説明

釉薬塗布方法および釉薬塗布装置

【課題】塗布対象物に釉薬を均一な膜厚で塗布できる釉薬塗布方法および釉薬塗布装置を提供する。
【解決手段】回転対象な外形を有する塗布対象物1の非塗布部分11を保持し、所定の回転速度で軸回転しつつ塗布部分12を釉薬3に浸漬する浸漬工程を行う。また、浸漬された塗布対象物1を所定の回転速度で軸回転しつつ釉薬3から引き上げる引上工程を行う。塗布対象物1の表面付近における釉薬3の粘度が低下するため、釉薬3を均一な膜厚で塗布できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパークプラグ等の塗布対象物に釉薬を所定の膜厚で均一に塗布する釉薬塗布方法および釉薬塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スパークプラグの碍子表面へ釉薬を塗布する方法として、例えば図10(A)に示すごとく、ローラー91を用いる方法が知られている。この方法では、ローラー91は碍子92(塗布対象物)の表面に合う外面形状を有しており、釉薬を供給しつつローラー91を碍子92に接触させ回転することにより、碍子92の表面に釉薬を転写する。また、図10(B)に示すごとく、非塗布部をマスキング治具93によって覆い、噴射ノズル94により碍子92に釉薬を吹き付ける方法も知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−273486号広報
【特許文献2】特開2002−326885号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、釉薬は硬質なガラス等の微粒子を含むため、使用によりローラー91の表面が磨耗する問題があった。その結果、ローラー91と碍子92との接触不良が生じ、釉薬が塗布されない領域ができたり、膜厚不良が発生したりする問題があった。
【0005】
また、噴射ノズル94を用いる方法では、釉薬が噴射口に詰まる問題があった。その結果、釉薬が十分に噴射されず、釉薬の未塗布部分ができたり、膜厚不良が発生したりする問題があった。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、塗布対象物に釉薬を均一な膜厚で塗布できる釉薬塗布方法および釉薬塗布装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、回転対象な外形を有する塗布対象物の表面に釉薬を塗布する方法であって、
上記塗布対象物の非塗布部分を保持し、所定の回転速度で軸回転しつつ塗布部分を上記釉薬に浸漬する浸漬工程と、
浸漬された上記塗布対象物を所定の回転速度で軸回転しつつ上記釉薬から引き上げる引上工程と、
を行うことを特徴とする釉薬塗布方法にある(請求項1)。
【0008】
次に、第1の発明の作用効果につき説明する。
第1の発明においては、釉薬のチクソ性を利用することにより、塗布対象物の表面における釉薬の粘度を局所的に低くすることができ、その結果、塗布対象物に釉薬を均一な膜厚で塗布することが可能となる。
すなわち、釉薬は流動している状態では粘度が低く、静止状態では粘度が高くなる性質(チクソ性)を有している。そのため、塗布対象物を軸回転させながら釉薬に浸漬すると、塗布対象物の表面付近のみ釉薬の流速が速くなり、粘度が局所的に低くなる。これにより、塗布対象物に釉薬を均一な膜厚で塗布することが可能となる。
【0009】
ここで仮に、塗布対象物を軸回転させずに釉薬に浸漬したとすると、釉薬の粘度は比較的高いため、膜厚が均一にならなかったり、釉薬が厚く付きすぎたりする場合がある。また、塗布対象物の表面に凹凸部が形成されている等、外面形状が複雑な場合には、細かい隙間にまで釉薬を均一に塗布することは困難である。
【0010】
これに対して第1の発明では、塗布対象物を軸回転しつつ釉薬に浸漬し、引き上げるため、塗布対象物の表面における釉薬の流速を早くでき、粘度を局所的に低くすることができる。そのため釉薬の塗布膜厚を均一にでき、また、塗布対象物が複雑な外形を有する場合であっても、細かい隙間まで釉薬を均一な厚さで塗布することが可能である。
また、塗布対象物の回転速度を調節することにより、その塗布対象物の表面における釉薬の粘度を所望の値に調節することができる。
【0011】
以上のごとく、上記第1の発明によれば、塗布対象物に釉薬を均一な膜厚で塗布できる釉薬塗布方法を提供することができる。
【0012】
また、第2の発明は、回転対象な外形を有する塗布対象物の表面に釉薬を塗布するための釉薬塗布装置であって、
釉薬を貯留する釉薬槽と、
