説明

金属条材への樹脂被覆形成方法および金属条材保持反転装置

【課題】3mm以上に及ぶ厚膜被覆における厚さ偏倚を許容レベル以内に抑える。
【解決手段】曲管10を加熱してから流動浸漬槽13で樹脂粉体14を凝着させて仕掛り被覆付き金属条材17にした後、その金属条材17を流動浸漬槽13から取り出して金属条材保持台座18のところへ移送し、そこで金属条材17を静置形態で経時させることで仕掛り被覆16を母材10の熱により完全溶融状態に到達させるとともに、該経時の間に進行する該仕掛り被覆16の自重流下起因の厚さ偏倚を矯正すべく、金属条材保持台座18によって金属条材17の静置形態の姿勢を天地反転させることで仕掛り樹脂被覆16の自重流下方向を逆流方向に切替え、次いで冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外面防食被覆の施された管路や構築物を構成する資材となる樹脂被覆付きの金属条材を製造するための金属条材への樹脂被覆形成方法に関し、詳しくは、異形金属条材の外面に3mm以上の厚膜被覆を少ない厚さ偏倚を以て形成する方法に関する。
また、この発明は、上記「金属条材への樹脂被覆形成方法」の実施に好適な「金属条材保持反転装置」にも関する。
なお、異形金属条材は、湾曲部や分岐を有する金属条材を意味し、金属条材は、鋼管などの金属管や形鋼などの金属製形条材を意味する。
【背景技術】
【0002】
金属条材への樹脂被覆形成手法の典型例として、鋼管等の外面へのポリエチレン被覆形成が挙げられるが、その手法については、押出し被覆法や,一軸回転粉体ライニング法,流動浸漬法などが知られている(例えば特許文献1〜4参照)。
具体的には(例えば特許文献1参照)、真直ぐな鋼管を加熱した後、その鋼管を水平に保持して軸心回転させながら、その外面にポリエチレン粉体を振りかけて、被覆を形成するライニング方法及び装置が知られており、この一軸回転粉体ライニング法で得られた被覆厚さは1.7mm〜3.0mmであった。
【0003】
また(例えば特許文献2参照)、鋼管を加熱した後、ポリエチレン粉体を装填した流動槽(流動浸漬槽)に加熱状態の鋼管を浸漬して被覆を形成し、而もその被覆形成途上で、粉体の流動を停止し更にはその流動槽内の空気を吸引することで樹脂粉末の嵩密度を上げて良質な被覆を得るという金属管の外面ライニング方法が知られており、この流動浸漬法の場合も、鋼管は直管であり流動槽中で水平に保持されていた。
さらに(例えば特許文献3参照)、流動浸漬に供されている最中の金属条材に通電加熱を適用することで、良質な被覆を得るのに好ましい温度に金属条材を維持するライニング技術が知られている。この場合、金属条材は、やはり直管であったが、鉛直に吊下げられた状態で流動槽に搬入出されていた。これで得られた被覆厚さは1.4mm〜1.6mmであった。
【0004】
その他(例えば特許文献4参照)、鋼管を長手方向・軸方向に送りながら、誘導コイルやバーナー等での加熱と、振動法や流動浸漬法などで粉末を融着することによる平滑な連続層の一次皮膜の形成と、振動法や揺動法などでペレット粒を融着することによる不連続な凹凸層の二次次皮膜の形成とを、連続施工することにより、衝撃強度を大とする技術が知られている。この場合も、金属条材は直管であり水平にして施工されていた。また、ポリエチレン粉末と直径約3mmのポリエチレンペレットとを用いたときに得られた被覆厚さは、一次皮膜が1mm、二次皮膜が1.5mmであり、合わせて2.5mmほどであった。
【0005】
これらの樹脂被覆形成技術のうち押出し被覆法や一軸回転粉体ライニング法は、いずれも直管あるいは真直ぐな金属条材に多用されており、湾曲部や分岐などの異形部分を有する金属条材(これを本明細書では異形金属条材と呼ぶ)への樹脂被覆形成に適用するのは困難である。このため、異形金属条材への樹脂被覆形成には、流動浸漬法が多用されている。また、異形金属条材が大物である場合、例えば直径が数百mm以上で長さが数千mm以上の曲管の場合、その保持や移送に使用可能な設備が限られるため、クレーン設備が多用され、管端を手掛りにして吊り下げることで、両端をほぼ同じ高さにするとともに中央や中間の重心部か重心近傍を低く下げた安定姿勢にし、そのような吊持状態で加熱工程と移送工程と流動浸漬工程と移送工程と溶融固化工程とがその順に施工される。
【0006】
加熱工程では、誘導加熱やガス加熱などで異形金属条材の全体が被覆樹脂の融点以上に加熱され、次の移送工程では、上述した吊持状態で即ち二端引上げの吊下げ保持によって異形金属条材が熱いまま移送され、流動浸漬工程では、移送時の吊持状態のまま異形金属条材が流動浸漬槽に入れられて外面に樹脂粉体を付着させられ、続く再度の移送工程でも、その吊持状態のまま異形金属条材が流動浸漬槽から出されて静置場へ移送され、最後の溶融固化工程では、静置場で、上記吊持状態を引き継いだ二端支承等による低重心姿勢で異形金属条材が静かに置かれ、母材の熱によって粉体樹脂が完全に溶融するのを待ち、それから管体の中空へのエアーブロー等によって異形金属条材が冷却され、それに随伴して樹脂被覆が固化する。
【0007】
このようなポリエチレン被覆の場合、防食性能については大抵の環境に関して、0.5mm以上の厚さで20〜30年以上といった長期防食が可能である。よって、更なる安全を期して1〜2mm程度の膜厚とされることが多い。上述の各例もそのようなものであり、3mm以上といった厚膜被覆を形成することの積極的な開示はなく、ましてや3mm以上の厚膜被覆を厚さ偏倚少なく形成する技術についての言及など全くない。
ところが、地中への錐進埋設といった大きな機械的損傷作用が及ぶケースでは、5mmもの特大膜厚が要請されることがある。このような場合、通常の粉体ライニング層の上にテープ巻き被覆を積層するなど、コストのかかる対応を余儀なくされていた。
【0008】
【特許文献1】特開昭56−095359号公報
【特許文献2】特開昭52−141349号公報
【特許文献3】特開昭52−112645号公報
【特許文献4】特公昭51−036904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかも、そのようなテープ積層の組み合わせによる樹脂被覆形成の手法は、被覆施工対象が異形金属条材であると、特に自動化が困難で、専ら手作業で行われるため、作業の能率が良くないばかりか、被覆厚さ等の検査の負担も重い。そこで、粉体ライニング法のみで厚膜被覆を形成することが望まれるところとなる。
しかしながら、ポリエチレンのような熱可塑性樹脂による被覆を粉体ライニング法で形成する場合、加熱状態の管体等に樹脂粉体を接触させ母材の熱で溶融させて溶融状態の被覆を先ず形成し、これを冷却固化させて被覆を得るのであるが、その際、従来の1〜2mm程度の被覆厚さでは問題にならなかった膜厚偏倚が問題となる。
【0010】
すなわち、上述したように、大きな異形金属条材への樹脂被覆形成では、流動浸漬による樹脂粉体の付着と、流動槽から静置場への移送と、樹脂の溶融待ちと、冷却による樹脂被覆の固化とが、何れも安定のため二端より重心を低くした状態で行われるが、樹脂被覆の厚さが増すと、樹脂の溶融待ち時間も増すうえ、溶融状態の樹脂の自重流下が加速されるため、それらが相まって膜厚偏倚が激増し、実用上無視できないレベル(例えば、5mmの中心膜厚に対して±30%)で膜厚偏倚が生じることが判った。
