説明

金型洗浄用シリコーンゴムシート組成物

【課題】トランスファ−成型金型のクリ−ニングシ−ト用シリコ−ンゴム組成物ならびにシリコ−ンゴムシ−トに関するものである。本発明の目的は上記のような問題のない、クリ−ニングシ−トを提供するためのシリコ−ンゴム組成物を提供するものである。
【解決手段】(A)平均組成式RSiO(4−n)/2 で表されるオルガノポリシロキサン、(B)比表面積50m/g以上の補強性シリカ、(C)ジオルガノシロキサンブロック単位(a)を有するとともに、三官能性アリ−ルシロキサン単位(b)とを必須として有し、単位(c)により分子末端の少なくとも一部が封鎖されたオルガノポリシロキサンブロック共重合体、(D)硬化剤を必須成分とすることを特徴とする金型洗浄用シリコ−ンゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトランスファ−成型金型のクリ−ニングシ−ト用シリコ−ンゴム組成物ならびにシリコ−ンゴムシ−トに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体封止用パッケ−ジにはエポキシ樹脂が広く使用されていたが、近年、低応力を目的としてシリコ−ン成分を含む樹脂が多く使用される様になり、さらにはシリコ−ン樹脂を主成分とする樹脂が注型、圧縮成型、射出成型、トランスファ−モ−ルド成型する封止材、リフレクタ−材に用いられている。
【0003】
しかしながら、上記のようなトランスファ−成型により、従来にないシリコ−ン成分による金型汚染が発生し、連続成型を行うためには金型離型材が必要となってきている。シリコ−ン成分が原因となる金型汚染に対しては特許公報第2646046号、特許公報第2549829号に記載される従来のクリ−ニングシ−トやメラミン樹脂成形によるクリ−ニングでは十分な洗浄を行うことができない。
【0004】
更にシリコ−ン樹脂成形で一般に用いられるフッ素系離型材、シリコ−ン系金型離型材をスプレ−塗布する方法では金型表面の汚染物質を取り除くことは困難であった。
【0005】
シリコ−ンゴム組成物として特許公報第2835447号において高引裂きシリコ−ンゴム組成物、特許公報題2646046号において高減衰性シリコ−ンゴム組成物においてオルガノポリシロキサンレジンを添加したシリコ−ンゴム組成物が開示されているが、40kgf/cmを超える引き裂き強度は必ずしも必要ではなく、エポキシ樹脂が使用される環境においては付加硬化反応による硬化システムでは硬化不良を起こす可能性が高い。
【0006】
【特許文献1】特許公報第2646046号公報
【特許文献2】特許公報第2549829号公報
【特許文献3】特許公報第2835447号公報
【特許文献4】特許公報題2646046号号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は上記のような問題のない、クリ−ニングシ−トを提供するためのシリコ−ンゴム組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(A)下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキン、(B)比表面積50m2/g以上の補強性シリカ(C)下記一般式(2)(3)からなるオルガノポリシロキサン共重合体、(D)硬化材からなるシリコ−ンゴム組成物がトランスファ−成型用金型の洗浄用シリコ−ンゴムシ−トとして金型表面からの汚染物質の除去ならびに金型離型力を回復させることを見出したものである。
【0009】
従って本発明は、(A)下記平均組成式(1)
SiO(4−n)/2 (1)
(式中Rは同一又は異種の非置換または置換一価単価水素基、nは1.98〜2.02の正数である。)で表されるオルガノポリシロキサン 100重量部
(B)比表面積50m/g以上の補強性シリカ 5〜100重量部
(C)下記シロキサンブロック単位(a)を有するとともに、
【0010】
【化1】


〔式中、Rは脂肪族不飽和基を含有しない置換または非置換の炭素原子数1〜10の一価炭化水素基であり、nは3〜150の整数である〕
下記で表される三官能性アリ−ルシロキサン単位(b)とを必須として有し、
【0011】
【化2】


〔式中、R2は炭素原子数6〜12の置換または非置換のアリールもしくはアルカリール基を示す〕
下記式で表される単位(c)により分子末端の少なくとも一部が封鎖されたオルガノポリシロキサンブロック共重合体。
【0012】
【化3】


