鋼管仕口構造及び鋼管接合方法
【課題】鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いることなく、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、任意の方向に配向した鋼管同士を突合せ溶接する。
【解決手段】鋼管(1)の仕口端同士を突合せ溶接するための仕口端は、鋼管の中心軸線に対して任意の角度に切断した小口部を有する。メタルタッチ面(14)を有する平板の外周面(11)が、位置決め手段(4,12)を用いて小口部の開口に部分的に挿入される。平板の外周面は、メタルタッチ面に対する母線(M1、M2)を鋼管の中心軸線(X,Y)と実質的に平行に配向し且つ小口部の開口に内接する輪郭を有し、メタルタッチ面は、小口部から突出した位置に位置決めされる。溶接すべき鋼管のメタルタッチ面同士は、位置決め機構(15,16,20)を用いて相対的に位置決めされる。
【解決手段】鋼管(1)の仕口端同士を突合せ溶接するための仕口端は、鋼管の中心軸線に対して任意の角度に切断した小口部を有する。メタルタッチ面(14)を有する平板の外周面(11)が、位置決め手段(4,12)を用いて小口部の開口に部分的に挿入される。平板の外周面は、メタルタッチ面に対する母線(M1、M2)を鋼管の中心軸線(X,Y)と実質的に平行に配向し且つ小口部の開口に内接する輪郭を有し、メタルタッチ面は、小口部から突出した位置に位置決めされる。溶接すべき鋼管のメタルタッチ面同士は、位置決め機構(15,16,20)を用いて相対的に位置決めされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管仕口構造及び鋼管接合方法に関するものであり、より詳細には、鋼構造建築物の構造用鋼管を任意の角度に突合せ溶接することができる鋼管仕口構造及び鋼管接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造用鋼管を突合せ溶接する溶接法の従来方式として、段切り方式、裏当板スライド方式、裏当板メタルタッチ方式、裏当板張り出し方式等の各種方式が知られている。このような方式の溶接法の改良として、接合すべき鋼管の各小口面にエンドプレートを面一に固定するとともに、環状の鋼製介設部材をエンドプレート間に介挿して溶接ギャップを形成し、鋼管の小口面を突合せ溶接する溶接方法が、特開平8−239909公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
このような従来の溶接法は、いずれも、軸芯が合芯した鋼管同士を直管形態に接合する際に使用される。しかし、軸芯が相対的に傾斜した鋼管同士を接合する場合には、鋼管の小口面が鋼管の軸芯に対して傾斜した方向に切断され、楕円形小口面が仕口部に形成される。このため、裏当板や、裏当用鋼管等を鋼管の小口部に挿入し難く、小口部内周面に対して裏当板等を正確に内接させることも困難であるので、傾斜角を有する鋼管同士の突合せ溶接は、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存するか、或いは、高価な鋳鋼製トラスノード等を用いなければならなかった。
【0004】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管同士の突合せ溶接を要する鋼構造物として、単層ラチス構造のドームが挙げられる。単層ラチスドームは、ラチス部材を構成する鋼管同士を溶接によって剛接合し、鋼構造骨組の高剛性化及び軽量化を同時に実現しようとするものである。この種の単層ラチスドームは、同一規模の複層トラス構造の鋼構造骨組と比べ、鋼材量及びジョイント数が比較的少なく、建設コスト低減や、工期短縮等の観点からも有利であり、しかも、採光・遮光の設計自由度や、内部空間の有効利用等の点においても優れることから、競技場等の大空間の屋根構造として近年殊に注目されている。
【特許文献1】特開平8−239909公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような単層ラチス構造においては、任意の方向に配向した鋼管同士をジョイント部で接合しなければならない。殊に、中規模又は大規模の単層ラチス構造物では、このような仕口構造を随所に適用しなければならないことから、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することは、現実には困難である。このため、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を使用し、トラスノードに対して鋼管を溶接する方法が一般に採用されてきた。
【0006】
しかし、この種のジョイント部材の使用は、建設費の高額化や、工期の長期化をもたらすばかりでなく、ジョイント部材の外観が構造体の意匠性に比較的大きく影響する。このため、このようなジョイント部材を用いず、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、単層ラチス構造の鋼管を突合せ溶接することができる鋼管仕口構造の開発が要望された。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いることなく、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接することができる鋼管仕口構造及び鋼管接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、近年の三次元レーザー切断技術の発展によって鋼管の仕口端を高精度に切断することが可能となった点に着目し、かかる知見に基づいて本発明を達成したものである。即ち、本発明は、
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接するための鋼管仕口構造において、
前記仕口端を構成する前記鋼管の小口部は、該鋼管の中心軸線に対して傾斜角を有する小口面を備え、メタルタッチ面を有する平板の外周面が、前記小口部の開口に部分的に挿入され、前記平板の外周面は、前記メタルタッチ面に対する母線を前記鋼管の中心軸線と実質的に平行に配向し且つ前記小口部の開口に内接する輪郭を有し、前記メタルタッチ面は、前記小口部から突出した位置に位置決めされることを特徴とする鋼管仕口構造を提供する。
【0009】
本発明の上記構成によれば、メタルタッチ面に対する平板外周面の母線が、鋼管の中心軸線と実質的に平行に配向され、平板外周面は、小口部内周面に内接するように仕口端開口に挿入される。平板外周面は、部分的に仕口端開口に挿入されるにすぎず、メタルタッチ面は、仕口端開口から突出した位置に位置決めされる。突合せ溶接すべき部材のメタルタッチ面に対して平板のメタルタッチ面を面接触させることにより、仕口端開口から突出した平板部分の周囲に溶接ギャップが形成される。このような構成によれば、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端に上記平板を夫々配設し、メタルタッチ面同士を面接触させることにより、対向する鋼管仕口端の間に溶接ギャップを形成するとともに、溶接用裏当を平板外周面によって溶接ギャップのルート部に形成することができる。かくして、上記構成の鋼管仕口構造によれば、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いず、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接することができる。
【0010】
本発明は又、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接するための鋼管仕口構造において、
前記仕口端を構成する前記鋼管の小口部は、該鋼管の中心軸線に対して傾斜角を有する小口面を備え、メタルタッチ面を有する平板の外周面が、前記小口部の開口に部分的に挿入され、
前記小口部及び平板は、前記平板を前記小口部の開口に挿入する際に平板及び鋼管の相対位置を規制するとともに、平板の挿入位置及び相対回転を機械的に制限する位置決め機構を有することを特徴とする鋼管仕口構造を提供する。
【0011】
本発明の上記構成によれば、上記位置決め機構によって平板を正確に鋼管の小口部に位置決めできるので、平板の位置決め作業は簡素化し、接合作業の作業効率は向上する。また、鋼管小口部の開口に挿入された平板は、溶接すべき他の鋼材のメタルタッチ面に面接触し、平板部分の周囲に溶接ギャップが形成されるので、鋼管の仕口端を比較的容易に溶接することができる。かくして、このような構成の鋼管仕口構造によれば、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いず、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接することができる。
【0012】
本発明は更に、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接するための鋼管仕口構造において、
前記仕口端を構成する前記鋼管の小口部は、該鋼管の中心軸線に対して傾斜角を有する小口面を備え、メタルタッチ面を有する平板の外周面が、前記小口部の開口に部分的に挿入され、
