルト含量の重量は、ネオデカン酸コバルト化合物の重量×0.225によって計算できる。
【0183】
サンプル46:ポリエステルポリマー樹脂3 97.78%;ネオデカン酸コバルト2.22重量%;ポリエステルのCHDM含量=3.5モル%
結果:脆いストランド、少数の「スティック」(ストランドがカッター中で粉砕されるため)。スティックはここでは、典型的な1/8”ペレットよりも長い断片に切断されたストランドと見なす。
【0184】
サンプル47:ポリエステルポリマー樹脂3 96.33%;ネオデカン酸コバルト3.67重量%;ポリエステルのCHDM含量=3.5モル%
結果:脆いストランド、多数の「スティック」。
【0185】
サンプル48:ポリエステルポリマー樹脂13 96.33%;ネオデカン酸コバルト3.67重量%;ポリエステルのCHDM含量=4.5モル%
結果:脆いストランド、多数の「スティック」(サンプル47よりわずかに良好)。
【0186】
サンプル49:ポリエステルポリマー樹脂13 70.40%及びポリエステルポリマー樹脂14 27.38%;ネオデカン酸コバルト2.22重量%;得られるポリエステルのCHDM含量=11モル%
結果:脆いストランド、「スティック」。
【0187】
サンプル50:ポリエステルポリマー樹脂3 70.40%及びポリエステルポリマー樹脂14 27.38%;ネオデカン酸コバルト2.22重量%;得られるポリエステルのCHDM含量=11モル%
結果:脆いストランド、「スティック」。
【0188】
サンプル51:ポリエステルポリマー樹脂3 f69.36%及びポリエステルポリマー樹脂14 29.67%;ネオデカン酸コバルト3.67重量%;得られるポリエステルのCHDM含量=11モル%
結果:脆いストランド、「スティック」。
【0189】
サンプル52:ポリエステルポリマー樹脂14 96.33%;ネオデカン酸コバルト3.67重量%;ポリエステルのCHDM含量=31モル%
結果:それほど脆くなく、スティックがなく、よりよく走行した。
【0190】
サンプル53:92mm二軸スクリュー押出機上におけるネオデカン酸コバルト3.67重量%を含む96.33%のポリエステルポリマー樹脂15(CHDM 31モル%)4300 lbの生成。
結果:充分によく走行して、高容量の商業規模の生産ランにふさわしく、スティックがほとんど存在しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】コバルトが他の手段によって添加された樹脂組成物と比較した、本発明の組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【図2】本発明に含まれる種々の組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【図3】本発明に含まれる更なる組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【図4】本発明に含まれる更なる組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【図5】本発明に含まれる更なる組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率の長期性能のグラフ図である。
【図6】コバルトが溶融重合工程の間にポリエステルに添加された組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【図7】コバルトが液体コンセントレートを介して添加された樹脂組成物と比較した、本発明の組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【図8】コバルトが液体コンセントレートを介して添加された樹脂組成物と比較した、本発明の更なる組成物から製造されたボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【図9】コバルトが液体コンセントレートを介して添加された樹脂組成物と比較した、本発明の組成物から製造された更なるボトルの経時的な酸素透過率のグラフ図である。
【図10】射出成形工程前に成分が一緒に乾燥されなかった同様な組成物と比較した、ブレンドの成分が「共乾燥」された本発明の組成物を含む密閉アンプル中の経時的な酸素分圧のグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体コンセントレートの重量に基づき、1000ppm〜40,000ppm(金属で)の範囲の量の遷移金属化合物と、固体コンセントレートの重量に基づき、少なくとも40重量%の量の、少なくとも0.55dL/gのIt.V.を有するポリエステルポリマーとを溶融配合することによって得られる固体コンセントレート。
【請求項2】
前記ポリエステルポリマーが、前記コンセントレート中の全ポリマーの重量に基づき、少なくとも98重量%の量で存在する請求項1に記載のコンセントレート。
【請求項3】
前記コンセントレートがポリエステルポリマー以外のポリマーを本質的に含まない請求項2に記載のコンセントレート。
【請求項4】