ついては、3mm以上に及ぶ厚膜被覆における厚さ偏倚を許容レベル(例えば±10%)以内に抑えることのできる被覆形成技術の提供が課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の金属条材への樹脂被覆形成方法(請求項1)は、このような課題を解決するために創案されたものであり、湾曲部等の異形部分を有する金属条材の被覆施工対象面に対して熱可塑性樹脂による厚さ3mm以上の被覆を厚さ偏倚を抑えて形成する金属条材への樹脂被覆形成方法であって、前記金属条材を加熱して前記熱可塑性樹脂の融点を超える温度域に昇温させた状態で粉体塗着設備に供し前記被覆施工対象面の全域に前記熱可塑性樹脂の粉体を接触させ母材の熱により凝着させて溶融過程に移行した仕掛り被覆を形成させたのち、該仕掛り被覆を有する金属条材を前記粉体塗着設備から取り出して静置形態で経時させることで該仕掛り被覆を母材の熱により完全溶融状態に到達させるとともに、該経時の間に進行する該仕掛り被覆の自重流下起因の厚さ偏倚を矯正すべく、前記静置形態の姿勢を天地反転させることで前記自重流下の方向を前記被覆面内方位に関して逆流方向に切替える処置を該経時の間に一回ないし複数回施し、次いで、冷却過程に移行させて固化被覆を得る、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の金属条材への樹脂被覆形成方法(請求項2)は、上記の請求項1記載の金属条材への樹脂被覆形成方法であって更に、前記粉体塗着設備として流動浸漬槽を用い、該流動浸漬槽内に装填された前記熱可塑性樹脂の粉体を上向き気流によって流動状態に維持する操作と、流動状態の粉体中に前記金属条材を浸漬する操作と、浸漬したままで前記上向き気流を停止して流動状態を解くとともに槽内気体を吸引することで槽内粉体の嵩密度を増す操作と、嵩密度の増した状態での浸漬時間の調整とを経て、前記粉体の前記凝着の量目を前記被覆厚さに適した量目とする、ことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の金属条材への樹脂被覆形成方法(請求項3)は、湾曲部等の異形部分を有する金属条材を加熱設備で加熱する加熱工程と、前記金属条材をその二端に吊下支点を取り重心を下方に位置させた低重心姿勢での吊下状態で前記加熱設備から流動浸漬槽へ移す第1移送工程と、前記吊下状態を維持しつつ前記流動浸漬槽内で前記金属条材の被覆施工対象面の全域に熱可塑性の樹脂粉体を凝着させる流動浸漬工程と、その金属条材を前記吊下状態で前記流動浸漬槽から次工程の施工場所へ移す第2移送工程と、凝着した樹脂粉体の完全溶融を待って冷却する溶融固化工程とを経由させる金属条材への樹脂被覆形成方法において、 前記流動浸漬工程では、前記樹脂粉体を上向き気流にて流動させた状態で加熱状態の金属条材を浸漬したのち浸漬したままで前記上向き気流を停止するとともに槽内気体を吸引して槽内粉体の嵩密度を増した状態で経時させる一連の操作を行うことにより、前記樹脂粉体の凝着量目を厚さ3mm以上の被覆に適う量目とし、 前記溶融固化工程では、該工程の施工場所に設置済みの金属条材保持反転装置を用い、この装置で前記金属条材を前記低重心姿勢のまま受け取り、前記樹脂粉体が完全に溶融して溶融樹脂になりきるのを待っている間に前記金属条材保持反転装置にて前記金属条材を天地反転させる処置を一回ないし複数回施すことにより該金属条材に前記低重心姿勢と該姿勢とは天地の入れ替わった高重心姿勢とを交互にとらせて前記溶融樹脂の厚さ偏倚を矯正する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の金属条材保持反転装置(請求項4)は、湾曲部等の異形部分を有する金属条材をその二端部を把持して静置態様で保持する機能と、保持されている金属条材をその二端部の一方を吊上げてから他方の上を通過させて降ろす態様の大回り反転動作による金属条材天地反転機能とを有する金属条材保持反転装置であって、上半分を開閉しうる2つ割構造の把持具であって開状態では下半分で前記二端部の何れか一方を支承でき閉状態では支承中の端部を把持する一対の端部把持具と、該端部把持具の一方を取合部材を介して支持し取合部材支持部が水平軸心回動自在となっている位置固定の第1載置台座と、前記端部把持具の他方を取合部材を介して支持する位置非固定の第2載置台座と、を配して、前記静置態様での保持と前記大回り反転動作による天地反転とを可能としたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の金属条材保持反転装置(請求項5)は、湾曲部等の異形部分を有する金属条材をその二端部を把持して静置態様で保持する機能と、保持されている金属条材をその二端部の高さを均衡させた状態で静置姿勢を天地入れ替える態様の小回り反転動作による金属条材天地反転機能とを有する金属条材保持反転装置であって、上半分を開閉しうる2つ割構造で且つ外周輪郭が弧状となっている把持具であって開状態では下半分で前記二端部の何れか一方を支承でき閉状態では支承中の端部を把持する一対の端部把持具と、該端部把持具の夫々を軸心方位切替え許容態様で支持する一対の載置台座と、を配して、前記静置態様での保持と前記小回り反転動作による天地反転とを可能としたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の金属条材保持反転装置(請求項6)は、湾曲部等の異形部分を有する金属条材をその二端部を把持して静置態様で保持する機能と、保持されている金属条材をその二端部の高さを均衡させた状態で静置姿勢を天地入れ替える態様の小回り反転動作による金属条材天地反転機能とを有する金属条材保持反転装置であって、上半分を開閉しうる2つ割構造の把持具であって開状態では下半分で前記二端部の何れか一方を支承でき閉状態では支承中の端部を把持する一対の端部把持具と、該端部把持具の何れか一方を支持し、外周の輪郭の少なくとも一部が弧状となっており、対をなす各体同士が通り芯状に平行対面する位置関係にて用いられる一対の輪体と、該輪体の夫々を軸心方位切替え許容態様で支持する一対の載置台座と、を配して、前記静置態様での保持と前記小回り反転動作による天地反転とを可能としたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の金属条材への樹脂被覆形成方法(請求項7)は、上記の請求項3記載の金属条材への樹脂被覆形成方法であって更に、前記金属条材保持反転装置として、請求項4乃至請求項6のうち何れか一項に記載された金属条材保持反転装置を用いる、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の金属条材への樹脂被覆形成方法(請求項8)は、上記の請求項1,請求項2,請求項3,請求項7記載の金属条材への樹脂被覆形成方法であって更に、前記異形部分を有する金属条材は金属曲管である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
