説明

開閉体制御装置

【課題】ラッチを解除した後、利用者の意図に反して開閉体が開閉しないようにすることが可能な開閉体制御装置を提供する。
【解決手段】開閉体を自動で開閉させる開閉体制御装置100は、クローズ領域、リリース領域、及び中立領域を含む移動領域の間で移動変位される変位体と、当該変位体が中立領域のクローズ領域側の第1境界部を通過した時に第1検知信号を出力する中立検知第1スイッチ84と、変位体が中立領域のリリース領域側の第2境界部を通過した時に第2検知信号を出力する中立検知第2スイッチ85と、変位体のクローズ動作後に行われる中立復帰動作の開始後、所定時間内に第1検知信号及び第2検知信号が検出されない場合に、開閉体の移動速度を低下させるブレーキ制御を行う制御ユニット90と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチとストライカとの係合状態を確立させるクローズ操作と、ラッチとストライカとの係合状態を解除するリリース操作と、をモータの動作に基づく回動変位によって行うことができる開閉体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクチュエータの出力軸を正方向に回動させることにより施錠操作を行い、逆方向に回動させることにより開錠操作を行う自動車用ドアロック操作装置が知られている。また、正逆回転可能のモータの動力を受ける変位体としてのドリブンギヤを一方向に変位させることでラッチを回動させてストライカを引き込むクローズ動作を行い、ドリブンギヤを他方向に変位させることでラッチとポールとの係合を解除するようにポールを回動させるリリース動作を行う車両用ドアクローザ装置も知られている。
【0003】
この種の装置では、セクタギヤのようなモータ動力を受ける変位体を中立領域を基準にリリース方向に変位させることでラッチとストライカとの噛み合いを解除するリリース機能と、変位体を中立領域を基準にクローズ方向に駆動することでラッチがストライカを引き込むクローズ機能とを備えている。その際、リリース機能又はクローズ機能を実行した後に、モータ動力により変位体を中立領域に変位させる場合、モータ停止制御のためにスイッチ等の中立検知手段が必要となる。
【0004】
しかしながら、この中立検知手段が故障した場合には、変位体が変位終端まで移動してしまう恐れがある。即ち、クローズ動作の実行後に中立領域で停止されず、リリース動作に移行してしまい、一旦、閉扉されたドアが開扉される可能性がある。また、リリース動作の実行後に中立領域で停止されず、クローズ動作に移行してしまい、一旦、開扉されたドアが閉扉される可能性がある。
【0005】
このような課題を解決する技術として、下記に出典を示す非特許文献1に記載の技術では、変位体の中立領域への復帰動作(中立復帰動作)が所定時間以上経過(タイムオーバー)すると、強制的にリリース作動を行うように制御している。加えて、非特許文献1では、中立復帰動作においてクローズ作動の開始条件(ハーフラッチスイッチがオフ状態からオン状態になり、且つ、バックドアカーテシランプスイッチがオン状態となった状態)が整うと、クローズ作動を行うようにも制御している。
【0006】
【非特許文献1】エスティマハイブリッド新型車解説書(第11章 ボデー&エレクトリカル バックドア 11−66〜11−69 トヨタ自動車株式会社 2006年6月12日発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1のように、中立復帰動作中におけるクローズ作動の開始条件の成立によるクローズ作動は、例えば中立復帰動作がリリース作動からの中立復帰動作である場合、ラッチとストライカとが噛み合っていないにも拘らずクローズ動作がなされ、ラッチが空回りして外噛み合いが生じるおそれがある。これは、先のリリース作動によってラッチとストライカとの噛み合いが外れているからであり、この結果、バックドアを全閉状態で保持することができず、バックドアが車体に対して保持されないフリーの状態となり、利用者の意図に反してバックドアが開閉動作してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ラッチを解除した後、利用者の意図に反して開閉体が開閉しないようにすることが可能な開閉体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る開閉体制御装置の特徴構成は、
開閉体を自動で開閉させ、
ストライカの引き込みと開放とを行うラッチと、
ラッチ操作機構を介して前記ラッチを操作すると共に、前記ラッチを引き込み状態にさせるクローズ領域と前記ラッチを開放状態にするリリース領域と前記クローズ領域及び前記リリース領域の間に位置する中立領域とを含む移動領域の間で移動変位される変位体と、
前記変位体が前記中立領域の前記クローズ領域側の第1境界部を通過した時に第1検知信号を出力する第1検知部と、
前記変位体が前記中立領域の前記リリース領域側の第2境界部を通過した時に第2検知信号を出力する第2検知部と、
を備え、
前記変位体のクローズ動作後に当該変位体を前記クローズ領域から前記中立領域に復帰させる中立復帰動作の開始後、所定時間内に前記第1検知信号及び前記第2検知信号が検出されない場合に、前記開閉体の移動速度を低下させるブレーキ制御を行う制御ユニットと、
を備える点にある。
【0010】
このような特徴構成とすれば、第1検知部からの第1検知信号及び第2検知部からの第2検知信号を検出できずに、開閉体が移動を開始した場合であっても、クローズ動作における中立復帰動作の開始後、制御ユニットが所定時間経過後に開閉体の移動速度を低下させるように制御するため、利用者の意図に反して開閉体が開閉しないようにすることができる。
【0011】
また、本発明に係る開閉体制御装置の他の特徴構成は、
開閉体を自動で開閉させ、
ストライカの引き込みと開放とを行うラッチと、
