説明

重合性チエノ[3,2−b]チオフェン類

本発明は、新規な重合性チエノ[3,2−b]チオフェン類、半導体または電荷輸送材料としての、光学的、電気光学的または電子デバイス、例えば液晶ディスプレイ、光学フィルム、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイおよび集積回路デバイス、例えばRFIDタグ、フラットパネルディスプレイにおけるエレクトロルミネセントデバイスのための有機電界効果トランジスタ(FETまたはOFET)における、並びに光起電およびセンサーデバイスにおけるこれらの使用、並びに新規な化合物を含む電界効果トランジスタ、発光デバイスまたはIDタグに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規な重合性チエノ[3,2−b]チオフェン類に関する。本発明はさらに、半導体または電荷輸送材料としての、光学的、電気光学的または電子デバイス、例えば液晶ディスプレイ、光学フィルム、薄層トランジスタ液晶ディスプレイおよび集積回路デバイス、例えばRFIDタグ、フラットパネルディスプレイにおけるエレクトロルミネセントデバイスのための有機電界効果トランジスタ(FETまたはOFET)における、並びに光起電およびセンサーデバイスにおけるこれらの使用に関する。本発明はさらに、新規な化合物を含む電界効果トランジスタ、発光デバイスまたはIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
背景および従来技術
従来技術において、繰り返しチオフェン単位からなるポリマーは、FET用途における電荷輸送材料として、良好な性能を示すと報告されている。例えば、位置規則性ポリ(3−アルキル)チオフェンは、現在、ポリマーについての最も高い記録された移動度の1つを例証した(Sirringhausら、Science, 1998, 280, p1741)。また、種々の数を含む、例えばEP 1 327 646 A1、EP 1 327 647 A1、EP 1 329 474 A1またはEP 1 329 475 A1に開示されているポリチオフェン類似体およびアルキル−チオフェン類の位置異性体は、合理的な電荷キャリア移動度を示す。
【0003】
この性能は、2つの要因によると考えられている。先ず、ポリマー主鎖上のアルキル側鎖の配置により、ポリマーは、溶液からのコーティングの際に良好な秩序を有する構造に自己組織化することが、可能になる。これにより、電荷輸送を左右するホッピング機構が容易になる。第2に、硫黄原子がポリマー主鎖中に存在することは、電荷輸送に有益であると示された。正確な機構は、知られていないが、隣接するポリマー鎖上での硫黄d軌道の相互作用により、電荷ホッピング機構が容易になると、推測されている。
【0004】
しかし、上記の従来技術の文献に開示されたポリマーは、0.1cm−1−1より高くない電荷キャリア移動度を示すに過ぎない。また、従来技術の材料は、しばしば、半導体デバイス、例えば薄層トランジスタ(TFT)または電界効果トランジスタ(FET)の製造のためにポリマーを加工する場合には不利である、限定された溶解性のみを示す。
従って、有機ポリマーの電荷移動度および溶解性のさらなる向上が、トランジスタ性能を可能にするために所望される。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、合成するのが容易であり、高い電荷移動度および良好な加工性を有する、半導体または電荷輸送材料として用いるための新規な有機材料を提供することにあった。特に、当該材料は、容易に加工可能であって、半導体デバイスにおいて用いるための薄い、かつ大面積のフィルムを形成しなければならない。また、当該材料は、酸化的に安定であるが、所望の電気的特性を維持またはさらに改善しなければならない。
【0006】
本発明者らは、チエノ[3,2−b]チオフェン(1)(TT)
【化1】

特にTT基およびこれに結合した1つまたは2つ以上の重合性基を有するメソゲン性中心を含むモノマーに基づく材料は、改善された電荷キャリア移動度を示し、同時に所望の溶液加工特性を維持することを、見出した。
【0007】
従来技術において、LC挙動を示すTT基を含む分子の報告された例は、ない。Nakayamaら、Tetrahedron 1996, 52, p471には、以下に示す3,6−ジメチルTTの二量体、三量体および四量体が報告されている。
【化2】

【0008】
しかし、これらの材料は、LC挙動を示すように設計されておらず、かつこのように報告されておらず、さらに低い溶解性を示すと報告されている。電子的挙動は、報告されていない。高い移動度は、3位および6位における隣接するメチル基の相互作用により生じた立体的なねじれのために、これらの材料について予測されていない。
【0009】
ZhangおよびMatzger, J. Org. Chem. 2003, 68, p9813-0815には、以下に示すTT化合物が開示されている。
【化3】

これらの分子は、非置換であり、LC挙動を示さない。電気的データは、報告されていない。
【0010】
WO 99/12989には、置換されているか、または非置換であってもよい、2個または3個以上の縮合したチオフェン環を含む、TFTおよびFETにおいて用いるためのオリゴマーおよびポリマーが開示されている。しかし、重合性の末端基を有するメソゲン性TTモノマーまたはこれらの製造について、具体的な開示はない。
【0011】
EP 1 275 650 A2には、1個または2個以上の縮合したチオフェン環および重合性基を含む化合物が、開示されているが、本発明の化合物は、明確には開示されていない。
【0012】
従って、本発明の他の目的は、従来技術のTT材料と比較して、半導体デバイスの製造において容易に加工可能であり、高い安定性を有し、また大規模においても容易な合成を可能にする、チエノ[3,2−b]チオフェン(TT)材料を提供することにあった。
【0013】
上記の目的は、本発明の化合物を提供することにより達成することができることが、見出された。
【0014】
発明の概要
本発明は、少なくとも1種のチエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル(TT)基および、重合反応に関与することができるか、もしくはポリマー主鎖にグラフトされ得る、少なくとも1種の基(重合性の、もしくは反応性の基)、または前記重合性基の保護された形態を含む、化合物、好ましくはこのタイプのメソゲン性または液晶性化合物に関する。
【0015】
本発明はさらに、本明細書中に記載したTT化合物から得られる、直線状および架橋したポリマーに関する。
本発明はさらに、本明細書中に記載した1種または2種以上のTT化合物を含み、随意に1種または2種以上の他の重合性化合物を含む重合性液晶材料であって、TT化合物および/または他の重合性化合物の少なくとも1種が、メソゲン性または液晶性である、前記重合性液晶材料に関する。
【0016】
本発明はさらに、電荷輸送特性を有し、本明細書中に記載した1種または2種以上のTT化合物または重合性液晶材料から得られる、異方性ポリマーフィルムであって、その液晶相において、巨視的に均一な方向に配向し、重合または架橋して、配向した状態が固定される、前記異方性ポリマーフィルムに関する。
本発明はさらに、本明細書中で定義した少なくとも1種の化合物、重合性材料またはポリマーを含む、半導体または電荷輸送材料、部品またはデバイスに関する。
【0017】
本発明はさらに、本発明の化合物、重合性材料およびポリマーの、光学的、電気光学的もしくは電子部品もしくはデバイスにおける電荷輸送、半導電性、導電性、光伝導または発光材料、有機電界効果トランジスタ(OFET)、集積回路(IC)、薄層トランジスタ(TFT)、フラットパネルディスプレイ、無線IC(RFID)タグ、エレクトロルミネセントもしくはフォトルミネセントデバイスもしくは部品、有機発光ダイオード(OLED)、ディスプレイのバックライト、光起電もしくはセンサーデバイス、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基板もしくはパターン、電池における電極材料、光伝導体、電子写真用途、電子写真式記録、有機記憶デバイス、配向層としての、またはDNA配列を検出し、識別するための使用に関する。
【0018】
本発明はさらに、本発明の半導電性または電荷輸送材料、部品またはデバイスを含む、光学的、電気光学的または電子デバイス、FET、集積回路(IC)、TFT、OLEDまたは配向層に関する。
本発明はさらに、本発明の半導電性または電荷輸送材料、部品もしくはデバイスまたはFET、IC、TFTもしくはOLEDを含む、フラットパネルディスプレイ用のTFTまたはTFTアレー、無線IC(RFID)タグ、エレクトロルミネセントディスプレイまたはバックライトに関する。
本発明はさらに、本発明のFETまたはRFIDタグを含む、セキュリティーマーキングまたはデバイスに関する。
【0019】
発明の詳細な説明
特に好ましいのは、少なくとも1つのチエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル(TT)基を含み、随意にスペーサー基を介して、1つまたは2つ以上、好ましくは1つまたは2つの重合性の、または反応性の基に結合している、メソゲン性中心を含む化合物である。
【0020】
TT基および随意に3位および/または4位において置換されているチエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル基
【化4】

