説明

開閉弁、燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法

【課題】弁の凍結を有効に抑制する。
【解決手段】開閉弁は、筒状のメイン流路を備える弁本体と、回動可能に支持されるシャフトと、シャフトに固着された板状の部材であってメイン流路を開閉する弁体とを有している。この弁本体は、内部に流体が導入されるとともに、この内部に導入された流体が嵌合孔を介してメイン流路へと流れる内部流路を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉弁、当該開閉弁を備える燃料電池システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃料極に供給される燃料ガス(例えば、水素)と、酸化剤極に供給される酸化剤ガス(例えば、空気)とを電気化学的に反応させて発電を行う燃料電池を備えた燃料電池システムが知られている。燃料電池システムは、反応ガスを供給するための配管、この配管に設けられて、圧力調整または流量調整などに供される弁によって構成されている。
【0003】
ところで、この類の燃料電池では、電気化学的な反応にともない生成水が発生することが知られている。例えば、特許文献1には、低温時に、凍結抑制の観点から、生成水をシステム外へ排出する手法が開示されている。
【特許文献1】特開2004−193102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、流路に配設される開閉弁は、小さなクリアラス等を構造的に有するため、特許文献1に開示される手法を行ったとしても、クリアランスに入り込んだ生成水を取り除くことは困難である。そのため、低温時、凍結した生成水により弁が固着してしまうという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、弁の凍結を有効に抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明の開閉弁は、凍結抑制構造を備えている。具体的には、開閉弁は、筒状のメイン流路を備える弁本体と、回動可能に支持されるシャフトと、シャフトに固着された板状の部材であってメイン流路を開閉する弁体とを有している。この弁本体は、内部に流体が導入されるとともに、この内部に導入された流体が嵌合孔を介してメイン流路へと流れる内部流路を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、内部流路を経た空気が、嵌合孔とシャフトとの間に生じたクリアランスを介してメイン流路へと流れるので、メイン流路側からクリアランスに進入する生成水または水蒸気を抑制することができる。特に、氷点下では、生成水または水蒸気が、クリアランスにて凍結し、シャフトの回転が阻害される虞があるが、このような事態を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池システムの全体構成を示すブロック図である。燃料電池システムは、例えば、移動体である車両に搭載されており、この車両は燃料電池システムから供給される電力によって駆動する。
【0009】
燃料電池システムは、固体高分子電解質膜を挟んで燃料極と酸化剤極とを対設した燃料電池構造体をセパレータで挟持して、これを複数積層して構成される燃料電池スタック1を備える。この燃料電池スタック1は、燃料極に燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤極に酸化剤ガスが供給されることにより、これらの反応ガスを電気化学的に反応させて発電電力を発生する。本実施形態では、燃料ガスとして水素を、酸化剤ガスとして空気を用いるケースについて説明する。
【0010】
燃料電池システムは、燃料電池スタック1に水素を供給するための水素系と、燃料電池スタック1に空気を供給するための空気系とをさらに有している。
【0011】
水素系において、燃料ガスである水素は、燃料タンク10(例えば、高圧水素ボンベ)に貯蔵されており、この燃料タンク10から水素供給流路L1を介して燃料電池スタック1に供給される。具体的には、燃料タンク10の下流には水素供給弁11が設けられており、この水素供給弁11が開状態となると、燃料タンク10からの高圧水素ガスは、その下流に設けられた減圧弁(図示せず)によって機械的に所定の圧力まで減圧される。減圧された水素ガスは、減圧弁よりも下流に設けられた水素制御弁12によってさらに減圧された後に、燃料電池スタック1に供給される。燃料電池スタック1に供給される水素圧力は、水素制御弁12の開度を制御することによって調整することができる。
【0012】
燃料極からの排出ガス(未使用の水素を含むガス)は、燃料電池スタック1から水素循環流路L2に排出される。この水素循環流路L2は、他方の端部が水素制御弁12よりも下流側の水素供給流路L1に接続されており、水素循環流路L2には、例えば、水素循環ポンプ12といったガス循環手段が設けられている。この水素循環ポンプ12を駆動することにより、燃料極からの排出ガスが、水素循環流路L2を介して燃料電池スタック1の供給側へと循環させられる。また、水素循環流路L2には、排出ガス中に含まれる生成水や水蒸気を分離するための気液分離装置14が設けられている。
【0013】