上記塗布対象物の非塗布部分を保持するとともに軸回転可能に構成され、上記塗布対象物が上記釉薬の液面よりも鉛直方向上側に位置する非浸漬位置と、上記塗布対象物の塗布部分が上記釉薬に浸漬される浸漬位置との間で上下動可能にされたワーク保持機構と、
を備えることを特徴とする釉薬塗布装置(請求項9)にある。
【0013】
次に、第2の発明の作用効果につき説明する。
第2の発明では、ワーク保持機構を用いることにより、塗布対象物を軸回転しつつ釉薬に塗布し、引き上げることができる。そのため、第1の発明と同様の作用効果により、塗布対象物の表面に釉薬を均一な膜厚で塗布することができる。
【0014】
また、第2の発明は、従来例と比較して、メンテナンス性にも優れている。例えば図10(A)に示す従来例では、釉薬に硬質なガラス等の粒子が含まれるため、ローラー91が磨耗する場合があり、その結果、塗布されていない領域ができたり、膜厚が不均一になったりする問題があった。そのため、磨耗したローラー91を交換する必要があった。
また、図10(B)に示す従来例では、噴射ノズル94に釉薬が詰まる場合があり、その結果、釉薬の未塗布領域ができたり、膜厚が不均一になったりする問題があった。そのため、噴射ノズル94を定期的に点検する必要があった。さらに、図10(B)では、噴射されても碍子92に塗布されず、釉薬塗布装置の壁面等に付着する釉薬があるため、定期的に清掃する必要があった。また、高圧で釉薬を噴射するため、高圧システムを備える必要があり、釉薬塗布装置が高価になる問題もあった。
【0015】
これに対して本発明の釉薬塗布装置では、ローラー91や噴射ノズル94を使用しないため、上記問題は発生せず、メンテナンス性に優れている。また、図10(B)のように釉薬を噴射するための高圧システムが必要ないため、安価な装置にすることができるというメリットもある。
【0016】
以上のごとく、上記第2の発明によれば、塗布対象物に釉薬を均一な膜厚で塗布できる釉薬塗布装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上述した各発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1の発明において、上記塗布対象物の上記塗布部分に凹凸部が形成され、上記釉薬に浸漬されている上記凹凸部に対して上記釉薬の液流を送出することにより、上記凹凸部に付着した気泡を除去するエア抜き工程を行うことが好ましい(請求項2)。
この場合には、エア抜き工程を行っているので、凹凸部に付着した気泡を除去することができる。これにより、塗布対象物への釉薬の未塗布部分が形成されることを効果的に防ぎ、塗布対象物に塗布される釉薬の膜厚を均一にできる。
【0018】
また、上記塗布部分の全ての領域が上記釉薬に浸漬されている状態では、上記釉薬の液流の送出を停止することが好ましい(請求項3)。
この場合には、塗布部分の全ての領域が釉薬に浸漬されている状態で、釉薬の液面を静止させることができる。そのため、釉薬の液面が揺れて、塗布対象物における、本来釉薬を塗布すべきでない部分に釉薬が付着する不具合を防止できる。
【0019】
また、上記塗布部分のうち上記凹凸部を含む塗布下側領域が上記釉薬に浸漬され、上記塗布部分のうち上記塗布下側領域よりも上側に存在する塗布上側領域が上記釉薬に浸漬されていない第1浸漬位置にて上記エア抜き工程を行い、
上記釉薬の液流の送出を停止した状態で、上記塗布部分の全ての領域が上記釉薬に浸漬した第2浸漬位置まで上記塗布対象物を下げる送出停止工程を行うことが好ましい(請求項4)。
この場合には、凹凸部に気泡が付着することを防止できるとともに、非塗布部分に釉薬が付着することを防止できる。
すなわち、エア抜き工程を行う時は釉薬の液面が揺れるため、上述の第1浸漬位置に塗布対象物を保持した状態で、エア抜き工程を行う。そのため、釉薬の液面が多少揺れても、釉薬は塗布上側領域に付着するだけで、非塗布部分には付着しない。
また、塗布部分の全ての領域を釉薬に浸漬する時には、釉薬の送出を停止するため(送出停止工程)、釉薬の液面が揺れない。これにより、塗布対象物における、本来釉薬を塗布すべきでない部分に釉薬が付着することを防止できる。
【0020】
また、上記送出停止工程の前に第1の上記エア抜き工程を行い、上記送出停止工程の後に第2の上記エア抜き工程を行うことが好ましい(請求項5)。
この場合には、エア抜き工程を送出停止工程の前後に行うため、凹凸部に付着した気泡を確実に除去できる。
【0021】
また、上記塗布部分の少なくとも一部が上記釉薬に浸漬された状態では、上記塗布対象物は第1の回転速度にて軸回転され、
上記引上工程の後、上記塗布対象物を上記第1の回転速度よりも早い第2の回転速度にて軸回転する高速回転工程を行うことが好ましい(請求項6)。
