説明

鉄表面の滑り止め法

【課題】 鉄製品の新品製作にも、修理にも使え、それ自身が滑り止め効果のある表面を持ち、凹凸がつけられると共に耐久性のある滑り止め法を得る事、その方法で製造した製品を得る事。
【解決手段】 鉄製品の表面に溶射をして、粗面にすると共に必要あれば凹凸または模様をつけ、その後、溶融亜鉛メッキをする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄製品の表面処理に属する。
【背景技術】
【0002】
マンホールのふた、グレーチング等の表面は滑り止め処理がされておらず、特に雨に濡れた場合滑り易かった。また、鉄製の階段は縞鋼板が使われるが、ステップの角は滑り易く、滑り止めテープを接着する事が多かった。
【0003】
人がその上を通り滑り止めが必要な鉄製品は、一般に、鋳物製品は鋳造で、機械加工面や鉄板から作るものは機械加工かプレスで表面に凹凸をつける方法が採られている。これらの方法は、凹凸を大きくできるが、大掛かりになるために、新品を作る場合に適している。
【0004】
鉄製品が使われると、人が通るために表面が磨耗して滑り易くなり、修理が必要になる。修理は滑り止め、錆び止め、及び、様々な寸法形状の製品に対応するために、滑り止め塗装や滑り止めテープが用いられている。しかし、凹凸がつけられないのと耐久性に問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鉄製品の新品製作にも、修理にも使え、それ自身が滑り止め効果のある表面を持ち、凹凸がつけられると共に耐久性のある滑り止め法を得る事、その方法で製造した製品を得る事。
【課題を解決するための手段】
【0006】
鉄製品の表面に溶射をして、粗面にすると共に必要あれば凹凸または模様をつけ、その後、溶融亜鉛メッキをする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の鉄表面の滑り止め法は、新品にも修理品にも使える実用性の高い方法である。この方法で得られる製品は、錆びず耐久性があり、社会の安全性と美観を高める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
マンホールのふた1は、鉄鋳物で作られ、表面に文字、マーク、模様などが鋳造で浮き鋳出しされている。浮き鋳出し2と窪み部分3は大きな凹凸となり、柔らかい靴底やタイヤには滑り止めの効果がある。浮き鋳出しの表面は鋳肌で粗面であり、これも滑り止めの効果がある。しかし、浮き鋳出しの表面は、人や車が踏み付けるので、やがて磨耗してつるつるの平面になり、硬い平らな靴底には滑り止めの効果がなくなる。
【0009】
磨耗したマンホールのふたの修理は、次ぎのように行なう。表面をサンドブラスト、ショットブラストなどの方法で清浄にすると共に溶射が密着し易い面にする。その後、鉄を溶射する。溶射は一様にすると鋳肌より少し粗い面になり、溶射を斑にすれば緩い凹凸ができる。また、表面近くに網を置いて溶射をすれば網目状の模様と共に比較的大きな凹凸ができる。このようにしてできた粗面や凹凸が滑り止めをする。
【0010】
次ぎに溶融亜鉛メッキをする。メッキ工程は新品のふたをするのと同じだが、溶融亜鉛への浸漬時間は、亜鉛による母材と溶射面の密着力の強化、溶射面の合金層を発達させて耐蝕性の向上、などのために少し長くなる。
【0011】
以上のようにして、滑り止め性、耐蝕性、耐磨耗性のある表面が得られ修理は完了するが、この方法を、新品のふたに適用しても何ら差支えない。また、縞鋼板やグレーチングなど他の鉄製品にこの方法を適用して何ら差支えない。
【0012】
溶射する材料は、母材が鉄であるから安価な鉄を用いるが、母材と溶融亜鉛メッキになじむ材料ならば、他の材料を用いてもよい。また、溶融亜鉛メッキは、耐蝕性を向上させる成分を含んだ溶融亜鉛メッキを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】マンホールのふた
【符号の説明】
【0014】
1:マンホールのふた 2:浮き鋳出し 3:窪み部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄製品の表面に溶射をして、粗面にすると共に必要あれば凹凸または模様をつけ、その後、溶融亜鉛メッキをした事を特長とする滑り止め法。
【請求項2】
表面に溶射をして、粗面にすると共に必要あれば凹凸または模様をつけ、その後、溶融亜鉛メッキをした事を特長とする鉄製品。

【図1】
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【公開番号】特開2006−37696(P2006−37696A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243013(P2004−243013)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(591006520)株式会社興和工業所 (34)
【Fターム(参考)】