〔式中、R1は上記と同じであり、Rはアルケニル基または水酸基を示す。xは0又は1〜3の整数である。〕
0.1〜50重量部
(D)硬化剤 0.1〜10重量部
を必須成分とすることを特徴とする金型洗浄用シリコ−ンゴム組成物を提供する。
【発明の効果】
【0013】
トランスファ−成型用金型の洗浄用シリコ−ンゴムシ−トとして金型表面からの汚染物質の除去ならびに金型離型力を回復させることを目的とするシリコ−ンゴム組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは
SiO(4−n)/2
(式中Rは同一又は異種の非置換または置換一価単価水素基、nは1.98〜2.02の正数である。)で表されるものである。
【0015】
Rは同一または異種の好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは1〜8の非置換または置換の一価炭化水素基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、β―フェニルプロピル基等のアラルキル基、あるいはこれらの基の炭化水素基に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される、これらの中ではメチル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基、ビニル基が好ましく、とりわけメチル基が50モル%以上、特に80モル%以上であることが好ましい。
【0016】
また、nは1.98〜2.02の正数であり、(A)成分としては直鎖状、分岐状何れでも良いが、生産性、成型性、ロ−ル加工性、形状維持性等の点で、下記一般式(3)で示される直鎖状のシリコーンエラストマーが好ましい。
【0017】
【化4】


ここで、Rは同一でも異なってもよい上記した基であり、mは1,000〜100,000の整数である。
【0018】
このオルガノポリシロキサンは分子鎖末端がトリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、ジメチルヒドロキシシリル基、トリビニルシリル基などで封鎖されたものとすることができる。本発明において、このオルガノポリシロキサンは分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する必要があり、Rのうち、0.001〜10モル%、特に0.01〜5モル%がアルケニル基、特にビニル基であることが好ましい。また、粘度は25℃における粘度が100cs以上のものが好ましい。より好ましくは100,000〜10,000,0000csである。重合度は1000以上、特に3,000〜100,000が好ましく、中でも4,000〜20,000が好ましい。
【0019】
かかるオルガノポリシロキサンとしては、具体的には下記式(4)で示されるものがあげられる。
【0020】
【化5】

【0021】
ここで、Meはメチル基、Viはビニル基を示す。pは1000〜100000、好ましくは5000〜15000、qは0〜30、好ましくは0.01〜10であり、y、zは0または1〜3の整数である。
【0022】
次に(B)成分の補強性シリカは機械的強度の優れたシリコ−ンゴムを得る目的に用いられ、乾式シリカ(煙噴霧シリカ)や湿式シリカ(沈降性シリカ)が例示される。強度を得るためには乾式シリカが好ましい。また必要に応じてその表面をオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等で表面処理されたシリカを用いても良い。
【0023】
これらのシリカの比表面積は50m/g以上、好ましくは100〜400m/gのものである。なお、この補強性シリカの添加量は(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して5重量部未満ではすくな過ぎて十分な補強性効果が表れず、100重量部を超えると著しく加工性が低下し、得られたシリコ−ンゴムの強度も低下するので、5〜100重量部、好ましくは20〜70重量部である。
【0024】
(C)成分のシロキサンブロック含有オルガノポリシロキサン共重合体は、下記シロキサンブロック単位(a)を有するとともに、
【0025】
【化6】


〔式中、Rは脂肪族不飽和基を含有しない置換または非置換の炭素原子数1〜10の一価炭化水素基であり、nは3〜150の整数である〕
下記で表される単位から形成された三官能性アリ−ルシロキサン単位(b)とを必須として有し、
【0026】
【化7】


〔式中、R2は炭素原子数6〜12の置換または非置換のアリールもしくはアルカリール基を示す〕
下記式で表される単位(c)により分子末端の少なくとも一部が封鎖されたオルガノポリシロキサンブロック共重合体である。
【0027】
【化8】


