説明

鉄道車両車軸用軸受装置

【課題】鉄道車両車軸用軸受のベント構造において、空気抜き穴が変形していても密封性に悪影響を及ぼさないようにする。
【解決手段】鉄道車両車軸用軸受装置は、外輪2と一対の内輪と2列の転動体を有する複列転がり軸受と、外輪2の両端開口部に装着したシール装置と、外輪2の外周面から内周面まで貫通し途中に環状底面34をもった段付き孔30に挿入した空気抜き栓40Aを具備し、空気抜き栓40Aは、テーパねじで互いに結合した本体42と中空のテーパプラグ48とで構成され、本体46は段付き孔30の大径孔32に挿入し得る外径を有し、かつ、内周に心金46を設けるとともに心金46の内周面にテーパめねじが形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は複列転がり軸受を使用した鉄道車両車軸用軸受装置に関し、より詳しくは鉄道車両車軸用軸受装置のベント(空気抜き)構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、複列円すいころ軸受を使用した鉄道車両車軸用軸受の例であって、車軸10の端部に複列円すいころ軸受を取り付け、その両側に油切り12と後ぶた14を配置することによって位置決めしてある。複列円すいころ軸受は、外輪2と、一対の内輪4と、複列の円すいころ6と、各列の円すいころ6を円周方向で所定間隔に保持する保持器8とからなり、外輪2は図示しない軸箱に固定し、内輪4は車軸10とはめあわせる。油切り12に前ぶた(図示せず)を当てて、車軸10の端部に形成したおねじ部に図示しないナットを締め込むことにより、油切り12と内輪4を介して後ぶた14を車軸10の肩部16に押し付けて、複列円すいころ軸受を車軸10上に固定する。外輪2の両端開口部にはシール装置18が装着してある。
【0003】
この鉄道車両車軸軸受装置では、シール装置18で外輪2と内輪4との間の軸受空間が密封されているため、軸受の回転に伴って発生する摩擦熱により、軸受空間内の空気が膨張して内圧が高まると、シール装置18に内圧が作用し、シールリップ圧が大きくなり、シールトルクが増加し、発熱が大となる。このため、空気抜き栓(ベントプラグ)20を設けて内圧を調整するようにしている。
【0004】
空気抜き栓20は、図7に示すように、金属製の心金22にキャップ状のゴム部材24を被せ、ゴム部材24の頂部にスリット26を形成したものである。スリット26は、常時はゴム部材24の弾力で閉じられていて、外輪2と内輪4との間の空間が所定値以上の内圧になった時に、ゴム部材24の弾力に抗してスリット26が自然に開かれて、上記空間の空気が排出される。
【0005】
従来のベント構造は、空気抜き栓20の外径と空気抜き穴の内径をタイトなはめあいとして密封し、空気抜き栓20のスリット26の開閉によって内圧を調整するようにしていた。
また、特許文献1では、後ぶた14に、軸受空間から後ぶた14の外周面に通じる空気抜き穴(ベントホール)を設け、この空気抜き穴に空気抜き栓20を取り付けることが提案されている。
【特許文献1】実開平4−123871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鉄道車両車軸用軸受の内圧を調整する空気抜き栓を装着するための空気抜き穴は熱処理変形が生じやすくいため、空気抜き穴に空気抜き栓を装着しただけでは十分な密封性が得られない場合がある。したがって、そのようなことがないように、熱処理前のリーマ加工等で狙い値を厳しく管理している。その結果、鉄道車両車軸用軸受の製造工数が増え、コスト面でも問題となる。
【0007】