ラッチ操作機構を介して前記ラッチを操作すると共に、前記ラッチを引き込み状態にさせるクローズ領域と前記ラッチを開放状態にするリリース領域と前記クローズ領域及び前記リリース領域の間に位置する中立領域とを含む移動領域の間で移動変位される変位体と、
前記変位体が前記中立領域の前記クローズ領域側の第1境界部を通過した時に第1検知信号を出力する第1検知部と、
前記変位体が前記中立領域の前記リリース領域側の第2境界部を通過した時に第2検知信号を出力する第2検知部と、
を備え、
前記変位体のリリース動作後に当該変位体を前記リリース領域から前記中立領域に復帰させる中立復帰動作の開始後、所定時間内に前記第1検知信号及び前記第2検知信号が検出されない状態で前記ラッチによる前記ストライカの引き込み動作条件が成立した場合に、クローズ動作を開始すると共に、前記開閉体の移動速度を低下させるブレーキ制御を行う制御ユニットと、
を備える点にある。
【0012】
このような特徴構成とすれば、変位体のリリース動作後に行われる当該変位体の中立復帰動作において、所定時間内に第1検知信号及び第2検知信号が検出されない状態でラッチによるストライカの引き込み動作条件が成立した場合には、クローズ動作が開始されると共に、ブレーキ制御が行われる。したがって、仮にストライカとラッチとが係合不能な状態でクローズ動作が行われた場合であっても、ブレーキ制御により開閉体の移動速度が規制されるため、利用者の意図に反して開閉体が開閉しないようにすることができる。また、ストライカとラッチとが、係合不能な状態で衝突してしまうことも抑止され、ストライカ及びラッチの破損や変形も抑止可能となる。
【0013】
また、前記制御ユニットは、前記中立復帰動作の開始後、前記第1検知信号及び前記第2検知信号が検出されずに前記クローズ動作が行われた場合に、前記開閉体の移動速度を監視し、当該移動速度に基づいて前記ブレーキ制御の有無を判断すると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、正常な閉動作に基づく開閉体の移動速度であるか否かを判断可能となる。しかがって、確実に利用者の利用者の意図に反して開閉体が開閉しないようにすることができる。
【0015】
また、前記開閉体と当該開閉体を開閉するモータとの間に、当該モータの動力を断続するクラッチ機構が備えられ、前記ブレーキ制御は、前記開閉体の移動速度を予め設定された所定速度以下とする制御であると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、利用者の意図に反して開閉体が開閉した場合であっても、開閉体の移動速度を容易に所定速度以下となるように制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る開閉体制御装置100について説明する。本開閉体制御装置100は、開閉体を自動で開閉させる機能を備えている。本実施形態では、開閉体制御装置100を、車両が備えるスライドドア3の開閉を行う場合に適用した例を説明する。したがって、本実施形態においては、開閉体は、車両が備えるスライドドア3が相当する。図1は、開閉体制御装置100を搭載した車両の側面を示した図である。また、図2は、開閉体制御装置100が備えるストライカ2及びドアロック装置4の拡大を模式的に示した図である。
【0018】
図1及び図2には、開閉体制御装置100を搭載した車体1とスライドドア3との間に設けられたドア開閉装置4が示される。本実施形態では、ドア開閉装置4は、スライドドア3側にドア開閉操作機構40と、車体1側に設けられたストライカ2とを備えて構成される。このストライカ2は、図1に示されるように、ドア開閉装置4と共に、スライドドア3を開扉した際に現れる車体1の開口部の車両後方側に配設される。もちろん、開口部の車両前方側に配設する構成とすることも当然に可能である。また、スライドドア3の外側側面にはオープンハンドル3aが設けられる。
【0019】
ドア開閉操作機構40は、スライドドア3のロック動作とロック解除動作とを行う。図3は、ドア開閉操作機構40のロック動作を示した図であり、図4は、ドア開閉操作機構40の解除動作を示した図である。ドアロック装置4は、ストライカ2の引き込みと開放とを行うラッチ41、ラッチ41の回転をラチェット方式で規制するポール42、ラッチ41やポール42を操作するラッチ操作機構50を有して構成される。ラッチ41は、ストライカ2をスライドドア3の本体側に引き込み操作可能な板状部材で形成される。
【0020】
ラッチ操作機構50に操作変位を与えるために、モータ61と、当該モータ61の回転を変速する変速ギヤ対として機能するピニオンギヤ62と、ラッチ操作機構50を介してラッチ41を操作するセクタギヤ(本発明に係る変位体に相当)63とが備えられる。セクタギヤ63は、非図示のハウジングに配置された回動軸63a周りで回動可能に支持される。
【0021】
また、詳細は後述するが、セクタギヤ63は、ラッチ41を引き込み状態にさせるクローズ領域と、ラッチ41を開放状態にするリリース領域と、クローズ領域とリリース領域との間に位置する中立領域とを含む移動領域の間で移動変位される。この移動は、モータ61から出力される回転動力により実現される。
【0022】
ラッチ41は、非図示のハウジングに配置された支持軸41a周りで回動可能に支持され、バネ等(図示しない)によって図3(a)のような復帰姿勢に付勢される。ラッチ41には、第1アーム部411及び第2アーム部412が形成され、その間にストライカ2を受け入れ可能な係入溝部413が形成される。第1アーム部411には、ハーフラッチ位置においてポール42の接当作用部421に係合するハーフ係合面414が設けられる。また、第2アーム部412には、フルラッチ位置においてポール42の接当作用部421に係合するフル係合面415が設けられる。
【0023】
