説明

鉄筋コンクリート造建築の帳壁用断熱複合パネル

【課題】従来の鉄骨造建築物用の外断熱複合パネルを構造面から改善して、鉄筋コンクリート建築の帳壁に採用可能な、且つ内装面板の張着及び電気配線の容易な耐震、耐火パネルを低コストで提供可能とする。
【解決手段】通気層2hを備えたセメント板層2の上部及び下部を、鋼材の上枠4a、及び下枠4bに、ボルト7aによるにルーズホール形態で締着して層間変位吸収可能に取付け、上枠4a、下枠4b及びボルト7aの内面に耐火被覆材6を被覆し、セメント板層2に、下地材5a及び溝付下地材5bを埋設した成形断熱層3を層着一体化する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート造の壁式構造や、ラーメン構造の建築物の帳壁に好適に使用出来る外壁用の断熱複合パネルに関するものであり、鉄筋コンクリート造建築の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
〔特許文献1〕 特許第2999980号(特願平9−152628号)公報
〔特許文献2〕 特開平5−171723号公報
鉄筋コンクリート造建築物にあっては、外断熱工法として、断熱複合パネルをコンクリート壁などの躯体に型枠併用として配置し、コンクリート壁などと一体化して外壁を形成しており、断熱複合パネルを帳壁として単体で採用することはなかった。
しかし、鉄骨造建築物にあっては、従来よりパネルを鉄骨造躯体に帳壁として取付ける工法が採用されており、本出願人等が特願平9−152628号として提案し、特許第2999980号として特許登録されている断熱複合パネルがある。
【0003】
〔従来例1〕
図8は、特許第2999980号のパネルであって、該パネルは、上枠、下枠及び両側枠から成る枠体の外面に、貫通孔を有する成形セメント板の3枚を並列接続した形態でZクリップを介して止着し、枠体の内面には内装板(石膏ボード)を配置し、硬質ウレタンフォームの枠体内への注入充填発泡によって、セメント板、枠体、及び内装板を、硬質ウレタンフォーム断熱層によって一体化したものであり、鉄骨造建築物の帳壁パネルとして採用すれば、セメント板に対する断熱層の現場での吹付け作業も、内装面材の取付作業も不要となり、建築工期の大幅な短縮化を可能とする、極めて有用な複合パネルである。
【0004】
〔従来例2〕
図9は、特開平5−171723号に開示されたパネルであり、ビーズ法ポリスチレンフォーム断熱材に補強材を組込んだ型枠パネルであって、補強材を内装下地兼用とした断熱材一体の型枠パネルである。(岩倉化学工業(株)製、商品名:スタットボード)
詳しくは、幅910mmで、長さは1820mm、2100mm、2400mm、2700mm、3000mmの各種があり、厚さは45mm、50mm、65mm、75mm、100mmの各種サイズがあり、幅60mm、厚さ20mmの特殊プラスチック製補強材(下地材)を3本組込んだものであって、補強材は、図9(B)に示す如く、パネルをコンクリート型枠に用いる際に、端太材の機能を奏すると共に、内装面材打付け用の下地材となるものである。
そして、断熱材両側面には相欠けを施して、隣接パネルと相欠け連結するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来例1の断熱複合パネル(図8)にあっては、鉄骨造躯体へ帳壁として取付ける際に、クレーン等で吊上げて配置するが、吊上げ時のパネル変形防止のため、また、製作時の硬質ウレタンフォームの注入発泡時の堰止めのために側枠は必要不可欠であるが、該パネルをコンクリート躯体に建付ければ、側枠部が熱橋(ヒートブリッジ)となって断熱機能を低下するため、側枠に対する煩雑な熱橋阻止手段(図8(C)の緩衝体付設)を施す必要があった。
【0006】
更に、ウレタンフォームのパネル枠体内への注入発泡に際しても、ポリマーと発泡剤との2液混合の管理面、広いパネル面積への均斉注入面等から、均斉な気泡を有する均斉な断熱層の形成は煩雑、且つ熟練を要する作業であった。
また、一体化された内装板(石膏ボード)は、施工取扱中に欠損や汚染の損傷を受ける危険があり、特に、鉄筋コンクリート造建築物に採用すれば、コンクリート打設前の散水、又は石膏ボードの床スラブなどのコンクリートとの当接、等による吸水によって石膏ボード(内装板)にカビが発生し、美観上の問題及びアトピー等の健康問題や、保管衣服の損傷の問題等があった。
【0007】
また、従来例2(図9)の型枠パネルは、補強材が、コンクリート型枠組み時のパネル補強、及び、内装ボードの下地材機能を奏するが、電気設備、例えば、コンセント、スイッチ、テレビの配線作業を施す際には、断熱材を欠落して電線を埋設する溝堀をする問題がある。
【0008】
従って、本出願人が、先に開発に成功し、特願2001−025142号として提案した、断熱複合パネルを単体で帳壁とする鉄筋コンクリート造建築物に、従来例1の該断熱パネル(図8)を適用すれば、石膏ボード(内装板)が床スラブに当接するため、コンクリートの配合水を吸水してカビを発生させる問題がある。
【0009】