この発明の目的は、鉄道車両車軸用軸受装置のベント構造において、空気抜き穴が変形していても密封性に悪影響を及ぼさないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の鉄道車両車軸用軸受装置は、外輪と一対の内輪と2列の転動体を有する複列転がり軸受と、前記外輪の両端開口部に装着したシール装置と、前記外輪の外周面から内周面まで貫通し途中に環状底面をもった段付き孔に挿入した空気抜き栓を具備し、前記空気抜き栓は、テーパねじで互いに結合した本体と中空のテーパプラグとで構成され、前記本体は前記段付き孔の大径孔に挿入し得る外径を有し、かつ、内周に心金を設けるとともに前記心金の内周面にテーパめねじを形成してあることを特徴とするものである。
【0009】
前記本体は、弾性体で成形して、頂部にスリットが形成してある(請求項2)。本体を構成する弾性体は、心金の下端面まで覆っているのが望ましい。本体の下端面を構成する弾性体が段付き孔の底面に密着してここでもシール作用を発揮するからである。
【0010】
前記テーパプラグは中空型六角穴付きテーパねじの形態で(請求項3)、前記外輪の内周面側から六角レンチを挿入して前記テーパプラグを回すことにより空気抜き栓の外径を調整し、段付き孔の内周面と空気抜き栓の外周面のはめあい(締め代)を調整することができる。
【0011】
請求項4の発明は、外輪と一対の内輪と2列の転動体を有する複列転がり軸受と、前記外輪の両端開口部に装着したシール装置と、前記外輪の外周面から内周面まで貫通し途中に環状底面をもった段付き孔に挿入した空気抜き栓を具備し、前記空気抜き栓は、弾性体で成形して、頂部にスリットが形成してあり、前記段付き孔の大径孔を前記外輪の半径方向外側に向かって小径となったテーパ形状とした鉄道車両車軸用軸受装置である。
【0012】
前記空気抜き栓は、前記段付き孔の大径孔に挿入し得る外径を有し、かつ、内周に心金を設けるとともに前記心金の内周面にテーパめねじを形成し、前記テーパめねじに中空のテーパプラグを装着したものとすることができる(請求項5)。
【0013】
請求項6の発明は、外輪と一対の内輪と2列の転動体を有する複列転がり軸受と、前記外輪の両端開口部に装着したシール装置と、前記外輪の外周面から内周面まで貫通し途中に環状底面をもった段付き孔に挿入した空気抜き栓を具備し、前記空気抜き栓は、前記段付き孔の大径孔に挿入する、内周に心金をもった弾性体リングと、前記心金の内側に装着するベント本体とを有し、前記ベント本体は、弾性体で成形して、頂部にスリットが形成してある、鉄道車両車軸用軸受装置である。
空気抜き栓を、段付き孔に直接装着する弾性体リングと、その弾性体リングに装着するベント本体とに分けたことにより、段付き孔に熱処理変形があっても弾性体リングによって吸収され、密封性に対する悪影響を少なくすることができる。
【0014】
請求項7の発明は、外輪と一対の内輪と2列の転動体を有する複列転がり軸受と、前記外輪の両端開口部に装着したシール装置と、前記外輪の外周面から内周面まで貫通し途中に環状底面をもった段付き孔に挿入した空気抜き栓を具備し、前記空気抜き栓は弾性体で成形してあり、スリットを形成した頂部と、前記段付き孔の小径部に挿入するための筒状部と、前記筒状部の外周に延在し前記環状底面と密着するフランジ部とを有し、前記筒状部の内周面に心金を設けるとともに、前記心金に、軸方向に延伸して先端に前記外輪の内周面に引っ掛けるためのフックをもった延長部を形成したことを特徴とするものである。
段付き孔に挿入した空気抜き栓をフランジ部とフックで軸方向両側からはさむことにより、空気抜き栓をしっかりと固定し、しかも、フランジ部を環状底面に密着させて密封作用を発揮させることができる。したがって、段付き孔に熱処理変形が生じても密封性に悪影響を及ぼすことが少なくなる。
【0015】
前記延長部は軸方向のスリットで分割された複数の分割片からなるものであってもよい(請求項8)。この場合、延長部はコレットのような形態で、分割片を円周方向および半径方向にある程度たわませることが可能であるため、延長部を縮径させて段付き孔の小径部に挿入し、フックが小径部から抜け出し次第、拡径させてフックを外輪の内周面に引っ掛ける、といった操作が簡単に行える。
【0016】