前記平板は、対向する前記メタルタッチ面の相対位置を位置決めするための位置決め機構を有することを特徴とする鋼管仕口構造を提供する。
【0013】
相対的に傾斜した鋼管同士を接合する場合、対向するメタルタッチ面同士を正確に整合させることは困難であるが、本発明の上記構成によれば、位置決め機構の採用により、メタルタッチ面の相対位置を正確に位置決めし、鋼管同士を高精度に突合せ溶接することができるので、鋼管組立作業の作業効率は向上する。また、突合せ溶接すべき部材のメタルタッチ面に対して上記平板のメタルタッチ面を面接触させることにより、平板部分の周囲に溶接ギャップが形成されるので、鋼管の仕口端を比較的容易に溶接することができる。かくして、このような構成の鋼管仕口構造によれば、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いず、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接することができる。
【0014】
他の観点より、本発明は、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接する鋼管接合方法において、
前記鋼管の中心軸線に対して傾斜角をなす小口面を切断して前記仕口端の小口部を形成し、
メタルタッチ面を有する平板の外周面を前記小口部の開口に部分的に挿入し、前記平板の外周面を前記小口部の開口に内接させるとともに、前記メタルタッチ面を前記小口部から突出した位置に位置決めし、
突合せ溶接すべき部材のメタルタッチ面に対して前記メタルタッチ面を面接触せしめ、前記メタルタッチ面の突出によって溶接ギャップを形成するとともに、溶接用裏当を前記外周面によって前記溶接ギャップのルート部に形成することを特徴とする鋼管接合方法を提供する。
【0015】
本発明は又、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接する鋼管接合方法において、
前記鋼管の中心軸線に対して傾斜角をなす小口面を切断して前記仕口端の小口部を形成するとともに、前記小口部の開口に部分的に挿入され且つメタルタッチ面を有する平板の挿入位置及び相対回転を規制する機械的係合要素を前記平板及び前記小口部に形成し、
前記平板を前記小口部の開口に挿入する際に前記平板及び鋼管の相対位置を前記機械的係合要素によって決定するとともに、前記平板の挿入位置及び相対回転を前記機械的係合要素によって制限することを特徴とする鋼管接合方法を提供する。
【0016】
本発明は更に、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接する鋼管接合方法において、
前記鋼管の中心軸線に対して傾斜角をなす小口面を切断して前記仕口端の小口部を形成し、
メタルタッチ面を有する平板の外周面を前記小口部の開口に部分的に挿入するとともに、対向する前記メタルタッチ面の相対位置を位置決めするための機械的係合要素を前記平板に係合させることにより、メタルタッチ面同士の相対位置を位置決めすることを特徴とする鋼管接合方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の鋼管仕口構造及び鋼管接合方法によれば、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いることなく、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の好適な実施形態によれば、平板の挿入位置及び相対回転を規制する機械的係合要素が、小口部及び平板の位置決め機構として平板及び小口部に形成され、平板及び鋼管の相対位置は、平板を小口部の開口に挿入する際に機械的係合要素によって決定され、平板の挿入位置及び相対回転は、機械的係合要素によって制限される。例えば、機械的係合要素として、スリット又は溝が鋼管の小口部に形成され、同じく機械的係合要素として、突起又はホゾが平板の外周面に形成される。平板は、突起又はホゾと、スリット又は溝とを整合させた状態で鋼管の小口部に挿入され、突起は、スリットの終端部に衝合し、更なる平板の挿入は、制限される。このような位置決め機構により、平板の位置決め作業を簡素化し、接合作業の作業効率を向上することができる。
【0019】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、メタルタッチ面同士の位置決め機構は、対向するメタルタッチ面の相対位置を位置決めするための機械的係合要素を有し、メタルタッチ面同士の相対位置は、機械的係合要素を平板に係合させることによって位置決めされる。機械的係合要素は、例えば、平板に穿設した方形断面のスロット又は長孔に係止可能な方形断面のキー部材からなる。
【0020】
上記キー部材は、鋼管の外面に装着されるエレクションピースと実質的に同じ機能を果たすが、従来のエレクションピースと異なり、鋼管接合部に埋め殺すことができる。このため、このようなキー部材を採用することにより、エレクションピースを鋼管から切断撤去してピース係合部のグラインダ掛け処理等を行う従来の作業を省略することが可能となる。
【0021】
本発明の鋼管仕口構造は、二本の鋼管の仕口端を突合せ溶接する鋼管仕口構造のみならず、複数(三本以上)の鋼管の仕口端を単一のジョイント部として突合せ溶接する鋼管仕口構造に適用することができる。従って、本発明は、中規模又は大規模の単層ラチス構造物の鋼管仕口構造として、極めて効果的に使用することができる。
【0022】
本発明の応用として、上記平板によってメタルタッチ面を形成した鋼管の仕口端の間に第2の平板又は平板組立体を更に介挿しても良い。鋼管仕口端のメタルタッチは、第2平板又は平板組立体のメタルタッチ面に突合せ溶接され、鋼管同士は、第2平板又は平板組立体を介して接合される。第2平板又は平板組立体は、鋼管の応力伝達手段を構成する。所望により、鋼管と第2平板又は平板組立体とを位置決めするための簡易な構造のエレクションピースが使用される。エレクションピースは、例えば、第2平板又は平板組立体に係合するとともに、鋼管及び/又は鋼管仕口端の平板に係合し、第2平板又は平板組立体と鋼管との相対位置を規制する。
【実施例1】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の鋼管仕口構造を備えた剛接トラス構造体を部分的に示す側面図である。
【0025】
図1には、真円形断面の鋼管1を接合部(ジョイント部)2において突合せ溶接した一体架構の剛接トラス構造体が示されている。図1に示すトラス構造体においては、同一管径且つ同一肉厚を有する鋼管1同士が上弦材及び下弦材として剛接される。鋼管1の中心軸線X、Yは、角度α(0°<α<180°)の相対角度をなして交差する。各鋼管1の仕口端には、溶接用裏当板を構成する鋼製平板10が夫々内装される。対向する平板10のスロット(長孔)15、16には、キー部材20が係合し、平板10は、キー部材20によって相互係止される。鋼管1の仕口端は、突合せ溶接の溶接金属30によって一体的に接合される。上弦材として示された上位鋼管1の接合部2と、下弦材として示された下位鋼管1の接合部2とは、実質的に同一の仕口構造を有する。相対的に小径の鋼管3が、鋼管1及び接合部2に接合される。斜材として示された小径鋼管3は、鋼管2の突合せ溶接後、従来の溶接方法に従って鋼管1及び接合2に隅肉溶接される。
【0026】
図2は、本発明の鋼管仕口構造を備えた他の剛接トラス構造体を部分的に示す側面図である。
【0027】
図2示すトラス構造体も又、真円形断面の鋼管1を接合部(ジョイント部)2において突合せ溶接した一体架構の剛接トラス構造体である。鋼管1の中心軸線X、Yは、角度β(180°<β<360°)の相対角度をなして交差し、各鋼管1の小口部に内装した鋼製平板10は、キー部材20によって相互係止し、鋼管1の仕口端は、突合せ溶接の溶接金属30によって剛接される。上下の接合部2は、実質的に同一の仕口構造を有し、相対的に小径の鋼管3が、鋼管1及び接合部2に隅肉溶接される。
【0028】
図3は、図1に示す上位鋼管1の接合部2を接合前の状態で示す拡大縦断面図、拡大側面図及び小口部概略斜視図であり、図4は、鋼管1の仕口端に楕円形平板を内装した状態を示す拡大縦断面図及び拡大側面図である。図1及び図2に示す他の接合部2も又、図3及び図4に示す仕口構造と実質的に同じ仕口構造を有するので、以下、図3及び図4を参照して本発明の仕口構造について説明する。
【0029】
各鋼管1の仕口端は、三次元(3D)レーザー加工機によって予めレーザー切断される。仕口端の切断面(小口面)は、中心軸線X、Yに対して傾斜角α1、α2の角度をなす傾斜面に加工される。図3(C)に示すように、楕円形小口面が仕口端に形成され、小口面は、中心軸線X、Yと交差する水平短軸Zを有する。小口部には、溶接ギャップの開先角度α3を確保するようにテーパが付けられるとともに、左右一対のスリット(溝)4が形成される。スリット4は、小口面の短軸Z上に配置される。スリット4は、小口面に開口するとともに、所定長に亘って中心軸線X、Yと平行に延びる。
【0030】