このような本発明の金属条材への樹脂被覆形成方法にあっては(請求項1,請求項3)、異形金属条材に適した流動浸漬法で金属条材に樹脂被覆が形成されることは従来通りであるが、被覆が厚膜になったため、流動浸漬槽で樹脂粉体を凝着させた後から冷却までの操作が従来と異なっており、この樹脂粉体完全溶融待ち期間では、金属条材が終始一定の姿勢で静置されるのでなく、静置を基本にして間欠的に天地反転がなされる。そして、溶融樹脂が自重流下して膜厚偏倚が増したら、それが許容レベルを超える前に、あるいは遅くとも矯正不能なレベルに至る前には、金属条材を天地反転させることにより、溶融樹脂の自重流下の方向が逆向きになって、膜厚偏倚が矯正される。なお、金属条材を例えば連続回転のように間断なく動かすと、異形部分の存在する異形金属条材では、異形部分に遠心力など不所望な強い力が継続して掛かって、重力によるのとは異なる方向の膜厚偏倚が生じたり、或いは溶融樹脂が飛び散ったりすることもありうるが、それを間欠的な天地反転では回避することができる。
したがって、この発明によれば、3mm以上に及ぶ厚膜被覆における厚さ偏倚を許容レベル以内に抑えることができる。
【0020】
また、本発明の金属条材への樹脂被覆形成方法(請求項2,請求項3,請求項7)にあっては、流動浸漬槽で樹脂粉体を金属条材に凝着させる際に、一時的な上向き気流の停止と槽内気体の吸引を行って槽内粉体の嵩密度を増す操作を採用したことにより、3mm以上の厚膜形成に必要な量目の樹脂粉体を確実に凝着させることができるうえ、凝着が短時間で完了することから母材の保有熱が未だ十分に残されており、溶融固化工程での天地反転による膜厚偏倚修正に必要な流動性を溶融樹脂が有している時間帯が不足なく確保される。これにより、金属条材を天地反転させて膜厚偏倚を矯正することが余裕をもって確実に行える。
したがって、この発明によれば、3mm以上に及ぶ厚膜被覆における厚さ偏倚を許容レベル以内に抑えることが確実にできる。
【0021】
さらに、本発明の金属条材への樹脂被覆形成方法(請求項3,請求項7)にあっては、上述した二つの作用効果に加えて、さらに次のような作用効果も奏する。すなわち、異形金属条材の簡便かつ安全な取扱い方として、金属条材をその二端に支点を取り重心を下方に位置させた低重心姿勢で吊ったり支承したりすることが良く行われ、それにはクレーン設備や架台などが多用されているところ、本発明にあっては、加熱後の移送も流動浸漬中も次の移送も金属条材保持反転装置での受取も総て低重心姿勢で行われるので、作業能率が良く更には設備追加のコストも小さい。もっとも、既述したように一連の操作を低重心姿勢で行うと膜厚偏倚の増長が加速されるが、低重心姿勢の下で金属条材の移送や受取が迅速に遂行されるので、金属条材を金属条材保持反転装置にセットし終えてから天地反転を行うまでの時間が不所望に短縮される心配はなく、寧ろ猶予時間の増加が期待できる。
したがって、この発明によれば、3mm以上に及ぶ厚膜被覆における厚さ偏倚を許容レベル以内に抑えることが確実に而も能率良くできる。
【0022】
また、本発明の金属条材保持反転装置(請求項4,請求項5,請求項6)にあっては、金属条材を二端部で保持できるので、金属条材が異形金属条材であっても、溶融状態の樹脂層を有する中央部分に触れることなしにそれを保持して静置させるのに適しており、反転機能を具えているので、静置中の金属条材を間欠的に天地反転させることもできる。また、端部把持具が2つ割構造となっているので、端部を手掛かりに金属条材を吊持や支承したままでも、把持具を金属条材に装着できるので、金属条材が異形部分を有する異形金属条材であっても、金属条材を金属条材保持反転装置にセットする作業が容易になる。さらに、2つ割構造の端部把持具の上半分が開閉するので、端部を手掛かりにして安定姿勢で吊持され移送されてきた金属条材を受け取るとき、金属条材の降下タイミングに合わせて端部把持具を開閉する等のことで容易かつ迅速に金属条材を受け取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の金属条材への樹脂被覆形成方法の一実施形態(第1形態)について、その手順等を、図面を引用して説明する。図1(a)〜(f)は何れも要部の側面図である。
【0024】
施工対象の金属条材の典型例は、中央部分の湾曲した曲管10であり(図1(a)参照)、以下、曲管10への樹脂被覆形成を説明するが、施工対象の金属条材は、二つ以上の端部を有し二端部を手掛りにして保持しうるものであれば、その他の異形金属条材であっても良い。例えば分岐が有っても良く、湾曲部と分岐と双方があっても良く、二端部の向きが一直線上にあってもなくても良い。
【0025】
曲管10は、長さが1000mm〜6000mm、直径が200mm〜800mm、肉厚が5mm〜30mmといった大径管が多いが、他のサイズでも良い。曲管10(異形金属条材)は、例えばワイヤやチェーン等の吊持用具11を通してクレーン等で吊上げると、両端(二端)より中央部(重心)を低くした低重心の安定姿勢(低重心姿勢)で吊持される。
この場合の被覆施工対象面は曲管10の外周面のほぼ全域であるが、外周面の両端部分と内周面は対象外である。
被覆用の熱可塑性樹脂(後述の樹脂粉体14,樹脂被覆16)の典型例は最も多用されているポリエチレンであり、その融点は110℃〜140℃程度であるが、ポリプロピレンや各種のポリアミドあるいは各種のフッ素樹脂など、他の熱可塑性樹脂も用いられてよい。
【0026】
ここでは、曲管10に対して次の一連の工程が施される。すなわち、曲管10を加熱設備で加熱する加熱工程と、曲管10を安定姿勢で吊って加熱設備から流動浸漬槽13へ移す第1移送工程と、その安定姿勢を維持しつつ流動浸漬槽13内で曲管10に熱可塑性の樹脂粉体14を凝着させる流動浸漬工程と、曲管10に樹脂被覆16の付いた被覆付き金属条材17を安定姿勢で吊って流動浸漬槽13から次工程の施工場所に設置されている金属条材保持台座18へ移す第2移送工程と、安定姿勢を引継ぐ低重心姿勢と該姿勢とは天地の入れ替わった高重心姿勢とで姿勢を変えながら樹脂被覆16の完全溶融を待って冷却する溶融固化工程と、被覆付き金属条材17を安定姿勢で吊って金属条材保持台座18から静置場の架台19へ移す第3移送工程と、その安定姿勢を引継ぐ低重心姿勢で完全に静置させて常温に戻す静置工程とが、その順に行われる。以下、各工程を詳述する。
【0027】
加熱工程では(図示せず)、曲管10がグリットブラストやサンドブラスト等でクリーニングされてから加熱設備で加熱される。加熱設備としては、曲管10の全体あるいは被覆施工対象面を含む部分を加熱できれば、ガス炉や,電炉,誘導加熱装置など各種の設備が利用されて良い。加熱温度は、被覆形成中の降温分も加味し、目安として、熱可塑性樹脂(後述の樹脂粉体14,樹脂被覆16)の融点よりも100℃〜250℃ほど高くされる。
第1移送工程では(図1(a)参照)、曲管10が、吊持用具11で吊上げられて吊られて安定姿勢(低重心姿勢)になり、その状態で加熱設備から取り出される。それから、その安定姿勢のまま、流動浸漬の準備として、管端に管内面を粉体から遮断するためのキャップ12が取り付けられ、その隙間やそれ以外に被覆したくないところがあればそこにもマスキングが行われ、曲管10の外周面の温度が測定される。適温であることが確認されると、曲管10が安定姿勢のまま吊持用具11で流動浸漬槽13の中へ移される。
