説明

開閉式ポケットの支持構造

【課題】トリム本体に装着される開閉式ポケットの支持構造であって、支持構造の構成を簡単かつ廉価に実現するとともに、使い勝手を高める。
【解決手段】ドアトリム本体20の収容凹部25内にポケットカバー30を回動可能に装着する。ポケットカバー30の側壁32の下端側をヒンジピン33を介して回動可能に収容凹部25に取り付けるとともに、ポケットカバー30の側壁32と収容凹部25の側壁26との間に、一方側にガイドピン27,36、他方側にラチェット式係合部28,34をそれぞれ設けたラチェット機構を採用することで、従来のスプリングを廃止するとともに、ポケットカバー30の開放途中の任意位置での保持を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアトリム、リヤサイドトリム等の内装トリムに設けられる開閉式ポケットの支持構造に係り、特に、ポケット容積を任意に変更でき、使い勝手を高めた開閉式ポケットを簡単かつ廉価な構造で提供できる開閉式ポケットの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉式ポケット構造の代表例としては、例えば、図12に示すものが知られている。図面において、ドアトリム1は所望の曲面形状に成形されたドアトリム本体2の下部側が両側に室内側に膨出し、膨出部2a,2b間にポケット空間を構成する収容凹部3が形成され、この収容凹部3にポケットカバー4が手前方向に倒し込み可能なように回動自在に装着されている。
【0003】
このポケットカバー4は、図13に示すように、前面壁4aと、その両側から略直交方向奥側に張り出し、ポケットカバー4を手前側に倒し込んだ際は、ポケット壁を構成する側壁4bが一体化され、両側壁4bの下端側に軸孔4cが開設されている。そして、この軸孔4cと、ドアトリム本体2側の収容凹部3の側壁3aに設けられている軸孔3bとの間にヒンジピン4dを挿入することで、ポケットカバー4が回動可能に支持される。更に、ポケットカバー4の側壁4bの上部側には、ガイドピン5が突設され、このガイドピン5は、ドアトリム本体2の収容凹部3の側壁3aに設けられているガイド溝6内にガイドされ、ポケットカバー4の開閉操作時、ポケットカバー4を支持する構成となっている。
【0004】
そして、図14に示すように、ポケットカバー4の側壁4bとトリム本体2の収容凹部3の側壁3aとの間には、スプリング7が装着され、このスプリング7は、実線で示すポケットカバー4の閉鎖状態においては閉鎖方向に付勢する。一方、ポケットカバー4を手前側に倒し込んで点線で示すポケットカバー4の開放状態においては、開放方向にバネ力が付勢するようになっており、上記スプリング7の一端7aは、ガイドピン5に取り付けられ、反対端7bは、収容凹部3の側壁3aの係止部3cに固定されている(特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−362232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来のドアトリム1に設けられる開閉式ポケットは、ドアトリム本体2に設けた収容凹部3内にポケットカバー4をポケットカバー4の側壁4bの下端にヒンジピン4dを介して回動可能に取り付け、ポケットカバー4の前面壁4aを手前側に倒し込んでポケットを開放し、その際、ポケットカバー4の側壁4bがポケット壁を構成することで、ポケットの開口を大きく確保することができ、スプリング7のバネ力により、ポケットカバー4をそれぞれ閉鎖方向並びに開放方向に付勢するように構成されている。
【0007】
しかしながら、ドアトリム本体2の収容凹部3にポケットカバー4を装着する作業においては、バネ力を作用させるスプリング7を装着した状態で組み付けなければならず、組付作業が面倒であるとともに、バネ付勢力を作用させるスプリング7を必要とし、部品点数の増大から、コストアップを招来するという欠点が指摘されている。
【0008】
更に、上述した開閉式ポケットにおいては、ポケットカバー4の閉鎖状態か、あるいは手前側に倒し込んだ開放状態の2つのポジションでしかポケットカバー4を保持することができず、開放操作途中の任意位置でポケットカバー4を保持することができず、使い勝手の面で改良が望まれていた。