更に、硬質ウレタンフォームの発泡凝固時の自己接着力によって、セメント板の枠体への係止部のZクリップが固定され、枠体、セメント板、及び内装板相互も固定されて複合パネル内での層間変位の吸収作用が生じないため、地震時には、内装板、特に石膏ボードの衝合部に亀裂の発生する問題がある。
【0010】
本発明は、従来例1(特許第2999980号)の断熱複合パネル(図8)、及び従来例2(特開平5−171723号)の型枠パネル(図9)の、上述の如き、種々の問題点を解決、又は改善し、鉄筋コンクリート造建築物の帳壁外壁パネルとして有効に採用出来る、しかも、はるかに低コストで提供可能な、新規、且つ実用性の極めて高い断熱複合パネルの提供を可能とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段、及び作用】
本発明の帳壁用断熱複合パネル1は、例えば図1に示す如く、通気層2hを備えたセメント板層2と、セメント板層2の上端及び下端に取付けた鋼材から成る上下枠4a,4bと、上下枠4a,4b間でセメント板層2に層着した成形断熱層3とを含む断熱複合パネルであって、上枠4a及び下枠4bとセメント板層2とをボルト7aによってルーズホール形態で締着し、成形断熱層3は、少なくとも、表面に長手方向の配線溝5Gを備えた縦方向の条片下地材5bを含む、複数の埋設露出した下地材5a,5bを備え、且つ、上下枠のうち、少なくとも、上枠4a内面を耐火被覆材6で被覆して成形断熱板をセメント板層2に層着一体化したものである。
【0012】
尚、上枠4a、及び下枠4bは、セメント板層2を止着し、且つパネルの上端及び下端を規定してパネルの建物躯体への取付機能を備えたものであれば良いが、断面アングル形態のアングル鋼材であれば、水平辺4Hでセメント板層を止着し、立上り辺4Fでパネル端縁規定兼パネル取付機能が兼備出来、充分な機械的強度を発揮出来るので好ましく、等辺山形鋼が特に好ましい。
【0013】
また、成形断熱層3としては、耐水性、及びコンクリート付着性を有する合成樹脂発泡成形板が好ましく、典型的には硬質ウレタンフォーム板である。
また、セメント板層2と枠4a,4bとのボルト7aによる「ルーズホール形態の締着」は、セメント板層2と上枠4a又は下枠4bとの間に大きな層間変位応力が作用した際に、セメント板層と枠とにすべりを発生させるために、図2(A)の如く、ボルト7aの径d7に対して、セメント板の孔H4の径d4及び上下枠4a,4bの孔H3の径d3を共に大径でルーズ孔とすることも、ボルト7aに対して上下枠孔H3のみをルーズ孔としても、或いはセメント板孔H4のみをルーズ孔としても良い。
【0014】
また、「埋設露出」の意味は、条片下地材5a,5bが、完全埋設して表面のみが露見している状態も、表面が突出形態で露出している状態も含む意味である。
そして、条片下地材5a,5bの表面5fが断熱層表面3fと面一の場合は、下地材5a,5bに内装面材(内装面板)27を取付ける際の、断熱層表面3fへの防湿シート(図示せず)の介在が容易となり、条片下地材表面5fが断熱層表面3fより突出している場合は、内装面材27と成形断熱層3間に空隙層が出来て、内装面材27と成形断熱層3の音の共振が阻止出来、遮音性が向上する。
【0015】
また、断熱層に埋設した下地材5a,5bは、石膏ボード等の内装面板27のネジ等での張設に有効なものであり、配線溝5Gは、内装面板27の張設前に室内への電気配線に供すものであるから、配線溝5Gを備えた下地材5bのみは断熱層3に縦方向(パネル上下方向)に配置する必要があるが、他の単なる内装面板27の張設のみに供する下地材5aは、図1の縦方向配置でも、或いは、条片下地材5bの溝5Gに干渉しない形態の横方向(パネル横断方向)配置でも良い。
【0016】
また、耐火被覆材6は、パネル1を張設した建物の内面の火災に対処するものであるから、火災対策上は上枠4a部のみに付与すれば十分であるが、耐火被覆材6で被覆しても、ボルト7aのルーズホール挙動の規制が少ないため、下枠4b部も耐火被覆材6で被覆保護するのが有利である。
【0017】
また、耐火被覆材6は、汎用高分子材の厚みの小さなテープ状材が好都合であり、断熱性、耐久性、安全性(繊維系のグラスウール、ロックウールとは異なり、作業時に材料の飛散がなく、また、火災発生時に有毒ガスの発生がなくて、取扱上、衛生上安全なもの)、難燃性に優れたものが良く、典型的には、ナイフで簡単に切断が出来、また粘着性があるフイブロック(積水化学工業(株)商品名)である。
【0018】
フイブロックの2mm厚のテープは、燃焼時、約30mm厚に膨張して耐火被覆材となり、幅も自由に製作が可能で、上下枠4a,4bに粘着使用するための適当な粘度を備えている。
従って、曲げ、切断及び接着が容易であるため、被覆作業の困難なボルトなどへの適用も可能である。
そして、フイブロックの耐火被覆材6は、アングル鋼枠4a,4b及びボルト7aに自己粘着で止着出来る。
【0019】
また、本発明の断熱複合パネルにあっては、鉄筋コンクリート造建築の帳壁パネルとして用れば、層間変形角(耐震設計基準:1/2000以下)が小であるため、セメント板層2と枠4a,4bとのルーズホール形態締着により必要耐震力が発揮出来、断熱層として成形断熱材を用いることと相俟って、枠も鋼材から成る上枠4aと下枠4bとの使用のみと出来る。