ところで、酸化剤ガスとして空気を用いるケースでは、空気中の不純物が酸化剤極から燃料極に透過するため、燃料極を含む水素循環流路L2内での不純物が増加し、水素分圧が減少する傾向となる。ここで、不純物は、燃料ガスである水素以外の非燃料ガス成分であり、代表的には窒素を挙げることができる。窒素量が多くなりすぎると、燃料電池スタック1からの出力が低下するといった不都合が生じるため、燃料極を含む水素循環流路L2内の窒素量を管理する必要がある。そこで、水素循環流路L2には、内部を流れる循環ガスを外部に排出する不純物排出流路L3が設けられている。不純物排出流路L3は、その他方の端部が、後述する空気排出流路L5に接続されており、循環ガスは、燃料電池スタック1の酸化剤極からの排出ガスによって希釈された上で、大気に放出される。この不純物排出流路L3には、不純物排出弁15が設けられており、この不純物排出弁15の開き量を調整することにより、不純物排出流路L3を介して排出される窒素量を調整することができる。これにより、燃料極および水素循環流路L2内に存在する窒素量が、発電性能を維持できるように管理される。
【0014】
空気系において、酸化剤ガスである空気は、例えば、コンプレッサ20によって取り込まれるとこれが加圧され、空気供給流路L4を介して燃料電池スタック1に供給される。この空気供給流路L4には、アフタークーラー21、加湿装置22が設けられており、コンプレッサ20から供給(吐出)される空気は、アフタークーラー21によって燃料電池スタック1での反応に適した温度まで冷却されるとともに、加湿装置22によって燃料電池スタック1での反応に適した湿度まで加湿される。酸化剤極からの排出ガス(酸素が消費された空気)は、空気排出流路L5を介して外部に排出される。この空気排出流路L5は、上述した加湿装置22を経由して配設されている。加湿装置22では、酸化剤極からの排出ガスと、コンプレッサ20からの空気との間で水分の交換を行うことで、コンプレッサ20からの空気に対する加湿が行われる。
【0015】
アフタークーラー(冷却装置)21は、冷却水が循環する閉ループ状の冷却流路が接続されており、この冷却流路には、冷却水を循環させる冷却水循環ポンプ23が設けられている。この冷却水循環ポンプ23を動作させることにより、冷却流路内の冷却水が循環する。また、冷却流路には、ラジエータおよびファンで構成される冷却ユニット24が設けられている。アフタークーラー21において、空気との熱交換により温度が上昇した冷却水は、冷却流路を経由して、冷却ユニット24に流れて冷却される。
【0016】
また、空気排出流路L5には、加湿装置22よりも下流側に、燃料電池スタック1へ供給される空気の圧力または流量を調整する空気制御弁30が設けられている。空気制御弁30には、空気供給流路L4においてコンプレッサ20の下流側から分岐したパージ流路L6が接続しており、このパージ流路L6には、この流路を流れる空気の流量を制御するパージ制御弁25が設けられている。
【0017】
図2は、空気制御弁30の構造を模式的に示す断面図であり、図3は、空気制御弁30の要部を模式的に示す拡大断面図である。空気制御弁30は、開度が調整可能な開閉弁であり、本実施形態の特徴の一つとして、凍結抑制構造を備えている。空気制御弁30は、弁本体31と、シャフト32と、弁体33とを主体に構成されている。弁本体31は、空気排出流路L5に配設されて流路の一部を構成しており、空気排出流路L5を連通する筒状のメイン流路を内部に備えている。シャフト32は、弁本体31におけるメイン流路の対向位置に穿設される一対の嵌合孔38に対して、両端部がそれぞれ挿入されてメイン流路と直交するように配置される。シャフト32の一方の端部は、弁本体31の内部を貫通して外部へと延出し、シャフト32を回転させるモータ等の駆動手段35が接続されている。板状の弁体33は、シャフト32に固着されており、メイン流路の中心軸と直交する面に対する傾斜角に応じて、メイン流路の開度を設定する。
【0018】
弁本体31の内部には、嵌合孔38を介してメイン流路と連通する内部空間37が形成されており、この内部空間37には、シャフト32を回動可能に支持する軸受部34が収容されている。軸受部34と弁本体31との間には、両者のクリアランスをシールするシール部材36が設けられている。シール部材36は、図3に示すように、例えば、機械的なシール部材であり、弁本体31側に配設される固定リング36aと、軸受部34側に配設される回転リング36bとで構成されている。固定リング36aと回転リング36bとの間の摺動面には、約1〜3μmの隙間がある。
【0019】
また、弁本体31には、内部空間37に流体を導入するための導入流路39が形成されており、この導入流路39には、図1に示すパージ流路L6が接続されている。シャフト32と嵌合孔38との間のクリアランスは、数10μm〜数100μmであり、パージ流路L6を介して導入流路39から導入された空気(パージガス)は、内部空間37および嵌合孔38(具体的には、シャフト32と嵌合孔38との間のクリアランス)を通じて、シール部材36のシール漏れ分だけ、メイン流路へと流れる。ここで、シール部材36における摺動面の隙間は約1〜3μmであり、これを通じて流量が数10mL/min程度に絞られる。そのため、パージ流路L6に迂回する空気によって、燃料電池スタック1に供給される空気の圧力または流量に影響が生じるといった事態が抑制される。
【0020】
図1を参照するに、コントロールユニット40は、システム全体を統合的に制御する機能を担っており、制御プログラムに従って動作することにより、燃料電池スタック1の運転状態を制御する。コントロールユニット40としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。このコントロールユニット40は、システムの状態に基づいて、各種の演算を行い、この演算結果を制御信号として各種のアクチュエータ(図示せず)に出力し、水素制御弁12、水素循環ポンプ12、不純物排出弁15、コンプレッサ20、アフタークーラー21、空気制御弁30、冷却水循環ポンプ23、電力取出装置3、パージ制御弁25といった種々の要素を制御する。