【0009】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、トリム本体の収容凹部にポケットカバーを下端側をヒンジ部として手前側に倒し込むように開閉可能に装着される開閉式ポケットの支持構造であって、スプリングを廃止することで、簡易な構成を実現でき、コストダウンを招来できるとともに、ポケットカバーの開放操作途中の任意位置でポケットカバーを保持することができ、使い勝手を高めた開閉式ポケットの支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、車体パネルに内装される内装トリムにおけるトリム本体の収容凹部にポケットカバーを下端側をヒンジ部として手前側に倒し込むように開閉可能に装着される開閉式ポケットの支持構造であって、前記ポケットカバーの側壁と、この側壁と対向する収容凹部の側壁との間には、一方側にガイドピン、他方側にこのガイドピンと係合するラチェット式係合部が形成され、ポケットカバーの開閉操作に応じて上記ガイドピンがラチェット式係合部内の任意の係止ポイントで係着され、ポケットカバーを適切な開放位置で保持できるようにしたことを特徴とする。
【0011】
ここで、開閉式ポケットを適用する内装トリムとしては、ドアトリム、リヤサイドトリム、ラゲージサイドトリム等が挙げられる。そして、ポケットカバーは、合成樹脂の射出成形体等からなり、ポケットカバーの閉鎖時には、内装トリムの製品表面と連接して製品表面を形造る前面壁と、この前面壁から奥側に張り出す左右一対の側壁とから構成され、この側壁は、ポケットカバーを手前側に倒し込んだ際、ポケット壁部を構成する。
【0012】
次いで、ポケットカバーの支持構造としては、ポケットカバーの側壁下端側がトリム本体の収容凹部側壁にヒンジピンを介して軸着され、ポケットカバーは側壁下端のヒンジ部を基に前面壁が手前側に倒れ込むように回動可能に取り付けられる。
【0013】
更に、ポケットカバーの側壁上部側とトリム本体の収容凹部側壁との間には、構造が簡易でかつポケットカバーを任意の開放位置で保持できるラチェット機構が設けられている。このラチェット機構は、ポケットカバーの側壁と、これと対応する収容凹部の側壁との間で一方側にガイドピンが突設され、他方側にこのガイドピンを係合するラチェット式係合部が設けられている。例えば、トリム本体の収容凹部側壁にガイドピンを突設した場合は、ポケットカバーの側壁には、円弧状のラチェット孔が形成され、ポケットカバーを開閉操作した場合、ガイドピンがラチェット孔内を段階的に適度の摩擦力をもって摺動することになり、ガイドピンは、ラチェット孔の任意の係止ポイントで係着されることになる。
【0014】
また、ガイドピンの係着力とラチェット孔内を移行させる操作性とのバランスを保つために、ガイドピンに肉抜きを施し、ガイドピンのピン径が縮小するように撓み変形するガイドピン構造を採用すれば、ポケットカバーの開閉操作に対応してガイドピンはラチェット孔内を円滑に移行する。尚、ラチェット孔に替えて、ラチェット溝を採用することも可能である。
【0015】
あるいは、ラチェット孔の上部、あるいは下部の少なくとも一方側に開口を開設しておけば、ガイドピンが通過する際、ラチェット孔の幅が拡開するように撓み変形することにより、ポケットカバーの開閉操作に伴ない、ガイドピンを円滑に摺動させることができる。尚、この場合は、ラチェット係合部としてはラチェット孔に限定される。
【0016】
一方、ポケットカバーの側壁にガイドピンを突設した場合は、トリム本体側の収容凹部の側壁にラチェット孔を形成することも可能であるが、ラチェット孔の他にラチェット式フランジを円弧状に突設することもできる。この場合は、ポケットカバーの開閉操作に伴ない、ラチェット式フランジが上下方向に撓むことにより、ガイドピンを任意位置で係着できる。また、ポケットカバー側のガイドピンに肉抜きを施せば、ラチェット式フランジに撓み性を付与しなくても、ポケットカバーの開閉操作に対応して、ガイドピンの摺動動作が円滑に行なえる。
【0017】
以上の構成から明らかなように、本発明に係る開閉式ポケットの支持構造は、ポケットカバーの側壁と、トリム本体側の対向面との間にガイドピンとこれを受けるラチェット式係合部とからなるラチェット機構を採用するというものであるから、従来のスプリングを廃止することができ、スプリング廃止による部品点数の削減が可能となり、ラチェット式係合部にガイドピンを係合させるようにトリム本体側にポケットカバーのヒンジ部を装着することにより、簡単に開閉式ポケットの組み付けが完了する。