しかも、耐火被覆材6は、ルーズホール形態締着による層間変位への対応作用も保証すると共に、パネル内面への耐火性も付与する。
【0020】
従って、従来の如き、強固、且つ重い枠体が不要となり、断熱層の枠体内での充填発泡管理も不要となるため、均斉な断熱層を備え、且つ、耐震性、耐火性をも具備し、鉄筋コンクリート造建築の帳壁パネルとして充分な必要機能を具備する断熱複合パネル1が、大幅なコストダウンにより提供可能となる。
【0021】
また、本発明断熱複合パネル1は、本出願人が先に開発に成功した鉄筋コンクリート造壁式構造建築物(特願2001−025142号)に帳壁パネルとして採用することにより、非耐力壁部の外壁型枠工の省略とパネルの低コスト化とが相俟って、鉄筋コンクリート造外断熱建築物が画期的な建築費低減の下に提供可能となる。
しかも、成形断熱層3に埋設下地材5a,5bが存在するため、内装工事での電気配線が、成形断熱層への溝堀欠損を生ずることなく、容易、且つきれいに実施出来、内装面材の張設も下地材5a,5bの存在によって容易に実施出来る。
【0022】
従って、本発明断熱複合パネル1は、本出願人が先に開発に成功した鉄筋コンクリート造壁式構造建築物(特願2001−025142号)に帳壁パネルとして採用することにより、非耐力壁部の外壁型枠工の省略と、パネルの低コスト化と、更には、電気配線及び内装面材の合理的施工とが相俟って、鉄筋コンクリート造外断熱建築物が、建築費の画期的低減の下に提供可能となる。
【0023】
また、該帳壁用断熱複合パネル1にあっては、通気層が上下貫通孔2hであり、上下枠4a,4bがアングル鋼材であるのが好ましい。
この場合、セメント板層2と上下枠4a,4bとのルーズホール形態締着は、図2(A)に示す如く、貫通孔2hの内側に平ナット7bを入れて上枠(下枠)の水平辺4H側からボルト7aで締着すれば良く、パネル外面に露出しない形態で作業性良く実施出来る。
また、上枠4a,下枠4bも入手容易な等辺山形鋼が採用出来る。しかも、通気層が上下貫通孔2hであるため、パネル1を空気の上下導通可能に上下に連結するのも容易である。
【0024】
また、セメント板層2と上下枠4a,4bとのルーズホール形態の締着は、図2(A)に示す如く、セメント板層2の内側板厚部Ptに穿設したボルト挿入孔H4、及び対応する枠4a,4bの水平辺4Hのボルト挿入孔H3より小径のボルト7aを、枠の水平辺4H側から貫通孔2h内の平ナット7bに締着するのが好ましい。
この場合、セメント板層2と枠4a,4bの両方がルーズホールであるため、若干の上下左右の寸法調整も可能であって取付作業が容易であり、しかも、層間変位対応可能なルーズホール締着が得られる。
【0025】
また、ルーズホールとしては、図2(C)の如く、枠4a,4bの水平辺4Hのボルト挿入孔H3がセメント板層2のボルト挿入孔H4と同径であってパネル上下方向の長孔であるのが好ましい。
建物躯体に固定された上下枠4a,4bとセメント板層2との層間変位は、セメント板層2が躯体に対して回動して変位を吸収するが、その変位はボルト7aのルーズホールH3内の上下動生起となるため、上下枠4a,4bのボルト挿入孔H3がルーズホール径であって、しかも上下方向の長孔であれば、耐震設計値以上の不慮の層間変位にも対処可能となる。
【0026】
また、本発明パネル1にあっては、セメント板層2が一側端には凹部21を、他側端には突起22を具備しているのが好ましい。
この場合、図3(C)の如く、帳壁形成時のパネル1相互の左右連結は、凹部21と突起22との不燃パッキング23を介在した嵌合でスムーズに実施出来、セメント板層2相互を隙間なく、且つ平滑に接続出来るため、作業性及び耐火性が向上する。
【0027】
また、本発明パネル1にあっては、セメント板層2が、一側端には凹部21を、他側端には突起22を具備したセメント板2Pの複数枚を、各凹部21と突起22との不燃パッキング23を介在した衝合並列接続であるのが好ましい。
尚、不燃パッキング23は両面接着タイプが好ましく、例えば、SCブランケット(新日鉄化学(株)商品名)の採用が可能である。
【0028】
外壁材としてのセメント板は、押出成形体をローラー上を移動させてオートクレーブ室で養生させるが、衝撃によるひび割れや、養生の際の反りの発生等、製造面からは幅が狭い方が有利であり、従って、コスト面、品質面で有利な幅狭のセメント板2Pを用意して複数枚を必要パネル幅1Wに接続するのが有利である。
しかも、図3(B)の如く、凹部21と突起22との不燃パッキング23を介在した衝合接続と出来るため、連結部(目地)2Gも隙間のない接続と出来、接続一体化作業もスムーズに実施出来て、あたかも1枚のセメント板の如き耐火性を具備したものとなる。
【0029】
また、本発明パネル1にあっては、耐火被覆材6が断熱性、耐久性及び難燃性のテープ状材であり、且つ、図2(A)の如く、上下枠4a,4b及びボルト締着部を被覆しているのが好ましい。