【0028】
流動浸漬工程では(図1(b)参照)、曲管10が流動浸漬槽13内でも吊持用具11で吊られたまま安定姿勢を維持する。そして、流動浸漬槽13では、曲管10に熱可塑性の樹脂粉体14を質良く凝着させるため、ブロワ15の動作切替等により、樹脂粉体14を上向き気流にて流動浸漬槽13内で流動させる操作と、その上向き気流を停止するとともに流動浸漬槽13内の気体を吸引して流動浸漬槽13内の樹脂粉体14の嵩密度を増す操作とが、順次行われる。ここでは、樹脂粉体14の凝着量目を厚さ3mm以上の被覆に適う量目とするため、気流停止状態のまま、かつ、流動浸漬槽13内の気体を吸引した状態のまま、被覆厚さ3mm以上の凝着が適う所定時間維持した後、曲管10を流動浸漬槽13から引き上げる、という条件で行って例えば厚さ5mmの仕掛り被覆が得られる。
【0029】
第2移送工程では(図1(c)参照)、曲管10が吊持用具11で吊られて安定姿勢を維持しつつ流動浸漬槽13から出される。このとき、曲管10は、その外周面に溶融過程に移行した仕掛り樹脂被覆16が凝着していて、仕掛り被覆付き金属条材17になっている。この仕掛り被覆付き金属条材17も吊持用具11で吊られて安定姿勢を保ち、エアーブロー等で余分な樹脂粉体が仕掛り樹脂被覆16から取り除かれ、キャップ12やマスキングも曲管10から取り外され、更に曲管10の管端部から余分な仕掛り樹脂被覆16を除去するカットバックが仕掛り被覆付き金属条材17に施される。このカットバックで露出する管端部は、例えば幅が50mm〜200mm程度であって、以後の各工程で把持や支承に利用される他、別の管体との接続にも利用される。それから、仕掛り被覆付き金属条材17は安定姿勢のまま吊持用具11で金属条材保持台座18の上方へ移されてから降ろされる。
【0030】
溶融固化工程では(図1(d)〜(f)参照)、仕掛り樹脂被覆16の完全溶融を待つことと、その完全溶融後に仕掛り樹脂被覆16を冷却することが、施工場所に予め設置しておいた金属条材保持台座18を用いて行われる。金属条材保持台座18は、異形金属条材である曲管10をその二端部で、該二端部を結ぶ直線の回りの回動が拘束された形に保持して曲管10を基本的には静置させておき、クレーンや梃子ハンドルを援用した手作業操作などによる保持姿勢の天地反転を間欠的に行う、というものである。この金属条材保持台座18を用いる溶融固化工程では、先ず(図1(d)参照)、仕掛り被覆付き金属条材17が安定姿勢のまま金属条材保持台座18上に降ろされて、仕掛り被覆付き金属条材17の両端が金属条材保持台座18によって吊下態様を引継いだ低重心姿勢で保持される。
【0031】
それから暫く例えば5〜10分ほどは仕掛り被覆付き金属条材17が低重心姿勢のままで一時静置される。その時間は、仕掛り被覆付き金属条材17が低重心姿勢をとり続けたときに、溶融の進む仕掛り樹脂被覆16のうち厚さ偏倚の最も大きいところである仕掛り被覆付き金属条材17の中央部や両端部における厚さ偏倚が許容レベル以内に収まっている時間として、実験や計算で予め決められている。そして(図1(e)参照)、その既定時間が経つと、クレーン等を利用した操作によって仕掛り被覆付き金属条材17が天地反転させられて、仕掛り被覆付き金属条材17の姿勢が二端より重心の高い高重心姿勢になり、この姿勢を保つように拘束保持される。そして、この高重心姿勢でも仕掛り被覆付き金属条材17が暫く一時静置され、上記と同様の経緯で定められた既定時間が経つと、再び天地反転させられる。
【0032】
このようにして仕掛り被覆付き金属条材17に低重心姿勢と高重心姿勢とを交互にとらせることにより、仕掛り樹脂被覆16における溶融樹脂の厚さ偏倚が矯正されて許容レベル以内に抑えられる。そうこうするうちに(図1(f)参照)、仕掛り樹脂被覆16が完全に溶融するので、仕掛り樹脂被覆16の温度が被覆用熱可塑性樹脂の融点を下回るまで冷却が行われて、仕掛り樹脂被覆16が固化する。冷却は、例えば、曲管10の一端から中空にエアーを吹き込んで(図1(f)の矢印を参照)、曲管10を降温させ、それによって仕掛り樹脂被覆16を間接的に冷ますのが良い。その後、金属条材保持台座18が空いていれば、そのまま仕掛り被覆付き金属条材17を静置させて常温に戻しても良いが、ここでは、大抵の場合と同様、仕掛り被覆付き金属条材17が、安定姿勢である低重心姿勢に戻され、吊持用具11にて静置場へ移送される。
【0033】
第3移送工程では(図1(g)参照)、上述した第2移送工程のときと同様、仕掛り被覆付き金属条材17が吊持用具11で吊られて安定姿勢を維持しながら金属条材保持台座18から静置場の架台19へ移載される。
静置工程では(図1(h)参照)、仕掛り被覆付き金属条材17の両端が架台19にて支承されて、仕掛り被覆付き金属条材17が、安定姿勢を引き継いだ低重心姿勢をとり、その姿勢のまま完全に静置させられて、常温に戻る。
こうして、樹脂被覆の厚さが例えば5mm程でも厚さ偏倚の少ない仕掛り被覆付き金属条材17が能率良く製造される。
【0034】
本発明の他の実施形態(第2形態)について、金属条材保持反転装置の構成を、図面を引用して説明する。図2は、(a),(b)が端部把持具21の斜視図、(c)が取合部材22の斜視図、(d)が載置台座24等の側面図、(e)が金属条材保持反転装置20の側面図、(f)が仕掛り被覆付き金属条材17セット直後の装置側面図、(g)が天地反転後の装置側面図である。
【0035】
この金属条材保持反転装置20は(図2(e)参照)、端部把持具21を一対と、取合部材22のセットを一対と、載置台座24を一対と、連結部材25を適宜本数と、反転機構をなす回動支軸26及び固定基台27とを具えている。そして(図2(f)参照)、仕掛り被覆付き金属条材17をその両端部で保持して、仕掛り被覆付き金属条材17を暫く静置させるようになっている。また(図2(g)参照)、静置中の仕掛り被覆付き金属条材17の両端部の一方(図では左側)を吊上げてから、他方(図では中央)の上を通過させて(図では右側へ)降ろす態様の大回り反転動作を以て、仕掛り被覆付き金属条材17を天地反転させることができるようになっている。
【0036】
端部把持具21は(図2(a),(b)参照)、包囲締付け形式の把持具であり、曲管10の端部にピッタリ外嵌しうる丸穴が開いている。この穴は金属条材の端部外形が異なればそれに適合するよう適宜変形される。また、端部把持具21は、上下に分かれる2つ割構造となっていて、上半分が開閉しうるものである。上下は図示のようにヒンジ等で繋いでおくのが便利であるが、完全に分離できるようにしても良い。そして、下半分を固定すれば、開状態では、下降して来た曲管10の端部を下半分で受け止めて支承することができ、それから上半分を閉めて閉状態にすると、支承中の端部を把持して、曲管10の滑りや抜け落ちを防止するようになっている。
【0037】