【0021】
本実施形態との関係において、コントロールユニット40は、以下に示す機能を担っている。具体的には、コントロールユニット40は、外気温度に基づいて、空気制御弁30が凍結するようなシーンであるかを判定する凍結判定を行う。そして、凍結判定がなされた場合、コントロールユニット40は、空気制御弁30に対して、システムから流体(本実施形態では、空気)を供給し、空気排出流路L5から空気制御弁30のクリアランスに進入する生成水または水蒸気をパージする凍結抑制処理を行う。
【0022】
コントロールユニット40には、システムの状態を検出するために、各種センサ等からのセンサ信号が入力されている。水素圧力センサ41は、水素供給流路L1の燃料電池スタック1の入口近傍に設けられており、燃料電池スタック1の燃料極に供給される水素圧力を検出する。空気流量センサ42は、コンプレッサ20によって取り込まれる空気の流量、すなわち、燃料電池スタック1の酸化剤極に供給される空気流量を検出する。空気圧力センサ43は、空気供給流路L4の燃料電池スタック1の入口近傍に設けられており、燃料電池スタック1の酸化剤極に供給される空気圧力を検出する。外気温度センサ44は、外気温度を検出し、冷却水温度センサ45は、アフタークーラー21に供給される冷却水の温度を検出する。
【0023】
また、燃料電池スタック1には、図示しな電力取出装置が接続されている。この電力取出装置は、コントロールユニット40によって制御され、燃料電池スタック1における発電電流を取り出すことにより、燃料電池スタック1において発電された電力を、車両を駆動する電動モータ(図示せず)などに供給する。燃料電池スタック1から取り出す発電電流は、電力取出装置3によって検出されており、この情報が電力取出装置3からコントロールユニット40に入力されている。
【0024】
ここで、本実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法を説明する前に、空気制御弁30にかかる凍結抑制の概念について説明する。図4は、コンプレッサ20の吐出圧と、パージ流路L6を経て空気制御弁30に供給される空気温度(以下「弁空気温度」という)との対応関係を外気温度毎に示す説明図である。同図に示すように、コンプレッサ20の吐出圧、すなわち、システムの運転圧力(燃料電池スタック1におけるガス圧力)を調整することにより、弁空気温度を変化させることができる。例えば、外気温度がマイナス20℃の場合には、起動直後のシステムの運転圧力を120kPaに制御することにより、弁空気温度は10℃程度となる。このため、パージ流路L6から空気制御弁30に供給される空気、具体的には、導入流路39、内部空間37および嵌合孔38を介してメイン流路へと流れる空気により、空気排出流路L5側から嵌合孔38とシャフト32との間のクリアランスへ進入する水が抑制されるとともに、シャフト32および弁体33が加熱され、当該クリアランスにおける水蒸気及び凝縮水の凍結が抑制される。
【0025】
図5は、燃料電池スタック1の発電電流に対応した運転圧力を示す説明図である。また、外気温に応じて設定される、空気制御弁30の凍結を抑制する弁空気温度に対応する運転圧力(P1)が、発電電流に対応する運転圧力(P2)よりも高い場合には、燃料電池スタック1の運転圧力が前者の値(P1)に設定される。これにより、燃料電池スタック1の運転圧力が、発電電流に対応する運転圧力(P2)よりも高く制御されるので、燃料電池スタック1の発電性能に影響を与えることなく、空気制御弁30の凍結を抑制することができる。
【0026】
図6は、本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法を示すフローチャートである。上述した凍結抑制概に基づいて、以下、燃料電池システムの制御方法である弁凍結抑制処理の手順を説明する。このフローチャートに示す処理は、所定周期で呼び出され、コントロールユニット40によって実行される。まず、ステップ10(S10)において、外気温度センサ44から外気温度Tiが読み込まれる。
【0027】
ステップ11(S11)において、外気温度Tiが判定温度Tth1よりも小さいか否かが判断される。この判定温度Tth1は、空気制御弁30が凍結しない程度の外気温度の下限値を示すものであり、実験やシミュレーションを通じて予め設定されている(例えば、Tth1=0℃)。ステップ11において肯定判定された場合、すなわち、外気温度Tiが判定温度Tth1よりも小さい場合には(Ti<Tth1)、ステップ12(S12)に進む。一方、ステップ11において否定判定された場合、すなわち、外気温度Tiが判定温度Tth1以上の場合には(Ti≧Tth1)、ステップ17(S17)に進む。
【0028】
ステップ12において、コンプレッサ圧力Piと、電流対応圧力Pdとが比較される。ここで、コンプレッサ圧力Piは、外気温度Tiに基づいて、弁空気温度が水素制御弁12の凍結抑制温度(例えば、0℃)よりも大きくなるように決定される、コンプレッサ20の吐出圧力である。このコンプレッサ圧力Piを決定する前提として、実験やシミュレーションを通じて、コンプレッサ圧力と弁空気温度との対応関係を外気温度毎に取得することにより(例えば、図4参照)、これらの関係を規定したマップや演算式がコントロールユニット40に保持されている。そして、コントロールユニット40は、図7に示すように、外気温度Tiおよび凍結抑制温度に基づいて、コンプレッサ圧力Piを決定する。