この場合、被覆材6は、典型的には、常温時には2mm厚であり、火災時には約30mm厚に膨張して耐火被覆材となる両面が自己接着能を備えたフイブロック(商品名)である。
【0030】
従って、上枠4aや下枠4bの内面への張着も、ボルト7a及び座金7cへの張着も容易であり、成形断熱層3に接するパネル1の金属部分が耐火被覆材6で完全に被覆出来るため、室内側での火災による成形断熱層3の燃焼時にも、上下枠及び取付金具部の火災による劣下を最小限に抑制出来、断熱複合パネル1に耐火機能が付与出来る。
【0031】
また、セメント板層2と成形断熱層3とを、柔軟性を有する弾力性接着剤Adによって層着するのが好ましい。
弾力性接着剤は慣用のもので良く、例えば、エポキシ樹脂系のボンドエフレックス(コニン(株)商品名)の採用が可能である。
セメント板層2と成形断熱層3とを弾力性接着剤で層着した場合は、鉄筋コンクリート造建築物の微少な基準層間変形角(耐震設計基準:1/2000)内で生起するセメント板層2と成形断熱層3との微少な層間変位(セメント板面と断熱層面との界面すべり)にも対応可能となり、成形断熱層3の表面に仕上げ張設する石膏ボード等の内装面板相互の衝合角部での欠損やクラック発生が最小限に抑制出来る。
【0032】
また、本発明パネルにあっては、図2(A)の如く、断熱層厚3Tが上下枠厚4Tより大であるのが好ましい。
この場合、本発明パネルにあっては、セメント板層2が通気層2hを備えているため、外壁としての必要強度を備えて軽量となり、上下枠4a,4bの枠厚4Tも十分な強度保有の下に断熱層厚3Tより小と出来る。
そして、図2(A),(B)の如く、上下枠の立上り辺4Fの先端縁4eが断熱層表面3fより内側となり、先端縁4eは、成形断熱層3の被り厚3rで被覆されるため、上下の立上り辺4Fの建物躯体(床スラブS)との直接接触が回避出来る。
【0033】
従って、取付金物Mの存在する場所では、上下枠4a,4b→連結ピンMp→支持板Ms→床スラブSのわずかな熱橋は生じるが、パネル幅の大部分では、図6(B)の如く、床スラブSに当接するのは、成形断熱層3と、パネル間目地2G´に介在する断熱材25のみであり、実質上、断熱複合パネル1から建物躯体(床スラブS)への熱橋は阻止出来る。
【0034】
また、本発明パネル1の上下枠は、上枠4aの立上り辺4Fが取付孔H1、及び両端部のアイボルト締着用孔H2を備え、下枠4bの立上り辺4Fが、上枠4aの取付孔H1の対応位置に取付孔H1を備えているのが好ましい。
アイボルト締着孔H2を上枠4a両端部に穿設しておけば、パネル1の吊上げ用のアイボルト(図示せず)装着により、パネル1の建付け作業が容易となる。
【0035】
また、上枠4a及び下枠4Bの各取付孔H1は、図5(A)の如く、上下枠4a,4bを取付金物Mの取付ピンMpに係止するものであるので、取付ピンMpを取付金物Mの支持板Msに螺入固定し、上下枠の取付孔H1を取付ピンMp挿入用のピン孔としても良く、或いは、図5(B)の如く、上枠4aの取付孔H1をネジ孔として取付ピンMpを螺入固定し、支持板Msの孔及び下枠4bの取付孔H1をピン孔としても良い。
従って、本発明パネル1は、鉄筋コンクリート造建築物への帳壁パネルとしての建付けが容易となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
〔セメント板層2(図3)〕
図3(A)は、図6(A)の3A−3A線の横断面図であり、セメント板層2は、図3(A)に示す如く、3枚の成形セメント板2Pの並列接続で構成する。
各成形セメント板2Pは、幅2Wが590mmで長さL1が2880mm、厚さ2Tが60mmであり、一側端には突起22を、他側端には凹部21を備え、長さ方向の貫通孔2hを備えている。
そして、各セメント板2Pの上下両端部の貫通孔2hの内側板厚部Ptには、ボルト挿入孔H4(図2(A))を穿設する。
【0037】
これら成形セメント板2Pの並列接続は、各凹部21の底に、図3(B)の如く、両面接着性不燃パッキング23として、厚さ12.5mmのSCブランケット(新日鉄化学(株)商品名)を充填して各突起22を不燃パッキング23に当接すると共に、セメント板2Pの内側の板厚部Pt端縁間にも両面接着性を有する断熱材25を充填して接続する。
尚、各成形セメント板2Pの連結部(目地)2G(標準:10mm)表面は、パネル張設後の目地仕上げ時に、図3(B)の如く、バッカ−24´を介してシーリング24を施す。
【0038】
〔枠(図1、図4)〕
辺幅4Tが65mmで厚さ6mmの等辺山形鋼(アングル鋼)の上枠4aと下枠4bを枠体とするものであり、上枠4aの立上り辺4Fには、図4の如く、パネル幅1Wの中央より左右対称の2ヶ所に、2個1対の取付孔H1(ネジ孔)を間隔HL(標準:120mm)開けて穿設し、両端部にアイボルト(図示せず)締着孔H2を設け、下枠4bには上枠4aの取付孔H1の対応位置に取付孔H1(ピン孔)を設ける。
また、上枠4a及び下枠4bの水平辺4Hには、図2(A)の如く、径d7が10mmのボルト7aを挿通するための径d3が12mmのボルト挿入孔H3を、各成形セメント板2Pの両端の貫通孔2hのボルト挿入孔H4と符号するように穿設する。
【0039】
〔成形断熱層(図3)〕
