説明

針無しのインジェクション装置とインジェクション方法

1またはそれ以上のタイプの液体の食品添加剤が個々および/または同時に、密封されたインジェクションチャンバまたはコンパートメント内にある食品対象に伝達される、針無しの食品対象に注入するためのインジェクション装置および方法が開示される。本発明の針無しのインジェクション装置および方法は、完全かつ均一に食品対象に注入するために高速で高圧の注入バーストを利用し、異なる食品対象または異なる食品添加物に効率的で素早く連続的に注入されることを可能にする。注入プロセスを密封されたチャンバ内で完全に密閉すること、および、注入ノズルが食品対象に接触するか、若しくはすぐ隣に置かれる必要性を除去することによって、汚染(コンタミネーション)を最小化する針無しのインジェクション装置および方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、食品に対してインジェクション(注入)を行う装置とその方法に関し、より具体的には、液体を食品に注入するための、針無しのインジェクションシステムとその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の嗜好が進み、消費者のための色の種類(palettes)がより洗練されるにつれて、食品製造者とレストラン経営者は風味、色、革新的な料理法を実験するための新しい機会を探している。さらに、食品サービス業界における連続的な成長と競争とともに、食品製造者は、成分、風味、色、歯ごたえの個性的な組み合わせを持つ食品を消費者に提供することで、継続的に、自己の製品を他者のものから差別しようと努めている。
【0003】
食品に対して新しい風味やスパイスを加えるだけでなく、特定の食品の色を強調することや変更することが望まれている。食品に対して色を加えることは、食品に対する美的な訴求を増すことができ、食品の自然な風味を高めることができる。新しくかつ個性的な食品の創造においては、特定の食品の色を変更することは、特定の消費者グループに対するその食品の訴求を直ちに高めることができる。たとえば、食品製造者は、明るくかつ個性的な色の食品を製造することで、子供の中にある食品の欲求を増加させることができるであろう。
【0004】
加えて、科学者が新しくかつ健康な食品成分発見するにつれて、特定の食品の栄養上の含有量(content)を、その食品の風味を保持または高めながら増加させる能力が望まれる。たとえば、食品が提供される前に食品の全体の栄養上の品質を効果的に維持かつ改善するため、ビタミンやミネラルのような微量栄養素が不足した食品の栄養価を高めることは、食品製造者にとって有利となるであろう。実際のところ、学校や病院のような施設の環境では、食事における栄養上の含有量(content)を増加させることが望まれるであろう。
【0005】
さらに、食物繊維、プロテイン、オメガ−3、脂肪酸、トリグリセリド、カロチノイド、テルペン、酸化防止剤、酵素、脂肪分が多い(fat)可溶性ビタミンのような成分、またはその他の栄養上有益な成分は、健康な栄養成分が元来不足または欠落する食品に対してプロセス期間において加えられ得る。また、カロチンのように、フルーツ、植物、または野菜から得られる自然の着色剤は、食材に対して栄養上の価値をも高めるとともに、色を加える。
【0006】
消費者に対する食品の味覚や魅力を高めるために、食品に他の成分を補うことも望まれるであろう。ヤクヨウニンジン(ginseng)のようなエネルギー増強成分や、イチョウ薬(gingko biloba)のようなその他の薬草成分は、食品の機能的利益を増加させるためにその食品に加えられるであろう。さらに、砂糖、塩、亜硫酸塩、または硝酸塩のような保存料は、バクテリアの成長を防止することを助け、食品の匂い、風味、外観を維持するために、肉のような食品に通例加えられる。
【0007】
それゆえ、食品製造者にとって、消費者特有のニーズに対して、食品の風味、色、歯ごたえを変更するだけでなく、栄養上の含有量(content)、その食品の全体の訴求を企画することが非常に望まれている。
【0008】
肉処理の分野では、針無しのインジェクション装置のいくつかの例が存在する。特に、一般の実務となっているのは、所定の効果、味覚、色を得るために、塩、砂糖、スパイス、および/または保存料を加えることで肉を回復させ(cure)、または柔らかくすることである。
【0009】
たとえば、米国特許3,016,004と3,436,230は、継続的に処理する環境において、肉に対して高圧下で、保存料や、他の保存のための溶液を注入する装置と方法を開示している。肉は、コンベヤーシステムによってインジェクションステーションに運搬され、注入ノズルは、注入のための位置に移動されなければならない。肉の組織に対する損傷を取り除くために、注入ノズルは、対象肉に接触させられるか、または、対象肉の隣のすぐ近くに配置される。
【0010】
加えて、米国特許5,176,071、6,014,926、6,165,528、6,386,099B1は、対象肉を所定の位置に運搬し、スプレーノズルを使用してその対象に注入する大型の産業用肉処理装置をも開示している。各特許は、対象肉に対して、直接的に接触されたノズル、または、その対象肉の隣のすぐ近くに方向付けられたスプレーノズルを教示する。
【0011】
米国特許3,739,713と3,814,007は、注入の間、対象肉が、静止しているテーブルに固定されるようにして注入を行うための針無しのインジェクション装置と方法を開示している。これらの特許の注入ノズルは、注入の間、対象肉との接触を確実にするように配置される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記した針無しのインジェクション装置およびインジェクション方法は、大規模な肉の製造/処理設備の使用に適合した大型のインジェクションシステムを利用し、工場または製造設備においてかなりのフロアスペースを必要とする。前記した特許の多くは、注入のための場所へ対象肉を動かすために駆動されるコンベヤーであるシステムを開示している。加えて、対象肉における均一した流体の分散を得るために、これらの装置は、方向が調整可能で、かつ、可能であればコンベヤーシステムの動きに同期した注入ノズルを説明する。
【0013】
重要なことに、これらの公知の装置の各々またはすべては、肉にブライン(塩水)を注入するための方法を説明しており、これは、肉の表面または食物の表面に注入ノズルが当たり、または接触することを必要とし、細菌または微生物の成長、食物の汚染の機会が増大する。
【0014】
米国特許5,053,237は、静止したプラットフォームに置かれる対象肉にブラインまたは軟化剤を注入するための針無しのインジェクション装置を開示している。注入ノズルは、注入行程の間、注入対象と接触しない。ところが、液体マリネード(liquid marinade)、水槽、注入ノズル、すべてのプロセス用機器を含む全体の注入プロセスは、ウェットな動作環境にさらされている。
【0015】
実際のところ、前記した特許のすべては、ウェットな動作環境に完全にさらされているインジェクション装置を開示しており、このことは、機器および/または対象肉の汚染に対する可能性を増大させ、ウェット条件にプロセス機器がさらされることによる機械的な不具合の可能性を増大させ、作業者の負傷の機会が増大させる。さらに、前記した特許のすべては、一度にただ1つの軟化剤/溶液を対象肉に運ぶことしかできないシステムと方法を提供し、このことは、異なるまたは追加の溶液が使用され得る前にシステムを停止し、浄化することを必要とする。
【0016】
従って、個性的に風味付けるか、そうでなければ食物の特性を強化する装置と方法であって、食物または機器の汚染のリスクを最小化し、小型の動作環境での使用が効率的かつ容易であり、1またはそれ以上のタイプの注入溶液を運ぶことができる装置と方法が必要とされる。
【0017】
従って、本発明の第1の目的は、急速に対象肉を注入することができる、効率的かつコンパクトな針無しのインジェクション装置であって、小型の食品製造設備、レストラン、または他の施設の食品準備環境における使用に適したものを提供することである。本発明の関連した目的は、1つの操作エリアから他の操作エリアへの容易に移動でき、容易に配置され、取り付けられ、さらには、装置が使用され得る操作環境のタイプを最大化し、装置の全体の利用性を増大させるインジェクション装置を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、装置の操作のために使用される機械的かつ電気的な複数の要素(エレメント)が完全に装置内に密閉される、完全に密閉された針無しのインジェクション装置を提供することであって、装置の安全を増大させ、湿っぽい、多湿の環境に対して上記複数の要素をさらすことを最小化し、それによって、装置のメンテナンスを最小化し、装置の耐用年数を増加させ、作業者の負傷の可能性を最小化する。本発明の関連する目的は、食品対象が外部の汚染にさらされることを最小化し、動いている部品が注入スプレーにさらされることを最小化するために、注入行程の間、操作環境から密封されるインジェクション環境を含む、完全に密閉されたインジェクション装置を提供することである。本発明の他の目的は、食物汚染に対する可能性をさらに最小化させるために、洗浄および衛生的にすることが容易な針無しのインジェクション装置およびインジェクション環境を提供することである。
【0019】
本発明のインジェクション装置の他の目的は、食物に接触することなく、かつ、食物のすぐ隣にノズルを配置させる必要がなく、針無しで食物に注入するとともに、食品対象の中に注入物の均一な分散をももたらす注入ノズルを提供することである。本発明の関連した目的は、洗浄のために容易に取り外すことができ、または、注入されるべき食品の種類や、対象物に注入するのに要する圧力次第で交換することができる注入ノズルを提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、1またはそれ以上のタイプの風味、色、軟化剤、ビタミン、ミネラル、薬草エキス、対微生物溶液、対バクテリア溶液、または、他の食物添加剤であって、単独のもの、または、単一の注入行程の間に液体の注入物を同時に含むもののいずれかを注入することを可能とする、針無しのインジェクション装置を提供することである。本発明の関連した目的は、肉に限られずチーズ、フルーツまたは野菜を含む広範囲の食物に液体を注入することを可能とする、針無しのインジェクション装置を提供することである。本発明の関連した目的は、注入流体をそれに必要な温度に維持することを可能とし、注入物の損傷のリスクを低減させる針無しのインジェクション装置を提供することである。
【0021】
本発明の針無しのインジェクション装置は、耐久力があり、長持ちする構造をも備えていなければならず、動作寿命の間、使用者に提供されるべきメンテナンスはほとんどないか、全くないことをも必要とすべきである。本発明の装置の市場の訴求を拡大するためには、それは、また、極力広い市場において余裕を持って所持されるような、高価でない構造であるべきである。最後に、前記した利点および目的のすべてがいかなる重大な関連の不利益を招くことなく達成されることも目的である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述した背景技術の不都合および限界は、本発明によって克服される。具体的には、本発明は、効率的で、使用が容易で、衛生的に、極力様々なマリネードまたは溶液を食品対象に注入するインジェクション装置および方法を提供し、これによって、装置は、学校、病院、ホテル、レストラン、および、操作スペースが限られる他の環境のような広範囲の用途での使用に適したものとなる。本発明が従来のシステムおよび方法と比べて有利でもあるのは、本発明が、密封された注入環境の中で、素早く容易に風味付け、そうでなければ個性的に食品対象を強化するための、コンパクトで高圧のインジェクションシステムを提供するためであり、食品対象を損傷させることなく、ノズルが食品対象と接触することを必要とせず、それによって、食物/機器の汚染に対する可能性を最小化し、本発明のユーティリティを最大化するためである。