〔式中、R1は上記と同じであり、Rはアルケニル基または水酸基を示す。xは0又は1〜3の整数である。〕
【0028】
シロキサンブロック単位(a)を構成する前記式において脂肪族不飽和基を有しない置換または非置換の一価炭化水素Rは炭素数1〜10のものであり、例えばメチル、エチル、ピロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等のアルキル基、シクロプロピル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、フェニル、ナフチル、トリル、キシリル等のアリ−ル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル等のアラルキル基およびこれらの基の水素原子の一部または全部が塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換された基、たとえば、クロロメチル、トリフルオロプロピル、クロロフェニル、ジフルオロフェニル等のハロゲン化炭化水素基やβ−シアノエチル、γ−シアノプロピル、β―シアノプロピル等のシアノアルキル基等を例示することができる。本発明において合成が容易であることからメチル基であることが好適である。
【0029】
また前式において重合度を表す整数nは3〜150、特に10〜50、さらに好ましくは15 〜40の範囲であることが好適である。
【0030】
かかるシロキサンブロック単位(a)はオルガノポリシロキサン共重合体(C)中に少なくとも1個存在していれば良いが、一般的にはオルガノポリシロキサン共重合体(C)中に20〜60重量%、特に30〜50重量%の割合で存在することが好適である。シロキサンブロック(a)の含有量があまり少ないとシリコ−ンゴム中の分散が困難であり、あまり多く含まれると金型離型性能が不満足なものとなる。
【0031】
三官能性アリ−ルシロキサンブロック(b)は前記(3)式の平均単位式で表され、且つ、ケイ素原子数が3〜150、特に5〜50のブロックである。この平均単位式(3)において置換または非置換のアリ−ルもしくはアルカリ−ルRは炭素原子数6〜12のものであり、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基等を例示することができる。本発明においてRはフェニル基であることが好ましい。
【0032】
かかる三官能性アリ−ルシロキサンブロック(b)はオルガノポリシロキサン共重合体(C)中に少なくとも1個存在すればよく、一般的にはオルガノポリシロキサン共重合体(C)に30〜80重量%、特に40〜60重量%の割合で存在している。このシロキサンブロック(b)の含有量があまり少ないと得られるシリコ−ンゴムシ−トの金型離型性能が不十分なものとなり、あまり多いとシリコ−ンゴム中への分散が困難となる。
【0033】
また上述したシロキサンブロック(a)及び(b) を有するオルガノポリシロキサンブロック共重合体(C) は、分子鎖末端の少なくとも一部が前記式で表される単位で封鎖されているが、この末端単位(c) は、このブロック共重合体(C) に架橋点を与えるものであり、硬化物の架橋密度を調整するものである。この末端単位(c)を表す式において、置換または非置換の一価の炭化水素基Rとしては、前記(a)式のRについて例示した基と同様のものを挙げることができる。アルケニル基Rとしては、例えばビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル等の炭素原子数2〜8のものを例示することができる。一般にかかる末端単位(c) は、ブロック共重合体(C) 中に1〜10重量%の割合で存在していることが好適である。
【0034】
本発明において、上述したオルガノポリシロキサン共重合体(C)は、それ自体公知の種々の方法で製造することができる。例えば、トルエン等の有機溶媒中に3〜150の重合度を有するクロロ末端ジクロロポリシロキサン、フェニルトリクロロシラン、及び必要に応じてメチルフェニルジクロロシラン等の2官能シランを目的とする共重合体(C)に相当するモル比で溶解させる。この溶液は水を十分に分散させたトルエン中に加えて共加水分解を行うことによってオルガノポリシロキサン共重合体(C)を製造することができる。
【0035】
オルガノポリシロキサン共重合体(C)は(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対し0.1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部である。0.1重量部未満では十分な金型離型性能回復効果が表れず、50重量部を超えて添加しても効果の向上が認められない。
【0036】
上記したシロキサン単位以外にも、下記式で示されるジオルガノシロキサン単位を含むことができる。
【0037】
【化9】


(ここで、Rは上記したとおりである。)
【0038】
(C)成分の前記一般式で表されるシロキサンブロック含有オルガノポリシロキサン共重合体は、下記平均組成式(2)で表される。
【0039】
【化10】

