説明

開封証跡確認システム

【課題】梱包物の受領者がその梱包物を開封したことを記録し、梱包物の提供者が開封証跡確認を可能とする。
【解決手段】梱包物の受領者がその梱包物を開封すると、その梱包物に取り付けられた開封タグ10は無線でタグIDを送信する(ステップS11)。無線ゲートウェイ20はタグIDを受信し、ネットワーク30を介してサーバ40へ受信したタグIDを送信する(ステップS12)。サーバ40はタグIDを受信すると開封記録管理表50においてタグIDに対応するレコードを抽出して開封状態を開封と記録するとともに開封日時を記録する。梱包物の提供者は開封記録管理表50を参照して開封状態を把握する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品や封書を含む包装あるいは梱包された物品(以下、梱包物という)の開封証跡を記録する開封証跡確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、販売等の行為によってユーザに渡された商品の使用開始証跡を確認するためには、ユーザ登録等の自己申告による方法がとられていた。封書やその他の梱包物についても同様である。しかし、この方法はユーザの意思に依存するため、商品の使用開始を正確に把握することができないという問題があった。例えば、病院から処方された薬の場合、服用について患者本人が嘘の申告をすることで適切な医療ができないことがある。また、DM(ダイレクトメール)については開封されないまま廃棄される場合が多く、またユーザの関心の有無がフィードバックされないため的を絞った配送ができない等、無駄が多かった。
これに対し、特許文献1又は2に記載されているように、開封されたことを検知して記録する電子シール又は封印装置がある。また、特許文献3に記載されているように、格子状に区切られ蓋が付いた薬箱の内部に薬の出入りを検知するセンサを取り付け、これにより箱から薬が出されたかどうかを検知しての投薬の履歴を記録し、病院側装置へ情報を送信する投薬システムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2981016号公報
【特許文献2】特許第2683228号公報
【特許文献3】特開平10−201827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の電子シール又は封印装置は梱包物の提供者がリアルタイムに開封状態を把握することができるものではない。また、上記の投薬システムは、専用の薬箱に1つ1つ薬をセットする必要があり、薬箱から取り出しても必ず投薬するとは限らないので適切に開封状態を把握することができなかった。
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、その目的は、梱包物の受領者がその梱包物を開封したことを記録し、梱包物の提供者が開封証跡確認を可能とする開封証跡確認システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、梱包物に取り付けられ、前記梱包物の開封を検知するとユニークに付与されたタグ識別情報を無線で送信する開封タグと、前記無線で送信されたタグ識別情報を受信する無線受信手段と、前記無線受信手段が前記タグ識別情報を受信したことを記録する記録手段と、前記無線受信手段が前記タグ識別情報を受信すると、予め指定された宛先に対して開封通知を送信する開封通知送信手段と、前記開封通知を受信した前記宛先からの前記開封通知に対する返信を受信し記録する手段と、を具備したことを特徴とする開封証跡確認システムである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開封証跡確認システムにおいて、前記予め指定された宛先は、前記梱包物の提供者及び受領者のそれぞれに付与された宛先であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の開封証跡確認システムにおいて、前記梱包物の受領者を識別するユーザ識別情報と前記タグ識別情報と前記梱包物の開封状態とを対応付けて記録し、前記無線受信手段が前記タグ識別情報を受信したときに前記タグ識別情報に対応する前記梱包物の開封状態を開封と記録することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の開封証跡確認システムにおいて、前記梱包物は1錠ごとに包装された薬であり、前記ユーザ識別情報は前記薬を服用する患者を識別する情報であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかの項に記載の開封証跡確認システムにおいて、前記開封タグと有線もしくは無線で接続されたセンサをさらに具備し、前記開封タグは、前記梱包物の開封を検知すると前記タグ識別情報とともに前記センサから取得した情報を無線で送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、梱包物の提供者(梱包物の提供者に代わって梱包物を管理する者も含む)が梱包物の受領者の開封行為を把握することができる。このとき、梱包物の性質上、開封行為を使用開始又は使用済みと見なすことができる場合には、例えば、処方された薬1錠ごとの服用履歴を確認できるようになるため、薬を処方した医者が治癒状況をより正確に把握することが可能となる。
