金型ホルダ及び射出成形機
【課題】金型が位置決めされた状態であるかを確認可能とすること。
【解決手段】本発明の金型ホルダは、金型が着脱自在に装着されるホルダ本体と、金型を位置決めされた状態で前記ホルダ本体に保持する保持位置と、前記ホルダ本体に対する金型の着脱を許容する退避位置と、の間で可動の可動部材と、前記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、を備える。
【解決手段】本発明の金型ホルダは、金型が着脱自在に装着されるホルダ本体と、金型を位置決めされた状態で前記ホルダ本体に保持する保持位置と、前記ホルダ本体に対する金型の着脱を許容する退避位置と、の間で可動の可動部材と、前記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型を保持する金型ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機等において、金型の交換を容易にするため金型を着脱自在に保持する金型ホルダを設けることが知られている。この種の金型ホルダにおいてはクランプ等の可動部材を設け、本体に対して金型を位置決めして保持する場合には可動部材を閉じ、交換時には可動部材を開くようにしている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−52574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可動部材の開閉を利用した金型ホルダは、金型の交換が比較的簡易であるが、外部からの衝撃や故障により可動部材が開放され、金型が位置決めされずに成形処理が行われてしまう可能性がある。また、作業者が可動部材を閉め忘れると金型が位置決めされずに成形処理が行われてしまう可能性もある。金型が位置決めされずに成形処理が行われると、例えば、金型の型締めによって金型に対して想定外の荷重が作用してしまい、その損傷を招く可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、金型が位置決めされた状態であるかを確認可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、金型が着脱自在に装着されるホルダ本体と、金型を位置決めされた状態で前記ホルダ本体に保持する保持位置と、前記ホルダ本体に対する金型の着脱を許容する退避位置と、の間で可動の可動部材と、前記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、を備えた金型ホルダが提供される。
【0007】
また、本発明によれば、上記金型ホルダを備えた射出成形機が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金型が位置決めされた状態であるかを確認可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による射出成形機の一実施形態の正面側の外観を表す立体投影図。
【図2】図1に示した実施形態の背面側の外観を表す立体投影図。
【図3】図1に示した実施形態を分解状態で表す立体投影図。
【図4】図1に示した実施形態における主要部分の制御ブロック図。
【図5】図1に示した実施形態におけるブロック駆動手段の一部を抽出拡大して破断状態で表す立体投影図。
【図6】図1に示した実施形態における固定側金型ホルダの部分の外観を抽出拡大した立体投影図(固定側金型が取り外された状態を表す)。
【図7】(A)及び(B)は図6に示した固定側金型ホルダの平面図。
【図8】図1に示した実施形態における可動側金型ホルダの部分の外観を抽出拡大した立体投影図(可動側金型が取り外された状態を表す)。
【図9】図8に示した可動側金型ホルダの平面図(可動側金型が装着された状態を表す)。
【図10】図1に示した実施形態において、型締力伝達ブロックと型開き位置にある可動側金型ホルダとの相対位置関係を表す断面図。
【図11】図10に示す型開き位置にある可動側金型ホルダの外観を抽出拡大した立体投影図。
【図12】図1に示した実施形態において、退避位置にある型締力伝達部材と共に型締め位置に上昇した可動側金型ホルダの外観を抽出拡大した立体投影図。
【図13】図1に示した実施形態において、型締め位置にある型締力伝達ブロックと可動側金型ホルダとの相対位置関係を表す断面図。
【図14】図13に示した型締め位置にある可動側金型ホルダの外観を抽出拡大した立体投影図。
【図15】図1に示した実施形態における射出成形作業の手順を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による射出成形機を竪型の成形機に応用した一実施形態について、図1〜図15を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態のみに限らず、横型のものや型締装置の部分の構成などについては必要に応じて他の型式の成形機に組み込むことができることは言うまでもない。
【0011】
本実施形態における射出成形機の正面側の外観を図1に示し、その背面側の外観を図2に示し、これらを分解状態で図3に示し、その主要部分の制御ブロックを図4に示す。すなわち、本実施形態の射出成形機10は、可塑化した樹脂材料を固定側金型11と可動側金型12との間に形成される図示しないキャビティへ射出するための射出装置13と、型締装置14とを具えている。
【0012】
射出装置13は、射出部15と供給部16とを有する。射出部15は、成形材料、例えば樹脂材料を可塑化してこれを金型11、12のキャビティ(金型内に画成される成形空間)内へ所定量ずつ射出する機能を有する。供給部16は、この射出部15での樹脂材料の消費に伴って新たな樹脂材料を所定量ずつ射出部15に供給する機能を有する。
【0013】
射出部15は、樹脂材料が供給される射出シリンダ17と、この射出シリンダ17の周囲を加熱するヒーター18と、可塑化した樹脂材料を射出するためのプランジャ19と、プランジャ駆動装置20とを有する。ヒーター18は、射出シリンダ17内部の樹脂材料の可塑化を促進させるためのものである。プランジャ駆動装置20は、プランジャ19を射出シリンダ17に対して往復動させ、可塑化した所定量の樹脂材料を射出シリンダ17の先端(図示例では下端)のノズル17aから射出する。
【0014】
本実施形態におけるプランジャ駆動装置20は、射出用モータ21と、減速機22と、昇降機構23とを有し、その基本的な構成は周知であるが、他の任意の構成のものを採用可能である。
【0015】
本実施形態における昇降機構23は、プランジャ19の上端部が図示しないコネクターを介して着脱自在に連結される昇降板23aと、ボールナット部23bと、ボールねじ軸部23cとを有する。一対の支柱24が後述する型締ブロック25から垂直上方に相互に平行に突設され、その上端部がブラケット26を介して一体的に連結されている。
【0016】
ブラケット26には、従動スプロケット27を上端部に取り付けたボールねじ軸部23cが回転自在に支持されている。このボールねじ軸部23cと螺合するボールナット部23bは、回り止め機構23dを介してブラケット26に対し昇降自在に保持され、その下端部が一対の支柱24に沿って上下に移動可能な昇降板23aに連結されている。
【0017】
プランジャ19を駆動するための射出用モータ21およびこの射出用モータ21に接続する減速機22は、ブラケット26に取り付けられている。減速機22の出力端である駆動スプロケット22aと先の従動スプロケット27とには、無端の歯付きベルト28が巻き掛けられている。
【0018】
従って、射出用モータ21の正逆転動作が減速機22から歯付きベルト28を介してボールねじ軸部23cへと伝達され、ボールナット部23bと一体の昇降板23aの昇降動作、つまりプランジャ19の往復動へと変換される。昇降板23aの上昇端および下降端は、後述する射出ジャケット16aに取り付けられた一対のリミットスイッチ29a、29bにより検出される。そして、射出用モータ21の停止と正逆転動作の切り替えとが後述する制御ユニット30を介して制御されるようになっている。
【0019】
供給部16は、後述する型締ブロック25と昇降板23aとの間で一対の支柱24に昇降可能に取り付けられた射出ジャケット16aと、フィーダ16bと、ホッパ16cとを有する。フィーダ16bは、樹脂材料を所定量ずつ射出ジャケット16aを介して射出シリンダ17内に供給するためのものである。
【0020】
射出シリンダ17が連結されてこれを支持する射出ジャケット16aにはフィーダ16bが連結され、このフィーダ16bにはペレット状の樹脂材料を貯留してこれをフィーダ16bに供給するためのホッパ16cが取り付けられている。なお、ホッパ16c直下のフィーダ16bの部分には、ここに流下する樹脂材料の有無を検出するための材料有無検知センサ16dが設けられている。
【0021】
型締装置14は、射出装置13による可塑化した樹脂材料の射出時に第1金型としての固定側金型11と第2金型としての可動側金型12との型締めを行う一方、成形品を取り出す際に型開きを行う。型締装置14は、ベース31と、タイバ32と、型締ブロック25と、ブロック駆動手段33と、固定側金型ホルダ34と、可動側金型ホルダ35と、ホルダ駆動手段36と、型締力伝達部材37と、伝達部材駆動手段38とを具えている。
【0022】
型締ブロック25は、ベース31から相互に平行に垂直に突出する複数本(図示例では4本)のタイバ32の上端部に連結され、これらの長手方向に沿ってベース31に対し上下に移動可能である。後述する固定側金型11の受け面11aと対向する型締ブロック25の底面25aには、射出シリンダ17のノズル17aが位置し、これを支持した状態となっている。従って、射出シリンダ17は射出ジャケット16aと共に型締ブロック25の昇降動作に連動する。
【0023】
ブロック駆動手段33は、この型締ブロック25を型締め位置(図13参照)と、この型締め位置よりもベース31から離れた待機位置(図1、図2参照)との間で複数本のタイバ32の長手方向に沿って駆動するためのものである。型締力発生手段であるこのブロック駆動手段33の主要部の構造を抽出拡大して図5に示す。
【0024】
本実施形態におけるブロック駆動手段33は、ボールねじ部32aと、ボールナット部39と、減速機40と、複数(図示例では4個)の型締用モータ41とを有する。ボールねじ部32aは、タイバ32の先端部(図示例では上端部)にそれぞれ形成され、型締ブロック25内にスラスト軸受42を介して回転自在に取り付けられたボールナット部39に対し、それぞれ螺合している。