【0023】
本発明のインジェクション装置および方法は、針無しで食品対象にいかなるタイプの液体の食品添加物を注入するために使用され、その食品添加物は、風味、色、軟化剤、マリネード、ビタミン、ミネラル、薬草エキス、保存料、脂肪/油、水、対微生物溶液、対バクテリア溶液、またはこれらの組み合わせのような食品添加物を含むが、限定されない。加えて、本発明の針無しのインジェクション装置および方法は、いかなるタイプの食品に注入するために使用され得るものであり、その食品は、肉、チーズおよび他の乳製品、フルーツ、野菜、または穀物製品を含むが、これに限定されない。
【0024】
従って、本発明のインジェクション装置は、全般的に、注入物(injectate)を伝達するシステム、インジェクションチャンバ、シャトル機構、および、密封された収容器(enclosure)の中に構成された制御システムを含む。電力、水、そして、選択的に圧縮された空気のような、外部のプロセス入力は、収容器の表面内に形成された入力ポートを介して装置へ取り外し可能な状態で接続される。
【0025】
装置における注入物伝達システムは、液体注入物を保持するため、少なくとも1つの取り外し可能な容器を含む。好適には、様々な異なるタイプの液体注入物を格納するためにいくつかの容器が使用される。各容器は、装置内に取り外し可能に搭載され、それぞれは、固有の供給バルブに取り外し可能に接続されており、これにより、注入物の各容器が単一の注入行程の間に個別または同時に食品対象に伝達されることができる。必要であれば、液体注入物を薄め、または、装置を洗浄およびリンスするために、水も注入伝達システムに供給される。注入伝達システムは、注入物の容器を維持するための冷却システムと、注入物の損傷リスクを低減するための所要の温度の水の供給とを含む。
【0026】
注入伝達システムは、食品対象を損傷させることなく、針無しで、かつ、均一に対象物に注入物を注入するのに十分な高圧で、液体注入物を食品対象に伝達する能力があるポンプも含む。ポンプの出力圧力は、対象物の大きさと厚み、注入されるべき対象物のタイプ次第で変化する。注入伝達システムの一部でもあるインジェクションヘッドは、ポンプから高圧の注入物を受ける。
【0027】
インジェクションヘッドは、対象物に対して高圧の注入物を伝達するための複数のスプレーノズルを含み、インジェクションチャンバ内に密封して取り外し可能に搭載され、インジェクションヘッドのノズル部分はインジェクションチャンバ内部に延びている。多機能および洗浄の目的のため、インジェクションヘッドのノズルは、好適には、インジェクションヘッド内に取り外し可能に固定されるが、インジェクションノズルは、インジェクションヘッド内に一体形成されていてもよい。ノズルは当業者に知られたパターン、構成で配置されてもよく、異なるタイプの食品対象に対して再配置されてもよい。インジェクションヘッドは、液体注入物から不必要な微粒子を取り除くためにフィルタ要素を含んでいてもよい。
【0028】
インジェクションチャンバは、全般的に、装置内に形成される密封されたコンパートメントを含み、そのコンパートメントは、チャンバ内に密封して取り外し可能に搭載され、チャンバの頂上から下方に延びる、インジェクションヘッドの一部分、または、インジェクションヘッドのノズル部分、を有する。インジェクションチャンバは、そのボトム(底)部に、装置から過剰の注入物を排出するための開口を含む。インジェクションチャンバは、注入行程間の合間でインジェクションチャンバを衛生的にし、リンスするために、チャンバ内に密封可能に搭載される洗浄ノズルも含む。注入環境は、注入行程の間に、または、洗浄サイクルの間に、密封されて閉じられ、これにより、注入物のスプレーがいかなる外部のプロセス環境、または、注入環境外部の食品対象に接触することを防止する。
【0029】
シャトル機構は、インジェクションチャンバの外部であって、そのボトム面よりも下に配置されるx−y駆動システムと、インジェクションチャンバ内に配置され、注入行程の間に、インジェクションヘッドに対して食品対象を移動させるシャトル/トレイ要素とを含む。x−y駆動システムは、インジェクションチャンバより下のいかなる位置に移動され得るプレートを含む。そのプレートのトップ部は、インジェクションチャンバのボトム面であって外部の面に面しており、そこに固定される複数の磁石を含む。
【0030】
シャトル/トレイ要素は、インジェクションチャンバ内に移動可能に配置され、注入ノズルに面する上面と、インジェクションチャンバのボトム(底)部の内面に面するボトム面とを含む。シャトル/トレイ要素のボトム面は、プレート内の磁石と整列された複数の磁石を含む。従って、x−y駆動システムは、プレートを移動させ、次にシャトル/トレイ要素をインジェクションチャンバ内のいかなる位置にも移動させ、インジェクションチャンバ内に移動要素が配置される必要がない。
【0031】
制御システムは、プロセス変数と、注入対象の大きさやタイプを含むがこれに限定されない動作情報とを取り込み、格納し、呼び出すための、タッチスクリーンとプログラム可能な制御器とを有し、その動作情報は、所定の注入行程に対して所定の対象物に伝達される注入バーストの数、シャトル機構の移動、食品対象の移動に対する注入バーストの同期、ポンプの出力圧力、注入バーストのアウトレット圧力、対象物に伝達される注入物の混合、または、洗浄およびリンスサイクルを含むが、これに限定されない。たとえば、装置は、特定の食物、特定の食物の厚み、または、特定のマリネードの混合物に対してプログラムされてもよく、同一の食物またはマリネード混合物が再度注入されるときに後で呼び出されてもよい。制御システムは、冷却システムも制御する。
【0032】
本発明は、食品対象に液体注入物を注入するための方法も開示し、それは、密封された注入環境内でシャトル/トレイ要素に食品対象を置くこと、注入されるべき複数の注入物の流体を供給すること、その流体を所望の注入混合物を得るために混合すること、所望の注入混合物を高圧ポンプに引き込むこと、注入混合物をインジェクションヘッドに供給すること、最終の注入混合物による、少なくとも1回の高圧注入バーストを食品対象に伝達すること、を含む。本発明の方法は、注入バーストの間に所定のパターンで、インジェクションヘッドに対し注入対象を移動させること、も含む。
【0033】
部分的には、本発明は、個性的に風味付け、または、そうでなければ食品対象を強化するための方法も含む。かかる方法は、(1)注入されるべき食品対象を供給すること、(2)食品対象に対する、所望の最終注入混合物を決定すること、(3)最終注入混合物を混合し、この混合物を少なくとも1つの高圧ポンプに供給すること、(4)所望の注入混合物による、少なくとも1回の高圧のバーストを食品対象に伝達すること、を含む。
【発明の効果】
【0034】
それゆえ、理解されることであるが、本発明は、食品対象を個性的に強化するために所望の注入混合物による高圧の注入バーストを利用する、針無しのインジェクション装置および方法を開示している。本発明の装置および方法は、コンパクトで効率的な方法で食品対象に注入するとともに、たとえば、密封された注入環境と、食品対象に接触しないスプレーノズルとを提供することで、食物または汚染を最小化することも行う。
【0035】
本発明の針無しのインジェクション装置および方法は、耐久力があり、長持ちする構造を備えており、動作寿命の間、使用者に提供されるべきメンテナンスはほとんどないか、全くないであろう。本発明の針無しのインジェクション装置および方法は、高価でない構造も備えており、市場の訴求を拡大させ、それによって、極力広い市場において余裕を持って所持される。最後に、前記した利点および目的のすべてがいかなる重大な関連の不利益を招くことなく達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の好ましい実施形態は、風味、色、軟化剤、マリネード、ビタミン、ミネラル、薬草エキス、保存料、脂肪/油、水、対微生物溶液、対バクテリア溶液、または、当業者に知られたいかなる他の食品添加物を注入するための、完全に密封された針無しのインジェクション装置および方法に関連する。
【0037】
先ず図1を参照すると、本発明の針無しのインジェクション装置30が図示されている。装置30は、全般的に、フレーム32で規定され、前側34、裏側36、左側38、右側40を備えた長方形のハウジングを含む。装置30は、装置30のトップおよびボトムを完全に密閉するために、フレーム32に搭載されたトップ部42およびボトム部44を有する。トップ部42は、装置30に対するメンテナンスのためのアクセスを提供するために、フレーム32に取り外し可能に搭載される。装置30は、装置30を容易に注入行程の場所に移動させるために4つのキャスター46によって支持される。
【0038】
装置30の前側34は、装置30をパワーオンおよびオフするためのボタンまたはスイッチ48を含むコントロールパネル47を有する。タッチスクリーン50もコントロールパネル47の一部であり、プロセス変数を入力し、保存されたプログラムを制御器52から呼び出し、洗浄サイクルを開始し、または、動作情報を見るために使用される。装置30の前側34は、インジェクションチャンバ56のための開口54を有し、開口54を密封して閉じるためのドア58を有する。ヒンジ60は、装置30の前側34に対してドア58を固定するとともに、ドア58が完全に開放することを可能にする。ロック機構62は、装置30の運転中に閉じられるドア58を密封する。ドア58は、注入行程の間にドアが閉じられるときにインジェクションチャンバ56を密封する、当業者に知られたいかなる方法で搭載されていてもよい。
【0039】
図1にも図示されているように、装置30の前側34は、装置30のボトム部44の近くにメンテナンス用開口64を含む。メンテナンス用ドア66(説明目的のために実体なく示される)がメンテナンス用開口64を閉じ、かつ、密封するために設けられる。メンテナンス用ドア66は、フレーム32の外部の面と同一平面である。メンテナンス用ドア66は、機械ねじ68によってスクリュー装置30の前側34に対して取り外し可能に搭載される。メンテナンス用ドア66は、メンテナンス用開口64を密封し、装置30の内部要素に容易にアクセス可能にする、当業者に知られたいかなる方法で取り外し可能に搭載されていてもよい。
【0040】
図1および図2の双方に図示されているように、装置30の左側38は、装置30の左側38のトップ部42近くに形成されたアクセス用開口70を含む。開口70は、装置30の左側38に移動可能に搭載されたアクセス用ドア72によって閉じられ、密封される(説明目的のために図1では実体なく示される)。アクセス用ドア72のボトム(底)の縁にあるヒンジ74は、装置30の左側38に対してアクセス用ドア72を固定し、アクセス用ドア72が完全に開放することを可能にする。アクセス用ドア72は、閉じられた位置でアクセス用ドア72を固定するために、アクセス用ドア72の上部の縁近辺にあるロック機構78を含む。アクセス用ドア72は、閉じられているときには、フレーム32の外部の面と同一平面である。アクセス用ドア72は、装置30の内部の要素に対して容易なアクセスが可能であり、注入行程の間に開口70を閉じて密封する、当業者に知られたいかなる方法で移動可能に、または、取り外し可能に搭載されていてもよい。