また、この開封行為をトリガとして、関連する付加サービスを梱包物の受領者に提供することが可能になる。例えば、プレゼントを開けたら、受領者のパソコン等にビデオメールを自動的に送付し再生するシステムを構築することができる。これにより単なる販売や提供だけなく複合的なサービスを提供できるようになる。
さらにDMのように提供者から受領者ヘ一方的に送付したものの場合は、開封行為があった場合は受領者の関心が存在すると解釈すれば、関心のある受領者を把握することができるようになる。そして開封した受領者にだけ追加情報を提供するなど、よりターゲットを絞り込んだサービス案内やサービス提供が可能になる。
これらにより梱包物の提供者が、これらの物品の使用開始行為(利用状況)を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態における開封証跡確認システムの構成及び動作を示す図である。
【図2】開封タグ10の第1の構成例を示すブロック図である。
【図3】開封タグ10の第2の構成例を示すブロック図である。
【図4】開封記録管理表50の例である。
【図5】第2の実施形態における開封証跡確認システムの構成及び動作を示す図である。
【図6】開封記録管理表55の例である。
【図7】第3の実施形態における開封証跡確認システムの構成及び動作を示す図である。
【図8】第4の実施形態における開封証跡確認システムの構成及び動作を示す図である。
【図9】第5の実施形態における開封証跡確認システムの構成及び動作を示す図である。
【図10】開封記録管理表51の例である。
【図11】商品提供管理表52の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の第1の実施形態について説明する。図1はこの実施形態における開封証跡確認システムの構成及び動作を示す図である。この開封証跡確認システムは開封タグ10、無線ゲートウェイ20、ネットワーク30、サーバ40、開封記録管理表50から構成される。無線ゲートウェイ20、ネットワーク30、サーバ40は、開封タグ10から無線で送信されたタグ識別情報であるタグIDを受信する無線受信手段である。また、開封記録管理表50は、この無線受信手段がタグIDを受信したことを記録する記録手段である。
【0013】
開封タグ10は、例えば、図2又は図3に示すように構成される。図2、図3は開封タグ10の2つの構成例を示すブロック図である。図2の開封タグ10は、梱包物の開封を検知する開封検知手段11、開封タグ10ごとに付与されたユニークな識別子であるタグIDを記憶するタグID記憶手段12、開封検知手段11が開封を検知したときにタグIDを無線で送信する無線送信手段13、これらに電源を供給する電源供給手段14から構成される。一方、図3の開封タグ10は、梱包物の開封を検知し各部に電源を供給する開封検知/電源供給手段15と、図2と同様のタグID記憶手段12及び無線送信手段13から構成される。
【0014】
図2、図3に示す開封タグ10は、例えば次のように実現されるが、下記に限定されない。
図2の構成においては、電源供給手段14として電池を内蔵し、開封検知手段11が回路の特定箇所の切断や除去により電気的な変化を検出して無線送信手段13に信号を送ると、無線送信手段13はタグID記憶手段12からタグIDを取得して無線で送信する。
この開封タグ10の取り付け方及び動作の例は次の通りである。DMの場合は、開封箇所に開封検知手段11を貼付し、開封行為により開封検知が行われる。薬1錠ごとの包装の場合は、裏のアルミ箔面の薬の取り出し(開封)のため破る部分に開封検知手段11を取り付ける。また、粉末状の薬については、袋の開封部を明示した上で、その部分に開封検知手段11を取り付ける。これは、例えば、明示した薬の袋の開封部に細い導線が入っており、あるいは、伝導性のある金属箔が貼ってあり、患者がその開封部を切ったときに導線あるいは金属箔が切断されると、回路の電気的な変化が検出されてタグIDが無線で送信される。開封タグ10の開封検知手段11以外の部分は薬の袋にどのように取り付けてもよいが、例えば、薬の服用時を考慮すると開封により取り除く側に取り付けることが望ましい。なお、薬局によっては、1回に処方する複数の薬をまとめて1袋に包装している場合もあるが、その場合は上記粉末状の薬の場合と同様にする。
【0015】