ポール42は、支持軸芯42a周りで係合姿勢と離脱姿勢との間で回動可能なように支持される。その係合姿勢や離脱姿勢において、ポール42の接当作用部421がラッチ41の第1アーム部411や第2アーム部412の回転軌跡内に位置するように配設される。また、ポール42は、バネ等(図示しない)によって係合姿勢に復帰するよう付勢される。
【0024】
ラッチ41の回動位置を検出するための位置検出器として、ラッチ41と一体的に支持軸41a周りを回動する被検出筒にロータリスイッチ型のハーフラッチスイッチ81とフルラッチスイッチ82とが設けられる。ハーフラッチスイッチ81は、ラッチ41がハーフラッチ領域にあることを検知する。そして、フルラッチスイッチ82は、ラッチ41がフルラッチ領域にあることを検知する。なお本実施形態においては、ハーフラッチスイッチ81は、図5に示されるように、ラッチ41が開放位置からハーフラッチ位置の手前に達した時に、High(オン)からLow(オフ)に切り替わる。同様に、フルラッチスイッチ82は、ラッチ41がハーフラッチ位置からフルフラッチ位置の手前に達した時に、High(オン)からLow(オフ)に切り替わる。
【0025】
図3に戻り、ポール42の回動位置を検出するための位置検出器として、ポール42と一体的に支持軸42a周りを回動する被検出筒にロータリスイッチ型のポールスイッチ83が設けられる。ポールスイッチ83は、ポール42がラッチ41と係合姿勢であることを検知する。本実施形態においては、ポールスイッチ83は、図5に示されるように、ポール42がラッチ41の第1アーム部411と係合するハーフラッチ位置を含むその手前の領域に位置している時に、High(オン)となる。更に、ポールスイッチ83は、ポール42がラッチ41の第2アーム部412と係合するフルラッチ位置を含むその手前の領域に位置している時に、High(オン)となる。即ち、スライドドア3のクローズ動作において、ポールスイッチ83の1回目の立ち下がり点がハーフラッチ位置に対応し、2回目の立ち下がり点がフルラッチ位置に対応する。
【0026】
ラッチ操作機構50は、クローズ操作機構51(図3参照)とリリース操作機構52(図4参照)とを有する。クローズ操作機構51は、セクタギヤ63の回動変位を入力としてラッチ41に対する回動操作を出力とする。リリース操作機構52は、セクタギヤ63の回動変位を入力としてポール42に対する回動操作(係合離脱操作)を出力とする。クローズ操作機構51が機能するセクタギヤ63の回動領域であるクローズ領域と、リリース操作機構52が機能するセクタギヤ63の回動領域であるリリース領域とは、中立領域を挟んで異なっている(詳細は後述する)。したがって、クローズ操作機構51とリリース操作機構52とは別々に動作する。
【0027】
セクタギヤ63と一体的に回動軸63a周りを回動する被検出筒には、セクタギヤ63の回動変位姿勢を検知するロータリスイッチ型の第1検知部としての中立検知第1スイッチ84と第2検知部としての中立検知第2スイッチ85とが設けられる。
【0028】
図6は、ドア開閉操作機構40を制御する制御ユニット90の概略構成を模式的に示したブロック図である。制御ユニット90の入力ポートには、ハーフラッチスイッチ81、フルラッチスイッチ82、ポールスイッチ83、中立検知第1スイッチ84、中立検知第2スイッチ85が接続される。また、制御ユニット90の出力ポートには、図示されていないドライバを介してモータ61が接続される。また、この制御ユニット90は車両の状態を評価して車両状態情報を出力する車両状態評価ECU80とも接続され、スライドドア3の開閉に関連する車両状態情報を取得することができる。
【0029】
制御ユニット90は、ラッチ状態評価部91、ポール評価部92、変位体位置評価部93、タイマ制御部94、モータ制御部95、ブレーキ制御部96から構成される。そして、制御ユニット90は、CPUを中核部材としてスライドドア3を開閉する種々の処理を行うための上述の機能部をハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0030】
ラッチ状態評価部91は、ハーフラッチスイッチ81やフルラッチスイッチ82からの信号に基づいてラッチ41の状態を評価する。ポール評価部92は、ポールスイッチ83からの信号に基づいてポール42の状態を評価する。変位体位置評価部93は、中立検知第1スイッチ84からの第1検知信号や中立検知第2スイッチ85からの第2検知信号に基づいてセクタギヤ63の回動位置を評価する。タイマ制御部94は、内部タイマ等を用いてタイマ制御を行う。モータ制御部95は、ラッチ状態評価部91やポール評価部92や変位体位置評価部93の評価結果及びタイマ制御部94のタイマ情報に基づいてモータ61に対する制御信号を生成して出力する。詳細は後述するが、ブレーキ制御部96は、ドア開閉操作機構40に対する制御過程において何らかの異常事態が生じた場合に、スライドドア3の移動速度を予め設定された所定速度以下となるように制御する。
【0031】
ストライカ2をラッチ41に引き込むクローズ動作は、セクタギヤ63を介してクローズ操作機構51を操作することで実行される。また、ストライカ2をラッチ41から開放するリリース動作は、セクタギヤ63を介してリリース操作機構52を操作することで実行される。クローズ動作及びリリース動作を導くセクタギヤ63の回動領域は、図7及び図8に示されるように、クローズ領域とリリース領域とが中立領域を挟むように区分けされる。更に、中立領域のクローズ側の境界部に所定の回動幅を有する第1境界部が設定され、中立領域のリリース側の境界部に所定の回動幅を有する第2境界部が設定される。第1境界部の中立領域側の境界線を第1中立位置とし、第2境界部の中立領域側の境界線を第2中立位置として設定される。
【0032】