【0041】
装置30の左側38は、装置30のボトム部44近くにメンテナンス用開口82を有する。メンテナンス用ドア84(説明目的のため実体なく示される)は、メンテナンス用開口82を閉じ、密封するために設けられる。メンテナンス用ドア84は、フレーム32の外部の面と同一平面である。メンテナンス用ドア84は、機械ねじ86によって装置30の左側38に対して取り外し可能に搭載される。しかしながら、メンテナンス用ドア84は、運転中にメンテナンス用開口82を閉じて密封し、装置30の内部要素に容易にアクセス可能にする、当業者に知られたいかなる方法で取り外し可能に搭載されていてもよい。
【0042】
左側38と対称的な方法で、右側40および裏側36の双方は、左側38における開口70のようなアクセス用開口(図示せず)を有する。同様に、右側40および裏側36の双方は、左側38におけるアクセス用ドア72と類似したアクセス用ドア(図示せず)を有し、それぞれ、装置30の右側40および裏側36に移動可能に搭載される。各アクセス用ドアのボトムの縁にあるヒンジが、それぞれ装置30の右側40または裏側36に対してアクセス用ドアを固定し、左側38に対するのと同様の方法で、アクセス用ドアが完全に開放することを可能にする。右側40および裏側36のアクセス用ドアも、閉じられた位置でアクセス用ドアを固定するために、アクセス用ドアの上部の縁近辺にあるロック機構を含む。アクセス用ドアは、閉じられているときには、左側38に対するのと同様に、フレーム32の外部の面と同一平面である。
【0043】
同様にして、右側40および裏側36の双方は、装置30の左側38におけるメンテナンス用開口82と同様に、装置30のボトム部44近くにメンテナンス用開口を有する。左側38と対称的に、右側40および裏側36の双方は、それぞれ、メンテナンス用開口を閉じ、密封するために、左側38におけるメンテナンス用ドア84と類似したメンテナンス用ドア(図示せず)を有する。装置30の右側40および裏側36に配置された各メンテナンス用ドアは、左側38に対するのと同様に、フレーム32の外部の面と同一平面である。各メンテナンス用ドアは、左側38に対するのと同様に、機械ねじ(図示せず)によって、それぞれ、装置30の右側40または裏側36に対して取り外し可能に搭載される。
【0044】
今、再度図1を参照すると、装置30の裏側36が水入力ポート123と電気入力ポート125とを有することが理解される。代替の実施形態では、装置30の裏側36は、いかなる内部圧縮空気源も供給されない装置30に対して、外部に供給される圧縮空気のための接続も有するであろう。装置の裏側36は、排出ポート124を有し、これを通して、過剰の液体注入物、リンス水、および/または消費された洗浄溶液が装置30から出ていく。水入力ポート123、電気入力ポート125、および、排出ポート124は、当業者に知られた手段による外部ホース、パイピング、連結部に対して接続される。
【0045】
図2および図3を参照すると、冷却器(コンデンサ)127とファンアセンブリ128とを含むエアコンディショニングシステム126が、装置30のトップ部130内に搭載されている。エアコンディショニングシステム126は、液体注入物が注入のための適切な温度となることを保証する。特に、冷却がなくては、液体注入物が損傷するか、または、一旦食品対象に注入されると微生物やバクテリアの成長を助長する温度となるおそれがある。
【0046】
また図2および図3を参照すると、装置30のトップ部130は、液体注入物が充填された6つの注入物用パウチ134を保持するための6つの注入物用トレイ132を収容する。パウチ134は、好ましくは1ガロンのサイズであるが、いかなる容積でも可能である。パウチ134は、当業者に公知となっているいかなるタイプの液体の食品添加物を保持し、その食品添加物は、風味、色、ビタミン、ミネラル、塩、砂糖、保存料、軟化剤、マリネード、薬草エキス、対微生物溶液、対バクテリア溶液、または、薬を含むが、これに限定されない。加えて、パウチ134は、濃縮された食品添加物の希釈のための水を含むことができる。パウチ134は、食物のパッケージのために承認されたいかなる材料によっても組み立てることができ、その材料は、ガラス、ステンレススチール、または、食物用等級のプラスチック(food grade plastics)を含むが、これに限定されない。
【0047】
トレイ132は、支持ブラケット136上に配置され、これにより、注入用パウチ134の容易な変更のために、注入物用トレイ132を装置30から出たり入ったりするようにスライドさせることが可能となる。各トレイ132は、注入物用パウチ134のアウトレットと流体伝達を行う開口138を有し、それを通して注入物の流体は、後に説明するように、装置30の運転の間に注入物用パウチ134を出ていくことになる。トレイ132は、注入物用パウチ134からの液体の注入物の適切なフローを可能にするために、装置30の前側34に向かって少しだけ下方に角度が付けられている。6つのトレイ132と6つのパウチ134が図示されているが、装置に対する特定の用途次第で、装置30がいかなる数のトレイ132とパウチ134をも含むことができることは、当業者によって正しく理解されるであろう。たとえば、病院は、6つのトレイ132およびパウチ134よりずっと多くを必要とするだろうし、その一方で、レストランは、4つのトレイ132とパウチ134しか必要としないだろう。
【0048】
図4は、注入物用パウチ134がどのようにトレイ132と接続されるかについての詳細図を図示する。トレイ132において開口138に付着しているのは、クイック接続用取付部140である。注入物用パウチ134は、トレイ132においてクイック接続用取付部140と密封可能に対となるように設計された取付部142を含む。代替的に、液体注入物は、トレイ132においてクイック接続用取付部140と密封可能に対となるように設計された取付部を含む、当業者に知られたいかなる容器内に設けることができる。
【0049】
加えて、トレイ132は、代替的に、当業者に知られたいかなる方法によっても、装置30のトップ部130内に支持されることができる。たとえば、支持ブラケット136の代わりに、トレイは、さねつぎ構成(tongue and groove arrangement)の手段によって支持されることができ、若しくは、単に支持釘(support peg)によって支持されることができる。
【0050】
さらに、液体注入物がいかなる公知技術によっても装置に供給され得ることは、当業者にすぐに理解されるであろう。たとえば、液体注入物は、パイピング機構や、装置30のトップ部130に直接液体注入物を供給(feed)する他の衛生的な流体接続を使用して、外部から装置30に供給されることができる。代替的に、液体注入物を保持可能であって、装置30のトップ部130内に収容される、いかなる容器の構成も注入行程で注入物を供給するために使用され得る。
【0051】
次に図5に移ると、流体回路図が示されている。水ライン143は、水入力ポート123を介して水源と流体伝達を行う。水ライン143は、水を貯水槽144に供給し、また、インジェクションチャンバ56の洗浄に必要な水を洗浄ノズル174(図6に示す)に向ける。
【0052】
貯水槽144は、必要な場合、液体注入物の希釈のための水を供給するため、または、注入行程の合間に注入システムをリンスするために、装置30のトップ部130内に搭載されている。レベルセンサ146は、貯水槽144内の水の水位(レベル)を示す出力を制御器52に供給する。貯水槽144に対するインレットに配置される水補給バルブ148は、レベルセンサ146によって示された、貯水槽144内の水位が所定の容積値よりも低下するときに、水ライン143からの貯水槽144への自動補給を可能にする。
【0053】
温度センサ147は、貯水槽144内の水の温度を示す出力を制御器52に供給する。貯水槽144内の水が所要の運転温度を越えたことを温度センサ147が示すならば、制御器52は、温度が所要の運転温度を下回るまで、注入行程が開始されることを防止する。
【0054】
水制御バルブ150は、貯水槽144からの水のフローを制御するために、貯水槽144のアウトレットに配置される。他の実施形態では、水ライン143は、装置30内の水のフローを制御するために、水制御バルブ150に直接接続されていてもよく、これは貯水槽144の必要性を除去する。また、別の実施形態では、水ライン143が利用できないときには、より大きな貯水槽を使用されることができ、その大きな貯水槽は、その場合手動で補給されねばならない。
【0055】
また、図5に示されることに、注入物運搬ライン152がトレイ132内の開口138の各々に接続される。各注入物運搬ライン152は、それぞれ個々の注入物用パウチ134からの液体注入物のフローを制御するためのバルブ154に接続される。各バルブ154は、所望の注入効果に応じて、独立して作動され、または、1またはそれ以上の他のバルブ154と同時に作動され、または、水制御バルブ150とともに作動されることができる。
【0056】
ライン156は、混合用マニホルド158に向けてバルブ154を出ていく注入物のフローを導く。所望の注入効果に応じて、混合用マニホルド158は、注入物用パウチ134の1またはすべてからの注入物、および/または、貯水槽144からの水を受け入れる。混合用マニホルド158は、食品のプロセスまたは製造のために承認される、当業者に知られたいかなる材料によって組み立てることができる。混合用マニホルド158は、いかなる大きさまたは形状でもよい。
【0057】
装置30のトップ部130内に搭載された高圧ポンプ160は、混合用マニホルド158からの注入物をポンプフィードライン162を介して引き込む。ポンプ160を出ていく注入物の圧力は、注入されるべき食品対象のタイプによるが、約500psiから約3000psiの範囲をとり得る。好ましくは、ポンプ160のアウトレットにおける注入物の圧力は、約1000psiから約1800psiの範囲である。しかしながら、本発明のより広い観点と一致して、ポンプのアウトレットにおける圧力は、食品対象に対する所望の注入効果を得るために必要ないかなる圧力にもなり得るということである。好ましくは、ポンプ160は空気ポンプであるが、針無しで食品対象に注入するのに十分な圧力で注入物を伝達可能な、当業者に知られたいかなるポンプも使用され得る。
【0058】
圧力センサ170は、ポンプ160の出口に配置され、かつ、装置30のトップ部130内部に配置される。圧力センサ170は、液体注入物のアウトレット圧力を検出し、圧力出力を制御器52に供給する。制御器52は、空気圧レギュレータ282(図2に図示される)を使用して、ポンプ160に対する圧縮空気のフローを調整することで、圧力出力に応答するようにプログラムされており、これによって、液体注入物の出力圧力を、プログラムされた、または、所定の、注入のための圧力に調整する。好ましい実施形態に含まれているが、圧力センサ170、空気圧レギュレータ282、および、制御器52によるエアオペレーション304(図10に示される)の自動制御は、選択的(オプション)である。
【0059】
再度図5を参照すると、注入物は、高圧の注入バースト制御バルブ166に導き、装置30のトップ部130内に配置される高圧ライン164を介して、ポンプ160を出ていく。注入バースト制御バルブ166は、高圧のソレノイドバルブまたは当業者に知られたいかなる高圧バルブであってもよい。選択的に、混合された注入物の温度を測定するための温度センサ168は、ライン162またはライン164のいずれかに配置されることができる。運転中、貯水槽144内に配置された温度センサ147と同様に、所定の注入行程/注入対象に必要な、プログラムされた、または、所定の値を温度が越えるときには、注入バースト制御バルブ166は開放しない。