平板10の側面13、14は、鋼管1の仕口開口に内接可能な楕円形輪郭を有する。平板10は、楕円形断面を有する円柱形態を有し、円柱母線M1、M2と円柱底面又は頂面(側面13、14)とがなす角度θ1、θ2は、傾斜角α1、α2と同一角度に設定される。従って、母線M1、M2は、鋼管1の中心軸線X、Y及び内周面5と平行に配向される。
【0031】
平板10の外周面11には、スリット4内に挿入可能又は嵌入可能な左右一対の突起(ホゾ)12が一体的に形成される。突起12及びスリット4を整合させて平板10を鋼管1の小口部に挿入すると、突起12は、スリット4の終端部に衝合し、更なる平板10の挿入は、阻止される。従って、突起12及びスリット4は、平板10を小口部に挿入する際に平板10及び鋼管1の相対位置を決定するとともに、平板10の挿入位置及び相対回転を機械的に制限する位置決め機構を構成する。
【0032】
図4に示す如く、突起12は、スリット4に嵌装し、平板10の外周面11は、小口部の内周面5に内接し、平板10の側面14は、小口面から距離S1だけ突出した位置において静止する。図4には、平板10を小口部に挿入した状態が示されている。
【0033】
平板10の側面14は、中心軸線X、Yに対して角度α1をなす楕円形メタルタッチ面を各鋼管1の仕口端に形成する。対向する平板10には、キー部材20を挿入可能な方形断面のスロット(長孔)15、16が穿孔されている。一方の平板10に形成されたスロット15には、キー部材20の係止部21が係止し、他方の平板10に形成されたスロット16には、キー部材20の係止部22が係止する。
【0034】
図5は、平板10を面接触させた状態を示す鋼管仕口部の拡大縦断面図及び拡大側面図であり、図6(A)は、キー部材20及びスロット15、16の拡大縦断面図であり、図6(B)は、図6(A)のI−I線における断面図である。
【0035】
平板10の側面14を面接触させる際、キー部材20の係止部21は、スロット15に挿入され、キー部材20の係止部22は、スロット16に挿入される。キー部材20のスロット貫通部分23、24は、スロット15、16内に夫々収容される。係止部21、22は、各鋼管1内において平板10の側面(裏面)13に夫々係止する。
【0036】
キー部材20は、スロット15、16の幅と実質的に同じ幅を有する方形断面の鋼製部材からなり、スロット貫通部分23、24の間に形成された段差部25は、係止部21、22と協働して平板10同士の相対位置を規制する。キー部材20によって相対位置を固定した平板10は、側面14同士を面接触状態に保持する。かくして、キー部材20及びスロット15、16は、対向するメタルタッチ面(側面14)の相対位置を位置決めする位置決め機構を構成する。
【0037】
鋼管1の小口面には、三次元(3D)レーザー加工機によって予め開先加工が施されており、メタルタッチ面(側面14)は、鋼管1の小口面から突出した位置に位置決めされるので、開先角度γの溶接ギャップ40が、図5に示す如く、鋼管1の小口面の間に形成される。溶接ギャップ40のルート部には、外周面11の突出部分が露出し、外周面11の露出部分は、溶接用裏当を構成する。
【0038】
図7は、鋼管1の仕口端を突合せ溶接した状態を示す鋼管仕口部の拡大縦断面図及び拡大側面図である。
【0039】
鋼管1の仕口端は、溶接ギャップ40を外側から片面溶接することにより突合せ溶接され、鋼管1は、溶接金属30によって剛接される。所望により、適当な余盛がなされる。平板10及びキー部材20は、鋼管1内に残留し、接合部2内に埋め殺される。
【0040】
かくして、上記構成の鋼管仕口構造及び鋼管接合方法によれば、突起12及びスリット4を整合させて平板10を鋼管1の小口部に挿入し、キー部材20及びスロット15、16を用いてメタルタッチ面(側面14)同士を相対的に位置決めすることにより、対向する鋼管1のメタルタッチ面同士を面接触させることができ、同時に、突合せ溶接のための溶接ギャップ40を形成することができる。従って、傾斜した鋼管1の仕口端は、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いず、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、比較的容易に突合せ溶接することができる。
【実施例2】
【0041】
図8は、本発明の仕口構造を備えた単層ラチスドームを部分的に示す見上げ図であり、図9は、図8に示す鋼管接合部の部分拡大断面図である。
【0042】
図8には、真円形断面の鋼管1を接合部(ジョイント部)2において剛接した単層ラチス構造の鋼構造骨組が示されている。この鋼構造骨組は、競技場等の大空間のドーム状屋根を構成する。接合部2において、同一管径且つ同一肉厚を有する多数の鋼管1(本例では4本の鋼管1)が十字形平板組立体50を介して接合される。
【0043】
図9に示す如く、鋼管1の小口部は、三次元レーザー加工機によって予めレーザー切断され、小口部は、平板51、52の垂直接合面51a、51bと平行な小口面(切断面)を有する。平板51、52は、複数の鋼管の仕口端の間に介挿される第2平板を構成する。小口部には、平板60が挿入される。平板60は、鋼管1の小口面から溶接ギャップ幅S2だけ突出するとともに、垂直接合面51a、51bと面接触する。鋼管1は、小口面と垂直接合面51a、51bとの間に形成された溶接ギャップを外側から片面溶接することにより、平板組立体50に突合せ溶接される。
【0044】
図10及び図11は、鋼管1の仕口端及び平板組立体50の構造を示す分解斜視図ある。
【0045】
鋼管1の仕口端には、前述の平板10と同様の機能を有する平板60が挿入され、平板60は、鋼管1の小口開口に内接する。平板組立体50は、円形輪郭を有する同一板厚の平板51、52を組付けた組立体からなる。
【0046】
平板51には、頂部開口形の垂直スリット53が形成され、平板52には、底部開口形の垂直スリット54が形成される。ボルト接合等によって他の構造部材に連結可能な垂直ブラケット55が、平板51の上部に突設される。スリット53、54を整合させて平板51、52を組付けることにより、平板51、52は、直角に組付けられ、図11に示す十字形の平板組立体50が組立てられる。所望により、平板51、52の接触部が部分的に溶接され、平板組立体50は一体化される。
【0047】
平板組立体50は、図11に示す治具90上に載置される。治具90は、作業床等の支持面に着座可能な方形基板91と、基板91に垂直に立設した円筒形支持部92とから構成される。支持部92の上縁には、平板組立体50の平板51、52を受入れ可能な複数の凹所93が所定位置に形成される。平板組立体50は、下縁部分を凹所93内に挿入した状態で治具90の所定位置に固定される。
【0048】
図10に示す如く、平板60は、鋼管1の小口開口に内接可能な一対の平板分割片61に分割されており、各平板分割片61の外周面66には、複数の突起62が形成されるとともに、エレクションピース70(図11)に係合可能な凹所63が形成される。鋼管1の小口部には、突起62を挿入可能な複数の凹所6が形成されるとともに、エレクションピース70と係合可能な凹所7が形成される。平板分割片61は、図11に示す如く、鋼管1の小口開口に挿入され、突起62は、凹所6に挿入される。突起62は、凹所6の奥壁に衝合し、平板分割片61の外側面(メタルタッチ面)は、溶接ギャップ幅S2だけ鋼管1の小口面から突出した位置に位置決めされる。左右の平板分割片61は、鋼管1の小口部先端において当接し、垂直な稜線65を小口部先端に形成する。かくして、平板51、52の垂直接合面51a、51b(図9)に面接触可能なメタルタッチ面が鋼管1の仕口端に形成される。
【0049】
図10及び図11に示すように、平板52には、エレクションピース70を挿入可能な方形断面のスロット56が対をなして穿設され、平板52の上縁には、エレクションピース71を嵌装可能な一対の凹所57が形成される。平板60及び鋼管1の凹所63、7は整合し、エレクションピース70に係合可能な窪み8を仕口端下部に形成する。鋼管1の小口部上面には、エレクションピース71を係止可能な係止孔又は凹部9が形成される。
【0050】
エレクションピース70を平板組立体50のスロット56に挿入し、鋼管1の窪み8がエレクションピース70に係合するようにして鋼管1の仕口端を平板組立体50に突付けることにより、平板60の外面(メタルタッチ面)と平板組立体50の垂直接合面51a、51b(メタルタッチ面)とを面接触させることができる。エレクションピース71を平板組立体50の凹所57に嵌装し、エレクションピース71の両端部を鋼管1の係止孔又は凹部9に係止することにより、鋼管1の位置を平板組立体50に対して固定することができる。従って、平板組立体50は、鋼管1の応力伝達手段として機能するのみならず、溶接時の位置決め及び誤差修正のための治具としても機能する。
【0051】
図12は、鋼管1の接合方法を示す横断面図及び平面図である。
【0052】
平板組立体50は、4つの直角隅部55を形成し、鋼管1の仕口端は、各隅部55に挿入される。平板51、52の垂直接合面51a、51b(メタルタッチ面)は、平板60の外面60a(メタルタッチ面)に面接触する。エレクションピース70は、平板組立体50に組付けられており、エレクションピース70の両端部が、各鋼管1の窪み8に挿入される。エレクションピース71が、平板組立体50の凹所57に嵌装され、鋼管1の係止孔又は凹部9に係止される。
【0053】