取合部材22は(図2(c)参照)、例えばアングルを加工したブラケットであり、端部把持具21の下半分を例えばボルト締結にて固定するための取付穴23が一対かそれより多く形成されている。端部把持具21の傾斜を調整できるよう一方の取付穴23が長穴になっている。仕掛り被覆付き金属条材17の保持高さを簡便に調整したいときは、取付穴23の対または組を多段に形成しておけば良い。
載置台座24は(図2(d)参照)、基本的には立てて使われる板状体であり、片側に取合部材22を介して端部把持具21が装着されている。
【0038】
このような載置台座24は(図2(e)参照)、取合部材22装着側を対向させた状態で、一対24,24が連結部材25,25にて連結される。連結部材25,25は、他の部材を隠さない一組だけを図示したが、他の部位に装着しても良く、多くても良く、要するに一対の端部把持具21の相対位置を調節でき且つ固定できれば足りる。
この金属条材保持反転装置20では、一対の載置台座24,24が、位置固定の第1載置台座24aと非固定の第2載置台座24bとからなり、対等でない。第1載置台座24aは回動支軸26及び固定基台27が装備されていて取合部材支持部が水平軸心回動自在となっている。すなわち、そこの端部把持具21や取合部材22は回動支軸26を中心に回動するが、固定基台27の位置は動かないようになっている。これに対し、第2載置台座24bは、吊上げて浮上させることが可能で(図2(g)二点鎖線参照)、位置も変えられるものである(図2(f),(g)実線参照)。
【0039】
固定基台27は、下端が床面等に固定されており、回動支軸26を水平に保持し、軸受などで回動支軸26の円滑な軸回動をサポートしている。
回動支軸26は、第1載置台座24aのほぼ中央を水平に貫いていて(図では紙面を貫いて垂直に延びており)、第1載置台座24aひいてはそこの端部把持具21を水平軸中心で回動しうるよう支持している。
第1載置台座24aとそこの端部把持具21が回動支軸26を中心軸として回動すると、連結部材25,25で連結された第2載置台座24bとそこの端部把持具21も、上空を大回りはするものの、やはり水平な回動支軸26を中心軸として回動するので、端部把持具21,21間に仕掛り被覆付き金属条材17がセットされていればそれが天地反転させられるようになっている。
【0040】
この実施形態(第2形態)の金属条材保持反転装置20について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図2は、(e)が装置20単独の側面図、(f)が仕掛り被覆付き金属条材17セット直後の装置側面図、(g)が天地反転後の装置側面図である。
【0041】
金属条材保持反転装置20は、溶融固化工程で使用される。具体的には、仕掛り被覆付き金属条材17をその両端で保持して仕掛り被覆付き金属条材17を暫く静置させるのに用いられるが、その最中、間欠的に、仕掛り被覆付き金属条材17の一端側を吊上げてから他端の上を通過させて降ろすことで、仕掛り被覆付き金属条材17を天地反転させる、ことにも用いられる。
【0042】
詳述すると、第2移送工程から溶融固化工程へ移行する時に、仕掛り被覆付き金属条材17が安定姿勢のまま吊持用具11で金属条材保持反転装置20の上に降ろされる。そのとき、金属条材保持反転装置20では、端部把持具21の上半分を予め開けておけば、仕掛り被覆付き金属条材17の端部が端部把持具21の下半分で支承されるので、吊持用具11を外す前に上半分閉めて仕掛り被覆付き金属条材17をしっかり把持し、吊下態様を引継いだ低重心姿勢で仕掛り被覆付き金属条材17を暫く静置しておく(図2(f)参照)。そして(図2(g)参照)、既定の時間が経過したら、吊持用具11を吊っていたクレーンか他の適宜な設備で第2載置台座24bを持ち上げて第1載置台座24aの上空を通してから反対側へそっと降ろす。
【0043】
こうして、仕掛り被覆付き金属条材17が天地反転されて高重心姿勢になり、その姿勢でも仕掛り被覆付き金属条材17が暫く一時静置される。その後、高重心姿勢から再び天地反転させて低重心姿勢に戻すときも、第2載置台座24bが持ち上げられて第1載置台座24aの上空を通してから反対側へそっと降ろされる。
このようにして仕掛り被覆付き金属条材17に低重心姿勢と高重心姿勢とを交互にとらせることにより、仕掛り被覆付き金属条材17の樹脂被覆における溶融樹脂の厚さ偏倚が矯正されて許容レベル以内に抑えられる。樹脂被覆が完全に溶融したら続く冷却操作によって固化され、仕掛り被覆付き金属条材17が安定姿勢で金属条材保持反転装置20から吊り出される。
【0044】
本発明の他の実施形態(第3形態)について、金属条材保持反転装置の構成を、図面を引用して説明する。図3は、(a),(b)が端部把持具31の斜視図、(c)が載置台座33の斜視図、(d)が載置台座33に端部把持具31を乗せたところの端面図、(e)が装置30単独の側面図である。
【0045】
この金属条材保持反転装置30は(図3(e)参照)、端部把持具31を一対と、載置台座33を一対と、連結部材36を適宜本数と、反転機構として載置台座33に組み込まれた幾つかのローラ34とを具えている。仕掛り被覆付き金属条材17をその二端部で保持して仕掛り被覆付き金属条材17を暫く静置させるとともに間欠的に仕掛り被覆付き金属条材17を天地反転させるのは上述した金属条材保持反転装置20と同じであるが、天地反転の具体的態様が金属条材保持反転装置20と異なり、仕掛り被覆付き金属条材17の二端部の高さを均衡させた状態のまま、仕掛り被覆付き金属条材17の二端を結ぶ方向に沿って延ばした水平軸線を中心にして回動させる態様の小回り反転動作を以て金属条材17を天地反転させるようになっている。
【0046】
端部把持具31は(図3(a),(b)参照)、上述した端部把持具21の外周を丸くしたものであり、それによってローラ上で転動しうるようになっている。この端部把持具31には、必須ではないが、適宜個数の仮止穴32が穿孔されている。
載置台座33は(図3(c)〜(e)参照)、端部把持具31を軸心方位切替え許容態様で支持するよう、具体的には仕掛り被覆付き金属条材17の曲り具合に対応して端部把持具31が傾いていても端部把持具31を上に乗せて下から支持しうるよう、端部把持具31の幅より長いローラ34が装備されている。ローラ34は、各載置台座33に一対ずつ組み込まれ、水平かつ平行に設けられている。そのため、載置台座33に端部把持具31を乗せたときに、端部把持具31がその場で回転しうるようになっている。一対の載置台座33は、やはり連結部材36,36で連結されて相対位置が調節可能に固定される。この載置台座33にも、必須ではないが、適宜個数の仮止穴35が穿孔されている。
【0047】
この実施形態(第3形態)の金属条材保持反転装置30について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図3は、(e)が装置30単独の側面図、(f)が仕掛り被覆付き金属条材17セット時の装置側面図、(g)が天地反転動作中の装置端面図、(h)が天地反転後の装置側面図である。
【0048】