前記筒状部の内周に心金を設けるとともに前記心金の内周面にめねじを切り、中空の六角穴付き低頭ねじを前記外輪の内周面側から前記段付き孔の小径部に挿入して前記めねじに締め込むようにしてもよい(請求項9)。このような構成を採用することにより、外輪の内周面側から六角レンチを挿入して六角穴付き中空型低頭ねじを締め込み、あるいは緩めて、段付き孔の内周面と空気抜き栓の外周面のはめあい(締め代)を調整することができる。
【0017】
前記段付き孔の大径孔の内周面および前記空気抜き栓のフランジ部の外周面を、前記外輪の半径方向外側に向かって小径となったテーパ形状としてもよい(請求項10)。外輪の半径方向外側に向かって小径となったテーパ形状とすることにより、前記段付き孔の大径孔の内周面および前記空気抜き栓のフランジ部の外周面の接触部に生じる締め代に起因する半径方向力の軸方向分力が下向き、すなわち、環状底面に向かって作用することになる。したがって、空気抜き栓のフランジ部を環状底面に密着させる力が増し、密封性が向上する。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、外輪の段付き孔に熱処理変形があっても密封性に対する悪影響を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に従ってこの発明の実施の形態を説明する。まず、鉄道車両車軸用軸受装置の基本構成については図6を参照してすでに述べたとおりである。外輪2の両端部に取り付けるシール装置18は種々の構成のものが知られており、仕様に合わせて任意のものを選択して採用することができる。
【0020】
図6では、空気抜き栓20を装着するための空気抜き穴(ベントホール)として、外輪2のほぼ中央部に段付き孔が設けてある。図1に拡大して示すように、この段付き孔30は、外輪2の外周面から内周面まで貫通しており、途中に環状底面34をもっている。環状底面34を境にして、半径方向外側は円筒形状の大径孔32、半径方向内側は円筒形状の小径孔36となっている。
【0021】
図1に示す実施例は、空気抜き栓40Aを、テーパねじで互いに結合した本体42とプラグ48とで構成させたものである。本体42は、ゴムを代表例とする弾性体で成形して、頂部にスリット44が形成してあり、内周に心金46が固定してあるといった点で、図7に関連して述べた既存のものと類似している。違っているのは心金46の形状で、ここでは心金46は円筒形で、内周面にテーパねじが切ってある。本体42を構成する弾性体は、心金46の下端面まで覆っている。
【0022】
プラグ48は中空型六角穴付きテーパねじの形態をしており、本体42の心金46のテーパねじにねじ込むようになっている。なお、テーパは外輪2の半径方向外側(図1の上側)に向かって小径となっている。外輪2の内周面側から六角レンチ(図示せず)を挿入してプラグ48を回すことにより、空気抜き栓40Aの外径を調整し、段付き孔30の大径孔32の内径に対する空気抜き栓40Aの外径の締め代を調整することができる。例えば、プラグ48を締め込むほど空気抜き栓40Aの外径が拡大して締め代が高まる。このような作用を可能にするうえで、心金46は、材料の選択および/または分割型の採用により、弾性変形(拡径/縮径)可能にしておくのが好ましい。
また、心金46の下端面を覆う弾性体部分が段付き孔30の環状底面34に密着するため、ここでもシール作用を発揮する。
【0023】
図2(A)に示す実施例は、段付き孔30の大径孔32を外輪2の半径方向外側に向かって小径となったテーパ形状としたものである。段付き孔30の環状底面34、小径孔36は図1の実施例と変わりがない。空気抜き栓40Bも、図1の実施例における空気抜き栓40Aの本体42と類似の構成である。すなわち、本体42は、ゴムを代表例とする弾性体で成形して、頂部にスリット44が形成してあり、内周に心金46が固定してある。ここでは心金46は円筒形で、本体42を構成する弾性体は心金46の下端面まで覆っている。
【0024】