【0060】
次に図6を参照すると、装置30の前側34が示されている。インジェクションチャンバ56は、注入バースト制御バルブ166を出ていく高圧の液体注入物を受け入れるインジェクションヘッド172を有する。1つのインジェクションヘッド172のみが図6に図示されているが、本発明の特定の用途に応じて、注入バースト制御バルブ166を出ていく注入物のフローが2つまたはそれ以上のインジェクションヘッド172に分割されてもよいことは、当業者によって正しく理解されることである。
【0061】
インジェクションチャンバ56は、インジェクションチャンバ56をリンスし、かつ、洗浄するために、インジェクションチャンバ56内に取り外し可能に、かつ、密封して搭載される洗浄ノズル174を含む。洗浄サイクル中、洗浄バルブ145は開放され、水ライン143から洗浄ノズル174に向けて水を供給する。インジェクションチャンバ56は、インジェクションチャンバ56から過剰の注入物を排出し、排出出口ポート124を介して装置30から排出する、排出開口171と排出ライン173(図5に示される)を含む。選択的には、装置30は、インジェクションチャンバ56内の過度の蓄積を避けるために、装置30内に収容され、制御器52によって定期的に作動される排出ポンプを含む。
【0062】
シャトル175とキャリアトレイ179は、注入行程の間、インジェクションヘッド172に対して注入対象を移動させるために設けられる。シャトル175は、過剰の液体注入物を排出するための開口(図示せず)を有する、実質的に長方形のプレートである。シャトル175は、後に説明されるように、インジェクションチャンバ内部に機械的または電気的要素を配置させることなく、インジェクションチャンバ56内部でシャトル175を移動させるために付着される複数の磁石177を有する。
【0063】
キャリアトレイ179は、シャトルに取り外し可能に連結され、注入行程の間シャトル175上に乗っている。キャリアトレイ179は、インジェクションヘッド172に対して注入対象の高さを変化させるために、いくつかの異なる位置でシャトル175に連結される。シャトル175とトレイ179は、インジェクションチャンバ56内に配置され、そこから洗浄のために取り外し可能である。
【0064】
シャトル175とトレイ179は、所望の注入効果や、シャトル175とトレイ179が食品対象を運搬するために設計される際のその食品対象のタイプに応じて、いかなる大きさまたは形状をとり得る。たとえば、インジェクションヘッド172の近くの食品対象を持ち運ぶために、シャトル175またはトレイ179は、その食品対象をプラットフォームに供給するために、図6に示した場合よりも高さを高くすることができる。従って、本発明の異なる食品対象の用途のために、複数のシャトル175と複数のキャリアトレイ179が、装置30に設けられてもよいことが想定される。
【0065】
次に図7および図8を参照すると、図6に加えて、インジェクションヘッド172の詳細図が示される。インジェクションヘッド172は、形状において実質的に円筒形であり、トップ部176と、トップ部176に取り外し可能に接続されるボトム部178とを有する。インジェクションヘッド172とすべての関連する要素は、好ましくは、ステンレススチールによって組み立てられるが、インジェクションヘッド172は、針無しで対象物に注入するのに必要な高いシステム圧力に耐えることができる、当業者に知られたいかなる材料によって組み立ててもよい。
【0066】
インジェクションヘッド172のトップ部176は、180で全般的に示される円筒形の外面と、182で全般的に示されるボトム面と、184(図5に示される)で全般的に示されるトップ面とを有する。トップ部176の外面180の部位186は、インジェクションヘッド172のボトム部178に対してトップ部176を取り外し可能にはめ込むためのねじ山188を有する。
【0067】
図7に加えて図5を参照すると、トップ部176のトップ面184の内部は、凹形またはドーム形であり、注入バースト制御バルブ166を出ていく高圧の注入物を受け入れる流体インポート190を含む。トップ面184は空気放出ポート192も含み、この空気放出ポート192は、トップ部176のトップ面184に沿った最高位置に配置され、インジェクションヘッド172内部に閉じ込められた空気を放出する。
【0068】
素早い動作を行うソレノイドエスケープ(脱出用)バルブ194は、システム内に閉じ込められた空気を放出するための空気放出ポート192に接続される。エスケープバルブ194のアウトレットは、排出出口ポート124を通して装置30から運ばれた注入物を向けるための排出ライン195に接続される。空気放出ポート192を流れる過剰の注入物を運ぶ排出ライン195は、排出出口ポート124を通して装置30を出ていく前に、排出ライン173と流体伝達を行い得る。
【0069】
図7および図8に戻ると、インジェクションヘッド172のボトム部178は、196で全般的に示される円筒形の外面と、198で全般的に示されるボトム面と、200で全般的に示されるトップ面とを有する。ボトム部178のボトム面198は、液体注入物がインジェクションヘッド172を出ていくことが可能な複数の開口206を有する。ボトム部178は、ボトム部178のトップ面200近くに配置され、ボトム部178をトップ部176に取り外し可能に連結するためのキャビティ(空洞)202を有する。ボトム部178は、代替的に、当業者に知られた方法でトップ部176に取り外し可能に接続されていてもよい。
【0070】
トップ側210とボトム側212を有するノズルディスク208は、インジェクションヘッド172のボトム部178のキャビティ202内に取り外し可能に配置される。ノズルディスク208は、1方向のみでキャビティ202内にはまるように締められており、これにより、インジェクションヘッド172の組み立て(アセンブリ)がより容易となる。ノズルディスク208は、複数の注入ノズル216を収容するための複数の開口214を有する。ノズルディスク208における各開口214は、ノズルディスク208の開口214内に注入ノズル216を取り外し可能に保持するために、ボトム面216近くに配置されるリップ(口)218を有する。注入行程のために搭載されると、ノズルディスク208における開口214は、インジェクションヘッド172のボトム部178のボトム面198内に配置される開口206と一直線に並べられる。全体のインジェクションヘッドアセンブリの洗浄のために、ノズルディスク208はインジェクションヘッド172から取り外し可能であり、注入ノズル216はノズルディスク208から取り外し可能である。
【0071】
各注入ノズル216は、注入対象に対する液体注入物の伝達のためのオリフィス220を有する。注入ノズルの各々におけるオリフィス220は、好ましくは0.025インチより小さく、さらに好ましくは約0.006インチよりも大きい。本発明の開示内容と一致して、当業者に明らかであろうことは、注入ノズル196におけるオリフィス220は、注入されるべき対象物のタイプや厚み次第で、0.025インチよりも大きいか、または、0.006インチよりも小さくてもよい。従って、注入ノズル216のオリフィス220は、食品対象に損傷または変形させることなく、均一かつ針無しで食品対象に注入物を注入するのに十分な圧力で注入バーストの伝達が可能な、いかなる大きさでもよい。
【0072】
注入ノズル216は、サファイア、または、対象物の針無しの注入のために必要な高圧の流体バーストに耐えることができる、当業者に知られたいかなる材料によっても組み立てられる。さらに、注入ノズル216は、注入されるべき対象物または所望の注入目的に応じて、容易に変更され得る。注入ノズル216は、インジェクションヘッド172のノズルディスク208内に取り外し可能に配置されて示されるが、注入ノズル216は、その代わりに、ノズルディスク208と一体となっていてもよく、または、インジェクションヘッド172のボトム部178のボトム面198内に一体となっていてもよい。さらに、注入ノズル216は、当業者に知られたいかなる方法によってもインジェクションヘッド172に取り外し可能に付着されていてもよい。
【0073】
加えて、16個の注入ノズル216が図示されているが、所望の注入効果および食品対象のタイプに応じて、より多くのまたはより少ないノズルが使用されていてもよい。たとえば、より大きく、または、より厚みがある注入対象に対しては、24個の注入ノズル216が、対応する開口の数を有するノズルディスクと同時に使用されていてもよい。また、長方形の注入パターンが図示されているが、注入ノズル216は、得るべき所望の注入効果に応じて、円形のパターンや他のいかなる構成によっても構成され得ることが予想される。
【0074】
注入行程の準備の際にインジェクションヘッド172を組み立てるため、注入ノズル216は、ノズルディスク208における開口214内に配置され、ノズルディスク208は、インジェクションヘッド172のボトム部178におけるボトム側212に配置される。トップ部176がボトム部178と連結されるとき、Oリング222とワッシャ224は、注入物がノズルディスク208周辺を流れるのを防止する。ワッシャ224には、小溝226が設けられる。
【0075】
ディスクフィルタ228は、インジェクションヘッド172のボトム部178内において、Oリング222とワッシャ224の上方に配置される。フィルタ228は、全般的に、正面側230と、背面側232と、平らの周辺エッジ234と、ディスクフィルタ228内部に形成される複数の開口(図示せず)とを有するディスク形状の要素である。周辺エッジ234は、フィルタ234がインジェクションヘッド172のボトム部178内に適切に配置されるときに、ワッシャ224において小溝226とかみ合う。運転中、注入物は、ノズル216に入る前に液体注入物内の微粒子を取り除くために、フィルタ228の開口を通過する。
【0076】
ディスクフィルタ228がインジェクションヘッド172のボトム部178に搭載された後に、第2のOリング238は、インジェクションヘッド172のボトム部178内でディスクフィルタ228の上方に配置され、それにより、Oリング238はディスクフィルタ228のトップ側234上で周辺エッジ234とかみ合う。Oリング238が搭載された後、ボトム部178は、インジェクションヘッド172のトップ部176上でねじ込まれ、手で締められる。従って、注入行程の間、入ってくる注入物は、ねじ山、溝、または、トップ部176またはボトム部178のいずれかに存在するおそれのあるピッティングと接触しない。
【0077】
さらに、残留注入物はねじ込み連結部内に閉じ込められるようにならず、または、それを通過しないので、流体汚染のリスクが低減される。加えて、酸性条件(洗浄流体や注入物)にさらされたねじ山や溝は容易にくぼみ、または、さびる傾向にあるので、インジェクションヘッド172のかかる構成は、インジェクションヘッド172の使用寿命を増加させることができる。
【0078】
Oリング222,238は、デュポン社またはその許諾者による商標であるテフロン、EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)、シリコン、ゴムのような材料、または、インジェクションヘッド172のトップ部176に対してボトム部178を密封(シール)すると同時に、適当な場所にあるインジェクションヘッド172の内部要素をシールするための、当業者に知られたいかなる材料によっても組み立てることができる。インジェクションヘッド172のトップ部176とボトム部178が、ともに、当業者に知られたいかなる手段によっても取り外し可能にシール可能であることは、当業者にすぐに正しく理解されることであろう。