セクタギヤ63がクローズ領域をクローズ領域側の回動終端である第1回動終端に向かって回動(図8で時計方向に回動)することによりクローズ動作が導かれる(図8(a)参照)。そして、セクタギヤ63のクローズ動作後(クローズ動作の終了後)に、セクタギヤ63をクローズ領域から中立領域に復帰させる第1復帰動作(中立復帰動作)が行われる。この第1復帰動作では、セクタギヤ63が反転回動(図8で反時計方向に回動)し、クローズ領域を通り抜けて中立領域に入り、第1中立位置で停止される。
【0033】
また、セクタギヤ63がリリース領域を第2回動終端に向かって回動(図8で反時計方向に回動)することによりリリース動作が導かれる(図8(b)参照)。そして、セクタギヤ63のリリース動作後(リリース動作の終了後)に、セクタギヤ63をリリース領域から中立領域に復帰させる第2復帰動作(中立復帰動作)が行われる。この第2復帰動作では、セクタギヤ63が反転回動(図8で時計方向に回動)し、リリース領域を通り抜けて中立領域に入り、第2中立位置で停止される。
【0034】
上述の中立検知第1スイッチ84は、セクタギヤ63と一体的に回動する被検出筒の周面に形成された電極面と、この電極面にセクトギ63の特定回動範囲において接触するブラシとを有する。中立検知第1スイッチ84の電極面は、セクタギヤ63の回動位置がクローズ領域又は第1境界部である場合にブラシと接触するように配置されている。したがって、中立検知第1スイッチ84は、セクタギヤ63が中立領域のクローズ領域側の第1境界部を通過した時に第1検知信号を出力する。すなわち、図7に示されるように、中立検知第1スイッチ84は、第1検知信号として、セクタギヤ63の回動位置がクローズ領域又は第1境界部である時にHigh信号を出力する。それ以外の回動位置ではLow信号を出力する。
【0035】
また、中立検知第2スイッチ85も、中立検知第1スイッチ84と同様な構成であるが、この電極面は、セクタギヤ63の回動位置がリリース領域又は第2境界部である場合にブラシと接触するように配置される。したがって、中立検知第2スイッチ85は、セクタギヤ63が中立領域のリリース領域側の第2境界部を通過した時に第2検知信号を出力する。すなわち、図7に示されるように、中立検知第2スイッチ85は、第2検知信号として、セクタギヤ63の回動位置がリリース領域又は第2境界部である時にHigh信号を出力する。それ以外の回動位置ではLow信号を出力する。
【0036】
図3及び図4に戻り、クローズ動作及びリリース動作における、セクタギヤ63とラッチ41とポール42の状態を説明する。図3(a)〜(d)は、クローズ動作とその後の中立復帰動作の態様を模式的に示した図であり、図4(a)〜(d)は、リリース動作とその後の中立復帰動作の態様を模式的に示した図である。
【0037】
クローズ動作は、車体1に対して開けられたスライドドア3を閉める際に行われる。スライドドア3が開状態にある場合、リリース動作に付随する中立復帰によってセクタギヤ63の回動位置は図3(a)に示されるような第2中立位置となる。開状態にあるスライドドア3を閉方向に動かすと、スライドドア3側に配置されたドア開閉操作機構40が車体1に固定されたストライカ2に近づく。そして、ドア開閉操作機構40におけるラッチ41の係入溝部413がストライカ2を受け入れる。
【0038】
スライドドア3を更に動かすと、図3(b)に示されるように、ポール42の接当作用部421がラッチ41の第1アーム部411と係合する(ハーフラッチ位置)。ラッチ41がハーフラッチ位置に達する少し前に、モータ61が正転駆動し、セクタギヤ63が回動する。セクタギヤ63が回動すると、クローズ操作機構51と連動し、ラッチ41がモータ動力で回動し始める。なお、この段階では、スライドドア3が車体1に対して完全には閉じられていない。
【0039】
セクタギヤ63が、更にクローズ領域の最終回動位置まで回動すると、図3(c)に示されるように、ポール42の接当作用部421がラッチ41の第2アーム部412と係合する(フルラッチ位置)。この段階で、スライドドア3が車体1に対して完全に閉められる。
【0040】
クローズ動作が終了すると、セクタギヤ63の中立復帰のために、モータ61が逆転駆動する。図3(d)に示されるように、セクタギヤ63の回動位置が第1中立位置に到達し、中立検知第1スイッチ84の信号がHigh(オン)からLow(オフ)に変化すると、そこで停止する。このようにして、ドア開閉操作機構40は、スライドドア3の閉動作を行う。
【0041】
リリース動作は、車体1に対して閉められたスライドドア3を開ける際に行われる。スライドドア3が閉状態にある場合、先に行われているクローズ動作に付随する中立復帰によってセクタギヤ63の回動位置は図4(a)に示されるような第1中立位置となっている。スライドドア3のオープンハンドル3aに設けられている非図示のスイッチ等の操作によってモータ61が逆転駆動すると、図4(b)に示されるように、セクタギヤ63がリリース領域方向に回動する。
【0042】
セクタギヤ63が回動すると、リリース操作機構52と連動し、ポール42が係合離脱方向に回動し始める。図4(c)に示されるように、ポール42の接当作用部421がラッチ41から離脱すると、バネ付勢力によりポール42は離脱姿勢であるホームポジションに戻る。ラッチ41もバネ付勢によりストライカ2を開放する姿勢に戻る。この段階で、スライドドア3が車体1に対して開放可能となる。
【0043】
リリース動作が終了すると、セクタギヤ63の中立復帰のために、モータ61が正転駆動する。図4(d)に示されるように、セクタギヤ63の回動位置が第2中立位置に到達し、中立検知第2スイッチ85の信号がHigh(オン)からLow(オフ)に変化すると、そこで停止する。このようにして、ドア開閉操作機構40は、スライドドア3の開動作を行う。
【0044】
ここで、本開閉体制御装置100は、上述のように、スライドドア3のクローズ動作が終了すると、セクタギヤ63の第1復帰動作が行われる。第1復帰動作では、セクタギヤ63が反転回動し、クローズ領域を通り抜けて中立領域に入り、第1中立位置で停止される。この第1中立位置の検出は、中立検知第1スイッチ84の信号のHigh(オン)からLow(オフ)への変化に基づいて行われる。