成形断熱層3は、図3(A)に示す如く、2枚の並列接続で、3枚の並列接続セメント板2Pに対応させる。
また、断熱層は、75mm厚(3T)の硬質ウレタンフォーム板であり、発泡成形時に、図1(B)に示す幅5Wが60mmで厚さ5Tが20mmの合成樹脂製下地材5aと、図1R>1(C)に示す如く、合成樹脂製下地材5aの中央部に、幅GWが20mm、深さGTが10mmの溝5Gを切削形成した溝付下地材5bとを、図3(A)に示す如く、1枚の成形断熱層3の中央には溝付下地材5bを、両側には一般下地材5aを、各パネル1の並設時には、各下地材5a,5bが等間隔となるように、所定間隔の縦方向で成形型内に配置し、断熱層表面3fと面一に埋設一体化する。
尚、溝付下地材5bは、電気配線用であるため、全パネルに配置する必要はないが、内装面材の張設下地材として機能すること、及び、パネルの製作上、管理上の合理化のため、各硬質ウレタンフォーム板毎に1本混入配置する。
【0040】
〔断熱複合パネル1の製作〕
成形用プレス台(図示せず)に成形セメント板2Pを3枚並列接続したセメント板層2を載置し、各セメント板2Pの上部及び下部の両端の貫通孔2hの内側の板厚部Ptに、図2R>2の如く突設した、径d4が12mmのボルト挿入孔H4に、上下枠4a,4bの水平辺4Hのボルト挿入孔H3を符号して上枠4a及び下枠4bをセメント板層2上に載置する。
そして、貫通孔2hの内部から平ナット7bを当接し、径d7が10mmのボルト7aを水平辺4H側から座金7cを介して挿入し、平ナット7bに締着し、図4の如く、上下枠4a,4bをセメント板層2に、各セメント板2Pの上部両端を上枠4aに、下部両端を下枠4bにボルト7aで固定する。
【0041】
次いで、上枠4a及び下枠4bの立上り辺4F、水平辺4H及びボルト7a、座金7cに、断熱性、耐久性、難燃性を備えた両面接着テープ形態のフイブロック(商品名)を耐火被覆材6として自己接着力で被覆一体化する。
そして、幅60mm、厚さ20mmの合成樹脂製下地材5a,5bを面一に埋設保持した厚さ75mmの硬質ウレタンフォーム板を、内面上下には、図2に示すように、予め上枠4a、下枠4b及びボルト7aの形状に符合して切欠け3Gを所要寸法に加工付与し、左右側面には厚さ中央部で相欠け26p,26q(図3(C))を付与し、セメント板層2上に柔軟性のある弾力性エポキシ樹脂系接着剤、ボンドエフレックス(コニシ(株)商品名)を用いて、下地材5a,5bを外側にして層着し、硬質ウレタンフォーム板3(成形断熱層3)をセメント板層2と一体化する。
この場合、上枠4a、下枠4b及びボルト7aに当接した耐火被覆材6は、自己接着力で硬質ウレタンフォーム板と一体化する。
【0042】
尚、図2(A),(B)に示す、枠4と硬質ウレタンフォーム板3との切欠け3Gによる間隙は、複合パネル側端辺(1s)に紙テープを張着すれば、密閉空気層となり断熱効果は低下しない。
従って、得られるパネル1は、図2(A),(B)に示す如く、上下枠4a,4bの内面及びボルト7aと、成形断熱層3との界面に耐火被覆材6が介在し、且つ、上下枠4a,4bの立上り辺4F先端縁4eが断熱層の被り厚3rによって保護されたものとなり、上下枠4a,4bからのコンクリート躯体への熱橋を生じない耐火性断熱パネルとなる。
【0043】
〔断熱複合パネル1の使用(図5、図6)〕
上述の実施形態で得られる断熱複合パネル1は、本出願人が特願2001−025142号として先に提案した、断熱複合パネルを単体で帳壁とする新規な鉄筋コンクリート造外断熱建築物に適用すれば極めて有効なものである。
即ち、図5に示す如く、コンクリート床スラブSの前端に、アンカー部Maを介して固定した取付金物Mの支持板Msに挿入した取付ピンMpに、断熱複合パネル1の下枠4bを取付孔H1(ピン孔)を介して挿通係止し、パネル下面Fbが床スラブ表面Sfより下方で、雨水のパネル下端面Fbから床スラブ表面Sfへの侵入を阻止するように取付ける。
【0044】
また、パネル上部にあっては、パネル上枠4aの取付孔H1(ネジ孔)に取付ピンMpを螺入すると共に、取付ピンMpに支持板Msを嵌合した状態で、取付金物Mのアンカー部Maを型枠内配筋と結合して上階床スラブ型枠内に固定し、床スラブ型枠内へのコンクリート打設によってパネル上端部の成形断熱層3(硬質ウレタンフォーム板)を固化コンクリートと当接一体化し、且つ、上枠4aは床スラブSの前端に埋設一体化した取付金物Mに取付ピンMpを介して取付けた状態で床スラブSの前端に固定し、帳壁外壁を形成する。
そして、パネル1のみで帳壁形成後に、パネル内表面、即ち成形断熱層表面3f、を洗浄清掃し、石膏ボード等の所定の内装面板27(図7)を防湿シート(図示せず)を介在して条片下地材5a,5bに張設する。
【0045】
この場合、条片下地材5a,5bは断熱層表面3fと面一に埋設されているため、下方床スラブ表面に不陸があっても、また、上方床スラブ型枠の組立て時にも、下地材5a,5bの干渉はなく、パネル1の下端及び上端の取付作業が容易に実施出来る。
そして、上階床スラブ型枠内へのコンクリート打設に際しても、成形断熱層3がコンクリート付着性大で吸水性小であるため、パネル1の上部内表面は床スラブS前端と隙間なく、且つ強固に一体化する。