【0079】
今一度図5および図6を参照すると、インジェクションヘッド172のトップ部176は、トップ部176のトップ面184が装置30のトップ部130に延びているか若しくは面しているように、装置30に搭載される。トップ部176のボトム面182は、インジェクションチャンバ56に延びている。従って、インジェクションヘッド172のボトム部178は、インジェクションチャンバ56の内部からトップ部176に取り外し可能に付着される。
【0080】
液体注入物が飛散し、それでなければ装置30のトップ部130から出ていくのを防止するために、トップ部176は、トップ部176とインジェクションチャンバ56の交差部分である、その外面180の外周周りで完全にシールされる。機械ねじ、および/またはOリング、または、トップ部176の外周周りで注入を密封(シール)させることができる、いかなる機械的なシール用デバイスも含めることができるシール機構240によって、トップ部176が適切な場所でシールされる。かかる方法で、インジェクションヘッド172は注入行程の間静止している。しかしながら、この構成では、トップ部176は、メンテナンス目的のため、または、インジェクションヘッドの大きさやタイプを変更するために、装置30から取り外すことが可能である。
【0081】
インジェクションヘッド172のトップ部176は、当業者に知られた方法で、適切な場所で取り外し可能にシールされることが可能である。代替の実施形態では、インジェクションヘッド172は、インジェクションヘッドがインジェクションチャンバ56内で高さを調節可能となるような方法で、取り外し可能にシールされてもよい。また、他の実施形態では、インジェクションヘッド172のトップ部176は、装置30に常に溶接され、そうでなければ接着されることができる。
【0082】
食品対象に対する針無しの注入のために適切な流体圧力が注入ノズル216のアウトレットに得られるのであれば、インジェクションヘッド172は、いかなる形状または大きさでもよいことは、当業者にとって正しく理解されるであろう。たとえば、インジェクションヘッド140は、円筒形状であるよりはむしろ、円形であるか、または、インジェクションヘッドの表面に開口とベアリングノズルを有する、全般的にチューブ形状であり得る。
【0083】
図6に加えて、次に図9を参照すると、x−y駆動システム246が図示されている。x−y駆動システム246は、インジェクションチャンバ56の下方に配置され、装置の側面である34,36,38,40のいずれにおけるメンテナンス用の開口を通してもアクセスすることができる。x−y駆動システム246は、インジェクションチャンバ56の下方からインジェクションチャンバ56内のシャトル175を移動させ、これによって、インジェクションチャンバ56内部の移動部品に対する必要性を除去する。x−y駆動システム246は、テーブル248と、それぞれ、装置30の左および右側である38,40において、テーブル248に搭載され、装置30の前側34から後側36に延びている2つの平行トラック250とを有する。モータ254と駆動ベルト256を含む第1駆動システム252も、テーブル248に搭載される。
【0084】
x−yプラットフォーム258は、平行トラック250に移動可能に搭載され、装置30の左側38から右側40まで延びている。装置30の左側38から右側40まで延びている2つの平行トラック260がx−yプラットフォーム258に搭載される。モータ264と駆動ベルト266を含む第2駆動システム262も、x−yプラットフォーム258に搭載される。x−y駆動プレート268(図6に最も良く示される)は、平行トラック260に対して移動可能に搭載される。
【0085】
支持コラム270は、全般的に円筒形状であり、他端よりも小さい円周を有する一端を備え、大円周部と小円周部との間のつなぎがショルダ330を形成するようになっている。各支持コラム270の大円周部は、x−y駆動プレート268に搭載されている。2つの対向側面のうちの1つに開口332を有するプレート272が、プレート272内の各開口332がそれぞれ各支持コラム270の小円周部をスライド可能に受け入れるとともに、プレートが支持コラム270のショルダ330上で静止するようにして、支持コラム270によって運ばれる。複数の磁石274がプレート272に付着され、プレート272上で、インジェクションチャンバ56内に配置されるシャトル175上の磁石177と実質的に同一の構成によって配置される。
【0086】
プレート272上の磁石274と、シャトル175上の磁石177のおかげで、プレート272は、ショルダ330と支持コラム270の端部との間を支持コラム270に沿って垂直に移動し、これは、プレート272がインジェクションチャンバ56のボトム(底)部におけるスロープや、インジェクションチャンバ56の底部の不整を説明することができるような方法、および/または、x−y駆動システム246が運転中に、プレート272がx−y駆動システム246とインジェクションチャンバ56の底部との間の配列ミスを説明することができるような方法で行われる。
【0087】
注入行程の間、第1駆動システム252は、x−yプラットフォーム254を、次に、磁石274が付着されるプレート272を、特定の予めプログラムされた注入パターン、または、得られるべき所定の注入効果に従って、装置30の前側34から装置30の裏側36までに配置されるいかなる位置へと移動させる。それと同時に、第2駆動システム262は、x−y駆動プレート268を、次に、磁石274が付着されるプレート272を、特定の予めプログラムされた注入パターン、または、得られるべき所定の注入効果に従って、装置30の左側38から装置30の右側40までに配置されるいかなる位置へと移動させる。従って、プレート272は、いかなる方向でも、装置30内のいかなるx−y位置へも移動され得る。
【0088】
それゆえ、注入行程の間、インジェクションチャンバ56内におけるシャトル175上の磁石177は、プレート272に付着される磁石274と一致するように整列している。プレート272は、磁石の吸引によって、シャトル175をインジェクションチャンバ内のいかなる位置へも駆動する。
【0089】
当業者に知られたいかなる駆動またはポジショニング機構がインジェクションチャンバ56内の注入対象を移動させるために使用可能であることは、正しく理解されるであろう。これは、サーボモータ主導のスクリュータイプ駆動のようなリニアポジショニングシステムだけでなく、当業者に知られたロータリーまたはノンリニアの自動ポジショニングシステムを含む。
【0090】
図1および図2に戻ると、装置30のボトム(底)部内に配置される機器コンパートメント276が示されている。機器コンパートメント276は、装置30内で必要とされるいかなる電気的または機械的機器をも配置させるために、装置30内に含まれる。機器コンパートメント276は、装置30のボトム部44に沿って、前側34から裏側36へ延び、右側40から左側38へ延びている。
【0091】
エアコンプレッサ278、圧縮空気タンク280、および、プレッシャレギュレータ282は、圧縮空気を、ポンプ160と、装置30に要するいかなる圧縮空気によって駆動される機器とに供給するために、機器コンパートメント276内に搭載される。代替の実施形態では、装置30は、内部の空気圧縮器278によって供給されなくてもよい。これらの実施形態では、外部の圧縮空気源が、装置30に対して必要な圧縮空気を供給するために使用され、装置30の裏側36に形成される入力ポートを介して装置30に接続され、順に圧縮空気タンク280に直接接続される。
【0092】
エアコンディショニングシステム126とともに使用されるコンプレッサ286と、制御器52もまた、機器コンパートメント276内部に配置される。加えて、装置30の運転に必要な他の機器が機器コンパートメント276内部に含まれてもよい。さらに、ポンプ160、貯水槽144、バルブ146,148,154,166若しくは194、結合されるパイピングのような、装置30のトップ部130内に収容される機器は、装置30の寸法とスペース要求に応じて、機器コンパートメント276内部に選択的に配置されていてもよい。同様に、機器コンパートメント276内部に収容されるいかなる機器も、選択的に、装置30の寸法とスペース要求に応じて、装置30のトップ部130内、または、装置30内部のいかなる位置にも配置されることができる。
【0093】
最後に、装置30は、図示されるように、全般的に長方形のハウジングであるが、装置30は、施設における設定において装置30を収容するのに要する、いかなる大きさ、形状、または、寸法でもよいことは、当業者によってすぐに理解されよう。従って、本発明のより広い観点と一致して、装置30は、いかなる意図した位置においても、存在するスペースに適合するために、要望に応じた大きさとすることができる。
【0094】
本発明は、食品対象に注入物の流体を素早く針無しで注入するために、実質的に均一で高圧の注入バーストを使用する方法を含むことが理解される。このような方法で、対象物の外面に対する損傷が最小化される。本発明は、風味、色、保存料、つなぎ、薬草エキス、ビタミン、ミネラル、対微生物溶液、および/または、軟化剤を針無しで注入対象の外面に加えるのに十分な高圧の注入バーストを使用して、対象物に注入流体を素早く伝達する方法も含む。
【0095】
従って、図1から図11を参照して、本発明の針無しのインジェクション装置30の動作を説明する。先ず、オペレータは、外部の水供給ラインを水入力ポート123に、電力ラインを電気入力ポートに、(内部のエアコンプレッサ278がない場合には)圧縮空気ラインを装置30の裏側36に接続する。排出ラインは排出出口ポート124に接続される。
【0096】
(液体の注入物を含む)注入物パウチが装置30に装填され、トレイ132の各々においてクイック接続用取付部140に接続される。好ましくは、注入物用パウチ134は、装置30に装填される前に適切な温度に冷却される。加えて、装置30のプラグが差し込まれているときは常に、エアコンディショニングシステム126が運転しており、装置30のトップ部130とそこに格納される注入物用パウチ134を適切な温度に維持する。このようにして、注入行程が実行されていないときでも、装置30は、液体注入物を行程間で適切な温度で保管するために、プラグに差し込まれた状態のままとすることができる。
【0097】
注入行程を開始するために、オペレータは、コントロールパネル47に配置されるボタン48を使用して装置30をオンさせる。そして、オペレータは、タッチスクリーン50に表示されるプロンプトに従い、装置を制御するための、注入行程のプロセスパラメータを入力する。かかるパラメータは、食物のタイプ、食物の厚み、所望の注入物パウチ(1または複数)(または、それが配置されるトレイ番号(1または複数))、バッチサイズ、注入圧力、注入バーストの期間、注入バーストの間隔、注入のタイミング、ポンプ160の出力圧力、シャトル175の移動、または、所定の注入行程のために必要な他の情報が含まれるが、これらに限定されない。これらのパラメータは、装置によって得られるべき必要な注入効果に従って、製造行程中に調整されてもよい。
【0098】