【0025】
また、本実施形態における減速機40は遊星歯車式減速機であり、遊星歯車40aを回転自在に支持するキャリア40bがボールナット部39に一体的に固定され、アンギュラ軸受43を介して型締ブロック25内に回転自在に保持されている。この遊星歯車40aが型締用モータ41に取り付けられた太陽歯車40cと、型締ブロック25に固定された内歯歯車40dとに噛み合い、極めて大きな減速比を得ている。
【0026】
さらに、本実施形態における制御ユニット30は、減速機40を介してボールナット部39をそれぞれ駆動回転させる複数の型締用モータ41の作動を独立に制御するようになっている。
【0027】
従って、複数の型締用モータ41はそれぞれ独立した駆動トルクをボールナット部39に伝達可能である。本実施形態では、大きな型締力を得る目的で減速機40による減速比を大きく設定しているため、個々の型締用モータ41を従来のものよりも大幅に小型化および低出力化させることができ、そのための部品コストを著しく下げることが可能となる。この場合、型締ブロック25の型締め位置と待機位置との距離を短く設定するほど成形サイクルを短縮化させることができるため、これらの距離を例えば0.5〜3mmの範囲に設定することが好ましい。
【0028】
型締用モータ41にはエンコーダ41aがそれぞれ取り付けられ、その回転情報が制御ユニット30に出力される。これらエンコーダ41aは、型締用モータ41の回転軸、つまり太陽歯車40cの回転数を検出し、この検出情報に基づいて制御ユニット30が型締ブロック25の昇降位置を算出する。
【0029】
また、制御ユニット30は、これら型締用モータ41に供給される電流値を検出してその平均値を算出し、個々の型締用モータ41の電流値が同一となるように、型締用モータ41の回転軸(太陽歯車40c)の回転速度を制御する。これにより、タイバ32の長手方向と平行な型締め方向に対して金型11、12が傾斜していたとしても、金型11、12のパーティング面11b、12bに負荷する圧力分布を均一に制御することができる。
【0030】
なお、部分的に圧力を強くしたい場合には、対応する型締用モータ41の電流値を上げて圧力を強くすることができ、逆も当然可能である。これは、同一成形品を成形するための複数組の金型がある場合、特定の組の金型を使用した場合にのみ成形品にバリが発生する際にバリの発生を防ぐために有効である。また、成形品にバリが発生するような場合には、金型11、12の設計のし直しを行うことなく、バリの発生を防止することができる。このような独立した型締用モータ41の制御は、成形品のバリの発生を防止するのみならず、可塑化した樹脂の射出時にガスをキャビティから逃がすためにも利用できる。
【0031】
また、型締用モータ41をステッピングモータにて構成した場合、金型11、12の面圧分布を容易に均一にすることができる。具体的には、個々の型締用モータ41を脱調させ、その位置から型締用モータ41に対する駆動パルス数をすべて同一に設定し、これらを所定のトルクで駆動すればよい。型締用モータ41を独立に制御する場合には、ひずみセンサや光学的位置検出センサなどを併用して個々の駆動トルクをより高精度に制御することも可能である。
【0032】
なお、各型締用モータ41の原点位置は、固定側金型11と射出シリンダ17のノズル17aとが所定の圧力で接触する位置に設定される。この原点位置は、個々のエンコーダ41aからの情報と電流値とに基づき、型締用モータ41の同期を脱調させることによって設定される。
【0033】
型締ブロック25を待機位置から型締め位置へと下降させると、型締ブロック25に支持されている射出シリンダ17も支柱24に沿って射出ジャケット16aと共に下降する。そして、射出シリンダ17のノズル17aの先端部と固定側金型11のスプルー11cとが接触すると共に型締ブロック25の底面25aが固定側金型11の受け面11aに当接し、型締力が固定側金型11へと伝わる。
【0034】
第1金型ホルダとしての固定側金型ホルダ34には固定側金型11が取り外し可能に取り付けられ、第2金型ホルダとしての可動側金型ホルダ35には可動側金型12が取り外し可能に取り付けられる。これら固定側および可動側の金型ホルダ34、35は、ベース31と型締ブロック25との間で複数本のタイバ32に対してそれぞれ摺動自在に連結され、これらの長手方向に沿って上下に移動自在である。この固定側金型ホルダ34の外観を抽出拡大して図6に示し、その平面形状を図7に示す。また、可動側金型ホルダ35の外観を抽出拡大して図8に示し、その平面形状を図9に示す。
【0035】
矩形の板状をなす本実施形態における固定側金型11および可動側金型12は、これらで図示しないキャビティを画成するパーティング面11b、12bと、その反対側の受け面11a、12aとを有する。これら固定側および可動側の金型11、12は、タイバ32の長手方向に対して直交する水平方向に沿ってそれぞれ固定側金型ホルダ34および可動側金型ホルダ35に対して着脱可能である。
【0036】
金型11、12は、対応する金型ホルダ34、35に対する着脱方向手前側の前面部11d、12dと、その反対側の後面部11e、12eと、一対の側面部11f、11g、12f、12gとをさらに有する。一対の側面部11f、11g、12f、12gは、金型ホルダ34、35に対する金型11、12の着脱方向に沿って延在する。これら金型11、12の一方の側面部11f、12fと後面部11e、12eとには、第1および第2の位置合わせ面11E、12E、11F、12Fが形成されている。さらに、他方の側面部11g、12gの前面部11d、12d側の端部には、着脱方向に対して傾斜した傾斜面11G、12Gが形成されている。
【0037】
固定側および可動側の金型ホルダ34、35は、金型11が着脱自在に装着されるホルダ本体34a及び金型12が着脱自在に装着されるホルダ本体35aと、第1および第2の位置合わせ基準部34E、34F、35E、35Fと、可動部材44、44と、ばね付勢手段45、45とを具えている。
【0038】
第1および第2の位置合わせ基準部34E、34F、35E、35Fは、ホルダ本体34a、35aに設けられ、金型11、12の第1および第2の位置合わせ面11E、12E、11F、12Fがそれぞれ当接する。可動部材44、44は、金型ホルダ34、35に取り付けられる金型11、12の一対の側面部11f、11g、12f、12gの対向方向に沿って変位可能にホルダ本体34a、35aに取り付けられている。
【0039】
この可動部材44には、金型11、12の傾斜面11G、12Gに当接する押圧部44aが形成されている。本実施形態では、可動部材44がタイバ32の長手方向と平行なピン46を介して回動自在となっており、保持位置と退避位置との間で移動可能な可動の部材となっている。
【0040】
図7(A)は金型ホルダ34について、可動部材44が保持位置(閉じた位置)に位置している場合を示し、図7(B)は退避位置(開いた位置)に位置している場合を示す。保持位置では金型11が位置決めされた状態でホルダ本体34aに保持される。一方、退避位置では可動部材44がホルダ本体34aに対する金型11の着脱の妨げとならず、着脱が許容される。図9は金型ホルダ35について可動部材44が保持位置に位置している場合を示している。特に図示しないが、金型ホルダ34の可動部材44と同様、金型ホルダ35の可動部材44も退避位置に回動可能となっている。本実施形態では可動部材44の移動態様を回動としたが、平行移動としてもよい。
【0041】
ばね付勢手段45は、この可動部材44とホルダ本体34a、35aとの間にそれぞれ組み込まれ、可動部材44を保持位置に常時付勢する。ばね付勢手段45は可動部材44の押圧部44aを金型ホルダ34、35に装着された金型11、12の傾斜面11G、12Gに押し付けるようなばね力をそれぞれ発生する。これにより、金型11、12の第1および第2の位置合わせ面11E、12E、11F、12Fが第1および第2の位置合わせ基準部34E、34F、35E、35Fに押し当てられ、金型ホルダ34、35に対する金型11、12の位置決めがなされて保持される。なお、本実施形態では、ばね付勢手段45の付勢力により可動部材44を保持位置に付勢する構成としたが、各種のモータ、エアシリンダ等の各種のアクチュエータで付勢する構成としてもよい。
【0042】
本実施形態における可動部材44は、金型ホルダ34、35に収容された金型11、12の前面部11d、12dの傾斜面11G、12G側の端部に係止する抜け外れ防止部44bと、挿入案内面44cと、取手部44dと、逃げ部44eとを有する。抜け外れ防止部44bは、先のばね付勢手段45によるばね力を利用して不用意に金型11、12が金型ホルダ34、35から抜け外れるのを防止する。
【0043】
挿入案内面44cは、金型11、12を金型ホルダ34、35に差し込む際に、金型11、12の他方の側面部11g、12gの後面部11e、12e側の端部に当接し、ばね付勢手段45による付勢力に抗して可動部材44を退避させる機能を持つ。つまり、作業者が取手部44dを掴んで可動部材44を操作することなく、金型ホルダ34、35に対して金型11、12を押し込むだけで金型ホルダ34、35に金型11、12を装着することができる。
【0044】
取手部44dは、固定側金型11の前面部11d、12dの傾斜面11G、12G側の端部に対する抜け外れ防止部44bの係合を解除するためのものであり、金型ホルダ34、35から金型11、12を取り出す際に利用する。
【0045】
逃げ部44eは、抜け外れ防止部44bが金型ホルダ34、35に収容された金型11、12の前面部11d、12dの傾斜面11G、12G側の端部に係止した状態において、可動部材44をタイバ32に対して非接触状態に保ためのものである。これにより、タイバ32に沿った金型ホルダ34、35の円滑な昇降動作を確保することかできる。
【0046】
なお、本実施形態における可動側金型ホルダ35の第1の位置合わせ基準部35Eは、可動側金型12の着脱操作に伴ってタイバ32の長手方向と平行な軸線回りに連れ回りし得る一対のローラ47を有する。これら一対のローラ47は、可動側金型ホルダ35に対する可動側金型12の着脱方向に沿って相隔ててホルダ本体35aにそれぞれ回転自在に保持されている。これにより、可動側金型ホルダ35に対する可動側金型12の着脱操作をより小さな力で容易に行うことができる。