【0046】
また、コンクリート打設によって断熱層表面3fにコンクリート配合水が流出付着しても、床スラブ型枠解体後の断熱層表面3fでのカビの発生はない。
また、内装工事に際しては、断熱層表面3fが目視出来るので、例え水分が付着しても、条片下地材5a,5bが面一で埋設しているため拭取りが容易であり、成形断熱層3及び耐火被覆材6はカビを発生しないため、石膏ボード等の内装面板を下地材5a,5bを介して張設しても、パネル1面から内装面板へのカビの伝播汚染は生じない。
【0047】
また、図7は壁内への電気配線説明図であって、(A)は室内側略示図、(B)は(A)のB−B断面を、(C)は(A)のC−C断面を表わす図であって、コンクリート床スラブSにあっては、図7(B)の如く、慣用の配線用コンクリートボックス配置手段によって、コンクリートボックス29を床スラブSの型枠内に配置して、コンクリートボックス29を床スラブ前端下部に埋設し、コンクリートボックス29から引出したVVS線30を、溝付下地材5bの溝5G内に垂下して、図7(C)の如く、コンセント28まで引張り、下地材5bの切込部5Hを介して電線を引出してコンセント一体枠28a内に接続し、内装面板27のコンセント挿入孔H27にコンセント一体枠28aを嵌合してコンセント化粧カバー28bを内装面板27の表面に止着する。
【0048】
従って、本発明実施形態のパネル1で形成した帳壁にあっては、成形断熱層3を何ら損傷することなく、且つ、容易にコンクリート床スラブSから室内のコンセント28への配線が出来、配線工事が合理化出来る。
しかも、VVS線30が、条片下地材5bの中央部の溝5G内への配線となるため、VVS線が硬質ウレタンフォーム板(成形断熱層)の含有する反応触媒(アミン)による劣下も受けない。
【0049】
尚、パネル1相互の左右連結部2Gも、図3(C)の如く、パネル1内のセメント板2P相互の接続目地2G(図3(B))同様に、パネル端縁の凹部21と突起22との不燃パッキング23を介した衝合連結とし、成形断熱層3は、予め断熱材両側面に相欠け26q,26pを付与して成形断熱層3の連続性を保つ。
また、パネル相互の左右連結部2Gの表面は、パネル1内のセメント板2P相互の目地2G(図3(B))と共に、パネル張設後の外装仕上げで図3(C)の如く、バッカー24´を介した耐火シーリング24によって目地仕上げする。
【0050】
また、パネル1相互の上下連結部2G´も、図6(B)の如く、断熱材25を、上下パネルで挟着した形態で上枠4aに載置し、セメント板2Pの内側板厚部Ptでは、耐火シート23´を介在してシーリング24で閉じ、表側板厚部Ptでは、外装仕上げでバッカー24´を介した耐火シーリング24によって、貫通孔2hの空気導通aを保証して目地仕上げする。
【0051】
従って、本発明実施形態の断熱複合パネル1で形成した帳壁外壁は、パネル1からコンクリート躯体への熱橋が阻止出来ると共に、電気配線も合理的に実施出来る。
そして、耐火面では、建物外部の火災に対しては、セメント板層2及び連結部(目地)の不燃パッキング23及び耐火シート23´が対処し、室内側からの火災に対しては、耐火被覆材6が対処する耐火性を具備し、また耐震面では、セメント板2Pと上下枠4a,4bとのルーズホール形態のボルト締着、及びセメント板層2と成形断熱層3との弾力性接着剤による層着によって、地震や強風時の建物揺れで生ずるセメント板層2と成形断熱層3との層間変位を吸収し、セメント板層2や断熱層上の仕上げ内装板(石膏ボード)の亀裂や欠損が抑制出来るものとなり、耐火、耐震性外壁となる。
しかも、カビ汚染の恐れのない内装面材仕上げが可能となる。
【0052】
また、セメント板2Pと上下枠4a,4bとの取付けも、従来例1では、図8の如く、Zクリップで行うため、パネルの建付け時のセメント板の脱落を阻止するように、パネルを各セメント板対応で配置した取付片を用い、各セメント板対応の取付金物でコンクリート躯体に取付ける必要があったが、本発明では、セメント板をボルト7aで上下枠4a,4bに取付けるため、実施形態例(図4、図6)の如く、1枚のパネル1内に3枚のセメント板2Pを用いても、パネル1のコンクリート躯体への取付けは、パネル両側の2個の取付金物で可能となる。
従って、取付金物Mの使用個数が減少出来、取付金物の部材コストの減少、パネル1の取付作業の容易化、が達成出来、取付金物Mの使用個数減少により、パネル1からコンクリート躯体への熱橋作用も減少出来る。
【0053】
また、パネル枠体を上枠4aと下枠4bのみとしたこと、及び断熱層3を成形断熱層としたことにより、断熱複合パネル1の製造コストを大幅に低減したことと、鉄筋コンクリート造建築物に於いて非耐力壁部を断熱複合パネル1のみの帳壁構造として外壁形成時の非耐力壁部のコンクリート型枠組み工を不要と出来ることとが相俟って、耐震耐火性鉄筋コンクリート造外断熱建築物が大幅な建築費低減により提供出来る。
【0054】
〔その他〕
条片下地材5a,5bは、実施態様例(図1)ではパネルに対する縦方向配列であるが、横方向配列としても良い。