図13は、鋼管1を平板組立体50に組付けた状態を示す横断面図及び平面図であり、図14は、鋼管1を平板組立体50に突合せ溶接した状態を示す横断面図及び平面図である。
【0054】
図13に示す如く、溶接ギャップ幅S2の溶接ギャップ80が、平板組立体50と鋼管1の小口面との間に形成される。溶接ギャップ40のルート部には、平板60の外周面66が露出し、外周面66の露出部分は、溶接用裏当を構成する。
【0055】
溶接ギャップ80を外側から片面溶接することにより、鋼管1は、図14に示すように平板組立体50に突合せ溶接され、かくして、平板組立体50を介して応力伝達可能に鋼管1を剛接する接合部2が形成される。所望により、鋼管1及び平板組立体50の間の溶接金属81には、適当な余盛がなされる。なお、平板60は、接合部2に埋め殺され、エレクションピース71、72は、鋼管1に溶接される。所望により、エレクションピース71、72を取外し、接合部2に残留した凹所8、9を適切に仕上げ処理しても良い。
【実施例3】
【0056】
図15は、第1実施例の変形例に係る鋼管仕口構造を示す横断面図及び平面図である。
【0057】
図15には、第1実施例(図1〜図7)の仕口構造を用いて4本の鋼管1を接合した接合部2の構成が示されている。各鋼管1の仕口端には、第2実施例において説明した平板60が挿入される。平板60同士は、直に面接触し、溶接ギャップ幅S1×2の溶接ギャップ80が、鋼管1の仕口端に形成される。鋼管1は、溶接ギャップ80の突合せ溶接によって接合される。
【実施例4】
【0058】
図16は、第2実施例の変形例に係る鋼管仕口構造を示す横断面図及び平面図である。
【0059】
図16には、3本の鋼管1を接合するように構成された接合部2が示されている。平板組立体50の対して垂直に突き付けられる鋼管1は、鋼管1の中心軸線に垂直な小口面を有し、真円形の平板60’が鋼管1の小口部に挿入される。溶接ギャップ幅S2の溶接ギャップ80が、平板組立体50と鋼管1の仕口端との間に形成され、鋼管1は、溶接ギャップ80の突合せ溶接によって平板組立体50に接合される。
【0060】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能であり、このような変形例又は変更例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
【0061】
例えば、上記実施例では、全高に亘って均一な楕円形断面を有する円柱形態の平板10及び60を用いているが、鋼管1の小口面から突出する平板10及び60の部分については、テーパ等によって断面を変形させることも可能である。
【0062】
また、本発明は、単一接合部に接合可能な鋼管の本数や、鋼管同士の傾斜角度を限定されるものではなく、任意の本数及び傾斜角度の鋼管を本発明に従って接合することができる。
【0063】
更に、上記実施例では、真円形断面の鋼管の接合に関して説明したが、本発明は、楕円形断面、多角形断面等の各種断面形状の鋼管の接合に適用し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、鋼構造物の構造用鋼管を任意の角度に突合せ溶接する鋼管仕口構造及び鋼管接合方法に適用される。本発明の鋼管仕口構造及び鋼管接合方法は、鋼管同士を任意の角度に接合する仕口構造を随所に適用しなければならない鋼構造物、例えば、中規模又は大規模の単層ラチス構造物に好ましく使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施例に係る鋼管仕口構造を備えた剛接トラス構造体を部分的に示す側面図である。
【図2】本発明の鋼管仕口構造を備えた他の剛接トラス構造体を部分的に示す側面図である。
【図3】図1に示す上位鋼管の接合部を接合前の状態で示す拡大縦断面図、拡大側面図及び小口部概略斜視図である。
【図4】鋼管の仕口端に楕円形平板を内装した状態を示す拡大縦断面図及び拡大側面図である。
【図5】平板を面接触させた状態が示す鋼管仕口部の拡大縦断面図及び拡大側面図である。
【図6】キー部材及びスロットの拡大縦断面図及びI−I線断面図である。
【図7】鋼管の仕口端を突合せ溶接した状態を示す鋼管仕口部の拡大縦断面図及び拡大側面図である。
【図8】本発明の第2実施例に係る鋼管仕口構造を備えた単層ラチスドームを部分的に示す見上げ図である。
【図9】図8に示す仕口部の部分拡大断面図である。
【図10】鋼管の仕口端及び平板組立体の構造を示す分解斜視図ある。
【図11】鋼管の仕口端及び平板組立体の構造を示す分解斜視図ある。
【図12】鋼管の接合方法を示す横断面図及び平面図である。
【図13】鋼管を平板組立体に組付けた状態を示す横断面図及び平面図である。
【図14】鋼管を平板組立体に突合せ溶接した状態を示す横断面図及び平面図である。
【図15】第1実施例の変形例に係る鋼管仕口構造を示す横断面図及び平面図である。
【図16】第2実施例の変形例に係る鋼管仕口構造を示す横断面図及び平面図である。
【符号の説明】
【0066】
1:鋼管
2:接合部
4:スリット(溝)
10:平板
11:外周面
12:突起
13:側面(裏面)
14:側面(メタルタッチ面)
15:スロット(長孔)
16:スロット(長孔)
20:キー部材
30:溶接金属
40:溶接ギャップ
50:平板組立体
51、52:平板(第2の平板)
60:平板
70、71:エレクションピース
80:溶接ギャップ
M1、M2:母線
θ1、θ2:角度
α1、α2:傾斜角
X、Y:中心軸線
S1:距離(突出量)
S2:溶接ギャップ幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管仕口構造及び鋼管接合方法に関するものであり、より詳細には、鋼構造建築物の構造用鋼管を任意の角度に突合せ溶接することができる鋼管仕口構造及び鋼管接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造用鋼管を突合せ溶接する溶接法の従来方式として、段切り方式、裏当板スライド方式、裏当板メタルタッチ方式、裏当板張り出し方式等の各種方式が知られている。このような方式の溶接法の改良として、接合すべき鋼管の各小口面にエンドプレートを面一に固定するとともに、環状の鋼製介設部材をエンドプレート間に介挿して溶接ギャップを形成し、鋼管の小口面を突合せ溶接する溶接方法が、特開平8−239909公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
このような従来の溶接法は、いずれも、軸芯が合芯した鋼管同士を直管形態に接合する際に使用される。しかし、軸芯が相対的に傾斜した鋼管同士を接合する場合には、鋼管の小口面が鋼管の軸芯に対して傾斜した方向に切断され、楕円形小口面が仕口部に形成される。このため、裏当板や、裏当用鋼管等を鋼管の小口部に挿入し難く、小口部内周面に対して裏当板等を正確に内接させることも困難であるので、傾斜角を有する鋼管同士の突合せ溶接は、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存するか、或いは、高価な鋳鋼製トラスノード等を用いなければならなかった。
【0004】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管同士の突合せ溶接を要する鋼構造物として、単層ラチス構造のドームが挙げられる。単層ラチスドームは、ラチス部材を構成する鋼管同士を溶接によって剛接合し、鋼構造骨組の高剛性化及び軽量化を同時に実現しようとするものである。この種の単層ラチスドームは、同一規模の複層トラス構造の鋼構造骨組と比べ、鋼材量及びジョイント数が比較的少なく、建設コスト低減や、工期短縮等の観点からも有利であり、しかも、採光・遮光の設計自由度や、内部空間の有効利用等の点においても優れることから、競技場等の大空間の屋根構造として近年殊に注目されている。
【特許文献1】特開平8−239909公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような単層ラチス構造においては、任意の方向に配向した鋼管同士をジョイント部で接合しなければならない。殊に、中規模又は大規模の単層ラチス構造物では、このような仕口構造を随所に適用しなければならないことから、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することは、現実には困難である。このため、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を使用し、トラスノードに対して鋼管を溶接する方法が一般に採用されてきた。
【0006】
しかし、この種のジョイント部材の使用は、建設費の高額化や、工期の長期化をもたらすばかりでなく、ジョイント部材の外観が構造体の意匠性に比較的大きく影響する。このため、このようなジョイント部材を用いず、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、単層ラチス構造の鋼管を突合せ溶接することができる鋼管仕口構造の開発が要望された。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いることなく、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接することができる鋼管仕口構造及び鋼管接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、近年の三次元レーザー切断技術の発展によって鋼管の仕口端を高精度に切断することが可能となった点に着目し、かかる知見に基づいて本発明を達成したものである。即ち、本発明は、