金属条材保持反転装置30も溶融固化工程で使用される。詳述すると、第2移送工程から溶融固化工程へ移行する時に、仕掛り被覆付き金属条材17が安定姿勢のまま吊持用具11で金属条材保持反転装置30のところへ移送されるが、完全に降ろす前に、仕掛り被覆付き金属条材17の両端それぞれに端部把持具31が開閉等にて装着され、それから端部把持具31が載置台座33のローラ34上に乗るよう静かに仕掛り被覆付き金属条材17が降ろされる。そのとき、金属条材保持反転装置30では、仕掛り被覆付き金属条材17が安定姿勢の吊下態様を引継いだ低重心姿勢を維持するので、その姿勢で仕掛り被覆付き金属条材17を暫く静置しておく(図3(f)参照)。そして(図3(g)参照)、既定の時間が経過したら、吊持用具11を吊っていたクレーンか他の適宜な設備で端部把持具31の縁部などを引っ張って又は押して端部把持具31をその場で半回転させられるとともに、この例では仮止穴32,35に係止棒材を挿入することで半回転状態が固定される。
【0049】
こうして、仕掛り被覆付き金属条材17が天地反転されて高重心姿勢になり(図3(h)参照)、その姿勢でも仕掛り被覆付き金属条材17が暫く一時静置される。その後、高重心姿勢から再び天地反転させて低重心姿勢に戻すときも、端部把持具31がその場で半回転させられる。
そして、この場合も、仕掛り被覆付き金属条材17に低重心姿勢と高重心姿勢とを交互にとらせることにより、仕掛り被覆付き金属条材17の樹脂被覆における溶融樹脂の厚さ偏倚が矯正されて許容レベル以内に抑えられる。樹脂被覆が完全に溶融したら続く冷却操作によって固化され、仕掛り被覆付き金属条材17が安定姿勢(低重心姿勢)で金属条材保持反転装置30から吊り出される。
【0050】
なお、金属条材保持反転装置30にあっては、仕掛り被覆付き金属条材17の曲り方が急であると、仕掛り被覆付き金属条材17について両端を結ぶ直線と重心位置との乖離が大きいため、端部把持具31が単純な環状のままでは回転負荷が大きく安定性も損なわれるので、端部把持具31の内周と外周とを偏心させて回転中心軸が重心を通るようにしても良い。このように安定化処置が施されている状況においても、不測の回転を防止するため、仮止穴32,35に仮止ピンを差し込んでおくと良く、あるいは図示しないブレーキ等で端部把持具31を止めても良い。端部把持具31の傾斜がきついときには、鉛直面への射影が正円になるよう、端部把持具31の外周を楕円にしても良い。
【0051】
本発明の他の実施形態(第4形態)について、金属条材保持反転装置の構成を、図面を引用して説明する。図4は、(a)が輪体41等の一用例に係る側面図、(b)がその端面図、(c)が輪体41等の他の用例に係る側面図、(d)がその端面図、(e)が載置台座44に輪体41等を乗せたところの側面図、(f)がその端面図である。また、図5(a)は、金属条材保持反転装置40の側面図である。
【0052】
この金属条材保持反転装置40は(図5(a)参照)、端部把持具21を一対と、取合部材22のセットを一対と、輪体41を一対と、載置台座44を一対と、適宜本数の連結部材46とを具えている。また、各載置台座44には、反転機構としてのローラ45が一対ずつ装備されている。そして、金属条材保持反転装置30と同様、仕掛り被覆付き金属条材17の二端部の高さを均衡させた状態のまま、仕掛り被覆付き金属条材17の二端を結ぶ方向に沿って延びた水平軸線を中心にして回動させる態様の小回り反転動作を以て金属条材17を天地反転させるようになっている。
【0053】
輪体41は(図4(a),(b)参照)、載置台座44上に立てて使われる円板状体(全円輪体)であり、その片面に取合部材22を介して端部把持具21が装着されている。輪体41上での端部把持具21の取合位置を調整可能に設定する把持具−輪体取合位置設定機構として、この装置では取合部材22に複数組の取付穴23,23が形成されている。図示したのは多段階切替式の例であり、これでは、取付穴23の各組が一つの丸穴と二つの長穴との組からなり、三組が設けられている。各組で、輪体41軸心からの離隔位置と端部把持具21の傾き調整範囲とが異なっていて、各種の仕掛り被覆付き金属条材17を保持できるようになっている。
【0054】
例えば、仕掛り被覆付き金属条材17の曲りがきつくないときには、中程の取付穴23aを用いて取合部材22に端部把持具21を取り付け(図4(a),(b)参照)、仕掛り被覆付き金属条材17の曲りがきついときには、端の取付穴23bを用いて取合部材22に端部把持具21を取り付けると良い(図4(c),(d)参照)。
なお、把持具−輪体取合位置の調節設定は、そのような多段階切替式に限られる訳でなく、例えば切欠などを利用した他の多段階切替式としてもよいし、例えば所望距離スライドさせてから固定する無段切替式としてもよいし、更には、電動駆動式としてもよい。
更に又、仕掛り被覆付き金属条材17の寸法形状ごとに用意された専用の取合仕様による形態も、少品種大量施工などの状況においては有用である。
【0055】
載置台座44は(図4(e),(f)参照)、輪体41を鉛直に立てた状態で上に乗せて下から支持しうるよう、輪体41の幅より少しだけ長いローラ45が装備されている。ローラ45は、各載置台座44に一対ずつ組み込まれ、水平かつ平行に設けられている。そのため、載置台座44に輪体41を乗せたときに、輪体41がその場で回転しうるようになっている。図示は割愛したが、ローラ45の一方または双方が電動モータで回転駆動されるようにもなっている。一対の載置台座44は(図5(a)参照)、やはり連結部材46,46で連結されて相対位置の調節後に固定される。各載置台座44には、端部把持具21及び取合部材22の装着側を対向させて輪体41が乗せられ、これによって一対の輪体41は各体同士が通り芯状に平行対面する位置関係にて用いられるものとなる。
【0056】
この実施形態(第4形態)の金属条材保持反転装置40について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図5(a)〜(c)は何れも側面図である。
【0057】
この金属条材保持反転装置40も溶融固化工程で使用され、金属条材保持反転装置30を用いたときと同様に樹脂粉体が完全に溶融して溶融樹脂になりきるのを待っている間に仕掛り被覆付き金属条材17が小回り反転動作を以て天地反転させられるが、次のような独自の動作もある。すなわち、端部把持具21がローラ45と直に接触して転動するのでなく、端部把持具21が輪体41を介してローラ45上で間接的に転動するので、仕掛り被覆付き金属条材17の曲りが緩るければもとより急であっても仕掛り被覆付き金属条材17が円滑に回転する。
【0058】
詳述すると、仕掛り被覆付き金属条材17の曲りが緩るければ、取合部材22の中程に形成された取付穴23aを利用して端部把持具21が輪体41に装着される。そして、第2移送工程から溶融固化工程へ移行する時、仕掛り被覆付き金属条材17が安定姿勢のまま吊持用具11で金属条材保持反転装置40の上に降ろされる。そのとき、金属条材保持反転装置40では、端部把持具21の上半分を予め開けておけば、仕掛り被覆付き金属条材17の端部が傾斜整合調節済み端部把持具21の下半分で支承されるので、吊持用具11を外す前に上半分を閉めて仕掛り被覆付き金属条材17をしっかり把持し、その安定姿勢を引き継ぐ低重心姿勢で仕掛り被覆付き金属条材17を暫く静置しておく(図5(a)参照)。