【0047】
次に、図7及び図9に示すように、金型ホルダ34、35には位置検出センサ101、102を設けている。位置検出センサ101、102はホルダ本体34a、35aにそれぞれ支持されており、可動部材44の位置を検出する。
【0048】
位置検出センサ101、102は本実施形態の場合、光センサ(フォトインタラプタ)であり、発光部と受光部との間のスリットに物体が存在するか否かを検出する。金型ホルダ34の場合について、図7(A)に示すように可動部材44は被検知片441を有しており、被検知片441と位置検出センサ101との配置は以下の関係にある。
【0049】
すなわち、可動部材44が保持位置にある場合には被検知片441が位置検出センサ101に進入した状態となり、これが検出される。一方、図7(B)に示すように可動部材44が退避位置にある場合には被検知片441が位置検出センサ101から脱した状態となり、位置検出センサ101により被検知片441が検出されない。
【0050】
金型ホルダ35についても同様であり、可動部材44が保持位置にある場合(図9)には被検知片441が位置検出センサ102に進入した状態となり、これが検出され、図示しないが、可動部材44が退避位置にある場合には被検知片441が位置検出センサ102から脱した状態となり、位置検出センサ102により被検知片441が検出されなくなる。
【0051】
こうして位置検出センサ101、102の検出結果により、可動部材44が保持位置に位置しているか否かが判定でき、金型11、12が位置決めされた状態であるかを確認することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、位置検出センサ101、102として光センサを採用したが、可動部材44の位置が検出可能であればどのようなセンサであってもよく、例えば、接点式のスイッチ等でもよい。また、位置検出センサ101、102の配置も、可動部材44の位置を検出可能な範囲で適宜選択できる。
【0053】
次に、タイバ32には、ベース31側への固定側金型ホルダ34の移動を規制するためのストッパ48が取り付けられている。従って、固定側金型ホルダ34は、このストッパ48よりも下方には下降し得ないようになっており、ここが型開き状態における固定側金型ホルダ34の下降端位置(図1、図2参照)となる。
【0054】
例えば、本実施形態では、型締ブロック25と固定側金型ホルダ34との間にこの固定側金型ホルダ34をその下降端位置側に付勢するばね部材49が配されている。下降端位置にある固定側金型ホルダ34に保持された固定側金型11の受け面11aと、待機位置にある型締ブロック25の底面25aとの間には隙間が形成される。この結果、射出シリンダ17の下端のノズル17aが固定側金型11の受け面11aに開口するスプルー11cに対して非接触状態となる。
【0055】
可動側金型ホルダ35には、タイバ32の長手方向に沿って移動可能に保持されたエジェクタープレート50が可動側金型12の受け面12aと対向するように収容されている。このエジェクタープレート50には、可動側金型ホルダ35を貫通してベース31側に突出する複数本(図示例では2本)のエジェクターピン51が固定されている。
【0056】
可動側金型ホルダ35が型開き位置(図1および図2)にある場合、これらエジェクターピン51の下端がベース31に当接する。そして、エジェクタープレート50を可動側金型ホルダ35に保持された可動側金型12の受け面12a側に押し上げる結果、成形品がキャビティから排出される。型開き位置にある可動側金型ホルダ35の断面構造を固定側金型ホルダ34と共に図10に示し、この状態における可動側金型ホルダ35の外観を一部破断して図11に示す。可動側金型ホルダ35は、その型開き位置にて後述する型締力受け部材52が通る逃げ部35bを有する。
【0057】
退避位置(図11参照)にある型締力伝達部材37に対して可動側金型ホルダ35が型締め位置にある状態の外観を図12に示す。また、可動側金型ホルダ35および型締力伝達部材37が共に型締め位置にある状態における可動側金型ホルダ35の断面構造を図13に示し、この状態における可動側金型ホルダ35の外観を図14に示す。
【0058】
ホルダ駆動手段36は、可動側金型ホルダ35を型開き位置とこの型開き位置より
もベース31から離れた型締め位置との間で複数本のタイバ32の長手方向に沿って駆
動させるためのものである。
【0059】
本実施形態におけるホルダ駆動手段36は、開閉用モータ36aと、駆動スプロケット36bと、従動スプロケット36cと、これら駆動スプロケット36bと従動スプロケット36cとに巻き掛けられた無端の歯付きベルト36dとを有する。減速機36eを介して駆動スプロケット36bが取り付けられた正逆転可能な開閉用モータ36aはベース31に設置され、駆動スプロケット36bの回転情報がエンコーダ36fにより検出されて制御ユニット30に出力される。
【0060】
また、この制御ユニット30は、このエンコーダ36fの情報に基づいて開閉用モータ36aの作動を制御し、可動側金型ホルダ35をその型開き位置と型締め位置とに交互に切り替える。従動スプロケット36cは、この開閉用モータ36aに取り付けられた駆動スプロケット36bと平行にベース31の上方に図示しないブラケットを介して回転自在に保持されている。
【0061】
歯付きベルト36dの一部は、可動側金型ホルダ35の連結部35cに固定されている。従って、可動側金型ホルダ35は、比較的簡易な昇降機構によって、駆動スプロケット36bと従動スプロケット36cとの間で図1、図2に示す型開き位置と、図13に示す型締め位置との間を円滑で素早く昇降できるようになっている。すなわち、本実施形態の型締装置14は、型締め時においては減速機40によって極めて大きな減速比を得て所定の型締力を確保することができる。また、詳細は後述するが、型締め前や型開き後においては型締力の影響を除外して固定側金型ホルダ34に対する可動側金型ホルダ35の接近または退避動作を円滑に素早く実行することができる。
【0062】
なお、型開き位置から型締め位置に可動側金型ホルダ35が上昇すると、その途中でストッパ48に保持された固定側金型ホルダ34の固定側金型11のパーティング面11bに可動側金型12のパーティング面12bが押し当たる。そして、固定側金型11およびこれを収容する固定側金型ホルダ34が可動側金型12と共に型締め位置まで上昇するようになっている。可動側金型ホルダ35が型締め位置にある状態においては、固定側金型11のスプルー11cが型締ブロック25に支持された射出シリンダ17のノズル17aに対して接触または微小間隔をあけた状態となる。
【0063】
型締力伝達部材37は、ブロック駆動手段33により型締ブロック25から固定側金型ホルダ34および可動側金型ホルダ35を介して加えられる型締力をその型締め位置にてベース31に伝達するためのものである。
【0064】
本実施形態における型締力伝達部材37は、複数本(図示例では3本)の型締力受け部材52と、旋回板53と、この旋回板53に取り付けられた複数個(図示例では3個)の型締力伝達ブロック54とを有する。
【0065】
型締力受け部材52は、タイバ32と平行にベース31に突設され、その上端面が型締め位置にある可動側金型ホルダ35との間に隙間を形成する。これら型締力受け部材52の位置や数および大きさなどは、可動側金型ホルダ35から受ける型締力に対するバランスや剛性などを考慮して設定される。旋回板53は、可動側金型ホルダ35に対してタイバ32の長手方向と平行な軸線回りに旋回自在に支持されている。型締力受け部材52は、旋回板53に対してタイバ32の長手方向に沿って変位可能に保持される。このため、旋回板53には型締力受け部材52およびエジェクターピン51がそれぞれ貫通し得る複数(図示例では3つ)の開口53aおよび逃げ部53bが形成されている。型締力受け部材52の上端面と、型締め位置にある可動側金型ホルダ35の逃げ部35bの開口端面35dとの間隔Gは、タイバ32の長手方向に沿った型締力伝達ブロック54の長さLよりも広く設定されている。また、タイバ32の長手方向に沿った可動側金型ホルダ35に対する旋回板53の位置も適切に設定されている。
【0066】
具体的には、型締力が負荷していない状態において、旋回板53の開口53aに装着された型締力伝達ブロック54は、自重によってその上端面と可動側金型ホルダ35の底面、つまり開口端面35dとの間に微小な隙間を形成する。これにより、旋回板53を退避位置から型締め位置へと旋回させた場合、型締力伝達ブロック54と型締め位置における可動側金型ホルダ35および型締力受け部材52との衝突や接触に伴う摩耗を回避することができる。
【0067】
逆に、型締力伝達ブロック54に対して可動側金型ホルダ35および型締力受け部材52が接触状態となっている状態で旋回板53を退避位置から型締め位置へと旋回させる場合、これらの摩耗を回避するための何らかの手段を組み込むことが有効である。本実施形態では、待機位置への型締ブロック25の上昇を開始した後、旋回板53を退避位置から型締め位置へと旋回させるようにしている。このため、型締力伝達ブロック54と可動側金型ホルダ35および型締力受け部材52との強い接触に伴う大きな摩耗を回避することが可能である。
【0068】
型締力伝達ブロック54は、型締力受け部材52の上端面と可動側金型ホルダ35の逃げ部35bの開口端面35dとに対向する型締め位置と、型締力受け部材52の側方にずれる退避位置とに切り替えられるようになっている。この切り替えは、伝達部材駆動手段38により旋回板53を旋回させることによってなされる。つまり、伝達部材駆動手段38は、型締力伝達部材37を型締め位置と型締力が伝達されない退避位置との間でタイバ32の長手方向に対して交差する方向に駆動する。
【0069】
本実施形態における伝達部材駆動手段38は、正逆転可能な旋回用モータ38aと、この旋回用モータ38aに取り付けられた駆動歯車38bと噛み合う扇状歯車38cと、旋回量検出センサ38dとを有する。
【0070】