【0040】
式(2)において、R〜R、n、xは上述のとおりである。R3はヒドロキシル基又は炭素数1〜6の有機基、好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。また、aは0.01〜0.2、好ましくは0.02〜0.15、bは0.6〜0.95、好ましくは0.7〜0.90、cは0〜0.3、好ましくは0〜0.2、dは0〜0.2、好ましくは0〜0.1の数であり、但しその合計が1である。
【0041】
(D)成分の硬化剤は有機過酸化物または付加反応硬化剤(オルガノハイドロジェンポリシロキサン及び付加反応触媒)であるが、好ましくは硬化阻害の影響を受けにくい有機過酸化物である。有機過酸化物としてはベンゾイルパ−オキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、Oオメチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチルービス(2,5t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジーt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,6−(t−ブチルパーオキシカルボキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クミルーt−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物が用いられる。
【0042】
これらの有機過酸化物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの有機過酸化物の添加量は(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対し0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部である。0.1重量部未満では架橋が不十分であり、10重量部を超えても硬化速度の向上が望めない。
【0043】
付加反応硬化剤としては架橋剤として分子中にSiH基を2個以上、好ましくは3個以上有するオルガノハイドジェンポリシロキサンと付加反応触媒として白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸の1価アルコ−ルとの反応物、塩化白金酸とオレフィンの錯体、白金ビスアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などがあげられる。オルガノハイドオロオジェンポリシロキサン配合量は(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対し0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部である。また、付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができる。
【0044】
本発明の組成物には上記成分に加え、必要に応じてヒドロキシ基含有オルガノシロキサン、粉砕石英、結晶性シリカ等の非補強性シリカ、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカ−ボンブラック、炭酸カルシウム等の充填剤、着色剤、引き裂き向上剤、耐熱向上剤、受酸剤、熱伝導率向上剤、静電気防止剤等の各種添加材や離型剤あるいは充填剤用分散剤として各種アルコキシシラン、その加水分解物、シラノール基含有低分子シロキサンなどの添加は任意である。
【0045】
充填剤用分散剤として各種アルコキシシラン、その加水分解物、シラノール基含有低分子シロキサンとしては具体的には、ジメチルジメトシシラン、ジメチルジエトキシラン等のアルコキシシラン、各種アルコキシシランの加水分解物、両末端シラノ−ル基を有し、平均重合度が2〜100のジメチルポリシロキサン、ジフェニルジシラノ−ル、フェニルメチルジシラノ−ル等のフェニル基含有シラノ−ル等が用いられる。
【0046】
これらの充填剤用分散剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら充填材用分散剤の添加量は(A)成分のオルガノポリシロキンに対し、0.1〜30重量部、好ましくは5〜15重量部である。添加量が0.1重量部以下では分散剤として十分な役割を果たさず、30重量部以上ではシリコ−ンゴムシ−トに粘着感が発生し、シ−ト状に成型するのが困難になる。
【0047】
さらに本発明は未加硫のシリコ−ンゴムシ−トを用いることから、作業性を考慮し、ム−ニ−粘度(ML1+4 100℃)が15〜60であることが好適であり、より好適にはム−ニ−粘度が20〜40であることが望ましい。ムーニ-粘度が15未満の場合、シ−ト部出しが困難なであり、シリコ−ンゴムシ−トの変形、ハンドリング時のダレの原因になる。また、ム−ニ−粘度が60を超えると圧縮成型時に十分広がることなく硬化して金型全体をカバ−することができない。
【0048】
本発明のシリコ−ンゴム組成物は、上記成分を2本ロ−ル、バンバリ−ミキサ−、ドウミキサ−(ニ−ダ−)などのゴム混練り機を用いて均一に混合し、必要に応じて熱処理を施すことによって得ることができる。また、シリコ−ンゴムシ−トは2本ロ−ルまたは押し出し成型によって必要なサイズに成型することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0050】
ベ−スコンパウンド1の製造
ジメチルシロキサン単位99.825モル%、メチルビニルシロキサン単位0.15モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなり、平均重合度8000であるオルガノポリシロキサン100重量部、比表面積が300m/gであるフュ−ムドシリカ(日本アエロジル(株)製)30重量部、分散剤として両末端シラノ−ル基を有し、平均重合度13、25℃における粘度が15csであるジメチルポリシロキサン10重量部をニ−ダ−にて混練りし、180℃にて3時間加熱処理してベ−スコンパウンド1を調製した。
【0051】
ブロック共重合体(C)の製造
合成例1
Cl(Me)SiO(MeSiO)Si(Me)Cl (n=平均33個)100g(0.037モル)、フェニルトリクロロシシラン148g(0.70モル)、フェニルメチルジクロロシラン14.7g(0.077モル)、トルエン200gを混合して溶液を調製した。このクロロシラン溶液を攪拌しながらトルエン43gを水850gに分散させた液中に滴下した。この間に反応温度が20℃から50℃に上昇した。滴下終了後、さらに1時間攪拌を続けた。ついで攪拌を停止し、反応系を酸性の水層とシロキサン層とに分離させ、水層を取り除いた。シロキサン層を水が中性になるまで洗浄し、さらに硫酸ナトリウム30gを加え、2時間攪拌して脱水を行った。硫酸ナトリウムをろ過後、減圧下トルエンを除去して下記平均式で示される目的のオルガノポリシロキサン共重合体(「C−1」とする)を得た。
【0052】
【化11】