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接するための鋼管仕口構造において、
前記仕口端を構成する前記鋼管の小口部は、該鋼管の中心軸線に対して傾斜角を有する小口面を備え、メタルタッチ面を有する平板の外周面が、前記小口部の開口に部分的に挿入され、前記平板の外周面は、前記メタルタッチ面に対する母線を前記鋼管の中心軸線と実質的に平行に配向し且つ前記小口部の開口に内接する輪郭を有し、前記メタルタッチ面は、前記小口部から突出した位置に位置決めされることを特徴とする鋼管仕口構造を提供する。
【0009】
本発明の上記構成によれば、メタルタッチ面に対する平板外周面の母線が、鋼管の中心軸線と実質的に平行に配向され、平板外周面は、小口部内周面に内接するように仕口端開口に挿入される。平板外周面は、部分的に仕口端開口に挿入されるにすぎず、メタルタッチ面は、仕口端開口から突出した位置に位置決めされる。突合せ溶接すべき部材のメタルタッチ面に対して平板のメタルタッチ面を面接触させることにより、仕口端開口から突出した平板部分の周囲に溶接ギャップが形成される。このような構成によれば、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端に上記平板を夫々配設し、メタルタッチ面同士を面接触させることにより、対向する鋼管仕口端の間に溶接ギャップを形成するとともに、溶接用裏当を平板外周面によって溶接ギャップのルート部に形成することができる。かくして、上記構成の鋼管仕口構造によれば、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いず、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接することができる。
【0010】
本発明は又、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接するための鋼管仕口構造において、
前記仕口端を構成する前記鋼管の小口部は、該鋼管の中心軸線に対して傾斜角を有する小口面を備え、メタルタッチ面を有する平板の外周面が、前記小口部の開口に部分的に挿入され、
前記小口部及び平板は、前記平板を前記小口部の開口に挿入する際に平板及び鋼管の相対位置を規制するとともに、平板の挿入位置及び相対回転を機械的に制限する位置決め機構を有することを特徴とする鋼管仕口構造を提供する。
【0011】
本発明の上記構成によれば、上記位置決め機構によって平板を正確に鋼管の小口部に位置決めできるので、平板の位置決め作業は簡素化し、接合作業の作業効率は向上する。また、鋼管小口部の開口に挿入された平板は、溶接すべき他の鋼材のメタルタッチ面に面接触し、平板部分の周囲に溶接ギャップが形成されるので、鋼管の仕口端を比較的容易に溶接することができる。かくして、このような構成の鋼管仕口構造によれば、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いず、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接することができる。
【0012】
本発明は更に、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接するための鋼管仕口構造において、
前記仕口端を構成する前記鋼管の小口部は、該鋼管の中心軸線に対して傾斜角を有する小口面を備え、メタルタッチ面を有する平板の外周面が、前記小口部の開口に部分的に挿入され、
前記平板は、対向する前記メタルタッチ面の相対位置を位置決めするための位置決め機構を有することを特徴とする鋼管仕口構造を提供する。
【0013】
相対的に傾斜した鋼管同士を接合する場合、対向するメタルタッチ面同士を正確に整合させることは困難であるが、本発明の上記構成によれば、位置決め機構の採用により、メタルタッチ面の相対位置を正確に位置決めし、鋼管同士を高精度に突合せ溶接することができるので、鋼管組立作業の作業効率は向上する。また、突合せ溶接すべき部材のメタルタッチ面に対して上記平板のメタルタッチ面を面接触させることにより、平板部分の周囲に溶接ギャップが形成されるので、鋼管の仕口端を比較的容易に溶接することができる。かくして、このような構成の鋼管仕口構造によれば、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いず、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接することができる。
【0014】
他の観点より、本発明は、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接する鋼管接合方法において、
前記鋼管の中心軸線に対して傾斜角をなす小口面を切断して前記仕口端の小口部を形成し、
メタルタッチ面を有する平板の外周面を前記小口部の開口に部分的に挿入し、前記平板の外周面を前記小口部の開口に内接させるとともに、前記メタルタッチ面を前記小口部から突出した位置に位置決めし、
突合せ溶接すべき部材のメタルタッチ面に対して前記メタルタッチ面を面接触せしめ、前記メタルタッチ面の突出によって溶接ギャップを形成するとともに、溶接用裏当を前記外周面によって前記溶接ギャップのルート部に形成することを特徴とする鋼管接合方法を提供する。
【0015】
本発明は又、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接する鋼管接合方法において、
前記鋼管の中心軸線に対して傾斜角をなす小口面を切断して前記仕口端の小口部を形成するとともに、前記小口部の開口に部分的に挿入され且つメタルタッチ面を有する平板の挿入位置及び相対回転を規制する機械的係合要素を前記平板及び前記小口部に形成し、
前記平板を前記小口部の開口に挿入する際に前記平板及び鋼管の相対位置を前記機械的係合要素によって決定するとともに、前記平板の挿入位置及び相対回転を前記機械的係合要素によって制限することを特徴とする鋼管接合方法を提供する。
【0016】
本発明は更に、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接する鋼管接合方法において、
前記鋼管の中心軸線に対して傾斜角をなす小口面を切断して前記仕口端の小口部を形成し、
メタルタッチ面を有する平板の外周面を前記小口部の開口に部分的に挿入するとともに、対向する前記メタルタッチ面の相対位置を位置決めするための機械的係合要素を前記平板に係合させることにより、メタルタッチ面同士の相対位置を位置決めすることを特徴とする鋼管接合方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の鋼管仕口構造及び鋼管接合方法によれば、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いることなく、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の好適な実施形態によれば、平板の挿入位置及び相対回転を規制する機械的係合要素が、小口部及び平板の位置決め機構として平板及び小口部に形成され、平板及び鋼管の相対位置は、平板を小口部の開口に挿入する際に機械的係合要素によって決定され、平板の挿入位置及び相対回転は、機械的係合要素によって制限される。例えば、機械的係合要素として、スリット又は溝が鋼管の小口部に形成され、同じく機械的係合要素として、突起又はホゾが平板の外周面に形成される。平板は、突起又はホゾと、スリット又は溝とを整合させた状態で鋼管の小口部に挿入され、突起は、スリットの終端部に衝合し、更なる平板の挿入は、制限される。このような位置決め機構により、平板の位置決め作業を簡素化し、接合作業の作業効率を向上することができる。
【0019】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、メタルタッチ面同士の位置決め機構は、対向するメタルタッチ面の相対位置を位置決めするための機械的係合要素を有し、メタルタッチ面同士の相対位置は、機械的係合要素を平板に係合させることによって位置決めされる。機械的係合要素は、例えば、平板に穿設した方形断面のスロット又は長孔に係止可能な方形断面のキー部材からなる。
【0020】
上記キー部材は、鋼管の外面に装着されるエレクションピースと実質的に同じ機能を果たすが、従来のエレクションピースと異なり、鋼管接合部に埋め殺すことができる。このため、このようなキー部材を採用することにより、エレクションピースを鋼管から切断撤去してピース係合部のグラインダ掛け処理等を行う従来の作業を省略することが可能となる。
【0021】
本発明の鋼管仕口構造は、二本の鋼管の仕口端を突合せ溶接する鋼管仕口構造のみならず、複数(三本以上)の鋼管の仕口端を単一のジョイント部として突合せ溶接する鋼管仕口構造に適用することができる。従って、本発明は、中規模又は大規模の単層ラチス構造物の鋼管仕口構造として、極めて効果的に使用することができる。