代替的に、オペレータは、所定の注入対象または所定の注入効果を得るために、格納された1セットのプロセス変数を制御器52から取り出すためにタッチスクリーン50を使用することができる。プログラムされたプロセス変数は、注入圧力の制御、注入バーストの期間、注入バーストの間隔、注入のタイミング、ポンプ160の出力圧力、シャトル175の移動、または、所定の注入行程のために必要な他の情報、の制御を含めることができる。
【0099】
流体オペレーション300の一部として、制御器52は、(図10に図示されるように)レベルセンサ146によって示される水位が所定の水位よりも低くなるときに、水補給バルブ148を介して、注入行程中に、貯水槽144を自動的に補充するようにプログラムされていてもよい。従って、貯水槽144内の高い水位を維持するためにオペレータの介入が必要ない。代替的に、貯水槽144が低くなった場合には、タッチスクリーン50は、水位が低いことをオペレータに示してもよく、オペレータが制御器52を使用して自動的に注入物の流体を補充することが可能となる。加えて、オペレータは、装置30の運転を停止させ、貯水槽144に手動で充填することができる。
【0100】
オペレータは、インジェクションチャンバ56内のシャトル175を配置し、これはそこに付着される磁石177が、x−y駆動システム246上のプレート272に付着される磁石274と整列するようにしてなされる。そして、キャリアトレイ179は、シャトル175に対して、対象物に対する所望の注入効果を得るために要する位置に置かれ、注入対象は、キャリアトレイ179上に置かれる。
【0101】
注入行程を開始するために、インジェクションチャンバ56のドア58が閉められる。装置30の安全ドア操作302の一部として、インジェクションチャンバ56のドア58は、制御器52とインターロックされるセンサ284を有する。制御器は、ドア58が開いているときには、注入行程が開始されることを許可しない。
【0102】
運転中、1または複数の選択された注入物用パウチ134からの液体注入物は、選択されたトレイ132の各々における開口138を通過し、それぞれ注入物制御バルブ154に流れる。そして、注入物制御バルブ154が開き、注入物がライン156を介して混合用マニホルド158へ流れることを可能にする。所望の場合には、貯水槽144からの水も、注入物を希釈するために混合用マニホルドまで流れる。
【0103】
装置30の流体オペレーション300の一部として、温度センサ147は、水の温度を制御器52へ伝える。水の温度が所定の動作温度よりも高い場合には、温度警告灯がタッチスクリーン50上に現れ、制御器52は、注入バースト制御バルブ166が開くことを防止する。これが起こると、エアコンディショニングシステム126が水を適切な温度まで冷却し、警告灯が消えるまで、オペレータは待たなければならない。警告灯が注入行程中に現れた場合には、行程プログラムが終了させることを可能にするが、水の供給が適切な温度まで冷却され、警告灯が消えるまで、さらなるサイクルは開始することはできない。
【0104】
注入物制御バルブ154と水制御バルブ146の制御とタイミングは、食品に注入されるべき液体の最終的な混合に影響を及ぼす。それゆえ、装置30の流体オペレーション300の一部として、注入物制御バルブ154と水制御バルブ150の制御とタイミングは、所定の注入混合物を得るために制御器52によって制御される。
【0105】
所定の食品対象は、所定の行程に対して1回の注入バーストより多くを必要とするだろうことは、当業者によって正しく理解されよう。それゆえ、「混合される注入物」の組成は、得られるべき所望の注入効果に応じて、連続する注入バーストの合間で、または、注入バースト中に、注入物制御バルブ154のタイミングと制御を変更することによって変えることが可能である。
【0106】
混合された注入物は、ポンプフィードライン162を介して混合用マニホルド158を出ていき、装置30のトップ部130内で、ポンプ160の低圧側まで流れる。空気ポンプ160は、高圧ライン164を介して、注入物を注入バースト制御バルブ166まで汲み出す。
【0107】
装置30のエアオペレーション304の一部として、図10に図示されるように、流体の出力圧力が圧力センサ170から制御器52へ伝えられる。所望の注入圧力が得られない場合には、制御器52は、ポンプの出力圧力が所望の若しくはプログラムされた注入圧力に達するまで、ポンプ160に流れる空気圧を変更するために、エアプレッシャレギュレータ282を調整することによって、自動的に応答する。代替の実施形態では、オペレータは、タッチスクリーン50を介して、ポンプ160までの空気の流れを手動で調整することが可能となるようにしてもよい。エアオペレーション304の自動制御が好ましい実施形態に含まれているが、自動制御は選択的(オプション)である。
【0108】
エアオペレーションの自動制御に対する代替が、図11に図示される。一連のプリセットされたレギュレータ167a,167b,167cとバルブ169a,169b,169cは、圧縮空気タンク280からポンプ160への空気の流れを調整するために使用され、これによって、ポンプ160の出力圧力を3つの所定の注入圧力の中で変更する。食品対象のタイプや厚みがオペレータによってタッチスクリーン50を使用して入力されると、制御器52は、それに応じて、対応するバルブ169a、169bまたは169cを作動させて、圧縮空気の流れを、それぞれ関連するレギュレータ167a,167b,167cに向け、これにより、所定のフローレートの空気がポンプ160に供給されることを可能にする。これは、ポンプ160に、特定の作動されるバルブに対応する所定の出力圧力で注入物を伝達させる。3つのプリセットされたレギュレータ167a,167b,167cとバルブ169a,169b,169cが図11に図示されるが、ポンプ160の所定の出力圧力の数に対応した、いかなる数のプリセットされたレギュレータとバルブが使用されてもよい。
【0109】
選択的に、温度センサ168は、制御器52に注入物の温度を伝える。その温度があまりに高い場合には、温度警告灯がタッチスクリーン50上に現れ、制御器52は、注入バースト制御バルブ166が開くのを防止する。これが起こると、エアコンディショニングシステム126が水を適切な温度まで冷却し、警告灯が消えるまで、オペレータは待たなければならない。警告灯が注入行程中に現れた場合には、行程プログラムが終了させることを可能にするが、注入物が適切な温度まで冷却され、警告灯が消えるまで、さらなるサイクルは開始することはできない。
【0110】
注入物が適切な温度である場合には、注入バースト制御バルブ166が開き、流れる注入物をインジェクションヘッド172に向ける。注入バーストは、予めプログラムされた、または、以前に入力されたプロセス変数に関連して生じ、シャトルオペレーション306の一部としてx−y駆動システム246の移動と完全に同期している。
【0111】
従って、(キャリアトレイ179上に配置される)注入対象は、インジェクションヘッド172に対して移動され、所望の結果に従って注入される。シャトル175、キャリアトレイ179、注入対象は、順に、所望の注入効果に応じて、注入バーストの間に移動可能であり、または、2つの注入バーストの合間で移動可能である。それゆえ、対象物が適切に配置されると、注入バースト制御バルブ166が開き、インジェクションヘッド172上のノズル216を通して対象物に流体が伝達されることが可能となる。注入バーストが完了すると、注入バースト制御バルブ166は閉じられる。注入対象は、所望の効果を得るために必要なだけ多くの注入バーストを受けることができる。
【0112】
注入行程中に定期的に、空気放出ポート192に接続される早期作動の(fast-acting)ソレノイドバルブ194は、インジェクションヘッド172内に蓄積される空気を放出するために開けられる。バルブ194が所定の間隔で開くように予めプログラムされていない場合には、オペレータは、バルブ194を定期的に開かせるようにタッチスクリーン50を使用することができる。空気放出ポート192を出ていくいかなる注入物も、排出出口ポート124を通って、排出ライン195経由で装置30から流れ出る。
【0113】
過剰の注入物は、インジェクションチャンバ56内を排出開口171を通って流れ、排出出口ポート124を通って装置30から流れ出る。排出ポンプが備わる場合には、制御器52は、インジェクションチャンバ56に蓄積される過剰の注入物を避けるために、そのポンプを自動的にオンおよびオフする。
【0114】
所定の注入物に対するすべての注入バーストが伝達された後、オペレータは、インジェクションチャンバ56上のドア58を開け、注入された食品対象を取り出すことができる。ここに説明された方法による、食品対象に対する液体注入物の完全で均一な注入は、注入対象のタイプにもよるが、数秒で起こる。本発明の注入行程の瞬時での特性は、食品のデリバリのタイミングが重要であるレストランやカフェにおいて本装置を有用にする。
【0115】
洗浄オペレーション308の一部として、各注入行程間において、インジェクションヘッド172と、注入ノズル216と、結合されるバルブおよびラインとは、貯水槽144からの水でリンスされることができる。インジェクションチャンバ56は、洗浄ノズル174を使用して、水ライン153から伝達される水でリンスされる。しかしながら、タイマ290によって設定される特定の時間数の後、タッチスクリーン50は、洗浄サイクルを実行するため、自動的にプロンプトでオペレータに指示を求める。好ましくは、その特定の時間は、4時間である。
【0116】
加えて、2つの注入行程間で、装置をシャットダウンする前に、タッチスクリーンは、洗浄サイクルを開始するための、スイッチまたはボタンなどのコントロールを含む。そして、オペレータは、装置を洗浄または衛生的にするために表示されるプロンプトに従う。装置30がシャットダウンされる前に洗浄サイクルが実行されない場合には、洗浄サイクルのコントロール、装置30が再開されるときにタッチスクリーン50上に表示される。
【0117】
洗浄サイクル中、オペレータは、貯水槽144を出ていく水の供給を洗浄ノズル174に向ける目的で洗浄バルブ145を開けるために、タッチスクリーン50を使用するようにプロンプトで指示を求められる。選択的に、洗浄溶液は、外部の水供給とともに、水入力ポート123を通して装置30に供給される。しかしながら、洗浄溶液は、当業者に知られたいかなる方法でも水入力ポート123に供給され得る。そして、インジェクションチャンバ56上のドア58は閉じられて密封され、タッチスクリーン50を介してオペレータによって洗浄サイクルが開始される。洗浄サイクルが完了すると、インジェクションチャンバ56のドア58が開けられて、さらなる注入行程が発生可能となる。
【0118】
加えて、洗浄オペレーションは、インジェクションヘッド172を取り除くこと、および、フィルタ、Oリング、ワッシャ、ノズルディスク、ノズルを手動による洗浄のために分解することを含めることができる。
【0119】
それゆえ理解されることであるが、本発明は、1またはそれ以上のタイプの液体の食品添加物が、密封されたインジェクションチャンバ内の食品対象に対して、個々または同時に伝達され、食品対象に対する完全かつ均一な注入が、数秒の事柄で生ずる、針無しのインジェクション装置および方法を開示している。本発明の針無しのインジェクション装置および方法は、注入プロセスを密封されたチャンバ内で完全に密閉することによって、および、注入ノズルが食品対象に接触すること、若しくは、食品対象のすぐ隣に置かれることの必要性を除去することによって、汚染を最小化する。
【0120】