を含む化合物は、好ましくは、本発明から除外される。
【0021】
本発明の化合物は、特に、これらが高いキャリア移動度を有するため、電荷輸送半導体として有用である。電荷キャリア移動度におけるこの改善についての1つの理由は、単位長さあたり一層高い濃度の硫黄原子に加えて、縮合環系の増大された平坦性および共役である。例えば、TTは、分子あたり3つの二重結合および2個の硫黄原子を有し、一方チオフェンは、2つの二重結合および1個の硫黄原子を有し、2,2−ビチオフェンは、分子あたり4つの二重結合および2個の硫黄原子を有する。この結果、これらの単位を含まない(または縮合していないチオフェン環を含む)系と比較して高い電荷キャリア移動度を示すメソゲンが得られる。さらに、チエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル基を有する本発明の化合物は、直線状の立体配置を有し、これにより、所望の中間相挙動を促進するのが補助される。
【0022】
TT基を、官能化された芳香族または不飽和コモノマーと組み合わせると、溶解性および電荷輸送特性をさらに改善することができる。芳香族基の変化により、化合物のバンドギャップを調整する方法が得られる。これにより、一層良好な安定性および一層高い電荷キャリア移動度が得られる。
【0023】
特に好ましいのは、TT基が、2つのアルキルまたはフルオロアルキル基により置換されている化合物である。フルオロアルキルおよびアルキル側鎖をTT基中に導入すると、これらの溶解性が改善され、従ってこれらの溶液加工可能性が改善される。さらに、またフルオロアルキル側鎖の存在により、これらの材料が、n型半導体として有効になる。また、フルオロアルキル置換基の電子求引性により、HOMOがさらに低下し、一層酸化されにくい一層安定な材料が得られる。
【0024】
特に好ましいのは、式I
−(A)−(B)−(C)−(D)−(E)−R
式中、
A、B、C、DおよびEは、互いに独立して、式II
【化5】

で表される基であるか、または、随意に1個もしくは2個以上の基Rで置換されている、−CX=CX−、−C≡C−もしくはアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を示し、ここでA、B、C、DおよびEの少なくとも1つは、式IIで表される基であり、
【0025】
およびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、随意に置換されているアリールもしくはヘテロアリール、P−Sp−、P−Sp−または1〜20個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、IもしくはCNにより単置換もしくは多置換されていてもよい、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルを示し、またここで、1つもしくは2つ以上の隣接していないCH基は、随意に、各々の場合において互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CX=CX−もしくは−C≡C−により置換されており、
およびRは、互いに独立して、P−Sp−、P−Sp−であるか、またはRの意味の1つを有し、RおよびRの少なくとも1つは、P−Sp−またはP−Sp−であり、
【0026】
およびXは、互いに独立して、H、F、ClまたはCNであり、
Pは、重合性の、または反応性の基であり、
は、重合性の、もしくは反応性の基Pまたは基Pの保護された形態に変換されているか、またはこれにより置換されていてもよい基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
、R00およびR000は、互いに独立して、H、1〜12個のC原子を有するアルキルまたはアリールであり、
a、b、cおよびdは、互いに独立して、0、1、2または3であり、a+b+c+d>0である、
で表される化合物である。
【0027】
およびRは、以下でまた、「末端基」と呼ぶ。
特に好ましい化合物は、式Iで表され、式中RおよびRが同一の基であるものである。
さらに好ましいのは、メソゲン性であるかまたは液晶性である、式Iで表される化合物、特にスメクティックおよび/またはネマティック相を有する化合物である。
【0028】
さらに好ましいのは、
−A、B、C、DおよびEが、置換されているか、または非置換のチエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイルとは異なる、
−A、B、C、DおよびEの少なくとも1つが、随意にHとは異なる1つまたは2つの基Rにより置換されている、フェニレン−1,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイルまたはナフタレン−2,6−ジイルである、
【0029】
−RおよびRが、Hである、
−Rおよび/またはRが、随意に1個もしくは2個以上のフッ素原子で置換されているC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20エステル、C〜C20アミノ、C〜C20フルオロアルキル、および随意に置換されているアリールもしくはヘテロアリール、極めて好ましくはC〜C20アルキルまたはC〜C20フルオロアルキルから選択されている、
−RおよびRが、P−Sp−またはP−Sp−である、
【0030】
−Pが、−OHまたは−O−Si−R00000であり、好ましくはここで、R、R00およびR000は、アリールまたはC1〜12アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチルまたはフェニルから選択されている同一の、または異なる基である、
【0031】
−化合物が、1つ、2つまたは3つのTT基を含む、
−化合物が、1つ、2つまたは3つのTT基および、フェニレン−1,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルから選択された1つ、2つ、3つまたは4つの基を含み、ここでこれらの基のすべてが、随意にHとは異なる1つまたは2つの基Rにより置換されている、
式Iで表される化合物である。
【0032】
A、B、C、DおよびEの1つが、アリーレンまたはヘテロアリーレンである場合には、これは、好ましくは、25個までのC原子を有する単環式、二環式または三環式芳香族または複素芳香族基であり、ここで、環は、縮合していてもよく、ここで、複素芳香族基は、好ましくはN、OおよびSから選択された少なくとも1個の複素環原子を含む。これは、随意に、F、Cl、Br、I、CNおよび、1〜20個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、I、−CNまたは−OHにより単置換または多置換されており、ここで、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基は、随意に、各々の場合において互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、OCO−、−OCO−O、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されている、直鎖状、分枝状または環状アルキルの1つまたは2つ以上で置換されている。
【0033】
好ましいアリーレンまたはヘテロアリーレン基は、さらに、1つまたは2つ以上のCH基が、Nまたはナフタレン、アルキルフルオレンまたはオキサゾール、チオフェン、セレノフェン、ジチエノチオフェンにより置換されていてもよく、ここで、すべてのこれらの基が、上記に定義したLで、随意に単置換または多置換されているフェニレンから選択されている。
【0034】
特に好ましいアリーレンまたはヘテロアリーレン基は、1,4−フェニレン、フッ素化1,4−フェニレン、2,5−ピリジン、2,5−ピリミジン、p,p’−ビフェニル、ナフタレン−2,6−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイル、フッ素化またはアルキル化チオフェン−2,5−ジイルまたはセレノフェン−2,5−ジイル、2,2’−ジチオフェン、フッ素化またはアルキル化2,2’−ジチオフェン、フッ素化ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン、2,5−チアゾール、2,5−チアジアゾール、2,5−オキサゾールおよび2,5−オキサジアゾールであり、これらのすべては、非置換であるか、上記に定義したLで単置換または多置換されている。
【0035】
1〜4の1つがアリールまたはヘテロアリールである場合には、これは、好ましくは、25個までのC原子を有する単環式、二環式または三環式芳香族または複素芳香族基であり、ここで、環は、縮合していてもよく、ここで、複素芳香族基は、好ましくはN、OおよびSから選択された少なくとも1個の複素環原子を含む。これは、随意に、F、Cl、Br、I、CNおよび、1〜20個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、I、−CNまたは−OHにより単置換または多置換されており、ここで、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基は、随意に、各々の場合において互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、OCO−、−OCO−O、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されている、直鎖状、分枝状または環状アルキルの1つまたは2つ以上で置換されている。
【0036】
特に好ましいアリールおよびヘテロアリール基は、フェニル、フッ素化フェニル、ピリジン、ピリミジン、ビフェニル、ナフタレン、チオフェン、セレノフェン、フッ素化チオフェン、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン、チアゾールおよびオキサゾールであり、これらのすべては、非置換であるか、上記に定義したLで単置換または多置換されている。
【0037】
1〜4の1つが、アルキルまたはアルコキシ基である、即ち、ここで末端CH基が−O−により置換されている場合には、これは、直鎖状または分枝状であってもよい。これは、好ましくは直鎖状であり、3〜8個の炭素原子を有し、従って好ましくは、例えば、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシまたはオクトキシ、さらにノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0038】
フルオロアルキルまたはフッ素化されたアルキルまたはアルコキシは、好ましくは直鎖状(O)C2i+1であり、ここで、iは、1〜20、特に3〜15の整数であり、極めて好ましくは、(O)C、(O)C、(O)C11、(O)C13、(O)C15または(O)C17、最も好ましくは(O)C13である。
CX=CXは、好ましくは、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−、−CH=C(CN)−または−C(CN)=CH−である。
ハロゲンは、好ましくは、F、BrまたはClである。
ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選択される。
【0039】
反応性または重合性基Pは、重合反応、例えばラジカル性もしくはイオン性連鎖重合、重付加もしくは重縮合に関与することができるか、または、例えば縮合もしくは付加により、重合類似反応においてポリマー主鎖にグラフトすることができる基である。特に好ましいのは、連鎖重合反応、例えばラジカル性、カチオン性またはアニオン性重合のための重合性基である。極めて好ましいのは、C−C二重結合または三重結合を含む重合性基、および開環反応により重合することができる重合性基、例えばオキセタンまたはエポキシドである。
【0040】
極めて好ましくは、重合性または反応性基Pは、
【化6】