旋回用モータ38aは、可動側金型ホルダ35に取り付けられ、扇状歯車38cは、旋回板53の外周面の一部に設けられている。また、旋回量検出センサ38dも可動側金型ホルダ35に取り付けられて旋回板53の外周面と対向している。この旋回量検出センサ38dと対向する旋回板53の外周面には、その周方向に沿って図示しないスリットが一定間隔で歯車状に刻設されている。旋回量検出センサ38dは、このスリットの通過をカウントすることにより、旋回板53の回転量を検出するようになっている。従って、旋回用モータ38aは、この旋回量検出センサ38dからの検出信号に基づいてその正逆転方向が切り替えられ、型締力伝達ブロック54を型締力の方向に対して交差する方向に移動させてその型締め位置と退避位置とに切り替える。なお、旋回量検出センサ38dとしてタッチセンサを用い、型締め位置と退避位置とに対応した一対のドッグを旋回板53に取り付けることも可能である。
【0071】
また、制御ユニット30は、この射出成形機10が円滑な成形を実行できるように、ヒーター18、射出用モータ21、フィーダ16b、型締用モータ41、開閉用モータ36a、旋回用モータ38aなどの作動を制御する。これは、図示しない操作盤に配されたスイッチ類や、リミットスイッチ29a、29b、材料有無検知センサ16d、エンコーダ36fおよび41a、旋回量検出センサ38d、位置検出センサ101及び102などからの検出信号に基づき、予め設定されたプログラムに従って実行される。
【0072】
特に、本実施形態では制御ユニット30が各モータ21、41、36a、38aに流れる電流値を常に監視し、これが予め設定した値を越えた場合、何らかの異常が発生していると判断し、射出作業を停止するようになっている。
【0073】
また、制御ユニット30は、位置検出センサ101、102の検出結果に基づき、可動部材44、44が保持位置にあるか否かを判定し、少なくともいずれかの可動部材44が保持位置にない場合は成形処理を中止することができる。
【0074】
中止する成形処理としては、例えば、型締め前であれば型締めを禁止(型締用モータ41を駆動しない)し、型締め中であれば型締めを停止(型締用モータ41を停止)或いは型開き(型締用モータ41を逆転)する。位置検出センサ101、102の検出結果の取得は周期的に行ってもよいし、型締め前に行うようにしてもよい。
【0075】
また、警報音の出力装置や警告を表示する表示装置等の報知装置を設け、位置検出センサ101、102の検出結果に基づき、可動部材44、44が保持位置にないと判定した場合は、その旨を使用者に報知するようにしてもよい。
【0076】
このような射出成形機10の作動手順を図15のフローチャートに示す。すなわち、初期状態はプランジャ19が上昇端にあり、型締ブロック25が待機位置にあり、可動側金型ホルダ35が型開き位置にあり、旋回板53が退避位置にある。
【0077】
この状態から、S11のステップにて開閉用モータ36aが正転して可動側金型ホルダ35を型開き位置から上昇させる。そして、S12のステップにて可動側金型12のパーティング面12bと固定側金型11のパーティング面11bとが接触したか否かをエンコーダ36fからの情報に基づいて判定する。このS12の判断ステップは、可動側金型12が固定側金型11との接触位置まで達するまで繰り返される。
【0078】
このようにして、可動側金型12が固定側金型11との接触位置まで達したと判断した場合には、S13のステップにて可動側金型ホルダ35が型締め位置まで上昇したか否かを判定する。ここで、可動側金型ホルダ35が型締め位置まで上昇していないと判断した場合、S14のステップに移行して開閉用モータ36aに異常トルク、つまり過大電流が流れているか否かを判定し、何もなければS13のステップに戻る。
【0079】
S14のステップにて開閉用モータ36aに異常トルクが発生している、すなわち、可動側金型12と固定側金型11との間に異物が介在しているなど、何らかの不具合が予想される場合には、S15のステップに移行し、異常処理を行って射出作業を停止する。
【0080】
S15のステップにおける異常処理は、開閉用モータ36aの停止およびこれに続く逆転により可動側金型12および固定側金型11を初期状態の位置に戻す操作を含む。また、同時に異常が発生したことを図示しないディスプレイを用いた視覚的手段や音などを使って作業者に警告する処理を含むことができる。作業者は、初期状態に戻った可動側および固定側の金型11、12をこれらのホルダ34、35から必要に応じて取り外し、金型11、12の状態を点検して異物を除去したり、必要に応じて金型の修理交換を行って成形作業を再開する。
【0081】
何も問題なく可動側金型ホルダ35が型締め位置まで上昇した場合、S16のステップにて旋回用モータ38aを正転し、旋回量検出センサ38dからの情報に基づいて退避位置にある型締力伝達ブロック54を型締め位置まで移動させる。そして、型締力伝達ブロック54が型締め位置まで移動した時点でS17のステップに移行し、型締用モータ41を正転し、待機位置にある型締ブロック25を型締め位置まで下降させ、同時に開閉用モータ36aに対する通電を停止する。これにより、型締力受け部材52に対し可動側金型ホルダ35が型締力伝達部材37を介して支持される状態となる。
【0082】
このS17のステップでの型締用モータ41の正転に続き、S18のステップにて型締ブロック25が型締め位置まで下降したか否かをエンコーダ41aからの検出信号に基づいて判定する。ここで、型締ブロック25が型締め位置に達していないと判断した場合には、S19のステップに移行して型締用モータ41の何れかに異常トルク、つまり過大電流が流れているか否かを判定する。そして、何もなければ型締用モータ41の正転を続け、S18の判断ルーチンを繰り返す。
【0083】
S19のステップにて少なくとも1台の型締用モータ41に異常トルクが発生している、すなわち、型締ブロック25と固定側金型11との間に異物が介在しているなど、何らかの不具合が予想される場合には、S20のステップに移行する。
【0084】
S20のステップでは、これに対応した異常処理を行って射出作業を停止する。この異常処理は、型締用モータ41の停止およびこれに続く逆転により型締ブロック25を初期状態の待機位置に戻す操作を含む。また、同時に異常が発生したことを図示しないディスプレイを用いた視覚的手段や音などを使って作業者に警告する処理を含むことができる。作業者は、初期状態に戻った型締ブロック25と固定側金型11との隙間を点検して異物を除去したりするなど、状況に応じた対処を行って成形作業を再開する。
【0085】
エンコーダ41aからの検出信号に基づき、S18のステップにて型締ブロック25が型締め位置まで下降したと判断した場合には、S21のステップに移行して型締用モータ41の駆動トルクをそれぞれ制御する。そして、固定側金型ホルダ34に保持された固定側金型11を型締め位置にある可動側金型ホルダ35に保持された可動側金型12に対して押圧し、所望の型締力を発生させる。この場合、型締力伝達ブロック54が旋回板53の開口53aに対して相対移動可能となっているため、型締力伝達ブロック54に加わる型締力は旋回板53に伝達されず、旋回板53が撓むなどの不具合は生じない。
【0086】
しかる後、S22のステップに移行して射出および冷却処理を行う。この射出および冷却処理は、射出用モータ21を正転駆動して上昇端に位置する昇降板23aをその下降端まで移動させる操作を含む。また、射出シリンダ17内の樹脂材料を可塑化させつつそのノズル17aから固定側金型11と可動側金型12とで画成されたキャビティ内に射出する操作を含む。これにより、溶融樹脂が予め設定され射出圧力および射出速度でキャビティ内に充填され、成形品となる。さらに、この射出および冷却処理は、キャビティ内に射出された樹脂材料が冷却固化する所定時間後に射出用モータ21を逆転駆動してリミットスイッチ29aからの検出情報に基づき、下降端に位置する昇降板23aをその上昇端まで戻す操作を含む。これに加え、フィーダ16bを作動させて所定量の成形材料を射出シリンダ17内に供給する操作も含む。
【0087】
S22のステップに続き、S23のステップにて型締用モータ41に対する通電を停止し、型締力を発生させていた駆動トルクを解除する。しかる後、S24のステップにて型締用モータ41を逆転し、型締ブロック25をその型締め位置から待機位置へと上昇させる。そして、S25のステップにて旋回用モータ38aを逆転し、型締め位置にある型締力伝達ブロック54を退避位置へと戻す。この場合、型締ブロック25がその待機位置へと上昇しつつあるので、型締力伝達ブロック54と可動側金型ホルダ35および型締力受け部材52との接触に伴う摩擦が回避される。
【0088】
旋回板53が退避位置に戻った時点でS26のステップに移行し、開閉用モータ36aを逆転させて可動側金型ホルダ35を型開き位置まで下降させる。この下降の途中で、ストッパ48により固定側金型ホルダ34の下降が規制され、固定側金型11のパーティング面11bと下降を続ける可動側金型12のパーティング面12bとが離れ、型開き状態となる。
【0089】
S26のステップに続き、可動側金型ホルダ35が型開き位置に達した時点でS27のステップに移行し、成形品の取り出しが行われる。より具体的には、エジェクターピン51およびこれが連結されたエジェクタープレート50の作用により、成形品が可動側金型12から突き上げられ、成形品およびこれにつながるランナーが図示しないロボットアームなどで可動側金型12から取り出される。
【0090】
<他の実施形態>
タイバ32は可動側および固定側金型ホルダ34、35の円滑な昇降および必要な強度を有してさえいれば、2本または3本であってもかまわない。また、これらの間隔を任意に設定することが可能である。さらに、固定側金型ホルダ34を省略し、固定側金型11を型締ブロック25に取り付けるようにしてもよく、金型が2プレート以外のものであっても、ホットランナー方式のものであってもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型を保持する金型ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機等において、金型の交換を容易にするため金型を着脱自在に保持する金型ホルダを設けることが知られている。この種の金型ホルダにおいてはクランプ等の可動部材を設け、本体に対して金型を位置決めして保持する場合には可動部材を閉じ、交換時には可動部材を開くようにしている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−52574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可動部材の開閉を利用した金型ホルダは、金型の交換が比較的簡易であるが、外部からの衝撃や故障により可動部材が開放され、金型が位置決めされずに成形処理が行われてしまう可能性がある。また、作業者が可動部材を閉め忘れると金型が位置決めされずに成形処理が行われてしまう可能性もある。金型が位置決めされずに成形処理が行われると、例えば、金型の型締めによって金型に対して想定外の荷重が作用してしまい、その損傷を招く可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、金型が位置決めされた状態であるかを確認可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、金型が着脱自在に装着されるホルダ本体と、金型を位置決めされた状態で前記ホルダ本体に保持する保持位置と、前記ホルダ本体に対する金型の着脱を許容する退避位置と、の間で可動の可動部材と、前記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、を備えた金型ホルダが提供される。