図3の構成においては、梱包物が開封されると開封検知/電源供給手段15がタグID記憶手段12及び無線送信手段13に給電を行い、給電された無線送信手段13はタグID記憶手段12からタグIDを取得して無線で送信する。
この開封タグ10の取り付け方及び動作の例は次の通りである。梱包物が、開閉するフタの付いた箱に商品を入れ、外側を包装したような構造のものである場合、一例として、箱に入ってセロハンで包装されたタバコやキャラメルの場合は、フタのヘラの部分(包装された状態で箱の内部に入っている部分)を絶縁体としておき、未開封の状態でこれを電池と回路の接触部に挟み、フタを開けると絶縁体が取り除かれることで給電する方法を用いることができる。すなわち、このような商品を購入した者が箱の内部の商品を利用するために、まず、商品を包装するセロハンを取り、フタを開けると上記の絶縁体が取り除かれて給電され、タグIDが無線で送信される。なお、箱のような構成になっていなくても開封口を邪魔するようなビニールカバーで絶縁してもよい。なお、このような構成としたとき、開封時に複数回信号が送信される場合は、最初の信号だけを記録する。
【0016】
図1に戻り、無線ゲートウェイ20は、開封タグ10から無線で送信された情報を受信するとともに、ネットワーク30を介してサーバ40へこの情報を送信する。この無線ゲートウェイ20は、ネットワーク30に接続され開封タグ10の発信電波を直接受信する装置であるタグリーダーである。ネットワーク30は、例えばPHSや携帯電話等の公衆広域無線アクセスネットワークを用いてもよいし、インターネット、その他の通信網を用いてもよい。なお、開封タグ10の無線送信手段13をPHSや携帯電話を利用して実現した場合は、無線ゲートウェイ20はPHS基地局、携帯電話基地局が該当する。
【0017】
サーバ40は、ネットワーク30を介して無線ゲートウェイ20から送信された情報を受信する。また、この情報に基づいて開封記録管理表50の作成、参照、更新を行う。
開封記録管理表50は、情報項目として図4に示すように、タグID、開封状態、開封日時、付加情報で構成される。この開封記録管理表50は、サーバ40の内部又は外部に設けられたハードディスク、記録媒体等の記憶手段に、例えばデータベースのテーブルとして記憶される。
【0018】
次に図1に示す開封証跡確認システムの動作を説明する。サーバ40は、まず全てのタグIDについて開封記録管理表50にレコードを作成し、開封状態は「0」(未開封を表す)をセットする。梱包物の受領者がその梱包物を開封すると、梱包物に取り付けられた開封タグ10の開封検知手段11が開封を検知して、タグID記憶手段12に記憶されたタグIDを無線送信手段13により送信する(ステップS11)。
【0019】
次に、無線ゲートウェイ20は、開封タグ10から送信されたタグIDを受信し、ネットワーク30を介して予め定められたサーバ40へ送信する(ステップS12)。送信先のサーバは予め固定して定められたサーバであってもよいし、受信したタグIDに応じて予め対応付けられたサーバであってもよい。後者の場合、タグIDとサーバの対応付けは、無線ゲートウェイ20に記憶しておいてもよいし、IPネットワークにおけるDNS(ドメインネームサーバ)のように、ネットワークに接続され対応付けを記憶している別のサーバから取得してもよい。
【0020】
次に、サーバ40は、無線ゲートウェイ20から送信されたタグIDを受信し、開封記録管理表50を更新する(ステップS13)。サーバ40は、開封記録管理表50において受信したタグIDに対応するレコードを抽出し、開封状態を「1」(開封を表す)に更新し、開封日時としてタグIDを受信した日時を記録する。
なお、開封記録管理表50に例えば追加項目として登録日を設け、梱包物の提供者が開封タグ10を取り付けた梱包物を受領者に販売又は提供した日を記録してもよい。この場合には梱包物を受領者に販売等したときに、その梱包物に取り付けられた開封タグ10のタグID記憶手段12に記憶されたタグIDに対応するレコードを抽出して登録日を記録する。
【0021】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5はこの実施形態における開封証跡確認システムの構成及び動作を示す図である。この開封証跡確認システムの構成は、図1に示す第1の実施形態における開封証跡確認システムの構成に、ネットワーク30に接続された端末60を追加したものである。また、この実施形態における開封記録管理表55は、情報項目として図6に示すように、図4に示す第1の実施形態における開封記録管理表50の情報項目に加えて、商品情報、ユーザ情報、商品提供者情報、登録日を有する。商品情報は、商品を識別する商品ごとに付与された商品IDを記録する。ユーザ情報は、商品の提供を受けたユーザを識別する識別情報、例えば、他のシステムで管理されているユーザごとに付与された顧客情報の識別子を記録する。商品提供者情報は、商品提供者を識別する識別情報を記録する。登録日は、商品をユーザに提供した日を記録する。なお、タグID、商品情報、ユーザ情報の対応関係が維持されていれば、図6のように1つの表として管理せず、複数の表に分けて管理してもよい。