【0059】
そして、既定の時間が経過したら、ローラ45がモータ駆動され、それによって、輪体41がその場で半回転し、その小回り反転動作を以て仕掛り被覆付き金属条材17が天地反転させられて高重心姿勢になる(図5(b)参照)。その姿勢でも仕掛り被覆付き金属条材17が暫く一時静置され、その後、再び既定時間が経過すると、ローラ45がモータ駆動され、それによって、輪体41がその場で半回転し、その小回り反転動作を以て仕掛り被覆付き金属条材17が天地反転されて低重心姿勢に戻る(図5(a)参照)。
そして、この場合も、仕掛り被覆付き金属条材17に低重心姿勢と高重心姿勢とを交互にとらせることにより、仕掛り被覆付き金属条材17の樹脂被覆における溶融樹脂の厚さ偏倚が矯正されて許容レベル以内に抑えられる。
【0060】
また(図5(c)参照)、仕掛り被覆付き金属条材17の曲りが急であれば、取合部材22の端寄りに形成された取付穴23bを利用して端部把持具21が輪体41に装着される。そのとき、端部把持具21の傾きを仕掛り被覆付き金属条材17の曲り具合に適合させるとともに、仕掛り被覆付き金属条材17の重心が輪体41の軸心の延長上に来るか近づくようにする。仕掛り被覆付き金属条材17の重心が輪体41の軸心の延長線から離れるときには端部把持具21を他の取付穴に付け直す。また、連結部材46,46の重なり具合を増減させて、輪体41,41の対峙距離を仕掛り被覆付き金属条材17の長さに適合させる。後は上述したのと同様にして金属条材の暫時静置と天地反転とが行われる。こうして種々の仕掛り被覆付き金属条材17に金属条材反転装置40が使用される。
【0061】
本発明の他の実施形態(第5形態)について、金属条材保持反転装置の構成を、図面を引用して説明する。図6(a)〜(c)は、何れも、端面図である。なお、その図示に際しては、打抜部を明確にするため、各部材にハッチングを施している。
【0062】
この金属条材保持反転装置50が上述した金属条材保持反転装置40と相違するのは、載置台座44がローラ45の無い載置台座51になった点と、全円形の輪体41が一部弧状の輪体52になった点である。図示は割愛したが、仕掛り被覆付き金属条材17をその二端で支持する端部把持具21や、輪体52上での端部把持具21の取合位置を調整可能に設定するため複数組の取付穴23,23を形成された取合部材22は、そのまま引き継がれている。90゜曲げ管など曲りの深い金属条材を処理するときには、重心バランスが重要であり(この点は、金属条材保持反転装置40を用いた第4形態に関しても然りである)、そのような場合に端部把持具の取合位置を調整して重心バランスをとることにより、金属条材に高重心姿勢を取らせる際の保持の不安定性を解消して、低重心姿勢での静置と高重心姿勢での静置とが同等の安定性を以て行えるようにすることができる。
【0063】
載置台座51は、水平に設置されたH形鋼や溝形鋼のレールからなり、乗せた輪体52の転動を可能とするために輪体52の周長の全長に近い長さを要する。
輪体52は、円状縁部うち両側の部分がほぼ平行な直線状にカットされている(図6(a)では上下部分)。また、自己の重量を軽減するとともに仕掛り被覆付き金属条材17の重心の偏倚を相殺するため、一方の直線状カット側には大きな刳抜き53が形成され、他方の直線状カット側には小さな刳抜き53が形成されている。
【0064】
この金属条材保持反転装置50も溶融固化工程で使用され、対をなす輪体52,52は、円滑な転動のため、各体同士が通り芯状に平行対面する位置関係にて用いられる。
低重心姿勢での静置状態(図6(a)参照)から高重心姿勢での静置状態(図6(c)参照)へ姿勢を変えるときや、その逆の姿勢変更時には、刳抜き53にクレーンのフックを掛ける等のことにより輪体52を載置台座51上で転動させるが、その際に横移動を伴う。それ以外は、金属条材保持反転装置40の使用態様や動作と同様である。
【0065】
[その他]
上記の実施形態では、異形金属条材がシンプルな曲管であったが、異形金属条材は、三端や多端の分岐管でも良く、丸い管体に限らず、角管でも良く、中実であっても良い。異形金属条材の端部外形が丸くないときには、それに適合するよう端部把持具21の穴形状が変形される。
【実施例1】
【0066】
上述の方法により金属条材に樹脂被覆を形成した。金属条材は、90゜の湾曲部の両端に600mmの袖管の付いた曲管であり、直径600mmの鋼管からなる。被覆用の熱可塑性樹脂にはポリエチレンを採用した。
加熱工程では曲管を温度230℃〜330℃まで加熱し、流動浸漬工程では7分浸漬して厚さ6.0〜6.5mmの仕掛り樹脂被覆を形成し、第2移送工程では2分ほど費やして移送した。溶融固化工程では、5分毎に仕掛り被覆付き金属条材を反転させた。各反転には1分を費やした。
それから第3移送工程と静置工程とを経て被覆付き金属条材が出来上がり、その樹脂被覆の厚さを計測したところ、最小値が5.6mmで最大値が6.5mmであった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の金属条材への樹脂被覆形成方法および金属条材保持反転装置は、曲管の外面に3mm以上の厚さの樹脂被覆を厚さ偏倚少なく被覆するものであり、厚膜により、敷設パイプライン等に発生する落雷による破壊を防ぎ、耐電圧特性を向上させる。また、敷設時や敷設後の耐衝撃性の向上により、敷設がしやすくなり、傷が付きにくくなり、その結果、長寿命になるので、石油・ガス等輸送のパイプラインに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態(第1形態)について、金属条材への樹脂被覆形成方法の手順等を示し、(a)〜(f)何れも要部の側面図である。
【図2】本発明の他の実施形態(第2形態)について、金属条材保持反転装置の構造と動作等を示し、(a),(b)が端部把持具の斜視図、(c)が取合部材の斜視図、(d)が載置台座等の側面図、(e)が装置単独の側面図、(f),(g)が金属条材セット時の装置側面図である。
【図3】本発明の他の実施形態(第3形態)について、金属条材保持反転装置の構造と動作等を示し、(a),(b)が端部把持具の斜視図、(c)が載置台座の斜視図、(d)が載置台座に端部把持具を乗せたところの端面図、(e)が装置単独の側面図、(f)が金属条材セット時の装置側面図、(g)が天地反転動作中の装置端面図、(h)が天地反転後の装置側面図である。
【図4】本発明の他の実施形態(第4形態)について、金属条材保持反転装置の構造を示し、(a)が輪体等の側面図、(b)がその端面図、(c)が輪体等の側面図、(d)がその端面図、(e)が載置台座に輪体等を乗せたところの側面図、(f)がその端面図である。
【図5】その金属条材保持反転装置を用いた本発明の金属条材への樹脂被覆形成方法の手順等を示し、(a)〜(c)何れも側面図である。
【図6】本発明の他の実施形態(第5形態)について、金属条材保持反転装置の構造を示し、(a)〜(c)何れも端面図である。
【符号の説明】
【0069】
10…曲管(異形金属条材)、11…吊持用具(吊持設備)、
12…管端キャップ、13…流動浸漬槽(粉体塗着設備)、