から選択され、Wは、H、Cl、CN、CF、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWは、互いに独立して、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、互いに独立して、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、WおよびWは、互いに独立して、H、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルであり、Pheは、随意に1個または2個以上の上記で定義した基Lにより置換されている1,4−フェニレンであり、kおよびkは、互いに独立して0または1である。
【0041】
特に好ましい基Pは、
【化7】

である。
極めて好ましいのは、アクリレートおよびオキセタン基である。オキセタンは、重合(架橋)により比較的低い収縮を生じ、これにより、フィルム内の比較的低い応力発生が得られ、秩序化の一層高い保持および一層少ない欠陥がもたらされる。オキセタン架橋はまた、カチオン性開始剤を必要とし、これは、フリーラジカル開始剤とは異なり、酸素に対して不活性である。
【0042】
スペーサー基Spとして、当業者にこの目的で知られているすべての基を、用いることができる。スペーサー基Spは、好ましくは、P−Sp−がP−Sp’−X−であり、P−Sp−がP−Sp’−X−であるように、式Sp’−Xで表され、ここで、
Sp’は、非置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNにより単置換または多置換されていてもよい、20個までのC原子を有するアルキレンであり、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基は、各々の場合において互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されていることが可能であり、
【0043】
Xは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR00−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CX=CX−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、
、R00、XおよびXは、上記で示した意味の1つを有する。
【0044】
Xは、好ましくは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CX=CX−、−C≡C−または単結合であり、特に−O−、−S−、−C≡C−、−CX=CX−または単結合、極めて好ましくは、共役系を形成することができる基、例えば−C≡C−もしくは−CX=CX−、または単結合である。
【0045】
代表的な基Sp’は、例えば、−(CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−または−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00−O)−であり、pは、2〜12の整数であり、qは、1〜3の整数であり、RおよびR00は、上記で示した意味を有する。
【0046】
好ましい基Sp’は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチルイミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0047】
さらに好ましいのは、1つまたは2つの基P−Sp−またはP−Sp−を有する化合物であり、ここで、Spは、単結合である。
それぞれ2つの基P−SpまたはP−Sp−を有する化合物の場合において、各々の基PまたはPおよびスペーサー基Spは、同一であるかまたは異なっていてもよい。
【0048】
他の好ましい態様は、1つまたは2つ以上の基P−Sp−を含み、式中Pは、上記で定義した重合性または反応性基Pに変換するか、またはこれにより置換されていてもよい基である化合物に関する。好ましくは、Pは、例えば自発的重合について、Pより反応性が低い基である。これらの化合物は、例えば、1つもしくは2つ以上の基Pを有する、式Iで表される重合性化合物の合成における中間体として、または比較的長い期間にわたり貯蔵または輸送するには反応性が高すぎる、重合性化合物のための前駆体物質として用いることができる。基Pは、好ましくは、これが、既知の方法により基Pに容易に変換されるか、またはこれにより置換され得るように、選択する。例えば、これは、基Pの保護された形態であってもよい。好ましい基Pは、例えば、−OHまたはシリル基、例えば−O−Si−R00000、例えば−O−Si(CH、−O−Si−(イソプロピル)、−O−Si−(フェニル)、−O−Si−(CH(フェニル)、−O−Si(CH(tert−ブチル)などであり、これは、例えば、重合性(メタ)アクリレート末端基に反応することができる。
【0049】
さらに好ましいのは、以下の式
−TT−(B)−TT−R I−1
−(A)−TT−(C)−R I−2
式中、TTは、式IIで表される基であり、R、R、A、B、C、a、bおよびcは、上記で定義した通りである、
から選択されている化合物である。極めて好ましいのは、a、bおよびcが1または2である、式I−1およびI−2で表される化合物、さらにA、BおよびCが、フェニレン−1,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルから選択されているか、またはBがTTであり、ここでこれらの基のすべてが、随意にHとは異なる1つまたは2つの基Rにより置換されている化合物である。
【0050】
特に好ましいのは、以下の式
【化8】

【0051】
【化9】

式中、Sp、RおよびRは、式Iにおいて定義した通りであり、P’は、式Iにおいて定義したPまたはPであり、またR’は、式Iにおいて示したRの意味の1つを有する、
から選択されている化合物である。
【0052】
本発明の化合物を、既知の方法または以下に記載する方法により、またはこれと同様にして合成することができる。さらなる方法を、例から採用することができる。
【0053】
A部:3,6−ジアルキル−チエノ[3,2−b]チオフェンの合成:
3,6−ジメチルを除いて、3,6−ジアルキル化されたTTの調製は、従来技術において報告されていなかった。以下のスキーム1に示す3,6−ジメチル化されたチエノ[3,2−b]チオフェンへのワンポットの手順は、Nakayamaら、Heterocycles 1994, 38, p143により報告されている。しかし、この方法は、これが、閉環の機構のために比較的長鎖のアルキル誘導体を調製しやすくないという欠点を有する。比較的長いアルキル鎖の導入は、分子の溶解性および液晶挙動を改善するのに望ましい。
スキーム1:ジメチル−チエノ[3,2−b]チオフェンの調製(従来技術)
【化10】

【0054】
スキーム2に示すチエノ[3,2−b]チオフェン(1)(R=H)の合成は、Fullerら、J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1997, 1, 3465-70に報告されている。同一の参考文献はまた、スキーム3に示す、3,6−ジブロモチエノ[3,2−b]チオフェン(2)の、チエノ[3,2−b]チオフェン核の四臭素化および還元による調製のための手順を報告している。ジブロモ中間体(2)を、チオアルキル(−SR)誘導体に、リチウム化(lithiation)およびその後の求電子性ジスルフィド類との反応により、変換した。しかし、チオエーテル類は、これらの側鎖の電子が豊富な性質により、酸化的に不安定なポリマーが得られるため、この場合においては所望されない。さらに、長鎖アルキル誘導体は、低温における反応を妨げるハロゲン化アルキル類の低い反応性により、同様の経路により包含することができない。−78℃より高い温度において、(2)環の二リチウム塩が、開環されて(Fullerら、J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1999, 1, p1273を参照)、縮合していない生成物が得られる。
【0055】
スキーム2:チエノ−[3,2−b]チオフェンの合成(従来技術)
【化11】

スキーム3:3,6−ジアルキルチエノチオフェンのジブロモ中間体による調製(従来技術)
【化12】

【0056】
本発明の3,6−ジアルキルチエノ[3,2−b]チオフェンの好ましい合成を、ジブロモ中間体(2)を用いて、スキーム4に例示的に記載する。(2)の有機亜鉛試薬との、二座のパラジウム触媒(例えばPd(dppf)Cl)の存在下でのクロスカップリングは、マイクロ波加熱の下で優れた収率を生じると見出された。従って、臭化プロピル亜鉛、3,6−ジブロモチエノ[3,2−b]チオフェンおよびPd(dppf)Clを、THF中で140℃で7分間加熱することにより、93%収率の3,6−ジプロピルチエノ[3,2−b]チオフェンが得られた。
スキーム4
【化13】

【0057】
スキーム5〜7に概説するように、式Iで表される化合物を、遷移金属により触媒されたクロスカップリング法により合成することができる。好都合な手順は、アリールボロン酸またはエステルを伴うスズキ(Suzuki)反応であるが、この化合物をまた、有機スズ類(スティレ(Stille)反応)、有機亜鉛類(ネギシ(Negishi)カップリング)、有機マグネシウム類(クマダ(Kumada)カップリング)、有機ケイ素試薬またはアリールリチウム類の遷移金属により触媒されたカップリングにより、合成することができる。重合性の末端基を、クロスカップリング段階(例えばスキーム7を参照)の前に、またはスキーム5に示すように、この後に導入することができる。
【0058】
スキーム5
【化14】

【0059】
チエノ[3,2−b]チオフェンを分子の中心部に含む化合物(式I−2)は、これ自体チエノ[3,2−b]チオフェンの臭素化により調製される2,5−ジブロモチエノ[3,2−b]チオフェンと、ボロン酸エステルとの間の、パラジウムで触媒されたスズキ反応により、容易に合成される(スキーム5)。シリル保護基を含む得られた化合物は、所望のメタクリレート含有化合物に、フッ素化物源および無水メタクリル酸または塩化メタクリロイルでの処理により、容易に変換される。
【0060】
スキーム6
【化15】

【0061】
チエノ[3,2−b]チオフェンを分子の外側の部分に含む化合物(式I−1)は、チエノ[3,2−b]チオフェンボロン酸エステルと芳香族ジブロミドとの間の、パラジウムで触媒されたスズキ反応により、容易に合成される(スキーム6)。従って、チエノ[3,2−b]チオフェンを、1当量のn−ブチルリチウムで一リチウム化し(mono-lithiate)、その後保護されたブロモアルコールと反応させた。得られた生成物を、再びリチウム化し、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランと反応させて、得られたボロン酸エステルを生成した。これは、5,5’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェンと容易にカップリングして、シリルで保護されたメソゲンを生成し、これを、メタクリレートに、上記した方法により変換した。
【0062】
スキーム7
【化16】