【0029】
一方、電流対応圧力Pdは、燃料電池スタック1から取り出す発電電流に対応して決定される、燃料電池スタック1の運転圧力である。この電流対応圧力Pdを決定する前提として、実験やシミュレーションを通じて、燃料電池スタック1の運転圧力と発電電流との対応関係を取得することにより(例えば、図5参照)、これらの関係を規定したマップや演算式がコントロールユニット40に保持されている。コントロールユニット40は、図8に示すように、燃料電池スタック1から取り出す発電電流に基づいて、電流対応圧力Pdを決定する。
【0030】
このような演算を経て、コンプレッサ圧力Piが電流対応圧力Pdよりも大きいか否かが判断される。このステップ12において肯定判定された場合、すなわち、コンプレッサ圧力Piが電流対応圧力Pdよりも大きい場合には(Pd<Pi)、ステップ13(S13)に進む。一方、ステップ12において否定判定された場合、すなわち、コンプレッサ圧力Piが電流対応圧力Pd以下の場合には(Pd≧Pi)、ステップ14(S14)に進む。
【0031】
ステップ13において、燃料電池スタック1の運転圧力の目標値である目標運転圧力Ptが、コンプレッサ圧力Piに設定される。これ対して、ステップ14では、目標運転圧力Ptが、電流対応圧力Pdに設定される。ステップ15(S15)において、パージ制御弁25が開状態に制御される。
【0032】
ステップ16(S16)において、燃料電池スタック1の運転圧力が、目標運転圧力Ptに基づいて制御される。具体的には、空気圧力センサ43によって検出される空気圧力が、目標運転圧力Ptとなるように、空気制御弁30の開度およびコンプレッサ20の駆動量が制御される。また、水素圧力センサ41によって検出される水素圧力が、空気圧力センサ43によって検出される空気圧力となるように、水素制御弁12の開度が制御される。
【0033】
ステップ17において、目標運転圧力Ptが、電流対応圧力Pdに設定される。そして、ステップ18(S18)において、パージ制御弁25が閉状態に制御され、上述したステップ16に進む。
【0034】
このように本実施形態において、燃料電池システムは、燃料電池スタック1に接続する反応ガス用のガス流路(本実施形態では、空気排出流路L5)に開閉弁(本実施形態では、酸化剤極に供給される空気の圧力または流量を制御する空気制御弁30)を備えており、この空気制御弁30は、凍結抑制構造を備えている。具体的には、空気制御弁30は、筒状のメイン流路を備える弁本体31と、回動可能に支持されるシャフト32と、シャフト32に固着されており、メイン流路を開閉する板状の弁体33とを有している。この弁本体31は、内部に流体(本実施形態では、空気供給流路L4においてコンプレッサ20の下流から分岐した空気)を導入するとともに、この内部に導入された流体が嵌合孔38を介してメイン流路へと流れる内部流路を備えている。本実施形態において、内部流路は、嵌合孔38を介してメイン流路と連通するとともにシャフト32を回動自在に支持する軸受部34を収容する内部空間37と、この内部空間37に流体を導入する導入流路39とで構成されている。
【0035】
かかる構成によれば、内部流路を経た空気が、嵌合孔38とシャフト32との間に生じたクリアランスを介してメイン流路へと流れるので、メイン流路側からクリアランスに進入する生成水または水蒸気を抑制することができる。特に、氷点下での起動直後の運転では、生成水または水蒸気が、熱容量が大きい弁本体31に接することでクリアランスにて凍結し、シャフト32の回転が阻害される虞があるが、本実施形態によれば、このような事態を抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、コンプレッサ20により温度が上昇した空気が空気制御弁30に供給されるので、シャフト32および弁体33を加熱することができる。これにより、システム運転中における凍結の抑制効果の向上を図ることができる。
【0037】
また、本実施形態において、空気制御弁30へと空気を導入するパージ流路L6には、この流路を流れる空気の流量を制御するパージ制御弁25(流量制御弁)が設けられており、このパージ制御弁25は、外気温度に基づいて、開閉状態が制御される。かかる構成によれば、空気制御弁30が凍結しないようなシーン、すなわち、パージ流路L6から空気制御弁30に対して空気を供給する必要がない場合には、これを停止させることができるので、コンプレッサ20の回転数を不必要に上昇させるといった事態を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態において、燃料電池スタック1は、外気温度Tiに基づいて、運転圧力が設定される。かかる構成によれば、空気制御弁30の凍結を抑制できる範囲で、燃料電池スタック1の運転圧力を設定することができるので、空気制御弁30の凍結を有効に抑制することができる。なお、本実施形態では、ステップ12の処理において、電流対応圧力Pdと、コンプレッサ圧力Piとを比較しているが、この処理をスキップして、目標運転圧力Ptを一義的にコンプレッサ圧力Piに設定してもよい。
【0039】
なお、上述した実施形態において、シール部材36は、軸受部34と弁本体31とが熱的に分離されるような熱容量の部材から選択されることが好ましい。この場合、シャフト32およびその近傍を集中的に加熱できるため、弁本体31全体を加熱する為に必要な熱量以下で凍結を抑制することができる。
【0040】