【0022】
端末60は、サーバ40で維持管理される開封記録管理表55の作成、参照、更新等の操作を行う操作画面を表示する。商品提供者(販売者)は商品提供時(販売時)にこの端末60を利用して、タグID、開封タグ10が取り付けられた商品の商品情報、商品の提供を受けたユーザを識別するユーザ情報を対応付けて端末60に入力すると、入力された情報がネットワーク30を介してサーバ40へ送信され、サーバ40は受信した情報を開封記録管理表55に追加する。また、商品提供者は必要に応じてこの端末60を利用して、開封記録管理表55を参照し、特定の商品あるいはユーザの開封状態を把握する。
【0023】
次に図5に示す開封証跡確認システムの動作を説明する。ステップS21において、商品提供者は商品提供時に端末60からネットワーク30を介して上記のように開封記録管理表55に情報の登録を行う。ステップS22からステップS24は、図1に示す第1の実施形態における開封証跡確認システムの動作のステップS11からステップS13と同様である。商品提供者は必要に応じて端末60からネットワーク30を介して開封記録管理表55を参照し、ユーザの開封状態を把握する。
【0024】
この実施形態における商品を、医者が患者に処方する薬とし、包装された薬1錠ごとに開封タグ10を取り付けて薬1錠ごとの開封を検知する場合は、医者が端末60から開封記録管理表55を参照することにより、患者による薬1錠ごとの服用履歴を把握することができる。
この開封記録管理表55は、異なるユーザについての情報が1つの管理表に記録されるものであるが、患者ごとに開封履歴を保持する方法には次のようなものがある。端末60から開封記録管理表55を参照するときに患者を識別する情報であるユーザ情報をキーに該当するレコードを抽出することで、あたかも患者ごとに管理表があるように見せる。また、開封記録管理表55を基に患者ごとの情報を抽出して個別に開封記録管理表を作成し、端末60からこれを参照してもよい。ここで個別に作成される開封記録管理表は、例えば開封記録管理表55からユーザ情報の項目を除いた情報項目からなる。
【0025】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図7はこの実施形態における開封証跡確認システムの構成及び動作を示す図である。この開封証跡確認システムの構成は、図5に示す第2の実施形態における開封証跡確認システムの構成に、開封タグ10と有線もしくは無線で接続されたセンサ70を追加したものである。なお、この開封証跡確認システムの構成は、図1に示す第1の実施形態における開封証跡確認システムの構成に、開封タグ10と有線もしくは無線で接続されたセンサ70を追加したものとしてもよい。
【0026】
センサ70の例としては、梱包物を開封した位置を検出するGPS(グローバルポジショニングシステム)受信機、リファレンスタグのリーダー、温度や湿度等の開封した場所の環境条件を検出するセンサ、患者の体温や血圧等の生体情報を検出するセンサ、個人を識別する識別情報を送出するセンサ、開封タグ10とは別に貼付され流通管理で使用されるRFID(Radio Frequency Identification)タグがある。
なお、上記のリファレンスタグとは、屋内において所定の場所に配置され位置測定の基準となる無線信号を送出するタグであり、このリファレンスタグの信号を受信するリーダーを用いて屋内における現在位置を特定するものであり、GPS受信機が主に屋外で有効であるのに対し、リファレンスタグのリーダーは屋内で有効である。
上記の各種センサの設置方法としては、例えば、開封タグ10が取り付けられる梱包物が薬の場合は、環境情報を取得するセンサを患者の部屋に置く、あるいは、生体情報を取得するセンサを患者が身に付ける方法がある。また、開封タグ10が取り付けられる梱包物が商品の場合は、センサを商品に貼り付けたり、あるいは、開封タグ10が近距離通信機能をさらに備え、予め商品の受領者が身に着けている、あるいは、部屋などに設置されたセンサ機器から情報を得る方法がある。
【0027】
なお、上記リファレンスタグのリーダーによる屋内における場所の特定、又は、上記の個人を識別する識別情報を送出するセンサによる個人の特定ができれば、上記の環境情報や生体情報については、必ずしも開封タグ10の開封時に取得する必要はない。これは、例えば、場所又は個人を特定する情報と時刻をキーにして、別システムにおいて記録された該当する場所の環境情報や該当する個人の生体情報が取得可能であるような場合である。この別システムとは、ネットワークに接続されたセンサ機器からそのセンサ情報をネットワークに接続されたサーバやデータベースに蓄積したシステム(システム1とする)であり、本発明の開封証跡確認システムに対し、蓄積したセンサ情報を提供しており、かつデータ照合のキーとして、時刻情報と、場所もしくはユーザ、商品のいずれかを特定できる情報を保持し、これらデータ照合キーが、本発明の開封証跡確認システムとシステム1の間で1対1に対応付けられるものである。