【0063】
反応性の末端基をまた、分子に、スズキクロスカップリング反応(スキーム7)の間に導入することができる。この例においては、反応性オキセタン基を含むチオフェンボロン酸エステルを、2,5−ジブロモチエノ[3,2−b]チオフェンとクロスカップリングさせて、目的の分子を直接生成する。オキセタン基は、3−エチル−3−オキセタンメタノールのクロロアルキル−チオフェンとの反応により、容易に導入される。チオフェンの、n−ブチルリチウムでのその後のリチウム化、続いて2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランとの反応により、ボロン酸エステルが生成する。
【0064】
本発明の他の観点は、本発明の化合物および材料の酸化形態および還元形態の両方に関する。電子の損失または獲得の結果、高い導電性を有する高度に非局在化されたイオン性形態が形成する。このことは、一般的なドーパントへの暴露の際に生じ得る。好適なドーパントおよびドーピング方法は、例えば、EP 0 528 662、US 5,198,153またはWO 96/21659から、当業者に知られている。
【0065】
ドーピングプロセスは、代表的には、半導体材料を酸化剤または還元剤でレドックス反応において処理して、対応する対イオンが適用したドーパントから由来する、材料中の非局在化したイオン性中心部を形成することを含む。好適なドーピング方法は、例えば、大気圧または減圧下においてドーピング蒸気に暴露し、ドーパントを含む溶液中で電気化学的にドーピングし、ドーパントを、熱的に拡散されるべき半導体材料と接触させ、ドーパントを半導体材料中にイオン注入することを含む。
【0066】
電子がキャリアとして用いられる場合には、好適なドーパントは、例えば、ハロゲン(例えば、I、Cl、Br、ICl、ICl、IBrおよびIF)、ルイス酸(例えば、PF、AsF、SbF、BF、BCl、SbCl、BBrおよびSO)、プロトン酸、有機酸またはアミノ酸(例えば、HF、HCl、HNO、HSO、HClO、FSOHおよびClSOH)、遷移金属化合物(例えば、FeCl、FeOCl、Fe(ClO、Fe(4−CHSO、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、NbCl、TaCl、MoF、MoCl、WF、WCl、UFおよびLnCl(ここで、Lnは、ランタノイドである))、アニオン(例えば、Cl、Br、I、I、HSO、SO2−、NO、ClO、BF、PF、AsF、SbF、FeCl、Fe(CN)3−および種々のスルホン酸のアニオン、例えばアリール−SO)である。
【0067】
正孔がキャリアとして用いられる場合には、ドーパントの例は、カチオン(例えば、H、Li、Na、K、RbおよびCs)、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、RbおよびCs)、アルカリ土類金属(例えば、Ca、SrおよびBa)、O、XeOF、(NO)(SbF)、(NO)(SbCl)、(NO)(BF)、AgClO、HIrCl、La(NO・6HO、FSOOOSOF、Eu、アセチルコリン、R(Rは、アルキル基である)、R(Rは、アルキル基である)、RAs(Rは、アルキル基である)およびR(Rは、アルキル基である)である。
【0068】
本発明の化合物および材料の導電性形態を、用途、例えば有機発光ダイオード用途における電荷注入層およびITO平坦化層、フラットパネルディスプレイおよびタッチスクリーン用のフィルム、帯電防止フィルム、印刷された導電性基板、電子的用途におけるパターンまたは区域、例えば印刷回路板およびコンデンサであるが、これらには限定されない用途における有機「金属」として用いることができる。
【0069】
本発明の好ましい態様は、メソゲン性または液晶性である、式Iおよびこの好ましい従属式で表される化合物に関する。
【0070】
これらの材料は、これらが、既知の手法によりこれらの液晶相において均一な高度に秩序化された方向に配向することができ、従って特に高い電荷キャリア移動度をもたらす一層高い程度の秩序を示すため、特に、半導体または電荷輸送材料として有用である。高度に秩序化された液晶状態を、基Pを介してのインサイチュ重合または架橋により固定して、高い電荷キャリア移動度並びに高い熱的、機械的および化学的安定性を有するポリマーフィルムを得ることができる。
【0071】
例えば、デバイスを、重合性液晶材料から、インサイチュでの重合により製造することができ、ここで、液晶材料は、式Iおよびこの好ましい従属式で表される1種または2種以上のモノマーを含む。あるいはまた、液晶ポリマーを先ず、式Iおよびこの好ましい従属式で表される1種または2種以上のモノマーを含む液晶材料から、例えば溶液中での重合により製造し、次に単離されたポリマーを用いて、デバイスを製造する。
【0072】
また、本発明のモノマーを、従来技術から知られている他の重合性メソゲン性または液晶モノマーと共重合させて、液晶相挙動を誘発するかまたは増強することが可能である。
【0073】
従って、本発明の他の観点は、少なくとも1つの重合性基を含み、および随意に、1種または2種以上の他の重合性化合物を含む、本明細書中に記載した本発明の1種または2種以上のモノマーを含む重合性液晶材料に関し、ここで、本発明の少なくとも1種の重合性モノマーおよび/または他の重合性化合物は、メソゲン性または液晶性である。
【0074】
特に好ましいのは、ネマティックおよび/またはスメクティック相を有する液晶材料である。FET用途のために、スメクティック材料が特に好ましい。OLED用途のために、ネマティックまたはスメクティック材料が、特に好ましい。
本発明の他の観点は、液晶相において巨視的に均一な方向に配向し、重合または架橋して、配向した状態を固定する、上記に定義した重合性液晶材料から得られる、電荷輸送特性を有する異方性ポリマーフィルムに関する。
【0075】
好ましくは、重合は、好ましくは本発明の半導体材料を含む電子的または光学的デバイスの製作中の、材料の被覆された層のインサイチュ重合として、行われる。液晶材料の場合において、これらは、好ましくは、重合前に、これらの液晶状態において、ホメオトロピックな方向に配向し、ここで、共役π電子系は、電荷輸送の向きに直交する。これにより、分子間距離が最小になり、従って次に、分子間で電荷を移動させるのに必要なエネルギーが最小になることが確実になる。次に、分子は、重合または架橋されて、液晶状態の均一な方向が固定される。配向および硬化は、材料の液晶相または中間相において行われる。この手法は、当該技術分野において知られており、一般的に、例えば、D.J. Broer, et al., Angew. Makromol. Chem. 183, (1990), 45-66に記載されている。
【0076】
液晶材料の配向は、例えば、材料が被覆される基板の処理、被覆の最中または被覆後の材料の剪断、被覆された材料への磁場もしくは電場の適用、または界面活性化合物の液晶材料への添加により達成することができる。配向手法の概要は、例えば、I. Sageにより、"Thermotropic Liquid Crystals"、G. W. Gray編、John Wiley & Sons, 1987, 75-77頁中に、並びにT. UchidaおよびH. Sekiにより、"Liquid Crystals - Applications and Uses Vol. 3"、B. Bahadur編、World Scientific Publishing, Singapore 1992, 1-63頁中に示されている。配向材料および手法の概要は、J. Cognard, Mol. Cryst. Liq. Cryst. 78, Supplement 1 (1981), 1-77頁により示されている。
【0077】
重合は、熱または化学線への暴露により起こる。化学線は、光、例えばUV光、IR光もしくは可視光線での照射、X線もしくはガンマ線での照射または高エネルギー粒子、例えばイオンもしくは電子での照射を意味する。好ましくは、重合は、非吸収性波長におけるUV照射により行われる。化学線のための線源として、例えば単一のUVランプまたはUVランプのセットを用いることができる。高いランプ出力を用いた場合には、硬化時間を減少させることができる。化学線のための他の可能な線源は、レーザー、例えばUVレーザー、IRレーザーまたは可視レーザーである。
【0078】
重合は、好ましくは、化学線の波長において吸収を示す開始剤の存在下で行う。例えば、UV光により重合する場合には、UV照射下で分解して重合反応を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する光開始剤を、用いることができる。アクリレートまたはメタクリレート基を有する重合性材料を硬化させる場合には、好ましくはラジカル光開始剤を用い、ビニル、エポキシドおよびオキセタン基を有する重合性材料を硬化させる場合には、好ましくはカチオン系光開始剤を用いる。また、加熱された際に分解して、重合を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する重合開始剤を用いることも可能である。ラジカル重合のための光開始剤として、例えば、商業的に入手できるイルガキュア(Irgacure)651、イルガキュア184、ダロキュア(Darocure)1173またはダロキュア4205(すべてCiba Geigy AGから)を用いることができ、一方カチオン性光重合の場合には、商業的に入手できるUVI6974(Union Carbide)を用いることができる。
【0079】
重合性材料は、さらに、1種または2種以上の他の好適な成分、例えば触媒、増感剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、同時反応(co-reacting)モノマー、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水剤(hydrophobing agent)、接着剤、流動改善剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色剤、染料または顔料を含むことができる。