但し、配線用溝5Gを備えた下地材5bのみは縦方向配置が必要であり、他の下地材5aは、溝5Gに干渉しないように配置すべきである。
また、溝付下地材5bにあっては、実施形態例(図1(C))では、配線溝5Gを中央部に配設したが、配線溝5Gを端部に配置すれば、条片下地材5b上への内装面板のネジや釘の打込み作業が容易となる。
この場合は、断熱層との接触によって電線被覆材の劣下が生じないように、断熱層と電線被覆材とを材料選択すれば良い。
【0055】
尚、縦方向配列で下地材表面5fを断熱層表面3fから突出させる場合は、下地材5a,5b上端は床スラブ型枠組み作業に干渉しない高さ、即ち、床スラブSの下面より下方とし、下地材5a,5b下端は床スラブ表面Sfより上部として床スラブ表面の不陸に対処可能とするのが良い。
また、成形断熱層3としては、硬質ウレタンフォームの表面を防湿シートでラミネートした断熱板等、成形断熱板に予め防湿処理を付与したものを採用すれば、パネルの内部結露防止がより確実となる。
【0056】
また、耐震設計基準での層間変形角は、鉄筋コンクリート造壁式構造では1/2000以下、鉄骨造、鉄筋コンクリートのラーメン構造では1/200以下であり、本発明パネルは標準長2880mmの鉄筋コンクリート造用であるため、セメント板2Pと上下枠4a,4bとのルーズホール締着は、セメント板2PのルーズホールH4及び上下枠のルーズホールH3が12mm径であり、締着ボルト7aが10mm径であれば耐震設計基準内での層間変位吸収の機能を充分達成するが、ルーズホールH3,H4の形状及びサイズは、より大きな層間変位吸収の面から、又は締着位置調整の面から適宜に決定すれば良い。
【0057】
また、実施態様例では、セメント板層2と成形断熱層3との接着剤として柔軟な弾力性エポキシ樹脂系接着剤を適用したが、成形断熱層3としての合成樹脂成形板を浸蝕しない通常の接着剤を用いても、パネル1は、枠4a,4bとセメント板層2とのルーズホール締着により、耐震設計基準の層間変形角(1/2000)内での層間変位吸収目的は達成出来る。
【0058】
【発明の効果】
本発明断熱複合パネル1は、成形品としてのセメント板2P、成形品としての断熱層3、成形品としての上下枠4a,4bを組立て製作するため、従来の如き、合成樹脂の充填発泡圧に耐えるための強固、且つ重い枠体が不要となり、断熱層の枠体内での充填発泡管理も不要となるため、軽量化出来ると共に、均斉な断熱機能を奏する成形断熱層の接着形成により安価に製造出来る。
【0059】
しかも、セメント板層が枠4a,4bとルーズホール形態で締着して層間変位対応可能としたための耐震性と、耐火被覆材6での上枠4a内面被覆による室内側からの火災対応、及びセメント板層2による外部からの火災対応が可能であるための耐火性とを備えた、鉄筋コンクリート造建築の帳壁パネルとして充分な必要機能を具備したパネルとなる。
【0060】
また、成形断熱層を、柔軟性を有する弾力性接着材Adによってセメント板層2に層着するため、成形断熱層3とセメント板層2との層間変位にも対処可能となり、地震時には、外装材としてのセメント板層2の亀裂、欠損の抑制のみならず、断熱層上に張設した内装面材の欠損も最小限に抑制出来る。
また、成形断熱層3が条片下地材5a,5bを埋設露出しているため、内装面材はパネルでの外壁形成後に容易に張設出来、溝5Gを備えた下地材5bの存在により、パネル内への電気配線工事も、断熱層に欠損を生じることなく容易に実施出来る。
【0061】
しかも、成形断熱層3が耐水性であってパネル内側全面を覆っているため、内装面材にはカビ汚染が発生しない。
また、上下枠4a,4bの立上り辺4Fの先端縁4eが、成形断熱材の表面3fより被り厚3rを介して内側に位置しているため、上下枠4a,4bの建物躯体との当接がなくて熱橋(ヒートブリッジ)が発生しないことと、従来パネルの如き側枠からの熱橋作用のないこととが相俟って、本発明パネルは、熱橋作用防止面でも極めて有効な外壁を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明パネルの説明図であって、(A)は一部切欠斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は(A)のC−C線断面図である。
【図2】本発明パネルの説明図であって、(A)は図1(A)の2A−2A線断面図、(B)は図1(A)の2B−2B線断面図、(C)は上下枠のボルト挿入孔H3の変形図、(D)は上枠4aとセメント板2Pとの取付状態説明図である。
【図3】本発明パネルの左右連結部の説明図であって、(A)は横断面図、(B)は(A)のB部拡大図、(C)は(A)のC部拡大図である。
【図4】本発明パネルのセメント板と上下枠との取付状態斜視図である。
【図5】本発明パネルの使用状態説明図であって、(A)は帳壁構造断面図、(B)は床スラブ型枠へのパネル上部の取付状態説明図である。
【図6】本発明パネルの使用状態説明図であって、(A)は一部切欠斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図7】本発明パネルの使用状態説明図であって、(A)は配線部概略説明図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は(A)のC−C線断面図、(D)は(A)の矢印D視図である。