なお、図6に示した凍結抑制処理は、システムの運転中において常時実施してもよいが、システムの起動時に、あるいは、システムの停止時に実行してもよい。かかる手法であっても、起動直後の運転において、生成水または水蒸気が熱容量が大きい弁本体31に接することでクリアランスにて凍結するといった事態を抑制することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法を示すフローチャートである。第2の実施形態にかかる燃料電池システムが、第1の実施形態のそれと相違する点は、空気制御弁30の開度を制限することである。なお、システム構成については第1の実施形態と同様であり、また、制御方法についても基本的な流れは同じであるため、以下相違点を中心に説明を行い、重複する説明は省略する。
【0042】
まず、ステップ13(またはステップ14)に続くステップ20(S20)において、コンプレッサ20からの空気流量と、目標運転圧力Ptとに基づいて、空気制御弁30の開度α(図10参照)の目標値である目標開度βが算出される。空気制御弁30の開度αは、メイン流路の中心軸と直交する面を基準とした弁体33のなす角(傾斜角)である。
【0043】
ステップ21(S21)において、目標開度βが最小開度γ以上であるか否かが判断される。この最小開度γは、外気温度と、燃料電池スタック1の発電電流とに応じて、当該運転時に空気制御弁30に要求される開度αの最小値である。実験やシミュレーションを通じて、外気温度および燃料電池スタック1の発電電流と最小開度γとの関係を取得することにより、コントロールユニット40は、これをマップや演算式として保持している。このステップ21において肯定判定された場合、すなわち、目標開度βが最小開度γ以上の場合には(β>γ)、第1の実施形態に示すステップ15の処理に進む。一方、このステップ21において否定判定された場合、すなわち、目標開度βが最小開度γよりも小さい場合(β≦γ)、ステップ22(S22)に進む。
【0044】
ステップ22において、目標運転圧力Ptが最小ガス圧力Pmに設定される。この最小ガス圧力Pmは、ステップ13(またはステップ14)において設定された目標運転圧力Ptを、空気制御弁30の最小開度γ以上で実現でき、かつ、コンプレッサ20の吐出圧力が圧力Pi以上を満たす圧力のうち、最小の圧力である。
【0045】
ステップ23(S23)において、図11に示すように、ステップ22において新たに設定された目標運転圧力Ptに基づいて、この圧力に対応する電流Imを求める。これにより、燃料電池スタック1の発電電流が、求められた電流Imを最大値として制限される。
【0046】
このように本実施形態において、空気制御弁30は、外気温度Tiと、燃料電池スタック1の発電電流とに基づいて、開度制限が行われる。かかる構成によれば、弁体33と弁本体31のボア部が近接しない範囲の開度にて調圧・流量制御を行うことができるので、システムの運転中に弁体33とボア部との間が凍結するといった事態を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態において、燃料電池スタック1は、空気制御弁30の開度制限に基づいて、運転圧力と発電電流とが制限される。これにより、空気制御弁30の凍結を抑制可能な範囲内において、燃料電池スタック1の運転を安定的に継続することができる。
【0048】
(第3の実施形態)
図12は、本発明の第3の実施形態にかかる燃料電池システムの全体構成を示すブロック図である。第3の実施形態にかかる燃料電池システムが、第1の実施形態のそれと相違する点は、空気制御弁30に導入される空気の始点である。なお、システム構成については第1の実施形態と基本的に同様であり、また、制御方法についても流れは同じであるため、以下相違点を中心に説明を行い、重複する説明は省略する。
【0049】
同図に示すように、本実施形態では、パージ流路L6は、空気供給流路L4においてアフタークーラー21の下流側から分岐して、空気制御弁30へと接続されている。なお、本実施形態では、パージ流路L6には、パージ制御弁25は設けられていない。これは、アフタークーラー21の下流からの空気を空気制御弁30に供給することで、温度が過剰に上昇した空気が空気制御弁30に供給されることがないため、空気を空気制御弁30に常に供給することができるからである。
【0050】
ただし、外気温度が低い状態(例えば、0℃以下)において放置された後に起動する場合には、アフタークーラー21内の冷却水が外気温相当に低下している可能性がある。起動時、アフタークーラー21を通過した空気温度は外気温度相当となり、これが空気制御弁30に供給されてしまう虞がある。そのため、このようなケースでは、起動時、冷却水循環ポンプ23を停止させたままとすることで、冷却水をコンプレッサ20によって昇温された空気によってアフタークーラー21内の温度を上げることで、低温の空気がパージ流路L6を介して空気制御弁30供給されるといった事態を抑制する。
【0051】
図13および図14は、コンプレッサ20によって供給される空気流量毎に、アフタークーラー21の出口における空気温度の経時的な推移を示す説明図である。なお、図13は、コンプレッサ20の吐出圧力が200kPaに設定され、図14は、コンプレッサ20の吐出圧力が150kPaに設定されている。例えば、前回のシステム停止時に、3000NL/minの空気流量をコンプレッサ20から供給していた場合には、空気制御弁30の開度αを、コンプレッサ20の吐出圧力を最大200kPaに設定できる値に設定しておく。起動時、外気温度Tiに基づいて、温度変化マップを選択し、コンプレッサ20からの空気流量を3000NL/minを生成する。温度変化マップから、アフタークーラー21の出口における空気温度が0℃以上になる時間Twが得られるため、コンプレッサ20において空気流量を3000NL/minで供給開始してから時間Twの間は、この状態を保持する。これにより、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0052】