【0080】
本発明のモノマーはまた、重合性メソゲン性化合物と共重合して、液晶相挙動を誘発するかまたは増強することができる。コモノマーとして適する重合性メソゲン性化合物は、従来技術において知られており、例えばWO 93/22397;EP 0,261,712;DE 195,04,224;WO 95/22586およびWO 97/00600に開示されている。
【0081】
本発明の他の観点は、重合または重合類似反応により、上記に定義した重合性液晶材料から得られた側鎖型液晶ポリマー(SCLCP)に関する。特に好ましいのは、末端基の一方もしくは両方、好ましくは一方が重合性もしくは反応性基を示す、式Iおよびこの好ましい従属式で表される1種もしくは2種以上のモノマー、または、1種もしくは2種以上の前記モノマーを含む重合性混合物から得られるSCLCPである。
【0082】
本発明の他の観点は、末端基の一方もしくは両方が重合性基である、式Iおよびこの好ましい従属式で表される1種もしくは2種以上のモノマー、または上記に定義した重合性液晶混合物から、1種もしくは2種以上の追加のメソゲン性または非メソゲン性コモノマーとの共重合または重合類似反応により得られるSCLCPに関する。
【0083】
半導電性部品が、脂肪族スペーサー基により柔軟な主鎖から分離されたペンダント基として位置されている、側鎖型液晶ポリマーまたはコポリマー(SCLCP)は、高度に秩序化された薄片状形態を得る可能性を提供する。この構造は、極めて密な(代表的には<4Å)π−πスタッキングが生じ得る、密に密集した共役芳香族メソゲンからなる。このスタッキングは、分子間電荷輸送を一層容易に発生させ、高い電荷キャリア移動度をもたらす。SCLCPは、これらを、加工前に容易に合成することができ、次に、例えば有機溶媒中で溶液から加工することができるため、特定の用途に有利である。SCLCPを溶液中で用いる場合には、これらは、適切な表面上にコーティングされた場合および、これらの中間相温度における場合に自発的に配向することができ、大面積の、高度に秩序化された領域をもたらすことができる。
【0084】
SCLCPは、本発明の重合性化合物または混合物から、前記した方法により、または、例えば、ラジカル性、アニオン性もしくはカチオン性連鎖重合、重付加もしくは重縮合を含む、当業者に知られている慣用の重合手法により製造することができる。重合は、例えば、コーティングおよび前配向を必要とせずに、溶液中での重合として、またはインサイチュでの重合として行うことができる。
【0085】
また、SCLCPを、好適な反応性基を有する本発明の化合物またはこれらの混合物を、重合類似反応において予め合成されたアイソトロピックまたは異方性ポリマー主鎖にグラフトすることにより形成することが可能である。例えば、末端水酸基を有する化合物を、側方カルボン酸またはエステル基を有するポリマー主鎖に付着させることができ、末端イソシアネート基を有する化合物を、遊離の水酸基を有する主鎖に加えることができ、末端ビニルまたはビニルオキシ基を有する化合物を、例えば、Si−H基を有するポリシロキサン主鎖に加えることができる。
【0086】
また、SCLCPを、慣用のメソゲン性または非メソゲン性コモノマーと共に、本発明の化合物から共重合または重合類似反応により形成することが可能である。好適なコモノマーは、当業者に知られている。原則的に、所望のポリマー形成反応を受けることができる反応性または重合性基、例えば上記に定義した重合性または反応性基Pを担持する、当該技術分野において知られているすべての慣用のコモノマーを用いることが可能である。代表的なメソゲン性コモノマーは、例えば、WO 93/22397、EP 0 261 712、DE 195 04 224、WO 95/22586、WO 97/00600およびGB 2 351 734に述べられているものである。代表的な非メソゲン性コモノマーは、例えば、1〜20個のC原子を有するアルキル基を有するアルキルアクリレート類またはアルキルメタクリレート類、例えばメチルアクリレートまたはメチルメタクリレートである。
【0087】
本発明の化合物または混合物から、重合または共重合により得られたSCLCPは、重合性の基Pにより形成された主鎖を有する。
【0088】
本発明の化合物は、光学的、電子的および半導体材料として、特に、例えば、集積回路の部品、IDタグまたはTFT用途としての電界効果トランジスタ(FET)における電荷輸送材料として有用である。あるいはまた、これらを、エレクトロルミネセントディスプレイ用途における有機発光ダイオード(OLED)において、または例えば液晶ディスプレイのバックライトとして、光起電またはセンサー材料として、電子写真式記録のため、および他の半導体用途のために用いることができる。
【0089】
本発明のモノマーは、これらの化合物の溶液を用いた製造方法を可能にする、有利な可溶特性を示す。従って、層およびコーティングを含むフィルムを、低費用の生産手法、例えばスピンコーティングにより生じさせることができる。好適な溶媒または溶媒混合物は、アルカン類および/または芳香族化合物、特にこれらのフッ素化誘導体を含む。
【0090】
本発明の材料は、光学的、電子的および半導体材料として、特に電界効果トランジスタ(FET)における電荷輸送材料として、光起電またはセンサー材料として、電子写真式記録用に、および他の半導体用途用に有用である。有機半導電性材料を、ゲート誘電体とドレインおよびソース電極との間にフィルムとして配置した、このようなFETは、一般的に、例えばUS 5,892,244、WO 00/79617、US 5,998,804並びに背景および従来技術の章において引用されている、および以下に列挙する参考文献から知られている。利点、例えば本発明の化合物の可溶特性を用いた低費用生産および従って大面積の加工性のために、これらのFETの好ましい用途は、例えば集積回路、TFTディスプレイおよびセキュリティー用途である。
【0091】
セキュリティー用途において、電界効果トランジスタおよび半導電性材料を有する他のデバイス、例えばトランジスタまたはダイオードを、有価証券、例えば貨幣、クレジットカードまたはIDカード、国家のIDドキュメント、免許証または金銭的価値を有するすべての製品、例えば切手、チケット、株券、小切手などを証明し、偽造を防止するためのIDタグまたはセキュリティーマーキングに用いることができる。
【0092】
あるいはまた、本発明の材料を、有機発光デバイスまたはダイオード(OLED)、例えばディスプレイ用途において、または例えば液晶ディスプレイのバックライトとして用いることができる。一般的なOLEDは、多層構造を用いて実現される。発光層は、一般的に、1つまたは2つ以上の電子輸送および/または正孔輸送層の間にはさまれる。電圧を印加することにより、電荷キャリアとしての電子および正孔は、発光層の方向に移動し、ここで、これらの組み替えにより、励起および従って発光層中に含まれるルモフォア(lumophor)単位のルミネセンスが得られる。
【0093】
本発明の化合物、材料およびフィルムを、これらの電気的および/または光学的特性に対応して、1つまたは2つ以上の電荷輸送層および/または発光層において用いることができる。さらに、発光層内でのこれらの使用は、本発明の化合物、材料およびフィルムが、これら自体エレクトロルミネセント特性を示すか、またはエレクトロルミネセント基もしくは化合物を含む場合に、特に有利である。OLEDにおいて用いるための好適な化合物または材料の選択、特徴づけおよび加工は、一般的に、当業者により知られている。例えばMeerholz, Synthetic Materials, 111-112, 2000, 31-34, Alcala, J. Appl. Phys., 88, 2000, 7124-7128およびここに引用されている文献を参照。
【0094】
他の使用において、本発明の化合物、材料またはフィルム、特にフォトルミネセント特性を示すものは、例えばEP 0 889 350 A1に、またはC. Wederら、Science, 279, 1998, 835-837により記載されているディスプレイデバイスの光源の材料として用いることができる。
【0095】
他の使用において、本発明の化合物、材料またはフィルムを、例えばUS 2003/0021913に記載されているように、単独で、または他の材料と共に、LCDもしくはOLEDデバイスにおける配向層において、または配向層として用いることができる。本発明の電荷輸送化合物の使用により、配向層の導電性を増大させることができる。LCDにおいて用いられる場合には、この増大した導電性により、切換可能なLCDセルにおける負の残留dc効果を減少させ、画像付着(image sticking)を抑制し、または、例えば強誘電性LCDにおいて、強誘電性LCの自発分極電荷の切換により生じる残留電荷を減少させることができる。
【0096】
配向層上に設けられた発光材料を含むOLEDデバイスにおいて用いる場合には、この増大した導電性により、発光材料のエレクトロルミネセンスを増強することができる。メソゲン特性または液晶特性を有する本発明の化合物または材料は、上記のように、配向した異方性フィルムを形成することができ、これは、配向層として、前述の異方性フィルム上に設けられた液晶媒体における配向を誘発または増大するのに、特に有用である。本発明の材料はまた、US 2003/0021913に記載されているように、光配向層において、または光配向層として用いるための光異性化可能な化合物および/または発色団と組み合わせることができる。
【0097】
以下の例は、本発明を、これを限定せずに例示する役割を有する。前記および以下において、他に述べない限り、すべての温度は、摂氏度で示し、すべての百分率は、重量百分率である。すべての反応を、他に注記しない限りは、窒素雰囲気下で行った。以下の略語を用いて、化合物の液晶相挙動を例示する:G=ガラス転移;K=結晶;N=ネマティック;S=スメクティック;Ch=コレステリック;I=アイソトロピック。記号間の数は、相転移温度を℃で示す。相転移を、DSCと光学顕微鏡法との組み合わせにより決定した。SおよびSx1は、決定されていない性質のスメクティック転移を表す。
【0098】
例1
化合物1を、以下に概説するように調製する:
【化17】