この場合は、高速回転工程を行うことにより、塗布対象物に塗布された余分な釉薬を、遠心力を利用して除去することができる。
なお、上記第1の回転速度および第2の回転速度は、それぞれ必ずしも一定の速度でなくてもよい。
【0022】
また、上記塗布対象物は軸線方向両端部が開口した筒状に構成されており、該塗布対象物の上側の開口部を気密的にシールした状態で上記塗布部分を上記釉薬に浸漬することが好ましい(請求項7)。
この場合には、塗布対象物の上側の開口部が気密的にシールされているため、下側(塗布部分側)の開口部を釉薬に浸漬しても、その下側の開口部から釉薬が入らなくなる。これにより、塗布対象物の内側に釉薬が付着することを防止できる。
【0023】
また、上記塗布対象物はスパークプラグの絶縁碍子であることが好ましい(請求項8)。
この場合には、第1の発明の効果を十分に発揮することができる。すなわち、スパークプラグの絶縁碍子は一般に凹凸部(コルゲーション部)が形成されており、比較的複雑な形状をしているため、釉薬を均一に塗布することが難しく、また、凹凸部に気泡が付きやすいという問題がある。また、スパークプラグの絶縁碍子は、その内側と外側との間の絶縁を確保すべく、その外表面に釉薬を塗布するが、この釉薬が均一に塗布されないと、充分な絶縁抵抗を確保できないという問題がある。上記第1の発明を用いることにより、絶縁碍子の表面に釉薬を均一な厚さで塗布することができ、その機能を充分に発揮することができる。
【0024】
また、第2の発明において、上記釉薬に浸漬された上記塗布部分に対して上記釉薬の液流を送出する釉薬噴出ノズルを備えることが好ましい(請求項10)。
この場合には、釉薬に浸漬された塗布部分に、気泡が付着することを防止できる。
【0025】
また、上記釉薬を攪拌する攪拌装置が上記釉薬槽に設けられていることが好ましい(請求項11)。
この場合には、釉薬の固形分の沈殿を防止できるとともに、釉薬槽内の釉薬の温度を一定に保つことができる。
【0026】
また、上記塗布対象物は軸線方向両端部が開口した筒状に構成されており、該塗布対象物の上側の開口部を気密的にシールするシール部を備えることが好ましい(請求項12)。
この場合には、塗布対象物の上側の開口部を気密的にシールできるため、下側(塗布部分側)の開口部を釉薬に浸漬しても、その下側の開口部から釉薬が入らなくなる。これにより、塗布対象物の内側に釉薬が付着することを防止できる。
【0027】
また、上記釉薬槽を取り囲むオーバーフロー槽と、上記釉薬槽の内側に上記釉薬を送出することにより該釉薬を上記釉薬槽の上端縁から上記オーバーフロー槽へ溢れ出させるとともに、その溢れ出た上記釉薬を回収して循環させる釉薬循環機構とを備えることが好ましい(請求項13)。
この場合には、釉薬槽の上端縁から釉薬が常に溢れ出るため、釉薬の液面を一定の高さに保つことができる。これにより、釉薬に浸漬される部分の深さを精確に制御できる。そのため、塗布対象物における所望の部位のみに釉薬を塗布することができる。
【0028】
また、上記ワーク保持機構は、塗布下側領域が上記釉薬に浸漬され、上記塗布部分のうち上記塗布下側領域よりも上方に存在する塗布上側領域が上記釉薬に浸漬されていない第1浸漬位置と、上記塗布部分が全て上記釉薬に浸漬される第2浸漬位置との2段階にて上記塗布対象物を浸漬可能に構成され、上記釉薬噴出ノズルからの上記釉薬の送出を停止した状態で、上記塗布対象物を上記第2浸漬位置まで浸漬させる制御部を備えることが好ましい(請求項14)。
この場合には、第1浸漬位置にて釉薬を送出することにより、塗布対象物に付着した気泡を除去でき、第2浸漬位置では釉薬の送出を停止するため、釉薬の液面が揺れることを防止できる。これにより、非塗布部分に釉薬が付着することを防止できる。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる釉薬塗布方法につき、図1〜図4を用いて説明する。
図1〜図3に示すごとく、塗布対象物1(スパークプラグの絶縁碍子)を軸回転しつつ釉薬3に浸漬し、引き上げることにより、塗布対象物1の表面に釉薬3を塗布する。
【0030】
図4(B)に示すごとく、塗布対象物1は回転対象な外形を有している。本例の釉薬塗布方法では、このように回転対象な外形を有する塗布対象物1の表面に釉薬3を塗布する。まず、図1に示すごとく、塗布対象物1の非塗布部分11を保持し、所定の回転速度で軸回転しつつ塗布部分12を釉薬3に浸漬する浸漬工程を行う。次に、図3に示すごとく、浸漬された塗布対象物1を所定の回転速度で軸回転しつつ釉薬3から引き上げる引上工程を行う。
【0031】