【0018】
更に、ポケットカバーの開閉操作に応じて、ポケットカバーの側壁とトリム本体の収容凹部の側壁との間に設けたラチェット機構によれば、ガイドピンがラチェット式係合部の任意ポイントで保持されるため、ポケットカバーの開放途中時においても、その任意の開放位置でポケットカバーを保持することができ、ポケットカバーは、有段階的に開放状態を保持することができ、収容物品のサイズに有効に適用することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明した通り、本発明に係る開閉式ポケットの支持構造は、トリム本体の収容凹部内にポケットカバーを手前側に倒し込み可能なように、その下端側をヒンジ部として回動可能に装着し、ポケットカバーの側壁と、これと対応する収容凹部側壁との間で一方側にガイドピン、他方側にこのガイドピンを受けるラチェット式係合部とからなるラチェット機構を採用したから、トリム本体側へのポケットカバーの装着は、従来のスプリングを廃止でき、ポケットカバーの組み付けを簡単かつ廉価に行なえるという効果を有する。
【0020】
更に、本発明に係る開閉式ポケットの支持構造によれば、ポケットカバーの側壁上部側と、これと対向する収容凹部側壁との間にガイドピンとラチェット式係合部とからなるラチェット機構を採用したから、ポケットカバーの開閉操作時、ポケットカバーの任意の開放位置でガイドピンをラチェット式係合部の係止ポイントで確実に保持することができ、従来のように閉鎖位置、全開放位置の2つのポジションでしかロックできなかった構造に比べ、ポケット内に収容する物品のサイズに有効に適用でき、使い勝手を高め、かつスペース性能にも優れるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る開閉式ポケットの支持構造について、ドアトリムに設けた開閉式ポケットの実施例を採用して、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1乃至図7は本発明の第1実施例を示すもので、図1は本発明に係る開閉式ポケットを採用したドアトリムを示す外観図、図2は本発明に係る開閉式ポケットの支持構造を示す分解斜視図、図3は同支持構造を示す断面図、図4は同支持構造におけるガイドピンとラチェット孔との関係を示す説明図、図5は本発明に係る開閉式ポケットの支持構造における第1実施例の変形例を示す分解斜視図、図6,図7は図5に示す開閉式ポケットの支持構造におけるガイドピンとラチェット孔との関係を示す各説明図である。
【0023】
図1において、ドアトリム10は、所要形状に成形されたドアトリム本体20から構成され、このドアトリム本体20の下側ほぼ中央に開閉式ポケットPが設定されている。更に詳しくは、ドアトリム本体20は、ほぼ中央に車室内側に膨出形成され、乗員が肘を掛けて休めるようにアームレスト21が形成されており、このアームレスト21から表面下側に延在するように、ドアトリム本体20のリヤ側下部に、膨出部22が形成され、これと対応するように、ドアトリム本体20のフロント側下部においても、膨出部23が形成され、このフロント側膨出部23には、スピーカグリル24がドアトリム本体20と一体、あるいは別体に設けられている。
【0024】
このリヤ側膨出部22と、フロント側膨出部23との間に収容凹部25が画成され、この収容凹部25に開閉式ポケットPが採用される。すなわち、図2に示すように、開閉式ポケットPは、ドアトリム本体20に設けられる収容凹部25と、この収容凹部25に装着されるポケットカバー30とから構成される。
【0025】
このポケットカバー30は、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂の射出成形体からなり、前面壁31は、ポケットカバー30の閉鎖時においてはドアトリム本体20の製品表面を構成し、かつポケットの前面壁の機能をもつとともに、この前面壁31のリヤ側(車両の前後方向を基準とした)には、前面壁31からほぼ90°奥側に張り出した側壁32が形成され、前面壁31のフロント側においても、前面壁31の端縁からずれた位置にこれも上下方向に沿って延びる側壁32が奥側に向けて張り出し形成されている。