【図8】従来例1の図であって、(A)は全体斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は(A)のC−C線断面図である。
【図9】従来例2の図であって、(A)はパネルの一部切欠斜視図、(B)はパネルの縦断面図である。
【符号の説明】
1:断熱複合パネル(複合パネル、パネル)、
2:セメント板層、
2G,2G´:目地(連結部、接続部)、
2h:通気層(貫通孔)、
2P:セメント板(成形セメント板)、
3:成形断熱層(断熱層、硬質ウレタンフォーム板)、
3G:切欠け、 3r:被り厚、
3T:断熱層厚、
4a:上枠、 4b:下枠(枠)、
4e:先端縁、 4F:立上り辺、
4H:水平辺、 4T:枠厚(辺幅)、
5a:下地材(条片下地材)、
5b:溝付下地材(条片下地材、下地材)、
5G:溝(配線溝)、 5H:下地材切込部(切込部)、
6:耐火被覆材、 7a:ボルト、
7b:平ナット、 7c:座金、
21:凹部、 22:突起、
23:不燃パッキング(耐火材)、 23´:耐火シート(耐火材)、
24:シーリング(耐火シーリング)、 24´:バッカー、
25,25´:断熱材、 26p,26q:相欠け、
27:内装面材(内装面板)、 28:コンセント、
28a:コンセント一体枠、 28b:コンセント化粧カバー、
29:コンクリートボックス、 29a:化粧カバー、
30:VVS線、
Ad:弾力性接着剤(接着剤)、 H1:取付孔(ピン孔、ネジ孔)、
H3,H4:ボルト挿入孔、 H27:コンセント挿入孔、
Pt:板厚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気層(2h)を備えたセメント板層(2)と、セメント板層(2)の上端及び下端に取付けた鋼材から成る上下枠(4a,4b)と、上下枠(4a,4b)間でセメント板層(2)に層着した成形断熱層(3)とを含む断熱複合パネルであって、上枠(4a)及び下枠(4b)とセメント板層(2)とをボルト(7a)によってルーズホール形態で締着し、成形断熱層(3)は、少なくとも、表面に長手方向の配線溝(5G)を備えた縦方向の条片下地材(5b)を含む、複数の埋設露出した下地材(5a,5b)を備え、且つ、上下枠のうち、少なくとも、上枠(4a)内面を耐火被覆材(6)で被覆して成形断熱板をセメント板層(2)に層着一体化した鉄筋コンクリート造建築の帳壁用断熱複合パネル。
【請求項2】
通気層(2h)が上下貫通孔であり、上下枠(4a,4b)がアングル鋼材である請求項1の帳壁用断熱複合パネル。
【請求項3】
ルーズホール形態の締着は、セメント板層(2)の内側板厚部(Pt)に穿設したボルト挿入孔(H4)、及び対応する枠(4a,4b)の水平辺(4H)のボルト挿入孔(H3)より小径のボルト(7a)を、枠の水平辺(4H)側から貫通孔(2h)内の平ナット(7b)に締着した請求項1又は2の帳壁用断熱複合パネル。
【請求項4】
枠(4a,4b)の水平辺(4H)のボルト挿入孔(H3)がセメント板層(2)のボルト挿入孔(H4)と同径であってパネル上下方向の長孔である、請求項3の帳壁用断熱複合パネル。
【請求項5】
セメント板層(2)が一側端には凹部(21)を、他側端には突起(22)を具備した請求項1乃至4のいずれか1項の帳壁用断熱複合パネル。
【請求項6】
セメント板層(2)は、一側端には凹部(21)を、他側端には突起(22)を具備したセメント板(2P)の複数枚を、各凹部(21)と突起(22)との不燃パッキング(23)を介在した衝合並列接続で形成した請求項1乃至5のいずれか1項の帳壁用断熱複合パネル。
【請求項7】
耐火被覆材(6)が断熱性、耐久性及び難燃性のテープ状材であり、且つ、上下枠(4a,4b)の内面及びボルト締着部を被覆している請求項1乃至6のいずれか1項の帳壁用断熱複合パネル。
【請求項8】
セメント板層(2)と成形断熱層(3)とを、柔軟性を有する弾力性接着剤(Ad)によって層着した請求項1乃至7のいずれか1項の帳壁用断熱複合パネル。
【請求項9】
断熱層厚(3T)が上下枠厚(4T)より大である請求項1乃至8のいずれか1項の帳壁用断熱複合パネル。
【請求項10】
上枠(4a)の立上り辺(4F)が取付孔(H1)、及び両端部のアイボルト締着用孔(H2)を備え、下枠(4b)の立上り辺(4F)が、上枠(4a)の取付孔(H1)の対応位置に取付孔(H1)を備えた請求項1乃至9のいずれか1項の帳壁用断熱複合パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2004−293153(P2004−293153A)
【公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−86852(P2003−86852)
【出願日】平成15年3月27日(2003.3.27)
【出願人】(396027108)株式会社テスク (68)
【Fターム(参考)】