また、図1に示すごとく、塗布対象物1の塗布部分12に凹凸部13が形成されている。釉薬3に浸漬されている凹凸部13に対して釉薬3の液流32を送出することにより、凹凸部13に付着した気泡4を除去するエア抜き工程を行う。
また、図2に示すごとく、塗布部分12の全ての領域が釉薬3に浸漬されている状態では、釉薬3の液流32の送出を停止している。
【0032】
より詳しくは、図1に示すごとく、塗布部分12のうち凹凸部13を含む塗布下側領域121が釉薬3に浸漬され、塗布部分12のうち塗布下側領域121よりも上側に存在する塗布上側領域122が釉薬3に浸漬されていない第1浸漬位置にてエア抜き工程を行う。そして、図2に示すごとく、釉薬3の液流32の送出を停止した状態で、塗布部分12の全ての領域が釉薬3に浸漬した第2浸漬位置まで塗布対象物1を下げる送出停止工程を行う。
【0033】
また、図4(A)に示すごとく、塗布対象物1は軸線方向両端部が開口した筒状に構成されており、図1に示すごとく、塗布対象物1の上側の開口部15を気密的にシールした状態で塗布部分12を釉薬3に浸漬する。
【0034】
次に、図5を用いて、釉薬塗布方法の全体の流れを説明する。まず、セット工程において、塗布対象物1の非塗布部分11を保持し、釉薬3の液面上に搬送する(ステップS1)。セット工程が完了するまでの間は、L1に示すごとく、塗布対象物1は軸回転しない。また、釉薬噴出ノズル23は後述する攪拌装置24(図示せず)に取り付けられており、L2に示すごとく、セット工程が完了するまでの間は、この攪拌装置24の攪拌動作に伴って、釉薬噴出ノズル23が上下動している。また、L3,L4に示すごとく、釉薬噴出ノズル23および下部ノズル29(図示せず)から、釉薬3を送出している。
【0035】
次に、L1に示すごとく、塗布対象物1を低速(300rpm)にて軸回転させ始めると共に、L2に示すごとく、釉薬噴出ノズル23を釉薬3の液面31より下において停止させる。そして、下降工程において、塗布対象物1を下降させ、塗布部分12を釉薬3に浸漬する(ステップS2)。
【0036】
次いで、第1エア抜き工程において、塗布対象物1を上記第1浸漬位置まで下降する(ステップS3)。
【0037】
次いで、L3,L4に示すごとく、釉薬噴出ノズル23および下部ノズル29から、釉薬3の送出を停止する。その後、送出停止工程において、塗布対象物1を上記第2浸漬位置まで下降する(ステップS4)。
【0038】
次に、第2エア抜き工程において、塗布対象物1を上記第1工程まで引き上げる(ステップS5)。第2エア抜き工程では、L3,L4に示すごとく、釉薬噴出ノズル23および下部ノズル29からの、釉薬3の送出を再開する。
【0039】
このように、本例の釉薬塗布方法は、送出停止工程(ステップS4)の前に第1のエア抜き工程(ステップS3)を行い、送出停止工程の後に第2のエア抜き工程(ステップS5)を行っている。
【0040】
次に、引上工程において、塗布対象物1を釉薬3から引き上げる(ステップS6)。次いで、引上工程の後、塗布対象物1を第1の回転速度よりも早い第2の回転速度にて軸回転する高速回転工程を行う(ステップS7)。このとき、L1に示すごとく、塗布対象物1の回転速度を1600rpmとする。
【0041】
上述したように、塗布部分12の少なくとも一部が釉薬3に浸漬された状態(ステップS1〜S6)では、塗布対象物1は第1の回転速度(低速)にて軸回転されている。
本例では、第1の回転速度(低速回転)は300rpmであり、第2の回転速度(高速回転)は1600rpmである。また、高速回転工程を始めた後、L2に示すごとく、釉薬噴出ノズル23の上下動作を再開する。
なお、第1の回転速度および第2の回転速度は、それぞれ必ずしも一定の速度でなくてもよく、例えば回転速度を徐々に上げたり、あるいは徐々に下げたりすることもできる。
【0042】
高速回転工程が終了すると、攪拌装置24(図示せず)の攪拌動作が開始され、それに伴って、L2に示すごとく、釉薬噴出ノズル23の上下動作が開始される。
【0043】
次に、本発明の実施例にかかる釉薬塗布装置につき、図6〜図9を用いて説明する。
図6〜図9に示すごとく、本例の釉薬塗布装置2は、回転対象な外形を有する塗布対象物1の表面に釉薬3を塗布するものである。この釉薬塗布装置2は、釉薬3を貯留する釉薬槽21を備える。また、塗布対象物1の非塗布部分11を保持するとともに軸回転可能に構成され、塗布対象物1が釉薬3の液面31よりも鉛直方向上側に位置する非浸漬位置(図5:ステップS1参照)と、塗布対象物1の塗布部分12が釉薬3に浸漬される浸漬位置(図5:ステップS3〜S5参照)との間で上下動可能にされたワーク保持機構22を備える。
なお、図7〜図9に示す詳細図では、ワーク保持機構22および後述するシール部25、釉薬循環機構27を省略している。