【0053】
合成例2
Cl(Me)SiO(MeSiO)Si(Me)Cl (n=平均18個)100g(0.066モル)、フェニルトリクロロシシラン114g(0.539モル)、フェニルメチルジクロロシラン5.4g(0.03モル)とした以外は合成例1と全く同様にして下記平均式で示されるオルガノポリシロキサン共重合体(「C−2」とする)を得た。
【0054】
【化12】

【0055】
[実施例1]
調製した上記ベ−スコンパウンド1 100重量部に対し、上記合成例1で得たオルガノポリシロキサン共重合体(C−1)1.0重量部を二本ロ−ルにて添加し、さらに硬化剤として2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパ−オキシ)ヘキサンの25%シリコ−ンペ−スト 2重量部を二本ロ−ルにて添加し、二本ロ−ル間幅を3mmに調整後、シリコ−ンゴムシ−トを調製した。
【0056】
[実施例2]
上記ベ−スコンパウンド1 100重量部に対し、上記オルガノポリシロキサン共重合体(C−1)10重量部を二本ロ−ルにて添加し、さらに硬化剤として2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパ−オキシ)ヘキサンの25%シリコ−ンペ−スト 2重量部を二本ロ−ルにて添加し、二本ロ−ル間幅を3mmに調整後、シリコ−ンゴムシ−トを調製した。
【0057】
[実施例3]
上記ベ−スコンパウンド1 100重量部に対し、上記オルガノポリシロキサン共重合体(C−2)1.0重量部を二本ロ−ルにて添加し、さらに硬化剤として2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパ−オキシ)ヘキサンの25%シリコ−ンペ−スト 2重量部を二本ロ−ルにて添加し、二本ロ−ル間幅を3mmに調整後、シリコ−ンゴムシ−トを調製した。
【0058】
[実施例4]
上記ベ−スコンパウンド1 100重量部に対し、上記オルガノポリシロキサン共重合体(C−2)10重量部を二本ロ−ルにて添加し、さらに硬化剤として2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパ−オキシ)ヘキサンの25%シリコ−ンペ−スト 2重量部を二本ロ−ルにて添加し、二本ロ−ル間幅を3mmに調整後、シリコ−ンゴムシ−トを調製した。
【0059】
[比較例1]
上記ベ−スコンパウンド1 100重量部に対し、硬化剤として2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパ−オキシ)ヘキサンの25%シリコ−ンペ−スト 2重量部を二本ロ−ルにて添加し、二本ロ−ル間幅を3mmに調整後、シリコ−ンゴムシ−トを調製した。
【0060】
[比較例2]
上記ベ−スコンパウンド1 100重量部に対し、ブリ−ド性シリコ−ンオイルとしてフェニル基含有シリコ−ンオイルKF54(粘度400cSt、信越化学(株)製)を3重量部、硬化剤として2,5−ジメチル-ビス(2,5−t-ブチルパ−オキシ)ヘキサンの25%シリコ−ンペ−スト 2重量部を二本ロ−ルにて添加し、二本ロ−ル間幅を3mmに調整後、シリコ−ンゴムシ−トを調製した。
【0061】
[比較例3]
上記ベ−スコンパウンド1 100重量部に対し、ブリ−ド性シリコ−ンオイルとしてトリフルオロプロピル基含有シリコ−ンオイルFL−100(粘度100cSt、信越化学(株)製)を3重量部、硬化剤として2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパ−オキシ)ヘキサンの25%シリコ−ンペ−スト 2重量部を二本ロ−ルにて添加し、二本ロ−ル間幅を3mmに調整後、シリコ−ンゴムシ−トを調製した。
【0062】
シリコ−ンゴムシ−トの評価
上記実施例および比較例で得られたシリコ−ンゴムクリ−ニングシ−トを用いて半導体素子を通常の条件下でトランファ−モ−ルド成型を行い、連続成型できる回数を調べ、かつ、金型表面状態を観察した。その結果を表1と表2にまとめた。尚、エポキシ樹脂またはシリコ−ン樹脂は下記組成物を用いた。成型試験はシリコ−ンゴムクリ−ニングシ−トは金型設定温度175℃、成型時間120秒にて硬化させて直ちに金型からはがし、直ちにエポキシ樹脂を金型設定温度175℃、成型時間90秒にて100回連続成型あるいは連続して成型できる回数まで成型して、金型表面状態を観察した。
【0063】
エポキシ樹脂
エポキシレジン:クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂/シリコ−ン変性エポキシ樹脂(60重量部/5重量部)
硬化材:ノボラック型フェノ−ル樹脂(35重量部)
硬化促進剤:トリフェニルフォスフィン(1重量部)
無機充填材:溶融シリカ(400重量部)
接着助剤:γ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン(0.5重量部)
着色剤:カ−ボン(1重量部)
離型剤:天然カルバナワックス(1重量部)
【0064】
シリコ−ン樹脂
シリコ−ンポリマ−:末端シラノ−ル基含有シリコ−ンレジン(100重量部)
無機充填材:溶融シリカ(700重量部)
着色剤:酸化チタン(150重量部)
縮合剤:ステアリン酸カルシウム(1重量部)
接着助剤:γ-グリシジルプロピルトリメトキシシラン(0.5重量部)
【0065】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記平均組成式(1)
SiO(4−n)/2 (1)
(式中Rは同一又は異種の非置換または置換一価炭化水素基、nは1.98〜2.02の正数である。)で表されるオルガノポリシロキサン 100重量部
(B)比表面積50m/g以上の補強性シリカ 5〜100重量部
(C)下記シロキサンブロック単位(a)を有するとともに、
【化1】