【0026】
一方、このポケットカバー30を装着するドアトリム本体20の収容凹部25には、ポケットカバー30の側壁32に対応して、側壁26が設定されており、ポケットカバー30の側壁32下端に軸孔32aが開設されているとともに、これと対応するように、収容凹部25の側壁26下端にも軸孔26aが開設され、両軸孔32a,26a内にヒンジピン33を挿入することで、ポケットカバー30は、前面壁31を手前側に倒し込むように回動自在に軸着される。
【0027】
次に、ポケットカバー30の支持構造について説明する。すなわち、この第1実施例においては、収容凹部25の側壁26の上部側にガイドピン27が内方に向けて突設形成されている。そして、これと対応するように、ガイドピン27を収容するためのラチェット孔34がポケットカバー30の側壁32の上部側に円弧状に開設されている。
【0028】
従って、ポケットカバー30をドアトリム本体20の収容凹部25内に収容するには、ポケットカバー30の両側壁32の下端側をヒンジピン33を介して収容凹部25内に軸着するとともに、ポケットカバー30の側壁32の上部側については、ラチェット孔34内にガイドピン27が収容されるように取り付ければ、ドアトリム本体20に対してポケットカバー30を簡単に装着することができ、ポケットカバー30の組付作業性を向上させることができる。この時、本実施例では、ガイドピン27は、図2中拡大して示すように、肉抜き27aが施され、上下側からピンを挟むような外力が加われば、ピン径が縮小するように構成されている。
【0029】
図3,図4に基づいて、開閉式ポケットPの開閉操作について説明する。図3でポケットカバー30の実線で示す箇所は、ポケットカバー30の閉鎖位置を示すもので、この時には、図4に示すように、ポケットカバー30の側壁32に開設されているラチェット孔34の手前側端末34aにガイドピン27が係着しており、ポケットカバー30は閉鎖位置で確実に保持されている。
【0030】
そして、開閉式ポケットPの上部開口を多く確保するために、ポケットカバー30の前面壁31の上縁を手で持って、手前側に引き寄せれば、ポケットカバー30を開放操作することができる。この時、ポケットカバー30は、ヒンジピン33を基に回動動作するが、その際、ドアトリム本体20側のガイドピン27は、ポケットカバー30の側壁32に開設されているラチェット孔34をクリックアクション式に通過して、図3中2点鎖線で示すポケットカバー30の全開放位置においては、ガイドピン27は、ポケットカバー30の側壁32に開設されているラチェット孔34の奥側端末34bに係着され、全開放位置でポケットカバー30が確実に保持される。
【0031】
また、本実施例においては、ポケットカバー30の閉鎖位置(図3中実線で示す)とポケットカバー30の全開放位置(図3中2点鎖線で示す)の間の任意位置でポケットカバー30を保持することができる。すなわち、図4に示すように、円弧状を成すラチェット孔34は、双方の端末34a,34bでそれぞれポケットカバー30の閉鎖位置、全開放位置に対応するとともに、ポケットカバー30の開放途中状態においては、ガイドピン27は、ラチェット孔34内を通過する際、ラチェット孔34の下縁に設けた凹部34cでガイドピン27は撓み変形することなく、任意の凹部34c内で保持される。そして、隣接する凹部34cに移行する際に凸部34dを通過する時、ガイドピン27は肉抜き27aにより図示するように上下寸法が縮小するように、ガイドピン27が撓むことで、ラチェット孔34内の移行が可能になる。従って、ラチェット孔34内をガイドピン27が移行する際に、クリックアクションが作用することになる。
【0032】
このように、本実施例においては、従来例のように、ポケットカバー30を閉鎖位置と全開放位置の2つのポジションでしか保持できないのに比べて、ラチェット孔34の孔形状により、ポケットカバー30の開放途中の有段階で保持でき、ポケット内に収容する物品のサイズに応じてポケット開口の大きさを任意に設定することができ、使い勝手を高めることができる。
【0033】