【0044】
次に、図6、図8、図9に示すごとく、本例の釉薬塗布装置2は、釉薬3に浸漬された塗布部分12に対して釉薬3の液流32を送出する釉薬噴出ノズル23を備える。
図6に示すごとく、釉薬送出ノズル23は、釉薬循環機構27のポンプ55から送られる釉薬3を吐出し、この釉薬3の液流により、塗布対象物1に付着した気泡4(図2参照)を除去している。また、釉薬槽4の底部に下部ノズル29が設けられ、この下部ノズル29にも釉薬3が送られる。
図7〜図9に示すごとく、釉薬塗布装置2は複数本(本例では10本)の塗布対象物1を一度に処理できる構成になっている。そして、1個の塗布対象物1に対して、1個の釉薬噴出ノズル23が配置されている。
【0045】
また、釉薬3を攪拌する攪拌装置24が釉薬槽21に設けられている。
より詳しくは、図8に示すごとく、攪拌装置24は金網から構成され、釉薬3の固形分が沈殿しないように、釉薬槽21内を上下動して攪拌している。上述の釉薬噴出ノズル23は攪拌装置24に取り付けられている。
【0046】
次に、図6に示すごとく、塗布対象物1は軸線方向両端部が開口した筒状に構成されており、塗布対象物1の上側の開口部15を気密的にシールするシール部25を備える。
【0047】
また、本例の釉薬塗布装置2は、図6に示すごとく、釉薬槽21を取り囲むオーバーフロー槽26を備える。そして、釉薬槽21の内側に釉薬3を送出することにより釉薬3を釉薬槽21の上端縁211からオーバーフロー槽26へ溢れ出させるとともに、その溢れ出た釉薬3を回収して循環させる釉薬循環機構27を備える。
【0048】
より詳しくは、この釉薬循環機構27は、オーバーフロー槽26の底部に接続された釉薬排出パイプ261と、その釉薬排出パイプ261に接続された釉薬タンク5と、釉薬3を送出するポンプ55と、ポンプ55に接続された送出パイプ262と、釉薬3の出口となる釉薬噴出ノズル23および下部ノズル29とから構成される。
【0049】
次に、本例の釉薬塗布装置2は、ワーク保持機構22、攪拌装置24、ポンプ55等と接続された制御装置28を備え、この制御装置28により、図5に示す各工程を行うように制御する。
【0050】
また、図6に示すごとく、ワーク保持機構22は、塗布下側領域121が釉薬3に浸漬され、塗布部分12のうち塗布下側領域121よりも上方に存在する塗布上側領域122が釉薬3に浸漬されていない第1浸漬位置(図1参照)と、塗布部分12が全て釉薬3に浸漬される第2浸漬位置(図2参照)との2段階にて塗布対象物1を浸漬可能に構成される。そして、制御部28は、釉薬噴出ノズル23からの釉薬3の送出を停止した状態で、塗布対象物1が第2浸漬位置まで浸漬されるように制御する。
【0051】
また、釉薬タンク5にはタンク内攪拌装置51と、温度センサ52と、粘度センサ53と、冷却器54とが設けられている。これらは制御部28に接続され、この制御部28により、釉薬タンク5内の釉薬3の温度および粘度が一定の範囲に入るように制御される。
【0052】
次に、本例の釉薬塗布方法の作用効果について説明する。
図1に示すごとく、本例の釉薬塗布方法では、塗布対象物1を軸回転しつつ釉薬3に浸漬する浸漬工程と、軸回転しつつ釉薬3から引き上げる引上工程を行っている。
これにより、塗布対象物1の表面における釉薬3の粘度を局所的に低くすることができ、その結果、塗布対象物1に釉薬3を均一な膜厚で塗布することが可能となる。
すなわち、釉薬3は流動している状態では粘度が低く、静止状態では粘度が高くなる性質(チクソ性)を有している。そのため、塗布対象物1を軸回転させながら釉薬3に浸漬すると、塗布対象物1の表面付近のみ釉薬3の流速が速くなり、粘度が局所的に低くなる。これにより、塗布対象物1に釉薬3を均一な膜厚で塗布することが可能となる。
【0053】
ここで仮に塗布対象物1を軸回転させずに釉薬3に浸漬したとすると、釉薬3の粘度は比較的高いため、膜厚が均一にならなかったり、釉薬3が厚く付きすぎたりする場合がある。また、塗布対象物1の表面に凹凸部13が形成されている等、外面形状が複雑な場合には、細かい隙間にまで釉薬3を均一に塗布することは困難である。
【0054】
これに対して本例では、塗布対象物1を軸回転しつつ釉薬3に浸漬し、引き上げるため、塗布対象物1の表面における釉薬3の流速を早くでき、粘度を局所的に低くすることができる。そのため釉薬3の塗布膜厚を均一にでき、また、塗布対象物1が複雑な外形を有する場合であっても、細かい隙間まで釉薬3を均一な厚さで塗布することが可能である。
また、塗布対象物1の回転速度を調節することにより、その塗布対象物1の表面における釉薬3の粘度を所望の値に調節することができる。
【0055】