【0045】
しかしながら、中立検知第1スイッチ84の異常等により、中立検知第1スイッチ84の信号のHigh(オン)からLow(オフ)への変化を検出できない場合には、セクタギヤ63が中立領域を通過してリリース領域に突入してしまう可能性がある。係る場合、開閉体制御装置100は、スライドドア3の開動作が行われるものとして誤動作を起こす恐れがある。このため、本開閉体制御装置100は、クローズ動作後の第1復帰動作におけるセクタギヤ63の検出は、中立検知第1スイッチ84の信号のHigh(オン)からLow(オフ)への変化に基づいて行われると共に、中立検知第2スイッチ85の信号がLow(オフ)からHigh(オン)への変化に基づいて行われる構成となっている。
【0046】
したがって、クローズ動作後の第1復帰動作において、中立検知第1スイッチ84の信号のHigh(オン)からLow(オフ)への変化を検出できない場合には、中立検知第2スイッチ85の信号のLow(オフ)からHigh(オン)への変化を検出することにより、適切にセクタギヤ63を中立領域で停止させることが可能となる。なお、中立検知第2スイッチ85の信号がLow(オフ)からHigh(オン)への変化を検出した場合には、セクタギヤ63は第2中立位置で停止される。
【0047】
また、更に、本開閉体制御装置100は、クローズ動作後の第1復帰動作において、中立検知第1スイッチ84の信号のHigh(オン)からLow(オフ)への変化も、中立検知第2スイッチ85の信号のLow(オフ)からHigh(オン)への変化も共に検出できなかった場合には、セクタギヤ63がリリース領域まで達してしまう。係る場合、開閉体制御装置100は、スライドドア3のリリース動作が開始されたとして認識してリリース動作が継続され、スライドドア3が突然に開放される恐れがある。このため、本開閉体制御装置100は、スライドドア3が突然に開放されるのを防止することが可能なように構成されている。
【0048】
開閉体制御装置100が備える制御ユニット90は、第1復帰動作の開始後、第1検知信号及び第2検知信号が検出されない場合に、スライドドア3の移動速度を監視し、当該移動速度に基づいてブレーキ制御の有無を判断する。即ち、制御ユニット90は、第1復帰動作の開始後、所定時間内に第1検知信号及び第2検知信号が検出されない場合に、スライドドア3の移動速度を低下させるブレーキ制御を行う。第1復帰動作の開始は、モータ61の回転方向の切り替えのタイミングが相当する。即ち、制御ユニット90が、クローズ動作においてモータ61が時計方向に回動している状態から、第1復帰動作に移行するためにモータ61が反時計方向に回動するように制御するタイミングが相当する。第1復帰動作の開始後の経過時間は、上述のタイマ制御部94により計数される。そして、当該計数が予め設定された判定時間に達した場合に、モータ61からセクタギヤ63に伝達される動力を断続してブレーキ制御を行ってスライドドア3の移動速度が所定速度以下となるように構成されている。この予め設定される判定時間は、セクタギヤ63が第1復帰動作を開始してから第2中立位置を超える程度の時間に設定される。
【0049】
ここで、本開閉体制御装置100には、スライドドア3と当該スライドドア3を開閉するモータ(図示せず)との間に、当該モータの動力を断続するクラッチ機構(図示せず)が備えられる。即ち、クラッチ機構を係合状態とした場合には、モータの動力をスライドドア3に伝達可能であり、クラッチ機構を非係合状態とした場合には、モータの動力をスライドドア3に伝達しないようにすることができる。
【0050】
そして、上述のように、第1復帰動作の開始後の経過時間が、予め設定された判定時間を経過した場合には、制御ユニット90は、クラッチ機構の断続時間を制御してスライドドア3の移動速度が所定速度以下となるようにブレーキ制御を行う。スライドドア3の移動速度は、モータの回転に応じて得られるリップルパルスや、モータの回転速度に基づき演算することが可能である。また、ブレーキ制御とは、クラッチ機構の断続時間を調節してスライドドア3の移動速度を制限する制御である。このブレーキ制御は、例えば、図示しない予め設定されたスライドドア3の移動速度とクラッチ機構の断続時間との関係を示すマップに基づき、制御すると好適である。
【0051】
なお、この移動速度の制限は、移動速度をゼロとするように制御しても良いし、通常のスライドドア3の移動速度の例えば1/2や1/10等に制御するようにしても良い。このような制御を行うことにより、スライドドア3が突然に開扉されることを防止することができる。また、このように移動速度の制御が行われている場合には、利用者が手動操作によりスライドドア3を閉扉させることも当然に可能である。
【0052】
同様に、本開閉体制御装置100は、スライドドア3のリリース動作が終了すると、セクタギヤ63の第2復帰動作が行われる。第2復帰動作では、セクタギヤ63が正転回動し、リリース領域を通り抜けて中立領域に入り、第2中立位置で停止される。この第2中立位置の検出は、中立検知第2スイッチ85の信号がHigh(オン)からLow(オフ)への変化に基づいて行われる。
【0053】
しかしながら、中立検知第2スイッチ85が異常等により、中立検知第2スイッチ85の信号のHigh(オン)からLow(オフ)への変化を検出できない場合には、セクタギヤ63が中立領域を通過してクローズ領域に突入してしまう可能性がある。係る場合、開閉体制御装置100は、スライドドア3の閉動作が行われるものとして誤動作を起こす恐れがある。このため、本開閉体制御装置100は、リリース動作後の第2復帰動作におけるセクタギヤ63の検出は、中立検知第2スイッチ85の信号がHigh(オン)からLow(オフ)への変化に基づいて行われると共に、中立検知第1スイッチ84の信号がLow(オフ)からHigh(オン)への変化に基づいて行われる構成となっている。