【0028】
次に、図7に示す開封証跡確認システムの動作を説明する。ステップS31において、商品提供者は商品提供時に端末60からネットワーク30を介して前述のように開封記録管理表55に情報の登録を行う。梱包物の受領者がその梱包物を開封すると、梱包物に取り付けられた開封タグ10の開封検知手段11が開封を検知して、タグID記憶手段12に記憶されたタグIDを取得するとともに、センサ70から情報を取得し(ステップS32)、タグIDとセンサから取得した情報を無線送信手段13により送信する(ステップS33)。ステップS34、ステップS35は、図1に示す第1の実施形態における開封証跡確認システムの動作のステップS12、ステップS13と同様であるが、各ステップにおいてはタグIDとともにセンサ70から取得した情報も送信され、開封記録管理表55の例えば付加情報にセンサ70から取得した情報が記録される。商品提供者は必要に応じて端末60からネットワーク30を介して開封記録管理表55を参照し、ユーザの開封状態及びセンサ70から取得した情報を把握する。
【0029】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図8はこの実施形態における開封証跡確認システムの構成及び動作を示す図であるが、開封タグ10、無線ゲートウェイ20、端末60は省略している。上述した第1から第3の実施形態における開封証跡確認システムにおいては、サーバ40が開封タグ10から送信されたタグIDを受信したときに開封記録管理表50に記録を行うが、この実施形態においては、サーバ40がタグIDを受信したときに追加処理が行われるので、以下、この追加処理を説明する。また、この追加処理を行うため、この実施形態における開封証跡確認システムは、連動サービスサーバ80、サービス端末90が追加されている。
【0030】
次に、図8に示す開封証跡確認システムの動作を説明する。サーバ40が開封タグ10から送信されたタグIDを受信すると、サーバ40はネットワーク30を介して連動サービスサーバ80へ開封通知を送信する(ステップS41)。連動サービスサーバ80はこの開封通知を受信すると、サービス端末90へのサービス提供、すなわち、開封通知の送信、又は、プログラムを指定して起動指示の送信を行う(ステップS42)。
【0031】
上記のステップS42において、連動サービスサーバ80がサービス端末90へ開封通知を送信する場合、連動サービスサーバ80は、図8において省略された無線ゲートウェイ20、図8のネットワーク30、サーバ40から構成される無線受信手段が開封タグ10からタグ識別情報であるタグIDを受信したときに予め指定された宛先に対して開封通知を送信する開封通知送信手段を構成し、サービス端末90は、その開封通知を受信する端末を構成する。
【0032】
例えば、サービス端末90を商品提供者が有する端末とした場合は、連動サービスサーバ80は電子メールを送信する手段を備え、予め商品提供者のメールアドレスを記憶する。サーバ40が開封タグ10から送信されたタグIDを受信すると、ネットワーク30を介して連動サービスサーバ80へこのタグIDを含む開封通知を送信する(ステップS41)。連動サービスサーバ80はこの開封通知を受信すると、予め記憶された商品提供者のメールアドレスを宛先として、タグIDを含む開封通知を電子メールで送信する(ステップS42)。商品提供者はサービス端末90において、タグIDを含む開封通知を電子メールで受信する。
【0033】
また、例えば、サービス端末90を商品の受領者が有する端末とした場合は、商品提供者が商品を提供するときに、その商品に取り付けられた開封タグ10のタグIDと、その商品の受領者のメールアドレスを連動サービスサーバ80に記憶させる。サーバ40が開封タグ10から送信されたタグIDを受信すると、ネットワーク30を介して連動サービスサーバ80へこのタグIDを含む開封通知を送信する(ステップS41)。連動サービスサーバ80はこの開封通知を受信すると、この開封通知に含まれるタグIDに対応するメールアドレスを抽出し、連動サービスサーバ80からサービス端末90へこのメールアドレス宛に商品に関する追加情報を電子メールで送信する(ステップS42)。
【0034】
また、例えば、開封記録管理表55の作成時に、連動サービスサーバ80にタグIDごとに対応する商品の提供者と受領者のメールアドレスを登録しておき、連動サービスサーバ80から提供者と受領者の両方に開封通知の電子メールを送信すれば、受領者でない者が開封した場合も把握することが可能になる。