空気抜き栓40Bは、図7に示した既存のものを利用することもできるが、図2(B)に示すように、本体42の開口縁50の形状、寸法を次のようにしてもよい。すなわち、本体42の開口縁52を、自然状態では先端側ほど小径となった円すい台形状とし、先端の外径dを大径孔32の入り口の内径d1よりもわずかに小さくする。本体42の外周面も、段付き孔30の大径孔32の内周面に合わせてテーパ状とする。
【0025】
このような構成を採用することにより、空気抜き栓40Bを段付き孔30の大径孔32に挿入して環状底面34に押し当てると、本体34の開口縁50が図2(B)に破線で示すように弾性変形する。これに伴い本体42の外周面はいくぶん膨出する。その結果、段付き孔30の大径孔32の壁面に対する締め代が高まる。このようにして締め代を調整することができる。テーパ形状であることから、本体42の半径方向外側への拡径または膨出は図の上向きの分力を発生させるため、空気抜き栓40Bが大径孔32の内周面に食い込んで密封性が高まる。
【0026】
また、図2(A)において、心金46の内周面にテーパねじを形成し、そのテーパねじに中空のプラグを装着するようにしてもよい(図1参照)。これは、図1の実施例の改変例として上ですでに言及したように、空気抜き栓40Aの外周面と段付き孔30の大径孔32の内周面をテーパ形状にしたものに相当する。
【0027】
図3(A)に示す実施例は、空気抜き栓40Cを、互いに別体の本体42とリング52とで構成したものである。本体42は図7を参照して述べた既存のものと実質的に同じである。すなわち、本体42はゴムを代表とする弾性体でキャップ状に成形し、頂部にスリット44を形成し、内周に心金46を固定したものである。リング52は、ゴムを代表とする弾性体を環状に成形し、内周に心金54を固定したものである。この空気抜き栓40Cを段付き孔30に装着するにあたっては、図3(B)に示すように、まず、外輪2の段付き孔30の大径孔32にリング52を押し込み、次に、リング52の心金54の内側に本体42を押し込む。段付き孔30の環状底面34と小径孔36に関しては上述の実施例と変わりはない。
【0028】
リング52の外周が弾性体で構成されているため、その弾性体が大径孔32の壁面に密着して、大径孔32に熱処理変形等があってもそれを吸収する。心金54の外周面だけでなく端面にも内向きフランジ状の弾性体部分56を形成することにより、環状底面34と密着してここでもシール性を発揮させることができる。本体42とリング52との間では、本体42の弾性体とリング52の心金54とが密着してシール性を発揮する。
心金54は両端に内向きフランジを形成してある。外輪2の半径方向内側に位置する内向きフランジは本体42を押し込んだときのストッパの役割を果たし、外輪2の半径方向外側に位置する内向きフランジは本体42の抜け出しを防止する役割を果たす。
【0029】
次に、図4(A)を参照すると、段付き孔30に空気抜き栓40Dが装着してある。空気抜き栓40Dは本体60と心金70aとで構成されている。本体60はゴムを代表例とする弾性体で成形してあり、頂部にスリット64を形成したキャップ状の部分62と、フランジ部66と、筒状部68とからなっている。フランジ部66は筒状部68から半径方向外側に延在し、段付き孔30の環状底面34と密着するようになっている。筒状部68は段付き孔30の小径孔36に挿入するための部分である。
【0030】
筒状部68は中空で、その内周に円筒状の心金70aが取り付けてある。筒状部68と心金70aは例えば焼き付けにより固着させてある。心金70aは筒状部68の先端よりも軸方向に延出しており、先端に、半径方向外向きの突出部をもったフック72が形成してある。図4(A)から分かるように、フック72は外輪2の内周面に引っ掛けるようになっている。したがって、フランジ部66とフック72で段付き孔30の軸方向に外輪2をはさみつけて、空気抜き栓40Dを段付き孔30内にしっかり固定することできる。そして、フランジ部66が環状底面34に密着してシール機能を発揮するため、段付き孔30に熱処理変形があったとしてもそれによって悪影響を受けることはない。