上述した実施例は、ガイドピン27を撓み変形させることでラチェット孔34内を円滑に移行させるようにしたが、ラチェット孔34に替えて、ラチェット溝を使用することもできる。更に、図5,図6に示すように、ガイドピン27を撓み変形させるのではなく、ラチェット孔34の幅をガイドピン27の通過時に拡開させてガイドピン27の摺動動作を円滑化させても良い。すなわち、図5,図6に示すように、ラチェット孔34の下方に細長状の開口35が開設されている。
【0034】
従って、ポケットカバー30の開閉操作に伴ないガイドピン27がラチェット孔34内の凸部34dと干渉し、ラチェット孔34と開口35との間に画成されるプレート部35aが矢印方向に撓むことにより、ラチェット孔34の幅が拡開し、ガイドピン27をラチェット孔34に沿って円滑に摺動させることができる。尚、図7に示すように、ラチェット孔34の上部側に開口35を開設するようにしてもガイドピン27をラチェット孔34内を移行させる際、ガイドピン27とラチェット孔34の凸部34dとが干渉し、プレート部35aが上方に撓むことにより、ラチェット孔34の幅が拡開する。
【実施例2】
【0035】
図8乃至図11は、本発明の第2実施例を示すもので、第1実施例と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。この第2実施例においても、本発明に係る開閉式ポケットPは、ドアトリム10におけるドアトリム本体20の下部に設けられた収容凹部25内にポケットカバー30を装着して構成されている。
【0036】
そして、この第2実施例においては、ポケットカバー30の側壁32の下端側をヒンジピン33を介してドアトリム本体20の収容凹部25の側壁26に取り付ける点は第1実施例と同様であるが、ポケットカバー30のラチェット機構の構成が第1実施例とは相違する。すなわち、第2実施例においては、図8に示すように、ポケットカバー30の側壁32の上部側にガイドピン36が外側に向けて突設形成されており、これと対応するように、ポケットカバー30の側壁32と摺接するドアトリム本体20における収容凹部25の側壁26の上端に上下方向に撓み性を備えたラチェットフランジ28が設けられている。
【0037】
従って、図9中実線で示すポケットカバー30の閉鎖位置においては、ラチェットフランジ28の図中右側端部28aにポケットカバー30のガイドピン36が係着しており、ポケットカバー30の閉鎖状態を保持している。そして、ポケットカバー30を全開放位置まで開放させた状態では、ポケットカバー30のガイドピン36は、収容凹部25の側壁26に設けたラチェットフランジ28の左側端末28bで係着されて、ポケットカバー30の全開放状態を保持する。また、それまでの途中において、ポケットカバー30の任意の開放角度において、ラチェットフランジ28の凹凸部28cでポケットカバー30のガイドピン36がクリックアクション作用を発揮しながら係着される。従って、この第2実施例においてもスプリングを廃止することにより、簡易かつ廉価に組み付けることができ、しかも、開放操作途中の任意の位置でポケットカバー30を保持することができ、収容備品の寸法に応じた収容性能が期待できることから、使い勝手に優れるという同様の作用効果がある。
【0038】
また、図10,図11に示すように、ポケットカバー30に設けるガイドピン36に肉抜き36aを施すことにより、ガイドピン36の上下方向のピン径を縮小させることができ、ドアトリム本体20側のラチェットフランジ28の凹凸部28cを通過させる際の操作性を高めるようにしても良い。尚、ガイドピン36の肉抜き36aの上下寸法(図中符号dで示す)を適宜調整することにより、ガイド操作性を制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
実施例1、実施例2の他に、ポケットカバー30にガイドピン36を突設し、これと対応するように、ドアトリム本体20側にラチェット孔34を形成し、ガイドピンの摺動抵抗を可変させるために、ガイドピン36に肉抜き36aを施すか、あるいはラチェット孔34の上下いずれかに開口を設ける構成を採用することもできる。
【0040】
更に、ドアトリム本体20における収容凹部25内にポケットカバー30を前倒し可能にヒンジ接合するという構成を採用したが、リヤサイドトリム、ラゲージサイドトリム等に開閉式ポケットPを採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る開閉式ポケットを装備したドアトリムを示す外観図である。