前記コンセントレートが、ポリエステルポリマー及びコバルト化合物の残基から本質的に成る請求項1に記載のコンセントレート。
【請求項5】
前記遷移金属がコバルトを含む請求項2に記載のコンセントレート。
【請求項6】
コバルトがコンセントレート中に少なくとも2000ppmの量で存在する請求項5に記載のコンセントレート。
【請求項7】
コバルトがコンセントレート中に少なくとも2000ppmの量で存在する請求項6に記載のコンセントレート。
【請求項8】
コバルトがコンセントレート中に少なくとも3000ppmであって20,000ppm以下の量で存在する請求項7に記載のコンセントレート。
【請求項9】
コバルトがコンセントレート中に3000ppm〜10,000ppmの範囲の量で存在する請求項7に記載のコンセントレート。
【請求項10】
コバルト供給源がカルボン酸コバルト又はネオデカン酸コバルトを含む請求項5に記載のコンセントレート。
【請求項11】
前記ポリエステルポリマーが、場合によっては40モル%以下の1種又はそれ以上の改質剤で改質された、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート又はポリ(ジメチルシクロヘキサンテレフタレート)を含む請求項1に記載のコンセントレート。
【請求項12】
前記ポリエステルポリマーが少なくとも、
(i)ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%に基づき、少なくとも92.0モル%の、テレフタル酸若しくはテレフタル酸誘導体又はそれらの混合物の残基を含むカルボン酸成分;及び
(ii)ポリエステルポリマー中のヒドロキシル成分残基100モル%に基づき、少なくとも40モル%のエチレングリコールの残基を含むヒドロキシル成分
を含む請求項1に記載のコンセントレート。
【請求項13】
前記ヒドロキシル成分が、ヒドロキシル成分残基100モル%に基づき、少なくとも20モル%で60モル%以下の量のヒドロキシル改質剤の残基を更に含む請求項1に記載のコンセントレート。
【請求項14】
溶融相重合法によって得られる前記ポリエステルポリマーのIt.V.が少なくとも0.72dL/gであり且つ前記遷移金属がコバルトを含む請求項1に記載のコンセントレート。
【請求項15】
溶融相重合法によって得られる前記ポリエステルポリマーのIt.V.が少なくとも0.76dL/gであり且つ前記遷移金属がコバルトを含む請求項1に記載のコンセントレート。
【請求項16】
前記コンセントレートの製造に使用する前記ポリエステルポリマーが固相状態で重合されず且つ前記遷移金属がコバルトを含む請求項1に記載のコンセントレート。
【請求項17】
前記金属がコバルトを含み、前記コバルトが1500ppm〜20000ppmの範囲の量で存在し;前記ポリエステルポリマーが、
(i)ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%に基づき、少なくとも92.0モル%の、テレフタル酸若しくはテレフタル酸誘導体又はそれらの混合物の残基を含むカルボン酸成分;及び
(ii)ポリエステルポリマー中のヒドロキシル成分残基100モル%に基づき、少なくとも40.0モル%のエチレングリコールの残基を含むヒドロキシル成分
を含み;且つ前記コンセントレートがポリアミドポリマーを含まない請求項1に記載のコンセントレート。
【請求項18】
前記遷移金属がコバルトをから成り、且つ前記コバルトの少なくとも一部が+2の酸化状態で前記コンセントレート中に存在する請求項13に記載のコンセントレート。
【請求項19】
前記改質剤がヒドロキシル改質剤を含み、前記ヒドロキシル改質剤が1.4−シクロヘキサンジメタノール、2.4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール若しくはジエチレングリコール又はそれらの組合せを含み、ヒドロキシル改質剤の累積量が、ヒドロキシル成分の全モルに基づき、25〜60モル%の範囲である請求項17に記載のコンセントレート。
【請求項20】
ポリエステルポリマーを含む固体ポリエステル粒子、ポリアミドポリマーを含む固体ポリアミド粒子及びコンセントレートの重量に基づき、1000ppm〜40,000ppm(金属で)の範囲の量の遷移金属化合物とコンセントレートの重量に基づき、少なくとも40重量%の量の少なくとも0.55dL/gのIt.V.を有するポリエステルポリマーとを溶融配合することによって得られる固体コンセントレート粒子を溶融加工ゾーン中に合し、メルトを形成し、そして前記メルトから直接、物品を形成することを含んでなる、プレフォームの製造方法。
【請求項21】
前記物品がボトルプレフォームを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリエステルポリマーが、
(i)ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%に基づき、少なくとも92.0モル%の、テレフタル酸若しくはテレフタル酸誘導体又はそれらの混合物の残基を含むカルボン酸成分;及び