【0022】
本発明の応用として、上記平板によってメタルタッチ面を形成した鋼管の仕口端の間に第2の平板又は平板組立体を更に介挿しても良い。鋼管仕口端のメタルタッチは、第2平板又は平板組立体のメタルタッチ面に突合せ溶接され、鋼管同士は、第2平板又は平板組立体を介して接合される。第2平板又は平板組立体は、鋼管の応力伝達手段を構成する。所望により、鋼管と第2平板又は平板組立体とを位置決めするための簡易な構造のエレクションピースが使用される。エレクションピースは、例えば、第2平板又は平板組立体に係合するとともに、鋼管及び/又は鋼管仕口端の平板に係合し、第2平板又は平板組立体と鋼管との相対位置を規制する。
【実施例1】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の鋼管仕口構造を備えた剛接トラス構造体を部分的に示す側面図である。
【0025】
図1には、真円形断面の鋼管1を接合部(ジョイント部)2において突合せ溶接した一体架構の剛接トラス構造体が示されている。図1に示すトラス構造体においては、同一管径且つ同一肉厚を有する鋼管1同士が上弦材及び下弦材として剛接される。鋼管1の中心軸線X、Yは、角度α(0°<α<180°)の相対角度をなして交差する。各鋼管1の仕口端には、溶接用裏当板を構成する鋼製平板10が夫々内装される。対向する平板10のスロット(長孔)15、16には、キー部材20が係合し、平板10は、キー部材20によって相互係止される。鋼管1の仕口端は、突合せ溶接の溶接金属30によって一体的に接合される。上弦材として示された上位鋼管1の接合部2と、下弦材として示された下位鋼管1の接合部2とは、実質的に同一の仕口構造を有する。相対的に小径の鋼管3が、鋼管1及び接合部2に接合される。斜材として示された小径鋼管3は、鋼管2の突合せ溶接後、従来の溶接方法に従って鋼管1及び接合2に隅肉溶接される。
【0026】
図2は、本発明の鋼管仕口構造を備えた他の剛接トラス構造体を部分的に示す側面図である。
【0027】
図2示すトラス構造体も又、真円形断面の鋼管1を接合部(ジョイント部)2において突合せ溶接した一体架構の剛接トラス構造体である。鋼管1の中心軸線X、Yは、角度β(180°<β<360°)の相対角度をなして交差し、各鋼管1の小口部に内装した鋼製平板10は、キー部材20によって相互係止し、鋼管1の仕口端は、突合せ溶接の溶接金属30によって剛接される。上下の接合部2は、実質的に同一の仕口構造を有し、相対的に小径の鋼管3が、鋼管1及び接合部2に隅肉溶接される。
【0028】
図3は、図1に示す上位鋼管1の接合部2を接合前の状態で示す拡大縦断面図、拡大側面図及び小口部概略斜視図であり、図4は、鋼管1の仕口端に楕円形平板を内装した状態を示す拡大縦断面図及び拡大側面図である。図1及び図2に示す他の接合部2も又、図3及び図4に示す仕口構造と実質的に同じ仕口構造を有するので、以下、図3及び図4を参照して本発明の仕口構造について説明する。
【0029】
各鋼管1の仕口端は、三次元(3D)レーザー加工機によって予めレーザー切断される。仕口端の切断面(小口面)は、中心軸線X、Yに対して傾斜角α1、α2の角度をなす傾斜面に加工される。図3(C)に示すように、楕円形小口面が仕口端に形成され、小口面は、中心軸線X、Yと交差する水平短軸Zを有する。小口部には、溶接ギャップの開先角度α3を確保するようにテーパが付けられるとともに、左右一対のスリット(溝)4が形成される。スリット4は、小口面の短軸Z上に配置される。スリット4は、小口面に開口するとともに、所定長に亘って中心軸線X、Yと平行に延びる。
【0030】
平板10の側面13、14は、鋼管1の仕口開口に内接可能な楕円形輪郭を有する。平板10は、楕円形断面を有する円柱形態を有し、円柱母線M1、M2と円柱底面又は頂面(側面13、14)とがなす角度θ1、θ2は、傾斜角α1、α2と同一角度に設定される。従って、母線M1、M2は、鋼管1の中心軸線X、Y及び内周面5と平行に配向される。
【0031】
平板10の外周面11には、スリット4内に挿入可能又は嵌入可能な左右一対の突起(ホゾ)12が一体的に形成される。突起12及びスリット4を整合させて平板10を鋼管1の小口部に挿入すると、突起12は、スリット4の終端部に衝合し、更なる平板10の挿入は、阻止される。従って、突起12及びスリット4は、平板10を小口部に挿入する際に平板10及び鋼管1の相対位置を決定するとともに、平板10の挿入位置及び相対回転を機械的に制限する位置決め機構を構成する。
【0032】
図4に示す如く、突起12は、スリット4に嵌装し、平板10の外周面11は、小口部の内周面5に内接し、平板10の側面14は、小口面から距離S1だけ突出した位置において静止する。図4には、平板10を小口部に挿入した状態が示されている。
【0033】
平板10の側面14は、中心軸線X、Yに対して角度α1をなす楕円形メタルタッチ面を各鋼管1の仕口端に形成する。対向する平板10には、キー部材20を挿入可能な方形断面のスロット(長孔)15、16が穿孔されている。一方の平板10に形成されたスロット15には、キー部材20の係止部21が係止し、他方の平板10に形成されたスロット16には、キー部材20の係止部22が係止する。
【0034】
図5は、平板10を面接触させた状態を示す鋼管仕口部の拡大縦断面図及び拡大側面図であり、図6(A)は、キー部材20及びスロット15、16の拡大縦断面図であり、図6(B)は、図6(A)のI−I線における断面図である。
【0035】
平板10の側面14を面接触させる際、キー部材20の係止部21は、スロット15に挿入され、キー部材20の係止部22は、スロット16に挿入される。キー部材20のスロット貫通部分23、24は、スロット15、16内に夫々収容される。係止部21、22は、各鋼管1内において平板10の側面(裏面)13に夫々係止する。
【0036】
キー部材20は、スロット15、16の幅と実質的に同じ幅を有する方形断面の鋼製部材からなり、スロット貫通部分23、24の間に形成された段差部25は、係止部21、22と協働して平板10同士の相対位置を規制する。キー部材20によって相対位置を固定した平板10は、側面14同士を面接触状態に保持する。かくして、キー部材20及びスロット15、16は、対向するメタルタッチ面(側面14)の相対位置を位置決めする位置決め機構を構成する。
【0037】
鋼管1の小口面には、三次元(3D)レーザー加工機によって予め開先加工が施されており、メタルタッチ面(側面14)は、鋼管1の小口面から突出した位置に位置決めされるので、開先角度γの溶接ギャップ40が、図5に示す如く、鋼管1の小口面の間に形成される。溶接ギャップ40のルート部には、外周面11の突出部分が露出し、外周面11の露出部分は、溶接用裏当を構成する。
【0038】
図7は、鋼管1の仕口端を突合せ溶接した状態を示す鋼管仕口部の拡大縦断面図及び拡大側面図である。
【0039】
鋼管1の仕口端は、溶接ギャップ40を外側から片面溶接することにより突合せ溶接され、鋼管1は、溶接金属30によって剛接される。所望により、適当な余盛がなされる。平板10及びキー部材20は、鋼管1内に残留し、接合部2内に埋め殺される。
【0040】
かくして、上記構成の鋼管仕口構造及び鋼管接合方法によれば、突起12及びスリット4を整合させて平板10を鋼管1の小口部に挿入し、キー部材20及びスロット15、16を用いてメタルタッチ面(側面14)同士を相対的に位置決めすることにより、対向する鋼管1のメタルタッチ面同士を面接触させることができ、同時に、突合せ溶接のための溶接ギャップ40を形成することができる。従って、傾斜した鋼管1の仕口端は、鋳鋼製トラスノード等の特殊且つ専用のジョイント部材を用いず、しかも、溶接熟練者等の高度な鋼管切断技能及び鋼管溶接技能に依存することなく、比較的容易に突合せ溶接することができる。
【実施例2】
【0041】
図8は、本発明の仕口構造を備えた単層ラチスドームを部分的に示す見上げ図であり、図9は、図8に示す鋼管接合部の部分拡大断面図である。
【0042】
図8には、真円形断面の鋼管1を接合部(ジョイント部)2において剛接した単層ラチス構造の鋼構造骨組が示されている。この鋼構造骨組は、競技場等の大空間のドーム状屋根を構成する。接合部2において、同一管径且つ同一肉厚を有する多数の鋼管1(本例では4本の鋼管1)が十字形平板組立体50を介して接合される。
【0043】
図9に示す如く、鋼管1の小口部は、三次元レーザー加工機によって予めレーザー切断され、小口部は、平板51、52の垂直接合面51a、51bと平行な小口面(切断面)を有する。平板51、52は、複数の鋼管の仕口端の間に介挿される第2平板を構成する。小口部には、平板60が挿入される。平板60は、鋼管1の小口面から溶接ギャップ幅S2だけ突出するとともに、垂直接合面51a、51bと面接触する。鋼管1は、小口面と垂直接合面51a、51bとの間に形成された溶接ギャップを外側から片面溶接することにより、平板組立体50に突合せ溶接される。
【0044】
図10及び図11は、鋼管1の仕口端及び平板組立体50の構造を示す分解斜視図ある。
【0045】