【0054】
したがって、リリース動作後の第2復帰動作において、中立検知第2スイッチ85の信号のHigh(オン)からLow(オフ)への変化を検出できない場合には、中立検知第1スイッチ84の信号のLow(オフ)からHigh(オン)への変化を検出することにより、適切にセクタギヤ63を中立領域で停止させることが可能となる。なお、中立検知第1スイッチ84の信号がLow(オフ)からHigh(オン)への変化を検出した場合には、セクタギヤ63は第1中立位置で停止される。
【0055】
また、更に、本開閉体制御装置100は、リリース動作後の第2復帰動作において、中立検知第2スイッチ85の信号のHigh(オン)からLow(オフ)への変化も、中立検知第1スイッチ84の信号のLow(オフ)からHigh(オン)への変化も共に検出できなかった場合には、セクタギヤ63がクローズ領域まで達してしまう。係る場合、開閉体制御装置100は、スライドドア3のクローズ動作が開始されたと認識してクローズ動作が継続され、ラッチ41が係入溝部413にストライカ2を受け入れることなく回動される外噛み合い状態となってしまう可能性がある。このような外噛み合い状態であると、スライドドア3が突然に開かれる場合がある。このため、本開閉体制御装置100は、ラッチ41がラッチ外噛み合いとなることを防止し、スライドドア3が突然に開かれるのを防止するように構成されている。
【0056】
開閉体制御装置100が備える制御ユニット90は、第2復帰動作の開始後、第1検知信号及び第2検知信号が検出されずにクローズ動作が行われた場合に、スライドドア3の移動速度を監視し、当該移動速度に基づいてブレーキ制御の有無を判断する。即ち、制御ユニット90は、第2復帰動作の開始後、所定時間内に第1検知信号及び第2検知信号が検出されない状態でラッチ41によるストライカ2の引き込み動作条件が成立した場合に、クローズ動作を開始すると共に、スライドドア3の移動速度を低下させるブレーキ制御を行う。第2復帰動作の開始は、モータ61の回転方向の切り替えのタイミングが相当する。即ち、制御ユニット90が、リリース動作においてモータ61が反時計方向に回動している状態から、第2復帰動作に移行するためにモータ61が時計方向に回動するように制御するタイミングが相当する。第2復帰動作の開始後の経過時間は、上述のタイマ制御部94により計数される。そして、当該計数が予め設定された判定時間に達した場合に、制御ユニット90はクローズ動作を行う。そして、そのクローズ動作において、モータ61からセクタギヤ63に伝達される動力を断続してブレーキ制御を行ってスライドドア3の移動速度が所定速度以下となるように構成されている。この予め設定される判定時間は、セクタギヤ63が第2復帰動作を開始してから第2中立位置を超える程度の時間に設定される。
【0057】
開閉体制御装置100は、リリース動作後の第2復帰動作において、中立検知第2スイッチ85の信号のHigh(オン)からLow(オフ)への変化も、中立検知第1スイッチ84の信号のLow(オフ)からHigh(オン)への変化も共に検出できなかった場合には、ハーフラッチスイッチ81が、High(オン)からLow(オフ)に切り替わるまで第2復帰動作を行う。
【0058】
そして、ハーフラッチスイッチ81が、High(オン)からLow(オフ)への切り替わりを検出すると、開閉体制御装置100はクローズ動作を開始する。このクローズ動作において、スライドドア3の移動速度が予め設定された所定速度以上である場合には、開閉体制御装置100はブレーキ制御を行う。ブレーキ制御については、上述の第1復帰動作における動作と同様であるため、説明は省略する。
【0059】
また、クローズ動作において、スライドドア3の移動速度が予め設定された所定速度未満であっても、ハーフラッチスイッチ81がLow(オフ)からHigh(オン)に切り替わりを検出すると、開閉体制御装置100はブレーキ制御を行う。一方、クローズ動作において、スライドドア3の移動速度が予め設定された所定速度未満であり、且つ、ハーフラッチスイッチ81がLow(オフ)からHigh(オン)への切り替わりを検出しない場合には、クローズ動作が継続して行われる。
【0060】
このような制御を行うことにより、ストライカ2のリリース動作後に行われる当該ストライカ2の第2復帰動作において、所定時間内に第1検知信号及び第2検知信号が検出されない状態でラッチ41によるストライカ2の引き込み動作条件が成立した場合には、クローズ動作が開始されると共に、ブレーキ制御が行われる。したがって、仮にストライカ2とラッチ41とが係合不能な状態でクローズ動作が行われた場合であっても、ブレーキ制御により開閉体の移動速度が制御されるため、利用者の意図に反してスライドドア3が開閉しないようにすることができる。また、ストライカ2とラッチ41とが、係合不能な状態で衝突してしまうことも抑止され、ストライカ2及びラッチ41の破損や変形も抑止可能となる。なお、このように移動速度の制御が行われている場合には、利用者が手動操作によりスライドドア3を閉動作させることも当然に可能である。
【0061】
次に、本開閉体制御装置100が行う処理に関してフローチャートを用いて説明する。図9は、クローズ動作に関するフローチャートである。まず、スライドドア3が閉められるにあたり、ラッチ41の係入溝部413にストライカ2が侵入し、ラッチ41が回動する。更に、ラッチ41が回動し、ハーフラッチスイッチ81がHigh(オン)からLow(オフ)に切り替わると、モータ61を正転駆動することでクローズ動作が開始される(ステップ#01)。このクローズ動作は、ラッチ41がストライカ2を完全に引き込んで、フルラッチ位置になるまで継続して行われる。
【0062】
このようなフルラッチ位置になると、スライドドア3は全閉状態となる(ステップ#02:No)。スライドドア3が全閉状態とされると(ステップ#02:Yes)、モータ61は停止され、セクタギヤ63をクローズ領域から中立領域、ここでは第1中立領域に戻す第1復帰動作が行われる(ステップ#03)。同時に、タイマ制御部94は第1復帰動作の開始後の経過時間の計数を開始する(ステップ#04)。