【0007】
また、本発明によれば、上記金型ホルダを備えた射出成形機が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金型が位置決めされた状態であるかを確認可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による射出成形機の一実施形態の正面側の外観を表す立体投影図。
【図2】図1に示した実施形態の背面側の外観を表す立体投影図。
【図3】図1に示した実施形態を分解状態で表す立体投影図。
【図4】図1に示した実施形態における主要部分の制御ブロック図。
【図5】図1に示した実施形態におけるブロック駆動手段の一部を抽出拡大して破断状態で表す立体投影図。
【図6】図1に示した実施形態における固定側金型ホルダの部分の外観を抽出拡大した立体投影図(固定側金型が取り外された状態を表す)。
【図7】(A)及び(B)は図6に示した固定側金型ホルダの平面図。
【図8】図1に示した実施形態における可動側金型ホルダの部分の外観を抽出拡大した立体投影図(可動側金型が取り外された状態を表す)。
【図9】図8に示した可動側金型ホルダの平面図(可動側金型が装着された状態を表す)。
【図10】図1に示した実施形態において、型締力伝達ブロックと型開き位置にある可動側金型ホルダとの相対位置関係を表す断面図。
【図11】図10に示す型開き位置にある可動側金型ホルダの外観を抽出拡大した立体投影図。
【図12】図1に示した実施形態において、退避位置にある型締力伝達部材と共に型締め位置に上昇した可動側金型ホルダの外観を抽出拡大した立体投影図。
【図13】図1に示した実施形態において、型締め位置にある型締力伝達ブロックと可動側金型ホルダとの相対位置関係を表す断面図。
【図14】図13に示した型締め位置にある可動側金型ホルダの外観を抽出拡大した立体投影図。
【図15】図1に示した実施形態における射出成形作業の手順を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による射出成形機を竪型の成形機に応用した一実施形態について、図1〜図15を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態のみに限らず、横型のものや型締装置の部分の構成などについては必要に応じて他の型式の成形機に組み込むことができることは言うまでもない。
【0011】
本実施形態における射出成形機の正面側の外観を図1に示し、その背面側の外観を図2に示し、これらを分解状態で図3に示し、その主要部分の制御ブロックを図4に示す。すなわち、本実施形態の射出成形機10は、可塑化した樹脂材料を固定側金型11と可動側金型12との間に形成される図示しないキャビティへ射出するための射出装置13と、型締装置14とを具えている。
【0012】
射出装置13は、射出部15と供給部16とを有する。射出部15は、成形材料、例えば樹脂材料を可塑化してこれを金型11、12のキャビティ(金型内に画成される成形空間)内へ所定量ずつ射出する機能を有する。供給部16は、この射出部15での樹脂材料の消費に伴って新たな樹脂材料を所定量ずつ射出部15に供給する機能を有する。
【0013】
射出部15は、樹脂材料が供給される射出シリンダ17と、この射出シリンダ17の周囲を加熱するヒーター18と、可塑化した樹脂材料を射出するためのプランジャ19と、プランジャ駆動装置20とを有する。ヒーター18は、射出シリンダ17内部の樹脂材料の可塑化を促進させるためのものである。プランジャ駆動装置20は、プランジャ19を射出シリンダ17に対して往復動させ、可塑化した所定量の樹脂材料を射出シリンダ17の先端(図示例では下端)のノズル17aから射出する。
【0014】
本実施形態におけるプランジャ駆動装置20は、射出用モータ21と、減速機22と、昇降機構23とを有し、その基本的な構成は周知であるが、他の任意の構成のものを採用可能である。
【0015】
本実施形態における昇降機構23は、プランジャ19の上端部が図示しないコネクターを介して着脱自在に連結される昇降板23aと、ボールナット部23bと、ボールねじ軸部23cとを有する。一対の支柱24が後述する型締ブロック25から垂直上方に相互に平行に突設され、その上端部がブラケット26を介して一体的に連結されている。
【0016】
ブラケット26には、従動スプロケット27を上端部に取り付けたボールねじ軸部23cが回転自在に支持されている。このボールねじ軸部23cと螺合するボールナット部23bは、回り止め機構23dを介してブラケット26に対し昇降自在に保持され、その下端部が一対の支柱24に沿って上下に移動可能な昇降板23aに連結されている。
【0017】
プランジャ19を駆動するための射出用モータ21およびこの射出用モータ21に接続する減速機22は、ブラケット26に取り付けられている。減速機22の出力端である駆動スプロケット22aと先の従動スプロケット27とには、無端の歯付きベルト28が巻き掛けられている。
【0018】
従って、射出用モータ21の正逆転動作が減速機22から歯付きベルト28を介してボールねじ軸部23cへと伝達され、ボールナット部23bと一体の昇降板23aの昇降動作、つまりプランジャ19の往復動へと変換される。昇降板23aの上昇端および下降端は、後述する射出ジャケット16aに取り付けられた一対のリミットスイッチ29a、29bにより検出される。そして、射出用モータ21の停止と正逆転動作の切り替えとが後述する制御ユニット30を介して制御されるようになっている。
【0019】
供給部16は、後述する型締ブロック25と昇降板23aとの間で一対の支柱24に昇降可能に取り付けられた射出ジャケット16aと、フィーダ16bと、ホッパ16cとを有する。フィーダ16bは、樹脂材料を所定量ずつ射出ジャケット16aを介して射出シリンダ17内に供給するためのものである。
【0020】
射出シリンダ17が連結されてこれを支持する射出ジャケット16aにはフィーダ16bが連結され、このフィーダ16bにはペレット状の樹脂材料を貯留してこれをフィーダ16bに供給するためのホッパ16cが取り付けられている。なお、ホッパ16c直下のフィーダ16bの部分には、ここに流下する樹脂材料の有無を検出するための材料有無検知センサ16dが設けられている。
【0021】
型締装置14は、射出装置13による可塑化した樹脂材料の射出時に第1金型としての固定側金型11と第2金型としての可動側金型12との型締めを行う一方、成形品を取り出す際に型開きを行う。型締装置14は、ベース31と、タイバ32と、型締ブロック25と、ブロック駆動手段33と、固定側金型ホルダ34と、可動側金型ホルダ35と、ホルダ駆動手段36と、型締力伝達部材37と、伝達部材駆動手段38とを具えている。
【0022】
型締ブロック25は、ベース31から相互に平行に垂直に突出する複数本(図示例では4本)のタイバ32の上端部に連結され、これらの長手方向に沿ってベース31に対し上下に移動可能である。後述する固定側金型11の受け面11aと対向する型締ブロック25の底面25aには、射出シリンダ17のノズル17aが位置し、これを支持した状態となっている。従って、射出シリンダ17は射出ジャケット16aと共に型締ブロック25の昇降動作に連動する。
【0023】
ブロック駆動手段33は、この型締ブロック25を型締め位置(図13参照)と、この型締め位置よりもベース31から離れた待機位置(図1、図2参照)との間で複数本のタイバ32の長手方向に沿って駆動するためのものである。型締力発生手段であるこのブロック駆動手段33の主要部の構造を抽出拡大して図5に示す。
【0024】
本実施形態におけるブロック駆動手段33は、ボールねじ部32aと、ボールナット部39と、減速機40と、複数(図示例では4個)の型締用モータ41とを有する。ボールねじ部32aは、タイバ32の先端部(図示例では上端部)にそれぞれ形成され、型締ブロック25内にスラスト軸受42を介して回転自在に取り付けられたボールナット部39に対し、それぞれ螺合している。
【0025】
また、本実施形態における減速機40は遊星歯車式減速機であり、遊星歯車40aを回転自在に支持するキャリア40bがボールナット部39に一体的に固定され、アンギュラ軸受43を介して型締ブロック25内に回転自在に保持されている。この遊星歯車40aが型締用モータ41に取り付けられた太陽歯車40cと、型締ブロック25に固定された内歯歯車40dとに噛み合い、極めて大きな減速比を得ている。
【0026】
さらに、本実施形態における制御ユニット30は、減速機40を介してボールナット部39をそれぞれ駆動回転させる複数の型締用モータ41の作動を独立に制御するようになっている。
【0027】
従って、複数の型締用モータ41はそれぞれ独立した駆動トルクをボールナット部39に伝達可能である。本実施形態では、大きな型締力を得る目的で減速機40による減速比を大きく設定しているため、個々の型締用モータ41を従来のものよりも大幅に小型化および低出力化させることができ、そのための部品コストを著しく下げることが可能となる。この場合、型締ブロック25の型締め位置と待機位置との距離を短く設定するほど成形サイクルを短縮化させることができるため、これらの距離を例えば0.5〜3mmの範囲に設定することが好ましい。
【0028】
型締用モータ41にはエンコーダ41aがそれぞれ取り付けられ、その回転情報が制御ユニット30に出力される。これらエンコーダ41aは、型締用モータ41の回転軸、つまり太陽歯車40cの回転数を検出し、この検出情報に基づいて制御ユニット30が型締ブロック25の昇降位置を算出する。