14…樹脂粉体(熱可塑性樹脂)、15…ブロワ、
16…仕掛り樹脂被覆、17…仕掛り被覆付き金属条材、
18…金属条材保持台座、19…架台、
20…金属条材保持反転装置、
21…端部把持具、22…取合部材、23…取付穴、
24…載置台座、24a…第1載置台座、24b…第2載置台座、
25…連結部材、26…回動支軸、27…固定基台、
30…金属条材保持反転装置、
31…端部把持具、32…仮止穴、33…載置台座、
34…ローラ、35…仮止穴、36…連結部材、
40…金属条材保持反転装置、
41…輪体、44…載置台座、45…ローラ、46…連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲部等の異形部分を有する金属条材の被覆施工対象面に対して熱可塑性樹脂による厚さ3mm以上の被覆を厚さ偏倚を抑えて形成する金属条材への樹脂被覆形成方法であって、前記金属条材を加熱して前記熱可塑性樹脂の融点を超える温度域に昇温させた状態で粉体塗着設備に供し前記被覆施工対象面の全域に前記熱可塑性樹脂の粉体を接触させ母材の熱により凝着させて溶融過程に移行した仕掛り被覆を形成させたのち、該仕掛り被覆を有する金属条材を前記粉体塗着設備から取り出して静置形態で経時させることで該仕掛り被覆を母材の熱により完全溶融状態に到達させるとともに、該経時の間に進行する該仕掛り被覆の自重流下起因の厚さ偏倚を矯正すべく、前記静置形態の姿勢を天地反転させることで前記自重流下の方向を前記被覆面内方位に関して逆流方向に切替える処置を該経時の間に一回ないし複数回施し、次いで、冷却過程に移行させて固化被覆を得る、ことを特徴とする金属条材への樹脂被覆形成方法。
【請求項2】
前記粉体塗着設備として流動浸漬槽を用い、該流動浸漬槽内に装填された前記熱可塑性樹脂の粉体を上向き気流によって流動状態に維持する操作と、流動状態の粉体中に前記金属条材を浸漬する操作と、浸漬したままで前記上向き気流を停止して流動状態を解くとともに槽内気体を吸引することで槽内粉体の嵩密度を増す操作と、嵩密度の増した状態での浸漬時間の調整とを経て、前記粉体の前記凝着の量目を前記被覆厚さに適した量目とする、ことを特徴とする請求項1記載の金属条材への樹脂被覆形成方法。
【請求項3】
湾曲部等の異形部分を有する金属条材を加熱設備で加熱する加熱工程と、前記金属条材をその二端に吊下支点を取り重心を下方に位置させた低重心姿勢での吊下状態で前記加熱設備から流動浸漬槽へ移す第1移送工程と、前記吊下状態を維持しつつ前記流動浸漬槽内で前記金属条材の被覆施工対象面の全域に熱可塑性の樹脂粉体を凝着させる流動浸漬工程と、その金属条材を前記吊下状態で前記流動浸漬槽から次工程の施工場所へ移す第2移送工程と、凝着した樹脂粉体の完全溶融を待って冷却する溶融固化工程とを経由させる金属条材への樹脂被覆形成方法において、
前記流動浸漬工程では、前記樹脂粉体を上向き気流にて流動させた状態で加熱状態の金属条材を浸漬したのち浸漬したままで前記上向き気流を停止するとともに槽内気体を吸引して槽内粉体の嵩密度を増した状態で経時させる一連の操作を行うことにより、前記樹脂粉体の凝着量目を厚さ3mm以上の被覆に適う量目とし、
前記溶融固化工程では、該工程の施工場所に設置済みの金属条材保持反転装置を用い、この装置で前記金属条材を前記低重心姿勢のまま受け取り、前記樹脂粉体が完全に溶融して溶融樹脂になりきるのを待っている間に前記金属条材保持反転装置にて前記金属条材を天地反転させる処置を一回ないし複数回施すことにより該金属条材に前記低重心姿勢と該姿勢とは天地の入れ替わった高重心姿勢とを交互にとらせて前記溶融樹脂の厚さ偏倚を矯正する、
ことを特徴とする金属条材への樹脂被覆形成方法。
【請求項4】
湾曲部等の異形部分を有する金属条材をその二端部を把持して静置態様で保持する機能と、保持されている金属条材をその二端部の一方を吊上げてから他方の上を通過させて降ろす態様の大回り反転動作による金属条材天地反転機能とを有する金属条材保持反転装置であって、上半分を開閉しうる2つ割構造の把持具であって開状態では下半分で前記二端部の何れか一方を支承でき閉状態では支承中の端部を把持する一対の端部把持具と、該端部把持具の一方を取合部材を介して支持し取合部材支持部が水平軸心回動自在となっている位置固定の第1載置台座と、前記端部把持具の他方を取合部材を介して支持する位置非固定の第2載置台座と、を配して、前記静置態様での保持と前記大回り反転動作による天地反転とを可能としたことを特徴とする金属条材保持反転装置。
【請求項5】
湾曲部等の異形部分を有する金属条材をその二端部を把持して静置態様で保持する機能と、保持されている金属条材をその二端部の高さを均衡させた状態で静置姿勢を天地入れ替える態様の小回り反転動作による金属条材天地反転機能とを有する金属条材保持反転装置であって、上半分を開閉しうる2つ割構造で且つ外周輪郭が弧状となっている把持具であって開状態では下半分で前記二端部の何れか一方を支承でき閉状態では支承中の端部を把持する一対の端部把持具と、該端部把持具の夫々を軸心方位切替え許容態様で支持する一対の載置台座と、を配して、前記静置態様での保持と前記小回り反転動作による天地反転とを可能としたことを特徴とする金属条材保持反転装置。
【請求項6】
湾曲部等の異形部分を有する金属条材をその二端部を把持して静置態様で保持する機能と、保持されている金属条材をその二端部の高さを均衡させた状態で静置姿勢を天地入れ替える態様の小回り反転動作による金属条材天地反転機能とを有する金属条材保持反転装置であって、上半分を開閉しうる2つ割構造の把持具であって開状態では下半分で前記二端部の何れか一方を支承でき閉状態では支承中の端部を把持する一対の端部把持具と、該端部把持具の何れか一方を支持し、外周の輪郭の少なくとも一部が弧状となっており、対をなす各体同士が通り芯状に平行対面する位置関係にて用いられる一対の輪体と、該輪体の夫々を軸心方位切替え許容態様で支持する一対の載置台座と、を配して、前記静置態様での保持と前記小回り反転動作による天地反転とを可能としたことを特徴とする金属条材保持反転装置。
【請求項7】
前記金属条材保持反転装置として、請求項4乃至請求項6のうち何れか一項に記載された金属条材保持反転装置を用いる、ことを特徴とする請求項3記載の金属条材への樹脂被覆形成方法。
【請求項8】
前記異形部分を有する金属条材は金属曲管である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3及び請求項7のうち何れか一項に記載された金属条材への樹脂被覆形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−36474(P2008−36474A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210520(P2006−210520)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000208695)第一高周波工業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】