(ii)ポリエステルポリマー中のヒドロキシル成分残基100モル%に基づき、少なくとも40.0モル%のエチレングリコールの残基を含むヒドロキシル成分
を含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記遷移金属が、前記コンセントレートの重量に基づき、1500〜20,000ppmの範囲の量で存在するコバルトを含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記コンセントレート中に存在するポリエステルポリマーの量が、前記コンセントレート中の前記ポリマーの重量に基づき、少なくとも98重量%である請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記コンセントレートが前記ポリエステルポリマー以外のポリマーを含まない請求項20に記載の方法。
【請求項26】
コバルト供給源がカルボン酸コバルト又はネオデカン酸コバルトを含む請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリエステルポリマー粒子中のポリエステルポリマーと前記コンセントレートを製造するために加えられるポリエステルポリマーのIt.V.がいずれも少なくとも0.70dL/gである請求項20に記載の方法。
【請求項28】
溶融相重合法において得られた、前記ポリエステルポリマー粒子中のポリエステルポリマーのIt.V.が、少なくとも0.70dL/gである請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記It.V.が少なくとも0.76dL/gである請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記固体ポリエステルポリマー粒子のIt.V.が、前記コンセントレートの製造に使用されるポリエステルポリマーのIt.V.と同様に、それぞれ、溶融相重合法において得られた場合に少なくとも0.70dL/gである請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記固体ポリエステルポリマー粒子も前記コンセントレートの製造に使用されるポリエステルポリマーも固相重合されない請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリエステルポリマー粒子中のポリエステルポリマーの少なくとも一部が、前記コンセントレート中に存在するポリエステルポリマーの少なくとも一部と、異なる請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記物品が、ボトルプレフォームの重量に基づき、1〜5重量%の被酸化性ポリマー、30〜300ppmのコバルト及び少なくとも90重量%の量で存在するポリエステルポリマーを含む組成を有するボトルプレフォームを含む請求項20に記載の方法。
【請求項34】
前記被酸化性ポリマーがベンジル水素原子を有する反復単位を有するポリアミドポリマーを含む請求項20に記載の方法。
【請求項35】
前記ポリアミドポリマーがキシリレン部分を含む反応体から得られる請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ポリエステルポリマー粒子、コンセントレート粒子及びポリアミドポリマー粒子を、個別の流れとして又は粒子/粒子ドライブレンドとして、溶融加工ゾーンに合する請求項20に記載の方法。
【請求項37】
前記コンセントレート中に含まれる前記ポリエステルポリマーが、
(i)ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%に基づき、少なくとも80.0モル%の、テレフタル酸若しくはテレフタル酸誘導体又はそれらの混合物の残基を含むカルボン酸成分;及び
(ii)ポリエステルポリマー中のヒドロキシル成分残基100モル%に基づき、少なくとも40.0モル%のエチレングリコールの残基及び25〜60モル%のヒドロキシル改質剤化合物を含むヒドロキシル成分
を含む請求項20に記載の方法。
【請求項38】
前記プレフォームが亜鉛を更に含む請求項20に記載の方法。
【請求項39】
前記コンセントレートが前記物品中に存在する濃度よりも高濃度の金属を含む請求項20に記載の方法。
【請求項40】
(前記コンセントレート中の金属濃度)対(物品組成物中の金属濃度)のレットダウン比が30:1〜100:1の範囲である請求項20に記載の方法。
【請求項41】
前記コンセントレート中に含まれるポリエステルポリマーが、ヒドロキシル成分の全モルに基づき、少なくとも30モル%の量のヒドロキシル改質剤で改質される請求項20に記載のコンセントレート。
【請求項42】
乾燥ゾーンにおいて、ポリエステルポリマーを含む固体ポリエステル粒子、ポリアミドポリマーを含む固体ポリアミド粒子並びにポリエステルポリマー及び1000〜40,000ppmの範囲の量で存在する遷移金属を含む固体コンセントレート粒子を含むブレンドを、前記ブレンドから水分を少なくとも一部分除去するのに有効な条件下で同時に乾燥させることを含んでなる粒子の乾燥方法。