【0099】
(6−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル−ヘキシルオキシ)−tert−ブチル−ジメチルシラン:
2,2’−ビチオフェン(10.0g、60.24mmol)を乾燥THF(150ml)に溶解した攪拌した溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、20.0ml、50.0mmol)を、−78℃で窒素の下で滴加した。完全に加えた後に、混合物を、攪拌しながら2時間にわたり放置して室温に加温し、続いて6−ブロモヘキシルオキシ−tert−ブチルジメチルシラン(14.75g、50.0mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。反応を、飽和水性塩化アンモニウムで停止し、反応混合物を、酢酸エチル(3×70ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を、水、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、クロマトグラフィー分離して(シリカゲル、石油/酢酸エチル、100:0〜20:1)、生成物を淡い緑色の油状物(15.07g、79%)として得た。
【0100】
【化18】

【0101】
2−{5’−[6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ヘキシル]−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル}−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン:
(6−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル−ヘキシルオキシ)−tert−ブチル−ジメチルシラン(10g、19.76mmol)を無水THF(150ml)に溶解した、氷冷した溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、7.91ml、19.76mmol)の溶液を、攪拌しながら窒素の下で滴加した。2時間後、ボロン酸ピナコール(4.04g、21.72mmol)を加えた。氷浴を取り外し、得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。反応を、飽和水性NHClを加えて停止し、混合物を、酢酸エチル(3×70ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル/エチル(9:1)で溶離させて、生成物を、青色油状物(9.52g、72%)として得た。
【0102】
【化19】

【0103】
2,5−ジブロモ−チエノ[3,2−b]チオフェン:
N−ブロモスクシンイミド(1.24g、6.94mmol)を、チエノ[3,2−b]チオフェン(1.0g、6.94mmol)をDMF(30ml)に溶解した溶液に、室温で加え、この混合物を、3時間攪拌した。この後、水(100ml)を加え、生成した沈殿物を、濾過して除去し、水で洗浄し、乾燥して、2を、白色固体(1.87g、88%)として得た。
【0104】
【化20】

【0105】
2,5−ビス−{5’[6−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−ヘキシル]−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル}−チエノ[3,2−b]チオフェン(1):
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.05g)を、2,5−ジブロモチエノ[3,2−b]チオフェン(0.10g、0.34mmol)を乾燥THF(30ml)に溶解した溶液に、攪拌しながら窒素の下で加えた。20分後、2−{5’−[6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ヘキシル]−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル}−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン(0.51g、1.01mmol)および炭酸カリウム(0.28g、2.03mmol)を水(10ml)に溶解した溶液を、加えた。得られた混合物を、還流において1.5時間加熱した。冷却後、水(100ml)を加え、沈殿物を濾過して除去し、水およびジエチルエーテルで洗浄して、黄色の固体を得、これをトルエンで再結晶して、黄色結晶(0.17g、57%)が得られた。
【0106】
【化21】

【0107】
例2
化合物2を、以下に概説するように調製する:
【化22】

【0108】
tert−ブチルジメチル(6−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル−ヘキシルオキシ−シラン:
チエノ(3,2−b)チオフェン(3.15g、22.50mmol)を乾燥THF(70ml)に溶解した攪拌した溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、7.50ml、18.75mmol)を、−78℃で窒素の下で滴加した。完全に加えた後に、混合物を、攪拌しながら2時間にわたり放置して室温に加温し、続いて6−ブロモヘキシルオキシ−tert−ブチルジメチルシラン(5.53g、18.75mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。反応を、飽和水性塩化アンモニウムで停止し、反応混合物を、酢酸エチル(3×70ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を、水、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、クロマトグラフィー(シリカゲル、石油/酢酸エチル、100:0〜20:1)により精製して、生成物を茶色油状物(5.61g、84%)として得た。
【0109】
【化23】

【0110】
2−{5−[6−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−ヘキシル]−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン:
tert−ブチルジメチル(6−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル−ヘキシルオキシ−シラン(5.0g、14.10mmol)を無水THF(70ml)に溶解した、氷冷した溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、5.64ml、14.10mmol)の溶液を、攪拌しながら窒素の下で滴加した。2時間後、ボロン酸ピナコール(2.62g、14.10mmol)を加えた。氷浴を取り外し、得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。反応を、飽和水性NHClを加えて停止し、混合物を、酢酸エチル(3×70ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル/エチル(9:1)で溶離させて、茶色油状物(5.53g、82%)を得た。
【0111】
【化24】

【0112】
5,5’−ビス−{5’−(6−tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−ヘキシル]−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}−[2,2’]−ビチオフェン(2):
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.05g)を、5,5’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェン(0.10g、0.31mmol)を乾燥THF(30ml)に溶解した溶液に、攪拌しながら窒素の下で加えた。20分後、2−{5−[6−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−ヘキシル]−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン(0.44g、0.93mmol)および炭酸カリウム(0.26g、1.88mmol)を水(10ml)に溶解した溶液を、加えた。得られた混合物を、還流において1.5時間加熱した。冷却後、水(100ml)を加え、沈殿物を濾過して除去し、水およびジエチルエーテルで洗浄して、黄色の固体を得、これをトルエンで再結晶して、黄色結晶(0.19g、70%)が得られた。
【0113】
【化25】

【0114】
例3
化合物3を、以下に概説するように調製する:
【化26】

【0115】
1,4−ビス−{5’−(6−tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−ヘキシル]−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}−ベンゼン(3):
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.05g)を、1,4−ジブロモベンゼン(0.10g、0.42mmol)を乾燥THF(30ml)に溶解した溶液に、攪拌しながら窒素の下で加えた。20分後、2−{5−[6−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−ヘキシル]−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン(0.61g、1.27mmol)および炭酸カリウム(0.35g、2.54mmol)を水(10ml)に溶解した溶液を、加えた。得られた混合物を、還流において1.5時間加熱した。冷却後、反応混合物を、酢酸エチル(3×50ml)で抽出し、混ぜ合わせた抽出物を、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、ブッシュ(Bush)漏斗中でジエチルエーテルで洗浄して、青色固体を得、これをトルエンで再結晶して、3が明るい青色の結晶として得られた(0.16g、48%)。
【0116】
【化27】

【0117】
例4
化合物4を、以下に概説するように調製する:
【化28】

【0118】
2,6−ビス−{5’−(6−tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−ヘキシル]−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}−ナフタレン(4):
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.05g)を、2,6−ジブロモナフタレン(0.10g、0.35mmol)を乾燥THF(30ml)に溶解した溶液に、攪拌しながら窒素の下で加えた。20分後、2−{5−[6−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−ヘキシル]−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン(0.50g、1.05mmol)および炭酸カリウム(0.29g、2.10mmol)を水(10ml)に溶解した溶液を、加えた。得られた混合物を、還流において1.5時間加熱した。冷却後、水(100ml)を加え、沈殿物を濾過して除去し、水およびジエチルエーテルで洗浄して、青色固体を得、これをトルエンで再結晶して、4が明るい青色の結晶として得られた(0.23g、79%)。
【0119】
【化29】

【0120】
例5
化合物5を、以下に概説するように調製する:
【化30】

【0121】
5,5”−ビス−[6−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)ヘキシル]−[2,2’;3’,2”]ター[チエノ[3,2−b]チオフェン(5):
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.05g)を、2,5−ジブロモチエノ[3,2−b]チオフェン(0.10g、0.34mmol)を乾燥THF(30ml)に溶解した溶液に、攪拌しながら窒素の下で加えた。20分後、2−{5−[6−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−ヘキシル]−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン(0.49g、1.02mmol)および炭酸カリウム(0.28g、2.04mmol)を水(10ml)に溶解した溶液を、加えた。得られた混合物を、還流において1.5時間加熱した。冷却後、水(100ml)を加え、沈殿物を濾過して除去し、水およびジエチルエーテルで洗浄して、黄色固体を得、これをトルエンで再結晶して、5が黄色結晶として得られた(0.23g、82%)。
【0122】
【化31】