鋼管1の仕口端には、前述の平板10と同様の機能を有する平板60が挿入され、平板60は、鋼管1の小口開口に内接する。平板組立体50は、円形輪郭を有する同一板厚の平板51、52を組付けた組立体からなる。
【0046】
平板51には、頂部開口形の垂直スリット53が形成され、平板52には、底部開口形の垂直スリット54が形成される。ボルト接合等によって他の構造部材に連結可能な垂直ブラケット55が、平板51の上部に突設される。スリット53、54を整合させて平板51、52を組付けることにより、平板51、52は、直角に組付けられ、図11に示す十字形の平板組立体50が組立てられる。所望により、平板51、52の接触部が部分的に溶接され、平板組立体50は一体化される。
【0047】
平板組立体50は、図11に示す治具90上に載置される。治具90は、作業床等の支持面に着座可能な方形基板91と、基板91に垂直に立設した円筒形支持部92とから構成される。支持部92の上縁には、平板組立体50の平板51、52を受入れ可能な複数の凹所93が所定位置に形成される。平板組立体50は、下縁部分を凹所93内に挿入した状態で治具90の所定位置に固定される。
【0048】
図10に示す如く、平板60は、鋼管1の小口開口に内接可能な一対の平板分割片61に分割されており、各平板分割片61の外周面66には、複数の突起62が形成されるとともに、エレクションピース70(図11)に係合可能な凹所63が形成される。鋼管1の小口部には、突起62を挿入可能な複数の凹所6が形成されるとともに、エレクションピース70と係合可能な凹所7が形成される。平板分割片61は、図11に示す如く、鋼管1の小口開口に挿入され、突起62は、凹所6に挿入される。突起62は、凹所6の奥壁に衝合し、平板分割片61の外側面(メタルタッチ面)は、溶接ギャップ幅S2だけ鋼管1の小口面から突出した位置に位置決めされる。左右の平板分割片61は、鋼管1の小口部先端において当接し、垂直な稜線65を小口部先端に形成する。かくして、平板51、52の垂直接合面51a、51b(図9)に面接触可能なメタルタッチ面が鋼管1の仕口端に形成される。
【0049】
図10及び図11に示すように、平板52には、エレクションピース70を挿入可能な方形断面のスロット56が対をなして穿設され、平板52の上縁には、エレクションピース71を嵌装可能な一対の凹所57が形成される。平板60及び鋼管1の凹所63、7は整合し、エレクションピース70に係合可能な窪み8を仕口端下部に形成する。鋼管1の小口部上面には、エレクションピース71を係止可能な係止孔又は凹部9が形成される。
【0050】
エレクションピース70を平板組立体50のスロット56に挿入し、鋼管1の窪み8がエレクションピース70に係合するようにして鋼管1の仕口端を平板組立体50に突付けることにより、平板60の外面(メタルタッチ面)と平板組立体50の垂直接合面51a、51b(メタルタッチ面)とを面接触させることができる。エレクションピース71を平板組立体50の凹所57に嵌装し、エレクションピース71の両端部を鋼管1の係止孔又は凹部9に係止することにより、鋼管1の位置を平板組立体50に対して固定することができる。従って、平板組立体50は、鋼管1の応力伝達手段として機能するのみならず、溶接時の位置決め及び誤差修正のための治具としても機能する。
【0051】
図12は、鋼管1の接合方法を示す横断面図及び平面図である。
【0052】
平板組立体50は、4つの直角隅部55を形成し、鋼管1の仕口端は、各隅部55に挿入される。平板51、52の垂直接合面51a、51b(メタルタッチ面)は、平板60の外面60a(メタルタッチ面)に面接触する。エレクションピース70は、平板組立体50に組付けられており、エレクションピース70の両端部が、各鋼管1の窪み8に挿入される。エレクションピース71が、平板組立体50の凹所57に嵌装され、鋼管1の係止孔又は凹部9に係止される。
【0053】
図13は、鋼管1を平板組立体50に組付けた状態を示す横断面図及び平面図であり、図14は、鋼管1を平板組立体50に突合せ溶接した状態を示す横断面図及び平面図である。
【0054】
図13に示す如く、溶接ギャップ幅S2の溶接ギャップ80が、平板組立体50と鋼管1の小口面との間に形成される。溶接ギャップ40のルート部には、平板60の外周面66が露出し、外周面66の露出部分は、溶接用裏当を構成する。
【0055】
溶接ギャップ80を外側から片面溶接することにより、鋼管1は、図14に示すように平板組立体50に突合せ溶接され、かくして、平板組立体50を介して応力伝達可能に鋼管1を剛接する接合部2が形成される。所望により、鋼管1及び平板組立体50の間の溶接金属81には、適当な余盛がなされる。なお、平板60は、接合部2に埋め殺され、エレクションピース71、72は、鋼管1に溶接される。所望により、エレクションピース71、72を取外し、接合部2に残留した凹所8、9を適切に仕上げ処理しても良い。
【実施例3】
【0056】
図15は、第1実施例の変形例に係る鋼管仕口構造を示す横断面図及び平面図である。
【0057】
図15には、第1実施例(図1〜図7)の仕口構造を用いて4本の鋼管1を接合した接合部2の構成が示されている。各鋼管1の仕口端には、第2実施例において説明した平板60が挿入される。平板60同士は、直に面接触し、溶接ギャップ幅S1×2の溶接ギャップ80が、鋼管1の仕口端に形成される。鋼管1は、溶接ギャップ80の突合せ溶接によって接合される。
【実施例4】
【0058】
図16は、第2実施例の変形例に係る鋼管仕口構造を示す横断面図及び平面図である。
【0059】
図16には、3本の鋼管1を接合するように構成された接合部2が示されている。平板組立体50の対して垂直に突き付けられる鋼管1は、鋼管1の中心軸線に垂直な小口面を有し、真円形の平板60’が鋼管1の小口部に挿入される。溶接ギャップ幅S2の溶接ギャップ80が、平板組立体50と鋼管1の仕口端との間に形成され、鋼管1は、溶接ギャップ80の突合せ溶接によって平板組立体50に接合される。
【0060】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能であり、このような変形例又は変更例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
【0061】
例えば、上記実施例では、全高に亘って均一な楕円形断面を有する円柱形態の平板10及び60を用いているが、鋼管1の小口面から突出する平板10及び60の部分については、テーパ等によって断面を変形させることも可能である。
【0062】
また、本発明は、単一接合部に接合可能な鋼管の本数や、鋼管同士の傾斜角度を限定されるものではなく、任意の本数及び傾斜角度の鋼管を本発明に従って接合することができる。
【0063】
更に、上記実施例では、真円形断面の鋼管の接合に関して説明したが、本発明は、楕円形断面、多角形断面等の各種断面形状の鋼管の接合に適用し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、鋼構造物の構造用鋼管を任意の角度に突合せ溶接する鋼管仕口構造及び鋼管接合方法に適用される。本発明の鋼管仕口構造及び鋼管接合方法は、鋼管同士を任意の角度に接合する仕口構造を随所に適用しなければならない鋼構造物、例えば、中規模又は大規模の単層ラチス構造物に好ましく使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施例に係る鋼管仕口構造を備えた剛接トラス構造体を部分的に示す側面図である。
【図2】本発明の鋼管仕口構造を備えた他の剛接トラス構造体を部分的に示す側面図である。
【図3】図1に示す上位鋼管の接合部を接合前の状態で示す拡大縦断面図、拡大側面図及び小口部概略斜視図である。
【図4】鋼管の仕口端に楕円形平板を内装した状態を示す拡大縦断面図及び拡大側面図である。
【図5】平板を面接触させた状態が示す鋼管仕口部の拡大縦断面図及び拡大側面図である。
【図6】キー部材及びスロットの拡大縦断面図及びI−I線断面図である。
【図7】鋼管の仕口端を突合せ溶接した状態を示す鋼管仕口部の拡大縦断面図及び拡大側面図である。
【図8】本発明の第2実施例に係る鋼管仕口構造を備えた単層ラチスドームを部分的に示す見上げ図である。
【図9】図8に示す仕口部の部分拡大断面図である。
【図10】鋼管の仕口端及び平板組立体の構造を示す分解斜視図ある。
【図11】鋼管の仕口端及び平板組立体の構造を示す分解斜視図ある。
【図12】鋼管の接合方法を示す横断面図及び平面図である。
【図13】鋼管を平板組立体に組付けた状態を示す横断面図及び平面図である。
【図14】鋼管を平板組立体に突合せ溶接した状態を示す横断面図及び平面図である。
【図15】第1実施例の変形例に係る鋼管仕口構造を示す横断面図及び平面図である。
【図16】第2実施例の変形例に係る鋼管仕口構造を示す横断面図及び平面図である。
【符号の説明】
【0066】
1:鋼管
2:接合部
4:スリット(溝)
10:平板
11:外周面
12:突起
13:側面(裏面)
14:側面(メタルタッチ面)
15:スロット(長孔)
16:スロット(長孔)
20:キー部材
30:溶接金属
40:溶接ギャップ
50:平板組立体
51、52:平板(第2の平板)
60:平板
70、71:エレクションピース
80:溶接ギャップ
M1、M2:母線
θ1、θ2:角度
α1、α2:傾斜角
X、Y:中心軸線
S1:距離(突出量)