【0031】
フランジ部66の上面、言い換えれば環状底面34と密着させる側とは反対側の面に心金67を設けてもよい。心金67を設けることによってフランジ部66の基本形状を保持することができるため(保形性)、変形やたわみなどで環状底面34との間にすきまができるのを防止するうえで有利である。
【0032】
心金70aは、図4(B)に示すように、筒状部68から露出した部分を軸方向に延びたスリット74で分割した複数の分割片76で構成するのが好ましい。この場合、心金70aはコレットのような形態で、分割片76を円周方向および半径方向にある程度たわませることが可能である。したがって、空気抜き栓40Dを段付き孔30に装着するとき、小径孔36に挿入するときは分割片76部分を縮径させ、フック72が小径孔36から抜け出した途端に分割片76部分を拡径させてフック72を外輪2の内周面に引っ掛ける、といった要領で簡単に、しかも確実に装着することができる。また、空気抜き栓40Dを取り外す必要があるときは、フック72部分をその外接円が小径孔36の内径よりも小さくなるように縮径させた状態で空気抜き栓40Dを外輪2の半径方向外側へ引き抜くことにより、簡単に取り外すことができる。
【0033】
図5に示す実施例は図4の実施例の変形例に相当する。すなわち、空気抜き栓40Dと空気抜き栓40Eは、後者では筒状部68の心金70bの内周面にめねじを切り、中空の六角穴付き低頭ねじ78を外輪2の内周面側から小径孔36に挿入して心金70bのめねじに締め込むようにした点で相違し、その他は実質的に異なるところはない。この場合も、フランジ部66と六角穴付き低頭ねじ78の頭部で外輪2をはさみつけて、空気抜き栓40Eを段付き孔30内にしっかりと固定することができる。すなわち、外輪2の内周面側から六角レンチ(図示せず)を挿入して中空型六角穴付き低頭ねじ78を締め込み、あるいは緩めて、小径孔36の内周面に対する空気抜き栓40Eの筒状部68の外周面の締め代を調整することができる。このような調整は、軸受の製造段階、または、分解した状態で行うものである。
なお、図示するように、外輪2の内周面にざぐり38を設けて、中空型六角穴付き低頭ねじ78の頭部が外輪2の内周面から突出しないようにするのが好ましい。
【0034】
上述の図4、図5の実施例では、段付き孔30の大径孔32の内周面および空気抜き栓40D、40Eのフランジ部66の外周面を、外輪2の半径方向外側に向かって小径となったテーパ形状としてもよい。この場合、フランジ部66と環状底面34との間での密封に加えて、フランジ部66の外周面の弾性を利用した密封作用も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施例を示す外輪の空気抜き栓部分の断面図である。
【図2】(A)は第2実施例を示す外輪の空気抜き栓部分の断面図、(B)は装着過程を示す図2(A)の部分拡大図である。
【図3】(A)は第3実施例を示す外輪の空気抜き栓部分の断面図、(B)は装着過程を示す断面図である。
【図4】(A)は第4実施例を示す外輪の空気抜き栓部分の断面図、(B)はフック部分の拡大斜視図である。
【図5】第5実施例を示す外輪の空気抜き栓部分の断面図である。
【図6】鉄道車両車軸用軸受装置の縦断面図である。
【図7】(A)は空気抜き栓の平面図、(B)は断面図である。
【符号の説明】
【0036】
2 外輪
4 内輪
6 円すいころ(転動体)
8 保持器
10 車軸
12 前ぶた
14 後ぶた
16 肩部
18 シール装置
20 空気抜き栓
30 段付き孔(ベントホール)
32 大径孔
34 環状底面
36 小径孔
38 ざぐり
40A、40B、40C、40D、40E 空気抜き栓(ベントプラグ)
42 本体
44 スリット
46 心金
48 プラグ(中空型六角穴付きテーパねじ)
50 開口縁
52 リング
54 心金
56 半径方向部分
60 本体