【0123】
例1〜5の化合物1〜5を、さらに反応させて、重合性のモノマーを、末端のシリル基を例えばアクリレートまたはメタクリレート基に既知の方法により変換することにより、生成することができる。
【0124】
例6
化合物6を、以下に記載するように調製する:
【化32】

【0125】
2−(6−クロロヘキシル)チオフェン:
チオフェン(5.0g、59.5mmol)を乾燥THF(50ml)に溶解した攪拌した溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、20.0ml、50.0mmol)を、−78℃で窒素の下で滴加した。完全に加えた後に、混合物を、攪拌しながら2時間にわたり放置して室温に加温し、続いて1−クロロ−6−ヨードヘキサン(12.3g、50.0mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。反応を、飽和水性塩化アンモニウムで停止し、反応混合物を、酢酸エチル(3×70ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を、水、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、クロマトグラフィー分離して(シリカゲル、石油エーテル)、生成物を淡い黄色の油状物(9.3g、92%)として得た。
【0126】
【化33】

【0127】
3−エチル−3−(6−チオフェン−2−イル−ヘキシルオキシメチル)オキセタン:
3−エチル−3−オキセタンメタノール(10.0g、86.08mmol)を、水素化ナトリウム(鉱油中60%の分散度、3.44g、86.0mmol)をDMF(150ml)に懸濁させた懸濁液に、0℃で攪拌しながら窒素の下でゆっくりと加えた。完全に加えた後に、氷浴を取り外し、混合物を、さらに20分間攪拌し、続いて2−(6−クロロヘキシル)チオフェン(16.22g、80.0mmol)を加えた。得られた混合物を、一晩攪拌し、次に水(200ml)を加え、混合物を、酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。混ぜ合わせた抽出物を、水およびブラインで洗浄し、次に乾燥し(NaSO)、減圧下で蒸発させた。残留物を、カラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル/酢酸エチル(10:0〜9:1)で溶離させて、生成物が、茶色油状物(13.74g、61%)として得られた。
【0128】
【化34】

【0129】
2−{5−[6−(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ヘキシル]−チオフェン−2−イル}−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン:
3−エチル−3−(6−チオフェン−2−イルヘキシルオキシメチル)オキセタン(6.0g、21.28mmol)を乾燥THF(70ml)に溶解した攪拌した溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、8.10ml、21.28mmol)を、−78℃で窒素の下で滴加した。完全に加えた後に、混合物を、攪拌しながら2時間にわたり放置して室温に加温し、続いてボロン酸ピナコール(3.96g、21.28mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。反応を、水で停止し、反応混合物を、酢酸エチル(3×70ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル/酢酸エチル(9:1)で溶離させて、生成物を黄色油状物(6.28g、72%)として得た。
【0130】
【化35】

【0131】
2,5−ビス−{5−[6−(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)−ヘキシル]−チオフェン−2−イル}−チエノ[3,2−b]チオフェン(6):
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.05g)を、2,5−ジブロモチエノ[3,2−b]チオフェン(0.10g、0.34mmol)を乾燥THF(30ml)に溶解した溶液に、攪拌しながら窒素の下で加えた。20分後、2−{5’−[6−(3−エチルオキシオキセタン−3−イルメトキシ)ヘキシル]チオエン−2−イル}−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン(0.33g、0.81mmol)および炭酸カリウム(0.23g、1.67mmol)を水(5ml)に溶解した溶液を、加えた。得られた混合物を、還流において1.5時間加熱した。冷却後、水(50ml)を加え、反応混合物を、酢酸エチル(3×50ml)で抽出し、混ぜ合わせた抽出物を、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、ブッシュ漏斗中でジエチルエーテルで洗浄して、黄色固体を得、これをトルエンで再結晶して、6が黄色結晶として得られた(0.13g、55%)。
【0132】
【化36】

【0133】
例7
化合物(7)を、以下に記載するように調製する:
【化37】

【0134】
5−(6−クロロヘキシル)−2,2’−ビチオフェン:
2,2’−ビチオフェン(10.0g、60.24mmol)を無水THF(150ml)に溶解した攪拌した溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、20.0ml、50.0mmol)を、−78℃で窒素の下で滴加した。完全に加えた後に、混合物を、攪拌しながら2時間にわたり放置して室温に加温し、続いて1−クロロ−6−ヨードヘキサン(14.55g、50.0mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。反応を、飽和水性NHClで停止し、反応混合物を、酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテルで溶離させて、5−(6−クロロヘキシル)−2,2’−ビチオフェンを白色固体(7.73g、54%)として得た。
【0135】
【化38】

【0136】
3−(6−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル−ヘキシルオキシメチル)−3−エチル−オキセタン:
3−エチル−3−オキセタンメタノール(3.10g、26.72mmol)を、水素化ナトリウム(鉱油中60%の分散度、1.07g、26.72mmol)をDMF(70ml)に懸濁させた懸濁液に、0℃で攪拌しながら窒素の下でゆっくりと加えた。完全に加えた後に、氷浴を取り外し、混合物を、さらに20分間攪拌し、続いて5−(6−クロロヘキシル)−2,2’−ビチオフェン(7.61g、26.72mmol)を加えた。得られた混合物を、一晩攪拌し、次に水(100ml)を加え、混合物を、酢酸エチル(3×70ml)で抽出した。混ぜ合わせた抽出物を、水およびブラインで洗浄し、次に乾燥し(NaSO)、減圧下で蒸発させた。残留物を、カラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル/酢酸エチル(100:0〜9:1)で溶離させて、3−(6−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル−ヘキシルオキシメチル)−3−エチル−オキセタンが、茶色油状物(6.34g、65%)として得られた。
【0137】
【化39】

【0138】
2−{5’−[6−(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)ヘキシル]−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル}−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン:
3−(6−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル−ヘキシルオキシメチル)−3−エチル−オキセタン(6.0g、16.46mmol)を無水THF(100ml)に溶解した攪拌した溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、7.0ml、17.50mmol)を、−78℃で窒素の下で滴加した。完全に加えた後に、混合物を、攪拌しながら2時間にわたり放置して室温に加温し、続いて2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(3.26g、17.5mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。反応を、飽和水性NHClで停止し、反応混合物を、酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル/酢酸エチル(9:1〜4:1)で溶離させて、2−{5’−[6−(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)ヘキシル]−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル}−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロランを青色油状物(4.53g、56%)として得た。
【0139】
【化40】

【0140】
2,5−ビス−{5’−[6−(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)ヘキシル]−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル}−チエノ[3,2−b]チオフェン(7):
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.01g)を、2,5−ジブロモチエノ[3,2−b]チオフェン(0.11g、0.37mmol)を乾燥THF(30ml)に溶解した溶液に、攪拌しながら窒素の下で加えた。20分後、2−{5’−[6−(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)ヘキシル]−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル}−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン(0.59g、1.20mmol)および炭酸カリウム(0.33g、2.39mmol)を水(10ml)に溶解した溶液を、加えた。得られた混合物を、還流において1.5時間加熱した。冷却後、水(50ml)を加えた。沈殿物を、濾過して除去し、ジエチルエーテルで洗浄して、茶色固体を得、これをトルエンで再結晶して、赤色結晶(0.18g、58%)が得られた。
【0141】
【化41】

【0142】
例8
化合物(8)を、以下に記載するように調製する:
【化42】

【0143】
3−(6−ブロモヘキシルオキシメチル)−3−エチルオキセタン:
水酸化ナトリウム(水中50%、50g)、ヘキサン(50ml)および臭化テトラブチルアンモニウム(0.7g)からなる溶液に、3−エチル−3−オキセタンメタノール(5.0g、43.0mmol)および1,6−ジブロモヘキサン(30g、122.9mmol)を加えた。この混合物を、還流において5時間加熱した。室温に冷却した後、得られた混合物を、水(100ml)で希釈し、酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。抽出物を混ぜ合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、カラムクロマトグラフィーにより精製し、ガソリン/酢酸エチル(9:1)で溶離させて、無色油状物(6.65g、55%)が得られた。
【0144】
【化43】

【0145】
3−エチル−3−(6−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル−ヘキシルオキシメチル)オキセタン:
チエノ(3,2−b)チオフェン(5.0g、35.7mmol)を無水THF(120ml)に溶解した攪拌した溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、12.0ml、30.0mmol)を、−78℃で窒素の下で滴加した。完全に加えた後に、混合物を、攪拌しながら2時間にわたり放置して室温に加温し、続いて3−(6−ブロモヘキシルオキシメチル)−3−エチルオキセタン(8.38g、30.0mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。反応を、飽和水性NHClで停止し、反応混合物を、酢酸エチル(3×70ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を、水、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル/酢酸エチル(9:1)で溶離させて、黄色油状物(7.82g、77%)を得た。
【0146】
【化44】