また、受領者が連動サービスサーバ80から送信された開封通知の電子メールに対し、確かに開封したことを確認した旨を返信すると、連動サービスサーバ80においてこれを記録する手段をさらに設けることで、受領者が確かに開封したことを確認できるようになる。郵便や宅配では、受領者の住所ではなく受領者の手元に確実に届いたどうかは本人に確認するしか手段がないが、上記手段を設けることで受領者本人が開封したことを確認できるようになる。
なお、商品の提供者と受領者のメールアドレスは連動サービスサーバ80ではなくサーバ40に登録しておき、ステップS41においてサーバ40から連動サービスサーバ80へ開封通知を送信するときに、これらのメールアドレスも合わせて送信し、これらのメールアドレスを宛先として連動サービスサーバ80から電子メールを送信してもよい。
【0035】
一方、上記のステップS42において、連動サービスサーバ80がサービス端末90へプログラムを指定して起動指示を送信する場合、連動サービスサーバ80は、図8において省略された無線ゲートウェイ20、図8のネットワーク30、サーバ40で構成される無線受信手段が開封タグ10からタグ識別情報であるタグIDを受信したときに予め指定された端末に対してプログラムを指定して起動指示を送信する起動指示送信手段を構成し、サービス端末90は、その起動指示を受信したときに指定されたプログラムを起動する端末を構成する。
【0036】
例えば、サービス端末90を商品の受領者が有する端末、又は、各種アプリケーションを起動するアプリケーションサーバであるとする。サービス端末90には、連動サービスサーバ80からプログラムを指定して送信される起動指示を受信するプログラムが立ち上がっており、この起動指示を受信すると指定されたプログラムを起動する。
まず、商品提供者は、商品を提供するときにその商品に取り付けられた開封タグ10のタグIDと、その商品の受領者のサービス端末90を特定するIPアドレスを連動サービスサーバ80に記憶させる。サーバ40が開封タグ10から送信されたタグIDを受信すると、ネットワーク30を介して連動サービスサーバ80へこのタグIDを含む開封通知を送信する(ステップS41)。連動サービスサーバ80はこの開封通知を受信すると、この開封通知に含まれるタグIDに対応するIPアドレスを抽出し、連動サービスサーバ80からサービス端末90へこのIPアドレス宛にプログラムを指定して起動指示を送信する(ステップS42)。例えば、音声・映像アプリケーションの起動指示を送信する。これにより、他の装置を駆動して、例えば、薬の服用にあたっての説明案内サービスや、祝電メッセージの自動的再生など、開封と連動した付加サービスが可能となる。
【0037】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図9はこの実施形態における開封証跡確認システムの構成及び動作を示す図である。この開封証跡確認システムの構成は、図5に示す第2の実施形態における開封証跡確認システムの構成において、サーバ、開封記録管理表、端末を各2つづつ設けたものである。これまでに説明した実施形態においては、商品提供者は端末60から図6に示す開封記録管理表55を作成、更新、参照することができるので開封状態、開封日時等をねつ造することもできるが、この実施形態においては、商品情報とタグIDの対応関係を商品提供者とは異なる業者である開封タグ管理業者が実施することで、商品提供者による偽開封証跡のねつ造を回避することができる。
【0038】
この実施形態において、図6に示す開封記録管理表55における情報は、図10に示す開封記録管理表51と図11に示す商品提供管理表52に分けて記録される。
端末61は、サーバ41で維持管理される開封記録管理表51への操作画面を表示する。開封タグ管理業者がこの端末61を利用して、商品情報とそれに対応するタグIDをタグ貼付時に入力し、また必要に応じて開封記録管理表51を参照し、開封状況を把握する。
サーバ41は、端末61及び無線ゲートウェイ20から送信される情報を受信し、開封記録管理表51を作成・参照・更新する。また、サーバ42からの要求に応じて、対応する開封記録情報を提供する。
端末62は、サーバ42で維持管理される商品提供管理表52への操作画面を表示する。商品提供者(販売者)がこの端末62を利用して、商品情報と商品の受領者であるユーザの対応関係を商品提供時(販売時)に入力する。また、必要に応じてサーバ42を介してサーバ41で維持管理される開封記録管理表51の開封記録を照会し、特定商品あるいはユーザの開封状況を把握する。
サーバ42は、端末62からの指示で、商品提供管理表52を作成・参照・更新し、また、商品情報をキーにサーバ41に対して開封記録を問い合わせ、開封状況に関する情報を取得し、端末62に表示する。
【0039】
次に、図9に示す開封証跡確認システムの動作を説明する。