62 キャップ状部分
64 スリット
66 フランジ部
67 心金
68 筒状部
70a、70b 心金
72 フック部
74 スリット
76 分割片
78 六角穴付き中空型低頭ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外輪と一対の内輪と2列の転動体を有する複列転がり軸受と、前記外輪の両端開口部に装着したシール装置と、前記外輪の外周面から内周面まで貫通し途中に環状底面をもった段付き孔に挿入した空気抜き栓を具備し、前記空気抜き栓は、テーパねじで互いに結合した本体と中空のテーパプラグとで構成され、前記本体は前記段付き孔の大径孔に挿入し得る外径を有し、かつ、内周に心金を設けるとともに前記心金の内周面にテーパめねじを形成してある、鉄道車両車軸用軸受装置。
【請求項2】
前記本体は、弾性体で成形して、頂部にスリットが形成してある請求項1の鉄道車両車軸用軸受装置。
【請求項3】
前記テーパプラグは中空型六角穴付きテーパねじの形態である請求項1または2の鉄道車両車軸用軸受装置。
【請求項4】
外輪と一対の内輪と2列の転動体を有する複列転がり軸受と、前記外輪の両端開口部に装着したシール装置と、前記外輪の外周面から内周面まで貫通し途中に環状底面をもった段付き孔に挿入した空気抜き栓を具備し、
前記空気抜き栓は、弾性体で成形して、頂部にスリットが形成してあり、
前記段付き孔の大径孔を前記外輪の半径方向外側に向かって小径となったテーパ形状とした鉄道車両車軸用軸受装置。
【請求項5】
前記空気抜き栓は、前記段付き孔の大径孔に挿入し得る外径を有し、かつ、内周に心金を設けるとともに前記心金の内周面にテーパめねじを形成し、前記テーパめねじに中空のテーパプラグを装着した請求項4の鉄道車両車軸用軸受装置。
【請求項6】
外輪と一対の内輪と2列の転動体を有する複列転がり軸受と、前記外輪の両端開口部に装着したシール装置と、前記外輪の外周面から内周面まで貫通し途中に環状底面をもった段付き孔に挿入した空気抜き栓を具備し、
前記空気抜き栓は、前記段付き孔の大径孔に挿入する、内周に心金をもった弾性体リングと、前記心金の内側に装着するベント本体とを有し、
前記ベント本体は、弾性体で成形して、頂部にスリットが形成してある、鉄道車両車軸用軸受装置。
【請求項7】
外輪と一対の内輪と2列の転動体を有する複列転がり軸受と、前記外輪の両端開口部に装着したシール装置と、前記外輪の外周面から内周面まで貫通し途中に環状底面をもった段付き孔に挿入した空気抜き栓を具備し、
前記空気抜き栓は弾性体で成形してあり、スリットを形成した頂部と、前記段付き孔の小径部に挿入するための筒状部と、前記筒状部の外周に延在し前記環状底面と密着するフランジ部とを有し、前記筒状部の内周面に心金を設けるとともに、前記心金に、軸方向に延伸して先端に前記外輪の内周面に引っ掛けるためのフックをもった延長部を形成した、鉄道車両車軸用軸受装置。
【請求項8】
前記延長部は軸方向のスリットで分割された複数の分割片からなる請求項7の鉄道車両車軸用軸受装置。
【請求項9】
前記筒状部の内周に心金を設けるとともに前記心金の内周面にめねじを切り、中空の六角穴付き低頭ねじを前記外輪の内周面側から前記段付き孔の小径部に挿入して前記めねじに締め込むようにした請求項7または8の鉄道車両車軸用軸受装置。
【請求項10】
前記段付き孔の大径孔の内周面および前記空気抜き栓のフランジ部の外周面を、前記外輪の半径方向外側に向かって小径となったテーパ形状とした請求項7から9のいずれか1項の鉄道車両車軸用軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−100196(P2010−100196A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274300(P2008−274300)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】