【図2】本発明に係る開閉式ポケットの支持構造における第1実施例の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明に係る開閉式ポケットの支持構造における第1実施例を示す断面図である。
【図4】図3に示す開閉式ポケットの支持構造におけるラチェット孔とガイドピンとの関係を示す説明図である。
【図5】本発明に係る開閉式ポケットの支持構造における第1実施例の変形例を示す分解斜視図である。
【図6】図5に示す開閉式ポケットの支持構造におけるラチェット孔とガイドピンとの関係を示す説明図である。
【図7】図6の変形例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る開閉式ポケットの支持構造における第2実施例を示す分解斜視図である。
【図9】図8に示す開閉式ポケットの支持構造の構成を示す断面図である。
【図10】本発明に係る開閉式ポケットの支持構造における第2実施例の変形例を示す説明図である。
【図11】図10に示す開閉式ポケットの支持構造におけるガイドピンとラチェットフランジとの関係を示す説明図である。
【図12】従来の開閉式ポケットを装備したドアトリムを示す斜視図である。
【図13】従来の開閉式ポケットの構成を示す説明図である。
【図14】従来の開閉式ポケットの支持構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
10 ドアトリム
20 ドアトリム本体
25 収容凹部
26 側壁
26a 軸孔
27 ガイドピン
27a 肉抜き
28 ラチェットフランジ
28c 凹凸部
30 ポケットカバー
31 前面壁
32 側壁
32a 軸孔
33 ヒンジピン
34 ラチェット孔
34c 凹部
34d 凸部
35 開口
36 ガイドピン
36a 肉抜き
P 開閉式ポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体パネルに内装される内装トリム(10)におけるトリム本体(20)の収容凹部(25)にポケットカバー(30)を下端側をヒンジ部として手前側に倒し込むように開閉可能に装着される開閉式ポケット(P)の支持構造であって、
前記ポケットカバー(30)の側壁(32)と、この側壁(32)と対向する収容凹部(25)の側壁(26)との間には、一方側にガイドピン(27,36)、他方側にこのガイドピン(27,36)と係合するラチェット式係合部(28,34)が形成され、ポケットカバー(30)の開閉操作に応じて上記ガイドピン(27,36)がラチェット式係合部(28,34)内の任意の係止ポイントで係着され、ポケットカバー(30)を適切な開放位置で保持できるようにしたことを特徴とする開閉式ポケットの支持構造。
【請求項2】
前記ガイドピン(27,36)には、ピン径が縮小可能となる肉抜き(27a,36a)が施されていることにより、ポケットカバー(30)の開閉操作に応じてラチェット式係合部(28,34)の隣接する係止ポイントに円滑に移行できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の開閉式ポケットの支持構造。
【請求項3】
前記ラチェット式係合部(28,34)は、ポケットカバー(30)の側壁(32)に開設されるラチェット孔(34)から構成され、このラチェット孔(34)の上下側の少なくとも一方側には、開口(35)が形成されていることにより、ラチェット孔(34)内に収容されるガイドピン(27)がラチェット孔(34)内を摺動する際、ラチェット孔(34)の幅を拡開させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の開閉式ポケットの支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−35975(P2006−35975A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217164(P2004−217164)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【Fターム(参考)】