(第4の実施形態)
図15は、本発明の第4の実施形態にかかる空気制御弁30の構造を模式的に示す断面図である。第4の実施形態にかかる燃料電池システムが、第1の実施形態のそれと相違する点は、空気制御弁30に構造にある。なお、システム構成については第1の実施形態と基本的に同様であり、また、制御方法についても流れは同じであるため、以下相違点を中心に説明を行い、重複する説明は省略する。
【0053】
空気制御弁30において、シャフト32は、内部が中空に形成されており、弁本体31に形成される内部空間37に対応する部位には、開口32aが形成されている。これにより、シャフト32を介して両サイドに位置する一対の内部空間が連通された状態となっている。また、本実施形態では、一方の導入流路39は封止され、他方の導入流路39のみにパージ流路L6が接続した構成となっている。
【0054】
かかる構成によれば、シャフト32および弁体33の昇温をより効率良く行うことができる。
【0055】
(第5の実施形態)
図16は、本発明の第5の実施形態にかかる空気制御弁30の構造を模式的に示す断面図である。第5の実施形態にかかる燃料電池システムが、第1の実施形態のそれと相違する点は、空気制御弁30の構造にある。なお、システム構成については第1の実施形態と基本的に同様であり、また、制御方法についても流れは同じであるため、以下相違点を中心に説明を行い、重複する説明は省略する。
【0056】
本実施形態の空気制御弁30は、弁本体31の内部に、一方の導入流路39と他方の導入流路39とを連通する連通路30aが形成されている。この連通路30aは、加工を容易に行うためには、弁本体31の外部からドリルを用いて形成することができる。このケースでは、弁本体31の外部からプラグ39bで塞ぎ、通路を密閉することが好ましい。ただし、鋳造などの手法により、弁本体31の外部に開口しないように、連通路30aを形成してもよく、このケースでは、プラグ39bを省略することができる。
【0057】
このように、連通路30aにより、一方の導入流路39に導入された空気(パージガス)が他方の導入流路39にも分岐供給することができる。これにより、導入流路39と接続するパージ流路L6の接続数を減らすことができるので、車両搭載用の燃料電池システムのように、そのレイアウトに空間効率の向上を求められるようなケースにおいて、弁本体31やパージ流路L6を容易にレイアウトすることができる。
【0058】
(第6の実施形態)
図17は、本発明の第6の実施形態にかかる燃料電池システムの全体構成を示すブロック図である。第6の実施形態にかかる燃料電池システムが、第1の実施形態のそれと相違する点は、空気制御弁30に導入される空気を独立した供給源で行うことである。なお、システム構成については第1の実施形態と基本的に同様であり、また、制御方法についても流れは同じであるため、以下相違点を中心に説明を行い、重複する説明は省略する。
【0059】
図17に示すように、パージ流路L6には、空気系とは独立した要素であるブロア28が設けられている。このブロア28より、空気制御弁30に対する空気(パージガス)を供給することができ、ブロア28の吐出圧に応じて空気制御弁30へ供給されるガス圧力を設定することができる。また、本実施形態では、空気排出流路L5における加湿装置22の後段に、酸化剤極から排出される排出ガスの圧力を検出する排ガス圧力センサ46が設けられている。排ガス圧力センサ46によって検出される排出ガスの圧力は、コントロールユニット40によって読み込まれる。
【0060】
このような構成において、コントロールユニット40は、外気温度Tiに基づいて凍結判定がなされた場合には、パージ流路L6を介してブロア28から空気を空気制御弁30に対して供給する。この場合、コントロールユニット40は、図18に示すように、排ガス圧力センサ46による検出結果、すなわち、酸化剤極から排出される排出ガスの圧力L3に基づいて、この圧力L1に予め設定された所定圧力ΔPを加算した圧力L2となるように、ブロア28の吐出圧力を制御する。同図において、実線L1は、燃料電池システムの運転圧力を示している。この所定圧力ΔPは、空気制御弁30において、ブロア28からの空気が、空気制御弁30の内部を通過してメイン流路側へと流れる程度の圧力勾配となるように、実験やシミュレーションを通じてその最適値が設定されている。
【0061】
このように本実施形態によれば、燃料電池システムの空気系には寄与しない、すなわち、空気系と独立して設けられるブロア28によって、空気制御弁30に対するパージガスが供給される。かかる構成によれば、コンプレッサ20よりも低電力でパージガスを供給することができるとともに、燃料電池スタック1への空気供給に対する制御性の向上を図ることができる。これにより、エネルギー効率の向上を図りつつ、空気制御弁30においてメイン流路側からクリアランスに進入する生成水または水蒸気を抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、空気制御弁30におけるメイン流路の圧力、すなわち、燃料電池スタック1の酸化剤極から排出される空気の圧力に基づいて、ブロア28から供給される空気の圧力が設定される。これにより、必要最低限の空気をブロア28から供給することができるので、低電力でシステムを稼働することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、独立したパージガスを供給する手段としてブロア28を例示しているが本発明はこれに限定されない。例えば、図19に示すように、ブロア28に代えて、空気タンク29およびパージ制御弁25によって代替してもよい。このケースでは、空気制御弁30に供給される空気の圧力を把握するために、パージ流路L6の空気制御弁30よりも前段に、圧力センサ47を設けることが好ましい。