【0063】
そして、中立検知第1スイッチ84の状態が、High(オン)からLow(オフ)に移行したか否かの確認が行われる。ここでのセクタギヤ63の中立復帰動作は、ラッチ41がフルラッチ位置になった後に行われるため、正常な状態であれば、中立検知第1スイッチ84はHigh(オン)の状態となっている。中立検知第1スイッチ84の状態がHigh(オン)からLow(オフ)への移行が検出されると(ステップ#05:Yes)、モータ61が停止される。そして、セクタギヤ63の第1復帰動作が終了し(ステップ#06)、処理が終了される。
【0064】
一方、ステップ#05において、中立検知第1スイッチ84の状態がHigh(オン)からLow(オフ)へ移行したことが検出されない場合には(ステップ#05:No)、中立検知第2スイッチ85の状態が、Low(オフ)からHigh(オン)に移行したか否かの確認が行われる。中立検知第2スイッチ85の状態がLow(オフ)からHigh(オン)への移行を検出すると(ステップ#07:Yes)、モータ61が停止される。そして、セクタギヤ63の第1復帰動作が終了し(ステップ#06)、処理が終了される。
【0065】
ステップ#07において、中立検知第2スイッチ85の状態がLow(オフ)からHigh(オン)へ移行したことが検出されない場合には(ステップ#07:No)、タイマ制御部94により計数されている第1復帰動作の開始後の経過時間が、予め設定された判定時間に達しているか否かの判定が行われる。経過時間が判定時間に達していない場合には(ステップ#08:No)、ステップ#05に戻り、処理が継続される。一方、経過時間が判定時間に達している場合には(ステップ#08:Yes)、スライドドア3が突然に開扉されないように、クラッチ機構の断接時間を制御してブレーキ制御が行われる(ステップ#09)。このような処理を行うことにより、本開閉体制御装置100は、利用者が意図しないスライドドア3の開放を防止することが可能となる。
【0066】
次に、図10のリリース動作に関するフローチャートを用いて、リリース動作に係る処理について説明する。まず、利用者によりスイッチ等の操作により、リリース動作が開始し(ステップ#31)、モータ61が逆転駆動される。このリリース動作は、リリース動作終了条件が成立するまで行われる(ステップ#32:No)。ここで、リリース動作終了条件とは、スライドドア3が全閉状態から全開状態になるまでの、スライドドア3の移動距離をモータ61の回転に応じて出力されるリップルパルスで検出しても良いし、ハーフラッチスイッチ81の切り替わりで検出しても良い。
【0067】
リリース条件が成立すると(ステップ#32:Yes)、モータ61は停止され、セクタギヤ63をリリース領域から中立領域、ここでは第2中立領域に戻す第2復帰動作が行われる(ステップ#33)。
【0068】
そして、中立検知第2スイッチ84の状態が、High(オン)からLow(オフ)に移行したか否かの確認が行われる。ここでのセクタギヤ63の中立復帰動作は、ラッチ41がストライカ2を開放する姿勢になった後に行われるため、正常な状態であれば、中立検知第2スイッチ85はHigh(オン)の状態となっている。中立検知第2スイッチ85の状態がHigh(オン)からLow(オフ)への移行が検出されると(ステップ#34:Yes)、モータ61が停止される。そして、セクタギヤ63の第2復帰動作が終了し(ステップ#35)、処理が終了される。
【0069】
一方、ステップ#34において、中立検知第2スイッチ85の状態がHigh(オン)からLow(オフ)への移行が検出されない場合には(ステップ#34:No)、中立検知第1スイッチ84の状態が、Low(オフ)からHigh(オン)に移行したか否かの確認が行われる。中立検知第1スイッチ84の状態がLow(オフ)からHigh(オン)への移行を検出すると(ステップ#36:Yes)、モータ61が停止される。そして、セクタギヤ63の第2復帰動作が終了し(ステップ#35)、処理が終了される。
【0070】
ステップ#36において、中立検知第1スイッチ84の状態がLow(オフ)からHigh(オン)への移行が検出されない場合には(ステップ#36:No)、ハーフラッチスイッチ81の出力のHigh(オン)からLow(オフ)へ移行したか否かの確認が行われる。ハーフラッチスイッチ81の出力のHigh(オン)からLow(オフ)へ移行が確認できない場合には(ステップ#37:No)、処理が保留される。
【0071】
ハーフラッチスイッチ81の出力のHigh(オン)からLow(オフ)へ移行が確認されると(ステップ#37:Yes)、モータ61を正転駆動することでセクタギヤ63のクローズ動作が開始される(ステップ#38)。そして、このクローズ動作におけるスライドドア3の移動速度の検出が行われる。この移動速度の検出は、モータ61の回転に応じて取得されるリップルパルスに基づいて演算すると好適である。スライドドア3の移動速度が、予め設定された所定速度以上である場合には(ステップ#39:Yes)、クラッチ機構の断接時間を制御してブレーキ制御が行われる(ステップ#40)。
【0072】