S2:溶接ギャップ幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接するための鋼管仕口構造において、
前記仕口端を構成する前記鋼管の小口部は、該鋼管の中心軸線に対して傾斜角を有する小口面を備え、メタルタッチ面を有する平板の外周面が、前記小口部の開口に部分的に挿入され、前記平板の外周面は、前記メタルタッチ面に対する母線を前記鋼管の中心軸線と実質的に平行に配向し且つ前記小口部の開口に内接する輪郭を有し、前記メタルタッチ面は、前記小口部から突出した位置に位置決めされることを特徴とする鋼管仕口構造。
【請求項2】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接するための鋼管仕口構造において、
前記仕口端を構成する前記鋼管の小口部は、該鋼管の中心軸線に対して傾斜角を有する小口面を備え、メタルタッチ面を有する平板の外周面が、前記小口部の開口に部分的に挿入され、
前記小口部及び平板は、前記平板を前記小口部の開口に挿入する際に平板及び鋼管の相対位置を規制するとともに、平板の挿入位置及び相対回転を機械的に制限する位置決め機構を有することを特徴とする鋼管仕口構造。
【請求項3】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接するための鋼管仕口構造において、
前記仕口端を構成する前記鋼管の小口部は、該鋼管の中心軸線に対して傾斜角を有する小口面を備え、メタルタッチ面を有する平板の外周面が、前記小口部の開口に部分的に挿入され、
前記平板は、対向する前記メタルタッチ面同士の相対位置を位置決めするための位置決め機構を有することを特徴とする鋼管仕口構造。
【請求項4】
前記平板によってメタルタッチ面を形成した複数の鋼管の仕口端の間に第2の平板又は平板組立体を更に介挿したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鋼管仕口構造。
【請求項5】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接する鋼管接合方法において、
前記鋼管の中心軸線に対して傾斜角をなす小口面を切断して前記仕口端の小口部を形成し、
メタルタッチ面を有する平板の外周面を前記小口部の開口に部分的に挿入し、前記平板の外周面を前記小口部の開口に内接させるとともに、前記メタルタッチ面を前記小口部から突出した位置に位置決めし、
突合せ溶接すべき部材のメタルタッチ面に対して前記メタルタッチ面を面接触せしめ、前記メタルタッチ面の突出によって溶接ギャップを形成するとともに、溶接用裏当を前記外周面によって前記溶接ギャップのルート部に形成することを特徴とする鋼管接合方法。
【請求項6】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接する鋼管接合方法において、
前記鋼管の中心軸線に対して傾斜角をなす小口面を切断して前記仕口端の小口部を形成するとともに、前記小口部の開口に部分的に挿入され且つメタルタッチ面を有する平板の挿入位置及び相対回転を規制する機械的係合要素を前記平板及び前記小口部に形成し、
前記平板を前記小口部の開口に挿入する際に前記平板及び鋼管の相対位置を前記機械的係合要素によって決定するとともに、前記平板の挿入位置及び相対回転を前記機械的係合要素によって制限することを特徴とする鋼管接合方法。
【請求項7】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接する鋼管接合方法において、
前記鋼管の中心軸線に対して傾斜角をなす小口面を切断して前記仕口端の小口部を形成し、
メタルタッチ面を有する平板の外周面を前記小口部の開口に部分的に挿入するとともに、対向する前記メタルタッチ面同士の相対位置を位置決めするための機械的係合要素を前記平板に係合させることにより、メタルタッチ面同士の相対位置を位置決めすることを特徴とする鋼管接合方法。
【請求項8】
前記平板によってメタルタッチ面を形成した複数の鋼管の仕口端の間に第2の平板又は平板組立体を更に介挿し、前記メタルタッチ面を前記第2平板又は平板組立体に突合せ溶接することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の鋼管接合方法。
【請求項1】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接するための鋼管仕口構造において、
前記仕口端を構成する前記鋼管の小口部は、該鋼管の中心軸線に対して傾斜角を有する小口面を備え、メタルタッチ面を有する平板の外周面が、前記小口部の開口に部分的に挿入され、前記平板の外周面は、前記メタルタッチ面に対する母線を前記鋼管の中心軸線と実質的に平行に配向し且つ前記小口部の開口に内接する輪郭を有し、前記メタルタッチ面は、前記小口部から突出した位置に位置決めされることを特徴とする鋼管仕口構造。
【請求項2】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接するための鋼管仕口構造において、
前記仕口端を構成する前記鋼管の小口部は、該鋼管の中心軸線に対して傾斜角を有する小口面を備え、メタルタッチ面を有する平板の外周面が、前記小口部の開口に部分的に挿入され、
前記小口部及び平板は、前記平板を前記小口部の開口に挿入する際に平板及び鋼管の相対位置を規制するとともに、平板の挿入位置及び相対回転を機械的に制限する位置決め機構を有することを特徴とする鋼管仕口構造。
【請求項3】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接するための鋼管仕口構造において、
前記仕口端を構成する前記鋼管の小口部は、該鋼管の中心軸線に対して傾斜角を有する小口面を備え、メタルタッチ面を有する平板の外周面が、前記小口部の開口に部分的に挿入され、
前記平板は、対向する前記メタルタッチ面同士の相対位置を位置決めするための位置決め機構を有することを特徴とする鋼管仕口構造。
【請求項4】
前記平板によってメタルタッチ面を形成した複数の鋼管の仕口端の間に第2の平板又は平板組立体を更に介挿したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鋼管仕口構造。
【請求項5】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接する鋼管接合方法において、
前記鋼管の中心軸線に対して傾斜角をなす小口面を切断して前記仕口端の小口部を形成し、
メタルタッチ面を有する平板の外周面を前記小口部の開口に部分的に挿入し、前記平板の外周面を前記小口部の開口に内接させるとともに、前記メタルタッチ面を前記小口部から突出した位置に位置決めし、
突合せ溶接すべき部材のメタルタッチ面に対して前記メタルタッチ面を面接触せしめ、前記メタルタッチ面の突出によって溶接ギャップを形成するとともに、溶接用裏当を前記外周面によって前記溶接ギャップのルート部に形成することを特徴とする鋼管接合方法。
【請求項6】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接する鋼管接合方法において、
前記鋼管の中心軸線に対して傾斜角をなす小口面を切断して前記仕口端の小口部を形成するとともに、前記小口部の開口に部分的に挿入され且つメタルタッチ面を有する平板の挿入位置及び相対回転を規制する機械的係合要素を前記平板及び前記小口部に形成し、
前記平板を前記小口部の開口に挿入する際に前記平板及び鋼管の相対位置を前記機械的係合要素によって決定するとともに、前記平板の挿入位置及び相対回転を前記機械的係合要素によって制限することを特徴とする鋼管接合方法。
【請求項7】
軸芯が相対的に傾斜した鋼管の仕口端同士を突合せ溶接する鋼管接合方法において、
前記鋼管の中心軸線に対して傾斜角をなす小口面を切断して前記仕口端の小口部を形成し、
メタルタッチ面を有する平板の外周面を前記小口部の開口に部分的に挿入するとともに、対向する前記メタルタッチ面同士の相対位置を位置決めするための機械的係合要素を前記平板に係合させることにより、メタルタッチ面同士の相対位置を位置決めすることを特徴とする鋼管接合方法。
【請求項8】
前記平板によってメタルタッチ面を形成した複数の鋼管の仕口端の間に第2の平板又は平板組立体を更に介挿し、前記メタルタッチ面を前記第2平板又は平板組立体に突合せ溶接することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の鋼管接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−23763(P2007−23763A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2006−175954(P2006−175954)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175954(P2006−175954)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
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