【0064】
以上、本発明の実施形態にかかる燃料電池システムおよびその制御方法について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、凍結抑制構造付きの開閉弁を、空気制御弁30に対する適用として説明したが、これ以外の部位に使用される開閉弁に対して適用することも可能である。例えば、図20に示すように、燃料電池スタック1の酸化剤極の入口側と出口側とにそれぞれ密閉用の開閉弁26,27を備えるシステム構造では、かかる開閉弁26,27に対して、上述した凍結抑制構造を適用してもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、導入流路39を内部空間37に接続し、この内部空間37からシール部材36のクリアランスを経由させて嵌合孔38に空気を供給しているが、図21に示すように、弁本体31の嵌合孔38に直接的に通じる導入流路(内部流路)39を形成し、これにより空気を導入してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1の実施形態にかかる燃料電池システムの全体構成を示すブロック図
【図2】空気制御弁30の構造を模式的に示す断面図
【図3】空気制御弁30の要部を模式的に示す拡大断面図
【図4】コンプレッサ20の吐出圧とパージ流路L6を経て空気制御弁30に供給される弁空気温度との対応関係を外気温度毎に示す説明図
【図5】燃料電池スタック1の発電電流に対応した運転圧力を示す説明図
【図6】第1の実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法を示すフローチャート
【図7】外気温度Tiおよび凍結抑制温度に基づくコンプレッサ圧力Piの説明図
【図8】燃料電池スタック1から取り出す発電電流に基づく電流対応圧力Pdの説明図
【図9】第2の実施形態にかかる燃料電池システムの制御方法を示すフローチャート
【図10】空気制御弁30の開度αの説明図
【図11】目標運転圧力Ptに対応する電流Imの説明図
【図12】第3の実施形態にかかる燃料電池システムの全体構成を示すブロック図
【図13】アフタークーラー21の出口における空気温度の経時的な推移を示す説明図
【図14】アフタークーラー21の出口における空気温度の経時的な推移を示す説明図
【図15】第4の実施形態にかかる空気制御弁30の構造を模式的に示す断面図
【図16】第5の実施形態にかかる空気制御弁30の構造を模式的に示す断面図
【図17】第6の実施形態にかかる燃料電池システムの全体構成を示すブロック図
【図18】ブロア28の吐出圧力を示す説明図
【図19】第6の実施形態にかかる燃料電池システムの変形例を示すブロック図
【図20】開閉弁の他の適用例について示す説明図
【図21】空気制御弁30の別の形態を示す説明図
【符号の説明】
【0067】
1 燃料電池スタック
3 電力取出装置
10 燃料タンク
11 燃料供給弁
12 水素制御弁
12 水素循環ポンプ
14 気液分離装置
15 不純物排出弁
20 コンプレッサ
21 アフタークーラー
22 加湿装置
23 冷却水循環ポンプ
24 冷却ユニット
25 パージ制御弁
26 開閉弁
27 開閉弁
28 ブロア
29 空気タンク
30 空気制御弁
31 弁本体
32 シャフト
32a 開口
33 弁体
34 軸受部
35 駆動手段
36 シール部材
36a 固定リング
36b 回転リング
37 内部空間
38 嵌合孔
39 導入流路
39a 連通路
39b プラグ
40 コントロールユニット
41 水素圧力センサ
42 空気流量センサ
43 空気圧力センサ
44 外気温度センサ
45 冷却水温度センサ
46 排ガス圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉弁において、
筒状のメイン流路が形成された弁本体と、
前記メイン流路の対向位置に穿設された一対の嵌合孔にそれぞれ挿入されて前記メイン流路と直交するとともに、回動可能に支持されるシャフトと、
前記シャフトに固着された板状の部材であり、前記メイン流路の中心軸と直交する面に対する傾斜角に応じて、前記メイン流路の開度を設定する弁体とを有し、
前記弁本体は、当該弁本体の内部に流体を導入するとともに、当該導入された流体を前記嵌合孔を介して前記メイン流路へと流す内部流路を備えることを特徴とする開閉弁。
【請求項2】
前記弁本体は、前記嵌合孔を介して前記メイン流路と連通するとともに前記シャフトを回動自在に支持する軸受部を収容する内部空間を有しており、
前記内部流路は、前記内部空間と、当該内部空間に外部から流体を導入する導入流路とを含むことを特徴とする請求項1に記載された開閉弁。
【請求項3】
前記弁本体は、前記軸受部と弁本体との隙間をシールするシール部材が配設されており、
前記シール部材は、前記軸受部と前記弁本体とを熱的に分離可能な熱容量の部材で構成されていることを特徴とする請求項2に記載された開閉弁。
【請求項4】