〔式中、Rは脂肪族不飽和基を含有しない置換または非置換の炭素原子数1〜10の一価炭化水素基であり、nは3〜150の整数である〕
下記で表される三官能性アリ−ルシロキサン単位(b)とを必須として有し、
【化2】


〔式中、R2は炭素原子数6〜12の置換または非置換のアリールもしくはアルカリール基を示す〕
下記式で表される単位(c)により分子末端の少なくとも一部が封鎖されたオルガノポリシロキサンブロック共重合体。
【化3】


〔式中、R1は上記と同じであり、Rはアルケニル基または水酸基を示す。xは0又は1〜3の整数である。〕
0.1〜50重量部
(D)硬化剤 0.1〜10重量部
を必須成分とすることを特徴とする金型洗浄用シリコ−ンゴム組成物。
【請求項2】
請求項1記載の硬化触媒が有機過酸化物であること特徴とするシリコ−ンゴム組成物。
【請求項3】
請求項2に記載のシリコ−ンゴム組成物のム−ニ−粘度(ML1+4 100℃)が15以上60
以下であるシリコ−ンゴム組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物をシ−ト状に加工し、トランスファ−成型用金型のクリ−ニングならびに離型力を回復させるクリ−ニング用シリコ−ンゴムシ−ト。
【請求項5】
請求項4に記載のトランスファ-成型する樹脂がシリコ−ン樹脂ならびにシリコ−ンを含有するハイブリット樹脂であることを特徴とするクリ−ニング用シリコ−ンゴムシ−ト。

【公開番号】特開2010−173293(P2010−173293A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21348(P2009−21348)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】