【0029】
また、制御ユニット30は、これら型締用モータ41に供給される電流値を検出してその平均値を算出し、個々の型締用モータ41の電流値が同一となるように、型締用モータ41の回転軸(太陽歯車40c)の回転速度を制御する。これにより、タイバ32の長手方向と平行な型締め方向に対して金型11、12が傾斜していたとしても、金型11、12のパーティング面11b、12bに負荷する圧力分布を均一に制御することができる。
【0030】
なお、部分的に圧力を強くしたい場合には、対応する型締用モータ41の電流値を上げて圧力を強くすることができ、逆も当然可能である。これは、同一成形品を成形するための複数組の金型がある場合、特定の組の金型を使用した場合にのみ成形品にバリが発生する際にバリの発生を防ぐために有効である。また、成形品にバリが発生するような場合には、金型11、12の設計のし直しを行うことなく、バリの発生を防止することができる。このような独立した型締用モータ41の制御は、成形品のバリの発生を防止するのみならず、可塑化した樹脂の射出時にガスをキャビティから逃がすためにも利用できる。
【0031】
また、型締用モータ41をステッピングモータにて構成した場合、金型11、12の面圧分布を容易に均一にすることができる。具体的には、個々の型締用モータ41を脱調させ、その位置から型締用モータ41に対する駆動パルス数をすべて同一に設定し、これらを所定のトルクで駆動すればよい。型締用モータ41を独立に制御する場合には、ひずみセンサや光学的位置検出センサなどを併用して個々の駆動トルクをより高精度に制御することも可能である。
【0032】
なお、各型締用モータ41の原点位置は、固定側金型11と射出シリンダ17のノズル17aとが所定の圧力で接触する位置に設定される。この原点位置は、個々のエンコーダ41aからの情報と電流値とに基づき、型締用モータ41の同期を脱調させることによって設定される。
【0033】
型締ブロック25を待機位置から型締め位置へと下降させると、型締ブロック25に支持されている射出シリンダ17も支柱24に沿って射出ジャケット16aと共に下降する。そして、射出シリンダ17のノズル17aの先端部と固定側金型11のスプルー11cとが接触すると共に型締ブロック25の底面25aが固定側金型11の受け面11aに当接し、型締力が固定側金型11へと伝わる。
【0034】
第1金型ホルダとしての固定側金型ホルダ34には固定側金型11が取り外し可能に取り付けられ、第2金型ホルダとしての可動側金型ホルダ35には可動側金型12が取り外し可能に取り付けられる。これら固定側および可動側の金型ホルダ34、35は、ベース31と型締ブロック25との間で複数本のタイバ32に対してそれぞれ摺動自在に連結され、これらの長手方向に沿って上下に移動自在である。この固定側金型ホルダ34の外観を抽出拡大して図6に示し、その平面形状を図7に示す。また、可動側金型ホルダ35の外観を抽出拡大して図8に示し、その平面形状を図9に示す。
【0035】
矩形の板状をなす本実施形態における固定側金型11および可動側金型12は、これらで図示しないキャビティを画成するパーティング面11b、12bと、その反対側の受け面11a、12aとを有する。これら固定側および可動側の金型11、12は、タイバ32の長手方向に対して直交する水平方向に沿ってそれぞれ固定側金型ホルダ34および可動側金型ホルダ35に対して着脱可能である。
【0036】
金型11、12は、対応する金型ホルダ34、35に対する着脱方向手前側の前面部11d、12dと、その反対側の後面部11e、12eと、一対の側面部11f、11g、12f、12gとをさらに有する。一対の側面部11f、11g、12f、12gは、金型ホルダ34、35に対する金型11、12の着脱方向に沿って延在する。これら金型11、12の一方の側面部11f、12fと後面部11e、12eとには、第1および第2の位置合わせ面11E、12E、11F、12Fが形成されている。さらに、他方の側面部11g、12gの前面部11d、12d側の端部には、着脱方向に対して傾斜した傾斜面11G、12Gが形成されている。
【0037】
固定側および可動側の金型ホルダ34、35は、金型11が着脱自在に装着されるホルダ本体34a及び金型12が着脱自在に装着されるホルダ本体35aと、第1および第2の位置合わせ基準部34E、34F、35E、35Fと、可動部材44、44と、ばね付勢手段45、45とを具えている。
【0038】
第1および第2の位置合わせ基準部34E、34F、35E、35Fは、ホルダ本体34a、35aに設けられ、金型11、12の第1および第2の位置合わせ面11E、12E、11F、12Fがそれぞれ当接する。可動部材44、44は、金型ホルダ34、35に取り付けられる金型11、12の一対の側面部11f、11g、12f、12gの対向方向に沿って変位可能にホルダ本体34a、35aに取り付けられている。
【0039】
この可動部材44には、金型11、12の傾斜面11G、12Gに当接する押圧部44aが形成されている。本実施形態では、可動部材44がタイバ32の長手方向と平行なピン46を介して回動自在となっており、保持位置と退避位置との間で移動可能な可動の部材となっている。
【0040】
図7(A)は金型ホルダ34について、可動部材44が保持位置(閉じた位置)に位置している場合を示し、図7(B)は退避位置(開いた位置)に位置している場合を示す。保持位置では金型11が位置決めされた状態でホルダ本体34aに保持される。一方、退避位置では可動部材44がホルダ本体34aに対する金型11の着脱の妨げとならず、着脱が許容される。図9は金型ホルダ35について可動部材44が保持位置に位置している場合を示している。特に図示しないが、金型ホルダ34の可動部材44と同様、金型ホルダ35の可動部材44も退避位置に回動可能となっている。本実施形態では可動部材44の移動態様を回動としたが、平行移動としてもよい。
【0041】
ばね付勢手段45は、この可動部材44とホルダ本体34a、35aとの間にそれぞれ組み込まれ、可動部材44を保持位置に常時付勢する。ばね付勢手段45は可動部材44の押圧部44aを金型ホルダ34、35に装着された金型11、12の傾斜面11G、12Gに押し付けるようなばね力をそれぞれ発生する。これにより、金型11、12の第1および第2の位置合わせ面11E、12E、11F、12Fが第1および第2の位置合わせ基準部34E、34F、35E、35Fに押し当てられ、金型ホルダ34、35に対する金型11、12の位置決めがなされて保持される。なお、本実施形態では、ばね付勢手段45の付勢力により可動部材44を保持位置に付勢する構成としたが、各種のモータ、エアシリンダ等の各種のアクチュエータで付勢する構成としてもよい。
【0042】
本実施形態における可動部材44は、金型ホルダ34、35に収容された金型11、12の前面部11d、12dの傾斜面11G、12G側の端部に係止する抜け外れ防止部44bと、挿入案内面44cと、取手部44dと、逃げ部44eとを有する。抜け外れ防止部44bは、先のばね付勢手段45によるばね力を利用して不用意に金型11、12が金型ホルダ34、35から抜け外れるのを防止する。
【0043】
挿入案内面44cは、金型11、12を金型ホルダ34、35に差し込む際に、金型11、12の他方の側面部11g、12gの後面部11e、12e側の端部に当接し、ばね付勢手段45による付勢力に抗して可動部材44を退避させる機能を持つ。つまり、作業者が取手部44dを掴んで可動部材44を操作することなく、金型ホルダ34、35に対して金型11、12を押し込むだけで金型ホルダ34、35に金型11、12を装着することができる。
【0044】
取手部44dは、固定側金型11の前面部11d、12dの傾斜面11G、12G側の端部に対する抜け外れ防止部44bの係合を解除するためのものであり、金型ホルダ34、35から金型11、12を取り出す際に利用する。
【0045】
逃げ部44eは、抜け外れ防止部44bが金型ホルダ34、35に収容された金型11、12の前面部11d、12dの傾斜面11G、12G側の端部に係止した状態において、可動部材44をタイバ32に対して非接触状態に保ためのものである。これにより、タイバ32に沿った金型ホルダ34、35の円滑な昇降動作を確保することかできる。
【0046】
なお、本実施形態における可動側金型ホルダ35の第1の位置合わせ基準部35Eは、可動側金型12の着脱操作に伴ってタイバ32の長手方向と平行な軸線回りに連れ回りし得る一対のローラ47を有する。これら一対のローラ47は、可動側金型ホルダ35に対する可動側金型12の着脱方向に沿って相隔ててホルダ本体35aにそれぞれ回転自在に保持されている。これにより、可動側金型ホルダ35に対する可動側金型12の着脱操作をより小さな力で容易に行うことができる。
【0047】
次に、図7及び図9に示すように、金型ホルダ34、35には位置検出センサ101、102を設けている。位置検出センサ101、102はホルダ本体34a、35aにそれぞれ支持されており、可動部材44の位置を検出する。
【0048】
位置検出センサ101、102は本実施形態の場合、光センサ(フォトインタラプタ)であり、発光部と受光部との間のスリットに物体が存在するか否かを検出する。金型ホルダ34の場合について、図7(A)に示すように可動部材44は被検知片441を有しており、被検知片441と位置検出センサ101との配置は以下の関係にある。
【0049】
すなわち、可動部材44が保持位置にある場合には被検知片441が位置検出センサ101に進入した状態となり、これが検出される。一方、図7(B)に示すように可動部材44が退避位置にある場合には被検知片441が位置検出センサ101から脱した状態となり、位置検出センサ101により被検知片441が検出されない。
【0050】
金型ホルダ35についても同様であり、可動部材44が保持位置にある場合(図9)には被検知片441が位置検出センサ102に進入した状態となり、これが検出され、図示しないが、可動部材44が退避位置にある場合には被検知片441が位置検出センサ102から脱した状態となり、位置検出センサ102により被検知片441が検出されなくなる。
【0051】
こうして位置検出センサ101、102の検出結果により、可動部材44が保持位置に位置しているか否かが判定でき、金型11、12が位置決めされた状態であるかを確認することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、位置検出センサ101、102として光センサを採用したが、可動部材44の位置が検出可能であればどのようなセンサであってもよく、例えば、接点式のスイッチ等でもよい。また、位置検出センサ101、102の配置も、可動部材44の位置を検出可能な範囲で適宜選択できる。