さらに理解されるであろうことには、本発明は、コンベヤーシステムや大型の製造機器が不必要であるか、あまりに高価である操作エリアにおける使用に対して効率的かつコンパクトである、食品対象に注入するための針無しのインジェクション装置および方法を開示している。さらに、本発明は、各食品対象間でリンスまたは洗浄され得るスタンドアローンの装置において、食品対象を個性的に風味付けるか、そうでなければ強化するための方法を提供する。本発明は、新しい/異なる食品対象、または、連続的な注入行程で注入されるべき新しい/異なる風味の組み合わせを可能にし、全体的な製造ラインや全体的なレストランの作業の「シャットダウン」の必要がない。
【0121】
本発明の例示的な実施形態が特定の実施形態と用途に関連して示され、かつ、説明されたが、ここに説明されたように、本発明の要旨または範囲を逸脱しない、本発明に対するいくつかの変更、変形、改変が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。それゆえ、すべてのかかる変更、変形、改変は、本発明の範囲内であるように理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、本発明のインジェクション装置の等角投影図であり、その前側および左側を示し、説明目的のためにドアが実体なく示される。
【図2】図2は、図1に示されるインジェクション装置の左正面図であって、x−y駆動機構が露出して示される。
【図3】図3は、図1および図2に示されるインジェクション装置の正面図であって、その背後側の部分的な図を示す。
【図4】図4は、ライン4−4から取られる、図3に示されたインジェクション装置の注入物とトレイを含むパウチの断面図である。
【図5】図5は、図1から図4に示されるインジェクション装置の流体回路図である。
【図6】図6は、図1から図5に示されるインジェクション装置の正面図であり、その部分的な図の前側を示す。
【図7】図7は、図1から図6に示されるインジェクション装置のインジェクションヘッドの詳細図である。
【図8】図8は、ライン8−8から取られる、図7に示されたインジェクション装置のインジェクションヘッドの断面図である。
【図9】図9は、図1から図6に示されるインジェクション装置のx−y駆動システムの上部平面図である。
【図10】図10は、図1から図8に示されるインジェクション装置の制御回路図であって、装置のエアオペレーションの自動制御を示す。
【図11】図11は、図1から図8に示されるインジェクション装置の制御回路図であって、一連の予め設定されたレギュレータおよびバルブを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針無しで対象物に液体を注入する装置であって、
インレット部とアウトレット部を有するインジェクション(注入)要素と、
前記インジェクション要素の前記インレット部と流体伝達を行う複数の液体源と、
前記インジェクション要素の前記アウトレット部に対して前記対象物を移動させるシャトル機構と、
を備えた、針無しで対象物に液体を注入する装置。
【請求項2】
請求項1に記載された装置であって、
前記インジェクション要素の前記アウトレット部は、オリフィスを有する少なくとも1つのノズルを備えた、
針無しで対象物に液体を注入する装置。
【請求項3】
請求項1に記載された装置であって、
前記インジェクション要素は、前記インレット部と前記アウトレット部との間を移動可能に配置されたフィルタ要素、をさらに備えた、
針無しで対象物に液体を注入する装置。
【請求項4】
請求項1に記載された装置であって、
前記シャトル機構は、
第1駆動源と、第1軸に沿った移動のために当該第1の駆動源に作用上連結された第1駆動テーブルと、
第2駆動源と、前記第1の駆動テーブルに作用上連結されて第2軸に沿った移動のために設けられる第2駆動テーブルと、
前記第2駆動テーブルに作用上連結され、前記インジェクション要素の前記アウトレット部に関して前記対象物を直交して移動させるキャリアプレートと、
を有するx−y駆動ユニット、を備えた、
針無しで対象物に液体を注入する装置。
【請求項5】
請求項1に記載された装置であって、
前記液体源の各々を所定の温度に維持するための冷却要素、をさらに備えた、
針無しで対象物に液体を注入する装置。
【請求項6】
請求項1に記載された装置であって、
前記インジェクション要素の前記アウトレット部と、前記シャトル機構の少なくとも一部とを密封可能に収容するインジェクションチャンバ、をさらに備えた、
針無しで対象物に液体を注入する装置。
【請求項7】
完全に密閉されたインジェクション装置であって、
密封されたインジェクションチャンバと、
インレット部と排出部とを含み、当該排出部が前記インジェクションチャンバ内に移動可能に密封されるマニホルドヘッドと、
前記マニホルドヘッドの前記インレット部と流体伝達を行う、少なくとも1つの液体源と、
前記インジェクションチャンバ内に移動可能に配置され、前記マニホルドヘッドの前記排出部から離間されたキャリア要素と、
前記密封されたインジェクションの外部にあって、前記キャリア要素と磁気的に連結され、前記マニホルドヘッドの前記排出部に対応して前記インジェクションチャンバ内の前記キャリア要素の移動のためのx−y駆動機構と、
を備えた、完全に密閉されたインジェクション装置。
【請求項8】
請求項7に記載された装置であって、
前記インジェクションチャンバは、少なくとも1つの洗浄用ノズルをさらに備えた、
完全に密閉されたインジェクション装置。
【請求項9】
請求項7に記載された装置であって、
前記マニホルドヘッドは、脱出用開口(escape aperture)と、前記インジェクションヘッドの前記脱出用開口と流体伝達を行う、少なくとも1つのバルブとを備えた、
完全に密閉されたインジェクション装置。
【請求項10】
請求項7に記載された装置であって、
前記マニホルドヘッドの前記排出部は、オリフィスを有する少なくとも1つのノズルを備えた、
完全に密閉されたインジェクション装置。
【請求項11】
請求項7に記載された装置であって、
前記マニホルドヘッドは前記キャリア要素に対して静止している、
完全に密閉されたインジェクション装置。
【請求項12】
請求項7に記載された装置であって、
前記液体源の各々を所定の温度に維持するための冷却要素、をさらに備えた、
完全に密閉されたインジェクション装置。
【請求項13】
請求項7に記載された装置であって、
前記液体源の各々と流体伝達を行う低圧インレットと、前記マニホルドヘッドの前記インレット部と流体伝達を行う高圧アウトレットとを有するポンプ、をさらに備えた、
完全に密閉されたインジェクション装置。
【請求項14】
請求項7に記載された装置であって、
制御器とタッチスクリーンとを含む制御システム、をさらに備えた、
完全に密閉されたインジェクション装置。
【請求項15】
食品対象に液体を注入するためのコンパクトで完全に密閉された装置であって、
インジェクションコンパートメントと、
インレットと、前記インジェクションコンパートメントに延びる複数の排出用オリフィスとを備えた、静止したインジェクション要素と、
前記食品対象を支持するために、前記インジェクション要素の前記排出用オリフィスの各々から離れて配置されるキャリア要素であって、前記排出用オリフィスに対し、前記インジェクションコンパートメント内で移動可能であり、前記装置の運転中に前記食品対象が前記排出用オリフィスの各々から離れて配置されるキャリア要素と、
前記インジェクションコンパートメントの外部に配置され、前記キャリア要素と磁気的に連結されたx−y駆動要素と、
を備えた、食品対象に液体を注入するためのコンパクトで完全に密閉された装置。
【請求項16】
請求項15に記載された装置であって、
前記マニホルドヘッドは、脱出用開口と、前記インジェクションヘッドの前記脱出用開口と流体伝達を行う、少なくとも1つのバルブとを備えた、
食品対象に液体を注入するためのコンパクトで完全に密閉された装置。
【請求項17】
請求項15に記載された装置であって、
液体インレットと、液体アウトレットと、前記液体インレットと前記液体アウトレットとを接続する液体通路とを有するフィルタアセンブリをさらに備え、当該フィルタアセンブリは前記インジェクション要素の前記インレットと連結している、
食品対象に液体を注入するためのコンパクトで完全に密閉された装置。
【請求項18】
請求項15に記載された装置であって、
前記インジェクション要素の前記インレットと流体伝達を行う複数の液体源、をさらに備えた、
食品対象に液体を注入するためのコンパクトで完全に密閉された装置。
【請求項19】
請求項15に記載された装置であって、
前記液体源と流体伝達を行う低圧インレットと、前記インジェクション要素の前記インレットと流体伝達を行う高圧アウトレットとを有するポンプ、をさらに備えた、
食品対象に液体を注入するためのコンパクトで完全に密閉された装置。
【請求項20】
完全に密閉されたコンパクトなインジェクション装置であって、
液体を保持するための複数の容器と、
前記容器の各々と流体伝達を行うインレットとアウトレットとを有する混合用マニホルドと、
前記混合用マニホルドの前記アウトレットと流体伝達を行う低圧インレットと、高圧アウトレットとを有するポンプと、
前記ポンプの前記アウトレットと流体伝達を行うインレットと、複数のノズルを含む排出部とを有するインジェクションヘッドと、
前記排出部と前記ノズルの各々が前記インジェクションチャンバに延びるように、前記インジェクションチャンバが前記インジェクションヘッドの前記排出部を密封可能に収容する、密封されたインジェクションチャンバと、
前記インジェクションチャンバ内に移動可能に配置され、前記インジェクションヘッドの前記排出部に向かって面している第1面と、前記排出部から離れた方向に面している第2面とを有するシャトル要素と、
インジェクションの外部にあって、前記シャトル要素の前記第2面に磁気的に連結され、前記インジェクションヘッドに対して、前記インジェクションチャンバ内で前記シャトル要素を直交方向に駆動するためのx−y駆動機構と、
前記インジェクションチャンバの外部にあって、所定の温度範囲内に液体を維持するための冷却機構と、
を備えた、完全に密閉されたコンパクトなインジェクション装置。
【請求項21】
対象物に注入する方法であって、
液体を維持するための複数の源(ソース)を用意し、
所望の注入混合物を得るために、前記源のうち少なくとも2つに基づいて液体を選択的に混合し、
前記注入混合物を高圧下で少なくとも1つの静止したインジェクションヘッドに供給し、
前記注入混合物による、少なくとも1回の連続した高圧バーストを前記対象物に伝達する、
対象物に注入する方法。
【請求項22】
請求項21に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記用意するステップは、液体源の各々を所定の温度に冷却すること、
を含む、対象物に注入する方法。
【請求項23】
請求項21に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記混合するステップは、液体の前記源のうち1またはそれ以上の源から混合用マニホルドに対して、所望の注入混合物が得られるまで、制御された容量の液体を加えること、
を含む、対象物に注入する方法。
【請求項24】
請求項21に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記供給するステップは、所望の注入混合物を少なくとも1つの高圧ポンプに引き込み、その注入混合物を高圧で前記インジェクションヘッドに伝達すること、
を含む、対象物に注入する方法。
【請求項25】
請求項21に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記供給するステップは、注入混合物に対して、インジェクションヘッドに入る前にフィルタリングすること、