次に、図1、図2に示すごとく、本例の釉薬塗布方法ではエア抜き工程を行っている。これにより、凹凸部13に付着した気泡4を除去することができる。そのため、塗布対象物1に塗布される釉薬3の膜厚を均一にできる。
【0056】
また、本例の釉薬塗布方法は、図2に示すごとく、塗布部分12の全ての領域が釉薬3に浸漬されている状態では、釉薬3の液流32の送出が停止される。
この場合には、塗布部分12の全ての領域が釉薬3に浸漬されている状態で、釉薬3の液面31を静止させることができる。そのため、釉薬3の液面31が揺れて、本来釉薬と塗布すべきでない部分(非塗布部分11)に釉薬3が付着する不具合を防止できる。
【0057】
より詳しくは、本例の釉薬塗布方法は、図1、図2に示すごとく、上記第1浸漬位置にてエア抜き工程を行い、釉薬3の液流32の送出を停止した状態で、上記第2浸漬位置まで塗布対象物1を下げる送出停止工程を行う。
この場合には、凹凸部13に気泡4が付着することを防止できるとともに、本来釉薬を塗布すべきでない部分(非塗布部分11)に釉薬3が付着することを防止できる。
すなわち、エア抜き工程を行う時は釉薬3の液面31が揺れるため、上述の第1浸漬位置に塗布対象物1を保持した状態で、エア抜き工程を行う。そのため、釉薬3の液面31が多少揺れても、釉薬3は塗布上側領域122に付着するだけで、非塗布部分11には付着しない。
また、塗布部分12の全ての領域を釉薬3に浸漬する時には、釉薬3の送出を停止するため(送出停止工程)、釉薬3の液面31が揺れない。これにより、非塗布部分11に釉薬3が付着することを防止できる。
【0058】
さらに詳しくは、本例の釉薬塗布方法は、図5に示すごとく、送出停止工程の前に第1のエア抜き工程を行い、送出停止工程の後に第2のエア抜き工程を行う。
この場合には、エア抜き工程を送出停止工程の前後に行うため、凹凸部13に付着した気泡4を確実に除去できる。
【0059】
次に、図5に示すごとく、本例の釉薬塗布方法は、セット工程(ステップS1)〜引上工程(ステップS6)までは第1の回転速度で軸回転し、引上工程の後、第1の回転速度よりも速い第2の回転速度にて軸回転する高速回転工程(ステップS7)を行う。
この場合は、高速回転工程を行うことにより、塗布対象物1に塗布された余分な釉薬3を、遠心力を利用して除去することができる。
また、第1の回転速度および第2の回転速度は、釉薬3の組成や粘度に応じて適宜調節することができる。第1の回転速度が速すぎると、釉薬3が非塗布部分11に付着してしまう。また、第1の回転速度が遅すぎると、釉薬3の膜厚を均一にしにくくなる。さらに、第2の回転速度が速すぎると釉薬3の膜厚が薄くなりすぎ、遅すぎると釉薬3の膜厚が厚くなりすぎる。
【0060】
また、本例の釉薬塗布方法は、図1、図2に示すごとく、塗布対象物1の上側の開口部15を気密的にシールした状態で塗布部分12を釉薬3に浸漬している。
この場合には、塗布対象物1の上側の開口部15が気密的にシールされているため、下側(塗布部分12側)の開口部14を釉薬3に浸漬しても、その下側の開口部14から釉薬3が入らなくなる。これにより、塗布対象物1の内側に釉薬3が付着することを防止できる。
【0061】
また、図1に示すごとく、塗布対象物1はスパークプラグの絶縁碍子である。
この場合には、本例による釉薬塗布方法の効果を十分に発揮することができる。すなわち、スパークプラグの絶縁碍子は凹凸部13(コルゲーション部)が形成されており、比較的複雑な形状をしているため、釉薬3を均一に塗布することが難しく、また、凹凸部13に気泡4が付きやすいという問題がある。さらに、絶縁碍子は筒状に構成されており、内側に釉薬3を塗布してはいけない等の一定の制約もある。内側に釉薬3が付着すると、後の工程で、中心電極(図示しない)を装着できなくなる。また、外側の、釉薬3を塗布してはいけない部分に釉薬3が付着すると、後の工程でハウジング(図示しない)を装着できなくなる。そのため、塗布する部分にのみ精確に、釉薬3を塗布する必要がある。
本例の釉薬塗布方法を用いることにより、これらの問題や制約がある場合でも、絶縁碍子の表面に釉薬3を均一な厚さで塗布することができる。
【0062】
次に、本例の釉薬塗布装置2の作用効果について説明する。
図6に示すごとく、本例の釉薬塗布装置2は釉薬槽21と、ワーク保持機構22とを備える。
このワーク保持機構22により、塗布対象物1を軸回転しつつ釉薬3に塗布し、引き上げることができる。軸回転すると、塗布対象物1の表面における釉薬3の流速が速くなり、釉薬3の粘度が局所的に低くなる。そのため、塗布対象物1の表面に釉薬3を均一な膜厚で塗布することができる。
【0063】