まず、開封タグ管理業者は、端末61において開封記録管理表51の作成と情報の登録を行う(ステップS51)。すなわち、端末61で開封記録管理表51の投入画面を立ち上げ、商品の包装又は梱包時に、商品情報(物品ID)と対応する開封タグ10のタグIDを投入し、投入された情報をネットワーク30を介してサーバ41へ送信すると、サーバ41は受信した情報を開封記録管理表51に追加する。開封記録管理表51は、図6に示す開封記録管理表55からユーザ情報及び商品提供者情報を除いたものとなっている。
【0040】
次に、商品提供者は、端末62において商品提供管理表52の作成と情報の登録を行う(ステップS52)。すなわち、端末2で商品提供管理表52の投入画面を立ち上げ、商品提供時(販売時)に、商品情報(物品ID)と商品の受領者であるユーザのユーザ情報を投入し、投入された情報をネットワーク30を介してサーバ42へ送信すると、サーバ42は受信した情報を商品提供管理表52に追加する。
【0041】
なお、ステップS51とステップS52の順序は提供される物品に応じて前後する。例えば、商品を販売する場合は、商品は包装され未開封の状態で販売され、販売のときに受領者が特定されるため、上記の通りの順序である。一方、封書を送付する場合は、まず、受領者ごとに封入物が特定され、封筒に封をするときに開封タグ10のタグIDが特定されるので、ステップS52を行ってからステップS51を行うことになる。
【0042】
商品の受領者が商品を開封した後の動作であるステップS53からステップS55は、図1に示す第1の実施形態における開封証跡確認システムの動作のステップS11からステップS13と同様である。商品提供者は必要に応じて端末62からサーバ42を介してサーバ41の開封記録管理表51を参照し(ステップS56)、ユーザの開封状態を把握する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、商品や封書を含む包装あるいは梱包された物品の開封証跡を記録するシステムに用いられる。
【符号の説明】
【0044】
10…開封タグ
11…開封検知手段
12…タグID記憶手段
13…無線送信手段
14…電源供給手段
15…開封検知/電源供給手段
20…無線ゲートウェイ
30…ネットワーク
40、41、42…サーバ
50、51、55…開封記録管理表
52…商品提供管理表
60、61、62…端末
70…センサ
80…連動サービスサーバ
90…サービス端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包物に取り付けられ、前記梱包物の開封を検知するとユニークに付与されたタグ識別情報を無線で送信する開封タグと、
前記無線で送信されたタグ識別情報を受信する無線受信手段と、
前記無線受信手段が前記タグ識別情報を受信したことを記録する記録手段と、
前記無線受信手段が前記タグ識別情報を受信すると、予め指定された宛先に対して開封通知を送信する開封通知送信手段と、
前記開封通知を受信した前記宛先からの前記開封通知に対する返信を受信し記録する手段と、
を具備したことを特徴とする開封証跡確認システム。
【請求項2】
前記予め指定された宛先は、前記梱包物の提供者及び受領者のそれぞれに付与された宛先であることを特徴とする請求項1に記載の開封証跡確認システム。
【請求項3】
前記記録手段は、前記梱包物の受領者を識別するユーザ識別情報と前記タグ識別情報と前記梱包物の開封状態とを対応付けて記録し、前記無線受信手段が前記タグ識別情報を受信したときに前記タグ識別情報に対応する前記梱包物の開封状態を開封と記録することを特徴とする請求項1または2に記載の開封証跡確認システム。
【請求項4】
前記梱包物は1錠ごとに包装された薬であり、前記ユーザ識別情報は前記薬を服用する患者を識別する情報であることを特徴とする請求項3に記載の開封証跡確認システム。
【請求項5】
前記開封タグと有線もしくは無線で接続されたセンサをさらに具備し、
前記開封タグは、前記梱包物の開封を検知すると前記タグ識別情報とともに前記センサから取得した情報を無線で送信することを特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載の開封証跡確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−267275(P2010−267275A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138322(P2010−138322)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【分割の表示】特願2004−371134(P2004−371134)の分割
【原出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】