【0053】
次に、タイバ32には、ベース31側への固定側金型ホルダ34の移動を規制するためのストッパ48が取り付けられている。従って、固定側金型ホルダ34は、このストッパ48よりも下方には下降し得ないようになっており、ここが型開き状態における固定側金型ホルダ34の下降端位置(図1、図2参照)となる。
【0054】
例えば、本実施形態では、型締ブロック25と固定側金型ホルダ34との間にこの固定側金型ホルダ34をその下降端位置側に付勢するばね部材49が配されている。下降端位置にある固定側金型ホルダ34に保持された固定側金型11の受け面11aと、待機位置にある型締ブロック25の底面25aとの間には隙間が形成される。この結果、射出シリンダ17の下端のノズル17aが固定側金型11の受け面11aに開口するスプルー11cに対して非接触状態となる。
【0055】
可動側金型ホルダ35には、タイバ32の長手方向に沿って移動可能に保持されたエジェクタープレート50が可動側金型12の受け面12aと対向するように収容されている。このエジェクタープレート50には、可動側金型ホルダ35を貫通してベース31側に突出する複数本(図示例では2本)のエジェクターピン51が固定されている。
【0056】
可動側金型ホルダ35が型開き位置(図1および図2)にある場合、これらエジェクターピン51の下端がベース31に当接する。そして、エジェクタープレート50を可動側金型ホルダ35に保持された可動側金型12の受け面12a側に押し上げる結果、成形品がキャビティから排出される。型開き位置にある可動側金型ホルダ35の断面構造を固定側金型ホルダ34と共に図10に示し、この状態における可動側金型ホルダ35の外観を一部破断して図11に示す。可動側金型ホルダ35は、その型開き位置にて後述する型締力受け部材52が通る逃げ部35bを有する。
【0057】
退避位置(図11参照)にある型締力伝達部材37に対して可動側金型ホルダ35が型締め位置にある状態の外観を図12に示す。また、可動側金型ホルダ35および型締力伝達部材37が共に型締め位置にある状態における可動側金型ホルダ35の断面構造を図13に示し、この状態における可動側金型ホルダ35の外観を図14に示す。
【0058】
ホルダ駆動手段36は、可動側金型ホルダ35を型開き位置とこの型開き位置より
もベース31から離れた型締め位置との間で複数本のタイバ32の長手方向に沿って駆
動させるためのものである。
【0059】
本実施形態におけるホルダ駆動手段36は、開閉用モータ36aと、駆動スプロケット36bと、従動スプロケット36cと、これら駆動スプロケット36bと従動スプロケット36cとに巻き掛けられた無端の歯付きベルト36dとを有する。減速機36eを介して駆動スプロケット36bが取り付けられた正逆転可能な開閉用モータ36aはベース31に設置され、駆動スプロケット36bの回転情報がエンコーダ36fにより検出されて制御ユニット30に出力される。
【0060】
また、この制御ユニット30は、このエンコーダ36fの情報に基づいて開閉用モータ36aの作動を制御し、可動側金型ホルダ35をその型開き位置と型締め位置とに交互に切り替える。従動スプロケット36cは、この開閉用モータ36aに取り付けられた駆動スプロケット36bと平行にベース31の上方に図示しないブラケットを介して回転自在に保持されている。
【0061】
歯付きベルト36dの一部は、可動側金型ホルダ35の連結部35cに固定されている。従って、可動側金型ホルダ35は、比較的簡易な昇降機構によって、駆動スプロケット36bと従動スプロケット36cとの間で図1、図2に示す型開き位置と、図13に示す型締め位置との間を円滑で素早く昇降できるようになっている。すなわち、本実施形態の型締装置14は、型締め時においては減速機40によって極めて大きな減速比を得て所定の型締力を確保することができる。また、詳細は後述するが、型締め前や型開き後においては型締力の影響を除外して固定側金型ホルダ34に対する可動側金型ホルダ35の接近または退避動作を円滑に素早く実行することができる。
【0062】
なお、型開き位置から型締め位置に可動側金型ホルダ35が上昇すると、その途中でストッパ48に保持された固定側金型ホルダ34の固定側金型11のパーティング面11bに可動側金型12のパーティング面12bが押し当たる。そして、固定側金型11およびこれを収容する固定側金型ホルダ34が可動側金型12と共に型締め位置まで上昇するようになっている。可動側金型ホルダ35が型締め位置にある状態においては、固定側金型11のスプルー11cが型締ブロック25に支持された射出シリンダ17のノズル17aに対して接触または微小間隔をあけた状態となる。
【0063】
型締力伝達部材37は、ブロック駆動手段33により型締ブロック25から固定側金型ホルダ34および可動側金型ホルダ35を介して加えられる型締力をその型締め位置にてベース31に伝達するためのものである。
【0064】
本実施形態における型締力伝達部材37は、複数本(図示例では3本)の型締力受け部材52と、旋回板53と、この旋回板53に取り付けられた複数個(図示例では3個)の型締力伝達ブロック54とを有する。
【0065】
型締力受け部材52は、タイバ32と平行にベース31に突設され、その上端面が型締め位置にある可動側金型ホルダ35との間に隙間を形成する。これら型締力受け部材52の位置や数および大きさなどは、可動側金型ホルダ35から受ける型締力に対するバランスや剛性などを考慮して設定される。旋回板53は、可動側金型ホルダ35に対してタイバ32の長手方向と平行な軸線回りに旋回自在に支持されている。型締力受け部材52は、旋回板53に対してタイバ32の長手方向に沿って変位可能に保持される。このため、旋回板53には型締力受け部材52およびエジェクターピン51がそれぞれ貫通し得る複数(図示例では3つ)の開口53aおよび逃げ部53bが形成されている。型締力受け部材52の上端面と、型締め位置にある可動側金型ホルダ35の逃げ部35bの開口端面35dとの間隔Gは、タイバ32の長手方向に沿った型締力伝達ブロック54の長さLよりも広く設定されている。また、タイバ32の長手方向に沿った可動側金型ホルダ35に対する旋回板53の位置も適切に設定されている。
【0066】
具体的には、型締力が負荷していない状態において、旋回板53の開口53aに装着された型締力伝達ブロック54は、自重によってその上端面と可動側金型ホルダ35の底面、つまり開口端面35dとの間に微小な隙間を形成する。これにより、旋回板53を退避位置から型締め位置へと旋回させた場合、型締力伝達ブロック54と型締め位置における可動側金型ホルダ35および型締力受け部材52との衝突や接触に伴う摩耗を回避することができる。
【0067】
逆に、型締力伝達ブロック54に対して可動側金型ホルダ35および型締力受け部材52が接触状態となっている状態で旋回板53を退避位置から型締め位置へと旋回させる場合、これらの摩耗を回避するための何らかの手段を組み込むことが有効である。本実施形態では、待機位置への型締ブロック25の上昇を開始した後、旋回板53を退避位置から型締め位置へと旋回させるようにしている。このため、型締力伝達ブロック54と可動側金型ホルダ35および型締力受け部材52との強い接触に伴う大きな摩耗を回避することが可能である。
【0068】
型締力伝達ブロック54は、型締力受け部材52の上端面と可動側金型ホルダ35の逃げ部35bの開口端面35dとに対向する型締め位置と、型締力受け部材52の側方にずれる退避位置とに切り替えられるようになっている。この切り替えは、伝達部材駆動手段38により旋回板53を旋回させることによってなされる。つまり、伝達部材駆動手段38は、型締力伝達部材37を型締め位置と型締力が伝達されない退避位置との間でタイバ32の長手方向に対して交差する方向に駆動する。
【0069】
本実施形態における伝達部材駆動手段38は、正逆転可能な旋回用モータ38aと、この旋回用モータ38aに取り付けられた駆動歯車38bと噛み合う扇状歯車38cと、旋回量検出センサ38dとを有する。
【0070】
旋回用モータ38aは、可動側金型ホルダ35に取り付けられ、扇状歯車38cは、旋回板53の外周面の一部に設けられている。また、旋回量検出センサ38dも可動側金型ホルダ35に取り付けられて旋回板53の外周面と対向している。この旋回量検出センサ38dと対向する旋回板53の外周面には、その周方向に沿って図示しないスリットが一定間隔で歯車状に刻設されている。旋回量検出センサ38dは、このスリットの通過をカウントすることにより、旋回板53の回転量を検出するようになっている。従って、旋回用モータ38aは、この旋回量検出センサ38dからの検出信号に基づいてその正逆転方向が切り替えられ、型締力伝達ブロック54を型締力の方向に対して交差する方向に移動させてその型締め位置と退避位置とに切り替える。なお、旋回量検出センサ38dとしてタッチセンサを用い、型締め位置と退避位置とに対応した一対のドッグを旋回板53に取り付けることも可能である。
【0071】
また、制御ユニット30は、この射出成形機10が円滑な成形を実行できるように、ヒーター18、射出用モータ21、フィーダ16b、型締用モータ41、開閉用モータ36a、旋回用モータ38aなどの作動を制御する。これは、図示しない操作盤に配されたスイッチ類や、リミットスイッチ29a、29b、材料有無検知センサ16d、エンコーダ36fおよび41a、旋回量検出センサ38d、位置検出センサ101及び102などからの検出信号に基づき、予め設定されたプログラムに従って実行される。
【0072】
特に、本実施形態では制御ユニット30が各モータ21、41、36a、38aに流れる電流値を常に監視し、これが予め設定した値を越えた場合、何らかの異常が発生していると判断し、射出作業を停止するようになっている。
【0073】
また、制御ユニット30は、位置検出センサ101、102の検出結果に基づき、可動部材44、44が保持位置にあるか否かを判定し、少なくともいずれかの可動部材44が保持位置にない場合は成形処理を中止することができる。
【0074】
中止する成形処理としては、例えば、型締め前であれば型締めを禁止(型締用モータ41を駆動しない)し、型締め中であれば型締めを停止(型締用モータ41を停止)或いは型開き(型締用モータ41を逆転)する。位置検出センサ101、102の検出結果の取得は周期的に行ってもよいし、型締め前に行うようにしてもよい。