また、本例の釉薬塗布装置2は、従来例と比較して、メンテナンス性にも優れている。例えば図10(A)に示す従来例では、釉薬に硬質なガラス等の粒子が含まれるため、ローラー91が磨耗する場合があり、その結果、塗布されていない領域ができたり、膜厚が不均一になったりする問題があった。そのため、磨耗したローラー91を交換する必要があった。
また、図10(B)に示す従来例では、噴射ノズル94に釉薬が詰まる場合があり、その結果、釉薬の未塗布領域ができたり、膜厚が不均一になったりする問題があった。そのため、噴射ノズル94を定期的に点検する必要があった。さらに、図10(B)では、噴射されても碍子92に塗布されず、釉薬塗布装置の壁面等に付着する釉薬があるため、定期的に清掃する必要があった。また、高圧で釉薬を噴射するため、高圧システムを備える必要があり、釉薬塗布装置が高価になる問題もあった。
【0064】
これに対して本例の釉薬塗布装置2では、ローラー91や噴射ノズル94を使用しないため、上記問題は発生せず、メンテナンス性に優れている。また、図10(B)のように釉薬を噴射するための高圧システムが必要ないため、安価な装置にすることができるというメリットもある。
【0065】
また、本例の釉薬塗布装置2は、図6〜図9に示すごとく、釉薬3に浸漬された塗布部分12に対して釉薬3の液流32を送出する釉薬噴出ノズル23を備える。
この場合には、釉薬3に浸漬された塗布部分12に、気泡4が付着することを防止できる。
【0066】
次に、本例の釉薬塗布装置2は、図6〜図9に示すごとく、釉薬3を攪拌する攪拌装置24が釉薬槽21に設けられている。
この場合には、釉薬3の固形分の沈殿を防止できるとともに、釉薬槽21内の釉薬3の温度を一定に保つことができる。
【0067】
また、本例の釉薬塗布装置2は、図6に示すごとく、塗布対象物1の上側の開口部15を気密的にシールするシール部25を備える。
この場合には、塗布対象物1の上側の開口部15を気密的にシールできるため、下側(塗布部分12側)の開口部14を釉薬3に浸漬しても、その下側の開口部14から釉薬3が入らなくなる。これにより、塗布対象物1の内側に釉薬3が付着することを防止できる。
【0068】
また、本例の釉薬塗布装置2は、図6に示すごとく、オーバーフロー槽26を備え、釉薬槽21の上端縁211から釉薬3がオーバーフロー槽26へ溢れ出るようになっている。
この場合には、釉薬3の液面31を一定の高さに保つことができる。これにより、釉薬3に浸漬される部分の深さを精確に制御できる。そのため、塗布される釉薬3の長さを一定にすることができる。
【0069】
また、本例の釉薬塗布装置2は、図6に示すごとく、上記第1浸漬位置と、第2浸漬位置との2段階(図1、図2参照)にて塗布対象物1を浸漬可能に構成され、釉薬噴出ノズル23からの釉薬3の送出を停止した状態で塗布対象物1を第2浸漬位置に浸漬させる制御部28を備える。
この場合には、第1浸漬位置にて釉薬3を送出することにより、塗布対象物1に付着した気泡4を除去でき、第2浸漬位置では釉薬3の送出を停止するため、釉薬3の液面31が揺れることを防止できる。これにより、非塗布部分11に釉薬3が付着することを防止できる。
【0070】
以上のごとく、本例によれば、塗布対象物1に釉薬3を均一な膜厚で塗布できる釉薬塗布方法および釉薬塗布装置2を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例1における、浸漬工程(第1エア抜き工程、第2エア抜き工程)の拡大図。
【図2】実施例1における、浸漬工程(送出停止工程)の拡大図。
【図3】実施例1における、引上工程の拡大図。
【図4】実施例1における、(A)塗布対象物の縦断面図(B)図4(A)のa−a矢視断面図。
【図5】実施例1における、釉薬塗布方法の全体工程図。
【図6】実施例1における、釉薬塗布装置の概念図。
【図7】実施例1における、釉薬塗布装置の詳細図であって、図8のC−C矢視断面図。
【図8】図7のA−A矢視断面図。
【図9】図7のB−B矢視断面図。
【図10】従来例における、碍子に釉薬を塗布する方法であって、(A)ローラーを使った塗布方法(B)噴射ノズルを使った塗布方法。
【符号の説明】
【0072】
1 塗布対象物
11 非塗布部分
12 塗布部分
121 塗布下側領域
122 塗布上側領域
13 凹凸部
2 釉薬塗布装置
21 釉薬槽
211 (釉薬槽の)上端縁
22 ワーク保持機構
23 釉薬噴出ノズル
25 シール部
26 オーバーフロー槽
3 釉薬
4 気泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転対象な外形を有する塗布対象物の表面に釉薬を塗布する方法であって、