を含む、対象物に注入する方法。
【請求項26】
請求項21に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記伝達するステップは、前記注入混合物による、少なくとも1回の連続した高圧バーストを、密封された注入環境下にある対象物に伝達すること、
を含む、対象物に注入する方法。
【請求項27】
請求項21に記載された、対象物に注入する方法であって、
温度センサによって液体源の少なくとも1つの出力流体温度を監視することと、
前記出力流体温度が所定の運転温度を越えたことを示すために、スクリーン上に前記温度センサの出力を表示することと、
前記出力流体温度が前記所定の運転温度と同一であるか、または、下回るまで、前記対象物に対する注入バーストの伝達を遅延させること、
の中から少なくとも1つをさらに備える、対象物に注入する方法。
【請求項28】
請求項21に記載された、対象物に注入する方法であって、
注入混合物の圧力を前記インジェクションヘッドのインレットにおいて監視することと、
所定の注入バースト圧力を得るために、前記インジェクションヘッドに入れる注入混合物の圧力を調整すること、
の中から少なくとも1つをさらに備える、対象物に注入する方法。
【請求項29】
請求項21に記載された、対象物に注入する方法であって、
所定の注入バーストのために要する注入位置を得るために、2つの注入バーストの合間に、注入対象と前記インジェクションヘッド間の相対移動を規定することと、
注入対象において所定の注入効果を得るために、注入対象の移動を、注入バーストのパラメータと同期させること、
の中から少なくとも1つをさらに備える、対象物に注入する方法。
【請求項30】
請求項21に記載された、対象物に注入する方法であって、
所定の注入行程のために要する注入位置を得るために、注入バーストの間に、注入対象と前記インジェクションヘッド間の相対移動を規定することと、
注入対象において所定の注入効果を得るために、注入対象の移動を、注入バーストのパラメータと同期させること、
の中から少なくとも1つをさらに備える、対象物に注入する方法。
【請求項31】
請求項21に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記注入源の各々に対してフィルタリングを行うこと、
をさらに備える、対象物に注入する方法。
【請求項32】
対象物に注入する方法であって、
複数の液体注入源を設け、
所望の注入混合物を得るために、前記液体注入源のうち少なくとも1つに基づいて液体を選択的に混合し、
所望の注入混合物を少なくとも1つのポンプに引き込み、
前記注入混合物を高圧下でインジェクションヘッドに供給して、当該インジェクションヘッドに入れるときに前記注入混合物に対してフィルタリングを行い、
前記注入混合物による、少なくとも1回の連続した高圧バーストを、密封された注入環境下で前記対象物に伝達し、
前記インジェクションヘッドに対して前記対象物の相対移動を規定し、
対象物に対する所定の注入効果を得るために、タイミング、期間、間隔、注入バースト圧力をもって前記対象物の移動を同期させる、
対象物に注入する方法。
【請求項33】
請求項32に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記設けるステップは、注入源の各々を、冷却システムをもって所定の温度まで冷却すること、
を含む、対象物に注入する方法。
【請求項34】
請求項32に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記混合するステップは、前記注入源のうち1またはそれ以上の注入源から混合用マニホルドに対して、所望の注入混合物が得られるまで、所定の制御された容量の液体を加えること、
を含む、対象物に注入する方法。
【請求項35】
請求項32に記載された、対象物に注入する方法であって、
所定の注入バーストのために要する注入位置を得るために、2つの注入バーストの合間に、注入対象と前記インジェクションヘッド間の相対移動を規定すること、
をさらに備える、対象物に注入する方法。
【請求項36】
請求項32に記載された、対象物に注入する方法であって、
所定の注入行程に対する所要の注入効果を得るために、注入バーストの間に、注入対象と前記インジェクションヘッド間の相対移動を規定すること、
をさらに備える、対象物に注入する方法。
【請求項37】
請求項32に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記注入源の各々に対してフィルタリングを行うこと、
をさらに備える、対象物に注入する方法。
【請求項38】
請求項32に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記インジェクションヘッドと密封されたインジェクションチャンバとを洗浄すること、
をさらに備える、対象物に注入する方法。
【請求項39】
対象物に注入する方法であって、
完全に密閉されたインジェクションシステムを設け、その完全に密閉されたインジェクションシステムに対して所要のプロセス入力を接続し、
前記インジェクションシステム内に複数の液体注入源を供給し、
所望の注入混合物を得るために、混合用マニホルド内で前記液体注入源を混合し、
前記所望の注入混合物を少なくとも1つのポンプに引き込み、
高圧下の前記注入混合物をインジェクションヘッドに供給して、インジェクションヘッドに入るときにその注入混合物に対してフィルタリングを行い、
前記注入混合物による少なくとも1回の連続した高圧バーストを、密封されたインジェクションチャンバ内で前記対象物に伝達し、
所定の注入対象に対してプロセス変数を格納する制御器を設け、
所定の注入結果を得るためにプロセス変数を制御する、
対象物に注入する方法。
【請求項40】
請求項39に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記制御するステップは、
所望の注入混合物が得られるまで、少なくとも1つの注入源のうち所定の制御された容量を混合用マニホルドに対して加えることと、
遠隔的に配置されたコントロールパネルに接続された温度センサをもって、前記注入源のうち少なくとも1つの温度を監視することと、
注入物の温度が所要の運転温度を越えたことをタッチスクリーンに表示することと、
出力流体温度が前記所要の運転温度と同一であるか、または、下回るまで、前記対象物に対する注入バーストの伝達を遅延させることと、
注入源の各々を、冷却システムをもって所定の温度まで冷却することと、
遠隔的に配置されたコントロールパネルに接続された圧力センサをもって、ポンプから出力される注入混合物の圧力を監視することと、
所要の注入バースト圧力を得るために、インジェクションヘッドに入る注入混合物の圧力を調整することと、
閉じ込められた空気を前記インジェクションヘッドから定期的に放出することと、
前記インジェクションヘッドに対して注入対象を移動させることと、
対象物に対する所定の注入効果を得るために、タイミング、期間、間隔、注入バースト圧力をもって注入対象の移動を同期させることと、
所定の注入行程に対してプロセス変数を保存すること、
の中から少なくとも1つを備える、対象物に注入する方法。
【請求項41】
請求項39に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記制御するステップは、前記ポンプのアウトレットにおける流体の圧力が前記対象物に対する所要の注入効果をもたらすことを確実にするために、前記ポンプに伝達される空気圧を調整すること、
をさらに備える、対象物に注入する方法。
【請求項42】
請求項39に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記インジェクションシステムをリンスすることと、前記インジェクションシステムを洗浄することと、
をさらに備える、対象物に注入する方法。
【請求項43】
請求項42に記載された、対象物に注入する方法であって、
前記制御するステップは、
リンス用の制御を前記タッチスクリーンに表示し、当該制御がオペレータによって活性化されるときにリンス動作を開始することと、
洗浄用の制御を前記タッチスクリーンに表示し、当該制御がオペレータによって活性化されるときに洗浄動作を開始すること、
の中から少なくとも1つを備える、対象物に注入する方法。
【請求項44】
食物に風味を与える方法であって、
風味、色、軟化剤、マリネード、ビタミン、ミネラル、薬草エキス、保存料、脂肪、油、水、対微生物溶液、対バクテリア溶液、薬、および、それらの組み合わせを含むグループから選択された、所望の液体混合物を用意し、
前記食物の注入の間に食物から離間された、少なくとも1つのノズルを有する針無しのインジェクション装置を設け、
前記食物の表面に浸透させるのに十分な圧力で、前記液体混合物による少なくとも1回の連続的なバーストを伝達する、
食物に風味を与える方法。
【請求項45】
密封されたインジェクションチャンバ内における対象物の制御された移動のための装置であって、
磁界を生成するための複数の要素を含むキャリア要素であって、前記キャリアトレイが前記インジェクションチャンバ内の1つの面上に移動可能に配置されたキャリア要素と、
前記インジェクションチャンバの外部にある第1駆動源と、第1軸に沿った前後の移動のために当該第1駆動源に作用上連結される第1駆動テーブルと、
前記第1駆動テーブルに作用上連結された第2駆動源と、
前記インジェクションチャンバの外部にあって、当該インジェクションチャンバの前記面から離間された第2駆動テーブルであって、第2の反対の磁界を生成するための複数の要素を有する第1側面と、第2軸に沿った前後の移動のために前記第2駆動源上に配置される第2側面とを有する第2駆動テーブルと、
を備え、
前記第2駆動テーブルは、前記キャリア要素と磁気的に連結されており、前記第2駆動テーブルは、インジェクションチャンバの表面の上昇の垂直方向の変化を説明するために、前記第2駆動テーブル上に垂直に配置可能である、
密封されたインジェクションチャンバ内における対象物の制御された移動のための装置。
【請求項46】
注入対象を移動させる方法であって、
対象物を移動可能に支持するためにチャンバ内に配置されるキャリア要素を設け、
第1駆動源と、第1軸に沿った移動のために当該第1の駆動源に作用上連結されて前記チャンバの外部に配置される第1駆動テーブルとを設け、
前記第1駆動源に作用上連結される第2駆動源と、第2軸に沿った移動のために前記第2駆動テーブルに連結される垂直支持要素であって、第1下方垂直支持位置と第2上方垂直支持位置とを有する垂直支持要素とを設け、
前記第2駆動テーブルが前記支持要素に沿って前記第1垂直位置と前記第2垂直位置の間に垂直に配置可能となるように、前記支持要素上に垂直に配置され、前記キャリア要素と磁気的に連結される第2駆動テーブルを設ける、
注入対象を移動させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−501631(P2007−501631A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532465(P2006−532465)
【出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/012781
【国際公開番号】WO2004/101020
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505302096)
【出願人】(505302085)
【Fターム(参考)】