【請求項43】
前記粒子ブレンドの水分レベルが0.015重量%又はそれ以下である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記遷移金属が、前記コンセントレートの重量に基づき2000〜20,000ppmの範囲の量でコバルトを含む請求項42に記載の方法。
【請求項45】
(i)ポリカルボン酸成分が、テレフタル酸、テレフタル酸誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸誘導体又はそれらの混合物の残基を、ポリエステルポリマー中のポリカルボン酸残基100モル%に基づき、少なくとも85モル%含み、且つ
(ii)ヒドロキシル成分が、C2〜C4脂肪族飽和ジオールの残基を、ポリエステルポリマー中のヒドロキシル残基100モル%に基づき、少なくとも85モル%含む
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
コンセントレートの重量に基づき、少なくとも1000ppmの量の遷移金属及び、コンセントレートの重量に基づき、少なくとも40重量%の量のポリエステルポリマーを含んでなり、前記ポリエステルポリマーの少なくとも一部が、ポリエステルポリマー中に存在するヒドロキシル化合物残基の全モルに基づき、20〜60モル%の範囲の量のヒドロキシル改質剤残基及び/又は、ポリエステルポリマー中に存在するポリカルボン酸残基の全モルに基づき、20〜60モル%の範囲の量のポリカルボン酸改質剤を含む高改質ポリエステルポリマーを含んでなるポリエステルポリマーコンセントレート。
【請求項47】
前記遷移金属含量が2,000〜20,000ppmの範囲である請求項46に記載のコンセントレート。
【請求項48】
高改質ポリエステルポリマーの量が、前記コンセントレート中に存在する全ポリエステルポリマーの総重量に基づき、少なくとも75重量%である請求項46に記載のコンセントレート。
【請求項49】
前記高改質ポリエステルポリマーが、ポリマー中に存在するヒドロキシル化合物のモルに基づき、少なくとも25モル%の量でヒドロキシル改質剤残基を含むようにポリカルボン酸化合物とヒドロキシル化合物及びヒドロキシル改質剤とを共重合させることによって得られる請求項46に記載のコンセントレート。
【請求項50】
ヒドロキシル改質剤残基の量が、前記ポリマー中に存在する全ヒドロキシル残基に基づき、30〜60モル%の範囲である請求項49に記載のコンセントレート。
【請求項51】
前記遷移金属が2000〜20,000ppmの範囲の量で存在する請求項49に記載のコンセントレート。
【請求項52】
前記遷移金属が3000〜20,000ppmの範囲の量で存在するコバルトを含む請求項51に記載のコンセントレート。
【請求項53】
前記遷移金属がポリエステルポリマーを製造するための溶融相プロセスに添加される請求項46に記載のコンセントレート。
【請求項54】
前記コンセントレートがポリエステルポリマーと遷移金属とを溶融配合することによって得られる請求項46に記載のコンセントレート。
【請求項55】
前記高改質ポリエステルポリマーが、
(i)ポリエステルポリマー中のポリカルボン酸残基100モル%に基づき、少なくとも92モル%の、テレフタル酸若しくはテレフタル酸誘導体又はそれらの混合物の残基を含むポリカルボン酸成分;並びに
(ii)ポリエステルポリマー中のヒドロキシル残基100モル%に基づき、少なくとも40モル%のエチレングリコールの残基及び少なくとも25%で60モル%以下のヒドロキシル改質剤の残基を含むヒドロキシル成分
を含む請求項46に記載のコンセントレート。
【請求項56】
固相重合をせずに得られた前記高改質ポリエステルポリマーのIt.V.が少なくとも0.72dL/gである請求項46に記載のコンセントレート。
【請求項57】
前記高改質ポリエステルポリマーのIt.V.が少なくとも0.80dL/gである請求項56に記載のコンセントレート。
【請求項58】
前記ヒドロキシル改質剤残基がブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール若しくはジエチレングリコール又はそれらの組合せの残基を含む請求項46に記載のコンセントレート。
【請求項59】
前記ヒドロキシル改質剤残基が1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基を含む請求項58に記載のコンセントレート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2008−523170(P2008−523170A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544535(P2007−544535)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/043609
【国際公開番号】WO2006/062816
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】