上記塗布対象物の非塗布部分を保持し、所定の回転速度で軸回転しつつ塗布部分を上記釉薬に浸漬する浸漬工程と、
浸漬された上記塗布対象物を所定の回転速度で軸回転しつつ上記釉薬から引き上げる引上工程と、
を行うことを特徴とする釉薬塗布方法。
【請求項2】
請求項1において、上記塗布対象物の上記塗布部分に凹凸部が形成され、上記釉薬に浸漬されている上記凹凸部に対して上記釉薬の液流を送出することにより、上記凹凸部に付着した気泡を除去するエア抜き工程を行うことを特徴とする釉薬塗布方法。
【請求項3】
請求項2において、上記塗布部分の全ての領域が上記釉薬に浸漬されている状態では、上記釉薬の液流の送出を停止することを特徴とする釉薬塗布方法。
【請求項4】
請求項2において、上記塗布部分のうち上記凹凸部を含む塗布下側領域が上記釉薬に浸漬され、上記塗布部分のうち上記塗布下側領域よりも上側に存在する塗布上側領域が上記釉薬に浸漬されていない第1浸漬位置にて上記エア抜き工程を行い、
上記釉薬の液流の送出を停止した状態で、上記塗布部分の全ての領域が上記釉薬に浸漬した第2浸漬位置まで上記塗布対象物を下げる送出停止工程を行うことを特徴とする釉薬塗布方法。
【請求項5】
請求項4において、上記送出停止工程の前に第1の上記エア抜き工程を行い、上記送出停止工程の後に第2の上記エア抜き工程を行うことを特徴とする釉薬塗布方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、上記塗布部分の少なくとも一部が上記釉薬に浸漬された状態では、上記塗布対象物は第1の回転速度にて軸回転され、
上記引上工程の後、上記塗布対象物を上記第1の回転速度よりも早い第2の回転速度にて軸回転する高速回転工程を行うことを特徴とする釉薬塗布方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、上記塗布対象物は軸線方向両端部が開口した筒状に構成されており、該塗布対象物の上側の開口部を気密的にシールした状態で上記塗布部分を上記釉薬に浸漬することを特徴とする釉薬塗布方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、上記塗布対象物はスパークプラグの絶縁碍子であることを特徴とする釉薬塗布方法。
【請求項9】
回転対象な外形を有する塗布対象物の表面に釉薬を塗布するための釉薬塗布装置であって、
釉薬を貯留する釉薬槽と、
上記塗布対象物の非塗布部分を保持するとともに軸回転可能に構成され、上記塗布対象物が上記釉薬の液面よりも鉛直方向上側に位置する非浸漬位置と、上記塗布対象物の塗布部分が上記釉薬に浸漬される浸漬位置との間で上下動可能にされたワーク保持機構と、
を備えることを特徴とする釉薬塗布装置。
【請求項10】
請求項9において、上記釉薬に浸漬された上記塗布部分に対して上記釉薬の液流を送出する釉薬噴出ノズルを備えることを特徴とする釉薬塗布装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10において、上記釉薬を攪拌する攪拌装置が上記釉薬槽に設けられていることを特徴とする釉薬塗布装置。
【請求項12】
請求項9〜請求項11のいずれか1項において、上記塗布対象物は軸線方向両端部が開口した筒状に構成されており、該塗布対象物の上側の開口部を気密的にシールするシール部を備えることを特徴とする釉薬塗布装置。
【請求項13】
請求項9〜請求項12のいずれか1項において、上記釉薬槽を取り囲むオーバーフロー槽と、上記釉薬槽の内側に上記釉薬を送出することにより該釉薬を上記釉薬槽の上端縁から上記オーバーフロー槽へ溢れ出させるとともに、その溢れ出た上記釉薬を回収して循環させる釉薬循環機構とを備えることを特徴とする釉薬塗布装置。
【請求項14】
請求項10において、上記ワーク保持機構は、上記塗布部分のうち塗布下側領域が上記釉薬に浸漬され、上記塗布部分のうち上記塗布下側領域よりも上方に存在する塗布上側領域が上記釉薬に浸漬されていない第1浸漬位置と、上記塗布部分が全て上記釉薬に浸漬される第2浸漬位置との2段階にて上記塗布対象物を浸漬可能に構成され、上記釉薬噴出ノズルからの上記釉薬の送出を停止した状態で、上記塗布対象物を上記第2浸漬位置まで浸漬させる制御部を備えることを特徴とする釉薬塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−291674(P2009−291674A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145299(P2008−145299)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】