一方、ステップ#39において、スライドドア3の移動速度が、予め設定された所定速度未満である場合には(ステップ#39:No)、クローズ動作後の第1復帰動作が行われる。すなわち、ラッチ41がストライカ2に正常に噛み合っている場合には、スライドドア3の移動速度が所定速度未満となるため、正常動作と判断されて第1復帰動作が行われる。そして、当該第1復帰動作において、ハーフラッチスイッチ81の出力のLow(オフ)からHigh(オン)へ移行したか否かの確認が行われる。ハーフラッチスイッチ81の出力のLow(オフ)からHigh(オン)への移行が確認された場合には(ステップ#41:Yes)、中立検知スイッチ84、85の動作異常等により第1復帰動作がリリース動作に達したと判断され、クラッチ機構の断接時間を制御してブレーキ制御が行われる(ステップ#40)。また、第1復帰動作において、ハーフラッチスイッチ81の出力のLow(オフ)からHigh(オン)への移行が確認されない場合には(ステップ#41:No)、第1復帰動作が正常に終了したと判断されてここでの処理を一端終了する。このような処理を行うことにより、本開閉体制御装置100は、ラッチ41の外噛み合いを防止し、利用者が意図しないスライドドア3の開扉を防止することが可能となる。
【0073】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、本開閉体制御装置100が制御する開閉体は車両に備えられるスライドドア3であるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。開閉体として、車両が備えるバックドアとすることも可能であるし、他のドアとすることも当然に可能である。また、車両のドアに限らず、建物のドア等に適用することも当然に可能である。
【0074】
上記実施形態では、ドア開閉操作機構40はスライドドア3側に設けられ、ストライカ2は車体1側に設けられるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。ドア開閉操作機構40を車体1側に設け、ストライカ2をスライドドア3側に設けることも当然に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】開閉体制御装置を搭載した車両の側面を示す図
【図2】ストライカ及びドアロック装置の拡大を模式的に示す図
【図3】ドア開閉操作機構のロック状態を示す図
【図4】ドア開閉操作機構の解除状態を示す図
【図5】各スイッチの出力の切り替わりを示す図
【図6】制御ユニットの概略構成を模式的に示すブロック図
【図7】クローズ動作に係るセクタギヤの回動領域を示す図
【図8】リリース動作に係るセクタギヤの回動領域を示す図
【図9】クローズ動作に関するフローチャート
【図10】リリース動作に関するフローチャート
【符号の説明】
【0076】
61:モータ
80:車両状態評価ECU
81:ハーフラッチスイッチ
82:フルラッチスイッチ
83:ポールスイッチ
84:中立検知第1スイッチ(第1検知部)
85:中立検知第2スイッチ(第2検知部)
90:制御ユニット
91:ラッチ状態評価部
92:ポール評価部
93:変位体位置評価部
94:タイマ制御部
95:モータ制御部
96:ブレーキ制御部
100:開閉体制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体を自動で開閉させる開閉体制御装置であって、
ストライカの引き込みと開放とを行うラッチと、
ラッチ操作機構を介して前記ラッチを操作すると共に、前記ラッチを引き込み状態にさせるクローズ領域と前記ラッチを開放状態にするリリース領域と前記クローズ領域及び前記リリース領域の間に位置する中立領域とを含む移動領域の間で移動変位される変位体と、
前記変位体が前記中立領域の前記クローズ領域側の第1境界部を通過した時に第1検知信号を出力する第1検知部と、
前記変位体が前記中立領域の前記リリース領域側の第2境界部を通過した時に第2検知信号を出力する第2検知部と、
を備え、
前記変位体のクローズ動作後に当該変位体を前記クローズ領域から前記中立領域に復帰させる中立復帰動作の開始後、所定時間内に前記第1検知信号及び前記第2検知信号が検出されない場合に、前記開閉体の移動速度を低下させるブレーキ制御を行う制御ユニットと、
を備える開閉体制御装置。
【請求項2】
開閉体を自動で開閉させる開閉体制御装置であって、
ストライカの引き込みと開放とを行うラッチと、
ラッチ操作機構を介して前記ラッチを操作すると共に、前記ラッチを引き込み状態にさせるクローズ領域と前記ラッチを開放状態にするリリース領域と前記クローズ領域及び前記リリース領域の間に位置する中立領域とを含む移動領域の間で移動変位される変位体と、
前記変位体が前記中立領域の前記クローズ領域側の第1境界部を通過した時に第1検知信号を出力する第1検知部と、
前記変位体が前記中立領域の前記リリース領域側の第2境界部を通過した時に第2検知信号を出力する第2検知部と、
を備え、
前記変位体のリリース動作後に当該変位体を前記リリース領域から前記中立領域に復帰させる中立復帰動作の開始後、所定時間内に前記第1検知信号及び前記第2検知信号が検出されない状態で前記ラッチによる前記ストライカの引き込み動作条件が成立した場合に、クローズ動作を開始すると共に、前記開閉体の移動速度を低下させるブレーキ制御を行う制御ユニットと、
を備える開閉体制御装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記中立復帰動作の開始後、前記第1検知信号及び前記第2検知信号が検出されずに前記クローズ動作が行われた場合に、前記開閉体の移動速度を監視し、当該移動速度に基づいて前記ブレーキ制御の有無を判断する請求項2に記載の開閉体制御装置。
【請求項4】
前記開閉体と当該開閉体を開閉するモータとの間に、当該モータの動力を断続するクラッチ機構が備えられ、
前記ブレーキ制御は、前記開閉体の移動速度を予め設定された所定速度以下とする制御である請求項1から3のいずれか一項に記載の開閉体制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−121320(P2010−121320A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294608(P2008−294608)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】