【0147】
2−{5−[6(3−エチルオキセタン−3−イルメトキシ)ヘキシル]−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2]ジオキサボラン:
3−エチル−3−(6−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル−ヘキシルオキシメチル)−オキセタン(5.0g、14.8mmol)を無水THF(70ml)に溶解した攪拌した溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、7.2ml、18.0mmol)を、78℃で窒素の下で滴加した。完全に加えた後に、混合物を、攪拌しながら2時間にわたり放置して室温に加温し、続いて2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]−ジオキサボロラン(3.35g、18mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。反応を、飽和水性NHClで停止し、反応混合物を、酢酸エチル(3×70ml)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を、水、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル/酢酸エチル(9:1〜5:1)で溶離させて、生成物を黄色油状物(3.72g、54%)として得た。
【0148】
【化45】

【0149】
2,5−ビス−{5’−[6−(3−エチル−オキセタン−3−イルメトキシ)ヘキシル]チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル}−3,4−ジメチルチエノ[2,3−b]チオフェン(8):
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.01g)を、2,5−ジブロモ−3,4−ジメチルチエン(2,3−b)チオフェン(0.14g、0.43mmol)を無水トルエン(30ml)に溶解した溶液に、攪拌しながら窒素の下で加えた。10分後、2−{5−[6−(3−エチルオキセタン−3−イルメトキシ)ヘキシル]−チオエン[3,2−b]チオフェン−2−イル}−4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサ−ボロラン(0.80g、1.72mmol)およびリン酸カリウム(0.74g、3.49mmol)を水(10ml)に溶解した溶液を、加えた。得られた混合物を、還流において2時間加熱した。冷却後、水(50ml)を加え、反応混合物を、酢酸エチル(3×50ml)で抽出し、混ぜ合わせた抽出物を、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去し、残留物を、ジエチルエーテルで洗浄して、黄色固体を得、これを酢酸エチルで再結晶して、黄色結晶(0.17g、47%)が得られた。
【0150】
【化46】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のチエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル(TT)基および、重合反応に関与することができるか、もしくはポリマー主鎖にグラフトされ得る、少なくとも1種の基(重合性の、もしくは反応性の基)、または前記重合性基の保護された形態を含む、化合物。
【請求項2】
式I
−(A)−(B)−(C)−(D)−(E)−R
式中、
A、B、C、DおよびEは、互いに独立して、式II
【化1】

で表されるTT基であるか、または、随意に1個もしくは2個以上の基Rで置換されている、−CX=CX−、−C≡C−もしくはアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を示し、ここでA、B、C、DおよびEの少なくとも1つは、式IIで表されるTT基であり、
およびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、随意に置換されているアリールもしくはヘテロアリール、P−Sp−、P−Spまたは1〜20個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、IもしくはCNにより単置換もしくは多置換されていてもよい、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルを示し、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基が、各々の場合において互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CX=CX−または−C≡C−により置換されていることが可能であり、
およびRは、互いに独立して、P−Sp−、P−Sp−であるか、またはRの意味の1つを有し、RおよびRの少なくとも1つは、P−Sp−またはP−Sp−であり、
およびXは、互いに独立して、H、F、ClまたはCNであり、
Pは、重合性の、または反応性の基であり、
は、重合性の、もしくは反応性の基Pまたは基Pの保護された形態に変換されているか、またはこれにより置換されていてもよい基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
、R00およびR000は、互いに独立して、H、1〜12個のC原子を有するアルキルまたはアリールであり、
a、b、cおよびdは、互いに独立して、0、1、2または3であり、a+b+c+d>0である、
で表される化合物。
【請求項3】
TTではない当該基A、B、C、DおよびEが、1,4−フェニレン、フッ素化1,4−フェニレン、2,5−ピリジン、2,5−ピリミジン、p,p’−ビフェニル、ナフタレン−2,6−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイル、フッ素化またはアルキル化チオフェン−2,5−ジイルまたはセレノフェン−2,5−ジイル、2,2’−ジチオフェン、フッ素化またはアルキル化2,2’−ジチオフェン、フッ素化ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン、2,5−チアゾール、2,5−チアジアゾール、2,5−オキサゾールおよび2,5−オキサジアゾールから選択されており、このすべてが、非置換であるか、Lで単置換または多置換されており、ここで、Lが、F、Cl、Br、または1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルもしくはアルコキシカルボニル基であり、ここで、1個または2個以上のH原子が、随意に、FまたはClにより置換されていることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
およびRが、Hであることを特徴とする、請求項2または3に記載の化合物。
【請求項5】
およびRが共に、P−Sp−またはP−Sp−であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
以下の式
−TT−(B)−TT−R I−1
−(A)−TT−(C)−R I−2
式中、TTは、式IIで表される基であり、A、B、C、RおよびRは、式Iにおいて定義した通りであり、またa、bおよびcは、1または2である、
から選択されている、請求項2〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
以下の式
【化2】

【化3】

式中、Sp、RおよびRは、式Iにおいて定義した通りであり、P’は、式Iにおいて定義したPまたはPであり、またR’は、式Iにおいて示したRの意味の1つを有する、
から選択されている、請求項2〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
Pが、
【化4】

から選択され、Wが、H、Cl、CN、CF、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWが、互いに独立して、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWが、互いに独立して、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、WおよびWが、互いに独立して、H、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルであり、Pheが、随意に1個または2個以上の上記で定義した基Lにより置換されている1,4−フェニレンであり、kおよびkが、互いに独立して0または1であることを特徴とする、請求項2〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
が、−OHまたは−O−Si−R00000から選択され、R、R00およびR000が、式Iにおいて定義した通りであることを特徴とする、請求項2〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の1種または2種以上の化合物を含み、随意に1種または2種以上の他の重合性化合物を含む重合性液晶材料であって、請求項1〜9のいずれかに記載の少なくとも1種の重合性化合物および/または他の重合性化合物が、メソゲン性または液晶性である、前記重合性液晶材料。
【請求項11】
電荷輸送特性を有し、請求項10に記載の重合性液晶材料から得られる、異方性ポリマーフィルムであって、その液晶相において、巨視的に均一な方向に配向し、重合または架橋して、配向した状態が固定される、前記異方性ポリマーフィルム。
【請求項12】
側鎖液晶ポリマーであって、請求項1〜10のいずれかに記載の1種もしくは2種以上の化合物もしくは重合性材料の重合により、または請求項1〜10のいずれかに記載の1種もしくは2種以上の化合物もしくは重合性材料を、ポリマー主鎖に、重合類似反応において、随意に1種もしくは2種以上の追加のメソゲン性もしくは非メソゲン性コモノマーでグラフトすることにより得られる、前記側鎖液晶ポリマー。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物、重合性材料およびポリマーの、光学的、電気光学的もしくは電子部品もしくはデバイスにおける電荷輸送、半導電性、導電性、光伝導または発光材料、有機電界効果トランジスタ(OFET)、集積回路(IC)、薄層トランジスタ(TFT)、フラットパネルディスプレイ、無線IC(RFID)タグ、エレクトロルミネセントもしくはフォトルミネセントデバイスもしくは部品、有機発光ダイオード(OLED)、ディスプレイのバックライト、光起電もしくはセンサーデバイス、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基板もしくはパターン、電池における電極材料、光伝導体、電子写真用途、電子写真式記録、有機記憶デバイス、配向層としての、またはDNA配列を検出し、識別するための使用。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載の材料、部品またはデバイスを含む、光学的、電気光学的または電子デバイス、FET、集積回路(IC)、TFT、OLEDまたは配向層。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれかに記載の材料、部品もしくはデバイスまたは請求項14に記載のFET、IC、TFTもしくはOLEDを含む、フラットパネルディスプレイ用のTFTまたはTFTアレー、無線IC(RFID)タグ、エレクトロルミネセントディスプレイまたはバックライト。
【請求項16】
請求項14または15に記載のFETまたはRFIDタグを含む、セキュリティーマーキングまたはデバイス。
【請求項17】
酸化的にまたは還元的にドーピングされて、導電性イオン種を形成する、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物、材料またはポリマー。
【請求項18】
請求項17に記載の化合物、材料またはポリマーを含む、電荷注入層、平坦化層、帯電防止フィルムまたは電子的用途もしくはフラットパネルディスプレイ用の導電性基板もしくはパターン。

【公表番号】特表2008−504370(P2008−504370A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526228(P2007−526228)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005292
【国際公開番号】WO2005/121150
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】