【0075】
また、警報音の出力装置や警告を表示する表示装置等の報知装置を設け、位置検出センサ101、102の検出結果に基づき、可動部材44、44が保持位置にないと判定した場合は、その旨を使用者に報知するようにしてもよい。
【0076】
このような射出成形機10の作動手順を図15のフローチャートに示す。すなわち、初期状態はプランジャ19が上昇端にあり、型締ブロック25が待機位置にあり、可動側金型ホルダ35が型開き位置にあり、旋回板53が退避位置にある。
【0077】
この状態から、S11のステップにて開閉用モータ36aが正転して可動側金型ホルダ35を型開き位置から上昇させる。そして、S12のステップにて可動側金型12のパーティング面12bと固定側金型11のパーティング面11bとが接触したか否かをエンコーダ36fからの情報に基づいて判定する。このS12の判断ステップは、可動側金型12が固定側金型11との接触位置まで達するまで繰り返される。
【0078】
このようにして、可動側金型12が固定側金型11との接触位置まで達したと判断した場合には、S13のステップにて可動側金型ホルダ35が型締め位置まで上昇したか否かを判定する。ここで、可動側金型ホルダ35が型締め位置まで上昇していないと判断した場合、S14のステップに移行して開閉用モータ36aに異常トルク、つまり過大電流が流れているか否かを判定し、何もなければS13のステップに戻る。
【0079】
S14のステップにて開閉用モータ36aに異常トルクが発生している、すなわち、可動側金型12と固定側金型11との間に異物が介在しているなど、何らかの不具合が予想される場合には、S15のステップに移行し、異常処理を行って射出作業を停止する。
【0080】
S15のステップにおける異常処理は、開閉用モータ36aの停止およびこれに続く逆転により可動側金型12および固定側金型11を初期状態の位置に戻す操作を含む。また、同時に異常が発生したことを図示しないディスプレイを用いた視覚的手段や音などを使って作業者に警告する処理を含むことができる。作業者は、初期状態に戻った可動側および固定側の金型11、12をこれらのホルダ34、35から必要に応じて取り外し、金型11、12の状態を点検して異物を除去したり、必要に応じて金型の修理交換を行って成形作業を再開する。
【0081】
何も問題なく可動側金型ホルダ35が型締め位置まで上昇した場合、S16のステップにて旋回用モータ38aを正転し、旋回量検出センサ38dからの情報に基づいて退避位置にある型締力伝達ブロック54を型締め位置まで移動させる。そして、型締力伝達ブロック54が型締め位置まで移動した時点でS17のステップに移行し、型締用モータ41を正転し、待機位置にある型締ブロック25を型締め位置まで下降させ、同時に開閉用モータ36aに対する通電を停止する。これにより、型締力受け部材52に対し可動側金型ホルダ35が型締力伝達部材37を介して支持される状態となる。
【0082】
このS17のステップでの型締用モータ41の正転に続き、S18のステップにて型締ブロック25が型締め位置まで下降したか否かをエンコーダ41aからの検出信号に基づいて判定する。ここで、型締ブロック25が型締め位置に達していないと判断した場合には、S19のステップに移行して型締用モータ41の何れかに異常トルク、つまり過大電流が流れているか否かを判定する。そして、何もなければ型締用モータ41の正転を続け、S18の判断ルーチンを繰り返す。
【0083】
S19のステップにて少なくとも1台の型締用モータ41に異常トルクが発生している、すなわち、型締ブロック25と固定側金型11との間に異物が介在しているなど、何らかの不具合が予想される場合には、S20のステップに移行する。
【0084】
S20のステップでは、これに対応した異常処理を行って射出作業を停止する。この異常処理は、型締用モータ41の停止およびこれに続く逆転により型締ブロック25を初期状態の待機位置に戻す操作を含む。また、同時に異常が発生したことを図示しないディスプレイを用いた視覚的手段や音などを使って作業者に警告する処理を含むことができる。作業者は、初期状態に戻った型締ブロック25と固定側金型11との隙間を点検して異物を除去したりするなど、状況に応じた対処を行って成形作業を再開する。
【0085】
エンコーダ41aからの検出信号に基づき、S18のステップにて型締ブロック25が型締め位置まで下降したと判断した場合には、S21のステップに移行して型締用モータ41の駆動トルクをそれぞれ制御する。そして、固定側金型ホルダ34に保持された固定側金型11を型締め位置にある可動側金型ホルダ35に保持された可動側金型12に対して押圧し、所望の型締力を発生させる。この場合、型締力伝達ブロック54が旋回板53の開口53aに対して相対移動可能となっているため、型締力伝達ブロック54に加わる型締力は旋回板53に伝達されず、旋回板53が撓むなどの不具合は生じない。
【0086】
しかる後、S22のステップに移行して射出および冷却処理を行う。この射出および冷却処理は、射出用モータ21を正転駆動して上昇端に位置する昇降板23aをその下降端まで移動させる操作を含む。また、射出シリンダ17内の樹脂材料を可塑化させつつそのノズル17aから固定側金型11と可動側金型12とで画成されたキャビティ内に射出する操作を含む。これにより、溶融樹脂が予め設定され射出圧力および射出速度でキャビティ内に充填され、成形品となる。さらに、この射出および冷却処理は、キャビティ内に射出された樹脂材料が冷却固化する所定時間後に射出用モータ21を逆転駆動してリミットスイッチ29aからの検出情報に基づき、下降端に位置する昇降板23aをその上昇端まで戻す操作を含む。これに加え、フィーダ16bを作動させて所定量の成形材料を射出シリンダ17内に供給する操作も含む。
【0087】
S22のステップに続き、S23のステップにて型締用モータ41に対する通電を停止し、型締力を発生させていた駆動トルクを解除する。しかる後、S24のステップにて型締用モータ41を逆転し、型締ブロック25をその型締め位置から待機位置へと上昇させる。そして、S25のステップにて旋回用モータ38aを逆転し、型締め位置にある型締力伝達ブロック54を退避位置へと戻す。この場合、型締ブロック25がその待機位置へと上昇しつつあるので、型締力伝達ブロック54と可動側金型ホルダ35および型締力受け部材52との接触に伴う摩擦が回避される。
【0088】
旋回板53が退避位置に戻った時点でS26のステップに移行し、開閉用モータ36aを逆転させて可動側金型ホルダ35を型開き位置まで下降させる。この下降の途中で、ストッパ48により固定側金型ホルダ34の下降が規制され、固定側金型11のパーティング面11bと下降を続ける可動側金型12のパーティング面12bとが離れ、型開き状態となる。
【0089】
S26のステップに続き、可動側金型ホルダ35が型開き位置に達した時点でS27のステップに移行し、成形品の取り出しが行われる。より具体的には、エジェクターピン51およびこれが連結されたエジェクタープレート50の作用により、成形品が可動側金型12から突き上げられ、成形品およびこれにつながるランナーが図示しないロボットアームなどで可動側金型12から取り出される。
【0090】
<他の実施形態>
タイバ32は可動側および固定側金型ホルダ34、35の円滑な昇降および必要な強度を有してさえいれば、2本または3本であってもかまわない。また、これらの間隔を任意に設定することが可能である。さらに、固定側金型ホルダ34を省略し、固定側金型11を型締ブロック25に取り付けるようにしてもよく、金型が2プレート以外のものであっても、ホットランナー方式のものであってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型が着脱自在に装着されるホルダ本体と、
金型を位置決めされた状態で前記ホルダ本体に保持する保持位置と、前記ホルダ本体に対する金型の着脱を許容する退避位置と、の間で可動の可動部材と、
前記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、
を備えた金型ホルダ。
【請求項2】
前記可動部材は、前記保持位置と前記退避位置との間で回動自在に前記ホルダ本体に支持され、
前記可動部材を前記保持位置に常時付勢するばね付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の金型ホルダ。
【請求項3】
請求項1に記載の金型ホルダを備えた射出成形機。
【請求項4】
前記位置検出手段の検出結果に基づき、前記可動部材が前記保持位置にあるか否かを判定し、前記保持位置にない場合は成形処理を中止する制御手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の射出成形機。
【請求項1】
金型が着脱自在に装着されるホルダ本体と、
金型を位置決めされた状態で前記ホルダ本体に保持する保持位置と、前記ホルダ本体に対する金型の着脱を許容する退避位置と、の間で可動の可動部材と、
前記可動部材の位置を検出する位置検出手段と、
を備えた金型ホルダ。
【請求項2】
前記可動部材は、前記保持位置と前記退避位置との間で回動自在に前記ホルダ本体に支持され、
前記可動部材を前記保持位置に常時付勢するばね付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の金型ホルダ。
【請求項3】
請求項1に記載の金型ホルダを備えた射出成形機。
【請求項4】
前記位置検出手段の検出結果に基づき、前記可動部材が前記保持位置にあるか否かを判定し、前記保持位置にない場合は成形処理を中止する制御手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の射出成形機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−158080(P2012−158080A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19098(P2011−19098)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】
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