前記シャフトは、中空に形成されているとともに、前記内部空間と対応する位置に中空内部と連通する開口が形成されており、前記内部空間に導入された流体がシャフトの中空内部を通過可能に構成されることを特徴とする請求項2または3に記載された開閉弁。
【請求項5】
燃料電池システムにおいて、
反応ガスが供給されることにより、当該反応ガスを電気化学的に反応させて発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池に接続する反応ガス用のガス流路と、
前記ガス流路に配設される開閉弁とを有し、
前記開閉弁は、
筒状のメイン流路が形成されて、前記ガス流路の一部を構成する弁本体と、
前記メイン流路の対向位置に穿設された一対の嵌合孔にそれぞれ挿入されて前記メイン流路に直交するとともに、回動可能に支持されるシャフトと、
前記シャフトに固着された板状の部材であり、前記メイン流路の中心軸と直交する面に対する傾斜角に応じて、前記メイン流路の開度を設定する弁体とを有し、
前記弁本体は、システムから供給される流体を弁本体の内部に導入するとともに、当該導入された流体を前記嵌合孔を介して前記メイン流路へと流す内部流路を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料電池は、前記反応ガスとして酸化剤ガスが供給される酸化剤極と、前記反応ガスとして燃料ガスが供給される燃料極とを備え、
前記ガス流路は、前記燃料電池の酸化剤極からの排出ガスが流れる酸化剤ガス排出流路を含み、
前記開閉弁は、前記酸化剤ガス排出流路に配設されて、酸化剤ガスの圧力または流量を制御する酸化剤ガス制御弁であることを特徴とする請求項5に記載された燃料電池システム。
【請求項7】
前記ガス流路は、前記燃料電池の酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給流路を含み、
前記酸化剤ガス供給流路は、外気を酸化剤ガスとして取り込むとともに、加圧した上で吐出するコンプレッサを備え、
前記酸化剤ガス制御弁は、前記酸化剤ガス供給流路において前記コンプレッサの下流により分岐するパージ流路を介して、前記内部流路に酸化剤ガスが供給されることを特徴とする請求項6に記載された燃料電池システム。
【請求項8】
前記パージ流路は、当該流路を流れる酸化剤ガスの流量を制御するパージ制御弁をさらに備え、
前記パージ制御弁は、外気温度に基づいて、流量状態が制御されることを特徴とする請求項7に記載された燃料電池システム。
【請求項9】
前記燃料電池は、外気温度に基づいて、運転圧力が設定されることを特徴とする請求項7または8に記載された燃料電池システム。
【請求項10】
前記酸化剤ガス制御弁は、外気温度と、前記燃料電池の発電電流とに基づいて、開度制限が行われることを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載された燃料電池システム。
【請求項11】
前記燃料電池は、前記酸化剤ガス制御弁の開度制限に基づいて、運転圧力と発電電流とが制限されることを特徴とする請求項10に記載された燃料電池システム。
【請求項12】
前記ガス流路は、前記燃料電池の酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給流路を含み、
前記酸化剤ガス供給流路は、外気を酸化剤ガスとして取り込むとともに加圧した上で吐出するコンプレッサと、当該コンプレッサから吐出される酸化剤ガスを冷却する冷却装置とを有し、
前記酸化剤ガス制御弁は、前記酸化剤ガス供給流路において前記冷却装置の下流により分岐するパージ流路を介して、前記内部流路に酸化剤ガスが供給されることを特徴とする請求項6に記載された燃料電池システム。
【請求項13】
前記冷却装置は、冷却水を循環させることにより前記酸化剤ガスを冷却する装置であり、外気温度に基づいて、冷却水の循環流量が制限されることを特徴とする請求項12に記載された燃料電池システム。
【請求項14】
前記酸化剤ガス制御弁の内部流路に対してパージガスを供給する独立したパージガス供給手段をさらに有することを特徴とする請求項6に記載された燃料電池システム。
【請求項15】
前記パージガス供給手段は、前記酸化剤ガス制御弁へ供給されるパージガスの圧力を調整可能であることを特徴とする請求項14に記載された燃料電池システム。
【請求項16】
前記パージガス供給手段は、前記燃料電池の酸化剤極からの排出ガスの圧力に基づいて、前記パージガスの圧力を制御することを特徴とする請求項15に記載された燃料電池システム。
【請求項17】
反応ガスが供給されることにより、当該反応ガスを電気化学的に反応させて発電を行う燃料電池を備える燃料電池システムの制御方法において、
外気温度を検出する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて検出された外気温度に基づいて、凍結判定を行う第2のステップと、
前記第2のステップにおいて凍結判定がなされた場合に、前記燃料電池に接続する反応ガス用のガス流路に配設される開閉弁に対して、システムから流体を供給し、前記ガス流路から前記開閉弁のクリアランスに進入する生成水または水蒸気をパージする第3のステップと
を有することを特徴とする燃料電池システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−127633(P2009−127633A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299542(P2007−299542)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】